剣山型マイクロニードルの製造方法およびマイクロニードル

申请号 JP2014211784 申请日 2014-10-16 公开(公告)号 JP2015016368A 公开(公告)日 2015-01-29
申请人 国立大学法人 香川大学; Kagawa Univ; 国立大学法人 香川大学; 株式会社クレハ; Kureha Corp; 发明人 MIHARA YUTAKA; OHIRA FUMIKAZU; YOSHIMURA HIDENORI; OSUGA KENJI;
摘要 【課題】樹脂製のマイクロニードルの製造方法を提供する。【解決手段】液体吐出装置と微細な内径の多連ノズルを使用して、熔融樹脂を 基板 に1回以上吐出させ、密着した溶融樹脂を引き伸ばして微小針を形成することにより、所望のサイズの微小針を製造する方法であって、得られたマイクロニードルの微小針は、1段又は複数段の樹脂層を持ち、それが全体として一体となった伸展型の微小針を形成している。本発明は、熔融樹脂を基板に1回以上吐出させ、密着した溶融樹脂を引き伸ばして微小針を製造することを特徴とするマイクロニードルの製造方法とこの製造方法によって得られた特徴的な微小針を持つマイクロニードルに関するものである。【選択図】図5
权利要求
  • 液体吐出装置と微細な内径の多連ノズルを使用して、樹脂製のマイクロニードルを製造する方法であって、
    液体吐出装置を用いて多連ノズルから微量の熔融樹脂を吐出させた状態で、多連ノズルと基板とを接近させて熔融樹脂を基板に接着し、
    多連ノズルと基板とを離間して接着された溶融樹脂を引き伸ばして微小針を形成することを特徴とする樹脂製のマイクロニードルの製造方法。
  • 多連ノズルと基板とを離間させている途中で、多連ノズルから熔融樹脂を追加吐出することを特徴とする請求項1記載のマイクロニードルの製造方法。
  • 追加吐出を2回または3回行うことを特徴とする請求項2記載のマイクロニードルの製造方法。
  • 硬化して微小針が形成された後、液体吐出装置を用いて多連ノズルから微量の熔融樹脂を吐出して、吐出させた熔融樹脂を微小針の先端に接触させて、その後、多連ノズルと基板とを離間することを特徴とする請求項1、2または3記載のマイクロニードルの製造方法。
  • 硬化して微小針が形成された後、多連ノズルと基板とを接近させて微小針の先端を多連ノズルの熔融樹脂に接触させて、その後、多連ノズルと基板とを離間することを特徴とする請求項1、2または3記載のマイクロニードルの製造方法。
  • 上記樹脂が生体内分解性樹脂であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のマイクロニードルの製造方法。
  • 上記基板が生体内分解性樹脂製の基板であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のマイクロニードルの製造方法。
  • 樹脂が、PLA、PGA、PLGAのいずれかであることを特徴とすることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のマイクロニードルの製造方法。
  • 前記基板が樹脂からなり、該基板を樹脂の融点未満の温度に加熱することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のマイクロニードルの製造方法。
  • 基板上に複数の樹脂製の微小針が設けられた樹脂製のマイクロニードルであって、
    前記複数の微小針は、
    請求項1〜9のいずれかに記載された方法によって製造されたものであることを特徴とする樹脂製のマイクロニードル。
  • 前記微小針は、
    円錐台状の底部と、
    該底部に積層された針状部と、を備えており、
    該針状部は、
    側面が弧状である円錐状に形成されていることを特徴とする請求項10記載の樹脂製のマイクロニードル。
  • 前記針状部が、
    鋭利な円錐状に形成されている先端部分と、
    該先端部分と底部との間に設けられた、側面が緩やかな勾配に形成された中央部分と、を備えていることを特徴とする請求項11記載の樹脂製のマイクロニードル。
  • 上記樹脂がPLA、PGA、PLGAのいずれかであることを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載の樹脂製のマイクロニードル。
  • 说明书全文

    本発明は、ディスペンサーと微細な多連ノズルを使用するマイクロニードルの製造方法である。 特に樹脂製のマイクロニードルや樹脂製の微小針の製造方法に関するものである。

