超微粒子二酸化チタンおよびその製造方法

申请号 JP2014536019 申请日 2013-09-05 公开(公告)号 JPWO2015033421A1 公开(公告)日 2017-03-02
申请人 昭和電工株式会社; 发明人 圭 水江; 正幸 三林;
摘要 本発明は、四塩化チタンを加 水 分解する製造工程において、四塩化チタンの反応転化率が80%以上100%未満の段階で、 硫酸 を添加することにより、平均1次粒子径(DBET)が小さく、水分吸着量が多い超微粒子二 酸化 チタンを提供できる。
权利要求

四塩化チタンを中で加水分解反応させる反応工程と、四塩化チタンの反応転化率が80%以上100%未満になった後、硫酸を添加する硫酸添加工程を含む、超微粒子二酸化チタンの製造方法。硫酸添加工程において、硫酸の添加を45〜75℃の間で行う、請求項1に記載の超微粒子二酸化チタンの製造方法。硫酸添加工程において、四塩化チタンと硫酸の総量に対する硫酸の割合〔H2SO4/(H2SO4+TiCl4)〕(mol%)は、4mol%〜33mol%である、請求項1又は請求項2に記載の超微粒子二酸化チタンの製造方法。硫酸添加工程において、硫酸濃度が40〜80質量%である硫酸水溶液を添加する、請求項1〜3に記載の超微粒子二酸化チタンの製造方法。反応工程において、四塩化チタン水溶液を常温から昇温する、請求項1〜4のいずれかに記載の超微粒子二酸化チタンの製造方法。限外濾過膜、逆浸透膜、イオン交換樹脂、及び電気透析膜の1種以上を用いて、加水分解反応で生成した二酸化チタンと塩酸を分離する脱塩素(Cl)工程を含む請求項1〜4のいずれかに記載の超微粒子二酸化チタンの製造方法。超微粒子二酸化チタンを乾燥する乾燥工程を含む請求項1〜6のいずれかに記載の超微粒子二酸化チタンの製造方法。BET比表面積から換算した平均1次粒子径(DBET)が2〜20nmであり、25℃、相対湿度90%(RH)で測定した水分吸着量が16〜35質量%である、超微粒子二酸化チタン。アナターゼ含有率が90質量%以上である、請求項8に記載の超微粒子二酸化チタン。残留塩素が0.1質量%以下であり、残留硫黄が0.1質量%以下である、請求項8又は9に記載の超微粒子二酸化チタン。請求項8〜10いずれかに記載の超微粒子二酸化チタン、または請求項1〜7のいずれかの方法によって得られた超微粒子二酸化チタンを含有する組成物。請求項8〜10のいずれかに記載の超微粒子二酸化チタン、または請求項1〜7のいずれかの方法によって得られた超微粒子二酸化チタンを含有する太陽電池用材料。請求項8〜10のいずれかに記載の超微粒子二酸化チタン、または請求項1〜7のいずれかの方法によって得られた超微粒子二酸化チタンを含有するリチウムイオン電池用電極材原料。請求項8〜10のいずれかに記載の超微粒子二酸化チタン、または請求項1〜7のいずれかの方法によって得られた超微粒子二酸化チタンから得られる誘電体原料。

说明书全文

本発明は、光触媒、太陽電池用材料、チタン酸リチウム(Li4Ti5O12)等のリチウムイオン電池用電極材原料、チタン酸バリウム(BaTiO3)等の誘電体原料として好適な超微粒子二酸化チタン及びその製造方法、並びにこの超微粒子二酸化チタンを含有する組成物、太陽電池用材料、リチウムイオン電池用電極材原料及び誘電体原料に関する。

二酸化チタンの工業的応用分野は極めて広く、化粧品、紫外線遮蔽材、シリコーンゴムへの添加剤を代表とし、近年では、光触媒、太陽電池用材料、リチウムイオン電池用電極材原料、誘電体原料など用途は多岐に亘っている。

リチウムイオン電池用電極材や高性能の誘電体原料として、超微粒子二酸化チタンが注目されている。一般に、超微粒子二酸化チタンの1次粒子径の範囲は明確に定義されてはいない。なお、通常は約100nm以下の微粒子に対して「超微粒子」の語が用いられるが、本発明の超微粒子二酸化チタンは、後述するように、BET比表面積から換算した平均1次粒子径(DBET)が2〜20nmの二酸化チタンである。

