車両のサスペンションロック機構

申请号 JP2015185605 申请日 2015-09-18 公开(公告)号 JP6134362B2 公开(公告)日 2017-05-24
申请人 本田技研工業株式会社; 发明人 清水 賢三; 山口 昌弘;
摘要
权利要求

車体側に設けられる車体側部材(36b)に揺動可能にアーム(37a)が支持され、前記アーム(37a)の先端部に車輪(2)が車軸(40)を介して支持され、前記アーム(37a)の揺動によって緩衝器(37b)が伸縮されるサスペンション(37)のストロークを停止させる車両のサスペンションロック機構において、 前記アーム(37a)の揺動に連動するギヤ(351)が設けられ、このギヤ(351)に噛み合うロック用レバー(354)が設けられ、 前記ロック用レバー(354)は、ケーブル操作で作動するカム(353)に押し付けられることで前記ギヤ(351)に噛み合うことを特徴とする車両のサスペンションロック機構。前記車体側部材(36b)は、ハンドル操作により転されるステアリング機構を構成し、前記車体側部材(36b)の長手方向に沿って、前記ギヤ(351)、前記ロック用レバー(354)及び前記カム(353)が順に配置されることを特徴とする請求項1に記載の車両のサスペンションロック機構。前記ギヤ(351)、前記ロック用レバー(354)及び前記カム(353)は、同一ケース(338)に収容されることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両のサスペンションロック機構。前記カム(353)は、ケーブル操作されるケーブル操作レバー(352)に弾性体(356)を介して作動されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の車両のサスペンションロック機構。前記ギヤ(351)、前記ロック用レバー(354)、前記カム(353)及びケーブル操作レバー(352)は、側面視で、前記車体側部材(36b)に重なるように配置され、前記ケーブル操作レバー(352)及び前記ロック用レバー(354)は、それぞれ前後方向に延びるように配置されるとともに上下に隔てて配置され、前記カム(353)が、前記ケーブル操作レバー(352)と前記ロック用レバー(354)との間に配置されることを特徴とする請求項4に記載の車両のサスペンションロック機構。

说明书全文

本発明は、アームの揺動によって緩衝器が伸縮されるサスペンションを備えた車両のサスペンションロック機構に関する。

従来、サスペンションにテレスコピック式のショックアブソーバが設けられ、このショックアブソーバのストロークを停止させるストローク停止装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。

特開2005−247303号公報

特許文献1に示されたサスペンションの他に、車輪の上下動に伴い、ボトムリンク式サスペンション等に備えるアームの揺動によって緩衝器が伸縮されるサスペンションのストロークを停止させる構造が望まれている。 本発明の目的は、サスペンションのストロークを停止可能な車両のサスペンションロック機構を提供することにある。

上述した課題を解決するため、本発明は、車体側に設けられる車体側部材(36b)に揺動可能にアーム(37a)が支持され、前記アーム(37a)の先端部に車輪(2)が車軸(40)を介して支持され、前記アーム(37a)の揺動によって緩衝器(37b)が伸縮されるサスペンション(37)のストロークを停止させる車両のサスペンションロック機構において、前記アーム(37a)の揺動に連動するギヤ(351)が設けられ、このギヤ(351)に噛み合うロック用レバー(354)が設けられ、前記ロック用レバー(354)は、ケーブル操作で作動するカム(353)に押し付けられることで前記ギヤ(351)に噛み合うことを特徴とする。

上記構成において、前記車体側部材(36b)は、ハンドル操作により転されるステアリング機構を構成し、前記車体側部材(36b)の長手方向に沿って、前記ギヤ(351)、前記ロック用レバー(354)及び前記カム(353)が順に配置されるようにしても良い。 また、上記構成において、前記ギヤ(351)、前記ロック用レバー(354)及び前記カム(353)は、同一ケース(338)に収容されるようにしても良い。

また、上記構成において、前記カム(353)は、ケーブル操作されるケーブル操作レバー(352)に弾性体(356)を介して作動されるようにしても良い。 また、上記構成において、前記ギヤ(351)、前記ロック用レバー(354)、前記カム(353)及び前記ケーブル操作レバー(352)は、側面視で、前記車体側部材(36b)に重なるように配置され、前記ケーブル操作レバー(352)及び前記ロック用レバー(354)は、それぞれ前後方向に延びるように配置されるとともに上下に隔てて配置され、前記カム(353)が、前記ケーブル操作レバー(352)と前記ロック用レバー(354)との間に配置されるようにしても良い。

本発明は、アームの揺動に連動するギヤが設けられ、このギヤに噛み合うロック用レバーが設けられるので、ギヤにロック用レバーを噛み合わせることで、アームの揺動をロックさせることができ、サスペンションのストロークを停止させることできる。 また、ロック用レバーは、ケーブル操作で作動するカムに押し付けられることでギヤに噛み合うので、直接にロック用レバーをケーブル操作で作動させるのに比べて、カムによりロック用レバーの動作を制御しやすくすることができる。

また、車体側部材は、ハンドル操作により転舵されるステアリング機構を構成し、車体側部材の長手方向に沿って、ギヤ、ロック用レバー及びカムが順に配置されるので、サスペンションロック機構のコンパクト化を図ることができる。 また、ギヤ、ロック用レバー及びカムは、同一ケースに収容されるので、外観性を向上させるとともに、外部から効率的に保護することができる。

また、カムは、ケーブル操作されるケーブル操作レバーに弾性体を介して作動されるので、ケーブル操作レバーをケーブル操作したときに、弾性体の弾性でカムをロック用レバーに押し付けることができる。従って、ロック用レバーがギヤに噛み合わない場合に、ロック用レバーを上記弾性力でギヤに押し付けた状態で、ギヤが回動した際にロック用レバーがギヤに噛み合うように待機させることができる。

また、ギヤ、ロック用レバー、カム及びケーブル操作レバーは、側面視で、車体側部材に重なるように配置され、ケーブル操作レバー及びロック用レバーは、それぞれ前後方向に延びるように配置されるとともに上下に隔てて配置され、カムが、ケーブル操作レバーとロック用レバーとの間に配置されるので、サスペンションロック機構を、車体側部材の側方で小型・コンパクトに構成することができる。

本発明の実施の形態に係る揺動型車両の左側面図である。

揺動型車両の右側面図である。

揺動型車両を左前方側から見た斜視図である。

揺動型車両を前方から見た図である。

揺動型車両の前部の左側面図である。

揺動機構の周辺部を前方側から見た図である。

揺動機構の周辺部を左前方側から見た斜視図である。

揺動機構の周辺部を後方側から見た図である。

リンク式サスペンション機構及びサスペンションロック機構を示す左側面図である。

サスペンションロック機構の収納ケースのケースカバーを外した状態及び収納ケースの周辺部を示す斜視図である。

サスペンションロック機構及びその周辺部を示す左側面図である。

サスペンションロック機構の作用を示す作用図である。

揺動ロック操作レバー及びサスペンションロック操作レバーとその周辺部を後方から見た図である。

サスペンションロック操作レバー及びその周辺部を示す図である。

サスペンションロック操作レバー及びキーシリンダを側方から見た図である。

揺動ロック操作レバーを揺動ロックポジションにした状態を示す図である。

以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。なお、説明中、前後左右および上下といった方向の記載は、特に記載がなければ車両に対する方向と同一とする。また、各図に示す符号FRは車両前方を示し、符号UPは車両上方を示し、符号LHは車両左方を示している。

図1は、本発明の実施の形態に係る揺動型車両10の左側面図である。なお、図1では、左右一対で設けられるものは、左側のものだけが図示されている。 揺動型車両10は、車体フレーム11と、車体フレーム11の前部の下方で左右にそれぞれ設けられる一対の前輪2L,2Rと、揺動型車両10の後部の車幅方向の中央に設けられる1つの後輪3と、駆動輪である後輪3を駆動するパワーユニット100とを備える3輪車両である。また、揺動型車両10は、車体を揺動させる揺動機構64を車体フレーム11の前方側に備える。 揺動型車両10は、乗員が跨るようにして着座するシート4を後部側に備える鞍乗り型車両である。また、揺動型車両10は、車体フレーム11を覆う車体カバー5を備える。

