【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、一般的に、金属及び非金属の部品を製造する際に使用することのできるモールド(鋳型)、コア(中子)、マンドレル、又は、他の型の製造に特に有用な、微粒子材料用の熱硬化性の無機結合剤系(無機バインダ系)に関する。 【0002】 【従来の技術】現在、砂の如き凝集体を含む混合物から型を形成する際には、有機及び無機の系が使用されている。 一般的に、凝集体及び結合剤が混合され、その結果生じた混合物を突き固め、吹き込み、又は、装填して、 所望の型を形成し、その後、触媒、共反応物質、及び/ 又は、熱を用いて硬化させて、硬化された固体の状態にする。 【0003】そのような結合剤(バインダ)は、微粒子材料を結合するための多くの用途を有しており、鋳造の分野では頻繁に使用されている。 【0004】鋳造業界で最も受け入れられている結合剤系は、無機の結合剤系である。 鋳造業界で結合剤として使用されている特定の有機系は、ウレタン結合剤である。 そのような系の2つの主要な成分は、ポリヒドロキシ成分、及び、ポリイソシアネート成分である。 これら2つの成分は、凝集体に添加されて硬化される。 「コールドボックス」法においては、気体状のアミン触媒を用いて、ポリヒドロキシ成分とイソシアネート成分との間の反応に触媒作用を与えて、型を形成する。 この方法は、硬化させるために、加熱を全く必要としない(例えば、本明細書に参考として組み込まれる、1994年8 月3日出願の米国特許出願08/285,108を参照のこと)。 別のプロセス、すなわち、「ホットボックス」法においては、凝集体、結合剤及び触媒が混合され、次に、ホットパターンに吹き込みすなわち装填される。 上記パターンから凝集体の混合物への熱伝達によって、硬化が行われる。 有機結合剤の系のタイプに関係無く、品物の型を製造するために使用される有機結合剤は、硬化作用の間に揮発するか、及び/又は、金属の鋳込温度において燃焼する。 そのようなプロセスは、煙、 臭気、及び、望ましくない有害な排出物(排気ガス)を発生し、従って、適用される地方及び国の規則に合致させる必要性が生ずる。 有機結合剤系の他の欠点は、その作用寿命が比較的短いことである。 【0005】有機系の欠点を除去するために、幾つかの鋳造工場は、無機結合剤系を使用している。 広く適用されている有機結合剤の1つのタイプは、ケイ酸ナトリウム(すなわち、水ガラス)の如きケイ酸塩の水溶液である(本明細書に参考として組み込まれている米国特許第4,226,277号を参照のこと)。 ケイ酸塩の結合特性は、一般的には満足すべきものであるが、有機系に比較すると、ケイ酸塩の粘性が高いために、結合剤/凝集体の混合物の流動性が低い。 また、ケイ酸塩は、金属の鋳込温度又は鋳造温度を受けると、融解する傾向があり、これにより、機械的な砂落としによって、鋳造品から融解した型を取り除くことを困難にする。 更に、融解した型は、水溶性を欠き、これにより、水の分散によって除去又は溶解を行うことができない。 【0006】ポリリン酸塩ガラスの水溶液から成る第2 の無機系が、本明細書に参考として組み込まれているW O92/06808に開示されている。 そのような結合剤は、硬化すると、金属鋳造温度を受けた後の凝集体の型の満足すべき強度、優れた再水和作用、並びに、分解を示す。 上記結合剤系の欠点は、耐湿性に乏しいこと、 高温において凝集体の系が軟化するので鉄合金の用途における使用が制限されること、及び、有機結合剤に比較して、適正な強度のために必要とされる結合剤の濃度が比較的高いので、凝集体の流動性が低いことが挙げられる。 【0007】第3の有機系が知られており、この有機系は、米国特許第2,895,838号(この米国特許の開示全体が、本明細書に参考として組み込まれている)その主要な部分が、微細に分割された耐火材であって、そのような耐火材は、少量の乾燥したリン酸塩と混合されており、その後、そのような混合物には、少量の水性のアルカリ金属ケイ酸塩が添加されて、気体硬化性のモールドを形成する。 この組成物は、二酸化炭素の如き気体状の物質と化学的に反応し、二酸化炭素による無機系の硬化の際に形成されるアルカリ金属炭酸塩と上記リン酸塩を反応させることにより、当該組成物を硬化させる。 【0008】ケイ酸塩及びポリリン酸塩の組み合わせを含む他の周知の無機結合剤系が、「リン含有無機ポリマーによる水ガラスの改質(”Modification of Waterg lasswith Phosphorus Containing Inorganic Polyme rs”)」と題する、D.M.Kukuj et al.の報告(その開示全体が、本明細書に参考として組み込まれている) に開示されている。 この結合剤の調製方法は、ケイ酸塩及びポリリン酸塩をオートクレーブの中で高温及び高圧で処理して、無機ポリマーの化学反応を生じさせる工程を含んでいる。 次に、上記結合剤は、砂に被覆され、周囲温度のCO 2を用いて硬化させる。 この作業により、 ほんの低濃度のポリリン酸塩が結合剤の調製に含まれる。 また、Kukuj et al.は、最大強度の系は、僅かに5%のポリリン酸塩改質剤を有しており、その強度は、 結合剤が7%よりも多いポリリン酸塩を含む場合に、劇的に低下することを見い出した。 Kukuj et al.は、また、凝集体に添加する前に、結合剤に少量(約1乃至3 %)のポリリン酸塩を添加すると、結合剤の粘性が劇的に増大することも見い出している。 従って、この系の欠点としては、結合剤の製造に高温及び高圧の処理が必要なこと、高い粘性を有する新しい化合物が形成されること、並びに、結合剤/凝集体の系の流動性が低いことが挙げられる。 また、米国特許第2,895,838号と同様に、二酸化炭素を含む気体と結合剤系とを化学反応させることが、そのような系を硬化させるために必要である。 【0009】適正な条件の下で無機結合剤をゲル化させると、結合特性がもたらされるが、結合剤溶液の中で僅かの物理的及び/又は化学的変化が生じても、凝集体を組み込む前に、予測しないゲル化が生ずることがある。 勿論、そのような意図しないゲル化は、結合剤系の有用性に対して有害であり、本発明の組成物において証明されている。 【0010】本発明者は、ケイ酸塩/リン酸塩の系に関して広範な研究を行い、米国特許第2,895,838号及びKukuj et al.により開示された結果の観点において、予測しない結果を得た。 また、本発明者等は、凝集体を添加する前の無機系のゲル化は、克服できないものではないことを学んだ。 本発明のケイ酸塩/リン酸塩の系に早期のゲル化が生じた場合には、そのようなゲル化の条件は、水溶液が形成される場合には、攪拌を用いることにより、あるいは、pHを上方に調節することにより、解消できることが、本発明者等によって見い出された。 そのような工程を採用することにより、ゲル化した組成物は溶液に戻ることになる。 【0011】 【発明が解決しようとする課題及び課題を解決するための手段】本発明の主要な目的は、当業界で周知の有機及び無機の結合剤系の代用物としての、新規な無機結合剤系を提供することである。 【0012】新規な無機結合剤系、及び、凝集体の系は、流動性を改善する(粘性が低い)し、また、耐湿性を改善すると共に、高温における融解あるいは軟化を改善し、これにより、鉄合金の鋳造プロセスを含む、融解金属と接触する鋳造モールド又はコアとして使用される耐火材及び鋳造砂と共に用いることを可能とする。 また、結合剤の望ましくないゲル化に関連する上記問題も、本発明において回避される。 更に、本発明の結合剤系は、結合剤の濃度が低い場合でも、本発明の結合剤で結合された凝集体の型の熱間及び冷間の引張強度特性を良好にする。 本発明の結合剤系は、ケイ素/ソーダの狭い比、あるいは、ケイ酸塩/リン酸塩の狭い比に限定されるものではなく、広い範囲の割合にわたって有効である。 【0013】リン酸塩は、正リン酸塩、縮合リン酸塩、 又は、これらの混合物とすることができる。 また、リン酸塩は、そのままで形成するか、あるいは、リン酸、及び、例えば、水酸化ナトリウムの如き塩基を添加することにより、例えばケイ酸塩及び/又は凝集体の如き他の成分の存在下で形成するか、若しくは、酸又は塩基を添加することにより、あるリン酸塩を他のリン酸塩に転化することができる。 