首页 / 国际专利分类库 / 化学;冶金 / 无机化学 / 含有不包含在C01D或C01F小类中之金属的化合物 / 锑的化合物 / Antimony-tin oxide fine particle for solar radiation shielding, dispersion liquid for forming solar radiation shielding body using the same, solar radiation shielding body and transparent base material for solar radiation shielding

Antimony-tin oxide fine particle for solar radiation shielding, dispersion liquid for forming solar radiation shielding body using the same, solar radiation shielding body and transparent base material for solar radiation shielding

申请号 JP2003182524 申请日 2003-06-26 公开(公告)号 JP2004083397A 公开(公告)日 2004-03-18
申请人 Sumitomo Metal Mining Co Ltd; 住友金属鉱山株式会社; 发明人 NAGANAMI TAKESHI; KUNO HIROKO;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To clarify the physical properties of ATO (Antimony-Tin-Oxide) fine particles that a high visible light transmissivity, a low solar radiation transmissivity and a low haze value can be exhibited when formed on a transparent base material or inside the base material, and to produce ATO fine particles having the same physical properties. SOLUTION: The ATO fine particles having physical properties that the diameter of crystallites composing them is 4 to 125 nm, and the specific surface area thereof is 5 to 110 m 2 /g can exhibit the above optical properties. As one example for producing the same, an antimony chloride alcoholic solution and an aqueous solution of ammonium hydrogencarbonate are parallelly dripped, thereafter, the resultant precipitates are sufficiently washed and dried, and baking is performed in an air atmosphere to produce the ATO fine particles. COPYRIGHT: (C)2004,JPO
权利要求
  • 日射遮蔽用アンチモン錫酸化物微粒子であって、
    前記微粒子を構成する結晶子の径が4〜125nmであり、かつ前記微粒子の比表面積が5〜110m /gであることを特徴とする日射遮蔽用アンチモン錫酸化物微粒子。
  • 請求項1に記載の日射遮蔽用アンチモン錫酸化物微粒子であって、
    前記アンチモン錫酸化物微粒子を含む粉体のL 表色系による粉体色のL が45〜65、a が−5〜−1、b が−11〜−1であることを特徴とする日射遮蔽用アンチモン錫酸化物微粒子。
  • 請求項1または2に記載の日射遮蔽用アンチモン錫酸化物微粒子を溶媒中に分散した日射遮蔽体形成用分散液であって、
    前記日射遮蔽用アンチモン錫酸化物微粒子の前記溶媒中における分散粒子径が、130nm以下であることを特徴とする日射遮蔽体形成用分散液。
  • 請求項3に記載の日射遮蔽体形成用分散液であって、
    バインダーとして、無機バインダーおよび/または樹脂バインダーを含有することを特徴とする日射遮蔽体形成用分散液。
