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体重増加及びインスリン抵抗性を治療又は予防するためのビフィドバクテリウムアニマリスの使用

申请号 JP2015548139 申请日 2012-12-20 公开(公告)号 JP6101818B2 公开(公告)日 2017-03-22
申请人 コンパニ・ジェルベ・ダノン; COMPAGNIE GERVAIS DANONE; タフツ ユニバーシティー; 发明人 シェン,ジアン; ワン,ジンジン; ザオ,リーピン; オビン,マーティン ソウル; デリアン,マリエル; ロシェ,エミリー; ヒルカマ ブリーヒ,ジョアン ヴァン;
摘要
权利要求

食物誘因体重増加を減少させ、食物誘因インスリン抵抗性を改善するための、ビフィドバクテリウム アニマリスsubsp.ラクティスCNCM I-2494株を含んでなる組成物。前記体重増加及びインスリン抵抗性が高脂肪食により誘導されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。食物誘因体重増加及び食物誘因インスリン抵抗性に起因する病状の治療、予防又は緩和のために使用されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物。前記病状が過体重、肥満及び肥満関連疾患からなる群より選択されることを特徴とする、請求項3に記載の組成物。経口投与可能な組成物に含まれていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。前記組成物が食品又は補助食品であることを特徴とする、請求項5に記載の組成物。前記組成物が発酵乳製品であることを特徴とする、請求項5又は6に記載の組成物。

说明书全文

本発明は、高い食物誘因(diet-induced)肥満及びインスリン抵抗性を予防又は治療するためのプロバイオティクス菌の使用に関する。特に、本発明は、対象者における体重増加を減少させインスリン抵抗性を改善するよう意図された、ビフィドバクテリウム アニマリスsubsp.ラクティス(Bifidobacterium animalis subsp. lactis)種菌株を含んでなる組成物に関する。

糖尿病及び心血管疾患の決定的なリスク因子である過体重、肥満及びインスリン抵抗性(Albertiら,2005)の世界的罹患率は、高脂肪/カロリー食の過剰摂取及び/又は運動減少に起因すると考えられている(Vijay-Kumarら,2010)。 25以上のボディマスインデックス(BMI;kg/m2)は過体重とみなされ、30以上のBMIは肥満と定義される。 肥満は、しばしば、インスリン抵抗性(すなわち、細胞がインスリンに対して適切に応答することがもはやできない状態)を伴い、代謝症候群を包含する主要な疾患、例えば高血圧、II型糖尿病、心血管疾患並びに肝臓疾患に至る。 過体重、肥満、糖尿病及び関連する代謝性疾患は、循環系及び組織における軽度の慢性炎症により特徴付けられる。

インスリンシグナル伝達は複雑な系であり、急性(少なくとも部分的に、炎症誘発性サイトカインの作用により媒介される)及び慢性(加齢及び肥満に起因する遺伝的変動により媒介される)のインスリン抵抗性の発生を説明する共通機序は同定が困難である(Aguirreら,2002)。 最近の研究により、消化管生物叢は高脂肪食(HFD)誘導性の肥満(Leyら,2006;Turnbaughら,2006)及びインスリン抵抗性(Caniら,2008;Larsenら,2010)において誘引的役割を演じていることが示された。消化管微生物叢は、難消化性食物成分の消化において或る役割を演じ、宿主の脂肪貯蔵遺伝子を調節し、そして次いで宿主のエネルギー恒常性をモジュレートする(Backhedら 2004及び2007)。HFDにより崩壊した消化管微生物叢は腸透過性を増大させる。結果として、増大レベルの消化管細菌由来エンドトキシンが循環系に進入し、炎症を引き起こし、このことが肥満及びインスリン抵抗性を誘導し得る(Caniら,2008)。したがって、消化管微生物叢は、肥満及びインスリン抵抗性の予防及び治療の有な標的となり得る(Jiaら,2008;Zhaoら,2010)。

FAO/WHOが現在採用している定義によれば、プロバイオティクスは、適切な量で投与したとき、宿主に健康上の利益を付与する生存微生物である。特に、全米ヨーグルト協会(National Yogurt Association;NYA)又は国際ライフサイエンス協会(International Life Science Institute;ILSI)が承認した定義によれば、プロバイオティクスは、十分な上で摂取したとき、基本の栄養を超える健康上の有益性を発揮する生存している微生物である。プロバイオティクス菌は、乳業界で一般に使用されるラクトバチルス属、ビフィドバクテリウム属、ストレプトコッカス属及びラクトコッカス属に属する種の一員として記載されてきた。プロバイオティクスの経口消費は、消化管微生物叢の構成を変化させることができる。例として、対象者の消化管におけるラクトバチルス及びビフィドバクテリウムの量は、当該対象者がプロバイオティクスを幾らか摂取した後、より高くなる(Xuら,2012)。プロバイオティクスを含んでなる発酵乳製品の消費は、おそらく、消化管の細菌種組成に大きな変化を引き起こさないが、マイクロバイオームがコードし、炭化物代謝に関与する酵素の発現を有意に変化させる(McNultyら,2011)。幾つかのプロバイオティクスは、HFD誘導性肥満を減少させ(Leeら,2006;Yinら,2010)、インスリン抵抗性を改善し(Andreasenら 2010)又は抗炎症性を示す(Menardら,2004;Andreasenら,2010;Veigaら,2010;Fernandezら,2011)。

