【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、オートバイ等の自動二輪車用のヒータ内蔵グリップに係わり、特に面状ヒータであるフレキシブルプリント配線板ヒータ回路(以下、 単にFPCヒータという)を内蔵したグリップに関する。 【0002】 【従来の技術】従来では、自動二輪車のハンドルのグリップ内に面状ヒータを組み込み、必要に応じてグリップを加熱するという技術が知られている。 図12および図13は、この種のヒータ内蔵グリップの一例(実開平5 −60996号)を示す断面図である。 符号1は、ハンドルパイプ2を挿通させることで、ハンドルパイプ2に嵌着一体化できるグリップ本体で、同グリップ本体1 は、FPCヒータ4を巻装した適度の剛性をもつ横断面半円弧状の合成樹脂製インナーピース3の外周に、軟質ゴム製被覆層5が成形一体化された構造となっている。 インナーピース3の内周面にはパイプ圧接用のゴム層6 が設けられており、グリップ本体1を確実にハンドルパイプ2に固定保持できるようになっている。 【0003】しかし、図12,13に示すグリップでは、FPCヒータ4がグリップ本体の周方向略半分しか延在しておらず、グリップ本体1の略半分の領域しか緩まらない。 そこで図14に示すように、周方向の一部3 aが切り欠かれた略円筒状のインナーピース3の外周面にFPCヒータ4を巻装し、その上に被覆ゴム層5を成形したヒータ内蔵グリップや、図示しないが、インナーピース3を円筒状としたヒータ内蔵グリップが提案されており、FPCヒータ4がグリップ本体の略全周に延在しているので、グリップを握る手全体が効率よく暖められるというものである。 なお符号7は、インナーピース3の内周面に縦横に延びている溝で、この溝7にパイプ圧接用ゴム層6が充填されている。 【0004】 【発明の解決しようとする課題】しかし前記した図14 に示す従来のグリップヒータでは、インナーピース3の内周面にパイプ圧接用ゴム層6を充填するための溝7を形成する必要があるが、インナーピース3が円筒又は略円筒型であるため、この溝7の形成が非常に困難で、それだけヒータ内蔵グリップの製造が面倒であった。 【0005】本発明は前記従来技術の問題点に鑑みなされたもので、その目的は、グリップ本体全体が緩まり、 ハンドルパイプ(スロットルパイプ)への組付時や使用時にFPCヒータに断線や破損が発生しにくく、ハンドルパイプ(スロットルパイプ)に確実に一体化できるとともに、製造の容易な自動二輪車用ヒータ内蔵グリップを提供することにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】前記目的を達成するために、本発明に係る自動二輪車用ヒータ内蔵グリップにおいては、自動二輪車のハンドルパイプ又はスロットルパイプに外嵌される円筒形状のゴム製グリップ本体内にフレキシブルプリント配線板ヒータ回路が埋設一体化された自動二輪車用ヒータ内蔵グリップにおいて、前記グリップ本体のハンドルパイプ又はスロットルパイプに臨むヒータ回路配設領域を、円筒型又は周方向の一部が切り欠かれた略円筒型の合成樹脂製インナーピースによって構成し、このインナーピースの内周面に互いに連通する複数本の溝を形成し、かつ溝内には、インナーピース外周面に延在するフレキシブルプリント配線板ヒータ回路を被覆する被覆用ゴム層に一体化されたパイプ圧接用のゴム層を充填するとともに、前記インナーピースを周方向複数個に分割するようにしたものである。 【0007】請求項2では、請求項1に係わる自動二輪車用ヒータ内蔵グリップにおいて、インナーピース分割片の接合端部に切り欠きを形成し、この切り欠き内に充填したゴム層によって被覆用ゴム層とパイプ圧接用ゴム層とを連結するようにしたものである。 【0008】 【作用】円筒型又は略円筒型の断熱作用に優れた合成樹脂製インナーピースは、FPCヒータの発熱がハンドルパイプ(スロットルパイプ)側へ逃げるのを抑制する。 ゴムと違って変形しにくい合成樹脂製インナーピースは、外力によってグリップ本体が変形されるのを防止し、ひいてはFPCヒータが変形されるのを防止する。 【0009】インナーピース内周面に形成されている溝に充填されたパイプ圧接用ゴム層は、インナーピースにハンドルパイプ(スロットルパイプ)を挿入する際のパイプ挿入端による引き剥がし力に対抗するとともに、挿入されたハンドルパイプ(スロットルパイプ)に圧接して、インナーピースがこれらのパイプに対して滑ることを確実に防止する。 