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Nanoparticles and methods for their preparation with a rutile-like crystalline phase

申请号 JP2003547308 申请日 2002-09-16 公开(公告)号 JP2005510438A 公开(公告)日 2005-04-21
申请人 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー; 发明人 エス. アーニー,デイビッド; ジェイ.ザ フォース スタディナー,チャールズ; エー. ヒギンス,ジェイムズ; ダブリュ. ファーガソン,ロバート; ティー. ブラディー,ジョン;
摘要 チタンおよびアンチモンの混合 酸化 物を含み、ルチル様結晶相を特徴とする、ナノメータサイズの粒子。 この粒子は 水 熱処理によって容易に調製され、これをコロイドとしても、また、様々な組成物および物品中で使用してもよい。
权利要求
  • 水性コロイド分散液形態にある複数のTi/Sb混合酸化物ナノ粒子を含む組成物であって、前記Ti/Sb混合酸化物ナノ粒子がルチル様結晶相を含む、組成物。
  • ナノ粒子凝集体を含む組成物であって、前記ナノ粒子凝集体が、ルチル様結晶相を含むTi/Sb混合酸化物ナノ粒子を含む、組成物。
  • 前記ナノ粒子凝集体が、液体ビヒクル中に再分散可能である、請求項2に記載の組成物。
  • 有機バインダー前駆体中に均一に分散した複数のナノ粒子を含むナノ複合体前駆体であって、前記ナノ粒子が、ルチル様結晶相を含むTi/Sb混合酸化物ナノ粒子を含む、ナノ複合体前駆体。
  • 前記バインダー前駆体が、重合性材料を含む、請求項4に記載のナノ複合体前駆体。
  • 前記重合性材料が、アクリル酸モノマーまたはオリゴマーを含む、請求項5に記載のナノ複合体前駆体。
  • 前記バインダー前駆体が、光開始剤または光触媒をさらに含む、請求項6に記載のナノ複合体前駆体。
  • 有機バインダー中に分散した複数のナノ粒子を含むナノ複合体であって、前記ナノ粒子が、ルチル様結晶相を含むTi/Sb混合酸化物ナノ粒子を含む、ナノ複合体。
  • 前記バインダーが、アクリル酸エステルモノマーの重合体を含む、請求項8に記載のナノ複合体。
  • 前記バインダーが、光開始剤または光触媒をさらに含む、請求項8に記載のナノ複合体。
  • ナノ粒子のサイズの集合平均が100ナノメータ未満である、請求項1に記載の組成物、請求項2に記載の組成物、請求項4に記載のナノ複合体前駆体、または請求項8に記載のナノ複合体。
  • ナノ粒子のサイズの集合平均が40ナノメータ未満である、請求項1に記載の組成物、請求項2に記載の組成物、請求項4に記載のナノ複合体前駆体、または請求項8に記載のナノ複合体。
  • 前記ナノ粒子中のチタン対アンチモンの質量比が、0.14〜11.30の範囲内にある、請求項1に記載の組成物、請求項2に記載の組成物、請求項4に記載のナノ複合体前駆体、または請求項8に記載のナノ複合体。
  • 前記ナノ粒子中のチタン対アンチモンの質量比が、0.22〜5.02の範囲内にある、請求項1に記載の組成物、請求項2に記載の組成物、請求項4に記載のナノ複合体前駆体、または請求項8に記載のナノ複合体。
  • 前記ナノ粒子中のチタン対アンチモンの質量比が、0.42〜2.93の範囲内にある、請求項1に記載の組成物、請求項2に記載の組成物、請求項4に記載のナノ複合体前駆体、または請求項8に記載のナノ複合体。
  • Ti/Sb混合酸化物ナノ粒子のルチル様結晶相含有率の集合平均が、少なくとも20質量%である、請求項1に記載の組成物、請求項2に記載の組成物、請求項4に記載のナノ複合体前駆体、または請求項8に記載のナノ複合体。
  • Ti/Sb混合酸化物ナノ粒子のルチル様結晶相含有率の集合平均が、少なくとも40質量%である、請求項1に記載の組成物、請求項2に記載の組成物、請求項4に記載のナノ複合体前駆体、または請求項8に記載のナノ複合体。
  • Ti/Sb混合酸化物ナノ粒子のルチル様結晶相含有率の集合平均が、少なくとも60質量%である、請求項1に記載の組成物、請求項2に記載の組成物、請求項4に記載のナノ複合体前駆体、または請求項8に記載のナノ複合体。
  • Ti/Sb混合酸化物ナノ粒子のルチル様結晶相含有率の集合平均が、少なくとも80質量%である、請求項1に記載の組成物、請求項2に記載の組成物、請求項4に記載のナノ複合体前駆体、または請求項8に記載のナノ複合体。
  • ルチル様の結晶子のサイズの集合平均が、20ナノメータ未満である、請求項1に記載の組成物、請求項2に記載の組成物、請求項4に記載のナノ複合体前駆体、または請求項8に記載のナノ複合体。
  • ルチル様の結晶子のサイズの集合平均が、15ナノメータ未満である、請求項1に記載の組成物、請求項2に記載の組成物、請求項4に記載のナノ複合体前駆体、または請求項8に記載のナノ複合体。
  • 前記ナノ粒子が、前記ナノ粒子表面に結合した少なくとも1種の有機部分を有する、請求項1に記載の組成物、請求項2に記載の組成物、請求項4に記載のナノ複合体前駆体、または請求項8に記載のナノ複合体。
  • Ti/Sb混合酸化物ナノ粒子の水性コロイド分散液を調製するための方法であって、
    a)水性チタニア前駆体を準備するステップと、
    b)水性酸化アンチモン前駆体を準備するステップと、
    c)両方の水性前駆体を混合しながら一体化させるステップと、
    d)前記混合物を水熱処理するステップと、
    を含み、チタン対アンチモンの質量比が0.14〜11.3の範囲内にある、方法。
  • 前記水性チタニア前駆体が、過酸化水素とチタンアルコキシドとの反応生成物である、請求項23に記載の方法。
  • 前記チタンアルコキシドが、チタンテトライソプロポキシドである、請求項24に記載の方法。
  • 前記水性酸化アンチモン前駆体が、HSb(OH) 6コロイドである、請求項23に記載の方法。
  • 前記ナノ粒子の表面を改質するステップをさらに含む、請求項23に記載の方法。
  • 前記混合物のpHが5〜8の間にある、請求項23に記載の方法。
  • 前記水熱処理された混合物を遠心分離するステップをさらに含む、請求項23に記載の方法。
  • 水熱処理が、撹拌式円筒型反応器に前記混合物を通過させることを含む、請求項23に記載の方法。
  • 前記水熱処理された混合物を遠心分離するステップをさらに含む、請求項30に記載の方法。
  • 说明书全文

