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ナノスズ含有金属酸化物粒子及び分散体、並びに製造法及びその適用

申请号 JP2015502077 申请日 2013-03-27 公开(公告)号 JP6030216B2 公开(公告)日 2016-11-24
申请人 廈門納諾泰克科技有限公司; 新加坡納米材料科技有限公司; 发明人 沈 志剛; 蘇 緯強; 張 紀堯; 王 愛慈; 鐘 傑; 甄 崇礼; 徐 福成; 陳 建峰;
摘要
权利要求

スズ含有金属酸化物はスズ元素と、スズ以外の他の一種の金属元素とを含み、5未満の分散度指数及び2未満の急峻性比で定義される粒径分布を有し、一次平均粒径が2〜50nmであるナノスズ含有金属酸化物粒子。前記ナノスズ含有金属酸化物粒子の表面が界面活性剤で被覆され、 前記界面活性剤は、非シラン表面改質剤、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、又はこれらの混合物から選択され、 非シラン系表面改質剤は、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアルコール硫酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、石油酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ロジン酸ナトリウム、エチルヘキサン酸ナトリウム、リノール酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、リシノール酸ナトリウム、酢酸エチル、酢酸ナトリウム、ジオクチルバター、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレート、プルロニック、ポリソルベート、N−ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ビス−2−ヒドロキシエチルオレイルアミン、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトース、スクロース、クエン酸、エチレングリコール、アクリル酸、メタクリル酸、γ−ヒドロキシエチルアクリレート、オルトケイ酸テトラエチル又はこれらの混合物であり、 シランカップリング剤は、アルキルトリアルコキシシラン、(メチル)アクリルオキシアルキルトリアルコキシシラン、アクリロキシアルキルトリアルコキシシラン、(メチル)アクリロイルオキシアルキルジアルコキシシラン、アクリロキシアルキルジアルコキシシラン、(メチル)アクリロイルオキシエチルジアルキルアルコキシシラン、アクリルオキシジアルキルアルキルアルコキシシラン、メルカプトアルキルトリアルコキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アリールトリアルコキシシラン、ビニルシラン、3−グリシジルグリセロールエーテルプロピルトリアルコキシシラン、ポリエーテルシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタクリロイルオキシエチル)トリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランシラン、γ−アミノエチルアミノプロピルトリエトキシシラン、ビス−プロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−(アミノプロピル)−メチル−ジメトキシフェニルシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−(アミノプロピル)−トリメトキシシラン、γ−アミノエチル−アミノプロピルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン又はこれらの混合物である請求項1に記載のナノスズ含有金属酸化物粒子。前記スズ以外の他の金属元素はSb、In、Ti、Cu、Zn、Zr、Ce、Y、La、Nb若しくはこれらの混合物から選択され、 前記スズ以外の他の金属元素とスズのモル比は1:0.01〜1:100である請求項1又は2に記載のナノスズ含有金属酸化物粒子。前記スズ含有金属酸化物はアンチモンスズ酸化物又はインジウムスズ酸化物である請求項1〜3のいずれかに記載のナノスズ含有金属酸化物粒子。前記ナノスズ含有金属酸化物粒子が結晶構造を有し、当該構造は正方晶系錫石(cassiterite)型構造又はビックスバイト(Bixbyite)型構造を有する請求項1〜4のいずれかに記載のナノスズ含有金属酸化物粒子。以下の工程: (1)スズイオン含有溶液を他の金属イオン含有溶液と沈殿剤で反応させ、形成したスズ含有金属酸化物前駆体粒子とイオン状態で存在する第一副生成物とを得る; (2)前記スズ含有金属酸化物前駆体粒子と前記イオン状態で存在する第一副生成物を分離し、イオン型不純物を含まないスズ含有金属酸化物前駆体粒子を得る; (3)前記イオン型不純物を含まないスズ含有金属酸化物前駆体粒子と酸化剤又は還元剤とを反応させ、スズ含有金属酸化物粒子とイオン状態で存在する第二副生成物とを得る; (4)前記スズ含有金属酸化物粒子と前記イオン状態で存在する第二副生成物とを分離し、イオン型不純物を含まないスズ含有金属酸化物粒子を得る; を含み、 スズ含有金属酸化物はスズ元素と、スズ以外の他の一種の金属元素とを含み、7未満の分散度指数及び3未満の急峻性比で定義される粒径分布を有するナノスズ含有金属酸化物粒子を製造するための方法。工程(2)、(3)、及び(4)のうち一つ又は複数の工程において界面活性剤で前記スズ含有金属酸化物前駆体粒子又はスズ含有金属酸化物粒子をコートし、当該工程(2)、(3)、及び(4)のうち一つ又は複数の工程においてスズ含有金属酸化物前駆体粒子又はスズ含有金属酸化物粒子の重量に基づき0.01%〜30%の界面活性剤を添加する請求項6に記載の方法。液相間転移法、洗浄後液相間転移法、洗浄後遠心分離、又は洗浄後濾過のいずれか一つの方法で工程(2)又は工程(4)の分離を行い、 前記液相間転移法では、うち一つの相液体ともう一つの有機相液体はお互いに溶け合わない請求項6又は7に記載の方法。工程(1)の反応を100℃未満の温度で行い、 工程(1)の反応を非酸性条件下で行い、 工程(1)の反応を水性媒体の中で行い、前記水性媒体は水、アルコール類、アミド、ケトン、エポキシド及びこれらの混合物のうち少なくとも一種である請求項6〜8のいずれかに記載の方法。工程(1)のスズイオン及び/又は他の金属イオンは酢酸塩、ハロゲン化物塩、硝酸塩、リン酸塩、硫酸塩、塩素酸塩、ホウ酸塩、ヨウ素酸塩、炭酸塩、過塩素酸塩、酒石酸塩、ギ酸塩、ふどう酸塩、乳酸塩、アミノスルホン酸塩、これらの塩の水和物又は混合物に由来し、 工程(1)の前記沈殿剤は塩基であり、前記塩基は酸素含有塩基であり、前記酸素含有塩基はアルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、アンモニア水、有機塩基又はこれらの混合物であり、 工程(3)は100℃超と1〜20大気圧において行われ、 工程(3)の前記酸化剤は過酸化物であり、 工程(3)の前記還元剤はヒドラジン水和物、エチレンジアミン、シュウ酸、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、金属スズ粉末、水素化ホウ素ナトリウム及びこれらの混合物より選択され、 前記工程(1)及び/又は工程(3)は高せん断条件下で行われ、 前記高せん断条件下は、反応行程中の攪拌溶液に生まれるせん断がレイノルズ数を2000〜200000の範囲内に保つ条件下である請求項6〜9のいずれかに記載の方法。分散媒体と請求項1〜5のいずれかに記載のナノスズ含有金属酸化物粒子を含み、 分散体の重量に基づくと、ナノスズ含有金属酸化物粒子の固形分は少なくとも5%であるナノスズ含有金属酸化物分散体。紫外線遮蔽可能なナノ金属酸化物ナノ粒子をさらに含み、 前記紫外線遮蔽可能なナノ金属酸化物は酸化亜鉛、酸化チタン及び酸化セリウムのうちから選択される少なくとも1種で、かつ分散体の重量に基づくと、前記紫外線遮蔽可能なナノ金属酸化物ナノ粒子の含有量が少なくとも5%である請求項11に記載のナノスズ含有金属酸化物分散体。請求項1〜5のいずれかに記載のナノスズ含有金属酸化物粒子を含み、 塗料若しくはコート膜である太陽光制御複合材料。請求項1〜5のいずれかに記載のナノスズ含有金属酸化物粒子を含み、 前記ナノスズ含有金属酸化物粒子が可視光透過可能な材料の表面及び/又は内部に、又は可視光透過可能な材料の表面上の塗料及び/又はコート膜に存在し、 当該可視光透過可能な材料はガラスである可視光透過可能な材料。

说明书全文

本発明は高透明度、低輻射、省エネのガラス用複合材料に関連し、更に具体的には、ナノスズ含有金属酸化物粒子及びその分散体、当該ナノ粒子と分散体の製造法、ナノスズ含有金属酸化物粒子及びその分散体の太陽光制御複合材料、及び高透明度、低輻射、省エネのガラスに関連するものである。

科学技術と生産社会の急速な発展に伴い、エネルギーと環境は社会全体が注目する二大問題になり、この二大問題は省エネと環境保護に対してより高い要求を繰り出した。エネルギー消耗の面では、建築物は社会の全エネルギー消耗のおよそ40%を占め、その中でもガラスドアと窓を通過して失われるエネルギーは建築物のエネルギー消耗の50%以上に達し、即ちガラスドアと窓は建築物のエネルギーの最大の抜け穴となっている。建築物内のエネルギー消耗のほとんどは暖房と空調によるものである。ドアと窓の保温、断熱性能を高めることはエネルギー消耗を低下させる有効な手段である。建築用ガラスの省エネ性能は既に建築物のエネルギー節約を実現するための鍵となった。建築用ガラスの省エネを実現するためにはガラスを透過する太陽光を制御する必要がある。

太陽放射スペクトルの99%以上は波長0.15〜4.0μmの領域に存在する。太陽放射エネルギーの約50%は可視光スペクトル領域(波長0.4〜0.76μm)、3%は紫外線スペクトル領域(波長<0.38μm)、47%は赤外線スペクトル領域(波長>0.76μm)にあり、そのうち近赤外線は俗に熱線と呼ばれる。しかしながら、通常ガラスの透過率最大領域は丁度太陽放射スペクトルの範囲内にあり、つまりそれは太陽光の透過に対して選択の余地を持たないことになる。従って、ガラスに太陽光を制御できる塗装又はコーティングを塗布することによって建築物、車、そして船等の保温、省エネ効果を実現させる必要があり、それにより暖房と空調によるエネルギー消耗を節約する。太陽光制御とはガラス製品を通過して特定空間(建築物、車又は船の内部)に進入する波長の異なる太陽光と熱エネルギーを調節する手段の一つを指す。空間の採光に影響を与えないという前提で紫外線と赤外線の遮断と吸収を行い、熱放射を低下させることは明らかに太陽光制御の有効な方法である。その中で紫外線はエネルギーでは大きな割合を占めてはいないが、家具表面塗料や人体に対するダメージが大きく、紫外線遮断ガラスがますます広く用いられる要因の一つである。一方、太陽光制御によって太陽エネルギーの獲得を減らすことで、特定空間(建築物、車又は船)に進入する熱伝導量を減らし、空間内部の比較的涼しい状態を保つことにより空調の需要を減少させ、省エネ、環境保護の目的を果たせる。他方、熱放射を減らすことでガラスが中、遠赤外線の反射鏡の役割を果たし、ガラスを通過して外部へ向かう熱伝導量を減らすことで空調の需要を減少させ、省エネとコスト削減の目的を果たせる。効果的な低熱放射塗層は窓の断熱性能を高めることで夏季と冬季のどちらでも空間内快適度を改善できる。

太陽光制御と低熱放射性能を持ち、なおかつ工業的に受け入れられる塗層付ガラス製品に対して、考慮すべき要素は製品製造の経済性、使用寿命及び関連性能(太陽光透過率、可視性、色、透明度と遮蔽係数等)の保持能である。現在太陽光制御又は低熱放射塗層とガラスの製造に用いられる方法の大半はマグネトロンスパッタリング、PVD、CVDコーティング法又は溶射法等である。具体的には紫外線と赤外線を遮蔽又は吸収する添加剤を上記の方法でガラスにスパッタリング又はコーティングすることで室内に進入する太陽光の有効な制御を行う。上記の設備の値段は高く、一次投資が大きく、高コスト、しかも基材とその形状、サイズに制限がある。加えて、これらの方法は既存のガラスに適用することが難しく、それにより商業化の普及に大きな制限を受ける。現在は主に車窓ガラスに使われ、しかも市場はアメリカの3M、V−BEST、JOINNS、JOHNSON等の会社に独占されており、コーティング膜の値段は相当高く、建築用ガラスまで普及することは難しかった。

無機ナノ添加剤は劣化することがなく、永久に使用できるのに対し、有機添加剤は通常劣化による寿命制限がある。従って、ますます多くの商業化応用が無機添加剤の採用に傾き始めた。既に商業的な意義を備えた紫外線遮蔽の無機添加剤は金属酸化物、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム等がある。赤外線遮蔽の金属酸化物はアンチモンスズ酸化物(Antimony Tin Oxide、ATO)とインジウムスズ酸化物(Indium Tin Oxide、ITO)等があり、もう一つ商業的な意義を持つ赤外吸収無機化合物に六ホウ化ランタンがある。近年出現したガラス断熱塗料又はコーティングは、ますます金属酸化物を添加剤とする塗料又はコーティングを採用する方向に集中した。

理想的には、これらのガラス塗料又はコーティングマトリックスの中の粒子はガラス元来の透明度とヘイズを維持するために公称粒径は100nmより小さくなければならない。これが、ナノ技術がこの領域で重要視される原因の一つである。加えて、これらの金属酸化物ナノ粒子は塗料又はコーティングの中で電導膜を形成せず、そのためガラス窓の保護構造内の信号の受信と送信設備の運行を妨げることはない。