図2は、揺動型車両10の右側面図である。図3は、揺動型車両10を左前方側から見た斜視図である。なお、図2及び図3では、シート4(図1参照)や車体カバー5(図1参照)等の外装部品が取り外された状態が示されている。また、図2では、左の前輪2L(図1参照)及びその周辺構造は不図示である。 図1〜図3を参照し、車体フレーム11は、前端のヘッドパイプ13と、ヘッドパイプ13から後下がりに後方へ延びるメインフレーム14と、メインフレーム14の後端部から後上がりに後方へ延出される左右一対の後部フレーム9,9とを備える。 メインフレーム14は、ヘッドパイプ13から後下がりに延びるメインフレーム前部14aと、メインフレーム前部14aの下端から後方に略平に延びるメインフレーム後部14bとを備える。後部フレーム9,9は、複数のクロスメンバ9a,9b,9cによって車幅方向に連結される。

パワーユニット100は、メインフレーム14の後方で後部フレーム9,9の下方に配置される。パワーユニット100は、エンジン101とベルト式の無段変速機構(不図示)が収容された伝動ケース102とが一体化されたユニットスイング式であり、後輪3を支持するスイングアームとしての機能も有している。 パワーユニット100は、その前部に連結されるリンク部材103を介して、メインフレーム14の後端部に連結されており、リンク部材103に設けられるピボット軸104を中心にして上下に揺動自在である。 伝動ケース102は、左側の後部フレーム9の下方を通って後輪3の左側方まで延び、後輪3は、伝動ケース102の後端部に設けられる後輪車軸105に軸支される。伝動ケース102の後端部と後部フレーム9との間には、リヤサスペンション106がかけ渡される。エンジン101のエアクリーナーボックス107は、伝動ケース102の上方に設けられる。エンジン101のマフラー108は、後輪3の右側方に配置される。 揺動型車両10を直立の姿勢で駐車させるメインスタンド109は、パワーユニット100の下部に支持される。

車体カバー5は、揺動機構64やヘッドパイプ13を前方及び側方から覆うフロントカバー111と、メインフレーム前部14aを覆うレッグシールド112と、メインフレーム後部14bを上方から覆うステップフロア113と、シート4の下方で後部フレーム9,9を覆うリアカバー114とを備える。フロントカバー111には、ウインドスクリーン111aが設けられる。 後部フレーム9,9の後端部には、シート4の後部に着座する同乗者が把持するグラブバー115が設けられる。グラブバー115は、シート4の後部の左右側方に位置する。 後輪3は、リアフェンダー116によって上方から覆われる。前輪2L,2Rは、左右一対のフロントフェンダー117,117によって上方から覆われる。

図1に示すように、揺動型車両10は、前輪2L,2Rのブレーキ装置として、前輪2L,2Rに設けられるブレーキディスク120と、ブレーキホースを介して油圧が入力されるブレーキキャリパ121と、ブレーキキャリパ121への操作が入力される前輪ブレーキレバー122(図2参照)とを備える。前輪ブレーキレバー122は、操行用のハンドル42の左右の一側の端部(右側の端部)に設けられる。 また、揺動型車両10は、後輪ブレーキ装置123として、ドラム式ブレーキを備える。後輪ブレーキ装置123は、後輪3に設けられるドラム部123aと、ドラム部123aへの操作が入力されるブレーキレバー123bと、ブレーキレバー123bとドラム部123aとを接続するブレーキ操作ケーブル123cとを備える。ブレーキレバー123bは、操行用のハンドル42の左右の他側の端部(左側の端部)に設けられる。ブレーキレバー123bが操作されると、ドラム部123aが内部に備えるブレーキシューがドラム部123aの内周に押し付けられ、後輪3が制動される。

図4は、揺動型車両10を前方から見た図である。図5は、揺動型車両10の前部の左側面図である。 筒状のヘッドパイプ13は、側面視でその軸線Cが後傾するように傾斜して配置される。ヘッドパイプ13は、揺動型車両10の車幅方向の中心に位置する。

メインフレーム前部14aは、ヘッドパイプ13の上部の後面から後下がりに延びる上側メインフレーム15と、ヘッドパイプ13の下部の後面から後下がりに延びる下側メインフレーム16と、下側メインフレーム16の後端から下方に延びる後側メインフレーム17とを備える。下側メインフレーム16は、ヘッドパイプ13に略直交する姿勢で配置される。後側メインフレーム17は、下側メインフレーム16よりも大きな傾斜で後下方に下る。

上側メインフレーム15は、ヘッドパイプ13から下側メインフレーム16と略平行に後方に延びるフレーム上端部18と、フレーム上端部18の後端部から左右に二股に分かれて下方に延びる左右一対の二股フレーム19,19とを備える。 二股フレーム19,19は、下側メインフレーム16と略同一の傾斜で後下がりに配置され、ヘッドパイプ13の後面に対向する。二股フレーム19,19は、上端部がフレーム上端部18の後端の側部に接続され、下端部が後側メインフレーム17の上端部の側部に接続されている。二股フレーム19,19は、ヘッドパイプ13よりも車幅方向の外側に位置するように側方に広がる中間部19a,19aを備え、中間部19a,19aは、互いに略平行に延びる。 すなわち、側面視においてヘッドパイプ13とメインフレーム前部14aとの間には、ヘッドパイプ13、上側メインフレーム15及び下側メインフレーム16で囲まれたヘッドパイプ後方空間Kが形成されている。

ヘッドパイプ13の上部の前面には、前方に突出する柱状の支持部21が設けられ、支持部21には、ボルト状の上側揺動軸22(アッパーアームの揺動中心)が締結固定される。上側揺動軸22は、側面視では後下がりの姿勢で配置され、先端部が支持部21に螺合される。詳細には、側面視において、上側揺動軸22の軸線22aは、ヘッドパイプ13の軸線Cに直交する平面(不図示)よりもわずかに後下がりの傾斜が小さい。

ヘッドパイプ13の下部には、ヘッドパイプ13から前方及び後方に延びる下側揺動軸23が設けられる。下側揺動軸23及び上側揺動軸22は、車幅方向の中央に配置される。下側揺動軸23は、上側揺動軸22と平行に配置されて後下がりに延びる。詳細には、下側揺動軸23は、ヘッドパイプ13の前面から前上方に斜めに延びる第1の下側揺動軸23aと、ヘッドパイプ13の後面から後下方に斜めに延びる第2の下側揺動軸23bとを備える。第1の下側揺動軸23aと第2の下側揺動軸23bとは同軸に配置される。 ヘッドパイプ13の下部の前面には、前方に突出する柱状の前側支持部24が設けられる。第1の下側揺動軸23aは、ボルト状に形成されており、先端部が前側支持部24に前方から締結固定される。 ヘッドパイプ13の下部の後面には、後方に突出する柱状の後側支持部25が設けられる。第2の下側揺動軸23bは、ボルト状に形成されており、先端部が後側支持部25に後方から締結固定される。

ヘッドパイプ13の前方には、左右に揺動可能な揺動アーム28が設けられる。 揺動アーム28は、上側揺動軸22を中心に左右に揺動可能なアッパーアーム29と、下側揺動軸23を中心に左右に揺動可能なロアアーム30とを備える。 揺動アーム28の前方には、揺動アーム28の上側揺動軸22及び下側揺動軸23回りの変位(ロール方向の変位)を抑えるロールダンパ31(ダンパー)が設けられる。 アッパーアーム29及びロアアーム30は、車幅方向の中央から左右方向(車幅方向)に延在しており、アッパーアーム29及びロアアーム30の左右端部には、左右の前輪2L,2Rを回動可能に支持する左側前輪支持部材33L及び右側前輪支持部材33Rがそれぞれ支持されている。

