Cement additives

申请号 JP2004519236 申请日 2003-07-02 公开(公告)号 JP4311348B2 公开(公告)日 2009-08-12
申请人 日油株式会社; 发明人 昭則 伊藤; 英治朗 吉松; 龍也 松井;
摘要
权利要求
  • 下記の[A]成分からなることを特徴とする、セメント用添加剤。
    [A] ポリオキシアルキレン鎖を有するポリカルボン酸系共重合体のカルボン酸の一部または全部が、下記式[1]で示されるポリオキシアルキレン含有アルコール誘導体によりエステル化されたポリカルボン酸系エステル化共重合体
    (R は窒素原子含有複素環または式[2]で示される基であり、R およびR は、それぞれ独立して炭素数1〜6の炭化水素基であり、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、n1は前記オキシアルキレン基の平均付加モル数であり、かつ1〜8である。)
  • 前記ポリカルボン酸系共重合体のポリオキシアルキレン部位の分子量と、[A]成分のアミン価とが、下記[3a]式の関係を満たすことを特徴とする、請求項1記載のセメント用添加剤。
    前記ポリカルボン酸系共重合体のポリオキシアルキレン部位の分子量/[A]成分のアミン価=15〜150・・・[3a]
  • [A]成分を構成する前記ポリカルボン酸系エステル化共重合体が、
    (a) 下記式[4]のポリオキシアルキレン誘導体と、
    (式中、R は炭素数2〜8の不飽和炭化水素基であり、R は水素原子または炭素数1〜8の飽和炭化水素基であり、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、n2は前記オキシアルキレン基の平均付加モル数であり、かつ10〜100である。)
    (b)不飽和多価カルボン酸系化合物とを必須単量体としてなる共重合体であることを特徴とする、請求項1または2記載のセメント用添加剤。
  • が水素原子または炭素数1〜4の飽和炭化水素基であり、AOを構成する前記オキシアルキレン基のうちオキシエチレン基の占める割合が50モル%以上であることを特徴とする、請求項3記載のセメント用添加剤。
  • 前記不飽和多価カルボン酸系化合物がマレイン酸系化合物であることを特徴とする、請求項3または4記載のセメント用添加剤。
  • 請求項1〜5のいずれか一つの請求項に記載のセメント用添加剤、および[B]成分を含有することを特徴とする、セメント用添加剤組成物。
    [B]下記式[1]で示されるポリオキシアルキレン含有アルコール誘導体
    (R は窒素原子含有複素環または式[2]で示される基であり、R およびR は、それぞれ独立して炭素数1〜6の炭化水素基であり、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、n1は前記オキシアルキレン基の平均付加モル数であり、かつ1〜8である。)
  • 前記ポリカルボン酸系共重合体のポリオキシアルキレン部位の分子量と、[A]成分および[B]成分の混合物のアミン価とが、下記[3b]式の関係を満たすことを特徴とする、請求項6記載のセメント用添加剤組成物。
    前記ポリカルボン酸系共重合体のポリオキシアルキレン部位の分子量/[A]成分および[B]成分の混合物のアミン価=15〜150・・・[3b]
  • [C]成分を含有することを特徴とする、請求項6記載のセメント用添加剤組成物。
    [C] ポリオキシアルキレン鎖を有するポリカルボン酸系共重合体
  • [A]成分の原料である前記ポリカルボン酸系共重合体のポリオキシアルキレン部位の分子量と、[A]成分、[B]成分および[C]成分の混合物のアミン価とが、下記[3c]式の関係を満たすことを特徴とする、請求項8記載のセメント用添加剤組成物。
    [A]成分の原料である前記ポリカルボン酸系共重合体のポリオキシアルキレン部位の分子量/[A]成分、[B]成分および[C]成分の混合物のアミン価=15〜150・・・[3c]
  • 請求項1〜5のいずれか一つの請求項に記載のセメント用添加剤、および[C]成分を含有することを特徴とする、セメント用添加剤組成物。
    [C] ポリオキシアルキレン鎖を有するポリカルボン酸系共重合体
  • [A]成分の原料である前記ポリカルボン酸系共重合体のポリオキシアルキレン部位の分子量と、[A]成分および[C]成分の混合物のアミン価とが、下記[3d]式の関係を満たすことを特徴とする、請求項10記載のセメント用添加剤組成物。
    [A]成分の原料である前記ポリカルボン酸系共重合体のポリオキシアルキレン部位の分子量/[A]成分および[C]成分の混合物のアミン価=15〜150・・・[3d]
  • 说明书全文

    本発明はセメント用添加剤に関し、更に詳しくはセメントペースト、セメントグラウト、モルタル、コンクリート等のセメント組成物の流動性の経時的低下(以下、スランプロスという)を防止でき、かつセメント組成物の粘性を低下させ、セメント組成物の作業性を向上させ得るセメント用添加剤に関する。