しかし、代謝性疾患と密接に関連し、プロバイオティクスにより誘導される細菌変化は、不明なままである。更に、異なるプロバイオティクス株は異なる機能及び機序を示す。 ビフィドバクテリウム アニマリス(ビー.アニマリス)は、グラム陽性の嫌気性桿状菌であり、ヒトを含むほとんどの哺乳動物の大腸で見出すことができる。ビフィドバクテリウム アニマリス及びビフィドバクテリウム ラクティスは、以前には、2つの別個の種として記述されていた。現在では、共にビフィドバクテリウム アニマリスであり、それぞれ亜種アニマリス及びラクティスと考えられている。旧名ビフィドバクテリウム アニマリス及びビフィドバクテリウム ラクティスは共に、依然として製品ラベルに使用されている。なぜならば、この種は、頻繁に、プロバイオティクスとして使用されているからである。名称ビフィドバクテリウム ラクティス及びビフィドバクテリウム アニマリスsubsp.ラクティスは互換的に使用可能である。

ビフィドバクテリウム アニマリスsubsp.ラクティスの幾つかの株は、腸細胞表面のグリコシル化調整効果を有すること(国際出願WO 02/02800)、腹鳴(boborygmi)を減少させること(国際出願WO 2009/150036)、腹部周囲長を減少させること(国際出願WO 2009/080800)、結腸炎マウスにおいて盲腸pHを低下させ、短鎖脂肪酸プロフィールを変化させ、次いで病原性菌の増殖を阻害すること(Veigaら,2010)、胃腸炎症を低減させること(国際出願WO 2011/051760)、共生菌の腸粘膜接着性及び転位置を抑制して2型糖尿病を治療すること(Amarら,2011)が以前に示されている。国際出願WO 2010/146568は、肥満を治療し、体重増加を制御し、体重減少を誘導し、糖尿病を治療し、インスリン感受性を正常化し、代謝症候群を治療するためのビフィドバクテリウム アニマリスsubsp.ラクティス 420(B420)株の使用を開示する。

これら異なるプロバイオティクスの効果は株特異的であり、そして異なる機序により媒介されているようである。よって、過体重及び肥満並びにそれらに関係する代謝性疾患の発症を抑制するために使用することができる他のプロバイオティクス株についての需要が依然として存在する。

本発明者らは、マウスにおけるHFD誘導性の肥満及びインスリン抵抗性に対するプロバイオティクスの予防効果を調べることを企図した。高脂肪食が、マウス又はヒトにおいて、体重増加及びインスリン抵抗性を誘導することは周知である。本発明者らは、高脂肪食(HFD)給餌マウスに108細胞/日で12週間経口投与したビフィドバクテリウム アニマリスsubsp.ラクティスCNCM I-2494株が、有意に体重増加を低減させ、インスリン抵抗性を改善することが示した。これもまた抗炎症傾向を示すビー.アニマリスsubsp.ラクティス420(B420)株と比較して、ビー.アニマリスsubsp.ラクティスCNCM I-2494株は、高脂肪食給餌マウスにおいて、全身抗原量並びに肝臓、精巣上体脂肪組織及び空腸の局所炎症を最も効果的に低減させた。糞便菌性16S rRNA遺伝子の454パイロシークエンシングデータについての主成分分析(PCA)により、ビー.アニマリスsubsp.ラクティスCNCM I-2494株は消化管微生物叢の構成を変化させることが示された。部分最小二乗判別分析(PLS-DA)により、ビー.アニマリスsubsp.ラクティスCNCM I-2494株はまた、異なる操作的分類単位(operational taxonomic unit;OTU)の推定数を変化させるが、最も増加した増えたのはラクテート及びアセテート産生菌のOTUであることが明らかになった。炎症パラメータと有意に関連付けられる、ポルフィロモナス科(Porphyromonadaceae)菌の1つのOTUは、ビー.アニマリスsubsp.ラクティスCNCM I-2494株によって特異的に変化した一方、ビー.アニマリスsubsp.ラクティス420株では変化しない。これら結果は、ビー.アニマリスsubsp.ラクティスCNCM I-2494株による肥満及びインスリン抵抗性の予防がラクテート及びアセテート産生菌の変化と関連付けられ、炎症の緩和がポルフィロモナス科菌と関連付けられることを示唆する。

4群:NC(通常固形飼料)、HFD(高脂肪食)、HFD+CNCM I-2494、HFD+B.ラクティスB420についての体重増加(A)、空腹時血中グルコース(B)。データは平均±S.E.Mとして示す。**p<0.01、*p<0.05(対HFD群)、##p<0.01、#p<0.05(対NC群)(SPSSにおける一元ANOVAに続くチューキーのポストホック(post hoc)検定による)。HOMA-IRは、次式に従って算出した:空腹時血中グルコース(mmol/L)×空腹時インスリン(mU/L)/22.5。

4群:NC(通常固形飼料)、HFD(高脂肪食)、HFD+CNCM I-2494、HFD+B.ラクティスB420についての空腹時インスリン(C)、HOMA-IR(D)。データは平均±S.E.Mとして示す。**p<0.01、*p<0.05(対HFD群)、##p<0.01、#p<0.05(対NC群)(SPSSにおける一元ANOVAに続くチューキーのポストホック(post hoc)検定による)。HOMA-IRは、次式に従って算出した:空腹時血中グルコース(mmol/L)×空腹時インスリン(mU/L)/22.5。

