寸法の安定したジオポリマー組成物および方法

申请号 JP2015509035 申请日 2013-04-19 公开(公告)号 JP6283659B2 公开(公告)日 2018-02-21
申请人 ユナイテッド・ステイツ・ジプサム・カンパニー; 发明人 アシッシュ・デュービー;
摘要
权利要求

アルミノケイ酸塩ジオポリマー組成物であって、 、 アルカリ金属クエン酸塩、アルカリ金属ケイ酸塩、アルカリ金属水酸化物およびそれらの混合物からなる群より選択される化学活性化剤、および セメント質反応性材料の反応生成物を含み 前記セメント質反応性材料は、 熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物、 スルホアルミン酸カルシウムセメント、および、 硫酸カルシウム二水和物、硫酸カルシウム半水和物、無水硫酸カルシウム、およびそれらの混合物からなる群より選択される硫酸カルシウム、を含み、 前記化学活性化剤対前記セメント質反応性材料の重量比は1〜6:100であり、かつ 前記セメント質反応性材料は、 前記熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物を33〜97重量%、 前記スルホアルミン酸カルシウムセメントを1〜40重量%、 前記硫酸カルシウムを1〜40重量%含み、 前記硫酸カルシウムは、1〜100マイクロメートルの中心粒子径を有することを特徴とするアルミノケイ酸塩ジオポリマー組成物。前記組成物に水を加えることによって、反応生成物として生成され、 前記水対前記セメント質反応性材料の重量比は、0.17〜0.40:1であり、 前記スルホアルミン酸カルシウムセメント対前記熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物の重量比は、2.5〜100:100であり、かつ 前記硫酸カルシウム対前記スルホアルミン酸カルシウムセメントの重量比は、10〜100:100であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。前記化学活性化剤は、クエン酸アルカリ金属塩を含み、かつ前記熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物が、該熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物100部当たり75〜100部のC級フライアッシュを含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。前記硫酸カルシウムが、硫酸カルシウム半水和物を含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。前記熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物および前記スルホアルミン酸カルシウムセメントの量に対する前記化学活性化剤および前記硫酸カルシウムの量は、前記反応生成物が、水と混合してから45〜130分で凝結終了するのに有効であり、かつ 前記セメント質反応性材料は硫酸カルシウム二水和物を含有し、 該硫酸カルシウム二水和物対前記スルホアルミン酸カルシウムセメントの重量比は20〜60:100であり、 前記セメント質反応性材料および前記化学活性化剤はクエン酸アルカリ金属塩を含み、該クエン酸アルカリ金属塩対前記セメント質反応性材料の重量比は2〜3:100であり、かつ 前記硫酸カルシウム二水和物は、平均粒子径が1〜30マイクロメートルであることを特徴とする請求項1に記載の組成物。前記セメント質反応性材料は、前記無水硫酸カルシウムを含有し、 前記無水硫酸カルシウム対前記スルホアルミン酸カルシウムセメントの重量比は、10〜60:100であり、かつ 前記組成物は、凝結終了時間が30〜60分であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。前記セメント質反応性材料が、アルミン酸カルシウムセメントまたはスルホアルミン酸カルシウムセメントから成ることを特徴とする請求項1に記載の組成物。前記セメント質反応性材料は、 前記スルホアルミン酸カルシウムセメントを4%〜35重量%、 前記硫酸カルシウムを2%〜15重量% 含み、かつ 前記化学活性化剤対前記セメント質反応性材料の重量比は、1.25〜4:100であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。前記反応生成物は、水スラリー中での発熱反応から生じたものであり、前記熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物の量に対する、前記スルホアルミン酸カルシウムセメント、前記硫酸カルシウム、および前記化学活性化剤の量は、スラリー温度の最大上昇を10℃(50°F)までに抑えるのに有効であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。前記組成物は、ポルトランドセメントが存在しないことを特徴とする請求項1に記載の組成物。前記組成物は、 さらに炭酸リチウムを含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。前記セメント質反応性材料は、 C級フライアッシュを含む熱活性化鉱物を60〜85重量%、 スルホアルミン酸カルシウムセメントを8〜30重量%、 硫酸カルシウムを4.0重量%〜15重量%を含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。C級フライアッシュ、スルホアルミン酸セメントおよび硫酸カルシウムを含む熱活性化アルミノ珪酸塩鉱物を含む材料の混合物である反応性粉末成分Aと、アルカリ金属化学活性化剤またはそれらの混合物であり、水が混合された活性化剤成分Bとを、 前記反応性粉末成分A、活性化剤成分Bおよび水が混合物中に存在してから最初の1分間の温度が0℃〜50℃であり、 前記アルミノ珪酸塩鉱物、アルカリ金属化学活性化剤を一緒に、スルホアルミン酸セメント、および硫酸カルシウムに反応させることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載のアルミノケイ酸塩ジオポリマー組成物を調製する方法。水を混合することにより、アルミノケイ酸塩ジオポリマー組成物を形成する混合物であって、 該混合物は、 熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物、 スルホアルミン酸カルシウムセメント、及び 硫酸カルシウム二水和物、硫酸カルシウム半水和物、無水硫酸カルシウム、およびそれらからなる群より選択される硫酸カルシウムを含むセメント質反応性材料と、 アルカリ金属クエン酸塩、アルカリ金属ケイ酸塩、アルカリ金属水酸化物およびそれらからなる群より選択される化学活性化剤とからなり、 前記混合物中における前記化学活性化剤対前記セメント質反応性材料の重量比は、1〜6:100であり、 前記セメント質反応性材料中における前記スルホアルミン酸カルシウムセメント対前記熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物の重量比は、1〜100:100であり、かつ、 前記硫酸カルシウム対前記スルホアルミン酸カルシウムセメントの重量比は、2〜100:100であり、 前記セメント質反応性材料は、C級フライアッシュを含む前記熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物を33〜97重量%、 前記スルホアルミン酸カルシウムセメントを1〜40重量%、 前記硫酸カルシウムを1〜40重量%を含み、 前記硫酸カルシウムが、1〜100マイクロメートルの範囲の中心粒子径を有することを特徴とする混合物。アルミノケイ酸塩ジオポリマー組成物を形成する請求項1に記載のセメント質反応性材料であって、 化学活性化剤の構成成分は、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、及びこれらの混合物からなる群より選択され、そして、 熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物は、該熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物100部に対し75〜100部のC級フライアッシュを含むことを特徴とするセメント質反応性材料。

说明书全文

本発明は、概して、多彩な用途に利用できる、アルミノケイ酸系ジオポリマー含有セメント質組成物に関する。詳細には、本発明は、概して、凝結時間、発熱時の寸法安定性、養生の際の材料の全体的な収縮の減少、および他の望ましい性質に関して、望ましい性質を提供するそのようなセメント質組成物に関する。

Koの米国特許第6,572,698号は、アルミノケイ酸塩類、硫酸カルシウム、およびアルカリ金属塩含有活性化剤を含有する、活性化アルミノケイ酸塩結合剤を開示する。アルミノケイ酸塩類は、高炉スラグ、粘土、泥灰土、および産業副産物(フライアッシュなど)からなる群より選択されるもので、Al2O3含量が5重量%より高い。高炉スラグは、35重量%未満の量で存在し、セメントキルンダスト(CKD)が、活性化剤として、1〜20重量%の量でこの混合物に添加される。

Galerらの米国特許第4,488,909号は、ポルトランドセメント、アルミナセメント、硫酸カルシウム、および石灰を含むセメント質組成物を記載する。このセメント質組成物は、ポルトランドセメント、アルミナセメント、硫酸カルシウム、および石灰を含む。ポゾラン(フライアッシュ、モンモリロナイト粘土、珪藻土、および軽石粉など)を、上限約25%まで添加することができる。このセメント組成物は、アルミナセメントを約14〜21重量%含む。

Perez−Penaらの米国特許第6,869,474号は、セメント系製品(セメントボードなど)製造用のセメント質組成物を記載する。この組成物は、硬性セメント(ポルトランドセメントなど)にアルカノールアミンを添加し、初期スラリー温度を最低でも90°F(32℃)にする条件下で、水を加えてスラリーを形成させることにより、得られる。アルミナセメント、硫酸カルシウム、およびポゾラン材料(フライアッシュなど)などの追加の反応性材料を含めることができる。

Perez−Penaらの米国特許第7,670,427号は、セメント系製品(セメントボードなど)製造用のセメント質組成物の極度に速い凝結を、若材齢での圧縮強度と合わせて述べており、この組成物は、アルカノールアミンおよびリン酸塩を水硬性セメント(ポルトランドセメントなど)に添加し、初期スラリー温度を最低でも90°F(32℃)にする条件下で、水を加えてスラリーを形成させることにより、得られる。アルミナセメント、硫酸カルシウム、およびポゾラン材料(フライアッシュなど)などの追加の反応性材料を含めることができる。

Perez−Penaの米国特許出願公開第2010−0071597号は、コンクリート混合物を形成するための、フライアッシュおよびクエン酸アルカリ金属塩(クエン酸ナトリウムなど)を用いた配合物を記載する。水硬性セメントおよび石膏を、この配合物の上限25重量%まで用いることができるが、それらの使用は望ましくない。この出願に記載される活性化フライアッシュ結合剤は、空気連行に用いられる従来の発泡系と相互作用することが可能であり、それにより軽量ボードを作ることができる。

Brookらの米国特許第5,536,310号は、水硬性セメント(ポルトランドセメントなど)を10〜30重量部(pbw)、フライアッシュを50〜80pbw、カルボン酸(クエン酸など)またはそのアルカリ金属塩(例えば、クエン酸トリカリウム、またはクエン酸トリナトリウムなど)を遊離酸として表して0.5〜8.0pbw含有し、合わせて他の従来添加物(ホウ酸またはホウ砂などの、凝結遅延添加剤など)を含有するセメント質組成物を開示する。

Dubeyの米国特許第6,641,658号は、ポルトランドセメントを35〜90%、ポゾランを0〜55%、アルミナセメントを5〜15%、および従来の溶解性石膏粉/石膏の代わりに不溶性無水物の形態の硫酸カルシウムを1〜8%含有することで、ポゾラン(例えば、フライアッシュ)の使用量が多いにもかかわらず熱放出が増加し凝結時間が短くなった、ポルトランドセメント系セメント質組成物を開示する。このセメント質組成物は、軽量骨材およびフィラー、流動化剤、ならびにクエン酸ナトリウムなどの添加剤を含むことができる。

Nakashimaらの米国特許第7618490号は、スルホアルミン酸カルシウム、アルミノケイ酸カルシウム、水酸化カルシウム、フッ素源、およびポルトランドセメントコンクリートのうち1種または複数を含む、急結吹き付け材料を開示する。硫酸カルシウムは、無水物を添加しても、半水和物を添加してもよい。

Nakanoらの米国特許第4655979号は、ケイ酸カルシウム系セメント、アルカリ金属凝結遅延剤、スルホアルミン酸カルシウム(CSA)セメント、および任意選択の、コンクリート組成物に添加可能な硫酸カルシウムを用いて、気泡コンクリートを製造するプロセスを開示する。

Godfreyらの米国特許出願公開第2008/0134943号は、少なくとも1種のアルカリ土類スルホアルミン酸塩、および硫酸カルシウム、ならびに任意選択の無機フィラー(高炉スラグなど)、粉末燃料アッシュ、微粉シリカ、石灰石、ならびに有機および無機の流動化剤で構成される廃棄物封入材料を開示する。好ましくは、少なくとも1種のアルカリ土類金属スルホアルミン酸塩は、スルホアルミン酸カルシウム(CSA)を含む。適切な組成物は、例えば、少なくとも1種のアルカリ土類金属スルホアルミン酸塩を、石膏および粉末燃料アッシュ(PFA)と組み合わせて含むことができ、組成物中、石膏粒子の約86%は、粒子径が76um未満であり、PFA粒子のおよそ88%は、粒子径が45umである。1つの例は、75%の(70:30のCSA:CaSO4・2H2O);25%の粉末燃料アッシュからなり;水/固形分比は0.65である。

Liらの米国特許6730162号は、二元セメント質組成物を開示し、この組成物に含まれる第一の水硬性結合剤は、C4A3S(化学表記中、C=CaO、S=SiO2、A=Al2O3(言い換えると、スルホアルミン酸カルシウム)である)を2.5%〜95重量%ならびに硫酸カルシウムの半水和物および/または無水物を2.5〜95重量%含有する。スルホアルミナセメントまたはフェロアルミナセメントは、C4A3Sを含有するセメントの例である。この組成物は、スラグ、フライアッシュ、ポゾラン、シリカスート、石灰石(細粒)、石灰産業副産物、および廃石からなる群より選択される鉱物フィラー添加剤も含むことができる。

Dengらの中国特許出願公開第101921548号は、90〜95重量%のスルホアルミン酸塩クリンカー、ならびに無水石膏、石英砂、廃棄物焼却で生じたフライアッシュ、ヒドロキシプロピルメチルセルロースエーテル、再分散可能な接着剤粉末、および繊維でできた、スルホアルミン酸塩セメント組成物を開示する。このスルホアルミン酸塩クリンカーおよび無水石膏は、スルホアルミン酸塩セメントの基準、すなわちGB20472−2006を満たす。

Jungらの韓国特許出願公開第549958号は、アルミナセメント、CSA、石膏、クエン酸カルシウム、およびヒドロキシルカルボン酸からなる組成物を開示する。

Nohの韓国特許出願公開第2009085451号は、粉末高炉スラグ、石膏、およびCSAからなる組成物を開示する。この石膏は、平均粒子径が4ミクロン以下であってもよい。

韓国特許出願公開第2009025683号は、コンクリートおよびモルタルに使用される粉末型防水材料を開示し、この材料は、セメント、無水石膏、シリカ粉末、防水粉末、フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウム型膨張材料、および無機結合剤を粉砕することで得られる。

Gyuらの韓国特許出願公開第2010129104号は、吹き付けコンクリートブレンド用組成物を開示し、この組成物は、以下を含む(重量%単位):メタカオリン(5〜20)、スルホアルミン酸カルシウム(5〜20)、無水石膏(20〜45)、およびフライアッシュ(30〜50)。

建築構造、セメント成形品、および他の用途(セメント構造体、セメント構造要素、およびセメント成形品など)にセメント質材料を使用するのに有益である、養生後の収縮の減少、初期および最終の温度挙動の改善、凝結時間の制御および/または最適化、強度および他の性質の改善をもたらすジオポリマー組成物を含有する寸法の安定したセメント質材料、ならびにそのような材料の調製法ならびにそのような構造体、要素、および製品の形成法が必要とされている。

本発明は、改善されたジオポリマーセメント質組成物、およびそのような組成物の作成方法を提供し、本組成物は、以下のような非常に望ましい性質を少なくとも1つ、多くの場合は、複数有する:養生中および養生後の顕著に改善された寸法安定性;改善された、および修飾可能な、凝結開始時間および終了時間;長くなった作業可能時間;混合中、凝結中、および養生中の発熱の修飾;ならびに本明細書中記載されるとおりの改善された性質。そのような実施形態の、全てでないにしても多くの場合において、性質の改善は、若材齢での圧縮強度、最終圧縮強度、または他の強度に関する性質の損失を(もしあったとしても)顕著にもたらすことなく、提供される。実際、実施形態によっては、若材齢での圧縮強度および最終圧縮強度の驚くほどの向上をもたらす。

本発明のこれらおよび他の実施形態が有する改善された性質は、これまでのジオポリマー結合剤(フライアッシュ系結合剤など)、ならびにジオポリマーを顕著な量で含有する可能性のある他のセメント質結合剤に勝る明確な利点を提供する。いくつかの好適な実施形態において、本発明のジオポリマーセメント質組成物は、少なくとも水および1種または複数の乾燥型または粉末型セメント質反応性成分からなる溶液あるいはスラリーから形成される。セメント質反応性成分は、熱活性化ジオポリマーアルミノケイ酸塩材料(フライアッシュなど);スルホアルミン酸カルシウムセメント;および硫酸カルシウムを、有効量で含む。1種または複数のアルカリ金属化学活性化剤(クエン酸アルカリ金属塩、またはアルカリ金属塩基など)も、乾燥型で反応性粉末に添加するか、液状でスラリーに添加するかのいずれかで、溶液に添加することができる。任意選択で、スラリーまたは溶液は、他の添加剤、例えば、高性能減水剤、凝結促進剤または遅延剤、空気連行剤、発泡剤、湿潤剤、軽量骨材または他の骨材、補強材、あるいはスラリーおよび最終製品に性質を提供する、またはそれらの性質を修飾する他の添加剤を、組み込むことができる。

本発明の多くの好適な組成物において、セメント質反応性成分は、その乾燥または粉末型において、全てのセメント質反応性成分の合計乾燥重量に基づいて、約65〜約97重量%の熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物(フライアッシュなど)、約2〜約30重量%のスルホアルミン酸カルシウムセメント、および約0.2〜約15重量%の硫酸カルシウムを含む。本発明の好適な組成物において、セメント質反応性成分は、熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物100重量部に対して、スルホアルミン酸カルシウムセメントを約1〜約200重量部含む。乾燥重量は、無水基準であるという一般に受け入れられた定義を有する。

他の実施形態において、2種またはそれより多い種類からなるスルホアルミン酸カルシウムセメントとアルミン酸カルシウムセメントのブレンドを用いることができ、スルホアルミン酸カルシウムセメントおよびアルミン酸カルシウムセメントの量および種類は、それらの化学組成および粒子径(ブレーン粉末度)に依存して変化し得る。そのような実施形態および他の実施形態において、スルホアルミン酸カルシウムセメントのブレーン粉末度は、好ましくは約3000超、より好ましくは約4000超、さらにより好ましくは5000超、特に好ましくは約6000超である。

いくつかの好適な実施形態において、アルカリ金属化学活性化剤の量は、セメント質反応性材料の合計乾燥重量に基づいて、約0.5重量%〜約10重量%である。より好ましくは、アルカリ金属化学活性化剤の範囲は、セメント質反応性材料の合計重量の約1%〜約6%、好ましくは約1.25%〜約4%、より好ましくは約1.5%〜約3.5%、特に好ましくは約1.5%〜2.5%である。クエン酸ナトリウムおよびクエン酸カリウムは好適なアルカリ金属酸活性化剤であるが、クエン酸ナトリウムとクエン酸カリウムのブレンドも使用できる。アルカリ金属塩基(アルカリ金属水酸化物など)およびアルカリ金属ケイ酸塩も、用途およびその用途の必要に応じて使用できる。

本発明のこれらおよび他の好適な実施形態は、これまでのフライアッシュジオポリマー組成物とは異なり、拘束状態下および非拘束状態下の両方で、凝結および硬化の際に、寸法が安定しておりかつ亀裂耐性があるジオポリマーセメント質組成物を提供するように配合される。例えば、本発明のある好適な実施形態の短期自由収縮は、典型的には約0.3%未満、好ましくは約0.2%未満、より好ましくは約0.1%未満、特に好ましくは約0.05%未満である(混合してから1〜4時間以内の初期凝結後に測定して)。そのような好適な実施形態において、養生中の組成物の長期収縮も、典型的には約0.3%未満、より好ましくは約0.2%未満、特に好ましくは約0.1%未満である。

これらの実施形態において寸法安定性および収縮をさらに制御する場合、スルホアルミン酸カルシウムセメントの量は、熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物100重量部に対して約2.5〜約100重量部、より好ましくは熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物100重量部に対して約2.5〜約50重量部、特に好ましくは熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物100重量部に対して約5〜約30重量部である。材料の収縮により示されるとおりの寸法安定性の制御が重要である実施形態については、アルカリ金属活性化剤の量は、より好ましくはセメント質反応性材料(すなわち、熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物(フライアッシュなど)、スルホアルミン酸カルシウムセメント、および硫酸カルシウムなど)の合計乾燥重量の約1〜約3%、さらにより好ましくはセメント質反応性材料の合計乾燥重量の約1.25%〜約2.75%、特に好ましくはセメント質反応性材料の合計乾燥重量の約1.5%〜約2.5%の範囲である。

本発明の好適な実施形態における寸法の安定したジオポリマー組成物は、これまでのジオポリマーセメント質製品と比べて、組成物の養生中の最大温度上昇が驚くほど低下していることを、さらに証明する。このことおよびこれに関連する理由から、これらの実施形態は、熱亀裂に対して予期せぬ度合いで耐性がある。例えば、いくつかの好適な実施形態において、温度上昇は、典型的には、約50oF(28℃)未満、より好ましくは約40oF(22℃)未満、特に好ましくは約30oF(17℃)未満である。

本発明のこれらおよび他の好適な実施形態は、予期せぬ速度の若材齢での強度発現も示す。例えば、そのような実施形態のいくつかにおいて、組成物の材齢4時間での圧縮強度は、約1000psi(6.9MPa)を超える可能性があり、好ましくは約1500psi(10.3MPa)超、特に好ましくは約2500psi(17.2MPa)超の可能性がある。そのような実施形態において、組成物の材齢24時間での圧縮強度発現は、約1500psi(10.3MPa)を超える可能性があり、より好ましくは約2500psi(17.2MPa)超、特に好ましくは約3500psi(24.1MPa)超の可能性がある。これらおよび他の好適な実施形態において、材齢28日での圧縮強度はさらに、約3500psi(24.1MPa)を超える可能性があり、より好ましくは約4500psi(31.0MPa)超、特に好ましくは約5500psi(37.9MPa)超の可能性がある。さらに他の実施形態において、組成物は、1〜4時間後に約500psi(3.5MPa)〜約4000psi(27.6MPa)、より好ましくは24時間後に約1500〜約5000psi(10.3〜34.5MPa)、特に好ましくは28日後に約3500〜約10000psi(24.1〜69MPa)の圧縮強度を発現させることができる。そのうえさらに、本発明の好適な実施形態のあるものにおけるジオポリマーセメント質組成物は、湿潤条件下でも非常に優れた耐久性を、乾燥圧縮強度と同様な極限湿潤圧縮強度と合わせて有する。例えば、ある実施形態において、組成物の材齢28日での水飽和圧縮強度は、典型的には、約3500psi(24.1MPa)を超える可能性があり、より好ましくは約4500psi(31.0MPa)超、特に好ましくは約5500psi(37.9MPa)超の可能性がある。

アルカリ金属活性化ジオポリマー、ならびに混合スルホアルミン酸カルシウムセメントおよび硫酸カルシウムについて、スラリーから固相になる凝結時間は、典型的には、比較的短時間であるため、これらの成分を全て組み合わせる好適な実施形態も、凝結時間が短く作業可能時間が限られているだろうと予測された。しかしながら、驚いたことに、本発明の好適な実施形態がもたらす凝結時間は、短い凝結時間(15分未満であることが多い)に限られるのではなく、スラリーの凝結反応に対し有意義な制御をもたらすので、スラリー凝結および作業可能時間の大幅な延長を可能にする。

例えば、いくつかの実施形態において、組成物は、短い凝結時間(約10分未満など)となるように配合することができる。他の好適な実施形態では、組成物は、約10〜約30分間と凝結が長くかかるように配合することができる。さらに他のより好適な実施形態において、組成物の配合は、好ましくは約30〜約60分間の凝結時間となるように選択される。なお他の特に好適な実施形態において、組成物は、約60〜約120分間、約120〜約240分間、または所望であればそれより長い時間というぐらい凝結時間が長くなるように配合することができる。

さらに、そのような実施形態の凝結時間は、収縮耐性、圧縮強度、および他の強度に関する性質の損失を(もしあったとしても)顕著にもたらすことなく、選択することが可能であり、所望であれば延長することも可能である。結果として、そのような実施形態は、これまでのジオポリマー系製品およびジオポリマー成分を含むセメント質製品では、容認できない収縮または強度損失を伴わずに凝結時間および作業可能時間を延長することができなかったため使用不可能であった用途に、期せずして用いることができる。

ある好適な実施形態において、本発明の組成物は、下地との並外れた引張接着強さも発現する。例えば、そのような実施形態とコンクリート基材の間の好適な引張接着強さは、好ましくは約200psi(1.4MPa)超、特に好ましくは約300psi(2.1MPa)超である。いくつかの実施形態において、本発明の寸法の安定したジオポリマーセメント質組成物が完全に養生して硬化したときの表面pHも、ポルトランドセメント系材料および製品と比較して改善される。ポルトランドセメント系材料および製品は、典型的には12超、より典型的には13超の表面pHを有する。ある好適な実施形態において、そのような組成物は、導入の16時間後に測定して、好ましくは約11未満、より好ましくは約10.5未満、特に好ましくは約10未満のpHを有する。この文脈において、表面pHは、ASTM F−710(2011)試験規格を用いて測定する。

多くの好適な実施形態において、本発明のジオポリマーセメント質組成物は、強度発現および寸法安定性のためのケイ酸カルシウム系水硬性セメント(ポルトランドセメントなど)を必要としない。他の実施形態において、ポルトランドセメントは、特定の所望の性質をもたらすために組み込むことができる。しかしながら、驚いたことに、実施形態の特定の組成によっては、過剰量のポルトランドセメントが、実際には、養生中および養生後の組成物の寸法安定性を、向上させるのではなく低下させたことがわかった。

ケイ酸カルシウム系水硬性セメントを組み込む本発明の好適な実施形態について、そのような水硬性セメントにかかる制限は、実施形態の特定の組成によって変わる可能性があるが、同一実施形態でケイ酸カルシウム水硬性セメントの量を減らしたものと比べて収縮が増加していることにより同定することができる。そのような実施形態のあるものにおいて、ポルトランドセメント含有量は、反応性粉末成分の重量の約15重量%を超えるべきではなく、別の好適な実施形態において、ポルトランドセメント含有量は、反応性粉末成分の重量の約10重量%を超えるべきではなく、さらに別の好適な実施形態において、ポルトランドセメント含有量は、反応性粉末成分の重量の約5重量%を超えるべきではなく、さらに別の好適な実施形態において、ポルトランドセメントは反応性粉末成分に実質的に含まれていない。

驚いたことに、いくつかの実施形態において、組成物の初期凝縮後の収縮が増加することにより示されるとおり、過剰量のスルホアルミン酸カルシウムセメントが寸法安定性の低下をもたらす可能性があることもわかった。亀裂、層間剥離、および他の欠陥様式を防ぐのに十分な度合いの寸法安定性および/または収縮制御を必要とする用途については、スルホアルミン酸カルシウムセメントの量は、熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物の乾燥重量100部に対して、好ましくは、乾燥重量で約10〜約40部である。

他の好適な実施形態において、組成物中にスルホアルミン酸カルシウムセメントに比例して存在する硫酸カルシウムの量によって、スルホアルミン酸カルシウムセメントの存在によって引き起こされる悪影響(収縮など)の可能性が緩和され得ることも、期せずしてわかった。そのような実施形態において、硫酸カルシウム量は、好ましくは、スルホアルミン酸カルシウムセメント100重量部に対して、約2〜約200重量部である。

これらの実施形態における材料収縮の特に効果的な制御のためには、硫酸カルシウムの量は、乾燥重量でスルホアルミン酸カルシウムセメント100部に対して乾燥重量で約10〜約100部、より好ましくは乾燥重量でスルホアルミン酸カルシウムセメント100部に対して乾燥重量で約15〜約75部、特に好ましくは乾燥重量でスルホアルミン酸カルシウムセメント100部に対して乾燥重量で約20〜約50部である。若材齢での圧縮強度向上が重要である実施形態において、好適な硫酸カルシウム量は、乾燥重量でスルホアルミン酸カルシウムセメント100部に対して約10〜約50部である。

本発明のさらに他の実施形態において、組成物に添加される硫酸カルシウムの種類(主として二水和物、半水和物、または無水物)は、養生途中の組成物(すなわち約24時間未満の時点)の若材齢での圧縮強度発現に大きく影響する可能性がある。驚いたことに、主として無水硫酸カルシウム無水物を用いる様々な実施形態は、主として二水和物型を用いる実施形態よりも初期圧縮強度が強く、いくつかの実施形態においては、初期圧縮強度が、主として硫酸カルシウム半水和物を用いる実施形態に匹敵し得ることがわかった。他の実施形態において、2種またはそれより多い種類の硫酸カルシウム(二水和物、半水和物、または無水物)を一緒に用いることが可能であり、それぞれの種類の量は、組成物の圧縮強度の制御が改善されるように調整される。同様に、異なる種類および量の硫酸カルシウムを、単独または組み合わせて用いて、組成物の収縮および他の性質を所望のとおりに調整することが可能である。

収縮性能が主要な問題である場合、本発明の他の実施形態は、平均粒子径が好ましくは約1〜約100ミクロン、約1〜約50ミクロン、および約1〜約20ミクロンである硫酸カルシウムを組み込む。これらの実施形態は、収縮耐性に驚くほどの改善をもたらす。他の実施形態において、粒子径が少なくとも好適な範囲にある硫酸カルシウムは、組成物の養生中の強度発現速度の改善に重要な寄与をもたらす可能性がある。

さらに他の実施形態において、驚いたことに、実質的に水不溶性の無水硫酸カルシウム(無水物)が、その水溶性の低さおよびこれまで推定されていた組成物中での限られた反応性(もしあれば)にもかかわらず、重要な利益をもたらす可能性があることがわかった。例えば、無水物は、これらおよび他の実施形態の養生中の収縮を低下させることにより、先行技術の組成物と比べて顕著に改善された寸法安定性制御をもたらしたことが、期せずしてわかった。無水物は、先行技術の組成物と比べて顕著に改善された初期および長期の圧縮強度、ならびに場合によっては、硫酸カルシウム源として硫酸カルシウム半水和物または二水和物を用いる組成物に匹敵またはそれより優れた初期および長期の圧縮強度も提供する。特定の実施形態に用いられる硫酸カルシウムの種類の選択は、若材齢での強度発現の所望の速度と他の性質(凝結時間および特定の最終用途のための収縮耐性など)のバランスとの組み合わせに依存する。

他の実施形態において、硫酸カルシウムの粒子径および形態は、組成物の若材齢での強度発現(約24時間未満)に顕著かつ驚くべき影響を及ぼす。そのような実施形態では、比較的小さい粒子径の硫酸カルシウムを使用することにより、若材齢での圧縮強度がより速く発現する。これらの実施形態において、硫酸カルシウムの好適な平均粒子径は、約1〜100ミクロン、より好ましくは約1〜50ミクロン、特に好ましくは約1〜20ミクロンの範囲である。

ある実施形態において、組成物は、初期混合後、上記の驚くべき性能特性の1つまたは複数を提供しつつ、自己平滑化挙動も示す。材料の自己平滑化態様は、多様な状況および用途(床用自己平滑化下張り、コンクリートトッピング、精密コンクリート製品およびパネルの製造、高強化建築要素へのスラリー流し込みなど)において有用である。これらの実施形態の組成物は、本発明の反応性粉末に対して約0.15〜約0.4、より好ましくは、0.17〜0.35、さらにより好ましくは0.20〜0.30の重量比で、水と初期混合した後に、自己平滑化する。あるいは、他の実施形態において、組成物は、初期混合後、同様に1つまたは複数の改善された性能特性を提供しつつ、造形可能な粘稠なペースト様の堅牢度でも提供することができる。

自己平滑化および修復組成物に適した配合は、フライアッシュを約65〜約95重量%、スルホアルミン酸カルシウムセメントを約2〜約30重量%、および硫酸カルシウムを約0.2〜約15重量%含む。いくつかの実施形態において、本発明のジオポリマーセメント質組成物は、基材の表面に広げることができ、この場合ジオポリマーセメント質結合剤は、自己平滑化生成物として混合されて、約0.02cm〜約7.5cmの有効厚さで注ぎ込まれる。

そのような生成物の物理的特性は、これらの実施形態の利益の良い例、すなわち寸法安定性、空間的移動および物理的損傷に対する耐性、ならびに摩擦および摩耗に対する高い表面耐性を示し、商業地域、産業地域、および他の交通量の多い地域での使用に適している。時間も費用もかかる基材表面処理手段(研掃処理、掘り起こし、水噴射、衝撃剥離、またはフライス加工など)を、用途に応じて、最小限にするまたは完全に回避することができる。

本発明の他の態様において、好適な実施形態は、特定用途に適合可能な凝結時間、良好な若材齢強度発現および終局圧縮強度および他の強度特性、改善された表面pH、改善された基材との引張接着強さ、ならびに他の利益を持つ、寸法の安定したセメント質組成物を作る方法を提供する。ある好適な実施形態において、本方法は、熱活性化アルミノケイ酸塩(好ましくは、C級フライアッシュ由来)、スルホアルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム、およびアルカリ金属化学活性化剤からなる驚くほど効果的な相乗作用混合物を調製する工程を含む。

そのような方法のある好適な実施形態において、上記のような成分を用いて、好適な混合物を調製することで、熱活性化C級フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、ならびに硫酸カルシウム二水和物、硫酸カルシウム半水和物、無水硫酸カルシウム、およびそれらの混合物からなる群より選択される硫酸カルシウム(好ましくは粒子径が約300ミクロン未満の細粒形)を含むセメント質反応性粉末を形成する。

これらの実施形態において、混合物に、乾燥型または液状のいずれかで化学活性化剤がさらに添加され、化学活性化剤は、アルカリ金属塩または塩基、好ましくは有機酸アルカリ金属塩、アルカリ金属水酸化物、およびケイ酸アルカリ金属塩からなる群より選択されるものを含む。後に続く工程において、水の添加および任意選択で流動化剤、特にカルボキシル化可塑剤材料の添加により、ジオポリマーセメント質製品に適した用途に使用可能な安定なスラリー混合物が形成される。

好適な方法において、混合物は、約0℃〜約50℃の初期温度、より好ましくは約5℃〜約40℃の初期温度、さらにより好ましくは約10℃〜約35℃の初期温度、特に好ましくは周辺温度〜約25℃の初期温度で調製される。そのような実施形態において、混合物全体の初期温度は、セメント質反応性粉末;活性化剤、および水が初めて混合物中に全て存在する状態になってから最初の1分間に測定される。もちろん、混合物全体の温度は、この最初の1分間の間にも変わる可能性があるが、そのような好適な実施形態において;スラリーの温度は、好ましくは、列挙した範囲内にある。

いくつかの好適な実施形態において、スラリーは、比較的少ないエネルギーを用いて混合することができ、それでも依然として十分に混合された組成物を得ることができる。そのような好適な方法のいくつかにおいて、スラリーは、低速ハンドドリルミキサまたは約250RPM以上の速度を有する等価なミキサーが提供するものと等価なエネルギーで、混合される。したがって、そのような好適な実施形態のジオポリマー組成物は、最終組成物を形成するのに用いられるスラリーを作るのに用いられる水の量が比較的少量であるにも関わらず、混合が容易である。

多くの実施形態において、セメント質反応性粉末と見なされない他の添加剤を、スラリーおよびジオポリマーセメント質組成物全体に組み込むことができる。そのような他の添加剤とは、例えば、高性能減水剤(上記の流動化剤など)、凝結促進剤、凝結遅延剤、空気連行剤、発泡剤、湿潤剤、収縮制御剤、粘度調節剤(増粘剤)、再分散可能な膜形成重合体粉末、膜形成重合体分散物、着色剤、腐食制御剤、アルカリ・シリカ反応減少混合剤、分離型補強繊維、および内部養生剤である。他の添加剤として、フィラー、例えば1種または複数の砂および/または他の骨材、軽量フィラー、ポゾラン鉱物、鉱物フィラーなどを挙げることができる。

