高アスペクト比分子構造を含む構造およびその製造方法

申请号 JP2011546895 申请日 2010-01-27 公开(公告)号 JP5781946B2 公开(公告)日 2015-09-24
申请人 カナトゥ オイ; 发明人 ブラウン デイビッド ピー.; アイチソン ブラッドリー ジェイ.; ナシブリン アルバート ジー.; カッピネン エスコ アイ.;
摘要
权利要求

カーボンナノチューブ分子、および、カーボンナノチューブの側部に共有結合したフラーレン分子を有する分子であるカーボンナノバッド分子の群から選択される高アスペクト比分子構造(HARM構造)を含む構造であって、前記構造は、HARM構造の平面なネットワーク(2)、および前記ネットワーク(2)と接触する支持体(3)を含み、前記支持体(3)の表面エネルギーがニトロセルロースの表面エネルギーよりも高く、前記支持体(3)はその中に開口部(5)を有し、前記開口部(5)の周辺領域(4)において、前記ネットワーク(2)は前記支持体(3)と接触し、それによって、前記ネットワーク(2)の中央部分は前記支持体(3)に支持されないこと、ならびに前記ネットワーク(2)はランダムに配向されたHARM構造を含むことを特徴とする、構造。前記支持体(3)は平面なスライド型支持体であり、前記開口部(5)は前記スライド型支持体の中央部分におけるホールであることを特徴とする、請求項1に記載の構造。カーボンナノチューブ分子、および、カーボンナノチューブの側部に共有結合したフラーレン分子を有する分子であるカーボンナノバッド分子の群から選択される高アスペクト比分子構造(HARM構造)を含む構造を製造するための方法であって、前記方法は、 HARM構造を準備基板(1)上に堆積させることによって前記準備基板(1)上にランダムに配向されたHARM構造の平面なネットワーク(2)を製造する工程と、 前記準備基板(1)上の前記ネットワーク(2)を、支持体(3)内に開口部(5)を有し、表面エネルギーが前記準備基板(1)の表面エネルギーよりも高い前記支持体(3)に近接させる工程と、 前記ネットワーク(2)を前記支持体(3)上に移動させる工程であって、それにより、前記ネットワーク(2)は、前記支持体(3)における前記開口部(5)の周辺領域(4)において前記支持体(3)と接触し、前記ネットワーク(2)の中央部分は、前記支持体(3)によって支持されない、工程と、 前記ネットワーク(2)から前記準備基板(1)を除去する工程と、 を含むことを特徴とする、方法。前記準備基板(1)上の前記ネットワーク(2)を、支持体(3)内に開口部(5)を有し、表面エネルギーが前記準備基板(1)の表面エネルギーよりも高い前記支持体(3)に近接させる工程は、前記ネットワーク(2)を、前記支持体(3)に近接している前記準備基板(1)上に堆積させる工程を含むことを特徴とする、請求項3に記載の方法。前記方法は、 前記支持体(3)上の前記ネットワーク(2)をガス流に入れる工程であって、それにより、前記ネットワーク(2)を修飾するために、ガスが前記ネットワーク(2)を通して、および前記支持体(3)における前記開口部(5)を通して誘導される、工程を含むことを特徴とする、請求項3または4に記載の方法。前記方法は、 前記支持体(3)上の前記ネットワーク(2)に液体をつける工程であって、それにより、前記液体が前記ネットワーク(2)を覆うように広がる、工程を含むことを特徴とする、請求項3〜5のいずれか一項に記載の方法。前記液体は、溶質が溶解されている溶媒であることを特徴とする、請求項6に記載の方法。前記方法は、 前記支持体(3)上に存在する前記ネットワーク(2)を第3の基板(6)に接触させる工程であって、前記第3の基板(6)の表面エネルギーは、前記準備基板(1)の表面エネルギーより低い、工程と、 前記支持体(3)から前記第3の基板(6)に前記ネットワーク(2)を移動させる工程と、 を含むことを特徴とする、請求項3〜7のいずれか一項に記載の方法。レーザにおける光学素子、光パルス整形器、オーディオラウドスピーカ、エアロゾル粒子フィルタ、ガスフィルタ、圧センサ、流量センサ、粒子センサ、ガスセンサ、電磁レシーバおよび電磁アンテナの群から選択されるデバイスにおける請求項1に記載の構造の使用。