4群:NC(通常固形飼料)、HFD(高脂肪食)、HFD+CNCM I-2494、HFD+B.ラクティスB420についてのOGTT(E)及びOGTTの曲線下面積(AUC)(F)。データは平均±S.E.Mとして示す。**p<0.01、*p<0.05(対HFD群)、##p<0.01、#p<0.05(対NC群)(SPSSにおける一元ANOVAに続くチューキーのポストホック(post hoc)検定による)。HOMA-IRは、次式に従って算出した:空腹時血中グルコース(mmol/L)×空腹時インスリン(mU/L)/22.5。

各週におけるNC群、HFD群、HFD+CNCM I-2494群及びHFD+ビー.ラクティスB420群の摂食量。データは、2ケージのマウスの平均として示す。統計分析は行わなかった。

動物試験中の各月におけるNC群、HFD群、HFD+CNCM I-2494群及びHFD+ビー.ラクティスB420群の累積摂食量。データは、2ケージのマウスの平均として示す。統計分析は行わなかった。

NC群、HFD群、HFD+CNCM I-2494群及びHFD+ビー.ラクティスB420群の12週間累積摂食量。データは、2ケージのマウスの平均として示す。統計分析は行わなかった。

ビフィドバクテリウム アニマリスsubsp.ラクティスCNCM I-2494は、ブダペスト条約に従ってCNCMに2000年6月20日に寄託された。この株はコードDN 173 010で知られており、最初は、国際出願WO 02/02800で、胃腸細胞表面のグリコシル化モジュレータとしての使用について開示された。 したがって、本発明の1つの目的は、ビフィドバクテリウム アニマリスsubsp.ラクティスCNCM I-2494株、又は該CNCM I-2494株を含んでなり、対象者における食物誘因体重増加を減少させ、食物誘因インスリン抵抗性を改善するために使用する組成物である。 ビフィドバクテリウム アニマリスsubsp.ラクティスCNCM I-2494株又は該CNCM I-2494株を含んでなる組成物は、更に、炎症を緩和するために使用される。 この炎症緩和は、対象者の消化管におけるポルフィロモナス科菌の増強に関連付けられる。 炎症は、好ましくは、対象者の肝臓、精巣上体脂肪組織及び/又は空腸に局在する。

「食物誘因体重増加」及び「食物誘因インスリン抵抗性」は、本明細書では、脂肪(特に不飽和脂肪)の過剰な食物性摂取及び状況に応じて単糖(スクロース及びフルクトースを含む)の過剰な食物性摂取を含む過剰な食物性摂取に起因する体重増加及びインスリン抵抗性として定義する。所与の対象者について、過剰な食物性摂取、特に脂肪及び状況に応じて単糖の過剰な食物性摂取とは、当該対象者の生理学的要求を満たしエネルギーバランスを維持するに必要な量より多い量の食物(diet)、特に脂肪及び状況に応じて単糖の消費をいう。対象者における食物誘因体重増加及びインスリン抵抗性の低減(又は予防)に対する処置の効果は、当該処置を受けた対象者で観察された体重増加及びインスリン抵抗性と、当該処置を受けていないが、同じ食物を与えられ身体的活動が同レベルである同じ対象者で観察された体重増加及びインスリン抵抗性とを比較することによって評価することができる。

本明細書で使用する場合、「体重増加を減少させる」とは、対象者において上記のような所与の食物により誘導される体重の上昇を、ビー.アニマリスsubsp.ラクティスCNCM I-2494株を消費していない対象者において該食物により誘導される体重の上昇と比較して、制限し、低下させ又は低減させることを意味する。 本明細書で使用する場合、「インスリン抵抗性を改善する」とは、対象者において上記のような所与の食物により誘導されるインスリン抵抗性のレベルを、ビー.アニマリスsubsp.ラクティスCNCM I-2494株を消費していない対象者において該食物により誘導されるインスリン抵抗性のレベルと比較して、回復又は減少させることを意味する。 対象者におけるインスリン抵抗性を評価する試験は、当該分野において公知である(概説としては、Ferranniniら,1998を参照)。対象者におけるインスリン抵抗性のレベルは、当該分野において公知の任意のインスリン抵抗性試験(例えば、インスリン抵抗性の恒常性モデル評価;HOM-IR)を用いて測定することができる。

本発明の1つの好適な実施形態では、体重増加及びインスリン抵抗性は、対象者において、高脂肪食(HFD)により誘導される(すなわち、高脂肪食と関連する)。 炎症の緩和、特に対象者の肝臓、精巣上体脂肪組織及び/又は空腸における炎症の緩和の測定は、TNF-a、CD11c、MCP-1、アジポネクチン及びレプチンのmRNA発現を測定することにより行うことができる。1つの方法が下記の実施例に記載される。 本発明はまた、ビフィドバクテリウム アニマリスsubsp.ラクティスCNCM I-2494株、又は該株を含み、対象者において、上記のように、食物誘因体重増加及び食物誘因インスリン抵抗性に起因する病状の治療、予防又は緩和に使用する組成物を包含する。 食物誘因体重増加及び食物誘因インスリン抵抗性に由来する病状の例は、過体重、肥満及び関連する疾患(例えば、2型糖尿病、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、高血圧)である。 本発明の1つの主題はまた、ビフィドバクテリウム アニマリスsubsp.ラクティスCNCM I-2494株の、栄養組成物における、上記のように、対象者において食物誘因体重増加を減少させ、食物誘因インスリン抵抗性を改善し、状況に応じて炎症を緩和する化合物としての使用である。

