導電性粒子及びその製造方法

申请号 JP2015502981 申请日 2014-10-20 公开(公告)号 JP6019214B2 公开(公告)日 2016-11-02
申请人 三井金属鉱業株式会社; 发明人 瓦谷 浩一; 馬渡 芳夫;
摘要
权利要求

芯材の表面に、ドーパント元素を含む導電性酸化スズからなる被覆層を有する導電性粒子であって、 被覆層において、ドーパント元素が被覆層の表面側に偏在しており、 ドーパント元素が少なくともアンチモン、ニオブ又はタンタルである導電性粒子。被覆層において、ドーパント元素の量が、該被覆層の表面側から芯材側に向けて漸減している請求項1に記載の導電性粒子。BET比表面積が15m2/g以上50m2/g以下であり、 体積抵抗が1.0×100Ω・cm以上1.0×103Ω・cm以下である請求項1又は2に記載の導電性粒子。L*a*b*系表色系色座標のL値が70以上であり、a値が−5.0以上−3.0以下であり、b値が−9.0以上−4.0以下である請求項1ないし3のいずれか一項に記載の導電性粒子。スズ1molに対して、ドーパント元素が0.01mol以上0.60mol以下含まれている請求項1ないし4のいずれか一項に記載の導電性粒子。請求項1に記載の導電性粒子の製造方法であって、 スズ源を含有し、かつ芯材を分散させたスラリーを中和することによって、該芯材の表面にスズ化合物を被覆させる第1工程と、 第1工程後のスラリーにスズ源が存在する状態で、ドーパント元素源を添加するとともに該スラリーを中和することによって、前記のスズ化合物上に、ドーパント元素を含むスズ化合物を被覆させる第2工程と、 第2工程で得られた粒子を焼成する第3工程と、を有し、 ドーパント元素が少なくともアンチモン、ニオブ又はタンタルである導電性粒子の製造方法。請求項1ないし5のいずれか一項に記載の導電性粒子を含む導電性組成物。

说明书全文

本発明は、導電性粒子及びその製造方法に関する。

従来、非導電性材料、例えばプラスチックに導電性を付与する方法として、プラスチックに導電性を付与する材料を添加する方法が知られている。このような導電性を付与する材料としては、例えば、界面活性剤、金属粉末、カーボンブラック、ドーパント元素を含有しない酸化スズ粉末等が知られている。しかし、界面活性剤は、その導電性が温度及び湿度によってばらつくことがある。金属粉末やカーボンブラックは、これらをプラスチックに添加すると、得られるプラスチックが黒色になり、プラスチックの用途が限定されることがある。ドーパント元素を含有しない酸化スズ粉末は、長期間使用する間に導電性が変動することがある。

これらの材料とは別に、アンチモン等のドーパント元素を含有する酸化スズ粉末も知られている。ドーパント元素を含有する酸化スズ粉末は抵抗が低く、導電性が経時的に安定しやすい。しかしドーパント元素を含有する酸化スズ粉末は、ドーパント元素を使用することに起因して、経済的に有利とはいえず、また環境負荷の問題がある。更に、アンチモンをドープした酸化スズ粉末をプラスチックに添加すると、得られるプラスチックが青黒色になり、カーボンブラック等と同様にやはりプラスチックの用途が限定されることがある。ドーパント元素を含有する酸化スズ粉末としては、例えば、特許文献1に記載されているとおり、塩化スズの溶液を中和して酸化スズの和物を生成させ、次いで該酸化スズの水和物を含む液に塩化アンチモンを添加後、中和して酸化スズの水和物の表面に酸化アンチモンの水和物を生成させ、その後焼成することによって製造されるものが挙げられる。また特許文献2に記載されているとおり、基材を水に分散させ、これにアンチモンを含有するスズ源を加え、低pH下で加水分解して基材表面にアンチモン含有スズ化合物を析出させ、これを熱処理することによって製造されるものが挙げられる。

