船舶の設備管理システム、設備管理プログラムおよび設備管理方法

申请号 JP2016240443 申请日 2016-12-12 公开(公告)号 JP6388020B2 公开(公告)日 2018-09-12
申请人 栗田工業株式会社; 发明人 福澤 耕太郎; 原田 要; 角田 和彦; 八木 稔;
摘要
权利要求

船舶に搭載されて薬剤投与により処理を行う少なくともバラスト水処理設備、ボイラ設備および造水処理設備から取得した各状態情報を集合させ、この集合した各状態情報から選択された一つの状態情報または2以上の状態情報を含み、かつ該状態情報に設備の水種別情報が関連付けられた告知情報を船舶から無線により取得する通信部と、 前記船舶から取得した前記告知情報から前記バラスト水処理設備、前記ボイラ設備または前記造水処理設備の前記状態情報を抽出し、蓄積されている複数の前記状態情報から算出した平均値と、算出した前記状態情報の変化速度から前記状態情報のトレンドを診断する機能、平均値化およびトレンドの診断を介して指標値化した前記状態情報を解析する機能、この解析機能で得られた指標値と異常判定閾値との対比により設備の異常を診断する機能により前記バラスト水処理設備、前記ボイラ設備または前記造水処理設備に少なくとも必要な薬剤情報を含む管理情報を生成し、該管理情報を少なくとも前記告知情報を送出した船舶に対して前記通信部に送出させる処理部と、 を備えることを特徴とする設備管理システム。前記処理部は、前記告知情報を送出した船舶の所有者または管理者に対して前記管理情報を前記通信部に送出させることを特徴とする請求項1記載の設備管理システム。前記管理情報は、さらに航海日誌情報またはバラスト処理報告に使用する報告書情報を含むことを特徴とする請求項1または請求項2記載の設備管理システム。前記処理部は、前記バラスト水処理設備、前記ボイラ設備および前記造水処理設備の各設備に必要な薬剤の残量を管理し、前記薬剤の残量に応じて前記薬剤を前記船舶の寄港地に手配することを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の設備管理システム。船舶に搭載されて薬剤投与により水処理を行う少なくともバラスト水処理設備、ボイラ設備および造水処理設備から取得した各状態情報を集合させ、この集合した各状態情報から選択された一つの状態情報または2以上の状態情報を含み、かつ該状態情報に設備の水種別情報が関連付けられた告知情報を生成する処理部と、 前記処理部で生成された前記告知情報を無線により管理サーバ側に送信するとともに、前記告知情報から前記バラスト水処理設備、前記ボイラ設備または前記造水処理設備の前記状態情報を抽出し、蓄積されている複数の前記状態情報から算出した平均値と、算出した前記状態情報の変化速度から前記状態情報のトレンドを診断する機能、平均値化およびトレンドの診断を介して指標値化した前記状態情報を解析する機能、この解析機能で得られた指標値と異常判定閾値との対比により設備の異常を診断する機能を備える前記管理サーバで生成された前記バラスト水処理設備、前記ボイラ設備または前記造水処理設備に少なくとも必要な薬剤情報を含む管理情報を無線で受信し、この管理情報を前記処理部に送出する通信部と、 を備え、 前記処理部は、前記管理情報を提示することを特徴とする設備管理システム。コンピュータにより実行される設備管理プログラムであって、 船舶に搭載されて薬剤投与により水処理を行う少なくともバラスト水処理設備、ボイラ設備および造水処理設備から取得した各状態情報を集合させ、この集合した各状態情報から選択された一つの状態情報または2以上の状態情報を含み、かつ該状態情報に設備の水種別情報が関連付けられた告知情報を生成する機能と、 前記告知情報から前記バラスト水処理設備、前記ボイラ設備または前記造水処理設備の前記状態情報を抽出し、蓄積されている複数の前記状態情報から算出した平均値と、算出した前記状態情報の変化速度から前記状態情報のトレンドを診断する機能、平均値化およびトレンドの診断を介して指標値化した前記状態情報を解析する機能、この解析機能で得られた指標値と異常判定閾値との対比により設備の異常を診断する機能により前記バラスト水処理設備、前記ボイラ設備または前記造水処理設備に必要な薬剤情報を含む管理情報を生成する機能と、 前記告知情報または前記管理情報を送出する機能と、 を前記コンピュータにより実現するための設備管理プログラム。船舶に搭載されて薬剤投与により水処理を行う少なくともバラスト水処理設備、ボイラ設備および造水処理設備から取得した各状態情報を集合させ、この集合した各状態情報から選択された一つの状態情報または2以上の状態情報を含み、かつ該状態情報に設備の水種別情報が関連付けられた告知情報を生成するステップと、 前記告知情報から前記バラスト水処理設備、前記ボイラ設備または前記造水処理設備の前記状態情報を抽出し、蓄積されている複数の前記状態情報から算出した平均値と、算出した前記状態情報の変化速度から前記状態情報のトレンドを診断する機能、平均値化およびトレンドの診断を介して指標値化した前記状態情報を解析する機能、この解析機能で得られた指標値と異常判定閾値との対比により設備の異常を診断する機能により前記バラスト水処理設備、前記ボイラ設備または前記造水処理設備に必要な薬剤情報を含む管理情報を生成するステップと、 前記告知情報または前記管理情報を送出するステップと、 を含むことを特徴とする設備管理方法。

说明书全文

本発明は、船舶に搭載されるバラスト処理設備、ボイラ設備および造水処理設備などの水処理設備や環境関連設備を含む各種設備の遠隔管理に用いられる管理技術に関する。

船舶はバラスト水処理設備、ボイラ設備、造水処理設備など、種々の設備が搭載されている。たとえば、タンカーでは搭載したバラスト水を寄港地の港で排出して原油などを搭載する処置が取られる。出航地で搭載したバラスト水には出航地の生物が含まれており、航行中または寄港地でバラスト水の殺滅処理を行い、寄港地の基準に適合した状態でバラスト水を排出する必要がある。

このようなバラスト水処理に関し、IMO(International Maritime Organization:国際海事機関)が定めた水管理基準を達成するようにバラスト水を処理することが知られている(たとえば、特許文献1)。

特開2009−112978号公報

ところで、船舶では搭載されたバラスト水処理設備、ボイラ設備、造水処理設備など、種々の設備が搭載され、少なくともバラスト水処理設備、ボイラ設備、造水処理設備などは薬剤を投与して清浄化するなどの処理が必要な水処理に関連する。

従来、バラスト水処理設備、ボイラ設備、造水処理設備などの各設備の管理を船舶側だけでなく、管理センターなどの陸上側で行うには、バラスト水処理設備、ボイラ設備または造水処理設備から得られた状態情報などを個別に陸上側に通知し、陸上側から船舶に対し個別に管理を行うことが必要であった。このような管理は、単一の船舶であっても相当な手数や時間を要し、世界各地に点在する多数の船舶を対象とすれば、管理は複雑化し、迅速な対応ができないという課題があった。適切な対応ができなければ、バラスト水の排出に制限を受けるなど、原油の積込みなどに支障を来すことになる。また、航行中にバラスト水の殺滅処理を行うとしても、必要な薬剤が欠乏すれば、その処理の遅延などを来たし、寄港地で不足した薬剤を調達することが必要となるし、いずれの薬剤が必要であるかの判断も船舶と管理センターとの間で情報交換することが必要となる。そして、バラスト水のみならず、他のボイラ設備、造水処理設備などの各設備についても同様の管理が必要となる。このような管理は船舶の安全航行にも関連する重要な事項である。

そこで、本発明の目的は、上記課題に鑑み、少なくともバラスト水処理設備、ボイラ設備、造水処理設備から得られる各状態情報から選択される一または複数の状態情報の組み合わせないし一括的な管理を実現することにある。

上記目的を達成するため、本発明の船舶の設備管理システムの一側面によれば、船舶に搭載されて薬剤投与により水処理を行う少なくともバラスト水処理設備、ボイラ設備および造水処理設備から取得した各状態情報を集合させ、この集合した各状態情報から選択された一つの状態情報または2以上の状態情報を含み、かつ該状態情報に設備の水種別情報が関連付けられた告知情報を船舶から無線により取得する通信部と、前記船舶から取得した前記告知情報から前記バラスト水処理設備、前記ボイラ設備または前記造水処理設備の前記状態情報を抽出し、蓄積されている複数の前記状態情報から算出した平均値と、算出した前記状態情報の変化速度から前記状態情報のトレンドを診断する機能、平均値化およびトレンドの診断を介して指標値化した前記状態情報を解析する機能、この解析機能で得られた指標値と異常判定閾値との対比により設備の異常を診断する機能により前記バラスト水処理設備、前記ボイラ設備または前記造水処理設備に少なくとも必要な薬剤情報を含む管理情報を生成し、該管理情報を少なくとも前記告知情報を送出した船舶に対して前記通信部に送出させる処理部とを備えればよい。

上記船舶の設備管理システムにおいて、前記処理部は、前記告知情報を送出した船舶の所有者または管理者に対して前記管理情報を前記通信部に送出させてもよい。

上記船舶の設備管理システムにおいて、前記管理情報は、さらに航海日誌情報またはバラスト処理報告に使用する報告書情報を含んでいてもよい。

上記船舶の設備管理システムにおいて、前記処理部は、前記バラスト水処理設備、前記ボイラ設備および前記造水処理設備の各設備に必要な薬剤の残量を管理し、前記薬剤の残量に応じて前記薬剤を前記船舶の寄港地に手配してもよい。

上記目的を達成するため、本発明の船舶の設備管理システムの一側面によれば、船舶に搭載されて薬剤投与により水処理を行う少なくともバラスト水処理設備、ボイラ設備および造水処理設備から取得した各状態情報を集合させ、この集合した各状態情報から選択された一つの状態情報または2以上の状態情報を含み、かつ該状態情報に設備の水種別情報が関連付けられた告知情報を生成する処理部と、前記処理部で生成された前記告知情報を無線により管理サーバ側に送信するとともに、前記告知情報から前記バラスト水処理設備、前記ボイラ設備または前記造水処理設備の前記状態情報を抽出し、蓄積されている複数の前記状態情報から算出した平均値と、算出した前記状態情報の変化速度から前記状態情報のトレンドを診断する機能、平均値化およびトレンドの診断を介して指標値化した前記状態情報を解析する機能、この解析機能で得られた指標値と異常判定閾値との対比により設備の異常を診断する機能を備える前記管理サーバで生成された前記バラスト水処理設備、前記ボイラ設備または前記造水処理設備に少なくとも必要な薬剤情報を含む管理情報を無線で受信し、この管理情報を前記処理部に送出する通信部とを備え、前記処理部は、前記管理情報を提示する

上記目的を達成するため、本発明の船舶の設備管理プログラムの一側面によれば、コンピュータにより実行される設備管理プログラムであって、船舶に搭載されて薬剤投与により水処理を行う少なくともバラスト水処理設備、ボイラ設備および造水処理設備から取得した各状態情報を集合させ、この集合した各状態情報から選択された一つの状態情報または2以上の状態情報を含み、かつ該状態情報に設備の水種別情報が関連付けられた告知情報を生成する機能と、前記告知情報から前記バラスト水処理設備、前記ボイラ設備または前記造水処理設備の前記状態情報を抽出し、蓄積されている複数の前記状態情報から算出した平均値と、算出した前記状態情報の変化速度から前記状態情報のトレンドを診断する機能、平均値化およびトレンドの診断を介して指標値化した前記状態情報を解析する機能、この解析機能で得られた指標値と異常判定閾値との対比により設備の異常を診断する機能により前記バラスト水処理設備、前記ボイラ設備または前記造水処理設備に必要な薬剤情報を含む管理情報を生成する機能と、前記告知情報または前記管理情報を送出する機能とを前記コンピュータにより実現する

上記目的を達成するため、本発明の船舶の設備管理方法の一側面によれば、船舶に搭載されて薬剤投与により水処理を行う少なくともバラスト水処理設備、ボイラ設備および造水処理設備から取得した各状態情報を集合させ、この集合した各状態情報から選択された一つの状態情報または2以上の状態情報を含み、かつ該状態情報に設備の水種別情報が関連付けられた告知情報を生成するステップと、前記告知情報から前記バラスト水処理設備、前記ボイラ設備または前記造水処理設備の前記状態情報を抽出し、蓄積されている複数の前記状態情報から算出した平均値と、算出した前記状態情報の変化速度から前記状態情報のトレンドを診断する機能、平均値化およびトレンドの診断を介して指標値化した前記状態情報を解析する機能、この解析機能で得られた指標値と異常判定閾値との対比により設備の異常を診断する機能により前記バラスト水処理設備、前記ボイラ設備または前記造水処理設備に必要な薬剤情報を含む管理情報を生成するステップと、前記告知情報または前記管理情報を送出するステップとを含めばよい。

本発明によれば、次のいずれかの効果が得られる。

(1) 遠隔地で航行する船舶からの告知情報に含まれる少なくともバラスト水処理設備、ボイラ設備および造水処理設備から得られる各状態情報からバラスト水処理設備、ボイラ設備および造水処理設備の状態を船舶と離れた管理センターでタイムリーに監視できる。

(2) 管理センターから船舶に必要な管理情報の提供ができるとともに、船舶側でその管理情報に基づいた処置を迅速に取ることができる。

そして、本発明の他の目的、特徴および利点は、添付図面、実施の形態および実施例を参照することにより、一層明確になるであろう。

一実施の形態に係る船舶の設備管理システムの一例を示す図である。

船舶側の処理シーケンスを示す図である。

Aは管理センター側の処理シーケンスを示す図、Bは船舶側の処理シーケンスを示す図である。

実施例1に係る船舶の設備管理システムの一例を示す図である。

設備情報の一例を示す図である。

船舶・設備データの一例を示す図である。

管理・処理データの一例を示す図である。

データ処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。

管理サーバのハードウェア構成の一例を示す図である。

バラスト水処理設備の一例を示す図である。

バラスト水の給水処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。

バラスト水の排水処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。

ボイラ設備の一例を示す図である。

ボイラ設備の処理手順の一例を示すフローチャートである。

循環水の補給処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。

造水処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。

設備データ送信処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。

管理・処理データの作成および出処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。

管理センターの変形例を示す図である。

給排水ラインの変形例を示す図である。

船舶選択画面の一例を示す図である。

水処理状況画面の一例を示す図である。

トレンド表示画面の一例を示す図である。

積算表示画面の一例を示す図である。

管理データ表示画面の一例を示す図である。

薬剤情報表示画面の一例を示す図である。

概要報告書の一例を示す図である。

詳細報告書の一例を示す図である。

報告書の他の例を示す図である。

データ処理装置側の管理・処理データの出力処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。

管理サーバ側の管理・処理データの出力処理の処理手順の一例を示すフロー-チャートである。

薬剤の手配処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。

一実施の形態に係る船舶の設備管理システム2によれば、図1に示すように、船舶4および管理センター6が含まれる。船舶4にはバラスト水処理設備8、ボイラ設備10、造水処理設備12など複数の設備とともに、処理部14および通信部16が搭載されている。一例である船舶4は各地の海洋を航行し、無数の船舶のうちの一つを示している。バラスト水処理設備8は、船舶4に搭載されたバラスト水の殺菌などを行う機能、TRO(Total Residual Oxidants)計、水質分析計などの分析機能を含む。ボイラ設備10は船舶4内で使用される蒸気、高温水、温水などを生成し、バルブ開閉機能、水質分析計などの分析機能などを包含する。造水処理設備12はたとえば、海水などを原水とし、船舶4内の使用に供する飲料水や冷却水などを製造する機能、バルブ開閉機能、水質分析計などの分析機能などを包含する。これらバラスト水処理設備8、ボイラ設備10、造水処理設備12は殺菌、濾過などの水処理を必要とする設備の一例であり、各設備には情報処理や制御を行うコンピュータが搭載されている。

