Production of high-strength gypsum hardened body

申请号 JP9905894 申请日 1994-03-31 公开(公告)号 JPH07277806A 公开(公告)日 1995-10-24
申请人 Chichibu Onoda Cement Corp; 秩父小野田株式会社; 发明人 TANABE SHINKICHI; MIYAJI TADANORI;
摘要 PURPOSE: To stably and easily produce a high-strength gypsum hardened body by preventing gelation of a silica sol, adjusting it to desired pH., and controlling easily the time of coagulation of hemihydrate gypsum.
CONSTITUTION: In the production of the high-strength gypsum hardened body from the hemihydrate and silica sol, phosphoric acid and/or a phosphate and further, a mineral acid and/or an alkali metal hydoxide are added to adjust the pH and then this sol is mixed with gypsum.
COPYRIGHT: (C)1995,JPO
权利要求 【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】 半水石膏とシリカゾルから石膏硬化体を製造するにあたり、半水石膏と、シリカゾルと、燐酸およびまたは燐酸塩と、鉱酸、アルカリ金属の水酸化物、
    アンモニア水の1種以上とを混合してシリカゾルのゲル化防止及び石膏の凝結時間を調節することを特徴とする高強度石膏硬化体の製造方法
  • 【請求項2】 半水石膏とシリカゾルから石膏硬化体を製造するにあたり、シリカゾルに燐酸およびまたは燐酸塩を添加し、さらに鉱酸、アルカリ金属の水酸化物、アンモニア水の1種以上を添加してpHを2〜11に調整したものを半水石膏と混合することを特徴とする高強度石膏硬化体の製造方法
  • 【請求項3】 燐酸およびまたは燐酸塩をシリカゾルに対して0.01〜0.5%添加することを特徴とする請求項1又は2に記載の高強度石膏硬化体の製造方法
  • 【請求項4】 鉱酸として、塩酸、硫酸又は硝酸を用いることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の高強度石膏硬化体の製造方法
  • 【請求項5】 アルカリ金属の水酸化物として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム又は水酸化リチウムを用いることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の高強度石膏硬化体の製造方法
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】

    【産業上の利用分野】本発明は、高強度石膏硬化体の製造方法に関するものである。

    【0002】

    【従来の技術】半石膏は、水と混和することで水和反応が起き、二水石膏に変化することで凝結、硬化する。
    このため、従来より半水石膏はその水和硬化性を利用し、建設用材、型材料、医療用材料などの原料として幅広く使用されている。 この際、石膏硬化体の特性を改善する目的で様々な添加材が使用されており、特に硬化体の機械的特性を改善する目的ではシリカゾルを使用する場合がある。 シリカゾルは、球状のシリカ微粒子を水中で電気的に安定化させたコロイドであるため、半水石膏にシリカゾルを添加すると、一種のベアリング効果により混合時のスラリー流動性が向上し、添加水量を削減することが可能となる。 このため、余剰水の揮散により生ずる空隙量を低減することができ、高強度の石膏硬化体を得ることが可能となる。 さらに、シリカゾル自体の重合による強度発現が加わることで、二水石膏結晶同士の付着が補強され、曲げ強度の改善が期待できる。

    【0003】しかし、シリカゾルには、不純物との接触により容易に凝集する性質があり、特に、半水石膏の水和時に放出されるCa 2+のような多価カチオンが存在すると、アルカリ性ではその安定性を失い著しく凝集、
    ゲル化が起きる。 このため、一般的には、シリカゾル中のアルカリ金属を、イオン交換法などにより著しく削減させた酸性シリカゾル、あるいは、蒸留水で希釈したアルカリ性シリカゾルを使用することで、混和時に生ずるゲル化現象を防止する方法が提案されている。 しかし、
    酸性シリカゾルにおいても、アルカリ金属の水酸化物などのアルカリ性物質が混入した場合、半水石膏との混和時にゲル化が著しく促進される。 また、低濃度のアルカリ性シリカゾルにおいても吸水性の物質などの混入が起きる場合、あるいは粉末度の高い石膏を使用する際などはシリカ濃度が相対的に高くなるため、ゲル化は促進される。 さらに、シリカゾルを添加した半水石膏の水和速度は著しく加速されることも知られている。 言い換えると、このような混合物は、定常的にゲル化しやすい危険性を持つと同時に、半水石膏自体の凝結も早くなるため、混合物の取り扱いには細心の注意が必要となる。

