Vitamin k2 high productivity Lactococcus lactis strain

申请号 JP2013525235 申请日 2011-08-11 公开(公告)号 JP2013537427A 公开(公告)日 2013-10-03
申请人 セーホーエル.ハンセン アクティーゼルスカブ; 发明人 ガリーグ クリステル; バスティアン ペデルセン マルティン;
摘要 本発明は、高いビタミンK2生産性を有する新規野生型ラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス菌株、及びその突然然変異体とバリアント、並びにビタミンK2が豊富な発酵食品又は飼料を製造する方法、並びにビタミンK欠乏症の改善及び/又は予防のためのビタミンKが豊富な食用製品に関する。 本発明はまた、本明細書中の方法によって得られる発酵食品若しくは飼料、及び食用製品に関し、そして哺乳動物、例えばヒトのビタミンK欠乏症の処置及び/又は予防に使用するための野生型ラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス菌株に関する。
权利要求
  • 受入番号DSM23589としてDeutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturenに寄託されたラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)亜種(subsp.)クレモリス(cremoris)株CHCC12675、又はそれから誘導された菌株である乳酸菌株。
  • 発酵食品又は飼料を製造する方法であって:
    a)好適な基質に、受入番号DSM23589としてDeutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturenに寄託されたラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス株CHCC12675、又はそれから誘導された菌株を植え付け;
    b)好ましい条件下で前記基質を発酵させ;
    c)場合により、さらなる微生物及び/又は添加剤を前記基質に添加し;そして d)場合により、発酵食品又は飼料をパッケージングすることを含む、前記方法。
  • 前記発酵食品又は飼料が、発酵乳製品であり、そして前記好適な基質が乳である、請求項2に記載の方法。
  • 前記乳に、1×10 6 〜1×10 10 CFU/mlのラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス株、又はそれから誘導された菌株が植え付けられる、請求項3に記載の方法。
  • 受入番号DSM23589としてDeutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturenに寄託されたラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス株CHCC12675、又はそれから誘導された菌株を含む発酵食品又は飼料。
  • 対象の骨強度を増強する方法であって、請求項5に記載の発酵食品又は飼料を前記対象に投与するステップを含む、前記方法。
  • 前記対象がヒトである、請求項6に記載の方法。
  • 受入番号DSM23589としてDeutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturenに寄託されたラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス株CHCC12675、又はそれから誘導された菌株を含む乳酸発酵体。
  • 前記乳酸発酵体が、乾燥状態、凍結乾燥状態又は液体状態で存在する、請求項8に記載の乳酸発酵体。
  • ビタミンK2を生産する方法であって:
    a)好ましい条件下で、受入番号DSM23589としてDeutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturenに寄託されたラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス株CHCC12675、又はそれから誘導された菌株を培養し;そして b)生産されたビタミンK2を回収することを含む、前記方法。
  • 食用製品を製造する方法であって:
    a)食用製品、その出発物質、又はその中間体調製物に、請求項8又は9のいずれか1項に記載の乳酸発酵体、及び/又は、受入番号DSM23589としてDeutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturenに寄託されたラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス株CHCC12675、又はそれから誘導された菌株を加え;そして b)食用製品を得ることを含む、前記方法。
  • 前記哺乳動物がヒトである、請求項11に記載の方法。
  • 受入番号DSM23589としてDeutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturenに寄託されたラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス株CHCC12675、又はそれから誘導された菌株を含む食用製品。
  • 前記食用製品が、乾燥された、単離された受入番号DSM23589のラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス株CHCC12675、又はそれから誘導された菌株を含む、請求項13に記載の食用製品。
  • 薬剤として使用するための、請求項13又は14に記載の食用製品。
  • 哺乳動物における、ビタミンK欠乏症、骨粗鬆症、癌、例えば前立腺癌、及び心血管疾患、例えば冠動脈性心疾患から成る群から選択される疾患の処置及び/又は予防に使用するための、請求項13〜15のいずれか1項に記載の食用製品。
  • 薬剤として使用するための、受入番号DSM23589としてDeutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturenに寄託されたラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス株CHCC12675、又はそれから誘導された菌株。
  • 哺乳動物における、ビタミンK欠乏症、骨粗鬆症、癌、例えば前立腺癌、及び心血管疾患、例えば冠動脈性心疾患から成る群から選択される疾患の処置及び/又は予防に使用するための、受入番号DSM23589としてDeutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturenに寄託されたラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス株CHCC12675、又はそれから誘導された菌株。
  • 哺乳動物における、ビタミンK欠乏症、骨粗鬆症、癌、例えば前立腺癌、及び心血管疾患、例えば冠動脈性心疾患から成る群から選択される疾患の処置及び/又は予防のための食物又は飼料、あるいは薬剤の製造のための受入番号DSM23589としてDeutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturenに寄託されたラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス株CHCC12675、又はそれから誘導された菌株の使用。
  • 哺乳動物における、ビタミンK欠乏症、骨粗鬆症、癌、例えば前立腺癌、及び心血管疾患、例えば冠動脈性心疾患から成る群から選択される疾患の処置及び/又は予防のための、受入番号DSM23589としてDeutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturenに寄託されたラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス株CHCC12675、又はそれから誘導された菌株の使用。
  • 哺乳動物における、ビタミンK欠乏症、骨粗鬆症、癌、例えば前立腺癌、及び心血管疾患、例えば冠動脈性心疾患から成る群から選択される疾患の処置及び/又は予防のための、受入番号DSM23589としてDeutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturenに寄託されたラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス株CHCC12675、又はそれから誘導された菌株を含む食用製品の使用。
  • 说明书全文

    本発明は、新しいビタミンK2高生産性ラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス(Lactococcus lactis subsp. cremoris)株、並びにビタミンK2の豊富な発酵食品若しくは飼料(feed product)、又は哺乳動物(例えば、ヒト)のビタミンK欠乏症の改善及び/又は予防のための食用製品(edible product)を製造するためのこの菌株の使用に関する。