機能性金属酸化物分散体の製造において、少なくとも二種類以上の紫外線遮蔽と赤外線遮蔽の金属酸化物ナノ粒子を分散体中に配合する必要があるため、伝統的な方法は市販の紫外線遮蔽と赤外線遮蔽の金属酸化物粉体粒子に一定量の分散剤と溶媒を添加してボールミル・サンドミル処理を行い、混合金属酸化物粒子の分散体を得る。この方法は一見簡単だが、粉体に対する再処理に当たる。粉体、特にナノ粉体の表面エネルギーは大変高く、それ自身の凝集が非常に深刻である。分散体中の粒子がボールミルとサンドミルから受ける力は不均一であり、再分散粒子の二次粒径のばらつきを招き、また、ボールミルとサンドミルは不純物の混入が避けられず、分散と改性は物理的方法の改性に偏り、機能性分散体の安定性に影響を与え、粒子が分散体中で比較的長期間のナノメートル級分散を維持することは大変難しい。これは機能性分散体の応用に影響を与え、最終的にはガラス塗料又はコーティングの透明度とその他の性能に影響する。

従って採算が合い、高透明度で、紫外線と赤外線を遮蔽し、ガラス塗料とコーティングに用いることができ、分散が安定なナノスズ含有金属酸化物粒子及びその分散体を提供し、なおかつ上記の欠点を克服又は改善する必要がある。

従って高透明度で、紫外線と赤外線を遮蔽し、ガラス塗料とコーティングに用いることができ、分散が安定なナノスズ含有金属酸化物粒子及びその分散体の製造法を発明し、なおかつ上記の欠点を克服又は改善する必要がある。

本発明の目的は、単分散で安定なナノスズ含有金属酸化物粒子、分散体及びガラス用複合材料を提供することである。それらは高透明度と赤外線遮蔽の機能を持つ。本発明のまたの目的は、上記のナノスズ含有金属酸化物粒子又は分散体の大量生産に適した低コストの製造法の提供である。本発明のもう一つの目的は上記のナノスズ含有金属酸化物粒子又は分散体の太陽光制御複合材料及びガラス製品の提供である。それらは高透明度と赤外線遮蔽(又は赤外線と紫外線の同時遮蔽)の機能を持つ。

第一の観点では、本発明はナノスズ含有金属酸化物粒子を提供し、当該スズ含有金属酸化物はスズともうひとつのスズ以外の金属元素を含み、そのうち、当該ナノスズ含有金属酸化物粒子は7未満の分指数と急峻性比3未満の粒径分布を持つ。

本発明のナノスズ含有金属酸化物粒子はスズともう一つのスズ以外の金属元素を含み、当該スズ以外の金属元素はSb、In、Ti、Cu、Zn、Zr、Ce、La、及びNbのうちから選択される1種類以上の元素である。Sb、In又はこれらの混合物が好ましい。一つの選りすぐりの実施形態においては、当該スズ金属酸化物はアンチモンスズ酸化物又はインジウムスズ酸化物である。

本発明のナノスズ含有金属酸化物粒子において、当該スズ以外のその他の金属元素とスズの物質量比は1:0.01〜1:100であり、より好ましくは1:0.05〜1:50の物質量比であり、又は1:0.05〜1:20の物質量比であり、例えば1:0.05、1:0.1、1:0.15、1:0.2、1:5、1:10、1:15、1:20である。

本発明のナノスズ含有金属酸化物粒子は結晶構造を持ち、更にルチル型構造、ビックスバイト型構造又はこれらと似た構造が好ましい。

スズ含有金属酸化物複合物の後に続いて応用製造される塗層の高透明度を考慮し、ナノスズ含有金属酸化物粒子は小さいサイズが望ましい。当該ナノスズ含有金属酸化物粒子の一次平均粒径は2〜50nm、更に2〜20nm、2〜10nmが好ましい。

本発明の当該分指数及び/又は急峻性比は当該分散体の測定により得られる。本発明のナノスズ含有金属酸化物粒子は、分散媒体中で高い分散性を持ち、特に分指数が7未満の単分散状態、更には分指数が5未満、又は4未満、又は3未満、又は2未満である。本発明のナノスズ含有金属酸化物粒子は狭い粒径分布を持ち、急峻性比は3未満が好ましく、更には2未満、又は1.8未満、又は1.5未満、又は1.3未満が好ましい。

一つの実施形態において、当該ナノスズ含有金属酸化物粒子表面は界面活性剤に被覆されている。

第二の観点では、本発明はナノスズ含有金属酸化物粒子製造法を提供し、その中において以下の工程を含む。

(1)スズイオン含有溶液をその他の金属イオン含有溶液と沈殿剤で反応させ、スズ含有金属酸化物前駆体粒子とイオン状態で存在する第一副生成物を得る;

(2)当該スズ含有金属酸化物前駆体粒子と当該イオン状態で存在する第一副生成物を分離し、イオン型不純物をほとんど含まないスズ含有金属酸化物前駆体粒子を得る;

(3)当該イオン型不純物をほとんど含まないスズ含有金属酸化物前駆体粒子と酸化剤又は還元剤とを反応させ、スズ含有金属酸化物粒子とイオン状態で存在する第二副生成物を得る;

(4)当該スズ含有金属酸化物前駆体粒子と当該イオン状態で存在する第二副生成物を分離し、イオン型不純物をほとんど含まないスズ含有金属酸化物粒子を得る。

一つの選りすぐりの実施形態において、当該スズ含有金属酸化物粒子はアンチモンスズ酸化物粒子であり、当該アンチモンスズ酸化物粒子の製造法は以下の工程を含む。

(1)金属スズの塩溶液と金属アンチモンの塩溶液と沈殿剤をpHが少なくとも7を超え、温度が5〜100℃の範囲で反応させ、アンチモンスズ酸化物前駆体粒子とイオン状態で存在する第一副生成物を得る;

(2)当該アンチモンスズ酸化物前駆体粒子と当該イオン状態で存在する第一副生成物を分離し、イオン型不純物をほとんど含まないアンチモンスズ酸化物前駆体粒子を得る;

(3)当該イオン型不純物をほとんど含まないアンチモンスズ酸化物前駆体粒子を高温高圧反応装置の中に移し、酸化剤を添加して反応させ、アンチモンスズ酸化物粒子とイオン状態で存在する第二副生成物を得る;

(4)当該アンチモンスズ酸化物前駆体粒子と当該イオン状態で存在する第二副生成物を分離し、イオン型不純物をほとんど含まないアンチモンスズ酸化物粒子を得る。

一つの選りすぐりの実施形態において、当該スズ含有金属酸化物粒子はインジウムスズ酸化物粒子であり、当該インジウムスズ酸化物粒子の製造法は以下の工程を含む。

(1)金属スズの塩溶液と金属インジウムの塩溶液と沈殿剤をpHが少なくとも7を超え、温度が5〜100℃の範囲で反応させ、インジウムスズ酸化物前駆体粒子とイオン状態で存在する第一副生成物を得る;

(2)当該インジウムスズ酸化物前駆体粒子と当該イオン状態で存在する第一副生成物を分離し、イオン型不純物をほとんど含まないインジウムスズ酸化物前駆体粒子を得る;

(3)当該イオン型不純物をほとんど含まないインジウムスズ酸化物前駆体粒子を高温高圧反応装置の中に移し、還元剤を添加して反応させ、インジウムスズ酸化物粒子とイオン状態で存在する第二副生成物を得る;

(4)当該インジウムスズ酸化物前駆体粒子と当該イオン状態で存在する第二副生成物を分離し、イオン型不純物をほとんど含まないインジウムスズ酸化物粒子を得る。

一つの実施形態において、当該工程(2)、(3)、及び(4)のうち一つ以上の工程において界面活性剤で当該スズ含有金属酸化物前駆体粒子又はスズ含有金属酸化物粒子をコートする。

一つの選りすぐりの実施形態において、スズ含有金属酸化物前駆体粒子又はスズ含有金属酸化物粒子の重量に基づき、工程(2)、(3)、及び(4)のうち一つ以上の工程において0.01%〜30%の界面活性剤を添加する。

第三の観点では、本発明は一種のナノスズ含有金属酸化物分散体を提供し、その中に分散媒体と第一の観点の当該ナノスズ含有金属酸化物粒子を含む。

一つの実施形態において、当該分散体の重量に基づくと、当該ナノスズ含有金属酸化物粒子の固形分は少なくとも5%、更に少なくとも10%、又は少なくとも25%、又は少なくとも30%、又は少なくとも40%、又は少なくとも50%が好ましい。

一つの実施形態において、当該分散媒体は、酢酸エチル、酢酸ブチル、アルコール、オレフィン、エーテル、ケトン、芳香族溶媒及びこれらの混合物のうちから選択される。

一つの実施形態において、当該分散媒体中のナノスズ含有金属酸化物粒子は7未満の分指数、及び3未満の急峻性比により定義される粒径分布を持つ。そのうちの分指数は5未満、又は4未満、又は3未満、又は2未満、急峻性比は2未満、又は1.8未満、又は1.5未満、又は1.3未満が好ましい。

一つの実施形態において、当該分散媒体中のナノスズ含有金属酸化物粒子の二次平均粒径は2〜100nm、特に2〜50nmである。

第四の観点では、本発明は第三の観点の当該ナノスズ含有金属酸化物粒子の製造法を提供し、その中において以下の工程を含む。

(1)スズイオン含有溶液をその他の金属イオン含有溶液と沈殿剤で反応させ、形成したスズ含有金属酸化物前駆体粒子とイオン状態で存在する第一副生成物を得る;

(2)当該スズ含有金属酸化物前駆体粒子と当該イオン状態で存在する第一副生成物を分離し、イオン型不純物をほとんど含まないスズ含有金属酸化物前駆体粒子を得る;

(3)当該イオン型不純物をほとんど含まないスズ含有金属酸化物前駆体粒子と酸化剤又は還元剤とを反応させ、スズ含有金属酸化物粒子とイオン状態で存在する第二副生成物を得る;

(4)当該スズ含有金属酸化物前駆体粒子と当該イオン状態で存在する第二副生成物を分離し、イオン型不純物をほとんど含まないスズ含有金属酸化物粒子を得る。

そのうち、上記工程(2)、(3)及び(4)のうち一つ以上の工程において、界面活性剤を用いて当該スズ含有金属酸化物前駆体粒子又はスズ含有金属酸化物粒子を被覆する工程(5)及び

(6)スズ含有金属酸化物粒子を分散媒体系の中に再分散し、高い分散度のナノスズ含有金属酸化物分散体を得る。

第五の観点では、本発明は第三の観点の当該ナノスズ含有金属酸化物分散体の製造法を提供し、その中において以下の工程を含む。

(1)スズイオン含有溶液をその他の金属イオン含有溶液と沈殿剤で反応させ、形成したスズ含有金属酸化物前駆体粒子とイオン状態で存在する第一副生成物を得る;

(2)当該スズ含有金属酸化物前駆体粒子と当該イオン状態で存在する第一副生成物を分離し、イオン型不純物をほとんど含まないスズ含有金属酸化物前駆体粒子を得る;

(3)当該イオン型不純物をほとんど含まないスズ含有金属酸化物前駆体粒子と酸化剤又は還元剤とを反応させ、スズ含有金属酸化物粒子とイオン状態で存在する第二副生成物を得る;

(4)当該スズ含有金属酸化物前駆体粒子と当該イオン状態で存在する第二副生成物を分離し、イオン型不純物をほとんど含まないスズ含有金属酸化物粒子を得る。

(5)スズ含有金属酸化物粒子を分散媒体系の中に再分散し、系のpH値を調節し、高い分散度のナノスズ含有金属酸化物分散体を得る。

本発明方法のうち、選択した通常のスズ含有無機塩とその他の金属元素の無機塩が沈殿剤反応でスズ含有金属酸化物を生成する反応において、スズイオンとその他の金属イオンが沈殿剤中の酸素を含む陰イオンと反応しスズ含有金属酸化物前駆体粒子とスズ含有金属酸化物粒子を生成する以外に、相応する可溶性金属塩の副生成物が生成され、通常反応が水性媒体で行われることから、副生成物は普通イオン状態で反応系の中に存在する。スズは4価のイオンであり、生成される1モルの酸化スズは4モルのイオン型副生成物を生成する。当反応が酸化スズ前駆体又は酸化スズ粒子を生成する時、粒子がナノサイズであることにより、粒子の表面エネルギーは非常に高く、容易に多くのイオン型不純物を吸着し、粒子の分散媒体中で極めて不安定になり、分散体の安定性とその他の性能に影響を与える。発明者は実験中において、イオン型不純物とスズ含有金属酸化物粒子を効果的に分離さえすれば、スズ含有金属酸化物粒子は特定の媒体の中で安定して分散体を形成できることを発見した。

本発明のナノスズ含有金属酸化物粒子製造法では、スズイオンを含む溶液とその他の金属イオンを含む溶液の容量を選択する工程を含み、当該スズ以外のその他の金属元素とスズの物質量比は1:0.01〜1:100、更に1:0.05〜1:50、1:0.05〜1:20、更に1:0.05、1:0.1、1:0.15、1:0.2、又は1:5、1:10、1:15、1:20が好ましい。