  • 請求項3または4に記載の日射遮蔽体形成用分散液を用いて形成されたことを特徴とする日射遮蔽体。
  • 請求項5に記載の日射遮蔽体に、珪素の酸化物、ジルコニウムの酸化物、チタンの酸化物、もしくはアルミニウムの酸化物の膜が成膜されていることを特徴とする日射遮蔽体。
  • 請求項5または6に記載の日射遮蔽体であって、
    可視光透過率70%以上のときの波長域300〜2100nmにおける日射透過率が60%未満で、かつヘイズ値が1%未満であることを特徴とする日射遮蔽体。
  • 請求項5から7のいずれかに記載の日射遮蔽体が形成されていることを特徴とする日射遮蔽用透明基材。
  • 说明书全文

    【0001】
    【発明の属する技術分野】
    本発明は車両、ビル、事務所、一般住宅などの窓、電話ボックス、ショーウィンドー、照明用ランプ、透明ケースなどに使用される日射遮蔽機能を有するガラス、プラスチックス、その他の日射遮蔽機能を必要とする透明基材上、あるいはこれらに練り込まれて形成される日射遮蔽体、この日射遮蔽体を形成するための日射遮蔽体形成用分散液、およびこれらの原料であるアンチモン錫酸化物微粒子に関する。
    【0002】
    【従来の技術】
    従来、太陽光や電球光などの外部光源よりの光から熱成分を除去・減少する方法として、ガラスなどの透明基材の表面に、熱効果に大きく寄与する赤外線を反射する材料を含有する膜を成膜して熱線反射透明基材とし、この熱線反射透明基材を用いることが行われていた。 そして前記材料にはFeOx、CoOx、CrOx、TiOxなどの金属酸化物やAg、Au、Cu、Ni、Alなどの自由電子を多量にもつ金属材料が用いられてきた。
    【0003】
    しかし、これらの材料では熱効果に大きく寄与する赤外線以外に、可視光も同時に反射もしくは吸収する性質があるため、可視光透過率が低下する問題があった。 ところが、建材、乗り物、電話ボックスなどの窓材に用いられるガラスなどの透明基材は、可視光領域における高い透過率が必要とされることから、前記材料を使用する場合は、その膜厚を非常に薄くしなければならない。 従って、前記材料を透明基材上に成膜するときはスプレー焼付けやCVD法、あるいはスパッタ法や真空蒸着法などの物理成膜法を用いて10nmレベルの薄膜に成膜して用いられることが通常行われてきた。
    【0004】
    しかし、これらの成膜方法は、いずれも大がかりな装置や真空設備を必要とし、生産性や大面積化に問題があり、膜の製造コストが高いといった欠点がある。 また、前記材料で日射遮蔽特性(波長域300〜2100nmの光を遮蔽する特性)を高くしようとすると、可視光領域の反射率も同時に高くなってしまう傾向があり、鏡のようなギラギラした外観を与えて美観を損ねてしまう。
    【0005】
    【発明が解決しようとする課題】
    このような上記問題点を改善するためには、高い可視光透過率と、高い日射遮蔽率を発揮する日射遮蔽体を透明基材上あるいは基材中に形成する必要がある。 さらに、例えば窓材等に用いられる日射遮蔽体には、上述した光学的特性、電気的特性以外にも、膜の曇りが少ない等の性質が求められる。 そしてこの膜の曇りはヘイズ値という数値で評価される。 ヘイズ値は、全透過率に対する拡散透過光の割合として定義され、この値が高いと人間の目には曇って見える。 従って、透明性を要求される窓材などでは1%未満の低へイズが望まれている。
    【0006】
    ここで、可視光透過機能と日射遮蔽機能とを有する材料の一つとしてはアンチモン錫酸化物(以下、ATOと略す)が知られている。 しかし、優れた可視光透過機能と日射遮蔽機能とを発揮するATOの物理物性については、これまで検討されたことがなく、例えば、特許文献1、特許文献2,特許文献3,特許文献4の各公報に記載されたATOは、いずれも導電性に関するものである。
    【0007】
    【特許文献1】
    特許第2844011号公報【特許文献2】
    特開平11−278826号公報【特許文献3】
    特開平6−183708号公報【特許文献4】
    特開平5−246710号公報【0008】
    そこで、本発明は透明基材上に形成あるいは基材に練り込んで板状、シート状、フィルム状などに成形した際、高い可視光透過率と、低い日射透過率を有しながら、ヘイズ値が低いという光学特性を有する日射遮蔽体を形成できるATOの物理特性を明らかにし、この物理特性を備えるATO微粒子と、当該ATO微粒子を含有し、簡便な塗布法や練り混み法で日射遮蔽体を形成できる日射遮蔽体形成用分散液と、この物理特性を備えるATOを含有する日射遮蔽体とを提供することを目的とする。
    【0009】
    【課題を解決するための手段】