本発明の組成物は、投与、特に経口投与に適切な任意の形態であることができる。この形態には、例えば、固体、半固体、液体及び粉体が含まれる。一般に、より容易な投与には液体組成物、例えば飲料形態が好ましい。 本発明の組成物において、この菌株は、生存していても死んでいてもよい菌全体の形態で使用することができる。或いは、この株は、細菌溶解物の形態で使用することができる。好ましくは、この菌株は生存中であり生存可能な細胞として存在する。 CNCM I-2494株が生菌の形態であるとき、組成物は、乾燥重量1gあたり、代表的には105〜1013コロニー形成単位(cfu)、好ましくは少なくとも106cfu、より好ましくは少なくとも107cfu、更により好ましくは少なくとも108cfu、最も好ましくは少なくとも109cfuを含んでなってもよい。これは、液体組成物の場合、一般には104〜1012コロニー形成単位(cfu)、好ましくは少なくとも105cfu、より好ましくは少なくとも106cfu、更により好ましくは少なくとも107cfu、最も好ましくは少なくとも109cfu/mlに相当する。

CNCM I-2494は単独で使用してもよいし、ビフィドバクテリウム アニマリスsubsp.ラクティス種若しくはその他の種の他の乳酸菌との組合せで使用してもよい。有利には、CNCM I-2494は、ヨーグルト発酵体、すなわちラクトバチルス ブルガリカス(Lactobacillus bulgaricus)及びストレプトコッカス サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)との組合せで使用してもよい。 CNCM I-2494株をヨーグルト発酵体との組合せで使用するとき、組成物はまた、有利には、少なくとも107、好ましくは2×108〜1×109細胞/mlのエス.サーモフィラス及び少なくとも5×105、好ましくは4×106〜2×107細胞/mlのエル.ブルガリカスを含んでなる。 本発明に従う組成物には、食品、補助食品及び機能性食品が含まれる。 「補助食品」とは、食料品に通常使用される化合物から作られ、錠剤、粉体、カプセル、頓服水剤その他の通常は食物と関係付けられない任意の形態であり、健康に有益な効果を有する製品をいう。 「機能性食品」は、健康に有益な効果を有する食物である。特に、補助食品及び機能性食品は、疾患、例えば慢性疾患に対して、生理学的効果−保護的又は治療的効果−を有することがある。

本発明の組成物には、ベビーフード、乳児用調製乳(infant milk formula)又は乳児用調製品(infant follow-on formula)も含まれる。本組成物はまた、栄養補給薬(nutraceutical)、栄養サプリメント(nutritional supplement)又は医療用食品であることができる。 本発明の組成物は、乳製品であることができ、好ましくは発酵乳製品であることができる。発酵品は、液体の形態又は発酵液の乾燥により得られる乾燥粉体の形態であることができる。乳製品の例としては、固化形態、撹拌形態若しくは飲用形態の発酵乳及び/又は発酵ホエー、チーズ及びヨーグルトが挙げられる。 発酵品はまた、発酵野菜、例えば固化形態、撹拌形態又は飲用形態の発酵したダイズ、穀類及び/又は果実であることができる。 1つの好適な実施形態では、発酵品は生鮮品である。激しい熱処理工程を経ていない生鮮品は、存在する菌株が生存形態であるという利点を有する。

組成物は、例えば、少なくともCNCM I-2494株を含んでなり、随意に上記のように他の乳酸菌(例えばヨーグルト発酵体)と組み合わせた乳製品、特に発酵乳製品であってもよい。 CNCM I-2494株の一日投与量は、好ましくは少なくとも2×103、有利には少なくとも2×108、より有利には少なくとも2×1010CFUである。この量は、高脂肪食の間に1日1以上投与することができる。最適効果を得るため、CNCM I-2494株は、好ましくは、高脂肪食の間に1日2回投与する。 本発明の1つの主題は、対象者において、上記のように、食物誘因体重増加を減少させ、食物誘因インスリン抵抗性を改善し、状況に応じて炎症を緩和する製剤、好ましくは上記のような栄養製剤として使用するビフィドバクテリウム アニマリスsubsp.ラクティスCNCM I-2494株でもある。

本発明の1つの主題は、その必要のある対象者において、上記のように、食物誘因体重増加を減少させ、食物誘因インスリン抵抗性を改善し、状況に応じて炎症を緩和する方法であって、該対象者に治療有効量のビフィドバクテリウム アニマリスsubsp.ラクティスCNCM I-2494株又は該株を含む組成物を投与することを含んでなる方法でもある。 治療有効量の決定は、本明細書で提供した詳細な開示を考慮すれば特に、当業者に十分に理解される。 用語「投与」は、「経口投与」、すなわち対象者が本発明に従う菌株若しくは該菌株を含んでなる組成物を経口摂取することを意味するか、又は「直接投与」、すなわち本発明に従う菌株若しくは該菌株を含んでなる組成物をインサイチュに、特に結腸鏡検査により、若しくは坐剤を介して直腸に、直接投与することを意味するものとする。 本発明に従う菌株を含んでなる組成物の経口投与が好ましい。組成物は、ゼラチンカプセル、カプセル、錠剤、粉剤、顆粒若しくは経口溶液又は坐剤の形態であってもよい。

