Adhesive sheet for vehicle coating film face adhesion

申请号 JP2007178081 申请日 2007-07-06 公开(公告)号 JP2009013322A 公开(公告)日 2009-01-22
申请人 Nitto Denko Corp; 日東電工株式会社; 发明人 UESUGI MASANORI; SHIRAI MITSUYOSHI; KONDO TAKASHI; OKAMOTO MASAYUKI; NIWA MICHIHITO;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To provide an adhesive sheet capable of obtaining excellent adhesion against automobile coating films present on the surface without being affected by adhesion decrease caused by a surface conditioner. SOLUTION: The cohesive sheet is one applied to a vehicle coating film face, on the surface of which, a surface conditioner is present, wherein the adhesive agent layer contacting to the vehicle coating film face is an acrylic adhesive agent layer (Y) formed by polymerizing, with active energy ray irradiation, an acrylic adhesive composition comprising a vinyl monomer or its partially polymerized product (a) composed mainly of an alkyl(meth)acrylate (a1) having 2-14C alkyl groups, an active energy ray polymerization initiator (b), a multifunctional (meth)acrylate (c) and a (meth)acrylate oligomer (d) containing 1-50 pts.wt. rosin-modified (meth)acrylate (d1) per 100 pts.wt. whole monomer components and having 1,000-30,000 weight-average molecular weight. COPYRIGHT: (C)2009,JPO&INPIT
权利要求
  • 表面調整剤が表面に存在する車両用塗膜面に使用する粘着シートであって、車両用塗膜面に接触する粘着剤層が、炭素数2〜14個のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(a1)を主成分とするビニル系モノマーまたはその部分重合物(a)、活性エネルギー線重合開始剤(b)、多官能(メタ)アクリレート(c)、および、ロジン変性(メタ)アクリレート(d1)を全モノマー成分100重量部に対して1〜50重量部含有する重量平均分子量1000〜30000である(メタ)アクリル酸エステルオリゴマー(d)を含有するアクリル系粘着剤組成物を活性エネルギー線照射して重合して形成されたアクリル系粘着剤層(Y)であることを特徴とする車両用塗膜面接着用粘着シート。
  • 粘着シートが、中空微小球状体を含む粘弾性体層(X)を有する請求項1に記載の車両用塗膜面接着用粘着シート。
  • 前記アクリル系粘着剤組成物が、ビニル系モノマーまたはその部分重合物(a)100重量部に対し、活性エネルギー線重合開始剤(b)を0.001〜5重量部、多官能(メタ)アクリレート(c)を0.001〜10重量部、(メタ)アクリル酸エステルオリゴマー(d)を2〜40重量部含有する請求項1または2に記載の車両用塗膜面接着用粘着シート。
  • 说明书全文

    本発明は、自動車塗膜などの車両用塗膜面に対して使用される粘着シートに関する。 詳しくは、表面調整剤が塗膜表面に存在する、難接着性の車両用塗膜面に対しても、接着性が良好である粘着シートに関する。

    従来、自動車の外装、ボディーの保護や装飾のために、モール、プレートなどを貼着するために、発泡体を基材とした粘着テープ又はシート(以下、「テープ又はシート」を、単に「シート」と総称する)が用いられている。 このような自動車用塗膜などの車両用塗膜面に接着させる粘着シートとしては、例えば、アクリル系粘着剤を用いた粘着シートなどが知られている(特許文献1、2参照)。

    しかしながら、近年、環境面への配慮から、自動車塗膜のベース層が溶剤系から系の塗膜に変更され、さらにこれに伴い塗膜表層に添加される表面調整剤(レベリング剤)の添加量の増加、種類の変更などが行われている(特許文献3、4参照)。 このような自動車塗膜組成の変更の影響を受けて、従来の粘着シートでは、十分に接着が得られない問題が生じてきている。

    また、近年、自動車塗料の配合材料が変更されてきており、これに伴って新たな問題が生じてきている。 自動車塗料としては、靱性や外観が優れるという観点から、主にアクリル−メラミン架橋物が従来用いられていたが、該塗料は、酸性雨によりメラミン樹脂のトリアジン環が加水分解してシミが発生するため、酸性雨に弱いという欠点を有する。 このため、酸性雨対策の観点から、メラミン樹脂を未使用または使用量を低減させたアクリル系の耐酸性雨塗料が開発されている(特許文献5参照)。 しかし、上記耐酸性雨塗料からなる表面は、従来のアクリル−メラミン架橋物からなる塗料に比べ、接着性が低下する傾向にあった。

    すなわち、これらの表面調整剤を比較的多量に含む自動車塗膜や耐酸性雨性の自動車塗膜に対しては、未だ十分な接着力を発揮できる粘着シートが得られていないのが現状である。

    特開2001−49200号公報

    特開2000−248241号公報

    特開2002−66206号公報

    特開2003−226834号公報

    特開平6−108001号公報

    本発明者らは、上記接着不良の原因が、塗布時の「はじき」を防止するために、自動車塗膜に添加されている表面調整剤が塗膜表面にブリードし、表面に凝集力の弱い層を形成するためであることを究明した。

    そこで、本発明の目的は、表面調整剤が表面に存在する自動車塗膜(車両用塗膜)の表面に対して、表面調整剤による接着力低下の影響を受けずに、優れた接着力が得られる粘着シートを提供することである。 中でも、特に酸性雨耐性塗膜に対して効果を発揮する粘着シートを提供することである。

    本発明者らは、上記の目的を達成するため鋭意検討した結果、特定の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とするモノマー混合物またはその部分重合物と、活性エネルギー線重合開始剤、多官能(メタ)アクリレートおよびロジン変性(メタ)アクリレートを単量体成分として含む特定の(メタ)アクリル酸エステルオリゴマーを含有するアクリル系粘着剤組成物を活性エネルギー線重合して形成した粘着剤層を有する粘着シートによって、上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成した。

    すなわち、本発明は、表面調整剤が表面に存在する車両用塗膜面に使用する粘着シートであって、車両用塗膜面に接触する粘着剤層が、炭素数2〜14個のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(a1)を主成分とするビニル系モノマーまたはその部分重合物(a)、活性エネルギー線重合開始剤(b)、多官能(メタ)アクリレート(c)、および、ロジン変性(メタ)アクリレート(d1)を全モノマー成分100重量部に対して1〜50重量部含有する重量平均分子量1000〜30000である(メタ)アクリル酸エステルオリゴマー(d)を含有するアクリル系粘着剤組成物を活性エネルギー線照射して重合して形成されたアクリル系粘着剤層(Y)であることを特徴とする車両用塗膜面接着用粘着シートを提供する。

    また、本発明は、中空微小球状体を含む粘弾性体層(X)を有する前記の車両用塗膜面接着用粘着シートを提供する。

    また、本発明は、前記アクリル系粘着剤組成物が、ビニル系モノマーまたはその部分重合物(a)100重量部に対し、活性エネルギー線重合開始剤(b)を0.001〜5重量部、多官能(メタ)アクリレート(c)を0.001〜10重量部、(メタ)アクリル酸エステルオリゴマー(d)を2〜40重量部含有する前記の車両用塗膜面接着用粘着シートを提供する。

    本発明の粘着シートによれば、前記構成を有しているので、表面調整剤を多量に含有し、これらが表面に存在する塗膜、その中でも特に酸性雨耐性塗膜などの難接着性塗膜に対しても、優れた接着力を示す。 このため、使用中に粘着シートの剥がれなどのトラブルが発生しない優れた保護特性を発揮する。

    本発明の粘着シートは、車両用塗膜面に接触する粘着剤層(粘着層)として、アクリル系粘着剤層(Y)を少なくとも1層有する。 上記アクリル系粘着剤層(Y)は、炭素数2〜14個のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(a1)を主成分とするビニル系モノマー又はその部分重合物(a)(以下、「成分(a)」と称する場合がある)、活性エネルギー線重合開始剤(b)(以下、「光重合開始剤(b)」と称する場合がある)、多官能(メタ)アクリレート(c)、及び、ロジン変性(メタ)アクリレートを全モノマー成分100重量部に対して1〜50重量部含有する重量平均分子量1000〜30000である(メタ)アクリル酸エステルオリゴマー(d)(以下、「(メタ)アクリル酸エステルオリゴマー(d)」と称する場合がある)を必須成分とするアクリル系粘着剤組成物を、活性エネルギー線照射により重合させることにより形成される。 アクリル系粘着剤組成物には、上記の他にも、その他の添加剤成分を含んでいてもよい。 なお、本発明にいう「(メタ)アクリル」とは「アクリル及び/又はメタクリル」を意味し、他も同様である。

    また、本発明においては、特に記載がない限り、「主成分」とは、当該全成分の総重量に対して60重量%以上(60〜100重量%)であることをいい、好ましくは65重量%以上であることをいう。

    本発明のアクリル系粘着剤組成物は、活性エネルギー線重合性(活性エネルギー線硬化性)であり、好ましくは紫外線重合性(紫外線硬化性)である。 活性エネルギー線硬化性(特に、紫外線硬化性)であることにより、溶剤を使用しないため環境面で優れ、さらに厚膜化が容易となる。