特開平08−319118号公報

特開2009−199776号公報

しかし、特許文献1に記載の粉末は、ドーパント元素であるアンチモンの一部が粒子表面において単独で存在しているため、導電性が不十分となりやすい。特許文献1に記載の粉末の導電性を高めるためには、ドーパント元素の使用量を多くしたり、製造工程における焼成温度を高めて、ドーパント元素を酸化スズ中に拡散させたりする必要がある。焼成温度を高めた場合、得られる導電性粒子の樹脂への分散性が低下しやすい。また、特許文献2に記載の粉末は、青みを抑制したり経済性を高めたりするためにドーパント元素の含有量を低減させた場合、粒子の最表面の抵抗が高くなるために、導電性が不十分なものとなりやすい。

本発明は、芯材の表面に、ドーパント元素を含む導電性酸化スズからなる被覆層を有する導電性粒子であって、 被覆層において、ドーパント元素が被覆層の表面側に偏在しており、 ドーパント元素が少なくともアンチモン、ニオブ又はタンタルである導電性粒子を提供するものである。

また本発明は、前記の導電性粒子の好適な製造方法として、 スズ源を含有し、かつ芯材を分散させたスラリーを中和することによって、該芯材の表面にスズ化合物を被覆させる第1工程と、 第1工程後のスラリーにスズ源が存在する状態で、ドーパント元素源を添加するとともに該スラリーを中和することによって、前記のスズ化合物上に、ドーパント元素を含むスズ化合物を被覆させる第2工程と、 第2工程で得られた粒子を焼成する第3工程と、を有し、 ドーパント元素が少なくともアンチモン、ニオブ又はタンタルである導電性粒子の製造方法を提供するものである。

更に本発明は、前記の導電性粒子を含む導電性組成物を提供するものである。

以下、本発明の導電性粒子を、その好ましい実施形態に基づき説明する。なお以下の説明において、導電性粒子とは、文脈に応じて個々の粒子を指す場合と、粒子の集合体としての粉体を指す場合とがある。本発明の導電性粒子は、非導電性材料からなる芯材の表面に、ドーパント元素を含む導電性酸化スズからなる被覆層を有するものである。芯材は、本発明の導電性粒子における容積の大部分を占める部位であり、導電性粒子の中心域に位置する。一方、被覆層は、本発明の導電性粒子の最表面に位置する。芯材を有する本発明の導電性粒子は、特許文献1記載の芯材を有しない粉末に比して樹脂中へ分散しやすいという利点を有する。

芯材を構成する非導電性材料としては、無機物及び有機物のどちらを用いてもよい。ここでいう非導電性とは、抵抗率が例えば105Ω・cm以上であることをいう。無機物としては、例えば、各種元素の酸化物、窒化物、炭化物などを用いることができる。また例えば各種元素の塩を用いることができる。各種元素としては例えば各種の金属元素を挙げることができる。有機物としては、例えば各種の高分子材料を用いることができる。芯材は、水不溶性のものでもよく、あるいは水溶性のものでもよい。後述する導電性粒子の製造方法を考慮すると、芯材は水不溶性のものであることが有利である。好ましく用いられる芯材としては無機物が挙げられ、具体的には金属酸化物である酸化チタン、アルミナ及びシリカや、金属塩である硫酸バリウム等が挙げられる。

芯材の形状は、その表面に導電性酸化スズ層を形成することが可能な形状であればよく、導電性粒子の用途に応じて、球状、多面体状、フレーク状、針状等の種々の形状のものが用いられる。本発明において、被覆層の厚みは芯材の大きさに比べて非常に小さいので、通常、芯材と導電性粒子の形状は概ね同じであるとみなすことができる。

芯材は、BET比表面積が5.0m2/g以上20.0m2/g以下であることが好ましく、6.0m2/g以上18.0m2/g以下であることが更に好ましい。芯材のBET比表面積がこの範囲であると、芯材表面に被覆層を形成して得られる導電性粒子が、樹脂中に分散しやすいことや酸化スズからなる被覆層のコート均一性の観点から好ましい。芯材のBET比表面積は例えば、ユアサアイオニクス社製モノソープを用いて測定することができる。

被覆層は、芯材の表面が全く露出しないように該表面を満遍なく連続して被覆していることが、導電性粒子の導電性を高める点から好ましい。しかし、本発明の効果を損なわない範囲において、芯材の表面が一部露出するように該表面を不連続に被覆していてもよい。