【0010】インナーピースは周方向複数個に分割されており、個々のインナーピース分割片にパイプ圧接用ゴム層を充填するための溝を形成することは容易である。 請求項2では、インナーピースの切り欠きに充填されたゴム層がインナーピース外側の被覆用ゴム層と内側のパイプ圧接用ゴム層とを連結し、ゴム層の剥がれを抑制する。 【0011】 【実施例】次に、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。 図1は本発明に係わる自動二輪車用ヒータ内蔵グリップの一実施例を示す斜視図、図2は同グリップの要部であるグリップ本体の縦断面図、図3〜5は同グリップ本体の横断面図(図2に示す線 III− III,IV−IV, V−Vに沿う断面図)、図6はインナーピースの拡大斜視図、図7はインナーピースに巻装する前のフレキシブルプリント配線板ヒータ回路とその電気回路を示す図、 図8および図9はグリップ本体の成形の様子を説明する説明図、図10は面取りされた平坦面位置におけるFP Cヒータの弛みを説明する説明図である。 【0012】これらの図において、符号10は、表面がゴムで被覆された円筒型のグリップ本体で、自動二輪車のハンドルパイプ又はスロットルパイプに外嵌固定されることでグリップを構成する。 グリップ本体10は、円筒型の合成樹脂製インナーピース12の外側にフレキシブルプリント配線板ヒータ回路(以下、FPCヒータという)20が巻装され、その上に被覆ゴム層16が成形一体化されて、インナーピース12と被覆ゴム層16との間にFPCヒータ20が延在する構造となっている。 【0013】インナーピース12の内周面には、被覆ゴム層16に連結一体化されて縦横に延びる帯状のパイプ圧接用のゴム層14(周方向に延びるゴム層14a,軸方向に延びるゴム層14b)が形成されている。 このゴム層14は、インナーピース12の側壁に設けられた開口部15(15a,15b)に連通する溝13(周方向に延びる溝13a,軸方向に延びる溝13b)内に充填されて、インナーピース12の内周面と面一に形成されており、インナーピース12内に挿通されたハンドルパイプ(又はスロットルパイプ)に圧接して、グリップ本体10とハンドルパイプ(又はスロットルパイプ)間の接着強度を高める働きがある。 なおゴム層14は、インナーピース12の内周面の内側にわずかに突出する高さに形成されていてもよく、この場合には、インナーピース内周面とハンドルパイプ(又はスロットルパイプ)外周面間にわずかな空気層が形成されて、グリップ本体1 0側の熱がハンドルパイプ(又はスロットルパイプ)側に逃げ難い構造となる。 【0014】またゴム層14は、接着剤の塗布された溝13内に充填されて、強固に溝13に接着固定されているため、グリップ本体10内にハンドルパイプまたはスロットルパイプを挿入させる際に、ゴム層14がハンドルパイプ(スロットルパイプ)の挿入端部によって引きちぎられるという不具合もない。 なおインナーピース1 2は円筒形状であるため、インナーピース内周面にゴム層形成用の溝13を形成することは非常に困難であるが、本実施例では、インナーピース12が周方向に二分割(上側分割片12aと下側分割片12bに分割)された構造であり、横断面半円弧状の分割片12a,12b のそれぞれの内周面にゴム層形成用の溝13(13a, 13b)を形成することは容易である。 即ち、成形面に溝13成形用の凸条を設けた金型を使って、インジェクション成形やプレス成形によって合成樹脂製インナーピース分割片12a,12bを成形したり、合成樹脂製インナーピース分割片の内周面に、切削によって溝13を形成したりすることは容易である。 【0015】またインナーピース構成部材である下側分割片12bの左右の側縁部には、それぞれ切欠15(1 5a,15b)が形成されており、下側分割片12bと上側分割片12aとを係合させて円筒型インナーピース12とすることで、この切欠15aが、ゴム層成形時のインナーピース12の外側と内側とを連通させる連通孔である開口部Hを構成するようになっている。 