    上記アクリル系粘着剤組成物に用いる成分(a)は、主として粘着性を担う粘着剤成分であり、ビニル系モノマー又はその部分重合物である。 上記成分(a)として用いられるビニル系モノマーは、炭素数2〜14個のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(a1)(単に「モノマー(a1)」ともいう)を主成分とする。 ビニル系モノマーは、単一のモノマー(a1)のみから構成されていてもよいし、複数のモノマー(a1)の混合物またはモノマー(a1)とそれ以外の共重合性モノマー(a2)との混合物であってもよい。 また、成分(a)は、上記ビニル系モノマー混合物を予備重合した部分重合物であってもよい。 ここでいう「部分重合物」とは、ビニル系モノマー混合物を一部重合させたものであり、ビニル系モノマーを単量体成分とする低重合度の重合体、又は、該重合体と未反応のビニル系モノマーの混合物をいう。

    上記ビニル系モノマーに用いられるアルキル(メタ)アクリレート(a1)は、炭素数2〜14個の直鎖状、分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルである。 中でも、接着性の観点から、炭素数は2〜10が好ましい。 アルキル(メタ)アクリレート(a1)としては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。 中でも、接着性の観点から、特に好ましくは、2−エチルヘキシルアクリレート、ブチルアクリレートである。 これらのアルキル(メタ)アクリレート(a1)は1種または2種以上を用いることができる。

    また、本発明のビニル系モノマーとして用いられる共重合性モノマー(a2)としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸等のカルボキシル基含有モノマー;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)−メチルアクリレート等のヒドロキシル基含有モノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物モノマー;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スルホプロピルアクリレート等のスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート等の燐酸基含有モノマー;(メタ)アクリルアミド、N−置換(メタ)アクリルアミド(例えば、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミドなど)等のアミド系モノマー;N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシオクタメチレンスクシンイミド等のスクシンイミド系モノマーなどが挙げられる。 さらに、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルボン酸アミド類、スチレン、N−ビニルカプロラクタム等のビニル系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアノアクリレート系モノマー;(メタ)アクリル酸グリシジル、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フッ素(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート、2−メトキシエチルアクリレート等のアクリル酸エステル系モノマー;シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどのシクロアルキル(メタ)アクリレート;メチル(メタ)アクリレートやオクタデシル(メタ)アクリレート等の上記炭素数2〜14個のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(a1)とは異なるアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートなども共重合性モノマー(a2)として用いられていてもよい。 上記共重合性モノマー(a2)は、1種又は2種以上が用いられる。

    共重合性モノマー(a2)としては、上記の中でも、接着性の観点などから、カルボキシル基含有モノマー、アミド系モノマーなどが好ましく、特に、アクリル酸、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミドが好ましい。 また、N−ビニルピロリドンが好ましい。 アクリルアミドなどの塩基性モノマーを配合する場合には、酸無水物−エポキシ系架橋や水酸基−エポキシ系架橋などの架橋が行われ、カルボキシル基や水酸基などの酸性官能基を有する酸性雨耐性塗膜に対して特に接着力を向上させることができる。

    上記アルキル(メタ)アクリレート(a1)および共重合性モノマー(a2)を用いる場合、モノマー(a1)とモノマー(a2)の比率は、所望する接着特性などにより適宜選択できるが、モノマー(a1)を60〜99.9重量%、モノマー(a2)を0.1〜40重量%とすることが好ましい。 より好ましくは、モノマー(a1)が60〜99重量%、モノマー(a2)が1〜40重量%であり、さらに好ましくは、モノマー(a1)が65〜99重量%、モノマー(a2)が1〜35重量%である。

    本発明の成分(a)は、アクリル系粘着剤組成物の粘度調整などの観点から、上記ビニル系モノマー混合物を予備重合した部分重合物であってもよい。 なお、部分重合は、通常、酸素との接触を避けて活性エネルギー線(特に紫外線)を照射することにより行われる。

    本発明の成分(a)がビニル系モノマー混合物の部分重合物である場合、その重合率は、含まれる重合体の分子量等よっても異なり特に限定されないが、2〜40重量%程度であり、好ましくは5〜35重量%程度である。 なお、部分重合物の重合率は、部分重合物約0.5gを精秤し、これを130℃で2時間乾燥した後の重量を精秤して重量減少量[揮発分(未反応モノマー重量)]を求め、得られた数値を以下の式に代入して算出した。
    部分重合物の重合率(%)=[1−(重量減少量)/(乾燥前の部分重合物の重量)]×100

    本発明の成分(a)のガラス転移温度(Tg)は、接着性の観点から、−70〜−30℃が好ましく、より好ましくは−60〜−30℃である。

    本発明のアクリル系粘着剤組成物に用いる活性エネルギー線重合開始剤(光重合開始剤)(b)としては、特に限定されないが、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オンなどのベンゾインエーテル;アニソールメチルエーテルなどの置換ベンゾインエーテル;2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトンなどの置換アセトフェノン;2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノンなどの置換αケトール;2−ナフタレンスルフォニルクロライドなどの芳香族スルフォニルクロライド;1−フェニル−1,1−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)−オキシムなどの光活性オキシムなどが挙げられる。

    上記光重合開始剤(b)の使用量は、前記成分(a)100重量部に対して、0.001〜5重量部が好ましく、より好ましくは0.05〜3重量部である。

    本発明のアクリル系粘着剤組成物に用いる多官能(メタ)アクリレート(c)としては、少なくとも2個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を使用できる。 多官能(メタ)アクリレートは、粘着剤に適度なゲル分率を付与する役割を担う。 多官能(メタ)アクリレート(c)としては、具体的には、特に限定されないが、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,2−エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12−ドデカンジオールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。 これらの多官能(メタ)アクリレート(c)は、単独で使用されていてもよいし、2種以上組み合わせて使用されていてもよい。

    上記多官能(メタ)アクリレート(c)の使用量は、その分子量や官能基数によっても異なるが、前記成分(a)100重量部に対して、0.001〜10重量部が好ましく、より好ましくは0.005〜5重量部である。

    本発明のアクリル系粘着剤組成物に用いる(メタ)アクリル酸エステルオリゴマー(d)は、ロジン変性(メタ)アクリレート(d1)およびその他のモノマー成分(d2)より構成される。

    ロジン変性(メタ)アクリレート(d1)は、官能基含有(メタ)アクリレートをロジンにより変性させたり、変性ロジンと(メタ)アクリレート類を反応させることにより得られる。 また、ロジン変性(メタ)アクリレートを(メタ)アクリレート類などの化合物によりさらに変性させることにより得られる。 例えば、ロジン、重合ロジン、水添ロジン等のカルボキシル基とグリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基が反応した反応物が挙げられる。

    上記ロジン変性(メタ)アクリレート(d1)は、市販品を用いてもよく、例えば、荒川化学(株)製、商品名「ビームセット 101、102」などが好ましく用いられる。

    上記ロジン変性(メタ)アクリレート(d1)以外の、その他のモノマー成分(d2)としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステルが好ましく用いられる。 中でも、耐熱性の観点から、ホモポリマーとした場合のガラス転移温度(Tg)の比較的高いものが好ましく、ホモポリマーのTgが40℃以上であるものが好ましく、より好ましくは50〜200℃である。 このようなモノマー成分(d2)としては、例えば、シクロヘキシルメタクリレート(Tg:66℃)、イソボルニルメタクリレート(Tg:94℃)、t−ブチルメタクリレート(Tg:107℃)などが好ましく例示され、中でもシクロヘキシルメタクリレートが特に好ましい。 Tgが高いことにより、(メタ)アクリル酸エステルオリゴマー(d)が塗膜表面上に形成する接着界面が強固なものとなり、接着力が向上する。 Tgが低い場合には、塗膜表面上の接着界面層が軟化してしまい、接着力を向上させることはできない。

    上記(メタ)アクリル酸エステルオリゴマー(d)における、ロジン変性(メタ)アクリレート(d1)のモノマー含有量は、(メタ)アクリル酸エステルオリゴマー(d)を構成する全モノマー成分100重量部に対して、1〜50重量部であり、より好ましくは2〜40重量部、さらに好ましくは5〜30重量部である。 ロジン変性(メタ)アクリレート(d1)のモノマー含有量が1重量部未満ではアクリル系粘着剤層(Y)の接着性が不十分となり、50重量部を超えるとオリゴマー(d)の粘着剤層中での相溶性が悪くなり、外観や接着性に悪影響を及ぼす場合がある。 なお、上記モノマー含有量は、(メタ)アクリル酸エステルオリゴマー(d)を製造する際の各単量体成分の仕込量の割合(配合割合)をいう。 他のモノマー含有量、モノマー使用量も同様である。

    上記(メタ)アクリル酸エステルオリゴマー(d)の重量平均分子量は、1000〜30000であり、好ましくは2000〜10000である。 重量平均分子量が1000未満の場合には、車両用塗膜面に対する接着力向上の効果が小さい。 一方、30000を超えると、粘着剤組成物中において、(メタ)アクリル酸エステルオリゴマー(d)が相分離しやすくなり、粘着性能や外観に悪影響を及ぼす傾向にある。 上記重量平均分子量の測定は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)法によりポリスチレン換算して求められる。 具体的には、商品名「HPLC8020」(東ソー株式会社製)、カラムとして商品名「TSKgelGMH−H(20)」(東ソー株式会社製)×2本を用いて、テトラヒドロフラン溶媒で流速0.5ml/分の条件で測定することができる。