被覆層の厚みは、本発明の導電性粒子の被覆層の導電性が十分に発現する程度であれば、過度に厚くする必要はない。被覆層の厚みを酸化スズの量に換算して表すと、本発明の導電性粒子に占める酸化スズの割合が20質量%以上60質量%以下、特に25質量%以上50質量%以下となるような厚みであることが好ましい。導電性粒子中のスズの量は、導電性粒子の被覆層をアルカリで溶解させて得られる溶液について、ICP発光分光測定器で測定することによっても求めることができる。

上述したように、本発明の導電性粒子は、被覆層を構成する酸化スズに、ドーパント元素が含まれる。ドーパント元素は、それを添加した後の酸化スズの導電性を、添加前の酸化スズに比べて高めることができる元素である。具体的にはドーパント元素としては、アンチモン(Sb)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、リン(P)、フッ素(F)、塩素(Cl)、ビスマス(Bi)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、モリブデン(Mo)、窒素(N)、亜鉛(Zn)などを挙げることができる。ドーパント元素は、これらのうちの1種又は2種以上を用いることができる。特に、ドーパント元素がアンチモン(Sb)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、リン(P)、フッ素(F)及びタングステン(W)のうちの少なくとも1種以上であり、とりわけアンチモン(Sb)であることが、導電性の環境安定性の点から好ましい。特に本発明の導電性粒子は、ドーパント元素としてアンチモンを含む場合、従来のアンチモンドープ酸化スズ粒子に比して白色性に優れるという利点を有する。また被覆層に、本発明の効果を損なわない範囲において、不可避不純物が少量含まれることは許容される。

本発明者は、導電性粒子の被覆層におけるドーパント元素の位置と導電性粒子の導電性との関係を鋭意検討した結果、ドーパント元素を被覆層の表面側に偏在させることにより、粒子中のドーパント元素の含有量を低減しても高い導電性が得られることを見出した。特に、アンチモンを被覆層の表面側に偏在させることにより、従来のアンチモン含有酸化スズ粉末の課題であった、導電性と白色性との両立が可能であることを見出した。ドーパント元素が表面側に偏在している状態とは、被覆層の表面側の部位(以下、「表面側部位」ともいう。)に存在するドーパント元素が、芯材側の部位(以下、「芯材側部位」ともいう。)に存在するドーパント元素よりも多いことをいう。表面側部位とは、被覆層をその表面から徐々に溶解させたときに、被覆層全体の質量の5%まで溶解した部位をいう。芯材側部位とは、被覆層全体の質量の5%超から100%まで溶解した部位をいう。具体的には、各部位に含まれるスズ1molに対する、各部位に含まれるドーパント元素のモル数を算出したとき、その値が、芯材側部位よりも表面側部位の方が大きいことをいう。

被覆層全体におけるスズに対するドーパント元素のモル比は、アルカリ溶液に懸濁させて、被覆層を全溶解させた後、ICP発光分光測定器による測定で求めることができる。その他の方法としては導電性粒子の断面を切り出し、この断面をTEM及びEDXを用いて元素分析することによって導電性粒子中のドーパント元素量及びスズの量を求め、このドーパント元素量(mol)を、スズの量(mol)に対する比に換算することにより求めることができる。

表面側部位及び芯材側部位におけるスズ1molに対するドーパント元素のモル数は次の方法で測定する。すなわち、導電性粒子を140℃のオートクレーブ中にてアルカリ溶液に懸濁させて、粒子の表面側から被覆層を徐々に溶解させていく。溶解しにくい場合には、更に温度を高めてもよい。被覆層の溶解率が5%までに溶出したスズ及びドーパント元素のモル数をICP発光分光測定器で測定し、スズの量(mol)に対する比に換算して、この値を表面側部位におけるスズ1molに対するドーパント元素のモル数とする。また、被覆層の溶解率が5%超100%までの間に溶出したスズ及びドーパント元素のモル数をICP発光分光測定器で測定し、スズの量(mol)に対する比に換算して、この値を芯材側部位におけるスズ1molに対するドーパント元素のモル数とする。