    上記目的を達成するために、本発明者らは、透明基材上に形成あるいは基材に練り込んで板状、シート状、フィルム状などに成形した際、高い可視光透過率と低い日射透過率とを有しながら、ヘイズ値が低いという光学特性を有する日射遮蔽体を形成できるATOが満たすべき要件を検討した。
    【0010】
    まず、日射遮蔽体に含まれているATO微粒子は、入射光との干渉効果、粉体粒子の電子状態に起因する光の吸収・放出効果、などを介在して入射してくる可視光や赤外光と相互作用を行い、透過、吸収、反射などの光学現象を起こすこと。 さらに、ATO微粒子のような複合酸化物微粒子は、その製造の際の条件により、微粒子の表面状態や電子状態において様々な物理特性を有する微粒子が調製され得ること。 これらの着想に基づき、様々な物理特性を有するATO微粒子と日射遮蔽機能との関係について研究を行った。
    【0011】
    その結果、ATOの微粒子が特定の範囲の結晶子径を有し、かつ特定の範囲の比表面積を有するという物理特性を満たすとき、このATO微粒子を含有する日射遮蔽体は可視光領域に透過率の極大を持つとともに、可視光領域に近い近赤外域に強いプラズマ吸収を発現して透過率の極小を持ち、かつヘイズ値が極めて低くなるという現象を見出し本発明を完成したものである。
    【0012】
    すなわち、本発明の第1の発明は、日射遮蔽用アンチモン錫酸化物微粒子であって、
    前記微粒子を構成する結晶子の径が4〜125nmであり、かつ前記微粒子の比表面積が5〜110m /gであることを特徴とする日射遮蔽用アンチモン錫酸化物微粒子である。
    この日射遮蔽用アンチモン錫酸化物微粒子を、適宜な方法で透明基材上あるいは基材中に形成させることで、高い可視光透過率と、低い日射透過率を有しながら、ヘイズ値が低いという光学特性を有する日射遮蔽体を形成することができる。
    【0013】
    第2の発明は、第1の発明に記載の日射遮蔽用アンチモン錫酸化物微粒子であって、
    前記アンチモン錫酸化物微粒子を含む粉体のL 表色系による粉体色のL が45〜65、a が−5〜−1、b が−11〜−1であることを特徴とする日射遮蔽用アンチモン錫酸化物微粒子である。
    この粉体色を有する日射遮蔽用アンチモン錫酸化物微粒子を、適宜な方法で透明基材上あるいは基材中に形成させることで、高い可視光透過率と、低い日射透過率を有しながら、ヘイズ値が低いという光学特性を有する日射遮蔽体を形成することができる。
    【0014】
    第3の発明は、第1または第2の発明に記載の日射遮蔽用アンチモン錫酸化物微粒子を溶媒中に分散した日射遮蔽体形成用分散液であって、
    前記日射遮蔽用アンチモン錫酸化物微粒子の前記溶媒中における分散粒子径が、130nm以下であることを特徴とする日射遮蔽体形成用分散液である。
    この日射遮蔽体形成用分散液を、適宜な方法で透明基材上に塗布あるいは基材に練り込むことで、高い可視光透過率と、低い日射透過率を有しながら、ヘイズ値が低いという光学特性を有する日射遮蔽体を形成することができる。
    【0015】
    第4の発明は、第3の発明に記載の日射遮蔽体形成用分散液であって、
    バインダーとして、無機バインダーおよび/または樹脂バインダーを含有することを特徴とする日射遮蔽体形成用分散液である。
    無機バインダーおよび/または樹脂バインダーの添加により、本発明に係るATO微粒子の透明基材への密着性を向上させ、日射遮蔽体の硬度をさらに向上させることが出来る。
    【0016】
    第5の発明は、第3または第4の発明に記載の日射遮蔽体形成用分散液を用いて形成されたことを特徴とする日射遮蔽体である。
    この日射遮蔽体は、高い可視光透過率と、低い日射透過率を有しながら、ヘイズ値が低いという優れた光学特性を有する。
    【0017】
    第6の発明は、第5の発明に記載の日射遮蔽体に、珪素の酸化物、ジルコニウムの酸化物、チタンの酸化物、もしくはアルミニウムの酸化物の膜が成膜されていることを特徴とする日射遮蔽体である。
    日射遮蔽体に、珪素の酸化物、ジルコニウムの酸化物、チタンの酸化物、もしくはアルミニウムの酸化物の膜を成膜することで、日射遮蔽体の透明基材への結着を向上させ、日射遮蔽体の硬度と耐候性とを向上させることができる。
    【0018】
    第7の発明は、第5または第6の発明に記載の日射遮蔽体であって、可視光透過率70%以上のときの波長域300〜2100nmにおける日射透過率が60%未満で、かつヘイズ値が1%未満であることを特徴とする日射遮蔽体である。 日射遮蔽体が、70%以上の可視光透過率、波長域300〜2100nmにおける日射透過率が60%未満で、かつヘイズ値が1%未満であるとき、実用上十分な透明性と日射遮蔽効果とを発揮する日射遮蔽体となる。
