車両

申请号 JP2015194217 申请日 2015-09-30 公开(公告)号 JP2017065533A 公开(公告)日 2017-04-06
申请人 ヤマハ発動機株式会社; 发明人 大野 孝祐;
摘要 【課題】倒立サスペンションを備え、車輪速センサおよびセンサワイヤの好ましいレイアウトを有する車両を提供する。 【解決手段】左下規制部85は、左車軸線Jの方向から見て左車輪速センサ40よりも上方で、左インナ連結要素337、または、左緩衝装置33の動作に伴い左インナ連結要素337とともに相対変位する部材339e、に固定されている。左車輪速センサ40は、少なくとも一部が左右方向について左前インナチューブ334の外縁より内方に 位置 し、かつ、左緩衝装置33が最大伸長状態のときに左下仮想線分Vより下方に位置し、かつ、左車軸線Jの方向から見て左前仮想線Nと左後仮想線Qとの間で、左インナ連結要素337に設けられている。左センサワイヤ84は、左車軸線Jの方向から見て、左下仮想線分Vに交差するように延びている。 【選択図】図9
权利要求

車両であって、 右旋回時に前記車両の右方に傾斜し、左旋回時に前記車両の左方へ傾斜可能な車体フレームと、 右車軸線回りに回転可能な右前輪と、 前記車体フレームの左右方向について前記右前輪より左方に設けられ、左車軸線回りに回転可能な左前輪と、 下部で前記右前輪を支持し、上部に対する前記右前輪の相対変位を可能に支持する右緩衝装置と、 下部で前記左前輪を支持し、上部に対する前記左前輪の相対変位を可能に支持する左緩衝装置と、 前記車体フレームに回動可能に設けられ、右部で前記右緩衝装置の上部を支持し、左部で前記左緩衝装置の上部を支持し、前記車体フレームの上下方向について前記右前輪および前記左前輪の相対変位を可能に支持するリンク機構と、を有し、 前記右緩衝装置は、 前記車体フレームの上下方向に延びる右伸縮軸線の方向に延びる右前アウタチューブと、前記右前アウタチューブに挿入され前記右伸縮軸線の方向に延びて下端部が前記右前アウタチューブの下端部より下方に設けられた右前インナチューブと、を有する右前テレスコピック要素と、 前記車体フレームの前後方向について前記右前アウタチューブより後方に設けられ前記右伸縮軸線の方向に延びる右後アウタチューブと、前記右後アウタチューブに挿入され前記右伸縮軸線の方向に延びて下端部が前記右後アウタチューブの下端部より下方に設けられた右後インナチューブと、を有する右後テレスコピック要素と、 前記右前インナチューブの下部と前記右後インナチューブの下部とを連結する右インナ連結要素と、を有し、 前記左緩衝装置は、 前記車体フレームの上下方向に延びる左伸縮軸線の方向に延びる左前アウタチューブと、前記左前アウタチューブに挿入され前記左伸縮軸線の方向に延びて下端部が前記左前アウタチューブの下端部より下方に設けられた左前インナチューブと、を有する左前テレスコピック要素と、 前記車体フレームの前後方向について前記左前アウタチューブより後方に設けられ前記左伸縮軸線の方向に延びる左後アウタチューブと、前記左後アウタチューブに挿入され前記左伸縮軸線の方向に延びて下端部が前記左後アウタチューブの下端部より下方に設けられた左後インナチューブと、を有する左後テレスコピック要素と、 前記左前インナチューブの下部と前記左後インナチューブの下部とを連結する左インナ連結要素と、を有し、 以下の条件(A)と条件(B)の少なくとも一方を満たしている、車両。 条件(A) 前記右緩衝装置は、 前記右前輪の車輪速を検出可能な右車輪速検出部と、前記右車輪速検出部を保持する右センサハウジングとを有する、右車輪速センサと、 前記右車輪速センサから前記車体フレームに設けられたECU(Engine Control Unit)まで延びる右センサワイヤが、前記右緩衝装置の動作時に、少なくとも前記右前アウタチューブおよび前記右後アウタチューブとの接触を抑制するように前記右センサワイヤの変形を規制する右下規制部と、を有し、 前記右下規制部は、前記右車軸線の方向から見て前記右車輪速センサよりも前記右伸縮軸線の方向における上方で、前記右インナ連結要素、または、前記右緩衝装置の動作に伴い前記右前アウタチューブと前記右後アウタチューブに対して前記右インナ連結要素とともに相対変位する部材、に固定されており、 前記右車輪速センサは、直立状態かつ無転状態の前記車両の正面視でその少なくとも一部が前記右車軸線方向について前記右前インナチューブの前記右前輪と反対側の外縁よりも前記右前輪側に位置し、かつ、前記右車軸線の方向から見て前記右緩衝装置が最大伸長状態のときに前記右前アウタチューブの後下端と前記右後アウタチューブの前下端を結ぶ右下仮想線分より下方に位置し、かつ、その少なくとも一部が前記右車軸線の方向から見て前記右前インナチューブの後縁に沿った右前仮想線と前記右後インナチューブの前縁に沿った右後仮想線との間で、前記右インナ連結要素、または、前記右緩衝装置の動作に伴い前記右前アウタチューブと前記右後アウタチューブに対して前記右インナ連結要素とともに相対変位する部材に設けられており、 前記右センサワイヤは、前記右車軸線の方向から見て、前記右下仮想線分に交差するように延びている。 条件(B) 前記左緩衝装置は、 前記左前輪の車輪速を検出可能な左車輪速検出部と、前記左車輪速検出部を保持する左センサハウジングとを有する、左車輪速センサと、 前記左車輪速センサから前記車体フレームに設けられたECU(Engine Control Unit)まで延びる左センサワイヤが、前記左緩衝装置の動作時に、少なくとも前記左前アウタチューブおよび前記左後アウタチューブとの接触を抑制するように前記左センサワイヤの変形を規制する左下規制部と、を有し、 前記左下規制部は、前記左車軸線の方向から見て前記左車輪速センサよりも前記左伸縮軸線の方向における上方で、前記左インナ連結要素、または、前記左緩衝装置の動作に伴い前記左前アウタチューブと前記左後アウタチューブに対して前記左インナ連結要素とともに相対変位する部材、に固定されており、 前記左車輪速センサは、直立状態かつ無転舵状態の前記車両の正面視でその少なくとも一部が前記左車軸線方向について前記左前インナチューブの前記左前輪と反対側の外縁よりも前記左前輪側に位置し、かつ、前記左車軸線の方向から見て前記左緩衝装置が最大伸長状態のときに前記左前アウタチューブの後縁の下端と前記左後アウタチューブの前縁の下端を結ぶ左下仮想線分より下方に位置し、かつ、その少なくとも一部が前記左車軸線の方向から見て前記左前インナチューブの後縁に沿った左前仮想線と前記左後インナチューブの前縁に沿った左後仮想線との間で、前記左インナ連結要素、または、前記左緩衝装置の動作に伴い前記左前アウタチューブと前記左後アウタチューブに対して前記左インナ連結要素とともに相対変位する部材に設けられており、 前記左センサワイヤは、前記左車軸線の方向から見て、前記左下仮想線分に交差するように延びている。前記条件(A)は、前記右下規制部が、前記右車軸線の方向から見て、前記右下仮想線分より上方に位置している、ことを含み、 前記条件(B)は、前記左下規制部が、前記左車軸線の方向から見て、前記左下仮想線分より上方に位置している、ことを含む、請求項1に記載の車両。前記条件(A)は、前記右下規制部が、前記右車軸線の方向から見て、前記右下仮想線分より下方に位置している、ことを含み、 前記条件(B)は、前記左下規制部が、前記左車軸線の方向から見て、前記左下仮想線分より下方に位置している、ことを含む、請求項1に記載の車両。前記条件(A)は、前記右下規制部の少なくとも一部が、前記右車軸線の方向から見て前記右前仮想線と前記右後仮想線との間に位置していることを含み、 前記条件(B)は、前記左下規制部の少なくとも一部が、前記左車軸線の方向から見て前記左前仮想線と前記左後仮想線との間に位置していることを含む、請求項1に記載の車両。前記条件(A)は、前記右下規制部が、前記右車軸線の方向から見て、前記右前輪の右ホイールの外縁より内方に位置していることを含み、 前記条件(B)は、前記左下規制部が、前記左車軸線の方向から見て、前記左前輪の左ホイールの外縁より内方に位置していることを含む、請求項1に記載の車両。前記右前輪とともに回転する右ブレーキディスクと、前記右ブレーキディスクに制動を付与する右ブレーキキャリパと、を有して、前記右前輪に制動力を付与可能な右制動装置と、 前記左前輪とともに回転する左ブレーキディスクと、前記左ブレーキディスクに制動力を付与する左ブレーキキャリパと、を有して、前記左前輪に制動力を付与可能な左制動装置と、を有し、 前記条件(A)は、前記右センサワイヤは、前記右車軸線の方向から見て、前記右下仮想線分より上方で前記右ブレーキキャリパから上方に延びる右ブレーキホースとともに右中間規制部により変位が規制されている、ことを含み、 前記条件(B)は、前記左センサワイヤは、前記左車軸線の方向から見て、前記左下仮想線分より上方で前記左ブレーキキャリパから上方に延びる左ブレーキホースとともに左中間規制部により変形が規制されている、ことを含む、請求項1に記載の車両。前記右前輪とともに回転する右ブレーキディスクと、前記右ブレーキディスクに制動力を付与する右ブレーキキャリパと、を有して、前記右前輪に制動力を付与可能な右制動装置と、 前記左前輪とともに回転する左ブレーキディスクと、前記左ブレーキディスクに制動力を付与する左ブレーキキャリパと、を有して、前記左前輪に制動力を付与可能な左制動装置と、を有し、 前記条件(A)は、前記右センサワイヤは、前記右車軸線の方向から見て、前記右下仮想線分より上方で前記右ブレーキキャリパから上方に延びる右ブレーキホースに設けられた右中間規制部により変位が規制されている、ことを含み、 前記条件(B)は、前記左センサワイヤは、前記左車軸線の方向から見て、前記左下仮想線分より上方で前記左ブレーキキャリパから上方に延びる左ブレーキホースに設けられた左中間規制部により変形が規制されている、ことを含む、請求項1に記載の車両。前記右前輪とともに回転する右ブレーキディスクと、前記右ブレーキディスクに制動力を付与する右ブレーキキャリパと、を有して、前記右前輪に制動力を付与可能な右制動装置と、 前記左前輪とともに回転する左ブレーキディスクと、前記左ブレーキディスクに制動力を付与する左ブレーキキャリパと、を有して、前記左前輪に制動力を付与可能な左制動装置と、を有し、 前記条件(A)は、前記右下規制部が、前記右車軸線の方向から見て、前記右ブレーキディスクの外縁より内方に位置することを含み、 前記条件(B)は、前記左下規制部が、前記左車軸線の方向から見て、前記左ブレーキディスクの外縁より内方に位置することを含む、請求項1に記載の車両。前記条件(A)は、 前記右センサワイヤは、前記右下規制部と、前記右下規制部より上流側に設けられた右中間規制部と、前記右中間規制部より上流側に設けられた右上規制部と、により、その変形が規制されており、 前記右中間規制部は、前記右前アウタチューブ、前記右後アウタチューブ、または前記右前アウタチューブと前記右後アウタチューブとともに変位する部材に固定されており、 前記右上規制部は、前記車体フレームに固定されている、ことを含み、 前記条件(B)は、 前記左センサワイヤは、前記左下規制部と、前記左下規制部より上流側に設けられた左中間規制部と、前記左中間規制部より上流側に設けられた左上規制部と、により、その変形が規制されており、 前記左中間規制部は、前記左前アウタチューブ、前記左後アウタチューブ、または前記左前アウタチューブと前記左後アウタチューブとともに変位する部材に固定されており、 前記左上規制部は、前記車体フレームに固定されている、ことを含む、請求項1に記載の車両。前記条件(A)は、前記右車輪速センサが、前記右車軸線の方向から見て、右車軸部材より上方に位置することを含み、 前記条件(B)は、前記左車輪速センサが、前記左車軸線の方向から見て、左車軸部材より上方に位置することを含む、請求項1に記載の車両。前記右前輪とともに回転する右ブレーキディスクと、前記右ブレーキディスクに制動力を付与する右ブレーキキャリパと、を有して、前記右前輪に制動力を付与可能な右制動装置と、 前記左前輪とともに回転する左ブレーキディスクと、前記左ブレーキディスクに制動力を付与する左ブレーキキャリパと、を有して、前記左前輪に制動力を付与可能な左制動装置と、を有し、 前記条件(A)は、前記右車輪速センサが、前記車両の正面視で、前記右前インナチューブの中心線より前記右ブレーキディスクの近くに位置することを含み、 前記条件(B)は、前記左車輪速センサが、前記車両の正面視で、前記左前インナチューブの中心線より前記左ブレーキディスクの近くに位置することを含む、請求項1に記載の車両。前記右前輪とともに回転する右ブレーキディスクと、前記右ブレーキディスクに制動力を付与する右ブレーキキャリパと、を有して、前記右前輪に制動力を付与可能な右制動装置と、 前記左前輪とともに回転する左ブレーキディスクと、前記左ブレーキディスクに制動力を付与する左ブレーキキャリパと、を有して、前記左前輪に制動力を付与可能な左制動装置と、を有し、 前記条件(A)は、前記右センサワイヤの少なくとも一部が、前記車両の正面視で、前記右前インナチューブの中心線より前記右ブレーキディスクの近くに位置することを含み、 前記条件(B)は、前記左センサワイヤの少なくとも一部が、前記車両の正面視で、前記左前インナチューブの中心線より前記左ブレーキディスクの近くに位置することを含む、請求項1に記載の車両。前記右前輪とともに回転する右ブレーキディスクと、前記右ブレーキディスクに制動力を付与する右ブレーキキャリパと、を有して、前記右前輪に制動力を付与可能な右制動装置と、 前記左前輪とともに回転する左ブレーキディスクと、前記左ブレーキディスクに制動力を付与する左ブレーキキャリパと、を有して、前記左前輪に制動力を付与可能な左制動装置と、を有し、 前記条件(A)は、 前記右車軸線の方向から見て、前記右ブレーキディスクの外縁より内方で、前記右車輪速センサの前記右センサハウジングに右ワイヤ取出し口が設けられており、 前記車両の正面視で、前記右センサワイヤの少なくとも一部が、前記右ワイヤ取出し口よりも前記右ブレーキディスクに近い位置を通って上方に延びている、ことを含み、 前記条件(B)は、 前記左車軸線の方向から見て、前記左ブレーキディスクの外縁より内方で、前記左車輪速センサの前記左センサハウジングに左ワイヤ取出し口が設けられており、 前記車両の正面視で、前記左センサワイヤの少なくとも一部が、前記左ワイヤ取出し口よりも前記左ブレーキディスクに近い位置を通って上方に延びている、ことを含む、請求項1に記載の車両。前記条件(A)は、 直立状態かつ無転舵状態の前記車両の正面視で、前記右車輪速センサの少なくとも一部が前記右前インナチューブと重なっていることを含み、 前記条件(B)は、 直立状態かつ無転舵状態の前記車両の正面視で、前記左車輪速センサの少なくとも一部が前記左前インナチューブと重なっていることを含む、請求項1に記載の車両。

说明书全文

本発明は、傾斜可能な車体フレームと左右方向に並ぶ2つの前輪を備えた車両に関する。

傾斜可能な車体フレームと2つの左右に並ぶ前輪を備えた車両が、特許文献1などにより知られている。一般的に、傾斜可能な車体フレームと左右方向に並ぶ2つの前輪を備えた車両は、車体フレームが鉛直方向に対して傾斜した状態で旋回できる。より具体的には、右旋回時に車体フレームは車両の右方に傾斜し、左旋回時に車体フレームは車両の左方に傾斜する。