処理部14はバラスト水処理設備8、ボイラ設備10、造水処理設備12に有線または無線で接続され、船舶4の設備管理に必要な情報処理を担当し、たとえば、コンピュータで構成される。この処理部14で実行される処理には、少なくともバラスト水処理設備8、ボイラ設備10および造水処理設備12から得られる各状態情報から選択される一つの状態情報または2以上の状態情報の組合わせ情報を含む告知情報を生成する。そして、通信部16は処理部14で生成された告知情報を無線により送信する。

通信部16から送出された告知情報は、公衆無線通信装置の一例である公衆無線通信衛星18を介して管理センター6に到達する。この管理センター6には、通信部20および処理部22が備えられる。通信部20は船舶4側の通信部16と公衆無線通信を媒介としてタイムリーに接続される。この通信部20の機能は、既述の告知情報を船舶4から無線により取得する。告知情報には既述の通り、船舶4に搭載された少なくともバラスト水処理設備8、ボイラ設備10および造水処理設備12から得られる各状態情報から選択された一つの状態情報または2以上の状態情報が含まれる。

処理部22は管理センター6に設置されたコンピュータシステムなどの情報処理設備の一例である。この処理部22では、船舶4から取得した告知情報からバラスト水処理設備8、ボイラ設備10または造水処理設備12の状態情報を抽出し、バラスト水処理設備8、ボイラ設備10または造水処理設備12が必要とする少なくとも必要な薬剤情報を含む管理情報を生成し、該管理情報を通信部20から、少なくとも告知情報を発した船舶4に向けて送信する。

なお、この実施の形態では船舶4および管理センター6で設備管理システム2を構成しているが、この設備管理システム2が船舶4側の処理部14および通信部16と管理センター6を以て構成してもよい。

<船舶4の処理シーケンス> この船舶の設備管理システム2によれば、船舶4側の処理部14により、図2に示す処理が実行される。この処理はプログラムによって実行される機能または管理方法の一例である。図2において、ステップSは処理段階を示す。 バラスト水処理設備8では、薬品処理が行われ(ステップS101)、薬品の効果やバラスト水の水質などの状態情報の取出し(ステップS102)が行われ、この状態情報が処理部14に送出される(ステップS103)。 ボイラ設備10ではボイラ制御が行われ(ステップS104)、ボイラ制御や水質などの状態情報の取出し(ステップS105)が行われ、この状態情報が処理部14に送出される(ステップS106)。 造水処理設備12では造水処理が行われ(ステップS107)、造水処理の制御状態や製造された水の水質などの状態情報の取出し(ステップS108)が行われ、この状態情報が処理部14に送出される(ステップS109)。

処理部14では提供された各状態情報を集合させる情報処理が実行される(ステップS110)。この集合情報処理に基づき、各状態情報から一つの状態情報または2以上を含む告知情報が生成される(ステップS111)。この告知情報は、処理部14から通信部16に送出される(ステップS112)。 そして、通信部16は処理部14で制御される定期的または管理センター6からの指示情報を受け、告知情報を管理センター6に向けて送信する(ステップS113)。

<管理センター6および船舶4の処理シーケンス> 図3のAは管理センター6側の処理シーケンスを示し、図3のBは船舶4側の処理シーケンスを示す。各処理はプログラムによって実行される機能または管理方法の一例である。図3において、ステップSは処理段階を示す。

管理センター6では図3のAに示すように、通信部20が船舶4からの告知情報を受信すると(ステップS121)、この告知情報が処理部22に提供される。処理部22では、告知情報の解析を実行し(ステップS122)、解析結果として管理情報を生成し(ステップS123)、この管理情報を通信部20に送出する(ステップS124)。通信部20はこの管理情報を船舶4、つまり告知情報を発した船舶4に向けて送信する(ステップS125)。

船舶4では図3のBに示すように、通信部16が管理センター6から管理情報を受信すると(S131)、受信した管理情報が通信部16から処理部14に提供される。処理部14では、管理情報の解析を行い(ステップS132)、その解析結果として解析情報の提示を行う(ステップS133)。この解析情報は、該当するバラスト水処理設備8、ボイラ設備10、造水処理設備12に提供され、または処理部14で制御される表示手段に表示される。この管理情報に基づき、バラスト水に対する薬剤など、各設備8、10、12に対して必要な処置を行えばよい。

<一実施の形態の効果> (1) この設備管理システム2によれば、バラスト水処理設備8、ボイラ設備10、造水処理設備12の各状態情報が一括管理され、一括情報である告知情報をタイムリーに管理センター6で受けることができる。バラスト水処理設備8、ボイラ設備10、造水処理設備12の各状態情報を個別に独立して告知し、その告知に基づいて必要な処置を施す場合に比較し、必要な情報の入手から薬剤などの発注、必要な操作や制御などを迅速化できる。

(2) 各地に点在する複数の船舶4からの告知情報を船舶毎に管理することができ、管理の簡易化と処理の迅速化を図ることができる。

(3) 薬剤や必要な技術者の調達など、寄港地に対して船舶4の寄港を待たずに必要な対応を取ることができる。

実施例1について、図4を参照して説明する。図4は実施例1に係る船舶の設備管理システムの一例を示す図である。図1と同一または対応する部分には同一符号を付してある。設備管理システム2には、船舶4と、管理センター6とが備えられる。船舶4にはバラスト水処理装置8−1、ボイラ装置10−1、造水装置12−1などの水処理に関連する水処理設備とともに、制御装置14−1、記憶部14−2、通信装置16−1アンテナ16−2が搭載されている。管理センター6は、管理サーバ23と、データベース24とを備えている。船舶4と管理センター6は、無線により接続される。

バラスト水処理装置8−1はバラスト水処理設備8の一例である。このバラスト水処理装置8−1にはバラスト水処理の制御や処理の状態情報を出力する制御部8−2が備えられる。ボイラ装置10−1はボイラ設備10の一例である。このボイラ装置10−1にはボイラ制御や水質などの制御状態を表す状態情報を出力する制御部10−2が備えられる。また、造水装置12−1は造水処理設備12の一例である。この造水装置12−1には造水制御や水質などの制御の状態情報を出力する制御部12−2が備えられる。

制御装置14−1および記憶部14−2は処理部14の一例である。制御装置14−1は、記憶部14−2にあるプログラムを実行し、各制御部8−2、10−2、12−2との連係を図る。つまり、制御装置14−1では各制御部8−2、10−2、12−2から出力される複数の状態情報の提供を受け、一または2以上の状態情報からなる告知情報を生成する。

制御装置14−1で生成された告知情報は通信部16の一例である通信装置16−1およびアンテナ16−2を通し、制御装置14−1の制御によって通信装置16−1に接続されるアンテナ16−2から管理センター6に向けて送信される。

制御装置14−1は、バラスト水処理装置8−1、ボイラ装置10−1、および造水装置12−1に有線または無線で接続され、少なくともバラスト水処理装置8−1、ボイラ装置10−1および造水装置12−1から得られる設備データ11を通信装置16−1および公衆無線通信衛星18を介して管理センター6に送信する。設備データ11は、一実施の形態で示した状態情報および告知情報の一例である。

制御装置14−1には記憶部14−2が備えられ、情報処理機能を備えるコンピュータを含み、たとえばパーソナルコンピュータ(PC)、タブレットPCまたはスマートフォンである。制御装置14−1は、バラスト水処理装置8−1、ボイラ装置10−1、および造水装置12−1から受けた設備データ11を記憶部14−2に記憶し、この設備データ11に設備を特定するための設備指標を付加し、設備指標を付した設備データ11を通信装置16−1に出力する。

この制御装置14−1の制御、情報処理では、たとえば一設備の水種別毎に設備データ11を組合わせ、一設備の水種別毎に設備データ11に設備指標を付加する。組合わせる他の設備データ11がない場合などでは、一設備データ11に設備指標を付加してもよい。このようにして設備指標を付した設備データ11は、単独で出力してもよく、複数の設備データ11を組合わせて、定期または不定期にまとめて出力してもよい。このようなデータの組み合わせ処理により設備データ11が集合化される。

設備指標は、たとえば管理サーバ23側から提供を受けた設備情報に基づき付加すればよい。たとえば設備や水種別毎に設定されている設備情報中のファイル名を設備指標として使用することができる。この場合、制御装置14−1は、設備や水種別に対応するファイル名を設備データ11に付ければよい。

制御装置14−1は、更に管理センター6から受ける管理・処理データ(管理/処理データ)30を記憶、表示または印刷する。管理・処理データ30は、一実施の形態で示した管理情報の一例である。

バラスト水処理装置8−1は、船舶の安定に用いられるバラスト水を処理する装置である。このバラスト水は、たとえば船底のタンクに注入される。このバラスト水処理装置8−1は、制御部8−2の制御により、たとえば、2004年2月に採択された「船舶バラスト水および沈殿物の管制および管理のための国際条約」(以下「バラスト水管理条約」という)の附属書である「バラスト水および沈殿物の管制および管理規則」のD節に規定されている「バラスト水管理基準」を満たすようにバラスト水を処理する。バラスト水処理装置8−1は、バラスト水の注水時に、次亜塩素酸ナトリウムや次亜塩素酸カルシウムなどの塩素系活性物質の殺滅剤をバラスト水に注入し、微生物等を殺滅させる。また、バラスト水処理装置8−1は、バラスト水を排水する前に、中和剤でバラスト水を中和する。バラスト水処理装置8−1では、バラスト水処理装置8−1の稼動情報、バラスト水の水質、バラスト水の注水量、バラスト水の排水量、バラスト水の残量などが設備データ11として管理されるほか、殺滅剤や中和剤などの薬剤の使用量およびその残量などが設備データ11として管理される。

ボイラ装置10−1は、船舶4の航行に必要な蒸気または船内で必要な蒸気を生成する。このボイラ装置10−1は、たとえば主エンジンの蒸気タービンを駆動するための蒸気を生成する主ボイラ、排ガスの熱で蒸気を生成する排ガスボイラ、油の燃焼熱で蒸気を発生させる油焚きボイラ、または油焚きボイラに排ガスを通して蒸気を発生させるコンポジットボイラである。ボイラ装置10−1での蒸気の生成には、処理水BWが使用される。この処理水BWは、長時間の使用により濃縮され、処理水BWに含まれる不純物によって配管内にスライムやスケールが発生する。そのため、ボイラ装置10−1では、処理水BWの水質が定期または不定期に測定および分析されるとともに管理される。ボイラ装置10−1では、ボイラ装置10−1の稼動情報、ボイラ装置10−1で使用される処理水BWの水質などの情報が設備データ11として管理されるほか、スケール防止剤、防食剤、スラッジ分散剤、殺菌剤、スライム防止剤などのボイラ装置10−1で使用される薬剤の残量などが設備データ11として管理される。

造水装置12−1は、船舶4で生じた使用済みの水、雨水などの淡水または海水から清水を生成する。この清水は、たとえば電気二重層によるイオン除去、脱塩処理、電気透析、逆浸透膜によるろ過、または蒸留により生成される。生成した清水は、たとえば、ボイラ装置10−1の処理水BW、冷却設備の冷却水、生活用水および雑用水に用いられる。この造水装置12−1で生成した清水の水質は、定期または不定期に測定および分析され、管理される。造水装置12−1では、造水装置12−1の稼動情報、造水装置12−1で生成した清水の水質などの情報が設備データ11として管理されるほか、スケール防止剤、防食剤、ミネラル剤および水配管タンクの洗浄剤などの造水装置12−1で使用される薬剤の残量が設備データ11として管理される。

通信装置16−1は、公衆無線通信衛星18を介して陸上側と通信する無線通信装置の一例である。この通信装置16−1には、アンテナ16−2が備えられ、制御装置14−1に接続される。通信装置16−1は、制御装置14−1から受信した設備データ11を無線信号に変調し、この無線信号をアンテナ16−2から出力する。また、通信装置16−1は、アンテナ16−2で受信した無線信号をデータに復調し、制御装置14−1に出力する。

公衆無線通信衛星18は、たとえばインマルサット衛星等の通信衛星である。この公衆無線通信衛星18は、通信装置16−1と陸上側に設置された通信設備26とを無線で接続する。つまり、通信装置16−1および通信設備26は、公衆無線通信衛星18を介して無線で通信する。公衆無線通信衛星18および通信設備26による無線通信回線は、たとえば通信会社の提供を受ければよい。

通信設備26は、通信ネットワーク27を介して管理センター6に接続している。通信ネットワーク27は、データを伝送させる通信回線の一例であり、データを伝送できればよく、たとえばインターネット、またはイントラネットである。

管理サーバ23は、通信装置16−1から受ける設備データ11に基づきバラスト水処理装置8−1、ボイラ装置10−1、造水装置12−1などの水処理設備を管理する管理装置の一例である。この管理サーバ23は、通信装置16−1から受ける設備データ11をデータベース24が記憶する設備情報に関連付けて船舶・設備データ(船舶&設備データ)28を生成し、この船舶・設備データ28をデータベース24に記憶させる。管理サーバ23は、設備データ11を定期または不定期に受け、これらの設備データ11から生成する船舶・設備データ28をデータベース24に記憶させる。このため、データベース24には、船舶・設備データ28が蓄積される。

管理サーバ23は、船舶・設備データ28を用いて、水処理設備に係る管理・処理データ30を船舶毎に生成し、この管理・処理データ30を、たとえばデータベース24に記憶させ、船舶に関わる顧客に通信ネットワーク27を介して提供する。船舶に関わる顧客は、たとえば設備データ11を発した船舶4、この船舶4を所有する船舶所有者(たとえば船舶所有会社)および船舶4を管理する船舶管理者(たとえば船舶管理会社)である。管理サーバ23は、管理・処理データ30のデータベース24への記憶、顧客への提供を繰り返す。したがって、データベース24には、管理・処理データ30が蓄積され、設備データ11の一括的な管理および一括的な顧客への提供が図られている。

管理・処理データ30は、たとえば設備データ11の解析結果、水処理設備の診断結果、または設備データ11の傾向を表すトレンドグラフに係るデータであり、水処理設備の処理データまたは管理データの少なくともいずれかを含む。処理データは、水処理設備の処理状態を表すデータであり、たとえば水処理設備による処理量、水処理設備への薬剤の注入量、水処理設備で使用する水または水処理設備で生成する水の計測または分析結果を含む。管理データは、水処理設備の管理に必要なデータであり、たとえば水処理設備に使用する薬剤の貯留量、温度もしくは濃度などの薬剤情報、水処理設備の警報履歴、水処理設備の電力消費量、バラスト水の注水場所情報、およびバラスト水の排水場所情報を含む。これらのデータは一例であり、既述のデータに本発明が限定されるものではない。処理データおよび管理データの両方に該当するデータについては、処理データまたは管理データの何れかとして扱えばよい。

管理・処理データ30は、たとえば管理サーバ23が含むデータ解析機能、データ診断機能およびデータ加工機能を用いて生成すればよい。管理サーバ23のデータ解析機能は、データベース24に記憶されている船舶・設備データ28を解析し、たとえば船舶・設備データ28に含まれる設備データ11の平均値を生成し(設備データ11の平均値化)、設備データ11の上昇速度や下降速度等を計算し、設備データ11のトレンド(傾向)を診断する(トレンド診断)。また、データ解析機能は、設備データ11の平均値化およびトレンド診断を介して設備データ11を指標値化し、この指標値化された設備データ11を解析する。管理サーバ23のデータ診断機能は、解析したデータを診断し、たとえばデータ解析機能で得られた指標値を設備異常の判定に用いる閾値と対比し、水処理設備の異常を検出および診断する。管理サーバ23のデータ加工機能は、表示や印刷に適した様式にデータを加工し、たとえば異なる時間に得られる同種の時系列データに基づき卜レンドグラフを生成するなど、設備データ11を加工する。