【0014】本発明の目的は、微粒子材料と混合された時に、満足すべきハンドリング特性及び処理特性を有する使用可能な型を形成するために使用することのできる、無機結合剤系を提供することである。 本発明の別の目的は、微粒子材料と混合された時に使用可能な型を調製するために使用することのできる、ケイ酸塩及びリン酸塩を含む無機結合剤の一連の組成物を提供することである。 本発明の別の目的は、有機化合物を実質的に含まない、無機結合剤の一連の組成物を提供することである。 本発明の別の目的は、粘性が小さく、結合剤組成物の早期のゲル化の溶解を許容する、結合剤の一連の組成物を提供することである。 本発明の他の目的は、例えば、鉄の如き金属の鋳造を行うための、リン酸塩を含む結合剤系を製造することである。 本発明の他の目的は、 非鉄及び非金属の成形を行うための、リン酸塩を含む結合剤系を製造することである。 本発明の別の目的は、溶融金属の鋳造温度を受けた後に、良好な砂落とし性又は水崩壊性を示して、成形型を容易に除去できるようにするための、凝集体の成形型用の結合剤の一連の組成物を製造することである。 本発明の別の目的は、約500℃ よりも低い温度で大幅に変形しないすなわち軟化しない結合剤を製造することである。 本発明の別の目的は、熱硬化性の結合剤組成物を製造することである。 【0015】従って、本発明の追加の目的は、本発明の新規な結合剤系を形成する方法、及び、そのような結合剤系を用いる方法を提供して、従来技術に関連する問題を解消すると共に、鋳物モールド、射出成形モールド、 鋳造モールド、コア、及び、マンドレルを含む、溶融ポリマー及び溶融金属の接触面として適した、有用な硬化された型を形成することである。 本発明の上記及び他の目的は、以下の記載及び実施例を検討することにより、 明らかとなろう。 【0016】 【発明の実施の形態】本発明者等は、ケイ酸塩及びリン酸塩から成る無機結合剤系は、例えば、コア、モールド、マンドレル、パーティクルボード、プラスチック組成物、ブリケットを製造する際に微粒子材料を結合するために、また、熱間及び冷間の引張強度が改善された型を製造するための他の型の結合を行うために、非常に広い用途を有していることを見い出した。 本発明者等は、 無機結合剤系における多数の変数を調節して、製造者が、顧客のニーズに合わせて製品を製造できることを見い出した。 例えば、製造者は、ケイ酸塩及びリン酸塩の相対的な量を容易に調節して、形成される特定の型の性質を変更することができる。 また、製造者は、特定のリン酸塩又はケイ酸塩を選択して使用して、所望の結果を得ることができる。 【0017】実際に、本発明を使用する製造者は、微粒子のモールド及びコアの熱間引張強度及び冷間引張強度に関して相乗作用を示す、結合剤系を製造することができる。 100%のケイ酸塩を含む結合剤ではなく、本発明の結合剤を用いることにより、溶融金属の温度を受けた成形型の機械的な特性、及び、湿式の砂落とし特性を改善することができる。 また、微粒子のモールド及びコアの耐湿性は、本発明の結合剤を用いることにより、全部がリン酸塩である結合剤に比較して、改善することができる。 そのような結果は、米国特許第2,895,83 8号、又は、上記Kukuj et al.の論文に開示される量よりも多い量のリン酸塩が結合剤系に存在している場合でも、得ることができる。 【0018】また、本発明の組成物は、炭酸塩、並びに、そのような炭酸塩を製造するために必要な気体を含む特殊な二酸化炭素を排除する利点を有している。 本発明の硬化されたコア及びモールドも、過剰の水を排除する利点を有している。 これは、過剰の水を含み、二酸化炭素で硬化されるプロセスの硬化された型とは対照的である。 そのような過剰の水は、そのような水を含む型が金属鋳造温度に暴露される場合に、有害である。 そのような水は、鋳造物の品質を低下させ、簡単な形態の硬化される型の使用を制限する。 【0019】 ケイ酸塩本発明の結合剤に使用されるケイ酸塩は、カリウム、ナトリウム、セシウム、ルビジウム及びリチウムを含む、 種々のアルカリ金属のケイ酸塩を含むことができる。 ケイ酸アンモニウムの如き他のケイ酸塩も使用することができる。 一般的に、上述のケイ酸塩は、固体又は水溶液として、商業的に入手可能である。 本明細書の全体を通じて、本発明の結合剤の成分としてのケイ酸塩は、特に明示しない限り、約45重量%の固体含有率を有する特徴を有する、アルカリ水溶液であるのが好ましい。 選択に応じて、固体のケイ酸塩を用いることができる。 【0020】本発明の結合剤に使用される好ましいアルカリ金属のケイ酸塩である水ガラス(すなわち、ケイ酸ナトリウム)は、一般式xSiO 2・yNa 2 Oで特徴づけることができる。 x及びyの比、すなわち、本発明で使用されるケイ酸/アルカリ比は、0.6:1乃至3.8 5:1であり、好ましくは、1.1:1乃至3.22:1 であり、より好ましくは、1.1:1乃至2.58:1である。 アルカリ土類金属、アルミニウム及び同様な金属の如き他の元素が少量、変化する割合で存在することができる。 ケイ酸ナトリウムの含水率すなわち水分は、エンドユーザが望む粘性の如き性質に応じて、変えることができる。 【0021】 リン酸塩本発明の結合剤に使用されるリン酸塩は、正リン酸(オルトリン酸)、及び、メタリン酸の如きリン酸の塩を含む、リンの酸素酸の塩を含む。 使用されるリン酸塩は、 一般的に、アルカリのリン酸塩であり、そのようなアルカリのリン酸塩は、アルカリ金属のリン酸塩、アルカリ土類金属のリン酸塩、並びに、アンモニウムのリン酸塩を含む。 【0022】本明細書及び請求の範囲の記載の全体を通じて、「リン酸塩」という用語は、リン酸ナトリウムガラスの如き、結晶質及び非晶質の無機リン酸塩を含む一般的な意味で用いられている。 また、リン酸塩は、正リン酸塩(オルトリン酸塩)及び縮合リン酸塩を含むことを意図しているが、これらに限定されるものではない。 オルトリン酸塩は、四面体のイオン単量体単位(PO 4 ) 3-を有する化合物である。 代表的なオルトリン酸塩は、 例えば、一ナトリウムリン酸塩、二ナトリウムリン酸塩、又は、三ナトリウムリン酸塩の如きナトリウムのオルトリン酸塩、カリウムのオルトリン酸塩、及び、アンモニウムのオルトリン酸塩を含む。 【0023】縮合リン酸塩(ポリリン酸塩)は、リン原子を2以上含み、そのようなリン原子が互いに結合されていない、化合物である。 しかしながら、対のリン原子の各々は、少なくとも1つの同じ酸素原子に結合されており、例えばP−O−Pの形態を有している。 本件出願の縮合リン酸塩の一般的なクラスは、鎖状ポリリン酸塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、及び、ウルトラリン酸塩を含む。 【0024】メタリン酸塩は、イオン成分((P O 3 ) n ) n-を含む環状構造であって、nは少なくとも3 であり、例えば、(Na n (PO 3 ) n )である。 ピロリン酸塩は、(P 2 O 7 ) 4-のイオンを有しており、例えば、Na n H 4-n (P 2 O 7 )であって、nは、0から4である。 【0025】鎖状ポリリン酸塩は、直線的なP−O−P 鎖を有しており、また、一般式(PO 3 ) n O)のイオン成分を含み、nは、鎖の長さ(鎖長)であって、例えば、H 2 Oの如き鎖ブレーカー(chain breaker)の数に応じて、3から数百程度であり、例えば、500である。 市販のポリリン酸塩は、一般的に、鎖状のポリリン酸塩の混合物を含んでおり、また、メタリン酸塩を含むことが多く、平均鎖長はn avgによって特徴づけられ、 該鎖長の範囲は、少なくとも3以上であり、一般的には、3から約45であり、市場の要求によってのみ45 に限定され、平均鎖長の範囲は、3から32であるのが好ましく、4から21であるのが最も好ましい。 ピロリン酸塩の好ましいカテゴリーすなわち部類は、非晶質の縮合リン酸塩であり、例えば、水溶性のリン酸塩ガラスである。 