上記特許文献1に記載された車両は、2つの前輪を車体フレームに対して車体フレームの上下方向に変位可能に支持するリンク機構と、リンク機構に対して2つの前輪を車体フレームの上下方向に変位可能に支持して路面からの衝撃を吸収する緩衝装置を備えている。

特許文献1に記載された車両は、緩衝装置として、いわゆる正立サスペンションを採用している。正立サスペンションは、下部に車輪を回転可能に支持するアウタチューブと、下部がアウタチューブに挿入されて上部がリンク機構に支持されたインナチューブとを有する。正立サスペンションは、アウタチューブとインナチューブとをその伸縮軸線の方向に伸縮させることにより、リンク機構および車体フレームに対する前輪の上下方向の変位を緩衝する。特許文献1に記載の車両は、前輪の回転速度を検出する車輪速センサを備えている。この車輪速センサは、車輪に設けられたカバー部材により保護されている。

国際公開第2015/002163号

ところで、本発明者は、上述のような正立サスペンションではなく、倒立サスペンションを搭載した車両を検討した。本発明者が、倒立サスペンションを搭載した車両を検討したところ、車輪速センサのレイアウトや、車輪速センサから延びるセンサワイヤのレイアウトについて、好ましいレイアウトは特許文献1に記載の車両とは異なることに気が付いた。

本発明は、倒立サスペンションを備え、車輪速センサおよびセンサワイヤの好ましいレイアウトを有する車両を提供する。

(1)本発明に係る車両によれば、以下が提供される。 車両であって、 右旋回時に前記車両の右方に傾斜し、左旋回時に前記車両の左方へ傾斜可能な車体フレームと、 右車軸線回りに回転可能な右前輪と、 前記車体フレームの左右方向について前記右前輪より左方に設けられ、左車軸線回りに回転可能な左前輪と、 下部で前記右前輪を支持し、上部に対する前記右前輪の相対変位を可能に支持する右緩衝装置と、 下部で前記左前輪を支持し、上部に対する前記左前輪の相対変位を可能に支持する左緩衝装置と、 前記車体フレームに回動可能に設けられ、右部で前記右緩衝装置の上部を支持し、左部で前記左緩衝装置の上部を支持し、前記車体フレームの上下方向について前記右前輪および前記左前輪の相対変位を可能に支持するリンク機構と、を有し、 前記右緩衝装置は、 前記車体フレームの上下方向に延びる右伸縮軸線の方向に延びる右前アウタチューブと、前記右前アウタチューブに挿入され前記右伸縮軸線の方向に延びて下端部が前記右前アウタチューブの下端部より下方に設けられた右前インナチューブと、を有する右前テレスコピック要素と、 前記車体フレームの前後方向について前記右前アウタチューブより後方に設けられ前記右伸縮軸線の方向に延びる右後アウタチューブと、前記右後アウタチューブに挿入され前記右伸縮軸線の方向に延びて下端部が前記右後アウタチューブの下端部より下方に設けられた右後インナチューブと、を有する右後テレスコピック要素と、 前記右前インナチューブの下部と前記右後インナチューブの下部とを連結する右インナ連結要素と、を有し、 前記左緩衝装置は、 前記車体フレームの上下方向に延びる左伸縮軸線の方向に延びる左前アウタチューブと、前記左前アウタチューブに挿入され前記左伸縮軸線の方向に延びて下端部が前記左前アウタチューブの下端部より下方に設けられた左前インナチューブと、を有する左前テレスコピック要素と、 前記車体フレームの前後方向について前記左前アウタチューブより後方に設けられ前記左伸縮軸線の方向に延びる左後アウタチューブと、前記左後アウタチューブに挿入され前記左伸縮軸線の方向に延びて下端部が前記左後アウタチューブの下端部より下方に設けられた左後インナチューブと、を有する左後テレスコピック要素と、 前記左前インナチューブの下部と前記左後インナチューブの下部とを連結する左インナ連結要素と、を有し、 以下の条件(A)と条件(B)の少なくとも一方を満たしている、車両。 条件(A) 前記右緩衝装置は、 前記右前輪の車輪速を検出可能な右車輪速検出部と、前記右車輪速検出部を保持する右センサハウジングとを有する、右車輪速センサと、 前記右車輪速センサから前記車体フレームに設けられたECU(Engine Control Unit)まで延びる右センサワイヤが、前記右緩衝装置の動作時に、少なくとも前記右前アウタチューブおよび前記右後アウタチューブとの接触を抑制するように前記右センサワイヤの変形を規制する右下規制部と、を有し、 前記右下規制部は、前記右車軸線の方向から見て前記右車輪速センサよりも前記右伸縮軸線の方向における上方で、前記右インナ連結要素、または、前記右緩衝装置の動作に伴い前記右前アウタチューブと前記右後アウタチューブに対して前記右インナ連結要素とともに相対変位する部材、に固定されており、 前記右車輪速センサは、直立状態かつ無転状態の前記車両の正面視でその少なくとも一部が前記右車軸線方向について前記右前インナチューブの前記右前輪と反対側の外縁よりも前記右前輪側に位置し、かつ、前記右車軸線の方向から見て前記右緩衝装置が最大伸長状態のときに前記右前アウタチューブの後下端と前記右後アウタチューブの前下端を結ぶ右下仮想線分より下方に位置し、かつ、その少なくとも一部が前記右車軸線の方向から見て前記右前インナチューブの後縁に沿った右前仮想線と前記右後インナチューブの前縁に沿った右後仮想線との間で、前記右インナ連結要素、または、前記右緩衝装置の動作に伴い前記右前アウタチューブと前記右後アウタチューブに対して前記右インナ連結要素とともに相対変位する部材に設けられており、 前記右センサワイヤは、前記右車軸線の方向から見て、前記右下仮想線分に交差するように延びている。 条件(B) 前記左緩衝装置は、 前記左前輪の車輪速を検出可能な左車輪速検出部と、前記左車輪速検出部を保持する左センサハウジングとを有する、左車輪速センサと、 前記左車輪速センサから前記車体フレームに設けられたECU(Engine Control Unit)まで延びる左センサワイヤが、前記左緩衝装置の動作時に、少なくとも前記左前アウタチューブおよび前記左後アウタチューブとの接触を抑制するように前記左センサワイヤの変形を規制する左下規制部と、を有し、 前記左下規制部は、前記左車軸線の方向から見て前記左車輪速センサよりも前記左伸縮軸線の方向における上方で、前記左インナ連結要素、または、前記左緩衝装置の動作に伴い前記左前アウタチューブと前記左後アウタチューブに対して前記左インナ連結要素とともに相対変位する部材、に固定されており、 前記左車輪速センサは、直立状態かつ無転舵状態の前記車両の正面視でその少なくとも一部が前記左車軸線方向について前記左前インナチューブの前記左前輪と反対側の外縁よりも前記左前輪側に位置し、かつ、前記左緩衝装置が最大伸長状態のときに前記左前アウタチューブの後縁の下端と前記左後アウタチューブの前縁の下端を結ぶ左下仮想線分より下方に位置し、かつ、その少なくとも一部が前記左車軸線の方向から見て前記左前インナチューブの後縁に沿った左前仮想線と前記左後インナチューブの前縁に沿った左後仮想線との間で、前記左インナ連結要素に設けられており、 前記左センサワイヤは、前記左車軸線の方向から見て、前記左下仮想線分に交差するように延びている。

本発明に係る車両において、条件(A)によれば、以下のような効果を有する。 右車輪速センサは、直立状態かつ無転舵状態の車両の正面視でその少なくとも一部が右車軸線方向について右前インナチューブの右前輪と反対側の外縁よりも右前輪側に位置し。つまり、右前インナチューブが、車両の前方から飛来する石や泥、などから右車輪速センサの少なくとも一部を保護することができる。

右車輪速センサの少なくとも一部は、右車軸線の方向から見て右前インナチューブの後縁に沿った右前仮想線と右後インナチューブの前縁に沿った右後仮想線との間で、右インナ連結要素に設けられている。 右緩衝装置の動作時には、右インナ連結要素は、右前アウタチューブおよび右後アウタチューブに対して相対変位する。右車輪速センサは右インナ連結要素に設けられているので、右緩衝装置の動作時には、右車輪速センサが右前アウタチューブおよび右後アウタチューブに対して干渉する恐れがある。

しかし、右車輪速センサの少なくとも一部は、右車軸線の方向から見て、右前仮想線と右後仮想線との間に位置している。このため、以下に詳述するように、右車輪速センサと右前アウタチューブおよび右後アウタチューブとの干渉が抑制されている。

右車輪速センサが、右前仮想線より後方に位置して右前アウタチューブの後縁に沿って延びる第二右前仮想線と、右後仮想線より前方に位置して右後アウタチューブの前縁に沿って延びる第二右後仮想線との間に位置していれば、該右車輪速センサと右前アウタチューブおよび右後アウタチューブとの干渉は生じにくい。

右車輪速センサが第二右前仮想線と右前仮想線との間に位置している場合には、右車軸線の方向から見れば、右車輪速センサが右前アウタチューブと重なることが考えられ、干渉が生じる可能性がある。しかし、例えば、車両の正面視で、右車輪速センサを右前アウタチューブの中心線からずれた位置に配置することにより、干渉を容易に回避できる。つまり、右車輪速センサが第二右前仮想線と右前仮想線との間に位置していても、該干渉を回避しやすいことを見出した。 同様に、右車輪速センサが第二右後仮想線と右後仮想線との間に位置している場合には、右車軸線の方向から見れば、右車輪速センサが右後アウタチューブと重なることが考えられ、干渉が生じる可能性がある。しかし、例えば、車両の正面視で、右車輪速センサを右後アウタチューブの中心線からずれた位置に配置することにより、干渉を容易に回避できる。つまり、右車輪速センサが第二右後仮想線と右後仮想線との間に位置していても、該干渉を回避しやすいことを見出した。

つまり、右車軸線の方向から見て右前インナチューブの後縁に沿った右前仮想線と右後インナチューブの前縁に沿った右後仮想線との間に、右車輪速センサの少なくとも一部が設けられていれば、干渉を回避しやすい。そこで、左車輪速センサの少なくとも一部を左前仮想線と左後仮想線との間に配置することにより、干渉を回避しつつ車輪速センサのレイアウトの自由度を高めることができた。

右センサワイヤは、右緩衝装置に沿って上方に延びて、車体フレームに設けられたECUに接続される。条件(A)を満たす車両によれば、右車輪速センサが右車軸線の方向から見て右下仮想線分より下方に位置し、右下規制部が右車軸線の方向から見て右車輪速センサより上方に設けられており、右センサワイヤが右前アウタチューブの後下端と右後アウタチューブの前下端を結ぶ右下仮想線分を交差するように延びているため、右下仮想線分より前方や後方を迂回して配索される場合と比べて、右前輪の周辺について右センサワイヤを短く配線できる。

右伸縮軸線の方向について右下仮想線分の下方の領域には、右緩衝装置が動作すると、右前アウタチューブと右後アウタチューブが侵入するので、右センサワイヤが干渉する恐れがある。

しかし、右下規制部が、右伸縮軸線の方向について右下仮想線分より上方に位置している場合には、右下仮想線分の下方の領域に位置する右センサワイヤの部位は、右下規制部により右センサワイヤの動きが規制されているので動きにくい。このため、右センサワイヤの該部位をあらかじめ右前アウタチューブや右後アウタチューブと干渉しないように配置しておけば、右緩衝装置が動作しても右前アウタチューブや右後アウタチューブとの干渉が生じにくい。

また、右下規制部が、右伸縮軸線の方向について右下仮想線分より下方に位置している場合には、右下仮想線分の下方の領域に位置する右センサワイヤの部位のうち、右車輪速センサから右下規制部の部位は、動きが抑制されているので、該部位をあらかじめ右前アウタチューブや右後アウタチューブと干渉しないように配置しておけば、右緩衝装置が動作しても右前アウタチューブや右後アウタチューブとの干渉が生じにくい。 さらに、右下仮想線分の下方の領域に位置する右センサワイヤの部位のうち、右下規制部の右車輪速センサと反対側の部位は、右下規制部が右車輪速センサより上方に位置しているので、右下規制部を設けない場合と比べて、右下仮想線分の下方の領域において右前アウタチューブや右後アウタチューブとの干渉が抑制されている。

このように、右下規制部が、右伸縮軸線の方向について右下仮想線分より上方に位置している場合、および、下方に位置している場合のいずれについても、右下規制部を設けない場合と比べて、右センサワイヤが右前アウタチューブや右後アウタチューブと干渉することが抑制されている。 このように、条件(A)を満たせば、右センサワイヤや右車輪速センサを保護しつつ、他の部材との干渉を避けつつ、レイアウトの自由度を高めることができる。

条件(B)を満たす車両によれば、左センサワイヤについて、上述と同様の効果が得られる。以降の(2)〜(13)の説明についても、条件(B)の左車輪速センサと左センサワイヤはそれぞれ右車輪速センサと右センサワイヤと左右対称なので、(2)〜(13)の構成に係る効果も、条件(A)の右車輪速センサと右センサワイヤについてのみ説明し、条件(B)の左車輪速センサと左センサワイヤについての効果の説明は省略する。

(2)上記本発明に係る車両において、 前記条件(A)は、前記右下規制部が、前記右車軸線の方向から見て、前記右下仮想線分より上方に位置している、ことを含み、 前記条件(B)は、前記左下規制部が、前記左車軸線の方向から見て、前記左下仮想線分より上方に位置している、ことを含んでもよい。

(2)の構成によれば、右下規制部が、右伸縮軸線の方向について右下仮想線分より上方に位置している場合には、右下仮想線分の下方の領域に位置する右センサワイヤの部位は、右下規制部により右センサワイヤの動きが規制されているので動きにくい。このため、右センサワイヤの該部位をあらかじめ右前アウタチューブや右後アウタチューブと干渉しないように配置しておけば、右緩衝装置が動作しても右前アウタチューブや右後アウタチューブとの干渉が生じにくい。

(3)上記本発明に係る車両において、 前記条件(A)は、前記右下規制部が、前記右車軸線の方向から見て、前記右下仮想線分より下方に位置している、ことを含み、 前記条件(B)は、前記左下規制部が、前記左車軸線の方向から見て、前記左下仮想線分より下方に位置している、ことを含んでもよい。

(3)の構成によれば、右下規制部が、右伸縮軸線の方向について右下仮想線分より下方に位置している場合には、右下仮想線分の下方の領域に位置する右センサワイヤの部位のうち、右車輪速センサから右下規制部の部位は、動きが抑制されているので、該部位をあらかじめ右前アウタチューブや右後アウタチューブと干渉しないように配置しておけば、右緩衝装置が動作しても右前アウタチューブや右後アウタチューブとの干渉が生じにくい。 さらに、右下仮想線分の下方の領域に位置する右センサワイヤの部位のうち、右下規制部の上流側の部位は、右下規制部が右車輪速センサより上方に位置しているので、右下規制部を設けない場合と比べて、右下仮想線分の下方の領域において右前アウタチューブや右後アウタチューブとの干渉が抑制されている。

(4)上記本実施形態に係る車両において、 前記条件(A)は、前記右下規制部の少なくとも一部が、前記右車軸線の方向から見て前記右前仮想線と前記右後仮想線との間に位置していることを含み、 前記条件(B)は、前記左下規制部の少なくとも一部が、前記左車軸線の方向から見て前記左前仮想線と前記左後仮想線との間に位置していることを含んでもよい。

(4)の構成によれば、右車輪速センサの少なくとも一部は、右前仮想線と右後仮想線との間に位置している。右下規制部の少なくとも一部も、右前仮想線と右後仮想線との間に位置することにより、前後方向について右センサワイヤの配索を短くすることができ、右前輪の周囲の配索について、右車輪速センサと右下規制部との間を結ぶ右センサワイヤを短くできる。これにより、右センサワイヤの右車輪速センサと右下規制部との間の部位をさらに動きにくくし、他の部材との干渉を抑制できる。