本発明方法のうち、当該界面活性剤は工程(1)スズ含有金属酸化物前駆体生成の後のうち一つの工程で添加でき、すなわち(2)、(3)及び(4)のうちの一つ以上の工程の中で、界面活性剤を用いてスズ含有金属酸化物前駆体粒子とスズ含有金属酸化物粒子を被覆できる。一つの選りすぐりの実施形態では、工程(4)で界面活性剤を添加するのが好ましい。

一つの実施形態において、反応工程(3)でスズ含有金属酸化物粒子とイオン状態で存在する第二副生成物を得た後、まずはスズ含有金属酸化物粒子と副生成物を分離させ、次に分散剤を添加してスズ含有金属酸化物粒子を分散させ、所要の特定媒体のスズ含有金属酸化物分散体を生成する。

一つの実施形態において、スズイオンを含む溶液とその他の金属イオンを含む溶液配合時に一定量の酸溶液を添加し、混合金属塩の溶解を促進する。

スズ含有金属酸化物粒子(又はスズ含有金属酸化物前駆体粒子)とイオン型副生成物はそれらの特性の差で効果的に分離することができる。分離工程(2)と分離工程(4)において、金属酸化物含有スズを、液相間転移、洗浄後の液相間移動、洗浄後の遠心分離、洗浄後の濾過等のうちの一つの方法を選択して、スズ含有金属酸化物粒子(又はスズ含有金属酸化物前駆体粒子)とイオン型副生成物を分離できる。場合によっては、液相間転移、洗浄後の液相間移動、洗浄後の遠心分離、洗浄後の濾過等の工程の前に遠心分離を行い、ほとんどスズ含有金属酸化物粒子(又はスズ含有金属酸化物前駆体粒子)からなる沈殿物を得る。

一つの実施形態において、粒子とイオン型副生成物の分離に液相間転移法を採用し、うち一つの水相液体ともう一つの有機相液体はお互いに溶け合わない。界面活性剤で表面被覆されたスズ含有金属酸化物粒子は有機相中に引き込まれ、イオン型副生成物は水相に残る。

一つの実施形態において、洗浄によりイオン型副生成物とスズ含有金属酸化物粒子を分離した。例えば、スズ含有金属酸化物粒子懸濁液に他の溶媒を添加し、イオン型副生成物をこの溶媒に溶け込ませ、スズ含有金属酸化物粒子の安定を維持させる。少なくともイオン型副生成物の一部を溶け込ませた媒体/溶媒系がスズ含有金属酸化物粒子から除去された後、界面活性剤に被覆されたスズ含有金属酸化物粒子を特定の溶媒に単分散させることができる。

発明者は実験において、界面活性剤の添加によりスズ含有金属酸化物粒子の表面特性を変更でき、表面が被覆されていない粒子と比較して、粒子の凝集を効果的に減少又は消失させることができた。最も重要なことは、適切な界面活性剤及び適切な界面活性剤添加のタイミングを選択することにより、表面が一定量の界面活性剤に被覆されているスズ含有金属酸化物粒子は、分散媒体と良好な相溶性を持つようになり、高固体含有量のスズ含有金属酸化物粒子の分散体系における単分散を達成できる。

一つの実施形態において、得られた表面が界面活性剤で被覆されているスズ含有金属酸化物粒子が分散溶媒としての媒体に入り、イオン型副生成物と分離し、それによって溶媒相中単分散のスズ含有金属酸化物分散体を形成した。更に有利なのは、界面活性剤で被覆されたスズ含有金属酸化物粒子は分散体溶媒相中で、イオン型不純物の影響を受けて凝集することは全くなく、溶媒相中で安定した単分散の状態で存在することができる。

一つの実施形態において、スズ含有金属酸化物粒子とイオン型副生成物を効果的に分離した後、スズ含有金属酸化物粒子を分散媒体に添加し、酸又は塩基を添加してpH値を調整する形で、高い分散度のスズ含有金属酸化物分散体を得ることができる。例えば、分散工程において、一定量の有機塩基、例えば水酸化テトラメチルアンモニウムを添加し、pHを約12.5に調整し、分散体に透明な単分散系を形成させる。また、異なる用途に応じて、単分散系のpH値を0〜14の間で調節できる。

実施形態において、ナノスズ含有金属酸化物分散体の重量に基づく当該ナノスズ含有金属酸化物粒子の固体含有量を、少なくとも5%に達することができ、なおかつ明らかな凝集がない。更に有利なのは、スズ含有金属酸化物粒子の分散体中の固形分含有量は少なくとも10%に達し、又は少なくとも25%まで、又は少なくとも30%まで、又は少なくとも40%まで、又は少なくとも50%まで達することができる。従って、本発明の方法により調製された単分散スズ含有金属酸化物粒子は、非常に高い粒子含有量を有することができる。

界面活性剤は式A−Bで表すことができ、A基はスズ含有金属酸化物粒子の表面に付着することができ、B基は可溶化基である(又は互換性基と呼ばれる)。A基は、吸着、イオン結合の形成、共有結合の形成、又は上記作用の複合効果によってスズ含有金属酸化物粒子の表面に付着できる。B基は反応性基若しくは非反応性基、又は極性基若しくは非極性基でもよい。

一つの実施形態において、様々な界面活性剤を使用する。本発明では、スズ含有金属酸化物粒子は一つ目の界面活性剤で被覆されてから、次の処理を行い、二つ目の界面活性剤を用いて一つ目の表面活性剤の対応する基を置換又は少なくとも部分的に交換し、スズ含有金属酸化物粒子と分散媒体としての溶媒の相溶性を促進し、分散媒体中のスズ含有金属酸化物粒子の分散を強化する。

もう一つの実施形態において、界面活性剤で被覆されたスズ含有金属酸化物粒子は更に処理され、金属塩陰イオンと沈殿剤陽イオンから生成した副生成物を少なくとも一部除去される。

一つの実施形態において、室温及び大気圧下で、単分散スズ含有金属酸化物粒子は少なくとも1ヶ月の安定性を維持でき、明らかな凝集が発生しなかった。

一つの実施形態において、本発明で製造した水相分散体は粒子状即ち粉体へ加工できる。

第六の観点では、本発明は、複合金属酸化物ナノ分散体を提供し、紫外線を遮蔽できる金属酸化物ナノ粒子と赤外線を遮蔽できるナノスズ含有金属酸化物粒子を含む。特に、紫外線遮蔽ナノ金属酸化物は酸化亜鉛、酸化チタン、及び酸化セリウムのうちの一つ以上から選択される。

一つの実施形態において、本発明によれば、紫外線を遮蔽できる酸化亜鉛、酸化チタン又は酸化セリウム粒子は国際出願PCT/SG2008/000442の方法に従って得られ、赤外線を遮蔽するスズ含有金属酸化物粒子は本発明の第二の観点の記述により得られる。

一つの選りすぐりの実施形態において、スズ含有金属酸化物と酸化亜鉛(及び/又は酸化チタン、酸化セリウム)を含む金属酸化物ナノ複合分散体のうち、分散体の重量に基づき、当該酸化亜鉛(及び/又は酸化チタン、酸化セリウム)の固形分含有量は少なくとも5%に達し、なおかつ明らかな凝集現象がない。更に有利なのは、当該分散体中の酸化亜鉛(及び/又は酸化チタン、酸化セリウム)の含有量は少なくとも10%、又は少なくとも25%に、又は少なくとも30%に、又は少なくともに40%、又は少なくとも50%に達する。従って、本発明が提供するガラス塗料又はコーティングに使用できる紫外線と赤外線を遮蔽し、安定に分散する複合金属酸化物ナノ分散体は、高い粒子含有量を有し、後に続くガラス塗料又はコーティングの配合、製造に大きな便利性と操作空間を提供できる。

一つの選りすぐりの実施形態において、本発明は紫外線と赤外線を遮蔽する複合金属酸化物分散物を提供し、そのうちの紫外線遮蔽金属酸化物ナノ粒子は、2〜100nmの平均二次粒子径、7未満の分指数、及び3未満の急峻性比により定義された粒径分布を持つ。

第七の観点では、本発明はナノスズ含有金属酸化物粒子を含む太陽光制御複合材料を提供し、可視光を透過する塗料又はコーティングが好ましく、ガラス塗料又はコーティングが更に好ましい。

一つの選りすぐりの実施形態において、本発明は赤外線遮蔽スズ含有金属酸化物粒子と紫外線遮蔽ナノ金属酸化物を含むガラス塗料又はコーティングを提供する。

第八の観点では、本発明は可視光を透過する材料を提供し、第一の観点の当該ナノスズ含有金属酸化物粒子を含む。そのうち、当該ナノスズ含有金属酸化物粒子は当該可視光透過性材料の表面及び/又は内部に存在する。

一つの選りすぐりの実施形態では、当該ナノスズ含有金属酸化物粒子は当該可視光透過性材料の表面上の塗料及び/又はコーティングとして存在する。

一つの選りすぐりの実施形態において、本発明は太陽光制御を行うガラス製品を提供する。ガラス製品は第七の観点のガラス塗料又はコーティングフィルムで被覆されているために、当該ガラス製品は赤外線、紫外線の遮蔽を実現し、太陽光制御を達成し省エネ、環境保護の目的を実現できる。

定義

本発明中において使用している語句の定義は以下のようである。

「金属」の広義的な定義は全ての金属を含んでいるものを指す。例えば、半導体、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属及び元素の周期律表の主族金属元素である。

「金属塩」の広義的な定義は少なくとも1種類の陰イオンと少なくとも1種類の金属陽イオンを含む化合物を指す。金属塩の陰イオンと陽イオンは単一原子のイオン、例えばNa+、Ag+、Cu+、Zn2+、Ca2+、Fe2+、Ce3+、Cl又は多原子イオン、例えばCH3COO、NO3、SO442−でもよい。金属塩のうちの少なくとも一つの陽イオンは金属イオンである。

「金属塩溶液」の広義的な定義は金属塩が溶媒中に溶解した溶液を指す。溶媒は水相溶媒、有機溶媒(例えばメタノール、エタノール)、水と有機溶媒の混合物、又は有機溶媒の混合物を含む。

「沈殿剤溶液」の広義的な定義は全ての溶質を溶解する溶媒を含むことを指し、金属塩を添加すると、沈殿物又は結晶を生成する。沈殿剤は塩基性溶液、特に酸素含有塩基を指す。

「酸素含有塩基」の広義的な定義は全ての酸素原子を含む分子とイオンを指し、酸素原子は電子対を提供し金属イオンと結合を形成する。典型的な酸素含有塩基は、アルカリ金属水酸化物(例えばNaOH、LiOH、KOH)、アルカリ土類金属水酸化物(例えばCa(OH)23)、アンモニア(例えばNH3・H2O)、アルカリ金属炭酸塩(例えばNa2CO3、K2CO3)、アルカリ金属炭酸塩(例えばNaHCO3、KHCO3)、有機塩基(例えば(CH3)4NOH)又は上記の物質の混合物を含む。

「ナノ」又は「ナノ級」はここでは粒子平均粒径が100nm以下であることを指す。

「狭い粒径分布」の広義的な定義とはX線透過式沈降法粒度分布測定装置(SediGraph)より測定された沈殿粒子急峻比が約3未満の粒径分布であることである。X線透過式沈降法粒度分布測定装置成分が既知の沈殿粒子の粒径分布を記述し、その原理では累積質量分率から粒径関数図を作成する。累積質量分率は既知の大小粒径以下の分配質量パーセントであり、ここで言う粒径とは粒子の相当直径である。分布平均粒径とはグラフの中で粒度分布パーセントが50%に達する時に対応する粒度を指す。既知成分の粒度分布の幅は急峻比で表すことができる。ここでは「急峻比(Steepness ratio)」の定義はパーセントで90%となる粒子の平均粒径と質量パーセントが10%となる粒子平均粒径の比である。

「界面活性剤」の広義的な定義は液体と任意の沈殿物粒子の間の表面張力を変えられる任意の成分である。適切な界面活性剤はMC出版社(McCutcheon社)とGlen Rock、N.J.出版のMcCutcheon’s Emulsifiers&Detergents北米版(1994)の287〜310ページと国際版(1994)の257〜278と280ページの中で紹介されている。「分散剤」は、沈殿物粒子の媒体中における分散性能を高めて改善する助剤をさす。分散剤もまた界面活性剤である。界面活性剤にはアニオン系、カチオン系、ノニオン系、両性系、及びポリマー型の種類がある。

「酸化剤」と「還元剤」の広義的な定義はそれぞれ以下のようにある。「酸化剤」は酸化還元反応において電子を得る又は電子対の引き付けが強い物質であり、すなわち価数が低くなる物質である。酸化剤は還元剤から電子を得て自身は還元生成物に還元される。酸化剤と還元剤は相互依存である。「還元剤」は酸化還元反応において、電子を失い又は電子対が引き付けられる物質である。還元剤自体は広義的に言えば、抗酸化剤でもあり、還元性を持ち、酸化されると、生成物は酸化生成物と呼ばれる。還元と酸化反応は同時に進行し、還元剤は被還元物と還元反応を行うと同時に、自身も酸化され、酸化物となる。含有するとある物質の価数が高くなる反応物が還元剤である。典型的な還元剤には、エチレンジアミン、シュウ酸、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ヒドラジン水和物、水素化ホウ素ナトリウム、とある金属、非金属単一物質、例えばSn、H2、C等がある。代表的な酸化剤には過酸化物、例えばNa2O2、K2O2、H2O2、過酢酸等がある。