    乳酸菌(LAB)は、酪農食品産業において、ヨーグルトやチーズなどの動物の乳を発酵させた様々な製品を製造するために使用されおり、安全食品認定(Generally Recognized As Safe)(GRAS)の地位を得ている。 研究では、一部の乳酸菌がビタミンK2を産生することが示された。 一般に、これらの細菌によって合成されるビタミンK2の量は発酵乳に対して29〜90μg/Lで変動する(Morishita et al.,1999)。

    ビタミンKは、骨の健康など、様々なヒト/動物の健康問題に重要である。 本来、ビタミンKは、緑色植物中のK1(フィロキノン)と多くの細菌中のK2(メナキノン、MK)の2種類の形態で存在している。 MKは、側鎖(MK−n、ここで、nはイソプレニル側鎖単位の数を意味する)の長さによってさらに分類される。 乳酸菌のラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)及びロイコノストック・ラクティス(Leuconostoc lactis)は、天然のビタミンK2生産菌ではあるが(Morishita et al.,1999)、それにしても、通常低レベルである。 ビタミンK2は、細菌の原形質膜の構成要素であり、それが呼吸鎖の必須成分としての電子を往復させている。 第三の合成ビタミンK、K3(メナジオン)が存在している。

    食事由来のビタミンKの主な供給源は、野菜と油由来のK1である。 K1の最高濃度は、緑色葉野菜−例えば、ホウレンソウで示された(Kamao et al.,2007)。 魚や動物にも少量のK1が存在している。 K2はK1ほど幅広く分布していないが、肝臓や、発酵食品、例えばバチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)で発酵させた納豆の中に多量に見られる(Sato et al.,2001)。 乳製品もまた、K2を含んでいる。 日本での研究により、クリーム及びチーズのMK−4含量が、それぞれ8μg/100g及び5μg/100gであることがわかった(Kamao et al.,2007)。 ヨーロッパでの研究では、チーズ中のMK−8含量は、5〜10μg/100gであり、そしてMK−9含量は、同製品中で10〜20μg/100gであった(Shearer et al.,1996)。 チーズの製造中、カード(curd)は約10倍に濃縮されるので、そのためビタミンK2の濃度が大きく増加することに留意すべきである。

    K2は、体内でK1よりも実質的に長い半減期を有し、そしてヒト臨床試験では、MK−7の摂取が、K1と比較して骨の健康により有益な効果を有していた(Schurgers et al.,2007)。 ビタミンKは血中に存在しているので、HPLC−MSによって測定できる。

    ビタミンKは、タンパク質内のγ−カルボキシグルタミン酸(Gla)残基の形成に不可欠な補因子である。 Gla含有タンパク質は、カルシウムとの結合を通じた、血液凝固および組織石灰化のために重要である。

    オステオカルシン(Oc)は骨の石灰化にかかわる骨基質タンパク質である。 この工程では、ビタミンKは補因子である。 Ocは、Glaの3つの残基に依存し、そしてGla残基の方向を、Ocがカルシウムイオンと強固に結合できるするように補助している。 今までのところ、研究では、Ocが骨組織の石灰化及び再形成において重要な役割を果たしていることが示されている。 さらに、いくつかの研究では、高レベルの低カルボキシル化オステオカルシン(undercarboxylated osteocalcin)(ucOc)が、低骨塩密度とより高い骨折の危険度に関連することが示されている(Vergnaud et al.,1997)。

    人体での研究において、必要な一日摂取量が、少なくとも1μg/kg体重でなければならないことが示されている(Booth and Suttie,1998)。 これは、効果的な血液凝固のために十分であるが、当該研究において、より多くのビタミンKが強靭な骨の健康に必要であることが示唆された。 骨の健康に関して閉経婦人のために、45mg/日の用量、例えば約500倍高いビタミンKが有益であった(Iwamoto et al.,2009)。 このことは、ビタミンKが広い安全域を有することを示している。 ビタミンK2がK1より骨の健康に関してさらに高い潜在性を有しているらしい点につき留意すべきである。

    骨粗鬆症は、低い骨量と骨組織の微小構造の劣化を特徴とする代謝性骨疾患であり、骨脆弱とその結果としての骨折の危険性の増大をもたらす。 骨粗鬆症は世界的に高まっている問題であり、世界保健機構(WHO)によって、2050年には600万件の股関節骨折が起こると予測された。 これは、クオリティ・オブ・ライフと社会経費に莫大な損害をもたらす。

    骨粗鬆症用の薬物としてK1及びK2で閉経期後の女性を処置することで、骨塩濃度の上昇及び骨折の危険の低下が示された(Macdonald et al., 2008;Vermeer et al.,2004)。 高齢者では、高い血清ビタミンKレベルが、より低い骨折の危険に関連した(Aliabadi et al.,2008)。 よって、食物へのK2の添加が、骨の健康にとって有益なはずである。 小児は、増強されたビタミンK摂取により特に恩恵を受ける(van Summeren et al.,2008)。

    インビトロにおいて、ビタミンKは、前立腺癌細胞、肝臓と腸の腫瘍、及び一部の白血病細胞系に関して癌予防効果を持つことが示された(Nimptsch et al.,2008;Shearer and Newman,2008;Yokoyama et al.,2008)。 K1ではなく、K2の食事による摂取は、前立腺癌と逆相関があることが示された。 乳製品からのビタミンK2は、肉からのビタミンK2より効果的であることが示された(Nimptsch et al.,2008)。

    K1ではなく、K2の食事による摂取は、高齢な男女の冠動脈性心疾患(CHD)の危険を低下させることが示された(Geleijnse et al.,2004)。 さらに、16,000人による別の研究では、チーズ及びカードチーズからのMK−7、MK−8、及びMK−9が心血管疾患を防ぐことが示された(Gast et al.,2009)。 このデータセットのさらなる評価では、K2(K1ではなく)の10μgの増加ごとに、心血管疾患の危険が9%低下したことが示された(Beulens et al.,2009)。

    一般的に言えば、既知の野生型LABにより生産されるビタミンK2の量は、ビタミンK2を含有する商業関連製品−例えば、十分に高いビタミンK2含有量を有する乳製品を製造するほど高くない。