上記で別々に説明してきたものの、本発明の好適なジオポリマー組成物および混合物のそれぞれは、先行技術のジオポリマーセメント質組成物と比べて上記の際立った利点(ならびに、本明細書中のさらなる記載、実施例、およびデータから明らかであるもの)の少なくとも1つを有し、またそれら利点の2つ以上を組み合わせて有することができる。

本発明の実施形態の全てではないにしても、その多くが、環境的に持続可能であり、主要な原材料源として製造過程で生じる不要物を含むフライアッシュジオポリマーを利用する。このことは、製造品の製品寿命にわたる二酸化炭素排出量および製品寿命に具体化されたエネルギーを大幅に削減する。

本発明の好適な実施形態におけるジオポリマーセメント質組成物は、他のセメント質材料が用いられる場面、特に、凝結時間および作業可能時間の柔軟性、寸法安定性、圧縮強度および/または他の強度に関する性質が重要であるまたは求められる用途に用いることができる。例えば、様々なコンクリート製品用途に用いることができ、そのような用途として、床、スラブ、および壁用の構造用コンクリートパネル、床仕上げ材(セラミックタイル、天然石、ビニルタイル、VCT、およびカーペットなど)を設置するための壁および床の下張り、高速道路上敷きおよび橋の修復、歩道および他のスラブ敷き地面、外装のスタッコおよび仕上げ用しっくい、自己平滑化する吹き付けおよび表土下張り、土台、山腹、および採鉱場の土および岩を固定するためのガナイトおよび吹き付けコンクリート、亀裂、穴、および他のでこぼこな表面を埋めてならすためのパッチ修復モルタル、内装用および外装用の彫像および壁画、ならびに道路および橋の路面に開いた穴を補修するためのパッチ材料が挙げられる。

他の例として、プレキャストコンクリート物品、ならびに優れた湿度耐久性を持つ建築用品(セメントボード、組積用ブロック、レンガ、および敷石)への利用が挙げられる。用途によっては、固定されたまたは移動する型に注ぐのに、または連続移動するベルトにかけるのに適した凝結時間となる条件下で、そのようなプレキャストコンクリート製品(セメントボードなど)を作ることができて好適である。

本発明のいくつかの実施形態におけるジオポリマー組成物は、特定の比率で空気を含ませるための様々なフィラーおよび添加剤(発泡剤および空気連行剤を含む)と合わせて用いることで、軽量セメント製品を作ることができ、そのような製品として、膨張性が良好で収縮しない、例えば道路修復および舗装に適した、プレキャスト建築要素、建築修復用製品、およびパッチ組成物が挙げられる。

本発明の様々な実施形態の他の利点、利益、および態様を、以下に説明するとともに添付の図面で図示する。それらは、以下のより詳細な開示から、当業者に理解されるだろう。本明細書中のパーセンテージ、比、および比率は全て、特に記載がないかぎり重量基準である。

比較例1の経過時間と収縮の結果についてのグラフである。

実施例1のスランプの写真である。

比較例2のスランプの写真である。

比較例3のスランプの写真である。

比較例3の経過時間と収縮の結果についてのグラフである。

実施例4の組成物の混合物1および2に関する初期流動挙動およびスランプの写真である。

実施例4の組成物の混合物3に関する初期流動挙動およびスランプの写真である。

実施例4の組成物の混合物4に関する初期流動挙動およびスランプの写真である。

実施例4で調べた組成物の写真である。棒はそれぞれ、混合物1、2−1および2−2、3−1および3−2、ならびに4−1および4−2(左から右へ)に関するもので、全て型中でひび割れた。

実施例5の混合物1〜2(左から右へ)および混合物3〜4(左から右へ)のスランプパテの写真である。

実施例5の初期流動およびスランプの結果についての棒グラフである。

実施例5のスラリー温度上昇の結果についてのグラフである。

実施例6の経過時間と収縮についてのグラフである。

実施例6における本発明の組成物のスラリー温度上昇についてのグラフである。

実施例7の組成物の混合物1のスランプパテの写真である。

実施例7の組成物の混合物2、3、および4のスランプパテの写真である。

実施例7における本発明の組成物の収縮についてのグラフである。

実施例7の本発明の組成物のスラリー温度上昇についてのグラフである。

実施例8における本発明の組成物の収縮についてのグラフである。

実施例8の本発明の組成物のスラリー温度上昇についてのグラフである。

実施例9における本発明の組成物の収縮についてのグラフである。

実施例9の本発明の結果の組成物のスラリー温度上昇についてのグラフである。

実施例10における本発明の組成物の収縮についてのグラフである。

実施例10の本発明の結果の組成物のスラリー温度上昇についてのグラフである。

実施例11の組成物のスランプパテの写真を示す。

実施例11における本発明の組成物の収縮についてのグラフである。

実施例11の本発明の組成物のスラリー温度上昇についてのグラフである。

実施例12における本発明の組成物の収縮についてのグラフである。

実施例12の本発明の結果の組成物のスラリー温度上昇についてのグラフである。

実施例13の本発明の組成物のスランプパテの写真である。

実施例13における本発明の組成物の収縮についてのグラフである。

は、実施例13の本発明の組成物のスラリー温度上昇についてのグラフである。

実施例14における本発明の組成物の収縮についてのグラフである。

実施例15における本発明の組成物の収縮についてのグラフである。

実施例15の本発明の組成物のスラリー温度上昇についてのグラフである。

実施例16の本発明の組成物のスランプパテの写真を含む。

実施例16における本発明の組成物の収縮についてのグラフである。

実施例17の本発明の組成物のスランプパテの写真を含む。

実施例17における本発明の組成物の収縮についてのグラフである。

実施例17の本発明の組成物のスラリー温度上昇についてのグラフである。

実施例18における本発明の組成物の収縮についてのグラフである。

実施例18の本発明の組成物のスラリー温度上昇についてのグラフである。

実施例13における本発明の組成物の収縮についてのグラフである。

実施例19の本発明の組成物のスラリー温度上昇についてのグラフである。

実施例20における本発明の組成物の収縮についてのグラフである。

実施例20の本発明の組成物のスラリー温度上昇についてのグラフである。

実施例21における本発明の組成物の収縮についてのグラフである。

実施例21の混合物1を棒状にして4時間収縮させたものの写真である。

実施例21の本発明の組成物の非常に若材齢での材料収縮についてのグラフである(収縮試験を材齢1時間で開始した)。

実施例21の本発明の組成物のスラリー温度上昇についてのグラフである。

実施例22における発明の組成物の収縮についてのグラフである。

実施例22の本発明の組成物のスラリー温度上昇についてのグラフである。

実施例23の本発明の組成物の非常に若材齢での材料収縮についてのグラフである(収縮試験を材齢1時間で開始した)。

実施例27における本発明の組成物の収縮についてのグラフである。

実施例28で調べた組成物を立方体に成形したもの(真鍮性立方体金型にて)の写真を含む。

実施例29における本発明の組成物の収縮についてのグラフである。

実施例30における本発明の組成物の収縮についてのグラフである。

実施例30における組成物の発熱挙動およびスラリー温度上昇挙動についてのグラフである。

実施例31における本発明のいくつかの実施形態の軽量組成物の発熱挙動およびスラリー温度上昇挙動についてのグラフである。

表Aは、本発明のいくつかの好適な実施形態における寸法の安定したジオポリマーセメント質組成物の組成を示し、個別成分または集合成分の重量部(pbw)で表してある。

表Aは、本発明のそのような好適な実施形態における寸法の安定したジオポリマーセメント質組成物が、2成分、すなわち反応性粉末成分A(本明細書中、「セメント質粉末材料」とも称し、これは本発明にとって、熱活性化アルミノケイ酸塩、スルホアルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム、およびこれら列挙される成分に添加される限りにおいて任意の追加の反応性セメントと定義される)および活性化剤成分Bで構成されることを示す。反応性粉末成分Aは、C級フライアッシュを含む熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物、スルホアルミン酸カルシウムセメント、および硫酸カルシウム、を含む材料のブレンドである。活性化剤成分Bは、1種のアルカリ金属化学活性化剤またはその複数の混合物を含み、粉末であっても水溶液であってもよい。反応性粉末成分Aおよび活性化剤成分Bは、1つにまとめられることで、本発明のそのような好適な実施形態におけるジオポリマーセメント質組成物の反応性混合物を形成する。

表Bは、表Aの結合剤および他の成分を組み込んだ、完全密度(好ましくは100〜160ポンド/立方フィートの範囲の密度)の好適な実施形態の配合物を表す。

表Cは、表Aの結合剤および他の成分を組み込んだ、軽量密度(好ましくは10〜125ポンド/立方フィートの範囲の密度)の好適な配合物を表す。

表Dは、表Aの結合剤、粗骨材、および他の成分を組み込んだ、軽量密度または完全密度(好ましくは40〜160ポンド/立方フィートの範囲の密度)のある好適な配合物を表す。

本発明のいくつかの実施形態におけるジオポリマーセメント質結合剤混合物の長期自由収縮は、混合して水性混合物を形成してから1〜4時間後に収縮測定を開始して、約0.3%以下、好ましくは約0.2%未満、より好ましくは約0.1%未満、特に好ましくは約0.05%未満である。既に述べたとおり、本発明のいくつかの実施形態に従って適切な量で用いられる、熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物、スルホアルミン酸カルシウムセメント、適切に選択された源および量の硫酸カルシウム、および適切に選択されたアルカリ金属活性化剤の間の相乗的相互作用は、材料収縮を最小限に抑えるのに役立つ。

アルミノケイ酸塩鉱物(フライアッシュなど)とアルカリ金属活性化剤(アルカリ金属クエン酸塩など)とのジオポリマー反応は、非常に速い反応速度が関与し、反応中は、発熱反応が関与するためにかなりの量の熱が放出されることが知られている。この高速の発熱反応は、アルミノケイ酸塩化合物の形成をもたらし、材料は非常に速く(わずか数分で)ゲル化および硬化する。同様に、スルホアルミン酸カルシウムセメントと硫酸カルシウムの相互作用も、非常に高速の反応が関与し、反応中は、発熱反応のためかなりの量の熱が放出されることが知られている。この急速な発熱反応の結果、スルホアルミン酸カルシウム化合物の水和生成物が形成され、材料は非常に速く(またしてもわずか数分で)ゲル化および硬化する。極度に短い凝結時間は、用途によっては問題となる。なぜなら、凝結時間が短いと作業可能時間(可使時間)が短くなり、結果として、実際の現場での急結材料の加工および設置が非常に難しくなるからである。また、急速な発熱反応が発生する大量の熱は、望ましくない熱膨張および結果として生じる材料の亀裂および崩壊を招く可能性がある。

当業者の予想としては、上記の2種の急結発熱反応(すなわち、アルミノケイ酸塩鉱物(フライアッシュなど)とアルカリ金属塩の反応、およびスルホアルミン酸カルシウムセメントと硫酸カルシウムの反応)を、アルミノケイ酸塩鉱物、アルカリ金属活性化剤、スルホアルミン酸カルシウムセメント、および硫酸カルシウムを一緒に混ぜた結果として同時に起こさせたなら、得られる材料は、上記の2種の反応をそれぞれ別に起こさせた場合のシナリオ(この場合でも発熱の多さおよび凝結の速さはすでに望ましくないレベルである)と比較して、望ましくないことによりいっそうの熱を放出し、望ましくないことにゲル化および硬化はよりいっそう速く進むだろう。驚いたことに、上記の4種の反応性成分全てを用いる本発明の実施形態では、そうならない。アルミノケイ酸塩鉱物、アルカリ金属活性化剤、スルホアルミン酸カルシウムセメント、および硫酸カルシウムを一緒に混合すると、得られる材料は、上記の既知の2成分反応系の両方と比べて、発熱が低下し、ゲル化および硬化時間が長くなる。これら4種の原材料の間に相乗的相互作用が生じ、これが、本発明のいくつかの実施形態に驚くべき結果をもたらすと思われる。

本発明のいくつかの実施形態でわかったさらに別の驚くべき結果とは、アルミノケイ酸塩鉱物およびアルカリ金属活性化剤を、スルホアルミン酸カルシウムセメントおよび硫酸カルシウムと同時に反応させると、材料収縮の大幅な低下が観測されることである。例えば、以下の実施例における、本発明の新規4反応性成分系と、比較例1〜4の反応性成分のうち2種または3種しか含有しない非新規の系との比較を参照のこと。材料収縮の大幅な低下は、アルミノケイ酸塩鉱物および活性化剤を含む反応性混合物中に、スルホアルミン酸カルシウムセメントおよび硫酸カルシウムが比較的少量でしか含まれていない場合にも起こる。

非常に驚いたことに、本発明のいくつかの実施形態におけるジオポリマーセメント質結合剤組成物中のスルホアルミン酸カルシウムセメントの量は、材料の初期凝結後に測定される材料収縮の度合いの制御に影響を及ぼすことがわかった。同じく驚いたことに、所定の実施形態において、スルホアルミン酸カルシウムセメントがある量を超えると、材料の初期凝結後に生じる材料収縮の量が増加し始めることもわかった。

表D1は、初期凝結後の組成物の収縮制御能を反映したいくつかの好適な実施形態の成分量を示す。

混合物中に存在する硫酸カルシウムの量が、本発明のいくつかの実施形態におけるジオポリマーセメント質組成物の材料収縮の度合いに大きく影響することも、期せずしてわかった。

表D2は、本発明のいくつかの実施形態での成分量、材料収縮を制御するのに使用可能なスルホアルミン酸カルシウムセメント100部あたりの硫酸カルシウム量を示す。

本発明のいくつかの実施形態における組成物に所定量のアルカリ金属活性化剤および他の成分が含まれる場合、硫酸カルシウム二水和物の使用が、材料収縮を最小限に抑えるのに最も効果的な制御手段となることがわかった。無水硫酸カルシウム(無水物)および硫酸カルシウム半水和物の使用も、本発明のいくつかの実施形態におけるジオポリマーセメント質結合剤組成物の材料収縮を低下させるのに優れた制御手段となる。硫酸カルシウム二水和物および無水硫酸カルシウム(無水物)は、本発明における硫酸カルシウムの好適な形である。より好ましくは、硫酸カルシウム二水和物は、細粒の大きさで提供される。

驚いたことに、アルカリ金属活性化剤の量が、本発明のいくつかの実施形態におけるジオポリマーセメント質結合剤組成物の材料収縮の度合いに大きく影響を及ぼすことがわかった。表D3は、この利益を得るのに好適な、セメント質材料(すなわち熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物、スルホアルミン酸カルシウムセメント、および硫酸カルシウム)の重量に対する、アルカリ金属活性化剤の量パーセンテージについて、成分量を示す。

驚いたことに、ケイ酸カルシウム系水硬性セメント(ポルトランドセメントなど)を本発明のいくつかの実施形態におけるジオポリマー組成物に組み込むことは、得られる材料の寸法安定性に悪影響を及ぼすことがわかった。そのような実施形態におけるジオポリマー組成物に添加されたポルトランドセメントの量が増加すると、得られる組成物の収縮が増加する。ポルトランドセメントの存在下では、たとえ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム、およびアルカリ金属化学活性化剤がそのような実施形態に存在していても、材料収縮の増加が起こる。例えば、いくつかの実施形態における反応性粉末組成物に、固形セメント質材料(本明細書中使用される場合、「セメント質材料」には、熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物、全てのセメント材料、および硫酸カルシウムを含む混合物の乾燥成分が含まれる)の合計重量に対して、乾燥状態基準で15%、33%、52%、および74%のポルトランドセメントを組み込むと、材料の初期凝結から8週後に測定される材料の自由収縮が、それぞれ、約0.15%、0.23%、0.31%、および0.48%増加することがわかった。

したがって、上記の量で収縮すると問題である実施形態において、理屈に縛られるわけではないが、ポルトランドセメントの添加は、基本の4つの反応性成分(熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物、スルホアルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム、およびアルカリ金属化学活性化剤)の間の相乗的相互作用に悪影響すると思われる。したがって、上記の量で収縮すると問題である実施形態におけるジオポリマーセメント質組成物は、そのような望ましくない度合いの収縮を引き起こすほどのポルトランドセメントを組み込まないことが好ましい。

結合剤組成物を形成するには、反応性粉末成分A(熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物、スルホアルミン酸カルシウムセメント、および硫酸カルシウム)、活性化剤成分B(アルカリ金属化学活性化剤)、および水を混合して、約0℃〜約50℃、好ましくは約10〜約35℃の初期温度(成分が初めて全て混合物中に存在して最初の1分の間の温度)のセメント質スラリーを形成する。結果として、ジオポリマー化反応が起こり、アルミノケイ酸塩ジオポリマー反応種の形成ならびに得られる材料の凝結および硬化がもたらされる。同時に、スルホアルミン酸カルシウム相およびケイ酸カルシウム相の水和反応も起こり、得られる材料の凝結および硬化がもたらされる。

本発明のいくつかの好適な実施形態における寸法の安定したジオポリマー組成物は、新鮮な状態で作業可能な混合物を得るために、および硬化した状態で強く耐久性のある材料とするために必要とする水が極端に少ない。

本発明のいくつかの実施形態における寸法の安定したジオポリマーセメント質結合剤の、好適な水/全固形分重量比は、粗骨材が存在しない場合、約0.04〜約0.25、好ましくは約0.04〜約0.20、より好ましくは約0.05〜約0.175、さらにより好ましくは約0.05〜約0.15である。本発明のいくつかの実施形態における寸法の安定したジオポリマーセメント質結合剤の、好適な水/全固形分比は、粗骨材が存在する場合、好ましくは約0.125未満、より好ましくは約0.10未満、さらにより好ましくは約0.075未満である。全固形分には、セメント質材料、骨材(砂または他の骨材など)、フィラー、および無水を基本とする他の固形添加剤が含まれる。

そのような実施形態では、最少量の水を加えて、化学的水和およびアルミノケイ酸塩ジオポリマー化という反応を達成する。好ましくは、スラリーにおいて、水対粉末セメント質材料の重量比は、約0.17〜約0.4、より好ましくは約0.2〜約0.35、さらにより好ましくは約0.22〜約0.3である。本明細書中使用される場合、「セメント質材料」は、熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物、スルホアルミン酸カルシウムセメント、および硫酸カルシウム、ならびに反応性混合物に添加することのできる任意の追加セメントと定義される。水の量は、セメント質組成物に存在する個々の材料の必要に依存する。

そのような実施形態における組成物の凝結は、ASTM C266試験手順に指定されるGilmore針を用いて測定されるとおりの、凝結開始時間および凝結終了時間により特性決定される。凝結終了時間は、コンクリート製品(例えば、コンクリートパネル)が十分に硬化して取扱い可能になる時間にも相当する。

一般に、熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物(フライアッシュなど)のジオポリマー反応は、発熱反応である。いくつかの実施形態において、フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム、およびアルカリ金属化学活性化剤が、ジオポリマー化反応の要素として互いに相乗的に相互作用することで、発熱反応を起こしている材料から放出される熱の発熱率および量が非常に大幅に減少することが、またしても期せずしてわかった。硫酸カルシウムの種類の適切な選択およびその量、スルホアルミン酸カルシウムセメントの量、ならびにアルカリ金属化学活性化剤の適切な選択およびその量は、その後の発熱反応により放出される熱の発熱率および量を減少および最小限にするのに有効である。

一般に、熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物(フライアッシュなど)のジオポリマー反応も、高速で進行し、材料の迅速なゲル化および凝結をもたらす。典型的には、先行技術に従ってフライアッシュが単独でアルカリ金属化学活性化剤と反応する場合、水性混合物の形成から2〜3分以内で、材料のゲル化が始まり、10分経たないうちに凝結終了に到達する。

本発明の好適な実施形態において、熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物(フライアッシュなど)、スルホアルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム、およびアルカリ金属化学活性化剤は、ジオポリマー化反応の要素として互いに相乗的に相互作用することで、得られる材料のゲル化時間および凝結終了時間を顕著に速めることが、期せずしてわかった。硫酸カルシウムの種類の適切な選択およびその量、スルホアルミン酸カルシウムセメントの量、ならびにアルカリ金属化学活性化剤の適切な選択およびその量は、得られる材料のゲル化速度および期間ならびに凝結終了時間を延長するのに有効である。

そのような実施形態において所定量のアルカリ金属活性化剤が含まれる場合、硫酸カルシウム量の増加は、得られるジオポリマーセメント質結合剤組成物のゲル化時間および凝結終了時間を延長することがわかった。加えて、そのような実施形態において所定量のアルカリ金属活性化剤が含まれる場合、硫酸カルシウムの粒子径の拡大は、得られるジオポリマーセメント質結合剤組成物のゲル化時間および凝結終了時間を延長することがわかった。そのうえさらに、本発明の組成物に含まれる異なる種類の硫酸カルシウムのうち、硫酸カルシウム半水和物が、得られるジオポリマーセメント質組成物のゲル化時間および凝結終了時間を最も長く延長することがわかった。いくつかの好適な実施形態におけるジオポリマーセメント質結合剤に関して、ゲル化期間は、20〜60分の範囲であり、このとき凝結終了時間は約30〜約120分である。ゲル化時間および凝結終了時間が長くなると、そのような実施形態におけるジオポリマーセメント質結合剤のオープンタイムおよび作業可能時間を長くすることができるので、現場での使用において有用である。

本明細書中使用される場合、組成物の若材齢強度は、約3〜約5時間の養生後に圧縮強度を測定することで特性決定される。多くの用途において、若材齢で圧縮強度が比較的強いことは、セメント質材料にとって有利となり得る。なぜならば、そのような材料は、応力が大きくなってもそれほど変形せずに持ちこたえることができるからである。初期に高い強度を達成することはまた、製造品の取扱いおよび使用に関する安全性因子を向上させる。さらに、初期に高い強度を達成するおかげで、多くの材料および構造体は、若材齢で、道路の開通を可能にしたり、非構造および構造負荷を支持できるようになったりする。典型的には、そのような組成物で強度発現をもたらす化学反応は、凝結終了時間に達した後も長時間継続する。

本発明のいくつかの実施形態におけるジオポリマーセメント質結合剤は、極めて高い若材齢圧縮強度および終局圧縮強度を発現することができる。例えば、いくつかのそのような実施形態におけるジオポリマーセメント質結合剤は、1〜4時間後に約500psi〜約4000psi、24時間後に約1500〜約5000psi、および28日後に約3,500〜約10000psiの圧縮強度を発現することができる。

そのような実施形態において、若材齢圧縮強度が劇的に向上するのは、硫酸カルシウム量がスルホアルミン酸カルシウムセメントの約10%〜約50重量%である場合である。驚いたことに、硫酸カルシウムの種類も、本発明のいくつかの実施形態におけるジオポリマーセメント質組成物の若材齢圧縮強度(≦24時間)の発現に非常に大きな影響を及ぼすことがわかった。若材齢圧縮強度が最も大きく向上するのは、無水硫酸カルシウム(無水物)を用いる場合である。

いくつかの実施形態において、硫酸カルシウムの粒子径が小さくなるほど、若材齢(≦24時間)での強度発現が速くなることがわかった。強度発現の速度が極めて速いことが望ましい場合、硫酸カルシウムの好ましい平均粒子径は、約1〜約30ミクロン、より好ましくは約1〜約20ミクロン、さらにより好ましくは約1〜約10ミクロンである。

セメント質反応性混合物 本発明のいくつかの好適な実施形態におけるセメント質反応性混合物は、反応性粉末成分Aおよび活性化剤成分Bを、表Aに示すとおりの好適な範囲で含む。反応性粉末成分Aは、熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物、スルホアルミン酸カルシウムセメント、および硫酸カルシウムを含む。活性化剤成分Bは、アルカリ金属化学活性化剤を含む。

好ましくは、セメント質反応性混合物は、石灰を約10〜約40重量%含有する。しかしながら、この石灰は、石灰として添加されたものである必要はない。それよりも、石灰は、熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物の化学成分の1種として含まれている場合がある。

熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物、スルホアルミン酸カルシウムセメント、および硫酸カルシウムに加えて、セメント質反応性粉末は、任意選択のセメント質添加剤(ポルトランドセメントなど)を約0〜約5重量%含んでいてもよい。しかしながら、ポルトランドセメントを組み込むと材料収縮が増加して材料の寸法安定性が落ちてしまうので、ポルトランドセメントは含まないことが好ましい。

C級フライアッシュおよび他の熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物 いくつかの実施形態において、熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物は、フライアッシュ、高炉スラグ、熱活性化粘土、頁岩、メタカオリン、ゼオライト、泥灰土、赤泥、岩盤、および粘土地盤のれんがからなる群より選択される。好ましくは、熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物は、Al2O3含量が約5重量%より高い。典型的には、粘土または泥灰土が、約600℃〜約850℃の温度で熱処理されることにより熱活性化した後に用いられる。本発明のそのような実施形態において好適な熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物は、組成中の石灰(CaO)含量が高く、好ましくは約10重量%超、より好ましくは約15%超、さらにより好ましくは約20%超である。特に好適な熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物は、C級フライアッシュ、例えば、石炭火力発電所で生成するフライアッシュである。フライアッシュは、ポゾラン性質も有する。

ASTM C618(2008)は、ポゾラン性材料を「ケイ酸含有またはケイ酸およびアルミニウム含有材料であって、それ自身はセメント値をほとんどまたは全く持たないが、微粉化された形で水分が存在すると、常温で水酸化カルシウムと化学反応して、セメント性質を有する化合物を形成することができる材料」と定義する。

フライアッシュは、本発明のいくつかの実施形態のセメント質反応性粉末ブレンドにおいて好適な熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物である。酸化カルシウムおよびアルミン酸カルシウム含量が高いフライアッシュ(ASTM C618(2008)規格のC級フライアッシュなど)は、以下で説明するとおり好適である。

フライアッシュは、石炭の燃焼で生じる微粉の副生成物である。市販されているフライアッシュのほとんどは、微粉炭を燃やす発電所事業用ボイラーで生成される。こうしたフライアッシュは、主に、ガラス質の球状粒子、ならびに、赤鉄鉱および磁鉄鉱の残渣、チャー、および冷却中に形成されたいくつかの結晶相からなる。フライアッシュ粒子の構造、組成、および性質は、石炭の構造および組成、ならびにフライアッシュが形成される燃焼過程に依存する。ASTM C618(2008)規格は、コンクリートに使用するフライアッシュとして2つの主要な級、C級およびF級を認識している。これらの2つの級のフライアッシュは、概して、異なる種類の石炭に由来するものであり、石炭が異なるのは複数の地質時代期間を経て生じる石炭形成過程における違いの結果である。F級フライアッシュは、通常、無煙炭または瀝青炭の燃焼で生成され、一方C級フライアッシュは、通常、亜炭または亜瀝青炭の燃焼で生成される。

ASTM C618(2008)規格は、F級およびC級フライアッシュを、まず第一に、それらのポゾラン性質により区分する。したがって、ASTM C618(2008)規格において、F級フライアッシュとC級フライアッシュの仕様の主な違いは、組成中のSiO2+Al2O3+Fe2O3の最小限度である。SiO2+Al2O3+Fe2O3の最小限度は、F級フライアッシュについては70%であり、C級フライアッシュについては50%である。したがって、F級フライアッシュは、C級フライアッシュよりもポゾラン性が強い。ASTM C618(2008)規格では明確に認識されていないものの、C級フライアッシュは酸化カルシウム(石灰)含量が高いことが好ましい。

C級フライアッシュは、遊離石灰(酸化カルシウム)のおかげで、ポゾラン性質の他に、通常、セメント性質を有する。F級は、水だけと混合したときに、ほとんどセメント性にならない。酸化カルシウムを高含量で含むことにより、C級フライアッシュはセメント性質を有し、水と混合したときに、ケイ酸カルシウムおよびアルミン酸カルシウム水和物の形成をもたらす。以下の実施例からわかるとおり、C級フライアッシュは本発明の好適な実施形態において優れた結果をもたらすことがわかった。

そのような実施形態において、熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物は、C級フライアッシュを、好ましくは、熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物100重量部あたり約50〜約100部のC級フライアッシュを含み、より好ましくは、熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物は、熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物100部あたり約75部〜約100部のC級フライアッシュを含む。

他の種類のフライアッシュ(F級フライアッシュなど)もこれらまたは他の好適な実施形態で使用することができる。好ましくは、セメント質反応性粉末に含まれる熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物の少なくとも約50重量%はC級フライアッシュであり、残りはF級フライアッシュまたは任意の他の熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物である。より好ましくは、セメント質反応性粉末に含まれる熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物の約55〜約75重量%はC級フライアッシュであり、残りはF級または任意の他の熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物である。好ましくは、熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物はその約90〜約100%がC級フライアッシュである、例えば、100%C級フライアッシュである。

本発明のいくつかの実施形態における熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物の平均粒子径は、好ましくは約100ミクロン未満、より好ましくは約50ミクロン未満、さらにより好ましくは約25ミクロン未満、特に好ましくは約15ミクロン未満である。

好ましくは、本発明の結合剤混合物は、熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物100部あたり最大で約5部のメタカオリンを含む。より好ましくは、本発明の結合剤は、メタカオリンを有意な量で含まない。メタカオリンが存在すると、混合物によっては必要とする水が増加することがわかっているので、メタカオリンの使用は、本発明のいくつかの好適な実施形態のジオポリマー結合剤組成物において望ましくない。

フライアッシュによく見られる鉱物の中でも特に多いのは、石英(SiO2)、ムル石(Al2Si2O13)、ゲーレン石(Ca2Al2SiO7)、赤鉄鉱(Fe2O3)、磁鉄鉱(Fe3O4)である。また、岩石で通常見られる多形のケイ酸アルミニウム鉱物、例えば珪線石、藍晶石、および紅柱石(この3種は全て分子式Al2SiO5で表される)もフライアッシュにおいてよく見られる。

フライアッシュは、硫酸カルシウムまたは本発明のいくつかの実施形態における混合組成物に含まれることになる別の硫酸イオン源も含むことができる。

いくつかの好適な実施形態において、フライアッシュの粉末度は、ASTM試験手順C−311(2011)(「ポルトランドセメントコンクリート用鉱物混合物としてのフライアッシュの試料採取および試験の手順」)のとおりに試験して、325メッシュのふるい(米国シリーズ)に残るのが約34%未満であることが好ましい。そのような実施形態に有用なフライアッシュ材料の平均粒子径は、好ましくは約50ミクロン未満、より好ましくは約35ミクロン未満、さらにより好ましくは約25ミクロン未満、特に好ましくは約15ミクロン未満である。このフライアッシュは、自己凝結性質があるので、好ましくは、回収および使用は乾燥状態で行なう。

亜瀝青炭から生じたC級フライアッシュは、表Eに示す以下の代表的な組成を有する。このフライアッシュは、自己凝結性質があるので、好ましくは、回収および使用は乾燥状態で行なう。

適切で好ましいF級フライアッシュは、以下の表Fに示す組成を有する。

水硬性セメント 本発明にとっての水硬性セメントとは、水と接触したときに化学的凝結反応を起こし(水和)、水の存在下で凝結(養生)するだけでなく、耐水性生成物を形成するセメントである。

水硬性セメントとして、ポルトランドセメントのようなケイ酸アルミニウムセメント、スルホアルミン酸カルシウムセメント、アルミン酸カルシウム系セメント、およびフルオロアルミン酸カルシウムセメントが挙げられるが、これらに限定されない。

スルホアルミン酸カルシウム(CSA)セメント スルホアルミン酸カルシウムセメントは、本発明のいくつかの実施形態におけるジオポリマー結合剤組成物の一成分を成す。スルホアルミン酸カルシウム(CSA)セメントは、アルミン酸カルシウムセメント(CAC)ともケイ酸カルシウム系水硬性セメント(例えば、ポルトランドセメントなど)とも異なるクラスのセメントである。CSAセメントは、アルミン酸カルシウム(CACセメントの基礎成分である)でもケイ酸カルシウム(ポルトランドセメントの基礎成分である)でもなく、スルホアルミン酸カルシウムに基づく水硬性セメントである。スルホアルミン酸カルシウムセメントは、主相としてイェーリマイト(Ye’elimite)(Ca4(AlO2)6SO4またはC4A3S)を含むクリンカーから作られる。

好適なスルホアルミン酸カルシウムセメントに存在する他の主要な相として、以下の1種または複数を挙げることができる:ケイ酸ジカルシウム(C2S)、テトラカルシウムアルミノフェライト(C4AF)、および硫酸カルシウム(CS)。スルホアルミン酸カルシウムセメントはポルトランドセメントと比較して石灰の必要量が比較的少ないことにより、セメント生産におけるエネルギー消費および温室効果ガス排出が低下している。事実、スルホアルミン酸カルシウムセメントはポルトランドセメントより約200℃低い温度で製造可能であり、したがって、エネルギーおよび温室効果ガス排出がさらに低下する。本発明のいくつかの実施形態において有用なスルホアルミン酸カルシウムセメントに存在するイェーリマイト相(Ca4(AlO2)6SO4またはC4A3S)の量は、好ましくは約20〜約90重量%、より好ましくは30〜75重量%、特に好ましくは約40〜約60重量%である。

本発明の好適な組成物は、熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物100pbwあたりのpbwで、約1〜200部、より好ましくは約2.5〜100部、さらにより好ましくは約2.5〜50部、なおさらにより好ましくは約5〜30部のスルホアルミン酸カルシウムセメントを含む。

本発明のいくつかの実施形態における組成物で使用されるスルホアルミン酸カルシウムセメントの量は、CSAセメント中に存在する活性イェーリマイト相(Ca4(AlO2)6SO4またはC4A3S)の量に基づいて調整することができる。

ポルトランドセメント 本発明のいくつかの実施形態における寸法の安定したジオポリマー組成物は、アルミノケイ酸塩鉱物、アルカリ金属化学活性化剤、スルホアルミン酸カルシウムセメント、および硫酸カルシウムを含み、材料収縮の大きさが非常に小さくなることを実証する。そうすると、寸法安定性の良好な別の結合剤材料を本発明の混合物にさらに組み込んだ場合、得られる組成物の全体的な材料収縮および寸法安定性は依然として小さくかつ許容できるだろうと予想するのは当然だし自然であるだろう。例えば、純粋なポルトランドセメント系セメント質組成物の収縮は、まず間違いなく、クエン酸アルカリ金属塩で活性化したフライアッシュで構成されるジオポリマー結合剤の収縮より小さい規模の等級にあると決まっていた。しかしながら、非常に驚いたことに、アルミノケイ酸塩鉱物、アルカリ金属化学活性化剤、スルホアルミン酸カルシウムセメント、および硫酸カルシウムを含む本発明の寸法の安定した組成物に、ポルトランドセメントを添加することは、得られる組成物の収縮挙動に悪影響を及ぼすことが発見された。本発明のジオポリマー組成物にポルトランドセメントを添加すると、得られる組成物の収縮が大きくなることがわかった。得られる組成物中のポルトランドセメントの量が増えるとともに、観測される収縮の大きさも増える。この結果は、まったく予期しない驚くべきものであり、本発明の寸法の安定したジオポリマー結合剤組成物に他の種類のセメントおよび/または化学添加剤を導入した場合に生じる化学相互作用の極度に複雑な性質を強調するものである。この認識に基づいて、本発明のいくつかの好適な実施形態ではポルトランドセメントを組み込まない。しかしながら、収縮挙動が多少大きくなっても許容可能である状況で使用することが望まれるいくつかの実施形態において、多少の量のポルトランドセメントを使用することが考慮に入っている。ポルトランドセメント量の実用限界は、収縮挙動に対する悪影響の許容可能な範囲に依存するが、本発明のいくつかの好適な実施形態において、熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物100重量部あたりに含まれるポルトランドセメントは、15重量部以下である。