    上記(メタ)アクリル酸エステルオリゴマー(d)の使用量は、前記成分(a)100重量部に対して、2〜40重量部が好ましく、より好ましくは4〜30重量部である。 使用量が2重量部未満では接着性向上効果が小さい。 一方、40重量部を超えると、(メタ)アクリル酸エステルオリゴマー(d)が相分離しやすくなり、粘着性能や外観に悪影響を及ぼす場合がある。

    本発明において用いられるアクリル系粘着剤組成物には、本発明の効果を損ねない範囲で、上記成分(a)〜(d)以外の他の添加剤を添加してもよい。 そのような添加剤としては、例えば、顔料などの着色剤や充填剤(例えば、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタンなど)、架橋剤(例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、ウレア系架橋剤、メラミン系架橋剤、カルボン酸又は酸無水物系架橋剤、金属化合物系架橋剤など)、難燃剤、老化防止剤、帯電防止剤、軟化剤(例えば、プロセスオイルや石油系軟化剤など)、酸化防止剤、可塑剤、界面活性剤、発泡剤(熱膨張性微小球など)等が挙げられる。

    上記添加剤の使用量は、所望する接着力等により適宜選択できる。 例えば、架橋剤の使用量は、アクリル系粘着剤のベースポリマー100重量部に対して、1〜5重量部程度である。

    本発明においては、アクリル系粘着剤成分に対して、特定の(メタ)アクリル酸エステルオリゴマー(d)を少量組み合わせることにより、難接着性塗膜に対しても、優れた接着力を発揮することが可能となる。 さらに、塗膜中に含まれる表面調整剤の影響による接着性の変化(ブリードに伴う変化など)を低減し、安定した接着性能を発揮することが可能となる。

    上記作用効果の詳細な発現機構は不明であるが、以下のような機構が推定される。 本発明の特定の(メタ)アクリル酸エステルオリゴマー(d)をアクリル系粘着剤中に配合した場合、(メタ)アクリル酸エステルオリゴマー(d)は粘着剤層中を移動し、粘着剤層表面(塗膜に貼付した後は、塗膜/粘着剤層界面)近傍に偏在する特異な分散状態を形成する。 これは、エントロピーの観点で低分子量成分が表面に偏在することによる。 通常、塗膜表面には前述の通り、表面調整剤(レベリング剤)成分や低分子量成分がブリードするため、アクリル系ポリマーのみからなる粘着剤層と塗膜が貼り合わされている場合には、該ブリード成分が塗膜/粘着剤層界面に凝集力の弱い層を形成し、粘着力を低下させる。 ところが、本願発明の粘着剤層においては、粘着剤層表層に上記(メタ)アクリル酸エステルオリゴマー(d)が偏在しているため、この(メタ)アクリル系オリゴマーの誘引効果により、ブリード成分が粘着剤層内部に吸着され、界面にブリード成分による層が形成されにくくなる。 このため、難接着塗膜表面に対しても高い接着力を発揮することができると考えられる。 なお、塗膜に含まれる低分子量成分やレベリング剤成分は、一般的にアクリル系オリゴマーであるため、本発明の(メタ)アクリル系オリゴマーと相溶性が高いため、相互作用を及ぼし合い、上記誘引効果が発現すると考えられる。

    さらに、(メタ)アクリル酸エステルオリゴマー(d)は、ロジン成分を含んでいるため、粘着付与樹脂としての効果を発揮する。 ロジン樹脂は、単独で添加する場合には、低分子量であるため、例えば、後述の粘弾性体層(X)中へ移行することにより、添加の効果が十分得られない場合がある。 また、活性エネルギー線重合を阻害する場合がある。 これに対して、本発明では、ロジン成分を、重合により粘着剤層ポリマー中に取り込むことにより移行を防止し、事前に重合されているので重合阻害を起こす失活点がなくなったことにより重合阻害を抑制している。 さらに、上記ブリード成分を吸収する効果が向上する。

    上記アクリル系粘着剤組成物を活性エネルギー線(特に、紫外線)により重合(硬化)させることにより、本発明の粘着シートに用いられるアクリル系粘着剤層(Y)(以下、単に「粘着剤層(Y)」と称する場合がある)が得られる。 形成方法としては、特に限定されないが、例えば、剥離フィルムや基材等の適当な支持体上に、アクリル系粘着剤組成物を塗布し、活性エネルギー線を用いて硬化させることにより形成させる方法が好ましい。 また、該形成方法では、必要に応じて、乾燥工程があってもよい。 さらに、活性エネルギー線による硬化(光硬化)を行う際には、光重合反応は空気中の酸素に阻害されるため、アクリル系粘着剤組成物の塗布層上に剥離フィルム等を貼り合わせたり、また窒素雰囲気下で光硬化を行うこと等により、酸素を遮断することが好ましい。

    活性エネルギー線としては、例えば、α線、β線、γ線、中性子線、電子線などの電離性放射線や、紫外線などが挙げられ、特に紫外線が好適である。 活性エネルギー線の照射エネルギーやその照射時間などは、特に制限されず、光重合開始剤を活性化させて、モノマー成分の反応を生じさせることができればよい。 このような活性エネルギー線の照射としては、例えば、波長300〜400nmにおける照度が1〜200mW/cm 2である紫外線の光量400〜4000mJ/cm 2程度の照射が挙げられる。

    また、アクリル系粘着剤組成物に、活性エネルギー線を照射して、粘着剤層(Y)を形成させる際、粘着剤層(Y)の重合率は90重量%以上とすることが好ましい。 また、未反応モノマーは、通常の乾燥工程により除去することもできる。 なお、粘着剤層(Y)の重合率は、前述の部分重合物の重合率の算出方法と同様の方法により算出できる。

    上記により形成した粘着剤層(Y)の厚さは、特に限定されないが、良好な接着強度保持の観点から、10μm以上が好ましく、より好ましくは20μm以上、さらに好ましくは30μm以上である。 また、厚さの上限は、特に限定されないが、通常400μm程度である。

    上記粘着剤層(Y)は、本発明の粘着シート中、表面調整剤が表面に存在する車両用塗膜面に接触する(貼付される)側の粘着剤層(粘着面)として用いられる。

    本発明の粘着シートの層構成は、特に限定されないが、例えば、(1)粘着剤層(Y)のみからなる基材レスタイプの粘着シート;(2)基材の少なくとも一方の面側に粘着剤層(Y)を有する粘着シートであってもよい。 また、上記粘着シートは、両面が粘着面(接着面)となっている両面粘着シートの形態を有していてもよく、片面のみが粘着面となっている片面粘着シートの形態を有していてもよい。 中でも、基材の両側の表面に粘着剤層を有する両面粘着シートが好ましい。 なお、基材の両側の表面に粘着剤層を有する場合には、少なくとも一方の層(車両用塗膜に接触する側)が粘着剤層(Y)であればよく、もう一方は、公知慣用の粘着剤層であってもよい。

    上記粘着シートが基材を有している場合、基材としては、ポリオレフィン(ポリプロピレン等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート等)などのプラスチックフィルム、通気性等を有する多孔質フィルム、中空微小球状体を含む弾性体層(以下、「粘弾性体層(X)」と称する)、紙、布、不織布、金属箔などの支持基材が例示される。 中でも、基材として中空微小球状体を含む粘弾性体層(X)を有することが好ましい。 粘着剤層(Y)の車両用塗膜と接しない面側に粘弾性体層(X)を設ける場合には、接着性が向上し、特に凹凸のある被着体(車両用塗膜)に対する接着性が向上する。 なお、上記基材は1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい(例えば、プラスチックフィルムと粘弾性体層(X)の積層体からなる基材など)。

    上記の中でも、本発明の粘着シートの、特に好ましい形態としては、Y層/X層/Y層が挙げられる。

    なお、上記粘着剤層(Y)、粘弾性体層(X)やその他の基材は、単層の形態を有していてもよいし、積層の形態を有していてもよい。 また、粘着剤層(Y)と粘弾性体層(X)またはその他の基材は直接積層されていてもよいし、接着性層等の中間層を介して積層されていてもよい。 さらに、本発明の効果を損なわない範囲で、他の層(例えば、下塗り層など)を有していてもよい。 また、粘着シートは、接着に用いられるまでの間は、粘着面を保護する目的などで、粘着面上に剥離フィルム(セパレータ)が設けられていてもよい。

    上記粘弾性体層(X)は、粘弾性体を構成するベースポリマーと中空微小球状体とを少なくとも含んでなる。

    上記粘弾性体層(X)に用いられるベースポリマーとしては、特に制限されず、公知のベースポリマーから適宜選択して用いることができ、例えば、アクリル系ポリマー、ゴム系ポリマー、ビニルアルキルエーテル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ポリアミド系ポリマー、ウレタン系ポリマー、フッ素系ポリマー、エポキシ系ポリマーなどを用いることができる。 特に、本発明においては、これらのベースポリマーのうち、接着性の点から、アクリル系ポリマーが好適に用いられる。 これらのベースポリマーは、単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。