    従って、大量のビタミンK2を生産できるさらなる乳酸細菌に対する−例えば、国際公開第2008/040793A1号を参照−、そして要件を満たし、必要であれば欠乏症を治すのに貢献するほど十分に高い量のビタミンK2を含む食品及び薬剤に対する必要性が存在する。 さらに、内因的に生産されるビタミンK2源、例えばラクトコッカス・ラクティスによって生産されたものは、精製した化合物として加えられたビタミンKよりも好まれる。 これは、より強い「天然の魅(natural appeal)」を有し、そしてより簡単な製品ラベル、すなわち「クリーン・ラベル(clean label)」につながるからである。

    さらに、国際公開第2008/040784A1号において、ビタミンK2の増大は、LABが増殖期ではなく、「休止細胞」期と呼ばれる段階にある条件下で乳を発酵させることによって実現できることを説明している(国際公開第2008/040784A1号、例えば請求項1を参照)。 原則的に、これは、乳に対して比較的多量のLABを加えることによって得られる。 呼吸条件(振盪下、ヘムの存在)下で培養された細胞が、顕著に増強されたビタミンK2生産性を有することが、本明細書中で明らかとなった。

    以前、我々は、不活性thyAの遺伝子(チミジル酸シンターゼをコードする)を持つ菌株が、高度に増強された量のビタミンK2を生産することを示した(国際公開第2010/139690A1号)。 この突然変異体は大量のビタミンK2を生産したが、それが増殖するには特殊な条件を必要とした。 そのため、標準的な生産法を使用することで生産できる野生型株を用いることで、それはより簡便になるであろう。

    本発明の目的は、標準的な発酵条件下で顕著に増量したビタミンK2を生産することができる野生型乳酸菌(LAB)を提供すること、そしてビタミンKが豊富な発酵食品又は飼料を製造するため、並びにビタミンK欠乏症の処置及び/又は予防のためのその他の食用製品、例えば食品や薬剤を製造するための費用効率が高く、且つ、利用しやすい方法を提供することである。 追加の目的は、以下の記載にて明らかとされる。 さらに他のことも本発明の属する技術分野における当業者にとって明らかである。

    本願発明者らは、先に記載の目的を達成するために大規模なスクリーニングと研究を続け、そして、多量のビタミンK2を生産することができる新しい野生型ラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス株CHCC12675の同定によりその目的を達成した。 当該野生型株は、多量のバイオマスの生産のための取扱いも利用も比較的簡単である。

    この野生型株の別の利点は、ビタミンK2生産をさらに最適化するための出発点としてこれを使用することが可能になり得る点である。

    従って、本発明の第1の態様は、受入番号DSM23589としてDeutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturenに寄託された、高いビタミンK2生産性を有する、新しい野生型ラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス株CHCC12675、並びにその突然変異体(mutant)及びバリアント(variant)に関する。

    本発明の第2の態様は、ビタミンK2が豊富な発酵食品又は飼料を製造する方法であって:
    a)好適な基質(substrate)に、受入番号DSM23589のラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス株CHCC12675、又はその突然変異体若しくはバリアントを植え付け;
    b)標準的な発酵条件などのビタミンK2生産及び/又は細菌の代謝に好ましい条件下で基質を発酵させ;
    c)場合により、追加的な生物及び/又は添加物を基質に加え;そして d)場合により、発酵食品又は飼料をパッケージングすることを含む、前記方法に関する。

    第3の態様において、本発明は、本発明の第2の態様による方法の実施で得られるビタミンK2が豊富な発酵食品又は飼料に関係する。

    第4の態様において、本発明は、受入番号DSM23589のラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス株CHCC12675、並びにその突然変異体及びバリアントを含む発酵食品又は飼料に関する。

    第5の態様において、本発明は、対象の骨強度を増強する非治療的方法であって、本発明の第3又は第4の態様による発酵食品又は飼料を対象に投与するステップを含む、前記方法を提供する。

    本発明の第6の態様は、標準的な発酵条件などの好ましい条件下でラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス株CHCC12675、並びにその突然変異体及びバリアントを発酵させることによって得られる、ラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス株CHCC12675、並びにその突然変異体及びバリアントを含む、ビタミンK2が豊富な乳酸発酵体(lactic ferment)に関する。

    第7の態様において、本発明は、ビタミンK2を生産する方法であって:
    a)細菌の代謝及び/又はビタミンK2生産に好ましい条件下で、ラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス株CHCC12675、又はその突然変異体若しくはバリアントを培養し;そして b)生産されたビタミンK2を回収することを含む、前記方法に関する。

    第8の態様において、本発明は、哺乳動物のビタミンK欠乏症を処置及び/又は予防するためのビタミンK2が豊富な食用製品、とりわけ食品若しくは飼料、又は薬剤を製造する方法に関係する。

    一実施形態によると、そのような方法の1つは:
    a)食用製品、その出発物質、又はその中間調製物に、本発明の第6の態様による乳酸発酵体、及び/又は本発明の第7の態様による方法によって生産されたビタミンK2、及び/又はラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス株CHCC12675、又はその突然変異体若しくはバリアントを加え;そして b)ビタミンK2が豊富な食用製品を得ること、含む。

    第9の態様において、本発明は、本発明の第7の態様による方法の実施によって得られるビタミンK2が豊富な食用製品に関する。

    第10の態様において、本発明は、受入番号DSM23589のラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス株CHCC12675、並びにその突然変異体及びバリアントを含む食用製品に関する。

    第11の態様において、本発明は、薬剤として使用するための、第9又は第10の態様による食用製品に関する。

    第12の態様において、本発明は、哺乳動物における、ビタミンK欠乏症、骨粗鬆症、癌、例えば前立腺癌、及び心血管疾患、例えば冠動脈性心疾患から成る群から選択される疾患の処置及び/又は予防に使用するための第9、第10又は第11の態様による食用製品に関する。

    第13の態様において、本発明は、薬剤として使用するためのラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス株CHCC12675に関する。

    第14の態様において、本発明は、哺乳動物における、ビタミンK欠乏症、骨粗鬆症、癌、例えば前立腺癌、及び心血管疾患、例えば冠動脈性心疾患から成る群から選択される疾患の処置及び/又は予防に使用するためのラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス株CHCC12675に関する。