    本発明は、チタンおよびアンチモンの酸化物を含むナノメータサイズの粒子に関し、詳細には、このような粒子ならびにそれを含む組成物および物品を作製する方法に関する。

    ナノ複合材料、即ち有機バインダー中に無機ナノ粒子が均一に分散している材料は、透明保護被膜として様々な用途に利用されている。 この種の材料は、無機ナノ粒子を中に分散させていない同様の有機バインダーに比べて耐磨耗性および/または光学特性(例えば屈折率)が向上した被膜となる可能性がある。

    ナノ複合材料として様々な無機ナノ粒子(例えばチタニア、即ち二酸化チタンのナノ粒子)を含有するものが示されている。 チタニアには少なくとも3種の結晶形、即ちアナターゼ、ブルッカイト、およびルチルが存在する。 これらのなかで密度、硬度、および屈折率が最も高いのがルチル型である。

    二酸化チタンゾル、特にルチル結晶相を有する二酸化チタンゾルを調製する際の主な問題点としては、処理に長時間を要すること、安定化用としてさらなる対イオン(例えば塩化物、硝酸等)を使用する必要があり、有機保護膜等の用途に使用する場合はその前にこれを入念に除去しなければならないこと、pH値が極端なこと、および/または安定性に限界があること、が挙げられるであろう。

    チタニアのルチル型に少なくとも匹敵する特性を有するチタン含有無機粒子の安定なコロイド分散液を迅速かつ簡単に調製する方法があれば望ましいであろう。 この種の粒子を有機バインダー中に均一に混ぜ合わせることによって高屈折率および耐磨耗性を有する被膜を得ることも望ましいであろう。

    一態様において、本発明は、ルチル様結晶相を含む複数のTi/Sb混合酸化物ナノ粒子を性コロイド分散液の形態で含む組成物を提供する。

    幾つかの実施態様において、このナノ粒子は、ナノ粒子表面に結合した少なくとも1種の有機部分を有する。

    別の態様において、本発明は、Ti/Sb混合酸化物ナノ粒子の水性コロイド分散液を調製するための方法であって、
    a)水性チタニア前駆体を準備するステップと、
    b)水性酸化アンチモン前駆体を準備するステップと、
    c)両方の水性前駆体を混合しながら一体化させるステップと、
    d)この混合物を水熱処理するステップと、
    を含み、チタン対アンチモンの質量比が0.14〜11.3の範囲内にある、方法を提供する。

    幾つかの実施態様において、この方法は、ナノ粒子表面を改質するステップをさらに含む。

    本発明により調製されるコロイド分散液は、典型的には非常に安定である。

    別の態様においては、本発明は、ルチル様結晶相を含むTi/Sb混合酸化物ナノ粒子を含む、ナノ粒子の凝集体を含む組成物を提供する。

    幾つかの実施態様においては、このナノ粒子凝集体は、液体ビヒクル中に再分散させることが可能である。

    別の態様においては、本発明は、有機バインダー前駆体中に均一に分散した複数のナノ粒子を含むナノ複合体前駆体であって、このナノ粒子がルチル様結晶相を含むTi/Sb混合酸化物ナノ粒子を含む、ナノ複合体前駆体を提供する。

    別の態様においては、本発明は、有機バインダー中に分散した複数のナノ粒子を含むナノ複合体であって、このナノ粒子がルチル様結晶相を含むTi/Sb混合酸化物ナノ粒子を含む、ナノ複合体を提供する。

    幾つかの実施態様においては、このナノ粒子は、ナノ粒子表面に結合した少なくとも1種の有機部分を有する。

    幾つかの実施態様においては、本発明によるナノ複合体は基材に支持されていてもよい。

    本発明によるナノ複合体は保護被膜として使用するのに適しており、高屈折率を有する場合もある。

    本明細書においては以下の定義を適用する。
    「水性チタニア前駆体」とは、加熱、蒸発、析出、pH調整、およびこれらの組合せのうちの1つまたはそれ以上によってチタニアに変化する可能性がある水性チタン含有組成物を指し、
    「水性酸化アンチモン前駆体」とは、加熱、蒸発、析出、pH調整、およびこれらの組合せのうちの1つまたはそれ以上によって酸化アンチモンに変化する可能性がある水性アンチモン含有組成物を指し、
    「水熱処理」とは、閉じた容器内において水性媒体中で水の通常沸点を超える温度に加熱することを意味し、
    「ナノ粒子」は、最大粒径が500nm未満の粒子を意味し、
    「ルチル様」とは、空間群がP4 2 /mnm(136番)の正方晶系の結晶構造を有することを意味し、
    「有機部分」とは、有機基、イオン、または分子を意味し、かつ 「混合酸化物」とは、酸化チタンおよび酸化アンチモンの均一な混合物を意味する。

    様々な態様において、本発明は、少なくとも一部にルチル様結晶相を有するチタンとアンチモンとの混合酸化物(以下Ti/Sb混合酸化物と省略する)を含むナノ粒子に関する。

    本発明のナノ粒子はTi/Sb混合酸化物を含む。 ナノ粒子中のチタン対アンチモンの質量比は、典型的には0.14〜11.30の範囲内、望ましくは0.22〜5.02の範囲内、より望ましくは0.42〜2.93の範囲内にある。

    望ましくは、本発明によるTi/Sb混合酸化物ナノ粒子はルチル様結晶相を含む。 このルチル様結晶相は、個々のTi/Sb混合酸化物ナノ粒子中において他の結晶相と共存していてもよい。 個々のナノ粒子はルチル様結晶相を100質量%まで含んでもよい。 通常、Ti/Sb混合酸化物ナノ粒子の集合には(即ち全Ti/Sb混合酸化物ナノ粒子を全体で見ると)、様々なサイズ、元素組成、および結晶相を有するナノ粒子が含まれるであろう。 本明細書において使用する、ある要素の「集合平均」という用語は、対象とする集合全体にわたるその要素の平均値を指す。 つまりこの用語はバルクの性状に言及するものであって、必ずしもその集合の個々の構成要素の夫々がその性状を持つことを表しているとは限らない。

    望ましくは、Ti/Sb混合酸化物ナノ粒子のルチル様結晶相含有率の集合平均は、Ti/Sbの総質量を基準として少なくとも20質量%、より望ましくは少なくとも40質量%、より望ましくは少なくとも60質量%、よりさらに望ましくは少なくとも80質量%である。