左側前輪支持部材33L及び右側前輪支持部材33Rは、アッパーアーム29及びロアアーム30に連結されるパイプ状のサイド部材34,34と、サイド部材34,34内に軸支されるステアリングシャフト35,35(図4)と、ステアリングシャフト35,35の下端に固定されるボトムブリッジ36,36と、ボトムブリッジ36,36に連結されるリンク式サスペンション機構37,37とをそれぞれ備える。 各ボトムブリッジ36は、ステアリングシャフト35を軸として左右に回動自在である。ボトムブリッジ36は、車幅方向内側かつ後方に延びる後方延出部36aと、後方延出部36aの後部から下方に延びる支持アーム36bとを備える。ボトムブリッジ36,36の前部には、前輪2L,2Rの上方を前方に延びるタイロッド連結アーム38,38がそれぞれ取り付けられる。

リンク式サスペンション機構37は、支持アーム36bの下端から前方に延びるピボットアーム37aと、ピボットアーム37aと後方延出部36aとの間に架け渡される筒状の緩衝器37bとを備える。ピボットアーム37aは、後端部を中心に上下に揺動自在に支持されており、前輪2L,2Rは、ピボットアーム37aの前端部に設けられる車軸40によってそれぞれ軸支される。

ヘッドパイプ13内には、ハンドルシャフト(不図示)が軸支されている。このハンドルシャフトの上端には、乗員が操作するハンドル42がハンドルポスト43を介して取り付けられる。 ハンドルシャフトはヘッドパイプ13を貫通して下方に延び、ハンドルシャフトの下端には、ハンドルシャフトと一体に回転するタイロッド支持アーム44が固定されている。タイロッド支持アーム44は、車幅方向に延びる左右一対のタイロッド45L,45Rによってタイロッド連結アーム38,38に連結される。 ハンドル42が転舵されると、タイロッド支持アーム44、タイロッド45L,45R及びタイロッド連結アーム38,38を介してボトムブリッジ36,36がステアリングシャフト35,35を軸に回動され、これに伴い、前輪2L,2Rは、ハンドル42が転舵された方向に操作される。

図6は、揺動機構64の周辺部を前方側から見た図であり、詳細には、図5に示した上側揺動軸22の軸線22aの軸方向から見た図である。図7は、揺動機構64の周辺部を左前方側から見た斜視図である。図8は、揺動機構64の周辺部を後方側から見た図である。 図4〜図8を参照し、サイド部材34,34は、ヘッドパイプ13の左右の側方にそれぞれ位置し、ヘッドパイプ13と平行に配置される。 サイド部材34,34は、上部の前面から前方に延びる上側連結軸47,47と、下部の前面及び後面から前方及び後方に延びる下側連結軸48,48とを備える。上側連結軸47,47及び下側連結軸48,48は、上側揺動軸22及び下側揺動軸23と平行に配置される。

上側連結軸47,47は、ボルト状に形成されており、先端部がサイド部材34,34の上部に前方から締結固定される。 各下側連結軸48は、サイド部材34の前面に設けられる第1の下側連結軸48aと、サイド部材34の後面に設けられる第2の下側連結軸48bとを備える。第1の下側連結軸48aは、ボルト状に形成されており、先端部がサイド部材34に前方から締結固定される。第2の下側連結軸48bは、ボルト状に形成されており、先端部がサイド部材34に後方から締結固定される。第1の下側連結軸48aと第2の下側連結軸48bとは同軸に設けられる。

ロアアーム30は、下側揺動軸23に軸支される下側揺動中心部50と、下側揺動中心部50から左右にそれぞれ延びてサイド部材34,34に連結される下側アーム部51L,51Rとを一体に備える。下側アーム部51L,51Rは、下側揺動中心部50を中心に左右対称に形成される。 下側揺動中心部50は、円筒状に形成されており、内周部に嵌合されるベアリングを介して下側揺動軸23に軸支される。下側揺動中心部50の外周部の下端50a(図7)は、車幅方向の中心に位置する。 下側アーム部51L,51Rは、筒状の端部52,52を、車幅方向の外端に備える。下側アーム部51L,51Rは、端部52,52の内周部に嵌合されるベアリングを介して下側連結軸48,48に軸支される。

下側アーム部51L,51Rは、下側揺動中心部50から車幅方向の外側に行くほど下方に位置するように傾斜して形成されており、端部52,52は、下側揺動中心部50の下方に位置する。すなわち、ロアアーム30は、正面視では逆V字状に形成される。 また、ロアアーム30は、ヘッドパイプ13の前方に配置される前側ロアアーム53と、ヘッドパイプ13の後方に配置される後側ロアアーム54とを備える。ロアアーム30は、前側ロアアーム53と後側ロアアーム54とでヘッドパイプ13を前後から挟むようにして設けられる。前側ロアアーム53と後側ロアアーム54とは、後側ロアアーム54に後方から挿通される複数のボルト55(図8参照)によって結合される。

詳細には、前側ロアアーム53は、第1の下側連結軸48aに軸支される前側揺動中心部53aと、前側揺動中心部53aからサイド部材34,34の前面側へ延びる左右の前側アーム部53b,53bと、第1の下側連結軸48a,48aに軸支される前側端部53c,53cとを備える。 後側ロアアーム54は、第2の下側連結軸48bに軸支される後側揺動中心部54aと、後側揺動中心部54aからサイド部材34,34の後面側へ延びる左右の後側アーム部54b,54bと、第2の下側連結軸48b,48bに軸支される後側端部54c,54cとを備える。 下側揺動中心部50は、前側揺動中心部53a及び後側揺動中心部54aによって構成される。下側アーム部51L,51Rは、前側アーム部53b,53b及び後側アーム部54b,54bによって構成される。端部52,52は、前側端部53c,53c及び後側端部54c,54cによって構成される。

アッパーアーム29は、左右に分割されて構成されており、上側揺動軸22から右側(一側)のサイド部材34へ延びる右側アッパーアーム56と、上側揺動軸22から左側(他側)のサイド部材34へ延びる左側アッパーアーム57とを備える。 右側アッパーアーム56は、上側揺動軸22に軸支される第1の上側揺動中心部58と、第1の上側揺動中心部58から右側へ延びて右側のサイド部材34に連結される上側前アーム部59とを備える。 左側アッパーアーム57は、第1の上側揺動中心部58の後方で上側揺動軸22に軸支される第2の上側揺動中心部60と、第2の上側揺動中心部60から左側へ延びて左側のサイド部材34に連結される上側後アーム部61とを備える。 すなわち、右側アッパーアーム56と左側アッパーアーム57とは、上側揺動軸22上に前後に並べて配置される。

第1の上側揺動中心部58は、円筒状に形成されており、内周部に嵌合されるベアリングを介して上側揺動軸22に軸支される。第1の上側揺動中心部58の外周部の下端58aは、車幅方向の中心に位置する。 上側前アーム部59は、筒状の端部62を、車幅方向の外端に備える。上側前アーム部59は、端部62の内周部に嵌合されるベアリングを介して右側のサイド部材34の上側連結軸47に軸支される。 上側後アーム部61は、筒状の端部63を、車幅方向の外端に備える。上側後アーム部61は、端部63の内周部に嵌合されるベアリングを介して左側のサイド部材34の上側連結軸47に軸支される。

右側アッパーアーム56及び左側アッパーアーム57は、上側揺動軸22から車幅方向の外側に行くほど下方に位置するように傾斜して形成されており、端部62,63は、それぞれ第1の上側揺動中心部58及び第2の上側揺動中心部60の下方に位置する。端部62,63の上下の位置は同一である。すなわち、右側アッパーアーム56及び左側アッパーアーム57が合わさって構成されるアッパーアーム29は、正面視では逆V字状に形成される。 また、右側アッパーアーム56は、車幅方向の外側に行くほど後方に位置するように湾曲して形成され、左側アッパーアーム57は、車幅方向の外側に行くほど前方に位置するように湾曲して形成されており、端部62,63の前後の位置は同一となっている。