導電性粒子の白色性や経済性を一層高いものとする観点から、被覆層を、その厚み方向に沿ってみたとき、ドーパント元素の量が、該被覆層の表面側から芯材側に向けて漸減していることが好ましい。「漸減している」とは、ドーパント元素の量が、連続的に変化して減少している場合、及びドーパント元素の量が、不連続にステップ状に変化して減少している場合の双方を包含する。

ドーパント元素は、表面側部位においてスズ1molに対し0.01mol以上0.7mol以下含まれていることが好ましく、0.02mol以上0.6mol以下含まれていることが更に好ましい。一方、芯材側部位においては、表面側部位よりも少ないことを条件として、スズ1molに対し0.005mol以上0.4mol以下含まれていることが好ましく、0.01mol以上0.3mol以下含まれていることが更に好ましい。このような割合でドーパント元素が含まれていることによって、粒子中のドーパント元素の含有量を低減しても一層高い導電性が得られる。

表面側部位及び芯材側部位の双方を含めた被覆層全体では、ドーパント元素は、スズ1molに対し0.01mol以上0.60mol以下含まれていることが好ましい。0.01mol以上であることは、導電性粒子の導電性を高める観点から好ましい。0.60mol以下であることは、導電性粒子の経済性を高める観点から好ましい。これらの観点から、ドーパント元素は、スズ1molに対して0.01mol以上0.50mol以下含まれていることが更に好ましい。導電性粒子中のドーパント元素量は、先に述べたとおり、導電性粒子の被覆層をアルカリで溶解させて得られる溶液についてICP発光分光測定器で測定することによって求めることができる。導電性粒子の導電性及び経済性等を両立させる観点から、導電性粒子中のドーパント元素の割合は、0.5質量%以上10質量%以下、特に0.5質量%以上7.0質量%以下であることが好ましい。

本発明の導電性粒子は、BET比表面積が15m2/g以上50m2/g以下であることが好ましい。BET比表面積がこの範囲である導電性粒子は、粒径が小さく樹脂への充填性がよく、また樹脂への分散性もよいため、この粒子を用いて形成した導電膜の導電性が高くなる。また粒径の小さな導電性粒子は、光との相互作用が小さいため、これを用いて形成した導電膜の青みを低減しやすい。これらの観点から、導電性粒子のBET比表面積は20m2/g以上45m2/g以下であることが更に好ましい。導電性粒子のBET比表面積は例えば、ユアサアイオニクス社製モノソープを用いて測定することができる。

本発明の導電性粒子は粒子そのものの体積抵抗が低いものである。具体的には、本発明の導電性粒子の体積抵抗は25℃において好ましくは1.0×100Ω・cm以上1.0×103Ω・cm以下であり、更に好ましくは1.0×100Ω・cm以上1.0×102Ω・cm以下である。体積抵抗は、例えば次の方法で測定する。5gの試料を油圧ジャッキによって500kgf/cm2の圧で0.5分間プレスして直径25mmのペレットを作製する。得られたペレットの抵抗値を、ダイヤインスツルメンツ製のPD−1(商品名)を用い、四端針法により測定する。

本発明の導電性粒子は、従来のアンチモンドープ酸化スズに比べて、色相が改善されたものである。具体的には、導電性粒子は、L*a*b*系表色系色座標におけるL値が70以上、特に75以上であることが好ましい。a値は−5.5以上−3.0以下、特に−5.0以上−3.5以下であることが好ましい。b値は−9.0以上0以下、特に−8.0以上−1.0以下であることが好ましい。上記のL値、a値及びb値は、例えば、日本電色工業(株)製の分光色差計SE600を用いて測定することができる。