    一部の用途においては、実質的にすべてのTi/Sb混合酸化物ナノ粒子がルチル様結晶相を含むことが望ましいであろう。

    望ましくは、本発明のTi/Sb混合酸化物ナノ粒子をX線回折分析(即ち以下に説明するXRD)で測定した場合、アナターゼと比較したルチル様結晶相の相対強度の集合平均が1:10を超える。 さらに、XRDにより観測されたルチル様相の最も強い回折の極大値を相対強度100%と定めると、アナターゼまたは酸化アンチモンの極大値の相対強度がすべて1%未満となることが望ましい場合もあり、より望ましくはその相対強度は0.1%未満である。

    Ti/Sb混合酸化物ナノ粒子は典型的にはさらなる金属元素を含まないが、一部の特定の用途にはさらなる元素(ケイ素を含む)を添加することが望ましい場合もある。 さらなる金属元素が存在する場合、その量は、望ましくは、Ti/Sb混合酸化物ナノ粒子の集合平均中に存在するチタン1モル当たり0.1モル未満である。 さらなる金属元素として例えば希土類元素が挙げられる。

    本発明のTi/Sb混合酸化物ナノ粒子の粒度の集合平均は、典型的には500nm未満、より望ましくは100nm未満、よりさらに望ましくは(特にナノ粒子を透明被膜中に混ぜ合わせる場合は)40nm未満である。

    幾つかの実施態様においては、Ti/Sb混合酸化物ナノ粒子を、元素組成の異なるさらなるナノ粒子(例えば、シリカ、ジルコニア、アルミナ、チタニア、五酸化アンチモン)と組み合せてもよい。 この種のさらなるナノ粒子が存在する場合、その平均粒度は望ましくはTi/Sb混合酸化物ナノ粒子と同程度である。 このようなナノ粒子は、例えばイリノイ州ナパビルのナルコ・ケミカル・カンパニー(Nalco Chemical Co.(Naperville,IL))またはマサチューセッツ州アシュランドのニャコール・ナノ・テクノロジーズ・インコーポレーテッド(Nyacol Nano Technologies,Inc.(Ashland,MA))より市販されているものを入手してもよい。 さらなるナノ粒子の例が米国特許第5,037,579号および同第6,261,700号明細書にも記載されている。

    本発明の幾つかの実施態様においては、組成物の所望の特性を妨げると思われる程度の粒子凝集または凝固がコロイドおよびナノ複合体中で起こらないようにナノ粒子を選択する。 望ましくは、会合していない(即ち凝集も凝固もしていない)粒子が個々に組成物中に分散している。 このような実施態様においては、望ましくは粒子は互いに不可逆的に会合(例えば共有結合および/または水素結合によって)することがない。

    薄膜の調製等の他の実施態様において特に分散媒(例えば液体ビヒクルまたはバインダー)なしで使用する場合は、ナノ粒子が不可逆的に凝集することが望ましい場合もある。

    本発明のコロイド分散液中におけるナノ粒子の存在量は、30%までであるかまたはそれ以上であってもよい。 この量はナノ粒子の密度および表面の性質によって変わってくるであろう。 望ましくは、ナノ粒子の存在量は、コロイド分散液の1〜25質量%、より望ましくは10〜20質量%である。

    本発明のコロイド分散液のpHは用途に応じた任意の値としてもよいが、典型的には4〜9、望ましくは5〜8の範囲である。

    本発明のコロイド分散液は、典型的には、水性ビヒクル中にナノ粒子を分散させたものとして調製される。 この水性ビヒクルは、通常は主成分となる水を含み、有機溶媒(特にチタニアまたは酸化アンチモンの前駆体中に存在してもよい溶媒)を含んでもよい。 溶媒の添加は水熱処理の前に行ってもよいが、より望ましくはその後に行う。 有機溶媒として例えば、4〜12個の炭素原子を有するアルコール類、エーテル類、および/またはケトン類が挙げられる。 1−メトキシ−2−プロパノールはこのような望ましい溶媒の1つである。

    本発明に使用する溶媒の選択(存在する場合)は、それを添加する可能性のある段階に応じて、その揮発性、ならびに水性チタニア前駆体、水性酸化アンチモン前駆体、バインダー前駆体、および/またはバインダーとの相溶性に基づいて行う。

    本発明によるナノ粒子をバインダー中に混ぜ合わせることによってナノ複合体を形成してもよい。 ナノ粒子はバインダー中に直接混ぜ合わせても、バインダー前駆体(後に硬化されてバインダーを形成する)中に混ぜ合わせても、いずれであってもよい。 ナノ複合体中におけるナノ粒子の存在量は、望ましくは、ナノ複合体の総質量を基準として少なくとも30質量%である。

    無機ナノ粒子と有機バインダーとを相溶させるためには、カップリング剤で無機粒子を適切に処理するのが一般的である。

    本発明の実施に使用するナノ粒子は、バインダーまたはバインダー前駆体のいずれかに混ぜ合わせる前に表面改質を施しておくのが通常であるが、これは表面改質剤を粒子表面に結合させることによって達成してもよい。 粒子表面に結合される表面改質剤が粒子表面の性質を改質することによって得られる様々な性質として、例えば、粒子と組成物の構成成分との相溶性の向上、粒子の組成物中への分散(単離またはコロイド形態のいずれかから)の促進、および組成物の光学的透明性の向上、ならびにこれらの組合せが挙げられる。 また、組成物中の他の構成成分と会合することのできる表面基を粒子に含有させるような表面改質を行うこともできる。 こうした組成物を重合すると、例えばこの表面基は組成物の少なくとも1種の構成成分と会合することによってポリマー網の一部となることができる。 好ましくは、この表面基は、第1モノマー、第2モノマー、またはこれらの組合せと会合することができるものである。 好ましくは、所望の分散、透明性、接着性、およびレオロジー特性を有する組成物を供することのできる表面基の組合せが粒子に含有されるように表面改質を行う。

    図式的には表面改質剤は式A−Bで表すことができる。 式中、A基は粒子表面に結合することができるものであり、B基は当該組成物の構成成分と反応してもしなくてもよい相溶化基である。 粒子に極性を付与する相溶化基Bとしては例えばポリエーテル類が挙げられる。 粒子に非極性を付与する相溶化基Bとしては例えば炭化水素が挙げられる。

    好適な表面改質剤の典型的なものとして、例えば、カルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸、シラン、リン酸エステル、およびこれらの組合せが挙げられる。 有用なカルボン酸としては、例えば、オクタン酸、オレイン酸、およびこれらの組合せを含む長鎖脂肪酸が挙げられる。 カルボン酸官能性を有する極性改質剤の代表的な例として、CH 3 O(CH 2 CH 2 O) 2 CH 2 CO 2 H、2−(2−メトキシエトキシ)酢酸、およびモノ(ポリエチレングリコール)コハク酸エステルが挙げられる。 カルボン酸官能性を有する非極性表面改質剤の代表的な例として、オクタン酸、ドデカン酸、およびオレイン酸が挙げられる。