(5)上記本発明に係る車両において、 前記条件(A)は、前記右下規制部が、前記右車軸線の方向から見て、前記右前輪のホイールの外縁より内方に位置していることを含み、 前記条件(B)は、前記左下規制部が、前記左車軸線の方向から見て、前記左前輪のホイールの外縁より内方に位置していることを含んでもよい。

(5)の構成に係る車両によれば、変形が抑制されている右センサワイヤのうちの右車輪速センサから右下規制部の部位が、右車軸線の方向から見て、右前輪のホイールの外縁より内方に設けられている。このように右下規制部が右車輪速センサの近くで右センサワイヤの変形を抑制しているため、右センサワイヤを安定して保持できる。

(6)上記本発明に係る車両において、 前記右前輪とともに回転する右ブレーキディスクと、前記右ブレーキディスクに制動を付与する右ブレーキキャリパと、を有して、前記右前輪に制動力を付与可能な右制動装置と、 前記左前輪とともに回転する左ブレーキディスクと、前記左ブレーキディスクに制動力を付与する左ブレーキキャリパと、を有して、前記左前輪に制動力を付与可能な左制動装置と、を有し、 前記条件(A)は、前記右センサワイヤは、前記右車軸線の方向から見て、前記右緩衝装置が最大伸長状態のときに前記右前アウタチューブの後下端と前記右後アウタチューブの前下端を結ぶ右下仮想線より上方で前記右ブレーキキャリパから上方に延びる右ブレーキホースとともに右中間規制部により変位が規制されている、ことを含み、 前記条件(B)は、前記左センサワイヤは、前記左車軸線の方向から見て、前記左緩衝装置が最大伸長状態のときに前記左前アウタチューブの後下端と前記左後アウタチューブの前下端を結ぶ左下仮想線より上方で前記左ブレーキキャリパから上方に延びる左ブレーキホースとともに左中間規制部により変形が規制されている、ことを含んでもよい。

(6)の構成に係る車両によれば、右中規制部で右ブレーキホースとともに右センサワイヤの変形を規制するため、剛性の高い右ブレーキホースを使って右センサワイヤを配索できる。右センサワイヤと右ブレーキホースを共通して拘束できるため、部品点数を削減できる。右センサワイヤを配索する空間と右ブレーキホースを配索する空間を別々に用意する必要がないため、小さな空間に右センサワイヤと右ブレーキホースを配索できる。

(7)上記本発明に係る車両において、 前記右前輪とともに回転する右ブレーキディスクと、前記右ブレーキディスクに制動力を付与する右ブレーキキャリパと、を有して、前記右前輪に制動力を付与可能な右制動装置と、 前記左前輪とともに回転する左ブレーキディスクと、前記左ブレーキディスクに制動力を付与する左ブレーキキャリパと、を有して、前記左前輪に制動力を付与可能な左制動装置と、を有し、 前記条件(A)は、前記右センサワイヤは、前記右車軸線の方向から見て、前記右緩衝装置が最大伸長状態のときに前記右前アウタチューブの後下端と前記右後アウタチューブの前下端を結ぶ右下仮想線より上方で前記右ブレーキキャリパから上方に延びる右ブレーキホースに設けられた右中間規制部により変位が規制されている、ことを含み、 前記条件(B)は、前記左センサワイヤは、前記左車軸線の方向から見て、前記左緩衝装置が最大伸長状態のときに前記左前アウタチューブの後下端と前記左後アウタチューブの前下端を結ぶ左下仮想線より上方で前記左ブレーキキャリパから上方に延びる左ブレーキホースに設けられた左中間規制部により変形が規制されている、ことを含んでもよい。

(7)の構成に係る車両によれば、剛性の高い右ブレーキホースに右中規制部を設けて右センサワイヤを配索できる。右センサワイヤと右ブレーキホースを共通して拘束できるため、部品点数を削減できる。右センサワイヤを配索する空間と右ブレーキホースを配索する空間を別々に用意する必要がないため、小さな空間に右センサワイヤと右ブレーキホースを配索できる。

(8)上記本発明に係る車両において、 前記右前輪とともに回転する右ブレーキディスクと、前記右ブレーキディスクに制動力を付与する右ブレーキキャリパと、を有して、前記右前輪に制動力を付与可能な右制動装置と、 前記左前輪とともに回転する左ブレーキディスクと、前記左ブレーキディスクに制動力を付与する左ブレーキキャリパと、を有して、前記左前輪に制動力を付与可能な左制動装置と、を有し、 前記条件(A)は、前記右下規制部が、前記右車軸線の方向から見て、前記右ブレーキディスクの外縁より内方に位置することを含み、 前記条件(B)は、前記左下規制部が、前記左車軸線の方向から見て、前記左ブレーキディスクの外縁より内方に位置することを含んでもよい。

(8)の構成に係る車両によれば、変形が抑制されている右センサワイヤのうちの右車輪速センサから右下規制部の部位が、右車軸線の方向から見て、右前輪の右ブレーキディスクの外縁より内方に設けられている。このように右下規制部が右車輪速センサの近くで右センサワイヤの変形を抑制しているため、右センサワイヤを安定して保持できる。

(9)上記本発明に係る車両において、 前記条件(A)は、 前記右センサワイヤは、前記右下規制部と、前記右下規制部より上流側に設けられた右中規制部と、前記右中規制部より上流側に設けられた右上規制部と、により、その変形が規制されており、 前記右中規制部は、前記右前アウタチューブ、前記右後アウタチューブ、または前記右前アウタチューブと前記右後アウタチューブとともに変位する部材に固定されており、 前記右上規制部は、前記車体フレームに固定されている、ことを含み、 前記条件(B)は、 前記左センサワイヤは、前記左下規制部と、前記左下規制部より上流側に設けられた左中規制部と、前記左中規制部より上流側に設けられた左上規制部と、により、その変形が規制されており、 前記左中規制部は、前記左前アウタチューブ、前記左後アウタチューブ、または前記左前アウタチューブと前記左後アウタチューブとともに変位する部材に固定されており、 前記左上規制部は、前記車体フレームに固定されている、ことを含んでもよい。

(9)の構成に係る車両によれば、右センサワイヤは、右下規制部と右中規制部との間の部位が変形することにより、右緩衝装置の作動に伴うECUと右車輪速センサの間の距離の変化を許容する。右センサワイヤは、右中規制部と右上規制部との間の部位が変形することにより、車両のリーン動作に伴うECUと右車輪速センサの間の距離の変化と、車両の操舵動作に伴うECUと右車輪速センサの間の距離の変化と、を許容する。それぞれの部位に変形を役割分担させているため、右センサワイヤの各々の箇所の変形を許容する空間を大きく確保する必要がなく、車両をコンパクトに構成できる。

(10)上記本発明に係る車両において、 前記条件(A)は、前記右車輪速センサが、前記右車軸線の方向から見て、右車軸部材より上方に位置することを含み、 前記条件(B)は、前記左車輪速センサが、前記左車軸線の方向から見て、左車軸部材より上方に位置することを含んでもよい。

(10)の構成に係る車両によれば、右車軸部材により、下方から跳ね上げられる石や泥、水などから、右車輪速センサを保護できる。

(11)上記本発明に係る車両において、 前記右前輪とともに回転する右ブレーキディスクと、前記右ブレーキディスクに制動力を付与する右ブレーキキャリパと、を有して、前記右前輪に制動力を付与可能な右制動装置と、 前記左前輪とともに回転する左ブレーキディスクと、前記左ブレーキディスクに制動力を付与する左ブレーキキャリパと、を有して、前記左前輪に制動力を付与可能な左制動装置と、を有し、 前記条件(A)は、前記右車輪速センサが、前記車両の正面視で、前記右前インナチューブの中心線より前記右ブレーキディスクの近くに位置することを含み、 前記条件(B)は、前記左車輪速センサが、前記車両の正面視で、前記左前インナチューブの中心線より前記左ブレーキディスクの近くに位置することを含んでもよい。

(11)の構成に係る車両によれば、右前インナチューブと右ブレーキディスクとの間に挟まれた空間には、前方から跳ね上げられた石などが侵入しにくい。このため、右車輪速センサを前方から跳ね上げられる石などから保護しやすい。

(12)上記本発明に係る車両において、 前記右前輪とともに回転する右ブレーキディスクと、前記右ブレーキディスクに制動力を付与する右ブレーキキャリパと、を有して、前記右前輪に制動力を付与可能な右制動装置と、 前記左前輪とともに回転する左ブレーキディスクと、前記左ブレーキディスクに制動力を付与する左ブレーキキャリパと、を有して、前記左前輪に制動力を付与可能な左制動装置と、を有し、 前記条件(A)は、前記右センサワイヤの少なくとも一部が、前記車両の正面視で、前記右前インナチューブの中心線より前記右ブレーキディスクの近くに位置することを含み、 前記条件(B)は、前記左センサワイヤの少なくとも一部が、前記車両の正面視で、前記左前インナチューブの中心線より前記左ブレーキディスクの近くに位置することを含んでもよい。

(12)の構成に係る車両によれば、右前インナチューブと右ブレーキディスクとの間に挟まれた空間には、前方から跳ね上げられた石が侵入しにくい。このため、右センサワイヤを前方から跳ね上げられる石から保護しやすい。

(13)上記本発明に係る車両において、 前記右前輪とともに回転する右ブレーキディスクと、前記右ブレーキディスクに制動力を付与する右ブレーキキャリパと、を有して、前記右前輪に制動力を付与可能な右制動装置と、 前記左前輪とともに回転する左ブレーキディスクと、前記左ブレーキディスクに制動力を付与する左ブレーキキャリパと、を有して、前記左前輪に制動力を付与可能な左制動装置と、を有し、 前記条件(A)は、 前記右車軸線の方向から見て、前記右ブレーキディスクの外縁より内方で、前記右車輪速センサの前記右センサハウジングに右ワイヤ取出し口が設けられており、 前記車両の正面視で、前記右センサワイヤの少なくとも一部が、前記右ワイヤ取出し口よりも前記右ブレーキディスクに近い位置を通って上方に延びている、ことを含み、 前記条件(B)は、 前記左車軸線の方向から見て、前記左ブレーキディスクの外縁より内方で、前記左車輪速センサの前記左センサハウジングに左ワイヤ取出し口が設けられており、 前記車両の正面視で、前記左センサワイヤの少なくとも一部が、前記左ワイヤ取出し口よりも前記左ブレーキディスクに近い位置を通って上方に延びている、ことを含んでもよい。

(13)の構成に係る車両によれば、右車輪速センサにおいて、右ワイヤ取出し口は右車輪速検出部よりも右ブレーキディスクから遠くに設けられている。右センサワイヤを、右ワイヤ取出し口からまっすぐ上方に延ばしてしまうと、右センサワイヤが右前アウタチューブや右後アウタチューブと干渉する恐れがある。そこで、右ワイヤ取出し口よりも右ブレーキディスクに近い側には、右車輪速検出部を設けるための空間があるため、該空間を使って右ワイヤ取出し口から延びる右センサワイヤを右ブレーキディスクの近くを通して上方に延ばすことができる。これにより、もともと存在していた空間を使って車両を大型化させることなく、右センサワイヤの右前アウタチューブや右後アウタチューブとの干渉を抑制することができる。

(14)上記本発明に係る車両において、 前記条件(A)は、 直立状態かつ無転舵状態の前記車両の正面視で、前記右車輪速センサの少なくとも一部が前記右前インナチューブと重なっていることを含み、 前記条件(B)は、 直立状態かつ無転舵状態の前記車両の正面視で、前記左車輪速センサの少なくとも一部が前記左前インナチューブと重なっていることを含んでいてもよい。

(14)の構成に係る車両によれば、車両の正面視において、右車輪速センサの少なくとも一部が右前インナチューブと重なっているので、右車軸線方向について車両をコンパクトに構成できる。

本発明の実施形態に係る車両の全体を左方から見た側面図である。

図1の車両の前部を示す正面図である。

左緩衝装置および左前輪を示す側面図である。

図1の車両の前部を示す平面図である。

転舵時における図1の車両の前部を示す平面図である。

傾斜時における図1の車両の前部を示す正面図である。

傾斜および転舵時における図1の車両の前部を示す正面図である。

無転舵状態の車両において、左車軸線方向の左方から左緩衝装置を見た図である。

本発明の第一実施形態に係る車両の左緩衝装置を示す図である。

本発明の第二実施形態に係る車両の左緩衝装置を示す図である。

本発明の第三実施形態に係る車両の左緩衝装置を示す図である。

本発明の第四実施形態に係る車両の左緩衝装置を示す図である。

添付の図面を参照しつつ、好ましい実施形態の例について以下詳細に説明する。

添付の図面において、矢印Fは、車両の前方向を示している。矢印Bは、車両の後方向を示している。矢印Uは、車両の上方向を示している。矢印Dは、車両の下方向を示している。矢印Rは、車両の右方向を示している。矢印Lは、車両の左方向を示している。

車両は、車体フレームを鉛直方向に対して車両の左右方向に傾斜させて旋回する。そこで車両を基準とした方向に加え、車体フレームを基準とした方向が定められる。添付の図面において、矢印FFは、車体フレームの前方向を示している。矢印FBは、車体フレームの後方向を示している。矢印FUは、車体フレームの上方向を示している。矢印FDは、車体フレームの下方向を示している。矢印FRは、車体フレームの右方向を示している。矢印FLは、車体フレームの左方向を示している。

本明細書において、「車体フレームの前後方向」、「車体フレームの左右方向」、および「車体フレームの上下方向」とは、車両を運転する乗員から見て、車体フレームを基準とした前後方向、左右方向、および上下方向を意味する。「車体フレームの側方」とは、車体フレームの右方向あるいは左方向を意味している。

本明細書において、「車体フレームの前後方向に延びる」とは、車体フレームの前後方向に対して傾いて延びることを含み、車体フレームの左右方向および上下方向と比較して、車体フレームの前後方向に近い傾きで延びることを意味する。

本明細書において、「車体フレームの左右方向に延びる」とは、車体フレームの左右方向に対して傾いて延びることを含み、車体フレームの前後方向および上下方向と比較して、車体フレームの左右方向に近い傾きで延びることを意味する。

本明細書において、「車体フレームの上下方向に延びる」とは、車体フレームの上下方向に対して傾いて延びることを含み、車体フレームの前後方向および左右方向と比較して、車体フレームの上下方向に近い傾きで延びることを意味する。

本明細書において、「車両の直立状態」とは、無転舵状態かつ車体フレームの上下方向が鉛直方向と一致している状態を意味する。この状態においては、車両を基準にした方向と車両フレームを基準にした方向は一致する。車体フレームを鉛直方向に対して左右方向に傾斜させて旋回しているときは、車両の左右方向と車体フレームの左右方向は一致しない。また車両の上下方向と車体フレームの上下方向も一致しない。しかしながら、車両の前後方向と車体フレームの前後方向は一致する。

本明細書において、「回転」とは、部材が中心軸線回りに360度以上の度に変位することを言う。本明細書において、「回動」とは、部材が中心軸線回りに360度未満の角度で変位することを言う。

図1から図7を参照しつつ、一実施形態に係る車両1について説明する。車両1は、動力源から発生する動力により駆動され、傾斜可能な車体フレームと、その車体フレームの左右方向に配置された2つの前輪を備える車両である。

図1は、車両1の全体を左方から見た左側面図である。車両1は、車両本体部2、左右一対の前輪3、後輪4、リンク機構5、および操舵力伝達機構6を備えている。

車両本体部2は、車体フレーム21、車体カバー22、シート24、およびエンジンユニット25を含んでいる。図1において、車両1は直立状態にある。図1を参照する以降の説明は、車両1の直立状態を前提にしている。