石灰石、頁岩、および他の天然の鉱物が、低コストでかつ広く入手可能であることから、ポルトランドセメントは、前世紀にわたって世界中で広く使用された最も低コストの材料のうちの1つとなっている。

本明細書中使用される場合、「ポルトランドセメント」は、ケイ酸カルシウム系水硬性セメントである。ASTM C 150は、ポルトランドセメントを「基本的に水硬性ケイ酸カルシウムで構成されるクリンカーを粉砕することで製造される水硬性セメント(水と反応して硬化するだけでなく耐水性生成物を形成するセメント)、通常、同時粉砕添加物として1種または複数の形態の硫酸カルシウムを含有する」であると定義する。本明細書中使用される場合、「クリンカー」は、所定の組成の原料混合物を高温に加熱すると生成する焼結材料の団塊(直径は、約0.2〜約1.0インチ[5〜25mm])である。

アルミン酸カルシウムセメント アルミン酸カルシウムセメント(CAC)は、相当量のフライアッシュを含有するが含水量は少ないスラリーで圧縮強度を特に高める必要がない本発明のいくつかの実施形態における反応性粉末ブレンドの一成分を成すことができる別の種類の水硬性セメントである。

アルミン酸カルシウムセメント(CAC)は、一般に、含アルミニウムセメントまたはアルミナセメントとも呼ばれる。アルミン酸カルシウムセメントは、アルミナ含量が高く、約30〜45重量%であることが好ましい。それより高純度のアルミン酸カルシウムセメントも市販されており、そのセメントでは、アルミナ含量の範囲が、約80重量%にまで上り得る。こうした高純度アルミン酸カルシウムセメントは、他のセメントに比べて非常に高価になる傾向がある。本発明のいくつかの実施形態における組成物に用いられるアルミン酸カルシウムセメントは、細かく粉砕することで、アルミン酸塩が水相に入りやすくなっており、そのためエトリンガイトおよび他のアルミン酸カルシウム水和物の迅速な形成を起こすことができる。そのような実施形態で有用であるアルミン酸カルシウムセメントの表面積は、ブレーン表面積法(ASTM C 204)で測定した場合に約3,000cm2/グラム超、好ましくは約4,000〜6,000cm2/グラムである。

複数の製造方法が登場してきて、アルミン酸カルシウムセメントは世界中で製造されるようになった。好ましくは、アルミン酸カルシウムセメントの製造に用いられる主な原材料は、ボーキサイトおよび石灰石である。アルミン酸カルシウムセメントを製造するための製造方法の1つは、以下のとおり記載される。ボーキサイト鉱石を最初に破砕および乾燥し、次いで石灰石とともに粉砕する。次いで、ボーキサイトおよび石灰石を含む乾燥粉末を回転炉に供給する。粉砕低灰分石炭を炉の燃料として用いる。炉内でボーキサイトと石灰石の反応が起こるので、溶融生成物を炉の下端から収集し、底部に設置されたトラフに流し込む。溶融クリンカーを水でクエンチして、クリンカー顆粒を形成させ、次いで、この顆粒を備蓄場所に搬送する。次いで、この顆粒を所望の粉末度まで粉砕して、最終セメントとする。

典型的には、アルミン酸カルシウムセメントの製造課程中に、複数のアルミン酸カルシウム化合物が形成され得る。形成されることの多い化合物で主要なものは、アルミン酸モノカルシウム(CaO・Al2O3、CAとも称する)である。その他に形成されるアルミン酸カルシウムおよびケイ酸カルシウム化合物として、12CaO・7Al2O3(C12A7とも称する)、CaO・2Al2O3(CA2とも称する)、ケイ酸ジカルシウム(2CaO・SiO2、C2Sとも称する)、アルミナケイ酸ジカルシウム(2CaO・Al2O3・SiO2、C2ASとも称する)を挙げることができる。酸化鉄を比較的高い比率で含有する他の化合物も複数形成され得る。そのような化合物として、カルシウムフェライト(CaO・Fe2O3またはCF、および2CaO・Fe2O3またはC2Fなど)、およびカルシウムアルミノフェライト、例えばテトラカルシウムアルミノフェライト(4CaO・Al2O3・Fe2O3またはC4AF)、6CaO・Al2O3・2Fe2O3またはC6AF2)、および6CaO・2Al2O3・Fe2O3またはC6A2F)などが挙げられる。アルミン酸カルシウムセメントに存在することが多い他の微量成分として、マグネシア(MgO)、チタニア(TiO2)、硫酸塩類、およびアルカリ類が挙げられる。

アルミン酸カルシウムセメントは、上記相の1つまたは複数を有することができる。主要相としてアルミン酸モノカルシウム(CaO・Al2O3またはCA)および/またはヘプタアルミン酸ドデカカルシウム(12CaO・7Al2O3またはC12A7)を有するアルミン酸カルシウムセメントは、本発明のいくつかの実施形態に特に好適である。さらに、アルミン酸カルシウム相は、結晶形および/または非晶質形で利用できる。CIMENTFONDU(またはHAC FONDU)、SECAR 51、およびSECAR 71は、主セメント相としてアルミン酸モノカルシウム(CA)を含有する市販のアルミン酸カルシウムセメントの例である。TERNAL EVは、主要セメント相としてヘプタアルミン酸ドデカカルシウム(12CaO・7Al2O3またはC12A7)を含有する市販のアルミン酸カルシウムセメントの例である。

本発明でアルミン酸カルシウム(CAC)セメントが用いられる場合、それらは部分的にスルホアルミン酸カルシウムセメントと置き換えてもよい。本発明のいくつかの実施形態における組成物中のアルミン酸カルシウムセメント置き換え量は、スルホアルミン酸カルシウムセメントおよびアルミン酸カルシウムセメントの凝集重量の上限約49重量%までである。

フルオロアルミン酸カルシウム フルオロアルミン酸カルシウムは、化学式3CaO・3Al2O3・CaF2を有する。一般に、フルオロアルミン酸カルシウムは、石灰、ボーキサイト、およびホタル石を、得られる生成物の無機分が3CaO・3Al2O3・CaF2となる量で混合し、得られる混合物を約1,200℃〜1,400℃の温度で燃焼することにより製造する。フルオロアルミン酸カルシウムセメントは、任意選択で、本発明に使用することができるが、概して、多くの実施形態において好ましくない。

硫酸カルシウム 硫酸カルシウムは、本発明のある実施形態におけるジオポリマー結合剤組成物の一成分となる。硫酸カルシウム(例えば硫酸カルシウム二水和物)は水と反応するものの、耐水性生成物を形成しないので、硫酸カルシウムは、本発明にとっての水硬性セメントとは見なされない。本発明で有用な好適な硫酸カルシウムの種類として、硫酸カルシウム二水和物、硫酸カルシウム半水和物、および無水硫酸カルシウム(硫酸カルシウム無水物と呼ぶこともある)が挙げられる。これらの硫酸カルシウムは、天然の供給源に由来するものであってもよいし、産業合成品であってもよい。上記のとおりに用いる場合、硫酸カルシウムは、本発明の好適な実施形態におけるセメント質組成物のその他の基本成分と相乗的に相互作用し、それにより、最終材料に他の有用な性質を付与しつつ、材料収縮を最小限に抑えるのを助ける。

形態学的に異なる種類の硫酸カルシウムを、本発明の様々な実施形態で有益に使い分けることができる。本発明のそのような実施形態におけるジオポリマー結合剤および複合体の性質は、使用した硫酸カルシウムの化学組成、粒子径、結晶形態、ならびに化学および熱処理に基づき、その硫酸カルシウムの種類に大きく依存することがわかった。そのような実施形態におけるジオポリマー結合剤のいくつかある性質の中でも特に、凝結挙動、強度発現速度、終局圧縮強度、収縮挙動、および亀裂耐性は、適切な硫酸カルシウム源を選択して配合することにより、希望どおりにすることができる。したがって、これらの実施形態の組成物に使用される硫酸カルシウムの種類の選択は、最終用途に求められる性質の釣り合いに基づいて行なわれる。

3種の形態の硫酸カルシウム(主に半水和物、二水和物、および無水物)は全て、本発明のいくつかの実施形態における4反応性成分混合物に有用であり、反応成分のうち2種または3種しか含有しない以下の比較例1〜4よりも長い凝結時間および強い圧縮強度という利益をもたらすものの、3種の異なる形態の硫酸カルシウムは、本発明の様々な実施形態において、凝結時間および圧縮強度に対してそれぞれ互いに異なる驚くべき効果を有することがわかった。

硫酸カルシウムでもっとも溶解性の高い化学的形は半水和物であり、続いて比較的溶解性の落ちる形が二水和物であり、さらに比較的不溶性の形が無水物であることは、よく知られている。これら3種の形は全て、それら自身、水性媒体中、適切な条件下で凝結する(二水和物の化学的形態のマトリクスを形成する)ことが知られており、凝結形の凝結時間および圧縮強度は、それらの溶解性の順序に従うことが知られている。例えば、その他全てが同じなら、唯一の凝結する材料として単独で用いられる場合、通常、半水和物の凝結時間が一番短く、無水物の凝結時間が一番長い(典型的には、非常に長い凝結時間である)。

極めて驚いたことに、用いた硫酸カルシウムが主にまたは全て半水和物である実施形態は、凝結時間が最も長く、それに対して、用いた硫酸カルシウムが主にまたは全て無水物である実施形態は、凝結時間が最も短いことがわかった。同じく驚いたことに、様々な実施形態において、用いた硫酸カルシウムが主にまたは全て無水硫酸カルシウム(無水物)であるものは、主に二水和物の形を用いた実施形態よりも初期圧縮強度が強いことがわかった。

他の実施形態のジオポリマー組成物において、2種またはそれより多い種類の硫酸カルシウムのブレンドを用いて、組成物の凝結時間および初期圧縮強度の性質を、用いた硫酸カルシウムが主にまたは全て単一種である実施形態のものと比べて修飾することもできる。そのようなブレンドを用いる場合、用いられる硫酸カルシウムの種類は、それらの化学組成、粒子径、結晶の形と形態、および/または表面処理に依存して変わり得る。

使用される硫酸カルシウムの粒子径および形態は、本発明のいくつかの実施形態におけるジオポリマーセメント質結合剤組成物の若材齢強度および終局強度の発現に大きく影響することがわかった。一般に、硫酸カルシウムの粒子径が小さいほど、若材齢での強度発現が速くなることがわかった。極めて速く強度発現することが望ましい場合、硫酸カルシウムの好適な平均粒子径は、約1〜約100ミクロン、より好ましくは約1〜約50ミクロン、特に好ましくは約1〜約20ミクロンの範囲である。そのうえさらに、硫酸カルシウムは、粒子径が細かくなるほど、材料収縮を抑えることがわかった。

さらに、所定量のスルホアルミン酸カルシウムセメントが他の原材料成分とともに存在する場合、硫酸カルシウム量の増加(ただし過剰な増加ではない)は、本発明のいくつかの実施形態におけるジオポリマー結合剤の若材齢での圧縮強度の向上をもたらすことがわかった。若材齢での圧縮強度の最も劇的な向上は、硫酸カルシウム量がスルホアルミン酸カルシウムセメントの約10〜約50重量%であるときに起こる。

混合物中のスルホアルミン酸カルシウムセメントに比例して存在する硫酸カルシウムの量が、本発明のいくつかの実施形態におけるジオポリマー組成物の材料収縮の度合いに大きく影響することも、期せずしてわかった。好ましくは、これらの実施形態では、硫酸カルシウム量が、スルホアルミン酸カルシウムセメント100重量部に対して約5〜約200重量部である。そのような実施形態においてジオポリマー組成物の材料収縮を最も効果的に制御するためには、硫酸カルシウムの量は、スルホアルミン酸カルシウムセメント100重量部に対して約10〜約100重量部、より好ましくはスルホアルミン酸カルシウムセメント100重量部に対して約15〜約75重量部、特に好ましくはスルホアルミン酸カルシウムセメント100重量部に対して約20〜約50重量部である。

本発明のいくつかの実施形態の組成物においてアルカリ金属活性化剤および他の原材料成分が所定量で存在する場合、硫酸カルシウム二水和物を用いると、材料収縮を最も効果的に制御して最小限に抑えることがわかった。無水硫酸カルシウム(無水物)および硫酸カルシウム半水和物の使用も、そのような実施形態のジオポリマーセメント質結合剤組成物の材料収縮を良好に制御して抑えた。

そのような実施形態の組成物に用いられる硫酸カルシウムを1種類または複数種類選択する場合、その選択は、若材齢での強度発現に望まれる速度、収縮制御、および最終用途に求められる性質の釣り合いに基づいて行なわれる。

多くのそのような実施形態の組成物において、硫酸カルシウムの一部または全部がスルホアルミン酸カルシウムセメントの中の添加剤成分として添加されていてもよい。この場合、組成物に独立して添加される硫酸カルシウムの量は、スルホアルミン酸カルシウムセメントに含まれているのと同じ量だけ減らされる。

組成物の実施形態によっては、硫酸カルシウムはフライアッシュに含まれていてもよい。そのような場合、組成物に独立して添加される硫酸カルシウムの量は、減らすことができる。

本発明のいくつかの実施形態における組成物に独立して添加される硫酸カルシウムの量は、混合物に存在する他の成分に由来する硫酸イオンがどれだけ利用可能であるかに基づいて調節することができる。

ポゾラン 他の任意選択のケイ酸塩およびアルミノケイ酸塩鉱物で、それら自身は水性媒体中でセメント化する性質を実質的にほとんどまたは全く持たないもの(それらはポゾランである)を、本発明のいくつかの実施形態における組成物に、任意選択の鉱物添加剤として含めることができる。様々な天然および人造の材料が、ポゾラン性質を有するポゾラン材料と称されてきた。ポゾラン材料の例として、シリカヒューム、軽石、パーライト、珪藻土、細かく粉砕した粘土、細かく粉砕した頁岩、細かく粉砕した粘板岩、細かく粉砕したガラス、火山性凝灰岩、トラス、および籾殻が挙げられる。これらのポゾラン材料は全て、単独でまたは組み合わせた形で、本発明のいくつかの実施形態におけるセメント質反応性粉末の一部として用いることができる。

フィラー・骨材、無機鉱物フィラー、および軽量フィラー 開示してきたセメント質反応性粉末ブレンドは、本発明の多くの実施形態におけるセメント質組成物の急結成分を規定するものであるが、当業者には当然のことながら、組成物の使用目的および用途に応じて他の材料が組成物に含まれてもよい。

1種または複数のフィラー(砂、細骨材、粗骨材、無機鉱物フィラー、軽量フィラーなど)を、本発明のいくつかの実施形態におけるジオポリマー配合物の成分として用いることができる。そのような実施形態において、こうしたフィラーは、好ましくは、ポゾランでもないし、熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物でもない。

好ましくは、そのような実施形態における無機鉱物フィラーは、苦灰石、石灰石、炭酸カルシウム、粉砕した粘土、頁岩、粘板岩、雲母、およびタルクである。一般に、そのようなフィラーは、粒子径が小さく、本発明のいくつかの実施形態の組成物において、好ましくは、平均粒子直径が約100ミクロン未満、好ましくは約50ミクロン未満、より好ましくは約25ミクロン未満である。スメクタイト粘土およびパリゴルスカイトならびにそれらの混合物は、本発明にとって相当量で用いられる場合、適切な無機鉱物フィラーとは見なさない。

本明細書中使用される場合、細骨材または砂は、典型的には平均粒子径が約4.75mm(0.195インチ)未満の無機岩石材料と定義される(とはいえ、用途に応じて他の径を用いてもよい)。本発明において好ましい砂は、平均粒子径が0.1mm〜約2mmである。平均粒子径が約1mm以下の細砂は、本発明のいくつかの実施形態において好適なフィラーである。

本発明の他の実施形態においては、最大粒子直径が約0.6mm、好ましくは最大で約0.425mmであり、平均粒子直径が約0.1〜約0.5mmの範囲、好ましくは約0.1mm〜約0.3mmの範囲である砂が用いられる、好適な細砂の例として、QUIKRETE細砂No.1961およびUNIMIN5030砂が挙げられるが、これらは主要粒子径がUSふるい番号#70〜#30(0.2〜0.6mm)の範囲にある。

配合物に含まれる砂の粒子径分布および量は、砂を組み込む実施形態のレオロジー挙動を制御する助けとなる。いくつかの実施形態におけるジオポリマーセメント質組成物に、細砂を、約0.05〜約4の砂/セメント質材料(反応性粉末)比で添加することができる。自己平滑化レオロジーを持つ材料を得ることが望ましい場合、配合物中の最も望ましい砂対セメント質材料の比は、約0.50〜約2、より好ましくは約0.75〜約1.5である。

粗骨材は、平均粒子径が少なくとも4.75mm(0.195インチ)、例えば、0.25インチ〜1.5インチ(0.64〜3.81cm)の無機岩石材料と定義される(とはいえ、具体的な用途に応じて他の径を用いてもよい)。用途によっては(例えば、コンクリート舗装など)、1.5インチ(3.81cm)より径の大きい骨材も使用することができる。粗骨材の粒子形および質感は、多様な設定が可能であり、例えば、張っている、きめが粗い、細長い、丸みを帯びた、または滑らか、あるいはそれらの組み合わせが可能である。

好ましくは、粗骨材は鉱物(花崗岩、玄武岩、石英、流紋岩、安山岩、凝灰岩、軽石、石灰石、苦灰石、砂岩、大理石、チャート、フリント、硬砂岩、粘板岩、および/または片麻岩など)でできている。本発明のいくつかの実施形態において有用な粗骨材は、好ましくは、ASTM C33(2011)規格およびAASHTO M6/M80(2008)規格に明示される仕様を満たす。

本発明のいくつかの実施形態におけるジオポリマーセメント質組成物に粗骨材が含まれる場合、それらは、好ましくは約0.25〜約5の骨材対セメント質材料(反応性粉末)比で用いられる。本発明のいくつかの実施形態は、粗骨材を、約0.25〜約1の粗骨材対セメント質材料比で含有する。本発明の他のいくつかの実施形態は、粗骨材を、約1〜約3の粗骨材対セメント質材料比で含有する。

軽量フィラーは、比重が約1.5未満、好ましくは約1未満、より好ましくは約0.75未満、特に好ましくは約0.5未満である。本発明の他のいくつかの好適な実施形態において、軽量フィラーの比重は、約0.3未満、より好ましくは約0.2未満、特に好ましくは約0.1未満である。対照的に、無機鉱物フィラーは、好ましくは、比重が約2.0を超える。有用な軽量フィラーの例として、軽石、バーミキュライト、膨張した形態の粘土、頁岩、粘板岩、およびパーライト、岩滓、膨張スラグ、燃え殻、ガラス微小球、合成セラミック微小球、中空セラミック微小球、軽量ポリスチレンビーズ、中空プラスチック微小球、膨張プラスチックビーズなどが挙げられる。膨張プラスチックビーズおよび中空プラスチック球が本発明のいくつかの実施形態の組成物に用いられる場合、それらは、その比較的軽い比重および具体的な用途を考慮して、重量を基準として適切な量で用いられる。

本発明のいくつかの実施形態の重量を減らすのに軽量フィラーを利用する場合、軽量フィラーは、例えば、約0.01〜約2、好ましくは約0.01〜約1のフィラー対セメント質材料(反応性粉末)比で用いることができる。2種またはそれより多種の軽量フィラーの組み合わせも、本発明のそのような実施形態に有用であるかもしれない。

本発明のいくつかの実施形態は、添加フィラーとして砂のみを含有するが、他の実施形態は、砂および無機鉱物フィラーおよび/または軽量フィラーを含有する。他の実施形態は、添加フィラーとして、無機鉱物フィラーおよび軽量フィラーを含有することができる。さらに、他の実施形態は、添加フィラーとして、砂、無機鉱物フィラー、および軽量フィラーを組み込む。さらに他の実施形態は、無機鉱物フィラーまたは軽量フィラーのみを含有して、砂も細骨材も粗骨材も含有しない。粗骨材を含有する本発明のいくつかの実施形態は、以下のフィラーのうち1種または複数を含むまたは含まないことができる:砂、軽量フィラー、および無機鉱物フィラー。さらに、他の実施形態は、実質的にどのような添加フィラーも完全に含んでいない。

アルカリ金属化学活性化剤 アルカリ金属の塩および塩基は、熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物(フライアッシュなど)、スルホアルミン酸カルシウムセメント、および硫酸カルシウムを含む反応性粉末成分Aを活性化する化学活性化剤として有用である。本発明のいくつかの実施形態に用いられるアルカリ金属活性化剤は、液状でまたは固形で添加することができる。本発明のそのような実施形態における好適なアルカリ金属化学活性化剤は、有機酸の金属塩である。より好適なアルカリ金属化学活性化剤は、カルボン酸アルカリ金属塩である。アルカリ金属水酸化物およびアルカリ金属ケイ酸塩は、本発明のいくつかの実施形態で有用なアルカリ金属化学活性化剤の他のいくつかの例である。あるいは、アルカリ金属水酸化物およびアルカリ金属ケイ酸塩は、カルボン酸(クエン酸など)と併用することも可能であり、併用することで、熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物、スルホアルミン酸カルシウムセメント、および硫酸カルシウムを含む反応性粉末ブレンドを化学的に活性化する。

本発明のいくつかの実施形態において、クエン酸アルカリ金属塩(クエン酸ナトリウムまたはクエン酸カリウムなど)を、熱活性化アルミノケイ酸塩鉱物、スルホアルミン酸カルシウムセメント、および硫酸カルシウムを含む反応性粉末ブレンドと組み合わせて用いることで、周辺温度またはその付近の温度(約20〜25℃)で原材料を混合した後の流動性が比較的良好で硬化が速すぎない混合組成物が得られる。

クエン酸アルカリ金属塩(例えば、クエン酸カリウムまたはクエン酸ナトリウム)の量は、本発明のいくつかの実施形態におけるセメント質反応性成分(すなわち、反応性粉末成分A)100部に対して、約0.5〜約10重量%、好ましくは約1.0〜約6重量%、好ましくは約1.25〜約4重量%、より好ましくは約1.5〜約2.5重量%、さらにより好ましくは約2重量%である。したがって、例えば、100ポンドのセメント質反応性粉末の場合、合計約1.25〜約4ポンドのクエン酸カリウムおよび/またはクエン酸ナトリウムが存在し得る。好適なクエン酸アルカリ金属塩は、クエン酸カリウムおよびクエン酸ナトリウムであり、特にクエン酸三カリウム一水和物、およびクエン酸三ナトリウム無水物、クエン酸三ナトリウム一水和物、クエン酸水素二ナトリウムセスキ水和物、クエン酸三ナトリウム二水和物、クエン酸二ナトリウム、およびクエン酸一ナトリウムである。

好ましくは、凝結活性化剤はアルカノールアミンを含有しない。同じく好ましくは、活性化剤はリン酸化合物を含有しない。

凝結遅延剤 有機化合物(ヒドロキシル化カルボン酸、炭水化物、糖、およびデンプンなど)は、本発明のいくつかの実施形態における好適な凝結遅延剤である。有機酸(クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、グルコン酸、コハク酸、グリコール酸、マロン酸、酪酸、リンゴ酸、フマル酸、ギ酸、グルタミン酸、ペンタン酸、グルタル酸、グルコン酸、タルトロン酸、ムチン酸、トリヒドロキシ安息香酸など)は、いくつかの好適な実施形態における寸法の安定したジオポリマーセメント質結合剤組成物において、凝結遅延剤として有用である。

本発明のいくつかの実施形態において、グルコン酸ナトリウムも有機凝結遅延剤として有用である。セルロース系有機重合体(ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、エチルセルロース(EC)、メチルエチルセルロース(MEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC)、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース(CMHEC)など)も、本発明の組成物のいくつかにおいて、追加の凝結遅延剤として有用である。

これらのセルロース系凝結遅延剤は、本発明のいくつかの実施形態における組成物に添加した場合に、凝結遅延を引き起こすだけでなく、混合物の粘度を大幅に上昇させる。本発明のいくつかの好適な実施形態において、好ましくは、ホウ酸塩またはホウ酸などの無機酸系凝結遅延剤は、相当量では使用しない。なぜなら、そうした凝結遅延剤は、混合物のレオロジーを邪魔し、過剰な風解を引き起こし、さらに材料と他の基材との結合強度を落とすからである。

他の任意選択の凝結制御剤 他の任意選択の凝結制御化学添加剤として、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、硝酸カルシウム、亜硝酸カルシウム、ギ酸カルシウム、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、炭酸リチウム、硝酸リチウム、亜硝酸リチウム、硫酸アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、アルカノールアミン、ポリリン酸化合物などが挙げられる。これらの添加剤は、配合物の一部として含まれている場合に、本発明のいくつかの実施形態におけるジオポリマー結合剤組成物の凝結挙動に影響を及ぼすだけでなく、そのレオロジーにも影響を及ぼす可能性がある。

任意選択の材料、繊維、およびスクリム 他にも任意選択の材料および添加剤を、本発明のいくつかの実施形態におけるジオポリマー結合剤組成物に含めることができる。そのようなものとして、以下からなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる:再分散可能な膜形成重合体粉末、膜形成重合体ラテックス分散液、消泡剤および発泡抑制剤、保水添加剤、凝結制御剤、収縮を減らす混合物、発泡剤および空気連行剤、有機および無機のレオロジー制御剤、粘度調節剤(増粘剤)、風解制御(抑制)剤、腐食制御剤、湿潤剤、着色剤および/または顔料、ばらばらの繊維、連続長繊維および補強材、組織補強材、ポリビニルアルコール繊維、および/またはガラスファイバー、および/または他のばらばらの補強用繊維。

複数種のばらばらの補強用繊維を本発明のある実施形態に従って作られたセメント質ボード組成物に組み込むこともできる。重合体コーティングしたガラス繊維などの材料ならびにポリプロピレン、ポリエチレン、およびナイロンなどの重合体材料でできたスクリムは、セメント系製品を、それらの機能および用途に合わせて補強するのに用いることができる材料の例である。

好ましくは、本発明の多くの好適な実施形態におけるジオポリマー結合剤は、相当量のセメントキルンダストを含まない。セメントキルンダスト(CKD)は、セメントクリンカーの製造中にキルンで生成する。セメントキルンダストは、部分焼結および未反応の原材料、クリンカーダスト、およびアッシュからなる粒子状混合物であり、アルカリ硫酸塩、ハロゲン化物、および他の揮発性成分が豊富に含まれている。こうした粒子は、排気ガスにより捕捉され、粒子状物質制御装置(サイクロン、バグハウス、および電気集塵装置など)に集められる。

CKDは、主に炭酸カルシウムおよび二酸化ケイ素からなり、その点ではセメントキルンの供給原料と似ているが、ダスト中のアルカリ、塩化物、および硫酸塩の量は、通常、大幅に増えている。CKDは、由来する3つの異なる種類の操作(湿式ロング、乾式ロング、および前焼結装置を伴うアルカリバイパス)によって、様々な化学的および物理的特性を有する。湿式ロングキルンおよび乾式ロングキルンで発生するCKDは、キルン供給物が部分焼結した微粒子からなり、アルカリ硫酸塩および塩化物が豊富に含まれている。前焼結装置付きキルンのアルカリバイパスから集められるダストは、それらより粗く、より焼結されていて、アルカリ揮発性成分の濃度も高い傾向にある。しかしながら、アルカリバイパスプロセスは、酸化カルシウム量が重量基準で最大になり、強熱減量(LOI)が最少になる。表(Adaska et al., Beneficial Uses of Cement Kiln Dust, 2008 IEEE/PCA 50th Cement Industry Technical Conf., Miami, FL, May 19−22, 2008での発表より引用)は、3つの異なる種類の操作についての組成概要を示すもので、比較のため、I型ポルトランドセメントに好適な化学組成も含まれている。

流動化剤および空気連行剤 好ましくは、高性能減水剤(流動化剤)が、本発明のいくつかの実施形態における組成物に使用される。それらは、乾燥した形態で添加されても溶液として添加されてもよい。流動化剤は、混合物が必要とする水を減らす助けとなり得る。流動化剤の例として、ポリナフタレンスルホナート、ポリアクリラート、ポリカルボキシラート、ポリエーテルポリカルボキシラート、リグノスルホナート、メラミンスルホナート、カゼインなどが挙げられる。用いられる流動化剤の種類に応じて、流動化剤(乾燥粉末基準で)対反応性粉末ブレンドの重量比は、好ましくは約5重量%以下、好ましくは約2重量%以下、好ましくは約0.1〜約1重量%になる。

ポリカルボキシラートポリエーテルの化学的性質を利用する流動化剤は、本発明のいくつかの実施形態にとって特に好適な化学的減水混合剤である。ポリカルボキシラートポリエーテル流動化剤は、上記で述べたとおりの本発明の様々な目的を達成しやすくするので、特に好適である。

空気連行剤は、本発明のいくつかの実施形態におけるセメント質スラリーに添加されて、in situで気泡を形成する(発泡する)。空気連行剤は、好ましくは、コンクリートに微細な気泡を閉じ込める目的で用いられる界面活性剤である。あるいは、空気連行剤は、いくつかの実施形態における組成物の混合物に混合操作中に導入されて外部から泡を生じることで生成物の密度を下げることを目的として用いられる。好ましくは、外部から泡を生じるため、適切な泡発生装置中で、空気連行剤(液状発泡剤としても知られる)、空気、および水を混合して、泡を形成させる。泡安定剤(ポリビニルアルコールなど)を泡に添加してから、泡をセメント質スラリーに添加することが可能である。

空気連行剤/発泡剤の例として、特にアルキルスルホナート、アルキルベンゾイルスルホナート、およびアルキルエーテルスルファートオリゴマーが挙げられる。これらの発泡剤の一般式についての詳細は、Sucechの米国特許第5,643,510号に見ることができる。米国特許第5,643,510号は、参照として本明細書に援用される。

空気連行剤(発泡剤)として、例えばASTM C 260「コンクリート用空気連行混合剤の標準規格」(Aug. 1, 2006)に記載されるとおりの規格に合っているものなどを用いることができる。そのような空気連行剤は、当業者に周知であり、Kosmatka et al “Design and Control of Concrete Mixtures,” Fourteenth Edition, Portland Cement Association, 具体的には第8章の“Air Entrained Concrete”(米国特許出願公開第2007/0079733号に引用されている)に記載されている。

市販されている空気連行材料として、vinsol樹脂、スルホン化炭化水素、脂肪酸および樹脂酸、脂肪族置換アリールスルホナート(スルホン化リグニン塩など)、および多数の他の界面活性材料であって通常アニオン性または非イオン性界面活性剤の形をとるもの、アビエチン酸ナトリウム、飽和もしくは不飽和の脂肪酸およびその塩、テンシド、アルキルアリールスルホナート、フェノールエトキシラート、リグノスルホナート、樹脂石けん、ナトリウムヒドロキシステアラート、ラウリルスルファート、ABS(アルキルベンゼンスルホナート)、LAS(直鎖アルキルベンゼンスルホナート)、アルカンスルホナート、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテル、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテルスルファートエステルまたはその塩、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテルホスファートエステルまたはその塩、タンパク質材料、アルケニルスルホスクシナート、α−オレフィンスルホナート、α−オレフィンスルホナートのナトリウム塩、またはナトリウムラウリルスルファートもしくはスルホナート、およびそれらの混合物が挙げられる。

好ましくは、空気連行剤(発泡剤)は、セメント質組成物全体の重量の約0.01〜約1重量%である。

生体高分子および有機レオロジー制御剤 スクシノグリカン、デュータンガム、グアーガム、ウェランガム、キサンタンガム、およびセルロースエーテル系有機化合物は、本発明のいくつかの実施形態において、親水コロイドおよびレオロジー制御剤として作用する生体高分子である。合成有機重合体、例えば、ポリアクリルアミド、アルカリ膨潤性アクリル重合体、会合性アクリル重合体、アクリル/アクリルアミド共重合体、疎水性修飾したアルカリ膨潤性重合体、高水膨潤性有機重合体などは、そのような実施形態におけるジオポリマー結合剤組成物にレオロジー制御剤および増粘剤として役立てることができる。

レオロジー制御剤および増粘剤は、会合性および非会合性の両方の種類を、そのような実施形態におけるジオポリマー結合剤組成物に役立てることができる。本発明のそうした実施形態におけるジオポリマー組成物においてレオロジー制御に有用なセルロース系有機重合体の例として、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、エチルセルロース(EC)、メチルエチルセルロース(MEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC)、およびカルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース(CMHEC)が挙げられる。上記の有機レオロジー制御剤および増粘剤は、冷水にも熱水にも溶解する。これらの添加剤は、保水剤としても作用するので、材料のレオロジーを制御するだけでなく、材料の分離および浮き水を最小限に抑える。

無機レオロジー制御剤 本発明のいくつかの実施形態におけるジオポリマーセメント質組成物は、フィロケイ酸塩ファミリーに属する無機レオロジー制御剤も含むことができる。こうした実施形態に特に有用な無機レオロジー制御剤の例として、パリゴルスカイト、セピオライト、スメクタイト、カオリナイト、およびイライトが挙げられる。特に有用なスメクタイト粘土の例として、ヘクトライト、サポナイト、およびモンモリロナイトが挙げられる。異なる種類のベントナイト粘土も、天然のものも化学処理したものも含めて、こうした実施形態の組成物のレオロジー制御に用いることができる。そのような添加剤は、保水剤としても作用するので、材料の分離および浮き水を最小限に抑える。無機レオロジー制御剤は、本発明のいくつかの実施形態において、有機レオロジー制御剤の不在下でまたはそれと併用して添加することができる。

膜形成重合体添加剤 本発明のいくつかの実施形態において、好適な再分散可能な膜形成重合体粉末は、ラテックス粉末である。これらの重合体粉末は、水に再分散可能であり、重合体水性分散液(ラテックス)の噴霧乾燥により生成する。

ラテックスは、乳化重合体である。ラテックスは、重合体の水性分散液であり、産業用途で広く用いられている。ラテックスは、重合体微粒子が水性媒体に分散した安定な分散液(コロイド乳濁液)である。つまり、ラテックスは、ゴムまたはプラスチック重合体微粒子が水に懸濁/分散している懸濁液/分散液である。ラテックスは、天然物でも合成物でもよい。