    有用なシランの例としては、有機シラン、例えば、オクチルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、p−トリルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、およびこれらの組合せが挙げられる。

    当該組成物の有機成分と会合することができる、シラン以外の有用な表面改質剤として、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、ベータ−カルボキシエチルアクリル酸エステル、モノ−2−(メタクリロキシエチル)コハク酸エステル、およびこれらの組合せが挙げられる。 粒子に極性および反応性の両方を付与する有用な表面改質剤は、モノ−(メタクリロキシポリエチレングリコール)コハク酸エステルである。

    ナノ粒子の表面改質には様々な方法を用いることができ、例えば、ナノ粒子(例えば粉末または水性ゾル形態にある)に表面改質剤を添加して表面改質剤をナノ粒子と反応させることが挙げられる。 表面改質剤および/または表面改質された粒子と水性混合物との相溶性(例えば溶解性または混和性)を高めるために当該組成物に共溶媒を添加してもよい。

    表面改質されたナノ粒子を硬化性のバインダー前駆体(これを硬化前に加工してもよい)と均一に混合してもよい。 バインダー前駆体の選択は重要ではなく、周囲条件下で表面改質後のナノ粒子と反応しないものであればよい。 バインダー前駆体として、例えば、ラジカル重合性モノマーおよびオリゴマー(例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アリル化合物、ビニルエーテル、ビニルエステル等)、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、フェノール樹脂、シアン酸エステル、メラミンおよびメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ポリウレタン樹脂、これらの混合物等の重合性材料が挙げられるが、これらに限定されるものではない。 望ましくは、バインダー前駆体は、アクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルを含む。

    硬化を促進することを目的としてバインダー前駆体に触媒または他の硬化剤を含有させてもよい。 こうした触媒および他の硬化剤はバインダー前駆体の性質によって決まってくるであろうが、例えば、過酸化物やアゾ化合物等の熱ラジカル開始剤、光開始剤、光触媒、アミン硬化剤、メルカプタン類等の、硬化技術分野において知られているものが挙げられるであろう。

    バインダー前駆体を硬化させてバインダーを形成するために、熱、化学線(例えば紫外光や電子線放射)等のエネルギーを適用するか、または触媒もしくは硬化剤を添加してもよい。 ラジカル重合性のバインダー前駆体の場合は、望ましくはバインダー前駆体中に光開始剤を存在させて、望ましくは窒素等の不活性雰囲気中でこの混合物にランプから紫外線(ultraviolet actinic radiation)を照射する。 バインダー前駆体の硬化に化学線を使用することによって保護基の選択の柔軟性を高めることができる。

    硬化に化学線のエネルギーを使用する場合、その量は、それに関わる反応体の量および種類、エネルギー源、ウエブ速度、エネルギー源からの距離、硬化される材料の厚み等、多くの要素によって決まる。 大まかな目安として、化学線の場合は必要な総エネルギー照射量が典型的には0.1〜10J/cm 2であり、電子ビーム照射の場合は必要な総エネルギー照射量が典型的には1Mrad未満から100Mrad以上、望ましくは1〜10Mradの範囲内である。 照射時間は1秒未満から10分以上までとしてもよい。

    本発明に好適な、フリーラジカルを発生させる市販の光開始剤として、ニューヨーク州アーズレーのチバ・ガイギー・コーポレーション(Ciba−Geigy Corp.(Ardsley,NY))よりイルガキュア(IRGACURE)およびダロキュア(DAROCUR)の商品名で販売されているものなどの、ベンゾフェノン、ベンゾインエーテル、およびアシルホスフィン光開始剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。 光開始剤の使用量は、典型的には、バインダー前駆体の総質量を基準として0.1〜15質量%の間、望ましくは0.5〜7質量%の間で変化する。

    硬化速度を高める目的で共開始剤およびアミン相乗剤を含有させてもよい。 そのようなものとして、例えば、イソプロピルチオキサントン、4−(ジメチルアミノ)安息香酸エチル、ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、およびメタクリル酸ジメチルアミノエチルエステルが挙げられる。

    表面改質されたナノ粒子対バインダー前駆体の体積比は、1:99から70:30まで、望ましくは5:95から55:45まで、より望ましくは10:90から40:60までの範囲であってもよい。

    透明性が重要な用途の場合は、光散乱の影響を最小限に抑えることを目的として、バインダー前駆体および/またはバインダー中に存在するナノ粒子の粒度を望ましくは小さく(例えば40nm未満に)する。

    バインダーおよびその前駆体には、用途に応じて他の補助剤、例えば、界面活性剤、帯電防止剤(例えば導電性ポリマー)、レベリング剤、熱開始剤、光増感剤、紫外線吸収剤、安定剤、酸化防止剤、填剤、滑剤、顔料、染料、可塑剤、懸濁化剤等を任意的に含有させてよいことも、当業者らに理解されるであろう。

    図1に示すように、複合物品100は、バインダー40中に分散した少なくとも一部にルチル様結晶相を含むTi/Sb混合酸化物ナノ粒子30を含む、基材20に支持されたナノ複合体層10を備えていてもよい。

    基材は実質的に任意の固体材料であってもよい。 このような基材の例として、ガラス(電子ディスプレイを含む)、石英、透明または半透明のセラミックス、木材、金属、塗装された金属等の塗面、ならびに熱硬化性および熱可塑性材料(アクリルポリマー(例えばポリメチルメタクリレート)、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリスチレン、スチレンコポリマー(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー、アクリロニトリル−スチレンコポリマー等)、セルロースエステル(例えば、セルロースアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、およびセルロースアセテート−ブチレートコポリマー)、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン(例えばポリエチレンおよびポリプロピレン)、ポリアミド、ポリイミド、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリフェニレンオキシド、ポリエステル(例えばポリエチレンテレフタレート)等)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。 熱可塑性材料は填料および他の補助剤を含有してもよい。

    望ましくは、基材はガラスまたは熱可塑性ポリマーフィルムである。 この基材は用途に応じて不透明または透明のいずれかとしてもよい。

    ナノ複合体層10は、ナノ粒子30およびバインダー前駆体を含む組成物を基材20上に塗工することと、このバインダー前駆体を硬化させることとによって調製してもよい。 塗工は、バインダー前駆体の特性を化学的にも物理的にも変化させることのない実質的に任意の周知の塗工手段によって行ってもよい。 塗工方法の例として、例えば、スピンコート法、ナイフコート法、ワイヤーコート法、カーテンコート法、パディング法、スプレー法、吸尽法、ディッピング法、ロールコート法、発泡技術等が挙げられる。