データベース24は、バラスト水処理装置8−1、ボイラ装置10−1、造水装置12−1などの水処理設備に係るデータを蓄積および整理する。データベース24は、たとえば磁気記憶装置、光ディスク、半導体メモリ等の記憶装置で形成される。また、データベース24は、たとえばクラウドコンピューティングなどのネットワークサービスであって、管理センター6の外部に設置してもよい。データベース24は、運転データベースと、設備情報データベースとを含んでいる。運転データベースは、船舶・設備データ28や管理・処理データ30を保存する。設備情報データベースは、各水処理設備の設置船舶、設備名称、設備種別、および設備仕様を含む設備情報を記憶する。この設備情報データベースには、さらに船舶の運航計画や船舶設備のメンテナンス履歴等の設備情報が記憶されていてもよい。この設備情報データベースは、管理対象の水処理設備が複数ある場合に設定すればよい。データベース24は、管理サーバ23に有線または無線で接続される。

<設備情報> 図5は、設備情報データベースに記憶される設備情報の一例を示している。

設備情報34は、たとえば船舶コード36、船舶名情報38、設備コード40、設備名情報42、水種別名情報44およびファイル名情報46を含む。船舶コード36および船舶名情報38は、顧客が保有する船舶を表す。船舶コード36は、たとえば10桁の文字列「ABCDEFG001」であって、アルファベット、数字またはアルファベットと数字の組み合わせからなる。船舶名情報38は、船舶コード36に対応し、たとえば企業名「A株式会社」と船舶名「AAA」を含む。

設備コード40および設備名情報42は、船舶4に設置される水処理設備を表す。設備コード40は、たとえば7桁の文字列「ABCD001」であって、アルファベット、数字またはアルファベットと数字の組み合わせからなる。設備名情報42は、設備コード40に対応し、「バラスト水処理設備」、「ボイラ設備」、「造水処理設備」等の設備名を含む。水種別名情報44は、各設備で処理している水の種別を表し、たとえば「バラスト水」、「処理水」、「清水」等の処理水名を含む。この処理水名に列挙されている処理水のデータは、船舶側で採取され、陸地側で分析および管理される。

ファイル名情報46は、通信装置16−1が管理サーバ23に設備データ11を送信する際のデータ送信仕様を表している。管理サーバ23は、設備データ11に付されたファイル名を設備情報34のファイル名情報46と対比し、設備データ11に係る設備を特定し、設備データ11を設備情報34に関連付ける。ファイル名情報46は、たとえば送信用CSVファイル名であり、一例として「UploadFile001.csv」である。

<船舶・設備データ28> 図6は、船舶・設備データ28の一例を示している。

船舶・設備データ28は、たとえば日付情報48、時刻情報50、船舶コード36、設備コード40、水種別名情報44、設備データ52およびセンサ校正日情報54を含む。設備データ52は、船舶4から受信した設備データ11をデータベース化したデータである。船舶コード36は、設備データ52を送信した船舶4を特定するための情報であり、設備コード40および水種別名44は、設備データ52に係る設備や水種別を特定するための情報である。日付情報48は、設備データ52が採取され、または分析された日付を表し、時刻情報50は設備データ52が採取され、または分析された時刻を表す。センサ校正日情報54は、設備データ52の取得または分析に用いたセンサの校正日を表す。

設備データ52は、図6のBに示すように、たとえばバラスト水の注水量、バラスト水の排水量、バラスト水のTRO濃度、殺滅剤の使用量、中和剤の使用量などである。TROは、総残留酸化物であって、バラスト水中の微生物等の殺滅指標およびバラスト水の中和指標の一例である。また、設備データ52は、たとえば処理水の溶存成分濃度、イオン濃度、電気伝導度などである。この船舶・設備データ28は一例であって、設備の稼働状態を示す情報として、設備の起動開始または停止を表す稼動情報、設備で処理、生成または使用する水の水量、水圧情報、または設備で処理、生成または使用する水の処理に用いる薬剤の投入量等の情報をさらに含んでいてもよい。

<管理・処理データ30> 図7は、管理・処理データの一例を示している。この管理・処理データ30は、たとえば船舶コード36、設備コード40、水種別名情報44、日付情報48、時刻情報50および設備データ52を含む。この管理・処理データ30では、特定の船舶4、設備の水に係る設備データ52が集められている。この管理・処理データ30では、時刻情報50が異なる特定の設備データ52が時系列に格納され、時間経過に係る設備データ11の傾向が示されている。この管理・処理データ30は、トレンドグラフの生成に使用することができる。管理・処理データ30は、図7に示すような表形式に限定されるものではなく、設備データ11の解析結果または設備の診断結果を示すような形式でデータベースに記憶していてもよい。

<処理部14> 図8は、処理部14のハードウェア構成の一例を示している。処理部14の制御装置14−1は、通信部56と、プロセッサ58と、表示部62と、入力部64と、I/O(Input-Output)66とを備える。

通信部56は、水処理設備および通信装置16−1に接続し、水処理設備および通信装置16−1とデータを通信する。通信部56は、たとえばRS−232C、USB(Universal Serial Bus)等のシリアル通信ケーブルやLAN(Local Area Network)ケーブルを介して有線でバラスト水処理装置8−1、ボイラ装置10−1、造水装置12−1などの水処理設備および通信装置16−1に接続する。また、通信部56は、たとえばWi−Fi(Wireless Fidelity)等の無線LANを介して無線で水処理設備および通信装置16−1に接続してもよい。

プロセッサ58は、情報を処理する情報処理部の一例であり、たとえば中央処理装置(Central Processing Unit:CPU)である。プロセッサ58は、メモリ部60に記憶されているOS(Operating System)および設備管理プログラムを実行し、各種の情報処理を行う。また、プロセッサ58が実行する情報処理は、通信部56での通信制御、表示部62での表示制御、入力部64での入力制御、およびI/O66での入出力制御を含む。

メモリ部60は、プロセッサ58が実行するOSや設備管理プログラム等のプログラムを記憶するとともに、水処理設備から受信した設備データ11、管理サーバ23から受信した設備情報34および管理・処理データ30を記憶する記憶装置の一例である。メモリ部60はプロセッサ58の制御により各種情報の記憶または読出しが行われる。メモリ部60にはROM(Read-Only Memory)、RAM(Random-Access Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、NAND型フラッシュメモリ、NOR型フラッシュメモリなどの記憶素子の一つまたは複数が備えられる。この記憶素子にはハードディスク装置や半導体記憶装置を用いてもよい。

表示部62は、たとえば液晶ディスプレイ、LED(Light Emitting Diode)ディスプレイまたは有機ELディスプレイ等のディスプレイを含み、管理サーバ23から取得した管理・処理データ30に基づき設備データ11の解析結果、水処理設備の診断結果、またはトレンドグラフ等を表示する。入力部64は、たとえばキーボード、マウス、タッチパネルまたはハードウェアキーであり、ユーザによる操作を受け付け、この操作に基づく操作情報を生成し、プロセッサ58に出力する。入力部64は、たとえば制御装置14−1を使用するユーザのID(Identification)や、制御装置14−1のロックを解除するためのパスワ一ドの入力を受け付ける。I/O66は、周辺装置に接続し、周辺装置とデータを通信する。周辺装置は、たとえば外付けの表示装置、外付けの入力装置またはプリンタである。

<管理サーバ23> 図9は管理サーバのハードウェア構成の一例を示している。この管理サーバ23は、通信部20と、プロセッサ70、メモリ部72およびI/O74を含む処理部22を備える。図1と同一部分には同一符号を付している。

通信部20は、通信ネットワーク27に接続し、通信ネットワーク27とデータを通信する。通信部20は、たとえばLANケーブル等を用いて有線で通信ネットワーク27に接続する。通信部20は、たとえばWi−Fi等の無線LANを介した無線で通信ネットワーク27に接続してもよい。

プロセッサ70は、情報を処理する情報処理部の一例であり、たとえば中央処理装置である。プロセッサ70は、メモリ部72に記憶されているOSおよび設備管理プログラムを実行し、既述のデータ解析機能、データ診断機能、およびデータ加工機能を実行し、データベース24にデータを読み書きするとともに管理・処理データ30を提供する。

メモリ部72は、プロセッサ70が実行するOSや設備管理プログラム等のプログラムを記憶する記憶装置の一例である。また、メモリ部72は、船舶・設備データ28、管理・処理データ30または設備情報34の記憶に用いられてもよい。メモリ部72はプロセッサ70の制御により各種情報の記憶または読出しが行われる。メモリ部72にはROM、RAM、EEPROM、NAND型フラッシュメモリ、NOR型フラッシュメモリなどの記憶素子の一つまたは複数が備えられる。この記憶素子にはハードディスク装置や半導体記憶装置を用いてもよい。

I/O74は、既述の表示装置、入力装置、データベース24に接続されて、画像データの入出力や、入力装置の操作により生成される操作情報の入力、データベース24とのデータの送受に用いられる。

<バラスト水処理設備8> 図10は、バラスト水処理装置8−1およびその制御部を含むバラスト水処理設備の一例を示している。

バラスト水処理装置8−1は、バラストタンク76と、バラストタンク76に接続された給排水ライン78と、給排水ライン78に接続された殺滅剤供給ライン80および中和剤供給ライン82とを備えている。

給排水ライン78は、主ライン83を備え、この主ライン83にバラスト注水弁84、バラストポンプ(B.P)86、ミキサー88、バラスト流量計(F1)90、バラストタンク入口弁92を備えている。バラスト注水弁84は、海からバラスト水を取り込む注水口(S.C)の下流に設置され、弁の開閉により注水口から給水されるバラスト水を通過または閉止する。バラストポンプ86は、バラスト注水弁84の下流側に設置され、駆動によりバラスト水をミキサー88に流す。ミキサー88は、バラストポンプ86の下流に設置され、バラストポンプ86とミキサー88の間に注入される殺滅剤または中和剤をバラスト水に混合する。バラスト流量計90は、ミキサー88の下流に設置され、殺滅剤または中和剤を含むバラスト水の流量を計測する。バラストタンク入口弁92は、バラスト流量計90の下流に設置され、弁の開閉によりバラスト水を通過または閉止する。バラストタンク入口弁92を通過したバラスト水は、バラストタンク76に注がれる。

給排水ライン78は、更に主ライン83に並設する分岐ライン94、および排水ライン98を備え、この分岐ライン94にバラストタンク出口弁96を備え、排水ライン98にバラスト排水弁100を備える。分岐ライン94の一端は、バラストタンク入口弁92とバラストタンク76の間に接続し、他端は、バラスト注水弁84とバラストポンプ86の間に接続する。排水ライン98は、バラスト流量計90とバラストタンク入口弁92の間で主ライン83に接続する。この分岐ライン94および排水ライン98は、バラスト水の排水に用いられる。

バラストタンク出口弁96は、弁の開閉により分岐ライン94中のバラスト水を通過または閉止する。バラスト排水弁100は、弁の開閉により排水ライン98中のバラスト水を通過または閉止する。バラスト注水弁84およびバラストタンク入口弁92を閉じ、バラストタンク出口弁96およびバラスト排水弁100を開けると、バラスト水の排水経路が形成される。バラストポンプ86を稼働させると、バラストタンク76内のバラスト水は、分岐ライン94、バラストポンプ86、ミキサー88、バラスト流量計90の順に流れ、排水ライン98を通って排水口から海に排水される。

給排水ライン78は、重力注排水ライン102と、重力注排水弁104とを備える。重力注排水ライン102は、分岐ライン94をバラストポンプ86とミキサー88の間の主ライン83に接続する。重力注排水ライン102に配置された重力注排水弁104を開けると、バラストポンプ86を迂回する迂回路が形成され、重力によるバラスト水の給水または排水が可能になる。

給排水ライン78は、更にバイパスライン106を備え、このバイパスライン106にバイパス弁108を備えてもよい。バイパスライン106およびバイパス弁108は、バラストポンプ86からミキサー88までのラインの迂回路を形成する。

この給排水ライン78は、さらにバラスト水のTROを測定する第1のTRO計(TRO1)110−1および第2のTRO計(TRO2)110−2を備えている。TRO計110−1は、重力注排水ライン102の接続点とミキサー88の間に設定された第1のTRO計測点のTROを計測する。この第1のTRO計測点では、TRO計110−1は、中和剤の注入前の高濃度のTROを計測する。第1のTRO計測点での計測結果は、バラスト流量計90の流量とともにバラスト水排水時の中和剤の注入量の決定に用いられる。TRO計110−1は、さらにバラスト流量計90とバラストタンク入口弁92の間に設定された第2のTRO計測点のTROを計測する。この第2のTRO計測点では、TRO計110−1は、殺滅剤の注入後の高濃度のTROを計測する。第2のTRO計測点での計測結果は、殺滅剤注入後のTROの濃度が適正であるか否かの判断及び殺滅剤の注入量のフィードバック制御に用いられる。TRO計110−2は、バラスト流量計90とバラストタンク入口弁92の間の第3のTRO計測点のTROを計測する。第3のTRO計測点では、TRO計110−2は、中和剤の注入後のTROを計測する。第3のTRO計測点での計測結果は、中和剤によるバラスト水の中和が適正であるか否かの判断に用いられる。これらのTRO計110−1、110−2は、たとえばDPD(ジエチル−P−フェニレンジアミン)吸光光度法を用いた計測器である。このDPD吸光光度法を用いたTRO計は、DPD試薬を添加したバラスト水の光の吸収割合から、残留塩素濃度を計測する。

殺滅剤供給ライン80は、第1のTRO計測点とミキサー88の間の主ライン83に接続し、バラスト水に殺滅剤を注入する。殺滅剤供給ライン80は、殺滅剤冷却チラー112と、殺滅剤タンク114と、殺滅剤注入ポンプ(P)116と、殺滅剤流量計(F1)118とを備える。

殺滅剤冷却チラー112は、殺滅剤を冷却する冷却装置の一例である。殺滅剤冷却チラー112は、殺滅剤タンク114に接続され、殺滅剤タンク114内の殺滅剤をたとえば2〜20℃の範囲、好ましくは2〜10℃の範囲に冷却し、殺滅剤の温度上昇による劣化を抑制する。殺滅剤注入ポンプ116は、殺滅剤タンク114内の殺滅剤を、殺滅剤流量計118を介してバラスト水に注入する。殺滅剤流量計118は、バラスト水に注入される殺滅剤の流量を計測する。

中和剤供給ライン82は、第1のTRO計測点とミキサー88の間の主ライン83に接続し、バラスト水に中和剤を注入する。中和剤供給ライン82は、中和剤溶解槽120と、中和剤タンク122と、中和剤注入ポンプ(P)124と、中和剤流量計(F1)126と、中和剤供給弁128とを備える。中和剤溶解槽120は、攪拌装置を備え、所定の濃度の中和剤を作り、中和剤を一定の期間維持する。中和剤には、たとえば亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム(亜硫酸水素ナトリウム)、チオ硫酸ナトリウムなどを用いることができる。中和剤には、特にチオ硫酸ナトリウムを用いるのが好ましい。中和剤溶解槽120は、中和剤の原料が不足した際に原料の補充を警告する警報装置を備える。この中和剤溶解槽120は、中和剤供給弁128を介して中和剤タンク122に接続している。中和剤供給弁128を開けると、中和剤溶解槽120内の中和剤が中和剤タンク122に移動する。中和剤注入ポンプ124は、中和剤タンク122内の中和剤を、中和剤流量計126を介してバラスト水に注入する。中和剤流量計126は、バラスト水に注入される中和剤の流量を計測する。