    上記アクリル系ポリマーは、直鎖または分岐鎖状のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートをモノマー主成分とするポリマーである。 前記アクリル系ポリマーにおいて、モノマー主成分として用いられるアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレートなどの炭素数1〜20のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。 より好ましくは炭素数2〜14のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートであり、さらに好ましくは炭素数2〜10のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート)である。 これらのアルキル(メタ)アクリレートは、単独で又は2種以上組み合わせて用いられる。

    また、直鎖または分岐鎖状のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート以外の(メタ)アクリレート、例えば、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート等の脂環式アルキル基を有するシクロアルキル(メタ)アクリレートなどをモノマー成分として用いることも可能である。

    上記直鎖または分岐鎖状のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートは、アクリル系ポリマーのモノマー主成分として用いられているので、アクリル系ポリマーを構成する全モノマー成分全量に対して、60重量%以上含まれることが好ましく、より好ましくは65重量%以上である。

    前記アクリル系ポリマーでは、モノマー成分として、極性基含有モノマーや多官能性モノマーなどの各種共重合性モノマーが用いられていてもよい。 モノマー成分として共重合性単量体を用いることにより、粘弾性体層(X)において、弾性や柔軟性などの特性を改良することができる。 なお、共重合性モノマーは、単独で、又は2種以上組み合わせて使用することができる。

    前記極性基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸などのカルボキシル基含有モノマー又はその無水物(無水マレイン酸など);(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)−メチルアクリレート等のヒドロキシル基含有モノマー;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スルホプロピルアクリレート等のスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート等の燐酸基含有モノマーなどが挙げられる。 また、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有モノマー;アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのアミノ基含有モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレートなどのグリシジル基含有モノマー;アクリロニトリルやメタアクリロニトリルなどのシアノアクリレート系モノマー;N−ビニル−2−ピロリドン、(メタ)アクリロイルモルホリンの他、N−ビニルピリジン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルピリミジン、N−ビニルピペラジン、N−ビニルピラジン、N−ビニルピロール、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルオキサゾール等の複素環含有ビニル系モノマーなどが挙げられる。 極性基含有モノマーとしては、上記の中でも、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボキシル基含有モノマー又はその無水物が好適である。 このような極性基含有モノマーは、1種又は2種以上を用いることができる。

    極性基含有モノマーの使用量としては、アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分全量に対して、3〜40重量%が好ましく、より好ましくは5〜40重量%、さらに好ましくは5〜35重量%である。 極性基含有モノマーの使用量が40重量%を超えると、例えば、粘弾性体層(X)の柔軟性が損なわれ、粘着シートとして凹凸を有する被着体(車両用塗膜面)に対する接着性の低下を生じるおそれがある。 一方、極性基含有モノマーの使用量が3重量%未満であると、粘弾性体層(X)の凝集力が低下し、粘着シートとしての保持性能(外力に対して被着体との接着状態を維持する性能)が低下したり、また、粘着シートを切断あるいは打ち抜くなどする際の加工性が低下するおそれがある。

    前記多官能性モノマーとしては、例えば、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、ジブチル(メタ)アクリレート、ヘキシジル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。

    多官能性モノマーの使用量としては、その分子量や官能基数などにより異なるが、アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分全量に対して、10重量%以下(例えば、0.001〜10重量%)が好ましく、より好ましくは0.005〜5重量%である。 多官能性モノマーの使用量が10重量%を超えると、例えば、粘弾性体層(X)の柔軟性が損なわれ、粘着シートとして凹凸を有する被着体に対する接着性の低下を生じるおそれがある。 一方、多官能性モノマーの使用量が0.001重量%未満であると、粘弾性体層(X)の凝集力が低下し、粘着シートとしての保持性能が低下するおそれがあり、また、粘着シートを切断あるいは打ち抜くなどする際に、加工性が低下するおそれがある。

    また、極性基含有モノマーや多官能性モノマー以外の共重合性モノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;スチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル化合物;エチレン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレンなどのオレフィン又はジエン類;ビニルアルキルエーテルなどのビニルエーテル類;塩化ビニル;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;ビニルスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートなどのリン酸基含有モノマー;シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミドなどのイミド基含有モノマー;2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基含有モノマー;フッ素原子含有(メタ)アクリレート;ケイ素原子含有(メタ)アクリレートなどが挙げられる。

    上記粘弾性体層(X)のベースポリマー(特にアクリル系ポリマー)の調製は、従来公知の重合方法(例えば溶液重合や乳化重合、塊状重合など)を用いることができるが、特に重合開始剤を用いて熱や活性エネルギー線による硬化を利用する重合方法を用いることが好ましい。 熱や活性エネルギー線による硬化反応利用によれば、中空微小球状体が混合された形態のまま、粘弾性体層(X)を構成する樹脂組成物を硬化させ粘弾性体層(X)を形成することができる。 このため、粘弾性体層(X)中に中空微小球状体を均一に安定して含有された構造を形成させることができる。

    上記、重合開始剤の種類は特に限定されず、例えば、熱重合開始剤や光重合開始剤などを用いることができるが、特に重合時間を短くすることができる観点で、光重合開始剤を好適に用いることができる。 また、これらの重合開始剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。

    本発明の粘弾性体層(X)を形成する樹脂組成物に光重合開始剤が含まれる場合には、粘着剤層(Y)、粘弾性体層(X)はともに活性エネルギー線の照射による硬化が可能となるため、本発明のアクリル系粘着シートの作製の際に、粘着剤層(Y)、粘弾性体層(X)を同時に形成することが可能となる。

    上記光重合開始剤は、特に制限されず、例えば、上述の光重合開始剤(b)と同様の光重合開始剤を用いることができる。 また、光重合開始剤の使用量は、特に制限されないが、例えば、粘弾性体層(X)を形成する樹脂組成物に含まれる全モノマー成分100重量部に対して、0.01〜5重量部が好ましく、より好ましくは0.05〜3重量部である。

    光重合開始剤の活性化に際しては、活性エネルギー線を照射にすることが重要である。 このような活性エネルギー線としては、例えば、α線、β線、γ線、中性子線、電子線などの電離性放射線や、紫外線などが挙げられ、特に、紫外線が好適である。 また、活性エネルギー線の照射エネルギーや、その照射時間などは特に制限されず、光重合開始剤を活性化させて、モノマー成分の反応を生じさせることができればよい。

    本発明の粘弾性体層(X)を形成する樹脂組成物に熱重合開始剤が用いられる場合には、熱重合開始剤としては、例えば、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル、2,2´−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル、4,4´−アゾビス−4−シアノバレリアン酸、アゾビスイソバレロニトリル、2,2´−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2´−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2´−アゾビス(N,N´−ジメチレンイソブチルアミジン)ジヒドロクロライドなどのアゾ系熱重合開始剤;ジベンゾイルペルオキシド、tert−ブチルペルマレエートなどの過酸化物系熱重合開始剤;レドックス系熱重合開始剤などが挙げられる。

    上記粘弾性体層(X)は、中空微小球状体を含有してなる。 なお、中空微小球状体は、1種のみを用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。

    上記中空微小球状体としては、無機又は有機の中空微小球状体が好ましく用いられる。 具体的には、中空の無機系微小球状体としては、例えば、中空ガラスバルーン等のガラス製の中空バルーン;中空アルミナバルーン等の金属化合物製の中空バルーン;中空セラミックバルーン等の磁器製中空バルーンなどが挙げられる。 中空の有機系微小球状体としては、例えば、中空のアクリルバルーン、中空の塩化ビニリデンバルーン等の樹脂製の中空バルーンなどが挙げられる。

    上記中空ガラスバルーンの市販品としては、例えば、商品名「ガラスマイクロバルーン」(富士シリシア株式会社製);商品名「セルスターZ−25」「セルスターZ−27」「セルスターCZ−31T」「セルスターZ−36」「セルスターZ−39」「セルスターT‐36」「セルスターSX−39」「セルスターPZ‐6000」(東海工業株式会社製);商品名「サイラックス・ファインバルーン」(有限会社ファインバルーン製)などが挙げられる。

    上記中空微小球状体の粒径(平均粒子径)としては、特に制限されないが、例えば1〜500μm(好ましくは5〜200μm、さらに好ましくは10〜100μm)の範囲から選択することができる。

    本発明の中空微小球状体の比重としては、特に制限されないが、例えば、0.1〜0.8g/cm 3 (好ましくは0.12〜0.5g/cm 3 )の範囲から選択することができる。 比重が0.1g/cm 3より小さいと、中空微小球状体を粘弾性体層(X)を構成する組成物に配合して混合する際に、浮き上がりが大きくなり、微小球状体を均一に分散させることが難しい場合があり、一方、0.8g/cm 3より大きいと、高価になり、コストが高くなる。

    上記中空微小球状体の使用量としては、特に制限されず、例えば、粘弾性体層(X)の全体積に対して5〜50容積%(体積%)が好ましく、より好ましくは10〜50容積%、さらに好ましくは15〜40容積%である。 中空微小球状体の使用量が5容積%未満では中空微小球状体を添加することによる効果が低下する場合があり、50容積%を超えると粘着シートの粘着力が低下する場合がある。