本実施の形態では、ロアアーム30を下側揺動軸23でヘッドパイプ13に揺動自在に支持し、右側アッパーアーム56及び左側アッパーアーム57を上側揺動軸22でヘッドパイプ13に揺動自在に支持し、上側連結軸47,47及び下側連結軸48,48によってサイド部材34,34をロアアーム30及びアッパーアーム29に対しそれぞれ回動自在に連結することで、ヘッドパイプ13の近傍に揺動機構64を構成している。 すなわち、揺動機構64は、ヘッドパイプ13、ロアアーム30、右側アッパーアーム56、左側アッパーアーム57、及び、サイド部材34,34のそれぞれを節(リンク)とし、下側揺動軸23、上側揺動軸22、上側連結軸47,47及び下側連結軸48,48を回動軸(揺動軸)とした多節リンク機構である。

揺動型車両10は、ハンドル42の転舵操作、及び、乗員による重心移動等により、傾斜した状態で左右に旋回する。詳細には、揺動型車両10が傾斜する際には、下側揺動軸23を中心にしてヘッドパイプ13が傾斜するとともに、アッパーアーム29及びロアアーム30を介してサイド部材34,34が傾斜させられ、前輪2L,2Rは傾斜した状態で地面に密着する。すなわち、前輪2L,2Rは、車体フレーム11の揺動に合わせて、アッパーアーム29及びロアアーム30を介して揺動させられる。この状態では、アッパーアーム29及びロアアーム30は、地面に対して略水平を保ったまま傾斜方向にずれ、ヘッドパイプ13は、サイド部材34,34と略同一の度で傾斜する。つまり、揺動型車両10が傾斜する状態では、揺動型車両10の前部は、アッパーアーム29及びロアアーム30を除く全体が一体に傾斜する。

ヘッドパイプ13は、アッパーアーム29の上方を通って前方に延びる棒状の前方延出部65を上端に備え、前方延出部65の前端には、右側アッパーアーム56の第1の上側揺動中心部58の前面側へ向かって下方に延びる板状のステー部66が設けられる。 ボルト状の上側揺動軸22は、ステー部66に前方から挿通されて頭部がステー部66の前面に当接し、第1の上側揺動中心部58及び第2の上側揺動中心部60は、ステー部66と支持部21との間に挟まれる。すなわち、上側揺動軸22は、ステー部66と支持部21とによって両持ちで支持される。このため、アッパーアーム29の支持剛性を高くできる。

ロールダンパ31は、上下方向に長い筒状に形成された液圧式のダンパーである。ロールダンパ31は、両端が塞がれた円筒状のシリンダ部68と、シリンダ部68の下端からシリンダ部68内に挿通され、シリンダ部68内の上端にピストン(不図示)を備えるピストンロッド69と、前記ピストンの下面側とシリンダ部68の底面との間に圧縮状態で介装されるスプリング(不図示)と、ロールダンパ31のダンパー作用の大きさを調整する調整機構部70とを備える。 シリンダ部68内には、上記ピストンの動きを減衰する流体としてのオイルが封入されている。シリンダ部68内は、ピストンによって、第1流体室と第2流体室とに軸方向に仕切られている。

上記ピストンは、ピストンの軸方向にオイルが通過可能なオイル流路を備える。ロールダンパ31は、ピストンの移動に伴ってオイル流路で生じるオイルの抵抗によって、ピストンの動きが抑制されることでダンパーとして機能する。 調整機構部70は、例えば、第1流体室と第2流体室とを繋ぐ油路の面積を可変とし、オイルの抵抗を可変とする機構である。 シリンダ部68とピストンロッド69とを相対変位させてロールダンパ31を伸ばす方向にストロークさせる際には、前記スプリングを圧縮していく荷重が必要となる。

ロールダンパ31は、ヘッドパイプ13の下端部に接続される筒状の下側支点部71(下側の支点)と、アッパーアーム29に接続される筒状の上側支点部72とを備える。 下側支点部71は、ピストンロッド69の下端に設けられる。上側支点部72は、シリンダ部68の上端に設けられる。 ヘッドパイプ13は、前面において下側揺動軸23の下方の位置から前方に延びる棒状のダンパーステー73を備える。ダンパーステー73の前端は、ロアアーム30の前端よりも前方に位置する。ダンパーステー73の前端には、下側揺動軸23と平行に前方に延びる下側ダンパー支持軸74(ダンパー支持部)が設けられる。下側ダンパー支持軸74は、ボルト状に形成されており、先端部がダンパーステー73の前端に締結固定される。 ロールダンパ31の下側支点部71は、内周部に嵌合されるベアリングを介して下側ダンパー支持軸74に軸支される。

右側アッパーアーム56は、第1の上側揺動中心部58から下方に延出する延出部75を備え、延出部75には、ロールダンパ31の上側支点部72を支持する上側ダンパー支持軸76が取り付けられる。 詳細には、上側ダンパー支持軸76は、ボルト状に形成されており、延出部75の下面に取り付けられる支持ステー77に先端部が締結固定されている。支持ステー77は、下方から支持ステー77に挿通されるステー固定ボルト78によって延出部75の下面に固定される。上側ダンパー支持軸76は、右側アッパーアーム56と一体に揺動する。

上側ダンパー支持軸76は、下側ダンパー支持軸74と平行に前方に延び、上側ダンパー支持軸76の前端部は、右側アッパーアーム56の前端よりも前方に位置する。 ロールダンパ31の上側支点部72は、内周部に嵌合されるベアリングを介して上側ダンパー支持軸76に軸支される。 ロールダンパ31は、ロアアーム30の前方に配置され、上側支点部72及び下側支点部71がロアアーム30を上下に跨ぐように設けられる。 ロールダンパ31は、正面視では、その軸線がヘッドパイプ13の軸線Cに重なるとともに、側面視では、その軸線が軸線22a及び第1の下側揺動軸23aと略直交するように配置される。 ロールダンパ31は、右側アッパーアーム56が揺動すると、下側ダンパー支持軸74を中心に左右に揺動するとともに、シリンダ部68が上側ダンパー支持軸76を介してストロークさせられることで、軸方向に伸縮する。

タイロッド45L,45Rは、タイロッド支持アーム44に連結される内側端部80,80と、タイロッド連結アーム38,38に連結される外側端部81,81と、内側端部80,80と外側端部81,81とを繋ぐロッド本体82,82とを備える。ロッド本体82,82は、直線的に延びる棒である。 タイロッド支持アーム44は、ヘッドパイプ13の下端の位置からダンパーステー73の下方を前方に延びる前方延出部83と、前方延出部83の前端から上方に立ち上がってロールダンパ31の下端部の前方まで延びる上方延出部84とを備える。

上方延出部84の上端には、タイロッド45L,45Rの内側端部80,80が連結される内端連結部85,85が左右一対で設けられている。内端連結部85,85は、ヘッドパイプ13の軸線Cを基準に左右に均等に振り分けて配置されており、下側揺動中心部50よりも外側方に位置する。内端連結部85,85は、上方延出部84から上方に突出する軸状部材であり、正面視では、上端側ほど車幅方向の外側に位置するように傾斜して配置される。また、内端連結部85,85は、側面視では、上端側ほど後方に位置するように傾斜して配置される。 タイロッド45L,45Rの内側端部80,80は、ボールジョイント等を介して、内端連結部85,85に回動自在に連結される。

ボトムブリッジ36,36に設けられるタイロッド連結アーム38,38の前端は、タイロッド支持アーム44の上方延出部84の前端よりも下方且つ前方に位置する。タイロッド連結アーム38,38の前端には、タイロッド45L,45Rの外側端部81,81が連結される外端連結部86,86がそれぞれ設けられる。外端連結部86,86は、タイロッド連結アーム38,38の前端から上方に突出する軸状部材であり、正面視及び側面視において、内端連結部85,85と略平行に配置される。タイロッド45L,45Rの外側端部81,81は、ボールジョイント等を介して、外端連結部86,86に回動自在に連結される。