このバラスト水処理設備8は、さらにバラスト水処理設備8を制御する制御部130を備えている。この制御部130は、制御部8−2の一例であり、各弁、各ポンプ、各計測器および殺滅剤冷却チラー112に接続し、各計測器の計測値を受け、各弁の開閉、各ポンプの運転もしくは停止、および殺滅剤冷却チラー112の稼働もしくは停止を制御する。また、制御部130は、各計測器、各弁、各ポンプ、および殺滅剤冷却チラー112から得る設備データ11を作業日時とともに記録し、制御装置14−1に送信する。

バラスト水処理設備8は、たとえばカメラを含む撮影装置132−1、132−2、132−3を備える。撮影装置132−1は、ミキサー88、バラスト流量計90およびTRO計110−1、110−2の周辺に設置され、ミキサー88、バラスト流量計90およびTRO計110−1、110−2を撮影する。撮影装置132−2は、殺滅剤供給ライン80の周辺に設置され、殺滅剤供給ライン80を撮影する。撮影装置132−3は、中和剤供給ライン82の周辺に設置され、中和剤供給ライン82を撮影する。撮影装置132−1、132−2、132−3の撮影結果は、制御部130を介してまたは撮影装置132−1、132−2、132−3から直接、船舶4のネットワークに配信され、または通信装置16−1を介して管理サーバ23に送信される。

<バラスト水処理設備8の処理手順> 図11は、バラスト水の給水の処理手順の一例を示し、図12は、バラスト水の排水の処理手順の一例を示している。これらの処理は、バラスト水処理設備8の制御部130で実行される。各処理はプログラムによって実行される機能または管理方法の一例である。図11、12において、ステップSは処理段階を示す。

バラスト水の給水処理では、制御部130は、バラスト注水弁84およびバラストタンク入口弁92を開き(ステップS211)、バラストポンプ86および殺滅剤注入ポンプ116を運転し(ステップS212)、バラスト水の給水および殺滅剤の注入を開始する。制御部130は、既述の第2のTRO計測点でのTRO計110−1の計測結果に基づき、殺滅剤の注入量を調整する(ステップS213)。この注入量の調整は、たとえば殺滅剤注入ポンプ116の調整により行われる。バラスト水のTROの濃度は、Cl2としてたとえば2〜30〔mg/L〕に調整される。

制御部130はバラスト水の注入終了か否かを判断し(ステップS214)、終了でない場合(ステップS214のNO)、ステップS213およびステップS214を繰り返す。バラスト水の注入終了である場合(ステップS214のYES)、制御部130は、バラストポンプ86および殺滅剤注入ポンプ116を停止し(ステップS215)、バラスト水の給水および殺滅剤の注入を終了する。また、制御部130は、バラスト注水弁84およびバラストタンク入口弁92を閉じ(ステップS216)、バラスト水の給水の処理を終了する。

このバラスト水の給水処理において、制御部130は、バラスト流量計90が計測したバラスト水の流量、および殺滅剤流量計118が計測した殺滅剤の流量、TRO計110−1が計測したTROの濃度を作業日時とともに記録する。バラスト水の流量から、バラストタンク76内のバラスト水量などが得られ、殺滅剤の流量から、殺滅剤タンク114内の殺滅剤の残量などが得られる。制御部130は、記録したこれらの設備データ11を制御装置14−1に送信する。

バラスト水の排水処理では、制御部130は、バラストタンク出口弁96およびバラスト排水弁100を開き(ステップS221)、バラストポンプ86および中和剤注入ポンプ124を運転し(ステップS222)、バラスト水の排水および中和剤の注入を開始する。制御部130は、既述の第1のTRO計測点でのTRO計110−1の計測結果に基づき、中和剤の注入量を調整し(ステップS223)、既述の第3のTRO計測点でのTRO計110−2の計測結果に基づき中和後のバラスト水のTROを確認する(ステップS224)。この中和剤の注入量の調整は、たとえば中和剤注入ポンプ124の調整により行われる。中和後のバラスト水のTROの濃度は、Cl2としてたとえば0.5〜3〔mg/L〕に調整される。

制御部130はバラスト水の排水終了かを判断し(ステップS225)、終了でない場合(ステップS225のNO)、ステップS223からステップS225を繰り返す。バラスト水の排水終了である場合(ステップS225のYES)、制御部130は、バラストポンプ86および中和剤注入ポンプ124を停止し(ステップS226)、バラスト水の排水および中和剤の注入を終了する。また、制御部130は、バラストタンク出口弁96およびバラスト排水弁100を閉じ(ステップS227)、バラスト水の排水処理を終了する。

このバラスト水の排水処理において、制御部130は、バラスト流量計90が計測したバラスト水の流量、および中和剤流量計126が計測した中和剤の流量、TRO計110−1、110−2が計測したTROの濃度を作業日時とともに記録する。バラスト水の流量から、バラストタンク76内のバラスト水量が得られ、中和剤の流量から、中和剤タンク122内の中和剤の残量が得られる。制御部130は、記録したこれらの設備データ11を制御装置14−1に送信する。

<ボイラ設備10> 図13は、ボイラ設備の一例を示している。ボイラ設備10は、ボイラ装置10−1と、循環装置138と、給水装置140と、制御部10−2の一例である制御部142とを備える。

ボイラ装置10−1は、たとえばコンポジットボイラであり、主機関から排出される排ガス熱および油焚きによる熱の熱交換により水から蒸気を生成する。ボイラ装置10−1は、筐体144と、主機煙管146と、油焚き部148と、油焚き煙管150とを備える。主機煙管146、油焚き部148、油焚き煙管150は、筐体144内に配置され、筐体144内の処理水BWが主機煙管146、油焚き部148および油焚き煙管150の放熱により加熱され、蒸気室152に蒸気が生成される。生成された蒸気は、船舶4の蒸気ラインに送られる。

循環装置138は、蒸気ラインから回収される蒸気を処理水BWに戻し、この処理水BWをボイラ装置10−1に戻す手段の一例であり、復水装置154と、給水タンク156と、給水ポンプ158とを備える。復水装置154は、蒸気ラインから回収した蒸気を冷却して処理水BWに戻す。復水装置154の処理水BWは、給水タンク156に送られ、給水タンク156に溜められる。給水ポンプ158は、給水タンク156の処理水BWをボイラ装置10−1に供給する。このボイラ設備10では、ボイラ装置10−1および循環装置138により循環経路が形成されている。

給水装置140は、処理水BWを補給する処理水補給手段の一例である。処理水BWは、既述の循環経路外に蒸発し、時間経過につれて減少する。給水装置140は、処理水BWを補給し、処理水BWの量を維持する。給水装置140は、補給水タンク162と、補給水ポンプ164と、流量計166と、薬剤タンク168と、薬剤注入ポンプ170と、圧力計172とを備えている。補給水タンク162は、例えば造水装置12−1が生成した水を溜める。補給水ポンプ164は、補給水タンク162および給水タンク156に接続され、たとえば給水タンク156の水位低下により運転し、補給水タンク162中の水を給水タンク156に移送する。このとき、薬剤タンク168内の薬品の移送量が補給水の移送量よりも少なくなるように、薬剤注入ポンプ170は制御され、薬剤が補給水タンク162に流れ込むのを防止する。または、補給水タンク162の水出口に逆止弁を設置し、薬剤の補給水タンク162への流入を防止する。流量計166は、補給水タンク162と補給水ポンプ164の間に配置され、ボイラ設備10の循環経路に補給される水の水量を計測する。

薬剤タンク168は、処理水BWを処理する薬剤を溜める。この薬剤は、処理水BWの減少によるイオン成分の濃縮およびスケールの生成等を抑制するものであり、たとえば既述のスケール防止剤、防食剤、スラッジ分散剤、殺菌剤、スライム防止剤などである。薬剤注入ポンプ170は、薬剤タンク168と、補給水タンク162と流量計166の間の配管に接続され、薬剤タンク168中の薬剤を給水タンク156側に移送する。薬剤の注入量は、たとえば流量計166が計測する水の流量に基づいて制御部142により比例制御され、適量の薬剤が含まれる水がボイラ設備10の循環経路に補給される。圧力計172は、薬剤タンク168中の薬剤の残量を計測する残量計の一例であり、薬剤タンク168および薬剤の重量を計測する。圧力計172の計測結果から薬剤タンク168の重量を除くことで、薬剤の残量が得られる。

制御部142は、たとえばプロセッサまたはPLC(プログラマブルロジックコントローラ)を含み、蒸気量に応じて油焚き部148を運転または停止させ、ボイラ装置10−1内の処理水BWの水量に応じて給水ポンプ158を運転または停止させ、給水タンク156の水量に応じて補給水ポンプ164を運転または停止させ、流量計166が計測する水の流量に応じて薬剤注入ポンプ170を運転、停止または調整する。制御部142は、各計測器、各弁および各ポンプから得る設備データ11を作業日時とともに記録し、制御装置14−1に送信する。

水質分析計174は、ボイラ設備10の処理水BW等の循環水、その他の測定対象の水質を分析する分析装置の一例である。この水質分析計174は、たとえば吸光光度測定部、電極測定部および電気伝導率測定部を備える。吸光光度測定部は、吸光光度法により測定対象の吸光度を検出し、この吸光度から測定対象の溶存成分濃度を測定する。電極測定部は、測定対象のイオン濃度に応じた電位を生じさせ、この電位から、測定対象のイオン濃度を測定する。電気伝導率測定部は、たとえば交流二電極法、交流四電極法または電磁誘導法により測定対象の電気伝導率を測定する。この様な水質分析計174を用いると、1項目の水質分析だけでなく、一度に複数項目の水質を分析することができる。

水質分析計174は、ボイラ設備10に設置する場合に限らず、たとえば船舶4内に設置され、定期または不定期に採取されるボイラ設備10の処理水BWをオフラインで計測するようにしてもよい。この場合、たとえば水質分析計174は、制御装置14−1と有線または無線で接続し、分析結果を設備データ11として作業日時とともに水質分析計174に記録するとともに制御装置14−1に送信する。水質分析計174をオフラインで使用する場合、設備データ11とともに設備データ11に関わる設備や水種別名情報44を制御装置14−1に送信すればよい。この設備や水種別名情報44は、水質分析計174に備えられる入力装置、または水質分析計174に接続される入力装置を介して入力すればよい。

水質分析計174として、たとえば、携帯可能な小型の分析計を用いると、水処理設備の近傍で水質分析を行うことが可能である。一台の水質分析計174で複数の水質分析を行うことが可能になる。

<ボイラ設備10の処理手順> 図14は、ボイラ設備10の処理手順の一例を示している。この処理手順は、ボイラ設備10の制御部142で実行される。各処理はプログラムによって実行される機能または管理方法の一例である。図14において、ステップSは処理段階を示す。

制御部142は、ボイラ設備10の循環経路の蒸気圧から、蒸気不足であるかを判断し(ステップS231)、蒸気不足であれば(ステップS231のYES)、油焚き部148を稼働させて(ステップS232)蒸気を生成し、蒸気不足でなければ(ステップS231のNO)、ステップS232を省略する。蒸気不足は、たとえばボイラ設備10の循環経路に設置した蒸気圧計の計測圧力が、蒸気圧の適正範囲の下限値よりも下であるかで判断すればよい。

制御部142は、ボイラ設備10の循環経路の蒸気圧から、蒸気過剰であるかを判断し(ステップS233)、蒸気過剰であれば(ステップS233のYES)、油焚き部148を停止させ(ステップS234)、蒸気過剰でなければ(ステップS233のNO)、ステップS234を省略する。蒸気過剰は、たとえば蒸気圧計の計測圧力が、蒸気圧の適正範囲の上限値を超えるかで判断すればよい。

制御部142は、筐体144内の処理水BWが不足であるかを判断し(ステップS235)、処理水BWの不足であれば(ステップS235のYES)、給水ポンプ158を運転させて(ステップS236)筐体144内の処理水BWを増加させ、処理水BWの不足でなければ(ステップS235のNO)、ステップS236を省略する。筐体144内の処理水BWの不足は、たとえば筐体144に設置した水位計の計測水位が、処理水水位の適正範囲の下限値よりも下であるかで判断すればよい。

制御部142は、筐体144内の処理水BWが過剰であるかを判断し(ステップS237)、処理水BWの過剰であれば(ステップS237のYES)、給水ポンプ158を停止させ(ステップS238)、処理水BWの過剰でなければ(ステップS237のNO)、ステップS238を省略する。筐体144内の処理水BWの過剰は、たとえば水位計の計測水位が、処理水水位の適正範囲の上限値を超えているかで判断すればよい。

制御部142は、給水タンク156内の処理水BWが不足であるかを判断し(ステップS239)、処理水BWの不足であれば(ステップS239のYES)、給水処理を行い(ステップS240)、ステップS231に戻る。制御部142は、給水タンク156内の処理水BWの不足でなければ(ステップS239のNO)、ステップS240を省略し、ステップS231に戻る。給水タンク156内の処理水BWの不足は、たとえば給水タンク156に設置した水位計の計測水位が、処理水水位の適正範囲の下限値よりも下であるかで判断すればよい。

次に、給水処理(ステップS240)について、図15を参照する。図15は、給水処理の処理手順の一例を示している。各処理はプログラムによって実行される機能または管理方法の一例である。図15において、ステップSは処理段階を示す。

制御部142は、補給水ポンプ164および薬剤注入ポンプ170を運転し(ステップS241)、補給水および薬剤の注入を開始する。制御部142は、流量計166の計測結果に基づき薬剤の注入量を調整する(ステップS242)。制御部142は、給水タンク156内の処理水BWが過剰であるかを判断し(ステップS243)、処理水BWの過剰であれば(ステップS243のYES)、補給水ポンプ164および薬剤注入ポンプ170を停止し(ステップS244)、補給水および薬剤の注入を終了し、給水処理を終了する。処理水BWの過剰でなければ(ステップS243のNO)、ステップS242に戻り、ステップS242及びステップS243を繰り返す。給水タンク156内の処理水BWの過剰は、たとえば給水タンク156に設置した水位計の計測水位が、処理水水位の適正範囲の上限値を超えているかで判断すればよい。

このボイラ設備10の処理において、制御部142は、流量計166が計測した流量、圧力計172が計測した圧力、この圧力から得られる薬剤の残量、給水タンク156に備えられる水質分析計174の測定結果などを設備データ11として作業日時とともに記録し、制御装置14−1に送信する。

<造水装置12−1の処理手順> 図16は、造水装置12−1の処理手順の一例を示している。この処理手順は、造水装置12−1の制御部12−2で実行される。各処理はプログラムによって実行される機能または管理方法の一例である。図16において、ステップSは処理段階を示す。