    上記粘弾性体層(X)には、クッション性や密着性が向上の観点から、中空微小球状体の他に、気泡を含有していてもよい。

    粘弾性体層(X)に気泡を含有する場合、混合可能な気泡量としては、接着特性等(粘着シートの接着性)を損なわない範囲で適宜選択することができるが、例えば、粘弾性体層(X)の体積に対して5〜50体積%が好ましく、より好ましくは10〜40体積%、さらに好ましくは12〜30体積%である。 気泡量が5体積%未満であると応力緩和性が得られにくく、耐反発性に劣ることが多い。 また、50体積%を超えると、粘弾性体層(X)を貫通する気泡が形成される場合が生じ、Y層との接着性が低下したり、粘弾性体層(X)が軟らかくなりすぎ、剪断力が低下するおそれがある。

    上記粘弾性体層(X)に混合される気泡は、基本的には、独立タイプの気泡であることが望ましいが、独立気泡タイプの気泡と連続気泡タイプの気泡とが混在していてもよい。 また、このような気泡としては、通常、球状の形状を有しているが、いびつな形状の球状を有していてもよい。 前記気泡において、その平均気泡径(直径)としては、特に制限されず、例えば、1〜1000μm(好ましくは10〜500μm、さらに好ましくは30〜300μm)の範囲から選択することができる。

    なお、気泡に含まれる気体成分(気泡を形成するガス成分)としては、特に制限されず、窒素、二酸化炭素、アルゴンなどの不活性ガスの他、空気などの各種気体成分を用いることができる。 気泡を形成するガス成分としては、ガスを混合した後に重合反応等を行う場合には、重合反応を阻害しないものを用いることが重要である。 気泡を形成するガス成分としては、反応を阻害しないことや、コスト的な観点などから、上記の中でも窒素が好適である。

    上記粘弾性体層(X)には、ベースポリマーと中空微小球状体に加え、フッ素系界面活性剤が配合されていることが好ましい。 中でも、分子中にオキシC 2-3アルキレン基及びフッ素化炭化水素基を有するフッ素系界面活性剤が好ましく用いられる。 オキシC 2-3アルキレン基を有するフッ素系界面活性剤を用いることにより、粘弾性体層(X)中の中空微小球状体とポリマーとの間の密着性や摩擦抵抗が低減され、高い応力分散性が発現する。 これにより、粘着シートの接着性が向上する。 また、フッ素化炭化水素基を有することにより、上記効果に加えて、気泡を混合する場合には、気泡の混合性や安定性を高める効果も得られる。

    さらに、特に限定されないが、上記フッ素系界面活性剤の中でも、ベースポリマーに対する分散性の観点から、非イオン型界面活性剤が好ましい。 また、フッ素系界面活性剤は、1種のみを使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。

    上記オキシC 2-3アルキレン基は、式:−R−O−(Rは炭素数2又は3の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基)で表される。 オキシC 2-3アルキレン基としては、末端の酸素原子に水素原子が結合したアルコール、他の炭化水素基と結合したエーテル、カルボニル基を介して他の炭化水素基と結合したエステル等、何れの形態でも良い。 また、環式エーテル類やラクトン類等、環状構造の一部に該構造を有する形態でもよい。 具体的には、例えば、オキシエチレン基(−CH 2 CH 2 O−)、オキシプロピレン基[−CH 2 CH(CH 3 )O−]等が挙げられる。 これらは何れか1種を有していてもよく、2種以上を有していてもよい。

    上記フッ素化炭化水素基としては、特に限定されないが、パーフルオロ基が好適である。 該パーフルオロ基は、1価であってもよく、2価以上の多価であっても良い。 また、フッ素化炭化水素基は二重結合や三重結合を有していても良く、直鎖でも枝分かれ構造や環式構造を有していても良い。 フッ素化炭化水素基の炭素数としては特に限定されず、1又は2以上、好ましくは3〜30、さらに好ましくは4〜20である。 これらのフッ素化炭化水素基が界面活性剤分子中に1種又は2種以上導入されている。

    フッ素系界面活性剤としては、特に制限されないが、例えば、オキシC 2-3アルキレン基を有する単量体及びフッ素化炭化水素基を有する単量体をモノマー成分として含む共重合体を好適に用いることができる。 このような共重合体としては、例えば、ブロック共重合体、グラフト共重合体などが好適に用いられる。

    上記ブロック共重合体(主鎖にオキシC 2-3アルキレン基及びフッ素化炭化水素基を有する共重合体)としては、例えば、ポリオキシエチレンパーフルオロアルキルエーテル、ポリオキシエチレンパーフルオロアルキレート、ポリオキシプロピレンパーフルオロアルキルエーテル、ポリオキシイソプロピレンパーフルオロアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンパーフルオロアルキレート、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマーパーフルオロアルキレート、ポリオキシエチレングリコールパーフルオロアルキレート等である。

    上記グラフト共重合体(側鎖にオキシC 2-3アルキレン基及びフッ素化炭化水素基を有する共重合体)としては、モノマー成分として少なくとも、ポリオキシアルキレン基を有するビニル系化合物及びフッ素化炭化水素基を有するビニル系化合物を含む共重合体、特に、アクリル系共重合体が好適に用いられる。 ポリオキシアルキレン基を有するビニル系化合物としては、例えば、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン(メタ)アクリレートなどのポリオキシアルキレン(メタ)アクリレートが挙げられる。 フッ素化炭化水素基を有するビニル系化合物としては、例えば、パーフルオロブチル(メタ)アクリレート、パーフルオロイソブチル(メタ)アクリレート、パーフルオロペンチル(メタ)アクリレートなどのパーフルオロアルキル(メタ)アクリレート等、フッ素化炭化水素を含有する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。

    フッ素系界面活性剤は、分子中に上記構造の他に脂環式炭化水素基や芳香族炭化水素基などの構造を有していてもよく、ベースポリマーへの分散性を阻害しない範囲内でカルボキシル基、スルホン酸基、シアノ基、アミド基、アミノ基等様々な官能基を有していてもよい。 例えば、フッ素系界面活性剤がビニル系共重合体である場合は、モノマー成分として、ポリオキシアルキレン基を有するビニル系化合物及びフッ素化炭化水素基を有するビニル系化合物と共重合可能なモノマー成分が用いられてもよい。 このようなモノマーは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。

    上記共重合可能なモノマー成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシルなどの(メタ)アクリル酸C 1-20アルキルエステル;シクロペンチル(メタ)アクリレートなどの脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル;フェニル(メタ)アクリレートなどの芳香族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルが好適に用いられる。 その他、マレイン酸、クロトン酸等のカルボキシル基含有単量体;ビニルスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸基含有単量体;スチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル化合物;エチレン、ブタジエンなどのオレフィン又はジエン類;ビニルアルキルエーテルなどのビニルエーテル類;アクリルアミド等のアミド基含有単量体;(メタ)アクリロイルモルホリンなどのアミノ基含有単量体;(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなどのグリシジル基含有単量体;2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基含有単量体などが挙げられる。 さらにまた、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼンなどの多官能性共重合性単量体(多官能モノマー)が用いられてもよい。

    フッ素系界面活性剤の分子量は特に制限されないが、重量平均分子量が20000未満(例えば500以上、20000未満)であると、ベースポリマーと中空微小球状体との間の密着性や摩擦抵抗を低減する効果が高い。 さらに重量平均分子量20000以上(例えば20000〜100000、好ましくは22000〜80000、さらに好ましくは24000〜60000)のフッ素系界面活性剤を併用すると、気泡を含有する場合に、気泡の混合性や、混合された気泡の安定性が高まる。

    上記重量平均分子量20000未満のフッ素系界面活性剤(オキシC 2-3アルキレン基及びフッ素化炭化水素基を有するフッ素系界面活性剤)の具体例としては、商品名「フタージェント251」、商品名「FTX−218」(以上、(株)ネオス製)、商品名「メガファックF−477」、商品名「メガファックF−470」(以上、大日本インキ化学工業(株)製)、商品名「サーフロンS−381、S−383、S−393、KH−20、KH−40」(以上、セイケミカル(株)製)などが挙げられる。 重量平均分子量20000以上であるフッ素系界面活性剤(オキシC 2-3アルキレン基及びフッ素化炭化水素基を有するフッ素系界面活性剤)の具体例としては、商品名「エフトップEF−352、EF−801」(以上、(株)ジェムコ製)、商品名「ユニダインTG−656」(ダイキン工業(株)製)などが好適に用いられる。

    フッ素系界面活性剤の使用量(固形分)としては、特に制限されないが、例えば、粘弾性体層(X)を形成する樹脂組成物のベースポリマーを構成する全モノマー成分(特にアルキル(メタ)アクリレートを単量体主成分とするアクリル系ポリマーを形成するための全モノマー成分)100重量部に対して、0.01〜5重量部(好ましくは0.02〜3重量部、さらに好ましくは0.03重量部〜1重量部)の範囲で選択することができる。 使用量が0.01部未満では接着性能(粘着シートの接着性)に対する添加の効果が得られない場合があり、5重量部を超えると接着性能が低下する場合がある。