    【0019】
    第8の発明は、第5から第7の発明のいずれかに記載の日射遮蔽体が形成されていることを特徴とする日射遮蔽用透明基材である。
    この日射遮蔽用透明基材は、実用上十分な透明性と日射遮蔽効果とを発揮するので、車両、ビル、事務所、一般住宅などの窓等へ好個に適用することができる。
    【0020】
    【発明の実施の形態】
    以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
    まず、本発明者らは、ATOの微粒子が日射遮蔽効果を発揮する、結晶レベルでのメカニズムについて考察し、さらにそのメカニズムを基に好ましい日射遮蔽効果を実現する具体的方法について検討したので、その概要を説明する。
    【0021】
    一般的な光と物質内の電子の相互作用において、ある物質には固有のプラズマ周波数があってこの周波数より長波長の光は反射され、短波長の光は透過されることが知られている。 プラズマ周波数ω は式(1)で表される。
    ω =nq /εm (1)
    ここで、nは伝導電子密度、qは電子の電荷、εは誘電率、mは電子の有効質量である。 一般に、伝導電子密度が増加するとプラズマ周波数が大きくなるため、短波長側の光まで反射されることになる。 伝導電子密度は金属で10 22 /cm 台、ATOで10 20 /cm 台であるため、金属では可視光領域からすでに反射率が高いが、ATOは、可視光線を透過させるが近赤外線域から反射率が高くなるため、日射遮蔽体として用いることができる。
    【0022】
    ここで、本発明者らは、ATO微粒子の結晶子径および比表面積を制御することで、式(1)における伝導電子密度nおよび誘電率εを制御し、当該ATOの微粒子が有するプラズマ周波数ω を所望の範囲に設定することが可能となるのではないかと考えた。 さらに、日射遮蔽機能におよぼすATO微粒子の比表面積の影響について検討してみるとATO微粒子の粒子径をr、比重をρとした時の、ATOの一定重量Mの総遮断面積Aは式(2)で表される。
    A=πr ・M/ρ/(4πr /3) (2)
    式(2)より、一般に粒子径が小さくなれば比表面積は増大することから、総遮断面積Aは粒子径rが小さい程すなわち比表面積が大きい程、大きくなる。 しかし粒子径rが小さくなり過ぎると粒子の電子密度の変化等により却って日射遮蔽機能が低下することから、日射遮蔽機能に対して粒子径rすなわち比表面積の最適範囲があることが推察された。
    一方、ATO微粒子の結晶子径が日射遮蔽機能におよぼす影響については、本発明に係るATO微粒子においては、比表面積が大きくなる程、結晶子径が小さくなっており、比表面積と結晶子径との間には負の相関がある。 そこで詳細は不明であるが、結晶子径も比表面積と同様に日射遮蔽機能へ影響をおよぼし、日射遮蔽機能に対して結晶子径の最適範囲があることが推察された。
    【0023】
    以上のような考察と、検討結果に基づき、様々な結晶子径および比表面積を有するATOを製造し、その光学的特性について測定を行った。
    その結果、ATO微粒子の結晶子径が4〜125nm、好ましくは5〜80nm、さらに好ましくは6〜60nmであり、かつATO微粒子の比表面積が5〜110m /g、好ましくは10〜90m /g、さらに好ましくは20〜70m /gの場合であることが判明した。 そして、このATO微粒子を溶媒中に分散したときの分散粒子径を130nm以下にした分散液を用いて形成した日射遮蔽体が、望ましい光学的特性を発揮することが判明した。 すなわち、ATOの微粒子がこの範囲の結晶子径、および比表面積を有し、溶媒中での分散粒子径が130nm以下のときこれらのATOを含有する分散液から形成された日射遮蔽体は、可視光領域に高い透過率を持つとともに可視光領域に近い近赤外域において強いプラズマ吸収を発現して低い日射透過率を示し、かつヘイズ値が極めて低くなるという優れた効果を発揮しているものと考えられる。
    さらに、優れた光学特性を具備する本発明に係る日射遮蔽体を得るには、上記の粉体特性を備えたATO微粒子を含む粉体が、国際照明委員会(CIE)が推奨しているL 表色系において、L が45〜65、a が−5〜−1、b が−11〜−1となる条件を満たしていることが望ましいことも判明した。
    【0024】