ラテックスは、好ましくは、純粋なアクリル共重合体、スチレンゴム共重合体、スチレンブタジエンゴム共重合体、スチレンアクリル共重合体、ビニルアクリル共重合体、またはアクリル化エチレン酢酸ビニル共重合体でできており、より好ましくは純粋なアクリル共重合体である。好ましくは、ラテックス重合体は、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、およびメタクリル酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種のアクリル単量体に由来する。例えば、乳化重合に用いるのに好適な単量体として、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、他のアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、およびそれらのブレンド、アクリル酸、メタクリル酸、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、酢酸より高級のカルボン酸ビニルエステル(例えばVersatic酸のビニルエステル)、アクリロニトリル、アクリルアミド、ブタジエン、エチレン、塩化ビニルなどの単量体、ならびにそれらの混合物が挙げられる。

例えば、ラテックス重合体は、アクリル酸ブチル/メタクリル酸メチル共重合体またはアクリル酸2−エチルヘキシル/メタクリル酸メチル共重合体が可能である。好ましくは、ラテックス重合体は、さらに、スチレン、α−メチルスチレン、塩化ビニル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、メタクリル酸ウレイド、酢酸ビニル、分岐した第三級モノカルボン酸のビニルエステル、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、エチレン、およびC4−C8共役ジエンからなる群より選択される1種または複数の単量体に由来する。

風解抑制剤 本発明のいくつかの実施形態におけるセメント質組成物に撥水剤(シラン、シリコーン、シロキサン、ステアリン酸化合物など)を添加して、材料の風解可能性を低下させることができる。有用な風解抑制剤として例を選択して挙げると、オクチルトリエトキシシラン、カリウムメチルシリコナート、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸重合体がある。これらの風解制御剤は、硬化した材料内での水の移行を低下させ、それにより、潜在的に風解を引き起こす可能性がある塩その他溶解性化学物質の移動を最小限に抑える。過剰な風解は、塩の蓄積および塩の水和によって生じる外観の劣化、材料の崩壊、ならびに膨張反応による損傷、ならびに他の基材および表面被覆材との結合強度の低下を導く可能性がある。

消泡剤 本発明のいくつかの実施形態におけるジオポリマーセメント質組成物に、消泡剤を添加することで、連行される空気の量を減らし、材料強度を上げ、材料と他の基材との結合強度を上げること、および表面の美観が重要な基準である用途において無傷の表面を作ることができる。本発明のいくつかの実施形態におけるジオポリマー組成物に有用な適切な消泡剤の例として、ポリエチレンオキシド、ポリエーテルアミン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アルコキシラート、ポリアルコキシラート、脂肪アルコールアルコキシラート、疎水性エステル、トリブチルホスファート、アルキルポリアクリラート、シラン、シリコーン、ポリシロキサン、ポリエーテルシロキサン、アセチレンジオール、テトラメチルデシンジオール、第二級アルコールエトキシラート、シリコーン油、疎水性シリカ、油類(鉱物油、植物油、白色油)、ワックス(パラフィンワックス、エステルワックス、脂肪アルコールワックス)、アミド、脂肪酸、脂肪酸ポリエーテル誘導体などが挙げられる。

初期スラリー温度 本発明のいくつかの実施形態において、温度安定性の改善のため、およびより重要なことにはゲル化および凝結終了時間を約10〜約240分、より好ましくは約60〜約120分、特に好ましくは約30〜約60分かかるようにするため、初期結合剤混合物スラリー温度が高くなく、最終結合剤混合物スラリー温度が上昇しても約50°F(28℃)に到達しない、より好ましくは上昇しても約40°F(22℃)に到達しない、より好ましくは上昇しても約30°F(17℃)に到達しない条件下でスラリーを形成することが好ましく、そうすることにより結合剤組成物を商業的に利用する場合の作業可能時間がより制御できる。初期スラリー温度は、好ましくは室温程度である。

スラリーの初期温度が上昇すると、反応の進行による温度上昇の速度が上がり、凝結時間が短くなる。したがって、ゲル化時間および凝結時間を短くするために従来のフライアッシュ系ジオポリマー結合剤組成物の調製で用いられていた95°F(35℃)〜105°F(41.1℃)という初期スラリー温度は、本発明のいくつかの実施形態において避けたほうが好ましい。なぜなら、組成物の配合は、混合物が初期スラリー温度から温度を上昇させる挙動を減らすように設計されているからである。初期スラリー温度がすでに比較的高温である場合、本発明の多くの実施形態で達成される、組成物の初期ゲル化時間および凝結終了時間を延ばし、ひいては、商業的作業性を向上させる熱安定性の利点が、いくぶん損なわれる可能性がある。

「初期温度」は、セメント質反応性粉末、活性化剤、および水が初めて全て混合物中に存在してから最初の1分間の混合物全体の温度と定義される。当然、混合物全体の温度は、この最初の1分間の間に変化し得るが、好適な温度安定性を達成する目的で、この温度は、約0〜約50℃の初期温度範囲、より好ましくは約10〜約35℃の初期温度範囲、さらにより好ましくは約15〜約25℃の初期温度範囲、好ましくは周辺温度の範囲内にとどまることが好ましい。

材料発熱および温度上昇挙動 本発明のいくつかの実施形態における組成物は、有利なことに、養生段階中の材料内での発熱が中等度であり、温度上昇が少ない。本発明のいくつかの実施形態におけるそのような組成物において、材料内で起こる最大温度上昇は、好ましくは約50oF(28℃)未満、より好ましくは約40oF(22℃)未満、特に好ましくは約30oF(17℃)未満である。これにより、材料の過剰な熱膨張およびその結果として生じる亀裂および崩壊を防ぐことができる。この態様は、実際の現場で材料にかなり厚みを持たせて流すことが関わるような材料の使い方をする場合に、よりいっそうの利点となる。本発明のジオポリマーセメント質組成物は、実際の現場で示す温度膨張が少なく温度ひび割れの耐性が向上しているので、この特定の態様において有益である。

本明細書の実施例においては、上述したように、明示的に別段の定めがない限り、組成物又は配合表の百分率は重量%である。報告された測定値もまた、明示的に定めがない限り近似量であり、例えば近似百分率、重量、温度、距離又は他の性質である。また、特に指示がない限り、CTSセメントカンパニー(CTS Cement Company)社から入手可能なファストロック(FASTROCK)500ブランドのスルホアルミン酸カルシウムセメントを、セメント質反応性粉末の成分として用いる。ファストロック500は約5ミクロンの平均粒径を有し、粒子の95%が約25ミクロンより細かい。ファストロック500の測定ブレーン粉末度は約6780cm2/gであった。ファストロック500の酸化物組成を分析し、表AAに示す。

実施例で用いられるファストロック500スルホアルミン酸カルシウムセメント中に存在する主要相には、C4A3S、C2S、C4AFおよびCSが含まれる。

全ての実施例において、特に指示がない限り、フライアッシュは、キャンベルパワープラント(Campbell Power Plant)社(ミシガン、ウェストオリーブ)のC級フライアッシュである。このフライアッシュは、約4ミクロンの平均粒径を有する。フライアッシュの測定ブレーン粉末度は約4300cm2/gである。これらの実施例で用いられるC級フライアッシュの酸化物組成を表AAに示す。

多数の実施例に含まれる硫酸カルシウム二水和物は、本明細書において石膏粉又は細粒石膏粉と称する、ユナイテッドステイツジプサムカンパニー社(United States Gypsum Company)から入手可能な細粒硫酸カルシウム二水和物である。この細粒石膏粉は、約15ミクロンの平均粒径を有する。

実施例のいくつかに含まれる無水硫酸カルシウム(無水石膏)は、ユナイテッドステイツジプサムカンパニー社から入手可能なSNOW WHITEブランドのフィラーである。このUSG社のSNOW WHITEフィラーは、硫酸カルシウム、典型的には石膏の高温熱処理により製造される無水石膏の不溶性形態である。SNOW WHITEは、極めて低レベルの化学的に結合した水分を、好ましくは約0.35%で有する。USG社のSNOW WHITEフィラーの平均粒径は約7ミクロンである。

多数の実施例に含まれる硫酸カルシウム半水和物は、ユナイテッドステイツジプサムカンパニー社から入手可能なUSGハイドロカル(HYDROCAL)Cベースブランドの硫酸カルシウム半水和物である。ハイドロカルCベースは、ブロック様の結晶ミクロ構造および低所要水量を有する硫酸カルシウム半水和物のアルファ形態である。このUSGハイドロカルCベースは、約17ミクロンの平均粒径を有する。

本明細書において粗石膏粉又は粗粒石膏粉とも称する、多数の実施例で用いられる粗粒硫酸カルシウム二水和物を、取引名USGベン・フランクリン(BEN FRANKLIN)AGブランドの粗石膏としてユナイテッドステイツジプサムカンパニー社から調達した。このUSGベン・フランクリンAGブランドの石膏は、約75〜約80ミクロンの平均粒径を有する粗粒硫酸カルシウム二水和物である。

多数の実施例に含まれる細粒硫酸カルシウム二水和物は、ユナイテッドステイツジプサムカンパニー社のUSGテラアルバF&P(USG Terra Alba F&P)ブランドである。このUSGテラアルバF&Pフィラーは、平均粒径が約13ミクロンの高純度硫酸カルシウム二水和物である。

いくつかの実施例に含まれるQUIKRETE細粒No.1961細砂は、表BBに示されるような粒径を有する。

いくつかの実施例に含まれるUNIMIN5030砂は、表BBに示されるような粒径を有する。

クエン酸カリウム又はクエン酸ナトリウムは、本発明のいくつかの実施形態のセメント質組成物の実施例のいくつかに添加されるアルカリ金属クエン酸塩であり、化学活性化剤、レオロジー改質剤および凝結調節剤として作用する。

本明細書において報告される凝結開始時間および凝結終了時間は、ASTM C266(2008)規格に準拠し、Gilmore針を使用して測定された。

本発明のいくつかの実施形態のセメント系ジオポリマー組成物のスランプおよび流動挙動を、スランプ試験によりキャラクタライズする。本明細書で用いるスランプ試験では、一方の開放端を滑らかなプラスチック面につけて垂直に保持した、直径約5.08cm(2インチ)、長さ約10.16cm(4インチ)の中空円筒を利用する。この円筒の最上部にまでセメント系混合物を詰め、続いて上面を切り落として余分なスラリー混合物を除去する。次に、この円筒を垂直にそっと持ち上げるとスラリーが底から出てプラスチック面上で広がって円形のパテを形成する。次に、このパテの直径を測定し、材料のスランプとして記録する。本明細書において、良好な流動挙動を有する組成物ではスランプ値が大きくなる。スラリーの流動は1から10の尺度でスラリーの流動性を評価することでキャラクタライズされ、値1は流動挙動が極めて不良であることを表し、値10は優れた流動挙動であることを表す。

本明細書におけるような材料収縮率(本明細書では「収縮率」とも称する)は、ASTM C928(2009)試験規格に準拠して角柱試料の長さ変化を測定することでキャラクタライズされる。初期長さの測定を、水を含めた個々の原料成分を合わせてから4時間後に行う。最終測定を、水を含めた成分を合わせてから8週間後に行う。初期測定値と最終測定値との差を初期の長さで割り、100%をかけると収縮度が百分率で得られる。1インチx1インチ(断面)長さ変化角柱試料は本明細書においてバーとも称され、ASTM C157(2008)規格に準拠して用意される。

本明細書で使用するような材料の圧縮強度をASTM C109(2008)試験法に準拠し、2インチx2インチx2インチの立方体の圧縮下での崩壊を試験することで測定する。これらの立方体は硬化後に真鍮製の型から外され、試験時まで密封したビニール袋内で養生される。立方体を、注型から約4時間、約24時間、約7日および約28日目の材齢で試験する。いくつかの実施例においては、ビニール袋内での28日間の養生完了後、立方体を7日間にわたって飽水に供する。これらの立方体を、水から取り出して表面を乾燥させた直後に、飽水条件下、圧縮下で試験する。

本明細書におけるようなスラリー温度上昇挙動を、準断熱条件下、スラリーを断熱容器に入れ、熱電対を使用して材料温度を記録することで測定する。

実施例の多くが、熱活性化アルミノシリケートミネラル(フライアッシュ)、スルホアルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウムおよびアルカリ金属化学活性化剤を含む本発明のいくつかの実施形態の開発されたジオポリマーセメント質組成物の物理的特性を示す。ここでは、硫酸カルシウムおよびアルカリ金属化学活性化剤と組み合わせてスルホアルミン酸カルシウムセメントを組み込むことが、本発明のいくつかの実施形態の開発されたジオポリマーセメント質組成物の材料収縮挙動、若材齢圧縮強度、極限圧縮強度、発熱挙動および凝結特性に及ぼす影響について説明する。

本発明のいくつかの実施形態の組成物は養生中に穏やかな発熱および小さい温度上昇を材料内で起こし、有利である。このような組成物において、材料内での最大温度上昇幅は好ましくは約50°F(28℃)未満、より好ましくは約40°F(22℃)未満、より一層好ましくは約30°F(17℃)未満である。これが材料の過剰な熱膨張とその結果としての亀裂および崩壊を防止する。このことは、実際の現場での適用において材料を厚く流し込む形で利用する場合により一層有益となる。後述するように調査した本発明のジオポリマーセメント質組成物はこの特定の見地において有益であり、これは実際の現場での適用において本発明のジオポリマーセメント質組成物の熱膨張が小さくなり、また熱亀裂に対してより高い耐性を示すからである。

本発明のいくつかの実施形態の発明の組成物は、良好な加工性を得るための長い凝結時間も達成する。材料の可使時間(ポットライフ)が短いと、実際の現場での適用時に使用する機器およびツールによる急速凝結材料の加工に著しい困難が生じることから、極端に短い凝結時間は、応用するには本発明のいくつかの実施形態にとって問題となる。

実施例1:公知のジオポリマーセメント質組成物の比較例 以下の実施例では、C級フライアッシュおよびアルカリ金属クエン酸塩を含む比較用セメント質組成物の物理的特性について説明する。試験結果は、表1に挙げたセメント質組成物の収縮挙動、初期および極限圧縮強度並びに凝結挙動を示す。3種の混合物は全てクエン酸カリウムで活性化され、また様々な量の砂を含有した。3種の混合物は全て、約100重量部のフライアッシュクラスCおよび約100重量部の全セメント質材料を有した。言い換えると、セメント質材料は全てフライアッシュクラスCであった。

図1Aは、比較例1で調査したセメント質組成物の収縮挙動を示す。

収縮率の測定を、原料を混合し、注型してから4時間の材齢で開始した。アルカリ金属クエン酸塩で活性化させたフライアッシュ組成物が極めて高い収縮量を示したことを観察することができる。測定最大収縮率は、約75°F/50%RHでの8週間の養生後に約0.75%もの高さであると判明した。砂含有量の増加により収縮の度合いは低下したものの、全体としての収縮率は依然として極めて高いレベルのままであった。このような高いレベルの材料収縮により、この材料は殆どの建築用途にとって完全に不満足なものとなる。殆どの建築用途にとって、約0.10%を超える収縮率は高く且つ望ましくないとみなされることに留意すべきである。

材料の初期流動挙動、スランプおよび若材齢亀裂挙動 表2は、比較例1で調査したセメント質組成物の初期流動挙動およびスランプを示す。

アルカリ金属クエン酸塩で活性化されたフライアッシュ組成物は、砂/セメント比約0.75%で良好な流動挙動を有した。砂/セメント比を約1.5まで上昇させると、スラリーはその流動度を若干喪失した。砂/セメント比約2.5で、混合物は極端に堅練りとなり、流動特性を喪失した。

図1Bは、比較例1で調査した混合物1についてのスランプパテ写真である。乾燥させると、このスランプパテには著しい亀裂が生じた。パテにおける亀裂の発生は、スランプ試験から約30分未満で起きた。亀裂の数および亀裂のサイズは、続く材料の乾燥および硬化に伴って増大した。

凝結時間 表3は、比較例1で調査したセメント質組成物の凝結挙動を示す。

この実施例のセメント質組成物は、極めて急速な凝結挙動を有した。全ての混合物は極めて迅速にゲル化し、原料を混ぜ合わせて水性スラリーを調製してから約5分未満で流動挙動を喪失した。

圧縮強度 表4は、比較例1で調査したセメント質組成物の圧縮強度挙動を示す。全てのフライアッシュ組成物が、約28日目に約7000psiを越える圧縮強度発現を示した。

実施例2:比較例 この実施例では、フライアッシュおよびアルカリ金属クエン酸塩を含む比較用セメント質組成物の初期寸法安定性および亀裂耐性を調査する。表5は、調査した混合組成物の原料組成を示す。混合物はクエン酸ナトリウムで活性化され、様々な量の砂を含有した。混合物は、約100重量部のフライアッシュクラスCおよび約100重量部の全セメント質材料を有した。言い換えると、セメント質材料は全てフライアッシュクラスCであった。

材料の若材齢亀裂挙動 図2Aは、比較例2で調査した混合物についてのスランプパテ写真である。乾燥させると、このスランプパテには著しい亀裂が生じた。パテにおける亀裂の発生は、スランプ試験から約30分未満で起きた。亀裂の数および亀裂のサイズは、続く材料の乾燥および硬化に伴って著しく増大した。

比較例2の組成物の圧縮強度挙動 表5Aは、比較例2における混合物の圧縮強度挙動を示す。組成物の若材齢圧縮強度は相対的に低く、4時間で約500psi未満、24時間で約2000psi未満であった。実施例において後に示されるように、本発明の実施形態のジオポリマー組成物は著しく高い圧縮強度をこの同じ初期に同等の水/セメント比で発現する。本発明の特定の実施形態の実施例において示されるように、本発明の実施形態の組成物で使用する硫酸カルシウムのタイプおよび量、スルホアルミン酸カルシウムセメントの量並びにアルカリ金属活性化剤のタイプおよび量の調節により、若材齢圧縮強度を容易に望み通りのものにすることができる。

実施例3:比較例 この実施例では、フライアッシュおよびアルカリ金属クエン酸塩を含む比較用セメント質組成物の初期寸法安定性および亀裂耐性を調査した。表5は、調査した混合組成物の原料組成を示す。

材料の若材齢亀裂挙動 図3Aは、比較例3で調査した混合物についてのスランプパテ写真である。乾燥させると、このスランプパテには著しい亀裂が生じた。パテにおける亀裂の発生は、スランプ試験から約30分未満で起きた。

比較例3の組成物の圧縮強度挙動 表5Bは、比較例3の混合物の圧縮強度挙動を示す。組成物の若材齢圧縮強度は相対的に低く、4時間で約500psi未満、約1500psi未満であった。本発明の実施形態の後出の実施例において示されるように、本発明の組成物で使用する硫酸カルシウムのタイプおよび量、スルホアルミン酸カルシウムセメントの量並びにアルカリ金属活性化剤のタイプおよび量の調節により、若材齢圧縮強度を望み通りのものにすることができる。

収縮挙動 図3Bは、比較例3のセメント質組成物の極若材齢収縮挙動を示す。

極若材齢収縮率の測定を、原料を混合し、注型してから1時間の材齢で開始した。アルカリ金属クエン酸塩で活性化させたフライアッシュ組成物は、極めて高い収縮量を示した。測定最大収縮率は、約75°F/50%RHでの8週間の養生後に約1%を超えることが判明した。このような高いレベルの材料収縮により、この材料は殆どの建築用途にとって不満足なものとなる。殆どの建築用途にとって、約0.10%を超える収縮率は望ましくないほどに高いとみなされる。

実施例4:フライアッシュへのスルホアルミン酸カルシウムセメントの添加−比較例 この実施例は、フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメントおよびアルカリ金属クエン酸塩を含むセメント質組成物の物理的特性を示す。ここでは、スルホアルミン酸カルシウムセメントを組み込むことが、フライアッシュおよびアルカリ金属クエン酸塩を含むセメント質組成物の収縮率および亀裂耐性に及ぼす影響について研究した。

表6、7は、この実施例で調査した様々なセメント系混合物1〜4の原料組成を示す。様々な混合組成物で使用したスルホアルミン酸カルシウムセメントの量は、フライアッシュの重量の約20〜約80重量%と様々であった。

材料の初期流動挙動、スランプおよび若材齢亀裂挙動 表8は、実施例4で調査したフライアッシュとスルホアルミン酸カルシウムセメントとの2成分ブレンドの初期流動挙動およびスランプを示す。スランプ試験において観察されたように、調査した混合物は全て良好な流動挙動および大きいパテ直径を有した。

図4Aは、実施例4で調査した混合物1、2についてのスランプパテ写真である。図4B、4Cはそれぞれ、実施例4で調査した混合物3、4についてのスランプパテ写真である。乾燥させると、全てのスランプパテに著しい亀裂が生じた。パテにおける亀裂の発生は、原料を混合してからたった約10分で起き始めた。亀裂の数および亀裂のサイズは、続く材料の乾燥および硬化に伴って著しく増大した。スルホアルミン酸カルシウムセメント量が最も少ない混合物1に生じた亀裂量が最も少なかった。アルカリ金属クエン酸塩で活性化させたフライアッシュ組成物へのスルホアルミン酸カルシウムセメントの添加は、乾燥および硬化させると過度の亀裂を起こしやすい、寸法安定性を欠いた材料につながった。

収縮挙動 調査する混合物の収縮挙動のキャラクタリゼーションを行うために、直方体の試料を注型した。図4Dは、注型から約4時間後に撮影された、混合物1、混合物2(試料2−1、2−2)、混合物3(試料3−1、3−2)および混合物4(試料4−1、4−2)(左から右へ)についての試料の写真である。図4Dは、注型された全ての角柱試料が型内でひび割れたことを示す。全てのバーが極めて著しく収縮し、注型から数時間以内に(離型前に)型内でひび割れた。亀裂幅を測定し、これらの混合物についての総収縮量が試料材齢約24時間で約1.0%を超えると判明した。

実施例5 この調査の目的は、本発明のいくつかの実施形態のジオポリマー結合剤組成物における、様々な量で硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)を組み込むことの影響を研究することであった。

表9、10は、この実施例で調査したジオポリマーセメント系混合物の原料組成を示す。この実施例の混合組成物で使用のスルホアルミン酸カルシウムセメントの量は、フライアッシュの重量の約40重量%に等しかった。硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)を、調査した混合組成物における異なる量レベル(スルホアルミン酸カルシウムセメントの重量の約25、約50、約75および約100重量%)で添加した。この実施例で用いる水/セメント質材料比を0.25で一定に維持した。

材料の初期流動挙動、スランプおよび若材齢亀裂挙動 表11は、実施例5で調査したフライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)およびアルカリ金属クエン酸塩を含む本発明のいくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物の初期流動挙動およびスランプ特性を示す。スランプ試験における大きいパテ直径によって示されるように、調査した全ての混合組成物が良好な自己平滑化性および流動挙動を有したことをはっきりと観察することができる。そのような大きいスランプ値および自己平滑化挙動が約0.25と低い水/セメント質材料比であっても得られたことは特に注目に値する。

図5Aは、実施例5で調査した本発明のいくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物についてのスランプパテ写真である。この実施例のスランプパテには、乾燥させても、硫酸カルシウム二水和物(石膏粉)を含有しない比較例4のセメント系混合物で起きたような亀裂が生じなかった。このため、フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメントおよびアルカリ金属クエン酸塩を含むセメント系混合物に硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)を組み込むことで、亀裂への優れた耐性を有する寸法の安定したジオポリマーセメント質組成物が得られる。

収縮挙動 図5Bは、実施例5で調査した本発明のいくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物の収縮挙動のグラフである。この調査の主な目的は、細粒硫酸カルシウム二水和物の形態の硫酸カルシウムと組み合わせてスルホアルミン酸カルシウムセメントを組み込むことが、本発明のいくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物の収縮挙動に及ぼす影響を研究することであった。

収縮率の測定を、原料を混合して水性スラリーを調製してから約4時間の材齢で開始した。材料収縮率を、材料を約75°F/50%RHで養生しながら、全部で約8週間にわたって測定した。

以下の結論を、この調査および図5Bから導きだすことができる。

硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)の組み込みは、フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメントおよびアルカリ金属クエン酸塩を更に含む本発明のいくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物の亀裂耐性および寸法安定性の改善に著しい影響を及ぼした。離型すらしていないのにひび割れた比較例4の収縮バー(硫酸カルシウム二水和物を含有しない)とは逆に、硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)を含む実施例5の収縮バーは安定しており、離型前も離型後も、バーにおいて許容範囲を超えた寸法安定性又は望ましくない収縮を示唆する亀裂を見せなかった。

フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)およびアルカリ金属クエン酸塩を含む本発明のいくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物の測定最大収縮率は、フライアッシュおよびアルカリ金属クエン酸塩だけを含有する比較用セメント質組成物(実施例1)のものより著しく低かった。例えば、フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)およびアルカリ金属クエン酸塩を含む本発明のいくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物は、フライアッシュおよびアルカリ金属クエン酸塩だけを含有する比較用混合物(実施例1)についての最大収縮率約0.75%に対して最大測定収縮率約0.07〜約0.13%を有した。したがって、フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメントおよびアルカリ金属クエン酸塩を含むセメント質組成物への、細粒石膏粉の形態の硫酸カルシウム二水和物の添加は、材料収縮率を極めて著しく低下させるのに役立つと結論づけることができる。

約25重量%の少ない硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)量で、75°F/50%RHでの8週間の養生後、測定最大収縮率は約0.13%であった。本発明のいくつかの実施形態のセメント質組成物における硫酸カルシウム(細粒石膏粉)量が更に増加すると、材料収縮率が極めて著しく低下した。硫酸カルシウム(細粒石膏粉)量が約50重量%だと、測定最大材料収縮率が約0.08%に低下した。同様に、硫酸カルシウム(細粒石膏粉)量が約75重量%および約100重量%だと、測定最大材料収縮率が更に約0.07%まで低下した。

発熱およびスラリー温度上昇挙動 図5Cは、実施例5で調査した本発明のいくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物の発熱およびスラリー温度上昇挙動のグラフである。フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)およびアルカリ金属クエン酸塩を含む実施例5のセメント質組成物は、ごく穏やかな温度上昇挙動を示した。養生段階中の材料内での穏やかな発熱および小さい温度上昇は、材料の過剰な熱膨張並びにその結果としての亀裂および崩壊の防止に効果的である。このことは、実際の現場での適用において材料を厚く流し込む形で利用する場合により一層有益となる。この実施例で調査した本発明のいくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物はこの特定の見地において極めて有益であると開示され、これは実際の現場での適用において熱膨張が小さくなり、また熱亀裂に対してより高い耐性を示し得るからである。

凝結時間 表11は、実施例5で調査した本発明のいくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物の凝結時間の棒グラフである。

実施例5で調査したセメント質組成物は全て急速な凝結挙動を有し、終了時間は約20〜約40分であった。フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)およびアルカリ金属クエン酸塩を含む本発明のいくつかの実施形態の開発されたセメント質組成物は、実施例1で見られるようなフライアッシュおよびアルカリ金属クエン酸塩だけを含む比較用セメント質組成物より相対的に長い凝結時間を有した。実施例1のフライアッシュおよびアルカリ金属クエン酸塩を含む比較用セメント質組成物の場合、終了時間は約15分であった。極端に短い凝結時間は、用途によっては本発明のいくつかの実施形態にとって問題となるが、これは可使時間(ポットライフ)が短くなり、実際の現場での適用時に急速凝結材料の加工および打設に著しい困難が生じるからである。

この実施例で示す本発明の実施形態において、予期せぬことに、アルミノシリケートミネラル、アルカリ金属活性化剤、スルホアルミン酸カルシウムセメントおよび硫酸カルシウムを混合すると、得られる反応は2つの別々の反応より発熱が少ないものとなり、またゲル化時間および硬化時間が著しく延びることが判明した。

また、説明の段落で上述したようにアルミノシリケートミネラルおよびアルカリ金属活性化剤をスルホアルミン酸カルシウムセメントおよび硫酸カルシウムと共に反応させると、材料収縮率が著しく低下することが判明した。

圧縮強度 表12は、実施例5で調査したフライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)およびアルカリ金属クエン酸塩を含む本発明のいくつかの実施形態の開発されたジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度挙動を示す。

この実施例では、細粒石膏粉の形態の硫酸カルシウムと組み合わせてスルホアルミン酸カルシウムセメントを組み込むことが、本発明のいくつかの実施形態の開発されたジオポリマーセメント質組成物の初期および極限圧縮強度挙動の両方に及ぼす影響を研究した。データは以下のことを示す。

本発明のいくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度は、時間と共に上昇し続けた。

混合物の若材齢(約4時間および約24時間)強度は、セメント質組成物中の硫酸カルシウム(石膏粉)量の増加に伴って上昇した。

材料の初期4時間後圧縮強度は、本発明のいくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物の成分として細粒石膏粉の形態の硫酸カルシウム二水和物を使用すると約1500psiを越えた。さらに、細粒石膏粉の形態の硫酸カルシウム二水和物をより多い量で含有する混合物3および混合物4の4時間後圧縮強度は約3000psiより高かった。

材料の初期、すなわち材齢24時間での圧縮強度は、本発明のいくつかの実施形態の調査対象であるジオポリマーセメント質組成物の成分として細粒石膏粉の形態の硫酸カルシウムを使用すると約3500psiを越えた。さらに、硫酸カルシウム(細粒石膏粉)をより多い量で含有する混合物3および混合物4の材齢24時間での圧縮強度は約4500psiより高かった。

本発明のいくつかの実施形態の全てのジオポリマーセメント質組成物の材齢28日での圧縮強度は極めて高く、5000psiを越えた。混合物1〜3の材齢28日での圧縮強度は約6000psi以上であった。

実施例6 この調査の目的は、本発明のいくつかの実施形態のジオポリマー結合剤組成物における、様々な量で硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)を組み込むことの影響を研究することであった。

表14は、この実施例で調査したジオポリマーセメント系混合物の原料組成を示す。この実施例の混合組成物で使用のスルホアルミン酸カルシウムセメントの量は、フライアッシュの重量の40重量%に等しかった。硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)を、調査した様々な混合組成物中のスルホアルミン酸カルシウムセメントの重量の125、150、175および200重量%、フライアッシュの50、60、70および80重量%の異なる量レベルで添加した。この実施例で用いる水/セメント質材料比を0.25で一定に維持した。QUIKRETE商用グレード細砂No.1961およびBASF社のCASTAMENT FS20高性能減水剤も添加した。

材料の初期流動挙動、スランプおよび若材齢亀裂挙動 表15は、実施例6で調査したフライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム(細粒石膏粉)およびアルカリ金属クエン酸塩を含む本発明のいくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物の初期流動挙動およびスランプ特性を示す。

スランプ試験において観察されたように、調査した全ての混合組成物が良好な自己平滑化性、流動挙動および大きいパテ直径を有した。大きいスランプおよび自己平滑化挙動は、約0.25と低い水/セメント質材料比であっても得られた。

この実施例のスランプパテは、乾燥させても、硫酸カルシウム二水和物(石膏粉)を含有しない比較例4のセメント系混合物とは対照的に、亀裂を生じなかった。このため、フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメントおよびアルカリ金属クエン酸塩を含むセメント系混合物に硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)を組み込むことで、乾燥時の亀裂に対する優れた耐性を有する寸法安定性ジオポリマーセメント質組成物が得られると結論づけることができる。

収縮挙動 図6Aは、実施例6で調査した本発明のいくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物の収縮挙動を示す。この実施例で得られた結果は、細粒硫酸カルシウム二水和物およびアルカリ金属クエン酸塩と組み合わせてスルホアルミン酸カルシウムセメントを組み込むことが、本発明のいくつかの実施形態の開発されたジオポリマーセメント質組成物の収縮挙動に及ぼす相乗的影響を示す。

収縮率の測定を、原料を混合して水性スラリーを調製してから約4時間の材齢で開始した。材料収縮率を、材料を約75°F/50%RHで養生しながら、全部で8週間にわたって測定した。

以下の重要な結論を、この調査および図6Aから導きだすことができる。

細粒石膏粉の形態の硫酸カルシウム二水和物の組み込みは、フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメントおよびアルカリ金属クエン酸塩を含む本発明のいくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物の亀裂耐性および寸法安定性の改善に著しい影響を及ぼした。離型すらしていないのにひび割れた比較例4の収縮バー(硫酸カルシウムを含有しない)とは逆に、硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)を含む実施例6の収縮バーは完全に安定しており、離型前も離型後もひび割れなかった。

フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)およびアルカリ金属クエン酸塩を含む本発明のいくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物の測定最大収縮率は、フライアッシュおよびアルカリ金属クエン酸塩だけを含むセメント質組成物(実施例1)のものより著しく低かった。例えば、フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)およびアルカリ金属クエン酸塩を含む本発明のいくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物は、フライアッシュおよびアルカリ金属クエン酸塩だけを含む混合物(実施例1)についての最大収縮率約0.75%に対して最大収縮率約0.09〜約0.12%を有した。したがって、フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメントおよびアルカリ金属クエン酸塩を含むセメント質組成物への硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)の添加は、材料収縮率を著しく低下させるのに役立つ。

この実施例で用いるレベルでの石膏粉量レベルの上昇は、材料の最大収縮率における若干の上昇を招いた。約125重量%の石膏粉量では、材料収縮率が約0.09%であったと観察することができる。石膏粉量が約200重量%まで増加すると、材料収縮率は約0.12%まで上昇した。

発熱およびスラリー温度上昇挙動 図6Bは、実施例6で調査した本発明のいくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物の発熱およびスラリー温度上昇挙動を示す。フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)およびアルカリ金属クエン酸塩を含む実施例6のセメント質組成物は、ごく穏やかな温度上昇挙動しか示さなかったと観察することができる。

養生段階中の材料内での穏やかな発熱および小さい温度上昇は、材料の過剰な熱膨張並びにその結果としての亀裂および崩壊の防止に効果的である。このことは、実際の現場での適用において材料を厚く流し込む形で利用する場合により一層有益となる。この実施例で調査した本発明のいくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物はこの特定の見地において極めて有益であると開示され、これは実際の現場での適用において熱膨張が小さくなり、また熱亀裂に対してより高い耐性を示し得るからである。

凝結時間 表16は、フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)およびアルカリ金属クエン酸塩を含む、実施例6で調査した本発明のいくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物の凝結時間を示す。

この実施例で調査したセメント質組成物は全て、約35〜約45分の終了時間を示した。対照的に、実施例1のフライアッシュおよびアルカリ金属クエン酸塩を含む比較用セメント質組成物は、約15分の極めて急速な終了時間を有した。

圧縮強度 表17は、実施例6のフライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)およびアルカリ金属クエン酸塩を含む本発明のいくつかの実施形態の開発されたジオポリマーセメント質組成物の初期および極限圧縮強度挙動を示す。

以下の観察結果を、この研究から得ることができる。

この実施例で調査した本発明のいくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度は、時間と共に上昇し続けた。

材料の初期、すなわち4時間後圧縮強度は、本発明のいくつかの実施形態の調査対象であるジオポリマーセメント質組成物の成分として細粒石膏粉の形態の硫酸カルシウムを使用すると約2500psiを越えた。さらに、混合物1〜3の4時間後圧縮強度は約3000psiより高かった。