    粘弾性体層(X)を形成する樹脂組成物には、前記成分(フッ素系界面活性剤、ベースポリマー、中空微小球状体、重合開始剤など)の他に、適宜な添加剤が含まれていてもよい。 例えば、架橋剤(例えば、ポリイソシアネート系架橋剤、シリコーン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アルキルエーテル化メラミン系架橋剤など)、粘着付与剤(例えば、ロジン誘導体樹脂、ポリテルペン樹脂、石油樹脂、油溶性フェノール樹脂などからなる常温で固体、半固体、あるいは液状のもの)、可塑剤、充填剤、老化防止剤、着色剤(顔料や染料など)などの適宜な添加剤を含んでもよい。 例えば、光重合開始剤を用いて粘弾性体層(X)を形成する場合、着色のためには、光重合を阻害しない程度の顔料(着色顔料)を使用することができる。 粘弾性体層(X)を黒色とする場合、例えば、カーボンブラックを用いることができる。 着色顔料としてのカーボンブラックの使用量としては、着色度合いや光重合反応を阻害しない観点から、例えば、粘弾性体層(X)を形成する樹脂組成物のベースポリマーを構成する全モノマー成分(例えば、アクリル系ポリマーの場合には、アルキル(メタ)アクリレート等の全モノマー成分)100重量部に対して、0.15重量部以下(例えば0.001〜0.15重量部)が好ましく、より好ましくは0.02〜0.1重量部である。

    粘弾性体層(X)を形成する樹脂組成物は、上記ベースポリマーを形成するモノマー成分(例えば、アルキル(メタ)アクリレートなど)、重合開始剤、各種添加剤等を公知の手法を用いて混合することにより調製することができる。 また、粘度調整などの必要に応じて、モノマー成分を一部重合させてもよい。 調整方法の具体例としては、例えば、下記の手順が挙げられる。 (i)ベースポリマーを形成するためのモノマー成分(例えば、アルキル(メタ)アクリレートやその他の共重合モノマー)及び重合開始剤(例えば、光重合開始剤)を混合してモノマー混合物を調整し、(ii)該モノマー混合物に対して重合開始剤の種類に応じた重合反応(例えば、紫外線重合)を行って、一部のモノマー成分のみが重合した組成物(シロップ)を調製する。 次いで、(iii)得られたシロップに中空微小球状体と、必要に応じて、フッ素系界面活性剤やその他の添加剤を配合する。 さらに、粘弾性体層(X)に気泡を含有させる場合には、(iv)(iii)で得られた配合物に、気泡を導入して混合させることにより、粘弾性体層(X)を形成する樹脂組成物を得ることができる。 なお、粘弾性体層(X)を形成する樹脂組成物の調製方法はこれに限定されるものではなく、例えば、前記シロップの調製に際して、フッ素系界面活性剤や中空微小球状体を、モノマー混合中に予め配合するなどの調製方法でもよい。

    粘弾性体層(X)に気泡を含有させる場合には、粘弾性体層(X)中に気泡を安定的に混合して存在させる観点から、例えば上記の調製方法のように、気泡は粘弾性体層(X)を形成する樹脂組成物中に最後の成分として配合し混合させることが好ましい。 また、気泡を安定して混合させる観点では、気泡を混合する前の配合物(例えば、上記(iii)で得られた配合物)の粘度を高くすることが好ましい。 気泡を混合する前の配合物の粘度としては、特に限定されないが、例えば、5〜50Pa・s(BH粘度計、ローター:No.5ローター、回転数:10rpm、測定温度:30℃)が好ましく、より好ましくは10〜40Pa・sである。 粘度が5Pa・s未満では、粘度が低すぎて混合した気泡がすぐに合一して系外に抜けてしまう場合があり、50Pa・sを超えると、粘度が高すぎて粘弾性体層(X)の塗工による形成が困難となる場合がある。 なお、上記粘度は、例えば、アクリルゴム、増粘性添加剤などの各種ポリマー成分を配合する方法、ベースポリマーを形成するためのモノマー成分を一部重合させる方法などにより、調整することができる。

    粘弾性体層(X)を形成する樹脂組成物の調製方法において、気泡を混合する方法としては特に限定されず、公知の気泡混合方法を利用することができる。 例えば、装置の例としては、中央部に貫通孔を有する円盤上に細かい歯が多数ついたステータと、上記歯のついているステータと対向しており円盤上にステータと同様に細かい歯がついているロータとを備えた装置などが挙げられる。 この装置におけるステータ上の歯とロータ上の歯との間に気泡を混合させる配合物を導入し、ロータを高速回転させながら、貫通孔を通して気泡を形成させるためのガス成分(気泡形成ガス)を導入させることにより、気泡形成ガスが細かく分散され混合された樹脂組成物を得ることができる。

    なお、気泡の合一を抑制又は防止するためには、気泡の混合から、粘弾性体層(X)の形成までの行程を一連の工程として連続的に行うことが好ましい。 すなわち、前述のようにして気泡を混合させて、粘弾性体層(X)を形成する樹脂組成物を調製した後、続いて、該樹脂組成物を用いて、粘弾性体層(X)を形成することが好ましい。

    粘弾性体層(X)の形成方法は、特に制限されないが、例えば、剥離フィルムや基材等の適当な支持体上に、粘弾性体層(X)を形成する樹脂組成物を塗布し、樹脂組成物層を形成させ、該層を、必要に応じて、硬化(例えば、熱による硬化や、活性エネルギー線による硬化)や乾燥させる方法などが挙げられる。 中でも、前述のように、活性エネルギー線の照射による硬化が好ましい。

    上記粘弾性体層(X)の厚みとしては、特に制限されず、例えば、200〜5000μm(好ましくは300〜4000μm、さらに好ましくは400〜3000μm)の範囲から選択することができる。 厚みが200μmよりも小さいと、クッション性が低下して、曲面や凹凸面に対する粘着シートの接着性が低下し、5000μmよりも大きいと、均一な厚みの層又はシートが得られにくくなる。 なお、粘弾性体層(X)は、単層、複層のいずれの形態を有していてもよい。

    本発明の粘着シートに粘着剤層(Y)以外の粘着剤層が用いられる場合、該粘着剤層は、例えば、公知の粘着剤(例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、ウレタン系粘着剤、フッ素系粘着剤、エポキシ系粘着剤など)を用いて、公知の粘着剤層の形成方法を利用して形成することができる。 なお、粘着剤層(Y)以外の粘着剤層の厚みは、特に制限されず、目的や使用方法などに応じて適宜選択することができる。

    本発明の粘着シートは、ロール状に巻回された形態で形成されていてもよく、シートが積層された形態で形成されていてもよい。 すなわち、本発明の粘着シートは、シート状、テープ状などの形態を有することができる。 なお、ロール状に巻回された状態又は形態の粘着シートとしては、粘着面を剥離フィルム(セパレータ)により保護した状態でロール状に巻回された状態又は形態を有していてもよく、粘着面を支持体の他方の面に形成された剥離処理層(背面処理層)により保護した状態でロール状に巻回された状態又は形態を有していてもよい。 なお、支持体の面に剥離処理層(背面処理層)を形成させる際に用いられる剥離処理剤(剥離剤)としては、例えば、シリコーン系剥離剤や長鎖アルキル系剥離剤などが挙げられる。

    本発明の粘着シートの粘着面を保護するために用いる剥離フィルム(セパレータ)は、粘着シート作製の際に用いられたり、また、作製後使用されるまでの間における粘着面等の保護材として用いられる。 なお、本発明の粘着シート作製の際、剥離フィルムは必ずしも用いられなくてもよいが、光重合反応は空気中の酸素等により反応が阻害されるため、剥離フィルムで表面を被覆し酸素との接触を防止するために、用いられいることが好ましい。 なお、粘着シート利用の際には、通常、上記剥離フィルムは剥離して用いられる。

    上記剥離フィルムとしては、酸素を遮断し、且つ光透過性を有する限り特に制限されないが、例えば剥離処理剤(離型処理剤)により少なくとも一方の面が剥離処理(離型処理)された基材の他、フッ素系ポリマー(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロフルオロエチレン・フッ化ビニリデン共重合体等)からなる低接着性基材や、無極性ポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂など)からなる低接着性基材などが挙げられる。 なお、低接着性基材では、両面を剥離面として利用することができ、一方、剥離処理された基材では、剥離処理された面を剥離面として利用することができる。

    剥離フィルムとして用いられる、少なくとも一方の面が剥離処理(離型処理)された基材において、基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム等のポリエステルフィルム;ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等のオレフィン系樹脂フィルム;ポリ塩化ビニルフィルム;ポリイミドフィルム;ナイロンフィルムなどのポリアミドフィルム;レーヨンフィルムなどのプラスチック系基材フィルム(合成樹脂フィルム)が挙げられる。 また、紙製基材(上質紙、和紙、クラフト紙、グラシン紙、合成紙、トップコート紙など紙類から構成される基材)が用いられていてもよい。 中でも、ポリエチレンテレフタレートフィルム等のポリエステルフィルムが好適に用いられる。

    剥離処理剤(離型処理剤)としては、特に制限されず、例えば、シリコーン系剥離処理剤、フッ素系剥離処理剤、長鎖アルキル系剥離処理剤などを用いることができる。 剥離処理剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。 剥離フィルムは、例えば、公知慣用の方法により作製される。