    【0004】このため従来の技術では最悪の場合、シリカゾルのゲル化と半水石膏の異常水和促進が起こり、混合物の粘性が急激に増加し、ミキサーなどの混合機の閉塞により、硬化体の生産性は期待できない。 またこの場合、スラリーへの粗大空気の巻き込みなども起きるため、十分な強度を有する硬化体は得がたい。 このような観点から、半水石膏とシリカゾルの混和時に起きるゲル化現象の防止と、半水石膏自体の水和促進を未然に防止しつつ高強度の石膏硬化体を製造する方法の開発が望まれていた。 半水石膏と水の混合物から硬化体を製造する場合、塩酸または水酸化ナトリウムの添加でpHを調整した水を用いると、傾向的に酸性側で凝結が促進されることや、不純物の影響でアルカリ性側で凝結が遅緩されることは知られているが、凝結速度の調整作用は期待できない。 これは、これらの現象が、定量的には解明されていないためである。 また、得られる硬化体は強度が低く、使用に耐えがたいものである。

    【0005】本発明者らは、先に、アルカリ性シリカゾルと半水石膏を混和する際のゲル化現象と石膏硬化体の高強度化について、鋭意研究してきた。 この結果、特願平5−44283に提案する石膏硬化体の製造方法を開発した。 この方法は、アルカリ性シリカゾルと半水石膏の混合物のゲル化現象を、燐酸およびまたは燐酸塩(以下「燐酸分」という)のみの添加で防止するものである。 しかしこの方法によると、シリカゾルと燐酸分および半水石膏の混合物の凝結時間が、これらの混合物のp
    Hにより鋭敏に左右されること、および酸性シリカゾルについては、大量のアルカリ性燐酸分の添加が必要であり、強度が低下するという問題があった。 この点から、
    より少量の燐酸分を用いて、アルカリ性シリカゾルのみならず酸性シリカゾルを使用する場合においても、安定した性状の石膏混合物を得る方法および高強度の石膏硬化体の製造方法の開発が急がれていた。

    【0006】

    【発明が解決しようとする課題】本発明は、半水石膏とシリカゾルから石膏硬化体を製造するにあたり、半水石膏の異常水和促進を起こさずしてシリカゾルのゲル化を防止し、酸性シリカゾルあるいはアルカリ性シリカゾルにかかわらず、従来のシリカゾルと半水石膏の混合物から硬化体を製造する方法に比べより容易な凝結制御を可能にし、かつ高強度の硬化体を製造するという課題を解決しようとするものである。

    【0007】

    【課題を解決するための手段】本発明は、半水石膏とシリカゾルから石膏硬化体を製造するにあたり、半水石膏と、シリカゾルと、燐酸およびまたは燐酸塩と、鉱酸、
    アルカリ金属の水酸化物、アンモニア水の1種以上とを混合してシリカゾルのゲル化防止及び石膏の凝結時間を調節することを特徴とする高強度石膏硬化体の製造方法(請求項1)、半水石膏とシリカゾルから石膏硬化体を製造するにあたり、シリカゾルに燐酸およびまたは燐酸塩を添加し、さらに鉱酸、アルカリ金属の水酸化物、アンモニア水の1種以上を添加してpHを2〜11に調整したものを半水石膏と混合することを特徴とする高強度石膏硬化体の製造方法(請求項2)、燐酸およびまたは燐酸塩をシリカゾルに対して0.01〜0.5%添加することを特徴とする請求項1又は2に記載の高強度石膏硬化体の製造方法(請求項3)、鉱酸として、塩酸、硫酸又は硝酸を用いることを特徴とする請求項1ないし3
    のいずれかに記載の高強度石膏硬化体の製造方法(請求項4)、アルカリ金属の水酸化物として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム又は水酸化リチウムを用いることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の高強度石膏硬化体の製造方法(請求項5)である。 これらを以下に説明する。