说明书全文

本発明は、膜蒸着技術に関する。特に、本発明は、高アスペクト比分子構造を含む膜構造に関する。

カーボンナノチューブ(CNT)は、特有の電気、光学、熱および機械特性を有し、これらの特性により、多くの用途について有望な材料となる。これらの用途におけるカーボンナノチューブの使用に関する問題は、カーボンナノチューブ、またはカーボンナノバッド(カーボンナノチューブの側部に共有結合したフラーレン分子を有する分子)、セルロース繊維、ナノワイヤ、ナノドッロなどの他の高アスペクト比分子(HARM)構造を含む独立した(自立)膜の製造および処理が、従来技術の方法では非常に課題を有することである。HARM構造の自立膜は、固体基板(その基板の上にHARM構造の膜(またはネットワーク)が存在する)によって引き起こされるデバイスの操作に対する有害作用を減少させるために種々の電気および機械デバイスの用途に必要とされる。

カーボンナノチューブを含む自立膜を製造するための公知の方法は、基板上に「フォレスト(forest)」としてCNTを真っ直ぐ成長させ、次いで、個々のCNTが互いに接触して、バッキーペーパーと呼ばれる機械的に強な自立ナノチューブシートを形成するように表面からそれらのナノチューブの膜を引き出すことである。この方法の例は、科学出版物の非特許文献1に開示されている。バッキーペーパーシートの別の製造技術は、しばしば、「ドミノ押し形成(domino pushing formation)」と称され、非常に薄い微多孔膜がCNTアレイの上部に配置され、次いで鋼製のシリンダが、サンプルにわたってゆっくりと押し込まれる。これは、同じ方向にわたってCNT全てをノックし、それらを膜とシリコン基板との間で平らにする。次に、膜およびバッキーペーパーはシリコン基板を剥がされて、膜が除去され、高度に整列した自立バッキーペーパーを生じる(非特許文献2)。

自立バッキーペーパーシートの欠点は、ナノチューブ分子がシートに配列されることであり、バッキーペーパー材料を異なる電気デバイスまたは他の用途に適用する可能性を制限する。さらに、バッキーペーパーのドミノ押しまたは引き抜き形成機構に起因して、公知の合成方法を用いて、非常に薄く、非常に透過性があり、均質な層のバッキーペーパーを合成することは難しい。さらに、単一の壁のあるCNTの自立バッキーペーパーの製造はさらに難しい処理である。

Carbon,vol.45,2007年,pp.2880−2888

Nanotechnology 19,2008年,075609,pp.1−6

本発明の目的は、高アスペクト比分子構造を含む新しいタイプの構造およびそれらの構造を製造するための方法を提供することによって、従来技術の上述の技術的問題を低減することである。

本発明に係る製造物は独立請求項1に示される製造物により特徴付けられる。

本発明に係る方法は独立請求項4に示される方法により特徴付けられる。

本発明に係る使用は請求項10に示される使用により特徴付けられる。

本発明による構造は高アスペクト比分子構造(HARM構造)を含み、その構造は、HARM構造の実質的に平面なネットワーク、およびネットワークと接触する支持体を含む。支持体はその中に開口部を有し、その開口部の周辺領域において、ネットワークが支持体と接触するので、ネットワークの中央部分は支持体に支持されない。ネットワークは、実質的にランダムに配向されたHARM構造を含む。

高アスペクト比分子構造(HARM構造)を含む構造を製造するための本発明による方法は、 準備基板上にHARM構造を堆積させることによって準備基板上にHARM構造の実質的に平面なネットワークを製造する工程と、 準備基板上のネットワークを、支持体の中に開口部を有する支持体に近接させる工程と、 ネットワークを支持体に移動させる工程であって、それにより、ネットワークは、支持体における開口部の周辺領域において支持体と接触し、ネットワークの中央部分は支持体に支持されない、工程と、 ネットワークから準備基板を除去する工程と、 を含む。