    経皮吸収型薬品の投与は、薬剤活性ための重要な経路であるが、ヒトの皮膚は、表面から厚さ約20〜80μmの質層、約300〜400μmの表皮、約500μmの真皮で構成されている。 この中で、角質層が、多くの化学物質に対する有効な障壁となっており、そのため、皮膚を透過して体内に滲入できる薬剤活性物質の数は非常に限られている。 角質層の透過のし易さは、化合物の極性、logP、及び分子サイズ等の要因によって決まると考えられている。 一方、多くの薬剤が合成されているが、経口投与には適さないものも多数ある(例えば、胃腸管や第1経路の肝代謝における不安定さに起因する)。 従って、現在においても、経皮投与ルートは、不確かではあるが、薬剤投与の魅的なルートとして残されている。

    皮膚から内へ薬剤を滲入させる多くの試みがなされており、マイクロニードルによる経皮投与方法は、その中でもワクチン投与の方面で注目を集めており、幾つかの製造方法がこれまで報告されている。 特許文献1には、新しい試みとして、UV硬化性アクリレート接着剤を使用したマイクロニードルの作製を開示している。 この方法は、ピンの頭部に溶液を付着させ、それを平板に接触させてUV照射を行い、溶液が固化し始めた段階で、平板を引き離して、鋭い針状構造体を形成するという方法である。

    しかしながら、この方法では、数本の距離の離れたピンを使用した場合にはうまく行くが、1平方cm当たり50本以上のピンを使用する場合には、溶液の表面張力で、ピン全体に溶液が付着してしまい、目的とする微小針は得られない。 従って、生体内分解性材料を使用して、品質が良好で、強度のあるマイクロニードルを製造するためには、更なる改良が求められていた。

    特表2008−509771号公報

    本発明の課題は、樹脂製のマイクロニードルを工業的に量産できる製造方法とその方法で得られる強度の強いマイクロニードルを提供することを目的とする。 更に詳しくは樹脂として生体内分解性材料を用いたマイクロニードルの製造方法を提供することである。

    第1発明の樹脂製のマイクロニードルの製造方法は、液体吐出装置と微細な内径の多連ノズルを使用して、樹脂製のマイクロニードルを製造する方法であって、液体吐出装置を用いて多連ノズルから微量の熔融樹脂を吐出させた状態で、多連ノズルと基板とを接近させて熔融樹脂を基板に接着し、多連ノズルと基板とを離間して接着された溶融樹脂を引き伸ばして微小針を形成することを特徴とする。
    第2発明の樹脂製のマイクロニードルの製造方法は、第1発明において、多連ノズルと基板とを離間させている途中で、多連ノズルから熔融樹脂を追加吐出することを特徴とする。
    第3発明の樹脂製のマイクロニードルの製造方法は、第2発明において、追加吐出を2回または3回行うことを特徴とする。
    第4発明の樹脂製のマイクロニードルの製造方法は、第1、第2または第3発明において、硬化して微小針が形成された後、液体吐出装置を用いて多連ノズルから微量の熔融樹脂を吐出して、吐出させた熔融樹脂を微小針の先端に接触させて、その後、多連ノズルと基板とを離間することを特徴とする。
    第5発明の樹脂製のマイクロニードルの製造方法は、第1、第2または第3発明において、硬化して微小針が形成された後、多連ノズルと基板とを接近させて微小針の先端を多連ノズルの熔融樹脂に接触させて、その後、多連ノズルと基板とを離間することを特徴とする。
    第6発明の樹脂製のマイクロニードルの製造方法は、第1乃至第5発明のいずれかにおいて、上記樹脂が生体内分解性樹脂であることを特徴とする。
    第7発明の樹脂製のマイクロニードルの製造方法は、第1乃至第6発明のいずれかにおいて、上記基板が生体内分解性樹脂製の基板であることを特徴とする。
    第8発明の樹脂製のマイクロニードルの製造方法は、第1乃至第7発明のいずれかにおいて、樹脂が、PLA、PGA、PLGAのいずれかであることを特徴とすることを特徴とする。
    第9発明の樹脂製のマイクロニードルの製造方法は、第1乃至第8発明のいずれかにおいて、前記基板が樹脂からなり、該基板を樹脂の融点未満の温度に加熱することを特徴とする。
    第10発明の樹脂製のマイクロニードルは、基板上に複数の樹脂製の微小針が設けられた樹脂製のマイクロニードルであって、前記複数の微小針は、第1〜第9発明のいずれかに記載された方法によって製造されたものであることを特徴とする。
    第11発明の樹脂製のマイクロニードルは、第10発明において、前記微小針は、円錐台状の底部と、該底部に積層された針状部と、を備えており、該針状部は、側面が弧状である円錐状に形成されていることを特徴とする。
    第12発明の樹脂製のマイクロニードルは、第11発明において、前記針状部が、鋭利な円錐状に形成されている先端部分と、該先端部分と底部との間に設けられた、側面が緩やかな勾配に形成された中央部分と、を備えていることを特徴とする。
    第13発明の樹脂製のマイクロニードルは、第10乃至第12発明のいずれかにおいて、上記樹脂がPLA、PGA、PLGAのいずれかであることを特徴とする。