本発明は、マウスにおいて高脂肪食により誘導される体重増加及びインスリン抵抗性に対するビフィドバクテリウム アニマリスsubsp.ラクティスCNCM I-2494株の効果を説明する実施例に言及する下記の更なる説明並びに添付の図面からより明確に理解される。 図1:4群:NC(通常固形飼料)、HFD(高脂肪食)、HFD+CNCM I-2494、HFD+B.ラクティスB420についての体重増加(A)、空腹時血中グルコース(B)、空腹時インスリン(C)、HOMA-IR(D)、OGTT(E)及びOGTTの曲線下面積(AUC)(F)。データは平均±S.E.Mとして示す。**p<0.01、*p<0.05(対HFD群)、##p<0.01、#p<0.05(対NC群)(SPSSにおける一元ANOVAに続くチューキーのポストホック(post hoc)検定による)。HOMA-IRは、次式に従って算出した:空腹時血中グルコース(mmol/L)×空腹時インスリン(mU/L)/22.5。 図2:各週におけるNC群、HFD群、HFD+CNCM I-2494群及びHFD+ビー.ラクティスB420群の摂食量。データは、2ケージのマウスの平均として示す。統計分析は行わなかった。 図3:動物試験中の各月におけるNC群、HFD群、HFD+CNCM I-2494群及びHFD+ビー.ラクティスB420群の累積摂食量。データは、2ケージのマウスの平均として示す。統計分析は行わなかった。 図4:NC群、HFD群、HFD+CNCM I-2494群及びHFD+ビー.ラクティスB420群の12週間累積摂食量。データは、2ケージのマウスの平均として示す。統計分析は行わなかった。

実施例:マウスにおける、ビフィドバクテリウム アニマリスsubsp.ラクティスCNCM I-2494株による高脂肪食誘導性体重増加の減少及び高脂肪食誘導性インスリン抵抗性の改善 材料及び方法 動物処置 C57BL/6Jマウス(雄性、12週齢)を下記の異なる処置を施す3群に分けた(8マウス/群): A群:高脂肪食(34.9%脂肪含有、5.24kcal/g、Research Diets, Inc.[New Brunswick, NJ]社製)(HFD); B群:高脂肪食+プロバイオティクス株ビフィドバクテリウム アニマリスsubsp.ラクティスCNCM I-2494株(108CFU/マウス/日)(HFD+CNCM I-2494); C群:高脂肪食+(比較株としての)プロバイオティクス株ビフィドバクテリウム アニマリスsubsp.ラクティスB420(Danisco)(108CFU/マウス/日)(HFD+ビー.ラクティスB420)(この株は、以前に、高脂肪食に関連付けられる代謝に対する有害効果を低減させることが報告された(AMARら,2011,前出); D群:通常固形飼料(4.3%脂肪含有、3.85kcal/g、Research Diets, Inc.[New Brunswick, NJ]社製)(NC)。

ビー.ラクティスCNCM I-2494又はビー.ラクティスB420の懸濁物は、動物試験の前に調製し、−80℃で保存し、各マウスへの経口投与の1時間前に解凍した。 動物の処置を12週間継続し、その間、各マウスの体重及びケージごとの摂食量を週に2回測定した。月に1回、代謝ケージを用いて新鮮な糞便及び尿サンプルを採集し、後の分析のために即座に−80℃で保存した。 プロバイオティクス投与期間の2週め、6週め及び11週めでのマウス糞便中のプロバイオティクス株の量を逆転写(RT)-qPCRにより定量した。その結果、プロバイオティクス株は腸で生存し得ることが確証された。 試験の終時に、5時間の絶食後、眼窩静脈叢から採血し、15分間4℃で3000rpmの遠心分離により血清を単離した。全ての動物を頸椎脱臼により犠牲にした。犠牲後、精巣上体の脂肪体、肝臓及び空腸を摘出し、秤量し、直ぐにRNALater(Ambion)中で維持した。

経口グルコース負荷試験(OGTT) 動物を犠牲にする前に経口グルコース負荷試験(OGTT)を行った。5時間の絶食後、2.0g/kg体重のグルコースをマウスに経口投与した。尾から血液サンプルを採取し、グルコース投与の前並びに15、30、60及び120分後の血中グルコースレベルをACCU-Checkグルコースメーター(Roche Diagnostics, Canada)で測定した。 グルコース投与前の血中グルコースレベルを空腹時血中グルコース(FBG)レベルとみなす。

空腹時インスリン、LBP及びアジポネクチンレベル 空腹時インスリン(FINS)、リポ多糖結合性タンパク質(LBP)及びアジポネクチンのレベルは、ELISAアッセイにより測定した(それぞれ、Mercodia, Sweden;Cell Sciences, USA及びR&D, USA)。 HOMA-IRは次式に従って算出した:空腹時血中グルコース(mmol/L)×空腹時インスリン(mU/L)/22.5。 血清リポ多糖結合性タンパク質(LBP)(血中のエンドトキシン量のマーカー)は、TLR4媒介免疫応答における中心的メディエータと考えられる。アジポネクチンは、抗炎症及び抗糖尿病ホルモンである。

組織炎症レベル 炎症誘発性サイトカインTNF-αは炎症において中心的役割を演じ、インスリンレセプター基質(IRS)-1においてSer307のリン酸化を誘導することにより肥満及び2型糖尿病にも関与する。脂肪の炎症応答は、他の組織(筋肉及び肝臓)における炎症及び空腹時インスリンレベルの増加に先立って増大する。脂肪組織中のマクロファージは、病的肥満及びインスリン抵抗性において積極的役割を演じる。単球走化性タンパク質(MCP)-1は、マクロファージにより分泌され、これにより、追加のマクロファージが動員されて脂肪組織において大量のTNF-αが分泌され、CD11cが発現され、次いで肥満及びインスリン抵抗性が引き起こされる。CD11c+細胞涸渇は、インスリン感受性の迅速な正常化を生じる。アジポネクチンはマウスにおいてケモカイン産生及びその後の炎症応答(マクロファージの浸潤及び炎症誘発性サイトカインの放出を含む)を阻害し得ると報告されている。

