Hardness measuring method of the coating layer

申请号 JP8459698 申请日 1998-03-30 公开(公告)号 JP3762094B2 公开(公告)日 2006-03-29
申请人 京セラ株式会社; 发明人 康之 廣政; 聡 徳重; 将和 木下; 和哉 清水; 加代子 西郷;
摘要
权利要求
  • 相対密度が95%以上で表面粗さ(Ra)が0.3nm以下のセラミック焼結体表面に、無機材料をターゲットとし、スパッタリング法にて厚さが20μm以下の前記無機材料成分から成る被覆層を被着形成して標準試料を作製し、蛍光X線分析法にて前記標準試料のセラミック焼結体から発生するX線の強度Iを前記被覆層を通して計測し、
    で表される数式に基づき、前記標準試料の被覆層の単位面積当たりの重量を算出すると共に、光学的手法により前記被覆層の厚さを測定し、次いで、前記標準試料の被覆層の単位面積当たりの重量と厚さから密度を算出し、該密度と超微小硬度測定装置により測定した前記標準試料の無機成分から成る被覆層の硬度との相関を求めた後、硬度未知の無機成分から成る被覆層を被着形成したセラミック焼結体を前記標準試料と同様にして、蛍光X線分析法と光学的手法により前記被覆層の単位面積当たりの重量と厚さを測定して密度を算出し、該密度から前記相関に基づき硬度を特定することを特徴とする被覆層の硬度測定方法。
  • 前記無機材料が、純度99.5%以上のアルミナ(Al )であることを特徴とする請求項 に記載の被覆層の硬度測定方法。
  • 前記セラミック焼結体が、Al −TiC焼結体であることを特徴とする請求項 1または請求項 に記載された被覆層の硬度測定方法。
  • 说明书全文