本発明の導電性粒子は、粒子の体積抵抗だけでなく、該導電性粒子を含む塗工液を用いて成膜された導電膜の表面抵抗も低いものである。この表面抵抗は好ましくは1.0×107Ω/□以下であり、更に好ましくは1.0×104Ω/□以上1.0×106Ω/□以下である。表面抵抗の測定に供される導電膜は以下の方法で成膜される。容積50mLのプラスチック製容器を用意し、その中に導電性粒子7.41gを入れる。次に、この容器内にトルエンとn−ブタノールとの混合溶媒を9.64g入れる。トルエンとn−ブタノールとの容積比は7:3とする。更に、この容器内に三菱レイヨン製のアクリル系コーティング樹脂であるダイヤナールLR−167を6.41g入れる。LR−167は樹脂成分が約46質量%であり、残部がトルエンとn−ブタノールとの混合溶媒である。トルエンとn−ブタノールとの容積比は7:3である。次いでペイントシェーカー(浅田鉄鋼製)を用い、1時間分散を行う。ペイントシェーカーの運転条件は、60Hz環境下の標準運転条件とする。分散によって得られた塗工液を、ポリエチレンテレフタレート製のOHPフィルム(株式会社内田洋行製のトランスペアレンシー OHP用フィルム)に塗工する。塗工にはバーコーター#10( テスター産業株式会社製のROD No.10)を用い、使用液量約1mLで塗膜を形成する。塗膜形成後、大気下に80℃で15分間にわたり乾燥を行い、導電膜を得る。

このようにして得られた導電膜の表面抵抗は、三菱アナリテック製のハイレスタを用いて測定される。測定にはUPプローブを用いる。測定電圧は10Vとする。

本発明の導電性粒子は、これを含む塗工液を用いて成膜された導電膜のヘイズが低いことが好ましい。具体的には、導電膜のヘイズは20%以下であることが好ましく、17%以下であることが更に好ましい。ヘイズの測定に供される導電膜は前記の方法で成膜される。導電膜のヘイズは例えば、以下の方法で測定することができる。 日本電色工業(株)製のヘイズメータであるMODEL 1001DP(商品名)によって測定する。測定はJIS K7105に準拠し、積分球式測定法により行う。ヘイズは(散乱光/全光線透過光)×100から算出される。

次に、本発明の導電性粒子の好ましい製造方法について説明する。 本製造方法は、スズ源を含有し、かつ芯材を分散させたスラリーを中和することによって、該芯材の表面にスズ化合物を被覆させる第1工程と、 第1工程後のスラリーにスズ源が存在する状態で、ドーパント元素源を添加するとともに該スラリーを中和することによって、前記のスズ化合物上に、ドーパント元素を含むスズ化合物を被覆させる第2工程と、第2工程で得られた粒子を焼成する第3工程と、を有する。

通常、第1工程では、芯材を媒体に分散させることによってスラリーを調製した後、このスラリーを、スズ源の存在する状態で中和する。第1工程では、スラリーにドーパント元素源を添加しない。

芯材としては、先に説明したものを用いることができる。また、媒体としては、芯材の種類や、第1工程及び第2工程の中和反応の条件等に応じて適切な液体が選択される。一般的には水が用いられる。

スズ源を添加前のスラリーにおいて、媒体と芯材との配合比率は、媒体1リットルに対して芯材が50g以上240g以下、特に60g以上200g以下であることが好ましい。両者の配合比率がこの範囲内にあると、芯材の表面にスズ化合物の均一な被覆層が容易に形成されるからである。

スズ源は、芯材を被覆するスズ化合物の層を形成するために用いられる。スズ化合物としては、水酸化スズや酸化スズ水和物等が挙げられる。スズ源としては、芯材の表面にこのようなスズ化合物の層を形成し得るものが用いられる。スズ源は水溶性化合物であることが好ましい。そのようなスズ源としては、水への溶解が容易な化合物であるスズ酸ナトリウム及び四塩化スズ等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。

第1工程のスラリーにおける芯材とスズ源との配合比率は、芯材100質量部に対するスズ源中のSn量が10質量部以上90質量部以下、特に15質量部以上85質量部以下であることが好ましい。両者の配合比率がこの範囲内にあると、芯材の表面にスズ化合物の均一な層を形成しやすい。

スラリーの中和には通常、酸又はアルカリを用いる。酸としては、例えば硫酸、硝酸、酢酸などの水溶液が用いられる。硫酸を用いる場合、希硫酸、特に濃度が10容量%以上50容量%以下の希硫酸を用いると、スズ化合物の均一な層が得られやすいため好ましい。アルカリとしては、例えば水酸化ナトリウム水溶液やアンモニア水などが用いられる。スラリーの中和において、スラリーへのスズ源の添加と酸又はアルカリの添加とは、どちらが先でもよく、同時でもよい。