車体フレーム21は、車両1の前後方向に延びている。車体フレーム21は、ヘッドパイプ211(図4参照:後軸支持部の一例)と、リンク支持部212(図4参照:前軸支持部の一例)と、エンジン支持部213と、左フレーム91および右フレーム92を備えている。

ヘッドパイプ211は、後述する上流側ステアリングシャフト60を回動可能に支持している。ヘッドパイプ211は、車体フレーム21の上下方向に延びている。 リンク支持部212は、車両1の前後方向において、ヘッドパイプ211より前方に設けられている。リンク支持部212は、リンク機構5を回動可能に支持している。

エンジン支持部213は、車両1の前後方向において、ヘッドパイプ211より後方に設けられている。エンジン支持部213は、エンジンユニット25を支持している。エンジンユニット25は、後輪4を揺動可能に支持している。エンジンユニット25は、エンジン、電動モータ、バッテリなどの動力源や、トランスミッションなどの装置を備えている。動力源は、車両1を駆動する力を生成する。

右フレーム92は、車両の左右方向について、左フレーム91より右方に設けられている。右フレーム92と左フレーム91は、およそ左右対称の形状である。左フレーム91および右フレーム92は、ヘッドパイプ211、リンク支持部212、エンジン支持部213を連結している。

車体カバー22は、フロントカバー221、左右一対のフロントフェンダー223およびリアフェンダー224を含んでいる。車体カバー22は、左右一対の前輪3、車体フレーム21、リンク機構5などの車両1に搭載される車体部品の少なくとも一部を覆う車体部品である。

フロントカバー221は、シート24より前方に配置されている。フロントカバー221は、リンク機構5と操舵力伝達機構6の少なくとも一部を覆っている。

左右一対のフロントフェンダー223の少なくとも一部は、フロントカバー221の下方にそれぞれ配置されている。左右一対のフロントフェンダー223の少なくとも一部は、左右一対の前輪3の上方にそれぞれ配置されている。

リアフェンダー224の少なくとも一部は、後輪4の上方に配置されている。

左右一対の前輪3の少なくとも一部は、フロントカバー221の下方に配置されている。

後輪4の少なくとも一部は、シート24より下方に配置されている。後輪4の少なくとも一部は、リアフェンダー224の下方に配置されている。

図2は、車両1の前部を車体フレーム21の前方から見た正面図である。図2において、車両1は直立状態にある。図2を参照する以降の説明は、車両1の直立状態を前提にしている。図2においては、破線で示すフロントカバー221を透視した状態における車両1の前部を示している。

左右一対の前輪3は、左前輪31と右前輪32を含んでいる。左前輪31と右前輪32は、車体フレーム21の左右方向に並んで設けられている。右前輪32は、左前輪31より車体フレーム21の右方に設けられている。

車両1は、左緩衝装置33、右緩衝装置34、左ブラケット317、および右ブラケット327を含んでいる。

図3は、左緩衝装置33および左前輪31を示す側面図である。なお、右緩衝装置34は、左緩衝装置33と左右対称の構造を有しているため、図3に右緩衝装置34を示す符号も合わせて書き込んである。 図3に示すように、左緩衝装置33は、いわゆるテレスコピック式の緩衝装置である。左緩衝装置33は、左前テレスコピック要素331と、左後テレスコピック要素332と、左インナ連結要素337を有している。

左前テレスコピック要素331は、左前アウタチューブ333と左前インナチューブ334とを有している。左前インナチューブ334の下部は、左インナ連結要素337に連結されている。左前インナチューブ334の上部が、左前アウタチューブ333に挿入されている。左前アウタチューブ333の上部は、左ブラケット317に連結されている。左前インナチューブ334は、左前アウタチューブ333に対して、車体フレーム21の上下方向に延びる左伸縮軸線cに沿って相対的に変位する。左前テレスコピック要素331は、左前インナチューブ334の左前アウタチューブ333に対する左伸縮軸線cに沿った相対変位により、左伸縮軸線c方向に伸縮可能である。左伸縮軸線cは、車体フレーム21の上下方向に対して若干傾いた方向に延びている。

左後テレスコピック要素332の少なくとも一部は、左前テレスコピック要素331より後方に設けられている。左後テレスコピック要素332は、左後アウタチューブ335と左後インナチューブ336とを有している。左後アウタチューブ335と左前アウタチューブ333は互いに移動不可能に連結されている。 左後インナチューブ336の下部は、左インナ連結要素337に連結されている。左後インナチューブ336の上部が、左後アウタチューブ335に挿入されている。左後アウタチューブ335の上部は、左ブラケット317に連結されている。 左後インナチューブ336は、左後アウタチューブ335に対して、車体フレーム21の上下方向に延びる左伸縮軸線cに沿って相対的に変位する。左後テレスコピック要素332は、左後インナチューブ336の左後アウタチューブ335に対する左伸縮軸線cに沿った相対変位により、左伸縮軸線c方向に伸縮可能である。

左インナ連結要素337は、左前輪31の左車軸部材311を回転可能に支持している。左インナ連結要素337は、左前インナチューブ334の下部と左後インナチューブ336の下部とを連結している。

左緩衝装置33は、左前テレスコピック要素331の伸縮動作および左後テレスコピック要素332の伸縮動作により、左前アウタチューブ333および左後アウタチューブ335に対する左前輪31の左伸縮軸線c方向に沿った変位を緩衝する。

図3に示すように、右緩衝装置34は、いわゆるテレスコピック式の緩衝装置である。右緩衝装置34は、右前テレスコピック要素341と、右後テレスコピック要素342と、右インナ連結要素347を有している。

右前テレスコピック要素341は、右前アウタチューブ343と右前インナチューブ344とを有している。右前インナチューブ344の下部は、右インナ連結要素347に連結されている。右前インナチューブ344の上部が、右前アウタチューブ343に挿入されている。右前アウタチューブ343の上部は、右ブラケット327に連結されている。右前インナチューブ344は、右前アウタチューブ343に対して、車体フレーム21の上下方向に延びる右伸縮軸線dに沿って相対的に変位する。右前テレスコピック要素341は、右前インナチューブ344の右前アウタチューブ343に対する右伸縮軸線dに沿った相対変位により、右伸縮軸線d方向に伸縮可能である。右伸縮軸線dは、車体フレーム21の上下方向に対して若干傾いた方向に延びている。

右後テレスコピック要素342の少なくとも一部は、右前テレスコピック要素341より後方に設けられている。右後テレスコピック要素342は、右後アウタチューブ345と右後インナチューブ346とを有している。右後アウタチューブ345と右前アウタチューブ343は互いに移動不可能に連結されている。 右後インナチューブ346の下部は、右インナ連結要素347に連結されている。右後インナチューブ346の上部が、右後アウタチューブ345に挿入されている。右後アウタチューブ345の上部は、右ブラケット327に連結されている。 右後インナチューブ346は、右後アウタチューブ345に対して、車体フレーム21の上下方向に延びる右伸縮軸線dに沿って相対的に変位する。右後テレスコピック要素342は、右後インナチューブ346の右後アウタチューブ345に対する右伸縮軸線dに沿った相対変位により、右伸縮軸線d方向に伸縮可能である。

右インナ連結要素347は、右前輪32の右車軸部材321を回転可能に支持している。右インナ連結要素347は、右前インナチューブ344の下部と右後インナチューブ346の下部とを連結している。

右緩衝装置34は、右前テレスコピック要素341の伸縮動作および右後テレスコピック要素342の伸縮動作により、右前アウタチューブ343および右後アウタチューブ345に対する右前輪32の右伸縮軸線d方向に沿った変位を緩衝する。

図4に示すように、車両1は、操舵力伝達機構6を含んでいる。操舵力伝達機構6は、ハンドルバー23(操舵力入力部の一例)と、上流側ステアリングシャフト60(後軸部材の一例)と、連結部材80と、下流側ステアリングシャフト68(前軸部材の一例)とを備えている。

車体フレーム21は、上流側ステアリングシャフト60を回動可能に支持するヘッドパイプ211と、下流側ステアリングシャフト68を回動可能に支持するリンク支持部212を備えている。リンク支持部212は、図2に示すように、車体フレーム21の上下方向に延びる中間中心軸線Zの方向に延びている。なお、本実施形態においては、ハンドルバー23の回動中心(中央操舵軸線)と、上流側ステアリングシャフトの回動中心(後軸線)とは一致している。

ハンドルバー23には、操舵力が入力される。上流側ステアリングシャフト60は、ハンドルバー23に連結されている。上流側ステアリングシャフト60の上部は、上流側ステアリングシャフト60の下部よりも、車体フレーム21の前後方向において後方に位置している。上流側ステアリングシャフト60は、ヘッドパイプ211に回動可能に支持されている。

連結部材80は、上流側ステアリングシャフト60と下流側ステアリングシャフト68とに連結されている。連結部材80は、上流側ステアリングシャフト60の回動に応じて変位する。連結部材80は、上流側ステアリングシャフト60の回動を下流側ステアリングシャフト68に伝達する。

下流側ステアリングシャフト68は、リンク支持部212に回動可能に支持されている。下流側ステアリングシャフト68は、連結部材80に連結されている。下流側ステアリングシャフト68は、車体フレーム21の前後方向において、上流側ステアリングシャフト60より前方に設けられている。下流側ステアリングシャフト68は、連結部材80の変位に応じて回動する。下流側ステアリングシャフト68が回動することにより、タイロッド67を介して左前輪31および右前輪32が転舵される。

操舵力伝達機構6は、乗員がハンドルバー23を操作する操舵力を、左ブラケット317と右ブラケット327に伝達する。具体的な構成については、後に詳述する。

本実施形態に係る車両1においては、平行四節リンク(パラレログラムリンクとも呼ばれる)方式のリンク機構5を採用している。

図2に示すように、リンク機構5は、左前輪31と右前輪32より上方に配置されている。リンク機構5は、上クロス部材51、下クロス部材52、左サイド部材53、および右サイド部材54を含んでいる。リンク機構5は、中間中心軸線Zの方向に延びるリンク支持部212に回動可能に支持されている。リンク機構5は、ハンドルバー23の操作により上流側ステアリングシャフト60が回動されても、この上流側ステアリングシャフト60の回動につられては回動しない。

上クロス部材51は、板状部材512を含んでいる。板状部材512は、リンク支持部212より前方に配置されている。板状部材512は、車体フレーム21の左右方向に延びている。

上クロス部材51の中間部は、連結部Cによってリンク支持部212に連結されている。上クロス部材51は、連結部Cを通り車体フレーム21の前後方向に延びる中間上軸線Mを中心に、リンク支持部212に対して回動可能である。

上クロス部材51の左端部は、連結部Aによって左サイド部材53に連結されている。上クロス部材51は、連結部Aを通り車体フレーム21の前後方向に延びる左上軸線を中心に、左サイド部材53に対して回動可能である。

上クロス部材51の右端部は、連結部Eによって右サイド部材54に連結されている。上クロス部材51は、連結部Eを通り車体フレーム21の前後方向に延びる右上軸線を中心に、右サイド部材54に対して回動可能である。

図4は、車両1の前部を車体フレーム21の上方から見た平面図である。図4において、車両1は直立状態にある。図4を参照する以降の説明は、車両1の直立状態を前提にしている。

図4に示すように、下クロス部材52は、前板状部材522aと後板状部材522bを含んでいる。前板状部材522aは、リンク支持部212より前方に配置されている。後板状部材522bは、リンク支持部212より後方に配置されている。前板状部材522aと後板状部材522bは、車体フレーム21の左右方向に延びている。前板状部材522aと後板状部材522bは、左連結ブロック523aと右連結ブロック523bにより連結されている。左連結ブロック523aは、リンク支持部212より左方に配置されている。右連結ブロック523bは、リンク支持部212より右方に配置されている。

図2に戻り、下クロス部材52は、上クロス部材51より下方に配置されている。下クロス部材52は、上クロス部材51と平行に延びている。下クロス部材52の中間部は、連結部Iによってリンク支持部212に連結されている。下クロス部材52は、連結部Iを通り車体フレーム21の前後方向に延びる中間下軸線を中心に回動可能である。

下クロス部材52の左端部は、連結部Gによって左サイド部材53に連結されている。下クロス部材52は、連結部Gを通り車体フレーム21の前後方向に延びる左下軸線を中心に回動可能である。

下クロス部材52の右端部は、連結部Hによって右サイド部材54に連結されている。下クロス部材52は、連結部Hを通り車体フレーム21の前後方向に延びる右下軸線を中心に回動可能である。上クロス部材51の連結部Eから連結部Aまでの長さと、下クロス部材の連結部Hから連結部Gまでの長さは略等しい。

中間上軸線M、右上軸線、左上軸線、中間下軸線、右下軸線、および左下軸線は、互いに平行に延びている。中間上軸線M、右上軸線、左上軸線、中間下軸線、右下軸線、および左下軸線は、左前輪31と右前輪32より上方に配置されている。

図2と図4に示すように、左サイド部材53は、リンク支持部212より左方に配置されている。左サイド部材53は、左前輪31より上方に配置されている。左サイド部材53は、リンク支持部212の中間中心軸線Zと平行に延びている。左サイド部材53の上部は、その下部より後方に配置されている。

左サイド部材53の下部は、左ブラケット317に接続されている。左ブラケット317は、左サイド部材53に対して、左中心軸線Xを中心に回動可能である。左中心軸線Xは、リンク支持部212の中間中心軸線Zと平行に延びている。

図2と図4に示すように、右サイド部材54は、リンク支持部212より右方に配置されている。右サイド部材54は、右前輪32より上方に配置されている。右サイド部材54は、リンク支持部212の中間中心軸線Zと平行に延びている。右サイド部材54の上部は、その下部より後方に配置されている。

右サイド部材54の下部は、右ブラケット327に接続されている。右ブラケット327は、右サイド部材54に対して、右中心軸線Yを中心に回動可能である。右中心軸線Yは、リンク支持部212の中間中心軸線Zと平行に延びている。

以上説明したように、上クロス部材51、下クロス部材52、左サイド部材53、および右サイド部材54は、上クロス部材51と下クロス部材52が相互に平行な姿勢を保ち、左サイド部材53と右サイド部材54が相互に平行な姿勢を保つように、リンク支持部212に支持されている。

図2と図4に示すように、操舵力伝達機構6は、中間伝達プレート61、左伝達プレート62、右伝達プレート63、中間ジョイント64、左ジョイント65、右ジョイント66、およびタイロッド67を含んでいる。

中間伝達プレート61は、下流側ステアリングシャフト68の下部に接続されている。中間伝達プレート61は、下流側ステアリングシャフト68に対して相対回動不能である。中間伝達プレート61は、リンク支持部212に対して、中間中心軸線Z回りに回動可能である。

左伝達プレート62は、中間伝達プレート61より左方に配置されている。左伝達プレート62は、左ブラケット317に接続されている。左伝達プレート62は、左ブラケット317に対して相対回動不能である。左伝達プレート62は、左サイド部材53に対して、左中心軸線Xを中心に回動可能である。

右伝達プレート63は、中間伝達プレート61より右方に配置されている。右伝達プレート63は、右ブラケット327に接続されている。右伝達プレート63は、右ブラケット327に対して相対回動不能である。右伝達プレート63は、右サイド部材54に対して、右中心軸線Yを中心に回動可能である。

図4に示すように、中間ジョイント64は、車体フレーム21の上下方向に延びる軸部を介して中間伝達プレート61の前部に連結されている。中間伝達プレート61と中間ジョイント64は、当該軸部を中心として相対回動可能とされている。

左ジョイント65は、中間ジョイント64の左方に配置されている。左ジョイント65は、車体フレームの上下方向に延びる軸部を介して左伝達プレート62の前部に連結されている。左伝達プレート62と左ジョイント65は、当該軸部を中心として相対回動可能とされている。