【0026】上述の教示から、当業者は、上に定義したリン酸塩の混合物を製造することができ、また、水溶性のリン酸塩の中に、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、 アルミニウム、鉄又はホウ素の如き少量(最大10%) の改質剤イオンを入れて、本発明の範囲内のリン酸塩を製造することもできる。 【0027】一般的に、リン酸塩は、酸素の分子比(モル比)に関して、以下の式によって表すことができる。 (xM 1 + yM 2 + zH 2 O):P 2 O 5上式において、M 1は、Li 2 O、Na 2 O、K 2 O、及び、(NH 3 ) 2・(H 2 O)、並びに、これらの混合物から成る群から選択される。 M 2は、選択的なものであって、CaO、MgO、ZnO、FeO、Fe 2 O 3 、Al 2 O 3 、 及び、B 2 O 3から成る群から選択される。 全酸化物の比 R=(x+y+z)/モルP 2 O 5であり、その範囲は、約0.5から3.0あるいはそれ以上であり、例えば、5である。 一般的に、リン酸塩は、下記表Aに示すように、値Rに従って分類される。 【0028】 【0029】リン酸塩は、例えば、凝集体又はケイ酸塩の如き他の成分に直接加えるか、あるいは、他の成分と共にその場で形成することができることを理解する必要がある。 その場で形成する場合には、任意のリン酸の如き酸、又は、アルカリの水酸化物の如き塩基、あるいは、酸化物を用いて、行うことができる。 例えば、リン酸、及び、水酸化ナトリウムを同時に又は順次加えて、 他の結合剤成分と共にその場でリン酸塩を形成することができる。 リン酸塩は、塩基又は酸を添加することにより、その場で他のリン酸塩に転化させることさえできる。 例えば、二ナトリウムリン酸塩は、水酸化ナトリウムを添加することにより、三ナトリウムリン酸塩に転化させることができ、あるいは、リン酸を添加することにより、一ナトリウムリン酸塩に転化させることができる。 【0030】リン酸塩は、固体の状態で、あるいは、水溶液として使用することができる。 そのような水溶液のpHは、酸性又はアルカリ性とすることができる。 縮合リン酸塩に関しては、pHは、そのリン酸塩の鎖長の如きファクタに関係する。 【0031】 微粒子ケイ酸塩/リン酸塩の結合剤組成物を用いて、非水溶性の微粒子材料から成る型を成形することができ、そのような微粒子材料は、例えば、プラスチック、土、木材から構成され、好ましくは、シリカ、ジルコン、アルミナ、クロマイト、シャモット、オリビン、炭化ケイ素、 マグネサイト、ドロマイト、ケイ酸アルミニウム、ムライト、炭素、ホルステライト、クロム鉱マグネサイト、 及び、これらの混合物の如き、耐火材から構成される。 例えば、鋳鉄、黄銅、青銅、アルミニウム及び他の合金並びに金属の製品を鋳造するための、鋳造用の製品を成形するための好ましいモールド、コア又はマンドレルは、上述の砂のいずれからも製造される。 砂のモールド、コア及びマンドレルは、当業者には良く知られている。 【0032】 結合剤(ケイ酸塩成分及びリン酸塩成分か ら構成される)モールド、コア又はマンドレルの如き型を形成するために使用される、特定の結合剤の組成物(ケイ酸塩又はリン酸塩の組成物)の量、及び、結合剤の全量は、強度の要件、並びに、そのような型の砂落とし及び/又は水崩壊性の要件に依存する。 【0033】型を形成するために使用される微粒子材料の重量を基準にした、結合剤の全重量%は、特に断らない限り、複合された結合剤成分の中に存在する固形物の量によって決定される。 本発明においては、微粒子材料の重量を基準にした結合剤の固形物重量%は、0.4− 5.0%であるのが好ましく、より好ましいのは、0.4 −2.5%であり、0.6−1.6%であるのが特に好ましい。 【0034】本発明のケイ酸塩成分及びリン酸塩成分から形成された結合剤の中のケイ酸塩/リン酸塩の比は、 97.5:2.5乃至5:95であり、95:5乃至2 5:75であるのが好ましく、90:10乃至50:5 0であるのが最も好ましい。 39:1乃至31:1、並びに、1:2乃至1:19の範囲内の比も、特に重要な値である。 【0035】ケイ酸塩及びリン酸塩の成分は混合され、 結合剤を凝集体と混合する前に、高温に曝されることはない。 高温とは、約90°Cよりも高い温度を意味する。 結合剤は、周囲温度又は周囲温度付近で混合されるのが好ましい。 【0036】 添加剤特殊な要件に関する特殊な場合に、添加剤が用いられる。 本発明の結合剤系は、種々の添加材料を含むことができる。 そのような材料は、例えば、NaOHの如き、 アルカリ性の水酸化物、水、並びに、種々の有機及び無機の添加剤を含む。 NaOH(例えば、45%−50% の溶液)が、10重量%乃至40重量%(溶液)までの量で、本発明の結合剤の中に存在することができる。 追加の水は、結合剤の0重量%乃至15重量%の量で、存在することができる。 本発明の水性の結合剤は、結合剤の約30重量%から80重量%の量の水を含むのが好ましい。 界面活性剤の如き他の少量の添加剤が存在することができる。 界面活性剤は、アニオン系(陽イオン系)、ノニオン系(非イオン系)、カチオン系(陰イオン系)、両性、あるいは、これらの混合物とすることができる。 水溶性の界面活性剤の例は、有機リン酸塩、有機スルフォン酸塩、並びに、カリウム2-エチルヘキシルリン酸塩の如きリン酸エステルから選択された、アニオン系界面活性剤である。 ある種の界面活性剤も、流動制御剤として作用することができる。 代表的な流動制御剤は、PA 800Kの商品名で販売される試薬を含み、そのような試薬は、LAKELAND LABOR ATORIES Ltd.(英国マンチェスター)から商業的に入手可能なカリウム2−エチルヘキシルリン酸塩として、より完全に定義することができる。 他の流動制御剤は、例えば、Daniel Products(米国ニュージャージー州、Jersey City、400Claremont Avenue) によって販売されているDISPERSE-AYD W2 8の如き、2-エチルヘキシル酸リン酸塩、あるいは、 Allied Colloids(米国バージニア州、Suffolk)によって販売されているポリアクリレートのナトリウム塩である、DISPEXN40Vである。 他の添加剤は、 耐湿添加剤、崩壊性(破壊性)促進剤、防錆剤、染料、 充填剤、熱間強度添加剤、又は、流動性促進剤を含む。 耐湿添加剤は、カリウム四ホウ酸塩、亜鉛炭酸塩、亜鉛酸化物を含む。 崩壊性(破壊性)促進剤は、砂糖(例えば、ショ糖)、デキストリン、及び、おがくずを含む。 更に別の添加剤は、離型剤、接着促進剤(例えば、シラン類)、金属鋳造改善剤(例えば、べんがら、鉄黒、又は、粘土等)を含む。 耐火コーティングを用いて鋳造仕上げを改善することができる。 勿論、上記添加剤は、組み合わせて又は単独で添加することができる。 【0037】 結合剤及び微粒子の混合結合剤を水溶性の微粒子と混合するための手順は、必要であれば、ケイ酸ナトリウムをアルカリで処理することにより、ケイ酸ナトリウムのケイ酸/ナトリウム比を変更する操作を含む。 一般的には、適正なケイ酸/ナトリウム比を有するアルカリ性のケイ酸ナトリウム水溶液が、該溶液をミキサーの中に注入することにより、鋳造凝集体に加えられる。 次に、水性のリン酸塩を添加して混合し、選択に応じて流動剤を添加し、その後、追加の混合を行う。 【0038】あるいは、固体のリン酸塩の成分を微粒子の中に含め、これを最初に水と混合し、次に、これに、 ケイ酸ナトリウムのアルカリ水溶液を添加する。 この成分は十分に混合される。 【0039】更に別の実施例においては、ケイ酸塩及びリン酸塩の成分を一緒に予混合して、水溶液を形成することができ、そのような水溶液は、砂に加える前に、その状態で貯蔵することもできる。 少なくとも幾つかの実施例においては、上記予混合された溶液は、少なくとも凝集体と混合される前は、透き通った(透明な)混合物である。 【0040】更に別の実施例においては、ケイ酸塩、リン酸塩及び凝集体の各成分を乾燥状態で混合し、その状態で貯蔵することができる。 準備する際に、そのような乾燥した混合物に水を加えることができる。 