    本発明の製造法によれば、微小針と基板が密着して一体となった樹脂製のマイクロニードルが容易に大量に製造できる。 規格の揃った、穿刺し易いマイクロニードルを工業的レベルで供給することができるようになった。

    また、この製造方法では、これまで作り難いとされていた500μmを超える長さの微小針のマイクロニードルを規格品質良く作製することができ、微小針の長さと太さを必要に応じて制御することができる。

    更に、樹脂として生体内分解性樹脂(例えばPGA樹脂)を使用すれば、強度が強く、先の鋭いマイクロニードルが作製できる。 このPGA製のマイクロニードルは、皮膚への穿刺が容易で、マイクロニードルの針先の折損を起こすことがない。

    本発明の製造方法(熔融樹脂の1段階吐出法)の概要を示す図である。

    本発明の製造方法(熔融樹脂の2段階吐出法)の概要を示す図である。

    本発明の製造方法(熔融樹脂の1段階吐出法)で形成されたマイクロニードルを側面から見た図(写真)である。 多連ノズルとその下に形成されたPGA製の微小針(マイクロカバーグラス基板上)が示されている。

    本発明の製造方法(熔融樹脂の2段階吐出法)で形成されたPGA製のマイクロニードルの斜視図(写真)である。

    実施例3で得られたPGA製のマイクロニードルの斜視図(写真)である。

    図5のマイクロニードルの微小針部分拡大写真(左図)と微小針の模式図(右図)である。

    ローソク状の微小針を持つPGA製のマイクロニードルの斜視図(写真)である。

    PGA製マイクロニードルを用いたヘアレスラットの皮膚への穿刺結果を表わした図(皮膚表面の様子を示した写真)である。

    2段階吐出法で作製された微小針の先端部に対して鋭利化の加工を行なって得られたPGA製マイクロニードルの斜視図(写真)である。

    本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意検討を行い、図1〜図3に示されるように、ディスペンサーと微細な多連ノズルを使用して、新たにマイクロニードルを製造する方法を見出した。 特に、微小針の高さが大きいマイクロニードルを作製する方法として図2に示される方法が好適であることを見出した。
    即ち、溶融した樹脂(例えばポリグリコール酸樹脂やポリ乳酸樹脂等の生体内分解性材料)を、ディスペンサーを用いて微細な多連ノズルから吐出させ、同時に樹脂性の基板に多連ノズルを接近させ、溶融樹脂を樹脂基板に密着固定させる。 次いで、該ノズルと基板を引き離し、更に溶融した樹脂を吐出する。 その後、更に該ノズルと基板を引き離すことによって樹脂性の一体となったマイクロニードルを製造する方法である。 このような、溶融樹脂の2段階吐出方法を見出すことにより、溶融樹脂と樹脂基板が一体化し、針の高さが大きく強度の高いマイクロニードルを得ることが出来る。
    また、使用する樹脂に応じて、多連ノズルの温度、樹脂基板の温度等の条件とノズルと樹脂基板の引き離し速度や距離を適宜選択することにより、針の高さと太さを変化させることができ、所望の樹脂製のマイクロニードルを容易に製造できることを見出した。
    以下、本発明を、添付図面に示された好ましい態様を参照して更に詳細に説明する。 なお、図面において、同一または相当する要素には同様の参照番号を付した。