高アスペクト比分子構造(HARM構造)を含む構造を製造するための本発明による方法は、 準備基板上にHARM構造を堆積させることによって準備基板上に実質的にランダムに配向されたHARM構造の実質的に平面なネットワークを製造する工程と、 準備基板上のネットワークを、支持体の中に開口部を有する支持体に近接させる工程と、 ネットワークを支持体に移動させる工程であって、それにより、ネットワークは、支持体における開口部の周辺領域において支持体と接触し、ネットワークの中央部分は支持体に支持されない、工程と、 ネットワークから準備基板を除去する工程と、を含む。本発明による構造は、レーザにおける光学素子、光パルス整形器、オーディオラウドスピーカ、エアロゾル粒子フィルタ、ガスフィルタ、圧力センサ、流量センサ、粒子センサ、ガスセンサ、電磁レシーバおよび電磁アンテナの群から選択されるデバイスに使用される。

レーザまたは光パルス整形器において、本発明による構造は、基板によって引き起こされるデバイスの動作に対するマイナス効果を取り除くことができる。マイナス効果は、例えば、光吸収および基板のインターフェースからの反射であり得る。この構造はまた、基板によって引き起こされる場合がある熱伝導制限(この制限は、例えば光学素子における可飽和吸収体においてHARMネットワークの性能を低下させ得る)を取り除くことができる。

粒子またはガスフィルタなどの機械的フィルタリング適用において、本発明による構造は優れた機能性の利点を与える。フィルタスクリーン、すなわちHARM構造のネットワークは、その合成プロセスの間に機能化されて、機能、例えば抗菌性のグループを高アスペクト比分子に組み込むことができる。フィルタスクリーンはまた、例えば抵抗により容易に加熱されて、フィルタリングプロセスの後にスクリーンを洗浄および/または滅菌することができる。ラウドスピーカにおいて、本発明による構造は、高速な応答時間、およびそれによる、改良された熱散逸の結果として広帯域幅動作を可能にする。

センサ適用において、本発明による構造におけるHARM構造のネットワークは、センサのセンシング部分として、センシング面、広いセンシング表面積および優れた感度に対する高速なアクセスを提供する。

本発明の構造および方法は、驚くべきことに、実質的に平面のネットワークの側から部分的に支持されるが、ネットワークの中央部分は支持されない(すなわち自立)、HARM構造のネットワークを提供する。従って、この構造におけるHARMネットワーク(HARM構造のネットワーク)は、「半自立(semi free−standing)」とみなされる。

「半自立」ネットワークおよびそれに関連する製造方法は、いくつかの利点を与える。「半自立」ネットワークは、支持体上で容易に操作および/または保存され得る。その製造方法および「半自立」構造は、HARM構造を含む材料の非常に薄く、非常に透過的なネットワークに適切である。「半自立」ネットワークはまた、種々のデバイス構造にネットワークを容易に組み込むことができる。本発明による構造の製造は、例えば、支持体の表面エネルギーが準備基板の表面エネルギーより高いように、支持体および準備基板を適切に選択することによって具現化され得る。これは、ネットワークの正味の引力を準備基板から支持体に生じさせるために使用され得る。

本発明の一実施形態において、ネットワークは、実質的にランダムに配向されたHARM構造を含む。本発明の方法は、個々の高アスペクト比分子、例えばCNTまたは均一に単一の壁のあるCNTがランダムに配向され得る、HARM構造の「半自立」ネットワークの製造を可能にする。これは、例えば、CNTが実質的に整列しているバッキーペーパーと対照的である。個々の分子のランダムな配向は、例えば、HARM構造のネットワークの特性に対する多くの有益な効果を有する。それらの効果としては、限定されないが、高い電気伝導性および熱伝導性、等方性の電気伝導性および熱伝導性、優れた機械安定性および耐久性、厚さおよび多孔性の高い均一性、大きな表面積および化学反応性、優れた固体、熱、電気、光学および流体の機械的等方性、ならびに上述の特性にわたる優れた制御が挙げられる。