制御部12−2は、清水が不足であるかを判断し(ステップS251)、清水不足であれば(ステップS251のYES)、船舶4で生じた使用済みの水、雨水などの淡水または海水を造水装置12−1に供給し(ステップS252)、清水不足でなければ(ステップS251のNO)、ステップS252を省略する。制御部12−2は、清水が過剰であるかを判断し(ステップS253)、清水過剰であれば(ステップS253のYES)、造水装置12−1への水の供給を停止し(ステップS254)、ステップS251に戻る。清水過剰でなければ(ステップS253のNO)、制御部12−2はステップS254を省略し、ステップS251に戻る。清水不足は、たとえば生活用水の保管タンクやボイラ設備10の補給水タンク162等の清水タンクに設置した水位計の計測水位が、清水水位の適正範囲の下限値よりも下であるかで判断すればよく、清水過剰は、たとえば清水タンクに設置した水位計の計測水位が、清水水位の適正範囲の上限値を超えているかで判断すればよい。造水装置12−1への水の供給は、たとえば造水装置12−1に接続されたポンプにより行えばよい。

制御部12−2は、既述の処理手順の他に、生成した清水の水質を定期または不定期に造水装置12−1に備えられる水質分析計で分析する。水質分析計は、造水装置12−1が生成する清水を計測可能な場所に設置されればよい。制御部12−2は、造水装置12−1の稼動情報、例えばポンプの運転情報、生成した清水の分析結果、および造水装置12−1で使用する薬剤の使用量や残量などの設備データ11を作業日時とともに記録し、記録したこれらの設備データ11を制御装置14−1に送信する。

清水の水質は、オフラインで計測するようにしてもよい。水質分析計は、ボイラ設備10に設置される水質分析計174またはボイラ設備10の処理水BWをオフラインで計測する水質分析計174と同様であるのでその説明を省略する。

<制御装置14−1の処理手順> 図17は、設備データ送信処理の処理手順の一例を示している。この処理手順は、本発明の設備管理方法の一例である。この処理手順は、制御装置14−1のプロセッサ58が、メモリ部60に読み取り可能に記憶している設備管理プログラムを実行し、また通信装置16−1のプロセッサが設備管理プログラムに基づき通信を実行することにより実行される。各処理はプログラムによって実行される機能または管理方法の一例である。図17において、ステップSは処理段階を示す。

プロセッサ58は、既述の設備データ11の受信であるかを判断し(ステップS261)、設備データ11の受信であれば(ステップS261のYES)、受信した設備データ11をメモリ部60に記憶する(ステップS262)。また、プロセッサ58は、各水処理設備の水種別毎に、設備データ11を組合わせて集合させ、この集合させた設備データ11にファイル名を付与し(ステップS263)、管理センター6に告知するための送信用の設備データファイルが生成される。プロセッサ58は、たとえば、メモリ部60が記憶する設備情報34のファイル名情報46を参照し、このファイル名情報46に含まれるデータ送信仕様に基づいて、送信用の設備データファイルを作成する。つまり、管理サーバ23により認識可能なデータ形式となるように、送信用の設備データ11を作成する。たとえば、バラスト水処理装置8−1の設備データ11を送信する場合、プロセッサ58は、たとえば自船の船舶コード「ABCDEFG001」、該当設備の設備名「バラスト水処理設備」、および水種別名「バラスト水」を参照し、これらのデータに割り当てられたファイル名「UploadFile001.csv」を用いて送信用の設備データファイルを作成する。プロセッサ58は、ファイル名を付した送信用の設備データ11を通信装置16−1に出力し(ステップS264)、メモリ部60に記憶する(ステップS265)。

通信装置16−1は、制御装置14−1から受けた設備データ11を管理サーバ23に送信し(ステップS266)、ステップS261に戻る。

ステップS261において、設備データ11の受信でなければ(ステップS261のNO)、ステップS261を繰り返す。斯かる処理手順の実行により、制御装置14−1および通信装置16−1は計測時刻が異なる複数の設備データ11を送信するととなり、管理サーバ23は、設備データ11を取得することになる。

<管理サーバ23の処理手順> 図18は、管理・処理データの作成および出力処理の処理手順の一例を示している。この処理手順は、本発明の設備管理方法の一例である。この処理手順は、管理サーバ23のプロセッサ70が、メモリ部72に読み取り可能に記憶されている設備管理プログラムを実行することにより実行される。各処理はプログラムによって実行される機能または管理方法の一例である。図18において、ステップSは処理段階を示す。

プロセッサ70は、設備データ11の受信であるかを判断し(ステップS271)、設備データ11の受信であれば(ステップS271のYES)、受信した設備データ11に設備情報34を付し、船舶・設備データ28を作成し(ステップS272)、データベース24に記憶させる(ステップS273)。プロセッサ70は、たとえば通信装置16−1から受信した設備データ11のファイル名または船舶・設備データ28に記録されている船舶コード36や設備コード40に基づいて、データベース24内の何れの場所に船舶・設備データ28を記憶させるかを決定すればよい。設備データ11の受信でなければ(ステップS271のNO)、プロセッサ70は、ステップS272およびステップS273を省略する。

プロセッサ70は、管理・処理データ30の作成であるかを判断し(ステップS274)、管理・処理データ30の作成であれば(ステップS274のYES)、船舶・設備データ28から管理・処理データ30を作成し(ステップS275)、作成した管理・処理データ30をデータベース24に記憶させる(ステップS276)。プロセッサ70は、たとえば6時間毎、12時間毎、または1日毎等の予め設定された間隔で管理・処理データ30を作成し、およびデータベース24に記憶させればよく、または、船舶・設備データ28を受信した時に管理・処理データ30を作成し、およびデータベース24に記憶させればよい。管理・処理データ30の作成でなければ(ステップS274のNO)、ステップS275およびステップS276を省略する。

プロセッサ70は、管理・処理データ30の出力処理を行い(S277)、ステップS271に戻る。管理・処理データ30の出力処理は、予め設定されたタイミングに、または船舶に関わる顧客の要求に応じて行えばよい。ステップS271からステップS277を繰り返すことで、計測時刻が異なる複数の設備データ11を保存することができる。計測時刻が異なる複数の設備データ11を用いることで、設備データ11の解析や水処理設備の診断の精度を高めることができ、またはトレンドグラフなどにより水処理設備の傾向を示すことができる。

<実施例1の効果> (1) 海上の船舶4のバラスト水処理装置8−1、ボイラ装置10−1、造水装置12−1などの処理設備の設備データ11を、たとえば衛星通信を介して陸上側に送信するので、短時間で情報を伝達することができる。つまり、無線通信で管理サーバ23に送信された設備データ11を、データベース24に速やかに登録することができ、管理センター6でタイムリーに監視できる。また船舶側は管理センター6で解析等がなされた管理・処理データ30を短時間で受け取ることができ、船舶側でその管理・処理データ30に基づいた処置を迅速に取ることができる。

(2) 陸上に設置されたデータベース24で船舶・設備データ28および管理・処理データ30を記憶し、管理・処理データ30は、顧客に提供されるので、船舶4での水処理設備の設備データ11の管理負荷および報告負荷などが軽減できると共に、顧客への水処理設備のデータ提供が強化できる。また、顧客が複数の船舶4を所有している場合には、これらの船舶4の管理・処理データ30をまとめて受け取ることが可能となり、顧客側のデータ管理負荷が軽減できる。

(3) 管理サーバ23が通信ネットワーク27を介して管理・処理データ30を提供するので、船舶4に関わる顧客は、この管理・処理データ30を様々な用途に活用可能である。たとえば、船舶4では、通信装置16−1に接続した制御装置14−1の表示部62に、管理サーバ23から受信したトレンドグラフ等を表示することができ、また、制御装置14−1に接続した印刷装置で管理サーバ23から受信したトレンドグラフ等を印刷することができる。管理・処理データ30の表示または印刷により、船舶4における水処理設備の担当者は、表示装置の表示や印刷装置での印刷物を参照して、水処理設備への薬剤注入量を調整したり、水処設備12の担当者に水処理設備の設備調整を依頼したりすることで、水処理設備を安定かつ最適な運転状態に維持することができる。船舶4を所有する船舶所有者および船舶4を管理する船舶管理者では、自己が所有又は管理する複数の船舶の複数種類にわたる水処理設備の情報を管理サーバ23からまとめて得ることができる。また、管理・処理データ30は、データベース24に記憶されているので、船舶に関わる顧客は、管理・処理データ30を独自に保持する必要がなく、必要に応じてデータベース24から情報を引き出すことができる。つまり、船舶に関わる顧客を、管理・処理データ30自体の管理業務から解放させることができる。

(4) 船舶4上で水処理設備の水質分析等を行い、無線通信でデータを陸上に送信するので、船舶4の寄港地において水処理設備からサンプリングした水を分析センターへ送付する必要はなく、速やかに分析結果を取得できる。

<変形例> (1) 上記実施例では、通信会社等が提供する通信設備26を利用したが、管理センター6が独自に通信設備26を備え、管理サーバ23が専用配線を介して通信設備26に接続されていてもよい。管理センター専用の通信設備26および専用配線を用いると、管理サーバ23と通信設備26との間での情報漏えいのリスクを軽減することができる。

(2) 上記実施例では、データベース24が船舶4の設備情報34を記憶しているが、たとえば管理サーバ23のメモリ部72に記憶していてもよい。設備情報34をデータベース24に記録させれば、管理サーバ23の記憶負荷を下げることができ、設備情報34を管理サーバ23に記憶すれば、通信障害等のリスクを低減することができる。

(3) 上記実施例では、制御装置14−1が表示部62および入力部64を備えたが、制御装置14−1がI/O66を介して表示装置や入力装置に接続していてもよい。表示装置は、たとえば既述の表示部62の機能を有していればよく、入力装置は、たとえば既述の入力部64の機能を有していればよい。

(4) 上記実施例では、管理サーバ23側で設備データ11と設備情報34とを関連付けた。この場合、船舶4が送信するデータ量を抑制することができる。しかしながら、このような実施例に限られない。予め船舶側で設備データ11と設備情報34とを関連付けて船舶・設備データ28を送信するようにしてもよい。

(5) 上記実施例では、管理サーバ23がデータベース24の運転データベースに登録されているデータを解析し、診断し、表示や印刷のためにデータを加工したが、図19に示すように、管理サーバ23とは別にデータ解析装置175を備え、管理サーバ23の機能を分散させてもよい。たとえば、データ解析装置175が既述のデータ解析機能、データ診断機能およびデータ加工機能を備え、管理サーバ23の代わりにこれらの機能を実行してもよい。

(6) 上記実施例では、ボイラ設備10の処理水BWおよび造水装置12−1の清水の溶存成分濃度、イオン濃度および電気伝導度を分析したが、これらの分析結果の一部を分析するようにしてもよく、その他の水質項目、たとえばペーハー(pH)、水温または薬剤濃度を測定するようにしてもよい。

(7) 上記実施例では、制御装置14−1が各水処理設備の設備データ11毎に特定のファイル名を付して、設備データ11と水処理設備との関連付けが行われているが、このようなファイル名による関連付けに限定されない。たとえば、複数の水処理設備の設備データ11を一つのファイル名で送信してもよい。この場合、各水処理設備の設備データ11毎に船舶コード36、設備コード40または水種別名情報44等を付けて送信すればよい。この場合、制御装置14−1は、設備情報34を参照して船舶コード36等を設備データ11に付せばよい。または、制御装置14−1の入力部64の操作入力により船舶コード36等を指定してもよい。この場合、設備データ11は、指定された水処理設備又はその水種別名と関連付けることができる。

設備データ11と水処理設備又はその水種別名との関連付けは、水質分析計174等の計測器側で行ってもよい。たとえば、予め制御装置14−1から計測器に設備情報34を送信し、計測器のメモリに保存する。そして、計測器が、計測した設備データ11と水処理設備またはその水種別名を関連づけて、制御装置14−1に送信してもよい。斯かる構成によれば、設備データ11と水処理設備又はその水種別名との関連付けに係る作業が分散され、制御装置14−1の負荷を下げることができる。

(8) 上記実施例では、管理サーバ23が設備データ11を受信し、管理・処理データ30を送信しているが、管理サーバ23を介した通信に限らない。たとえば、データベース24が通信ネットワーク27に直接接続され、データベース24が直接管理・処理データ30を出力するようにしてもよい。斯かる構成によれば、管理サーバ23の負荷が軽減される。

(9) 上記実施例における制御装置14−1および通信装置16−1による設備データ11の送信では、たとえば、制御装置14−1に設備データ11の送信間隔Ttを設定し、制御装置14−1は、送信間隔Tt間で得た設備データ11を、送信間隔Tt経過時にまとめて送信するようにしてもよい。このような設備データ11の集合情報処理により、設備データ11の一括送信が図られ、通信回線の使用回数を減らすことができ、通信の効率化が図られる。設備データ11をまとめて送信する場合、一設備の特定の設備データ11を一定の期間蓄積し、この一定の期間の間に得た複数の設備データ11を一括で送信してもよく、複数種類の設備データ11を一括で送信するようにしてもよい。

(10) データベース24はさらに、水処理設備や水質分析計174を使用するユーザのユーザ名、そのユーザIDおよび各ユーザが水の分析を行う水処理設備の対応関係を規定するユーザデータベースを備えていてもよい。このユーザデータベースの情報は、たとえば制御装置14−1に送信され、記憶部14−2で記憶される。制御装置14−1は、水処理設備や水質分析計174を使用するユーザのIDを受け付けると、このユーザデータベースの情報に基づいて、受け付けたユーザIDに関係付けられた水処理設備または水質分析計174を表示装置に表示する。斯かる構成によれば、ユーザは、制御装置14−1に自身のユーザIDを入力することにより、自身が使用する水処理設備や水質分析計174を容易に把握することができる。

(11) 制御装置14−1は、記憶部14−2に記憶している設備情報34、設備データ11または管理・処理データ30を表示部62に表示するようにしてもよい。この場合、ユーザIDやパスワードが設定され、セキュリティが高められていてもよい。たとえば、制御装置14−1は、入力部64からユーザIDの入力を受け付けると、メモリ部60に記憶されているユーザデータに基づいて、受け付けたユーザIDに対応するユーザ以外のユーザが使用する水処理設備および水質分析計174の設備情報34、設備データ11または管理・処理データ30の表示を禁止するようにしてもよい。表示の禁止により、ユーザは、他ユーザが使用する水処理設備および水質分析計174の設備情報へのアクセスが阻害され、情報セキュリティを高めることができる。

(12) 上記実施例では、分岐ライン94の一端がバラストタンク入口弁92とバラストタンク76の間に接続されているが、図20に示すように、バラストタンク76に直接接続するようにしてもよい。分岐ライン94が直接バラストタンク76に接続すると、バラストタンク76、分岐ライン94および主ライン83によりバラスト水を循環させる循環経路が形成される。つまり、バラスト注水弁84およびバラスト排水弁100を閉じ、バラストタンク入口弁92およびバラストタンク出口弁96を開き、バラストポンプ86を稼働させると、バラスト水を循環させることができる。斯かる構成によれば、バラスト水の注水時、バラスト水の排水時の他に、バラスト水を維持している時も、バラスト水処理装置8−1は、バラスト水のTROをたとえばTRO計110−1で計測するとともに記録し、計測されたバラスト水のTROに基づき殺滅剤または中和剤を注入し、バラスト水のTROを調整することができる。

(13) 管理サーバ23は船舶4の各水処理設備の制御権限を有していてもよい。この場合、管理サーバ23は無線で各水処理設備に指示信号を出力すればよい。通信装置16−1および制御装置14−1を介して指示信号を受けた水処理設備が指示信号に応じてたとえば殺滅剤または中和剤の注入を調整すればよい。