右ジョイント66は、中間ジョイント64の右方に配置されている。右ジョイント66は、車体フレームの上下方向に延びる軸部を介して右伝達プレート63の前部に連結されている。右伝達プレート63と右ジョイント66は、当該軸部を中心として相対回動可能とされている。

中間ジョイント64の前部には、車体フレーム21の前後方向に延びる軸部が設けられている。左ジョイント65の前部には、車体フレーム21の前後方向に延びる軸部が設けられている。右ジョイント66の前部には、車体フレーム21の前後方向に延びる軸部が設けられている。

タイロッド67は、車体フレーム21の左右方向に延びている。タイロッド67は、これらの軸部を介して、中間ジョイント64、左ジョイント65、および右ジョイント66に連結されている。タイロッド67と中間ジョイント64は、中間ジョイント64の前部に設けられた軸部を中心として相対回動可能とされている。タイロッド67と左ジョイント65は、左ジョイント65の前部に設けられた軸部を中心として相対回動可能とされている。タイロッド67と右ジョイント66は、右ジョイント66の前部に設けられた軸部を中心として相対回動可能とされている。

次に図4と図5を参照しつつ、車両1の操舵動作について説明する。図5は、左前輪31と右前輪32を左転舵させた状態における車両1の前部を、車体フレーム21の上方から見た平面図である。図5においては、フロントカバー221を透視した状態を示している。

乗員がハンドルバー23を操作すると、上流側ステアリングシャフト60が回動する。上流側ステアリングシャフト60の回動は、連結部材80を介して下流側ステアリングシャフト68に伝達される。下流側ステアリングシャフト68は、前操舵軸線bを中心にリンク支持部212に対して回動する。図5に示す左転舵の場合、ハンドルバー23の操作に伴って、中間伝達プレート61は、リンク支持部212に対して、前操舵軸線bを中心に矢印Tの方向へ回動する。

中間伝達プレート61の矢印Tの方向への回動に伴って、タイロッド67の中間ジョイント64は、中間伝達プレート61に対して、矢印S方向に回動する。これにより、タイロッド67は、その姿勢を維持したまま左後方へ移動する。

タイロッド67の左後方への移動に伴って、タイロッド67の左ジョイント65と右ジョイント66は、それぞれ左伝達プレート62と右伝達プレート63に対して矢印S方向に回動する。これにより、タイロッド67はその姿勢を維持したまま、左伝達プレート62と右伝達プレート63が、矢印Tの方向に回動する。

左伝達プレート62が矢印Tの方向に回動すると、左伝達プレート62に対して相対回動不能である左ブラケット317が、左サイド部材53に対して、左中心軸線Xを中心に、矢印Tの方向に回動する。

右伝達プレート63が矢印Tの方向に回動すると、右伝達プレート63に対して相対回動不能である右ブラケット327が、右サイド部材54に対して、右中心軸線Yを中心に、矢印Tの方向に回動する。

左ブラケット317が矢印Tの方向に回動すると、左前アウタチューブ333および左後アウタチューブ335を介して左ブラケット317に接続されている左緩衝装置33が、左サイド部材53に対して、左中心軸線Xを中心に、矢印Tの方向に回動する。左緩衝装置33が矢印Tの方向に回動すると、左緩衝装置33に支持されている左前輪31が、左サイド部材53に対して、左中心軸線Xを中心に、矢印Tの方向に回動する。

右ブラケット327が矢印Tの方向に回動すると、右前アウタチューブ343および右後アウタチューブ345を介して右ブラケット327に接続されている右緩衝装置34が、右サイド部材54に対して、右中心軸線Yを中心に、矢印Tの方向に回動する。右緩衝装置34が矢印Tの方向に回動すると、右緩衝装置34に支持されている右前輪32が、右サイド部材54に対して、右中心軸線Yを中心に、矢印Tの方向に回動する。

右転舵するように乗員がハンドルバー23を操作すると、上述した各要素は、矢印Sの方向に回動あるいは回動する。各要素の動きは左右が逆になるのみであるため、詳細な説明は省略する。

以上説明したように、操舵力伝達機構6は、乗員によるハンドルバー23の操作に応じて、操舵力を左前輪31と右前輪32に伝達する。左前輪31と右前輪32は、それぞれ左中心軸線Xと右中心軸線Yを中心に、乗員によるハンドルバー23の操作方向に応じた方向に回動する。

次に図2と図6を参照しつつ、車両1の傾斜動作について説明する。図6は、車体フレーム21が車両1の左方に傾斜した状態における車両1の前部を、車体フレーム21の前方から見た正面図である。図6においては、破線で示すフロントカバー221を透視した状態を示している。

図2に示すように、車両1の直立状態においては、車体フレーム21の前方から車両1を見ると、リンク機構5は長方形状をなしている。図6に示すように、車両1が左方にリーンした状態においては、車体フレーム21の前方から車両1を見ると、リンク機構5は平行四辺形状をなしている。 リンク機構5の変形と車体フレーム21の車両1の左右方向への傾斜は連動する。リンク機構5の作動とは、リンク機構5を構成する上クロス部材51、下クロス部材52、左サイド部材53、および右サイド部材54が、それぞれの連結部A,C,E,G,H,Iを通る回動軸線を中心に相対回動し、リンク機構5の形状が変化することを意味している。

例えば図6に示すように、乗員が車両1を左方に傾斜させると、リンク支持部212が鉛直方向に対して左方に傾斜する。リンク支持部212が傾斜すると、上クロス部材51は、連結部Cを通る中間上軸線Mを中心に、リンク支持部212に対して、車両1の前方から見て反時計回りに回動する。同様に、下クロス部材52は、連結部Iを通る中間下軸線を中心に、リンク支持部212に対して、車両1の前方から見て反時計回りに回動する。これにより、上クロス部材51は、下クロス部材52に対して左方に移動する。

上クロス部材51の左方への移動に伴い、上クロス部材51は、連結部Aを通る左上軸線と連結部Eを通る右上軸線を中心に、それぞれ左サイド部材53と右サイド部材54に対して、車両1の前方から見て反時計回りに回動する。同様に、下クロス部材52は、連結部Gを通る左下軸線と連結部Hを通る右下軸線を中心に、それぞれ左サイド部材53と右サイド部材54に対して、車両1の前方から見て反時計回りに回動する。これにより、左サイド部材53と右サイド部材54は、リンク支持部212と平行な姿勢を保ったまま、鉛直方向に対して左方に傾斜する。

このとき下クロス部材52は、タイロッド67に対して左方に移動する。下クロス部材52の左方への移動に伴い、中間ジョイント64、左ジョイント65、および右ジョイント66の各前部に設けられた軸部がタイロッド67に対して回動する。これにより、タイロッド67は、上クロス部材51および下クロス部材52と平行な姿勢を保つ。

左サイド部材53の左方への傾斜に伴い、左サイド部材53に接続されている左ブラケット317が左方に傾斜する。左ブラケット317の左方への傾斜に伴い、左ブラケット317に接続されている左緩衝装置33が左方に傾斜する。左緩衝装置33の左方への傾斜に伴い、左緩衝装置33に支持されている左前輪31が、リンク支持部212と平行な姿勢を保ったまま左方に傾斜する。

右サイド部材54の左方への傾斜に伴い、右サイド部材54に接続されている右ブラケット327が左方に傾斜する。右ブラケット327の左方への傾斜に伴い、右ブラケット327に接続されている右緩衝装置34が左方に傾斜する。右緩衝装置34の左方への傾斜に伴い、右緩衝装置34に支持されている右前輪32が、リンク支持部212と平行な姿勢を保ったまま左方に傾斜する。

上記の左前輪31と右前輪32の傾斜動作に係る説明は、鉛直方向を基準としている。しかしながら、車両1の傾斜動作時(リンク機構5の作動時)においては、車体フレーム21の上下方向と鉛直上下方向は一致しない。車体フレーム21の上下方向を基準とした場合、リンク機構5の作動時において、左前輪31と右前輪32は、車体フレーム21に対する相対位置が変化している。換言すると、リンク機構5は、左前輪31と右前輪32の車体フレーム21に対する相対位置を、車体フレーム21の上下方向に変更することにより、車体フレーム21を鉛直方向に対して傾斜させる。

乗員が車両1を右方に傾斜させると、各要素は右方に傾斜する。各要素の動きは左右が逆になるのみであるため、詳細な説明は省略する。

図7は、車両1を傾斜させ、かつ転舵させた状態における車両前部の正面図である。車両1が左方に傾斜した状態で左方に転舵した状態を示している。操舵動作により左前輪31と右前輪32が左方に回動され、傾斜動作により左前輪31と右前輪32が車体フレーム21とともに左方に傾斜している。すなわち、この状態においては、リンク機構5は平行四辺形状を呈しており、タイロッド67は、車体フレーム21の直立状態における位置から左後方に移動している。

上述したように、本実施形態の車両1は、 右旋回時に車両1の右方に傾斜し、左旋回時に車両1の左方へ傾斜可能な車体フレーム21と、 右車軸線回りに回転可能な右前輪32と、 車体フレーム21の左右方向について右前輪32より左方に設けられ、左車軸線J回りに回転可能な左前輪31と、 下部で右前輪32を支持し、上部に対する右前輪32の相対変位を可能に支持する右緩衝装置34と、 下部で左前輪31を支持し、上部に対する左前輪31の相対変位を可能に支持する左緩衝装置33と、 車体フレーム21に回動可能に設けられ、右部で右緩衝装置34の上部を支持し、左部で左緩衝装置33の上部を支持し、車体フレーム21の上下方向について右前輪32および左前輪31の相対変位を可能に支持するリンク機構5と、を有する。

右緩衝装置34は、 車体フレーム21の上下方向に延びる右伸縮軸線の方向に延びる右前アウタチューブと、右前アウタチューブに挿入され右伸縮軸線の方向に延びて下端部が右前アウタチューブの下端部より下方に設けられた右前インナチューブと、を有する右前テレスコピック要素と、 車体フレーム21の前後方向について右前アウタチューブより後方に設けられ右伸縮軸線の方向に延びる右後アウタチューブと、右後アウタチューブに挿入され右伸縮軸線の方向に延びて下端部が右後アウタチューブの下端部より下方に設けられた右後インナチューブと、を有する右後テレスコピック要素と、 右前インナチューブの下部と右後インナチューブの下部とを連結する右インナ連結要素と、を有する。

左緩衝装置33は、 車体フレーム21の上下方向に延びる左伸縮軸線cの方向に延びる左前アウタチューブ333と、左前アウタチューブ333に挿入され左伸縮軸線cの方向に延びて下端部が左前アウタチューブ333の下端部より下方に設けられた左前インナチューブ334と、を有する左前テレスコピック要素331と、 車体フレーム21の前後方向について左前アウタチューブ333より後方に設けられ左伸縮軸線cの方向に延びる左後アウタチューブ335と、左後アウタチューブ335に挿入され左伸縮軸線cの方向に延びて下端部が左後アウタチューブ335の下端部より下方に設けられた左後インナチューブ336と、を有する左後テレスコピック要素332と、 左前インナチューブ334の下部と左後インナチューブ336の下部とを連結する左インナ連結要素337と、を有する。

次に、図8および図9を用いて左車輪速センサ40および左センサワイヤ84を詳細に説明する。なお、右車輪速センサおよび右センサワイヤも、左右対称形状であるため、その詳細な説明を省略する。 図8は、無転舵状態の車両1において、左車軸線J方向の左方から左緩衝装置33を見た図である。図8に示したように、車両1は、左前輪31に制動力を付与可能な左制動装置90を有している。左制動装置90は、左前輪31とともに回転する左ブレーキディスク94と、左ブレーキディスク94に制動力を付与する左ブレーキキャリパ95を備えている。左前輪31は、左車軸部材311と、左タイヤ312と、左ホイール313を備えている。

左ブレーキキャリパ95には、左ブレーキホース93が接続されている。左ブレーキホース93は、左ブレーキキャリパ95の上部から上方に向かって延びている。左ブレーキホース93は、図示せぬ車両1のマスターシリンダやABS制御を行う流体ユニットに接続されている。

左ブレーキキャリパ95は、左ブレーキディスク94を挟むように配置された一対の左ブレーキパッドを備えている。左ブレーキキャリパ95が動作すると、一対のブレーキパッドで左ブレーキディスク94を挟み込み、摩擦力を作用させる。これにより、左ブレーキキャリパ95は、左前輪31に対して制動力を作用させる。

図9は、左緩衝装置33を示す図である。図9の(a)は図8の拡大図である。図9の(b)は無転舵状態の車両1における左緩衝装置33の正面図である。 図9の(a)に示したように、左インナ連結要素337は、左前インナチューブ334の下部と左後インナチューブ336の下部とを一体に支持している。左インナ連結要素337には、左車軸支持部338が設けられている。左車軸支持部338は、左車軸部材311が貫通される貫通孔を備えている。

左インナ連結要素337は、左ブレーキキャリパ95が固定される左キャリパボス部339と、後述する左車輪速センサ40が固定される左センサステー部339aと、左ワイヤステー部339eとを備えている。左キャリパボス部339は、左インナ連結要素337の後部に設けられている。図9の(b)に示すように、左センサステー部339aは左インナ連結要素337の左前輪31(左ブレーキディスク94)側の部位に設けられている。左インナ連結要素337は、金属の鋳造で一体的に形成してもよいし、左キャリパボス部339や左センサステー部339aを別部品として構成しボルトなどで一体となるように連結して構成してもよい。

図9の(b)に示すように、左ブレーキディスク94には、左エンコーダ81が固定されている。左エンコーダ81は、複数の貫通孔が周方向に配列されたリング状の部材である。貫通孔はリング状の左エンコーダ81の軸方向に貫通している。

車両1は、左車輪速センサ40を有している。左車輪速センサ40は、左車輪速検出部82と、左車輪速検出部82を保持する左センサハウジング83を有している。 左車輪速検出部82は、左エンコーダ81に向かい合う位置に設けられている。左車輪速検出部82は、例えばホール素子(Hall device)で構成することができる。左車輪速検出部82は、左エンコーダ81の貫通孔の通過する数に応じて、左前輪31の回転数に応じた電気信号をECUに送信する。ECUは、この左車輪速検出部82から出力された電気信号から左前輪31の回転数を算出する。

左車輪速センサ40には、左センサワイヤ84が接続されている。左センサワイヤ84は、左車輪速センサ40と、ECU(Engine Control Unit)とを接続している。以降の説明において、ECUに近い側を左センサワイヤ84の上流側、左車輪速センサ40に近い側を下流側と呼ぶことがある。

左センサワイヤ84は、左下規制部85により変形が規制されている。左下規制部85は、例えば、左センサワイヤ84を挟むクリップ、左センサワイヤ84を内部に挿通させるチューブ部材、あるいは、左センサワイヤ84に掛け渡されたバンド部材などにより構成することができる。

図9の(a)は、左緩衝装置33が最大伸長状態のときの状態を示している。この状態において、左インナ連結要素337の上端と左前アウタチューブ333の下端との離間距離が最も大きくなり、左インナ連結要素337の上端と左後アウタチューブ335の下端との離間距離が最も大きくなっている。

図9の(a)に示したように、左下規制部85は、左緩衝装置33の動作時に左インナ連結要素337とともに相対移動する部材に設けられている。左下規制部85は、左ワイヤステー部339eに設けられている。左下規制部85は、左緩衝装置33の動作時に、少なくとも左前アウタチューブ333および左後アウタチューブ335との接触を抑制するように、左センサワイヤ84の変形を規制する。