    本発明の第1の態様は、マイクロニードルの製造方法に関するものである。 例えば、図1と図2にその概要を示している。 図1と図2には多連ノズルの内、一つのノズル(1)を代表的に例示している。
    図1に示される製造方法(熔融樹脂の1段階吐出法)では、まず第1の段階では、樹脂(例えばPGA等の生体内分解性の樹脂)を熔融させ、ノズル(1)から熔融樹脂を少量吐出させる。 Z昇降ステージ等の微小距離移動装置に設置した樹脂(例えばPGA等の生体内分解性の樹脂)の基板(2)を上昇させる。
    第2の段階では、ノズル(1)と基板とで熔融樹脂を基板に密着させ、少量吐出した熔融樹脂を基板(2)に密着固定する。 この時、ノズル(1)の先端と基板(2)の間隔は、熔融樹脂の吐出量と関係するので、マイクロニードルの微小針の形成(針の高さと根元の径)に大きく影響する。 従って、この間隔は50μm以上が好ましく、より好ましくは、約200μm前後であれば微小針の高さが約500μm前後以上の高い針が得られることが分かった。 その、微小針の根元の径は、約200μm前後の幅となり、細い微小針が得られることが分かった。
    第3の段階では、基板(2)を降下させ、ノズル(1)の間の熔融樹脂を伸展し冷却させる。 基板の降下速度が遅い場合(例えば100μm/sec)、形成される微小針の高さは低く、太い針が出来る傾向にあり、基板の降下速度が速い場合(例えば500μm/sec)、形成される微小針の高さは高く、細い針が出来る傾向にあった。
    第4の段階では、熔融樹脂が糸状に伸展され、樹脂の表面張力により糸状に形成された樹脂が切断されて固化し、微小針が形成される。 基板が引き離される移動距離が小さければ(例えば600μm)、微小針の高さが低くて(約350μm)、太い針が出来やすい傾向にあった。 反対に、移動距離が大きければ(例えば1000μm)、微小針の高さが高くて(約500μm)、細い針が出来やすい傾向にあった。
    なお、基板(2)とノズル(1)はどちらが移動してもよい。 上記のように相対的な距離が変化すればよい。

    図2に示される製造方法(熔融樹脂の2段階吐出法)では、まず第1の段階では、熔融樹脂をノズル(1)から少量吐出させ、直ちに樹脂基板を上昇させる。
    第2の段階では、ノズル(1)と樹脂基板(2)を接近させる。 これにより、熔融樹脂と樹脂基板(2)を密着させる。 その後、樹脂基板(2)を降下させ、ノズル(1)と樹脂基板(2)の間を一定の距離だけ引き離す。
    第3の段階では、更に熔融樹脂を吐出させ、引き離した距離の間を熔融樹脂で充填する。 この吐出された熔融樹脂量が、微小針の形状(高さと太さ)に大きく影響する。 例えばノズル(1)と樹脂基板(2)を約200μm引き離し、その間を熔融樹脂で充填すると、長い微小針(約500μm)を得ることができるようになった。
    第4の段階では、図1の場合と同様に基板(2)を降下させ、ノズル(1)の間の熔融樹脂を伸展し冷却させる。 第2の段階で少量吐出され基板に密着した熔融樹脂と、第3の段階でその上に吐出された熔融樹脂が、合わせて一体として伸展される。
    第5の段階では、最初に吐出された熔融樹脂がほぼ円錐台状の土台となり、その上に第2回目に吐出された熔融樹脂が糸状に伸展され、細くなった部分が熔融樹脂の表面張力で切断されて、微小針を形成ずる。 例えばノズル(1)と樹脂基板(2)を約200μm引き離し、熔融樹脂の吐出量や樹脂基板の移動速度等を調整することにより、図5で示されるようなマイクロニードルが作成できる。 微小針の様子を拡大した写真が図6の左図であり、それを側面図として表したものが図6の右図である。

    本発明の「液体吐出装置(ディスペンサー)」とは、流体を少量吐出させる精密液体吐出装置であり、一般には印刷等のドットプリンター等で汎用されている装置である。 本発明においては、熔融樹脂をミクロなノズルから吐出させるため、樹脂の融点以上の高温で使用できることが必要である。 それ故、高温仕様のディスペンサー装置であれば特に限定されることはない。 例えば、武蔵エンジニアリング社製のディスペンサー装置を使用することが可能である。
    本発明の「多連ノズル」とは、作製するマイクロニードルの微小針の位置に対応して、約300μm〜1mmの間隔で、微小なノズルをアレイ状に設置したものである。 例えば外径350〜830μm、内径約150〜390μmのニードルを使用することができ、ニードルの本数も必要に応じて50本〜500本設置することができる。

    本発明の「樹脂」とは、汎用の石油化学樹脂や生体内分解性樹脂のことを言う。 石油化学樹脂とは、例えばポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリメタアクリル酸樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等の合成樹脂を挙げることができる。
    生体内分解性樹脂とは、生体内で分解性を有する樹脂状の高分子化合物のことであり、例えば、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA)等の脂肪族ポリエステル(ポリ脂肪酸エステル)、例えばマルトース、ラクトース、スクロース、マンニトール、ソルビトール等の多糖類を挙げることができる。
    中でも、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、乳酸・グリコール酸共重合体が好ましく、ポリ乳酸、ポリグリコール酸が特に好ましい。 また、多糖類としては、マルトースが好適である。