    【0001】
    【発明の属する技術分野】
    本発明は、磁気ヘッドスライダや工具等に好適な無機成分から成る被覆層を有するセラミック焼結体及び該セラミック焼結体に被着された厚さが極めて薄い無機成分から成る被覆層の硬度を非破壊で測定する方法に関するものである。
    【0002】
    【従来の技術】
    従来より、各種セラミック焼結体の表面に耐摩耗性に優れた被覆層を設けることにより機械的特性を向上させる技術が、磁気ヘッドスライダや工具等をはじめとするさまざまな分野で利用されてきた。
    【0003】
    例えば、前記磁気ヘッドスライダとしては、その母材には、その使用目的及び磁気記録媒体の材質により高硬度で耐摩耗性に優れたAl 23 −TiCや、ZrO 2 、BaTiO 3 、フェライト系等の材料が適用され、更にスライダ部の浮上面には、磁気記録媒体との接触で生じる機械的摩耗による損傷を防止するためにスライダ保護膜が被着形成されている。
    【0004】
    かかるスライダ保護膜は、一般的に耐摩耗性に優れた高硬度材料を用い、磁気記録媒体からの信号を読み取り易いようにできるだけ薄く被覆する必要があることから、高い硬度を有するダイヤモンド状カーボン(DLC)膜が多用されてきたが、該DLC膜を母材である高硬度で耐摩耗性に優れたAl 23 −TiCに被着する場合には、接着強度を高めるためにSiO 2等の中間層を設けねばならず、製造工程の煩雑さと製造コストの増加を招くという欠点があった。
    【0005】
    従って、かかる中間層を設けなくとも良好な接着強度と高硬度を有し、かつ薄膜の形成が容易であるアルミナ(Al 23 )を主成分とする被覆層を被着形成することが、製造工程の簡便さと低コストの点で主流となってきた。
    【0006】
    しかし、前記アルミナ(Al 23 )を主成分とする被覆層は、スパッタリング法やCVD法等、公知の成膜方法により比較的容易に形成できるものの、得られた被覆層は、成膜条件や成膜装置により硬度や耐摩耗性等の機械的特性が左右されるため、膜硬度や耐摩耗性等の機械的特性を実際に測定して管理する必要があった。
    【0007】
    かかる被覆層の硬度を測定するには、従来からビッカース硬さ試験法や、ヌープ硬さ試験法等、圧子を被覆層表面に押し付けて硬度を測定する押し込み式の硬さ試験法が良く知られているが、厚さが極めて薄い被覆層には、圧子が母材にまで達して被覆層のみの硬度を正確に測定することができず不適切であり、たとえ微小硬度測定装置を用いたとしても圧痕の大きさを計測する際に読み取りが困難となり、測定値がばらつく大きな要因となり、被覆層のみの硬度を正確に評価するには不十分であった。
    【0008】
    又、超音波を用いて硬度を測定する方法もあるが、計測される硬度は、被覆層の弾性率や層の厚さ変化に大きく依存するという欠点があり、他に、ダイヤモンド針を用いたスクラッチテスト法でも、硬度は被覆層表面の凹凸によるノイズや、触針の摩耗等の影響を受け易く、いずれも正確な評価が困難であるという欠点があった。
    【0009】
    そこで、前記欠点を解消して従来の微小硬度測定装置よりも更に小さい荷重を付加することができると共に、荷重付加速度を一定に調節することができる機構を備えた超微小硬度測定装置により、圧痕の深さが膜厚に対して10%以下となるように試験荷重を調整して硬度を測定する方法が提案されている(特開平9−236530号公報参照)。
    【0010】
    【発明が解決しようとする課題】
    前記提案では、圧痕の読み取りは圧子の変位量を電気的に検出することから読み取り誤差が小さくはなるものの、膜が10μm程度未満の極めて薄い測定物では、負荷する荷重が数十mg以下と小さいために母材表面の凹凸の影響を無視できないことから、測定ばらつきが大きくなり、数回から十数回測定した値の平均より硬度を求めねばならず、信頼性に乏しい上、測定物に被着形成された膜厚が極めて薄いことから、圧痕を付けて硬度を測定する方法では、母材に与える影響が測定物によっては極めて大となり、製品の非破壊検査としては採用できない場合があるという課題があった。
    【0011】
    本発明は、前記課題に鑑み成されたもので、その目的は、セラミック焼結体に被着形成した厚さが極めて薄い無機成分から成る被覆層の硬度を、簡便な非破壊法で精度良く測定する方法を提供することにある。
    【0012】
    【課題を解決するための手段】
    本発明者等は、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、セラミック焼結体表面に形成した厚さが極めて薄い無機成分から成る被覆層を直接、硬度測定するのではなく、間接的に硬度を特定することができないか種々試み、かかる被覆層が有する物性の内、密度と硬度の間に有効な相関関係が存在することを見いだし、セラミック焼結体に被着した厚さが極めて薄い無機成分から成る被覆層の密度を、非破壊で測定する方法を検討して本発明に至った。
    【0015】
    即ち、本発明の被覆層の硬度測定方法は、先ず、相対密度が95%以上で0.3nm以下の表面粗さ(Ra)にまで研磨仕上げしたセラミック焼結体表面に、無機材料をターゲットとしたスパッタリング法で、20μm以下の種々の厚さを有する被覆層を被着形成して標準試料を作製する。
    【0016】
    次いで、前記標準試料の無機成分から成る被覆層の単位面積当たりの重量を、蛍光X線分析法にて前記標準試料のセラミック焼結体から発生するX線の強度Iを前記被覆層を通して計測し、
    【0017】
    【数1】

    【0018】


    で表される数式に基づき算出する。


    【0019】


    一方、前記標準試料の無機成分から成る被覆層の厚さを、光干渉法やエリプソメトリー法等の公知の光学的手法により測定する。


    【0020】


    得られた前記被覆層の単位面積当たりの重量と厚さから、標準試料の無機成分から成る被覆層の密度を算出する。


    【0021】


    他方、前記厚さを種々設定した無機成分から成る被覆層を有する標準試料について、超微小硬度測定装置により該被覆層の硬度を測定し、前記標準試料の無機成分から成る被覆層の密度との相関を求める。


    【0022】


    以上の相関関係に基づき、硬度未知の無機成分から成る被覆層を被着形成したセラミック焼結体を前記標準試料と同様にして、蛍光X線分析法と光学的手法により該被覆層の単位面積当たりの重量と厚さをそれぞれ測定して密度を算出し、該密度から前記相関に基づき非破壊法で硬度を求める。


    【0023】


    又、前記無機材料は、純度が99.5%以上のアルミナ(Al

    2

    3 )であることが、更に、前記セラミック焼結体は、Al

    2

    3 −TiC焼結体であることが、より望ましいものである。


    【0024】


    【作用】


    本発明

    の被覆層の硬度測定方法によれば、鏡面状態に表面仕上げしたセラミック焼結体にスパッタリング法で高純度の無機成分から成る被覆層を被着した標準試料に基づき、該被覆層の単位面積当たりの重量と厚さを蛍光X線分析法と光学的手法により測定して密度を算出すると共に、前記標準試料の無機成分から成る被覆層を超微小硬度測定装置により硬度を測定し、前記密度と硬度の相関関係を利用して、密度を算出することにより硬度を特定することから、被覆層を設けた母材であるセラミック焼結体の表面粗さの影響が皆無となると共に、被覆層の密度を非破壊法により求めるだけで母材へ悪影響を及ぼすことなく、厚さが極めて薄い無機成分から成る被覆層を有する製品の非破壊検査として精度良く、簡単に硬度を特定できる。