(14) バラスト水の水質管理に関連して、船舶4においてバラスト水中の生物個体数を計測して、管理サーバ23に送信するようにしてもよい。バラスト水中の生物個体数は、たとえば生物検査装置で計測すればよい。この生物検査装置は、既述のバラスト水管理基準のバラスト水排出基準に規定された生物、つまり最小サイズ50μm以上の生物と最小サイズ50μm未満で10μm以上の生物を区別して検出すればよく、たとえば、IMOの承認を受けた、バラスト水生物検査装置を用いればよい。たとえば、株式会社サタケが販売するバラスト水生物検査装置(型式:VOA1000)を用いることができる。検出された生物の個体数は、殺滅剤による生物の殺滅効果を示すデータとして用いられ、殺滅効果確認データとして、データベース24に記憶する。

(15) 上記実施例の設備管理プログラムは、インターネッ卜や無線通信回線等の通信回線を介して提供してもよい。また、設備管理プログラムを暗号化し、変調をかけ、または圧縮した状態で、設備管理プログラムをインターネットや無線通信回線を介して、あるいは記録媒体に格納して提供してもよい。

(16) 水処理設備は、バラスト水処理装置8−1、ボイラ装置10−1、造水装置12−1に限定されるものではなく、他の設備、たとえば、冷却水設備または雑用水処理設備であってもよい。冷却水設備では、たとえば冷却塔から排出される冷却水、冷却塔内を循環する循環水、および冷却塔に供給される供給水が計測され、これらの設備データ11が管理される。また、冷却塔を通過する水に対して注入されるスライ厶防止剤やスケール防止剤等の薬剤の注入流量や貯留量が管理される。雑用水処理設備では、たとえば処理後の雑用水の水質が計測され、この設備データ11が管理される。

(17) 実施例1では船舶4内の水質などの計測情報を用いているが、船舶4が停泊しているまたは停泊する港湾の海水を採取し、その海水の計測情報などの環境情報を取得し、係る情報を告知情報に加え、これらを管理情報に反映してもよい。

(18) 実施例1ではTRO計110−1、110−2が給排水ライン78に設置されているが、バラスト水処理装置8−1から離れた場所にTRO計110−1、110−2を設置して、採取したバラスト水を分析するようにしてもよい。

実施例2では、設備管理システム2は、船舶4に関わる顧客に提供した管理・処理データ30を顧客側で表示させ、または印刷装置で印刷させる。この実施例2の設備管理システム2は、実施例1の設備管理システム2を含んでいる。実施例1と共通する部分の説明は省略する。

この実施例2では、管理サーバ23は、データベース24に記憶した管理・処理データ30を船舶4に関わる顧客に提供する。また、管理サーバ23は、データベース24に記憶した管理・処理データ30を加工し、加工した管理・処理データ30を顧客に提供してもよい。管理サーバ23は、顧客にこの管理・処理データ30を顧客の要求によりまたは自動的に提供する。顧客の要求により管理・処理データ30を提供する場合には、顧客であるかを認証処理により判定すればよい。たとえば管理サーバ23のメモリ部72には、顧客のユーザIDおよびパスワードが記憶され、管理サーバ23のプロセッサ70は、メモリ部72に記憶するユーザIDおよびパスワードを参照し、管理・処理データ30を要求する要求者のユーザID入力およびパスワード入力が一致するかを判断すればよい。なお、設備管理システム2の運営のため、管理サーバ23の操作権限を有する者にもユーザIDおよびパスワードが設定される。

ユーザIDには権限レベルが設定され、たとえば全ての船舶・水処理情報へのアクセスを可能にする「レベル1」、認証されたユーザが所有または管理する船舶4の管理・処理データ30の提供を許容する「レベル2」、認証されたユーザに係る船舶4の管理・処理データ30の提供を許容する「レベル3」を含む。管理サーバ23は、これらの権限レベルをユーザIDに関連付け、メモリ部72に記憶する。このような権限レベルを設定することで、管理サーバ23にアクセスしたユーザに関わらない管理・処理データ30がアクセスしたユーザに提供されることが防止されるとともに、管理サーバ23にアクセスしたユーザ側では無関係な情報を除外するなどの必要がない。また、たとえば船舶4では異なる船舶4の管理・処理データ30を受けることがないので、過誤によるデータの取り違えなどが防止される。

<船舶・水処理情報の表示> 図21は船舶選択画面の一例を示している。この船舶選択画面176は、管理サーバ23が管理・処理データ30または加工した管理・処理データ30に基づき表示させる。たとえばログイン画面での認証処理や、会社選択画面での会社選択処理後に表示される。この船舶選択画面176を含む各種の画面は、管理サーバ23のメモリ部72に記憶された画面表示データを、管理サーバ23またはこの画面の表示に用いられるコンピュータが実行することにより表示される。この画面表示データには、たとえばハイパーテキスト形式のデータを用いることができる。

船舶選択画面176は上部バー178−1、サイドバー180−1および表示領域182−1を備えている。上部バー178−1には、会社選択画面で選択した会社名「A株式会社」とともに、サイト内の検索に使用されるサーチボタン184、ログアウトに使用されるログアウトボタン186、前画面に戻る時に使用されるバックボタン188およびホーム画面に戻るホームボタン190が表示されている。

サイドバー180−1には、設備選択ボタン192、および注意喚起を表す注意ボタン194が表示されている。設備選択ボタン192は、船舶設備や工場設備等の設備の選択に用いられる。船舶設備は、たとえば船舶4の絵が付された設備選択ボタン192で選択され、工場設備は、たとえば工場の絵が付された設備選択ボタン192で選択される。図21では、船舶4の絵が付された設備選択ボタン192の一例を示し、工場の絵が付された設備選択ボタン192を省略する。なお、管理サーバ23で管理している工場設備がなければ、工場の絵が付された設備選択ボタン192の表示は省略すればよい。各種の選択ボタンの選択操作には、たとえばタッチパネルへのタッチ操作、またはマウスによるクリック操作を用いればよい。

船舶選択画面176の表示領域182−1の上部には、船舶4の選択を表す表題「Ship select」が表示される。この表題の下側には、上部バー178−1に表示している会社に関連する船舶4それぞれの船舶選択ボタン196が表示される。この船舶選択ボタン196には、船舶を表す図とともに、船舶名「AAA」、「BBB」、「CCC」または「DDD」が表示されている。表示領域182−1には、更にオペレータ選択表示198が表示される。オペレータ選択表示198の右端の逆三印の選択により、管理サーバ23は、オペレータ選択表示198の下側に、登録されているオペレータ名を表示させ、オペレータ名の選択により、オペレータを決定する。この船舶選択画面176では、特定の船舶選択ボタン196が選択される。管理サーバ23は、船舶選択ボタン196の選択を受けて、選択された船舶4の水処理設備の選択画面に切り替える。

水処理設備の選択画面では、たとえばバラスト水処理装置8−1、ボイラ装置10−1および造水装置12−1を表す選択ボタンが表示されればよい。これらの選択ボタンの選択により、管理サーバ23は選択された水処理設備の管理・処理データ30の表示に切り替える。

図22は、水処理状況画面の一例を示している。この水処理状況画面200は、管理・処理データ30の表示の一例であり、既述の水処理設備の選択画面でバラスト水処理装置8−1が選択されると、管理サーバ23により表示される。図22に示す水処理状況画面200では、バラスト水処理装置8−1の水処理状況が表示されている。

水処理状況画面200は上部バー178−2、サイドバー180−2および表示領域182−2を備えている。上部バー178−2には、会社名「A株式会社」、船舶名「AAA」および水処理設備名「バラスト水処理設備」とともに、時刻表示202、既述のログアウトボタン186、バックボタン188およびホームボタン190が表示される。

サイドバー180−2には、設備状況選択ボタン204、経過情報選択ボタン206、薬剤情報選択ボタン208、報告書選択ボタン210、設定変更ボタン212が表示されている。設備状況選択ボタン204は、水処理設備における水処理状況の表示に用いられる。経過情報選択ボタン206は、水処理設備に係る設備データ11の時間経過にともなう変化の表示に用いられる。薬剤情報選択ボタン208は、水処理設備に使用される薬剤の情報の表示に用いられる。報告書選択ボタン210は、船舶4の運航に関する日報、週報、月報等の報告書類の表示または印刷に用いられる。設定変更ボタン212は、水処理状況画面200の設定変更に用いられる。選択中のボタンには、表示処理214が付され、選択中であることが表されている。表示処理214は、たとえば着色処理、斜線、網掛け、ドット等の模様を付すハッチング処理、またはボタンの周囲に強調枠を付す枠付け処理またはこれらの組み合わせにより行われる。

水処理状況画面200の表示領域182−2の上部左側には、選択ボタン216−1、216−2が表示される。選択ボタン216−1には「バラスト水処理状況」が表示されている。この選択ボタン216−1の選択により、表示領域182−2にバラスト水の処理状況が表示される。選択ボタン216−2には「処理場所(緯度/経度)」が表示されている。この選択ボタン216−2の選択により、表示領域182−2には、バラスト水を処理した場所情報として、緯度および経度の情報が表示される。この緯度および経度情報は、管理サーバ23が管理する各船舶4の運航スケジュールデータと、船舶4のバラスト水の処理時刻を参照して求めることができる。また、管理サーバ23が設備データ11を受信する際に、船舶4からGPS(Global Positioning System)などによる位置情報を入手して表示するようにしてもよい。

表示領域182−2の上部右側には表示枠218が設定され、この表示枠218には表示「バラスト注水処理水量」がバラスト水の注水処理水量とともに表示され、表示「バラスト排水処理水量」がバラスト水の排水処理水量とともに表示されている。また、表示枠218には、バラスト注水処理水量またはバラスト排水処理水量に係る最近の設備データ値を表示する選択ボタン216−3、216−4が表示されている。選択ボタン216−3には、表示「殺滅剤使用量:」とともに殺滅剤使用量が表示されている。選択ボタン216−4には、表示「中和剤使用量:」とともに中和剤使用量が表示されている。

表示領域182−2の中央部および下部には、バラスト水処理装置8−1の設備構成図とともに、水処理設備の最近の設備データ値を表示する選択ボタン216−5、216−6・・・216−14、および水処理設備の画像を画面に表示させる選択ボタン216−15、216−16、216−17が表示されている。選択ボタン216−5は、バラスト流量計表示に対応して表示され、たとえば下部に表示される。選択ボタン216−5には、バラスト流量計90の計測流量が表示されている。選択ボタン216−6は、バラストタンク表示に対応して表示され、たとえばバラストタンク表示に重ねて表示される。選択ボタン216−6には、バラストタンク76内のバラスト水の流量が表示されている。選択ボタン216−7は、TRO計表示(TRO1)に対応して表示され、たとえば上部に表示される。選択ボタン216−7には、TRO計110−1の計測TRO値が表示されている。選択ボタン216−8は、TRO計表示(TRO2)に対応して表示され、たとえば上部に表示される。選択ボタン216−8には、TRO計110−2の計測TRO値が表示されている。選択ボタン216−9は、殺滅剤タンク表示に対応して表示され、たとえば下部に表示される。選択ボタン216−9には、殺滅剤タンク114内の殺滅剤の残量が表示されている。選択ボタン216−10は、殺滅剤タンク表示に対応して表示され、たとえば右上部に表示される。選択ボタン216−10には、殺滅剤タンク114内の殺滅剤の温度および濃度が表示されている。選択ボタン216−11は、殺滅剤流量計表示に対応して表示され、たとえば下部に表示される。選択ボタン216−11には、殺滅剤流量計118の計測流量が表示されている。選択ボタン216−12は、中和剤溶解槽表示に対応して表示され、たとえば下部に表示される。選択ボタン216−12には、中和剤溶解槽120内の中和剤の残量が表示されている。選択ボタン216−13は、中和剤タンク表示に対応して表示され、たとえば下部に表示される。選択ボタン216−13には、中和剤タンク122内の中和剤の残量が表示されている。選択ボタン216−14は、中和剤流量計表示に対応して表示され、たとえば下部に表示される。選択ボタン216−14には、中和剤流量計126の計測流量が表示されている。選択ボタン216−15は、ミキサー表示、バラスト流量計表示およびTRO計表示(TRO1、TRO2)を囲う吹き出し部とカメラ表示とを含む。選択ボタン216−16は、殺滅剤タンク表示、殺滅剤注入ポンプ表示および殺滅剤流量計表示を囲う吹き出し部と、カメラ表示とを含む。選択ボタン216−17は、中和剤溶解槽表示、中和剤タンク表示、中和剤注入ポンプ表示および中和剤流量計表示を囲う吹き出し部と、カメラ表示とを含む。

表示領域182−2に表示されるバラスト水処理装置8−1の設備構成図では、管理サーバ23は、たとえば、各弁の開閉状態、バラスト水の通水状態、各機器の稼働状態を色や表示の変化により区別可能に表示し、バラスト水、殺滅剤および中和剤の流れをアニメーションにより表示する。つまり、色や表示の変化の使用により、処理状態の把握の容易化が図られている。

管理サーバ23は、選択ボタン216−3から選択ボタン216−14のいずれかの選択により、選択された設備データ11に係る時間経過情報をたとえばグラフで表示領域182−2に表示させる。このような選択ボタン216−3、・・・216−14により、簡単な操作で簡単に得たい情報に切り替えることができる。また、管理サーバ23は、選択ボタン216−15、216−16、216−17の選択により、選択された範囲の水処理装置の画像を表示領域182−2に表示する。たとえば、管理サーバ23は、選択ボタン216−15、216−16、216−17の選択を受け、それぞれ撮影装置132−1、132−2、132−3の撮影画像を表示領域182−2に表示させる。表示される画像は、リアルタイム画像、ライブ画像、または録画画像であればよい。このような画像により、たとえば薬剤の漏えいの監視を行うことができ、撮影装置132−1、132−2、132−3の設置により設備状態を画像により船舶4側と陸上側とで共有することができる。

図23は、トレンド表示画面の一例を示している。トレンド表示画面220は、管理・処理データ30の表示の一例であり、たとえば、既述の水処理状況画面200において、バラスト流量計表示に対応する選択ボタン216−5が選択されると、管理サーバ23により表示される。トレンド表示画面220は既述の上部バー178−2およびサイドバー180−2と表示領域182−3とを備えている。上部バー178−2およびサイドバー180−2は、水処理状況画面200の上部バー178−2およびサイドバー180−2と同様である。トレンド表示画面220では、経過情報選択ボタン206に表示処理214が付されている。

トレンド表示画面220の表示領域182−3の左上部には、データ種別の切替えに用いるデータ切替ボタン222−1、222−2が表示されている。データ切替ボタン222−1には、表示「処理データ」が表示され、データ切替ボタン222−2には、表示「管理データ」が表示されている。データ切替ボタン222−1の選択により、管理サーバ23は表示領域182−3の表示を処理データに切替え、データ切替ボタン222−2の選択により、管理サーバ23は表示領域182−3の表示を管理データに切替える。図23に示す表示領域182−3では、データ切替ボタン222−1に表示処理214が付され、処理データが選択中であることを示している。各種の切替ボタンの選択操作には、たとえばタッチパネルへのタッチ操作、またはマウスによるクリック操作を用いればよい。

表示領域182−3の左下部には、表示種別の切替えに用いる表示切替ボタン224−1、224−2が表示されている。表示切替ボタン224−1には、表示「トレンド表示」が表示され、表示切替ボタン224−2には、表示「積算表示」が表示されている。表示切替ボタン224−1の選択により、管理サーバ23は表示領域182−3の表示を、データの傾向を示すトレンド表示に切替え、表示切替ボタン224−2の選択により、管理サーバ23は表示領域182−3の表示を、データの積算値を示す積算表示に切替える。図23に示す表示領域182−3では、表示切替ボタン224−1に表示処理214が付され、トレンド表示が選択中であることを示している。