    バインダー前駆体およびナノ粒子の混合物の層の塗工厚は、具体的な主基材およびその用途によって決まるであろう。 硬化された結果として得られるナノ複合体層を保護被膜とする場合、その厚みは、望ましくは1nmから50μmまで、またはそれよりもさらに厚く、より望ましくは0.5μm〜10μm、より望ましくは3μm〜6μmの範囲内とする。 ナノ複合体層がより厚いと、時間の経過に伴いクレージングや他の欠陥が生じる場合がある一方で、層がより薄いと、耐スクラッチ性を示す表面材料とするには不十分となる場合が多い。

    ナノ複合体層が透明または半透明基材上の被膜として存在する場合は、望ましくは屈折率が基材に近いものになるようにその成分を選択する。 こうすることがモアレパターンやそれ以外の目に見える干渉縞の可能性を低減するのに役立つ。

    Ti/Sb混合酸化物ナノ粒子の調製は、水性チタニア前駆体を水性酸化アンチモン前駆体と一体化させることによって行う。

    チタンおよびアンチモン原子が結晶格子中において均一に混ざり合っていることが非常に望ましいことから、水性酸化アンチモン前駆体は分子種(即ちアンチモン原子を1個のみ有する化学種)であるかまたは反応条件下で解離する弱く会合した化学種であることが望ましい。 この要件に適合する任意のチタニアまたは酸化アンチモンの前駆体を使用することができる。

    水性チタニア前駆体として、例えば、過酸化水素とチタンアルコキシドとの反応生成物が挙げられる。 アルコキシドとして、例えば、1−ブトキシド、2−エチルヘキソキシド、2−メトキシ−1−エトキシド、直鎖および分岐のアルコキシド(例えば、エトキシド、1−プロポキシド、2−プロポキシド、2−ブトキシド、イソ−ブトキシド、t−ブトキシド、ヘキソキシド等)が挙げられる。 チタンに2個またはそれ以上の同一または異なる有機配位子が結合していてもよい。 望ましくは、水性チタニア前駆体は、チタンアルコキシドと過酸化水素との反応生成物である。

    水性酸化アンチモン前駆体として、例えば、アンチモンアルコキシドと過酸化水素およびHSb(OH) 6との反応生成物が挙げられる。 アルコキシドとして、例えば、1−ブトキシド、2−エチルヘキソキシド、2−メトキシ−1−エトキシド、直鎖および分岐のアルコキシド(例えば、エトキシド、1−プロポキシド、2−プロポキシド、2−ブトキシド、イソブトキシド、t−ブトキシド、ヘキソキシド等)が挙げられる。 アンチモンに2個またはそれ以上の同一または異なる有機配位子が結合していてもよい。

    水性チタニア前駆体および水性酸化アンチモン前駆体を混合しながら一体化させ、それと同時かまたはそれに続いて、それらが混合酸化物を形成する条件に曝す。 各前駆体の使用量は、上述したような本発明のTi/Sb混合酸化物ナノ粒子を調製するのに必要な化学量論量に基づいて決定する。 必要に応じて水性チタニアおよび酸化アンチモンの前駆体に水性金属酸化物前駆体をさらに混合してもよい。

    水性チタニア前駆体と水性酸化アンチモン前駆体とを混ぜ合わせた後、典型的にはこの混合物に熱および圧を加える。 幾つかの実施態様においては、これをイリノイ州モーリンのパール・インストゥルメンツ・カンパニー(Parr Instruments Co.(Moline,IL))より市販されている撹拌式または非撹拌式の加圧反応器等の圧力容器を用いて行ってもよい。 この容器は、圧力に耐えることができ、かつ密閉できることが必要である。 混合物を入れた容器を密閉し、反応体の加水分解および縮合を進行させるのに十分な温度で溶液を加熱する。 典型的には、所望の温度に到達するまで容器を5℃/分の速度で加熱する。 好適な圧力は反応混合物の加熱に用いる温度および容器によって決まってくる。 通常、望ましい温度は、120℃を超えかつ300℃未満である。 望ましくは、この温度は、150℃〜200℃の間である。 密閉された容器内で溶液を加熱すると圧力が生じる。 この容器内の圧力は典型的には18atm〜40atmの間である。 典型的には溶液の加熱を5時間までとして加水分解を確実に終了させるが、反応時間がより短い方が効果が高い可能性がある。 加熱時間の長さはバルクを所望の温度に到達させるのに必要な時間によって決まる。 一旦この温度に到達した後は、反応が実質的に即座に終了するのが通常である。 この温度でさらに時間が経過すると、通常は結晶子サイズが増大することとなり、そうなるとナノ粒子のコロイドの安定性は低下する傾向にあるのが普通である。 望ましくは、Ti/Sb混合酸化物ナノ粒子のルチル様の結晶子サイズの集合平均は20nm未満、より望ましくは15nm未満である。

    加熱終了後に室温に冷却すると、通常、混合された金属酸化物粒子は、水性ビヒクル中にスラリー化した固形析出物(即ちTi/Sb混合酸化物ナノ粒子の凝集物)として観察される。 このスラリーを遠心分離用ボトルに移し替えてスラリーを遠心分離にかけ、上清をデカントすることによって粒子を液体から分離してもよい。 濾過、沈殿、フラッシング等の他の方法によって混合金属酸化物粒子を反応混合物から分離することも可能である。

    あるいは、反応混合物の任意の不要な成分を蒸発または分別蒸留によって除去してもよい。 場合により、この段階で金属酸化物粒子を乾燥させてもよい。

    Ti/Sb混合酸化物ナノ粒子の調製には撹拌式円筒型反応器(stirred tube reactor)(即ちSTR)を用いることもできる。 撹拌式円筒型反応器は、典型的には、加熱された円筒の長手方向に沿って同軸上にモータ駆動式のシャフトが取り付けられている。 このシャフトに取り付けられた複数の羽根が反応混合物をかき混ぜて熱を伝導する。 撹拌式円筒型反応器は当該技術分野においてよく知られている。 STRの具体的な設計の1つを実施例15において説明する。

    STRを用いて本発明のTi/Sb混合酸化物ナノ粒子コロイド分散液を調製する方法の一実施態様の概略を図2に示す。 貯留器210には、固形分含有量が1〜2重量%のチタニア前駆体および酸化アンチモン前駆体の水性混合物が貯留されている。 この水性混合物はポンプ220によって約180℃〜220℃に加熱されたSTR230中に供給され、ここで水熱反応を開始してナノ粒子を形成するのに必要な熱が供給される。 望ましくはポンプ220は流速を実質的に均一に維持できるもの(例えばダイヤフラムポンプ)である。 撹拌式円筒型反応器の例が、米国特許第5,644,007号(デビッドソン(Davidson)ら)、同第5,814,278号(マイストロビッチ(Maistrovich)ら)、および同第4,770,777号(ステッドリー(Steadly))明細書、ならびに2001年8月16日に公開されたPCT出願、国際公開第01/5896号に記載されている。