    本発明の「ポリ乳酸(PLA)」とは、L−乳酸及び/またはD−乳酸を主たる単量体成分とするポリマーである。 また、ポリ乳酸は、例えば、乳酸メチル、乳酸ブチル、乳酸ヘキサデシル等の乳酸エステルとの混合、あるいは、経皮製剤として使用可能な可塑剤、酸化防止剤等の添加剤との混合によって所望の物性のものを得ることができる。

    本発明の「ポリグリコール酸(PGA)」とは、グリコール酸を主たる単量体成分とするポリマーである。 好ましくは、繰り返し単位(OCH2CO)を70質量%以上含む、より好ましくは90質量%以上含む、重量平均分子量が2万から100万の重合体である。 好ましい分子量は5万から80万の、より好ましくは7万から50万のものを挙げることができる。 PGAの融点は、180℃から230℃の範囲であり、好ましくは200℃から230℃の範囲の重合体を挙げることができる、より好ましくは210〜230℃の融点の重合体を上げることができる。

    本発明では、液体吐出装置より吐出される熔融樹脂の温度は、使用する樹脂の融点よりも10〜20℃高い温度を設定する。 例えば、PGAを使用する場合には、240〜270℃の温度に熔融樹脂の温度を設定することが好ましい。 より好ましくは、約250℃を挙げることができる。 液体吐出装置より吐出される熔融樹脂の吐出量は、熔融樹脂への吐出圧力(MPa)と吐出時間(sec)で設定される。 従って、吐出圧力が一定であると、吐出時間の長短で熔融樹脂の吐出量を調節することができる。
    本発明の「基板」とは、金属製、Si製、ガラス製あるいは樹脂製の平な均一平面を持つ平板を言う。 金属製基板として、例えばステンレス製、銅製、ニッケル製、真鍮製の平板を挙げることができる。 Si製基板としては、例えばシリコンウェハー等の平板を挙げることができる。 ガラス製基板としては、汎用のガラス平板を使用することが可能であり、例えばマイクロカバーグラス等のガラス平板を挙げることができる。 樹脂製基板としては、前述の合成樹脂や生体内分解性樹脂の平板を言う。

    本発明では、基板の温度は、熔融樹脂が密着して、しかも基板を引き離した時に、熔融樹脂が伸展され冷却されて、適切な微小針が形成できるように、加熱又は冷却することが適宜選択される。 熔融樹脂の融点が高温の場合、基板との温度差が大きいため、溶融樹脂が素早く冷却固化し、基板に接着しないことから、基板の温度はある程度高温でなければならない。 また、基板の温度が高温すぎる場合には、溶融樹脂が冷却固化せず、微小針が整形できない。 また、樹脂製基板を使用する場合には、熔融樹脂との密着性を向上させるためには、溶着し易い温度に設定する必要がある。 これらの温度範囲は、熔融樹脂の種類と基板の種類によって適宜選択することが出来る。 例えば、熔融樹脂としてPGAを使用し、基板としてPGA製基板を使用する場合には、基板の温度が160℃以上になると、吐出した熔融樹脂の温度が下り切らず、針状に形成できなかった。 基板の温度を下げて行けば、次第に形成される微小針の先端まできちんと樹脂が硬化し、針が形成されやすくなった。 しかし、基板の温度が、約95℃より下ると、熔融樹脂と基板の密着性が悪くなる傾向であった。 好ましい温度範囲としては、約95〜150を挙げることができ、より好ましい温度範囲としては、約95〜120の範囲であると考えられる。 また、熔融樹脂としてPGAを使用し、基板としてガラス製基板を使用する場合には、120〜150℃の範囲が好ましく、より好ましくは、130〜140℃の範囲を挙げることができる。