RNeasy脂質組織ミニキット(QIAGEN)を製造業者の指示に従って用いてトータルRNAを抽出した。RNA濃度はNanodrop分光光度計を用いて測定し、アガロースゲル電気泳動により完全性を検証した。DNasei(Invitrigen)消化を製造業者の指示に従って用いて混入DNAを除去し、ハウスキーピング遺伝子-GAPDHを標的するプライマーを用いるPCRによりDNA混入を試験した。SuperScript III First-Strand合成システム(Invitrogen)を用いて、相補DNA(cDNA)を500ngの高品質トータルRNAからランダムにプライムした。 リアルタイムPCRのプライマー配列は次のとおりであった: GAPDH: F:GTGTTCCTACCCCCAATGTGT (配列番号1) R:ATTGTCATACCAGGAAATGAGCTT (配列番号2) TNF-a: F:ACGGCATGGATCTCAAAGAC (配列番号3) R:AGATAGCAAATCGGCTGACG (配列番号4) CD11c: F:CTGGATAGCCTTTCTTCTGCTG (配列番号5) R:GCACACTGTGTCCGAACTC (配列番号6) MCP-1: F:TTAAAAACCTGGATCGGAACCAA (配列番号7) R:GCATTAGCTTCAGATTTACGGGT (配列番号8) アジポネクチン: F:AGGTTGGATGGCAGGC (配列番号9) R:GTCTCACCCTTAGGACCAAGAA (配列番号10) レプチン: F:CCTGTGGCTTTGGTCCTATCTG (配列番号11) R:AGGCAAGCTGGTGAGGATCTG (配列番号12)

連続増幅プログラムは、95℃にて4分間の1サイクル、次いで95℃で20秒間、55℃にて30秒間及び72℃にて30秒間の40サイクル、最後に94℃で15秒間の1サイクルからなっていた。各サイクルの最終工程で蛍光産物を検出する。増幅後に融解曲線分析を行い、標的を非標的PCR産物と区別した。連続的に蛍光を採集しながら、55℃から95℃まで0.5℃/sの割合で緩徐に加温することにより融解曲線を得た。その後、DNA Engine OPTICON2連続蛍光検出器(MJ research)でiQ SYBR Green Surpermix(BIO-RAD)を用いてリアルタイムPCRを行った。PCR装置に付属するMJ Opticon Monitor Analysisソフトウェアを用いてデータを採集し分析した。全てのmRNA定量データをGAPDHに対して規格化した。

消化管微生物叢の組成 ゲノムDNAを糞便サンプルからビーズビーティング抽出及びInviMag Stool DNAキットにより抽出した。DNAの量は、Fluorescent and Radioisotope Science Imaging Systems FLA-5100 (Fujifilm, Tokyo, Japan)により測定した。DNAの完全性は0.8%(w/v)アガロースゲル電気泳動により検証した。 各DNAサンプルから16SリボソームRNA(rRNA)遺伝子のV3領域を、サンプル独特の8塩基バーコードを有する次の細菌性ユニバーサルプライマー: F:5'-NNNNNNNNCCTACGGGAGGCAGCAG-3' (配列番号13)、及び R:5'-NNNNNNNNATTACCGCGGCTGCT-3' (配列番号14) を用いて増幅した。PCR増幅、PCRアンプリコンの454パイロシークエンシング及びデータの質の制御を以前に記載されたとおりに行った(Zhangら,2010)。

全ての読取値を、バーコードに従って異なるサンプルに選別した。バーコードの除去後、テンプレート長≧90塩基及び同一性パーセント≧75%でのNASTマルチアライナー(Greengenes)により配列を整列させた後、プログラムCD-HITを99.9%類似性で用いてクラスターに分けた。各クラスターの最も豊富な配列を代表として選択した後、ARBに移入して近隣結合樹を構築した。操作的分類単位(OTU)を、距離ベースのOTU及び98%の類似性レベルでの豊富度(Distance-Based OTU and Richness at 98% similarity level;DOTUR)により分類し、希薄解析(Rarefaction analysis;aRarefact-Winソフトウェア)及びシャノン多様度指数(H')(Rパッケージ2.12.0)を用いて豊富度及び多様度の推定を行った。加重(存在数を考慮)及び非加重(存在数を考慮せず)メトリクスに基づくオンラインFast UniFrac分析(教師なし、進化の距離を考慮)のために、各OTUの最も豊富な配列(98%類似性)を、ARBにおいて完全長16S rRNA遺伝子配列の予め確立された系統樹に挿入した。OTUの推定数(relative abundance)を、主成分分析(教師なし)、多変量分散分析(Matlab R2010a)及び冗長性分析(教師あり)(Windows 4.5用のCanoco)に使用した。各OTUの代表的配列をRDPデータベース(RDP Classifier)に対して50%の信頼性レベルでBLAST検索してOTUの系統発生を決定し、各サンプルにおける異なる門及び属の推定数を算出し、プロバイオティクス群とHFD群との間でソフトウェアSPSS 16.0によるマン-ホイットニー検定(非正規分布データ)又はスチューデントのt検定(正規分布データ)によって比較した。