    剥離フィルムの厚さは、酸素を遮断し、且つ光透過性を有する限り、特に制限されない。 また、剥離フィルムは、単層、積層の何れの形態を有していてもよい。

    本発明の粘着シートは、車両用塗膜表面に貼付して用いられる。 本発明にいう「車両用塗膜」とは、自動車、オートバイのボディー、鉄道車両の外装などの車両の外装に塗工されている塗膜を意味し、さらに、自動車、オートバイ、鉄道車両などの外装部品に塗工された塗膜も含むものとする。 中でも特に好ましくは、自動車のボディーなどの自動車用塗膜である。 なお、上記被着体である車両用塗膜の形状については特に制限されず、例えば、平面状、三次元の曲面状などの形状が挙げられる。 本発明の粘着シートは、例えば、自動車用塗膜に貼付して、塗膜を保護したり、装飾を付与する方法で用いることができる。 また、本発明の粘着シートを介して、上記自動車塗膜に物品を接合する方法で用いることができる。 上記物品としては、例えば、自動車の外装部品、ボディーの保護用部品や装飾部品が挙げられ、さらに具体的には、モール、プレート、サンルーフ、ピラーガーニッシュなどが挙げられる。

    上記車両用塗膜(代表的には自動車用塗膜)は、表面調整剤を含むものである。 表面調整剤を含まない塗膜の場合には、本発明の効果を得ることはできない。 自動車塗膜の構成としては、電着(下塗り)塗膜/中塗り塗膜/上塗りベース塗膜/上塗りクリア塗膜などが一般的であるが、本発明に用いられる塗膜としては、中塗り塗膜、上塗りベース塗膜、上塗りクリア塗膜に少なくとも表面調整剤を含む。 中でも、中塗り塗膜および上塗りベース塗膜が水系である場合には、クリア塗膜の塗工性を保つために、中塗り塗膜および上塗りベース塗膜に多量の表面調整剤を添加する必要があるため、表面調整剤が塗膜表面にブリードアウトしやすく、本発明の効果が顕著にあらわれる。

    上記自動車塗膜である上塗りクリア塗膜としては、特に制限されず、例えば、ポリエステル・メラミン系、アルキド・メラミン系、アクリル・メラミン系、アクリル・ウレタン系、アクリル・多酸硬化剤系などの各種塗膜が挙げられる。 中でも、アクリル・多酸硬化剤系の場合に、本発明の効果が顕著にあらわれる。

    本発明の粘着シートは、特に、メラミン含有量の少ない、あるいはメラミンを含有しない塗膜に対して好適に用いられる。 中でも、FT−IRを用いたATR測定法により得られる、エステルの伸縮振動(1730cm -1付近)のピーク(エステルピーク;エステル吸収強度;エステル強度)とメラミンの伸縮振動(814cm -1付近)のピーク(メラミンピーク;メラミン吸収強度;メラミン強度)との比[メラミン/エステルピーク比(メラミン/エステル強度比)]が、0.4以下(例えば、0〜0.4)[好ましくは0.3以下(例えば、0〜0.3)、さらに好ましくは0.2以下(例えば、0〜0.2)]である塗膜に対してより好適に用いられる。 なお、アクリル・メラミン塗膜は、メラミン架橋されているので、メラミン/エステルピーク比は大きい。 また、耐酸性雨塗膜は、メラミン架橋されていないので、メラミン/エステルピーク比は小さい。

    メラミン強度/エステル強度の強度比は、具体的には、以下の方法で求めた。 FT−IRを用いたATR測定法におけるIRチャートにおいて、1730cm -1付近のピークのベースラインからピークトップまでの高さをエステルの強度(エステル強度)とした。 一方、IRチャートにおいて、814cm -1付近のピークのベースラインからピークトップまでの高さをメラミンの強度(メラミン強度)とした。 そして、上記で得られたメラミン強度の値及びエステル強度の値から、下記式を用いて算出する。
    (メラミン/エステルの強度比)=(メラミン強度)/(エステル強度)

    上記表面調整剤は、塗膜の表面欠陥を調節する添加剤をいう。 中でも、特に消泡やレベリング性改良に用いられる。 表面調整剤としては、特に限定されないが、例えば、アクリル系、ビニル系、シリコーン系、フッ素系などの表面調製剤が挙げられるが、特に、数平均分子量4000〜30000(より好ましくは、4000〜20000)のアクリル系オリゴマーである表面調整剤であり、さらに具体的には、2−エチルヘキシルアクリレート、ブチルアクリレート、エチルアクリレートから選ばれた少なくとも一つを単量体成分として構成されるアクリル系オリゴマー(単独重合体または共重合体)などが挙げられる。 上記表面調整剤の市販品としては、例えば、ディスパロンLF−1900シリーズ(楠本化成(株)製)、ポリフローシリーズ(共栄社化学(株)製)などが挙げられる。

    上記表面調整剤の車両用塗膜(自動車塗膜)全体中の含有量は、特に限定されないが、0.01〜5重量%が好ましく、より好ましくは0.02〜3重量%である。 表面調整剤の含有量が0.01重量%未満である場合には、本発明の粘着シートを用いる効果が小さい。

    以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。 なお、以下、「%」、「部」とある場合には、いずれも重量基準である。

    [ビニル系モノマーの部分重合物(UVシロップ)A1の作製]
    モノマー成分として、2−エチルヘキシルアクリレート90重量部及びアクリル酸10重量部が混合されたモノマー混合物に、光重合開始剤として、商品名「イルガキュア651」(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ(株)製)0.05重量部、商品名「イルガキュア184」(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ(株)製)0.05重量部を配合した後、粘度(BH粘度計No.5ローター、10rpm、測定温度30℃)が約15Pa. sになるまで紫外線を照射して、一部が重合した部分重合物(UVシロップ)A1を作製した。

    [ビニル系モノマーの部分重合物(UVシロップ)A2の作製]
    モノマー成分として、2−エチルヘキシルアクリレート70重量部及びジエチルアクリルアミド30重量部が混合されたモノマー混合物に、光重合開始剤として、商品名「イルガキュア651」(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ(株)製)0.05重量部、商品名「イルガキュア184」(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ(株)製)0.05重量部を配合した後、粘度(BH粘度計No.5ローター、10rpm、測定温度30℃)が約15Pa. sになるまで紫外線を照射して、一部が重合した部分重合物(UVシロップ)A2を作製した。

    [(メタ)アクリル酸エステルオリゴマーD1の作製]
    トルエン100重量部、シクロヘキシルメタクリレート90重量部、ロジン変性アクリレート(荒川化学(株)製、商品名「ビームセット 101」)10重量部、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル0.2重量部および2−メルカプトエタノール3重量部を、4つ口フラスコに投入し、窒素雰囲気下で、70℃で2時間、80℃で1時間反応させた。
    その後、反応液をメタノール中へ添加し、オリゴマーを沈殿させ、取り出し、さらに減圧乾燥機により乾燥処理し、(メタ)アクリル酸エステルオリゴマーD1を得た。 D1の重量平均分子量は5000であった。

    [(メタ)アクリル酸エステルオリゴマーD2の作製]
    ロジン変性アクリレートを、荒川化学(株)製、商品名「ビームセット 102」に変更した以外は、上記(メタ)アクリル酸エステルオリゴマーD1と同様にして、オリゴマーを作製し、(メタ)アクリル酸エステルオリゴマーD2を得た。 D2の重量平均分子量は8000であった。

    [(メタ)アクリル酸エステルオリゴマーD3の作製]
    トルエン100重量部、シクロヘキシルメタクリレート100重量部、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル0.2重量部および2−メルカプトエタノール3重量部を、4つ口フラスコに投入し、窒素雰囲気下で、70℃で2時間、80℃で1時間反応させた。
    その後、反応液をメタノール中へ添加し、オリゴマーを沈殿させ、取り出し、さらに減圧乾燥機により乾燥処理し、(メタ)アクリル酸エステルオリゴマーD3を得た。 D3の重量平均分子量は4000であった。

    [気泡含有粘弾性層の作製]
    上記UVシロップA1:100重量部(全量)に、1,6−ヘキサンジオールジアクリレートを0.1重量部添加した。 次いで、中空ガラスバルーンとして、商品名「セルスター Z−27」(東海工業(株)製)を、シロップA1の全体積に対して、30容量%の割合で添加した。 さらに、フッ素系界面活性剤として、商品名「サーフロン S−393」(セイケミカル(株)製;側鎖にポリオキシエチレン基及びフッ素化炭化水素基を有するアクリル系共重合体を有するアクリル系共重合体、重量平均分子量Mw=8300)1重量部を添加して、粘弾性組成物を作製した。
    前記粘弾性組成物を、中央部に貫通孔を有する円盤上に細かい歯が多数ついたステータと、上記歯のついているステータと対向しており円盤上にステータと同様に細かい歯がついているロータとを備えた装置を用いて窒素を導入し、気泡を混合させた。 気泡の混合量は吐出してきた液全体積に対して(気泡含有粘弾性組成物に対して)、約15体積%となるように導入し、気泡含有粘弾性組成物を得た。
    上記で得られた気泡含有粘弾性組成物を、径が19mm、長さ約1.5mのチューブにて、ロールコーターへ導き、片面に剥離処理が施されたポリエチレンテレフタレート(PET)製フィルム基材の剥離処理面の間に、気泡含有粘弾性組成物を、乾燥及び硬化後の厚さが1.0mmとなるように塗布した(PETフィルム上にコーター塗布した後、もう1枚のPETフィルムを重ね合わせている)。 即ち、2枚のポリエチレンテレフタレート製フィルム基材の間に気泡含有粘弾性組成物を挟み込む構造とした。
    次いで、照度約4mW/cm 2の紫外線を両面から180秒間照射し、気泡含有粘弾性組成物を硬化させて、気泡含有粘弾性層を作製した。