即ち、被覆ゴム層16とパイプ圧接用ゴム層14とは開口部H内に充填されたゴム層50によって連結一体化されており、これによって、被覆ゴム層16とインナーピース1 2間の相対ずれが確実に抑制されるので、FPCヒータ20,被覆ゴム層16およびパイプ圧接用ゴム層14がインナーピース12から剥離するような不具合がなく、 長期の使用にも十分耐え得る構造強度が確保されている。 【0016】またインナーピース12は円筒形状に形成されているが、インナーピース12の外周面の分割位置に沿った部位(分割片12a,12bの接合部に沿った領域)には、面取りされた平坦面12c(12c 1 ,1 2c 2 )が形成されるとともに、左右の対向する平坦面12c 1 ,12c 2の一方の平坦面12c 2を除いたインナーピース全周領域にFPCヒータ20が延在した構造で、グリップ本体10の全体が緩められるようになっている。 また発明者は、図10に示すように、円弧面4 0の一部を面取りして円弧面40の中に平坦面42を形成した場合には、円弧面に巻装されたFPCヒータ20 が弛むと、この平坦面42位置においてFPCヒータ2 0が仮想線に示すように浮き上がり易い(FPCヒータ20が弛んでFPCヒータ20にしわが形成され易い) という特徴に着目し、インナーピース12の円形外周面(のFPCヒータ20の巻装領域)に平坦面領域12c 1を形成することで、FPCヒータ20にしわが生じる場合は、必ずこの平坦面12c 1位置だけにしわが出現するように制御するとともに、後で詳しく説明するように、この平坦面12c 1位置における被覆ゴム層16の厚さを、しわを隠すに足りる十分な厚さとするようにしたのである。 【0017】また被覆ゴム層16とインナーピース12 間に延在するFPCヒータ20は、銅箔ストリップパターン30をベースフィルムとオーバーフィルムとで積層した断面構造で、展開すると、図7に示すように略正方形状となっている。 FPCヒータ20の一側縁部には、 図2,3,7に示されるように、グリップ外に導出される電源接続用の導出部21が形成されている。 この導出部21には、発熱源として作用する蛇行した導箔パターン32に連絡する銅箔の露出した2個のランドR 1 、R 2が形成されており、それぞれのランドR 1 、R 2には、雄コネクタ26(図2,3参照)内の2本の端子2 7が当接し、それぞれの端子27,27には、電源であるバッテリから延びる通電用のコード28の先端に設けた雌コネクター29が接続される。 なお雄コネクター2 6は、インナーピース12の上側分割片12aに係合し、かつインナーピース12を覆っている被覆ゴム層1 6によってグリップ本体10に成形一体化されており、 インナーピース12の外側に被覆ゴム層16が成形される際に、この雄コネクター26もインナーピース12に一体化される。 符号38は、FPCヒータ20の補強用銅箔ストリップ34形成位置に一定ピッチで設けられた円孔で、FPCヒータ20上の被覆ゴム層16がこの円孔38内において直接インナーピース12に接着することで、FPCヒータ20の剥離が防止される構造となっている。 【0018】また銅箔ストリップパターン30中の発熱源である蛇行する銅箔ストリップ32は、X方向と直交するグリップ本体の周方向(FPCヒータの巻装方向) に対応するY方向に延在して、グリップ本体の周方向に作用する外力に対する曲げ剛性が高められており、被覆ゴム層16の成形工程において、FPCヒータ20の発熱作用を営む銅箔ストリップ32にしわが生じにくい構造となっている。 銅箔ストリップ32の周りには、FP Cヒータ20の外側縁部に沿って補強用の導箔ストリップ34が延在し、さらに銅箔パターン32形成領域にもY方向に延在する補強用の銅箔ストリップ34が延在して、FPCヒータ20の曲げ剛性が高められて、FPC ヒータ20が変形しにくい構造となっている。 なおこの補強用の銅箔ストリップ34は、図7中、斜線で示す。 【0019】またFPCヒータ20のY方向の中央部には、インナーピース12の開口部Hに整合する長孔22 が設けられ、この長孔22が開口部Hに一致した形態でFPCヒータ20がインナーピース12に巻装保持されているが、仮にFPCヒータ20にしわが生じる場合には、この長孔22形成位置P 1にしわが集中する構造となっている。 即ち、FPCヒータ20の長孔形成位置P 1における断面係数は、長孔22が設けられることで、 X方向と平行なその他の位置における断面係数に比べて小さく、従ってFPCヒータ20にしわを生じさせるだけの外力が作用した場合には、この長孔形成位置P 1にのみしわが発生するようになっている。 