本発明の一実施形態において、支持体は実質的に平面なスライドであり、開口部は、そのスライドの中央部分におけるホールである。支持体のこの形状は、支持体上の準備基板からのHARMネットワークの簡単な移動に適切である。さらに、例えば、ポリマーまたはガラスの薄いスライドの中央部分から一部を除去することによって、この形状で支持体を製造することが容易である。

本発明の別の実施形態において、ネットワークは、カーボンナノチューブ分子およびカーボンナノバッド分子の群から選択される実質的にランダムに配向されたHARM構造を含む。例えば、それらの高い機械的強度に起因して、CNTは、それ自体、本発明の「半自立」ネットワークの製造に十分に役立つ。CNTのネットワークはまた、CNTのネットワークが、例えば、製造技術、電子工学、光学、濾過および精製、音響学、材料技術およびさらにバイオテクノロジーの分野における適用のために特に適切である、多くの重要な特性を有する。そのような特性としては、高アスペクト比、小口径、高い機械的強度、ならびに高い熱伝導性および電気伝導性が挙げられる。

本発明の一実施形態において、準備基板上のネットワークを、支持体の中に開口部を有する支持体に近接させる工程は、支持体に近接している準備基板上にネットワークを堆積させる工程を含む。

本発明の一実施形態において、本発明による方法は、支持体上のネットワークをガス流に入れる工程であって、それにより、ネットワークを修飾するために、ガスが、ネットワークを通して、および支持体における開口部を通して誘導される、工程を含む。本発明による部分的(または半)自立構造は、支持体上のネットワークがガス流に入れられ得、処理ガスが、ネットワークを通して、および支持体における開口部を通して容易に誘導され得る場合、それ自体、気相処理および修飾に十分に役立つ。

本発明の一実施形態において、本発明による方法は、支持体上のネットワークに液体をつける工程であって、それにより、液体がネットワークを覆うように広がる、工程を含む。これは、例えば、ネットワークの機械、光、熱または電気特性を修飾または改良するために使用され得る。

本発明の別の実施形態において、液体は、溶質が溶解されている溶媒である。

本発明のさらに別の実施形態において、本発明による方法は、 支持体上に存在するネットワークを第3の基板と接触させる工程であって、第3の基板の表面エネルギーが準備基板の表面エネルギーより小さい、工程と、 ネットワークを、支持体から第3の基板に移動させる工程と、 を含む。

以下に記載する本発明の実施形態は、互いにいずれかの組み合わせで使用されてもよい。いくつかの実施形態が、本発明のさらなる実施形態を形成するために一緒に組み合わされてもよい。本発明に関する、製造物、方法または使用は、以下に記載する本発明の実施形態の少なくとも1つを含み得る。

以下において、本発明を添付の図面を参照して例示的な実施形態とともにより詳細に記載する。

図1aは、本発明の一実施形態による製造物の製造を概略的に示す、一連の図1a〜1dの第1の図である。

図1bは、本発明の一実施形態による製造物の製造を概略的に示す、一連の図1a〜1dの第2の図である。

図1cは、本発明の一実施形態による製造物の製造を概略的に示す、一連の図1a〜1dの第3の図である。

図1dは、本発明の一実施形態による製造物の製造を概略的に示す、一連の図1a〜1dの第4の図である。

図2aは、本発明の一実施形態による製造物の製造を概略的に示す、一連の図2a〜2dの第1の図である。

図2bは、本発明の一実施形態による製造物の製造を概略的に示す、一連の図2a〜2dの第2の図である。

図2cは、本発明の一実施形態による製造物の製造を概略的に示す、一連の図2a〜2dの第3の図である。

図3aは、本発明の一実施形態による製造物の製造を概略的に示す、一連の図3a〜3cの第1の図である。

図3bは、本発明の一実施形態による製造物の製造を概略的に示す、一連の図3a〜3cの第2の図である。

図3cは、本発明の一実施形態による製造物の製造を概略的に示す、一連の図3a〜3cの第3の図である。

図4は、本発明の一実施形態による方法を示すフローチャートである。

図5は、自立CNT膜からなるラウドスピーカの図である。

簡略化のために、以下の例示的な実施形態において、反復する構成要素の場合、項目番号は同じにする。

図1a〜1dは、本発明の一実施形態による製造物の製造手順を概略的に示す、一連の図である。各々の図の左側の図は、平面の準備基板1の表面に垂直な方向における構造の断面図である。各々の図の右側の図は、構造の上面図である。対応する方法のフローチャート図を図4に示す。