外端連結部86,86は、内端連結部85,85の車幅方向外側に位置するとともに、内端連結部85,85の前方且つ下方に位置する。また、外端連結部86,86は、正面視において、ロアアーム30の下側連結軸48,48よりも下方且つ車幅方向の外側に位置する。 従って、内端連結部85,85と外端連結部86,86とを直線的に繋ぐタイロッド45L,45Rは、正面視では、車幅方向の外側下方へ向けて斜めに傾斜して配置される。詳細には、タイロッド45L,45Rは、正面視では車幅方向の外側ほど低い位置に位置するとともに、側面視では、前方側ほど低い位置に位置する。

図4〜図8を参照し、揺動型車両10は、揺動機構64の揺動をロックする揺動ロック機構90を備える。 揺動ロック機構90は、ロアアーム30に固定されるディスクプレート91と、メインフレーム14に固定され、ディスクプレート91の移動をロック可能なキャリパ92と、ユーザーによる揺動ロックの操作が入力される揺動ロック操作レバー130と、揺動ロック操作レバー130側とキャリパ92とを接続する揺動ロック操作ケーブル131とを備える。 揺動ロック機構90は、揺動型車両10の揺動機構64を直立状態にロックする機構であり、揺動型車両10を駐車する際や、揺動型車両10を押し歩きする際の揺動機構64の揺動を防止する。ディスクプレート91及びキャリパ92は、図5の側面視ではヘッドパイプ後方空間K内に配置され、正面視では車幅方向の中央に配置されている。

ディスクプレート91は、ロアアーム30の後側ロアアーム54に固定される。後側ロアアーム54は、図5の側面視では、ヘッドパイプ後方空間K内の前部の下部に配置され、ヘッドパイプ13の後面に沿うように設けられる。後側ロアアーム54の下側揺動中心部50は、後側アーム部54b,54bの後面よりも後方に突出する円筒状の突出部50b(図8参照)を備える。 ディスクプレート91は、略扇形に形成された板である。詳細には、ディスクプレート91は、中心角が略90°の略扇形に形成されている。ディスクプレート91は、その扇形状の外周部91aが上端となるように立てて配置されるとともに、幅方向の中心線がヘッドパイプ13の軸線Cに略一致するように配置される。 ディスクプレート91は、後側ロアアーム54の突出部50bの上部の外周部に沿うように円弧状に切りかかれた切り欠き部91cを下端に備える。

図8に示すように、ディスクプレート91は、下部の前面を後側ロアアーム54の後面に当接させるとともに、切り欠き部91cの下縁を後側ロアアーム54の突出部50bの外周部に上方から載せるようにして配置される。次いで、ディスクプレート91は、ディスクプレート91の下部に後方から挿通される複数のディスク固定ボルト93によって後側ロアアーム54の左右の中央部の上部に締結固定される。ディスクプレート91は、後側ロアアーム54の後面に沿って上方に延び、上端の外周部91aは、ヘッドパイプ後方空間K内の上部に位置する。ディスクプレート91は、ヘッドパイプ13の後面に対向する。

キャリパ92は、図5の側面視では、ヘッドパイプ後方空間K内の上部に配置されている。キャリパ92は、側面視で下方に開放する溝部を有するブロック状のキャリパ本体94と、キャリパ本体94の溝部内に支持される一対の板状のパッド95と、回動されることでパッド95を操作する操作アーム96とを備える。 キャリパ92は、板状のキャリパステー97を介して二股フレーム19,19に固定され、車幅方向の中央に位置する。二股フレーム19,19は、前方に突出するステー部19bを上部の前面に備え、キャリパステー97は、ステー部19bにボルト98,98で固定され、ヘッドパイプ後方空間K内を下方に延びる。

キャリパ本体94は、キャリパ本体94の左右の端部に挿通されるキャリパ固定ボルト99,99(図8参照)によってキャリパステー97に締結固定される。操作アーム96の回動軸96aは、キャリパ固定ボルト99,99の間で車幅方向の中央に位置する。

ディスクプレート91の上部は、キャリパ92の溝部内に配置され、一対のパッド95の間に挟まれる。キャリパ92の操作アーム96は、揺動ロック操作レバー130に揺動ロック操作ケーブル(不図示)を介して接続されており、ユーザーによって揺動ロック操作レバー130を介して操作アーム96が操作されると、パッド95の一方が押圧され、ディスクプレート91が一対のパッド95の間に挟持され、ディスクプレート91の下側揺動軸23回りの揺動が不能となる。これにより、ディスクプレート91の揺動がロックされ、ディスクプレート91が一体に固定された後側ロアアーム54の揺動がロックされることで、揺動機構64の全体の揺動がロックされる。

本実施の形態では、ヘッドパイプ13、上側メインフレーム15及び下側メインフレーム16で囲まれたヘッドパイプ後方空間Kにディスクプレート91及びキャリパ92を配置するため、揺動ロック機構90をコンパクトに配置できる。 また、ロアアーム30をヘッドパイプ13の前後に分割して設け、ヘッドパイプ後方空間K内の後側ロアアーム54にディスクプレート91を固定するため、ヘッドパイプ後方空間Kを利用して、揺動ロック機構90をコンパクトに配置できる。また、ロアアーム30が前後に広く設けられるため、ロアアーム30の剛性が向上する。 さらに、後側ロアアーム54をヘッドパイプ13の後方に設けたため、ロアアーム30の全体としてのヘッドパイプ13の前方への出っ張り量を小さくできる。このため、前側ロアアーム53の前方に形成されたスペースにロールダンパ31をコンパクトに配置できる。

図9は、リンク式サスペンション機構37及びサスペンションロック機構330を示す左側面図である。なお、以下では、左右の前輪2L,2Rを便宜上、前輪2と記載する。 リンク式サスペンション機構37は、ピボットアーム37a及び緩衝器37bからなるボトムリンク式懸架装置である。 ピボットアーム37aは、その後端部がボトムブリッジ36の支持アーム36bの下端部に支軸332を介して上下揺動可能に支持され、ピボットアーム37aの前端部に設けられた車軸40で前輪2が支持されている。 緩衝器37bは、ピボットアーム37aを弾性的に支持するとともに前輪2から伝わる振動・衝撃を緩和するスプリングと、上記の振動・衝撃を減衰させるダンパーとから構成される。緩衝器37bの上端部はボルト321でボトムブリッジ36の後方延出部36aに揺動可能に取付けられ、緩衝器37bの下端部はボルト322でピボットアーム37aの長さ方向中間部に揺動可能に取付けられている。

サスペンションロック機構330は、ボトムブリッジ36の支持アーム36bの下部に設けられるロック本体部334と、ロック本体部334に一端部側が連結されて上方に延びるロックケーブル335と、ロックケーブル335の他端部に連結されるサスペンションロック操作レバー201(図13参照)とを備える。 ロック本体部334は、車幅方向に2分割される分割構造を有する収納ケース338を備え、収納ケース338にロック本体部334を構成する複数の部品が収納されている。収納ケース338は、車幅方向内側に設けられて支持アーム36bの下部側面に複数のボルト341で取付けられたケース本体342(図10参照)と、ケース本体342の車幅方向外側に複数のビス343で取付けられたケースカバー344とからなる。 ロックケーブル335は、一端部が支持アーム36bに設けられたケーブル支持部346で支持されたアウタケーブル347と、アウタケーブル347内に移動可能に挿入されるとともに一端部側がロック本体部334に連結されたインナワイヤ348とで構成される。

図10は、サスペンションロック機構330の収納ケース338のケースカバー344(図9参照)を外した状態及び収納ケース338の周辺部を示す斜視図である。 ロック本体部334は、ロック用ギヤ351、カムレバー352、カム353、ロック用レバー354、カムスプリング356及びリターンスプリング357を備える。 ロック用ギヤ351は、ピボットアーム37aの側面に複数の六角穴付きボルト361で取付けられている。複数のボルト361は、ロック用ギヤ351側からケース本体342を貫通してピボットアーム37aにねじ結合されている。