「非極性溶媒」の広義的な定義は正電荷と負電荷が基本的に中和している有機液体を指す。非極性溶媒はイオン化したり又は導電率を持つことはできない。典型的な非極性溶媒には、t−ブチルメチルエーテル、ジメチルエーテル、及び他の小さなアルキル基が挙げられ、脂肪炭化水素と芳香族炭化水素、例えば、ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、デカン、トルエンとその類の化合物、対称ハロゲン化炭素、例えば四塩化炭素等、石油エーテル等が挙げられる。そして各種非極性液体の混合物でもよい。

「極性溶媒」は「非極性溶媒」に反して、広義的には正電荷と負電荷を含む電荷非対称な溶液を含む。従って、極性溶媒はイオン化したり又は導電率を持つことができる。一般に、溶媒の極性はおおよそ誘電率によって決定することができる。誘電率が15より大きい溶液は即座に極性溶媒だと考えられる。典型的な極性溶媒は水、アルコール類、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ケトン類、例えばアセトン、メチルエチルケトン、エポキシド、酢酸エチルが挙げられる。また各種極性液体の混合物であってもよい。

「水性媒体」の広義的な定義は、水、アルコール、アミド、ケトン、エポキシド及びこれらの混合物のうち少なくとも一つの、特に水を含み、そして有機極性溶媒等の追加の溶媒と任意の割合で混合できる全ての媒体を指す。典型的な有機極性溶媒は、アルコール、アミド、ケトン、エポキシド及び上記物質の混合物である。典型的な有機溶媒は比較的少ない炭素原子数を持ち、例えば約1〜10個の炭素原子、又は約1〜6個の炭素原子を持つ。

「イオン型不純物」又は「イオン型の副生成物」の広義的な定義は、スズ含有塩溶液とその他の金属元素の塩溶液とを沈殿剤でスズ含有金属酸化物を生成する反応の過程で生成されたイオン形態での反応系の中に存在する副産物、例えばNa+、K+、Cl、NH4+、NO3、CH3COO、SO42−、そして少量のSn4+、Sb3+、In3+及びその他のスズ、アンチモン、インジウムを含む不完全な水酸化物イオンが挙げられる。

「液間相転移」の広義的な定義は溶質、残留物又は任意の物質がその中の一つの特定の相からもう一つの相に移ることを含み、特に溶質、残留物又は任意の物質がその中の特定の一つの相からもう一つの特定相と溶け合わない層への選択性転移を指す。

「洗浄」の広義的な定義は水性媒体を沈殿物粒子を含む系に添加し、沈殿物粒子系の中のイオン型不純物溶解又は更に溶解し、イオン型不純物が後の相転移、遠心分離又はろ過工程により沈殿物粒子との効果的な分離を達成することを指す。

「初期平均粒径」は平均一次粒径とも呼ばれ、金属酸化物粒子が分散媒体に分散する前の平均粒径を指し、通常は透過型電子顕微鏡(TEM)により測定される(dTEM)。

「平均二次粒子径」は初期平均粒径に対して言われるもので、金属酸化物粒子が分散媒体に分散した後の平均粒径を指し、通常は動的光散乱(DLS)により分析される(dDLS)。

「単分散」の金属酸化物粒子と関連を持つ広義的な定義は金属酸化物粒子の液体媒体中における分指数を指す。通常、「分指数」の定義は粒子の特定の分散媒体中における平均二次粒子径を粒子の初期平均粒径で割ったものである。分指数が小さいほど、分散体は単分散に近づく。典型的な単分散の分指数は7より小さく1より大きい。要するに、「単分散」は液体媒体の中の粒子が互いにほぼ凝集したり、又は塊を作ることなく、基本的に液体媒体中に分散することを指す。

「基本的に」は、「完全に」という意味を排除するものではない。もし一つの要素がYを「基本的に含まない」のであれば、Yを完全に含まなくてもよい。もし必要があれば、「基本的に」を本発明の定義の中から削除できる。

「含有」は言及した要素を含め、付加的な、不確定な要素を含んでもよい。

「およそ」、「ほど」とは各成分の濃度を表す場合、標準値の+/−5%、+/−4%、+/−3%、+/−2%、+/−1%、又は+/−0.5%を指す。

本発明中では、通常は一つの範囲により実例の説明を行うが、それは簡潔かつ明瞭に解説を行うためであり、本発明を制限するものではない。描写の範囲内にはサブ範囲を含み、また、この範囲内の全ての個別の数値も含む。例えば、1〜3、1〜4、1〜5、2〜4、2〜6、3〜6等は、この範囲内の単一の数値も含んでいる。例えば、1、2、3、4、5、6の数値も含んでいる。本発明は、範囲の広さを考慮していない。

図は実施形態を明確に説明し、かつその原理を開設するものであり、本発明の定義を限定するものではない。

本発明の選りすぐりの技術工程概略図であり、ナノスズ含有金属酸化物粒子及び分散体を製造するための概略図である。

本発明の選りすぐりの技術工程概略図であり、複合金属酸化物ナノ分散体を製造するための概略図である。

実施例1で製造した単分散ナノATO粒子の高解像度透過型電子顕微鏡(HR TEM)イメージであり、5万倍拡大のイメージ図である。

実施例1で製造した単分散ナノATO粒子の高解像度透過型電子顕微鏡(HR TEM)イメージであり、50万倍拡大のイメージ図である。

実施例1で製造された単分散ナノATO粒子の動的光散乱粒径分布図である。

実施例3で製造された単分散ナノATO粒子のHRTEM写真の図で、拡大倍率は5万倍である。

実施例3で製造された単分散ナノATO粒子のXRDスペクトルの図である。

実施例3で製造された単分散ナノATO粒子の動的光散乱粒径分布図である。

実施例4で製造された単分散ナノATO粒子のHRTEM写真の図で、拡大倍率は5万倍である。

実施例4で製造された単分散ナノATO粒子のHRTEM写真の図で、拡大倍率は50万倍である。

実施例6で製造された単分散ナノITO粒子のHRTEM写真の図で、拡大倍率は5万倍である。

実施例6で製造された単分散ナノITO粒子のHRTEM写真の図で、拡大倍率は50万倍である。

実施例7のアンチモン含有量の異なる単分散ナノATO粒子の5%水溶液の紫外−赤外−可視光スペクトルの図である。

実施例8の固形含有量の異なる単分散ナノATO粒子水溶液の紫外−赤外−可視光スペクトルの図である。

実施例9の単分散ナノATO粒子及びATO+CeO

2又はATO+ZnO複合金属酸化物ナノ粒子の5%水溶液の紫外線スペクトルの図である。

実施例10のナノATO又はATO+ZnO粒子の水性アクリル酸塗料のガラス塗布後(ディップ法又は重力法)塗布ガラスに行った紫外−赤外−可視光スペクトルの図であり、紫外線領域の部分スペクトルの図である。

実施例10のナノATO又はATO+ZnO粒子の水性アクリル酸塗料のガラス塗布後(ディップ法又は重力法)塗布ガラスに行った紫外−赤外−可視光スペクトルの図であり、古スペクトルの図である。

以下に典型的な赤外線を遮蔽し、ガラス塗料又はコーティングに使用できるスズ含有金属酸化物分散体を非制限性に製造するための実施例を列挙した。製造過程は以下の工程を含む。

(1)金属スズの塩溶液をその他の金属(例えばアンチモン、インジウム)の塩溶液と沈殿剤で一定条件下で反応させ、形成したスズ含有金属酸化物前駆体粒子とイオン状態で存在する第一副生成物を得る;

(2)当該スズ含有金属酸化物前駆体粒子と当該イオン状態で存在する第一副生成物を分離し、イオン型不純物をほとんど含まないスズ含有金属酸化物前駆体粒子を得る;

(3)当該イオン型不純物をほとんど含まないスズ含有金属酸化物前駆体粒子を高温高圧反応装置の中に移し、酸化剤又は還元剤を添加し高温、高圧の下で一定時間反応させ、スズ含有金属酸化物粒子とイオン状態で存在する第二副生成物を得る;

(4)界面活性剤を用いて当該スズ含有金属酸化物粒子を被覆する。

(5)当該スズ含有金属酸化物前駆体粒子と当該イオン状態で存在する第二副生成物を分離し、イオン型不純物をほとんど含まないナノスズ含有金属酸化物粒子を得る。

(6)上記のイオン型不純物をほぼ含まず、表面修飾ありのスズ含有金属酸化物粒子を特定の分散媒体系の中に再分散し、高い分散度のナノスズ含有金属酸化物分散体を得る。

(7)ナノスズ含有金属酸化物分散体を同じ溶媒を含むナノ酸化亜鉛(及び/又は酸化チタン、及び/又は酸化セリウム)と配合し、赤外線と紫外線を遮蔽でき、分散安定の複合金属酸化物ナノ粒子の分散体を得る。

一つの実施形態において、製造されるスズ含有ナノ金属酸化物の金属スズイオン及び/又は他の金属イオンは、その酢酸塩、ハロゲン化物、硝酸塩、リン酸塩、硫酸塩、過塩素酸塩、ホウ酸塩、ヨウ素酸塩、炭酸塩、過塩素酸塩、酒石酸塩、蟻酸、グルコン酸塩、乳酸塩、スルファミン酸塩、これらの塩の水和物又は混合物から来ている。

一つの実施形態では、当該沈殿剤は塩基、特に酸素含有塩基を指す。当該酸素含有塩基は以下の種類の中から選択できる。当該種類は、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ土類金属重炭酸塩、アンモニア、有機塩基及びこれらの混合物である。典型的な酸素含有塩基は以下の物質を指す。当該物質は、LiOH、NaOH、KOH、NH3・H2O、Be(OH)2、Mg(OH)2、Ca(OH)2、Li2CO3、Na2CO3、NaHCO3、K2CO3、KHCO3、(CH3)4NOH又はこれらの混合物である。塩基の利点は反応工程中のpH変化を制御でき、反応途中で反応を中止してpH値を所定のものに調節する必要がほぼないから過程を簡素化できることを含む。

塩基(例えばNaOH又はKOH)固体を溶媒に溶解させ、塩基溶液とした。そのうち、溶媒は水、有機液体(例えばエタノール)、又はこれらの混合物を含む。

上記の工程(1)中のスズ含有金属酸化物前駆体の反応は開放式又は密閉式反応装置の中で行うことができる。反応時の温度は約100℃以下であり、温度範囲は約5〜100℃である。うち一つの実施形態では、反応温度は約48〜80℃である。反応圧力は大気圧である。反応工程の反応持続時間は約90分である。うち一つの実施形態では、当該反応が必要とする反応時間は約60分以下である。別の実施形態は、当該反応が必要とする反応時間は約20分未満である。更に別の実施形態において、当該反応は約10分未満の反応時間を必要とする。スズ含有金属酸化物前駆体を形成する反応は非酸性条件下で行われ、すなわち基本的には中性又はアルカリ性条件下で行われる。

上記工程(1)の沈殿反応は金属スズ塩溶液とその他の金属塩溶液の適切な使用量を選択する必要があり、スズ含有金属酸化物内の他の金属とスズのモル比は約0.01〜100、又は約0.05〜50、又は約0.05〜20、又は約0.1〜10である。実施形態では、スズ含有金属酸化物内の他の金属とスズのモル比は0.05〜19のうちの値である。

一つの実施形態では、工程(1)の沈殿反応は基本的に塩基性条件下で行われる。別の実施形態では、当該反応のpH範囲少なくとも約7.0、約8.5、又は約10である。実施形態では、当該反応のpH値は約8.5〜9.5の範囲である。塩基性条件はスズ含有金属酸化物前駆体の形成に有利である。

一つの実施形態では、スズ含有金属酸化物前駆体を形成する反応は基本的に極性相の中で行われる。極性相は水性媒体でよく、水、アルコール、アミド、ケトン、エポキシド、の少なくとも一つ、又はこれらの混合物を含む。アルコール類は、メタノール、エタノール、イソプロパノール又はn−プロパノールを含む。

一つの実施形態では、水性媒体中に酸又は塩基を添加する方法で金属スズの塩溶液とその他の金属(例えば、アンチモン、インジウム)の塩溶液の初期pH値を調節できる。

スズ含有金属酸化物前駆体粒子と副生成物の分離は、金属スズの塩溶液と他の金属(例えば、アンチモン、インジウム)の塩溶液との沈殿剤での反応後に形成された金属塩酸化スズ前駆体粒子とイオン型副産物を洗浄後の相転移、又は洗浄後の遠心分離、又は洗浄後の濾過により、スズ含有金属酸化物前駆体粒子と副産物の分離という目的を達成する。