例えば、代表的なリチウムイオン電池用負極材であるLi4Ti5O12は、一般に、リチウム原料と二酸化チタンの固相反応によって得られる。具体的には、リチウム原料と二酸化チタンを均一に混合する工程、混合物を乾燥する工程及び熱処理する工程により製造される。 この混合工程では、リチウム原料をに分散させた液に酸化チタンを混合するが、リチウム原料としては、水酸化リチウム、酸化リチウム、炭酸リチウム等が使用できる。また、二酸化チタンとしてはルチル型よりも反応性の良いアナターゼ型や含水酸化チタンが好ましいとされている。

また、二酸化チタンは特に高性能の誘電体原料として注目されており、例えばBaTiO3の原料として使用される。このBaTiO3は、積層セラミックコンデンサーの誘電層の構成材料として用いられている。BaTiO3は加熱下で次の反応によって得られる。 BaCO3+TiO2 → BaTiO3+CO2 上記の反応は固相反応であり、高温でBaCO3が分解してBaOが生成し、BaOがTiO2粒子中を拡散固溶してBaTiO3になると言われている。従ってBaTiO3粒子の大きさは、原料であるTiO2粒子の大きさに影響を受ける。 近年、積層セラミックコンデンサーの小型化に伴って、誘電層の薄層化が課題となっており、BaTiO3粒子の微粒化が不可欠となっているため、BaTiO3の原料であるTiO2の微粒化も要求されている。

二酸化チタンは、上記のような各種用途に適用されるが、その機能を引き出す上で分散性の良いものであることが重要である。 たとえば、前記リチウム原料と二酸化チタンの固相反応では、両者の混合状態によって、その反応性や品質のバラツキが決まる。そのため、凝集が少なく分散性の高い二酸化チタンが必要である。分散性の低い二酸化チタンでは、凝集を解す工程が必要となり、解砕に過大なエネルギーを要したり、摩耗物の混入や粒度の不均一さ等の問題を引き起こしたりすることがある。また、二酸化チタンを光触媒として使用する際にも高い分散性が要求される。分散性が悪いと隠ぺいが強くなるため、使用できる用途が限定されてしまう。太陽電池の分野においても分散性の悪い二酸化チタンは光を透過しにくいため、光吸収に寄与できる二酸化チタンが限られてしまうため、光電変換効率を悪化させる。 また、二酸化チタンをリチウムイオン電池用電極材料や誘電体原料として用いる場合、1次粒子径が小さくリチウムイオン電池用電極材料や誘電体原料などに使用される他の原料との親和性に優れた、超微粒子二酸化チタンが求められている。

ところで、二酸化チタンの製造方法には、大別して、四塩化チタンを酸素又は水蒸気のような酸化性ガスと反応させる気相法と、四塩化チタンや硫酸チタニルを溶液中で加水分解させる液相法とがある。 気相法では結晶性が高く、分散性に優れた二酸化チタン粉末が得られるが、500℃を超える高温で反応させるため、粒成長や粒子同士の焼結が進行し、高い比表面積を有する二酸化チタンを効率的に得ることが難しい(特許文献1)。一方、液相法による二酸化チタンは、常温から高くても300℃程度の温度で生成するため、粒成長が抑えられ、超微粒子二酸化チタンが得られやすい。

液相法により高分散性の二酸化チタンを得る製造法としては、長期に渡ってスラリーの分散性を維持することを目的に、分散剤としてシリカ、アルミナ、又は有機化合物を二酸化チタン表面に修飾する例が報告されている。

しかしながら、これらの分散剤を用いる液相法は、二酸化チタンに対して不純物となる分散剤を加えることになるため、使用用途によっては適さないことがある。例えば、二酸化チタンを誘電体原料、太陽電池用材料用途、光触媒用途として使用する場合、塩素のように腐食性を有する成分が存在すると基材を腐食させたり、変質させたりするため、二酸化チタンの塩素含有量は低く抑える必要がある。また、電極材用途や誘電体原料では、鉄(Fe)、アルミニウム(Al)、珪素(Si)、硫黄(S)等の不純物は、その電気的特性に悪影響を及ぼすために極力避けねばならない。さらに、光触媒、太陽電池用材料用途で利用する際、二酸化チタン中のFeは着色原因となるため、Feを含む二酸化チタンは、透明性を要求される用途での使用に適さず、Al、S等の成分が多い二酸化チタンは、格子欠陥を生じてしまい、光触媒の性能を低下させる。