結果 HFD給餌はマウスにおいて肥満及びインスリン抵抗性を誘導した:NC給餌マウスと比較して、HFD群は、より多い体重増加(図1A)、空腹時血中グルコース(FBG)レベル(図1B)、空腹時インスリン(FINS)レベル(図1C)及びインスリン抵抗性の恒常性評価(HOMA-IR)指数(図1D)の上昇、グルコース耐性の減少(図1E及び1F)を示した。HFD給餌マウスへのプロバイオティクス株ビー.ラクティスCNCM I-2494又はビー.ラクティスB420の補充により、体重増加は有意に減少した(図1A)。 HFD+プロバイオティクス群とHFD群との間に空腹時血中グルコース(FBG)レベル及び空腹時インスリン(FINS)レベルに有意差はなかったが、プロバイオティクス株ビー.ラクティスCNCM I-2494及びビー.ラクティスB420は共に、HOMA-IR指数を低下させた(図1D)。プロバイオティクス株ビー.ラクティスCNCM I-2494及びビー.ラクティスB420は共に、グルコース不耐性を有意に減少させた(図1E及び1F)。このことは、両プロバイオティクス株がインスリン抵抗性を改善し得ることを示す。

12週間の試験期間の各週についてマウスあたりの1日の平均エネルギー摂取量(図2)を算出した。試験の全期間でNC群のエネルギー摂取量は最低であり、HFD+プロバイオティクス群のエネルギー摂取量は、7週目を除き、HFD群のものとほぼ同じであった。3ヶ月の各月についての4群の動物の累積エネルギー摂取量(図3)及び4群の動物の12週間累積エネルギー摂取量(図4)を算出した。このことにより、プロバイオティクス処置群について観察された体重増加の低減をエネルギー摂取量の低減に帰し得ないことが示される。 HFD給餌マウスは、NC群より、体重に関して補正済みの血清LBPレベルが有意に上昇し、体重に関して補正済みの血清アジポネクチン濃度が有意に低下していた。両プロバイオティクス群の血清LBPレベルは、HFD群のレベルより有意には低くなかったが、HFD+CNCM I-2494群は、HFD+ビー.ラクティス 420に匹敵して、最低のLBPレベルを有していた。更に、両プロバイオティクス群とNC群との間に有意差はなく、両プロバイオティクス株が全身抗原量を軽減させる傾向にあったことが示される。このことは、プロバイオティクス株ビー.ラクティスCNCM I-2494及びビー.ラクティスB420が血清LBPレベルの減少を通じてインスリン抵抗性を改善する可能性を示す。両プロバイオティクス群の体重について補正済みの血清アジポネクチンはいずれも、HFD群と比較して上昇していたが、その差は統計学的有意性に達しなかった。

精巣上体の脂肪体(eAT)、肝臓及び空腸における組織炎症レベルに対するプロバイオティクスの影響を測定した。eATにおけるTNF-a、CD11c、MCP-1、アジポネクチン及びレプチン(別の重要な炎症誘導性アジポカイン)のmRNA発現レベル並びに肝臓及び空腸におけるTNF-a mRNA発現レベルを分析した。高脂肪食は、eATにおけるTNF-a及びCD11cのmRNAレベル並びに肝臓及び空腸におけるTNF-a mRNA発現の上昇を促進し、このことは、高脂肪食がeAT、肝臓及び空腸において炎症を誘導することを示唆した。プロバイオティクス株ビー.ラクティスCNCM I-2494及びビー.ラクティスB420は、HFD群と比較して、eATにおけるTNF-a mRNAレベルを有意に低減した。両プロバイオティクス群とHFD群又はNC群のいずれとの間にも有意差はなかったので、両プロバイオティクス株は、eATにおけるCD11c mRNAレベルを低減する傾向にあった。eATにおけるMCP-1 mRNAレベルは、4群全てで、統計学的に有意には異ならなかったものの、HFD+CNCM I-2494群のレベルはNC群のレベルに最も近かった。MCP-1 mRNAレベルと同様、4群間に有意差はないものも、HFD+CNCM I-2494群は、eATにおけるアジポネクチンmRNAレベルの増大を示し、NC群のレベルとほぼ等しかった。両プロバイオティクス群は、HFD群と比較して、eATにおけるレプチンmRNAレベルを減少させなかった。このことは、両プロバイオティクスが炎症誘発性アジポカイン遺伝子発現を減少させなかったことを示唆する。ビー.ラクティスB420株群の肝臓におけるTNF-a mRNAレベルは、HFD群及びNC群のいずれとも有意には異なっていなかった(このことは、これらは全て肝臓におけるTNF-a mRNAを低減させる傾向にあることを示す)一方、ビー.ラクティスCNCM I-2494は、肝臓におけるTNF-a mRNAレベルを有意に減少させたことを示す。両プロバイオティクス群とHFD群又はNC群のいずれとの間にも空腸におけるTNF-a mRNAレベルに有意差はなかった。このことは、両プロバイオティクス株が空腸における炎症を減少させる傾向にあることを示した。まとめると、これら結果は、ビー.ラクティスCNCM I-2494が、ビー.ラクティスB420株に匹敵して、肝臓、精巣上体脂肪組織及び空腸における局所炎症を最も効果的に減少させることを示す。

糞便菌性16S rRNA遺伝子の454パイロシークエンシングを行った。多変量統計分析を行い、全サンプルの消化管微生物叢の一体的構成を試験の開始時と終時で比較した。3ヶ月のプロバイオティクス介入時でのHFD+プロバイオティクス群、HFD群及びNC群の消化管微生物叢の構成を比較した。分散分析(ANOVA)を行ってHFD+プロバイオティクス群の各々、HFD群及びNC群の間でOTUの存在数を比較し、有意に変化したOUTをそれぞれ111、101、95及び99同定した。次いで、これらOTUの推定数に基づく主成分分析(PCA)により、HFD給餌動物(HFD群及びHFD+プロバイオティクス群を含む)とNC給餌動物との分離及び主にはHFD群とHFD+プロバイオティクス群との分離が明らかになった。PCAの多変量分散分析(MANOVA)検定により、NC群、HFD群及び両HFD+プロバイオティクス群の各々の間に有意差が存在することが示された。これら結果は、プロバイオティクスが消化管微生物叢の構成を変化させることを示唆する。