    ポンプによる脈動(粒度分布を広げる可能性がある)をなくし、かつナノ粒子に表面官能化剤を適用しやすくするため、望ましくはポンプ220およびSTR230の間に脈動抑制装置240を配設する。 油圧脈動抑制装置は当該技術分野においてよく知られている。 脈動抑制装置として例えば閉管が挙げられ、これらは米国特許第5,816,291号および同第2,504,424号明細書に記載されている。 望ましくは脈動抑制装置は閉端直立管を備える。

    特に有用な脈動抑制装置の一実施態様を図3に示す。 脈動抑制装置300は一定の長さの導管310から構成され、中には加圧流体315が収容されている。 導管310の最上端には蓋320および空気空洞325があり、最下端に加圧流体吸入口330が設けられている。 移送管340は導管310に対し垂直に接続されている。 移送管340は背圧弁370に接続されており、ここに吐出管380が設けられている。 導管310、340、および380は、流体が材料の損失なく吸入管から吐出管に向けて流れるように連結されている。 本発明の本実施態様を実際に使用する場合、吐出管380から吐出された加圧流体はSTR内に流入する。 つまり、ダイヤフラムポンプを往動させて加圧流体吸入口330に液体を押し出すことが可能であり、それによって空気空洞325の空気は圧縮されて体積を収縮させる。 復動時にはダイヤフラムポンプは次の吐出に向けて再び充填され、圧縮されていた空気は小型の圧送室として作用して液体を流体流に戻す。 ポンプの運動とともにこの工程を何度も繰り返すことによって、流体をポンプ輸送する際の脈動圧が取り除かれる。

    STR230内における水性混合物の典型的な滞留時間は10〜20分間である。 加熱された混合物はSTR230から吐出された後、熱交換器250を通過する。 混合物はここで冷却された後、回収される。 場合により、粒子の凝集を防止するべく表面処理を行うことを目的として、加熱された混合物が熱交換器に流入する直前に第2ポンプ260によって貯留器290の表面官能化剤を添加してもよい。 熱交換器の後流には背圧制御弁270が配置されており、STR230の圧力を調整することによって水が確実に液体状態を保つようにしている。 STR内の圧力は典型的には約250〜350ポンド/インチ2 (1.7〜2.4MPa)である。 STRでは内部混合が行われ、それによって効率的な熱伝導が促進される。 また、STRの混合作用によって反応器内にプラグ流状態が生じる。

    水熱処理後のTi/Sb混合酸化物ナノ粒子のコロイド分散液には外れ値の(即ち過度に大きな)粒子が含まれる場合がある。 そのため、STRから吐出される水性コロイド分散液は光学的に透明でない場合がある。 このような外れ値の粒子を遠心分離により取り除くことによって、コロイド分散液の透明性を高めると同時に粒度分布を狭くしてもよい。

    コロイド分散液は、その形態で用いてもよいし、当該技術分野においてよく知られている方法を用いて溶媒(例えば水)を有機溶媒または有機溶媒および分散助剤を含む溶液と交換してスラリーを形成してもよい。 本発明に用いる溶媒の選択は、その揮発性、およびナノ粒子に組み合わせて使用する可能性のあるバインダー前駆体との相溶性に基づいて行ってもよい。 典型的な有機溶媒として、C 6 −C 12脂肪族化合物、芳香族化合物、アルコール類、エーテル類、エステル類、および/またはケトン類が挙げられる。 脂肪族溶媒として、例えば、シクロヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン、2−ブタノンまたは4−メチル−2−ペンタノン、1−メトキシ−2−プロパノール等が挙げられる。 1−メトキシ−2−プロパノールが特に望ましい。

    有利には、金属酸化物粒子の表面に有機部分を(望ましくは少なくとも1つの共有結合を介して)結合させる少なくとも1種の分散助剤を本発明のTi/Sb混合酸化物ナノ粒子と組み合わせてもよい。 典型的な分散助剤として、アルキルトリアルコキシシラン等のアルコキシシラン、カルボン酸等の有機酸、アルコール、ポリエチレングリコール、脂肪酸のモノ−またはジエステル、ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシド、アルコキシル化ホスホン酸およびそのエステル、ならびにこれらの組合せが挙げられる。

    望ましい分散助剤として、アルコキシシラン、望ましくはオクチルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、カルボン酸、およびこれらの組合せが挙げられる。

    他の好適な分散助剤として、ステアリン酸、オレイン酸、およびニュージャージー州バイヨンヌのケンリッチ・ペトロケミカルズ(Kenrich Petrochemicals(Bayonne,NJ))より市販されているケン−リアクト(KEN−REACT)カップリング剤KR TTSが挙げられる。 カップリング剤である分散助剤を使用してもよい。 カップリング剤は2つの官能基を有する分散助剤である。 好適なカップリング剤として、メタクリル酸、グリシン、グリコール酸、メルカプト酢酸、アセト酢酸メタクリロイルオキシエチル、アセト酢酸アリル、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、7−オクテン−1−イルトリメトキシシラン、およびアリルトリエトキシシランが挙げられる。

    分散助剤添加後のコロイド分散液の固形分含有量は典型的には1〜2重量%の範囲内にあるが、これよりも高いかまたは低い固形分含有量を用いてもよい。 次いでこのコロイド分散液を、好ましくは60℃を超えかつ95℃未満の温度で加熱しながら、コロイド状に分散した粒子の表面が実質的に分散助剤によって被覆されかつ/または反応するまで撹拌する。 このコロイド分散液を濃縮して、固形分含有量を2〜20質量%、望ましくは5〜10質量%の範囲内のコロイド分散液としてもよい。 コロイド分散液の分散助剤対金属酸化物比は、典型的には0.1〜6.0mmol/g、望ましくは0.2〜2.0mmol/gである。

    次いで一定量の水(中性、酸性、またはアルカリ性)を、残留している加水分解性基をすべて除去して分散助剤をさらに粒子表面に縮合させるのに十分な量で加えてもよい。 本発明の目的のためにアルコキシオルガノシランを加水分解して粒子表面に縮合させるためには塩基性加水分解が特に有利であることが見出された。