中和を行う際のスラリーのpHは、好ましくは0.5以上6.0以下、更に好ましくは1.5以上4.0以下とする。中和の際のpHをこの範囲内とすることにより、芯材の表面にスズ化合物の層を容易に形成することができる。

第1工程では、特に、スズ源を添加した後のスラリーに酸を添加することによって中和を行う場合、酸の添加に先立ちアルカリを用いてスラリーのpHを9以上13以下、特に10以上12以下に上げておいてもよい。このようにすると、芯材上に酸化スズ均一に析出しやすくなり、均一なコート層形成するのでとなるので好ましい。このアルカリとしては、水酸化ナトリウム水溶液や炭酸ナトリウム、アンモニアなどを用いることができる。

第1工程では、スラリーの中和を行った後、液の攪拌を継続させてエージングを行うことが好ましい。熟成は30分以上180分以下、特に60分以上120分以下行うことが好ましい。熟成は、一般に70℃以上80℃以下で行うことができる。熟成によって芯材表面に均一にスズ化合物が形成されやすくなる。このスズ化合物は、ドーパント元素を含有していない。以上の第1工程によって、芯材表面がスズ化合物で被覆される。

続いて第2工程を行う。第2工程では、第1工程後のスラリーにスズ源が存在する状態でドーパント元素源を添加するとともに該スラリーを中和する。第2工程で用いるスズ源としては、第1工程で用いるスズ源として挙げたものと同様のものを用いることができる。第1工程と第2工程とでは、用いるスズ源の種類が異なっていてもよいし、同じであってもよい。通常、中和完了後の第1工程後の液中にはスズ源はほとんど存在していないので、第2工程で用いるスズ源は、第1工程後のスラリーに新たに添加することが好ましい。しかし、第1工程後の液中に未反応のスズ源が残存している場合等、スズ源を新たに添加しなくてもよい場合もある。第2工程で用いるスズ源を、第1工程後のスラリーに新たに添加する場合、このスズ源とドーパント源とは、第1工程後のスラリーに同時に添加してもよいし、添加の時期を前後にずらしてもよい。また、第2工程で添加するスズ源中のスズ量は、第1工程で添加したスズ源のスズ1molに対して0.01mol以上0.35mol以下であることが好ましく、0.02mol以上0.30mol以下であることが更に好ましい。この範囲であると、本発明の効果を有する導電性粒子を容易に得ることができる。

ドーパント元素源としては、先に述べたドーパント元素の酸化物、ハロゲン化物、水酸化物、水溶性塩等を用いることができる。具体的には、アンチモン源としては、例えば亜アンチモン酸、亜アンチモン酸カリウム、亜アンチモン酸ナトリウム、酸化アンチモン、三塩化アンチモン、三臭化アンチモン、酢酸アンチモン、フッ化アンチモン、アンチモン酸ナトリウム等を用いることができる。ニオブ源としては、例えばニオブ酸カリウム、ニオブ酸ナトリウム、五塩化ニオブ、ヘプタフルオロニオブ酸及びその塩、フッ化ニオブ等を用いることができる。タンタル源としては、例えばタンタル酸カリウム、タンタル酸ナトリウム、五塩化タンタル、ヘプタフルオロタンタル酸及びその塩、フッ化タンタル等を用いることができる。タングステン源としては、例えばタングステン酸アンモニウム、タングステン酸カリウム、タングステン酸ナトリウム、メタタングステン酸アンモニウム、メタタングステン酸カリウム、メタタングステン酸ナトリウム、パラタングステン酸アンモニウム、パラタングステン酸カリウム、パラタングステン酸ナトリウム、オキシ塩化タングステン等を用いることができる。リン源としては、例えば例えばオルトリン酸、メタリン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、亜リン酸、次亜リン酸及びこれらのアンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩等を用いることができる。フッ素源としてはフッ化スズ(II)フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ酸等を用いることができる。塩素源としては、塩化スズ(II)、塩化スズ(IV)、塩化ナトリウム、塩化カリウムを用いることができる。ビスマス源としては、炭酸二酸化二ビスマス、塩化ビスマス、硝酸ビスマス、硫酸ビスマス等を用いることができる。ドーパント元素源は、2種以上を組み合わせて用いることができる。ドーパント元素源の具体的な種類は、第2工程の中和の条件等に基づいて適宜選択される。また、ドーパント元素源の添加量は、第1及び第2の両工程のスズ源の合計スズ量1molに対して0.01mol以上0.60mol以下であることが好ましく、0.01mol以上0.50mol以下であることが更に好ましい。この範囲であると、本発明の効果を有する導電性粒子を容易に得ることができる。