    セメント組成物の流動性を高めるために各種のセメント分散剤が用いられているが、一般にセメント分散剤を用いて高度に減した水硬性組成物を調製すると、そのスランプロスが著しく、作業性及び施工性が低下するという問題がある。
    そこで、スランプロスの防止を図るため、それ自体にスランプロス防止性能を有する水溶性共重合体をセメント分散剤として使用する提案がなされている。 このような水溶性共重合体の例としては、無水マレイン酸とアルケニルエーテルとの共重合体やその誘導体(特開昭63−285140号公報、特開平2−163108号公報、特開平4−175253号公報、特開平4−175254号公報)がある。 しかし、これらの水溶性共重合体をセメント分散剤として使用した場合、スランプロスの防止は十分であるが、凝結時間が遅くなるという欠点がある。
    そのため、上記の欠点を改良するためにアルケニルエーテルと無水マレイン酸との共重合体にアルケニル基を含有したアルコール、および窒素基を含有したアルコールをエステル化した共重合体(特開平6−271347号公報、特開平6−298556号公報)が提案されており、スランプロスの防止に効果があり、凝結時間が遅くなることも解消されている。

    ところが、近年の地球温暖化により暑中でセメント組成物を施工する機会が多くなっている。 暑中では、低温あるいは常温のときと異なり、スランプロスが著しく、上記で提案されているような共重合体を添加しても十分なスランプロスの防止効果が発揮できない場合があった。
    また、セメント組成物の施工は、ポンプ圧送によりセメント組成物を流し込み、その後人手による作業で行うことが多く、このようなポンプ圧送時、人手による作業時には、粘性等が高いために、作業性が悪いことも指摘されていた。
    本発明の課題は、暑中でのスランプロスを長期にわたって防止することができ、かつ製造したセメント組成物の粘性を低下させ、セメント組成物の作業性を向上させ得るようなセメント用添加剤を提供することである。
    本発明は、下記の[A]成分を含有していることを特徴とする、セメント用添加剤に係るものである。
    [A] ポリオキシアルキレン鎖を有するポリカルボン酸系共重合体のカルボン酸の一部または全部が、下記式[1]で示されるポリオキシアルキレン含有アルコール誘導体によりエステル化されたポリカルボン酸系エステル化共重合体。

    (R

    は窒素原子含有複素環または式[2]で示される基であり、R

    およびR

    は、それぞれ独立して炭素数1〜6の炭化水素基であり、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、n1は前記オキシアルキレン基の平均付加モル数であり、かつ1〜8である。)


    本発明者は、ポリオキシアルキレン鎖を有するポリカルボン酸系共重合体のカルボン酸の一部または全部を、式[1]で示されるポリオキシアルキレン含有アルコール誘導体によりエステル化することによって、暑中でのスランプロスを長期にわたって防止することができ、かつ製造したセメント組成物の粘性を低下させ、セメント組成物の作業性を向上させ得ることを発見した。 特に、ポリカルボン酸系共重合体のカルボン酸基をエステル化するポリオキシアルキレン含有アルコール誘導体(式(1))において、オキシアルキレン基(AO)の平均付加モル数n1を8以下に低減することによって、暑中でのスランプロスが著しく低減されることを見いだした。 しかも、この暑中でのスランプロスの低減効果は、常温(20℃)でのスランプロスの実験結果からは予測困難なものであった。