図1aおよび1bにおいて、実質的にランダムに配向されたCNTのネットワーク2(この実施形態および以下の本発明の実施形態において、CNT以外のHARM構造を含むネットワーク2もまた、考慮されてもよい)は、準備基板1に堆積される(図4における工程S1)。図1Cにおいて、中央に円形開口部(ホール)5を有するスライド状の平面支持体3が、CNT−ネットワーク2とごく近接しており、そのCNT−ネットワーク2に対してプレスされる(図4における工程S2およびS3)。ネットワーク2(または開口部5)の周辺領域4は、支持体3(またはネットワーク2)と接触しており、ネットワーク2は、スライド状の支持体3における開口部5を覆っている。最終的に、図1dにおいて、準備基板1は、CNT−ネットワーク2との接触から除去される(図4における工程S4)。この工程は、準備基板1より支持体3に対するネットワーク2のより強い接着によって可能となり、準備基板1と比べて支持体3のより高い表面エネルギーを生じる。準備基板1の表面エネルギーと支持体3の表面エネルギーとの差異により、ネットワーク2を破裂させる危険性を有さずに、容易に構造から準備基板1の除去が可能となる。また、例えば静電気力、求心力、接着力またはドラッグによって引き起こされる引力が、ネットワーク2を、準備基板1から支持体3に引き付けるために使用されてもよい。

図2a〜2cは、本発明の一実施形態による製造物の製造手順を概略的に示す、一連の図である。各々の図の左側の図は、平面の準備基板1の表面に垂直な方向における構造の断面図である。各々の図の右側の図は、構造の上面図である。

図2aおよび2bにおいて、実質的にランダムに配向されたCNTのネットワーク2は準備基板1に堆積され、この実施形態において、準備基板1は堆積前に支持体3に近接しているか、または支持体3と接触している。ネットワーク2は、準備基板1および支持体3の開口部5に堆積される。これは、選択的堆積プロセスまたは一般的なパターニング技術を用いる、堆積後のネットワーク2のパターニングによって達成され得る。ネットワーク2の選択的堆積は、例えば、支持体3および準備基板1の材料を適切に選択することによって達成され得る。準備基板1は、例えば、ガスが流れることを可能にする多孔性材料であってもよく、一方、支持体3は中実の無孔性材料であってもよい。次いで、CNTを含むネットワーク2は、多孔性準備基板1を通してCNTを含むガス流を誘導することによって気相から開口部5に選択的に堆積され得るが、一方、CNTの堆積は、CNT分子が支持体によって流れるだけであるので、無孔性支持体では生じない。この実施形態において、ネットワーク2(または開口部5)の周辺領域4は、支持体3(またはネットワーク2)と接触し、ネットワーク2は、開口部5の周辺領域4(図2bおよび図2cを参照のこと)を形成する垂直側壁に接着する。従って、ネットワーク2は支持体3における開口部5を覆う。図2cの半自立ネットワーク2を得るために、準備基板1は、最終的に、構造から容易に除去され得る。これは、周辺基板1より支持体3に対するネットワーク2のより強い接着により可能となり、準備基板1と比べて支持体3のより強い表面エネルギーを生じる。

部分的に、(半)自立膜は、例えば、液体または蒸気形態のエタノールでの緻密化によってさらに修飾されてもよい。半自立膜はまた、液体または蒸気形態の硝酸などの化学的処理を用いて、またはナノ粒子などの粒子のネットワーク2への堆積によって、またはCVD、ALDもしくはスパッタリングなどの技術によるネットワーク2上の膜の堆積によって機能化されてもよい。修飾は、例えばネットワーク2をガス流で支持体3に配置し、次いでネットワーク2を通して、および支持体3における開口部5を通してプロセスガスを誘導することによって実施されてもよい。