第2工程での中和には、酸又はアルカリを用いることができる。酸及びアルカリとしては、第1工程の中和で用いるものと同様のものを挙げることができる。第1工程後のスラリーに酸又はアルカリを添加して中和を行う場合、酸又はアルカリの添加と、ドーパント元素源の添加又はドーパント元素源及びスズ源の添加とは、いずれか一方を先に行ってもよいし、同時に行ってもよい。

中和を行う際のスラリーのpHは、好ましくは0.5以上6.0以下、更に好ましくは1.5以上4.0以下とする。中和の際のpHをこの範囲内とすることにより、第1工程で形成したスズ化合物の上に、ドーパント元素を含むスズ化合物を容易に形成することができる。このスズ化合物としては、第1工程で生成されるスズ化合物と同じものを挙げることができる。

第2工程においてスラリーの中和を行った後、液の攪拌を継続させてエージングを行うことが好ましい。熟成は30分以上180分以下、特に60分以上120分以下行うことが好ましい。熟成によってドーパント元素を含むスズ化合物の均一な層が形成されやすくなる。熟成は、一般に70℃以上80℃以下で行うことができる。

以上の第2工程によって、芯材表面を被覆したスズ化合物の上に、更にドーパント元素を含むスズ化合物を被覆させた粒子を得ることができる。

第2工程で生成した粒子は、反応系から分離され、好ましくは洗浄及び乾燥工程を経て、第3工程である焼成工程に付される。それによって酸化スズで被覆された導電性粒子が得られる。また、熱によってドーパント元素を被覆層の厚み方向にわたって拡散させ、該ドーパント元素を偏在させる。ドーパント元素は、熱拡散によって、被覆層の上面側から下面側(すなわち芯材側)に向けて拡散し、その結果、上面側から下面側に向けて存在濃度が漸次減少するような存在分布となる。その後、必要に応じて解砕工程に付され、所望の粒径に調整される。

焼成工程は、大気等の酸化性雰囲気中で行うこともできるが、非酸化性雰囲気中で行うことが好ましい。非酸化性雰囲気としては、例えば窒素雰囲気やアルゴン雰囲気などの非酸化性かつ非還元性雰囲気、少量の水素を含有した窒素雰囲気等の弱還元性雰囲気等が挙げられる。これらのうち、弱還元性雰囲気を用いると、酸化スズ中に酸素欠損が適度に形成されるので好ましい。弱還元性雰囲気として水素を含有した窒素雰囲気を用いる場合、水素の含有量は、好ましくは0.1体積%以上10体積%以下、更に好ましくは1体積%以上3体積%以下である。水素の含有量がこの範囲内にあると、スズを金属に還元させることなく、適度な量の酸素欠損を有する導電性の酸化スズの被覆層を形成しやすい。

焼成温度は、焼成雰囲気によらず、好ましくは400℃以上900℃以下、更に好ましくは500℃以上800℃以下である。焼成時間は、好ましくは20分以上120分以下、更に好ましくは40分以上100分以下である。焼成温度及び時間がこれらの範囲内にあると、焼成によって得られる導電性粒子が凝集を起こし難いからである。

このようにして得られた導電性粒子は、これを含む導電性組成物の状態で好適に用いられる。例えば導電性粒子をビヒクル及びガラスフリット等と混合して導電ペーストとなすことができる。あるいは、導電性粒子を有機溶媒等と混合してインクとなすことができる。このようにして得られた導電ペーストやインクを適用対象物の表面に施すことで、所望のパターンを有する導電性膜を得ることができる。