    さらなる態様において、本発明は、哺乳動物における、ビタミンK欠乏症、骨粗鬆症、癌、例えば前立腺癌、及び心血管疾患、例えば冠動脈性心疾患の処置及び/又は予防のための食品の製造のためのラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス株CHCC12675、並びにその突然変異体及びバリアントの使用、並びに哺乳動物における、ビタミンK欠乏症、骨粗鬆症、癌、例えば前立腺癌、及び心血管疾患、例えば冠動脈性心疾患の処置及び/又は予防のための薬剤の製造のためのラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス株CHCC12675、並びにその突然変異体及びバリアントの使用に関する。

    さらに、本発明は、ビタミンK欠乏症の処置及び/又は予防に使用するためのラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス株CHCC12675、並びにその突然変異体及びバリアントに関する。 より詳しく述べると、本発明は、ビタミンK欠乏症、骨粗鬆症;癌、例えば前立腺癌;及び心血管疾患、例えば冠動脈性心疾患の処置及び/又は予防に使用するためのラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス株CHCC12675、並びにその突然変異体及びバリアントに関する。

    さらに、哺乳動物における、ビタミンK欠乏症、骨粗鬆症、癌、例えば前立腺癌、及び心血管疾患、例えば冠動脈性心疾患から成る群から選択される疾患の処置及び/又は予防のための、受入番号DSM23589としてDeutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturenに寄託されたラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス株CHCC12675、又はそれから誘導された菌株を含む食用製品の使用に関する。

    発明の詳細な説明 定義 本明細書の内容において、用語「乳(milk)」は、哺乳類又は植物の乳を含む。 乳の例として、乳の乳(牛乳(bovine milk))、ラクダ乳、牛の乳、山羊乳、羊乳及び豆乳が挙げられる。 随意に乳を、例えば酸(クエン酸、酢酸又は乳酸)を添加することにより酸性化し、又は例えば水と混合する。 乳は生のまま、又は例えば濾過、滅菌、低温殺菌、均質化することにより加工してもよく、あるいは再構成された粉乳であってもよい。 本発明による「牛乳(bovine milk)」の重要な例は、低温殺菌された乳牛の乳である。 乳は、細菌を植え付ける前、最中及び/又は後で酸性化、混合又は加工されてもよいことが理解される。

    用語「発酵乳製品(fermented milk product)」は、動物、より具体的にはヒトの消費を対象とした製品を指し、そして乳基質の乳酸菌による酸性化乳酸発酵(acidifying lactic fermentation)から得られる。 そのような製品には、例えば果実、野菜、糖、香味料の第二の成分が含まれていてもよい。

    用語「発酵食物又は飼料(fermented food or feed product)」は、それぞれヒト又は動物の消費を意図した製品であり、そして好適な基質の乳酸菌による酸性化乳酸発酵から得られる製品である。 例えば乳、果汁、ワイン、ビール、及び醤油である。 そのような製品には、果実、野菜、糖、香味料などの第二の成分が含まれていてもよい。

    「発酵(fermentation)」は、微生物の作用による有機基質からのエネルギー放出を伴う生化学反応を意味する。 特に「乳酸発酵(lactic fermentation)」は、発酵体中の細菌による、とりわけラクトースの消費から成る嫌気性又は微好気性プロセスであり、そしてその微生物は乳酸、そして潜在的に酢酸の形成を引き起こし、pHの低下をもたらす。 用語「呼吸(respiration)」は、本明細書中では、酸素とヘム源の存在下で有機基質からのエネルギー放出を伴う生化学反応を指す。 特に、数種類の乳酸球菌(lactoccocal)株では、呼吸条件下で増殖すると、よく成長し、そして呼吸を行うことが示された。

    本明細書の内容において、発酵乳「スターター培養物(starter culture)」は、乳酸菌のうちの少なくとも1株、例えば、ラクトコッカス・ラクティス、ラクトバチルス・ブルガリクス(Lactobacillus bulgaricus)、又はストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)を含む細菌培養物である。 本明細書によると、発酵乳製品は、乳を植え付け、菌株が加えられている状態で乳を発酵させることによって得られる。

    本明細書の内容において、(好適な量の)発酵食品又は飼料を好適な容器に「パッケージングする(packaging)」なる用語は、対象、例えばヒトや動物など、又は対象群に摂取又は投与されることができる製品を得るために発酵食品又は飼料を最終的にパッケージングすることに関する。 このため、好適な容器は、ボトル、カートン、又は同等物でもよく、好適な量は、例えば10mL〜5000mL又は50mL〜1000mLであり得る。
    用語「細菌(bacteria)」は、本明細書の内容において、ここではたった1つの単独の細菌だけを含む組成物について話しても意味がないので、複数形である。

    本明細書で用いられるように、用語「乳酸菌(lactic acid bacterium)」とは、グラム陽性、微好気性又は嫌気性細菌を指し、それは、主に産生される酸として乳酸、酢酸、プロピオン酸を含む酸の産生と共に糖を発酵させる。 工業的に最も有用な乳酸菌は、ラクトコッカス種(Lactococcus spp.)、ストレプトコッカス種(Streptococcus spp.)、ラクトバチルス種(Lactobacillus spp.)、ロイコノストック種(Leuconostoc spp.)、ペディオコッカス種(Pediococcus spp.)、及びエンテロコッカス種(Enterococcus spp.)を含めた「ラクトバチルス(Lactobacillales)」目内、並びにブレビバクテリウム種(Brevibacterium spp.)及びプロピオニバクテリウム種(Propionibacterium spp.)を含めた「アクチノマイセス(Actinomycetales)」目内に見られる。 加えて、偏性嫌気性細菌、ビフィズス菌、すなわちビフィドバクテリウム種(Bifidobacterium spp.)の群に属する、乳酸を産生する細菌は、一般的に乳酸菌の群に含まれる。 これらは、単独で、又は他の乳酸菌と組み合わせて、しばしば食品培養物として用いられる。

    用語「単離された細菌(isolated bacteria)」又は「単離されたラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス株CHCC12675」は、それぞれ好適な培地、例えば乳又はM17培地などの周知の細菌増殖培地などの中での好適な発酵後に単離された細菌又はラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス株CHCC12675と理解されるべきである。 当業者は、細菌を発酵させ、そしてその分野で周知の技術、例えば、遠心分離による分離/集菌によって単離又は集菌することができる。