【0041】リン酸塩を別個の成分として準備する代わりに、凝集体又はケイ酸塩と混合する前又は後に、結合剤成分としてリン酸及び塩基を加えることにより、リン酸塩をその場で形成することができる。 また、結合剤の中のリン酸塩は、酸又は塩基を加えることにより、その場で別のリン酸塩に変えることもできる。 【0042】結合剤及び微粒子を混合した後に、そのような混合物をあるパターンの中に装填して、型を形成し、該型を硬化させる。 そのような硬化作業は、一般的には、遊離水を追い出すことにより、上記型を脱水することにより行われる。 上記型は、該型に不活性ガスを吹き込み、該型を真空引きし、及び/又は、加熱することにより、1重量%よりも少ない水分まで乾燥される。 【0043】本明細書及び請求の範囲を通して使用されるように、「モールド」という用語は、鋳造型を意味する一般的な意味であり、そのような鋳造型は、モールド及びコアの両方を含み、本発明は、どのような場合でも、モールドに限定されるものではない。 また、「モールド」は、鋳造モールド及び射出成形モールド、並びに、2又はそれ以上の薄肉のシェルモールド要素を組み立てることにより準備される完全なシェルモールド構造に加えて、シェルモールド形成要素を含むシェルモールドを含む、鋳造技術に用いられる種々のパターン(型) を含むものである。 従って、「モールド」という用語は、成形面又は鋳造面を含む広い意味で用いられており、特に、モールド、コア及びマンドレルを含む。 【0044】本発明は、以下の非限定的な例を参照して、更に説明することができる。 【0045】 加熱ボックス空気支援型のプロセス 一般的な手順 SiO 2 /Na 2 Oの比が3.22であるケイ酸ナトリウムの水溶液(すなわち、OXYCHEMから「グレード4 2(Grade 42)」の名称で販売されていて商業的に入手可能なもの(38.3%の固形物含有率を有する))、及び/又は、平均鎖長が21のポリリン酸塩水溶液を含み、ケイ酸塩及び/又はリン酸塩が、表1に示すように存在している、結合剤を以下のように砂に加えた。 【0046】3000グラムのWEDRON 530ケイ砂をHobart の混合ボウルの中に入れた。 適量(表1 参照)のケイ酸ナトリウム及び/又はポリリン酸ナトリウムの水溶液(砂を基準にして、全固形物結合剤濃度が1.57%)を別個の凹所に入れた。 ミキサーを始動して、2分間にわたって混合を継続した。 結合剤成分が均一に混合するように注意を払った。 次に、被覆されたすなわちコーティングされた砂を、85psi の圧力で1秒間にわたって、3つのキャビィティを有するドッグボーン型のコアボックスの中に吹き込んだ。 上記コアボックスは、RedfordCartridge Bench Core Blower(Re dford Iron and Equipment Company, Detroit, M I)を用いて、105℃±5℃に保たれた。 120℃± 5℃の空気を、30psi で60秒間にわたって、コアボックスに吹き込むことにより、硬化を行った。 上述の方法を用いて、別のセットのドッグボーンをそれぞれ同じ砂の混合物から形成し、熱間引張強度(表1)、冷間引張強度(表2)、925℃で15分間処理した後に得られる強度(表6)、及び、925℃で15分間処理した後に水によって軟化する時間(表7)の平均値を決定するテストを行った。 表1の例No.は、表2、表6及び表7に関しても用いなければならない。 各表に示す値は、 一般に、少なくとも3つの測定値の平均である。 【0047】 例 1 (比較) この例は、3.22のSiO 2 /Na 2 O比を有するケイ酸ナトリウム水溶液(すなわち、名称「Grade 42(3 8.3%の固形物含有率を有する)」として販売され、 OXYCHEMから商業的に入手可能なもの)を用いる上述の手順を用いた。 【0048】 例 2−9上述の手順を繰り返したが、リン酸塩に対するケイ酸塩の重量比は、下の表1の第1行に示すように変化させた。 【0049】 例 10 (比較) 100%のリン酸塩結合剤(下の表1のケイ酸塩対リン酸塩の重量比のデータの右端の列を参照)を用いて、上述の一般的な手順を繰り返した。 【0050】 例 12−19、22−29及び32−3 9例2の手順を繰り返したが、総ての場合において、2. 58のSiO 2 /Na 2 O比を有する商業的に入手可能なケイ酸ナトリウムを用いており、例12−19に関しては、32の平均鎖長を有するポリリン酸塩を用い、また、例22−29に関しては、21の平均鎖長を用い、 更に、例32−39に関しては、7の平均鎖長を用いた。 例12から始まる総ての例は、45重量%のケイ酸塩溶液、及び、45重量%のリン酸塩溶液で行った。 【0051】 例の対 11、20;21、30及び3 1、40 (比較) 表1のケイ酸塩対リン酸塩の重量比のデータの左端及び右端の列に示す比較例を準備し、第1の場合(すなわち、例11、21及び31)には、SiO 2 /Na 2 O比が2.58である100%のケイ酸ナトリウムを含み、また、第2の場合(すなわち、例20、30及び40)には、平均鎖長がそれぞれ32、21及び7である100 %のポリリン酸塩を含んでいた。 【0052】 例 42−49、52−59及び62−6 9これらの例は、例2と同様に準備されたが、2.00のSiO 2 /Na 2 O比を有するケイ酸塩(商業的に入手可能である)を用い、また、ポリリン酸塩の平均鎖長が、3 2、21、7と変化する点が異なっている。 【0053】 例の対 41、50;51、60及び6 1、70 (比較) 表1のケイ酸塩対リン酸塩の重量比のデータの左端及び右端の列に示す比較例が準備され、第1の場合(すなわち、例41、51及び61の場合)においては、2.0 0のSiO 2 /Na 2 O比を有する100%のケイ酸ナトリウムを含んでおり、第2の場合(すなわち、例50、6 0及び70の場合)においては、32、21及び7の平均鎖長を有する100%のポリリン酸塩を含んでいる。 【0054】 例 72−79、82−89及び92−9 9これらの例は、上述の例2で述べたのと同様に得たものであるが、1.60のSiO 2 /Na 2 O比を有するケイ酸ナトリウムを用いた点、及び、ポリリン酸塩の平均鎖長を表1に示すように変化させた点が異なっている。 1. 60のSiO 2 /Na 2 O比を有するケイ酸塩は、商業的に入手可能ではないが、45%NaOH 22.06グラムを2.58のSiO 2 /Na 2 O比を有する水性ケイ酸ナトリウム100グラムに加えることによって、製造することができる。 【0055】 例の対 71、80;81、90及び9 1、100 (比較) 表1のケイ酸塩対リン酸塩の重量比のデータの左端及び右端の列に示す比較例が準備され、第1の場合(例7 1、81及び91)には、1.60のSiO 2 /Na 2 O比を有する100%のケイ酸ナトリウムを含んでおり、また、第2の場合(例80、90及び100)には、3 2、21及び7の平均鎖長を有する100%のポリリン酸塩を含んでいた。 【0056】 例 102−109、112−119及び 123−130これらの例を得るための手順は、上述の例2に述べたのと同様に繰り返されたが、商業的に入手可能ではない1.30のSiO 2 /Na 2 O比を有するケイ酸塩を用いた点が異なっている。 しかしながら、そのようなケイ酸塩は、45%NaOH 35.49グラムを2.58のSiO 2 /Na 2 O比を有する水性のケイ酸ナトリウム100グラムに加えることにより、製造することができる。 【0057】 例の対 101、110;111、120 及び121、130 (比較) 表2のケイ酸塩対リン酸塩の重量比のデータの左端及び右端の列に示す比較例が準備され、第1の場合(例10 1、111及び121)においては、1.30のSiO 2 /Na 2 O比を有する100%のケイ酸ナトリウムを含んでおり、また、第2の場合(例110、120及び13 0)においては、32、21及び7の平均鎖長を有する100%のリン酸塩を含んでいた。 【0058】 例 132−139、142−149及び 152−159これらの例を得るための手順は、上述の例2に述べた手順と同様に繰り返したが、1.00のSiO 2 /Na 2 O比を有する商業的に入手可能ではないケイ酸塩を用いた点が異なっている。 