    【0008】本発明者らは、シリカゾルと半水石膏を混和する際のゲル化現象および半水石膏の水和速度を勘案しながら、石膏硬化体の高強度化について様々な検討を行ってきた。 シリカゾルと半水石膏の混合物のゲル化現象は、混入する電解質の種類、量およびこれらが混入したシリカゾルのpHによって影響を受けるが、燐酸分を添加し、かつ鉱酸およびまたはアルカリ金属の水酸化物を添加してpH調整することで未然に防止できることがわかり、本発明に至ったものである。

    【0009】半水石膏との混和でもゲル化を起こしづらいとされる酸性シリカゾルにおいても、アルカリ金属の水酸化物の混入で、シリカゾルのpHが4から6の間となった場合は、著しくゲル化を起こす。 また希釈したアルカリ性シリカゾルでも、粉末度の高い半水石膏や、硫酸カリウムのような電解質を不純物として含有する石膏では不安定となり、これもまた著しくゲル化を起こす。
    しかし、燐酸塩をシリカゾルに対して0.001%以上を添加し、さらに鉱酸、アルカリ金属の水酸化物、アンモニア水の1種以上(以下の説明においては、これらを「鉱酸およびまたはアルカリ金属の水酸化物」という)
    の添加でpHを調整すると、シリカゾルのpHが2から11の全領域において、混合時のゲル化現象が未然に防止することができる。

    【0010】半水石膏とシリカゾルの混合物の水和速度は、通常の半水石膏の凝結時間に比較して著しく加速されることが知られている。 しかし、シリカゾルに燐酸分を添加し、さらに鉱酸およびまたはアルカリ金属の水酸化物の添加でpHを調整することで、混合物中の半水石膏の水和速度を自由に調整することが可能となる。 このとき、燐酸分を添加したシリカゾルのpHが5から8.
    5の間となるように、鉱酸およびまたはアルカリ金属の水酸化物の添加量を調整することで、混合物中の半水石膏の終結時間を長時間に遅延することができる。 また、
    凝結時間の長大な遅延を望まない場合は、シリカゾルのpHが2から5あるいは8.5から11の間となるように、燐酸分ならびに鉱酸およびまたはアルカリ金属の水酸化物の添加量を加減することで、所望とする半水石膏の凝結時間を調整することが可能である。

    【0011】さらに、得られる石膏硬化体の強度の低下は見られず、燐酸分の添加と鉱酸およびまたはアルカリ金属の水酸化物の添加により配合を最適化することで、
    燐酸分のみを添加してゲル化を防止した場合に比較して、より高強度の石膏硬化体を製造することが可能となった。

    【0012】本発明者らが特願平5−44283に提案する石膏硬化体の製造方法は、アルカリ性シリカゾルの場合であったが、酸性シリカゾルを使用する場合でも燐酸のアルカリ金属塩を添加してpH調整することが考えられる。 しかしこの場合、酸性シリカゾルの濃度が高いと、アルカリ側へのpH領域に調整するためには、アルカリ性燐酸分の多量の添加が必要である。 この場合、燐酸分の過度の添加は、シリカゾルを不安定化させると同時に、硬化体の強度を著しく低下させることになるため好ましくない。 そこで本発明では、アルカリ金属の水酸化物の添加によりpH調整を行うので、より少量の燐酸分の添加で所望のpHへの調整が可能となるため、燐酸分の多量添加による強度低下を避けることができ、高強度の石膏硬化体を得ることができる。

    【0013】また、本発明におけるシリカゾルと燐酸分および鉱酸およびまたはアルカリ金属の水酸化物が混合した水溶液には、pHの緩衝作用が認められるので、不純物の混入によるpHの変化が急激には起きづらくなる。 そのため、本発明における所望の安定した凝結時間が得られるので、高強度の石膏硬化体の安定製造が可能となり、本発明の工業的価値はきわめて高いものである。 次に使用材料に関連して、本発明をさらに詳しく説明する。