    本発明の製造方法において、熔融樹脂の1段階吐出法では、最初に熔融樹脂を吐出させて、ノズル(1)と基板(2)の間に熔融樹脂を密着させる場合、作製する微小針の大きさに依存して、ノズル(1)と基板(2)の距離を適宜選択することが出来る。 例えば約500μmの高さの微小針を作製する場合には、ノズル(1)と基板(2)の距離は、約200〜500μmである。 好ましくは、約200〜300μmを挙げることができる。
    本発明の製造方法において、熔融樹脂の2段階吐出法では、第1回目と第2回目の溶融樹脂を吐出する際のノズル(1)と基板(2)の距離は、前記と同様に、作製する微小針の大きさに依存して、第1回目と第2回目の溶融樹脂吐出時のノズル(1)と基板(2)の距離を適宜選択することが出来る。 例えば約500μmの高さの微小針を作製する場合には、第1回目に熔融樹脂を吐出させる場合のノズル(1)と基板(2)の距離は、約50〜300μmである。 好ましくは、約50〜250μmを挙げることができる。 第1回目の熔融樹脂の吐出後、ノズル(1)と基板(2)の距離を更に約200〜500μm引き離す。 好ましい引き離し距離は、約200〜300μmを挙げることができる。 ノズル(1)と基板(2)の引き離しを行なうと共に、第2回目の溶融樹脂の吐出を行なって、ノズル(1)と基板(2)の間を樹脂で充填する。 第2回目の熔融樹脂を吐出させ、ノズル(1)と基板(2)の間に熔融樹脂を充填した後に、基板を降下させる。 降下させる距離は、約400〜1000μmである。 好ましくは、約600〜700μmを挙げることができる。 その際の基板の降下速度は、約200〜400μm/secが好適である。

    また、次の操作を行なうことにより、微小針の先端部分の鋭利さを増すことができる。 即ち、ノズル(1)と基板(2)を400〜600μm引き離し、熔融樹脂を伸展し冷却する際、糸状に樹脂が伸展する時に、更に少量の熔融樹脂を吐出する(0.2MPa,0.01〜1.0sec)。 そして、ノズル(1)と基板(2)を更に50〜300μm引き離す。
    あるいは、微小針を整形後、高温に加熱した多連ノズルを微小針の先端に接触させることにより微小針の先端10〜200μmを溶融させ、速度400〜700μm/secで引き離すことに同様の結果が得られる。 これにより、微小針の先端部分は、図9に示されるように鋭利になった。

    本発明の第2の態様は、樹脂性微小針が樹脂基板に密着固定されたマイクロニードルに関するものである。
    本発明のマイクロニードルは、熔融樹脂の1回以上の吐出方法によって得られるものであり、形成される微小針は、熔融樹脂の吐出回数に対応して、以下のような特徴を有している。 即ち、吐出回数が1回(1段階吐出法)の場合、図1の最終段階図に示されるように側面が急な弧状の円錐状の微小針が基板に設置される。
    吐出回数が2回(2段階吐出法)の場合、図6の右図に示されるような側面図の形状を持ち、図6の左図(微小針の拡大写真)で示される。 微小針の形状は、多連ノズル(1)と基板(2)の距離、熔融樹脂の吐出量、基板の移動速度、外部温度等で影響を受けるが、特徴的な形状としては、例えば、生体内分解性樹脂の基板上に、同じ生体内分解性樹脂の微小針が2段重ねの形状を持っている。 該微小針の2段重ねの底部の形状は、円錐台状であり、その上に設置される該微小針の上部の形状は、側面が急な弧状の円錐状である。 そして全体的に見て、ほぼ一体となった微小針が伸展方法で形成されている。
    吐出方法が3回(3段階吐出法)の場合、2段階吐出法と同じであり、同様に多連ノズル(1)と基板(2)の距離、熔融樹脂の吐出量、基板の移動速度、外部温度等で影響を受ける。 これらのパラメーターを選択することにより、例えば図9に示されるように、3個の部分で構成されている微小針を製造することができる。 即ち、基板に密着する底部は円錐台状となっており、中央部は緩やかな円錐状から円柱状となっている。 上部の先端部は、鋭い円錐状となっており、先端部の径は約10μmと鋭利になっている。 従って、微小針の皮膚への穿刺性を向上させるため、この手法を用いて、微小針の先端部の鋭利化を図ることが出来る。

    微小針の長さは、約100μm〜1mmの長さがあれば充分であり、好適には、針の長さが約200〜600μmである。 微小針の長さは、痛みを生じる神経が真皮に存在するので、ここまで到達しない範囲の長さであればよい。 従って、約500μmの長さがあれば好適と考えられる。 また、微小針の太さは、皮膚に孔を開けて薬剤を注入する必要量と皮膚の損傷の程度によって変化するが、なるべく皮膚の損傷を軽減させるために径の幅は小さい方が好ましい。 微小針の先端部の径としては、約30〜200μmであり、好ましくは100μm以下が挙げられる。