上述の修飾(処理)は、例えば、ネットワーク2の吸収効率、透過性、反射性、熱または電気伝導性、機械的強度、柔軟性または弾性、あるいは化学活性を変化させるために使用されてもよい。適切な処理を用いて、半自立膜は、例えば、レーザまたは光パルス整形器における光学素子、自立サーマルオーディオラウドスピーカ、エアロゾル粒子またはガスフィルタ、圧力、流量、粒子またはガスセンサ、あるいは受信器またはアンテナとして使用されてもよい。

さらに、半自立膜構造は、直接的な堆積が困難である表面を有する第3の基板6に堆積を作製するために使用されてもよい。それらの表面は、例えば、低い表面エネルギー(例えば、準備基板1より低い)、または粗面形態を有する表面であってもよい。これらの表面上の堆積は、まず半自立構造を生成し、次いでネットワーク2を第3の基板6にごく近接して配置することにより、膜が第3の基板6に引き付けられることによって達成され得る。

実際に、ネットワーク2は、例えば、支持体3上のネットワーク2を第3の基板6に対してプレスし、支持体3の開口部5上に存在するネットワーク2の自立領域を切断することによって、低表面エネルギーを有する第3の基板6に移され得る。上述の第3の基板上への堆積手段は、一連の図3a〜3cによって概略的に示される。図3aおよび3bは、処理の間の層化構造の断面を概略的に示し、図3cは、この処理の最終生成物の概略的な上面図である。図3bは、ネットワーク2を第3の基板6に移す前にネットワーク2が切断される方法を示す。ネットワークの切断は、支持体3における開口部5を介して容易に実施され得る。移動後、ネットワーク2の1つ以上の領域は支持体3に残され得る。

部分的に(半)自立構造は、それ自体、気相処理および修飾に十分に役立つ。なぜなら、支持体3上のネットワーク2はガス流に配置され得、プロセスガスが、ネットワーク2を通して、および支持体3における開口部5を通して容易に導入され得るからである。このような方法は、例えば、異種核生成(凝縮)またはネットワーク2上もしくはネットワーク2内への機械的濾過によって二次材料を堆積するために使用され得る。この種の技術はまた、例えば、ナノ粒子およびHARM構造を含む複合ネットワーク2を製造するために使用されてもよい。この場合、ナノ粒子はネットワーク2を通して誘導されるガスから濾過されてもよい。ネットワーク2におけるナノ粒子は、例えば、ネットワーク2の伝導性を増加させるために役立ち得る。抵抗加熱が複合ネットワーク2をさらに修飾するために使用されてもよい。

実施例1 SWCNT(単一の壁のあるカーボンナノチューブ)を、炭素源および触媒前駆体としてそれぞれ一酸化炭素およびフェロセンを用いてエアロゾル層流(浮遊触媒)リアクタ中で合成した。次いで、SWCNTマットを、2.45cm直径のニトロセルロース(または銀)ディスクフィルタ(Millipore Corp,USA)を通す濾過によってリアクタの気相下流から直接収集した。以下の実施例において、フィルタは準備基板1の役割を果たすが、準備基板1で繊維性材料のネットワーク2を得る他の手段も本発明により可能である。SWCNTの合成プロセスの詳細は、例えば、国際公開第2005/085130号に見出され得、その文献は本明細書に参照として組み込まれる。

フィルタ面(準備基板1)上の堆積温度を45℃になるように測定した。SWCNTのネットワーク2の層厚さを、所望のネットワーク厚さに依存して数分から数時間変更し得る、堆積時間により制御した。フィルタ1で収集した堆積は、ランダムな配向を有するSWCNTのネットワーク2であった。

その後、物理的圧縮を、ネットワーク2を支持体3に移すために使用した。圧縮は、例えば2つの並行なプレートの間に力を付与することによって達成され得、ここで、ネットワーク2および支持体3を含む準備基板1は、並行なプレートの間に配置される。ネットワーク2は、準備基板1と支持体3との間で圧縮されるので、ネットワーク2(または開口部5)の周辺領域4が支持体3(またはネットワーク2)と接触し、ネットワーク2の中央部分が支持体3における開口部5を覆うように、準備基板1を配置した。