    【0014】燐酸分 燐酸分は、鉱酸およびまたはアルカリ金属の水酸化物の共存によりpH調整することで、半水石膏の凝結時間を調整可能とする。 このとき、燐酸分を添加したシリカゾルと半水石膏の凝結時間は、鉱酸およびまたはアルカリ金属の水酸化物を添加してシリカゾルのpHが5から8.5の範囲で最も長くなり、この範囲を外れると徐々に短くなる。 また、石膏硬化体の強度は、このpH範囲で最も改善される。 本発明に用いる燐酸分としては、正燐酸(H PO )、Ca(H PO 、NaPO
    、Na HPO 、(NH PO およびトリポリ燐酸塩あるいはメタ燐酸塩などの縮合燐酸塩などがある。

    【0015】燐酸分の添加方法は、半水石膏とシリカゾルとを混和する前にシリカゾルに添加しておけばよい。
    また、半水石膏に所定量をあらかじめ添加しておき、これと鉱酸およびまたはアルカリ金属の水酸化物を添加したシリカゾルあるいはさらにこれらを希釈水中に添加したものと混合することもできる。

    【0016】燐酸分の添加量は、半水石膏の種類やこれに含まれる不純物の形態およびその量、シリカゾルの濃度やpHによって加減する必要があるが、ゲル化現象の改善については、シリカゾルに対して0.001%といった非常に少量の燐酸分の添加でも効果が得られる。 しかし、粉末度の高い半水石膏を使用する場合はより多量の添加が望ましく、0.01%以上の添加が好ましい。
    また、シリカゾルに対する過度の燐酸分の添加は、シリカゾル自体を不安定化させる恐れがあると共に硬化体の強度を低下させるので、シリカゾルに対して5%未満の添加が望ましい。 従って、高強度の硬化体を得るには、
    0.01〜0.5%の範囲が好ましい。

    【0017】シリカゾル シリカゾルは、含有シリカが2から50%であるものが市販されており、本発明では、これらをそのまま使用できる。 また、半水石膏の凝結時間あるいは硬化体の強度を所望の範囲に調整する場合は、シリカゾルを希釈あるいは濃縮して使用することができる。

    【0018】シリカゾルには、酸性シリカゾル、アルカリ性シリカゾルなどが市販されており、含まれているアルカリ金属の量は異なる。 このアルカリ金属の量に応じて、シリカゾルのpHは変化するため、添加する燐酸分あるいは鉱酸、アルカリ金属の水酸化物の量を加減する必要がある。 また、シリカゾルとして、酸性シリカゾルとアルカリ性シリカゾルを混用することもできる。

    【0019】半水石膏とシリカゾルの混合の割合は、使用するシリカゾルの濃度、割合によって凝結時間が異なるため、適宜選択して定める。 たとえばpH8程度に調整dたシリカゾルでは、半水石膏の重量に対して1%程度の添加でも凝結時間の調整の効果が得られる。 硬化体の強度の点からは、3%以上が好ましい。

    【0020】半水石膏 半水石膏にはα型及びβ型があり、α型半水石膏は、低混水量で混和が可能であるため、より高強度の石膏硬化体を製造するためには好ましい。 また、β型半水石膏は、シリカゾルの添加により半水石膏と水の混和物の流動性が高まるので、水の使用量を削減できることから同様に使用できる。 α型およびβ型半水石膏は、シリカゾルに対するpHの影響がほぼ同じであり、シリカゾルと燐酸分と酸およびまたはアルカリ金属の水酸化物の混合物のpHが5から8.5の範囲では凝結時間が長くなり、その範囲をはずれると凝結時間が短くなる。 従って、用途に応じて選択して使用することができる。 またIII型無水石膏も半水石膏と同様に使用することができる。 これらの石膏は、単味あるいは混合して使用することが可能であり、望まれる硬化体の特性に応じて任意に選択して使用することができる。

    【0021】半水石膏の粉末度は、比較的低いものの方が使用水量及びシリカゾルの使用量を削減できる点で好ましいが、特に限定されるものではない。 半水石膏は、
    製造由来に応じた各種の不純物を含有し、不純物の形態によってもシリカゾルのゲル化状態、半水石膏の凝結速度が変化するので、シリカゾル、燐酸分、鉱酸およびまたはアルカリ金属の水酸化物の添加量を適宜選択する。