上記工程(3)の高温高圧水熱反応は密閉容器中で行われ、反応温度は100℃超、反応圧力は通常1〜20大気圧、圧力の提供は溶液系が密閉状態と加熱の条件下での自生圧力によるものである。うち一つの実施形態において、反応温度は約150〜400℃、反応圧力は5〜10大気圧である。別の実施形態では、反応温度は、約200〜400℃である。もう一つの実施形態では、反応温度は300〜400℃である。反応工程中の反応持続時間は約1時間である。うち一つの実施形態では、当該反応に必要な反応時間は約3時間以下であった。別の実施形態は、当該反応に必要な反応時間は約8時間以上である。もう一つの実施形態では、反応に必要な反応時間は約10時間以上である。

上記工程(4)の界面活性剤は、以下のカテゴリから選択することができる。アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノ二オン性界面活性剤、高分子型界面活性剤、又はこれらの混合物である。本発明で使用できる界面活性剤は、シランカップリング剤、非シラン界面活性剤、チタネートカップリング剤、又はこれらの混合物を含む。

典型的な界面活性剤はシランカップリング剤であり、シランカップリング剤はケイ素原子を含有する有機化合物であり、通式YSiX3で表示でき、Xはアルキル基又はアルコキシ基、Yはアルキル基、オキソアルキル基又はアミノ基、フェニル基等である。シランカップリング剤は有機物と無機化合物間の親和性相互作用を強化する。複合材料の物理化学的性能を強化でき、例えば、強度、靭性、電気特性、耐水性、耐腐食性を強化できる。シランカップリング剤として以下の種類を含むが、それだけに限定されない。当該種類は、アルキルトリアルコキシシラン、(メチル)アクリルオキシアルキルトリアルコキシシラン、アクリロキシアルキルトリアルコキシシラン、(メチル)アクリルオキシアルキルジアルコキシシラン、アクリロキシアルキルジアルコキシシラン、(メチル)アクリロイルオキシエチルジアルキルアルコキシシラン、プロピレンアシルオキシジアルキルアルコキシシラン、メルカプトアルキルトリアルコキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アリールトリアルコキシシラン、ビニルメトキシシラン、3−グリシジルプロピルトリアルコキシシラン、ポリエーテルシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノエチルアミノプロピルトリエトキシシラン、ビス−[プロピルトリエトキシシラン]、N−(β−アミノエチル)−γ−(アミノプロピル)−メチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−(アミノプロピル)−トリメトキシシラン、γ−アミノエチル−アミノプロピルトリシラン、トリヘキサデシルシラン、又はこれらの組み合わせである。

有機マトリックス材料と反応活性を持ち、かつ互いに受容できる非シラン系表面改質剤は、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、オイル、ステアリン酸ナトリウム、テレピンエチルヘキサン酸ナトリウム、ナトリウムリノール酸、カプロン酸ナトリウム、ヒマシ油、酢酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、ナトリウムジオクチル脂肪、Tween(オキシエチレンソルビタンモノオレエート)、Span80(ソルビタンモノオレアート)、Span85(ソルビタントリオレエート)、プルロニック(Pluronic)、ポリソルベート、ポリN−ビニルピロリドン、ポリエチレンアルコール、ポリオキシエチレンオレイルアミン、ビス−2−ヒドロキシエチル、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトース、スクロース、クエン酸、(エチレン)グリコール、アクリル酸、メタクリル酸、β−ヒドロキシエチルアクリレート、n−エチルシリケート、及びこれらの混合物を含む。

チタネートカップリング剤は 4つの主な種類があり、モノアルコキシ型、ピロリン酸型、キレート型そしてリガンド型である。チタネートカップリング剤は通式:ROO(4−n)Ti(OX−R’Y)n(n=2,3)で表示でき、そのうちROは加水分解性アルコキシ基であり、無機物表面のヒドロキシル基と反応でき、化学カップリングという目的を果たす。OXは、カルボキシル基、アルコキシ基、スルホン酸基、リン酸基等で、これらの官能基はとても重要であり、チタネートが持つ特殊機能、例えば、スルホン酸基は有機物に一定のチキソトロピック特性を与え、ピロリンアシルオキシ基は阻燃、さび防止、接着増強の性能を持ち、リンアシルオキシ基は抗酸化、耐燃性を与える、といったものを決定付ける。故にOXの選択次第でチタネートにカップリングとその他の特殊性能を持ち合わせることができる。R’は長い炭素ベースのアルカンであり、それは比較的柔らかく、有機ポリマーともつれることで、有機物と無機物の共存性を改善し、材料の耐衝撃強度を高める。Yはヒドロキシル基、アミノ基、エポキシ基又は二重結合を含む基であり、これらの基はチタネートの末端に連結し、有機物質化学反応して結合できる。チタネートカップリング剤自体が、強い汎用性と多機能性を有し、それは自身がカップリング剤であると同時に、分散剤、湿潤剤、結合剤、架橋剤、触媒等であり、さび防止、酸化防止、阻燃等の多機能を併せ持つ。

界面活性剤を分散剤として使用する場合、選択の原則は以下である。水を分散媒体としてスズ含有金属酸化物分散体が形成されている場合、選択する分散剤は、エタノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアルコールアミン、テトラメチルアンモニウム、水酸化ナトリウム、メタリン酸、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、メタクリルオキシシラン、ポリアクリル酸アンモニウム塩系分散剤、ポリアクリル酸ナトリウム塩分散剤、シリコーン系分散剤、ポリアミド分散剤、高分子ブロック共重合体分散剤のうち一つ以上である。有機溶剤を分散媒体としてスズ含有金属酸化物分散体が形成されている場合、選択する分散剤は、ポリカルボキシレート分散剤、ポリカルボキシレート酸−コポリマー分散剤、分散剤、ポリ無水マレイン酸共重合体、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤のうち一つ以上である。

上記工程(4)ではスズ含有金属酸化物の状況に基づいて界面活性剤の用量を選択する必要があり、相に対するスズ含有金属酸化物分率の範囲は、約0.01%〜30%、約0.01%〜20%、約0.01%〜10%、約0.01%〜5%、約0.01%〜1%、約0.1%〜30%、約0.5%〜30%、約1%〜30%、約5%〜10%、約0.1%〜5%である。実施形態では、界面活性剤の質量分率は0.01%〜30%以内の値である。

界面活性剤は提供の形でスズ含有金属酸化物粒子の表面に結合し、又は化学反応(加水分解等)の後にスズ含有金属酸化物粒子の表面に再結合する。界面活性剤及びその誘導体とスズ含有金属酸化物粒子の結合作用は、可逆的又は非可逆的であってもよい。一つの実施形態において、結合は、イオン相互作用、ファンデルワールス力、疎水性相互作用、双極子−双極子相互作用、共有結合、又はいくつかの力の複合効果により生成される。別の実施形態において、界面活性剤及びその誘導体は、完全又は不完全な結合作用によりスズ含有金属酸化物粒子の表面を被覆している。

スズ含有金属酸化物粒子は被覆又は修飾され、スズ含有金属酸化物粒子と有機マトリックス(例えばポリマー材料)の共存性を高め、スズ含有金属酸化物粒子と酸化亜鉛(及び/又は酸化チタン、酸化セリウム)の配合を容易にし、ガラス塗料又はコーティング等の有機マトリックスに応用し、紫外線及び赤外線を遮断し、ガラスの高い透明性、省エネの目的を達成する。分離工程において使用する溶媒の種類がスズ含有金属酸化物粒子と最終製品の有機マトリックス材料との共存性を決定する。例えば、もし分離工程で一つの有機溶媒を使用した場合、ポリマー材料に含まれるのは、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリウレタン等のポリマーに限らない。もし分離工程で極性溶媒を使用した場合、ポリマー材料に含まれるのはポリビニルアセテート、ポリビニルブチラール、及びこれらに似たポリマーに限らない。

一つの実施形態において、有機溶媒が界面活性剤で被覆されたスズ含有金属酸化物粒子に添加され、2相系を形成し、そのうちに部分的又は完全に混合しない有機媒体相と水性媒体相を含む。有機媒体相は、アルカン、アルケン、エーテル、ケトン及び芳香族溶媒を含む。一つの実施形態では、有機媒体相は非極性有機溶媒であり、例えば、ヘプタン、ヘキサン、オクタン、デカン、トルエン、又はアルカンである。

いくつかの特定の界面活性剤で被覆されたスズ含有金属酸化物粒子は有機相へ引き込まれ、イオン型不純物は水相に残る。したがって、イオン型不純物は液間相転移作用によりスズ含有金属酸化物粒子から分離される。

水性媒体と比べて、いくつかの特定の界面活性剤で被覆されたスズ含有金属酸化物粒子は有機媒体に、より高い親和性を有する。本発明者らは、表面活性剤の使用が界面活性剤で被覆されたスズ含有金属酸化物粒子が有機相中へ優先的に入り込むことに有益であることがわかった。スズ含有金属酸化物を被覆したある種の界面活性剤が粒子の表面特性を変え、表面被覆されていないスズ含有金属酸化物粒子よりも強い疎水性を持つようになったからである。

一つの実施形態において、界面活性剤を添加して製造した単分散スズ含有金属酸化物粒子がある。使用した界面活性剤は表面に比較的に立体障害の大きい有機基を持つものを優先的に選択した。本発明者らは、界面活性剤が粒子表面に被覆層を形成し、有機相中への単分散スズ含有金属酸化物粒子の形成を助長することを発見した。これはスズ含有金属酸化物の表面を被覆した界面活性剤が持つ有機基間に存在する比較的大きい立体障害により、粒子同士間の凝集が発生しにくいためである。界面活性剤の添加はスズ含有金属酸化物粒子を有機媒体中に入り込ませ、イオン型副生成物は水相に残る。

別の実施形態では、スズ含有金属酸化物前駆体又は界面活性剤で被覆したスズ金属粒子酸化物粒子を水性媒体に添加し、イオン型副産物を溶解させる。スズ含有金属酸化物前駆体粒子又はスズ含有金属酸化物粒子を反応混合物の底に沈降させ、遠心分離又は他の物理的分離手段(例えば濾過)で副生成物から分離した。副生成物は上清に残り、傾斜法で除去された。スズ含有金属酸化物粒子は極性媒体中に再分散して単分散体を形成し、極性媒体は、水、酢酸エチル、アルコール類、ケトン類等の溶媒を含む。

スズ含有金属酸化物粒子の単分散体の固形含有量は少なくとも5%、又は少なくとも25%、又は少なくとも30%、又は少なくとも40%、又は少なくとも50%の高濃度スズ含有金属酸化物粒子である。

一つの実施形態において、スズ含有金属酸化物はアンチモンスズ酸化物又はインジウムスズ酸化物である。

当該スズ含有金属酸化物粒子の二次平均粒径は約2〜100nm、約2〜50nm、約5〜50nm、約10〜100nm、約50〜100nmである。当該スズ含有金属酸化物粒子は分散媒体中で狭い粒径分布を持ち、急峻性比は3未満が好ましく、更には2未満、又は1.8未満、又は1.5未満、又は1.3未満である。当該スズ含有金属酸化物粒子は分散媒中で基本的に単分散であり、分指数が7未満の単分散状態、更には分指数は5未満、又は4未満、又は3未満、又は2未満である。

上記(2)と(5)の分離工程で、水性媒体でスズ含有金属酸化物粒子(又はスズ含有金属酸化物粒子前駆体)の洗浄工程を行う。洗浄工程は、分離されなかったイオン型不純物を洗い落とし、スズ含有金属酸化物粒子単分散の安定性を高めるのに有利である。

当該洗浄工程で使用した水性媒体は反応工程で使用したものと同一でも異なっていてもよい。水性媒体は、水、アルコール、アミド、ケトン、エポキシド、又はこれらの混合物であってもよい。一つの選りすぐりの実施形態では、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノールから一つ以上を選択し、又はこれらの混合物を水と混合する。一つの実施形態では、溶媒中のエタノールと水溶媒の体積比は以下の範囲内である。当該範囲は、約1〜99%、約10〜99%、約20〜99%、約30〜99%、約40〜99%、約50〜99%、約60〜99%、約70〜99%、約80〜99%、約90〜99%である。

有機媒体中に添加した洗浄用の水性媒体と、少なくとも部分的に溶け合うスズ含有金属酸化物粒子を含む反応媒体とにおいて、スズ含有金属酸化物粒子は、上記の混合媒体中より析出し、遠心分離により粒子を分離でき、後に水性媒体で洗浄する。

いくつかの実施形態において、スズ含有金属酸化物粒子を分散媒体中に再分散する必要性がある。使用する分散媒体は水、酢酸エチル、酢酸ブチルアルコール類、アルケン類、エーテル類、ケトン類、芳香族溶剤及びこれらの混合物が挙げられる。更に具体的には、以下の物質を含むがこれらだけとは限らない。当該物質は、水、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、トルエン、及びエタノールである。

分散媒体のタイプは最終製品のタイプによって決められる。例えば、もし最終製品が極性溶媒の使用を要求すれば、スズ含有金属酸化物粒子は極性溶媒中に分散される。逆に、もし最終製品が非極性溶媒の使用を要求すれば、スズ含有金属酸化物粒子は非極性溶媒中に再分散される。