    本発明に係るATO試料の製造方法には各種の方法があり、錫化合物の溶液へアンチモン化合物のアルコール溶液とアルカリ溶液とを並行滴下する方法、Sn(OC とSb(OC とを含むn−ブタノール溶液へ、これらの化合物の加水分解に必要な理論水量の約1.1倍の水と硝酸、塩酸等の酸とを添加して、Sn(OC とSb(OC とを加水分解させた後、生成する沈殿物を乾燥・焼結する方法等がある。 ここでは、上述した錫化合物の水溶液へアンチモン化合物のアルコール溶液とアルカリ溶液とを並行滴下する方法について製造フローを示した図2を参照しながら説明する。
    【0025】
    塩化錫を純水に溶解し水溶液の温度を50℃以下として錫化合物溶液1を準備し、塩化アンチモンをアルコールに溶解しアンチモン化合物アルコール溶液2を準備し、さらに沈殿剤として用いるアルカリ水溶液3を準備する。 ここで、アルコールとしてはメタノール、エタノールを始めとして多種のものが適用可能であり、アルカリ水溶液3として炭酸水素アンモニウム、アンモニア水、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、等の水溶液が適用可能だが特に炭酸水素アンモニウムやアンモニア水が好ましい。
    【0026】
    各溶液の準備が完了したら、錫化合物溶液1中へ、アンチモン化合物アルコール溶液2とアルカリ水溶液3とを並行滴下4する。 このとき、アンチモン化合物アルコール溶液2の滴下量は、元素換算で錫に対し、アンチモン含有量が1〜20重量%となるように滴下することが好ましい。 また、アルカリ水溶液3の滴下量は、前記塩化錫と前記塩化アンチモンが水酸化物となるのに必要な化学当量以上あればよいが、より好ましくは当量〜1.5倍量の範囲である。
    【0027】
    アンチモン化合物アルコ−ル溶液2とアルカリ溶液3との並行滴下時間は、生産性の観点から60分以内、好ましくは30分以内とする。 並行滴下終了後も系内の均一化を図るために水溶液の攪拌を継続して行うが、そのときの水溶液の温度は並行滴下の際の温度と同温とし、50℃以下とすることが好ましい。 攪拌の継続時間は特に限定されないが、生産性の観点から30分以下、好ましくは15分以下である。
    【0028】
    並行滴下4により共沈物生成5がなされるので、この共沈物を収集しデカンテ−ション6を繰り返し行って十分洗浄し、特に残留塩素イオンが0.15重量%以下となるように洗浄した後、乾燥7する。 ここで不純物としての残留塩素イオンが0.15重量%以下であれば、次工程の焼成工程においてアンチモンの固溶が阻害されることがなく、所望の光学的特性を得ることができるからである。 尚、乾燥温度や時間は特に限定されるものでない。
    【0029】
    乾燥後の共沈物を大気雰囲気下にて、500℃〜1000℃で30分〜5時間焼成8してATO9を製造する。 この焼成において、焼成温度、焼成時間を制御することでATO微粒子の結晶子径や比表面積を制御することができる。 結晶子径は、焼成温度が高く、焼成時間が長くなるに従って大きくなり、比表面積は、焼成温度が高くなるに従って小さくなるが、焼成温度500〜1100℃未満、焼成時間30分〜5時間で好ましい結晶子径および比表面積を有するATO微粒子を得ることができる。 そしてこのATO微粒子を、適宜な方法で日射遮蔽体上に形成あるいは日射遮蔽体に練り込んで板状、シート状、フィルム状などに成形することで、高い可視光透過率と、低い日射透過率を有しながら、ヘイズ値が低いという光学特性を有する日射遮蔽体を形成することができる。
    【0030】
    本発明に係る日射遮蔽体形成用分散液は、前記のATO微粒子を溶媒中に分散したものである。 このときの分散粒子径は130nm以下であることが望ましい。 130nmを超えて粒子径が大きくなると所望の光学特性が得られない。 特に、凝集した粗大化粒子が多くなると光散乱源となって曇り(ヘイズ)が増大し、可視光透過率が減少する原因となることがあるので好ましくない。 ここで、分散粒子径とは、溶媒中のATO微粒子の凝集粒子径を意味するものであり、市販されている種々の粒度分布計で測定することができる。 例えば、ATO微粒子が溶媒中に分散された分散液からサンプリングを行い、動的光散乱法を原理とした大塚電子(株)社製、ESL−800を用いて測定することができる。
    【0031】
    溶媒は特に限定されるものではなく、塗布や練り混み条件、塗布や練り混み環境に合わせて適宜選択すればよい。 さらに、この日射遮蔽体形成用分散液へ後述する無機バインダーおよび/または樹脂バインダーを含有させたときは、バインダーに合わせて適宜選択すればよい。 例えば、水やエタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、ジアセトンアルコールなどのアルコール類、メチルエーテル,エチルエーテル,プロピルエーテルなどのエーテル類、エステル類、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、シクロヘキサノン、イソブチルケトンなどのケトン類といった各種の有機溶媒が使用可能であり、また必要に応じて酸やアルカリを添加してpH調整してもよい。 さらに、分散液中のATO微粒子の分散安定性を一層向上させ、凝集粗大化を回避するためには、各種の界面活性剤、カップリング剤などの添加も好ましい構成である。 この日射遮蔽体形成用分散液を、適宜な方法で透明基材上に塗布あるいは基材に練り込むことで、高い可視光透過率と、低い日射透過率を有しながら、ヘイズ値が低いという光学特性を有する日射遮蔽体膜を形成することができる。