    【0022】鉱酸およびアルカリ金属の水酸化物 鉱酸およびアルカリ金属の水酸化物は、燐酸分を添加したシリカゾルのpHを調整する目的で使用する。 鉱酸としては、塩酸、硫酸および硝酸などが使用されるが、酢酸、クエン酸などの有機酸もまた酸性側へのpH調整作用があるため使用できる。 また、アルカリ金属の水酸化物には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび水酸化リチウムなどが使用されるが、アンモニア水などもアルカリ側へのpH調整作用があるため使用できる。

    【0023】鉱酸及びアルカリ金属の水酸化物は、シリカゾル自体が不純物の混入で不安定になる性質がある点からは純度の高いものが望ましいが、特に純度や濃度によって限定されるものではない。 鉱酸およびまたはアルカリ金属の水酸化物の添加量は、使用するシリカゾルのpH、濃度および添加する燐酸分の量によって変化するが、石膏の凝結時間を長時間に設定するには、シリカゾルのpHが5から8.5となるように添加するとよい。

    【0024】

    【作用】本発明における半水石膏の凝結時間の調整効果は、シリカゾルに燐酸分を添加し、これを鉱酸およびまたはアルカリ金属の水酸化物の添加でpHを調整することで達成される。 これは、石膏の凝結が燐酸分との共存でpHに依存して変化することを応用したものである。
    通常、水溶液のpHを燐酸分のみで調整すると、pHの変化が急激に起きるため、再現性をもって所望のpHには調整できない。 しかし、シリカゾルに燐酸分を添加し、これに鉱酸およびまたはアルカリ金属の水酸化物を添加すると、燐酸単味でpH調整するのに比較して、所望のpH領域へは容易に調整が可能である。 これは、燐酸とアルカリ金属の水酸化物が反応してできる燐酸のアルカリ金属塩自体に、pHの緩衝作用があるためであり、さらに鉱酸の添加でpH調整する際にも、配合ゾル液の急激なpH変化が起きづらいためである。 このことは、pHの変化で鋭敏に変化する半水石膏の凝結を容易に制御できることを意味する。 また、酸性シリカゾルでは、大量の燐酸分が必要であったが、鉱酸およびまたはアルカリ金属の水酸化物の添加により、より少量の燐酸分の添加で目的が達成される。 これにより、燐酸分の多量の添加による石膏硬化体の強度低下を防止することができる。

    【0025】ゲル化の防止作用については、その詳細は不明であるが、pH調整した燐酸分が、半水石膏の水和に伴い放出されるCa 2+を封鎖し、多価カチオンの存在によりゲル化するシリカゾルに対し、有効に働くためと考えられる。 凝結時間を調整した場合にも、石膏硬化体の強度が向上するのは、所定のpHに調整された配合ゾル液では、シリカゾルのゲル化が効果的に防止され、
    シリカゾル自体の重合過程が、半水石膏の水和に伴い成長する二水石膏結晶により阻害されることなく凝結が進行するためと考えられる。 以下に、実施例を挙げて、本発明をさらに説明する。

    【0026】

    【実施例】使用した原材料は次のものである。 水 蒸留水 正燐酸その他の燐酸分 関東化学(株)製 試薬一級以上 塩酸 関東化学(株)製 試薬一級以上 水酸化ナトリウム 関東化学(株)製 試薬一級以上 酸性シリカゾル 触媒化成工業(株)カタロイドSN Na O 0.05% SiO 20% アルカリ性シリカゾル 触媒化成工業(株)カタロイドSI−50 Na O 0.7% SiO 50% α型半水石膏 標準混水量 35% ブレーン比表面積 1750cm /g 終結時間 62 分 β型半水石膏 標準混水量 75% ブレーン比表面積 5450cm /g 終結時間 38 分

    【0027】石膏混合物の終結時間は、得られた混合物をガラス製デュワー瓶に入れ、自記温度計で断熱水和発熱温度が最高に達する時間から求めた。 また、硬化体の曲げ試験は、インストロン万能試験機を用い、3点曲げにて毎分1mmの速度で載荷して行った。 曲げ強度は、
    破壊荷重値から算出した。