    本発明の製造方法では、以上のように使用する樹脂の粘弾性、樹脂の吐出量、吐出回数及び引き離し速度やノズルと基板との距離、更には基板の温度、装置の環境温度等の変数を適宜選択することにより、マイクロニードルの微小針の高さを必要に応じて増減させ、また、微小針の先端直径を変えることができる。
    更に、基板として、ガラス基板等の非樹脂製の基板を使用することにより、作製された微小針を冷却し、衝撃等を与えることにより、容易に基板から微小針を剥離することができる。 これにより、微小針のみを取得することができる。

    以下、実施例を示して本発明をより具体的に説明する。 但し、本発明は以下の実施例になんら限定されるものではない。

    (実施例1)熔融樹脂の1段階吐出法によるマイクロニードルの製造 図1に示されるように、本発明の製造プロセスは、以下のプロセスからなっている。 まず、ステンレス製の多連ノズル(1)(10本×10本)をマイクロカバーガラス基板(2)に対して、約300μm程度の間隔を置いて垂直に設置する。 また、Z昇降ステージ(中央精機製ALV−600−H1M)の水平表面上に135℃のホットプレートを設置し、ホットプレート上にマイクロカバーガラス基板(2)を設置した。 次いで、溶融したPGAをディスペンサーを用いてノズル(1)から吐出させながら、ガラス基板(2)を上昇させて多連ノズル(1)に近づけ、基板(2)とノズル(1)の距離が200μm以下になるように設定した。 その後、基板(2)を降下させ(移動速度500μm/sec以下、移動距離700μm以上)、溶融PGAを冷却し、引き伸ばしながら微小針の形成を行なった。
    得られた微小針を図3に示す。 この結果から、微小針を形成する場合、ノズルと基板の間隔と、引き離す時の移動距離が大きく影響することが分かった。 また、移動速度は微小針のテーパーに影響することが分かった。 移動距離は、微小針の高さに大きく影響する。 例えば、吐出する熔融樹脂の量が一定の場合、上記間隔が50μm以下であれば基板に熔融樹脂が押し広げられるため、微小針の根元の径が約300〜400μmと幅広くなり、微小針の高さも、約350μm前後と低くなっている。 一方、上記間隔が200μm前後であれば、基板に熔融樹脂が押し広げられずに接着するため、微小針の根元の径は約200μm前後と細くなっており、微小針の高さも約500μm以上のシャープな微小針が出来るようになった。

    (実施例2)熔融樹脂の1段階吐出法によるPGA製マイクロニードルの製造 細く長い微小針を有するPGAマイクロニードルを作製するために、溶融したPGAをPGA基板に密着固定させる必要がある。 そこで、PGA基板の温度とその他の微小針の形状に関する条件の検討をおこなった。
    溶融PGAを吐出するノズル(1)の温度は、250℃とし、吐出量(吐出圧力を0.2MPa、吐出時間を4sec)を固定した。
    PGA基板(2)の温度を150℃から徐々に下げ、微小針の先端まできちんと材料が硬化し、針形状が整形できるPGA基板の温度域を測定した。 PGA基板の温度を下げていくに従って、徐々に吐出後の溶融PGAが固まりやすくなった。 基板温度が95℃以下になると溶融PGAの密着性も悪くなることが分かった。
    以上の結果、PGA基板の温度を95℃付近に設定すると、溶融PGAがPGA基板に密着して、しかも良好な形状の微小針が得られることが分かった。
    また、溶融PGAをノズル(1)から吐出させた時に、溶融PGAをノズル(1)とPGA基板(2)とで密着させると、生成した微小針は基板(2)に強く密着することが分かった。 しかし、ノズルと基板とで熔融PGA樹脂を接着させて引き延ばすだけでは500μm以上の高い針を得ることが難しかった。 その理由として、ノズルと基板とで熔融PGA樹脂を接着させだけでは溶融PGAが横に広がり、高さ方向の材料が得られないためであると考えられた。

    (実施例3)熔融樹脂の2段階吐出法によるマイクロニードルの製造 溶融したPGAをPGA基板に密着固定させ、また500μm以上の高い微小針を作製するために、実施例2の条件に準じて、次の2段階の吐出プロセスを採用した。 即ち、ステンレス製の多連ノズル(1)からPGAを吐出させると同時に、多連ノズルをPGA基板(2)に接着させる。 これにより、PGA基板に溶解したPGAを密着させる。 次に該ノズルと基板を200μmほど引き離し、更に溶融したPGAを吐出する。 その後、更に該ノズルと基板を引き離すことによって、図4〜図6で示されるマイクロニードルが得られた。
    図4から、マイクロニードルの微小針は、高さが約500μm、微小針の先端部の太さは約100μm以下、微小針の根元の太さは約150μmであることが分かった。
    なお、同じ操作を繰り返してPGAマイクロニードルの製造を行なったが、安定した微小針の製造が実施できた。 微小針の高さの変動も20%以内であった。