    本明細書の内容において、用語「突然変異体(mutant)」とは、例えば遺伝子操作、放射線、UV光、化学処理、及び/又は遺伝子の変化を誘発するその他の方法により本発明(又は本発明で用いられる)の株から派生する株として理解されるべきである。 突然変異体は、機能的に同等な突然変異体であることが好ましい。 本発明の菌株の好ましい突然変異体は、高いビタミンK生産性を有する突然変異体であり、例えば、母株と実質的に同一又は改善したビタミンK生産特性を有する突然変異体である。 このような突然変異体は本発明の一部である。 特に、用語「突然変異体」とは、株(本発明の株等)をエタンメタンスルホン酸(EMS)又はN−メチル−N'−ニトロ−N−ニトログアニジン(NTG)等の化学的突然変異原、紫外線での処理等の任意の従来から用いられている突然変異処理にさらして得られる株又は自然発生する突然変異体を意味する。 突然変異体はいくつかの突然変異処理(単一の処理は、スクリーニング/選択ステップが後続する1つの突然変異ステップとして理解される)にさらされるが、20個未満、又は10個未満、あるいは5個未満の処理が行われるのが現在好ましい。 現在の好ましい突然変異体において、母株と比べて、細菌ゲノム内の1%未満若しくは0.5%未満、又は0.1%未満、あるいは0.01%未満のヌクレオチドが他のヌクレオチドに変化、欠失、又は追加のヌクレオチドを挿入されている。 突然変異は、自然発生的な変異であってもよい。

    出発物質として寄託された株を使用することによって、当業者が従来の突然変異誘発又は再分離技術によって、本明細書中に記載された関連する特徴と利点を保有する、そこからのさらなる突然変異体又は誘導体をごく普通に得ることができることは、当業者にとって明らかである。 従って、用語「それから誘導された菌株(a strain which has been derived therefrom)」は、出発物質として寄託された株を使用することによって得られた突然変異系統に関する。

    本文脈において、用語「バリアント(variant)」とは、例えば、実質的に同等又は改良された特性(例えば、粘性、ゲル剛性、マウスコーティング(mouth coating)、風味、及び/又は後酸性化(post acidification)に関して)を有する本発明の菌株と機能的に同等である菌株として理解されるべきである。 適切なスクリーニング技術を用いて同定され得るそのようなバリアントは、本発明の一部である。

    本発明を記載する文脈において(特に添付の特許請求の範囲の文脈において)、用語「a」、及び「an」、及び「the」及び同様の指示語の使用は、本明細書で他に指示されない限り、又は文脈により明らかに矛盾しない限り、単数及び複数の双方を網羅すると解釈される。 用語「含むこと(comprising)」、「有すること(having)」、「含むこと(including)」、及び「含むこと(containing)」は、他に記載のない限り、制約のない用語(すなわち、「これだけに限定されるものではないが、含む(including, but not limited to)」を意味する)として解釈される。 本明細書での値の範囲の記述は、本明細書で他に指示のない限り、範囲内にあるそれぞれの別個の値を個別に示す簡単な方法として役割を果たすことが意図されるにすぎず、あたかもそれが本明細書で個別に詳述されたように、それぞれの別個の値は、明細書中に組み込まれる。 本明細書で記述されるすべての方法は、本明細書で他に指示のない限り、又は文脈により明らかに矛盾しない限り、任意の好適な順序で行われ得る。 本明細書で提供されるありとあらゆる実施例、又は例示的な言語(例えば、「例えば(such as)」)の使用は、発明をより理解することを意図するにすぎず、別段の請求がない限り、本発明の範囲について制限を課すものではない。 本明細書におけるいかなる言語も、本発明の実施に必須である任意の請求されない要素を指すものとして解釈されるべきである。

    本発明の実施と態様 本発明の発明者らは、数種の乳酸菌、具体的には、ラクトコッカス・ラクティス種のスクリーニングにおいて、ラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス株CHCC12675が、ビタミンK2生産性に優れ、そして最大22μg/100mL、つまり220μg/LのビタミンK2を生産することを見出した(実施例1を参照)。 よって、本発明は、乳酸菌株の生物学的に純粋な培養物を提供し、そしてそれは、多量のビタミンK2を生産できるかについて選択された。

    本発明のサンプルである新しいラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス株CHCC12675は、受入番号DSM23589として2010年にDeutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen (DSMZ) GmbH,Inhoffenstr. 7B,D−38124に特許手続上の微生物の寄託の国際承認に関するブダペスト条約の要件に準じ、そしてそれを満たして寄託された。

    ラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス株CHCC12675は、ラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス株CHCC12675を含む乳酸発酵体(lactic ferment)を得るのに好ましい条件下、例えば当業者に容易に知られるラクトコッカス属細菌の標準的な発酵条件下などでの好適な基質の植え付けと発酵による発酵食品及び飼料の製造に好適である。

    従って、一態様において、本発明は、ビタミンK2が豊富な発酵食品又は飼料を製造する方法であって:
    a)好適な基質に、ラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス株CHCC12675、又はその突然変異体若しくはバリアントを植え付け;
    b)ラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス株CHCC12675の代謝及び/又はビタミンK2生産に好ましい条件下で基質を発酵させ;
    c)場合により、微生物及び/又は添加物を基質にさらに加え;そして d)場合により、発酵食品又は飼料をパッケージングすることを含む、前記方法に関する。

    好ましい実施形態において、発酵食品又は飼料は、発酵乳製品であり、その場合、好適な基質は乳である。

    当業者に知られているように、発酵乳製品は、種々の異なった乳酸菌による乳の発酵によって得られる。 好ましい実施形態において、発酵乳製品は、ヨーグルト、飲むヨーグルト、撹拌型ヨーグルト、セット型ヨーグルト、ヨーグルト様飲料、ビターミルク、バターミルク、サワークリーム、フレッシュチーズ、及びチーズから成る群から選択される製品である。