    本発明のセメント用添加剤は、セメントペースト、セメントグラウト、モルタル、コンクリート等の水硬性セメント組成物に対して用いることができる。 特にセメント分散剤として高性能減水剤や高性能AE減水剤を使用して製造されるコンクリートの練り混ぜ時に添加すると、高流動性を維持しながら、そのスランプロスを防止し、建設現場における作業性及び施工性を高めることができる。
    本発明のセメント用添加剤は、セメントペースト、モルタル、コンクリートなどのセメント配合物の温度が高くても、その練り混ぜ直後の流動性を高めることができ、高い減水性を有し、スランプ保持効果も高く、かつ得られたコンクリートの粘性が低く、作業性に優れることから、レディーミックストコンクリート用の減水剤、高性能AE減水剤、流動化剤として、あるいはコンクリート二次製品製造用の高性能減水剤として有効に使用することができ、土木建築関係の工事における作業性、施工性などの改善をもたらす。
    [A]成分のポリカルボン酸系エステル化共重合体は、ポリオキシアルキレン含有アルコール誘導体と不飽和モノまたは不飽和多価カルボン酸系化合物とを必須成分とするポリカルボン酸系共重合体をエステル化したものである。 このポリカルボン酸系共重合体は、セメント用添加剤として必要な特性を有する限り、特に限定されない。
    本ポリカルボン酸系共重合体としては、以下が特に好ましい。
    (メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸アルキルポリオキシアルキレン化合物共重合体、ポリオキシアルキレン化合物モノアルキルモノアルケニルエーテル−無水マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸アルキルポリオキシアルキレン化合物共重合体、ポリオキシアルキレン化合物モノアルケニルエーテル−マレイン酸共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリルアミドアルキルポリオキシアルキレン化合物共重合体およびこれらの共重合体の塩。 (メタ)アクリルとは、アクリルまたはメタクリルを示す。
    [A]成分では、ポリカルボン酸系共重合体のカルボン酸部位の一部または全部を、式(1)のポリオキシアルキレン含有アルコール誘導体を用いてエステル化する。
    式(1)のポリオキシアルキレン含有アルコール誘導体を用いてエステル化するポリカルボン酸系共重合体のカルボン酸部位の一部とは、共重合体中のカルボン酸部位の少なくとも一部がエステル化されていればよい。 流動性保持性能の観点からは、カルボン酸部位の20%以上の部位がエステル化されていることが好ましい。 カルボン酸部位のエステル化の比率は、式(1)のポリオキシアルキレン含有アルコール誘導体のポリカルボン酸部位に対する仕込みモル比により制御することができる。
    式[1]において、R は窒素原子含有複素環または式[2]で示される基である。
    式[1]において、R で示される窒素原子含有複素環としては、例えば、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、3−ピロリン、ピロリジン、ピリジン、ピリミジン、ピペラジン、ピペリジン、4−ピペリジノピペリジン、4−(1−ピロリジニル)ピペリジン、キナゾリン、キノリン、イソキノリン、カルバゾール等があり、これらは1種または2種以上を混合して用いてもよい。
    式[2]において、R およびR で示される炭素数1〜6の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基等の脂肪族飽和炭化水素基;アリル基、メタリル基等の脂肪族不飽和炭化水素基;シクロヘキシル基等の脂環式飽和炭化水素基;シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の脂環式不飽和炭化水素基;フェニル基、ベンジル基等の芳香族炭化水素基が挙げられ、これらは1種または2種以上を混合して用いてもよい。 R とR とは、同じであってよく、異なっていて良い。
    およびR が炭素数1〜4の炭化水素基であることが特に好ましい。
    式[1]において、AOで示される炭素数2〜4のオキシアルキレン基としては、例えば、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、1,2−オキシブチレン基、オキシテトラメチレン基などを挙げることができる。 好ましくはオキシエチレン基である。 これらは1種または2種以上を用いてもよく、オキシアルキレン基が2種以上の場合、ランダム状またはブロック状に付加していてもよい。
    本発明においては、オキシアルキレン基の平均付加モル数n1を1〜8に限定する。 これによって、セメント組成物の暑中でのスランプロスが大幅に抑制される。 この観点からは、n1は6以下とすることが更に好ましく、5以下とすることが一層好ましく、4以下とすることが特に好ましい。
    [A]成分において、ポリカルボン酸系共重合体のカルボン酸部位の一部または全部を、式[1]で示されるポリオキシアルキレン含有アルコール誘導体でエステル化する際、エステル化触媒を用いてもよい。 このようなエステル化触媒としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物、ナトリウムメトキシド等の塩基性触媒に加え、p−トルエンスルホン酸等の固体酸触媒を用いることができる。
    本発明のセメント用添加剤組成物は、[A]成分の他に、[B]成分を含有させることにより、粘性を一層低減させることができる。
    [B]成分は、式(1)で表されるポリオキシアルキレン含有アルコール誘導体である。