処理データとトレンド表示とが選択された表示領域182−3の左中央部には、傾向情報を含む設備データ11の表示に用いる選択ボタン226−1、226−2・・・226−6が表示されている。選択ボタン226−1には、表示「バラスト 流量」が表示され、選択ボタン226−2には、表示「殺滅剤 注入流量」が表示され、選択ボタン226−3には、表示「中和剤 注入流量」が表示され、選択ボタン226−4には、表示「TRO計1 濃度(殺滅剤添加後)」が表示され、選択ボタン226−5には、表示「TRO計1 濃度(中和前)」が表示され、選択ボタン226−6には、表示「TRO計2 濃度」が表示されている。これらの選択ボタン226−1、226−2、・・・226−6の選択を受け、管理サーバ23は、表示領域182−3の中央部および右側のデータ領域228に、選択された選択ボタン226−1、226−2・・・226−6の表示に対応する設備データ11を表示する。図23に示す表示領域182−3では、選択ボタン226−1に表示処理214が付され、バラスト流量の設備データ11のトレンドが表示されている。選択された表示に対応する設備データ11は、たとえば、縦軸を設備データ11の値、横軸を日時とするグラフ上に表示される。また、このデータ領域228の下側には操作部230が表示され、操作部230の操作により、表示させるデータの日時範囲を変更することができる。

このトレンド表示画面220は、サイドバー180−2の経過情報選択ボタン206を選択し、その後表示領域182−3に表示されているデータ切替ボタン222−1、表示切替ボタン224−1および選択ボタン226−1を選択することにより表示することができる。

図24は、積算表示画面の一例を示している。積算表示画面232は、管理・処理データ30の表示の一例であり、たとえば、既述の水処理状況画面200において、バラスト流量計表示に対応する選択ボタン216−5が選択されると、管理サーバ23により表示される。トレンド表示の選択中であれば、表示切替ボタン224−2の選択により、積算表示画面に切替えることができる。

積算表示画面232では、積算情報を含む設備データ11の表示に用いる選択ボタン226−7、226−8・・・226−11が表示されている。選択ボタン226−7には、表示「バラスト 処理量」が表示され、選択ボタン226−8には、表示「殺滅剤 注入量」が表示され、選択ボタン226−9には、表示「中和剤 注入量」が表示され、選択ボタン226−10には、表示「TRO計1 濃度」が表示され、選択ボタン226−11には、表示「TRO計2 濃度」が表示されている。これらの選択ボタン226−7、226−8・・・226−11の選択を受け、管理サーバ23は、表示領域182−4のデータ領域228に、選択された表示に対応する設備データ11を表示する。図24に示す表示領域182−4では、選択ボタン226−7に表示処理214が付され、バラスト処理量のデータが積算量で表示されている。その他の表示はトレンド表示画面220と同様であり説明を省略する。

図25は、管理データ表示画面の一例を示している。管理データ表示画面234は、管理・処理データ30の表示の一例であり、たとえば既述の水処理状況画面200において、殺滅剤タンク表示に対応する選択ボタン216−9が選択されると、管理サーバ23により表示される。処理データの選択中であれば、データ切替ボタン222−2の選択により、管理データ表示画面234に切替えることができる。

管理データ表示画面234は既述の上部バー178−2、サイドバー180−2および表示領域182−5を備えている。上部バー178−2およびサイドバー180−2は、トレンド表示画面220の上部バー178−2およびサイドバー180−2と同様である。

管理データ表示画面234の表示領域182−5の左上部には、既述のデータ切替ボタン222−1、222−2が表示され、表示領域182−5の左中央部および左下部には、選択ボタン226−12、226−13・・・226−18が表示されている。選択ボタン226−12には、表示「殺滅剤 貯留量」が表示され、選択ボタン226−13には、表示「中和剤 貯留量」が表示され、選択ボタン226−14には、表示「殺滅剤 温度」が表示され、選択ボタン226−15には、表示「殺滅剤 濃度」が表示され、選択ボタン226−16には、表示「警報履歴」が表示され、選択ボタン226−17には、表示「電力消費量」が表示され、選択ボタン226−18には、表示「前回処理からの経過時間」が表示されている。これらの選択ボタン226−12、226−13・・・226−18の選択を受け、管理サーバ23は、表示領域182−5の中央部および右部のデータ領域228に、選択された選択ボタン226−12、226−13・・・226−18の表示に対応する設備データ11を表示する。図25に示す表示領域182−5では、選択ボタン226−12に表示処理214が付され、殺滅剤の貯留量が表示されている。選択された表示に対応する設備データ11は、たとえば、縦軸を設備データ11の値、横軸を日時とするグラフ上に表示される。また、このデータ領域228の下側には操作部230が表示され、操作部230の操作により、表示させるデータの日時範囲を変更することができる。

データ領域228の上部には、選択ボタン216−2と、選択ボタン226−19が表示される。選択ボタン216−2は、水処理状況画面200に表示された選択ボタン216−2と同様である。選択ボタン226−19には、表示「殺滅効果確認データ」が表示されている。これらの選択ボタン216−2、226−19の選択を受け、管理サーバ23は、データ領域228に、選択された選択ボタン216−2、226−19の表示項目のデータを表示する。

図26は、薬剤情報表示画面の一例を示している。薬剤情報表示画面236は、管理・処理データ30の表示の一例であり、たとえば薬剤情報選択ボタン208の選択により表示させることができる。薬剤情報表示画面236は、上部バー178−2、サイドバー180−2および表示領域182−6を備えている。上部バー178−2およびサイドバー180−2は、水処理状況画面200の上部バー178−2およびサイドバー180−2と同様である。薬剤情報表示画面236では、薬剤情報選択ボタン208に表示処理214が付されている。

表示領域182−6の上部および中央部には、水処理設備で使用する薬剤の各種の管理項目およびそのデータを表示する薬剤情報テーブル238が表示されている。薬剤情報テーブル238では、薬剤名「殺滅剤」、「中和剤」、「TRO計バッファー」、「TRO計試薬」のそれぞれについて、管理項目「購入日」、「購入量」、「使用量」、「船内保管残量」、「保管時間」、「次回購入予定日/購入場所」の情報が表示される。また薬剤名「TRO計バッファー」、「TRO計試薬」について、管理項目「交換日」、「使用可能残時間」が表示される。薬剤情報テーブル238では、バッファー(緩衝溶液)の「交換日」および「使用可能残時間」のデータと試薬の「交換日」および「使用可能残時間」のデータは、TRO計110−1、110−2毎に表示される。

表示領域182−6の下部には、薬剤の交換終了を指示する薬剤交換ボタン240が表示されている。この薬剤交換ボタン240は、薬剤の交換時に操作され、操作により交換終了を管理サーバ23に指示する。管理サーバ23はこの交換終了指示を受けると、薬剤情報テーブル238の交換日欄のデータを、この指示を受けた日付に更新する。つまり、薬剤交換ボタン240の操作に応じて、薬剤情報テーブル238の交換日が更新される。また、使用可能残時間は、交換日を基準に更新される。たとえば、TRO計試薬の使用可能残時間は、交換日からたとえば3か月に設定され、交換日が更新されると、使用可能残時間も更新される。

薬剤交換ボタン240の操作は、たとえばタッチパネルへのタッチ操作、またはマウスによるクリック操作を用いればよい。薬剤情報表示画面を含む各種の画面は、薬剤交換ボタン240による交換終了指示のように、設備データ11はまた管理・処理データ30の更新に用いることができる。バッファー交換または試薬交換では、交換日の入力を伴わずにワンクリックでデータを更新することができ、船員の作業を軽減させることができる。

<船舶・水処理情報の報告> 図27は概要報告書の一例を示している。この報告書は、管理・処理データ30に基づき作成される報告書の一例であり、たとえば報告書選択ボタン210の選択により表示されまたは印刷される。

概要報告書242は、レポート番号表記、作成日表記、および表題「バラスト処理 レポート(概要)」とともに、船舶情報欄244、バラスト水処理欄246、その他欄248、および船長署名欄250を含む。概要報告書242は、表示または印刷要求に関わらず、たとえば1日毎に作成される。新しい概要報告書242が作成される場合、管理サーバ23は、メモリ部72に記憶されている最後の概要報告書242のレポート番号を参照し、新規のレポート番号を発行し、この新しいレポート番号を、新しい概要報告書242に表示し、最新のレポート番号としてメモリ部72に記憶する。このレポート番号は、データベース24に管理・処理データ30として記憶される概要報告書242のレポート番号を参照して新規のレポート番号を発行するようにしてもよい。管理サーバ23は、新規の報告書を作成する際に、管理サーバ23の日付情報を参照し、作成日表記とともに日付を表示する。

船舶情報欄244は、見出し「1.船舶情報」とともに、記載欄「期間」、「船名」、「国際海事機関船舶識別番号」、「総トン数」、「旗国」、「総バラスト水容量(m3)」、「この船舶はバラスト水管理計画を備えている」、および「バラスト水タンクを示す船の図」を含んでいる。たとえば管理サーバ23がデータベース24のデータに基づきこれらの記載欄を自動で記載する。これらの記載欄は、たとえば既述のバラスト水管理条約に規定する「バラスト水記録簿」の様式に沿って記載される。

バラスト水処理欄246は、見出し「2.バラスト水処理結果(概要)」、「(1)バラスト注水処理」および「(2)バラスト排水処理」を含む。バラスト水処理欄246は、見出し「(1)バラスト注水処理」に関連して、記載欄「処理日時(年月日時〜時)、「処理場所(緯度/経度/水深)」、「処理量(m3)」、「処理時間(h)」、「平均TRO濃度(mg/L)」、「気象情報」、および「作業担当者署名」を含む。バラスト水処理欄246は、見出し「(2)バラスト排水処理」に関連して、記載欄「処理日時(年月日時〜時)、「処理場所(緯度/経度/水深)」、「処理量(m3)」、「残量(m3)」、「処理時間(h)」、「処理後平均TRO濃度(mg/L)」、「気象情報」、「排水前のバラスト水管理計画実施有無」および「作業担当者署名」を含む。たとえば管理サーバ23がデータベース24のデータに基づきこれらの記載欄を自動で記載する。これらの記載欄は、たとえば既述のバラスト水記録簿の様式に沿って記載される。

このバラスト水処理欄246は、更に、バラスト注水処理の結果を示す結果表示欄およびバラスト排水処理の結果を示す結果表示欄を含む。これらの結果表示欄は、たとえば顔文字を含み、バラスト注水処理またはバラスト排水処理の問題の有無を顔の表情で表す。これらの結果表示欄は、たとえば管理サーバ23により表示される。管理サーバ23は、各記載欄に記載する項目に異常がないかを判断し、異常がなければ問題なしを表す表示、異常があれば問題ありを表す表示を表示する。

その他欄248は、不慮のまたはその他の例外的なバラスト水の取り入れまたは排水に係る記載欄であって、斯かるバラスト水の取り入れまたは排水が生じたことをチェックにより表す四角形状の記載欄とともに、記載欄「発生日時(年月日時〜時)、「発生場所(緯度/経度/水深)」、「排出されたバラスト水の概算の容量(m3)」、「取り入れ、排出、流出または損失の状況、その理由および概要」、「承認されたバラスト水管理計画が排出の前に実施されていたかどうか」および「作業担当者署名」を含む。たとえば船舶4の作業担当者によりこれらの項目を記載する。これらの記載欄は、たとえば既述のバラスト水記録簿の様式に沿って記載される。尚、管理サーバ23がデータベース24のデータに基づきこれらの記載欄を自動で記載してもよい。

船長署名欄250は、記載欄「船長の署名」を含む。船長は、この「バラスト処理 レポート(概要)」を確認し、記載欄「船長の署名」に署名する。この概要報告書242は、バラスト水管理条約に規定するバラスト水記録簿として、および船舶4の航海日誌として用いることができる。

図28は詳細報告書の例を示している。この報告書は、管理・処理データ30に基づき作成される報告書の一例であり、たとえば概要報告書242に続き表示されまたは概要報告書242に続き印刷される。

詳細報告書252は、既述のレポート番号表記、既述の作成日表記、および表題「バラスト処理 レポート(詳細)」とともに、処理データ欄254、薬剤情報欄256、警報履歴欄258、および既述の船長署名欄250を含む。

処理データ欄254は、見出し「1.処理データ」とともに、表示欄254−1、254−2、254−3、254−4を含んでいる。表示欄254−1は、たとえば表示欄「バラスト注水量」であり、縦軸を処理量(m3)、横軸を処理時間(h)としてたとえばバラスト注水量の推移が表示されるグラフである。表示欄254−2は、たとえば表示欄「バラスト注水時 TRO濃度」であり、縦軸をTRO濃度(mg/L)、横軸を処理時間(h)としてたとえばバラスト注水時のTRO濃度の推移が表示されるグラフである。表示欄254−3は、たとえば表示欄「バラスト排水量」であり、縦軸を処理量(m3)、横軸を処理時間(h)としてたとえばバラスト排水量の推移が表示されるグラフである。表示欄254−4は、たとえば表示欄「バラスト排水時 TRO濃度」であり、縦軸をTRO濃度(mg/L)、横軸を処理時間(h)としてたとえばバラスト排水時のTRO濃度の推移が表示されるグラフである。これらの表示欄254−1、254−2、254−3、254−4の処理時間表示は、たとえばこの詳細報告書252の作成日における0時から24時までの24時間で表示される。管理サーバ23は、データベース24の管理・処理データ30に基づきこれらの表示欄254−1、254−2、254−3、254−4を自動で表示する。

薬剤情報欄256は、見出し「2.薬剤情報」とともに、記載欄「殺滅剤使用量(L)」、「殺滅剤残量(L)」、「中和剤使用量(L)」、「中和剤残量(L)〔溶解済み〕」および「中和剤残量(kg)〔未溶解〕」を含む。管理サーバ23は、データベース24のデータに基づき記載欄「殺滅剤使用量(L)」、「殺滅剤残量(L)」、「中和剤使用量(L)」および「中和剤残量(L)〔溶解済み〕」を自動で記載する。記載欄「中和剤残量(kg)〔未溶解〕」は、たとえば船舶4の作業担当者により記載される。記載欄「中和剤残量(kg)〔未溶解〕」は、管理サーバ23がデータベース24の管理・処理データ30に基づき自動で記載してもよい。

警報履歴欄258は、見出し「3.警報履歴」とともに、記載欄「警報発生日時」および「発生した警報」を含む。管理サーバ23は、データベース24の管理・処理データ30に基づきこれらの記載欄を自動で記載する。

船長署名欄250は、記載欄「船長の署名」を含む。船長は、この「バラスト処理 レポート(詳細)」を確認し、記載欄「船長の署名」に署名する。この「バラスト処理 レポート(詳細)」は、船舶4の航海日誌として用いることができる。

図29は報告書の他の例を示す図である。この報告書260は、管理・処理データ30に基づき作成される報告書の一例であり、表題「バラスト処理 No レポート」、宛先表記、および対象期間表記とともに、処理コスト評価欄262、モニタリングデータ欄264、特記欄266、および既述の船長署名欄250を含む。レポート番号の発行は、既述の概要報告書242と同様である。管理サーバ23は、発行したレポート番号を、表題の「バラスト処理 No」と「レポート」の間に挿入し、最新のレポート番号をメモリ部72に記憶する。また、管理サーバ23は、既述のログインIDから顧客を特定し、特定した顧客名を宛先表記とともに表示する。

処理コスト評価欄262の左部には、バラスト水処理装置8−1の設備構成図268が表示される。この設備図268は、バラスト水処理装置8−1に係る最近の設備データ11を含む。設備構成図に含まれる設備データ11は、水処理状況画面200の表示領域182−2において、設備選択ボタンに表示されるデータと同様であるのでその説明を省略する。