しかしながら、そのようなケイ酸塩は、45%NaOH 56.95グラムを2.58のSiO 2 /Na 2 O比を有する水性のケイ酸ナトリウム100グラムに加えることにより、製造することができる。 【0059】 例の対 131、140;141、150 及び151、160表1のケイ酸塩対リン酸塩の重量比のデータの左端及び右端の列に示す比較例が準備され、第1の場合(例13 1、141及び151)には、1.00のSiO 2 /Na 2 O比を有する100%のケイ酸ナトリウムを含んでおり、第2の場合(例140、150及び160)には、 32、21及び7の平均鎖長を有する100%のリン酸塩を含んでいた。 【0060】 【表1】 【0061】表1、2、6、7、15、16、17及び18に関して、以下の通りの認識を持つ必要がある。 a. ケイ酸ナトリウムは、固体分(固形物含有率)が3 8.3%の溶液として、商業的に入手可能である。 使用した結合剤濃度は、同じ固体濃度が他の実験で使用されるように、調節した。 b. このSiO 2 /Na 2 O比を有するケイ酸ナトリウム液体は、商業的に入手可能ではない。 しかしながら、Si O 2 /Na 2 O比は、45%NaOHを適正量だけ2.58 の比を有するケイ酸塩に加えることにより、調節した。 c. 2つの実験の平均を記入した。 d. この実験条件においては、ドッグボーンを形成することは困難であった。 幾つかの場合においては、ドッグボーンは、満足に形成されなかった。 コアボックスを開くと、ドッグボーンは破損した。 しかしながら、そのような条件で結合剤が硬化した証拠はある。 【0062】注1:表1、2、6、7、及び、15−1 8にブランク(空欄)がある場合には、そのような空欄は、実験が行われなかったことを示している。 従って、 ドッグボーンは製造されていない。 例えば、例72は、 仮想的な例であって、ドッグボーンは製造されていない。 注2:総ての表及び他の箇所に示すNDとは、「決定されていない」ことを意味する。 【0063】 熱間及び冷間の引張強度硬化作業の後に、コアボックスを開放して、ドッグボーンを取り除いた。 直後の(熱間)引張強度を決定するために、1つのドッグボーンを用いた(上の表1)。 総ての引張強度の測定は、Electronic Tensile Tester Model ZGII-XS(Thwing-Albert Instrument Company:Philadelphia,PA)で行った。 本明細書及び請求の範囲の全体を通じて使用される「熱間」引張強度とは、そのパターンから「離型」された状態における、型の強度を意味し、また、「冷間」引張強度とは、 型がそのパターンから離型されてから30分後の強度を意味する。 熱間及び冷間の引張強度特性は、商業的な結合剤系を開発する際に重要である。 上述の結合剤によって形成されるコア及びモールドは、コア及びモールドの製造及びハンドリングの間に取り扱うのに十分な強度を有することが必須である。 表1に示すように、ケイ酸ナトリウム及びリン酸ナトリウムから成る結合剤を、10 0%のケイ酸ナトリウムを含む結合剤、あるいは、10 0%のリン酸塩を含む結合剤と組み合わせることにより、熱間引張強度の相乗的な結果が得られる。 そのような結果は、ケイ酸ナトリウム結合剤のSiO 2 /Na 2 O比を調節することにより、リン酸塩成分の平均鎖長を変えることにより、あるいは、ケイ酸塩成分/リン酸塩成分の重量比を変えることにより、表1に示すように処理することができる。 表に示すように、これら一連の非限定的な例における最大熱間強度は、例33及び34に関してそれぞれ得られており、これらの例においては、2. 58のSiO 2 /Na 2 O比を有するケイ酸ナトリウム成分と、7の平均鎖長を有するポリリン酸塩成分とを用いており、ケイ酸ナトリウムの結合剤成分対ポリリン酸塩の結合剤成分の重量比は、83.3:16.7(例33)、 及び、75:25(例34)である。 一般的に、本発明の複合結合剤系の任意のケイ酸ナトリウムに関しては、 熱間引張強度に対するポリリン酸ナトリウムの影響は、 同じケイ酸塩濃度において比較すると、比較的小さかった。 これは、2.58及び2.00のケイ酸塩を用いた一連の実験に最も良く示されている。 【0064】反対に、結合剤系の良好な熱間強度を得るためには、ケイ酸ナトリウムは重要である。 2.58の比のケイ酸塩を有する複合結合剤が、全体的に最も高い熱間強度を有するように思われるが、2.58の比のケイ酸塩の熱間強度に近い熱間強度をもたらす、3.22 及び2.00の比のケイ酸塩を有する幾つかの結合剤系が存在する。 【0065】低い比のケイ酸塩(<2.0)にポリリン酸ナトリウムを添加すると、表1に示す幾つかの例のドッグボーンを調製することが可能であることに注意する必要がある。 【0066】残りの2つのドッグボーンを用いて、冷間引張強度(表2)及びドッグボーン重量を決定した。 冷間引張強度及びドッグボーン重量は、ドッグボーンを3 0分間冷却した後に、測定した。 ドッグボーン重量を比較すると(表には示していない)、結合剤/凝集体系の流動性の良好な目安が得られる。 重いドッグボーンは、 良好な流動性を示す。 一般的に、ケイ酸塩100%の結合剤から調製されたドッグボーンは、ケイ酸塩/リン酸塩の複合結合剤で調製されたドッグボーンよりも軽い。 これらの結果は、本発明の複合結合剤で被覆された凝集体すなわち微粒子材料は、改善された流動特性を有することを示している。 【0067】表2に示すように、ケイ酸ナトリウム及びポリリン酸塩から成る複合結合剤(特に、例43、4 4、52、53、54及び64)を、100%のケイ酸塩を含む結合剤、あるいは、100%のリン酸塩を含む結合剤に対して用いると、相乗的な冷間引張強度が得られる。 そのような結果は、表2に示すように、ケイ酸ナトリウム液体成分のSiO 2 /Na 2 O比を調節することにより、ポリリン酸塩成分の鎖長を変化させることにより、あるいは、ケイ酸塩成分/ポリリン酸塩成分の重量比を変化させることにより、更に処理することができる。 【0068】一般的に、表2も、2.58及び2.00のSiO 2 /Na 2 O比を有するケイ酸ナトリウムで製造したドッグボーンは、全体的に最も高い冷間強度を示し、良好な冷間引張強度を有するケイ酸塩対ポリリン酸塩の比の範囲が極めて広い。 低い比のケイ酸塩(<2.0)に関しては、ポリリン酸塩を添加することにより、表2に示すドッグボーンを調製することが可能となることを指摘するのが重要である。 【0069】 【表2】 【0070】 種々のリン酸塩を使用する効果結合剤のリン酸塩成分は、上述のように、種々のリン酸塩から準備すなわち調製することができる。 一般的に、 リン酸塩は、平均鎖長nを有しており、nは、その鎖の中のリン酸基の平均数である。 表3に示すように、リン酸鎖(n=1,3,3,4及び21)を含む結合剤成分を用いて、ドッグボーンを形成した。 【0071】大部分の例においては、リン酸塩を水に溶解して、45重量%の溶液を作成した。 45%の溶液を作成することができない場合には、リン酸塩の飽和溶液を作成し、固体分すなわち固形物の差に見合うような調節を行う。 トリポリリン酸ナトリウムは、水中で極めて不溶性であることが観察された。 僅か14重量%の溶液を作成した。 ケイ酸塩対リン酸塩の比を表3の他の結合剤と一致させるために、追加のトリポリリン酸ナトリウム溶液を結合剤に加えた。 【0072】結合剤成分を砂と混合して、3ドッグボーン型のコアボックスに装填し、水を排除することにより、硬化させた。 表3の上部に記載する種々のリン酸塩化合物を用いて、本発明の複合結合剤を含むドッグボーンが満足すべき程度に製造された。 【0073】 【表3】 【0074】表3に関して、以下の事柄を認識する必要がある。 a. ケイ酸ナトリウムは、2.58のSiO 2 /Na 2 O重量比を有している。 BOSは、砂の重量を基準とした重量として定義される。 b. リン酸塩を水中に溶解して、45重量%の溶液を作成した。 