上記工程(1)と(3)の反応中、スズ含有金属酸化物粒子反応前駆体生成の過程であれ、高温高圧条件下のスズ含有金属酸化物粒子生成の過程であれ、反応過程中の混合物に高せん断を行うことを優先し、反応液中で小粒径かつ粒径分布の狭いスズ含有金属酸化物粒子の生成を有利にする。当該生成粒子の急峻性比は約3未満、約2未満、約1.9未満、約1.8未満、約1.7未満、約1.6未満、約1.5未満、約1.3未満である。

スズ含有金属酸化物粒子の単分散の定義とは、分指数が約7未満、約5未満、約3未満、約2未満、又は1.2未満であることである。

当該方法中の高剪断は攪拌工程を含み、反応行程中の攪拌溶液に生まれる高剪断力がレイノルズ数を2000〜200000、5000〜150000、8000〜100000の範囲内に保つ。高レイノルズ数は反応領域の混合度を高める。実施形態では、反応工程は、攪拌と剪断によって生まれる剪断力によって、公開済みの国際出願PCT/SG02/00061の明細書で述べている通りとなる。

図1Aにその他の金属酸化スズ分散体の生産技術工程を掲示した。まず、スズとその他の金属の塩溶液を混ぜて混合金属塩溶液(12)(例えば塩化スズと塩化アンチモンの混合塩溶液)を作製して沈殿剤溶液(14)(例えば沈殿剤は塩基で、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム又はアンモニア水)と混合し、沈殿反応区(10)(ビーカー、フラスコ又は反応釜)で沈殿反応を行う。同時に混合と沈殿反応工程中の混合物にせん断力を与える。沈殿反応区(10)内温度を5〜95℃範囲内に保持し、気圧は大気圧、pH値は7.5〜10の範囲内、この時にスズ含有金属酸化物前駆体粒子と相応の副生成物が生成される。

スズ含有金属酸化物前駆体粒子と相応の副生成物を分離工程(20)によりイオン型不純物(22)を分離する。スズ含有金属酸化物前駆体粒子を高温高圧反応区(30)に入れ、ドーパントの違いにより酸化剤又は還元剤(32)を添加し、アンチモンスズ酸化物ならば、通常は酸化剤を添加し、インジウムスズ酸化物ならば、通常は還元剤を添加する。高温高圧条件下でスズ含有金属酸化物前駆体溶液を一定時間処理し、同時に上記混合物にせん断力を与え、スズ含有金属酸化物結晶粒子の均一な生成を保証し、高温高圧反応領域の温度を120〜500℃の範囲に保持し、気圧は1から20大気圧とする。

高温高圧反応区からスズ含有金属酸化物懸濁液を取り出し、界面活性剤(42)を添加してスズ含有金属酸化物粒子に対して被覆(40)を行った。そのうち界面活性剤は、オレイン酸、オレイン酸ナトリウム、ロジン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、リノール酸、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、砂糖、Bグリコール類、マルトース、クエン酸、クエン酸ナトリウム又はこれらの混合物から選択できるがそれだけとは限らない。

相転移、洗浄等の方法での分離(50)により更にスズ含有金属酸化物結晶粒子中のイオン型不純物を除去する。

任意に、イオン型不純物を除去したスズ含有金属酸化物結晶粒子中に分散剤を添加し、スズ含有金属酸化物結晶粒子を更に分散する。分散剤選択時に、水を分散媒体として、分散剤は、エタノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、ジイソプロパノールアミン、水酸化テトラメチルアンモニウム、メタリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、メタクリルオキシシラン、ポリアクリル酸アンモニウム塩系分散剤、ポリアクリル酸ナトリウム分散剤、シリコーン分散剤、ポリアミド系分散剤、高分子ブロック共重合体分散剤のうちの一つ以上を選択できるがそれだけとは限らない。有機溶媒を分散媒体とした時、分散剤は、ポリカルボキシレート分散剤の場合ではポリカルボキシレート−酸コポリマー分散剤、ポリエチレン無水マレイン酸共重合体分散剤、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤から一つ又はいくつかを選択できるがそれだけとは限らない。上記の界面活性剤又は分散剤の容量はスズ含有金属酸化物粒子重量の0.5%〜20%である。

スズ含有金属酸化物結晶粒子は伝統的な方法で乾燥(オーブン乾燥、噴霧乾燥、エバポレーション等)してスズ含有金属酸化物粉体製品(55)を生成し、又は分散媒体(62)を添加して分散(60)しナノスズ含有金属酸化物分散体を得る(65)。

任意に、水を分散媒体とするとき、分散体のpH値を調節することにより水相分散体中のスズ含有金属酸化物粒子の分散を実現できる。

図1Bを参照すると、更に、分散媒体(80)を使用し、図1Aにより製造した赤外線遮蔽のナノスズ含有金属酸化物粒子(55)又は分散体(65)と相溶性の良い紫外線遮蔽の金属酸化物ナノ粒子、例えば酸化亜鉛、酸化チタンと酸化セリウム粒子(72)又は分散体(74)と混合(80)して、紫外線と赤外線を遮蔽できる複合金属酸化物分散体(80)を生成する。

実施例において、界面活性剤修飾後のスズ含有金属酸化物結晶粒子とイオン型不純物を含む混合物中に有機溶媒を添加する、例えばヘキサンである。

例えば、SnCl4とSbCl3が生成された混合金属塩溶液(12)とアンモニア水を沈殿剤溶液(14)とした製造で、アンチモンドーピング酸化スズ(ATO)の反応中では、イオン型不純物副産物は、主にCl、NH4+、少量のSn4+、Sb3+とその他のスズ、アンチモンの不完全水酸化物を含むイオンである。アンチモンドーピングスズ含有金属酸化物結晶粒子とイオン型不純物副産物を分離する過程で、もし相転移法分離を採用する場合、通常特定界面活性剤で被覆したスズ含有金属酸化物結晶粒子は有機溶媒に溶けやすいことから、有機溶媒を添加した後、スズ含有金属酸化物結晶粒子は全て溶解又は単分散の形で有機相中に懸濁し、イオン型不純物は水相溶液中に留まる。

有機相媒体と水性媒体は混ざり合うと溶け合わない混合物を生成する。イオン型副産物を含む水性媒体は液相間転移装置(例えば分液漏斗)で有機相媒体と分離できる。

別の実施例では、スズ含有金属酸化物粒子とイオン型不純物副産物を含む混合物中に水性媒体、例えば水、アルコール、アミド、ケトン、エポキシド、又はこれらの混合物を添加し、洗浄を行い、イオン型副産物を溶解又は更に溶解する。スズ含有金属酸化物結晶粒子は反応混合物の底に沈殿し、遠心分離又はその他の物理分離手法(例えば濾過)を用い、イオン型不純物副産物は上澄み液に留まるので、遠心分離後傾斜で取り出す。スズ含有金属酸化物粒子は改めて極性媒体中に分散できる。

得られたスズ含有金属酸化物粒子を適切な分散媒体(62)に溶解し、高濃度の界面活性剤で被覆されたスズ含有金属酸化物結晶粒子の単分散体(65)を生成させる。もし分離工程(50)で使用したのが有機溶媒ならば、スズ含有金属酸化物粒子は有機相媒体中に溶解又は分散(60)する。もし分離工程(50)で使用したのが極性相媒体ならば、スズ含有金属酸化物粒子は極性相媒体中に溶解又は分散(60)する。その中で使用する溶解又は分散媒体(62)は分離工程(20又は50)と同じかもしれないし、異なるかもしれない。

以下は具体的実施例を通じて本発明のより詳細な説明を行う。実施例はただ本発明に対する一種の説明であり、本発明の制限になるものではない。

実施例1

四塩化スズ・五水和物を350.8g量り、1L2.5Mの希塩酸に溶解し、三塩化アンチモンを22.8g量って強い攪拌の下で四塩化スズ溶液中に添加し、強い攪拌を保持して、均一な懸濁液を生成させた。

強い攪拌を保持しながら、1L6Mのアンモニア水を懸濁液に添加し、60℃で20分間攪拌を続けた。得られた淡い黄色のスラリーを遠心分離し、水1.5L中に再分散し、再び遠心分離し、以上の工程をイオン型不純物をほぼ洗い落とすまで繰り返した。

固形物を水約600mL中に再分散し、水熱釜に移して、過酸化水素水100mLを添加した。スラリーを250℃まで加熱して、8時間保持した。

水熱釜を室温まで冷却し、スラリーを取り出し、濃い藍色の当該スラリーを、遠心分離し、水分散で洗浄を一回行い、再び遠心分離し、固形物を得た。

固形物を水約600mLに再分散し、トリエタノールアミンを7.5g添加し、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド22.5gを含むメタノール溶液300mLを添加し、10分間攪拌した。スラリーを遠心分離し、水1.5Lに分散して、再び遠心分離し、水とアセトンで余分な界面活性剤とイオン型不純物をほぼ除去するまで洗浄し、遠心分離で得られた固形物をアセトン600mLに再分散した。減圧蒸発を行い、アセトンを乾燥させた。

一定量のトルエンとオクチルアミン3gを添加し、最終的にナノATO粒子の固体含有量(分散体の重量に基づく)40%の藍色トルエン分散体が生成した。

図2のTEM測定結果によると、製造したナノATO単個粒子の平均一次粒径は5〜7nm、粒子間の凝縮はなく、ほぼ単分散に近い。図3の動的光散乱測定結果によると、平均二次粒径は約30nmで、D90=53.1nmであった。得られた分散体中の粒子の分指数は5.4で、急峻比が2.5であり、粒子の分散体中での分散性能が良好であることを示す。

対比実施例1

四塩化スズ・五水和物を350.8g量り、1L2.5Mの希塩酸に溶解し、三塩化アンチモンを22.8g量って、強い攪拌の下で四塩化スズ溶液中に添加し、強い攪拌を保持して、均一な懸濁液を生成させた。

強い攪拌を保持しながら、1L6Mのアンモニア水を懸濁液に添加し、60℃で20分間攪拌を続けた。

得られた淡い黄色のスラリーを水熱釜に移して、過酸化水素水100mLを添加した。スラリーを250℃まで加熱して、8時間保持した。

水熱釜を室温まで冷却し、スラリーを取り出し、藍灰色の当該スラリーを遠心分離して、固形物を得た。

当該固形物では、多数の洗浄を経ても実施例1と似た濃い藍色の固形物を得られなかった。かつどんなに洗浄と修飾を行っても、単分散の分散体に分散できなかった。

乾燥後の固形物に対してXRD測定を行い、その結果、ルチル型構造(JCPDS 21−1250)のピークが現れたが、その他の沢山の不純物のピークが現れた。動的光散乱では、平均二次粒径が1μmより大きいことを示し、粒径分布が広く、二つのピークが現れた。

当該対比実施例では、スズ含有金属酸化物前駆体粒子(又はスズ金属酸化物粒子)とイオン型副産物の素早い分離は、単分散のスズ含有金属酸化物分散体の製造と生成にとって、とても大事な工程であることを示した。

実施例2

水熱処理前と水熱処理の条件と工程は実施例1と同じである。

水熱釜を室温まで冷却させ、濃い藍色のスラリーを取り出し、遠心分離し、水で一回分散洗浄し、再び遠心分離し、固形物を得た。

固形物をメタノール約1Lに再分散し、水酸化テトラメチルアンモニウムを2.5g加え、次にチタネートカップリング剤(商品名:NDZ−311)44.5gを含むメタノール溶液を500mL加え、10分間攪拌した。スラリーを遠心分離し、メタノール1Lに再分散し、再び遠心分離した。酢酸ブチル600mLに再分散し、同時に別のチタネート系カップリング剤(商品名:NDZ−109)を7.5g添加した。減圧蒸発を行い、濃い藍色の乾燥粉末を得た。

酢酸ブチルに再分散し、ATO粒子の固形含有量(分散体の重量に基づく)を40%に調整した。

測定結果をみると、ナノATO粒子の粒径及び粒径分布は実施例1と似ていた。得られた分散体中の粒子の分指数は5.5で、急峻比は2.6であった。

実施例3

四塩化スズ・五水和物を350.8g量り、メタノール1.5Lに溶解し、三塩化アンチモンを22.8g量って、攪拌の下で四塩化スズ溶液中に添加し、透明な溶液を生成させた。

攪拌を保持しながら、1L6Mのアンモニア水を溶液に添加し、60℃で30分間攪拌を続けた。

得られた淡い黄色のスラリーを遠心分離し、水1.5L中に再分散し、再び遠心分離し、以上の工程をイオン型不純物がほぼ洗い落とされるまで繰り返した。

得られた固形物を水約1Lに再分散し、水熱釜に移して、過酸化水素水100mLを添加した。スラリーを290℃まで加熱して、8時間保持した。

水熱釜を室温まで冷却し、濃い藍色のスラリーを取り出し、遠心分離し、水分散で洗浄を一回行い、再び遠心分離し、濃い藍色の固形物を得た。

固形物を水約600mLで再分散し、トリエタノールアミンを7.5g添加し、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド22.5gを含むメタノール溶液300mLを添加し、10分間攪拌した。スラリーを遠心分離し、水1.5Lに分散して、再び遠心分離し、水とアセトンで余分な界面活性剤とイオン型不純物をほぼ除去するまで洗浄し、遠心分離で得られた固形物をアセトン600mLに再分散した。減圧蒸発を行い、アセトンを乾燥させた。