    【0032】
    日射遮蔽体形成用分散液へ含有させる無機バインダーや樹脂バインダーの種類は特に限定されるものではないが、無機バインダーとしては珪素、ジルコニウム、チタン、もしくはアルミニウムの金属アルコキシドやこれらの部分加水分解縮重合物あるいはオルガノシラザンが、樹脂バインダーとしてはアクリル樹脂などの熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂などが適用できる。
    【0033】
    ATO微粒子やバインダーの分散方法は、これらを分散液中において、凝集させることなく均一に分散できる方法であれば特に限定されず、例えばビーズミル、ボールミル、サンドミル、ペイントシェーカー、超音波ホモジナイザーなどの装置を使った方法が好ましく適用できる。
    【0034】
    調製された分散液を用いて透明基材上に被膜を形成したときの日射遮蔽体の導電性はATO微粒子の接触個所を経由した導電パスに沿って行われるため、例えば界面活性剤やカップリング剤の量を加減することで導電パスを部分的に切断することができ、日射遮蔽体の表面抵抗値を10 Ω/□以上に制御することが可能となる。 表面抵抗値を概ね10 Ω/□以上に制御することで、日射遮蔽体の電波に対する反射を抑制することができ、例えば、この日射遮蔽体が形成された透明基材を設置した建物の内外において、携帯電話やTV、ラジオ等の電波を反射して受信不能にさせたり、電波障害を引き起こすなどの問題を回避することができる。
    【0035】
    また、導電性を制御する他の方法として、日射遮蔽体形成用の分散液中へ無機バインダーまたは樹脂バインダーを加え、この含有量の加減する方法を採ることも可能である。 この無機バインダーまたは樹脂バインダーを加える方法は、分散液の硬化後に、基板上で高密度に堆積して形成されているATO微粒子の基材への密着性を向上させ、さらに膜の硬度を向上させる効果もあり好ましい。 他方、分散液中に樹脂バインダーまたは無機バインダーを加えない場合に得られる膜は、基材上に上記ATO微粒子のみが堆積した膜構造になる。 このATO微粒子のみが堆積した膜は、勿論このままでも日射遮蔽効果を示す。 そしてバインダーが加えられた場合も加えられない場合も、この日射遮蔽体は、高い可視光透過率と、低い日射透過率を有しながら、ヘイズ値が低いという優れた光学特性を有する。
    【0036】
    さらに、このようにして得られた日射遮蔽体へ、さらに珪素、ジルコニウム、チタン、もしくはアルミニウムの金属アルコキシド、これらの部分加水分解縮重合物からなる被膜を第2層として被着し、珪素、ジルコニウム、チタン、もしくはアルミニウムの酸化物膜を成膜することで、ATO微粒子を主成分とする日射遮蔽体の基材への結着力や膜の硬度、耐候性を一層向上させることができる。
    【0037】
    特に、上述したATO微粒子のみが堆積した日射遮蔽体へ、さらに珪素、ジルコニウム、チタン、もしくはアルミニウムの金属アルコキシドやこれらの部分加水分解縮重合物などの無機バインダーおよび/または樹脂バインダーを含む塗布液を塗布して被膜を成膜して多層膜とすることは好ましい。 このような膜構成にすることにより、前記分散液成分が第1層のATO微粒子の堆積した間隙を埋めて形成されるため、日射遮蔽体のヘイズ値がさらに低減して可視光透過率が向上し、また粒子の基材への結着性が向上するからである。
    【0038】
    ATO微粒子単体あるいはATO微粒子を主成分とする膜上に、珪素、ジルコニウム、チタン、もしくはアルミニウムの金属アルコキシドやこれらの部分加水分解縮重合物からなる被膜で結着する方法としては、形成工程の容易さやコストの観点から塗布法が有効である。 塗布法に用いる塗布液は、水やアルコール中に珪素、ジルコニウム、チタン、アルミニウムの金属アルコキシドやこれらの部分加水分解縮重合物を1種もしくは2種以上含むものであり、その含有量は加熱後に得られる酸化物換算で全溶液中の40重量%以下であることが好ましい。 また、必要に応じて酸やアルカリを添加してpH調整することも可能である。 このような分散液を、ATO微粒子を主成分とする日射遮蔽体へ第2層として塗布し、さらに加熱することで、珪素、ジルコニウム、チタン、アルミニウムなどの酸化物被膜を容易に作製することが可能である。 さらに加えて、本発明の前記分散液に使用するバインダー成分として、あるいはオーバーコート用の塗布液として、オルガノシラザン溶液を用いてもよい。