    【0026】


    【発明の実施の形態】


    以下、本発明

    の被覆層の硬度測定方法について、詳細に説明する。


    【0027】


    図1は、

    Al

    からなる被覆層を有するセラミック焼結体を磁気ヘッドスライダに適用した一実施例の斜視図である。


    【0028】


    図において、1は、Al

    2

    3 −TiO

    2から成る母材のスライダ材料11と、磁気記録媒体が接する可能性のある浮上面12の表面にスライダ保護膜として被着形成したアルミナ(Al

    2

    3 )を主成分とする被覆層2とで構成された磁気ヘッドスライダであり、浮上面12には、一般に空気支持面(ABS)を有する構造を成した無機成分から成る被覆層を有するセラミック焼結体である。


    【0029】


    前記無機成分から成る被覆層を有するセラミック焼結体において、該被覆層を構成する無機成分としては、アルミナ(Al

    2

    3 )やシリカ(SiO

    2 )、ジルコニア(ZrO

    2 )等の酸化物、窒化アルミニウム(AlN)や炭化チタン(TiC)等の窒化物や炭化物が挙げられるが、磁気ヘッドスライダのスライダ保護膜用としては、母材との接合強度が高いアルミナ(Al

    2

    3 )を主成分とし、その厚さが8μm以下の極めて薄いもので、磁気記録媒体からの信号を精度良く読み取れる実用的な厚さを有するものが好適であり、母材のセラミック焼結体もAl

    2

    3 −TiC焼結体が最適なものである。


    【0030】


    このようなAl

    からなる被覆層を有するセラミック焼結体は、後述の方法である被覆層の硬度が該被覆層の密度との相関から非破壊法で特定されたもので、400kgf/mm

    未満では、密度が低く、該被覆層の成膜時の異常等により緻密でないため、例えば、スライダ保護膜として適用する際には、磁気記録媒体との接触により短時間で摩耗してしまい、又、各種絶縁層として適用する際には、研磨加工時に絶縁層のみが偏って摩耗してしまうこと等、保護膜としての役割を果たさない。


    【0031】


    一方、前記硬度が620kgf/mm

    2を越えると、極めて緻密な状態の膜が得られていることになり、研磨加工時に摩耗量が小さく、加工後に突出した状態となり、例えば、磁気ヘッドスライダとしては、磁気記録媒体と接触する機会が多くなるため、磁気記録媒体の破壊の原因となってしまう。


    【0033】


    次に、本発明の被覆層の硬度測定方法は、鏡面仕上げしたセラミック焼結体を母材とし、該母材表面に高純度の無機材料をスパッタリング法にて20μm以下の厚さに種々設定して被着した標準試料について、被覆層の密度を非破壊法で測定し、一方、被覆層の硬度は、標準試料として超微小硬度測定装置を用いて圧痕から測定する方法により決定し、得られた密度と硬度の相関を適用して、硬度未知の無機成分から成る被覆層の硬度を非破壊法で特定するものである。


    【0034】


    本発明において、標準試料作製に際し、無機成分から成る被覆層を被着させるセラミック焼結体は、前述のようにAl

    2

    3 −TiCや、ZrO

    2 、BaTiO

    3 、フェライト系等の硬度が高く、耐摩耗性や耐熱性に優れた材料から成るもので、超微小硬度測定装置による被覆層の硬度測定に与える影響を最小とするために、その相対密度は95%以上の緻密なものでボイド等が表面に極ないものでなければならず、しかも研磨加工することにより表面粗さ(Ra)が0.3nm以下となるものでなければならない。


    【0035】


    又、前記標準試料に適用する無機成分から成る被覆層としては、高純度の無機材料をターゲットとし、スパッタリング条件としてArガス流量を50〜100SCCM、RF入力を2.8〜3.8kW、Arガス圧を1.0〜3.0Paに設定して、目標厚さを磁気ヘッドの読み出しや書き込みが可能な上限の厚さから20μm以下、種々設定して被覆する。