部分最小二乗判別分析(PLS-DA)(1つの教師付きの多変量統計法)を用いて、プロバイオティクス処置によりその数が変化した消化管微生物叢の重要な系統型を同定した。HFD給餌動物(HFD群及びHFD+プロバイオティクス群を含む)とNC給餌動物との間及びHFD+プロバイオティクス群の各々とHFD群との間で細菌組成を比較するようにPLS-DAモデルを構築した。1つ抜き交差確認法(leave one-out cross-validation)により、全モデルについて高い予測率が得られた。計50のOTUが、通常固形飼料給餌マウスと高脂肪食給餌マウスとの間で存在数が異なると判明した。高脂肪食により変化するOTUのほとんどがポルフィロモナス科(15のOTU)、ラクノスピラ科(Lachnospiraceae)(9つのOTU)、ルミノコッカス科(Ruminococcaceae)(7つのOTU)及びエリシペロトリクス科(Erysipelotrichaceae)(8つのOTU)のような科に属していた。13及び16のOUTがそれぞれプロバイオティクス株ビー.ラクティスB420及びビー.ラクティスCNCM I-2494により変化した。ビー.ラクティスB420株は、主に、ビフィドバクテリウム(1つのOTU)及びバルネシエラ(Barnesiella)(1つのOTU)に属するOTUの存在数を増大させ、ラクノスピラ科(2つのOTU)に属する幾つかのOUTで減少させた。ビー.ラクティスCNCM I-2494株は、主に、ポルフィロモナス科(2つのOTU)、アロバクキュラム(Allobaculum)(1つのOTU)、オルセネラ(Olsenella)(1つのOTU)、ラクトバチルス(1つのOTU)、コプロコッカス(Coprococcus)(1つのOTU)に属するOTUの存在数を増大させ、ラクノスピラ科(1つのOTU)に属する幾つかのOUTでも増大させ、アリスティペス(Alistipes)(1つのOTU)に属するOUTで減少させた。これら結果は、両プロバイオティクス株の抗肥満及び抗インスリン抵抗性効果が、部分的に、ラクテート及びアセテート産生菌レベルの上昇によって媒介され得ることを示唆するものである。なぜならば、両プロバイオティクスにより増大した消化管細菌のほとんど全てがアセテート及びラクテートを生産するからである。事実、アロバクキュラムに属する株のグルコース代謝の最終産物は、優勢には乳酸及び酪酸であり、コプロコッカスのものは酪酸、酢酸及び乳酸であり、ビフィドバクテリウム株は酢酸及び乳酸を産生し、オルセネラは乳酸及び酢酸を産生し得る。プロバイオティクスが減少させる細菌は、主に、有害な/有益性のない細菌である。

プロバイオティクスが誘導する消化管微生物叢の構成変化と宿主の表現型変動との間の関連を評価するため、プロバイオティクスにより変化したOTUの存在数と宿主表現型のパラメータとの間の相関付けをスピアマン相関分析で行った。ビフィドバクテリウム(1つのOTU)、オルセネラ(1つのOTU)、ポルフィロモナス科(3つのOTU)、アロバクキュラム(1つのOTU)、ラクノスピラ科(3つのOTU)及びコプロコッカス(1つのOTU)は、肥満、インスリン抵抗性及び炎症と負の相関を有していた一方、アリスティペス(1つのOTU)、ポルフィロモナス科(3つのOTU)、オシリバクター(Oscillibacter)(1つのOTU)及びラクノスピラ科(7つのOTU)は、肥満、インスリン抵抗性及び炎症と正の相関を示した。したがって、プロバイオティクスにより変化したOTUのほとんどは、宿主の健康に密接に関連する重要な菌であった。このことから、プロバイオティクスによる肥満及びインスリン抵抗性の予防は、部分的に、これら重要な細菌の調整により、特にはラクテート及びアセテート産生菌を増強することによって媒介されることが更に確証される。宿主表現型と強く相関するOUTが幾つか存在した(R>0.5又はR<-0.5)。ポルフィロモナス科の1つのOTU(各サンプル中の総細菌の0.48±0.09%を占める)は、体重増加(r=-0.54、p<0.001)及びグルコース不耐性(r=-0.52、p<0.001)と負の相関を示した。アロバクキュラムの1つのOTUと体重増加(r=-0.51、p=0.030)及び肝臓における炎症(r=-0.51、p<0.001)との間に負の相関が存在し、このOTUは、各サンプル中の総細菌の2.28±0.52%を占める優勢なOTUであった。オシリバクターの1つのOTUは体重増加と正に関連し(r=0.51、p=0.002)、このOTUは各サンプル中の総細菌の2.05±0.19%を占める。ラクノスピラ科の1つのOTUは、グルコース不耐性と正の相関を示し(r=0.64、p<0.001)、このOTUは各サンプル中の総細菌の3.30±0.45%に達し得る。ポルフィロモナス科の別の1つのOUTは、炎症性トーンと有意な負の関連を示すものであるが、ビー.ラクティスCNCM I-2494により特異的に増大した。よって、ビー.ラクティスCNCM I-2494による炎症の緩和は、ポルフィロモナス科に関連付けられる。

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