    場合により、安定なコロイド分散液から高沸点副生成物を除去することを含むステップを実施する。 そうすることによって安定なコロイド分散液は、加熱または真空乾燥によってシロップ状に濃縮される。 安定なコロイド分散液が極性液体を含む場合、非極性液体を加えることによってナノ粒子の結晶が弱く凝集する。 安定なコロイド分散液が非極性液体を含む場合は極性液体を加えることによってナノ粒子の結晶が弱く凝集する。 凝集したナノ粒子の単離させるためには、典型的には、遠心分離を行い、次いで凝集に使用した液体のうちの1種の中に再び懸濁させて洗浄し、さらに遠心分離を行うことによって分離する。 この沈殿を乾燥させて粉末を形成してもよいし、沈殿を有機液体または溶媒中に分散させてコロイドを形成してもよい。

    本発明のコロイドは、コロイド試料を2500rpmで10分間遠心分離するという評価を行っても安定な分散液である。 遠心分離後にも実質的に沈殿物がなければ、そのコロイド(またはゾル)を安定な分散液と称する。

    ここで以下の実施例によって本発明をより詳細に説明する。

    以下の実施例中に用いた材料は、別段の指定がない限り、ウィスコンシン州ミルウオーキーのアルドリッチ・ケミカル・カンパニー(Aldrich Chemical Co.(Milwaukee,WI))等の化学薬品を販売する一般的な業者から入手してもよい。

    実施例に用いた試験方法粒度 粒度測定は、フロリダ州マイアミのコールター・コーポレーション(Coulter Corp.(Miami,FL))より市販されているコールターN4サブミクロン・パーティクル・アナライザ(Coulter N4 Submicron Particle Analyzer)を用いて、光子相関分光分析によって行った。

    結晶相 結晶相の測定にはX線回折分析(即ちXRD)を用いた。 ニュージャージー州マーワーのフィリップス・エレクトロニック・インストゥルメンツ・カンパニー(Philips Electronic Instruments Co.(Mahwah,NJ))より市販されているフィリップス縦型回折計を用いてデータを収集した。 回折計には、可変入射スリット、0.2°に固定した受光スリット、グラファイト回折ビームモノクロメーター、および散乱線を記録するため比例計数管検出器を取り付けた。 密閉型CuターゲットX線源を使用し、発生装置の設定を45kV、35mAとした。 ガラス基板上で各試料をエタノールのスラリーとして調製した。 測定ステップ走査を5から80°(2θ)まで、ステップ間隔を0.04°、計数時間を4秒として実施した。 存在する結晶相の同定は、観測された回折極大を国際回折データセンター(International Centre for Diffraction Data)粉末データファイル(ペンシルバニア州ニュートンスクエア,キャンパスブールバード12の国際回折データセンター(International Centre for Diffraction Data,12 Campus Boulevard,Newton Square,PA)に公開されているパターンと比較することによって行った(エイチ・ピー・クラグ(H.P.Klug)とエル・イー・アレキサンダー(L.E.Alexander)著,「多結晶および非晶質材料のX線回折手順(X−Ray Diffraction Procedures for Polycrystalline and Amorphous Materials)」,ジョン・ウイレー・アンド・サンズ(John Wiley&Sons),ニューヨーク(New York),1954年、に記載されている)。

    実施例において使用する反応中間体過酸化チタン酸 脱イオン水848gと、ペンシルバニア州ピッツバーグのフィッシャー・サイエンティフィック(Fisher Scientific(Pittsburgh,PA))より市販されている30質量%の過酸化水素85gと、0.33Mの水酸化アンモニウム水溶液32gとを2Lのフラスコに仕込んだ。 フラスコの内容物を撹拌し、冷水浴中で10℃に冷却した後、ペンシルバニア州タリータウンのジェレスト・インコーポレーテッド(Gelest,Inc.(Tullytown,PA))より市販されているチタンテトライソプロポキシド35.6gを3分間かけてゆっくり加えると、橙黄色の析出物が生成するとともにガスが穏やかに発生した。 このスラリーを6時間かけてゆっくりと室温まで温めた。 析出物はその間に十分に温浸されて、水中に過酸化チタン酸を含む黄色の流動性液体となった(TiO 2の理論収率が1質量%となるようにした)。

    アンチモン過酸化水素溶液 脱イオン水469gと30質量%の過酸化水素21gとを1Lのフラスコに仕込んだ。 内容物を撹拌して氷浴中で5℃に冷却し、アンチモントリ−n−ブトキシド10.5gを3分間かけてゆっくりと加えると白色の析出物が生成した。 このスラリーを6時間かけてゆっくりと室温まで温めた。 この間に析出物が十分に温浸されて、無色透明な溶液となった(Sb 25の理論収率が1質量%となるようにした)。

    HSb(OH) 6コロイドの調製 脱イオン水297gと、イオン交換樹脂アンバーライトIR−120(プラス)(AMBERLITE IR−120(plus))20gと、ヘキサヒドロキシアンチモン酸カリウム4.9gとを0.5Lのフラスコに仕込んだ。 結果として得られたスラリーを14時間混合した後、65℃で1時間加熱することによって安定な白色のゾルを形成した。 このゾルを室温に冷却して、グレードCのガラス濾過器(glass frit)で濾過して、pH測定値が3の白色のHSb(OH) 6水性コロイドを得た(Sb 25の理論収率が1質量%となるようにした)。

    実施例1〜13および比較例A〜C
    ルチル様結晶相を有するTi/Sb混合酸化物ナノ粒子を含む水性コロイドの調製を記載した以下の一般手順に従い、実施例1〜13および比較例A〜Cを生成させた。 表1に示すように成分の量を変化させた。

    ペンシルバニア州ウォーミンスターのプレッシャー・プロダクツ・インダストリーズ・インコーポレーテッド(Pressure Products Industries,Inc.(Warminster,PA))より市販されている2Lの圧力反応器に、過酸化チタン酸とHSb(OH) 6コロイドとの混合物(重量比を表1に示す)約1200gを仕込んだ。 反応器を180℃で3時間加熱した。 この反応器を12時間かけてゆっくりと室温まで放冷した。 結果として得られた透明なコロイドを、ニュージャージー州クリフトンのワットマン・インコーポレーテッド(Whatman,Inc.(Clifton,NJ))より市販されているGF/B濾紙(ガラス繊維濾紙、孔のサイズ1.0μm)で濾過した。

    この結果から、Ti/Sb混合酸化物の組成のSb 25の理論含有量が10質量%を超えかつ100質量%未満である場合にルチル様相を有するナノ粒子が得られることがわかる。