左ワイヤステー部339eは、左伸縮軸線cの上下方向に延びる棒状の部位である。左ワイヤステー部339eは、左車軸線Jの方向から見て、左前インナチューブ334と左後インナチューブ336の間に位置している。左ワイヤステー部339eは、左センサステー部339aから上方に延びている。左ワイヤステー部339eの上端は、左緩衝装置33の最大伸長状態のときの左前アウタチューブ333の下端および左後アウタチューブ335の下端よりも上方に位置している。左下規制部85は、左緩衝装置33の最大伸長状態のときの左前アウタチューブ333の下端および左後アウタチューブ335の下端よりも上方で、左ワイヤステー部339eに固定されている。

つまり、左下規制部85は、左車軸線Jの方向から見て左車輪速センサ40よりも左伸縮軸線cの方向における上方で、左インナ連結要素337、または、左緩衝装置33の動作に伴い左前アウタチューブ333と左後アウタチューブ335に対して左インナ連結要素337とともに相対変位する部材(左ワイヤステー部339e)、に固定されている。

図9の(b)に示すように、直立状態かつ無転舵状態の車両1の正面視で左車輪速センサ40の少なくとも一部が左車軸線J方向について左前インナチューブ334の左前輪31と反対側(図においては左ブレーキディスク94と反対側)の外縁よりも左前輪31側に位置している。左車輪速センサ40の左縁は、直立状態かつ無転舵状態の車両1の正面視で、左前インナチューブ334の左縁より右方に位置している。図示の例においては、直立状態かつ無転舵状態の車両1において、左車輪速センサ40の右端は左前インナチューブ334の左端よりも右方に位置している。直立状態かつ無転舵状態の車両1において、左車輪速センサ40の少なくとも一部は正面視で左前インナチューブ334と重なっている。

図9の(a)に示すように、左車輪速センサ40は、左緩衝装置33が最大伸長状態のときに左前アウタチューブ333の後縁の下端と左後アウタチューブ335の前縁の下端を結ぶ左下仮想線分Vより下方に位置している。左センサワイヤ84は左車輪速センサ40から上方に延びている。左センサワイヤ84は、左車軸線Jの方向から見て、左下仮想線分Vに交差するように延びている。

また、左車輪速センサ40の少なくとも一部は、左車軸線Jの方向から見て左前インナチューブ334の後縁に沿った左前仮想線Nと左後インナチューブ336の前縁に沿った左後仮想線Qとの間に設けられている。また、左車輪速センサ40の少なくとも一部は、左車軸線Jの方向から見て左伸縮軸線cの上下方向について左緩衝装置33の下端より上方に位置している。図示の例では、左インナ連結要素337の下端部が左緩衝装置33の下端である。

つまり、上述したように、本実施形態に係る車両1は、以下の条件(B)を満たしている。 条件(B) 左緩衝装置33は、 左前輪31の車輪速を検出可能な左車輪速検出部82と、左車輪速検出部82を保持する左センサハウジング83とを有する、左車輪速センサ40と、 左車輪速センサ40から車体フレーム21に設けられたECU(Engine Control Unit)まで延びる左センサワイヤ84が、左緩衝装置33の動作時に、少なくとも左前アウタチューブ333および左後アウタチューブ335との接触を抑制するように左センサワイヤ84の変形を規制する左下規制部85と、を有し、 左下規制部85は、左車軸線Jの方向から見て左車輪速センサ40よりも左伸縮軸線cの方向における上方で、左インナ連結要素337、または、左緩衝装置33の動作に伴い左前アウタチューブ333と左後アウタチューブ335に対して左インナ連結要素337とともに相対変位する部材(左ワイヤステー部339e)、に固定されており、 左車輪速センサ40は、直立状態かつ無転舵状態の車両1の正面視でその少なくとも一部が左車軸線J方向について左前インナチューブ334の左前輪31の反対側の外縁よりも左前輪31側に位置し、かつ、左緩衝装置33が最大伸長状態のときに左前アウタチューブ333の後縁の下端と左後アウタチューブ335の前縁の下端を結ぶ左下仮想線分Vより下方に位置し、かつ、その少なくとも一部が左車軸線Jの方向から見て左前インナチューブ334の後縁に沿った左前仮想線Nと左後インナチューブ336の前縁に沿った左後仮想線Qとの間で、左インナ連結要素337に設けられており、 左センサワイヤ84は、左車軸線Jの方向から見て、左下仮想線分Vに交差するように延びている。

本実施形態に係る車両1において、条件(B)によれば、以下のような効果を有する。 左車輪速センサ40は、直立状態かつ無転舵状態の車両1の正面視でその少なくとも一部が左車軸線J方向について左前インナチューブ334の左前輪31の反対側の外縁よりも左前輪31側に位置している。つまり、左前インナチューブ334が、車両1の前方から飛来する石や泥、水などから左車輪速センサ40の少なくとも一部を保護することができる。

左車輪速センサ40の少なくとも一部は、左車軸線Jの方向から見て左前インナチューブ334の後縁に沿った左前仮想線Nと左後インナチューブ336の前縁に沿った左後仮想線Qとの間で、左インナ連結要素337に設けられている。

左緩衝装置33の動作時には、左インナ連結要素337は、左前アウタチューブ333および左後アウタチューブ335に対して相対変位する。左車輪速センサ40は左インナ連結要素337に設けられているので、左緩衝装置33の動作時には、左車輪速センサ40が左前アウタチューブ333および左後アウタチューブ335に対して干渉する恐れがある。

しかし、左車輪速センサ40の少なくとも一部は、左車軸線Jの方向から見て、左前仮想線Nと左後仮想線Qとの間に位置している。このため、以下に詳述するように、左車輪速センサ40と左前アウタチューブ333および左後アウタチューブ335との干渉が抑制されている。

左車輪速センサ40が、左前仮想線Nより後方に位置して左前アウタチューブ333の後縁に沿って延びる第二左前仮想線N1(図9の(a)参照)と、左後仮想線Qより前方に位置して左後アウタチューブ335の前縁に沿って延びる第二左後仮想線Q1との間に位置していれば、該左車輪速センサ40と左前アウタチューブ333および左後アウタチューブ335との干渉は生じにくい。

左車輪速センサ40が第二左前仮想線N1と左前仮想線Nとの間に位置している場合には、左車軸線Jの方向から見れば、左車輪速センサ40が左前アウタチューブ333と重なることが考えられ、干渉が生じる可能性がある。しかし、例えば、図9の(a)に示したように、車両1の正面視で、左車輪速センサ40を左前アウタチューブ333の中心線からずれた位置に配置することにより、干渉を容易に回避できる。つまり、左車輪速センサ40が第二左前仮想線N1と左前仮想線Nとの間に位置していても、該干渉を回避しやすいことを見出した。

同様に、左車輪速センサ40が第二左後仮想線Q1と左後仮想線Qとの間に位置している場合には、左車軸線Jの方向から見れば、左車輪速センサ40が左後アウタチューブ335と重なることが考えられ、干渉が生じる可能性がある。しかし、例えば、車両1の正面視で、左車輪速センサ40を左後アウタチューブ335の中心線からずれた位置に配置することにより、干渉を容易に回避できる。つまり、左車輪速センサ40が第二左後仮想線Q1と左後仮想線Qとの間に位置していても、該干渉を回避しやすいことを見出した。

つまり、左車軸線Jの方向から見て左前インナチューブ334の後縁に沿った左前仮想線Nと左後インナチューブ336の前縁に沿った左後仮想線Qとの間に、左車輪速センサ40の少なくとも一部が設けられていれば、干渉を回避しやすい。そこで、左車輪速センサ40の少なくとも一部を左前仮想線Nと左後仮想線Qとの間に配置することにより、干渉を回避しつつ左車輪速センサ40のレイアウトの自由度を高めることができた。

左センサワイヤ84は、左緩衝装置33に沿って上方に延びて、車体フレーム21に設けられたECUに接続される。条件(B)を満たす車両によれば、左車輪速センサ40が左車軸線Jの方向から見て左下仮想線分Vより下方に位置し、左下規制部85が左車軸線Jの方向から見て左車輪速センサ40より上方に設けられており、左センサワイヤ84が左前アウタチューブ333の後下端と左後アウタチューブ335の前下端を結ぶ左下仮想線分Vを交差するように延びているため、左下仮想線分Vより前方や後方を迂回して配索される場合と比べて、左前輪31の周辺について左センサワイヤ84を短く配線できる。

左伸縮軸線cの方向について左下仮想線分Vの下方の領域には、左緩衝装置33が動作すると、左前アウタチューブ333と左後アウタチューブ335が侵入するので、左センサワイヤ84が干渉する恐れがある。

しかし、左下規制部85が、左伸縮軸線cの方向について左下仮想線分Vより上方に位置している場合には、左下仮想線分Vの下方の領域に位置する左センサワイヤ84の部位は、左下規制部85により左センサワイヤ84の動きが規制されているので動きにくい。このため、左センサワイヤ84の該部位をあらかじめ左前アウタチューブ333や左後アウタチューブ335と干渉しないように配置しておけば、左緩衝装置33が動作しても左前アウタチューブ333や左後アウタチューブ335との干渉が生じにくい。

また、左下規制部85が、左伸縮軸線cの方向について左下仮想線分Vより下方に位置している場合には、左下仮想線分Vの下方の領域に位置する左センサワイヤ84の部位のうち、左車輪速センサ40から左下規制部85の部位は、動きが抑制されているので、該部位をあらかじめ左前アウタチューブ333や左後アウタチューブ335と干渉しないように配置しておけば、左緩衝装置33が動作しても左前アウタチューブ333や左後アウタチューブ335との干渉が生じにくい。 さらに、左下仮想線分Vの下方の領域に位置する左センサワイヤ84の部位のうち、左下規制部85の上流側(左車輪速センサ40と反対側)の部位は、左下規制部85が左車輪速センサ40より上方に位置しているので、左下規制部85を設けない場合と比べて、左下仮想線分Vの下方の領域において左前アウタチューブ333や左後アウタチューブ335との干渉が抑制されている。

このように、左下規制部85が、左伸縮軸線cの方向について左下仮想線分Vより上方に位置している場合、および、下方に位置している場合のいずれについても、左下規制部85を設けない場合と比べて、左センサワイヤ84が左前アウタチューブ333や左後アウタチューブ335と干渉することが抑制されている。 このように、条件(B)を満たせば、左センサワイヤ84や左車輪速センサ40を保護しつつ、他の部材との干渉を避けつつ、レイアウトの自由度を高めることができる。

なお、上述した実施形態では、左下規制部85を左ワイヤステー部339eに設けた例を説明したが、本発明はこれに限られない。左下規制部85は、左インナ連結要素337に直接設けてもよい。左下規制部85は、左緩衝装置33の動作時に、左インナ連結要素337とともに相対変位する部材に設けられていればよい。なお、上述した実施形態では、左下規制部85と左車輪速センサ40を別部品で構成した例を説明したが、本発明はこれに限られない。

また、本実施形態に係る車両1は、右車輪速センサと右センサワイヤと右下規制部が、左車輪速センサ40と左センサワイヤ84と左下規制部85と左右対称の構造を有している。このため、本実施形態に係る車両1は、以下の条件(A)を満たしている。

条件(A) 右緩衝装置は、 右前輪の車輪速を検出可能な右車輪速検出部と、右車輪速検出部を保持する右センサハウジングとを有する、右車輪速センサと、 右車輪速センサから車体フレームに設けられたECU(Engine Control Unit)まで延びる右センサワイヤが、右緩衝装置の動作時に、少なくとも右前アウタチューブおよび右後アウタチューブとの接触を抑制するように右センサワイヤの変形を規制する右下規制部と、を有し、 右下規制部は、右車軸線の方向から見て右車輪速センサよりも右伸縮軸線の方向における上方で、右インナ連結要素、または、右緩衝装置の動作に伴い右前アウタチューブと右後アウタチューブに対して右インナ連結要素とともに相対変位する部材、に固定されており、 右車輪速センサは、直立状態かつ無転舵状態の車両の正面視でその少なくとも一部が右車軸線方向について右前インナチューブの右前輪と反対側の外縁よりも右前輪側に位置し、かつ、右車軸線の方向から見て右緩衝装置が最大伸長状態のときに右前アウタチューブの後下端と右後アウタチューブの前下端を結ぶ右下仮想線分より下方に位置し、かつ、その少なくとも一部が右車軸線の方向から見て右前インナチューブの後縁に沿った右前仮想線と右後インナチューブの前縁に沿った右後仮想線との間で、右インナ連結要素、または、右緩衝装置の動作に伴い右前アウタチューブと右後アウタチューブに対して右インナ連結要素とともに相対変位する部材に設けられており、 右センサワイヤは、右車軸線の方向から見て、右下仮想線分に交差するように延びている。

本発明に係る車両1において、条件(A)によれば、以下のような効果を有する。 右車輪速センサは、直立状態かつ無転舵状態の車両の正面視でその少なくとも一部が右車軸線方向について右前インナチューブの右前輪と反対側の外縁よりも右前輪側に設けられている。つまり、右前インナチューブが、車両の前方から飛来する石や泥、水などから右車輪速センサの少なくとも一部を保護することができる。

右車輪速センサの少なくとも一部は、右車軸線の方向から見て右前インナチューブの後縁に沿った右前仮想線と右後インナチューブの前縁に沿った右後仮想線との間で、右インナ連結要素に設けられている。

右緩衝装置の動作時には、右インナ連結要素は、右前アウタチューブおよび右後アウタチューブに対して相対変位する。右車輪速センサは右インナ連結要素に設けられているので、右緩衝装置の動作時には、右車輪速センサが右前アウタチューブおよび右後アウタチューブに対して干渉する恐れがある。

しかし、右車輪速センサの少なくとも一部は、右車軸線の方向から見て、右前仮想線と右後仮想線との間に位置している。このため、以下に詳述するように、右車輪速センサと右前アウタチューブおよび右後アウタチューブとの干渉が抑制されている。

右車輪速センサが、右前仮想線より後方に位置して右前アウタチューブの後縁に沿って延びる第二右前仮想線と、右後仮想線より前方に位置して右後アウタチューブの前縁に沿って延びる第二右後仮想線との間に位置していれば、該右車輪速センサと右前アウタチューブおよび右後アウタチューブとの干渉は生じにくい。

右車輪速センサが第二右前仮想線と右前仮想線との間に位置している場合には、右車軸線の方向から見れば、右車輪速センサが右前アウタチューブと重なることが考えられ、干渉が生じる可能性がある。しかし、例えば、車両の正面視で、右車輪速センサを右前アウタチューブの中心線からずれた位置に配置することにより、干渉を容易に回避できる。つまり、右車輪速センサが第二右前仮想線と右前仮想線との間に位置していても、該干渉を回避しやすいことを見出した。

同様に、右車輪速センサが第二右後仮想線と右後仮想線との間に位置している場合には、右車軸線の方向から見れば、右車輪速センサが右後アウタチューブと重なることが考えられ、干渉が生じる可能性がある。しかし、例えば、車両の正面視で、右車輪速センサを右後アウタチューブの中心線からずれた位置に配置することにより、干渉を容易に回避できる。つまり、右車輪速センサが第二右後仮想線と右後仮想線との間に位置していても、該干渉を回避しやすいことを見出した。

つまり、右車軸線の方向から見て右前インナチューブの後縁に沿った右前仮想線と右後インナチューブの前縁に沿った右後仮想線との間に、右車輪速センサの少なくとも一部が設けられていれば、干渉を回避しやすい。そこで、右車輪速センサの少なくとも一部を右前仮想線と右後仮想線との間に配置することにより、干渉を回避しつつ右車輪速センサのレイアウトの自由度を高めることができた。

右センサワイヤは、右緩衝装置に沿って上方に延びて、車体フレームに設けられたECUに接続される。条件(A)を満たす車両によれば、右車輪速センサが右車軸線の方向から見て右下仮想線分より下方に位置し、右下規制部が右車軸線の方向から見て右車輪速センサより上方に設けられており、右センサワイヤが右前アウタチューブの後下端と右後アウタチューブの前下端を結ぶ右下仮想線分を交差するように延びているため、右下仮想線分より前方や後方を迂回して配索される場合と比べて、右前輪の周辺について右センサワイヤを短く配線できる。