一定量のトルエンとオクチルアミン3gを添加し、最終的にナノATO粒子の固体含有量(分散体の重量に基づく)40%の藍色トルエン分散体が生成した。

分体粒子に対し粒径とXRDをそれぞれ測定した。図4のTEM測定結果によると、製造したナノATO単個粒子の平均一次粒径は5〜6nm、粒子間の凝縮はなく、ほぼ単分散に近い。図5のXRD測定結果によると、その構造はルチル型構造(JCPDS 21−1250)のピークが現れたが、その不純物のピークはなく、ドープされたアンチモンが単独の酸化物形式ではなく、酸化スズの結晶構造に入り込んだことを示していた。図6の動的光散乱測定結果によると、平均二次粒径は約22nmで、D90=48.1nmであった。得られた分散体中の粒子の分指数は3.5で、急峻比が1.9で、粒子が分散体中での粒径分布が狭いことを示す。

実施例4

水熱処理前と水熱処理の条件と工程は実施例3と同じである。

水熱釜を室温まで冷却させ、濃い藍色のスラリーを取り出し、遠心分離し、水1.5Lで一回分散洗浄し、再び遠心分離した。固形物を30%のエタノール水溶液約1.5Lに再分散し、遠心分離した。固形物を70%のエタノール水溶液に再分散し、遠心分離した。エタノール1Lに再分散し、遠心分離して固形物を得た。

固形物を約50℃で乾燥し、ATO乾燥粉末を粉砕した。

乾燥粉末に適量な水を加え、ATO重量比1%の水酸化テトラメチルアンモニウムを添加し、乳化分散機でスラリーを処理し、ATOを均一に水中に分散させ、最終的にナノATO粒子の固体含有量(分散体の重量に基づく)40%の水系分散体を生成させた。

図7のTEM測定結果によると、製造したナノATO粒子のサイズは均一で、単個粒子の平均一次粒径は約8〜10nmであった。XRD測定結果によると、その構造がルチル型構造(JCPDS 21−1250)である。動的光散乱測定結果によると、平均二次粒径は約50nmである。得られた分散体中の粒子の分指数は4.2で、急峻比が2.2である。

実施例5

水熱処理前と水熱処理の条件と工程は実施例3と同じである。

水熱釜を室温まで冷却させ、スラリーを取り出し、遠心分離し、水1.5Lで一回分散洗浄し、再び遠心分離する。濃い藍色の固形物の一部をメタノール水溶液(メタノールと水の重量比は9:1)に再分散し、固形含有量30%の懸濁液を100mL生成し、溶液を60〜70℃まで温度上昇させ、攪拌の下でγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランを7g添加し、一日後、静置して室温まで温度を下げ、セチルトリメチルアンモニウムブロミドを2g添加し、攪拌を10分間続けた。

懸濁液を洗浄し、遠心分離で固形物を分離した。

固形物をエタノールで分散し、オクチルアミン1gを添加し、分散液をエバポレートした後に酢酸ブチルを加え、分散媒体を酢酸ブチルとする固形含有量40%の藍色ナノATO分散体を得た。

ナノATO粒子の粒径及び粒径分布は実施例3と似ていた。得られた分散体中の粒子の分指数は5.2で、急峻比が2.1である。

実施例6

四塩化スズ・五水和物を35.08g量り、メタノール1.5Lに溶解し、三塩化インジウム・四水和物を293g量って、攪拌の下で四塩化スズ溶液中に添加し、透明な溶液を生成させた。

攪拌を保持しながら、1L6Mのアンモニア水を溶液に添加し、60℃で30分間攪拌を続けた。得られたスラリーを遠心分離し、水1.5L中に再分散し、再び遠心分離し、以上の工程をイオン型不純物がほぼ洗い落とされるまで繰り返した。

得られた固形物を水約1Lに再分散し、水熱釜に移して、ヒドラジン水和物100mLを添加した。スラリーを290℃まで加熱して、8時間保持した。

水熱釜を室温まで冷却し、濃い藍色のスラリーを取り出し、遠心分離し、水分散で洗浄を一回行い、再び遠心分離し、固形物を得た。

固形物を水約600mLで再分散し、水酸化テトラメチルアンモニウムを7.5g添加し、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド22.5gを含むメタノール溶液300mLを添加し、10分間攪拌した。スラリーを遠心分離し、水1.5Lに分散して、再び遠心分離し、水とアセトンで余分な界面活性剤とイオン型不純物をほぼ除去するまで洗浄し、遠心分離で得られた固形物をアセトン600mLに再分散した。減圧蒸発を行い、アセトンを乾燥させた。

一定量のトルエンとオクチルアミン3gを添加し、最終的にナノITO粒子の固体含有量(分散体の重量に基づく)40%の藍色トルエン分散体が生成した。

図8のTEM測定結果によると、製造したナノATO粒子の平均一次粒径は約7nmであった。動的光散乱測定結果によると、平均二次粒径は約60nmである。得られた分散体中の粒子の分指数は6.4で、急峻比が2.7である。

実施例7

四塩化スズ・五水和物を35.08g量り、メタノール1.5Lに溶解し、三塩化インジウム・四水和物を293g量って、攪拌の下で四塩化スズ溶液中に添加し、透明な溶液を生成させた。

攪拌を保持しながら、6Mのアンモニア水をpH値が約7になるまで溶液に添加し、70℃で30分間攪拌を続けた。得られたスラリーを遠心分離し、水1.5L中に再分散し、再び遠心分離し、以上の工程をイオン型不純物がほぼ洗い落とされるまで繰り返した。

得られた固形物を水約1Lに再分散し、水熱釜に移して、クエン酸4gを添加した。スラリーを290℃まで加熱して、8時間保持した。

水熱釜を室温まで冷却し、濃い藍色のスラリーを取り出し、遠心分離し、水分散で洗浄を一回行い、再び遠心分離し、固形物を得た。

固形物を水約600mLで再分散し、水酸化テトラメチルアンモニウムを7.5g添加し、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド22.5gを含むメタノール溶液300mLを添加し、10分間攪拌した。スラリーを遠心分離し、水1.5Lに分散して、再び遠心分離し、水とアセトンで余分な界面活性剤とイオン型不純物をほぼ除去するまで洗浄し、遠心分離で得られた固形物をアセトン600mLに再分散した。減圧蒸発を行い、アセトンを乾燥させた。

一定量のトルエンとオクチルアミン3gを添加し、最終的にナノITO粒子の固体含有量(分散体の重量に基づく)40%の藍色トルエン分散体が生成した。

製造したナノITO粒子と分散体の性能は実施例6と似ていた。

実施例8

本実施例は応用実施例である。

本実施例中のナノATO粒子の水系分散体の製造方法は実施例4と同じであるが、水熱温度は260℃、水熱時間は15時間、アンチモンの含量(アンチモンのATOに対するmol%)を5%、7.5%、10%、12.5%に変えた。製造したナノATO粒子のTEM、XRD、動的光散乱分析では、結果は全て実施例4と似ていた。

製造したアンチモン含量の異なる固形含有量40%のナノATO粒子の水系分散体を、それぞれ固形含有量5%の水溶液に希釈し、紫外線−可視光−赤外線スペクトル測定を行うと、赤外遮蔽の性能に変化が見られた(図9)。応用系としては、ナノATO粒子中のアンチモンの含量を調節すると、通常アンチモンの含量が高ければ、赤外遮蔽が大きい。だが、アンチモン含量が12%超えてから、赤外遮蔽の量に大きな変化はなかった。この変化の法則は、ナノATO粒子中アンチモンの含量を制御することで、赤外線遮蔽を制御できることを示した。

実施例9

本実施例は応用実施例である。

本実施例中のナノATO粒子の水系分散体の製造方法は実施例4と同じであるが、水熱温度は260℃、水熱時間は15時間である。製造したナノATO粒子のTEM、XRD、動的光散乱分析では、結果は全て実施例4と似ていた。

製造したアンチモン含量の異なる固形含有量40%のナノATO粒子の水系分散体を、それぞれ固形含有量5%、2.5%、1.25%の水溶液に希釈し、紫外線−可視光−赤外線スペクトル測定を行うと、赤外遮蔽の性能に変化が見られた(図10)。ナノATO粒子の固形含量が高ければ、赤外遮蔽が大きい。この変化の法則は、ナノATO粒子中アンチモンの含量を制御することで、赤外線遮蔽を制御できることを示した。

実施例10

本実施例は応用実施例である。

本実施例中のナノATO粒子の水系分散体の製造方法は実施例4と同じであるが、水熱温度は260℃、水熱時間は15時間である。製造したナノATO粒子のTEM、XRD、動的光散乱分析では、結果は全て実施例4と似ていた。

製造した固形含有量40%のナノATO粒子の水系分散体を、それぞれ固形含有量5%の水溶液に希釈し、国際出願PCT/SG2008/000442内において製造されている同じ固形含有量のZnO又はCeO2の水系分散体とそれぞれ混合して、複合金属酸化物分散体を生成し、紫外線−可視光−赤外線スペクトル測定を行った。その結果、赤外領域の遮蔽性能は実施例8と似ており、また、ZnO又はCeO2を添加したナノ複合分散体は紫外線にも明らかな遮蔽作用があった。紫外線に関する性能の測定結果は図11である。同様にZnO又はCeO2のような紫外線遮蔽剤の含量を変えることで、紫外線遮蔽を制御できる。

実施例11

本発明中実施例4で述べた方法で製造したナノATO水系分散体を、単独で、又は国際出願PCT/SG2008/000442内において製造されているナノ酸化亜鉛水系分散体と配合して、水性アクリル酸塗料に添加した。この配合塗料の中で、アクリル酸樹脂は20wt%の量を占め、ナノZnO粒子は5wt%の量を占めている。

塗料をそれぞれディップ法と重力流動法でガラスに塗布し、塗料がガラス上での膜厚が40μmとなるように制御した。塗料を塗布したガラスに対して中国国家基準GB/T 2680−94(又は国際基準E 903−96)に準じて紫外線−可視光−赤外線スペクトル測定を行った。測定データは図12である。図12から分かるのは、可視光透過率に影響を与えない前提では、ナノATO粒子を添加した塗料は良好な赤外線遮蔽機能を有し、同時にナノZnO粒子を添加した塗料は紫外線遮蔽の機能を有する。その具体的な太陽光制御性能を以下の表に示した。

対比実施例2

本発明と類似している平均一次粒径が8〜10の市販のナノATO粉体と通常のボールミル分散の方式を採用し、実施例4の中で言及されたものと同じ種類と用量の界面活性剤を添加し、市販のナノATO粉体をボールミルで8時間分散し、ATOの分散体を得て、即座に動的光散乱測定を行った。その結果、平均二次粒径は約123nmであった。得られた分散体中粒子の分指数は12.2、急峻比が4.1である。当分散体は安定性が悪く、分散体放置時間が二日間を超えると、粒子が続々と容器の底に沈殿し、分散体を再び動的光散乱で測定すると、粒子の平均二次粒径は253nmまで増え、粒径分布は広くなった。

8時間のボールミルにより生成したナノATO分散体を素早く実施例10と同じ方法と用量で水性アクリル酸塗料を配合し、重力流動法でガラスに塗布し、塗料がガラス上での膜厚が40μmとなるように制御した。塗料を塗布したガラスに対して中国国家基準GB/T 2680−94(又は国際基準E 903−96)に準じて紫外線−可視光−赤外線スペクトル測定を行い、その具体的な太陽光制御性能を以下の表に示した。

外観では、ボールミル分散の市販のATOを添加して得られたガラス製品は肉眼では青白く見え、透明であるという特徴がない。本発明の実施例4で生産したナノATOを添加して得られたガラス製品の外観は淡い青色の当目である特徴を持つ。対比実施例2より、ナノATO粒子が応用されたガラス製品が効果的に分散しているか否かは、その透明度に影響を与え、本発明中の粒子の単分散を達成してこそ、本当の意味で赤外線遮蔽を実現するとともにガラスの高透明度の保持を実現する。

応用

本発明で述べた方法は、単分散状態のナノスズ含有金属酸化物粒子又は分散体を直接合成でき、紫外線と赤外線を遮蔽するナノ複合金属酸化物分散体を製造するものである。スズ含有金属酸化物分散体又は紫外、赤外線遮蔽のナノ複合金属酸化物分散体は比較的高い固形含有量を持つ。

本発明で述べた方法の利点は、使用する反応物は市場で購入でき、なおかつ低価格であることである。更に有利なのは、この技術は高温熱処理を必要とせず、生産コストと設備の消耗を減らすことができる。ナノスズ含有金属酸化物粒子と分散体及び紫外線と赤外線遮蔽のナノ複合金属酸化物分散体は大規模生産過程中において余分な比較的高価な原料を使用する必要がない。

本発明で述べた方法の利点は、製造した単分散粒子にイオン型不純物はなく、その他の方法で製造した粒子より安定で、粒子は凝縮せず、室温と大気圧で一ヶ月以上保存でき、安定性の明らかな低下がない。