    (実施例4)マイクロニードル(2段階吐出法)の微小針先端部の鋭利化加工 実施例3と同様にして、PGAの2段階吐出法により、多連ノズル(1)とPGA基板(2)の間に充填された熔融PGAを引き離し、糸状に伸展した時に、更に熔融PGAを0.2MPa,0.1secの量を吐出する。 その後、更に基板を約100μm、移動速度500μm/secで引き離す。
    あるいは、微小針を整形後、高温に加熱した多連ノズルを微小針に接触させることにより微小針の先端100μmを溶融させ、速度500μm/secで引き離す。
    以上の操作により、微小針が鋭利になったマイクロニードルを製造することができた。 例えば、後者の方法を用いて微小針の先端の鋭利化加工を施した結果、図9で示されるマイクロニードルが得られた。
    得られた微小針の形状は、図9に示されるように、微小針は吐出された熔融樹脂の回数により3つの部分で構成されている。 微小針の下部を構成する円錐台状の部分は、根元の径が約200μmであり、上部の径が約150μmである。 中央部は径が約70〜80μmの緩やかな円錐状となっている。 上部の先端部は、鋭い円錐状となっており、先端部の径は約10μmとなっていた。 微小針全体の高さも、約800μmとなっていた。

    (実施例5)種々の形状の微小針を持つPGA製マイクロニードル(1)細く伸びた円錐状微小針:
    実施例3で得られた微小針は、図6の拡大写真に示されるように、製造方法(溶融PGAの2段階吐出工程)を反映した形状を示している。 微小針の根元部分は、多連ノズルをPGA基板に接近させた際に、溶融したPGAが挟まれて少し溢れ出したことを示す形状(少し変形した円錐台状)となっている。 その上に、2度目の溶融PGAの吐出とPGAの引き伸ばし工程によって形成された細く伸びた円錐状の微小針が形成されている。
    上記円錐台の形状は、平均(±30μm)として下部が約400μmであり、上部が約300μmであった。 また、その上に形成される細く伸びた円錐状の微小針は、下部が約200〜250μmであり、急速に細くなっている。 下部から円錐の長さの1/3の所で、微小針の幅は、約100μmとなっている。 微小針の先端部は約50〜90μmであった。
    (2)ローソク状微小針:
    実施例1に準じて、溶融PGAの吐出量を増加させ、多連ノズルとガラス基板の引き離し速度を遅くすることにより、図7に示されるローソク状の微小針を製造することができた。

    (試験例1)PGAマイクロニードルの穿刺性評価試験 実施例3と同様の方法で、PGA製のマイクロニードルデバイスとPLA製のマイクロニードルを作製し、これらマイクロニードルの穿刺性を評価した。 へアレスラットを用いて、各マイクロニードルをヘアレスラットの皮膚に設置し、各マイクロニードルを指で皮膚に押し付けた。 その後、各マイクロニードルを除去した後、該当部分をゲンチアナバイオレット溶液で染色した。 皮膚が穿刺された部分は、青く染まるので、穿刺された個所が読み取れることになる。
    PGA製のマイクロニードルを用いた場合の皮膚穿刺の結果を図8に示した。 これで示されるように、へアレスラットの皮膚には、微小針に対応する形で穿刺された箇所が規則正しい青色のスポットとして現れている。 また、使用前後でのPGA製のマイクロニードルの変化をチェックしたが、微小針が折れているところはなかった。 このように、本発明方法(ディスペンサー方法)で作製されたマイクロニードルは、充分実用可能であることが示された。
    また、PLA製のマイクロニードルについて同様の評価試験を行ったが、その結果、PGAの方が、PLAよりも充分強いことが明らかとなった。

    本発明の製造方法により、生体内分解性樹脂(PGA、PLA)製のマイクロニードルを容易に大量製造することが出来るようになった。 また、製造されたマイクロニードルの微小針は、品質的にも針の長さが揃っており、また、折損する微小針もない。 従って、工業的に製造可能で、強度のあるマイクロニードルが供給できるようになった。

    1 多連ノズル 10 マイクロニードルの基板 20 熔融樹脂

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