    [A]成分と[B]成分との配合比は、重量比で、[A]成分:[B]成分=95:5〜100:0であり、好ましくは97:3〜100:0である。
    [A]成分を製造する際にあらかじめ過剰の式[1]で示される化合物を添加することによって、[B]成分をセメント用添加剤中に残留させることができる。 あるいは、[A]成分を製造した後に、セメント用添加剤に対して[B]成分を添加することができる。
    本発明のセメント用添加剤組成物には、[A]成分の他に、セメント用添加剤として使用される、ポリオキシアルキレン鎖を有するポリカルボン酸系共重合体である[C]成分を含有させることができる。 これにより、セメント組成物の初期流動性を向上させることができる。
    [C]成分は、ポリオキシアルキレン鎖を有するポリカルボン酸系共重合体であって、ポリオキシアルキレン含有アルコール誘導体によりエステル化されていない共重合体である。
    このポリカルボン酸系共重合体は、ポリオキシアルキレン誘導体と不飽和モノまたは不飽和多価カルボン酸系化合物とを必須成分とする共重合体である。 このポリカルボン酸系共重合体は、セメント用添加剤として必要な特性を有する限り、特に限定されない。 特に好適な共重合体は後述する。
    [C]成分で示されるポリカルボン酸系共重合体は、[A]成分で使用するエステル化前の共重合体と同種のものであるが、一つの添加剤において両者が同一である必要はない。
    [A]成分と[C]成分との配合比は、重量比で、[A]成分:[C]成分=20:80〜100:0であり、好ましくは30:70〜80:20である。
    また、本発明のセメント用添加剤組成物は、[A]成分、[B]成分、[C]成分を含んでいてよい。
    [A]成分と[B]成分と[C]成分との配合比は、重量比で、[A]成分:[B]成分:[C]成分=20:1:79〜100:0:0であり、好ましくは30:1:69〜80:0:20である。
    好適な実施形態においては、[A]成分の原料であるポリカルボン酸共重合体のポリオキシアルキレン部位の分子量と、[A]成分のアミン価とが、[3a]式の関係を満たす。 これにより、初期流動性、および流動性保持剤としての性能をバランスよく発揮できる。
    前記ポリカルボン酸系共重合体のポリオキシアルキレン部位の分子量/[A]成分のアミン価=15〜150・・・[3a]
    本発明の組成物が[A]成分と[B]成分とを含有する場合には、前記ポリカルボン酸系共重合体のポリオキシアルキレン部位の分子量と、[A]成分および[B]成分の混合物のアミン価とが、[3b]式の関係を満たすことが好ましい。
    前記ポリカルボン酸系共重合体のポリオキシアルキレン部位の分子量/[A]成分と[B]成分との混合物のアミン価=15〜150・・・[3b]
    本発明の組成物が[A]成分、[B]成分および[C]成分を含有する場合には、前記ポリカルボン酸系共重合体のポリオキシアルキレン部位の分子量と、[A]成分、[B]成分および[C]成分の混合物のアミン価とが、[3c]式の関係を満たすことが好ましい。
    前記ポリカルボン酸系共重合体のポリオキシアルキレン部位の分子量/[A]成分、[B]成分および[C]成分の混合物のアミン価=15〜150・・・[3c]
    本発明の組成物が[A]成分と[C]成分とを含有する場合には、前記ポリカルボン酸系共重合体のポリオキシアルキレン部位の分子量と、[A]成分および[C]成分の混合物のアミン価とが、[3d]式の関係を満たすことが好ましい。
    前記ポリカルボン酸系共重合体のポリオキシアルキレン部位の分子量/[A]成分と[C]成分との混合物のアミン価=15〜150・・・[3d]
    本発明において、前記ポリカルボン酸系共重合体のポリオキシアルキレン部位の分子量は、[A]成分を製造する際に使用した原料であるポリオキシアルキレン化合物の分子量である。 前記アミン価は、製品全体に占めるアミン基のモル数を、水酸化カリウムmg当量で表したものである。
    前記ポリカルボン酸系共重合体のポリオキシアルキレン部位の分子量/前記アミン価を15以上(特に好ましくは20以上)とすることにより、セメント用添加剤としての減水性を一層向上させることができる。
    前記ポリカルボン酸系共重合体のポリオキシアルキレン部位の分子量/前記アミン価を150以下(特に好ましくは130以下)とすることにより、本添加剤の流動性保持剤としての性能を一層向上させることができ、またセメント組成物の粘性を一層低下させることができる。
    セメント用添加剤組成物に[A][B][C]成分以外の任意成分が含まれている場合には、前記アミン価は、セメント用添加剤組成物から[A]、[B][C]の成分を取り出して測定することにより算出できる。
    セメント用添加剤組成物から成分[A][B][C]を取り出すことが困難な場合には、計算によって求めることができる。
    すなわち、セメント用添加剤組成物中の水分を除いて得られた乾燥物について、NMRおよびゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる分析を行い、各成分の配合比を算出する。 その結果から[A]、[B]および[C]成分の量をそれぞれ算出する。 また、セメント用添加剤組成物(乾燥物)のアミン価を測定する。 そして、以下のようにして前記アミン価を算出する。
    前記アミン価=乾燥物のアミン価×([A][B][C]成分の合計重量)/乾燥物の合計重量 [A]成分または[C]成分を構成している共重合体は、以下のものであることが特に好ましい。
    [A]成分または[C]成分を構成するポリカルボン酸系共重合体が、
    (a) 下記式[4]のポリオキシアルキレン誘導体と、