【0020】またインナーピース12の面取りされた平坦面12c(12c 1 ,12c 2 )位置における被覆ゴム層16の厚さは、被覆ゴム層16の外形が円であることから、インナーピース外周面のその他の部位(面取りされていない部位)における被覆ゴム層16の厚さよりも厚くなっている。 そしてこの平坦面12c 2位置には、FPCヒータ20の長孔22形成位置P 1 (FPC ヒータ20において曲げ剛性が小さくされてしわの生じ易い部位)が位置しており、FPCヒータ20にしわが生じる場合には、被覆ゴム層16の厚さの十分に厚いこの平坦面12c 1位置に生じ、このため生じたしわがかなり大きな(高さの高い)しわであっても、被覆ゴム層16内に隠されて、しわが被覆ゴム層16の外に露呈することはない。 【0021】またFPCヒータ20の長孔22形成位置には、長孔22の周縁部を補強するための導箔ストリップ36が長孔22の延在方向に設けられるとともに、F PCヒータ20に生じるしわを長孔形成位置に誘導するための帯状の導箔非形成領域37が導箔ストリップ36 と平行に設けられている。 即ち、導箔ストリップ36の巾方向中央部に、長孔22の延在方向に延びる導箔非形成領域37を設けることで、長孔22形成位置の中で導箔非形成領域37に沿った位置における曲げ剛性を最も小さくし、これによってFPCヒータ20にしわ20b (図9参照)が生じる場合には、必ず長孔22に沿ったこのP 1位置にあらわれるようになっている。 このP 1 位置における被覆ゴム層16の厚さt 1 (図4,5参照)は、平坦面12c 1に対応する被覆ゴム層16の厚さの中で最も厚くなり、被覆ゴム層16の最も厚い部分にしわが誘導されて、しわ20bを隠すことができるようになっている。 【0022】またインナーピース12の外側に被覆ゴム層16を、内側にパイプ圧接用ゴム層14をそれぞれ成形するには、図8,9に示されるように、FPCヒータ非巻装領域を金型パーティング位置に臨む形態で成形するようになっており、これによってインナーピース12 に沿って延在するFPCヒータ20にはしわが生じにくい。 即ち、まず上下の分割片12a,12bを係合一体化させたインナーピース12にFPCヒータ20を巻き付け、その上に生ゴムシート19を巻回してFPCヒータ20を仮止めする。 次にインナーピース12に中子1 7を挿通し、固定金型18a内に配置する。 なおFPC ヒータ20を仮り止めするために使用される生ゴムシート19は、予め金型18a,18b内にゴム層形成用材料(生ゴムシート19)を収容しておくことで、金型内への溶融ゴムの注入不足を補って、十分な厚さの被覆ゴム層16およびパイプ圧接用ゴム層14を形成する上で有効である。 次に可動金型18bを固定金型18aに係合させて型締めする。 この型締めの際には、図8に示されるように、生ゴムシート19の符号C 1 ,C 2で示される部位が可動金型18bに押圧されて、FPCヒータ20には、図8符号FC 1 ,FC 2で示す一対の外力が作用する。 しかしFPCヒータ20に作用するこの2つの外力FC 1 ,FC 2は互いに向きが反対であるため相殺し合い、このためFPCヒータ20がインナーピース12に沿って滑動せず、従ってFPCヒータ20にしわが生じない。 またこの外力FC 2は、FPCヒータ20 の側縁端部20aをめくり上げる方向とは逆方向、即ち側縁端部20aをインナーピース12の表面に沿って押し付ける方向(FPCヒータの巻装方向)に作用するため、側縁端部20aはインナーピース12の外表面に密着状態に保持される。 【0023】そして型締めが完了すると、金型に設けられているゲート(図示せず)から溶融ゴムを金型18 a,18b内に注入する。 金型成形面とインナーピース12の外周面間に供給された溶融状態のゴムは、インナーピース12の側壁に設けられている開口部Hを通ってインナーピース12内側の溝13(13a,13b)内のすみずみにまでスムーズに流れ込み、溝13内に充填されたゴムには型温が十分に伝達されるので、パイプ圧接用のゴム層14は加熱不足(生焼け)となるおそれは全くない。 そして所定時間冷却固化させた後、型開きすることによって、インナーピース12の外側には被覆ゴム層16が、内側にはパイプ圧接用ゴム層14がそれぞれ成形一体されたグリップ本体10が形成される。 