    実施例1
    上記UVシロップA1:100重量部に対して、(メタ)アクリル酸エステルオリゴマーD1:5重量部、ヘキサンジオールジアクリレート:0.08重量部を添加した後、これらを均一に混合して、アクリル系粘着剤組成物を得た。
    上記アクリル系粘着剤組成物を、厚み38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製「ルミラー S−10」)上に、最終的な厚み(粘着剤の厚み)が60μmとなるように塗布し、塗布層を形成した。
    次いで、上記塗布層上に、片面をシリコーンで剥離処理した厚み38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを、剥離処理面が上記塗布層側になるように、塗布層を被覆して酸素を遮断した。
    その後、このシートの上面(剥離フィルム側)からブラックライトランプ(東芝(株)製「TOSHIBA FL15BLB」)にて、照度4mW/cm 2 ((株)トプコン製UVチェッカー「UVR−T1」(最大感度:約350nm)で測定)の紫外線を180秒間照射した。 さらに、130℃の乾燥機で3分間熱処理を行い、残存モノマーを揮発させて、粘着剤層を形成し、粘着シートを得た。

    実施例2
    (メタ)アクリル酸エステルオリゴマーD1のかわりに、(メタ)アクリル酸エステルオリゴマーD2を用いた以外は、実施例1と同様にして、アクリル系粘着剤組成物および粘着シートを得た。

    実施例3
    UVシロップA1のかわりに、UVシロップA2を用いた以外は、実施例1と同様にして、アクリル系粘着剤組成物および粘着シートを得た。

    実施例4
    UVシロップA1のかわりに、UVシロップA2を用いた以外は、実施例2と同様にして、アクリル系粘着剤組成物および粘着シートを得た。

    実施例5
    片面をシリコーンで剥離処理した厚み38μmのポリエステルフィルムの剥離処理面上に、実施例1と同じアクリル系粘着剤組成物を最終的な厚みが60μmとなるように塗布し、塗布層を形成した。
    次いで、上記塗布層上に、片面をシリコーンで剥離処理した厚み38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを、剥離処理面が上記塗布層側になるように、塗布層を被覆して酸素を遮断した。 さらに、実施例1と同様に、紫外線照射および熱処理を行い、粘着剤層を形成した。
    その後、一方のポリエステルフィルムを剥離して、粘着剤層を上記で得られた気泡含有粘弾性層と貼り合わせて、粘着シートを得た。

    比較例1
    (メタ)アクリル酸エステルオリゴマーD1のかわりに、(メタ)アクリル酸エステルオリゴマーD3を用いた以外は、実施例1と同様にして、アクリル系粘着剤組成物および粘着シートを得た。

    比較例2
    (メタ)アクリル酸エステルオリゴマーD1を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして、アクリル系粘着剤組成物および粘着シートを得た。

    比較例3
    アクリル系粘着剤組成物として、比較例2で作製したアクリル系粘着剤組成物を用いた以外は、実施例5と同様にして、粘着シートを得た。

    [塗膜の評価]
    (1)被着体(自動車塗膜)
    実施例、比較例の粘着シートの評価には、被着体として、以下の自動車塗膜(I)および自動車塗膜(II)を用いた。
    自動車塗膜(I)(酸性雨耐性塗膜) : 鋼板上に電着塗料、中塗り塗料、メタリック塗料の各塗料を順に塗工したものに、酸性雨耐性クリヤー塗膜(アクリル/スチレン系・非メラミン架橋タイプ、シリコーン系表面調整剤含有)を厚み50μmで塗工したものを用いた。
    自動車塗膜(II)(アクリル・メラミン塗膜): 鋼板上に電着塗料、中塗り塗料、メタリック塗料の各塗料を順に塗工したものに、クリヤー塗膜(アクリル/スチレン系・メラミン架橋タイプ、シリコーン系表面調整剤含有)を厚み50μmで塗工したものを用いた。
    上記自動車塗膜(I)および自動車塗膜(II)のIR測定におけるメラミンピークとエステルピークの強度比を表1に示す。

    なお、上記強度比は以下のようにして測定した。
    自動車塗膜面をイソプロピルアルコールにて洗浄した後、FT−IR ATR法により、下記の条件でIRスペクトルを測定した。
    (測定条件)
    装置 : パーキンエルマー社製、「Spectrum2000FT−IR」
    プリズム : ゲルマニウム45°プリズム 積算回数 : 16回 分解能(Resolution):4.0cm -1
    Gain : 1

    得られたIRスペクトルにおいて、1730cm -1付近のピークのベースラインからピークトップまでの高さをエステルの強度(エステル強度)、814cm -1付近のピークのベースラインからピークトップまでの高さをメラミンの強度(メラミン強度)とした。 メラミンピークとエステルピークの強度比は強度比=(メラミン強度)/(エステル強度)より算出した。

    (2)PETフィルム基材の粘着シートの接着力測定(実施例1〜4および比較例1、2)
    実施例1〜4および比較例1、2で得られた粘着シートから、25mm幅の短冊状サンプルを切り出し、測定に用いた。 なお、剥離フィルムは剥離した後、測定を行った。
    測定用サンプルである粘着シートの粘着剤層側を、洗浄を行わない上記自動車塗膜およびイソプロピルアルコールにて洗浄(イソプロピルアルコールを染み込ませたクリーンウエスにて10往復擦ることによる)した上記自動車塗膜に、2kgのゴムローラー(幅40mm)を1往復させて接着した。
    23℃、50%RHの雰囲気下で30分間放置した後、粘着シートの剥離試験(180°ピール、引張速度300mm/分、サンプル幅25mm)を行い、剥離距離10〜50mmの剥離力の平均値を測定し、接着力とした。

    (3)気泡含有粘弾性層を有する粘着シートの接着力測定(実施例5および比較例3)
    実施例5、比較例3で得られた粘着シートから、25mm幅の短冊状サンプルを切り出し、測定に用いた。
    測定用サンプルである粘着シートの粘着剤層側を、洗浄を行わない上記自動車塗膜およびイソプロピルアルコールにて洗浄した上記自動車塗膜に、5kgのゴムローラー(幅40mm)を用いて片道1回で圧着した。
    23℃、50%RHの雰囲気下で30分間放置した後、粘着シートの剥離試験(180°ピール、引張速度50mm/分、サンプル幅25mm)を行い、剥離距離10〜50mmにおける剥離力曲線のピーク値の10点平均値を測定し、接着力とした。
    上記、「剥離距離10〜50mmにおける剥離力曲線のピーク値の10点平均値」は次のようにして算出する。 まず、剥離試験より得られた剥離力曲線(波状の形状を有する)の剥離距離10〜50mmの部分(算出範囲)において、ピーク(複数の波のそれぞれの頂点部分をいう)のうち、算出範囲の最初と最後のピークを除き、さらに最も高いピークを除いた残りピークの中で、応力の高いものから10点のピーク値を平均する。 算出範囲中に上記ピークが10点未満の場合には、全てのピーク値を平均する。

    上記測定の繰り返し測定数(N数)はいずれも3回(平均値)である。

    (4)接着率 上記(2)および(3)の接着力測定で得られた、未洗浄の自動車塗膜面に対する接着力、洗浄した自動車塗膜面に対する接着力より以下の式に従って、接着率(%)を算出した。
    接着率(%)= (未洗浄の自動車塗膜面に対する接着力)/(洗浄した自動車塗膜面に対する接着力)×100
    上記接着率は、自動車塗膜中の表面調整剤のブリードアウトの接着力におよぼす影響を規格化した値であり、100%に近いほど、自動車塗膜中の表面調整剤のブリードアウトの影響を受けにくく、接着力が安定していることを示している。

    上記(2)〜(4)の評価結果を表2に示す。 なお、表2においては、「未洗浄の自動車塗膜面」を「未洗浄面」、「洗浄した自動車塗膜面」を「洗浄面」と称する。

    実施例1、2と比較例1、2及び実施例5と比較例3の比較からも明らかなように、本発明の粘着シートは、従来技術においては難接着であった、表面調整剤の存在する表面(未洗浄面)に対して優れた接着力を示す。 また、接着率が高く、表面調整剤が表面に存在する塗膜面に対しても、表面調整剤の影響が少なく、良好な接着性が得られる。 特に、未洗浄の(表面調整剤が存在する)酸性雨耐性塗膜面(自動車塗膜(I))に対して、優れた接着性能を示す。
    また、実施例3、4からは、塩基性モノマーの使用により、特に酸性雨耐性塗膜に高い効果を発揮することがわかる。

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