カムレバー352は、収納ケース338のケース本体342及びケースカバー344に両端部が回動可能に支持されたカム軸362と、カム軸362に一端部が取付けられるとともにケース本体342を貫通して他端部が収納ケース338の外部でロックケーブル335のインナワイヤ348に連結されたレバー部363とから構成される。 カム353は、カム軸362に揺動可能に支持されている。 ロック用レバー354は、ケース本体342に取付けられた軸部材364に揺動可能に支持されるとともにカム353の回動により押圧されて先端部がロック用ギヤ351に係合可能とされている。 カムスプリング356は、捩りコイルばねであり、カム353をロック用レバー354側に付勢している。リターンスプリング357は、捩りコイルばねであり、ロック用レバー354をロック用ギヤ351から離れる側に付勢している。

図11は、サスペンションロック機構330及びその周辺部を示す左側面図である。 ロック用ギヤ351は、支軸332を中心とする円弧に沿って略扇形に形成され、下部が複数のボルト361でピボットアーム37aに取付けられ、上部の断面円弧状の外周面351aに複数の歯部351bが周方向に等間隔で並ぶように形成されている。このように、複数の歯部351bを設けることで、ピボットアーム37aの揺動角度が所定角度範囲内で変化してもピボットアーム37aの揺動をロックさせることが可能になる。なお、符号37eは車軸40(図9参照)を通すためにピボットアーム37aに開けられた車軸挿通穴、37fは緩衝器37b(図9参照)の下端部を連結するためにピボットアーム37aに開けられた緩衝器連結穴である。 カムレバー352のレバー部363は、少なくともその後端部が車幅方向に隔てて配置された2枚の板からなり、その2枚の板の後端部にそれぞれ貫通穴363aが開けられ、また、両方又は一方の板にスリット363bが形成されている。

貫通穴363aは、ロックケーブル335のインナワイヤ348の端部に設けられた円柱状のワイヤ端部材366が挿入される部分である。スリット363bは、貫通穴363aにワイヤ端部材366を挿入する際にインナワイヤ348を通す部分であり、レバー部363の外縁から貫通穴363aに亘って形成されている。貫通穴363aにワイヤ端部材366の挿入が完了した状態では、インナワイヤ348の先端部は、上記2枚の板の間に配置される。

カム353は、板材が断面コ字形状に折り曲げられて形成されたカムベース部368と、カムベース部368を貫通するピン371と、カムベース部368の内側に配置されるとともにピン371に回動可能に嵌合する筒状のカラー部材372とを備える。 カムベース部368は、車幅方向に隔てて配置された一対の側壁368aと、一対の側壁368aを一体に連結する前壁368bとから構成される。一対の側壁368aは、下端部にそれぞれピン371を通すピン挿通穴368cが開けられている。

ピン371は、円柱状の軸部と、軸部の一端部に一体に形成された鍔部とからなり、ピン371が、その他端部側の軸部の先端部から、車幅方向外側(奥側の側壁368a)のピン挿通穴368c、車幅方向内側(手前側の側壁368a)のピン挿通穴368cの順に挿入される。車幅方向内側の側壁368aから突出したピン371の他端部にはワッシャ374(図10参照)が嵌められ、ワッシャ374より車幅方向内側のピン371の他端部に割りピン375(図10参照)が、割りピン375の軸直角方向に貫通されて、カムベース部368からのピン371の抜け止めが行われる。

カラー部材372は、カム353が回動した際にロック用レバー354を押圧しつつピン371の回りを回動する。このように、カラー部材372をピン371の回りに回動可能にすることで、ロック用レバー354を押圧する際に発生する摩擦力をより小さくすることができる。 ロック用レバー354は、軸部材364に回動可能に支持される筒状のレバー基部354aと、レバー基部354aから略水平に延びるレバー部354bと、レバー部354bの先端部に下方に突出するように設けられた爪部354cとから一体に形成される。

レバー基部354aは、ナット377で軸部材364に抜け止めされている。レバー部354bは、その上面354dがカム353のカラー部材372に押圧される。上面354dは、滑らかに湾曲した凹状の面であり、このような形状に上面354dを形成することで、カラー部材372に押圧されたときのロック用レバー354の動作を安定させるとともにカム353が回動する際の抵抗をより小さくすることができる。これにより、サスペンションロック操作レバー201(図13参照)を操作する操作力を軽減することができる。 爪部354cは、その先端部が尖った形状に形成され、ロック用ギヤ351の歯部351bに係合(詳しくは、隣り合う歯部351b,351b間に挿入)可能とされている。

カムスプリング356は、コイル状に形成された中間部が、カム353よりも車幅方向内側に位置するカム軸362に嵌合されている。また、カムスプリング356の一端部356aは、カム軸362の先端部に開けられた貫通穴362aに通され、他端部356bは、カム353の前壁368bに当てられて、カム353が、カムレバー352に対して反時計回りに付勢されている。カムレバー352には、カム353の反時計回りの回動を規制するストッパ(不図示)が設けられているため、ロックケーブル335から外力が作用しない場合は、カムレバー352及びカム353が一体的になり、カム軸362の回りのカムレバー352とカム353とのなす角度が一定に維持される。

リターンスプリング357は、一端部がケース本体342に係止され、他端部がロック用レバー354のレバー部354bの下面354eに当てられている。これにより、ロック用レバー354は、ケース本体342に対して時計回りに付勢され、爪部354cがロック用ギヤ351の複数の歯部351bから上方に離されている。 ロック用レバー354が時計回りに付勢されることで、ロック用レバー354が、カム353のカラー部材372に当って、一体的となっているカム353及びカムレバー352に対してカム軸362を中心にした時計回りの回動力を与えるので、カムレバー352がインナワイヤ348を下方に引いた状態が維持される。

サスペンションロック機構330のロック本体部334を構成する主要部品であるロック用ギヤ351、ロック用レバー354及びカム353は、ボトムブリッジ36の上下方向に延びる支持アーム36bの長手方向に沿って順に配置されている。このことから、ロック本体部334、ひいてはサスペンションロック機構330の小型・コンパクト化を図ることができるとともに、ロック本体部334が、支持アーム36bに対して前後方向に突出する突出量を抑えることができ、車体前部のコンパクト化を図ることができる。

図12は、サスペンションロック機構330の作用を示す作用図である。 図11の状態では、ピボットアーム37aは、矢印Aに示すように、支軸332を中心にして上下に揺動可能な状態にある。 図12に示すように、サスペンションロック操作レバー201(図13参照)を操作して、矢印Bに示すように、ロックケーブル335のインナワイヤ348を引くと、カムレバー352が、矢印Cに示すように回動する。カムレバー352が回動すると、カムレバー352のカム軸362の回動に伴ってカムスプリング356が捩られ、カムスプリング356の他端部356bがカム353の前壁368bを押圧する。 この結果、カム353が、矢印Dに示すようにカムレバー352と一体的に回動する。カム353が回動すれば、カム353のカラー部材372がロック用レバー354の上面354dを押し付けるため、ロック用レバー354は、矢印Eに示すように、反時計回りに回動する。これにより、ロック用レバー354の爪部354cが、ロック用ギヤ351の歯部351bに係合する。この結果として、ピボットアーム37aの揺動がロックされる。

例えば、ピボットアーム37aの回動位置によっては、ロック用レバー354の爪部354cが歯部351bの頂部に当って、隣り合う歯部351b,351b間に挿入されない場合がある。この状態では、インナワイヤ348を矢印Bの方向に引く量を増加させてもカム353が静止したロストモーション状態となっている。即ち、インナワイヤ348を引く量を増加させると、カムレバー352のストッパからカム353がカムスプリング356の付勢力に抗して離れ、結果的に、カム353は、カラー部材372がロック用レバー354の上面354dを押し付けた状態で静止し、カムレバー352がインナワイヤ348に引かれて反時計回りに回動するだけである。 そして、その状態からピボットアーム37aが揺動すれば、爪部354cが隣り合う歯部351b,351b間に入り込み、爪部354cが歯部351bに係合する。