材料の材齢24時間での圧縮強度は、本発明のいくつかの実施形態の調査対象であるジオポリマーセメント質組成物の成分として細粒石膏粉の形態の硫酸カルシウムを使用すると4000psiを越えた。

この実施形態で調査した本発明のいくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物の材齢28日での圧縮強度は極めて高く、5000psiを越えた。細粒石膏粉の形態の硫酸カルシウムを含有する混合物1〜3の材齢28日での圧縮強度は6000psiより高かった。

実施例7 この調査の目的は、本発明のいくつかの実施形態のジオポリマー結合剤組成物における、様々な量で硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)を組み込むことの影響を研究することであった。

この実施例では、硫酸カルシウム二水和物を含有しない比較用混合物1と、スルホアルミン酸カルシウムセメントおよび細粒硫酸カルシウム二水和物を含む混合物2、3、4とを比較する。

この実施例では、硫酸カルシウム二水和物を含有しない比較用混合物1と、スルホアルミン酸カルシウムセメントおよび細粒硫酸カルシウム二水和物を含む混合物2、3、4とを比較する。

表18は、この実施例で調査したジオポリマーセメント系混合物の原料組成を示す。この実施例の混合組成物で使用のスルホアルミン酸カルシウムセメントの量は、フライアッシュの重量の80重量%に等しかった。硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)を、調査した混合組成物における以下の量レベルで添加した:スルホアルミン酸カルシウムセメントの重量の0、10、20および30重量%。これはフライアッシュの0、8、16および24重量%である。この実施例で用いる水/セメント質材料比を0.30で一定に維持した。QUIKRETE商用グレード細砂No.1961およびBASF社のCASTAMENT FS20高性能減水剤も添加した。

材料の初期流動挙動、スランプおよび若材齢亀裂挙動 表19は、実施例7で調査したフライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)およびアルカリ金属クエン酸塩を含む本発明のいくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物の初期流動挙動およびスランプ特性を示す。

スランプ試験において観察されたように、調査した混合組成物は全て、良好な流動挙動および大きいパテ直径を有した。大きいスランプおよび自己平滑化挙動は、約0.3と低い水/セメント質材料比であっても得られた。

図7Aは、乾燥させると、硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)を含有しない実施例7の比較用混合物1のスランプパテに著しい亀裂が生じたことを示す。図7Bは、実施例7の本発明のいくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物の混合物2、3、4のスランプパテが極めて良好な状態にあり、また亀裂を生じなかったことを示す。

収縮挙動 図7Cは、この実施例で調査した本発明のいくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物の収縮挙動についてのデータを示す。

収縮率の測定を、原料を混合して水性スラリーを調製してから約4時間の材齢で開始した。材料収縮率を、材料を約75°F/50%RHで養生しながら、全部で約8週間にわたって測定した。

この調査で以下のことが判明した。

離型すらしていないのにひび割れた比較例4の収縮バー(硫酸カルシウムを含有しない)とは逆に、硫酸カルシウム(細粒石膏粉)を含む実施例7の収縮バーは完全に安定しており、離型前も離型後もひび割れなかった。

フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)およびアルカリ金属クエン酸塩を含む本発明のいくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物は、フライアッシュおよびアルカリ金属クエン酸塩だけを含有する比較用混合組成物(実施例1)についての最大収縮率約0.75%に対して最大収縮率約0.07未満を有した。

フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)およびアルカリ金属クエン酸塩を含む本発明のいくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物(混合物2、3、4)の測定最大収縮率は、フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメントおよびアルカリ金属クエン酸塩だけを含む比較用組成物(混合物1)についての測定最大収縮率約0.19%に対して最大収縮率約0.07%未満を有した。

発熱およびスラリー温度上昇挙動 図7Dは、実施例7で調査した本発明のいくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物の発熱およびスラリー温度上昇挙動を示す。フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)およびアルカリ金属クエン酸塩を含むこの実施例のセメント質組成物は、穏やかな温度上昇挙動を示した。養生段階中の材料内での穏やかな発熱および小さい温度上昇は、材料の過剰な熱膨張並びにその結果としての亀裂および崩壊の防止に効果的である。このことは、実際の現場での適用において材料を厚く流し込む形で利用する場合により一層有益となる。この実施例で調査した本発明のいくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物はこの特定の見地において極めて有益であると開示され、これは実際の現場での適用において熱膨張が小さくなり、また熱亀裂に対してより高い耐性を示し得るからである。

凝結時間 表20は、ジオポリマーセメント質組成物である比較用混合物1および実施例7の本発明の混合物2、3、4の凝結時間を示す。

セメント質組成物は全て、極めて急速な凝結挙動を示した。しかしながら、フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)およびアルカリ金属クエン酸塩を含む本発明の混合物2、3、4は、フライアッシュおよびアルカリ金属クエン酸塩だけを含む比較用セメント質組成物(実施例1)より相対的に長い凝結時間を有した。フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、石膏粉およびクエン酸ナトリウムを含む本発明のいくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物である混合物2、3、4の終了時間は、フライアッシュおよびクエン酸ナトリウムだけを含有する比較用混合組成物(実施例1)についての約15分という極めて急速な終了時間に対して約60〜約90分であった。

圧縮強度 表21は、実施例7で調査したフライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)およびアルカリ金属クエン酸塩を含む本発明のいくつかの実施形態の開発されたジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度挙動を示す。

以下の観察結果を得ることができる。

この実施例で調査した本発明のいくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度は、時間と共に上昇し続けた。

硫酸カルシウムを含有しない比較用混合組成物(混合物1)の若材齢圧縮強度および極限圧縮強度は共に、石膏粉を含む本発明のいくつかの実施形態のセメント質組成物(混合物2〜4)のものより低かった。

本発明のいくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物の若材齢(4時間および24時間)圧縮強度は、材料中の硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)量の増加に伴って上昇した。

材料の材齢24時間での圧縮強度は、本発明のいくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物の成分として硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)を使用すると約1500psiを越えた。混合物3、4の材齢24時間での圧縮強度は約2500psiを越えた。

フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウム、石膏粉およびクエン酸ナトリウムを含む本発明のいくつかの実施形態の全てのジオポリマーセメント質組成物の材齢28日での圧縮強度は極めて高く、約5000psiを越えた。(スルホアルミン酸カルシウムセメントの重量の)約30重量%の量で石膏粉を含む混合物4の材齢28日での圧縮強度は約6000psiを越えた。

実施例8 この調査の目的は、本発明のいくつかの実施形態のジオポリマー結合剤組成物における、様々な量で硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)を組み込むことの影響を研究することであった。

この実施例では、フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、細粒硫酸カルシウム二水和物(すなわち、石膏又は石膏粉)およびアルカリ金属クエン酸塩を含む本発明のいくつかの実施形態の開発されたジオポリマーセメント質組成物の物理的特性について説明する。表22は、この実施例で調査したジオポリマーセメント系混合物の原料組成を示す。この実施例の混合組成物で使用のスルホアルミン酸カルシウムセメントの量は、フライアッシュの重量の約80重量%に等しかった。石膏粉を、調査した混合組成物における以下の量で添加した:スルホアルミン酸カルシウムセメントの重量の40、50、60および80重量%。これはフライアッシュの32、40、48および64重量%である。この実施例で用いる水/セメント質材料比を0.30で一定に維持した。QUIKRETE商用グレード細砂No.1961およびBASF社のCASTAMENT FS20高性能減水剤を添加した。

材料の初期流動挙動、スランプおよび若材齢亀裂挙動 表23は、実施例8で調査したフライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)およびアルカリ金属クエン酸塩を含む本発明のいくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物の初期流動挙動およびスランプ特性を示す。

スランプ試験において観察されたように、調査した全ての混合組成物が良好な自己平滑化性、流動挙動および大きいパテ直径を有した。そのような大きいスランプおよび自己平滑化挙動が約0.3と低い水/セメント質材料比であっても得られたことは特に注目に値する。

硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)を含む4種全ての混合物についてのスランプパテが極めて良好な状態にあり、また亀裂を生じなかった。

収縮挙動 図8Aは、実施例8で調査した本発明のいくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物の収縮挙動を示す。収縮率の測定を、原料を混合して水性スラリーを調製してから約4時間の材齢で開始した。材料収縮率を、材料を約75°F/50%相対湿度(RH)で養生しながら、全部で約8週間にわたって測定した。

以下の重要な結論を、この調査および図8Aから導きだすことができる。

離型すらしていないのにひび割れた比較例4の収縮バー(硫酸カルシウムを含有しない)とは逆に、硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)を含む実施例8の収縮バーは完全に安定しており、離型前も離型後もひび割れなかった。

フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)およびアルカリ金属クエン酸塩を含む本発明のいくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物は、フライアッシュおよびアルカリ金属クエン酸塩だけを含有する比較用混合組成物(実施例1)についての最大収縮率約0.75%に対して最大収縮率約0.07〜約0.18%を有した。

あるレベルを越えての硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)量における増加には、材料収縮率を上昇させる効果がある。例えば、石膏粉量が約40重量%だと(混合物1)、総収縮率は約0.07%であり、石膏粉量が約60重量%だと(混合物3)、総収縮率は約0.13%の値まで上昇し、石膏粉量が約80重量%だと(混合物4)、総収縮率は約0.18%の値まで更に上昇した。

実施例7および実施例8で得られた収縮試験結果を比較すると、最小材料収縮率をもたらす好ましい硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)量範囲がある。硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)のこの量範囲は、これらの実施例における調査対象であるセメント質組成物の場合、スルホアルミン酸カルシウムセメントの重量の約10〜約50重量%であると考えられる。

発熱およびスラリー温度上昇挙動 図8Bは、実施例8で調査した本発明のいくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物の発熱およびスラリー温度上昇挙動を示す。フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)およびアルカリ金属クエン酸塩を含むこの実施例のセメント質組成物は、ごく穏やかな温度上昇挙動しか示さなかった。これが、材料の過剰な熱膨張並びにその結果としての亀裂および崩壊を防止する。このことは、実際の現場での適用において材料を厚く流し込む形で利用する場合により一層有益となる。この実施例で調査した本発明のいくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物はこの特定の見地において極めて有益であると開示され、これは実際の現場での適用において熱膨張が小さくなり、また熱亀裂に対してより高い耐性を示し得るからである。

凝結時間 表24は、実施例8で調査した本発明のいくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物の凝結時間を示す。

この実施例で調査したセメント質組成物は全て、極めて急速な凝結挙動を示した。また、フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム二水和物(石膏粉)およびクエン酸ナトリウムを含むこの実施例の本発明のいくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物の終了時間は、フライアッシュおよびクエン酸ナトリウムだけを含有する比較用混合組成物(実施例1)についての約15分という極めて急速な終了時間に対して約60〜約90分であった。

圧縮強度 表25は、実施例8で調査したフライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)およびアルカリ金属クエン酸塩を含む本発明のいくつかの実施形態の開発されたジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度挙動を示す。

この実施例では、硫酸カルシウム(細粒石膏粉)およびアルカリ金属クエン酸塩と組み合わせてスルホアルミン酸カルシウムセメントを組み込むことが、本発明のいくつかの実施形態の開発されたジオポリマーセメント質組成物の初期および極限圧縮強度挙動の両方に及ぼす影響を研究した。以下の観察結果を、この研究から得ることができる。

この実施例で調査した本発明のいくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度は、時間と共に上昇し続けた。

硫酸カルシウムを含有しない混合組成物(実施例7の混合物1)の若材齢圧縮強度および極限圧縮強度は共に、硫酸カルシウム(細粒石膏粉)を含む本発明のいくつかの実施形態のセメント質組成物(混合物1〜4)のものより低かった。

実施例7および実施例8で得られた試験結果を比較すると、本発明のいくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物の若材齢(4時間および24時間)圧縮強度は材料中の硫酸カルシウム(細粒石膏粉)量の増加に伴って上昇したことを観察することができる。

より多い量の硫酸カルシウム(細粒石膏粉)を含有する本発明のいくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物の若材齢(4時間および24時間)圧縮強度は極めて高かった。硫酸カルシウム(細粒石膏粉)を約40、約50および約60重量%に等しい量レベルで含む混合組成物はそれぞれ約1500psiを越える約4時間後圧縮強度を有し、それぞれの約材齢24時間での圧縮強度は約4000psiを越えた。

材齢4時間および24時間での圧縮強度は、本発明のいくつかの実施形態が、比較例2、3で見られる約500psiおよび2000psiの材齢4時間および24時間での圧縮強度と比較して、著しく高い若材齢圧縮強度を発現可能であることを示す。

フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム二水和物(石膏粉)およびクエン酸ナトリウムを含む本発明のいくつかの実施形態の全てのジオポリマーセメント質組成物の材齢28日での圧縮強度は極めて高く、約4500psiを越えた。硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)を約40、約50および約60重量%の量レベルで含む本発明のいくつかの実施形態のセメント質組成物はそれぞれ約6000psiを越える材齢28日での圧縮強度を有した。

実施例9 この調査の目的は、本発明のいくつかの実施形態のジオポリマー結合剤組成物における、様々な量で硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)を組み込むことの影響を研究することであった。

表26は、この実施例で調査したジオポリマーセメント系混合物の原料組成を示す。

この実施例の混合組成物で使用のスルホアルミン酸カルシウムセメントの量は、フライアッシュの重量の80重量%に等しかった。細粒石膏粉の形態の硫酸カルシウム二水和物を、調査した混合組成物における以下の量レベルで添加した:スルホアルミン酸カルシウムセメントの重量の0、10、20および30重量%。これはフライアッシュの0、8、16および24重量%である。この実施例で用いる水対セメント質材料比を0.25で一定に維持した。

材料のスランプおよび若材齢亀裂挙動 表27は、実施例9で調査したフライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)およびアルカリ金属クエン酸塩を含む本発明のいくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物の初期流動挙動およびスランプ特性を示す。

スランプ試験において観察されたように、調査した全ての混合組成物が良好なレオロジーおよびスランプ挙動を有した。そのような良好なレオロジーおよびスランプ挙動が約0.25と低い水/セメント質材料比であっても得られたことは特に注目に値する。

硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)を含有する混合物は全て極めて良好な状態にあり、また亀裂を生じなかった。

収縮挙動 図9Aは、実施例9で調査した本発明のいくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物の収縮挙動を示す。この調査の主な目的は、細粒硫酸カルシウム二水和物(石膏粉)およびアルカリ金属クエン酸塩と組み合わせてスルホアルミン酸カルシウムセメントを組み込むことが、本発明のいくつかの実施形態の開発されたジオポリマーセメント質組成物の収縮挙動に及ぼす影響を研究することであった。

収縮率の測定を、原料を混合して水性スラリーを調製してから約4時間の材齢で開始した。材料収縮率を、材料を約75°F/50%RHで養生しながら、全部で約8週間にわたって測定した。

以下の結論を、この調査および図9Aから導きだすことができる。

離型前にひび割れた比較例4の収縮バー(硫酸カルシウムを含有しない)とは逆に、硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)を含む実施例9の収縮バーは安定しており、離型前も離型後もひび割れなかった。

フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)およびアルカリ金属クエン酸塩を含む本発明のいくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物(実施例9)は、フライアッシュおよびアルカリ金属クエン酸塩だけを含有する比較用混合組成物(実施例1)についての最大収縮率約0.75%に対して最大収縮率約0.07%未満を有した。

フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム(細粒石膏粉)およびアルカリ金属クエン酸塩を含む混合組成物(混合物2、3、4)は約0.07%未満の最大収縮率を有し、フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメントおよびアルカリ金属クエン酸塩は含むが硫酸カルシウム(石膏粉)を含まない比較用混合物1の最大収縮率は約0.17%と極めて高かった。

発熱およびスラリー温度上昇挙動 図9Bは、実施例9で調査した本発明のいくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物の発熱およびスラリー温度上昇挙動を示す。フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)およびアルカリ金属クエン酸塩を含むこの実施例のセメント質組成物は、ごく穏やかな温度上昇挙動しか示さなかった。また、水対セメント質材料比を約0.30から約0.25へと低下させても(実施例7、9で得られた結果を比較する)、温度上昇挙動は有意な程度には変化しなかった。

養生段階中の材料内での穏やかな発熱および小さい温度上昇は、材料の過剰な熱膨張並びにその結果としての亀裂および崩壊の防止を支援するにあたって重要である。このことは、実際の現場での適用において材料を厚く流し込む形で利用する場合により一層役立つ。この実施例で調査した本発明のいくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物はこの特定の見地において極めて有益であると開示され、これは実際の現場での適用において熱膨張が小さくなり、また熱亀裂に対してより高い耐性を示し得るからである。

凝結時間 表28は、実施例9で調査した本発明のいくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物の凝結時間を示す。

この実施例で調査したセメント質組成物は全て、急速な凝結挙動を有した。フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)およびクエン酸ナトリウムを含むこの実施例の本発明のいくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物の終了時間は、フライアッシュおよびクエン酸ナトリウムだけを含有する比較用混合組成物(実施例1)についての約15分という極めて急速な終了時間に対して約45分を超えた。硫酸カルシウム(石膏粉)を含有しない比較用混合物1は、硫酸カルシウム二水和物(石膏粉)を含有する本発明のいくつかの実施形態の混合物2〜4よりはるかに短い凝結時間を有した。極端に短い凝結時間は、本発明のいくつかの実施形態にとっては問題となる。

圧縮強度 表29は、実施例9で調査したフライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)およびアルカリ金属クエン酸塩を含む本発明のいくつかの実施形態の開発されたジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度挙動を示す。

以下の観察結果を、この研究から得ることができる。

この実施例における本発明のいくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度は、時間と共に上昇し続けた。

石膏粉を含有しない混合組成物(混合物1)の若材齢圧縮強度および極限圧縮強度は共に、石膏粉を含む本発明のいくつかの実施形態のセメント質組成物(混合物2〜4)のものより低かった。

本発明のいくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物の若材齢(4時間および24時間)圧縮強度は、材料中の硫酸カルシウム(細粒石膏粉)量の増加に伴って上昇した。

材料の4時間後圧縮強度は、この実施例で調査した本発明のいくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物において硫酸カルシウム(細粒石膏粉)を使用すると約1000psiを越えた。さらに、硫酸カルシウム(細粒石膏粉)を含む混合物3、4の4時間後圧縮強度はそれぞれ約1500psiおよび約2000psiを越えた。対照的に、硫酸カルシウム二水和物(石膏粉)の不在下、材料の約4時間後圧縮強度は相対的に極めて低く、約400psi未満であった(混合物1)。

材料の材齢24時間での圧縮強度は、この実施例で調査した本発明のいくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物において硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)を使用すると約2500psiを越えた。さらに、硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)を含む混合物3、4の約材齢24時間での圧縮強度は約3500psiを越えた。対照的に、石膏粉の不在下、材齢約24時間での材料の圧縮強度は約1000psi未満であった(混合物1)。

材齢4時間および24時間での圧縮強度は、本発明のいくつかの実施形態が、比較例2、3で見られる約500psiおよび2000psiの材齢4時間および24時間での圧縮強度と比較して、著しく高い若材齢圧縮強度を発現可能であることを示す。

フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウム、硫酸カルシウム二水和物(石膏粉)およびクエン酸ナトリウムを含む本発明のいくつかの実施形態の全てのジオポリマーセメント質組成物の材齢28日での圧縮強度は極めて高く、約6000psiを越えた。

実施例10 この調査の目的は、本発明のいくつかの実施形態のジオポリマー結合剤組成物における、様々な量で硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)を組み込むことの影響を研究することであった。

表30は、この実施例で調査したジオポリマーセメント系混合物の原料組成を示す。この実施例の混合組成物で使用のスルホアルミン酸カルシウムセメントの量は、フライアッシュの重量の80重量%に等しかった。細粒石膏粉の形態の硫酸カルシウム二水和物を、調査した混合組成物における以下の量レベルで添加した:スルホアルミン酸カルシウムセメントの重量の40、50、60および80重量%。硫酸カルシウム二水和物は、フライアッシュの32、40、48および64重量%である。この実施例で用いる水対セメント質材料比を0.25で一定に維持した。使用した砂はQUIKRETE商用グレード細砂No.1961であり、高性能減水剤はBASF社のCASTAMENT FS20である。

材料のスランプおよび若材齢亀裂挙動 表31は、実施例10で調査したフライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム(細粒石膏粉)およびアルカリ金属クエン酸塩を含む本発明のいくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物の初期流動挙動およびスランプ特性を示す。

スランプ試験において観察されたように、調査した全ての混合組成物が良好なレオロジーおよびスランプ挙動を有した。そのような良好なレオロジーおよびスランプ挙動が約0.25と低い水/セメント質材料比であっても得られたことは特に注目に値する。

硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)を含有する混合物は全て極めて良好な状態にあり、また亀裂を生じなかった。

収縮挙動 図10Aは、実施例10で調査した本発明のいくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物の収縮挙動を示す。

収縮率の測定を、原料を混合して水性スラリーを調製してから約4時間の材齢で開始した。材料収縮率を、材料を約75°F/50%RHで養生しながら、全部で約8週間にわたって測定した。

以下の重要な結論を、この調査および図10Aから導きだすことができる。

離型すらしていないのにひび割れた比較例4の収縮バー(硫酸カルシウムを含有しない)とは逆に、硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)を含む実施例10の収縮バーは完全に安定しており、離型前も離型後もひび割れなかった。

フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)およびアルカリ金属クエン酸塩を含む本発明のいくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物は、フライアッシュおよびアルカリ金属クエン酸塩だけを含有する比較用混合組成物(実施例1)についての最大収縮率約0.75%に対して最大収縮率約0.08〜約0.14%を有した。

フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)およびアルカリ金属クエン酸塩を含む混合組成物は、約0.08〜約0.14%の最大収縮率を有した。対照的に、フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメントおよびアルカリ金属クエン酸塩は含むが硫酸カルシウム二水和物(石膏粉)を含まない実施例9の比較用混合物1の最大収縮率は約0.17%であった。

発熱およびスラリー温度上昇挙動 図10Bは、実施例10で調査した本発明のいくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物の発熱およびスラリー温度上昇挙動を示す。フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)およびアルカリ金属クエン酸塩を含むこの実施例のセメント質組成物は、ごく穏やかな温度上昇挙動しか示さなかった。また、水対セメント質材料比を約0.30から約0.25へと低下させても(実施例8、10で得られた結果を比較する)、温度上昇挙動は有意な程度には変化しなかった。

養生段階中の材料内での穏やかな発熱および小さい温度上昇は、材料の過剰な熱膨張並びにその結果としての亀裂および崩壊の防止を支援する。このことは、実際の現場での適用において材料を厚く流し込む形で利用する場合により一層役立つ。この実施例で調査した本発明のいくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物はこの特定の見地において極めて有益であると開示され、これは実際の現場での適用において熱膨張が小さくなり、また熱亀裂に対してより高い耐性を示し得るからである。

凝結時間 表32は、実施例10で調査した本発明のいくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物の凝結時間を示す。

この実施例で調査したセメント質組成物は全て、急速な凝結挙動を有した。フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、石膏粉およびクエン酸ナトリウムを含むこの実施例の本発明のいくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物の終了時間は、フライアッシュおよびクエン酸ナトリウムだけを含有する比較用混合組成物(実施例1)についての約15分という極めて急速な終了時間に対して約50分を超えた。また、石膏粉を含有しない実施例9の比較用混合物1は、石膏粉を含有する実施例10の混合物1〜4よりはるかに短い凝結を有した。

圧縮強度 表33は、実施例10で調査したフライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)およびアルカリ金属クエン酸塩を含む本発明のいくつかの実施形態の開発されたジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度挙動を示す。

以下の重要な観察結果を、この研究から得ることができる。

この実施例で調査した本発明のいくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度は、時間と共に上昇し続けた。

本発明のいくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物の若材齢(4時間および24時間)圧縮強度は、材料中の硫酸カルシウム(細粒石膏粉)量の増加に伴って上昇した。

材料の4時間後圧縮強度は、この実施例で調査した本発明のいくつかの実施形態の4種全てのジオポリマーセメント質組成物において硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)を使用すると約2000psiを越えた。実際に、硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)を含む混合物1〜3の約4時間後圧縮強度は、約2500psiを越えた。その一方で、石膏粉の不在下、材料の約4時間後圧縮強度は相対的に極めて低く、約400psi未満であった(実施例9の比較用混合物1)。

材料の材齢24時間での圧縮強度は、この実施例で調査した本発明のいくつかの実施形態の4種全てのジオポリマーセメント質組成物において硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)を使用すると約4000psiを越えた。その一方で、硫酸カルシウム二水和物(石膏粉)の不在下、材齢約24時間での材料の圧縮強度は相対的に極めて低く、約1000psi未満であった(実施例9の比較用混合物1)。

フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウム、硫酸カルシウム(石膏粉)およびクエン酸ナトリウムを含む本発明のいくつかの実施形態の全てのジオポリマーセメント質組成物の材齢28日での圧縮強度はここでも極めて高く、約7000psiを越えた。

実施例11 この調査の目的は、この実施形態のジオポリマー結合剤組成物における、様々な量でアルカリ金属クエン酸塩を組み込むことの影響を研究することであった。

表34は、実施例11で調査したジオポリマーセメント系混合物の原料組成を示す。

この実施例の混合組成物で使用のスルホアルミン酸カルシウムセメントの量は、フライアッシュの重量の80重量%に等しかった。細粒石膏粉の形態の硫酸カルシウム二水和物を、スルホアルミン酸カルシウムセメントの重量の30重量%に等しい量で添加した。硫酸カルシウム二水和物を、フライアッシュの24重量%で使用する。クエン酸ナトリウムの形態のアルカリ金属クエン酸塩を、調査したセメント質組成物における以下の量レベルで添加した:全セメント質材料の重量の2.00、1.25、0.50および0.00重量%。この調査で用いる水対セメント質材料比を0.275で一定に維持した。砂はQUIKRETE商用グレード細砂No.1961であり、減水剤はBASF社のCASTAMENT FS20である。

材料の初期流動挙動、スランプおよび若材齢亀裂挙動 表35は、実施例11で調査したフライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム(細粒石膏粉)および異なる量のアルカリ金属クエン酸塩を含むこの実施形態のジオポリマーセメント質組成物の初期流動挙動およびスランプ特性を示す。

スランプ試験において観察されたように、調査した全ての混合組成物が良好な流動挙動および大きいパテ直径を有した。そのような大きいスランプおよび自己平滑化挙動が約0.275と低い水/セメント質材料比であっても得られたことは注目に値する。

図11Aは、実施例11で調査したセメント系混合組成物についてのスランプパテ写真である。クエン酸ナトリウムが約2%の混合物1のスランプパテに、寸法安定性の悪さ又は許容範囲を超えた収縮を示し得る亀裂は生じなかった。その一方で、それぞれ約1.25、0.5および0%のクエン酸ナトリウムを含有する混合物2、3、4のスランプパテには、乾燥させるといくつかの微小亀裂が生じた。したがって、この実験は、組成物におけるアルカリ金属クエン酸塩の量がある量を下回ると、フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムおよび石膏粉を含むジオポリマーセメント質組成物に亀裂が生じる可能性が上昇し得ることを示す。

収縮挙動 図11Bは、実施例11で調査した実施形態のジオポリマーセメント質組成物の収縮挙動を示す。この調査の主な目的は、様々な量のアルカリ金属クエン酸塩が、この実施形態の開発されたジオポリマーセメント質組成物の収縮挙動に及ぼす影響を研究することであった。

収縮率の測定を、原料を混合して水性スラリーを調製してから約4時間の材齢で開始した。材料収縮率を、材料を約75°F/50%RHで養生しながら、全部で約8週間にわたって測定した。

以下の重要な結論を、この調査および図11Bから導きだすことができる。クエン酸ナトリウム量が約2.0%だと、測定最大収縮率は最も低く約0.06%であった。クエン酸ナトリウム量を低下させると、材料の最大収縮率が上昇した。例えば、クエン酸ナトリウム量が約1.25%だと、測定最大収縮率は約0.14%であり、クエン酸ナトリウム量が約0.5%だと、測定最大収縮率が約0.23%に上昇した。

フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)およびアルカリ金属クエン酸塩を含むこの実施形態のジオポリマーセメント質組成物は、フライアッシュおよびアルカリ金属クエン酸塩だけを含有する比較用混合組成物(実施例1)についての最大収縮率約0.75%に対して最大収縮率約0.06〜約0.24%を有した。

発熱およびスラリー温度上昇挙動 図11Cは、実施例11で調査したこの実施形態のジオポリマーセメント質組成物の発熱およびスラリー温度上昇挙動を示す。フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)およびアルカリ金属クエン酸塩を含むこの実施例のセメント質組成物は、ごく穏やかな温度上昇挙動しか示さなかった。養生段階中の材料内での穏やかな発熱および小さい温度上昇は、材料の過剰な熱膨張並びにその結果としての亀裂および崩壊の防止にとって重要である。このことは、実際の現場での適用において材料を厚く流し込む形で利用する場合により一層役立つ。この実施例で調査した実施形態のジオポリマーセメント質組成物はこの特定の見地において極めて有益であると開示され、これは実際の現場での適用において熱膨張が小さくなり、また熱亀裂に対してより高い耐性を示し得るからである。

凝結時間 表36は、実施例11の実施形態のジオポリマーセメント質組成物の凝結時間を示す。

この実施例におけるセメント質組成物は全て、極めて急速な凝結挙動を示した。終了時間は、クエン酸ナトリウム量の増加に伴って短くなった。例えば、約0%および約0.5%のクエン酸ナトリウムを含有する混合組成物(混合物4、3)は約2時間の終了時間を有し、約2.0%のクエン酸ナトリウムを含有する混合組成物はたった約1時間の終了時間を達成した。

実施例12 この調査の目的は、この実施形態のジオポリマー結合剤組成物における、様々な量でアルカリ金属クエン酸塩を組み込むことの影響を研究することであった。

表37は、この実施例で調査したジオポリマーセメント系混合物の原料組成を示す。

この実施例の混合組成物で使用のスルホアルミン酸カルシウムセメントの量は、フライアッシュの重量の80重量%に等しかった。細粒石膏粉の形態の硫酸カルシウム二水和物を、スルホアルミン酸カルシウムセメントの重量の30重量%、フライアッシュの24重量%に等しい量で添加した。クエン酸ナトリウムを、調査したセメント質組成物における以下の量で添加した:全セメント質材料の重量の2.00、3.00、4.00および5.00重量%。砂はQUIKRETE商用グレード細砂No.1961であり、高性能減水剤はBASF社のCASTAMENT FS20である。

材料の初期流動挙動、スランプおよび若材齢亀裂挙動 表38は、実施例12で調査したフライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)および異なる量のアルカリ金属クエン酸塩を含むこの実施形態のジオポリマーセメント質組成物の初期流動挙動およびスランプ特性を示す。

スランプ試験において観察されたように、調査した全ての混合組成物が、水/セメント質材料比が約0.275と低くても、良好な自己平滑化性、流動挙動および大きいパテ直径を有した。

実施例12で調査した混合物についての全てのスランプパテが、良好な流動挙動につながった。さらに、異なる量のクエン酸ナトリウムを含有する4種全ての混合組成物が、亀裂のないスランプパテとなった。これは、より少ない量のクエン酸ナトリウムで亀裂を生じた実施例11のスランプパテのいくつかとは対照的である。

収縮挙動 図12Aは、実施例12で調査した実施形態のジオポリマーセメント質組成物の収縮挙動を示す。

収縮率の測定を、原料を混合して水性スラリーを調製してから約4時間の材齢で開始した。材料収縮率を、材料を約75°F/50%RHで養生しながら、全部で約8週間にわたって測定した。

以下の結論を、この実施例および図12Aから導きだすことができる。約2%および約3%のクエン酸ナトリウム量で、測定総収縮率は最も低く約0.06%であった。クエン酸ナトリウム量が増加すると、材料の最大収縮率が上昇した。例えば、約3%のクエン酸ナトリウム量で測定最大収縮率は約0.14%であり、約4%のクエン酸ナトリウム量で測定最大収縮率は約0.23%に上昇した。

実施例11および実施例12で得られた収縮試験結果を比較すると、一実施形態において、フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムおよび硫酸カルシウムを含むこの実施形態のジオポリマーセメント質組成物の材料収縮率が最小となるアルカリ金属クエン酸塩の好ましい量範囲が存在することがわかる。この実施形態における、この好ましいアルカリ金属クエン酸塩量は約1〜約4%、より好ましくは約2〜約3%である。

発熱およびスラリー温度上昇挙動 図12Aは、実施例12で調査した実施形態のジオポリマーセメント質組成物の発熱およびスラリー温度上昇挙動を示す。フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)およびアルカリ金属クエン酸塩を含むこの実施例のセメント質組成物は、ごく穏やかな温度上昇挙動を示した。クエン酸ナトリウムの量が増加すると最大温度上昇幅は増大するが、全体としての上昇幅は極めて小さく、有意ではなかった。この実施形態において、養生段階中の材料内での穏やかな発熱および小さい温度上昇は、材料の過剰な熱膨張並びにその結果としての亀裂および崩壊の防止を大いに支援する。このことは、実際の現場での適用において材料を厚く流し込む形で利用する場合に特に有用となる。この実施例で調査した実施形態のジオポリマーセメント質組成物はこの特定の見地において極めて有益であると開示され、これは実際の現場での適用において熱膨張が小さくなり、また熱亀裂に対してより高い耐性を示し得るからである。

凝結時間 表39は、実施例12で調査した実施形態のジオポリマーセメント質組成物の凝結時間を示す。

クエン酸ナトリウムの量を約2%から約5%に増加させても、調査した混合組成物の終了時間に大きな変化はなかった。この実施例で調査した実施形態の4種のジオポリマーセメント質組成物の終了時間は、約60〜約110分であった。

圧縮強度 表40は、実施例12で調査したフライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)および様々なレベルのアルカリ金属クエン酸塩を含む実施形態の開発されたジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度挙動を示す。

以下の重要な観察結果を、この実施形態の研究から得ることができる。

この実施例で調査した実施形態のジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度は、時間と共に上昇し続けた。

この実施形態の様々なジオポリマーセメント質組成物の若材齢(4時間および24時間)圧縮強度は、この実施例で調査した異なる量のクエン酸ナトリウムで実質的に同様であった。

異なる量のクエン酸ナトリウムを含有するこの実施例で調査した実施形態の様々なジオポリマーセメント質組成物の初期4時間後材料圧縮強度は、約2000psiを越えると判明した。

異なる量のクエン酸ナトリウムを含有するこの実施例で調査した実施形態の様々なジオポリマーセメント質組成物の材齢24時間での材料圧縮強度は、約4000psiであると判明した。

異なる量のクエン酸ナトリウムを含有するこの実施例で調査した実施形態の様々なジオポリマーセメント質組成物の材齢28日での材料圧縮強度は、約6000psiを越えると判明した。