45重量%の溶液を作成することができない場合には、リン酸塩の飽和溶液を作成し、固体分の差に見合うような調節を行う。 c. 2つのテストの平均である。 d. トリポリリン酸ナトリウムは、水中での可溶性すなわち溶解度が高くない。 僅か14重量%の溶液しか作成できなかった。 ケイ酸塩/リン酸塩の比を維持するために、追加の水を結合剤に入れた。 硬化作業の間に水を完全に除去するために、長い硬化時間(90秒)を用いた。 e. VITRAFOSは、Rhoene-Poulenc Basic C hemicals Co.(Shelton,CT)から入手可能な、ポリリン酸ナトリウムである。 f. BUDIT9は、Cometals, Inc.(New York, NY)から入手可能な、ポリリン酸ナトリウムである。 【0075】 ケイ酸塩及びリン酸塩を混合する際のゲル 化上述のように、溶液の中でほんの僅かの物理的及び/又は化学的な変化が生じても、上述の無機物系に予期しないゲル化が生ずることがある。 凝集体すなわち微粒子に添加する前に、無機ポリマーが早期のすなわち望ましくないゲル化を起こすと、結合剤系の有用性に有害である。 【0076】本発明の結合剤系のゲル化の傾向(性向) を検討するために、実験を行った。 ケイ酸ナトリウム、 及び、リン酸塩を種々の比率で混合した。 ケイ酸塩及びリン酸塩が混合される際の観察を行った。 その結果を表4に示す。 【0077】 【表4】 【0078】いずれの場合においても、ケイ酸ナトリウム(比2.00及び2.58)、及び、ポリリン酸塩(平均鎖長=7、21及び32)を混合すると、これらの材料が互いに接触するので、ゲルが形成された。 【0079】比が2.58のケイ酸ナトリウム成分が全混合物の30重量%よりも多い割合を占める混合物に関しては、ゲルは、攪拌により溶解した(すなわち、透明な溶液を得た)。 通常、ゲルは、1時間よりも短い時間で溶解した。 ゲルが溶解する際には、通常、少量のけばのある微粒子が溶液の中に観察された。 【0080】比が2.58のケイ酸ナトリウムを30重量%あるいはそれ以下の割合で含む混合物に関しては、 ゲルは、長時間(48時間)にわたる攪拌による影響を受けなかった。 反対に、比が2.00のケイ酸ナトリウムに関しては、30重量%のケイ酸ナトリウム及び70 重量%のポリリン酸塩を複合する際に形成されたゲルは、攪拌により溶解し、よりアルカリ性のケイ酸塩の液体の中で、ゲルはより高い溶解度を有することを示した。 【0081】他の重要な観察は、水、アルカリ水酸化物、及び/又は、水酸化アンモニウムを添加すると、ゲルは容易に溶解するということである。 水及び/又は水酸化ナトリウムの添加によるゲルの溶解が、表5に示されている。 【0082】 【表5】 【0083】a. ゲルは、75重量%のケイ酸ナトリウム(ケイ酸/ソーダ比が2.58)、及び、25重量% のVITRAFOS(45%溶液)を組み合わせることにより、形成された。 【0084】表5に示すように、水酸化ナトリウム溶液は、ケイ酸塩及びポリリン酸塩から成る複合結合剤を形成することにより発生するゲルを溶解する際に、極めて効果的であった。 勿論、KOH、NH 4 OH、LiOH等の如き他のアルカリを用いることもできる。 ゲルを溶解させる際には、水単独でも効果的であるが、そのようなゲルを溶解させるためには、大量の水が必要とされる。 【0085】 流動性本発明の複合結合剤は、表5Aの物理的性質に示すように、粘性が減少している。 粘性が減少した結合剤を凝集体と混合すると、混合物に対して改善された流動性を与えることになる。 これは、複雑な形状のモールドの中への流動を許容する。 必要であれば、流動性促進剤及び/ 又は流動制御剤を添加することにより、流動性を更に向上させることができる。 表5Aにおいて、BORは、樹脂重量基準の重量を表している。 【0086】 【0087】a. ケイ酸塩対ソーダの重量比は、2.5 8である。 b. リン酸塩成分は、45%溶液であり、リン酸塩は、 21の鎖長を有するVITRAFOSである。 c. ケイ酸対ソーダの比は、2.0である。 【0088】 砂落としケイ酸ナトリウム結合剤の主要な欠点は、熱間及び冷間の機械的な砂落とし性(シェークアウト特性)すなわち崩壊性が劣ることである。 鋳造プロセスの間に、コア及びモールドの温度が700℃よりも高い温度に達すると、ケイ酸ナトリウムは、熱的に変態してガラス質のマトリックスになり、これにより、機械的な砂落としが困難になる。 機械的な砂落としは、一般的に、コアと結合している鋳造金属に振動又は衝撃を与えることにより、 実行される。 実際に、機械的な砂落としが困難であれば、鋳造金属に応力を生じさせることがある。 そのような場合には、鋳造物を処理すなわちアニーリングして、 その金属の性質を回復させる必要がある。 【0089】ケイ酸塩100%の結合剤の崩壊性も困難であり、その理由は、モールド又はコアが溶融金属の温度に暴露されることにより形成されたガラス質のケイ酸塩マトリックスが不溶性であるからである。 本発明においては、水の如き流体を用いてコアを崩壊させて、耐火物の砂を洗い流し、そのような砂を再生して再使用することができる。 【0090】リン酸塩単独でも、鋳造温度に暴露された後に、熱間及び冷間の機械的な砂落とし性が劣る。 表6 のデータは、本発明の複合結合剤を用いて製造され、マッフル炉の中で15分間にわたって925℃の温度を受けたドッグボーンは、単一の100%の(ケイ酸塩10 0%又はリン酸塩100%の)結合剤成分で製造されたドッグボーンの砂落とし性よりも、かなり良好な崩壊性及び砂落とし性(Thwing Albert テスタでテストした場合に引張強度が小さい)を有することを示している。 勿論、機械的な砂落とし性が良好になれば、金属鋳造物に対する損傷を与える危険性が低下することになる。 上述の観点から、鋳造金属、特に鉄鋳造物の製造には、本発明の結合剤が推奨される。 【0091】 【表6】 【0092】表7は、凝集体を回収するために水を用いた時の、本発明の結合剤系の軟化、従って再生特性を示している。 表7に示される結果は、複合結合剤の多くは、ケイ酸ナトリウム、及び、ポリリン酸塩単独の結合剤を有する系よりも、水によってより容易に分散させることができることを示唆している。 【0093】 【表7】 【0094】水酸化ナトリウム以外の水酸化物を用いて、ケイ酸ナトリウムを改質することができる。 下の表8は、水酸化カリウム及び水酸化アンモニウムを本発明に用いることができることを示している。 そのような水酸化物の混合物も用いることができる。 【0095】 【表8】 【0096】上述の一連の実験に用いられた複合結合剤は、2.58のSiO 2 /Na 2 O重量比を有するケイ酸塩と、21の平均鎖長を有するVITRAFOSポリリン酸塩とから構成されている。 これらの砂のテストにおいて、結合剤濃度は、3.5重量%BOS、又は、1.57 5重量%固体分BOSであった。 ケイ酸塩対リン酸塩の重量比は、3:1であった。 【0097】本発明の結合剤系においては、ケイ酸ナトリウムをケイ酸カリウムで置き換えることができる。 また、ケイ酸カリウムは、結合剤系の第1の成分として、 ケイ酸ナトリウムと共に用いることができる。 下の表9 は、そのような場合を示している。 【0098】 【表9】 【0099】上述の実験で使用されたケイ酸カリウムは、PQ Corp.(Philadelphia,PA)から入手可能な、KASIL#6である。 ケイ酸塩は、2.1のSiO 2 /Na 2 O比を有している。 2.58のSiO 2 /Na 2 O 重量比を有するケイ酸ナトリウムを用いた。 【0100】 高温における複合結合剤の軟化 100%のポリリン酸ナトリウムの水性結合剤系で調製された試験片は、250℃付近の温度まで加熱されると、軟化する傾向を有している。 コア及び/又はモールドが、金属鋳込みプロセスで生ずる高温において軟化すると、深刻な鋳造欠陥が生ずることになる。 本発明の複合結合剤系を用いた場合に、500℃で軟化が生ずるか否かを判定するための比較テストを行った。 500℃における軟化を以下の手順で測定した。 最初に、ドッグボーンの両端部を支持し、その中間点に200グラムの重りを吊り下げた。 