また、上記したロック用ギヤ351とロック用レバー354との係合を促すための別実施形態として、サスペンションロック機構が、ロック用ギヤ351、カムレバー352、カム353、ロック用レバー354、カムスプリング356及びリターンスプリング357を一組とした場合に、もう一組を備える。サスペンションロック機構の他の構成は、上記サスペンションロック機構330のものと同一であり、ロックケーブル335のインナワイヤ348は、2つのカムレバー352に連結される。

2枚のロック用ギヤ351では、各歯部351bの位置が周方向でわずかにずれている、あるいは、隣り合う歯部351b,351b間の間隔が周方向でわずかに異なる。 2つのカムレバー352の回動によって、2つのカム353をそれぞれ独立にカムスプリング356を介して揺動させると、一方のカム353によって押し付けられた一方のロック用レバー354の爪部354cが、一方のロック用ギヤ351の歯部351bの頂部に当っても、他方のカム353によって押し付けられた他方のロック用レバー354の爪部354cを、他方のロック用ギヤ351の隣り合う歯部351b,351b間に挿入することが可能になる。

本実施形態では、サスペンションロック機構330を構成するロック用ギヤ351、カムレバー352、カム353及びロック用レバー354を、側面視で支持アーム36bに重なるように配置している。また、カムレバー352及びロック用レバー354をそれぞれ前後方向に延びるように配置するとともに、カムレバー352とロック用レバー354とを上下に隔てて配置し、カムレバー352とロック用レバー354との間にカム353を配置している。このようにサスペンションロック機構330の各部品を配置することで、サスペンションロック機構330の各部品における支持アーム36bから前後方向に突出する突出量を押え、サスペンションロック機構330の小型・コンパクト化を図っている。

図13は、揺動ロック操作レバー130及びサスペンションロック操作レバー201とその周辺部を後方から見た図である。 揺動ロック機構90(図5参照)を構成する揺動ロック操作レバー130は、レッグシールド112の内側の車体フレーム11(図2参照)から延びるレバーステー145(図2参照)に設けられたレバー支持部(不図示)に支持されている。 揺動ロック操作レバー130は、ハンドル42の右側の下方でレッグシールド112に設けられたカバー開口部112aから後方に露出するように設けられている。

揺動ロック操作レバー130の奥側には、レバー支持部に支持されたサスペンションロック操作レバー201が配置されている。 揺動ロック操作レバー130及びサスペンションロック操作レバー201の車幅方向外側の位置には、揺動型車両10(図1参照)の主電源のオン/オフを切り替えるキーシリンダ210が設けられている。 キーシリンダ210は、レッグシールド112の内側に配置され、操作用のキー211が差し込まれるキー差し込み口212を備える。キー差し込み口212は、レッグシールド112の開口から後方に露出している。

図14は、サスペンションロック操作レバー201及びその周辺部を示す図である。なお、図中に揺動ロック操作レバー130を想像線で示している。 揺動ロック操作レバー130及びサスペンションロック操作レバー201は、レバー支持部207に支持されている。 サスペンションロック操作レバー201は、レバー支持部207に回動可能に支持される支軸201aと、支軸201aから略直交する方向に延出するレバー本体部201bと、レバー本体部201bの端部から略直角に屈曲するとともにレバー本体部201bよりも幅広に形成されるハンドル部201cと、キーシリンダ210の近傍に配置される突出規制部201dとを備える。支軸201a及びハンドル部201cは、車幅方向に長く延びている。

支軸201aは、レバー支持部207におけるキーシリンダ210とは反対側の端からレバー支持部207の内周部に差し込まれ、支軸201aの先端部201eは、レバー支持部207におけるキーシリンダ210側の端からキーシリンダ210側に突出する。 突出規制部201dは、支軸201aの径方向外側に突出する板部材であり、支軸201aの先端部201eに一体に固定されている。このため、サスペンションロック操作レバー201が操作されると、突出規制部201dは、サスペンションロック操作レバー201と一体に回動する。

キーシリンダ210は、回動操作位置として、主電源がオンになるオンポジション212aと、主電源がオフになるオフポジション212bと、ハンドル42の操舵位置がロックされるロックポジション212cとを備える。回動操作位置がロックポジション212cである場合、キー211(図13参照)は、キーシリンダ210に内蔵されたキーロック機構(不図示)によりロックされ、キーシリンダ210からの抜出しが不能となる。

キーシリンダ210は、キー211によるキーシリンダ210の回動操作位置に連動して内外に進退可能な突出部材213を備える。突出部材213は、棒状に形成されており、キーシリンダ210の側面からサスペンションロック操作レバー201側へ車幅方向に延びる。 詳細には、突出部材213は、回動操作位置がオンポジション212a及びオフポジション212bにある状態では、キーシリンダ210の内側に収納されている。突出部材213は、回動操作位置がロックポジション212cにある状態では、仮想線で示されるように外側に突出する。

図15は、サスペンションロック操作レバー201及びキーシリンダ210を側方から見た図である。図15では揺動ロック操作レバー130は仮想線で図示されている。 側面視では、突出規制部201dは、キーシリンダ210の突出部材213に車幅方向内側から重なるように配置されている。 また、図14に示すように、キー差し込み口212の正面側から見た場合、仮想線で示すように突出部材213が突出した状態では、突出部材213と突出規制部201dとは重なる。すなわち、突出部材213は、突出規制部201dの回動軌跡上に配置される。

図15において、揺動ロック操作レバー130は、レバー支持部207に回動可能に軸支される連結部130aと、連結部130aから延出するレバー延出部130bと、レバー延出部130bの端で幅広に形成された把持部130c(図13参照)とを備える。レバー延出部130bは、サスペンションロック操作レバー201のレバー本体部201bよりも長く形成されている。 揺動ロック操作レバー130は、連結部130aがレバー支持部207の外周部に嵌合することで、レバー支持部207に軸支される。すなわち、揺動ロック操作レバー130は、レバー支持部207によってサスペンションロック操作レバー201と同軸に回動可能に支持されており、揺動ロック操作レバー130及びサスペンションロック操作レバー201の回動方向は同方向である。

図14において、揺動ロック操作レバー130のレバー延出部130bは、車幅方向においてサスペンションロック操作レバー201のレバー本体部201bと突出規制部201dとの間に配置され、レバー本体部201bと略平行に延びる。 詳細には、レバー支持部207の軸方向と直交する方向から見た場合、揺動ロック操作レバー130のレバー延出部130bは、その一部がサスペンションロック操作レバー201のハンドル部201cに重なっている。すなわち、レバー延出部130bは、ハンドル部201cの回動軌跡上に位置している。

図13及び図14に示された揺動ロック操作レバー130及びサスペンションロック操作レバー201の位置では、揺動ロック機構90(図5参照)及びサスペンションロック機構330(図11参照)は、ロックが解除された状態にある。 この状態から、図15に示すように、揺動ロック操作レバー130を作動方向R1に回動操作すると、揺動ロック機構90が作動する。また、サスペンションロック操作レバー201を作動方向R1に回動操作して仮想線で示されるサスペンションロックポジションまで回動させると、サスペンションロック機構330が作動する。 すなわち、揺動ロック操作レバー130及びサスペンションロック操作レバー201の作動方向R1は、同一方向である。また、揺動ロック操作レバー130及びサスペンションロック操作レバー201をそれぞれ揺動ロックポジション及びサスペンションロックポジションから解除する解除方向R2は、作動方向R1の反対方向である。

図15において、揺動ロック操作レバー130及びサスペンションロック操作レバー201のロック位置では、揺動ロック操作レバー130は、サスペンションロック操作レバー201よりも作動方向R1において少し進んだ回動位置にあるとともに、レバー延出部130bが、ハンドル部201cの回動軌跡上に位置している。 即ち、揺動ロック操作レバー130は、サスペンションロック操作レバー201の作動方向R1への操作を妨げる位置に配置されている。このため、まず、揺動ロック操作レバー130を作動方向R1へ操作しなければ、サスペンションロック操作レバー201を作動方向R1へ操作してサスペンションロックポジションにすることはできない。