    【0028】実施例1〜5 酸性シリカゾル105gにビス燐酸カルシウム0.43
    gを添加し、これに所定量の1N水酸化ナトリウム水溶液を添加し、全量が175gとなるように水を添加して配合ゾル液を調製した。 この配合ゾル液のpHを測定した後、α型半水石膏500gを添加、混合し、この混合物を2×2×8cmの型枠に流し込み、終結時間を測定した後に脱型し、その後3日間45℃で乾燥して石膏硬化体を製造した。 得られた製品について、曲げ強度を測定した。 それらの測定結果を表1に示す。

    【0029】比較例1〜3 比較例1は、水酸化ナトリウム水溶液を添加しない比較例であり、そのほかは、上記実施例1と同様にして石膏硬化体を製造した。 比較例2および3は、燐酸分を添加しない比較例であり、そのほかは上記実施例1と同様にして石膏硬化体を製造した。 それらの結果を表1に示す。

    【0030】

    【表1】

    【0031】表1から、酸性シリカゾルに一定量のビス燐酸カルシウムを添加し、これに水酸化ナトリウムを添加してpH調整すると、pHが8近辺で最も凝結が遅緩されることが確認される。 また、pHが高くなるほど硬化体の曲げ強度が向上する傾向がある。 そして、水酸化ナトリウム水溶液を添加しないものに比較して、凝結時間の調整が自由にでき、かつ強度が大幅に改善されることが確認される。 一方、燐酸分を添加せずに水酸化ナトリウムのみでpH調整したものは、混合物がゲル化し、
    硬化体が得られなかった。

    【0032】実施例6〜10 アルカリ性シリカゾル100gに0.02M正燐酸水溶液を4.3g添加し、これに1N塩酸水溶液の所定量を添加し、全量が175gとなるように水を添加してpH
    を測定した。 その後、実施例1と同様にして石膏硬化体を製造した。 それらの結果を表2に示す。

    【0033】実施例11〜12 0.2M正燐酸水溶液を4g添加したほかは、実施例6
    と同様にして石膏硬化体を製造した。 それらの結果を表2に示す。

    【0034】比較例4〜5 比較例4は塩酸を添加しないほかは、実施例6と同様にして、又比較例5は塩酸を添加しないほかは、実施例1
    1と同様にして石膏硬化体を製造した。 その結果を表2
    に示す。

    【0035】

    【表2】

    【0036】表2から、アルカリ性シリカゾルに正燐酸を添加し、塩酸を加えることでpHを調整すると、pH
    6から8近辺で凝結時間を遅延することができることが確認される。 この場合、塩酸を添加しないものに比較して、強度の発現が見られる。 また、同様のpH領域においても、燐酸分の添加量が多い場合に終結時間が遅延されることがわかる。

    【0037】実施例13〜17 アルカリ性シリカゾル100gに0.02M正燐酸水溶液を10g添加し、これに1N塩酸水溶液を所定量添加し、全量が300gとなるように水を添加してpHを測定した。 これにβ型半水石膏500gを添加し、混合した。 その後、実施例1と同様にして石膏硬化体を製造した。 それらの結果を表3に示す。

    【0038】比較例6 塩酸を添加しないほかは、実施例13と同様にして石膏硬化体を製造した。 この結果を表3に示す。

    【0039】

    【表3】

    【0040】表3より、β型半水石膏を使用し、正燐酸を添加したアルカリ性シリカゾルのpHを、塩酸で調整した場合においても、正燐酸の添加量を増加させる必要があるが、α型半水石膏と同様に、pHが8近辺で凝結が最も遅緩され、塩酸を添加しない場合に比較して、強度の著しい向上が見られる。

    【0041】

    【発明の効果】以上詳述した通り、本発明によれば、半水石膏とシリカゾルから石膏硬化体を製造する際に、シリカゾルに燐酸およびまたは燐酸塩を添加し、さらに鉱酸およびまたはアルカリ金属の水酸化物を添加してシリカゾルのpHを調整したものを使用することにより、シリカゾルのゲル化を防止し、所望のpHに調整し、石膏の凝結時間を容易に制御することができるので、高強度の石膏硬化体を安定して容易に製造することができる。

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