次に、装置を500℃のオーブンに入れた。 ドッグボーンが破断した時間を記録した。 その結果を表10に示す。 【0101】 【表10】 【0102】a. ここで用いたケイ酸ナトリウムはSB 41であり、ケイ酸/ソーダ比は2.65である。 b. BUDIT 4、7、8、および9は、Cometals, Inc.(New York,NY)から入手可能な、種々の鎖長を有するポリリン酸塩である。 c. ALUSIL ETは、ケイ酸アルミニウムナトリウムであり、熱間強度添加剤として用いられている。 d. PA 800Kは、2-エチルヘキシルリン酸カリウムであり、流動剤として使用されており、Lakeland L aboratories Ltd.(英国マンチェスター)から入手可能である。 e. SB41およびショ糖の混合物。 f. 使用したポリリン酸塩の45重量%溶液。 g. 使用したポリリン酸塩の粉末。 【0103】総てのリン酸塩系は、試験片を500℃のオーブンに入れた時に、急激(21秒)に破断した。 実際に、500℃までの温度で、複合結合剤の軟化は観察されなかった。 総てのケイ酸ナトリウム結合剤も、50 0℃までの温度で、軟化しなかった。 【0104】 複合結合剤の用途ケイ酸ナトリウムの結合剤、及び、リン酸塩の結合剤から成る複合体を応用できる方法は、たくさんある。 1つの結合剤系が好ましい。 ケイ酸塩及びリン酸塩を共に含む製品を顧客に供給することは、鋳造作業のハンドリング及び鋳造の要件を簡単にする。 しかしながら、これは、液体、又は、液体中の固体、あるいは、2つの固体の混合物としてのリン酸塩を予め混合することを必要とする。 【0105】あるいは、2成分系を使用することが可能である。 ケイ酸塩及びリン酸塩を液体成分として別個に供給することが可能である。 また、多成分の結合剤系を、別個の成分としての、液体ケイ酸ナトリウム、固体ポリリン酸塩、及び、水(又は、水酸化物)で形成することができる。 これら個々の成分を鋳造砂に同時に加えて、硬化可能な砂混合物を形成することができる。 選択された成分の態様を評価したデータを表11に示す。 【0106】 【表11】 【0107】a. SiO 2対Na 2 Oの重量比は2.58である。 【0108】表11のデータは、複合結合剤系を応用する総ての方法は、満足に使用できることを示している。 【0109】 複合結合剤のエージング上述のように、使用を容易にするためには、1つの結合剤系が好ましい。 1つの結合剤は、40℃で急速エージングを行うことにより、調製される。 次に、エージングを受けた結合剤は、凝集体と混合され、ドッグボーンを準備するために使用される。 その結果が、表12に示されている。 【0110】 【表12】 【0111】a. 複合結合剤は、3部のSB41と、1 部の50%NaOHと、1部の水と、3部のBUDIT 7(45重量%溶液)とを含んでいた。 4%の結合剤をCONGLETON 60砂に被覆した。 b. コアボックスを120℃とし、140℃乃至150 ℃の空気を60秒間吹き付けることにより、硬化を実行した。 c. 表10に示すように、500℃で破断する時間を測定した。 【0112】複合結合剤で製造したコアの熱間強度及び軟化特性は、28日間にわたって大きな変化を示さず、 1つの結合剤成分は、28日間乃至35日間では、40 ℃において十分なエージングを行わないことを示唆している。 【0113】 他のケイ酸塩の使用大きな比(比が3.85)のケイ酸ナトリウム及びケイ酸リチウムを複合結合剤において評価した。 これらのケイ酸塩は、Crosfield Chemicals(英国Warrington) から入手可能である。 幾つかの組成物を作成してテストした。 その結果を表13に示す。 【0114】 【表13】 【0115】a. このケイ酸ナトリウム「CRYSTA L52」は、Crosfield Chemicals(英国Warringto n)から入手可能である。 b. ケイ酸リチウム「CRYSTAL L40」は、、 Crosfield Chemicals(英国Warrington)から入手可能であり、SiO 2 /Li 2 O=8.8である。 c. このケイ酸ナトリウム「SB41」は、Crosfield Chemicals(英国Warrington)から入手可能である。 d. 粉末。 【0116】表13のデータは、比が3.85のケイ酸ナトリウム、及び、ケイ酸リチウムをケイ酸塩として上手く用いることができることを示している。 性能において大きな差は見られなかった。 【0117】 複合結合剤に対する砂の効果幾つかの鋳造結合剤は、砂のタイプに対して非常に敏感であり、許容できない砂を用いた場合には、みじめな失敗を生ずることがある。 引張強度に対する砂のタイプの効果を判定するために、多数の砂を用いて以下のテストを行った。 そのデータが、表14に示されている。 【0118】 【表14】 【0119】a. 砂のテストの手順:結合剤を砂に加えて、KENWOOD CHEF ミキサーで2分間混合した。 吹き込み機械を用いて、コーティングされた砂を、 120℃のドッグボーン・コアボックスに吹き込み、暖かい(140−150℃)のパージ空気(圧力50ps i、流量5リットル/秒)で60秒間にわたって硬化させた。 RIDSDALE Universal Sand Strength machine を用いて、引張強度を測定した。 b. American Foundryman's Scociety の細粒度数。 【0120】表14のデータは、本発明の複合結合剤は、シリカ、ジルコン、クロマイト及びオリビンを含む広範囲の砂と共に用いることができることを示している。 【0121】 加熱ボックスプロセス上述の加熱ボックス−空気支援プロセスに関して行った実験と同様に、これらのテストは、複合結合剤の有用性の範囲を判定するためのものであるが、そのような有用性の範囲を決定するものではない。 加熱ボックスプロセスに関する一般的な砂テストの手順は、以下の通りである。 これらの実験で使用した結合剤は、特に断らない限り、45.0±5%の固形物を含んでいる。 WEDRO N530ケイ砂 3000グラムをHobart 混合ボウルに入れた。 砂には、2つの凹所が形成された。 適正量(砂の重量基準で、全結合剤濃度が3.5%)のケイ酸ナトリウム及びリン酸ナトリウム(表15参照)を別々の凹所に入れた。 ミキサーを始動して、混合作業を2分間にわたって継続した。 結合剤成分が均一に混合するように注意を払った。 次に、被覆されたすなわちコーティングされた砂を85psi の空気圧で1秒間にわたって、 3ドッグボーン型のコアボックスの中に吹き込んだ。 コアボックスは、Redford Cartridge Bench Core Bl ower (RedfordIron and Equipment Company;Detro it,MI)を用いて、218℃に維持されていた。 【0122】60秒後に、コアボックスを開放して、ドッグボーンを取り出した。 1つのドッグボーンは、直後の(熱間)引張強度を決定するために使用した。 残りの2つのドッグボーンは、ドッグボーンの重量、及び、冷間強度をテストするために使用した。 冷間強度は、ドッグボーンを30分間冷却した後に、測定した。 少なくとも3つの測定値の平均を記録した。 耐湿性の検査、保持引張強度、及び、金属鋳込み温度(925℃)に暴露された後の水による軟化を測定するために、別のドッグボーンを準備した。 【0123】下の表15は、複合結合剤の組成物に関する熱間引張強度の変動を示している。 【0124】 【表15】 【0125】注:表15乃至18の脚注に関しては、表1を参照のこと。 【0126】この実験条件においては、3.22、2.5 8及び2.00の比を有するケイ酸ナトリウムを含む総てのケイ酸ナトリウム系は、ドッグボーンを形成するに十分な強度を有するように硬化された。 リン酸ナトリウムを添加すると、複合結合剤系に関して、より大きな熱間強度が得られた。 【0127】表16の冷間引張強度は、2.58及び2. 00のSiO 2 /Na 2 O比で製造されたドッグボーンは、 全体的に最も大きな得化強度を有していることを示している。 