右伸縮軸線の方向について右下仮想線分の下方の領域には、右緩衝装置が動作すると、右前アウタチューブと右後アウタチューブが侵入するので、右センサワイヤが干渉する恐れがある。

しかし、右下規制部が、右伸縮軸線の方向について右下仮想線分より上方に位置している場合には、右下仮想線分の下方の領域に位置する右センサワイヤの部位は、右下規制部により右センサワイヤの動きが規制されているので動きにくい。このため、右センサワイヤの該部位をあらかじめ右前アウタチューブや右後アウタチューブと干渉しないように配置しておけば、右緩衝装置が動作しても右前アウタチューブや右後アウタチューブとの干渉が生じにくい。

また、右下規制部が、右伸縮軸線の方向について右下仮想線分より下方に位置している場合には、右下仮想線分の下方の領域に位置する右センサワイヤの部位のうち、右車輪速センサから右下規制部の部位は、動きが抑制されているので、該部位をあらかじめ右前アウタチューブや右後アウタチューブと干渉しないように配置しておけば、右緩衝装置が動作しても右前アウタチューブや右後アウタチューブとの干渉が生じにくい。 さらに、右下仮想線分の下方の領域に位置する右センサワイヤの部位のうち、右下規制部の右車輪速センサと反対側(上流側)の部位は、右下規制部が右車輪速センサより上方に位置しているので、右下規制部を設けない場合と比べて、右下仮想線分の下方の領域において右前アウタチューブや右後アウタチューブとの干渉が抑制されている。

このように、右下規制部が、右伸縮軸線の方向について右下仮想線分より上方に位置している場合、および、下方に位置している場合のいずれについても、右下規制部を設けない場合と比べて、右センサワイヤが右前アウタチューブや右後アウタチューブと干渉することが抑制されている。 このように、条件(A)を満たせば、右センサワイヤや右車輪速センサを保護しつつ、他の部材との干渉を避けつつ、レイアウトの自由度を高めることができる。

また、上述した実施形態では、左車輪速センサ40、左センサワイヤ84や左下規制部85が右車輪速センサ、右センサワイヤや右下規制部と左右対称である例を説明したが、本発明は、これに限られない。これらの部材が、左右非対称の構造や配置であってもよい。左センサワイヤ84と右センサワイヤの配索が異なっていてもよい。あるいは、車両1が左車輪速センサ40、左センサワイヤ84と左下規制部85を持たず、右車輪速センサ、右センサワイヤと右下規制部を有していてもよい。あるいは、車両1が右車輪速センサ、右センサワイヤと右下規制部を持たず、左車輪速センサ40、左センサワイヤ84と左下規制部85を有していてもよい。

(2)上記本実施形態に係る車両1において、 条件(A)は、右下規制部が、右車軸線の方向から見て、右下仮想線分より上方に位置している、ことを含んでもよい。 条件(B)は、図9の(a)に示したように、左下規制部85が、左車軸線Jの方向から見て、左下仮想線分Vより上方に位置している、ことを含んでもよい。

(2)の構成によれば、左下規制部85が、左伸縮軸線cの方向について左下仮想線分Vより上方に位置している場合には、左下仮想線分Vの下方の領域に位置する左センサワイヤ84の部位は、左下規制部85により左センサワイヤ84の動きが規制されているので動きにくい。このため、左センサワイヤ84の該部位をあらかじめ左前アウタチューブ333や左後アウタチューブ335と干渉しないように配置しておけば、左緩衝装置33が動作しても左前アウタチューブ333や左後アウタチューブ335との干渉が生じにくい。

なお、以降の構成の効果の説明については、右側の部材は左側の部材と左右対称であり、右側の部材は左側の部材と同様の効果を奏するので、左側の部材についてのみ効果を説明する。

(4)上記本実施形態に係る車両1において、図9の(a)に示したように、 条件(A)は、右下規制部の少なくとも一部が、右車軸線の方向から見て右前仮想線と右後仮想線との間に位置していることを含んでもよい。 条件(B)は、左下規制部85の少なくとも一部が、左車軸線Jの方向から見て左前仮想線Nと左後仮想線Qとの間に位置していることを含んでもよい。

(4)の構成によれば、左車輪速センサ40の少なくとも一部は、左前仮想線Nと左後仮想線Qとの間に位置している。左下規制部85の少なくとも一部も、左前仮想線Nと左後仮想線Qとの間に位置することにより、左前輪31の周囲の配索について左車輪速センサ40と左下規制部85との間を結ぶ左センサワイヤ84を短くできる。これにより、左センサワイヤ84の左車輪速センサ40と左下規制部85との間の部位をさらに動きにくくし、他の部材との干渉を抑制できる。

(5)上記本実施形態に係る車両1において、図8に示すように、 条件(A)は、右下規制部が、右車軸線の方向から見て、右前輪の右ホイールの外縁より内方に位置していることを含んでもよい。 条件(B)は、左下規制部85が、左車軸線Jの方向から見て、左前輪31の左ホイール313の外縁より内方に位置していることを含んでもよい。

(5)の構成によれば、変形が抑制されている左センサワイヤ84のうちの左車輪速センサ40から左下規制部85の部位が、左車軸線の方向から見て、左前輪31の左ホイール313の外縁より内方に設けられている。左ホイール313の外縁とは、左ホイールリムの外縁のことである。このように左下規制部85が左車輪速センサ40の近くで左センサワイヤ84の変形を抑制しているため、左センサワイヤ84を安定して保持できる。

(6)上記本実施形態に係る車両1において、 右前輪とともに回転する右ブレーキディスクと、右ブレーキディスクに制動力を付与する右ブレーキキャリパと、を有して、右前輪に制動力を付与可能な右制動装置と、 左前輪31とともに回転する左ブレーキディスク94と、左ブレーキディスク94に制動力を付与する左ブレーキキャリパ95と、を有して、左前輪31に制動力を付与可能な左制動装置90と、を有している。

条件(A)は、右センサワイヤは、右車軸線の方向から見て、右下仮想線分より上方で右ブレーキキャリパから上方に延びる右ブレーキホースとともに右中間規制部により変位が規制されている、ことを含んでもよい。 条件(B)は、図8に示すように、左センサワイヤ84は、左車軸線Jの方向から見て、左下仮想線分Vより上方で左ブレーキキャリパ95から上方に延びる左ブレーキホース93とともに左中間規制部86により変形が規制されている、ことを含んでもよい。

(6)の構成によれば、左中間規制部86で左ブレーキホース93とともに左センサワイヤ84の変形を規制するため、剛性の高い左ブレーキホース93を使って左センサワイヤ84を配索できる。左センサワイヤ84と左ブレーキホース93を共通して拘束できるため、部品点数を削減できる。左センサワイヤ84を配索する空間と左ブレーキホース93を配索する空間を別々に用意する必要がないため、小さな空間に左センサワイヤ84と左ブレーキホース93を配索できる。

(7)上記本実施形態に係る車両1において、 右前輪とともに回転する右ブレーキディスクと、右ブレーキディスクに制動力を付与する右ブレーキキャリパと、を有して、右前輪に制動力を付与可能な右制動装置と、 左前輪31とともに回転する左ブレーキディスク94と、左ブレーキディスク94に制動力を付与する左ブレーキキャリパ95と、を有して、左前輪31に制動力を付与可能な左制動装置90と、を有している。

条件(A)は、右センサワイヤは、右車軸線の方向から見て、右下仮想線分より上方で右ブレーキキャリパから上方に延びる右ブレーキホースに設けられた右中間規制部により変位が規制されている、ことを含んでもよい。 条件(B)は、図8に示したように、左センサワイヤ84は、左車軸線Jの方向から見て、左下仮想線分Vより上方で左ブレーキキャリパ95から上方に延びる左ブレーキホース93に設けられた左中間規制部86により変形が規制されている、ことを含んでもよい。

(7)の構成によれば、剛性の高い左ブレーキホース93に左中間規制部86を設けて左センサワイヤ84を配索できる。左センサワイヤ84と左ブレーキホース93を共通して拘束できるため、部品点数を削減できる。左センサワイヤ84を配索する空間と左ブレーキホース93を配索する空間を別々に用意する必要がないため、小さな空間に左センサワイヤ84と左ブレーキホース93を配索できる。

(9)本実施形態において、 条件(A)は、 右センサワイヤは、右下規制部と、右下規制部より上流側に設けられた右中間規制部と、右中間規制部より上流側に設けられた右上規制部と、により、その変形が規制されており、 右中間規制部は、右前アウタチューブ、右後アウタチューブ、または右前アウタチューブと右後アウタチューブとともに変位する部材に固定されており、 右上規制部は、車体フレーム21に固定されている、ことを含んでもよい。

条件(B)は、図8に示すように、 左センサワイヤ84は、左下規制部85と、左下規制部85より上流側に設けられた左中間規制部86と、左中間規制部86より上流側に設けられた左上規制部87と、により、その変形が規制されており、 左中間規制部86は、左前アウタチューブ333、左後アウタチューブ335、または左前アウタチューブ333と左後アウタチューブ335とともに変位する部材に固定されており、 左上規制部87は、車体フレーム21(図示の例ではリンク支持部212)に固定されている、ことを含んでもよい。

(9)の構成によれば、左センサワイヤ84は、左下規制部85と左中間規制部86との間の部位が変形することにより、左緩衝装置33の作動に伴うECUと左車輪速センサ40の間の距離の変化を許容する。左センサワイヤ84は、左中間規制部86と左上規制部87との間の部位が変形することにより、車両1のリーン動作に伴うECUと左車輪速センサ40の間の距離の変化と、車両1の操舵動作に伴うECUと左車輪速センサ40の間の距離の変化と、を許容する。それぞれの部位に変形を役割分担させているため、左センサワイヤ84の各々の箇所の変形を許容する空間を大きく確保する必要がなく、車両1をコンパクトに構成できる。 なお、本実施形態では、左中間規制部86と左上規制部87との間では左センサワイヤ84をクランプしない例を説明したが、左中間規制部86と左上規制部87との間で左センサワイヤ84を更なる規制部により変形を規制してもよい。例えば、左第一規制部をタイロッド67に設けてもよい。これにより、左中間規制部86と左第一規制部との間で主に車両1の操舵動作に伴う左センサワイヤ84の変形を許容し、左第一規制部と左上規制部87との間で主に車両1のリーン動作に伴う左センサワイヤ84の変形を許容することができる。

(10)上記実施形態において、図9の(a)に示したように、 条件(A)は、右車輪速センサが、右車軸線の方向から見て、右車軸部材より上方に位置することを含んでもよい。 条件(B)は、左車輪速センサ40が、左車軸線Jの方向から見て、左車軸部材311より上方に位置することを含んでもよい。

(10)の構成によれば、左車輪速センサ40を、下方から跳ね上げられる石や泥、水などから、左車軸部材311や左車軸支持部338により保護できる。

(11)上記実施形態において、 右前輪とともに回転する右ブレーキディスクと、右ブレーキディスクに制動力を付与する右ブレーキキャリパと、を有して、右前輪に制動力を付与可能な右制動装置と、 左前輪31とともに回転する左ブレーキディスク94と、左ブレーキディスク94に制動力を付与する左ブレーキキャリパ95と、を有して、左前輪31に制動力を付与可能な左制動装置90と、を有している。

図9の(b)に示したように、 条件(A)は、右車輪速センサが、車両1の正面視で、右前インナチューブの中心線より右ブレーキディスクの近くに位置することを含んでもよい。 条件(B)は、左車輪速センサ40が、車両1の正面視で、左前インナチューブ334の中心線(左伸縮軸線c)より左ブレーキディスク94の近くに位置することを含んでもよい。 図示した例においては、左伸縮軸線cを左前インナチューブ334の中心を通る中心線として描いている。左車輪速センサ40の左端部は、左前インナチューブ334の左伸縮軸線cより左ブレーキディスク94の近くに位置している。

(11)の構成によれば、左前インナチューブ334と左ブレーキディスク94との間に挟まれた空間には、前方から跳ね上げられた石などが侵入しにくい。このため、左車輪速センサ40を前方から跳ね上げられる石などから保護しやすい。

(12)上記実施形態において、車両1は、 右前輪とともに回転する右ブレーキディスクと、右ブレーキディスクに制動力を付与する右ブレーキキャリパと、を有して、右前輪に制動力を付与可能な右制動装置と、 左前輪31とともに回転する左ブレーキディスク94と、左ブレーキディスク94に制動力を付与する左ブレーキキャリパ95と、を有して、左前輪31に制動力を付与可能な左制動装置90と、を有している。

条件(A)は、右センサワイヤの少なくとも一部が、車両1の正面視で、右前インナチューブの中心線より右ブレーキディスクの近くに位置することを含んでもよい。 図9の(b)に示したように、条件(B)は、左センサワイヤ84の少なくとも一部が、車両1の正面視で、左前インナチューブ334の中心線より左ブレーキディスク94の近くに位置することを含んでもよい。 図示した例においては、左前アウタチューブ333と左ブレーキディスク94との間を通る左センサワイヤ84の部位は、左前インナチューブ334の中心線より左ブレーキディスク94の近くに位置している。

(12)の構成によれば、左前インナチューブ334と左ブレーキディスク94との間に挟まれた空間には、前方から跳ね上げられた石などが侵入しにくい。このため、左センサワイヤ84を前方から跳ね上げられる石などから保護しやすい。

(13)上記実施形態において、車両1は、 右前輪とともに回転する右ブレーキディスクと、右ブレーキディスクに制動力を付与する右ブレーキキャリパと、を有して、右前輪に制動力を付与可能な右制動装置と、 左前輪31とともに回転する左ブレーキディスク94と、左ブレーキディスク94に制動力を付与する左ブレーキキャリパ95と、を有して、左前輪31に制動力を付与可能な左制動装置90と、を有している。

条件(A)は、 右車軸線の方向から見て、右ブレーキディスクの外縁より内方で、右車輪速センサの右センサハウジングに右ワイヤ取出し口が設けられており、 車両1の正面視で、右センサワイヤの少なくとも一部が、右ワイヤ取出し口よりも右ブレーキディスクに近い位置を通って上方に延びている、ことを含んでもよい。 条件(B)は、図9の(a)および(b)に示したように、 左車軸線Jの方向から見て、左ブレーキディスク94の外縁より内方で、左車輪速センサ40の左センサハウジング83に左ワイヤ取出し口89dが設けられており、 車両1の正面視で、左センサワイヤ84の少なくとも一部が、左ワイヤ取出し口89dよりも左ブレーキディスク94に近い位置を通って上方に延びている、ことを含んでもよい。

図示した例においては、図9の(a)に示すように、左車軸線Jの方向から見て、左ブレーキディスク94の外縁より内方で、左車輪速センサ40の左センサハウジング83に左ワイヤ取出し口89dが設けられている。また、図9の(b)に示すように、車両1の正面視で、左前アウタチューブ333と左ブレーキディスク94の間を通過する左センサワイヤ84の部分が、左ワイヤ取出し口89dよりも左ブレーキディスク94に近い位置を通って上方に延びている。

左車輪速センサ40は、ホール素子などの左車輪速検出部82と、左車輪速検出部82から出力される電気信号を増幅する基板と、端子部と、左ワイヤ取出し口89dと、左センサハウジング83を備えている。左車輪速検出部82は基板に機械的および電気的に接続されている。端子部は、基板に電気的に接続されている。端子部に左センサワイヤ84がハンダ付けされている。左車輪速検出部82で出力された電気信号は、基板で増幅されて、端子部を介して左センサワイヤ84に伝達される。