    【0036】


    尚、前記被覆層の無機成分としては、一般的には、Arガス雰囲気中で純度の高いアルミナ(Al

    2

    3 )をターゲットとしたスパッタリング法が採用できるが、酸素あるいは酸素を含有する不活性ガス雰囲気中でアルミニウム(Al)をターゲットとした反応性スパッタリング法や、CVD等による成膜方法も有効である。


    【0037】


    次に、得られた標準試料の無機成分から成る被覆層の単位面積当たりの重量を蛍光X線分析法で測定するが、これは母材を成すセラミック焼結体中に含有される元素から発生した蛍光X線が、セラミック焼結体表面に被着形成した被覆層に吸収されるためその強度は減衰することを利用し、検出されるKα線強度は、下記式【0038】


    【数1】


    【0039】


    で表されことから、該式より被覆層の単位面積当たりの重量w(g/cm

    2 )を算出するものである。


    【0040】


    又、前記蛍光X線分析法で標準試料の被覆層の単位面積当たりの重量を測定する際には、該被覆層内に雰囲気ガスを取り込んでいる可能性があるため、該被覆層中の元素組成を予め蛍光X線分析法で確認しておくことが必要である。


    【0041】


    更に、蛍光X線分析法での測定エリアは、測定試料の大きさや、目的に応じて適宜選択する必要があり、例えば、試料の平均的な値を求める際には測定エリアを大きくし、一方、試料内の密度分布を確認する際には測定エリアを小さくして同一試料内を数箇所測定する等の工夫が必要である。


    【0042】


    尚、前記被覆層の単位面積当たりの重量の求め方は、非破壊法によるものであるが、前記標準試料については、精度の確保ができれば母材と被覆層を分離して直接重量測定したりすることも可能であり、あるいは試料の浮沈により直接比重を決定する等の方法も採用可能である。


    【0043】


    次に、前記被覆層の厚さの測定は、光干渉法やエリプソメトリー法、多重光束干渉法、微分干渉法等の光学的手法が採用し得るが、標準試料では、かかる非破壊法でなくとも、触針法や断面の走査型電子顕微鏡により被覆層の厚さを求めることも可能であるが、硬度未知試料を非破壊法で測定する上では、標準試料も同様に非破壊法で測定するのが測定精度の点からは好ましい。


    【0044】


    かくして得られた被覆層の単位面積当たりの重量wと、被覆層の厚さdから、密度ρをρ=w/dの計算式に基づき算出する。


    【0045】


    他方、前記厚さを種々設定した被覆層の硬度は、超微小硬度測定装置で測定するが、雰囲気の対流や装置の振動等による外乱を極力低減すると共に、圧子の押し込み深さは被覆層の厚さの10%以下となるように調整して測定することが肝要である。


    【0046】


    以上の結果に基づき、硬度と密度の相関関係を求め、硬度未知の無機成分から成る被覆層を有するセラミック焼結体について、該被覆層の単位面積当たりの重量と厚さをそれぞれ蛍光X線分析法と光学的手法の非破壊法により測定して密度を算出し、前記相関関係より硬度を特定するものであり、従来、超微小硬度測定装置やスクラッチ試験機では困難であった厚さが10μm以下の被覆層の硬度を精度良く求めることが可能となる。


    【0047】


    【実施例】


    次に、本発明を以下に詳述するようにして評価した。


    【0048】


    直径が4インチ、厚さが5mmの外形寸法を有し、相対密度が98%、表面粗さ(Ra)が0.2nmのAl

    2

    3 −TiO

    2焼結体を母材とし、該母材表面に、純度99.5%のアルミナ(Al

    2

    3 )をターゲットとし、Arガス流量が50〜100SCCM、RF入力が2.8〜3.8kW、Arガス圧が1.0〜3.0Paのスパッタリング条件にて、厚さ20μm以下の種々の厚さのアルミナ被覆層を被着して作製した試料を標準試料とした。


    【0049】


    かくして得られた標準試料を用いて、蛍光X線分析装置で測定エリアを1mmφ、X線管球がRh、電圧−電流が50kV−50mAとする測定条件により、母材成分であるTiのKα線が、アルミナ被覆層のAl

    2

    3に吸収され減衰した蛍光X線の強度Iを測定し、


    【0050】


    【数1】


    【0051】


    で表される数式よりアルミナ被覆層の単位面積当たりの重量wを算出し、他方、アルミナ被覆層の厚さdを光干渉法にて測定し、前記アルミナ被覆層の単位面積当たりの重量wを厚さdで除して密度ρを算出した。