    一般的に言えば、当業者は、本明細書中に関連している細菌で乳を発酵させるのに好適な発酵条件を知っている。 本明細書における好適な条件には、これだけに限定されるものではないが、乳に細菌が植え付けられ、そして、4.4〜4.6のpHに達するまで(おおむね約8時間後)ラクトコッカス・ラクティスに関しては約30℃にて発酵させる(しかし、ストレプトコッカス・サーモフィルスやラクトバチルス・ブルガリクスを用いた「ヨーグルト培養」では通常約10℃高い)条件が挙げられる。 乳を+6℃まで冷ますことで、ラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス株CHCC12675の発酵と成長を遅くする。 標準的な発酵条件は、必要であれば、一般知識に基づいて、そして場合により日常的な実験後に、当業者によって改変されてもよい。 より高いビタミンK生産性を得るために乳に対して比較的多量のLABを加えることは、有利である可能性がある。 好ましい実施形態において、ラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス株CHCC12675は、1mlの乳基質あたりの1×10 6 〜1×10 10 CFU(コロニー形成単位)の細菌が植え付けられる。

    生菌数の計測は、当該技術分野における標準的な方法に従って、寒天平板上のコロニーのカウントによって希釈系列中のラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス株CHCC12675の単位コロニー形成(CFU)の数を定量化することによっておこなわれる。 好適な培地と培養条件は、当業者に知られており、以下の実施例1に示したとおりである。

    所望であれば、当業者は、気になるいくつかの時点で(例えば、発酵完了後)追加の細菌(例えば、追加のラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス株CHCC12675)を加えてもよい。

    ステップa)において、乳には、少なくとも1種類のその他の乳酸菌を植え付けられてもよい。 乳には、別々に/連続して各細菌種を植え付けられても、同時に2種類以上の細菌種を植え付けられてもよいことを理解されなければならない。 乳には、同時にすべての細菌種を植え付けられることが現在好ましい。 細菌種を含むスターター培養物を乳に植え付けることによって、これが都合よくおこなわれている。

    好ましい実施形態によると、細菌のうちの少なくとも1種類は、ラクトコッカス属、ストレプトコッカス属、ラクトバチルス属、ロイコノストック属、シュードリューコノストック属(Pseudoleuconostoc)、ペディオコッカス属、ブレビバクテリウム属(Brevibacterium)、エンテロコッカス属、プロピオニバクテリウム属、及びビフィドバクテリウム属のうちの1若しくは複数の細菌である。

    本発明のある実施形態によれば、発酵乳製品は、10〜5000mlの製品、例えば25〜3000ml又は50〜1000mlの製品を含む、密封されたパッケージ内に都合よくパッケージングされる。 例示的なパッケージは、10〜300ml、20〜200ml又は30〜100mlのパッケージを含んでもよい。

    本明細書中に記載したようにラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス株CHCC12675を含む発酵乳製品はまた、他の食用食品、例えば、カードチーズ(curd cheese)、チョコレート、ジュース、食肉製品、及び乳幼児向けの粉ミルク製品(幼児用調製粉乳)に加えられる添加物として使用できる。

    さらなる態様において、本発明は、ビタミンK2が豊富な、先に記載した方法によって得られる発酵食品又は飼料に関する。

    追加の態様において、本発明は、受入番号DSM23589のラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス株CHCC12675、並びにその突然変異体及びバリアントを含む発酵食品又は飼料に関する。

    当業者は、周知のアッセイ(例えばMorishita et al. 1999を参照)の使用によって、発酵食品又は飼料(例えば、発酵乳又はヨーグルト)中のビタミンK2の量を日常的に測定する。 さらに、当業者は、発酵食品又は飼料中の、本明細書中に記載したラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス株CHCC12675の量を容易に測定できる。 最終的に、当業者は、食物又は飼料の個々の細菌中に平均で存在するビタミンK2の平均量を日常的に測定でき、それにより、食用製品中のCHCC12675細菌に由来するビタミンK2がどのくらい存在するか日常的に決定できる。

    そのような発酵食品又は飼料は、高いビタミンK含有量、及びビタミンK欠乏症の処置及び/又は予防のためのその使用のために、機能性食品又は機能性飼料と呼ばれ得る。

    本明細書中に記載した機能性食品又は飼料には、製品(例えば、発酵乳、ヨーグルト又はチーズ)の高いビタミンK含有量について消費者に知らせる(例えば、ラベル又はリーフレットの形の)取扱説明書があってもよい。

    本発明のさらなる態様は、ヒト、家畜、又はペットなどの対象の骨強度を高める方法であって、ビタミンK2が豊富な発酵食品又は飼料を対象に投与するステップを含む、前記方法に関する。

    他の態様において、本発明は、当業者に周知の、及び本明細書中に記載の標準的な発酵条件下でラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス株CHCC12675菌を発酵させることによって得られるビタミンK2が豊富な乳酸発酵体に関する。 標準的な発酵条件は、必要であれば、一般知識に基づいて、そして場合により日常的な実験後に、当業者によって改変されてもよい。 培地は、ラクトコッカス種株を培養するための適当な培地である。

    乳酸発酵体(lactic ferment)は、液体状態、乾燥状態、スプレードライ、凍結、又は凍結乾燥物の状態で存在し得る。 好ましい実施形態によれば、乳酸発酵体は乾燥されている。 別の好ましい実施形態によれば、乳酸発酵体は、少なくとも1種類の凍結乾燥物の形態で存在する。

    本発明の態様によれば、ビタミンK2は、以下のステップ:
    a)ビタミンK2生産に好ましい条件下でラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス株CHCC12675、又はその突然変異体若しくはバリアントを培養し;そして b)それによって生産されたビタミンK2を回収することを含む方法によって生産され得る。

    先に記載の方法及び/又はラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス株CHCC12675、その突然変異体若しくはバリアントによって得られたビタミンK2、及び/又はこの菌株を含む乳酸発酵体は、食用製品、例えばビタミンK2が豊富な食品又は薬剤の製造方法において成分として使用され得る。

    本発明のさらなる態様によれば、ビタミンK2が豊富な食用製品を製造する方法には、食用製品中又はその出発物質中若しくはその中間製造物中に、ラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス株CHCC12675、その突然変異体若しくはバリアント、及び/又は先に記載の方法によって生産されたビタミンK2、及び/又はラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス株CHCC12675を含む乳酸発酵体を添加し、そしてビタミンK2が豊富な食用製品を得ることが含まれる。