左車輪速検出部82、基板、端子部、左ワイヤ取出し口89dは、左ブレーキディスク94から離れる方向にこの順に配置されている。このため、左車軸線J方向について、左車輪速検出部82と左ワイヤ取出し口89dとの間にはある程度の離間距離があり、左車輪速センサ40は左車軸線J方向にある程度の大きさを有している。このように、左車輪速センサ40には、左ワイヤ取出し口89dよりも左ブレーキディスク994から近い側に左車輪速検出部82を設けるための空間が存在している。

そこで、本実施形態においては、左車輪速検出部82を設けるための空間を使って左ワイヤ取出し口89dから延びる左センサワイヤ84を左ブレーキディスク94の近くを通して上方に延ばすことができる。これにより、もともと存在していた空間を使って車両1を大型化させることなく、左センサワイヤ84の左前アウタチューブ333や左後アウタチューブ335との干渉を抑制することができる。

(14)上記本実施形態に係る車両において、 条件(A)は、 直立状態かつ無転舵状態の車両の正面視で、右車輪速センサの少なくとも一部が右前インナチューブと重なっていることを含み、 条件(B)は、 直立状態かつ無転舵状態の車両1の正面視で、左車輪速センサ40の少なくとも一部が左前インナチューブ334と重なっていることを含んでいてもよい。

(14)の構成に係る車両によれば、 直立状態かつ無転舵状態の車両1の正面視において、左車輪速センサ40の少なくとも一部が左前インナチューブ334と重なっているので、左車軸線J方向について車両1をコンパクトに構成できる。

なお、左車輪速センサ40、左センサワイヤ84、右車輪速センサ、右センサワイヤのレイアウトは、上記した第一実施形態に限られない。条件(A)および条件(B)の少なくとも一方を満たせば、そのレイアウトは第一実施形態に限られない。 図10から図12は、それぞれ、本発明の第二実施形態から第四実施形態に係る車両の左緩衝装置を示す図である。第二実施形態から第四実施形態に係る車両は、上記第一実施形態に係る車両1に対して、左車輪速センサ、左センサワイヤ、右車輪速センサ、右センサワイヤのレイアウトが異なっている。このため、第二実施形態から第四実施形態に係る車両について、上記第一実施形態と異なる点についてのみ、以下に説明する。

<第二実施形態> 図10は、本発明の第二実施形態に係る車両1001の左緩衝装置33を示す図である。本実施形態では、左下規制部1085が左ブレーキキャリパ95に設けられている。左下規制部1085は、左車軸線Jの方向から見て、左下仮想線分Vより下方に位置している。左下規制部1085は、左車軸線Jの方向から見て、左後仮想線Qよりも後方に位置している。左下規制部1085は、左車軸線Jの方向から見て、左後インナチューブ336よりも後方に位置している。左下規制部1085は、左車軸線Jの方向から見て、左後アウタチューブ335よりも後方に位置している。

左センサワイヤ1084は、左車輪速検出部1082から上方に延びている。左車輪速検出部82から上方に延びる左センサワイヤ1084は左下仮想線分Vを横切っている。左下仮想線分Vを横切った左センサワイヤ1084は、下方かつ後方に屈曲されて、左下仮想線分Vよりも下方に位置する左下規制部1085に拘束されている。左下規制部1085を通過した左センサワイヤ1084は、上方に延びている。

(3)上記本実施形態に係る車両1において、 条件(A)は、右下規制部が、右車軸線の方向から見て、右下仮想線分より下方に位置している、ことを含み、 条件(B)は、図10に示したように、左下規制部1085が、左車軸線Jの方向から見て、左下仮想線分Vより下方に位置している、ことを含んでもよい。

(3)の構成によれば、左下規制部1085が、左伸縮軸線cの方向について左下仮想線分Vより下方に位置している場合には、左下仮想線分Vの下方の領域に位置する左センサワイヤ1084の部位のうち、左車輪速センサ40から左下規制部85の部位は、動きが抑制されているので、該部位をあらかじめ左前アウタチューブ333や左後アウタチューブ335と干渉しないように配置しておけば、左緩衝装置33が動作しても左前アウタチューブ333や左後アウタチューブ335との干渉が生じにくい。

さらに、左下仮想線分Vの下方の領域に位置する左センサワイヤ1084の部位のうち、左下規制部1085の上流側の部位は、左下規制部1085が左車輪速センサ40より上方に位置しているので、左下規制部1085を設けない場合と比べて、左下仮想線分Vの下方の領域において左前アウタチューブ333や左後アウタチューブ335との干渉が抑制されている。 本実施形態においては、左下規制部1085は、左後アウタチューブ335よりも後方に位置している。このため、左センサワイヤ1084の左下規制部1085の上流側の部位は左後アウタチューブ335とより干渉しにくい。

(8)上記本実施形態に係る車両1001において、 右前輪とともに回転する右ブレーキディスクと、右ブレーキディスクに制動力を付与する右ブレーキキャリパと、を有して、右前輪に制動力を付与可能な右制動装置と、 左前輪31とともに回転する左ブレーキディスク94と、左ブレーキディスク94に制動力を付与する左ブレーキキャリパ95と、を有して、左前輪31に制動力を付与可能な左制動装置90と、を有している。

条件(A)は、右下規制部が、右車軸線の方向から見て、右ブレーキディスクの外縁より内方に位置することを含んでもよい。 条件(B)は、図10に示すように、左下規制部1085が、左車軸線Jの方向から見て、左ブレーキディスク94の外縁より内方に位置することを含んでもよい。

(8)の構成によれば、変形が抑制されている左センサワイヤ84のうちの左車輪速センサ40から左下規制部1085の部位が、左車軸線Jの方向から見て、左前輪31の左ブレーキディスク94の外縁より内方に設けられている。このように左下規制部1085が左車輪速センサ40の近くで左センサワイヤ84の変形を抑制しているため、左センサワイヤ84を安定して保持できる。

<第三実施形態> 図11は、本発明の第三実施形態に係る車両2001の左緩衝装置33を示す図である。上記第一実施形態では、左車輪速センサ40が左車軸部材311より上方に設けられた例を説明したが、本発明はこれに限らない。図11に示すように、左車輪速センサ2040は、左車軸部材311よりも下方に設けられていてもよい。

図示の例においては、左車輪速センサ2040が左車軸部材311よりも下方で、左インナ連結要素337に設けられている。左車輪速センサ2040は、左インナ連結要素337の左センサステー部339aに設けられている。左車輪速センサ2040は、左車軸線Jの方向から見て、左前仮想線Nと左後仮想線Qとの間に設けられている。

本実施形態において、左インナ連結要素337は、左前輪31の上部を覆う左フロントフェンダー223(図8参照)を支持する左フェンダステーを備えている。左フェンダステー部は、左前フェンダステー部339bと、左後フェンダステー部339cと、左前フェンダステー部339bと左後フェンダステー部339cとを連結する橋渡し部339dとを備えている。 左前フェンダステー部339bは、左前インナチューブ334より前方に設けられている。左前フェンダステー部339bの下部は左車軸支持部338の近傍に固定されている。左前フェンダステー部339bは上方かつ前方に向かって延びている。 左後フェンダステー部339cは左後インナチューブ336より後方に設けられている。左後フェンダステー部339cの下部は左車軸支持部338の近傍に固定されている。左後フェンダステー部339cは上方かつ後方に向かって延びている。 橋渡し部339dは、左緩衝装置33が最大伸長状態のときの左前アウタチューブ333の下端および左後アウタチューブ335の下端よりも上方に設けられている。

左下規制部2085は、橋渡し部339dに設けられている。左下規制部2085は、左緩衝装置33が最大伸長状態のときの左前アウタチューブ333の下端および左後アウタチューブ335の下端よりも上方に設けられている。左下規制部1085は、左車軸線Jの方向から見て、左前仮想線Nと左後仮想線Qとの間で、橋渡し部339dに設けられている。

左センサワイヤ2084は、左車輪速センサ2040から上方に延びている。左センサワイヤ2084は、左車軸線Jの方向から見て、左前仮想線Nと左後仮想線Qとの間で、上方に延びている。左センサワイヤ2084は、左前インナチューブ334と左車軸部材311との間を通って、左下規制部2085まで上方に延びている。左下規制部2085を通過した左センサワイヤ2084は、さらに上方に延びている。

左車輪速センサ2040および左下規制部2085はそれぞれ、左インナ連結要素337に設けられた左センサステー部339aおよび左フェンダステー部の橋渡し部339dに設けられている。つまり、左緩衝装置33の動作時に、左車輪速センサ2040と左下規制部2085はともに動くので、相対変位しない。左センサワイヤ2084のうち左車輪速センサ2040から左下規制部2085の部位は、左緩衝装置33の動作時の変形が抑制されている。このため、左緩衝装置33が動作しても、左センサワイヤ2084のうち左車輪速センサ2040から左下規制部2085の部位は、左前アウタチューブ333や左後アウタチューブ335との干渉が抑制されている。

このように、本実施形態に係る車両2001においても、左センサワイヤ2084や左車輪速センサ2040を保護しつつ、他の部材との干渉を避けつつ、レイアウトの自由度が高められている。

<第四実施形態> 図12は、本発明の第四実施形態に係る車両3001の左緩衝装置33を示す図である。上記第一実施形態においては、左センサワイヤ84が左車輪速センサ40から上方に延びる例を説明したが、本発明はこれに限られない。本実施形態は、第一実施形態から左センサワイヤ84のレイアウトのみを変更した例である。

図12に示すように、本実施形態においては、左センサワイヤ3084が左車輪速センサ3040から下方に延びていてもよい。本実施形態においては、左車輪速センサ3040が左車軸部材311よりも上方で左インナ連結要素337に設けられている。 左センサワイヤ3084は、左車輪速センサ3040から下方に延びている。左センサワイヤ3084は、左前インナチューブ334と左車軸部材311との間を通過し、左車軸部材311の下方を前方から後方に向けて延びている。さらに、左センサワイヤ3084は、左車軸部材311と左後インナチューブ336との間を通過して上方に延びている。さらに、左センサワイヤ3084は、左下仮想線分Vよりも上方で左ワイヤステー部339eに拘束されている。

このように、本実施形態に係る車両3001においても、左センサワイヤ3084や左車輪速センサ3040を保護しつつ、他の部材との干渉を避けつつ、レイアウトの自由度が高められている。

<その他の変形例> なお、上記実施形態においては、左緩衝装置33が左前輪31より左方に位置し、右緩衝装置34が右前輪32より右方に位置する構造を説明したが、本発明はこれに限られない。左緩衝装置33が左前輪31より右方に位置し、右緩衝装置34が右前輪32より左方に位置してもよい。

上記実施形態においては、エンジンユニット25が後輪4を回動可能に支持する例を説明したが、本発明はこれに限られない。エンジンユニットと後輪がともに車体フレームに回動可能に支持されていてもよい。

上記の実施形態においては、車両1は、1つの後輪4を備えている。しかしながら、後輪の数は、複数でもよい。

上記の実施形態においては、後輪4の車体フレーム21の左右方向における中央は、車体フレーム21の左右方向における左前輪31と右前輪32の間隔の中央と一致している。このような構成が好ましいものの、後輪4の車体フレーム21の左右方向における中央は、車体フレーム21の左右方向における左前輪31と右前輪32の間隔の中央と一致していなくてもよい。

上記の実施形態においては、リンク機構5は、上クロス部材51と下クロス部材52を備えている。しかしながら、リンク機構5は、上クロス部材51と下クロス部材52以外のクロス部材を備えていてもよい。「上クロス部材」と「下クロス部材」は、相対的な上下関係に基づいて命名しているに過ぎない。上クロス部材は、リンク機構5における最上位のクロス部材を意味していない。上クロス部材は、それより下方の別のクロス部材より上方にあるクロス部材を意味する。下クロス部材は、リンク機構5における最下位のクロス部材を意味していない。下クロス部材は、それより上方の別のクロス部材より下方にあるクロス部材を意味する。上クロス部材51と下クロス部材52の少なくとも一方は、右クロス部材と左クロス部材の2つの部品で構成されていてもよい。このように、上クロス部材51と下クロス部材52は、リンク機能を有する範囲で、複数のクロス部材で構成してもよい。

上記の実施形態においては、リンク機構5は、平行四節リンクを構成している。しかしながら、リンク機構5は、ダブルウィッシュボーン方式の構成を採用してもよい。

本明細書で用いられている「平行」という語は、±40°の範囲で傾斜するが、部材としては交わらない2つの直線も含む意味である。本明細書において方向や部材に関して用いられている「沿う」という語は、±40°の範囲で傾斜する場合も含む意味である。本明細書で用いられている「方向に延びる」という語は、当該方向に対して±40°の範囲で傾斜する場合も含む意味である。

本明細書で用いられた用語および表現は、説明のために用いられたものであって、限定的に解釈するために用いられたものではない。本明細書に示され、かつ述べられた特徴事項のいかなる均等物をも排除するものではなく、本発明のクレームされた範囲内における各種変形をも許容するものであると認識されねばならない。

本発明は、多くの異なった形態で具現化され得るものである。本明細書は、本発明の原理の実施形態を提供するものと見なされるべきである。本明細書において記載と図示の少なくとも一方がなされた好ましい実施形態は、当該実施形態に本発明が限定されることを意図するものではないという了解に基づいている。

本発明は、本明細書に開示された実施形態例に基づいて当業者によって認識されうる、均等な要素、修正、削除、組み合わせ(例えば、各種実施形態に跨る特徴の組み合わせ)、改良、変更を含むあらゆる実施形態も包含する。クレームの限定事項はそのクレームで用いられた用語に基づいて広く解釈されるべきであり、本明細書あるいは本願のプロセキューション中に記載された実施形態に限定されるべきではない。そのような実施形態は非排他的であると解釈されるべきである。例えば、本明細書において、「好ましくは」、「よい」という用語は非排他的なものであって、「好ましいがこれに限定されるものではない」「よいがこれに限定されるものではない」ということを意味する。

1 車両 2 車両本体部 3 前輪 4 後輪 5 リンク機構 6 操舵力伝達機構 21 車体フレーム 22 車体カバー 23 ハンドルバー 24 シート 25 エンジンユニット 31 左前輪 32 右前輪 33 左緩衝装置 34 右緩衝装置 51 上クロス部材 52 下クロス部材 53 左サイド部材 54 右サイド部材 60 上流側ステアリングシャフト 61 中間伝達プレート 62 左伝達プレート 63 右伝達プレート 64 中間ジョイント 65 左ジョイント 66 右ジョイント 67 タイロッド 68 下流側ステアリングシャフト 80 連結部材 40 左車輪速センサ 81 左エンコーダ 82 左車輪速検出部 83 左センサハウジング 84 左センサワイヤ 85 左下規制部 86 左中間規制部 87 左上規制部 88 左第一規制部 89 左第二規制部 89a 左第三規制部 89b 左第四規制部 89c 左第五規制部 89d 左ワイヤ取出し口 212a 前軸支持部 211 ヘッドパイプ 212 リンク支持部 213 エンジン支持部 221 フロントカバー 223 フロントフェンダー 224 リアフェンダー 311 左車軸部材 317 左ブラケット 321 右車軸部材 327 右ブラケット 331 左前テレスコピック要素 332 左後テレスコピック要素 333 左前アウタチューブ 334 左前インナチューブ 335 左後アウタチューブ 336 左後インナチューブ 337 左インナ連結要素 338 左車軸支持部 339 左キャリパボス部 339a 左センサステー部 339b 左前フェンダステー部 339c 左後フェンダステー部 512 板状部材 522a 前板状部材 522b 後板状部材 523a 左連結ブロック 523b 右連結ブロック A 連結部 C 連結部 E 連結部 G 連結部 H 連結部 I 連結部 M 中間上軸線 X 左中心軸線 Y 右中心軸線 Z 中間中心軸線

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