これらの結果は、表2に示す結果と一致する。 他の比のケイ酸塩を用いると、冷間引張強度は若干低下した。 しかしながら、他の比を有する複合結合剤で製造したモールドは、一般的な鋳造を行うには、十分な強度を有している。 【0128】より小さい比を有するケイ酸ナトリウムに関しては、ケイ酸ナトリウム単独では、ドッグボーンを形成することができなかった。 リン酸塩を添加すると、 ドッグボーンの形成を許容し、その強度データは、そのような結合剤系は、鋳造の用途に関して実際的であることを示唆している。 【0129】 【表16】 【0130】下の表17は、マッフル炉の中で925℃ に15分間暴露された後の複合結合剤の保持引張強度を示している。 【0131】 【表17】 【0132】表17のデータは、本発明の結合剤系は、 ケイ酸塩100%の結合剤に比較して、より好ましい機械的な砂落とし性を有していることを示唆している。 このデータは、表6のデータと一致する。 【0133】下の表18は、水を用いた場合の、本発明の結合剤系の軟化特性、従って、再生特性を示している。 このデータは、表7のデータと一致している。 【0134】 【表18】 【0135】この結果は、複合結合剤の多くは、その可溶性を維持しており、ケイ酸ナトリウムの結合剤を単独で含む系に比較して、水によってより容易に溶出することができることを示唆している。 高濃度(>90%)のケイ酸塩を含む複合結合剤で製造されたドッグボーンは、水による軟化に対してより大きく抵抗する。 上述のように、これは、高温に暴露された間にガラス質のケイ酸塩が形成されることに起因するものと思われる。 複合結合剤が迅速に軟化するということは、砂に消費された結合剤が容易に除去されることを意味する。 そのような結果は、砂の再利用において有利であることも意味する。 湿式の砂落とし及び砂の再利用の改善は、明らかに、複合結合剤の他の利点である。 そのような結果は、 表7に示す結果と一致する。 【0136】2.58の比を有するケイ酸ナトリウムが75重量%で、VITRAFOSのリン酸ナトリウム(45重量%溶液)が25重量%である複合結合剤成分を用いて、種々の結合剤濃度の効果を観察した。 その結果を表19に示す。 【0137】 【表19】 【0138】予想したように、結果は、結合剤濃度が高いと、引っ張り特性及び引っかき硬さ特性が向上することを示している。 しかしながら、検討した結合剤の濃度範囲の中では、925℃に暴露した後の複合結合剤は、 保持する引張強度が非常に小さく、水によって非常に迅速に軟化することができる。 【0139】硬化条件も検討した。 この場合にも、比が2.58のケイ酸ナトリウムが75重量%で、VITR AFOSのリン酸ナトリウム(45重量%溶液)が25 重量%である複合結合剤組成物を用いて、硬化作用に関する種々のボックス温度及び滞留時間を評価した。 高湿度で貯蔵した後に、引張強度(熱間及び冷間)、引っ掻き硬度、及び、保持強度を監視した。 その結果を表20 に示す。 【0140】 【表20】 【0141】表20のデータは、引張強度は、ボックス温度が高くなるに連れて、また、滞留時間が長くなるに連れて、概ね増大することを示している。 177℃及び218℃のボックス温度に関しては、滞留時間は、冷間引張強度に大きな影響を与えなかった。 【0142】非常に興味のある1つの事柄は、高湿度に暴露した後の保持強度である。 より高いボックス温度、 及び、より長い滞留時間で硬化作業を行うと、硬化されたドッグボーンは、湿度の影響を受けにくくなる。 【0143】上述の手順で説明したように、加熱ボックスプロセスにおいては、エアパージを用いない。 複合結合剤系は、硬化プロセスの間に大量の水蒸気を発生するので、これら一連の実験においては、硬化作用に対する硬化を判定するための硬化サイクルの間に、エアパージ(水蒸気をより効果的に除去するための)を行った。 そのデータを表21に示す。 【0144】 【表21】 【0145】1. 結合剤は、比が2.58のケイ酸ナトリウムを75重量%、及び、VITRAFOS(45重量%溶液)を25重量%含んでいる。 全結合剤濃度は、 砂の重量を基準として、3.5%である。 Wedron Sili ca Co.(イリノイ州Wedron)から入手可能なWEDR ON530シリカサンドを用いた。 2. 周囲空気をコアボックスに30psiで導入した。 【0146】周囲空気を用いた短時間のエアパージによって、冷間引張強度の改善が観察された。 しかしながら、熱間引張強度及び引っ掻き硬度は、殆ど影響を受けなかった。 【0147】エアパージの代わりに、型の前後で真空引きを行って、型の乾燥を支援することができる。 【0148】複合結合剤の中にホウ酸イオンを加えることによる効果を検討した。 四ホウ酸カリウム四水化物を水に溶解して、10重量%の溶液を作成した。 水中における四ホウ酸カリウムの溶解度には限界がある。 この溶液は、結合剤成分を加える際に、砂に加えられた。 その結果生じた砂混合物を評価した。 その結果を表22に示す。 【0149】 【表22】 【0150】1. 四ホウ酸カリウム四水化物を用いて、 10重量%の溶液を調製した。 この溶液は、結合剤組成物が添加されたときに砂混合物に添加された。 硬化は、 型内のコーティングされた砂を218℃で60秒間加熱することによって行われた。 【0151】表22のデータは、四ホウ酸カリウムを添加すると、冷間引張強度が低下することを示している。 しかしながら、より重要なことは、四ホウ酸カリウムを含む系は、湿度に対する耐久性(すなわち、耐湿性)が高いことである。 機械的な砂落とし性(乾式及び湿式) は、四ホウ酸塩の添加によって影響を受けないという点は、重要である。 【0152】上述の総てのデータから、本発明によれば、鋳物用の無機モールド、並びに、射出成形、ポリマーの鋳造、コンクリートの鋳造等を含む、型成形、鋳造及び成形製品の分野に用いられる無機モールドの特性を改善するための、結合剤及び方法が提供されたことは明らかである。 本発明のモールドは、モールドの表面が、 モールド及び品物の剥離を阻害するアンダーカット又は他の形状を有している場合に、優れている。 本発明のモールド及びコアの改善された崩壊性は、品物の剥離が問題となる場合には常に、その使用を促進する。 【0153】本発明の特定の実施例に関して、また、本明細書に記載する表を参照して、本発明を説明したが、 当業者は、上述の記載から、種々の代替例、変更例及び変形例を考えることができることは明らかである。 例えば、本発明の方法は、型成形された凝集体を乾燥して型を硬化させることを必要とする。 乾燥と言う表現は、加熱、及び、暖かい空気によるエアパージを含んでいる。 真空乾燥も用いることができる。 しかしながら、本明細書においては、空気を不活性ガスとして考えたが、窒素、アルゴン等の如き他の不活性ガス、あるいは、不活性ガスの混合物で空気を置き換えることができる。 空気又は他の不活性ガスの温度は、乾燥が行われ、90℃あるいはそれ以上の温度で適正な結果が得られるような温度である。 不活性ガスは、単独で用いて乾燥を行わせることができ、あるいは、加熱ボックスの実施例と組み合わせて用いることができる。 幾つかの状況においては、 暖かい空気又は他の不活性ガスではなく、周囲条件(大気条件)の空気又は他の不活性ガスを用いることができる。 他の実施例においては、真空を単独又は組み合わせて用いて、乾燥を促進させることができる。 従って、本発明は、請求の範囲に記載する本発明の原理及び範囲の範疇に入る、そのような総ての代替例、変更例及び変形例を含む。 ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (71)出願人 596174400 180 East Broad Stree t,Columbus,Ohio 43215, United States of Am erica (72)発明者 ロバート・エル・マニング アメリカ合衆国イリノイ州60067,オー ク・パーク,ワシントン・アベニュー 720 (72)発明者 クウォク−ツェン・ツェ アメリカ合衆国イリノイ州60402,バーウ ィン,リッジランド・アベニュー 1531 |