    本発明の別の態様は、そのような方法で得られる食用製品に関する。

    本発明のさらに別の態様は、受入番号DSM23589のラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス株CHCC12675、並びにその突然変異体及びバリアントを含む食用製品に関する。

    ラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス株CHCC12675、その突然変異体若しくはバリアント、及び/又は乳酸発酵体は、前培養された及び単離された細菌を使用することによって組み入れられることができる。 細菌は、新鮮な状態であっても凍っている状態であってもよい。 あるいは、そして好ましい実施形態において、細菌は乾燥されている。 好ましくは、細菌は、少なくとも1種類の凍結乾燥物の形態である。

    あらゆる場合において、細菌は、完全に従来の様式で、食用製品、その出発物質、又はその中間製造物に加えられる。

    ビタミンK2が豊富なそのような食用製品は、ヒト、家畜、又はペットなどの哺乳動物においてビタミンKレベルを増強するのに有用であり得る。 食用製品は、好ましい実施形態において、食品であり得、別の好ましい実施形態において、薬剤であり得る。

    本発明の方法によって得られる本明細書中の商業関連の食用製品は、例えば、ヨーグルト又はチーズなどの発酵乳製食品(酪農食品など)である。

    従って、好ましい実施形態において、食用製品は、食物又は飼料−好ましくは食品である。 好ましくは、食品は、本明細書中に記載したように、ラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス株CHCC12675、その突然変異体若しくはバリアントで発酵させた動物の乳であり−例えば、好ましくは乳製品である。 好ましくは、乳製品は:乳、ヨーグルト、及びチーズから成るリストから選択される少なくとも1つの乳製品である。 好ましくは、動物の乳は、牛乳又はヤギ乳である。

    そのような食品は、高いビタミンK含有量、及びビタミンK欠乏症の処置及び/又は予防のためのその使用のために、機能性食品と呼ばれ得る。

    本明細書中に記載した機能性食品には、製品(例えば、発酵乳、ヨーグルト又はチーズ)の高いビタミンK含有量について消費者に知らせる、そして医薬製剤の場合には場合により投薬量もまた知らせる(例えば、ラベル又はリーフレットの形の)、取扱説明書があってもよい。

    先に既に議論したとおり、別の好ましい実施形態において、食用製品は薬剤である。 薬剤は、カプセル、錠剤、又は散剤の形態で存在し得る。

    先に述べたように、ビタミンK2は、細菌の原形質膜の構成要素である−すなわち、ビタミンK2はLABの膜中に存在している。

    好ましい実施形態において、食用製品は、単離されたラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス株CHCC12675細菌である−好ましくは乾燥させた若しくは凍結乾燥させた、単離されたラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス株CHCC12675、又はその突然変異体若しくはバリアントである。

    食用製品が固形であるなら、ビタミンK2の量は、当業者に知られている方法によって、μg/mgとして計測され得る。 そのような製品の例は、例えば単離されたラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス株CHCC12675、その突然変異体若しくはバリアントの乾燥組成物それ自体であり得る−こうした乾燥組成物は、例えば医薬的に関連するカプセル内に詰められ、そしてその後、例えば薬剤として販売される。

    本発明による食用製品及び/又は乳酸発酵体は、ラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス株CHCC12675株に加えて、他の細菌(例えばthyA(−)突然変異体細菌、若しくは他のタイプの乳酸菌、例えばラクトバチルス・ブルガリクスやストレプトコッカス・サーモフィルス菌など)をさらに含み得る。

    本発明はまた、ビタミンK欠乏症の処置及び/又は予防のための薬剤の製造のためのラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス株CHCC12675、その突然変異体若しくはバリアントの使用に関し、並びにビタミンK欠乏症の処置及び/又は予防のための食品の製造のためのラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス株CHCC12675、その突然変異体若しくはバリアントの使用に関する。

    当業者に知られているように、「ビタミンK欠乏症(vitamin K deficiency)」という用語は、当業者にとって周知、且つ、明確な病理的状態である。 ビタミンK欠乏症に関連するいくつかのありふれた一般的な知見を後述する。

    ビタミンK欠乏症は、ビタミンKの不足により引き起こされるビタミン欠乏症の一つである。 ビタミンK欠乏症は、小腸での吸収の機能不全(例えば胆管障害)、治療としての、若しくは不慮のビタミンKアンタゴニストの取り込み、又は非常に稀であるが、栄養的なビタミンK欠乏により起こり得る。 その結果、Gla残基が不適切に形成され、これらのGlaタンパク質は、活性が低下する。 前記3つのプロセスのコントロールの欠如は、以下の4つの結果;腹痛;大量の制御できない出血;軟骨の石灰化;及び重度の骨成長の異常又は動脈内壁における不溶性カルシウム塩の沈着を招く。 動脈壁を含む軟組織中のカルシウムの沈着は非常にありふれており、特にアテローム性動脈硬化を起こした者において頻発することから、ビタミンK欠乏症は、従来考えられていたよりもありふれていることが示唆される。

    従って、好ましい態様において、ビタミンK欠乏症の処置及び/又は予防は、哺乳類の骨健康の改善を目的とする。 前記骨健康の改善は、骨成長の異常の減少に関するものであってもよい。

    好ましい実施形態において、ビタミンK欠失の処置及び/又は予防は、骨粗鬆症;癌、例えば前立腺癌;心血管疾患、例えば冠動脈性心疾患の処置及び/又は予防のためである。

    あるいは、ビタミンK欠乏の処置及び/又は予防は、腹痛;大量の制御できない出血、又は軟骨の石灰化の処置及び/又は予防のために行われてもよい。

    前記組成物がビタミンK欠乏症の処置又は予防のいずれに作用するかは、一般に、使用される組成物の種類(例えば、乳製品又は薬剤)に依存する。

    本発明の特定の態様は、哺乳動物においてビタミンK欠乏症を処置及び/又は予防するための食品及び薬剤の製造のためのそれぞれラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス株CHCC12675、その突然変異体若しくはバリアントの使用に関する。

    本発明によれば、さらなる態様は、以下のものに関する:

    哺乳動物におけるビタミンK欠乏症の処置及び/又は予防に使用するための、受入番号DSM23589のラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス株CHCC12675、その突然変異体若しくはバリアント。