    (式中、R

    は炭素数2〜8の不飽和炭化水素基であり、R

    は水素原子または炭素数1〜8の飽和炭化水素基であり、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、n2はオキシアルキレン基の平均付加モル数であり、かつ10〜100である。)


    (b)不飽和多価カルボン酸系化合物とを必須単量体としてなる共重合体であることが好ましい。


    ここで、式[4]で示される化合物の単位が1種のみの共重合体とすることができる。 あるいは、R

    、R

    、AO、n2が互いに異なる複数種類の化合物の単位が混在する共重合体とすることができる。


    式[4]において、R

    で示される炭素数2〜8の不飽和炭化水素基としては、ビニル基、アリル基、メタリル基、1−メチル−1−ブテン基、2−メチル−2−プロペン基等の脂肪族不飽和炭化水素基;シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の脂環式不飽和炭化水素基を例示できる。 これらは1種または2種以上を混合して用いてもよい。 特に好ましくはアリル基、メタリル基である。 また、初期流動性を高める目的であれば、メタリル基がより好ましい。


    式[4]において、R

    で示される炭素数1〜8の飽和炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等の脂肪族飽和炭化水素基を例示できる。 これらは1種または2種以上を混合して用いてもよい。 特に好ましくは、R

    が水素原子または炭素数1〜4の飽和炭化水素基である。 R

    として、メチル基、あるいは水素原子が特に好ましい。


    式[4]において、AOで示される炭素数2〜4のオキシアルキレン基としては、例えば、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、1,2−オキシブチレン基、オキシテトラメチレン基などを挙げることができる。 2種以上のオキシアルキレン基がランダム状又はブロック状に付加していてもよい。 オキシアルキレン基の平均付加モル数n2は、10〜100であり、20〜50がより好ましい。 これによって、セメント用添加剤の減水性を一層向上させることができる。


    好適な実施形態においては、AOを構成するオキシアルキレン基のうちオキシエチレン基の占める割合が50モル%以上であり、一層好ましくは80モル%以上である。 これによって、本添加剤の水溶性、減水性が一層向上する。


    不飽和多価カルボン酸系化合物は、ポリオキシアルキレン誘導体と共重合してポリカルボン酸系共重合体を生成可能である限り、限定されない。 特に以下のものが好ましい。


    マレイン酸、イタコン酸、フマル酸等のジカルボン酸系単量体、またはこれらジカルボン酸系単量体の無水物または塩(例えばアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩)等が挙げられる。


    好適な実施形態においては、不飽和多価カルボン酸系化合物がマレイン酸系化合物であり、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸塩、およびこれらの混合物が特に好ましい。


    マレイン酸塩としては、モノリチウム塩、ジリチウム塩、モノナトリウム塩、ジナトリウム塩、モノカリウム塩、ジカリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、ジアンモニウム塩などのアンモニウム塩を例示できる。 これらは1種または2種以上を混合しても良い。


    (a)と(b)とを共重合させる際には、さらに他の共重合可能な単量体の単位を有することができる。 このような単量体としては、例えば、スチレン、アクリル酸、メタクリル酸、アリルスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸ナトリウム、メタリルスルホン酸、酢酸ビニル、酢酸アリルなどを挙げることができる。 これらは1種または2種以上を混合して用いてもよい。 初期流動性を高める目的では、酢酸ビニルを共重合体中に3〜40モル%含有することが特に好ましい。


    本ポリカルボン酸系共重合体においては、(a)と(b)の構成比はモル比で、1:1〜1:3が好ましく、1:1〜1:2がより好ましい。


    本ポリカルボン酸系共重合体の重量平均分子量は、5,000〜50,000が好ましい。


    (a)と(b)との重合反応の重合開始剤としては、ベンゾイルペルオキシド等の過酸化物系開始剤、2,2'アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系重合開始剤、および過硫酸アンモニウム等の過硫酸系開始剤等を使用して重合を行うことができる。 また、必要に応じて、連鎖移動剤を併用して重合を行うこともできる。


    本発明のセメント用添加剤は、普通、早強、中庸熱、ビーライトなどのポルトランドセメントや、これらポルトランドセメントに、高炉スラグ、フライアッシュ、シリカフューム、石灰石などの鉱物微粉体を添加した混合セメントなどの各種セメントの配合物であるセメントペーストに加えて使用する。 また、前記セメントペーストに川砂、山砂、海砂等の細骨材を加えたモルタルに加えて使用する。 更には、前記モルタルに川砂利、砕石、計量骨材等の粗骨材を加えたコンクリートに加えて使用する。


    添加剤の使用方法は、モルタルやコンクリートに使用する水に予め溶解させて使用することができ、また注水と同時に添加して使用することができ、また注水から練り上がりまでの間に添加して使用することができ、また一旦練り上がったセメント組成物に後から添加して使用することもできる。 本発明のセメント用添加剤の使用量は、各種セメントに対して0.01〜2重量%であることが好ましく、0.05〜1重量%であることがより好ましい。 使用量がセメントに対して0.01重量%未満であると、セメント配合物の流動性が不十分となり発明の効果が発揮できないおそれがある。 使用量がセメントに対して2重量%を超えると、材料分離を起こすことや、凝結時間が著しく遅くなるおそれがある。


    本発明のセメント用添加剤は、その効果を損なわない程度で、必要に応じて他のセメント用添加剤と併用することが可能である。


    他のセメント用添加剤としては、例えば、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物の塩、メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物の塩、リグニンスルホン酸の塩、芳香族アミノスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物の塩など他の減水剤、空気連行剤、消泡剤、分離低減剤、凝結遅延剤、凝結促進剤、膨張剤、乾燥収縮低減剤、防錆剤などを挙げることができる。

    以下、実施例を挙げて本発明を説明する。
    表1には、各合成例1〜9に用いた、式[4]で示される化合物の構造式、その他単量体、マレイン酸系化合物および合成例1〜9における共重合組成比を示す。 表1において、各化合物のモル数は全てモル比を表す。

    (合成例1)