以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。特に断らない限り、「%」は「質量%」を意味する。

〔実施例1〕 (1)導電性粒子の製造 芯材である酸化チタン粒子(BET比表面積15m2/g)150gを、水1000mlに分散させ、75℃まで加熱してスラリーを得た。このスラリーに、10%水酸化ナトリウム水溶液を滴下してスラリーのpHを12程度に調整した。別にスズ酸ナトリウム三水和物(Na2SnO3・3H2O、品位91%)150gを水300mlに溶解したスズ水溶液を用意した。スズ水溶液をスラリーに30分かけて添加した後30分間攪拌した。次いで10%硫酸水溶液を120分かけて滴下してスラリーのpHを2.5とした。このスラリーをpH2.5、75℃に維持しながら60分かけて攪拌して熟成した。 以上の操作とは別に、水300mlに四塩化スズ五水和物(SnCl4・5H2O、品位98%)50gと三塩化アンチモン(SbCl3、品位98%)5gとを溶解させたアンチモン−スズ混合水溶液を用意した。この混合水溶液を熟成後のスラリーに、pHを2.5に維持しながら60分かけて添加した。次いで、スラリーをpH2.5、75℃に維持しながら60分かけて攪拌して熟成した。その後、スラリーをろ過し、固形分を水で洗浄した後、12時間、85℃で乾燥した。得られた乾燥物を、横型チューブ炉中で、2体積%H2/N2雰囲気下で500℃、2時間還元焼成して導電性粒子を得た。なお、芯材のBET比表面積は、上述の方法によって測定した(以下、実施例2ないし8及び比較例1で用いた芯材についても同様である。)。

〔実施例2ないし4及び比較例1〕 芯材の種類(材質又はBET比表面積)、スズ酸ナトリウム三水和物添加量、四塩化スズ五水和物添加量又は三塩化アンチモン添加量について、以下の表1記載のとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして、導電性粒子を製造した。

〔実施例5ないし8〕 芯材の種類(材質又はBET比表面積)、スズ酸ナトリウム三水和物添加量、四塩化スズ五水和物添加量、ドーパント元素の種類又はドーパント元素の添加量を、以下の表1に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして導電性粒子を製造した。なお、使用したドーパントのうち、五塩化ニオブの品位は95%、五塩化タンタルの品位は97%、オルトリン酸の品位は85%、フッ化カリウムの品位は100%であった。

〔評価〕 実施例及び比較例で得られた導電性粒子について、上述したICP発光分光測定器を用いた方法で、被覆層にドープされているアンチモン(Sb)等のドーパント元素の、スズ1molに対するモル数を測定した。 更に、導電性粒子のBET比表面積(m2/g)、体積抵抗(Ω・cm)、L値、a値、b値を、上述した方法で測定した。また、得られた導電性粒子から上述した方法で導電膜を形成し、この導電膜について表面抵抗(Ω/□)を、上述した方法で測定した。それらの結果を以下の表2に示す。

表2に示す結果から明らかなとおり、実施例1ないし8の導電性粒子は、ドーパント元素が、被覆層における粒子表面側に偏在していることが判る。これに対し、比較例1の導電性粒子では、ドーパント元素が偏在していない。例えば、実施例1の導電性粒子と比較例1の導電性粒子とはドーパント元素であるアンチモン含有量が同程度に少ないが、前者は後者に比して、体積抵抗が低く、また塗膜にした場合の表面抵抗の値も低いことが判る。更に実施例3の導電性粒子と比較例2の導電性粒子とはドーパント元素であるアンチモン含有量が同程度であるが、前者は後者に比して、粒子のL値、a値及びb値がいずれも高く色相に優れ、体積抵抗値が低いことが判る。また、表には示していないが、各実施例で得られた導電性粒子においては、ドーパント元素の量が、粒子の表面側から芯材側に向けて連続的に減少していた。

本発明の導電性粒子は、ドーパント元素の含有量を低減しても高い導電性を有するので、経済性に優れている。特に、本発明の導電性粒子がドーパント元素としてアンチモンを含む場合、従来のアンチモン含有酸化スズ粉末に比べて、白色性の向上したものとなる。

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