また、特許文献2には、四塩化チタンを水中で加水分解させた後、生成物を分離、乾燥して得られる超微粒子二酸化チタンを製造する方法が記載されている。しかし、特許文献2はブルーカイト型二酸化チタンを得る方法であり、また、BET法により測定した比表面積が200m2/g以下と低く、従って平均1次粒子径が大きい。

特開2006−265094号公報

特開2004−043304号公報

本発明の課題は、平均1次粒子径(DBET)が小さく、水分吸着量が多い超微粒子二酸化チタン及びその製造方法、並びにこの超微粒子二酸化チタンを含有する組成物、太陽電池用材料、リチウムイオン電池用電極材原料及び誘電体原料を提供することである。

本発明者らは、シリカ等の分散剤を二酸化チタン表面に修飾しなくても、分散性が高い超微粒子状二酸化チタンを得るべく種々研究した。その結果、四塩化チタンを加水分解する製造工程において、硫酸を添加することにより、微細な平均1次粒子径(DBET)を有し、25℃、相対湿度90%(RH)で測定した水蒸気の吸着量(水分吸着量)が多い超微粒子二酸化チタンを得られることを見出した。 このように本発明の超微粒子二酸化チタンは、平均1次粒子径(DBET)が小さい。また、本発明の超微粒子二酸化チタンは、水分吸着量が多いために、親水性が高く、水に分散させたときの分散性に優れるものと考えられる。更に、本発明の超微粒子二酸化チタンは、水分吸着量が多いために、リチウムイオン電池用電極材料又は誘電体の原料として用いたときに、その他の原材料、例えば、リチウム塩化合物、バリウム塩化合物等の金属塩化合物に対して、従来の超微粒子二酸化チタンよりも高い親和性を示すと考えられる。

すなわち、本発明は、以下の(1)〜(14)に示すとおりである。

(1)四塩化チタンを水中で加水分解反応させる反応工程と、四塩化チタンの反応転化率が80%以上100%未満になった後、硫酸を添加する硫酸添加工程を含む、超微粒子二酸化チタンの製造方法。 (2)硫酸添加工程において、硫酸の添加を、45〜75℃の間で行う、(1)に記載の超微粒子二酸化チタンの製造方法。 (3)硫酸添加工程において、四塩化チタンと硫酸の総量に対する硫酸の割合〔H2SO4/(H2SO4+TiCl4)〕(mol%)は、4mol%〜33mol%である(1)又は(2)に記載の超微粒子二酸化チタンの製造方法。 (4)硫酸添加工程において、硫酸濃度が40〜80質量%である硫酸水溶液を添加する、(1)〜(3)に記載の超微粒子二酸化チタンの製造方法。 (5)反応工程において、四塩化チタン水溶液を常温から昇温する、(1)〜(4)のいずれかに記載の超微粒子二酸化チタンの製造方法。 (6)限外濾過膜、逆浸透膜、イオン交換樹脂、及び電気透析膜の1種以上を用いて、加水分解反応で生成する二酸化チタンと塩酸を分離する脱塩素(Cl)工程を含む(1)〜(5)のいずれかに記載の超微粒子二酸化チタンの製造方法。 (7)超微粒子二酸化チタンを乾燥する乾燥工程を含む(1)〜(6)のいずれかに記載の超微粒子二酸化チタンの製造方法。 (8)BET比表面積から換算した平均1次粒子径(DBET)が2〜20nmであり25℃、相対湿度90%(RH)で測定した水分吸着量が、16〜35質量%である超微粒子二酸化チタン。 (9)アナターゼ含有率が、90〜100質量%である、(8)に記載の超微粒子二酸化チタン。 (10)残留塩素が0.1質量%以下であり、残留硫黄が0.1質量%以下である、(8)又は(9)に記載の超微粒子二酸化チタン。 (11)(8)〜(10)のいずれかに記載の超微粒子二酸化チタン、または(1)〜(7)のいずれかの方法によって得られた超微粒子二酸化チタンを含有する組成物。 (12)(8)〜(10)のいずれかに記載の超微粒子二酸化チタン、または(1)〜(7)のいずれかの方法によって得られた超微粒子二酸化チタンを含有する太陽電池用材料。 (13)(8)〜(10)のいずれかに記載の超微粒子二酸化チタン、または(1)〜(7)のいずれかの方法によって得られた超微粒子二酸化チタンを含有するリチウムイオン電池用電極材原料。 (14)(1)〜(3)のいずれかに記載の超微粒子二酸化チタン、または(1)〜(7)のいずれかの方法によって得られた超微粒子二酸化チタンから得られる誘電体原料。