ここで、揺動型車両10を駐車させる際の手順の一例を説明する。 図16は、揺動ロック操作レバー130を揺動ロックポジションにした状態を示す図である。 まず、揺動型車両10(図1参照)が停車した状態にされるとともに、キー211がオフポジション212bにセットされる。この状態では、揺動ロック操作レバー130及びサスペンションロック操作レバー201はロック解除位置にあり、図15に示すように、突出規制部201dが突出部材213に突出方向で重なっている。これにより、キー211をロックポジション212cにセットしようとした場合、突出部材213が突出規制部201dによって突出を妨げられるため、キー211をロックポジション212cにセットすることはできない。従って、キー211を抜出すことはできない。

次いで、ブレーキレバー123b(図3参照)及び揺動ロック操作レバー130が順に操作され、「パーキングブレーキ状態」を経て、「揺動ロック状態」となる。このとき、図15及び図16に示すように、揺動ロック操作レバー130が、作動方向R1に回動されて揺動ロックポジションとなるため、サスペンションロック操作レバー201を作動方向R1へ操作することが可能となる。この状態では、キー211がオフポジション212bにあり、突出部材213は、突出しておらず、サスペンションロック操作レバー201の作動方向R1への回動を妨げない。

続いて、サスペンションロック操作レバー201が、作動方向R1に操作されて図16に仮想線で示されるようにサスペンションロックポジションとなるため、リンク式サスペンション機構37(図9参照)のストロークが停止される。この状態では、図15に仮想線で示すように、突出規制部201dが、作動方向R1に回動して突出部材213に重ならない位置まで移動している。このため、キー211をロックポジション212cにセットすることが可能となり、キー211を抜き出すことも可能となる。 即ち、本実施の形態では、「揺動ロック状態」且つリンク式サスペンション機構37のストロークが停止された状態でなければ、キー211を抜出しすることができない。このため、駐車する際に、「揺動ロック状態」及びリンク式サスペンション機構37のストロークが停止された状態にすることをユーザーに促すことができ、揺動型車両10(図1参照)を適切に駐車させることができる。

また、上記のように駐車した状態では、突出規制部201dが突出した状態となるため、サスペンションロック操作レバー201を解除方向R2に回動させようとした場合、突出規制部201dの端部201d1(図15参照)が、突出部材213の側面に当接する。このため、駐車されている際に、キー211の所有者以外の者が、サスペンションロック操作レバー201を解除方向R2に操作することを防止できる。 また、この状態では、サスペンションロック操作レバー201のハンドル部201cが、揺動ロック操作レバー130の解除方向R2への操作を妨げるため、揺動ロック操作レバー130を解除することもできない。このため、駐車時に、揺動ロック操作レバー130及びサスペンションロック操作レバー201が解除されてしまうことを防止でき、適切に駐車できるとともに、揺動型車両10の盗難を抑制できる。

この駐車状態を解除する場合、キー211でキーシリンダ210をオンポジション212a又はオフポジション212bにして突出規制部201dの突出を解除し、その後、サスペンションロック操作レバー201及び揺動ロック操作レバー130を解除方向R2に回動させてロック状態を解除すれば良い。本実施の形態では、サスペンションロック操作レバー201を解除しなければ、揺動ロック操作レバー130も解除できないため、「揺動ロック状態」が解除されたにもかかわらずリンク式サスペンション機構37のストロークが停止された状態が維持されることを防止できる。

以上の図9、図11及び図12に示したように、車体側に設けられる車体側部材としての支持アーム36bに揺動可能にアームとしてのピボットアーム37aが支持され、ピボットアーム37aの先端部に車輪としての前輪2が車軸40を介して支持され、ピボットアーム37aの揺動によって緩衝器37bが伸縮されるサスペンションとしてのリンク式サスペンション機構37のストロークを停止させる揺動型車両10のサスペンションロック機構330において、ピボットアーム37aの揺動に連動するギヤとしてのロック用ギヤ351が設けられ、このロック用ギヤ351に噛み合うロック用レバー354が設けられる。

この構成によれば、ロック用ギヤ351にロック用レバー354を噛み合わせることで、ピボットアーム37aの揺動をロックさせることができ、リンク式サスペンション機構37のストロークを停止させることできる。 例えば、前輪2L,2Rが二輪の揺動型車両10(図1参照)において、揺動型車両10を自立させる際、揺動ロックと同時に、サスペンションロック機構430でサスペンションロックを行うことにより、車体のロールを規制することができ、駐停車時、停止乗車時、押し歩き時等の車両の安定化を図ることができる。

また、ロック用レバー354は、ケーブル操作で作動するカム353に押し付けられることでロック用ギヤ351に噛み合うので、直接にロック用レバー354をケーブル操作で作動させるのに比べて、カム353によりロック用レバー354の動作を制御しやすくすることができる。 また、図4及び図11に示したように、支持アーム36bは、ハンドル操作により転舵されるステアリング機構を構成し、支持アーム36bの長手方向に沿って、ロック用ギヤ351、ロック用レバー354及びカム353が順に配置されるので、サスペンションロック機構330のコンパクト化を図ることができる。

また、図9及び図11に示したように、ロック用ギヤ351、ロック用レバー354及びカム353は、同一ケースとしての収納ケース338に収容されるので、揺動型車両10(図1参照)の外観性を向上させるとともに、これらのロック用ギヤ351、ロック用レバー354及びカム353を外部から効率的に保護することができる。 また、図10及び図11に示したように、カム353は、ケーブル操作されるケーブル操作レバーとしてのカムレバー352に弾性体としてのカムスプリング356を介して作動されるので、カムレバー352をケーブル操作したときに、カムスプリング356の弾性力でカム353をロック用レバー354に押し付けることができる。従って、ロック用レバー354がロック用ギヤ351に噛み合わない場合に、ロック用レバー354を上記弾性力でロック用ギヤ351に押し付けた状態で、ロック用ギヤ351が回動した際にロック用レバー354がロック用ギヤ351に噛み合うように待機させることができる。

また、図11に示したように、ロック用ギヤ351、ロック用レバー354、カム353及びカムレバー352は、側面視で、支持アーム36bに重なるように配置され、カムレバー352及びロック用レバー354は、それぞれ前後方向に延びるように配置されるとともに上下に隔てて配置され、カム353が、カムレバー352とロック用レバー354との間に配置されるので、サスペンションロック機構330を、支持アーム36bの側方で小型・コンパクトに構成することができる。

上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の主旨を逸脱しない範囲で任意に変形及び応用が可能である。 例えば、上記実施形態において、図10及び図11に示したように、カムスプリング356を捩りコイルばねとしたが、これに限らず、圧縮コイルばね、板ばね、皿ばね等の他の構造のばねを使用しても良い。 また、ピボットアーム37aに複数の歯部351bを備えたロック用ギヤ351を設け、ロック用レバー354に爪部354cを設けたが、これに限らず、ピボットアーム37aに、爪部を有するロック用レバーを一体的に設け、軸部材364に揺動可能に支持されるとともに複数の歯部を備えるロック用ギヤを設け、爪部を歯部に係合させるようにしても良い。

また、上記実施の形態では、図1に示したように、パワーユニット100としてエンジン101を備えるものを例に挙げて説明したが、これに限らず、例えば、パワーユニットとして、バッテリーにより駆動される電動モーターを用いた構成としても良い。 更に、上記実施の形態では、図1及び図4に示したように、揺動型車両として前輪2L,2Rと1つの後輪3とを備える3輪車両を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、後輪を2つ備えた4輪の揺動型車両に本発明を適用しても良い。

2,2L,2R 前輪(車輪) 10 揺動型車両(車両) 36b 支持アーム(車体側部材) 37 リンク式サスペンション機構 37a ピボットアーム(アーム) 37b 緩衝器 40 車軸 201 サスペンションロック操作レバー 330 サスペンションロック機構 335 ロックケーブル 338 収納ケース(ケース) 351 ロック用ギヤ(ギヤ) 352 カムレバー(操作レバー) 353 カム 354 ロック用レバー 356 カムスプリング(弾性体)

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