処理コスト評価欄262の右上部には、バラスト水処理装置8−1の稼働に伴う費用が月毎の推移グラフ270として表示される。この稼働に伴う費用は、殺滅剤費用、中和剤費用、電力費用などに分類され、たとえば積み上げ棒グラフで表示される。

処理コスト評価欄262の右中央部および右下部には、バラスト注水処理からバラスト排水処理までの一連の注排水処理結果272が表示される。バラスト注水処理結果では、表示項目「担当者」、「処理日時」、「処理場所(緯度経度)」、「バラスト注水処理量」、「処理時間」、「殺滅剤使用量」、「電力使用量」、およびバラスト注水処理場所の「(深さ)」が表示される。表示項目「担当者」、「処理日時」、「処理場所(緯度経度)」、「バラスト注水処理量」、「処理時間」およびバラスト注水処理場所の「(深さ)」は、バラスト水処理欄246の表示項目と同様に表示される。表示項目「殺滅剤使用量」は、薬剤情報欄256の表示項目と同様に表示される。表示項目「電力使用量」には、バラスト注水処理に要した電力量が表示される。バラスト排水処理結果では、表示項目「担当者」、「処理日時」、「処理場所(緯度経度)」、「バラスト排水処理量」、「処理時間」、「中和剤使用量」、「電力使用量」、およびバラスト排水処理場所の「(深さ)」が表示される。表示項目「担当者」、「処理日時」、「処理場所(緯度経度)」、「バラスト排水処理量」、「処理時間」およびバラスト排水処理場所の「(深さ)」は、バラスト水処理欄246の表示項目と同様に表示される。表示項目「中和剤使用量」は、薬剤情報欄256の表示項目と同様に表示される。表示項目「電力使用量」には、バラスト排水処理に要した電力量が表示される。注排水処理結果272は、「航海時間」表示を含み、この「航海時間」表示では、バラスト排水処理の処理日時からバラスト注水処理の処理日時を差し引いた時間が表示される。

モニタリングデータ欄264は、表示欄264−1、264−2、264−3、264−4、264−5を含んでいる。表示欄264−1は、たとえば表示欄「バラスト処理量(注水&排水)」である。この表示欄264−1には、詳細報告書252に表示する表示欄254−1のグラフと表示欄254−3のグラフとを組み合わせたグラフが表示される。表示欄264−2は、たとえば表示欄「薬剤使用量(殺滅剤&中和剤)」であり、縦軸を薬剤の使用量(L)、横軸を処理時間(h)としてたとえば殺滅剤と中和剤の使用量の推移がそれぞれ表示されるグラフである。表示欄264−3には、詳細報告書252に表示する表示欄254−2のグラフと同様のグラフが表示され、表示欄264−4には、詳細報告書252に表示する表示欄254−4のグラフと同様のグラフが表示される。表示欄264−5は、概要報告書242のその他欄248に対応して、不慮のまたはその他の例外的なバラスト水の取り入れまたは排水が生じた際にこれらの処理結果が記載される。表示欄264−5では、たとえば、殺滅剤による殺滅処理や中和剤による中和処理が行われずに、バイパス処理されたバイパス処理水量の注水量および排水量が記載されるとともに、このような例外的な処理の原因となった重警報の履歴を記載する。

この報告書260は、船舶4の航海日誌として用いることができる。図22〜図29では、バラスト水処理装置8−1の水処理状況画面200、トレンド表示画面220、積算表示画面232、管理データ表示画面234、薬剤情報表示画面236、概要報告書242、詳細報告書252および報告書260の一例を示した。ボイラ装置10−1または造水装置12−1の画面または報告書は、バラスト水処理装置8−1のこれらの画面または報告書と同様に表示または印刷すればよい。

<制御装置14−1側の管理・処理データの出力処理> 図30は、管理・処理データ30の出力処理の処理手順の一例を示している。この処理手順は、本発明の設備管理方法の一例である。この処理手順は、制御装置14−1のプロセッサ58が、メモリ部60に読み取り可能に記憶されている設備管理プログラムを実行し、また通信装置16−1が通信することにより実行される。各処理はプログラムによって実行される機能または管理方法の一例である。図30において、ステップSは処理段階を示す。

プロセッサ58は、管理・処理データ30の要求であるかを判断する(ステップS281)。管理・処理データ30の要求判断は、たとえば入力部64に管理・処理データ30を要求する入力が行われたときに管理・処理データ30の要求であると判断する。管理・処理データ30の要求であれば(ステップS281のYES)、通信装置16−1を介して管理サーバ23に管理・処理データ30を要求する(ステップS282)。たとえば、入力部64が、ユーザによる水処理状況画面200の取得指示を受け付けると、制御装置14−1は、入力部64が受け付けた指示に基づいて、通信装置16−1を介して管理サーバ23に水処理状況画面200の送信要求を通知する。管理・処理データ30の要求でなければ(ステップS281のNO)、プロセッサ58は、ステップS282を省略する。

管理・処理データ30の要求により、または管理サーバ23の自動処理により、管理・処理データ30は通信装置16−1を介して制御装置14−1に送信される。たとえば、管理サーバ23から、要求した水処理状況画面200を取得する。プロセッサ58は、管理・処理データ30の取得であるかを判断し(ステップS283)、管理・処理データ30の取得であれば(ステップS283のYES)、取得した管理・処理データ30を解析して出力する(ステップS284)。たとえば、制御装置14−1は、管理・処理データ30に基づき表示部62に水処理状況画面200を表示する。制御装置14−1は、管理・処理データ30に基づき水処理状況画面200をI/O66に接続された印刷装置により印刷する。管理・処理データ30の取得でなければ(ステップS283のNO)、プロセッサ58は、ステップS284を省略する。プロセッサ58は、ステップS281に戻り、ステップS281からステップS284を繰り返す。

<管理サーバ23側の管理・処理データ30の出力処理> 図31は、管理・処理データの出力処理の処理手順の一例を示している。この処理手順は、本発明の設備管理方法の一例である。この処理手順は、管理サーバ23のプロセッサ70が、メモリ部72に読み取り可能に記憶されている設備管理プログラムを実行することにより実行される。この処理手順は、たとえば図18に示す管理・処理データの出力処理(ステップS277)に対応して実施される。各処理はプログラムによって実行される機能または管理方法の一例である。図31において、ステップSは処理段階を示す。

プロセッサ70は、管理・処理データ30の定時出力であるかを判断する(ステップS291)。この定時出力は、たとえば、1日(24時間)毎に送信するように時間設定され、航海日誌として利用されるたとえば概要報告書242および詳細報告書252を送信する。定時出力であれば(ステップS291のYES)、概要報告書242および詳細報告書252等の管理・処理データ30をデータベース24から取得し(ステップS292)、船舶に関わる顧客に定時出力する(ステップS293)。定時出力でなければ(ステップS291のNO)、ステップS292およびS293を省略する。

プロセッサ70は、管理・処理データ30の出力要求の取得であるかを判断し(ステップS294)、出力要求の取得であれば(ステップS294のYES)、要求に基づいて要求された管理・処理データ30をデータベース24から取得し(ステップS295)、要求した顧客に出力する(ステップS296)。出力要求の取得でなければ(ステップS294のNO)、ステップS295およびS296を省略する。プロセッサ70は、ステップS291に戻り、ステップS291からステップS296を繰り返す。

このようにして、管理サーバ23が作成した解析結果、診断結果、卜レンドグラフ等の管理・処理データ30を船舶4または管理者等が得て、表示や印刷をすることができる。

管理・処理データ30を取得した船舶4では、たとえば表示部62に表示された管理・処理データ30を参照して、水処理設備の担当者が、水処理設備への薬液注入量を調整することができ、水処理設備の設備負荷の調整を行うことができる。

<実施例2の効果> (1) 実施例1に示した効果を得ることができる。

(2) データベース24に記憶した管理・処理データ30に基づき、管理センター6、船舶4、船舶所有者または船舶管理者で水処理設備の解析、診断、トレンドグラフの表示や印刷を行うことができる。また、管理サーバ23は無線を介して最近の設備データ11を取得しているので、この最近の設備状況が反映された解析結果、診断結果、トレンドグラフ等を表示や印刷することができる。

(3) 制御装置14−1は、管理サーバ23により作成された管理・処理データ30を、無線を介して取得し、表示または印刷することができる。無線の介在により、水処理設備で水をサンプリングしてから、管理・処理データ30に基づくトレンドグラフ等の表示や印刷までにかかる時間を短縮することができる。船舶4では、制御装置14−1の表示部62に表示された卜レンドグラフ等を参照して水処理設備への薬液注入量を調整したり、水処理設備の設備負荷を調整したりすることで、水処理設備を安定的で最適な運転状態に維持することができる。

(4) 選択ボタンや切替ボタンの操作により、参照したいデータを比較的簡単に表示または印刷することができる。また、薬剤交換ボタン240の操作は、たとえばタッチパネルへのタッチ操作、またはマウスによるクリック操作を用いればよい。薬剤情報表示画面を含む各種の画面は、薬剤交換ボタン240による交換終了指示のように、表示画面上でのボタン操作により、設備データ11や管理・処理データ30の更新を比較的簡単に行うことができる。

(5) 出力した報告書をそのままバラスト水管理条約に規定するバラスト水記録簿や航海日誌として用いることができ、これらの作成負荷が軽減される。

<変形例> (1) 実施例1で示した各種の変形が可能である。

(2) 上記実施例では、ログインIDとパスワードの設定により、管理サーバ23に登録されたユーザのアクセスのみを許容するように認証したが、本発明は斯かる認証に限定されるものではない。また、IDやパスワードを水処理設備や水質分析計174に関連づけて、特定の水処理設備や水質分析計174の設備データ11へのアクセス権限を与えるようにしてもよい。斯かる構成では、IDに対応するユーザが取り扱う水処理設備の管理・処理データ30についてのみ取得でき、他のユーザが扱う水処理設備や水質分析計174の管理・処理データ30の閲覧が禁止され、情報セキュリティをさらに強固にすることができる。また、IDやパスワードの入力による認証を行わずに、データを公開するようにしてもよい。

(3) 上記実施例では、表示領域182−2にバラスト水処理装置8−1の設備構成を表す設備構成図を表示したが、この設備構成図を介して水処理設備を遠隔操作できるようにしてもよい。このような構成によれば、管理サーバ23が提供する管理・処理データ30を確認している船員が、各水処理設備の操作パネルに移動することなく、管理サーバ23が提供する管理・処理データ30を表示している制御装置14−1を介して各水処理設備を遠隔で操作することができる。

実施例3では、設備管理システムは、船舶4のバラスト水処理装置8−1、ボイラ装置10−1、造水装置12−1などの水処理設備で使用する薬剤を手配する。この実施例3の設備管理システム2は、実施例1の設備管理システム2または実施例2の設備管理システム2を含んでいる。実施例1または実施例2と共通する内容の説明は省略する。

実施例3では、管理サーバ23は、船舶4の運行情報をデータベース24に記憶する。船舶4の運行情報は、船舶4の運航計画を含み、たとえば船舶4の寄港地情報およびこの寄港地の滞在期間情報を含む。この運行情報は、たとえば船舶に関わる顧客から取得すればよい。管理サーバ23は、水処理設備で使用する薬剤が不足しているかを判断し、薬剤が不足している場合には、データベース24に記憶している運行情報を参照し、船舶4が今後寄港する寄港地を検索し、検索された寄港地に薬剤を手配する。この薬剤の手配情報は管理・処理データ30に追加され、データベース24に記憶される。船舶4は、データベース24の管理・処理データ30を参照して、薬剤の手配を知ることができる。

<薬剤の手配処理> 図32は、薬剤の手配処理の処理手順の一例を示している。この処理手順は、本発明の設備管理方法の一例である。この処理手順は、管理サーバ23のプロセッサ70が、メモリ部72に読み取り可能に記憶されている設備管理プログラムを実行することにより実行される。この処理は、定期的、たとえば1日毎または1週間毎に実行される。各処理はプログラムによって実行される機能または管理方法の一例である。図32において、ステップSは処理段階を示す。

プロセッサ70は、管理・処理データ30を参照し、薬剤の船内保管残量を確認し(ステップS301)、この船内保管残量がデータベース24に予め設定された薬剤の下限保管量以下であるかを判断する(ステップS302)。下限保管量以下であれば(ステップS302のYES)、データベース24に記憶されている船舶4の運行情報を確認し(ステップS303)、薬剤を手配する寄港地を決定する(ステップS304)。薬剤を手配する寄港地は、船舶4が次に寄港する寄港地に限らない。たとえば、薬剤の船内保管残量から薬剤が尽きる日付を推定し、今後N番目に寄港する寄港地まで薬剤が残るようであれば、このN番目の寄港地に薬剤を手配するようにしてもよい。

プロセッサ70は、決定した寄港地に対してたとえば発注書の発行により薬剤を手配し(ステップS305)、管理・処理データ30に薬剤手配情報を追加し(ステップS306)、処理を終了する。船内保管残量が下限保管量以下でなければ(ステップS302のNO)、ステップS303からステップS306を省略し、処理を終了する。

<実施例3の効果> (1) 実施例1または実施例2に示した効果を得ることができる。

(2) 水処理設備に必要な薬剤が管理サーバ23により管理されるとともに寄港地に手配されるので、船舶4の船員は、薬剤の管理や手配をする必要がなく、船員の作業負担が軽減される。また、薬剤手配情報が管理・処理データ30に記憶されるので、船舶4の水処理設備に関する情報を薬剤の手配情報を含めて一括して記録することができる。

(3) 海上において薬剤の不足や修理が困難な設備異常が生じた時には、最寄りの寄港地での薬剤の補充や設備修理の手配が生じるが、これらの作業を管理センター6で行うので、船員の手配負担が軽減される。

<変形例> (1) 実施例1または実施例2で示した各種の変形が可能である。

(2) 上記実施例では、薬剤の手配も含めて管理サーバ23が実施したが、たとえば、管理サーバ23は、薬剤の手配を促す警報を発生させ、警報を確認した管理サーバ23のオペレータが薬剤を手配してもよい。

(3) 上記実施例では、薬剤を手配したが、たとえば水処理設備に用いる予備品の管理および手配を行ってもよく、また、水処理設備の異常を検知し、水処理設備の維持または保守(メンテナンス)を手配するようにしてもよい。

以上説明したように、本発明の最も好ましい実施の形態等について説明した。本発明は、上記記載に限定されるものではない。特許請求の範囲に記載され、または明細書に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能である。斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。

本発明は、船舶における水処理設備の設備データを、船舶、船舶所有者又は船舶管理者に提供でき、有用である。

2 設備管理システム 4 船舶 6 管理センター 8 バラスト水処理設備 8−1 バラスト水処理装置 8−2、10−2、12−2 制御部 10 ボイラ設備 10−1 ボイラ装置 11 設備データ 12 造水処理設備 12−1 造水装置 14、22 処理部 14−1 制御装置 14−2 記憶部 16、20 通信部 16−1 通信装置 18 公衆無線通信衛星 23 管理サーバ 24 データベース 26 通信設備 27 通信ネットワーク 28 船舶・設備データ 30 管理・処理データ 34 設備情報 36 船舶コード 38 船舶名情報 40 設備コード 42 設備名情報 44 水種別名情報 46 ファイル名情報 48 日付情報 50 時刻情報 52 設備データ 54 センサ校正日情報 56 通信部 58、70 プロセッサ 60、72 メモリ部 62 表示部 64 入力部 66、74 I/O 68 通信部 174 水質分析計 175 データ解析装置

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