    【0039】
    本発明に係る日射遮蔽体形成用分散液およびオーバーコート用塗布液の基板への塗布方法は、特に限定されない。 例えば、スピンコート法、バーコート法、スプレーコート法、ディップコート法、スクリーン印刷法、ロールコート法、流し塗りなど、前記分散液を平坦かつ薄く均一に塗布できる方法であればいずれの方法でもよい。 また、基材として、例えば樹脂に練り込むときは、ATO微粒子が樹脂中に均一に分散する方法であれば公知の方法を適宜選択すればよい。 さらに、樹脂の融点付近の温度で溶融混合した後ペレット化し、公知の各方式で種々の形状に成形することが可能である。 樹脂としては、例えばPET樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、オレフィン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂などが挙げられる。
    【0040】
    日射遮蔽体形成用分散液またはオーバーコート用塗布液が無機バインダーとして、珪素、ジルコニウム、チタン、もしくはアルミニウムの金属アルコキシドおよびその加水分解重合物を含有している場合、分散液を塗布した後の基材加熱温度は、100℃以上が好ましく、さらに好ましくは分散液中の溶媒の沸点以上である。 何となれば、100℃以上の加熱により、塗膜中に含まれるアルコキシドまたはその加水分解重合物の重合反応を十分に完結させることができ、さらに分散液に含有される水や有機溶媒が日射遮蔽体中に残留して、これが加熱後における日射遮蔽体の可視光透過率低下の原因となるのを回避できるからである。
    【0041】
    日射遮蔽体形成用分散液またはオーバーコート用塗布液が樹脂バインダーを含有している場合は、それぞれの硬化方法に従って硬化させればよい。 例えば、紫外線硬化樹脂であれば紫外線を適宜照射すればよく、また常温硬化樹脂であれば塗布後そのまま放置しておけばよい。 このため、既存の窓ガラスなどへの現場での塗布が可能である。
    【0042】
    本発明に係る日射遮蔽体ではATO微粒子が分散しているため、物理成膜法により製造された酸化物薄膜のような結晶が緻密に膜内を埋めた鏡面状表面をもつ膜に比べると、可視光領域での反射が少なくギラギラした外観を呈することが回避できる。 その一方で、日射遮蔽体中のATOは、上述したように可視から近赤外域にプラズマ周波数をもつため、これに伴うプラズマ反射が近赤外域で大きくなる。
    【0043】
    さらに、本発明に係る日射遮蔽体の可視光領域における反射をさらに抑制したい場合には、本発明に係る日射遮蔽体を構成するATO微粒子が分散された膜の上、あるいはATO微粒子表面上に、SiO やMgF のような低屈折率の膜を成膜することで、容易に視感反射率1%以下の多層膜を得ることができる。
    【0044】
    さらに加えて、本発明に係る日射遮蔽体へ紫外線遮蔽機能を付与させる場合には、分散液へ無機系の酸化チタンや酸化亜鉛、酸化セリウムなどの微粒子や、有機系のベンゾフェノンやベンゾトリアゾールなどの1種もしくは2種以上を添加してもよい。
    【0045】
    本発明に係る日射遮蔽体形成用の分散液は焼成時の熱による塗布成分の分解あるいは化学反応を利用して目的の日射遮蔽体を形成するものではないため、特性の安定した均一な膜厚の日射遮蔽体を形成することができる。
    【0046】
    以上詳述したように、本発明に係るATO微粒子を用いることによって、好ましい光学特性を有する日射遮蔽体の製造が可能となったが、このATO微粒子は無機材料であるため有機材料と比べて耐候性が非常に高く、例えば太陽光線(紫外線)の当たる部位に使用しても、色や諸機能の劣化はほとんど生じない。
    上記のように形成された本発明に係る日射遮蔽体は、可視光透過率70%以上としたとき、波長域300〜2100nmの赤外光に対する日射透過率が60%未満で、ヘイズ値も1%未満であるという光学特性を発揮する日射遮蔽体を実現した。 この光学的特性を発揮する日射遮蔽体は、実用上十分な透明性と日射遮蔽効果とを発揮し、この日射遮蔽体が形成された日射遮蔽用透明基材は、実用上十分な透明性と日射遮蔽効果とを発揮するので、車両、ビル、事務所、一般住宅などの窓等へ好個に適用することができる。
    【0047】
    (実施例)