    実施例14
    本実施例では、ルチル様結晶相を有するTi/Sb混合酸化物ナノ粒子の水性コロイドの調製について説明する。

    2Lの圧力反応器に過酸化チタン酸1369gとコロイドHSb(OH) 6 342gとを仕込んだ(質量比が二酸化チタン80部対酸化アンチモン20部となるようにした)。 反応器を180℃で2時間加熱した。 反応器内の圧力は300ポンド/インチ2 (2.07MPa)に達した。 反応器の外側をドライアイスで包み込んで反応器を75℃まで急冷した。 この反応によってやや青みがかった透明なコロイドを得た。 粒度の測定値は31.9nmであり、標準偏差は6.4nmであった。 コロイドの一部(つまり5ml)を100℃のオーブンで乾燥させて、得られた粉末をXRDで分析したところ、結晶子サイズが20.5nmのルチル様のピーク(相対強度100%)および結晶子サイズが15.0nmのアナターゼのピーク(相対強度49%)が見られた。 独立した酸化アンチモン相を示すものはなく、それどころか観測されたルチル様相の回折極大がルチルそのものからわずかにシフトしており、アンチモン原子が格子構造内に均一に分布していることが示された。

    実施例15
    本実施例では、本発明の一実施態様による撹拌式円筒型反応器を用いたTi/Sbの調製を示す。

    TiO 2対Sb 25の質量比の計算値が80/20となるようにHSb(OH) 6コロイドを過酸化チタン酸に加えた。 この前駆体を安定化させてゲル化を防止する目的でこの混合物のpHを約7に上昇させるべく濃水酸化アンモニウムを十分に加えた。 この混合物から反応中間体であるペルオキシ錯体が形成され、これが3時間かけて温浸されて混合金属ペルオキシ錯体の透明な橙色の溶液(TiO 2 /Sb 25 1質量%)が形成された。

    この混合物を、2Lの316ステンレス鋼撹拌式円筒型反応器(ヒーター温度を204℃とし、滞留時間が11.1分間となるように操作)に注入した。 STRは、長さが60インチ、内径が2インチであり、L/D比は30であった。 スループットは180g/分、撹拌モーター速度は120回転/分とした。 系の圧力は300ポンド/インチ2 (2.1MPa)とした。 反応器吐出口の温度を190℃とした。

    この混合物を、マサチューセッツ州ホリストンのアメリカン・レーバ・インコーポレーテッド(American Lewa,Inc.(Holliston,MA))より市販されているダイヤフラムポンプ(型番EK−1)を用いて反応容器内に注入した。 ポンプおよびSTR吸入口の間に隣接して脈動抑制装置を設けた。 図3にその配置を示すが、これは末端に蓋を有する長さ10インチ、外径1/2インチのステンレス鋼管によって形成される空気空洞および背圧弁から構成されている。 STRから吐出された混合物を速やかに熱交換器を通過させて混合物を約75〜80℃まで急冷した。 結果として得られたコロイド分散液の粒度を、マサチューセッツ州ノースボローのメイテック・アプライド・サイエンシーズ・インコーポレーテッド(Matec Applied Sciences,Inc.(Northborough,MA))より入手したCHDF2000粒子分析計を用いて測定した。 重量平均粒度は123nmであった。

    この分散液を、マサチューセッツ州フランクリンのケンドロ・ラボラトリー・プロダクツ(Kendro Laboratory Products(Franklin,MA))より入手可能なカール・パワーフュージ・パイロット(CARR POWERFUGE PILOT)遠心機(gravity centrifuge)を用いて、速度設定を10(重力加速度20308×gに相当)として遠心分離を行った結果、ルチル様結晶相を呈し、重量平均粒度が64nmであり、サイズ分布の狭いTi/Sb混合酸化物ナノ粒子の透明なコロイド分散液が得られた。

    実施例16
    本実施例では、ルチル様結晶相を有する表面改質されたTi/Sb混合酸化物ナノ粒子のコロイドを用いた複合物品の調製を示す。

    8オンス(237ml)のガラスビンに、アンチモンを添加した酸化チタンコロイド(実施例3で調製)100gおよびシルケスト(SILQUEST)A1230(ニューヨーク州エンディコットのウイトコ・コーポレーション(Witco Corp.(Endicott,NY))より市販されているシランカップリング剤)600mgを仕込んだ。 この透明なコロイドを80℃のオーブン内に16時間放置した後、室温に冷却した。 コロイドをフラスコに移し替えてロータリーエバポレーターを用いて3gまで濃縮した。 このコロイドに1−メトキシ−2−プロパノール(18g、ウィスコンシン州ミルウオーキーのアルドリッチ(Aldrich(Milwaukee,WI))より市販)を加え、混合物をロータリーエバポレーターを用いて7gまで濃縮した。 このコロイドに1−メトキシ−2−プロパノール(12g)を加え、混合物をロータリーエバポレーターを用いて濃縮して、金属酸化物8.1質量%を含む最終コロイドを得た。

    このコロイドを、SR295(ペンタエリスリトールテトラアクリレートの商品記号)を30質量%と、SR506(イソボルニルアクリレートの商品記号)を30質量%と、SR238(1,6−ヘキサンジオールジアクリレートの商品記号)を40質量%と(いずれもペンシルバニア州エクストンのサートマー・カンパニー・インコーポレーテッド(Sartomer Company,Inc.(Exton,PA))より市販)の混合物1.85gと混合した。 この混合物に、ミシシッピ州パスカゴーラのファースト・ケミカル・コーポレーション(First Chemical Corp.(Pascagoula,MS))より入手可能なトリス(N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシル−アミナト)アルミニウム(2mg)を加えた後、ロータリーエバポレーターを用いて3.83gまで濃縮した。 この樹脂を熱重量分析したところ、樹脂中の無機固形分が22.65%であることがわかった。

    この樹脂に、ニュージャージー州マウントオリーブのビー・エー・エス・エフ・コーポレーション(BASF Corp.(Mount Olive,NJ))より商品名ルシリン(LUCIRIN)LR8893として市販されている2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキシド液状光開始剤1%を加えた後、0.125インチのポリメチルメタクリレートシート材上に0.5milの厚みでバー塗工した。

    「D」バルブを備えたフュージョン・ユーブイ・システムズ(Fusion UV Systems)紫外線処理装置(VPS−6電源、EPIQ6000照射装置、メリーランド州ロックビルのフュージョン・ユーブイ・システムズ・コーポレーション(Fusion UV Systems,Corp.(Rockville,MD)より入手)を、定格出力(600W/インチ)、線速度40フィート/分(12.2m/分)で運転し、これに塗工後の試料を通過させることによって塗工後の試料を硬化させた。

    結果として得られた、硬化後の塗膜の屈折率を測定したところ、1.569であった。

    本発明による複合物品の断面図である。

    本発明によるTi/Sb混合酸化物ナノ粒子を調製するのに有用な反応系の概略図である。

    本発明の実施に有用な脈動抑制装置の一実施態様の断面図である。

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