    5リットル加圧反応器にメタノール64gと触媒としてナトリウムメトキシド2.0gをとり、系内の空気を窒素ガスで置換したのち、100〜120℃でエチレンオキシド2904gを0.05〜0.5MPa(ゲージ圧)で徐々に圧入して付加反応を行った。 反応終了後50℃まで冷却した。 次に水酸化カリウム112gを加え、系内の空気を窒素ガスで置換したのち、80℃で撹拌しながらアリルクロリド153gを徐々に加えた。 6時間撹拌したあと反応をやめ、塩酸で中和し副生した塩を除いて、表1に示した式[4]のポリオキシアルキレン化合物を得た。


    続いて、かき混ぜ機、温度計、窒素ガス導入管、滴下ロートおよび還流冷却器を装着した3リットルフラスコに、上記で合成した式[4]の化合物1,524g(1モル)、無水マレイン酸107.8g(1.1モル)、およびトルエン300gを秤取った。 窒素ガス雰囲気下、重合開始剤として2,2'−アゾビスイソブチロニトリル13.1gをトルエン262gに溶解させたものを、85±2℃のフラスコ中に3時間で滴下した。 滴下終了後、さらに85±2℃で3時間反応させた。 減圧下にてトルエンを留去させ、共重合体aを得た。 得られた共重合体aの重量平均分子量は20,200、動粘度は100℃で224mm

    /sであった。


    (合成例2)


    合成例1と同様の方法で、表1に示したポリオキシアルキレン化合物を合成し、続いて、かき混ぜ機、温度計、窒素ガス導入管を装着した5リットルフラスコにそのポリオキシアルキレン化合物2052g(1モル)、無水マレイン酸117.6g(1.2モル)を秤取り、50℃以下の温度で開始剤のベンゾイルペルオキシド14.0gを一括で添加して、85±2℃で5時間共重合させ、共重合体bを得た。 共重合体bの重量平均分子量は23,700、動粘度は100℃で527mm

    /sであった。


    (合成例3)


    合成例1と同様の方法で、表1に示したポリオキシアルキレン化合物を合成し、続いて合成例1と同様の反応容器にそのポリオキシアルキレン化合物1024g(2モル)、無水マレイン酸196g(2モル)およびトルエン300gを秤取り、窒素ガス雰囲気下、開始剤としてベンゾイルペルオキシド12.1gをトルエン300gに溶解させたものを滴下して共重合させ、トルエンを留去させ、共重合体cを得た。 共重合体cの重量平均分子量は21,400、動粘度は100℃で254mm

    /sであった。


    (合成例4)


    合成例1と同様の方法で、表1に示したポリオキシアルキレン化合物を合成し、続いて、合成例1と同様の反応容器にそのポリオキシアルキレン化合物1274g(1.0モル)、無水マレイン酸98g(1.0モル)およびトルエン300gを秤取り、開始剤としてtert−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート8.6gをトルエン100gに溶解させたものを滴下して共重合させ、トルエンを留去させ、共重合体dを得た。 共重合体dの重量平均分子量は26,500、動粘度は100℃で198mm

    /sであった。


    (合成例5)


    5リットル加圧反応器にアリルアルコール116gと触媒として水酸化ナトリウム3.0gをとり、系内の空気を窒素ガスで置換したのち、100〜120℃でエチレンオキシド2640gおよびプロピレンオキシド228gを0.05〜0.5MPa(ゲージ圧)で徐々に圧入して付加反応を行った。 反応終了後50℃まで冷却した。 塩酸で中和し副生した塩を除いて表1に示した式[4]のポリオキシアルキレン化合物を得た。


    続いて、かき混ぜ機、温度計、窒素ガス導入管、滴下ロートおよび還流冷却器を装着した3リットルフラスコに、上記で合成した式[4]の化合物1,492g(1モル)、無水マレイン酸147g(1.5モル)、およびイオン交換水410gを秤取った。 窒素ガス雰囲気下、重合開始剤として過硫酸アンモニウム5.8gをイオン交換水164gに溶解させたものを、85±2℃のフラスコ中に3時間で滴下した。 滴下終了後、さらに85±2℃で3時間反応させた。 得られた共重合体eの重量平均分子量は15,600であった。 共重合体eの水溶液を得た後、40%NaOH水溶液150gを加え中和し、共重合体eの60%水溶液を得た。


    (合成例6)


    合成例1と同様の方法で、表1に示したポリオキシアルキレン化合物を合成し、続いて、合成例1と同様の反応容器にそのポリオキシアルキレン化合物1098g(1.0モル)、無水マレイン酸176.4g(1.8モル)およびトルエン1275gを秤取り、開始剤として2,2−アゾビスイソブチロニトリル8.2gをトルエン164gに溶解させて滴下して共重合させ、トルエンを留去させ、共重合体fを得た。 共重合体fの重量平均分子量は19,400、動粘度は100℃で340mm

    /sであった。


    (合成例7)


    合成例1と同様の方法で、表1に示したポリオキシアルキレン化合物1524g(1モル)、無水マレイン酸107.8g(1.1モル)、酢酸ビニル12.9g(0.15モル)およびトルエン300gを秤取り、開始剤としてベンゾイルペルオキシド9.4gをトルエン95gに溶解させて滴下して共重合させ、トルエンを留去させ、目的とする共重合体gを得た。 共重合体gの重量平均分子量は19,900、動粘度は100℃で305mm