    哺乳動物における骨粗鬆症の処置及び/又は予防に使用するための、受入番号DSM23589のラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス株CHCC12675、その突然変異体若しくはバリアント。

    哺乳動物における骨の健康の改善に使用するための、受入番号DSM23589のラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス株CHCC12675、その突然変異体若しくはバリアント。

    哺乳動物における成長中の骨の先天異常の低減に使用するための、受入番号DSM23589のラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス株CHCC12675、その突然変異体若しくはバリアント。

    哺乳動物における腹痛の処置及び/又は予防に使用するための、受入番号DSM23589のラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス株CHCC12675、その突然変異体若しくはバリアント。

    哺乳動物における癌の処置及び/又は予防に使用するための、受入番号DSM23589のラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス株CHCC12675、その突然変異体若しくはバリアント。

    哺乳動物における前立腺癌の処置及び/又は予防に使用するための、受入番号DSM23589のラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス株CHCC12675、その突然変異体若しくはバリアント。

    哺乳動物における心血管疾患の処置及び/又は予防に使用するための、受入番号DSM23589のラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス株CHCC12675、その突然変異体若しくはバリアント。

    哺乳動物における冠動脈性心疾患の処置及び/又は予防に使用するための、受入番号DSM23589のラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス株CHCC12675、その突然変異体若しくはバリアント。

    乳製品(ヨーグルト等)である場合、例えばそのヨーグルトは、「健康な(healthy)」人に販売されるため、ビタミンK欠乏症の予防に係るものと見なされ得る(例えば、「正常な(normal)」人は、一般的な骨健康が改善することで、骨の障害の予防につながる)。

    前記組成物が医薬である場合、例えば重度の骨成長の異常又は腹痛を示す、明らかに病んだ人々の処置に、より関連し得る。

    要するに、本文中の記載に基づいて、当業者は、ビタミンKの処置と予防との間の相異を容易に同定することができる。

    商業的には、本明細書中の最も重要な哺乳類はヒトである。 あるいは、前記哺乳類は、例えばウシ、ブタ、ヤギ、イヌ、ネコ又はウサギであってもよい。

    当業者は、技術常識に基づき、哺乳類に対して好ましい組成物の投与量を同定し得る。 前記組成物が例えばヨーグルトである場合、当然に、消費者がどの程度の量のヨーグルトを食べるかは、本質的に消費者次第である。 前記組成物が医薬である場合、例えば医師は、治療/予防効果を挙げるために患者にとって必要な摂取量を認識し得る。

    本発明の実施形態を、制限されることのない実施例によって以下に説明する。

    実施例1
    ビタミンK2は、ラクトコッカス・ラクティスやその他の微生物の細胞膜における呼吸鎖の必須成分であり、そこではビタミンK2が電子を往復させている。 よって、細胞は、呼吸できるようにビタミンK2を必要としている。 そのため、我々は、呼吸型生産条件下で高収量で増殖した細胞が、多量のビタミンK2を生産し得ると推測した。

    そのため、我々は、社内アッセイを使用したビタミンK2生産性に関する野生型乳酸菌株のラクトコッカス・ラクティス種の大規模アレイを試験した(データ未掲載)。 簡単に言えば、そのアッセイは、以下のとおりで行われた:呼吸静置培養からの細胞を、OD600=1.0で7.5mLの新鮮な脂肪分3.5%の乳に植え付け、約20時間インキュベートした(詳細に関して以下を参照)。 発酵後に、発酵乳中の脂肪をリパーゼによって分解し、そしてタンパク質を沈殿させた。 その後、メナキノン(MK)を超音波処置により遊離させ、そしてヘキサン:クロロホルムによって抽出した。 サンプル中のMKの量を、HPLC−MSによって測定した。 使用したカラムは、0.45Dmインラインフィルターを備えたLiChroCart 125−2,Superspher 100 RP−18であった。 移動相は、2−プロパノールとメタノールのグラジエントであった。 アッセイを、MK−4及びMK−7標準物質を使用して較正した。

    その後、最も有望な株を、以下に記載したとおり外部試験にかけた。
    培養条件は以下のとおりであった:30℃にて振盪しながら、100mLのM17(Difco(商標)M17)+1%のラクトース、5ppmのヘミン。 100mLの体積で1.0のOD600をもたらす細胞の量を取り出し、そして4℃での遠心分離によって細胞を濃縮した。 細胞を、5mLの脂肪分3.5%の

    (Arla Foods Amba,Viby,Denmark製の「全脂肪(full fat)」乳)中に再懸濁した。 これら5mLを、4℃で95mLの

    に植え付け、それによりOD=1.0の植菌レベルを得た。 30℃にて約20時間のインキュベーション後に、サンプルを−20℃にて凍らせ、そしてビタミンK2の分析のためにドライアイスに乗せてAquanal(151 bis,Avenue Jean Jaures,33600 Pessac,France)に発送した。 以下のレベルのビタミンK2を得た(μg/100mL乳):

    CHCC4079(5);
    CHCC1899(2);
    CHCC3143(2);
    CHCC2862(9);
    CHCC12464(22);
    CHCC12675(26)。

    こうして驚いたことに、我々は、それぞれ22μgのビタミンK2/100mLの乳及び26μgのビタミンK2/100mLの乳を生産した2種類の野生型株CHCC12464及びCHCC12675を同定した。 よって、前記菌株は、我々がビタミンK2生産について知っているその他の野生型LABに比べて、それぞれ2.5倍及び3倍優れている。

    そのため、CHCC12464及びCHCC12675は、それら自体貴重な菌株であり、さらに、ビタミンK2生産性のさらなる改良のための素晴らしい出発点にもなり得る。

    寄託とエキスパート・ソリューション(EXPERT SOLUTION)
    本出願人は、特許の付与の日まで、以下に記載された寄託された微生物の試料が専門家にのみ入手可能となることを要求する。

    ラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス株CHCC12675を、2010年5月6日付でDeutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH,Inhoffenstr. 7B,D−38124 Braunschweig(DSMZ)に寄託し、受入番号:DSM23589を得た。

    寄託は、特許手続上の微生物の寄託の国際承認に関するブダペスト条約の条件下でおこなわれた。

    参考文献

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