本発明によれば、平均1次粒子径が小さく、従来の二酸化チタンに比べて水分吸着量が多い超微粒子二酸化チタン及びその製造方法、並びにこの超微粒子二酸化チタンを含有する組成物、太陽電池用材料、リチウムイオン電池用電極材原料及び誘電体原料が提供される。 本発明による二酸化チタンは、光触媒用途、太陽電池用材料用途、リチウムイオン電池用電極材用途、誘電体原料用途などに好適であり、特別な解砕処理や分散剤が不要であり、工業的に大きな価値のあるものである。

[超微粒子二酸化チタン] 本発明の超微粒子二酸化チタンは、BET比表面積から換算した平均1次粒子径(DBET)が2〜20nmであり、25℃、相対湿度90%(RH)で測定した水分吸着量が、16〜35質量%である超微粒子二酸化チタンである。

<平均1次粒子径(DBET)> 本発明の超微粒子二酸化チタンは、具体的には、後述する実施例に示す方法により算出されるBET比表面積から換算された平均1次粒子径(DBET)が2〜20nmであり、好ましくは2〜18nmであり、より好ましくは3〜15nmであり、更に好ましくは3〜7.5nmであり、より更に好ましくは3〜6nmである。DBETが2nm未満では、凝集性が強くなって分散できず、取り扱い上不便であり、20nmを超えると、本来の超微粒子二酸化チタンの性能が十分に発揮できない。

<水分吸着量> 本発明の超微粒子二酸化チタンは、後述する、25℃、相対湿度90%(RH)で測定される水分吸着量が、16〜35質量%であり、好ましくは18〜32質量%であり、より好ましくは19〜30質量%である。16質量%未満では、二酸化チタンの分散性および親和性の向上効果が得られないことがある。35質量%を超えるものは、水分の吸湿及び放湿が大きくなるため、重量の管理が必要となり、取り扱い性に劣る。

本発明の超微粒子二酸化チタンは、従来の超微粒子二酸化チタンよりも水分吸着量が多く、水分への親和性が高い。そのため、本発明の超微粒子二酸化チタンは、誘電体原料やリチウムイオン電池用電極材などに含有される、他の水分への親和性が高い原料である金属塩化合物との親和性にも優れていると考えられる。

本発明の超微粒子二酸化チタンは、具体的には、後述する実施例に示す方法により測定されるBET比表面積が75〜750m

2/gであり、好ましくは83〜750m

2/gであり、より好ましくは100〜500m

2/gであり、更に好ましくは200〜500m

2/gであり、より更に好ましくは250〜500m

2/gである。

<アナターゼ含有率> 本発明の二酸化チタンは誘電体原料やリチウムイオン電池用電極材原料として好適なアナターゼ結晶構造を主成分として含むことが好ましい。具体的には、後述する実施例に示す方法により測定されるアナターゼ含有率が90%以上であることがより好ましく、さらに好ましくは95%以上、よりさらに好ましくは100%である。アナターゼ含有率が90%以上であることで、誘電体原料などの複合酸化物への反応が効率的に進むので好ましい。

<元素含有率> 本発明の二酸化チタンは塩素(Cl)、及び硫黄(S)の含有率が、それぞれ好ましくは0.1質量%以下であり、より好ましくは0.08質量%以下であり、更に好ましくは0.05質量%以下である。下限値は特に制約はないが、製造方法のコスト的な観点から0.0001質量%以上が好ましい。 また、炭素(C)、アルミニウム(Al)、珪素(Si)、及び鉄(Fe)の各元素の含有率は、それぞれ好ましくは0.01質量%未満であり、より好ましくは0.005質量%未満であり、更に好ましくは0.001質量%未満である。下限値は特に制約はないが、製造方法のコスト的な観点から0.0001質量%以上が好ましい。二酸化チタンを誘電体原料等に用いる場合、例えばチタン酸バリウムの原料として使用する場合、誘電体原料合成時のバリウム源と二酸化チタンの混合比を厳密に管理する必要があるが、二酸化チタンに含まれる不純物が少なければ、得られるチタン酸バリウムの組成にズレが生じにくい。また、それらの不純物が少なければ混合比のズレを低減できるだけでなく、誘電特性に優れた原料を得ることができる。