    1)ATO(試料a〜o)の調製まず、塩化錫濃度0.030g/mlで液温を25℃とした塩化錫水溶液と、塩化アンチモン濃度0.034g/mlとした塩化アンチモンのメタノール溶液と、炭酸水素アンモニウム濃度0.176g/mlとした炭酸水素アンモニウムの水溶液とを準備した。 次に、前記塩化錫水溶液1500ml中へ前記塩化アンチモンメタノール溶液150mlと、前記炭酸水素アンモニウムの水溶液334mlとを並行滴下する。 滴下時間は30分とし、滴下終了後も液温を25℃としたままさらに10分間攪拌を継続した。 得られた沈殿物はデカンテーションを繰り返し行うことによって十分洗浄した後乾燥し、大気雰囲気下にて焼成して図1に示すATO試料a〜oを調製した。
    焼成条件は、試料aが500℃で1時間、試料bが500℃で2時間、試料cが600℃で1時間、試料dが700℃で1時間、試料eが800℃で1時間、試料fが900℃で1時間、試料gが1000℃で30分、試料hが400℃で1時間、試料iが1100℃で1時間、試料jが400℃で2時間、試料kが500℃で30分間、試料lが500℃で2時間、試料mが700℃で1時間、試料nが700℃で1時間、試料oが700℃で1時間、である。 尚、試料中のアンチモンの含有量は、試料a〜k全てが10重量%であり、試料lが8重量%であり、試料mが5.7重量%であり、試料nが7.5重量%であり、試料oが8.7重量%であり、得られたATO試料は殆ど暗青色を呈していた。
    【0048】
    2)物理特性の測定調製されたATO試料a〜oの物理特性の測定について、結晶子径はSnO (101)のピークを用いたScherrer法によって測定し、比表面積はカルロエルバ社製の装置を用いて窒素吸着法により測定し、粉体色(照準光源D65、10°視野)は、日立製作所(株)製の分光光度計U−4000を用いて測定した。 この測定結果を図1に示す。
    【0049】
    3)日射遮蔽体形成用分散液の調製調製されたATO試料a〜oの各試料を20重量%、トルエン70重量%、分散剤10重量%、さらに充填率63%相当の0.3mmジルコニアビーズを入れた容器を、ペイントシェイカーにて12時間分散処理を行った。 次に該分散液77.7重量%、バインダーとしてアクリル系UV硬化樹脂(固形分70%)22.3重量%を添加して、日射遮蔽体形成用分散液を得た。
    【0050】
    4)日射遮蔽体の形成前記日射遮蔽体形成用分散液を、バーコーター法によって分散液を50μm厚のPETフィルムに塗布した。 塗布の際には番手60、24、6の3種のバーを使用し、3種類の膜厚で塗布した。 塗布した膜を80℃で30秒間乾燥した後、紫外光を照射して日射遮蔽体試料A〜Oを得た。
    【0051】
    5)光学特性の測定得られた日射遮蔽体試料A〜Oの光学特性は、日立製作所(株)製の分光光度計U−4000を用いて測定した。 また、ヘイズ値は村上色彩技術研究所(株)製HR−200を用いて測定した。
    膜評価においては、膜厚の異なる3種の日射遮蔽体A〜Jの光学特性を測定して3点プロットとし、この3点プロットより可視光透過率を75%に規格化したときの日射透過率およびヘイズ値を算出して求めた。
    得られた日射遮蔽体試料A〜Oの光学特性の測定結果を図1に示す。
    図1に示すように、日射透過率が60%未満で、かつヘイズ値が1%未満の優れた光学特性を示した日射遮蔽体は、試料A〜GおよびK〜Oであった。 中でも試料C〜EおよびL、Mは日射透過率が56.5%未満で、かつヘイズ値が0.8%以下というさらに優れた光学特性を示した。
    【0052】
    以上の結果より、ATO微粒子の結晶子径が4〜125nm、好ましくは5〜80nm、さらに好ましくは6〜60nmであり、かつ比表面積が5〜110m /g、好ましくは10〜90m /g、さらに好ましくは20〜70m /gである場合、形成された日射遮蔽体は望ましい光学的特性を発揮することが判明した。
    【0053】
    【発明の効果】
    以上詳述したように、本発明に係る日射遮蔽用アンチモン錫酸化物微粒子であって、前記微粒子を構成する結晶子の径が4〜125nmであり、かつ前記微粒子の比表面積が5〜110m /gであるものを、適宜な方法で透明基材上あるいは基材中に形成させることで、高い可視光透過率と、低い日射透過率を有しながら、ヘイズ値が低いという光学特性を有する日射遮蔽体を形成することができる。
    【図面の簡単な説明】
    【図1】ATO試料の結晶子径、比表面積、分散粒子径、粉体色および日射遮蔽体試料の光学的特性についての一覧表である。
    【図2】ATO試料の製造フローの一例である。

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