    /sであった。


    (合成例8)


    合成例1と同様の方法で、表1に示したポリオキシアルキレン化合物1,524g(1.0モル)、無水マレイン酸127.4g(1.3モル)、酢酸ビニル25.8g(0.3モル)およびトルエン300gを秤取り、開始剤として2,2−アゾビスイソブチロニトリル13.1gをトルエン262gに溶解させて滴下して共重合させ、トルエンを留去させ、目的とする共重合体hを得た。 共重合体hの重量平均分子量は23,400、動粘度は100℃で550mm

    /sであった。 その後、得られた共重合体hをイオン交換水で水溶液とした後、40%NaOH水溶液を加え中和した。


    (合成例9)


    温度計、撹拌機、滴下ロート、ガス導入管および還流冷却器を備えた1リットルフラスコにイソプロピルアルコール(以下、IPAと略す。)390gを仕込み、撹拌下にフラスコ内を窒素置換し、窒素雰囲気中で沸点まで加熱した。 次いでメトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(“NK−エステルM−9G”新中村化学(株)製、エチレンオキシドの平均付加モル数9)133g、メタクリル酸27g、ベンゾイルペルオキシド2.44g及びIPA240gからなる混合物を120分で添加し、添加終了後更に0.49gのベンゾイルペルオキシドをIPA10gに分散させたものを30分毎に2回に分けて添加した。 モノマーの添加完結後、120分間沸点に温度を保持して重合反応を完了させた。 その後水酸化ナトリウム水溶液を加えpHを調整し、IPAを留去して共重合体iの水溶液を得た。


    表2、表3には、合成例10〜21に用いた、[A]成分用の式(1)で表される化合物、ポリカルボン酸系共重合体、および[B]成分の化合物を示す。


    (合成例10)


    かき混ぜ機、温度計、窒素ガス導入管を装着した2リットルフラスコに共重合体aを367gおよび表2の式[1]の化合物23gを秤取り、窒素ガス雰囲気下、100±2℃で8時間反応させ、[A]成分を得た。


    続いて、3リットルビーカーに[A]成分全量、表2の[B]成分10gを秤取り、溶液の凝固点以上の温度で30分撹拌し混合した。


    (合成例11〜21)


    合成例10と同様にして、表2の共重合体と式[1]の化合物をそれぞれ秤取り、窒素ガス雰囲気下、100±2℃で8時間反応させ、[A]成分を得た。


    なお、合成例18、19、20、21で使用した「式[1]で示される化合物」は、それぞれ、N−(2−ヒドロキシエチル)ピペリジン(n1=1)、N−ポリオキシエチレンピロール(n1=2)、N−ポリオキシエチレンピペリジン(n1=3)、2−ポリオキシエチレンピリジン(n1=4)である。


    続いて、[A]成分全量、表2の[B]成分を秤取り、それぞれの溶液の凝固点以上の温度で30分撹拌し混合した。


    表4には、各配合例について、セメント用添加剤に用いた合成例の番号、[C]成分のポリカルボン酸系共重合体の番号、[A]成分を構成するポリカルボン酸系エステル化共重合体のポリオキシアルキレン部位の分子量、[A]成分を主成分とする溶液のアミン価、([A]成分を構成するポリカルボン酸系エステル化共重合体のポリオキシアルキレン部位の分子量/[A]成分を主成分とする溶液のアミン価)の値を示す。


    (アミン価の測定方法)


    試料をビーカーに正しくはかり取り、これに中性エタノール(エチルアルコール(99.5V/V%)を使用直前にブロムクレゾールグリーン指示薬を用いてN/2塩酸標準液で中和したもの。)を加えて溶解させる。 つぎに、ブロムクレゾールグリーン指示薬を数滴加え、N/2塩酸標準液で滴定し、液の緑色が黄色に変わったときを終点とした。 アミン価は下記の式より算出した。


    アミン価 = (28.05×F×A)/W


    ただし、 A:N/2塩酸標準液使用量


    F:N/2塩酸標準液のファクター


    W:試料採取量(g)


    (配合例1)


    かき混ぜ機、温度計、窒素ガス導入管を装着した2リットルフラスコに合成例10で合成したもの400g、および[C]成分である共重合体aを600g秤取り、溶液の凝固点以上の温度で30分撹拌し混合した。 得られた溶液のアミン価は15.9であった。 その後、イオン交換水を加えて60%水溶液を得た。


    (配合例2〜12)


    配合例1と同様にして、合成例11〜21で合成したものと[C]成分である共重合体(共重合体e、h、iは60%水溶液として秤取)を、表4の割合で混合し、それぞれのアミン価を測定した。 得られた溶液のアミン価は表4に示す。 ただし共重合体e、h、iを使用したものについては、水溶液の脱水を行い、アミン価の測定を行った。