[超微粒子二酸化チタンの製造方法] 次に本発明の超微粒子二酸化チタンの製造方法について説明する。本発明の超微粒子二酸化チタンの製造方法は、四塩化チタンを水中で加水分解反応させる反応工程と、四塩化チタンの反応転化率が80%以上100%未満になった後、硫酸を添加する硫酸添加工程を含む製造方法である。

また、本発明の方法によると、前記反応工程において、反応温度、反応転化率を特定の範囲に制御することによって、高い比表面積と水分吸着量を持つ超微粒子二酸化チタンを得ることができる。本発明の方法は、前記反応工程及び硫酸添加工程の他に、硫酸添加後の反応液を冷却する冷却工程、塩酸を除去する脱塩素(Cl)工程、二酸化チタンスラリーから超微粒子二酸化チタンを分離する工程、及び分離した超微粒子二酸化チタンを乾燥する工程の少なくとも1つの工程を含むことが好ましい。

次に、各工程について詳しく説明する。 <反応工程> 本工程では、四塩化チタンを水中で加水分解反応させる。 四塩化チタンが水中で加水分解反応すると、水酸化チタンが生成する。水酸化チタンが重縮合することで、二酸化チタンの核が生成し、その核が成長することで1次粒子となる。ここで生成する主な結晶型はアナターゼとルチルであるが、アナターゼが反応初期に生成し、塩酸の作用によってアナターゼが安定相であるルチルに変化していく。 本工程では、四塩化チタンと水とを混合して加水分解反応させてもよいが、四塩化チタン水溶液を用意しておき、当該四塩化チタン水溶液と水とを混合して加水分解反応させることが好ましい。これにより、加水分解反応速度を制御しやすいという利点がある。 また、本工程では、上記四塩化チタン又は四塩化チタン水溶液を水に滴下して、これらを混合することが好ましい。これにより、四塩化チタン又は四塩化チタン水溶液と水とをより均一に混合することができる。 本発明の反応工程では、反応槽内で水と四塩化チタン又は四塩化チタン水溶液を混合後、好ましくは45〜75℃の温度で反応させ、より好ましくは50〜75℃の温度で、更に好ましくは、50〜70℃の温度で反応させる。45℃以上では実用的な速度で反応が進行し、75℃以下だと、反応が急速に進み過ぎることを抑制でき、硫酸添加工程で添加する硫酸の効果が発揮される。

四塩化チタン水溶液と水とを混合して加水分解反応させる場合、使用する四塩化チタン水溶液に含まれるチタン(Ti)の濃度は5〜25質量%であることが好ましく、より好ましくは10〜20質量%であり、更に好ましくは15〜20質量%である。チタン(Ti)濃度が5質量%以上であれば、室温で水酸化チタンが析出しにくいため、保管上好ましく、また25質量%以下であれば凝集粒子が生じにくくなるため保管上好ましい。

また、四塩化チタン水溶液と水を混合した反応液中のチタン(Ti)濃度は、好ましくは0.05〜10質量%であり、より好ましくは1〜5質量%であり、更に好ましくは1〜3質量%であり、より更に好ましくは1〜2質量%である。当該Ti濃度が、0.05質量%以上であれば生産性が高く、当該Ti濃度が10質量%以下であれば、Ti濃度増加による反応性低下による収率低下を抑制できる。

一般に、四塩化チタンの加水分解による二酸化チタンの製造方法は、水と四塩化チタン又は四塩化チタン水溶液とを混合した後に、混合液を好ましくは常温から昇温して加水分解する方法が用いられる。この場合、四塩化チタンが均一な濃度分布を持つため、核生成が均一に生じるが、加水分解が昇温速度や加熱温度に依存するため、反応速度が比較的緩やかに進行する。昇温前の四塩化チタン水溶液の温度は特に限定されないが、好ましくは40℃以下、より好ましくは30℃以下、更に好ましくは25℃以下、より更に好ましくは20℃以下である。 また、昇温速度は、好ましくは、0.1〜0.8℃/分、より好ましくは0.2〜0.7℃/分、更に好ましくは0.3〜0.6℃/分、より更に好ましくは0.35〜0.45℃/分である。0.1℃/分以上の昇温速度であれば、実用的な反応速度で反応が進行するため、生産性を確保することが可能であり、0.8℃/分より緩やかな昇温速度であれば、粒子成長よりも核生成が支配的となり200m2/g以上の粒子が得易くなる場合がある。