実施例13 この調査の目的は、この実施形態のジオポリマー結合剤組成物における、無水硫酸カルシウム(無水石膏)を組み込むことの影響を研究することであった。

表41は、この実施例のジオポリマーセメント系混合物の原料組成を示す。

この実施例の混合組成物で使用のファストロック500スルホアルミン酸カルシウムセメントの量は、フライアッシュの重量の80重量%に等しかった。この調査で使用した無水石膏を、ユナイテッドステイツジプサムカンパニー社から、商品名USGSNOW WHITEブランドのフィラーで調達した。無水石膏を、調査した混合組成物における以下の量レベルで添加した:スルホアルミン酸カルシウムセメントの重量の0、10、20および30重量%。無水石膏を、C級フライアッシュの重量を基準として、0、8、16および24重量%のレベルで添加した。本発明のセメント質組成物に添加したクエン酸ナトリウム(アルカリ金属クエン酸塩)は、化学活性化剤として作用した。水対セメント質材料比を0.30で一定に維持した。

材料の初期流動挙動、スランプおよび若材齢亀裂挙動 表42は、実施例13で調査したフライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、無水石膏およびアルカリ金属クエン酸塩を含む実施形態のジオポリマーセメント質組成物の初期流動挙動およびスランプ特性を示す。

スランプ試験において観察されたように、調査した全ての混合組成物が良好な自己平滑化性、流動挙動および大きいパテ直径を有した。

図13Aは、実施例13で調査した混合物についてのスランプパテ写真である。調査した4種全ての混合組成物が良好な流動挙動につながったと観察することができる。無水石膏を含有しない混合物1について、乾燥させるとスランプパテに著しい亀裂が生じたことも観察することができる。しかしながら、無水石膏を含有するこの実施形態のジオポリマーセメント質組成物について(混合物2、3、4)、スランプパテは極めて良好な状態にあり、亀裂は生じなかった。したがって、無水石膏をこの実施形態のジオポリマーセメント質組成物に添加すると、乾燥時の亀裂に対する優れた耐性を有する寸法安定性バインダが得られると結論づけることができる。

収縮挙動 図13Bは、実施例13で調査した実施形態のジオポリマーセメント質組成物の収縮挙動を示す。

以下の重要な結論を、この調査および図13Bから導きだすことができる。

無水石膏の組み込みは、フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメントおよびアルカリ金属クエン酸塩を含むこの実施形態のジオポリマーセメント質組成物の亀裂耐性および寸法安定性の改善に著しい影響を及ぼした。離型すらしていないのにひび割れた比較例4の収縮バー(硫酸カルシウムを含有しない)とは逆に、無水硫酸カルシウム(無水石膏)を含む実施例13の収縮バーは安定しており、離型前も離型後もひび割れなかった。

フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、無水石膏およびアルカリ金属クエン酸塩を含むこの実施形態のジオポリマーセメント質組成物は、フライアッシュおよびアルカリ金属クエン酸塩だけを含有する比較用混合組成物(実施例1)についての最大収縮率約0.75%に対して最大収縮率約0.05〜約0.2%を有した。したがって、フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメントおよびアルカリ金属クエン酸塩を含むセメント質組成物への無水硫酸カルシウム(無水石膏)の添加は、材料収縮率を極めて著しく低下させるのに役立ち得ると結論づけることができる。

無水石膏をスルホアルミン酸カルシウムセメントの約10重量%の量で含有するフライアッシュ混合組成物の測定最大収縮率は約0.05%であった。対照的に、フライアッシュおよびスルホアルミン酸カルシウムセメントは含有するが無水硫酸カルシウム(無水石膏)を含有しない混合物1の総収縮率は約0.2%であった。この結果は、この実施形態のジオポリマーセメント質組成物における無水硫酸カルシウム(無水石膏)の組み込みが、材料収縮率を著しく低下させることに貢献することを実証している。

収縮率の測定を、原料を混合して水性スラリーを調製してから約4時間の材齢で開始した。材料収縮率を、材料を約75°F/50%RHで養生しながら、全部で約8週間にわたって測定した。

発熱およびスラリー温度上昇挙動 図13Cは、実施例13で調査した実施形態のジオポリマーセメント質組成物の発熱およびスラリー温度上昇挙動を示す。フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、無水石膏およびアルカリ金属クエン酸塩を含むこの実施例のセメント質組成物は、穏やかな温度上昇挙動しか示さなかった。養生段階中の材料内での穏やかな発熱および小さい温度上昇は、材料の過剰な熱膨張並びにその結果としての亀裂および崩壊の防止に大いに貢献する。このことは、実際の現場での適用において材料を厚く流し込む形で利用する場合に特に役立つ。この実施例で調査したこの実施形態のジオポリマーセメント質組成物はこの特定の見地において極めて有益であると開示され、これは実際の現場での適用において熱膨張が小さくなり、また熱亀裂に対してより高い耐性を示し得るからである。

凝結時間 表43は、実施例1で調査した実施形態のジオポリマーセメント質組成物の凝結時間を示す。

フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、無水石膏およびクエン酸ナトリウムを含むこの実施例の実施形態のジオポリマーセメント質組成物の終了時間は、フライアッシュおよびクエン酸ナトリウムだけを含有する比較用混合組成物(実施例1)についての約15分という極めて急速な終了時間に対して40分を越えた。したがって、フライアッシュとアルカリ金属クエン酸塩との混合物へのスルホアルミン酸カルシウムセメントと無水石膏との混合物の添加は、材料の凝結および硬化挙動を延長し、またユーザーによる材料の使い勝手を良くするのに役立つと結論づけることができる。

圧縮強度 表44は、実施例13で調査したフライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、無水石膏およびアルカリ金属クエン酸塩を含む実施形態の開発されたジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度挙動を示す。

以下の観察結果を、この研究から得ることができる。

この実施例で調査した実施形態のジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度は、時間と共に上昇し続けた。

無水石膏を含有しない混合組成物(混合物1)の若材齢圧縮強度および極限圧縮強度は共に、無水石膏を含むこの実施形態のセメント質組成物(混合物2〜4)のものより低かった。

この実施形態のジオポリマーセメント質組成物の若材齢(4時間および24時間)圧縮強度は、材料中の無水石膏の量の増加に伴って上昇した。

4時間後材料圧縮強度は、この実施形態のジオポリマーセメント質組成物において無水石膏を使用すると約2000psiを越えた。さらに、無水石膏を含有する混合物3、4の4時間後圧縮強度は、約3000psiであった。対照的に、混合組成物中に無水石膏が不在だと、材料の4時間後圧縮強度は混合物1について約300psi未満であった。

無水石膏の使用は、この実施形態のジオポリマーセメント質組成物において、石膏粉より高い4時間後圧縮強度をもたらす。この結論は、実施例13および実施例7で得られた圧縮強度試験結果を比較することで立証される。

材齢24時間での材料圧縮強度は、この実施形態のジオポリマーセメント質組成物において無水石膏を使用すると約3000psiを越えた。さらに、無水石膏を含有する混合物3、4の材齢約24時間での圧縮強度はそれぞれ、約4000psiおよび約5000psiを越えた。その一方で、混合組成物中に無水石膏が不在だと、材齢約24時間での材料の圧縮強度は相対的に低く、混合物1の場合、約600psi未満であった。

フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、無水石膏およびクエン酸ナトリウムを含むこの実施形態の全てのジオポリマーセメント質組成物の材齢28日での圧縮強度はここでも極めて高く、約6000psiを越えた。この実施形態の組成物(混合物3、4)における無水石膏の量がより多いと、材齢28日での圧縮強度は約7000psiを越えた。比較すると、無水石膏を含有しない材料(混合物1)の材齢約28日での圧縮強度は、たった約4500psiであった。

したがって、実に驚くべきことに、不溶性の無水硫酸カルシウム(無水石膏又は死焼無水石膏)の使用が、相対的に可溶性が高い硫酸カルシウム二水和物の使用で得られるものより速い凝結、優れた圧縮強度発現速度および高い極限圧縮強度をもたらしたことが判明した(実施例7を参照のこと)。

本発明の実施形態の別の予期せぬ特徴は、この実施例13〜18で示されるように、凝結挙動および圧縮強度が、本発明の組成物で使用する硫酸カルシウムのタイプに左右されることである。

実施例14:無水硫酸カルシウム(無水石膏) この調査の目的は、この実施形態のジオポリマー結合剤組成物における、無水硫酸カルシウム(無水石膏)を組み込むことの影響を研究することであった。

表45は、この実施例で調査したジオポリマーセメント系混合物の原料組成を示す。この実施例の混合組成物で使用のスルホアルミン酸カルシウムセメントの量は、フライアッシュの重量の80重量%に等しかった。無水硫酸カルシウム(無水石膏)を、調査した混合組成物における以下の量レベルで添加した:スルホアルミン酸カルシウムセメントの重量の40、50、60および80重量%。無水石膏を、C級フライアッシュの32、40、48および64重量%のレベルで使用した。この調査で用いる水対セメント質材料比を0.3で一定に維持した。

材料の初期流動挙動、スランプおよび若材齢亀裂挙動 表46は、実施例14で調査したフライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、無水石膏およびアルカリ金属クエン酸塩を含む実施形態のジオポリマーセメント質組成物の初期流動挙動およびスランプ特性を示す。

スランプ試験において観察されたように、調査した全ての混合組成物が良好な自己平滑化性、流動挙動および大きいパテ直径を有した。

実施例14において調査した4種全ての混合組成物が良好な流動挙動につながった。無水石膏を含有する混合物の場合、スランプパテは極めて良好な状態にあり、亀裂は生じなかった。したがって、無水石膏をこの実施形態のジオポリマーセメント質組成物に添加すると、乾燥時の亀裂に対する優れた耐性を有する寸法安定性組成物が得られた。

収縮挙動 図14Aは、実施例14で調査した実施形態のジオポリマーセメント質組成物の収縮挙動を示す。

収縮率の測定を、原料を混合して水性スラリーを調製してから約4時間の材齢で開始した。材料収縮率を、材料を約75°F/50%(RH)で養生しながら、全部で約8週間にわたって測定した。

以下の重要な結論を、この調査および図14Aから導きだすことができる。

離型すらしていないのにひび割れた比較例4の収縮バー(硫酸カルシウムを含有しない)とは逆に、無水石膏を含む実施例14の収縮バーは安定しており、離型前も離型後もひび割れなかった。

フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、無水石膏およびアルカリ金属クエン酸塩を含むこの実施形態のジオポリマーセメント質組成物は、フライアッシュおよびアルカリ金属クエン酸塩だけを含有する比較用混合組成物(実施例1)についての最大収縮率約0.75%に対して最大収縮率約0.17%未満を有した。

無水石膏をスルホアルミン酸カルシウムセメントの約40重量%の量で含有するフライアッシュ混合組成物の測定最大収縮率は約0.2%であった。対照的に、フライアッシュおよびスルホアルミン酸カルシウムセメントは含有するが無水石膏を含有しない実施例13の比較用混合物1の総収縮率は約0.2%であった。これは、この実施形態のジオポリマーセメント質組成物における無水石膏の組み込みが、材料収縮率を著しく低下させるのに役立つことを示す。

あるレベルを越えての無水石膏量の増加には、材料収縮率を上昇させる効果があった。例えば、無水石膏量が約10重量%だと(実施例13の混合物2)、測定最大収縮率は約0.05%であり、無水石膏量が約80重量%だと(実施例14の混合物4)、測定最大収縮率は約0.17%の値まで上昇した。

実施例13および実施例14で得られた収縮試験結果を比較すると、材料収縮率が最小となる好ましい無水石膏量範囲がある。無水石膏のこの好ましい範囲は0は超えるがスルホアルミン酸カルシウムセメントの重量の約40重量%以下である。

凝結時間 表47は、実施例14における実施形態のジオポリマーセメント質組成物の凝結時間を示す。

有利には、フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、無水石膏およびクエン酸ナトリウムを含むこの実施例の実施形態のジオポリマーセメント質組成物の終了時間は、フライアッシュおよびクエン酸ナトリウムだけを含有する比較用混合組成物(実施例1)についての約15分という極めて急速な終了時間に対して約40分を超えた。

圧縮強度 表48は、実施例14で調査したフライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、無水石膏およびアルカリ金属クエン酸塩を含む実施形態の開発されたジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度挙動を示す。

以下の重要な観察結果を、この研究から得ることができる。この実施例で調査した実施形態のジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度は、時間と共に上昇し続けた。

無水石膏を含有しない比較用混合組成物(実施例13の比較用混合物1)の若材齢圧縮強度および極限圧縮強度は共に、無水石膏を含有する混合物(実施例14の混合物1〜4)のものより低かった。

4時間後材料圧縮強度は、この実施形態のジオポリマーセメント質組成物において無水石膏を使用すると約2000psiを越えた。さらに、無水石膏を約40%の量で含有する混合物1の4時間後圧縮強度は、約3000psiを越えた。対照的に、実施例13の比較用混合物1に関して見られるように、比較用混合組成物中に無水石膏が不在だと、材料の4時間後圧縮強度は相対的に極めて低く、約300psi未満であった。

無水石膏の使用は、この実施形態のジオポリマーセメント質組成物において、石膏粉より高い4時間後圧縮強度をもたらす。この結論は、実施例14および実施例8で得られた圧縮強度試験結果を比較することで立証される。

材齢24時間での材料圧縮強度は、この実施形態のジオポリマーセメント質組成物において無水石膏を使用すると約4000psiを越えた。その一方で、実施例13の比較用混合物1に関して見られるように、混合組成物中に無水石膏が不在だと、材料の材齢24時間での圧縮強度は相対的に極めて低く、約600psi未満であった。

フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、無水石膏およびクエン酸ナトリウムを含むこの実施形態の全てのジオポリマーセメント質組成物の材齢28日での圧縮強度はここでも極めて高く、約7000psiを越えた。比較すると、無水石膏を含有しない材料の材齢28日での圧縮強度は、実施例13の比較用混合物1についてたったの約4500psiであった。

上の説明で論じたように、この実施例の組成物を試験すると、アルミノシリケートミネラル、スルホアルミン酸カルシウムセメントおよびアルカリ金属活性化剤と反応した無水石膏が、他の実施例において硫酸カルシウム二水和物で得られたものより速い凝結、より速い材料圧縮強度発現速度および高い極限圧縮強度をもたらすことが実証される。

実施例15:硫酸カルシウム半水和物 この調査の目的は、この実施形態のジオポリマー結合剤組成物における、様々な量で硫酸カルシウム半水和物を組み込むことの影響を研究することであった。

表49は、この実施例で調査したジオポリマーセメント系混合物の原料組成を示す。

この実施例の混合組成物で使用のスルホアルミン酸カルシウムセメントの量は、フライアッシュの重量の80重量%に等しかった。この調査で使用した硫酸カルシウム半水和物を、ユナイテッドステイツジプサムカンパニー社から、商品名ハイドロカルCベースで調達した。ハイドロカルCベースは、硫酸カルシウム半水和物のアルファ形態である。硫酸カルシウム半水和物を、調査した混合組成物における以下の量レベルで添加した:スルホアルミン酸カルシウムセメントの重量の0、10、20および30重量%。硫酸カルシウム半水和物レベルは、フライアッシュの0、8、16および24重量%である。本発明のセメント質組成物に添加したクエン酸ナトリウム(アルカリ金属クエン酸塩)は、化学活性化剤、レオロジー改質剤および凝結調節剤として作用した。この調査で用いた水対セメント質材料比を0.30で一定に維持した。使用した砂はQUIKRETE商用グレード細砂No.1961であり、高性能減水剤はBASF社のCASTAMENT FS20である。

材料の初期流動挙動、スランプおよび若材齢亀裂挙動 表50は、実施例15におけるフライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム半水和物およびアルカリ金属クエン酸塩を含む実施形態のジオポリマーセメント質組成物の初期流動挙動およびスランプ特性を示す。

スランプ試験において観察されたように、調査した全ての混合組成物が良好な自己平滑化性、流動挙動および大きいパテ直径を有した。

混合物は全て、良好な流動特性および自己平滑化挙動を有した。硫酸カルシウム半水和物を含有する混合物のスランプパテは極めて良好な状態にあり、また亀裂を生じなかった。したがって、硫酸カルシウム半水和物を、スルホアルミン酸カルシウムセメント、フライアッシュおよびアルカリ金属クエン酸を含むこの実施形態のジオポリマーセメント質組成物に添加すると、乾燥時の亀裂に対する優れた耐性を有する寸法安定性組成物が得られる。

収縮挙動 図15Aは、実施例15で調査した実施形態のジオポリマーセメント質組成物の収縮挙動を示す。

収縮率の測定を、原料を混合して水性スラリーを調製してから約4時間の材齢で開始した。材料収縮率を、材料を約75°F/50%RHで養生しながら、全部で約8週間にわたって測定した。

以下の重要な結論を、この調査および図15Aから導きだすことができる。

離型すらしていないのにひび割れた比較例4の収縮バー(硫酸カルシウムを含有しない)とは逆に、硫酸カルシウム半水和物を含む実施例15の収縮バーは安定しており、離型前も離型後もひび割れなかった。

フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム半水和物およびアルカリ金属クエン酸塩を含むこの実施形態のジオポリマーセメント質組成物は、フライアッシュおよびアルカリ金属クエン酸塩だけを含有する比較用混合組成物(実施例1)についての測定最大収縮率約0.75%に対して測定最大収縮率約0.08〜約0.16%を有した。

硫酸カルシウム半水和物をスルホアルミン酸カルシウムセメントの約10重量%の量で含有するフライアッシュ混合組成物の測定最大収縮率は約0.08%であった。対照的に、フライアッシュおよびスルホアルミン酸カルシウムセメントは含有するが硫酸カルシウム半水和物を含有しない比較用混合物1の総収縮率は約0.2%であった。これは、この実施形態のジオポリマーセメント質組成物における硫酸カルシウム半水和物の組み込みが、材料収縮率を著しく低下させることを示す。

発熱およびスラリー温度上昇挙動 図15Bは、実施例15におけるこの実施形態のジオポリマーセメント質組成物の発熱およびスラリー温度上昇挙動を示す。フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム半水和物およびアルカリ金属クエン酸塩を含むこの実施例のセメント質組成物は、ごく穏やかな温度上昇挙動しか示さなかった。養生段階中の材料内での穏やかな発熱および小さい温度上昇は、材料の過剰な熱膨張並びにその結果としての亀裂および崩壊の防止に貢献する。このことは、実際の現場での適用において材料を厚く流し込む形で利用する場合により一層役立つ。この実施例で調査したこの実施形態のジオポリマーセメント質組成物はこの特定の見地において極めて有益であると開示され、これは実際の現場での適用において熱膨張が小さくなり、また熱亀裂に対してより高い耐性を示し得るからである。

凝結時間 表51は、実施例15における実施形態のジオポリマーセメント質組成物の凝結時間を示す。

フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム半水和物およびクエン酸ナトリウムを含むこの実施例の実施形態のジオポリマーセメント質組成物の終了時間は、フライアッシュおよびクエン酸ナトリウムだけを含有する比較用混合組成物(実施例1)についての約15分という極めて急速な終了時間に対して約90分を越えた。

上の説明で論じたように、この実施例で得られた試験結果を実施例13および実施例7における凝結時間と比較すると、予期せぬことに、硫酸カルシウム半水和物が、フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメントおよびアルカリ金属クエン酸塩を含有する組成物の凝結時間を延ばすにあたって無水石膏および石膏粉の両方より強力であることがわかる。

圧縮強度 表52は、実施例15における実施形態の開発されたジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度挙動を示す。

以下の観察結果を、この研究から得ることができる。

この実施形態のジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度は、時間の関数として上昇し続けた。

硫酸カルシウム半水和物を含有しない混合組成物(混合物1)の若材齢圧縮強度および極限圧縮強度は共に、硫酸カルシウム半水和物を含むこの実施形態のセメント質組成物(混合物2〜4)のものより低かった。

この実施形態のジオポリマーセメント質組成物の若材齢(約4時間および約24時間)圧縮強度は、材料中の硫酸カルシウム半水和物の量の増加に伴って上昇した。

4時間後材料圧縮強度は、この実施形態のジオポリマーセメント質組成物において硫酸カルシウム半水和物を使用すると約1000psiを越えた。さらに、硫酸カルシウム半水和物を含有する混合物3、4の4時間後圧縮強度は、約3000psiを越えた。その一方で、硫酸カルシウム半水和物を含有しない混合組成物の場合、材料の4時間後圧縮強度は極めて低く、すなわち混合物1について約300psi未満であった。

硫酸カルシウム半水和物の使用は、この実施形態のジオポリマーセメント質組成物において、石膏粉より高い4時間後圧縮強度をもたらす。この結論は、実施例15で得られた圧縮強度試験結果を実施例7のものと比較することで立証される。

材齢約24時間での材料圧縮強度は、この実施形態のジオポリマーセメント質組成物において硫酸カルシウム半水和物を使用すると約3000psiを越えた。さらに、硫酸カルシウム半水和物を含有する、フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウム、無水石膏およびクエン酸ナトリウムを含むこの実施形態の混合物3および混合物4ジオポリマーセメント質組成物の材齢約24時間での圧縮強度は約4000psiを越えた。対照的に、硫酸カルシウム半水和物を含有しない比較用混合組成物の場合、材齢約24時間での材料の圧縮強度は相対的に極めて低く、混合物1について約600psi未満であった。

フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウム、無水石膏およびクエン酸ナトリウムを含むこの実施形態の全てのジオポリマーセメント質組成物の材齢約28日での圧縮強度はここでも極めて高く、約5000psiを越えた。この実施形態の組成物(混合物3、4)における硫酸カルシウム半水和物の量がより多いと、材齢28日での圧縮強度は約7000psiを越えた。比較すると、硫酸カルシウム半水和物を含有しない比較用材料(混合物1)の材齢28日での圧縮強度は、約4000psi未満であると判明した。

実施例16 この調査の目的は、この実施形態のジオポリマー結合剤組成物における、様々な量で硫酸カルシウム半水和物を組み込むことの影響を研究することであった。

表53は、この実施例で調査したジオポリマーセメント系混合物の原料組成を示す。CTSセメントカンパニー社から入手可能なファストロック500ブランドのスルホアルミン酸カルシウムセメントをここでもまた、セメント質反応性粉末の成分として利用した。この実施例の混合組成物で使用のスルホアルミン酸カルシウムセメントの量は、C級フライアッシュの重量の80重量%であった。硫酸カルシウム半水和物であるUSG社のハイドロカルCベースを、調査した混合組成物における以下の量レベルで添加した:スルホアルミン酸カルシウムセメントの重量の40、50、60および80重量%。硫酸カルシウム半水和物を、フライアッシュの32、40、48および64重量%のレベルで使用した。この調査で用いる水対セメント質材料比を0.30で一定に維持した。砂はQUIKRETE商用グレード細砂No.1961であり、高性能減水剤はBASF社のCASTAMENT FS20である。

材料の初期流動挙動、スランプおよび若材齢亀裂挙動 表54は、実施例16で調査したフライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム半水和物およびアルカリ金属クエン酸塩を含むこの実施形態のジオポリマーセメント質組成物の初期流動挙動およびスランプ特性を示す。

スランプ試験において観察されたように、調査した全ての混合組成物が良好な自己平滑化性、流動挙動および大きいパテ直径を有した。

図16Aは、実施例16で調査した混合物についてのスランプパテ写真である。混合物は全て、良好な流動特性および自己平滑化挙動を有した。硫酸カルシウム半水和物を含有する混合物2、3、4について、スランプパテにいくつかの微小亀裂が生じたことも観察することができる。したがって、スルホアルミン酸カルシウムセメント、フライアッシュおよびアルカリ金属クエン酸塩を含有する混合物に硫酸カルシウム半水和物を高い量レベルで添加すると、乾燥時の微小亀裂に対する耐性が相対的に劣ったセメント質組成物が得られると結論づけることができる。

収縮挙動 図16Bは、硫酸カルシウム半水和物およびアルカリ金属クエン酸塩と組み合わせてスルホアルミン酸カルシウムセメントを組み込んだ、実施例16で調査したこの実施形態のジオポリマーセメント質組成物の収縮挙動を示す。

収縮率の測定を、原料を混合して水性スラリーを調製してから約4時間の材齢で開始した。材料収縮率を、材料を約75°F/50%RHで養生しながら、全部で約8週間にわたって測定した。

以下の結論を、この調査および図16cから導きだすことができる。

フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム半水和物およびアルカリ金属クエン酸塩を含むこの実施形態のジオポリマーセメント質組成物は、フライアッシュおよびアルカリ金属クエン酸塩だけを含有する比較用混合組成物(実施例1)についての測定最大収縮率約0.75%に対して測定最大収縮率約0.44%未満を有した。

硫酸カルシウム半水和物量が増加すると、材料の収縮率が上昇した。例えば、硫酸カルシウム半水和物量が約10重量%であると(実施例15の混合物1)、総収縮率は約0.08%であった。硫酸カルシウム半水和物量が約80重量%だと(実施例16の混合物4)、材料の総収縮率は約0.44%の値まで極めて著しく上昇した。

実施例15および実施例16で得られた収縮試験結果を比較すると、材料収縮率が最小となる好ましい硫酸カルシウム半水和物量範囲があると結論づけることができる。硫酸カルシウム半水和物のこの好ましい範囲は、スルホアルミン酸カルシウムセメントの重量の約0%より高く約40重量%以下である範囲にある。

凝結時間 表55は、実施例16のこの実施形態のジオポリマーセメント質組成物の凝結時間を示す。

この実施例で調査したセメント質組成物は全て、急速な凝結挙動を示した。フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム半水和物およびクエン酸ナトリウムを含むこの実施例の実施形態のジオポリマーセメント質組成物の終了時間は、フライアッシュおよびクエン酸ナトリウムだけを含有する比較用混合組成物(実施例1)についての約15分という極めて急速な終了時間に対して約120分であった。

この実施例で得られた試験結果を実施例15、8のものと比較すると、硫酸カルシウム半水和物が、フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメントおよびアルカリ金属クエン酸塩を含有する混合組成物の凝結時間を延ばすにあたって無水石膏および石膏粉の両方より強力であることがわかる。

硫酸カルシウムの形態として硫酸カルシウム半水和物を使用することで、硫酸カルシウム二水和物を使用して得られる凝結時間よりはるかに長い凝結時間が得られた(実施例7を参照のこと)。上の説明で論じたように、硫酸カルシウム半水和物は超急速凝結材料であると当該分野で周知であることから、この結果は予期せぬものであった。本発明の組成物のいくつかの実施形態における硫酸カルシウム半水和物の添加は、硫酸カルシウム二水和物および無水硫酸カルシウムの実施形態より長い凝結時間をもたらした。

圧縮強度 表56は、実施例16におけるフライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム半水和物およびアルカリ金属クエン酸塩を含むこの実施形態の開発されたジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度挙動を示す。

以下の重要な観察結果を、この研究から得ることができる。

この実施例で調査した実施形態のジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度は、時間と共に上昇し続けた。

硫酸カルシウム半水和物を含有しない混合組成物(実施例15の混合物1)の若材齢圧縮強度および極限圧縮強度は共に、硫酸カルシウム半水和物を含むこの実施形態のセメント質組成物(実施例16の混合物1〜4)のものより低かった。

材齢4時間での材料圧縮強度は、この実施形態のジオポリマーセメント質組成物において硫酸カルシウム半水和物を使用すると約1500psiを越えた。さらに、硫酸カルシウム半水和物を約40%の量で含有する混合物1の材齢4時間での圧縮強度は約2500psiを越えた。対照的に、硫酸カルシウム半水和物を含有しない比較用混合組成物(実施例15の混合物1)の場合、材料の材齢4時間での圧縮強度は相対的に極めて低く、約300psi未満であった。

硫酸カルシウム半水和物の使用は、この実施形態のジオポリマーセメント質組成物において、石膏粉より高い材齢4時間での圧縮強度をもたらす。このことは、実施例16で得られた圧縮強度試験結果を実施例8のものと比較するとわかる。

材齢約24時間での材料圧縮強度は、この実施形態のジオポリマーセメント質組成物において硫酸カルシウム半水和物を使用すると約4000psiを越えた。その一方で、硫酸カルシウム半水和物を含まない比較用混合組成物の場合(実施例15の混合物1)、材齢約24時間での材料の圧縮強度は約600psi未満と相対的に低かった。

フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム半水和物およびクエン酸ナトリウムを含むこの実施形態の全てのジオポリマーセメント質組成物の材齢28日での圧縮強度は極めて高く、すなわち約7000psiを越えた。比較すると、硫酸カルシウム半水和物を含有しない比較用材料(実施例15の混合物1)の材齢28日での圧縮強度は約4000psi未満であった。

実施例17:粗粒硫酸カルシウム二水和物 この調査の目的は、この実施形態のジオポリマー結合剤組成物における、粗粒硫酸カルシウム二水和物を組み込むことの影響を研究することであった。

表57は、この実施例で調査したジオポリマーセメント系混合物の原料組成を示す。この実施例の混合組成物で使用のスルホアルミン酸カルシウムセメントの量は、C級フライアッシュの重量の80重量%であった。本明細書において粗石膏粉とも称する粗粒硫酸カルシウム二水和物はユナイテッドステイツジプサムカンパニー社から調達され、商品名USGベン・フランクリンAG粗石膏で入手可能である。粗石膏粉を、調査した様々な混合組成物におけるファストロック500スルホアルミン酸カルシウムセメントの重量の異なる量レベル0、10、20および30重量%で添加した。石膏粉を、フライアッシュの重量を基準として0、8、16および24重量%のレベルで添加した。使用した砂はQUIKRETE商用グレード細砂No.1961であり、高性能減水剤はBASF社のCASTAMENTである。

材料の初期流動挙動、スランプおよび若材齢亀裂挙動 表58は、実施例17におけるフライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、粗粒石膏粉およびアルカリ金属クエン酸塩を含むこの実施形態のジオポリマーセメント質組成物の初期流動挙動およびスランプ特性を示す。

スランプ試験において観察されたように、調査した全ての混合組成物が良好な流動挙動および大きいパテ直径を有した。

図17Aは、実施例17で調査した実施形態のジオポリマーセメント質組成物についてのスランプパテ写真である。硫酸カルシウム(粗粒石膏粉)を含有しない比較用混合物1およびそのスランプパテには、乾燥させると、著しい亀裂が生じた。しかしながら、粗粒石膏粉を含有する混合物の場合、スランプパテは極めて良好な状態にあり、亀裂は生じなかった。したがって、スルホアルミン酸カルシウムセメント、フライアッシュおよびアルカリ金属クエン酸塩を含むセメント系混合物に粗粒石膏粉を添加すると、養生中に材料内で穏やかな発熱および小さい温度上昇を起こして材料の過剰な熱膨張並びにその結果としての乾燥時の亀裂および崩壊を防止する寸法の安定したジオポリマーセメント質組成物が得られることが見てとれる。

収縮挙動 図17Bは、実施例17で調査した実施形態のジオポリマーセメント質組成物の収縮挙動を示す。

収縮率の測定を、原料を混合して水性スラリーを調製してから約4時間の材齢で開始した。材料収縮率を、材料を約75°F/50%RHで養生しながら、全部で約8週間にわたって測定した。

以下の重要な結論を、この調査および図17Bの結果から導きだすことができる。

離型すらしていないのにひび割れた比較例4の収縮バー(硫酸カルシウムを含有しない)とは逆に、粗粒石膏粉を含む実施例17の収縮バー(混合物2、3、4)は安定しており、離型前も離型後もひび割れなかった。

フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、粗粒石膏粉およびアルカリ金属クエン酸塩を含むこの実施形態のジオポリマーセメント質組成物は、フライアッシュおよびアルカリ金属クエン酸塩だけを含有する比較用混合組成物(実施例1)についての最大収縮率約0.75%に対して最大収縮率約0.11〜約0.16%を有した。

フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム(粗粒石膏粉)およびアルカリ金属クエン酸塩を含む混合組成物である混合物2、3、4は約0.11〜約0.16%の最大収縮率を有し、フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメントおよびアルカリ金属クエン酸は含むが硫酸カルシウム(石膏粉)を含まない比較用混合物1の最大収縮率は約0.24%であった。

この実施例で調査した範囲において粗粒石膏粉量が増加すると、材料収縮率が全体的に低下した。例えば、粗粒石膏粉量が約10重量%だと測定最大収縮率は約0.16%であり、粗粒石膏粉量が約30重量%だと測定最大収縮率は約0.11%に低下した。

実施例7および実施例17で得られた収縮試験結果を比較すると、より小さい粒径の石膏粉の使用がより低い収縮率をもたらすことがわかる。例えば、実施例17の粗粒石膏粉を約30重量%の量で使用すると、最大収縮率は約0.11%であった。その一方で、実施例7の細粒石膏粉を使用すると、最大収縮率は、約30重量%の同じ石膏粉量でたった約0.06%であった。

発熱およびスラリー温度上昇挙動 図17Cは、実施例17で調査した実施形態のジオポリマーセメント質組成物の発熱およびスラリー温度上昇挙動を示す。フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、粗粒石膏粉およびアルカリ金属クエン酸塩を含む実施例17のセメント質組成物は、ごく穏やかな温度上昇挙動しか示さなかった。さらに、実施例17および実施例7で得られた温度上昇試験結果を比較すると、粗石膏粉の使用が、細粒石膏粉の使用で得られるものより相対的に小さい温度上昇をもたらすことがわかる。養生段階中の材料内での穏やかな発熱および小さい温度上昇は、材料の過剰な熱膨張並びにその結果としての亀裂および崩壊の防止に大いに貢献する。このことは、実際の現場での適用において材料を厚く流し込む形で利用する場合により一層役立つ。この実施例で調査した実施形態のジオポリマーセメント質組成物はこの特定の見地において極めて有益であると開示され、これは実際の現場での適用において熱膨張が小さくなり、また熱亀裂に対してより高い耐性を示し得るからである。

凝結時間 表59は、実施例17における実施形態のジオポリマーセメント質組成物の凝結時間を示す。

この実施例で調査したセメント質組成物は全て、急速な凝結挙動を示した。フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、粗粒石膏粉およびクエン酸ナトリウムを含むこの実施例の実施形態のジオポリマーセメント質組成物の終了時間は、フライアッシュおよびクエン酸ナトリウムだけを含有する比較用混合組成物(実施例1)についての約15分という極めて急速な終了時間に対して約60分であった。

圧縮強度 表60は、実施例17で調査したフライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、粗粒石膏粉およびアルカリ金属クエン酸塩を含むこの実施形態の開発されたジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度挙動を示す。

以下の観察結果を、この研究から得ることができる。

この実施例で調査した実施形態のジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度は、時間と共に上昇し続けた。

石膏粉を含有しない混合組成物(混合物1)の若材齢圧縮強度および極限圧縮強度は共に、粗粒石膏粉を含むこの実施形態のセメント質組成物(混合物2〜4)のものより低かった。