【0024】なお前記実施例では、円筒型のインナーピース12が周方向に2分割された構造となっているが、 2分割構造に限るものではなく、3分割,4分割等、周方向複数個に分割された構造であればよい。 またインナーピース12は円筒型となっているが、図11に示されるように、周方向の一部40が切り欠かれた横断面C型の略円筒型であってもよい。 なお図11における符号H 1はインナーピース12の側壁(切欠40形成位置と対向する位置)に形成された開口部を示す。 【0025】また前記実施例では、FPCヒータ20を巻装したインナーピース12の上に生ゴムシート19を巻回して取り付けて金型18a,18b内に配置することで、金型内に注入する溶融ゴムの量を少なくできるようになっているが、FPCヒータ20をインナーピース12に仮り止めする手段として接着剤等の他の方法を適用すれば、生ゴムシート19を使用する必要はない。 【0026】 【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明に係る自動二輪車用ヒータ内蔵グリップによれば、円筒型又は略円筒型の断熱作用に優れた合成樹脂製インナーピースが、FPCヒータの発熱がハンドルパイプ(スロットルパイプ)側へ逃げるのを抑制するので、保温性に優れ、しかも熱効率のよいヒータ内蔵グリップが得られる。 【0027】またゴムと違って変形しにくい合成樹脂製インナーピースは、外力によってグリップが変形されるのを防止し、ひいてはFPCヒータが変形されるのを防止する。 このため手で握って使用する際に強く握られるようなことがあっても、FPCヒータは変形しにくく、 FPCヒータに破損や断線が発生しにくい。 またパイプ圧接用ゴム層はインナーピース内周面に形成されている溝に充填されているため、ハンドルパイプ(スロットルパイプ)への組付け時に引き剥がされることがない。 またインナーピース内周面に形成されている溝に充填されたパイプ圧接用ゴム層はグリップ本体に挿入されたハンドルパイプ(スロットルパイプ)に圧接して、インナーピースがこれらのパイプに固定保持されるので、ヒータ内蔵グリップのハンドルパイプ(スロットルパイプ)への一体化が確実となる。 【0028】またインナーピースは周方向に複数個に分割されており、個々のインナーピース分割片にパイプ圧接用ゴム層を充填するための溝を形成することは容易であるため、インナーピースの製造、ひいてはヒータ内蔵グリップの製造が容易となる。 請求項2によれば、インナーピース外側の被覆ゴム層と内側のパイプ圧接用ゴム層とがインナーピースの切り欠きに充填されたゴム層により連結一体されるため、被覆ゴム層,インナーピースおよびパイプ圧接用ゴム層の一体化が確保されて、ゴム層の剥離しにくいヒータ内蔵グリップが得られる。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明に係わる自動二輪車用ヒータ内蔵グリップの一実施例を示す斜視図 【図2】同グリップの要部であるグリップ本体の縦断面図 【図3】同グリップ本体の横断面図(図2に示す線III − IIIに沿う断面図) 【図4】同グリップ本体の横断面図(図2に示す線にIV −IVに沿う断面図) 【図5】同グリップ本体の横断面図(図2に示す線にV −Vに沿う断面図) 【図6】インナーピースの拡大斜視図 【図7】インナーピースに巻装する前のフレキシブルプリント配線板ヒータ回路とその電気回路を示す図 【図8】グリップ本体の成形の様子を説明する説明図 【図9】グリップ本体の成形の様子を説明する説明図 【図10】面取りされた平坦面位置におけるFPCヒータの弛みを説明する図 【図11】本発明の第2の実施例の要部であるグリップ本体の横断面図 【図12】従来のヒータ内蔵グリップヒータの縦断面図 【図13】同グリップの横断面図(図12に示す線XII −XII に沿う断面図) 【図14】従来の他のヒータ内蔵グリップの横断面図 【符号の説明】 10 グリップ本体 12 インナーピース 12a,12b インナーピース分割片 13(13a,13b) パイプ圧接用ゴム層を形成するための溝 14(14a,14b) パイプ圧接用ゴム層 15 インナーピース側壁に設けられた切り欠き(開口部H) 16 被覆ゴム層 18a,18b 被覆ゴム層成形用の金型 20 フレキシブルプリント配線板ヒータ回路(FPC ヒータ) 50 インナーピース側壁の切り欠き(開口部)に充填されたゴム層 |