    上記の各配合例のセメント用添加剤を使用し、後述するスランプ試験、粘性試験を行った。 実験結果を表5、6、7、8に示す。


    配合例1で得られたセメント用添加剤の溶液をイオン交換水で希釈して、20重量%水溶液に調整し、さらに適宜消泡剤(ディスホームCC−118 日本油脂(株)製)を添加した。 コンクリートの調整は、室温20℃あるいは30℃の試験室において、50リットル強制二軸練りミキサーを用い、セメント[普通ポルトランドセメント]10.9kg、細骨材[大井川産川砂(比重2.60)]26.0kgおよび粗骨材[青梅産砕石(比重2.66)]28.9kgをミキサーにとり15秒空練りを行ったのち、前記セメント用添加剤を20℃の時は164g、30℃の時は153g添加した水道水4.4kgを加えて2分間練り混ぜた。 添加量は、直後のスランプが20±1cmになるように調整した。 練り返し用バットに払い出し、練り上がり直後、30分後、60分後、90分後のスランプの測定を行った。 なお練り上がり直後から90分後までの空気量は4.5±1.0%、また温度は20±2℃、および30±2℃であることを確認した。 得られた結果を表5に示す。 なお、「添加量」は、20%水溶液での添加量である。

    実施例2〜10

    配合例2、3、5〜7、9〜12で得られたセメント用添加剤の溶液を使用し、実施例1と同様の方法で、表5、6、7の添加量によりコンクリート試験を行った。 得られた結果を表5〜7に示す。
    (比較例1〜2)
    配合例4、8で得られた共重合体の溶液を使用し、実施例1と同様の方法で、表5または表6の添加量によりコンクリート試験を行った。 得られた結果を表5、6に示す。
    これらの結果より、実施例1〜10に用いた本発明のセメント用添加剤は、比較例1、2に用いたセメント用添加剤に比べて、高い減水性を有し、高温度でも90分後に所望の流動性が保持されていることがわかる。
    たとえば表5を参照すると、実施例1、2、3では、20℃でのスランプは、60分経過後にピークがあり、90分経過後まで20cm以上を保持している。 比較例1では、30分経過後にピークがあるが、そのピークは小さく、90分経過後にも19.0cmのスランプを示している。 従って、実施例1〜3のセメント用添加剤のスランプロスの改善は、20℃では比較的小さい。 これに対して、30℃では、比較例1のセメント用添加剤を使用すると、直後にスランプのピークがあり、90分経過時までスランプが連続的に低下し、15cm程度に低減している。 これに対して、本発明実施例1、2、3では、30分経過後にピークがあるだけでなく、90分経過後にも19.0cm以上のスランプが維持されている。 従って、30℃での本発明例のスランプロスの抑制作用は、比較例に比べて著しく大きく、しかも常温(20℃)におけるデータからは予見不能なものであった。
    表6においても、上記と同様の結果が得られている。

    次いで、表8に示す各例のセメント用添加剤について、粘性を評価した。

    配合例2で得られたセメント用添加剤を、実施例1と同様の方法で消泡剤を加え調製した。 コンクリートの調整は、室温20℃の試験室において、50リットル強制二軸練りミキサーを用い、セメント[普通ポルトランドセメント]10.9kg、細骨材[君津産荒砂(比重2.50)]25.0kgおよび粗骨材[秋芳産砕石(比重2.71)]29.4kgをミキサーにとり、15秒空練りを行ったのち、前記セメント用添加剤164gを添加した水道水4.4kgを加えて2分間練り混ぜた。 練り返し用バットに払い出し、練り上がり直後のスランプが20±1cm、空気量が4.5±1.0%であることを確認し、その後スコップを使用して下記の項目で3人の平均を算出し粘性を評価した。 結果を表8に示す。
    粘性評価:練り上がったコンクリートをスコップでかきならして下記の該当する項目とした。
    4:粘性が低く、かなり扱いやすい3:粘性が低く、扱いやすい2:粘性が高く、やや扱いにくい1:粘性が高く、かなり扱いにくい (実施例12および13)
    配合例7および9で得られたセメント用添加剤を、実施例11と同様の方法でセメント用添加剤に調製した。 その後、実施例11と同様にしてコンクリートを調製し、その後スコップを使用して粘性を評価した。 結果を表8に示す。
    (比較例3および4)
    配合例4および8で得られたセメント添加剤を、実施例11と同様の方法でセメント添加剤組成物に調製した。 その後、実施例11と同様にしてコンクリートを調製し、その後スコップを使用して粘性を評価した。 結果を表8に示す。
    この結果から分かるように、実施例11〜13で用いた本発明のセメント用添加剤は、比較例3および4に用いたセメント用添加剤に比べて、セメント組成物の粘性を著しく低減させるという作用効果を発揮する。 この結果、セメント組成物の作業性が著しく改善される。
    以上述べたように、本発明によれば、暑中でのスランプロスを長期にわたって防止することができ、かつ製造したコンクリート等の粘性を低下させ、セメント組成物の作業性を向上させ得るようなセメント用添加剤を提供できる。

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