水と四塩化チタン又は四塩化チタン水溶液とを混合して昇温していくと、しばらくして、白濁が見られ、粒子が得られる。反応は速やかに生じており、45〜75℃で核生成数が増加するため、200m2/g以上の微細な粒子が得られる。

混合に使用する撹拌装置は、一般に広く使用されている回転羽根撹拌機でよく、回転羽根の形状はプロペラ形、タービン形、櫛形など一般的なものでよく、混合性を高めるために、反応槽内に2つ以上の撹拌機を取り付けたり、バッフルを設置してもよい。また、回分反応器に限らず、反応槽を連続槽にして四塩化チタンと水を連続投入しながら、投入口の反対側で反応液を取り出すような連続槽型反応器、あるいは管型反応器も使用可能である。

<硫酸添加工程> 前記反応工程において、四塩化チタンの反応転化率が、80%以上、より好ましくは85%以上、更に好ましくは90%以上、より更に好ましくは95%以上、より更に好ましくは97%以上となったときに硫酸水溶液を添加する。四塩化チタンの反応転化率が80%未満であると、反応が十分進行せず、硫酸添加工程で添加する硫酸の効果が十分に発現しない。

硫酸添加工程では、硫酸の添加を45〜75℃の間で行うことが好ましい。45℃以上であると四塩化チタンの加水分解が十分に進み、75℃以下であると、硫酸溶液を添加した時の温度管理が容易に出来る。当該観点から、当該温度は、好ましくは50〜75℃、より好ましくは60〜75℃、更に好ましくは65〜75℃である。

硫酸添加工程で添加する硫酸水溶液中の硫酸濃度は、好ましくは40〜80質量%、より好ましくは45〜65質量%、更に好ましくは45〜60質量%、より更に好ましくは45〜55質量%である。40質量%以上の濃度であれば、前述した反応液に添加した時に、反応液の温度範囲が45〜75℃から外れないように調整できる。また、80質量%以下の濃度であれば、添加する際の突沸等を防止できる。 添加する硫酸水溶液は、市販の濃硫酸と水を混合して調整してもよいし、市販の希硫酸を用いても良く、特に方法は限定されない。

四塩化チタンと硫酸の総量に対する硫酸の割合〔H2SO4/(H2SO4+TiCl4)〕(mol%)は、4mol%〜33mol%であることが好ましい。33mol%以下であれば、硫酸を除去しやすく、不純物としてのSO4成分の増加を低減でき、使用用途が限定されなくなるため好ましい。また、4mol%以上であれば、硫酸の効果が発現し易い。当該観点から、当該硫酸の量は、より好ましくは8〜33mol%、更に好ましくは16〜33mol%、より更に好ましくは20〜28mol%である。

<冷却工程> 硫酸添加後の反応液は、アナターゼ含有率が90%以上の高い二酸化チタンを得るために、60℃以下になるように冷却することが好ましい。冷却工程は、ルチル型結晶の生成にも寄与し、反応液が60℃以上で維持される時間が短いほど、結晶型がアナターゼ型結晶からルチル型結晶に変化することが抑制できアナターゼ含有率が向上する。一般に、ルチル型結晶はアナターゼ型結晶よりも粒子表面が疎水的であり、ルチル粒子同士が凝集しやすく、分散性が低下する。

本発明の冷却工程において、冷却方法は限定されるものではない。熱交換器の使用、あるいは冷水や液体窒素等の液体を直接反応器に投入しても良く、さらに氷やドライアイスなどの固体の投入、N2や空気等のガスを吹き込んで冷却する方法が採用できる。