    【0052】


    尚、前記スパッタリング条件にて被覆したアルミナ被覆層を、蛍光X線分析法より組成分析を行ったところ、Arが検出されたため、検量線法にてArの定量分析を行い、アルミナ被覆層中に9.6重量%のArが取り込まれていることが分かった。


    【0053】


    従って、アルミナ被覆層の組成をAl

    2

    3 90.4重量%、Ar9.6重量%として計算し、単位面積当たりの被覆層重量を求めた。


    【0054】


    一方、同一標準試料のアルミナ被覆層の硬度を超微小硬度測定装置により、先端が三錐の圧子を用い、負荷荷重を圧子の押し込み深さがアルミナ被覆層の厚さの10%となる条件で押し込み硬さを測定し、外乱の影響を極小とするために、1試料につき15点測定して平均値をその標準試料のアルミナ被覆層の硬度とした。


    【0055】


    以上の測定結果より、縦軸に標準試料のアルミナ被覆層の硬度を、横軸にその密度をプロットし、図2に示す相関を得た。


    【0056】


    次いで、前記標準試料の内、アルミナ被覆層が8μmの厚さを有するものについて、従来のスクラッチテストを比較例としてそれぞれ15点測定し、その硬度測定の精度をそれぞれ比較した。


    【0057】


    【表1】


    【0058】


    表からも明らかなように、本発明の非破壊法によるアルミナ被覆層の硬度測定方法は、従来の方法に比べて精度良く測定できることが分かる。


    【0059】


    かくして得られた相関から、硬度未知のアルミナ被覆層を被着形成したセラミック焼結体試料を用いて、前記標準試料と同様にして非破壊法で密度を求め、アルミナ被覆層の硬度を特定した。


    【0060】


    又、前記硬度未知のアルミナ被覆層を被着形成したセラミック焼結体試料の加工性を評価するために、試料のアルミナ被覆層の面に対して垂直に200番のダイヤモンドホイールで切断し、断面のアルミナ被覆層にチッピング等の欠陥が認められるものを不良と判定した。


    【0061】


    更に、前記切断面を2000番のダイヤモンドペーストを用いて約10μm研磨し、次いでラップ研磨仕上げした面について触針法で母材とアルミナ被覆層との段差を測定し、段差が10nm以上、認められるものを耐摩耗性不良と判定した。


    【0062】


    【表2】


    【0063】


    以上の結果

    、試料番号1、6では、アルミナ被覆層の硬度が400〜620kgf/mm

    の範囲外となっており、前記加工性及び/又は耐摩耗性が悪く、アルミナ被覆層が容易に摩耗したり、逆に研磨により母材より突出する等、保護層あるいは絶縁層として不適当であるのに対して、

    試料番号2〜5では加工性も耐摩耗性も良好であることが確認できた。


    【0064】


    尚、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種々変更可能である。


    【0065】


    【発明の効果】


    叙上の如く、本発明

    の被覆層の硬度測定方法

    によれば 、鏡面状態に表面仕上げしたセラミック焼結体にスパッタリング法で高純度の無機成分から成る被覆層を被着した標準試料に基づき、該被覆層の単位面積当たりの重量と厚さを蛍光X線分析法と光学的手法により測定して密度を算出すると共に、前記標準試料の被覆層を超微小硬度測定装置により硬度を測定し、前記密度と硬度の相関関係を決定し、硬度未知の無機成分から成る被覆層を有するセラミック焼結体の密度を非破壊法で算出することにより、厚さが極めて薄い被覆層について特定した硬度が、400〜620kgf/mm

    のセラミック焼結体を得ること

    ができることから、被覆層を設けた母材であるセラミック焼結体の表面粗さにかかかわらず、被覆層の密度を非破壊法により求めるだけで母材へ悪影響を及ぼすことなく、とりわけ厚さが10μm以下の極めて薄い被覆層を有する製品の非破壊検査として精度良く、簡単に硬度を特定でき、得られた被覆層から成る各種保護膜や絶縁層、耐摩耗層として、相手部材を傷付けることなく機能し、信頼性が向上する。


    【図面の簡単な説明】


    【図1】本発明の被覆層を有するセラミック焼結体を磁気ヘッドスライダに適用した一実施例の斜視図である。


    【図2】本発明の被覆層の硬度測定方法における非破壊法により算出した密度と硬度の関係の一例を示す相関図である。


    【符号の説明】


    1 被覆層を有するセラミック焼結体2 無機成分から成る被覆層

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