この実施形態のジオポリマーセメント質組成物の若材齢(約4時間および約24時間)圧縮強度は、材料中の粗粒石膏粉の量の増加に伴って上昇した。しかしながら、粗粒石膏粉含有量の増加によって得られた材齢4時間での圧縮強度における上昇はわずかなものにすぎず、それほど大きいものではなかった。

材料の材齢24時間での圧縮強度は、この実施形態のジオポリマーセメント質組成物において粗粒石膏粉を使用すると約1000psiを越えた。

フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウム、粗粒石膏粉およびクエン酸ナトリウムを含むこの実施形態の全てのジオポリマーセメント質組成物の材齢28日での圧縮強度は相対的に高く、すなわち約4000psiを越えた。さらに、粗石膏粉を約20重量%および約30重量%(混合物3、4)の量で含有する混合組成物の材齢28日での圧縮強度は特に極めて高く、約5000psiを越えた。

実施例17および実施例7で得られた試験結果を比較すると、より細かい石膏粉の使用が、材齢4時間および24時間での材料圧縮強度におけるより急速な上昇および相対的に高い材齢28日での材料圧縮強度をもたらすことが見てとれる。

実施例18:粗粒硫酸カルシウム二水和物 この調査の目的は、本発明のジオポリマー結合剤組成物における、粗粒硫酸カルシウム二水和物を組み込むことの影響を研究することであった。

表61は、この実施例で調査したジオポリマーセメント系混合物の原料組成を示す。この実施例の混合組成物で使用のスルホアルミン酸カルシウムセメントの量は、フライアッシュの重量の80重量%に等しかった。粗石膏粉を、調査した様々な混合組成物における異なる量レベル(スルホアルミン酸カルシウムセメントの重量の40、50、60および80重量%)で添加した。石膏粉を、C級フライアッシュの32、40、48および64重量%のレベルで添加した。使用した砂はQUIKRETE商用グレード細砂No.1961であり、高性能減水剤はBASF社のCASTAMENTである。

材料の初期流動挙動、スランプおよび若材齢亀裂挙動 表62は、実施例18におけるフライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、粗粒石膏粉およびアルカリ金属クエン酸塩を含む実施形態のジオポリマーセメント質組成物の初期流動挙動およびスランプ特性を示す。

スランプ試験において観察されたように、調査した全ての混合組成物が良好な流動挙動および大きいパテ直径を有した。

粗粒石膏粉を含むこの実施例の4種全ての混合組成物のスランプパテは極めて良好な状態にあり、亀裂を生じなかった。対照的に、硫酸カルシウム(石膏粉)を含有しない混合組成物(実施例17の比較用混合物1)には、乾燥させると、極めて著しい亀裂が生じた。したがって、スルホアルミン酸カルシウムセメント、フライアッシュおよびアルカリ金属クエン酸塩を含むセメント系混合物に粗粒石膏粉を組み込むと、乾燥時の亀裂に対する優れた耐性を有する寸法の安定したジオポリマーセメント質組成物が得られる。

収縮挙動 図18Aは、実施例18で調査した実施形態のジオポリマーセメント質組成物の収縮挙動を示す。

収縮率の測定を、原料を混合して水性スラリーを調製してから約4時間の材齢で開始した。材料収縮率を、材料を約75°F/50%RHで養生しながら、全部で約8週間にわたって測定した。

以下の重要な結論を、この調査および図18Aから導きだすことができる。

離型すらしていないのにひび割れた比較例4の収縮バー(硫酸カルシウムを含有しない)とは逆に、硫酸カルシウム(細粒石膏粉)を含む実施例18の収縮バーは安定しており、離型前も離型後も、許容範囲を超えた寸法安定性又は望ましくない収縮を示す亀裂を生じなかった。

フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、粗粒石膏粉およびアルカリ金属クエン酸塩を含むこの実施形態のジオポリマーセメント質組成物は、フライアッシュおよびアルカリ金属クエン酸塩だけを含有する比較用混合組成物(実施例1)についての最大収縮率約0.75%に対して最大収縮率約0.09%を有した。したがって、フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメントおよびアルカリ金属クエン酸塩を含むセメント質組成物への粗粒石膏粉の添加は、材料収縮率を極めて著しく低下させるのに役立つと結論づけることができる。

この実施例で調査したフライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、粗粒石膏粉およびアルカリ金属クエン酸塩を含むこの実施形態のジオポリマーセメント質組成物は約0.09%の最大収縮率を有したと観察することができる。対照的に、フライアッシュおよびスルホアルミン酸カルシウムセメントは含有するが粗石膏粉を含有しない実施例17の比較用混合物1の最大収縮率は約0.24%であった。

この実施例で調査した範囲において粗石膏粉量を増加させても、材料収縮挙動において大きな変化は起きなかった。例えば、粗粒石膏粉量範囲が約40〜約80重量%だと、異なる混合組成物についての測定最大収縮率は約0.09%で一定に留まった。

実施例8(細粒石膏粉)および実施例18で得られた収縮試験結果を比較すると、より高い量レベルの硫酸カルシウム(>50重量%)を混合組成物において使用する場合、粗粒石膏粉が全体的な材料収縮率を低下させるのにより効果的であることがわかる。

発熱およびスラリー温度上昇挙動 図18Bは、実施例18で調査した実施形態のジオポリマーセメント質組成物の発熱およびスラリー温度上昇挙動を示す。実施例18および実施例8で得られた温度上昇試験結果を比較すると、粗粒石膏粉の使用が、細粒石膏粉の使用で得られるものより小さい温度上昇をもたらすことがわかる。養生段階中の材料内での穏やかな発熱および小さい温度上昇は、材料の過剰な熱膨張並びにその結果としての亀裂および崩壊の防止に大いに貢献する。このことは、実際の現場での適用において材料を厚く流し込む形で利用する場合にも役立つ。この実施例で調査した実施形態のジオポリマーセメント質組成物はこの特定の見地において極めて有益であると開示され、これは実際の現場での適用において熱膨張が小さくなり、また熱亀裂に対してより高い耐性を示し得るからである。

凝結時間 表63は、実施例18における実施形態のジオポリマーセメント質組成物の凝結時間を示す。

フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、粗粒石膏粉およびクエン酸ナトリウムを含むこの実施例の実施形態のジオポリマーセメント質組成物の終了時間は、フライアッシュおよびクエン酸ナトリウムだけを含有する比較用混合組成物(実施例1)についての約15分という極めて急速な終了時間に対して約70分であった。

圧縮強度 表64は、実施例18におけるフライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、粗粒石膏粉およびアルカリ金属クエン酸塩を含む実施形態の開発されたジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度挙動を示す。

以下の重要な観察結果を、この研究から得ることができる。

この実施例で調査した実施形態のジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度は、時間と共に上昇し続けた。

石膏粉を含有しない比較用混合組成物(混合物1)の初期および極限圧縮強度は共に、粗粒石膏粉を含むこの実施形態のセメント質組成物(混合物2〜4)のものより低かった。

実施例18および実施例8で得られた試験結果を比較すると、より細かい石膏粉の使用が材齢4時間での材料圧縮強度においてより急速な上昇をもたらすことがわかる。例えば、実施例8の混合組成物において細粒石膏粉を使用すると、達成される材齢4時間での材料圧縮強度は約1500psiを越えたと観察することができる(実施例8の混合物1〜4)。

材料の材齢24時間での圧縮強度は、この実施形態のジオポリマーセメント質組成物の成分として粗粒石膏粉を使用すると約2000psiを越えた。実施例18および実施例8で得られた試験結果を比較すると、より細かい石膏粉の使用が材齢24時間での材料圧縮強度においてより急速な上昇をもたらすと結論づけることができる。例えば、実施例8の混合組成物において細粒石膏粉を使用すると、達成される材齢24時間での材料圧縮強度は約4000psiを越えた(実施例8の混合物1、2、3)。

この実施例におけるフライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウム、粗粒石膏粉およびクエン酸ナトリウムを含む実施形態の全てのジオポリマーセメント質組成物の材齢28日での圧縮強度は約5000psi未満であった。実施例18および実施例8で得られた試験結果を比較すると、硫酸カルシウム(細粒石膏粉)の使用が相対的に高い材齢28日での材料圧縮強度をもたらすことが見てとれる。例えば、実施例8の混合組成物において硫酸カルシウム(細粒石膏粉)を使用すると、達成される材齢28日での材料圧縮強度は約6000psiを越えた(実施例8の混合物1〜3)。

実施例19 この調査の目的は、本発明の実施形態のジオポリマー組成物における、様々な量で高純度細粒硫酸カルシウム二水和物を組み込むことの影響を研究することであった。

表65は、この実施例で調査したジオポリマーセメント系混合物の原料組成を示す。

この実施例の混合組成物で使用のスルホアルミン酸カルシウムセメントの量は、フライアッシュの重量の80重量%に等しかった。この調査で使用した細粒硫酸カルシウム二水和物は、ユナイテッドステイツジプサムカンパニー社の商品名USGテラアルバF&Pであった。硫酸カルシウム二水和物を、調査した混合組成物における以下の量レベルで添加した:スルホアルミン酸カルシウムセメントの重量の0、10、20および30重量%。硫酸カルシウム二水和物を、C級フライアッシュの0、8、16および24重量%のレベルで添加した。この調査で用いる水対セメント質材料比を0.30で一定に維持した。使用した砂はQUIKRETE商用グレード細砂No.1961であり、高性能減水剤はBASF社のCASTAMENTである。

材料の初期流動挙動、スランプおよび若材齢亀裂挙動 表66は、実施例19におけるフライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、細粒硫酸カルシウム二水和物およびアルカリ金属クエン酸塩を含むこの実施形態のジオポリマーセメント質組成物の初期流動挙動およびスランプ特性を示す。

スランプ試験において観察されたように、調査した全ての混合組成物が良好な流動挙動および大きいパテ直径を有した。

硫酸カルシウムを含有しない比較用混合物1のスランプパテには、乾燥させると、著しい亀裂が生じた。しかしながら、細粒硫酸カルシウム二水和物を含む混合物の場合、スランプパテは極めて良好な状態にあり、亀裂を生じなかった。したがって、スルホアルミン酸カルシウムセメント、フライアッシュおよびアルカリ金属クエン酸塩を含むセメント系混合物に細粒硫酸カルシウム二水和物を添加すると、乾燥時の亀裂に対する優れた耐性を有する寸法安定性組成物が得られる。

収縮挙動 図19Aは、実施例19で調査した実施形態のジオポリマーセメント質組成物の収縮挙動を示す。

収縮率の測定を、原料を混合して水性スラリーを調製してから約4時間の材齢で開始した。材料収縮率を、材料を約75°F/50%RHで養生しながら、全部で約8週間にわたって測定した。

以下の重要な結論を、この調査および図19Cから導きだすことができる。

離型すらしていないのにひび割れた比較例4の収縮バー(硫酸カルシウム二水和物を含有しない)とは逆に、細粒硫酸カルシウム二水和物を含む実施例19の収縮バーは完全に安定しており、離型前も離型後もひび割れなかった。

この実施例で調査したスルホアルミン酸カルシウムセメントおよび細粒硫酸カルシウム二水和物を含む実施形態のジオポリマーセメント質組成物は、フライアッシュおよびアルカリ金属クエン酸塩だけを含有する比較用混合物(実施例1)についての最大収縮率約0.75%に対して最大収縮率約0.06〜約0.08%を有した。

スルホアルミン酸カルシウムセメントおよび細粒硫酸カルシウム二水和物を含むこの実施形態のジオポリマーセメント質組成物(混合物2、3、4)は、約0.06〜約0.08%の最大収縮率を有した。その一方で、フライアッシュおよびスルホアルミン酸カルシウムセメントは含有するが細粒硫酸カルシウムを含有しない比較用混合物1の最大収縮率は約0.24%と相対的に極めて高かった。

この実施例で調査した範囲において細粒硫酸カルシウム二水和物量が増加すると、全体的な材料収縮率が低下した。例えば、細粒硫酸カルシウム二水和物量が約10重量%だと、測定最大収縮率は約0.08%であり、細粒硫酸カルシウム二水和物量が約30重量%だと、測定最大収縮率は約0.06%に低下した。

実施例7、17、19で得られた収縮試験結果を比較すると、細粒硫酸カルシウム二水和物(細粒硫酸カルシウム二水和物)の使用が、より低い全体収縮率をもたらすことがわかる。例えば、実施例17の粗粒硫酸カルシウム二水和物を使用すると、最大収縮率は約30重量%の硫酸カルシウム二水和物量で約0.11%に等しく、その一方で、実施例19の細粒硫酸カルシウム二水和物を使用すると、最大収縮率は約30重量%の硫酸カルシウム二水和物量でたった約0.06%であった。

発熱およびスラリー温度上昇挙動 図19Bは、実施例19で調査した実施形態のジオポリマーセメント質組成物の発熱およびスラリー温度上昇挙動を示す。フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、細粒硫酸カルシウム二水和物およびアルカリ金属クエン酸塩を含む実施例19のセメント質組成物は、ごく穏やかな温度上昇挙動しか示さなかった。養生段階中の材料内での穏やかな発熱および小さい温度上昇は、材料の過剰な熱膨張並びにその結果としての亀裂および崩壊の防止に大いに貢献する。このことは、実際の現場での適用において材料を厚く流し込む形で利用する場合に特に役立つ。この実施例で調査したこの実施形態のジオポリマーセメント質組成物はこの特定の見地において極めて有益であると開示され、これは実際の現場での適用において熱膨張が小さくなり、また熱亀裂に対してより高い耐性を示し得るからである。

凝結時間 表67は、実施例19における実施形態のジオポリマーセメント質組成物の凝結時間を示す。

この実施例で調査したセメント質組成物は全て、急速な凝結挙動を示した。この実施形態のジオポリマーセメント質組成物の終了時間は、フライアッシュおよびクエン酸ナトリウムだけを含有する比較用混合組成物(実施例1)についての約15分という極めて急速な終了時間に対して約60〜約90分であった。

圧縮強度 表68は、実施例19で調査したフライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、細粒硫酸カルシウム二水和物およびアルカリ金属クエン酸塩を含む実施形態の開発されたジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度挙動を示す。

以下の重要な観察結果を、この研究から得ることができる。

混合組成物の圧縮強度は、時間の関数として上昇し続けた。

細粒硫酸カルシウム二水和物を含有しないセメント質組成物(混合物1)の若材齢圧縮強度および極限圧縮強度は共に、細粒硫酸カルシウム二水和物を含むこの実施形態のジオポリマーセメント質組成物(混合物2〜4)のものより低かった。

この実施形態のジオポリマーセメント質組成物の若材齢(約4時間および約24時間)圧縮強度は、実質的に組成物中の細粒硫酸カルシウム二水和物の量の増加に伴って上昇した。実施例19、17、7で得られた試験結果を比較すると、細粒硫酸カルシウム二水和物の使用が材齢4時間での材料圧縮強度においてより急速な上昇をもたらすと結論づけることができる。

材料の材齢24時間での圧縮強度は、この実施形態のジオポリマーセメント質組成物において細粒硫酸カルシウム二水和物を使用すると約2500psiを越えた。実施例19、17、7で得られた試験結果を比較すると、細粒硫酸カルシウム二水和物の使用が初期材料圧縮強度においてより急速な上昇をもたらすと結論づけることができる。

フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウム、細粒硫酸カルシウム二水和物およびクエン酸ナトリウムを含むこの実施形態の全てのジオポリマーセメント質組成物の材齢28日での圧縮強度は相対的に高く、約4500psiを越えた。さらに、細粒硫酸カルシウム二水和物を約20重量%および約30重量%の量で含む(混合物3、4)この実施形態のジオポリマー混合組成物の材齢28日での圧縮強度はここでも極めて高く、約5000psiを越えた。

実施例20 この調査の目的は、本発明のジオポリマー結合剤組成物において、様々な量で高純度細粒硫酸カルシウム二水和物を組み込むことの影響を研究することであった。

表69は、この実施例で調査したジオポリマーセメント系混合物の原料組成を示す。この実施例の混合組成物で使用のスルホアルミン酸カルシウムセメントの量は、フライアッシュの重量の80重量%に等しかった。この調査で使用した細粒硫酸カルシウム二水和物は、ユナイテッドステイツジプサムカンパニー社の商品名USGテラアルバF&Pであった。硫酸カルシウム二水和物を、調査した混合組成物における以下の量レベルで添加した:スルホアルミン酸カルシウムセメントの重量の40、50、60および80重量%。硫酸カルシウム二水和物を、C級フライアッシュの32、40、48および64重量%のレベルで添加した。本発明のセメント質組成物に添加したクエン酸ナトリウムは、化学活性化剤として作用した。この調査で用いる水対セメント質材料比を0.30で一定に維持した。使用した砂はQUIKRETE商用グレード細砂No.1961であり、高性能減水剤はBASF社のCASTAMENTである。

材料の初期流動挙動、スランプおよび若材齢亀裂挙動 表70は、実施例20におけるフライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、細粒硫酸カルシウム二水和物およびアルカリ金属クエン酸塩を含む実施形態のジオポリマーセメント質組成物の初期流動挙動およびスランプ特性を示す。

スランプ試験において観察されたように、調査した全ての混合組成物が良好な流動挙動および大きいパテ直径を有した。そのような大きいスランプおよび自己平滑化挙動が約0.3と低い水/セメント質材料比であっても得られたことは特に注目に値する。

混合物1〜4から形成されたスランプパテは乾燥後、極めて良好な状態にあり、亀裂を生じなかった。したがって、スルホアルミン酸カルシウムセメント、フライアッシュおよびアルカリ金属クエン酸塩を含むセメント系混合物に細粒硫酸カルシウム二水和物を添加すると、乾燥時の亀裂に対する優れた耐性を有する寸法安定性組成物が得られる。

収縮挙動 図20Aは、実施例20における実施形態のジオポリマーセメント質組成物の収縮挙動を示す。

収縮率の測定を、原料を混合して水性スラリーを調製してから約4時間の材齢で開始した。材料収縮率を、材料を約75°F/50%RHで養生しながら、全部で約8週間にわたって測定した。以下の重要な結論を、この調査および図20cから導きだすことができる。

離型すらしていないのにひび割れた比較例4の収縮バー(硫酸カルシウム二水和物を含有しない)とは逆に、細粒硫酸カルシウム二水和物を含む実施例20の収縮バーは安定しており、離型前も離型後もひび割れなかった。

この実施例で調査したスルホアルミン酸カルシウムセメントおよび細粒硫酸カルシウム二水和物を含む実施形態のジオポリマーセメント質組成物は、フライアッシュおよびアルカリ金属クエン酸塩だけを含有する比較用混合物(実施例1)についての測定最大収縮率約0.75%に対して測定最大収縮率約0.14〜約0.23%を有した。

この実施例で調査した範囲において細粒硫酸カルシウム二水和物量が増加すると、材料収縮挙動が増大した。例えば、細粒硫酸カルシウム二水和物量が約40重量%だと、測定最大材料収縮率は約0.14%であった。細粒硫酸カルシウム二水和物量が約80重量%だと、測定最大収縮率は約0.23%に上昇した。

発熱およびスラリー温度上昇挙動 図20Bは、実施例20で調査した実施形態のジオポリマーセメント質組成物の発熱およびスラリー温度上昇挙動を示す。フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、細粒硫酸カルシウム二水和物およびアルカリ金属クエン酸塩を含む実施例20のセメント質組成物がごく穏やかな温度上昇挙動しか示さなかったことに気づく。養生段階中の材料内での穏やかな発熱および小さい温度上昇は、材料の過剰な熱膨張並びにその結果としての亀裂および崩壊の防止に大いに貢献する。このことは、実際の現場での適用において材料を厚く流し込む形で利用する場合に役立つ。この実施例で調査した実施形態のジオポリマーセメント質組成物はこの特定の見地において極めて有益であると開示され、これは実際の現場での適用において熱膨張が小さくなり、また熱亀裂に対してより高い耐性を示し得るからである。

凝結時間 表71は、実施例20における実施形態のジオポリマーセメント質組成物の凝結時間を示す。

この実施例で調査したセメント質組成物は全て、急速な凝結挙動を示した。また、この実施形態のジオポリマーセメント質組成物の終了時間は、フライアッシュおよびクエン酸ナトリウムだけを含有する比較用混合組成物(実施例1)についての約15分という極めて急速な終了時間に対して約90〜約120分であった。

圧縮強度 表72は、実施例20で調査したフライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、細粒硫酸カルシウム二水和物およびアルカリ金属クエン酸塩を含む実施形態の開発されたジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度挙動を示す。

以下の重要な観察結果を、この研究から得ることができる。

調査した混合組成物の圧縮強度は、時間の関数として上昇し続けた。

この実施例で調査した細粒硫酸カルシウム二水和物を含むこの実施形態のジオポリマーセメント質組成物(混合物1〜4)の若材齢(混合から約4時間後および約24時間後)圧縮強度は、細粒硫酸カルシウム二水和物を含有しない比較用混合組成物(実施例19の混合物1)のものより著しく高かった。

この実施形態のジオポリマーセメント質組成物の若材齢/初期(混合から4時間後および24時間後)圧縮強度は極めて高く、組成物中の細粒硫酸カルシウム二水和物の量が増加してもごく一定であり続けた。

実施例20および実施例18で得られた試験結果を比較すると、細粒硫酸カルシウム二水和物の使用が材齢4時間での材料圧縮強度においてより急速な上昇をもたらすことは明らかである。例えば、この実施例の混合組成物において細粒硫酸カルシウム二水和物を使用すると、達成される材齢4時間での材料圧縮強度は約2000psiを越えたことを観察することができる(実施例20の混合物1〜3)。対照的に、同じ量レベルの粗粒石膏粉を含む混合組成物の材齢4時間での圧縮強度は、実施例18の混合物1〜3について見られるように約600psi未満であった。

細粒硫酸カルシウム二水和物を使用すると、この実施例で調査したこの実施形態のジオポリマーセメント質組成物の材齢24時間での圧縮強度は約3500psiを越えた。実施例20の混合組成物における細粒硫酸カルシウム二水和物の使用は約3500psiを越える材齢24時間での材料圧縮強度をもたらし(実施例20の混合物1〜4)、同じ量レベルの粗粒石膏粉を含有する混合組成物は、実施例18の混合物1〜4について、材齢24時間での圧縮強度が約2500psi未満であった。

この実施例で調査したフライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウム、細粒硫酸カルシウム二水和物およびクエン酸ナトリウムを含む実施形態のジオポリマーセメント質組成物の材齢28日での圧縮強度は、約5000psiより高かった。さらに、実施例20の混合物1〜3に関し、材料の材齢約28日での圧縮強度は約6000psiを越えた。実施例20および実施例18で得られた試験結果を比較すると、細粒硫酸カルシウム二水和物の使用が相対的に高い材齢約28日での材料圧縮強度をもたらすことがわかる。例えば、実施例20の混合組成物において細粒硫酸カルシウム二水和物を使用すると、約7000psiを越える材齢約28日での材料圧縮強度が達成された。

実施例21 この実施例では、硫酸カルシウムおよびアルカリ金属クエン酸塩と組み合わせてスルホアルミン酸カルシウムセメントを低量(フライアッシュの約20重量部)で組み込むことの影響について研究する。

表73は、この実施例で調査したジオポリマーセメント系混合物の原料組成を示す。CTSセメントカンパニー社から入手可能なファストロック500ブランドのスルホアルミン酸カルシウムセメントを、この調査におけるセメント質反応性粉末の成分として利用した。この実施例の混合組成物で使用のスルホアルミン酸カルシウムセメントの量は、C級フライアッシュの0、5、10、15および20重量%に等しかった。本明細書において石膏粉と称される、この調査で使用する細粒硫酸カルシウム二水和物を、ユナイテッドステイツジプサムカンパニー社から調達した。石膏粉を、調査した様々な混合組成物におけるスルホアルミン酸カルシウムセメントの重量の50%の量で添加した。石膏粉を、フライアッシュの0、2.5、5、7.5および10重量%のレベルで添加した。使用した砂はQUIKRETE商用グレード細砂No.1961であり、高性能減水剤はBASF社のCASTAMENTである。エアプロダクツ社(Air Products,Inc)から入手可能なサーフィノール(SURFYNOL)500S界面活性剤も、消泡剤および湿潤剤として使用した。

材料の初期流動挙動、スランプおよび初期亀裂 表74は、実施例21で調査したフライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム(細粒石膏粉)およびアルカリ金属クエン酸塩を含む実施形態のジオポリマーセメント質組成物の初期流動挙動およびスランプ特性を示す。

スランプ試験において観察されたように、この実施形態の全ての混合組成物(混合物2〜5)は良好な自己平滑化性、流動挙動および大きいパテ直径を有した。そのような大きいスランプおよび自己平滑化挙動が約0.275と極めて低い水/セメント質材料比であっても得られたことは特に注目に値する。標準ポルトランドセメントをベースとした又は石膏をベースとした材料の場合、このような流動特性および自己平滑化挙動は、水/セメント質材料比が約0.45を超える場合にのみ得られる。

この実施例のこの実施形態の混合組成物(混合物2〜5)についてのスランプパテには、乾燥させても亀裂が生じなかった。したがって、たとえ低量(フライアッシュ重量の約20重量%)であってもスルホアルミン酸カルシウムセメントおよび硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)をフライアッシュおよびアルカリ金属クエン酸塩を含むセメント系混合物に組み込むと、乾燥時の亀裂に対する優れた耐性を有する寸法の安定したジオポリマーセメント質組成物が得られると結論づけることができる。

収縮挙動 図21Aは、実施例21で調査した実施形態のジオポリマーセメント質組成物の収縮挙動を示す。収縮率の測定を、原料を混合して水性スラリーを調製してから約4時間の材齢で混合物2〜5について開始した。比較用混合物1の場合、図21Bでわかるように、材齢4時間での収縮バーは、過度な材料収縮により型内で壊れた。比較用混合物1についての図21Aで挙げた収縮率データは、材齢約1時間で離型し、それと同時に収縮率の測定を開始したバーについての極若材齢材料収縮挙動を表している。図21Cは、材齢1時間で離型し、それと同時に収縮率の測定を開始した5種全ての混合物についての極若材齢材料収縮率を示す。材料収縮率を、材料を約75°F/50%RHで養生しながら、全部で約8週間にわたって測定した。

以下の重要な結論を、この調査および図21A、21Bから導きだすことができる。

ごく少量(フライアッシュ重量の約20重量%)であっても、スルホアルミン酸カルシウムセメントの組み込みは、フライアッシュ、硫酸カルシウム二水和物およびアルカリ金属クエン酸塩を含むこの実施形態のジオポリマーセメント質組成物の寸法安定性およびその結果としての亀裂耐性の改善に著しい影響を及ぼした。離型すらしていないのにひび割れた、スルホアルミン酸カルシウムセメントおよび細粒硫酸カルシウム二水和物(石膏粉)を含有しない比較用混合物1の材齢4時間での収縮バーとは逆に、スルホアルミン酸カルシウムセメントおよび細粒硫酸カルシウム二水和物(石膏粉)を含む混合物2〜5の収縮バーは安定しており、離型前も離型後もひび割れなかった。

フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、細粒硫酸カルシウム二水和物(石膏粉)およびアルカリ金属クエン酸塩を含むこの実施形態のジオポリマーセメント質組成物は、実施例21の比較用混合物1用のフライアッシュおよびアルカリ金属クエン酸塩だけを含む混合物についての約0.5%を超える最大収縮率に対して最大収縮率約0.10%未満を有した。5部でスルホアルミン酸カルシウムセメントを含む混合物2の最大記録収縮率がたった約0.07%であり、約10部でスルホアルミン酸カルシウムセメントを含む混合物3の最大記録収縮率がたった約0.05%であったことは注目に値する。したがって、フライアッシュおよびアルカリ金属クエン酸塩を含むセメント質組成物に少量であってもスルホアルミン酸カルシウムセメントおよび細粒硫酸カルシウム二水和物(石膏粉)を添加することは、材料収縮率を極めて著しく低下させるのに役立つ。

発熱およびスラリー温度上昇挙動 図21Dは、実施例21で調査した実施形態のジオポリマーセメント質組成物の発熱およびスラリー温度上昇挙動を示す。フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、細粒硫酸カルシウム二水和物(石膏粉)およびアルカリ金属クエン酸塩を含む実施例21のセメント質組成物は、ごく穏やかな温度上昇挙動しか示さなかった。養生段階中の材料内での穏やかな発熱および小さい温度上昇は、材料の過剰な熱膨張並びにその結果としての亀裂および崩壊の防止に大いに貢献する。このことは、実際の現場での適用において材料を厚く流し込む形で利用する場合に役立つ。この実施例で調査した実施形態のジオポリマーセメント質組成物はこの特定の見地において極めて有益であり、これは実際の現場での適用において熱膨張が小さくなり、また熱亀裂に対してより高い耐性を示し得るからである。

凝結時間 表75は、実施例21における実施形態のジオポリマーセメント質組成物の凝結時間を示す。

この実施例で調査したセメント質組成物は全て極めて急速な凝結挙動を示し、終了時間は約45〜約60分であった。また、フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、細粒硫酸カルシウム二水和物(石膏粉)およびアルカリ金属クエン酸塩を含むこの実施形態の開発されたセメント質組成物は、フライアッシュおよびアルカリ金属クエン酸塩だけを含む比較用セメント質組成物(実施例21の混合物1)より相対的に長い凝結時間(開始時間および終了時間の両方)を有したと観察することができる。

圧縮強度 表76は、実施例21におけるフライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、細粒硫酸カルシウム二水和物(石膏粉)およびアルカリ金属クエン酸塩を含む実施形態の開発されたジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度挙動を示す。

以下の観察結果を、この研究から得ることができる。

この実施例で調査した実施形態のジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度は、時間と共に上昇し続けた。

材料の材齢4時間での圧縮強度は、この実施形態のジオポリマーセメント質組成物の成分としてスルホアルミン酸カルシウムセメントおよび細粒硫酸カルシウム二水和物(石膏粉)を使用すると約1000psiを越えた。

材料の材齢24時間での圧縮強度は、この実施形態の調査対象であるジオポリマーセメント質組成物の成分としてスルホアルミン酸カルシウムセメントおよび細粒硫酸カルシウム二水和物(石膏粉)を使用すると約2000psiを越えた。

この実施例で調査したこの実施形態の全てのジオポリマーセメント質組成物の材齢約28日での圧縮強度は約4000psiを越えた。

実施例22 この実施例では、アルカリ金属水酸化物(水酸化ナトリウム)又はアルカリ金属水酸化物(水酸化ナトリウム)とアルカリ金属酸(クエン酸)との混合物で活性化させた、フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、細粒硫酸カルシウムを含むこの実施形態の開発されたジオポリマーセメント質組成物の物理的特性について研究する。

表77は、この実施例で調査したジオポリマーセメント系混合物の原料組成を示す。この実施例の混合組成物で使用したスルホアルミン酸カルシウムセメントの量は、フライアッシュの重量の20重量%に等しかった。石膏粉を、調査した様々な混合組成物において、スルホアルミン酸カルシウムセメントの重量の50%、C級フライアッシュの10重量%の量で添加した。水酸化ナトリウムとクエン酸との混合物を、化学活性化剤として作用するように本発明のセメント質組成物に添加した。調査した混合物のうちの2つ(混合物2、3)は化学活性化剤として水酸化ナトリウムだけを含有し、クエン酸を含有しなかった。同様に、混合物の1つ(混合物1)は化学活性化用にクエン酸だけを含有し、水酸化ナトリウムを含有しなかった。エアプロダクツ社から入手可能なサーフィノール500S界面活性剤を、消泡剤および湿潤剤として使用した。砂はQUIKRETE商用グレード細砂No.1961であり、高性能減水剤はBASF社のCASTAMENT FS20である。

初期流動挙動およびスランプ 表78は、実施例22で調査した実施形態のジオポリマーセメント質組成物の初期流動挙動およびスランプ特性を示す。

クエン酸は含有するが水酸化ナトリウムを含有しない混合物1の場合、混合材料が極端に堅練りであり、混合すると完全に加工不可能であることが認められた。その一方で、水酸化ナトリウム(混合物2、3)又は水酸化ナトリウムとクエン酸とのブレンド(混合物4、5)を含有する混合組成物は、スランプ試験におけるその相対的に大きいパテ直径によっても示されるように加工が容易であった。そのような良好な加工性を約0.275と極めて低い水/セメント質材料比であっても得られたことは特に注目に値する。標準ポルトランドセメントをベースとした又は石膏をベースとした材料の場合、このような流動特性および自己平滑化挙動は、水/セメント質材料比が約0.45を超える場合にのみ得られる。

収縮挙動 図22Aは、実施例22のジオポリマーセメント質組成物の収縮挙動を示す。

収縮率の測定を、原料を混合して水性スラリーを調製してから約4時間の材齢で開始した。材料収縮率を、材料を約75°F/50%RHで養生しながら、全部で約8週間にわたって測定した。

以下の重要な結論を、この調査および図22Aから導きだすことができる。

化学活性化剤として水酸化ナトリウムだけを含む混合組成物(混合物2、3)は、約0.1%未満の極めて低い収縮率を示した。たった1%の水酸化ナトリウムを含有する混合物2の最大収縮率が約0.05%未満であったことは注目に値する。水酸化ナトリウムを約3%の量で含有する混合物3の場合、最大収縮率は約0.09%まで上昇した。

化学活性化剤として水酸化ナトリウムとクエン酸との混合物を含むこの実施形態のセメント質組成物(混合物4、5)も極めて低い収縮率を示した。約1%の量でクエン酸および水酸化ナトリウムを含有する混合物3の最大収縮率はたった約0.05%であった。約3%の量でクエン酸および水酸化ナトリウムを含有する混合物5の場合、最大収縮率は約0.25%に上昇した。

発熱およびスラリー温度上昇挙動 図22Bは、実施例22のジオポリマーセメント質組成物の発熱およびスラリー温度上昇挙動を示す。この実施例のセメント質組成物(混合物2〜5)は、極めて小さい温度上昇を示した。クエン酸だけを含有する(水酸化ナトリウムを含有しない)混合物1は混合すると堅練りとなり、極めて小さい温度上昇によって示されるように、極めて不良な反応性を示した。養生段階中の材料内での穏やかな発熱および小さい温度上昇は、材料の過剰な熱膨張並びにその結果としての亀裂および崩壊の防止に大いに貢献する。このことは、実際の現場での適用において材料を厚く流し込む形で利用する場合に役立つ。この実施例で調査した実施形態のジオポリマーセメント質組成物はこの特定の見地において極めて有益であると開示され、これは実際の現場での適用において熱膨張が小さくなり、また熱亀裂に対してより高い耐性を示し得るからである。

凝結時間 表79は、実施例22におけるジオポリマーセメント質組成物の凝結時間を示す。

この実施例で調査したこの実施形態のセメント質組成物(混合物2〜5)は全て極めて急速な凝結挙動を示し、終了時間は約15〜約60分であった。水酸化ナトリウムを約1%の量レベルで含む混合組成物(混合物2、4)は、水酸化ナトリウムを約3%の量で含む混合組成物(すなわち、混合物3、4)より相対的に長い凝結時間(およびオープンタイム)を有した。材料可使時間(ポットライフ)が短いと、実際の現場での適用時に急速凝結材料の加工に著しい困難が生じることから、極端に短い凝結時間はいくつかの用途にとっては問題となる。