<脱塩素(Cl)工程> 本発明の脱塩素(Cl)工程は、四塩化チタンの加水分解によって発生した塩酸および添加した硫酸イオンを除去するためのものである。塩酸を分離する方法としては、限外濾過膜、逆浸透膜を用いて純水と置換する方法、あるいは電気透析膜やイオン交換樹脂を用いて脱イオンする方法でもよく、これらの中から1種以上組み合わせた方法が好ましい。これらの方法により、塩素イオンの他に、硫酸イオン等の他の陰イオンも除去することができる。 脱塩素(Cl)処理を行うことにより、高い分散性を持ち、不純物含有量の低い、高アナターゼ含有率の超微粒子二酸化チタンが得られる。 この脱塩素工程は、冷却工程の後又は硫酸添加工程の後に実施することが好ましく、冷却工程の後又に実施することがより好ましい。

<濾過工程および乾燥工程> 脱塩素(Cl)工程後の反応液を濾過、50〜200℃の温度で乾燥することにより、本発明の超微粒子二酸化チタンを好適に得ることができる。

[組成物、太陽電池用材料、リチウムイオン電池用電極材原料及び誘電体原料] 本発明の組成物は、前述の超微粒子二酸化チタンを含有するものである。同様に、本発明の太陽電池用材料、リチウムイオン電池用電極材原料及び誘電体原料は、それぞれ、前述の超微粒子二酸化チタンを含有するものである。 すなわち、本発明の超微粒子二酸化チタンは、平均1次粒子径(DBET)が小さくかつ水分吸着量が多いため、太陽電池用材料、リチウムイオン電池用電極材原料及び誘電体原料として好適である。

以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の例に限られるものではない。なお、実施例及び比較例において、二酸化チタンの各性状や四塩化チタンの反応転化率等については、以下に示す方法により測定、評価した。

[評価方法] <比表面積の測定> BET1点法による比表面積S(m2/g)を、島津製作所製比表面積測定装置(機種:フローソーブII、2300)で測定した。

<平均1次粒子径(DBET)の測定> BET1点法により、二酸化チタンの比表面積S(m2/g)を測定し、下式(1)より、平均1次粒子径DBET(nm)を算出した。 DBET=6000/(S×ρ) (1) ここでρは二酸化チタンの密度(g/cm3)を示す。本発明の二酸化チタンはアナターゼを主成分とするためρ=4.0とした。

<水分吸着量の測定> ガラスシャーレに二酸化チタン10gを乗せ、減圧下、120℃で2時間、恒温槽にて乾燥させ、そのときの二酸化チタンの重量を測定した。その後、25℃、相対湿度90%(RH)の恒温恒湿槽にて5時間以上放置することにより、水蒸気の吸着平衡に達した二酸化チタンの重量を測定した。これら測定値の差分から、吸着した水分の重量を求めた。次いで、下式(2)により、二酸化チタンに吸着した水分吸着量(質量%)を求めた。 水分吸着量(質量%)=吸着した水分重量/吸着試験前二酸化チタン重量×100 (2)

<アナターゼ含有率の測定> 二酸化チタンを乾燥させた粉末のX線回折測定を行い、アナターゼ型結晶に対応するピーク高さ(Haと略す。)、ブルッカイト型結晶に対応するピーク高さ(Hbと略す。)、及びルチル型結晶に対応するピーク高さ(Hrと略す。)から、下式(3)により算出した。 アナターゼ含有率(%)=[Ha/(Ha+Hb+Hr)]×100 (3) 粉末X線回折測定は、測定装置としてPANalytical社製「X’pertPRO」を用い、銅ターゲットを用い、Cu−Kα1線を用いて、管電圧45kV、管電流40mA、測定範囲2θ=10〜80deg、サンプリング幅0.0167deg、走査速度0.0192deg/sの条件でX線回折測定を行った。

<元素分析> 実施例及び比較例において、塩素(Cl)、C(炭素)、硫黄(S)、鉄(Fe)、アルミニウム(Al)及び珪素(Si)の含量の測定は下記の方法により行った。 塩素(Cl):二酸化チタンにフッ酸水溶液を添加しマイクロウェーブで加熱溶解させた液を、硝酸銀による電位差滴定法で測定。 硫黄(S):高周波誘導炉燃焼・赤外線吸収法で測定。 炭素(C):高周波誘導炉燃焼・赤外線吸収法で測定。 鉄(Fe):原子吸光法で測定。 アルミニウム(Al)及び珪素(Si):蛍光X線分析法(XRF)で測定。