本発明で述べた方法の利点は、基本的に単分散状態の高固形含有量のナノスズ含有金属酸化物分散体、又は紫外線と赤外線遮蔽のナノ複合金属酸化物分散体を製造できることである。その他の方法で製造したナノスズ含有金属酸化物粒子と分散体と比べて、貯蔵空間を大幅に減らし、輸送費用を抑える。

本発明で述べた方法の利点は、液間相転移工程で簡単で効果的な解決法を提供し、単分散を不安定にする可能性の有るイオン型副産物を除去できる。

本発明で述べた方法の利点は、生産規模を拡大でき、製品の安定性と粒径分布に影響を与えない条件下で、更に大量のナノスズ含有金属酸化物粒子と分散体及び紫外線と赤外線遮蔽のナノ複合金属酸化物分散体を生産できる。

本発明で述べた方法の利点は、使用者の最終産物への要求に基づいて、ナノスズ含有金属酸化物粒子を適切な分散媒体に再分散できることである。極性溶媒又は非極性溶媒の全てを分散媒体にできる。最終産物の需要に基づいて、ナノスズ含有金属酸化物分散体又は紫外線、赤外線遮蔽のナノ複合金属酸化物分散体は、例えば高分子材料等有機母材中で使用でき、ガラス塗料又はコーティングに応用できる。本発明を採用したナノスズ含有金属酸化物粒子の平均二次粒径は、ナノスケールに制御され、塗料又はコーティングの高透明度を保証し、可視光透過率を保証する前提で紫外線と赤外線を遮蔽し、ガラスの良好な透明、断熱効果を達成する。

本領域の専門技術者は本発明の基礎である種の改変又は修飾を行っても、実質的に本発明の範囲を超えることはない。 (付記) (付記1) スズ含有金属酸化物はスズ元素と、スズ以外の他の一種の金属元素とを含み、7未満の分散度指数及び3未満の急峻性比で定義される粒径分布を有するナノスズ含有金属酸化物粒子。 (付記2) 前記ナノスズ含有金属酸化物粒子の表面が界面活性剤で被覆されている付記1に記載のナノスズ含有金属酸化物粒子。 (付記3) 前記界面活性剤は、非シラン表面改質剤、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、又はこれらの混合物から選択され、 更に、非シラン系表面改質剤は、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアルコール硫酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、石油酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ロジン酸ナトリウム、エチルヘキサン酸ナトリウム、リノール酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、リシノール酸ナトリウム、酢酸エチル、酢酸ナトリウム、ジオクチルバター、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレート、プルロニック、ポリソルベート、N−ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ビス−2−ヒドロキシエチルオレイルアミン、セチルトリメチルアンモニウムブロミド水酸化アンモニウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトース、スクロース、クエン酸、エチレングリコール、アクリル酸、メタクリル酸、γ−ヒドロキシエチルアクリレート、オルトケイ酸テトラエチル又はこれらの混合物が好ましく、 シランカップリング剤は、アルキルトリアルコキシシラン、(メチル)アクリルオキシアルキルトリアルコキシシラン、アクリロキシアルキルトリアルコキシシラン、(メチル)アクリロイルオキシアルキルジアルコキシシラン、アクリロキシアルキルジアルコキシシラン、(メチル)アクリロイルオキシエチルジアルキルアルコキシシラン、アクリルオキシジアルキルアルキルアルコキシシラン、メルカプトアルキルトリアルコキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アリールトリアルコキシシラン、ビニルシラン、3−グリシジルグリセロールエーテルプロピルトリアルコキシシラン、ポリエーテルシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタクリロイルオキシエチル)トリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランシラン、γ−アミノエチルアミノプロピルトリエトキシシラン、ビス−プロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−(アミノプロピル)−メチル−ジメトキシフェニルシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−(アミノプロピル)−トリメトキシシラン、γ−アミノエチル−アミノプロピルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン又はこれらの混合物が好ましい付記2に記載のナノスズ含有金属酸化物粒子。 (付記4) 前記スズ以外の他の金属元素はSb、In、Ti、Cu、Zn、Zr、Ce、Y、La、Nb又はこれらの混合物から選択され、Sb、In又はこれらの混合物が好ましい付記1〜3のいずれかに記載のナノスズ含有金属酸化物粒子。 (付記5) 前記スズ含有金属酸化物はアンチモンスズ酸化物又はインジウムスズ酸化物である付記1〜4のいずれかに記載のナノスズ含有金属酸化物粒子。 (付記6) 前記スズ以外の他の金属元素とスズのモル比は1:0.01〜1:100で、好ましくは1:0.05〜1:50、更に好ましくは1:0.05〜1:20、より更に好ましくは1:0.05、1:0.1、1:0.15、1:0.2、1:5、1:10、1:15、又は1:20である付記1〜5のいずれかに記載のナノスズ含有金属酸化物粒子。 (付記7) 前記ナノスズ含有金属酸化物粒子が結晶構造を有し、更に好ましくは正方晶系錫石(cassiterite)型構造、ビックスバイト(Bixbyite)型構造、正方晶系錫石型構造に似ている構造又はビックスバイト型構造に似ている構造を有する付記1〜6のいずれかに記載のナノスズ含有金属酸化物粒子。 (付記8) 前記分散度指数は5未満、4未満、3未満、又は2未満である付記1〜7のいずれかに記載のナノスズ含有金属酸化物粒子。 (付記9) 前記急峻性比は2未満、1.8未満、1.5未満、又は1.3未満である付記1〜8のいずれかに記載のナノスズ含有金属酸化物粒子。 (付記10) 前記ナノスズ含有金属酸化物粒子の一次平均粒径は2〜50nmで、特に2〜20nm、又は2〜10nmである付記1〜9のいずれかに記載のナノスズ含有金属酸化物粒子。 (付記11) 以下の工程: (1)スズイオン含有溶液を他の金属イオン含有溶液と沈殿剤で反応させ、形成したスズ含有金属酸化物前駆体粒子とイオン状態で存在する第一副生成物とを得る; (2)前記スズ含有金属酸化物前駆体粒子と前記イオン状態で存在する第一副生成物を分離し、イオン型不純物を基本的に含まないスズ含有金属酸化物前駆体粒子を得る; (3)前記イオン型不純物をほとんど含まないスズ含有金属酸化物前駆体粒子と酸化剤又は還元剤とを反応させ、スズ含有金属酸化物粒子とイオン状態で存在する第二副生成物とを得る; (4)前記スズ含有金属酸化物粒子と前記イオン状態で存在する第二副生成物とを分離し、イオン型不純物を基本的に含まないスズ含有金属酸化物粒子を得る; を含む、付記1〜10のいずれかに記載のナノスズ含有金属酸化物粒子を製造するための方法。 (付記12) 工程(2)、(3)、及び(4)のうち一つ又は複数の工程において界面活性剤で前記スズ含有金属酸化物前駆体粒子又はスズ含有金属酸化物粒子をコートし、当該工程(2)、(3)、及び(4)のうち一つ又は複数の工程においてスズ含有金属酸化物前駆体粒子又はスズ含有金属酸化物粒子の重量に基づき0.01%〜30%の界面活性剤を添加することが望ましい付記11に記載の方法。 (付記13) 液−液相転移、洗浄後液−液相転移、洗浄後遠心分離、又は洗浄後濾過のいずれか一つの方法で工程(2)又は工程(4)の分離を行う付記11又は12に記載の方法。 (付記14) 工程(1)の反応を100℃未満の温度、特に40〜80℃の温度範囲内で行う付記11〜13のいずれかに記載の方法。 (付記15) 工程(1)の反応を非酸性条件下で行い、特に基本的に塩基性条件下で行う付記11〜14のいずれかに記載の方法。 (付記16) 工程(1)の反応を水性媒体の中で行い、前記水性媒体は水、アルコール類、アミド、ケトン、エポキシド及びこれらの混合物のうち少なくとも一種で、更に一種又は多類のアルコール類と混合した水が好ましく、その中におけるアルコール類が水に対する体積比は1%〜99%である付記11〜15のいずれかに記載の方法。 (付記17) 前記アルコール類はメタノール、エタノール、イソプロパノール、及びプロパノールのうち少なくとも一種の物質が選ばれる付記16に記載の方法。 (付記18) 工程(1)のスズイオン及び/又は他の金属イオンは酢酸塩、ハロゲン化物塩、硝酸塩、リン酸塩、硫酸塩、塩素酸塩、ホウ酸塩、ヨウ素酸塩、炭酸塩、過塩素酸塩、酒石酸塩、ギ酸塩、ふどう酸塩、乳酸塩、アミノスルホン酸塩、これらの塩の水和物又は混合物に由来するものである付記11〜17のいずれかに記載の方法。 (付記19) 工程(1)の前記沈殿剤は塩基であり、前記塩基は酸素含有塩基が好ましく、前記酸素含有塩基はアルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、アンモニア水、有機塩基及びこれらの混合物が好ましい付記11〜18のいずれかに記載の方法。 (付記20) 工程(3)は100℃超と1〜20大気圧において行われ、更に150〜400℃と5〜10大気圧において行われることが好ましい付記11〜19のいずれかに記載の方法。 (付記21) 前記洗浄工程は水、アルコール、アミド、ケトン、エポキシド又はこれらの混合物を用いてスズ含有金属酸化物前駆体粒子又はスズ含有金属酸化物粒子を洗浄する付記13〜20のいずれかに記載の方法。 (付記22) 工程(3)の前記酸化剤は過酸化物であり、更にNa2O2、K2O2、H2O2及び過酢酸が好ましい付記11〜21のいずれかに記載の方法。 (付記23) 工程(3)の前記還元剤はヒドラジン水和物、エチレンジアミン、シュウ酸、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、金属スズ粉末、水素化ホウ素ナトリウム及びこれらの混合物より選択される付記11〜21のいずれかに記載の方法。 (付記24) 前記工程(1)及び/又は工程(3)は高せん断条件下で行われる付記11〜23のいずれかに記載の方法。 (付記25) 分散媒体と付記1〜10のいずれかに記載のナノスズ含有金属酸化物粒子を含むナノスズ含有金属酸化物分散体。 (付記26) 分散体の重量に基づくと、ナノスズ含有金属酸化物粒子の固形分は少なくとも5%で、更に少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、又は少なくとも50%が好ましい付記25に記載のナノスズ含有金属酸化物分散体。 (付記27) 前記分散媒体は水、酢酸エチル、酢酸ブチル、アルコール、オレフィン、エーテル、ケトン、芳香族溶媒及びこれらの混合物のうちから選択される付記25又は26に記載のナノスズ含有金属酸化物分散体。 (付記28) 前記分散体中のナノスズ含有金属酸化物粒子は7未満の分指数、及び3未満の急峻性比で定義される粒径分布を有する付記25又は26に記載のナノスズ含有金属酸化物分散体。 (付記29) 分散度指数は5未満、4未満、3未満、又は2未満で、急峻性比は2未満、1.8未満、1.5未満、又は1.3未満である付記28に記載のナノスズ含有金属酸化物分散体。 (付記30) 前記分散体中のナノスズ含有金属酸化物粒子の二次平均粒径は2〜100nmで、特に2〜50nmである付記25〜29のいずれかに記載のナノスズ含有金属酸化物分散体。 (付記31) 紫外線遮蔽可能なナノ金属酸化物ナノ粒子をさらに含む付記25〜30のいずれかに記載のナノスズ含有金属酸化物分散体。 (付記32) 前記紫外線遮蔽可能なナノ金属酸化物は酸化亜鉛、酸化チタン及び酸化セリウムのうちから選択される少なくとも1種で、かつ分散体の重量に基づくと、前記紫外線遮蔽可能なナノ金属酸化物ナノ粒子の含有量が少なくとも5%である付記31に記載のナノスズ含有金属酸化物分散体。 (付記33) 付記1〜10のいずれかに記載のナノスズ含有金属酸化物粒子を分散媒体に分散することを含む付記25〜32のいずれかに記載のナノスズ含有金属酸化物分散体の製造法。 (付記34) 酸又は塩基を用いて反応系のpH値を調節する工程をさらに含む付記33に記載の方法。 (付記35) 付記1〜10のいずれかに記載のナノスズ含有金属酸化物粒子を含む太陽光制御複合材料。 (付記36) 前記太陽光制御複合材料は塗料又はコート膜で、更に好ましくは可視光透過可能な塗料又はコート膜で、より更に好ましくはガラス塗料又はガラスコート膜である付記35に記載の太陽光制御複合材料。 (付記37) 付記1〜10のいずれかに記載のナノスズ含有金属酸化物粒子を含む可視光透過可能な材料。 (付記38) 前記ナノスズ含有金属酸化物粒子が前記可視光透過可能な材料の表面及び/又は内部に存在し、更に好ましくは前記ナノスズ含有金属酸化物粒子が前記可視光透過可能な材料の表面上の塗料及び/又はコート膜に存在する付記37に記載の可視光透過可能な材料。 (付記39) 前記可視光透過可能な材料はガラスである付記37又は38に記載の可視光透過可能な材料。

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