圧縮強度 表80は、実施例22におけるフライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム(細粒石膏粉)およびアルカリ金属化学活性化剤を含む実施形態の開発されたジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度挙動を示す。

以下の重要な観察結果を、この研究から得ることができる。

この実施形態で調査した実施形態のジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度は、時間と共に上昇し続けた。

材料の材齢4時間での圧縮強度は、この実施形態のジオポリマーセメント質組成物の成分としてスルホアルミン酸カルシウムセメントおよび石膏粉を使用すると約1000psiを越えた。これは、水酸化ナトリウムだけを化学活性化剤として使用した場合(混合物2、3)又は水酸化ナトリウムとクエン酸との混合物を化学活性化剤として使用した場合(混合物4、5)も同様であった。

材料の材齢24時間での圧縮強度は、この実施形態の調査対象であるジオポリマーセメント質組成物の成分としてスルホアルミン酸カルシウムセメントおよび石膏粉を使用すると約2000psiを越えた。これは、水酸化ナトリウムだけを化学活性化剤として使用した場合(混合物2、3)又は水酸化ナトリウムとクエン酸との混合物を化学活性化剤として使用した場合(混合物4、5)も同様であった。

この実施例で調査したこの実施形態の全てのジオポリマーセメント質組成物の材齢28日での圧縮強度は約5000psiを越えた。これは、水酸化ナトリウムだけを化学活性化剤として使用した場合(混合物2、3)又は水酸化ナトリウムとクエン酸との混合物を化学活性化剤として使用した場合(混合物4、5)も同様であった。

実施例23 この実施例は、フライアッシュの6、12、18および24重量%のレベルで添加する硫酸カルシウム二水和物と組み合わせて異なる量(フライアッシュの20、40、60および80重量部)でスルホアルミン酸カルシウムセメントを組み込むことが、本発明のジオポリマーセメント質組成物の極若材齢収縮挙動に及ぼす影響を示す。試験した組成物を表81に挙げる。砂はQUIKRETE商用グレード細砂No.1961であり、高性能減水剤はBASF社のCASTAMENT FS20である。

極若材齢収縮挙動 図23Aは、実施例23で調査した実施形態のジオポリマーセメント質組成物の極若材齢収縮挙動を示す。

極若材齢収縮試験を段落0277に記載される通りに行ったが、初期測定を、原料を混合して水性スラリーを調製してから約1時間後に開始した。この調査の主な目的は、異なる量のスルホアルミン酸カルシウムセメント(フライアッシュの約20〜約80重量部)および細粒硫酸カルシウム二水和物を組み込むことが、この実施形態のジオポリマーセメント質組成物の極若材齢収縮挙動に及ぼす影響を研究することであった。

図23Aおよび表82から、極若材齢収縮の大きさが、この実施形態の組成物中のスルホアルミン酸カルシウムセメントの量の増加に伴って増大したことを観察することができる。これは全く予期せぬ結果であった。

表82に、図23Aに示されるように、実施例23の混合物を使用して作製したバーの収縮率をまとめる。

上記の結果は、本発明の極めて重要な側面を表している。これらの結果は全く予期せぬものであり、また組成物中のスルホアルミン酸カルシウムセメントの量が増加すると上昇する、この実施形態のセメント質組成物の極若材齢収縮を説明している。これらの結果は、適用の主な目的が材料の極若材齢収縮および全体としての収縮の大きさを最小限に抑えることならば、この実施形態および関連する実施形態の組成物におけるスルホアルミン酸カルシウムセメントの量を相対的に少なく(好ましくは、約20部以下)維持するのが有益であることを示唆している。ここで観察される材料の極若材齢収縮の原因は完全には理解されていないものの、初期収縮は反応材料の自己乾燥および体積変化の結果としての化学および自己収縮に起因すると考えられる。

この実施形態および関連する実施形態の組成物においてスルホアルミン酸カルシウムセメントおよび硫酸カルシウムの量を少なく維持することの別の主なメリットは、風解が起きる可能性が著しく低いことである。材料における高い度合いの風解は見た目上の問題となるだけでなく、硬化した材料中に存在する塩の化学反応および水和反応によって起き得る膨張反応により、後々の材料の崩壊および損傷にもつながり得ることに留意すべきである。

この実施形態の組成物においてスルホアルミン酸カルシウムセメントおよび硫酸カルシウムの量を少なく維持することの別の主なメリットは、それによって原料コストが大幅に低下することである。

実施例24 この実施例では、フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、細粒硫酸カルシウム二水和物(すなわち、石膏又は石膏粉)およびアルカリ金属塩の引張接着強さ性能について説明する。全部で4種の混合組成物について調査した。

表83において、混合物1は、再分散可能な膜形成重合体粉末を含有しない本発明のジオポリマーセメント質組成物を表す。その一方で、混合物2〜4は、異なる量レベルで添加された再分散可能な膜形成重合体粉末を含有する本発明のジオポリマーセメント質組成物を表す。ワッカーポリマーズ(WACKER Polymers)社製の、商品名がビナパス(VINNAPAS)5025Lである再分散可能な膜形成重合体粉末(ビニルアセテート/エチレンコポリマー)をこれら3種の混合組成物において使用した。QUIKRETE商用グレード細砂No.1961をBASF社のCASTAMENT FS20高性能減水剤およびエアプロダクツ社のサーフィノール500S消泡剤と共に使用した。

引張接着強さ 表102に挙げたような、ポルトランドセメントをベースとした下地モルタルとジオポリマーセメント質組成物との間での引張接着強さについて調査した。まず、約2インチx2インチx2インチの立方体の型にポルトランドセメント系モルタルを厚さの半分(1インチ)まで入れた。この材料を密封したビニール袋内で注型から少なくとも約28日間にわたって養生および硬化させた。約28日間にわたる養生の完了後、次にポルトランドセメントモルタルの上面にアクリル系プライマーを下塗りした。続いて、表84通りのこの実施形態のジオポリマーセメント質組成物を型内に、上面まで注いだ。新たに注ぎ入れた材料の上面を定規摺りして平坦な面を作り出した。次に、試験時まで試料を養生した。養生の完了後、試験試料を離型し、約2インチx2インチのスチール製のアンカーブロックを試料の上面および底面の両方にエポキシ樹脂で接着した。次に、試料を適切な試験フレーム(MTS試験機)において引張り、極限破壊荷重を記録した。破壊応力を、破壊荷重をポルトランドセメント下地モルタルとジオポリマーセメント質材料との間の接着表面積で割ることで計算した。この実施例で調査した各混合物について、5個の試料を破壊について試験した。

表84は、この実施例で調査した4種のジオポリマー混合組成物の平均引張接着強さを示す。全ての試料を8日間にわたって養生し、引張接着強さについて試験した。調査した4種全ての混合組成物が極めて高い引張接着強さを有したことを観察することができる。この実施例で調査した本発明の4種全てのジオポリマーセメント質組成物について引張接着強さが約200psiを越えたことは特に注目に値する。

再分散可能な重合体粉末を含有しないジオポリマーセメント質組成物(混合物1)の引張接着強さは極めて高く、約298psiであった。そのように高い引張接着強さを、ポリマー不在の他の市販のポルトランドセメント系材料および製品で達成することは通常できないことから、これは全く予期せぬ結果であった。この実施形態のジオポリマーセメント質組成物への再分散可能な重合体粉末の添加(混合物2〜4)が引張接着強さにおける大きな変化又は上昇を招かなかったことは注目に値する。この結果は、他の基体に対するその引張接着強さを上昇させるのにこの実施形態のジオポリマーセメント質組成物は再分散可能な重合体粉末を必ずしも必要としないという本発明の組成物の極めて重要な側面を実証している。材料を他の基体に接着する補修用途で使用する場合、引張接着強さは極めて有用な特性である。最終的には、接着の質が、補修した箇所が短期的および長期的にどのぐらい耐久性高く長持ちするかを決定する。基体との接着性が悪いと、剥離、亀裂および他の様式の破壊が起き得る。

上記の結果は本発明の極めて重要な側面を表している。それは、これらの結果が、満足のいく接着強さ性能を達成するために、高価なポリマーを任意でこの実施形態のジオポリマー組成物から排除できることを示しているからである。このことがこの実施形態のジオポリマーセメント質組成物を唯一無二であり且つ他の無機バインダ技術をベースとしたその他の市販のセメント系補修製品に対して極めてコスト競争力が高いものにしている。

追加の引張接着強さ試験を、アクリル、スチレンアクリレートコポリマー、スチレン/ブタジエンコポリマーその他等の他のタイプの再分散可能な重合体粉末を含有するこの実施形態のジオポリマー組成物を使用して行った。これらの組成物についての引張接着強さの結果は極めて高く、上記のこの実施例で報告された結果と同様であった。

実施例25 この実施例では、フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、細粒無水石膏およびアルカリ金属クエン酸塩を含むこの実施形態の開発されたジオポリマーセメント質組成物の物理的特性について説明する。この調査の主な目的は、細粒無水石膏と組み合わせてスルホアルミン酸カルシウムセメントを低量(フライアッシュの約40重量部以下)で組み込むことが、この実施形態のジオポリマー組成物の圧縮強度挙動に及ぼす影響を研究することであった。

この実施例の混合組成物で使用のスルホアルミン酸カルシウムセメントの量は、フライアッシュの重量の5、10、20、30および40重量%に等しかった。細粒無水硫酸カルシウム(無水石膏)であるUSG社のSNOW WHITEフィラーをこの調査で使用した。SNOW WHITEフィラーを、調査した様々な混合組成物におけるスルホアルミン酸カルシウムセメントの重量の50%の量で添加した。無水石膏を、C級フライアッシュの2.5、5、10、15および20重量%のレベルで添加した。QUIKRETE商用グレード細砂No.1961、BASF社のCASTAMENT FS20高性能減水剤、エアプロダクツ社のサーフィノール500S消泡剤/湿潤剤およびモメンティブスペシャルティケミカルズ(Momentive Specialty Chemicals)社から入手可能なアキシラット(AXILAT)RH200XPサクシノグリカンハイドロコロイド。表85は、この実施例で試験した組成物を示す。

圧縮強度および凝結時間 表86は、実施例25で調査したフライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、細粒無水石膏およびアルカリ金属クエン酸塩を含む実施形態の開発されたジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度挙動を示す。

この実施例で得られたような無水石膏を含む実施形態のジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度は、(前出の実施例で強調したような)硫酸カルシウム二水和物を含有する同様の組成物よりはるかに高い。このことは、本発明の説明において論じた硫酸カルシウム二水和物と比較しての、不溶性無水硫酸カルシウム(無水石膏又は死焼無水石膏)を使用することの予期せぬメリットを実証している。

材料の材齢4時間での圧縮強度は、スルホアルミン酸カルシウムセメントおよび無水石膏をより少ない量で含有する混合物1、2について約1500psiを越え、スルホアルミン酸カルシウムセメントおよび無水石膏をより多い量で含有する混合物3〜5について約3000psiを越えた。

材料の材齢24時間での圧縮強度は、スルホアルミン酸カルシウムセメントおよび無水石膏をより少ない量で含有する混合物1、2について約2000psiを越え、スルホアルミン酸カルシウムセメントおよび無水石膏をより多い量で含有する混合物3〜5について約5000psiを越えた。

この実施例で調査したスルホアルミン酸カルシウムセメントおよび無水石膏を含有するこの実施形態の全てのジオポリマーセメント質組成物の材齢28日での圧縮強度は約7000psiを越えた。

無水石膏を含むこの実施形態のジオポリマーセメント質組成物が、(前出の実施例で強調したような)硫酸カルシウム二水和物を含有する同様の組成物より相対的に速く凝結したことも認められた。この実施例で調査した5種の混合組成物の終了時間は、約25〜約35分であった。

この実施例で強調したような無水石膏を含有する本発明のジオポリマーセメント質組成物は、急速な凝結および急速な強度発現が必須要件である用途において特に有用である。

実施例26 この実施例では、コンクリート、木材その他等の多種多様な基体上の自己平滑化性床用アンダーレイメントとして特に有用である本発明のジオポリマーセメント質組成物について説明する。特に、この実施例で説明するものと同様の組成物は、粗く非平面の既にあるコンクリート面を滑らか且つ平らにするのに極めて有用である。

表87は、滑らかな表面を作り出すために、既にあるコンクリートスラブ上に使用したこの実施形態の材料組成を示す。

ジオポリマートッピング材を上に流すコンクリートスラブのサイズは、面積で約22フィートx約11.5フィートであった。まず、スラブの表面を掃くことでスラブ表面に付着している塵埃および破片を除去した。続いて、アクリル系床用プライマーを使用してスラブ表面を下塗りした。表87に挙げた材料を、ハンドドリルミキサを使用してドラム内で混合した。表26に記載されたサイズの2バッチを一度で、ハンドドリルミキサを使用して混合ドラム内で混合した。まず水を混合ドラムに注ぎ、続いて乾燥粉末ブレンドを添加した。この実施形態のジオポリマースラリーをダマのないものにするために、材料混合時間は約2〜約3分であった。次に、混合ドラムを流し込み領域まで運び、ジオポリマースラリーをコンクリートスラブ上に流した。上述したような混合工程を13回繰り返すと、コンクリートスラブの流し込み領域全体を覆うのに十分なスラリーが得られた。ジオポリマースラリーは流れ、極めて速やかに水平になった。スクリードを使用し、流し込み領域内での材料の動きを更に支援した。

次に、流し込んだ材料の表面をスチール製のこてを使用して形を整え、平坦で滑らかな表面を作り出した。流した材料の有効厚さは、スラブ上での位置に応じて約1インチ〜フェザーエッジ(約1/16インチ)であった。スラブ上の流した材料の有効厚さは材料をスラブ上に流した際に測定し、次に約2時間後に再度測定した。厚さの測定値は、材料を流した時と約2時間後とで本質的に同じままであった。流し込み領域内の、フェザーエッジングした材料の全長は約22フィートであった。流した材料のフェザーエッジングが極めて容易であったことは注目に値する。フェザーエッジングした材料と基体との間の接着力は、流し込んでから約2時間以内で並外れたものであると判明した。フェザーエッジ領域端部のマスキングテープを材齢約2時間で外してもフェザーエッジに亀裂も剥離も起きなかったことは注目に値する。スラブ表面は、流し込みから約2時間以内に乾燥して歩行可能であった。床は、流し込みから数か月後に行った最後の検査時まで実質的に亀裂および欠陥がないままであった。

ジオポリマーバインダフロアトッピング面の表面pHを、様々な時間的間隔をおいてASTM F710−11試験法に準拠して測定した。エクステック(Extech)社のPH150−Cエクスティック(Exstic)コンクリートpHメータを使用して表面pHの測定を行った。表88は、フロアトッピング面の測定されたpH値を示す。

その比較的低いpHにより寸法安定性のこの実施形態のジオポリマーバインダは、アクリル系およびゴム系接着剤等の殆どの市販の良質なフローリング接着剤と極めて相性が良い。この実施形態の寸法の安定したジオポリマーバインダがもたらす低pH環境により、フローリング接着剤は、ジオポリマー組成物との有害反応が引き起こす激しい化学分解および不安定性を見せない。その結果、ビニル床シート、コンポジションビニル床タイル(vinyl composition tile:VCT)、カーペット等の床仕上げ材を、長期間にわたって耐久性高く、この実施形態の寸法の安定したジオポリマーバインダ上にうまく敷設することができる。

コンクリート基体に適用したジオポリマートッピングの引張接着強さを、材齢6週でASTM C1583(2004)試験法に準拠して測定した。測定された引張強さ値は約300psiを越え、これはコンクリート基体に対するジオポリマートッピング材の優れた接着性の発現を実証している。

補修材又は自己平滑化性トッピング材として使用する場合、本発明のいくつかの実施形態の寸法の安定したジオポリマー組成物は、うまく敷設するための基体の準備が最小限ですむ。自己平滑化性ジオポリマーバインダトッピングを既にある基体上に敷設するにあたって表面を整えるための、ショットブラスティング、掘り起し、水噴射、スキャビング、切削等の時間とコストがかかる基体準備手順を、用途に応じて、最小限に抑える又は完全に回避することができる。ジオポリマートッピングを、塵埃および破片のない基体上に直接流すことも、あるいは適した床用プライマーを使用して適切に下塗りを施した基体上に流すこともできる。

セメント質組成物は基体表面上で広がることができ、セメント系結合剤は自己平滑化性であり、また約0.02〜約7.5cmの有効厚さまで注がれる。パッチング用補修材又は自己平滑化性トッピング材として既にある基体上に使用する場合、本発明のいくつかの実施形態の寸法の安定したジオポリマー組成物を、スキムコーティングからフェザーエッジングまで極薄に容易に塗布することが可能である。ここでいうスキムコーティングおよびフェザーエッジングとは、約1/4インチ(0.635cm)未満、より好ましくは約1/8〜約1/128インチ(0.32〜0.02cm)の塗布材料厚さのことである。

本発明のいくつかの好ましい実施形態の寸法の安定したジオポリマー組成物は、その下の基体との間に並外れた引張接着強さを発現可能である。本発明のジオポリマー材料とコンクリート基体との間の好ましい引張接着強さは、好ましくは約200psi(1.4MPa)を越え、最も好ましくは約300psi(2.1Mpa)を越える。

この実施例で強調したような本発明のジオポリマー結合剤組成物の重要な特色は以下の通りである。

低RPMドリルミキサを使用したとしても良く混ぜ合わされたジオポリマーバインダ材料が得られる、極めて低い混合エネルギー要件。配合物中にごく少量の水しか使用していないにも関わらず、この実施形態のジオポリマー材料の混合が極めて容易であることは特に注目に値する。業界で一般に入手可能なセメント系配合物では、混合し易くするため、また加工可能であり且つ自己平滑化性のスラリー混合物を製造するために約2倍の量の水を使用している。

この実施形態のジオポリマーバインダトッピング材を使用してうまく流し込みを行うにあたって必要な基体準備が最小限で済む。流し込みにあたって表面を整えるためのショットブラスティング、掘り起し、水噴射、スキャビング、切削等の時間とコストがかかる基体準備手順を踏む必要がない。ジオポリマー材料を、塵埃および破片のない基体上に直接流すことも、あるいは適した床用プライマーを使用して適切に下塗りを施した基体上に流すこともできる。

この実施形態のジオポリマーバインダ材料はフェザーエッジングが可能である。

この実施形態のジオポリマーバインダトッピングとコンクリート基体との間の並外れた接着力。

この実施形態のジオポリマーバインダトッピング材は、流し込みから約2時間以内に歩行可能である。

剥離、亀裂等の問題に対してこの実施形態のジオポリマーバインダトッピングが有する極めて高い耐性。

この実施形態のジオポリマーバインダ材料は、様々な厚さに流し込み可能である。

ジオポリマーバインダ材料は、様々なタイプのコーティングを表面上に受け入れ可能である。

ジオポリマーバインダトッピング材は、市販の連続モルタルミキサおよび他のタイプのコンクリート/モルタルバッチミキサで混合可能である。

実施例27 表89は、この実施例で調査したセメント系混合物の原料組成を示す。

この実施例の混合組成物で使用のスルホアルミン酸カルシウムセメントの量は、フライアッシュの重量の25重量%に等しかった。この調査で使用した細粒硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)はスルホアルミン酸カルシウムセメントの重量の50重量%のレベルで添加され、これはC級フライアッシュの12.5重量%である。ポルトランドセメントをフライアッシュの25、67、150および400重量%のレベルで添加し、これはそれぞれ全セメント質材料の15、33、52および74重量%に近い割合である。全セメント質材料には、C級フライアッシュ、硫酸カルシウム二水和物、スルホアルミン酸カルシウムおよびポルトランドセメントが含まれる。水対全セメント質材料比を、調査した全ての混合物について約0.3で一定に維持した。セント・メアリー(St.Mary)社のタイプIIIポルトランドセメント(ミシガン、デトロイト)を添加した。QUIKRETE商用グレード細砂No.1961およびBASF社のCASTAMENT FS20高性能減水剤も使用した。

初期流動挙動およびスランプ 表90は、実施例27で調査したフライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、石膏粉、ポルトランドセメントおよびアルカリ金属クエン酸塩を含むセメント質組成物の初期流動挙動およびスランプ特性を示す。

スランプ試験で観察された堅練りのスラリーおよび小さいパテ直径によって示されるように、調査した全ての混合組成物が不良な流動挙動を有した。材料の流動特性は、組成物中のポルトランドセメントの増加に伴って低下した。

スランプパテの堅練りで高い粘性は、表90のスランプ値からも明白である。スラリー混合物は、組成物中のポルトランドセメントの増加に伴ってより粘性となった。

収縮挙動 図24は、実施例27で調査した実施形態のジオポリマーセメント質組成物の収縮挙動を示す。収縮率の測定を、原料を混合して水性スラリーを調製してから約2−1/5時間の材齢で開始した。材料収縮率を、材料を約75°F/50%RHで養生しながら、全部で約8週間にわたって測定した。

以下の重要な結論を、この調査および図24から導きだすことができる。

ポルトランドセメントの組み込みは、調査したセメント質組成物の収縮率を著しく上昇させた。調査した様々な混合物についての極限収縮率値を表91にまとめる。約15%のポルトランドセメントを含有する混合物1についての極限収縮率が約0.15%であったことを観察することができる。約33%のポルトランドセメントを含有する混合物2について、極限収縮率は約0.23%まで上昇した。約50%のポルトランドセメントを含有する混合物3について、極限収縮率は約0.3%まで上昇した。最後に、約75%のポルトランドセメントを含有する混合物4について、測定された収縮率は約0.5%と最も高かった。

上の説明で詳細に論じたように、この実施例は、ポルトランドセメントを本発明の実施形態に添加して得られる予期せぬ結果が、ポルトランドセメントが組成物の収縮挙動に悪影響を及ぼすことであったことを示す。収縮の大きさは、この実施例により、組成物中のポルトランドセメントの量の増加に比例して増大すると示される。

フライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウムおよびアルカリ金属クエン酸塩を含む本発明の実施形態のセメント質組成物へのポルトランドセメントの添加は、材料収縮率を極めて著しく上昇させる。

上記の発見に基づいて、本発明の実施形態の寸法の安定したジオポリマー組成物におけるポルトランドセメントの添加は推奨されない。

実施例28 表92は、この実施例におけるセメント系混合物の原料組成を示す。

この実施例の混合組成物で使用のスルホアルミン酸カルシウムセメントの量は、フライアッシュの重量の20重量%に等しかった。この調査で使用の細粒硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)を、スルホアルミン酸カルシウムセメントの重量の50重量%、C級フライアッシュの10重量%の量レベルで添加した。混合物1の組成物はホウ砂を含有しないが、混合物2〜4の組成物は、凝結調節化学添加剤としてホウ砂を含有した。QUIKRETE商用グレード細砂No.1961、BASF社のCASTAMENT FS20高性能減水剤、ワッカービナパス5025L(ワッカーポリマーズ社)およびエアプロダクツ社のサーフィノール500S消泡剤。

風解挙動 図25は、この実施例で調査した混合物についての、真鍮製の立方体の型で注型した立方体の写真である。注型された立方体の上面が図の写真に写っている。ホウ砂を含有する混合物(混合物2、3、4)には、材料内からの塩の浸出によって引き起こされる、立方体上面上の過剰な風解が見られたと観察することができる。その一方で、ホウ砂を含有してない混合物1の立方体には本質的に風解が発生しなかった。過剰な風解は、見た目の悪さ、塩の水和によって起きる膨張反応を原因とする材料の崩壊および損傷並びに他の基体および表面コーティングとの接着強さにおける低下につながり得る。

接着挙動 本発明の寸法の安定したジオポリマー結合剤組成物に追加成分としてホウ砂、ホウ酸塩又はホウ酸を添加すると、コンクリート等の他の材料および基体との接着性が不良となることも判明した。したがって、好ましくは、本発明の組成物はホウ砂、ホウ酸塩又はホウ酸を含まない。

実施例29:C級フライアッシュ+低石灰アルミノケイ酸カルシウムミネラル(F級フライアッシュ) 表93は、この実施例で調査したジオポリマーセメント系混合物の原料組成を示す。

この実施例では、C級フライアッシュと組み合わせて低石灰アルミノケイ酸カルシウムミネラル(ヘッドウォーターズリソーシーズ(Headwaters Resources)社のF級フライアッシュ)を組み込むことが、本発明のジオポリマー組成物の物理的特性に及ぼす影響を調査した。C級フライアッシュを76、38、18および76重量部で添加し、フライアッシュFを混合物2、3において38および58重量部で添加した。C級フライアッシュをそれぞれ38および18重量部のレベルで添加する。硫酸カルシウム二水和物を8重量部で添加し、スルホアルミン酸カルシウムを16重量部のレベルで添加した。QUIKRETE商用グレード細砂No.1961、BASF社のCASTAMENT FS20高性能減水剤およびサーフィノール500S消泡剤も添加した。

材料のスランプおよび流動挙動 表94は、実施例29で調査した実施形態のジオポリマーセメント質組成物の初期流動挙動およびスランプ特性を示す。

スランプ試験において観察されたように、調査した全ての混合組成物が良好なレオロジーおよびスランプ挙動を有した。そのような良好なレオロジーおよびスランプ挙動が約0.24と低い水/セメント質材料比であっても得られたことは特に注目に値する。

収縮挙動 図26は、実施例29で調査した実施形態のジオポリマーセメント質組成物の収縮挙動を示す。この調査の主な目的は、石灰低含有熱活性化アルミノシリケートミネラル(F級フライアッシュ)の組み込みが、この実施形態の開発されたジオポリマーセメント質組成物の収縮挙動に及ぼす影響を研究することであった。

収縮率の測定を、原料を混合して水性スラリーを調製してから約4時間の材齢で開始した。材料収縮率を、材料を約75°F/50%RHで養生しながら、全部で約8週間にわたって測定した。

以下の結論を、この調査および図26から導きだすことができる。

組成物が石灰高含有熱活性化アルミノシリケートミネラル、すなわちC級フライアッシュだけを含有する場合(混合物1)、材料収縮率は最も低かった。

材料収縮率は、組成物中の石灰低含有熱活性化アルミノシリケートミネラルの量の増加に伴って上昇した。石灰低含有熱活性化アルミノシリケートミネラルが不在の混合物1の総収縮率は約0.04%であった。組成物における石灰低含有熱活性化アルミノシリケートミネラルが約50%の混合物2の総収縮率は約0.07%まで上昇したと観察することができる。混合物3の総材料収縮率は、組成物における石灰低含有熱活性化アルミノシリケートミネラルが約76%だと約0.1%まで上昇した。組成物における石灰低含有熱活性化アルミノシリケートミネラルが約100%の混合物4の総材料収縮率は、約0.18%と著しく高かった。

凝結時間 表95は、実施例29における実施形態のジオポリマーセメント質組成物の凝結時間を示す。

この実施例で調査した組成物の凝結開始および終了時間が共に、配合物中の石灰低含有熱活性化アルミノシリケートミネラルの量の増加に伴って増大したことが観察される。約100%の石灰低含有熱活性化アルミノシリケートミネラルを含有する混合物4の終了時間が著しく増大して約2時間を超えたことを観察することができる。

圧縮強度 表96は、実施例29におけるこの実施形態の開発されたジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度挙動を示す。

以下の観察結果を、この研究から得ることができる。

石灰高含有および石灰低含有熱活性化アルミノシリケートミネラルの両方の混合物を含むジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度は、時間の関数として上昇し続けた。

混合組成物の若材齢圧縮強度および極限圧縮強度は共に、組成物における石灰低含有アルミノシリケートミネラルの量の増加に伴って低下した。

組成物中に約50%の石灰低含有アルミノシリケートミネラルを含有する混合物2についての若材齢圧縮強度および極限圧縮強度は共に十分なものであり、材齢28日での圧縮強度は約4200psiを越えた。

組成物中に約100%の石灰低含有アルミノシリケートミネラルを含有する混合物4についての初期および極限圧縮強度は共に相対的に低く、本発明の一部として考えられる用途の多くにとって十分なものではない。

実施例30 この実施例では、コンクリート、木材その他等の多種多様な基体上の自己平滑化性床用アンダーレイメントとして特に有用である、本発明のジオポリマーセメント質組成物について説明する。特に、この実施例で説明するものと同様の組成物は、粗く非平面の既にあるコンクリート面を滑らか且つ平らにするのに特に有用である。

表97は、この実施形態の材料組成を示す。

この実施例で調査した混合組成物は良好なレオロジーを有し、スランプ試験において10−1/4インチ(26cm)のスランプを示した。乾燥後のこの混合組成物のスランプパテは極めて良好な状態に留まり、亀裂を生じなかった。

収縮挙動 図27Aは、実施例29で調査した本発明の実施形態のジオポリマーセメント質組成物の収縮挙動を示す。

収縮率の測定を、原料を混合して水性スラリーを調製してから約4時間の材齢で開始した。材料収縮率を、材料を約75°F/50%RHで養生しながら、全部で約8週間にわたって測定した。

以下の重要な結論を、この調査および図27Aから導きだすことができる。

離型すらしていないのにひび割れた比較例4の収縮バー(硫酸カルシウムを含有しない)とは逆に、硫酸カルシウム二水和物を含む実施例29の収縮バーは完全に安定しており、離型前も離型後もひび割れなかった。

この実施例で調査したフライアッシュ、スルホアルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム二水和物およびアルカリ金属クエン酸塩を含む本発明の実施形態のジオポリマーセメント質組成物は、フライアッシュおよびアルカリ金属クエン酸塩だけを含有する比較用混合物(実施例1)についての最大収縮率約0.75%に対してたった約0.04%の最大収縮率を有した。

発熱およびスラリー温度上昇挙動 図27Bは、実施例29で調査した本発明の実施形態のジオポリマーセメント質組成物の発熱およびスラリー温度上昇挙動を示す。このセメント質組成物はごく穏やかな温度上昇挙動しか示さず、最高スラリー温度は108°Fにしか達さなかった。

養生段階中の材料内での穏やかな発熱および小さい温度上昇は、材料の過剰な熱膨張並びにその結果としての亀裂および崩壊の防止を支援する。このことは、実際の現場での適用において材料を厚く流し込む形で利用する場合により一層役立つ。本発明のこの実施形態のジオポリマーセメント質組成物はこの特定の見地において極めて有益となり、これは現場での適用において熱膨張が小さくなり、また熱亀裂に対してより高い耐性を示し得るからである。

凝結時間 表98は、実施例29で調査した本発明のいくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物の凝結時間を示す。これらの結果本発明の実施形態、それでもなお自己平滑化性アンダーレイメント用途において特に有用である。

圧縮強度 表99は、この実施例で調査した本発明の実施形態の開発されたジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度挙動を示す。これらの結果は、本発明のジオポリマーセメント質組成物が自己平滑化性アンダーレイメント用途での使用に適していることを実証している。

実施例31 この実施例では、本発明のいくつかの実施形態の軽量ジオポリマー結合剤組成物の独特の挙動および機械的性能について説明する。

表100は、この実施例で調査した軽量ジオポリマーセメント系混合物の原料組成を示す。

この実施例で調査した軽量ジオポリマー組成物の測定された密度は以下の通りであった。 混合物1:96pcf(ポンド/立方フィート) 混合物2:101pcf 混合物3:105pcf

材料のスランプおよび若材齢亀裂挙動 表101は、この実施例で調査した本発明のいくつかの実施形態の軽量ジオポリマーセメント質組成物のスランプ挙動を示す。

スランプ試験において観察されたように、調査した混合組成物は全て良好なレオロジーおよびスランプ挙動を有した。そのような良好なレオロジーおよびスランプ挙動が約0.255と低い水/セメント質材料比であっても得られたことは特に注目に値する。

実施例で調査した混合物のスランプパテは全て極めて良好な状態にあり、亀裂を生じなかった。

発熱およびスラリー温度上昇挙動 図28Aは、実施例31で調査した本発明のいくつかの実施形態の軽量ジオポリマーセメント質組成物の発熱およびスラリー温度上昇挙動を示す。これらの組成物が極めて小さい温度上昇挙動を示したことを観察することができる。養生段階中の材料内での穏やかな発熱および小さい温度上昇は、材料の過剰な熱膨張並びにその結果としての亀裂および崩壊の防止を支援するにあたって重要である。このことは、実際の現場での適用において材料を厚く流し込む形で利用する場合により一層役立つ。この実施例で調査した本発明のいくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物はこの特定の見地において極めて有益であると開示され、これは実際の現場での適用において熱膨張が小さくなり、また熱亀裂に対してより高い耐性を示し得るからである。

凝結時間 表102は、この実施例で調査した本発明の実施形態の軽量ジオポリマーセメント質組成物の凝結時間を示す。この実施例で調査した全てのセメント質組成物が急速な凝結挙動を示し、終了時間が1〜2時間であったことを観察することができる。

圧縮強度 表103は、実施例31で調査した本発明の実施形態の軽量ジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度挙動を示す。

以下の観察結果を、この研究から得ることができる。

本発明の軽量ジオポリマー組成物の若材齢圧縮強度および極限圧縮強度は共に相対的に極めて高く、本発明の完全密度(full density)組成物のいくつかに匹敵する(実施例30で得られた結果を実施例31のものと比較すること)。

この実施例で調査した本発明の軽量ジオポリマー組成物の材齢4時間での圧縮強度が約1000psiを越えることは注目に値する。

本発明の軽量ジオポリマー組成物の材齢24時間での圧縮強度が約2500psiを越えることも注目に値する。

本発明の軽量ジオポリマーセメント質組成物の材齢28日での圧縮強度が極めて高く、すなわち約4000psiを越えることもまた極めて注目に値する。

実施例で示された本発明のいくつかの好ましい実施形態のジオポリマー組成物は、数多くの市販品において応用することができる。特に、組成物を以下のものに使用することができる:

実施例5、24、25、30および31で開示のいくつかの性質によって示されるように道路補修および道路パッチング製品、路面および舗装道路;

実施例5、6、9、12および14で開示されるいくつかの性質によって示されるようにレンガおよび合成石;

実施例5、24および33で開示するいくつかの性質によって示されるように壁、床および天井用の補修材並びに接着モルタル、漆喰並びにパネル仕上げ材;

実施例5、26、30および31で開示されるいくつかの性質によって示されるように屋根材;

実施例5、25および30に開示のいくつかの性質によって示されるように土質および岩石安定化に、またライニング材として使用される吹付けセメント系製品である吹付けコンクリート製品;

実施例25、30および31で開示のいくつかの性質によって示されるように重量支持構造体;

実施例5〜22、29、30および31に開示のいくつかの性質によって示されるように彫像および建築用モールディング;

実施例5、7、9、13、15、19、21、22、24、26、30および31に開示のいくつかの性質によって示されるように自己平滑化性アンダーレイメント。

本発明を実施するための好ましい実施形態について説明してきたが、本開示が対象とする分野の熟練したものならば、本発明にその範囲から逸脱することなく改変および追加を行い得ることがわかる。

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