<四塩化チタンの反応転化率測定> 四塩化チタンの加水分解反応中、反応液をサンプリングし、濾過により生成した二酸化チタンを除去した濾液について、ICP発光分光分析を行ってTiの強度を測定した。また、予め既知の濃度のチタン(Ti)水溶液についてICP発光分光分析を行い、Tiの強度とTi濃度との関係を示す検量線を作成した。そして、上記濾液のTi強度と検量線とから残っている四塩化チタン水溶液のチタン(Ti)濃度を求めた。 また、使用したイオン交換水と四塩化チタン水溶液の量から混合液中における未反応のTi濃度を算出した。そして、これら反応前後におけるTi濃度から、反応転化率を計算した。

実施例1 イオン交換水690mLを櫛形撹拌機付き反応槽に投入した。約300rpmで攪拌し、ここに室温(20℃)の四塩化チタン水溶液50g(Ti濃度18質量%)を滴下し、反応槽内で撹拌混合した。四塩化チタン水溶液の投入後に昇温速度0.4℃/分で昇温し、70℃にした。その時点でサンプリングして、反応転化率を測定したところ、95%だった。反応時間は、表1に示すとおりであった。 その後、予め濃度を調整した希硫酸(濃度50質量%)を、反応槽に10g添加した。添加後、氷浴中で60℃以下まで冷却した。続いて、反応で生じた塩酸および硫酸イオンを電気透析装置にて除去し、二酸化チタンスラリーを得た。この二酸化チタンスラリーを100℃の乾燥機で乾燥させた後に、乳鉢にて解砕し二酸化チタンとした。測定結果等を表1に示す。

実施例2 四塩化チタンの投入後における昇温速度を0.2℃/分とし、55℃に達するまで昇温し、反応転化率92%の時点で硫酸を添加した以外は実施例1と同様にして、二酸化チタンを得た。測定結果等を表1に示す。

実施例3 四塩化チタンの投入後における昇温速度を0.1℃/分とし、45℃に達するまで昇温し、反応転化率90%の時点で硫酸を添加した以外は実施例1と同様にして、二酸化チタンを得た。測定結果等を表1に示す。

比較例1 四塩化チタンの投入後における昇温速度を0.1℃/分とし、40℃に達するまで昇温し、反応転化率75%のときに硫酸を添加した以外は実施例1と同様にして、二酸化チタンを得た。測定結果等を表1に示す。

比較例2 四塩化チタンの投入後における昇温速度を0.4℃/分とし、80℃に達するまで昇温した。この時の反応転化率は97%であった。その後、硫酸を添加しなかった以外は実施例1と同様にして、二酸化チタンを得た。測定結果等を表1に示す。

比較例3 イオン交換水690mLを櫛形撹拌機付き反応槽に投入し、95℃に昇温した。約300rpmで攪拌し、温度を95℃に保ちながら室温(20℃)の四塩化チタン水溶液50g(Ti濃度18質量%)を30秒間で滴下し、反応槽内で撹拌混合し、95℃で4分間維持した。その後、硫酸を添加せずに、反応槽を氷浴中で1分未満で50℃まで冷却した(40秒かけて60℃まで冷却した)。それ以外は実施例1と同様にして、二酸化チタンを得た。測定結果等を表1に示す。

表1に示す結果から、四塩化チタンの反応転化率が90%を超えた後、硫酸を添加することにより、比表面積が大きいだけでなく、25℃、相対湿度90%(RH)で測定した水分吸着量が多い超微粒子二酸化チタンが得られることが判った。比較例1では、四塩化チタンの反応転化率が75%と低い時点で硫酸水溶液を添加したため、比表面積は270m2/gと実施例並みであるにも拘わらず、水分吸着量が低かった。 また、硫酸を添加しなかった比較例2は、比表面積が301m2/gと超微粒子二酸化チタンであるが、水分吸着量が実施例の半分程度であった。比較例3は、比表面積は実施例より高いものの、硫酸を添加しなかったため水分吸着量が低かった。

本発明の超微粒子二酸化チタンは、平均1次粒子径(DBET)が小さく、水分吸着量が多いことから、粒子表面の親水性が高く、特に、太陽電池用材料、誘電体原料、リチウムイオン電池用電極材等で混合される副原料との親和性に優れることが考えられ、きわめて有用な特性を持った超微粒子二酸化チタンである。

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