SWCNTネットワーク2を、膜の中央部分に開口部5を有するポリエチレンテレフタレート(PET)ポリマー膜支持体3(Dupont Teijin)に移した。適切な柔軟性および表面エネルギーのために、この材料を選択した。

CNTネットワーク2のPET膜支持体3への移動および組み込みのために、HARM構造(この場合、CNT)を最初に準備基板1に堆積させた。圧縮後、準備基板1をCNTネットワーク2との接触から取り除いた。

さらなる処理において、および本発明の別の実施形態によれば、CNTのネットワーク2は、インターカレーション材料、例えばエタノールによって、準備基板1または支持体3上のいずれかで密度を高くされ得る。

上述の実施例において、準備基板1として作用するフィルタ、支持体3として作用するPET膜、および接着ファンデルワールス力の(および表面エネルギーにおける)差を、準備基板1から支持体3の周辺領域4上に、および支持体3の開口部5の上にネットワーク2を移すために使用した。エタノールによる緻密化を、SWCNTネットワーク2を修飾するために使用した。

膜の中央部分に開口部5を有するPET膜支持体3を平面に配置した。次いで、CNTネットワーク2でコーティングした準備基板1を、PET膜支持体3にごく近接して配置し、力を、約5〜10秒間、ネットワーク2(または開口部5)の周辺領域4においてPET支持体に対してネットワーク2をプレスするために付与した。ネットワーク2から準備基板1を除去した後、CNTネットワーク2は、驚くべきことに、半自立膜としてPET膜支持体3の開口部5の上に確実に存在することが見出された。

実施例2 ラウドスピーカ ランダムに配向された自立CNTの膜を、PET基板上のホールの上に移した(図5)。電源7(コンピュータ上のマイクロホン端子)を、電気ワイヤ8を用いてCNTを介して可変電流を駆動するために取り付けた。

エアロゾルフィルタ 高い多孔性および強度に起因して、ランダムに配向された自立CNT膜を、エアロゾルフィルタとして利用した。この目的のために、CNT膜を、ホールを完全に覆うために基板に取り付けた。この場合、エアロゾル粒子を、膜を通して流れを通過させることによって捕捉した。粒径および流速に依存して、フィルタの効率および品質の因子は、99.5〜99.9998%および20〜120の範囲であった。効率は、

のように算出し、式中、CinおよびCoutは、フィルタに侵入し、フィルタから出ていくエアロゾル濃度である。フィルタの品質は、その効率ならびに所定の粒径および圧力降下、Δp:

に基づいて算出した。

フィルタの品質の値が高くなるほど、より良いフィルタであることが示される。

白熱灯 自立CNT膜を、白熱灯におけるフィラメントとして使用した。この目的のために、光を得るために、CNTの膜を、2つのタングステンワイヤの間に吊るし、直流または交流のいずれかを用いて1200〜1400℃まで抵抗加熱した。それらのランダム配向および多くの相互接続に起因して、1400℃でさえも膜は損傷を受けておらず、放射光は膜全体にわたって均一なままであった。

可飽和吸収体 自立SWNT膜の別の重要な機能性は、レーザ構成要素−可飽和吸収体として示され得る。モードロックされたファイバーレーザ空洞における重要な要素は、パルス運転を開始する非線形要素である。本発明者らは、1.0、1.6および2.0μmの波長で作動するモードロックファイバーレーザに対する自立SWNT膜を実証した。

化学センサ 自立CNT膜の別の適用は、電極材料として電気分析において見出され得る。高い伝導性、表面積、電気化学的安定性、低いバックグラウンド電流および電気触媒性などのそれらの特異的性質に起因して、CNTを電気化学センシングのために使用した。本発明者らは、グルコースおよびドーパミンの電気化学的検出のための自立SWNT電極の優れたセンサ特性を示した。CNT膜を、ホールを完全に覆うためにホールを有するPET基板に移した。CNTおよびワイヤとの接触を、銀導体ペーストを用いて準備し、溶液の外側に維持した。CNT膜センサは、広範な濃度範囲(0.1〜100μM)および非常に低い検出限界(約100nM)を実証した。

当業者にとって明らかである場合、本発明は上記の例に限定されず、実施形態が、添付の特許請求の範囲の範囲内で自由に変更できる。

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