半導体装置の製造方法

申请号 JP2015224317 申请日 2015-11-16 公开(公告)号 JP6330786B2 公开(公告)日 2018-05-30
申请人 トヨタ自動車株式会社; 发明人 門口 卓矢; 武 直矢;
摘要
权利要求

第1の部材と前記第1の部材に接合された第2の部材を有する半導体装置の製造方法であって、 Cuを0.9重量パーセント以上含有する第1のSn−Cu系はんだを、前記第1の部材に形成されたNi膜上で溶融させて、前記第1の部材の前記Ni膜上に(Cu,Ni)6Sn5を生成させる第1熱処理工程と、 Cuを0.9重量パーセント以上含有する第2のSn−Cu系はんだを、前記第2の部材に形成されたNi膜上で溶融させて、前記第2の部材の前記Ni膜上に(Cu,Ni)6Sn5を生成させる第2熱処理工程と、 前記第1熱処理工程後の前記第1のSn−Cu系はんだと、前記第2熱処理工程後の前記第2のSn−Cu系はんだとを溶融させて一体化し、前記第1の部材と前記第2の部材とを互いに接合する第3熱処理工程と、 を備え、 前記第3熱処理工程で前記第1のSn−Cu系はんだ及び前記第2のSn−Cu系はんだを溶融させる時間は、前記第1熱処理工程で前記第1のSn−Cu系はんだを溶融させる時間及び前記第2熱処理工程で前記第2のSn−Cu系はんだを溶融させる時間よりも短い、製造方法。前記第1のSn−Cu系はんだと前記第2のSn−Cu系はんだの少なくとも一方は、Cuを1.6重量パーセント以上含有する、請求項1に記載の製造方法。前記第1の部材と前記第2の部材の少なくとも一方は、パワー半導体素子である、請求項1又は2に記載の製造方法。

说明书全文

本明細書で開示する技術は、半導体装置の製造方法に関する。

半導体装置では、例えば半導体素子とリードフレームといった二以上の部材が、はんだによって接合されている。二つの部材をはんだによって接合する場合、接合界面における金属間化合物の過度な成長を防止するために、各部材の表面にNi(ニッケル)めっきといったNi膜を設けておくことが広く行われている。しかしながら、このNi膜についても、200℃に達するような高温を長時間に亘って経験していると、はんだとの間で金属間化合物(例えばNi3Sn4)を生成することがある。この場合、接合強度の低下といった問題が懸念される。

上記の問題に関して、特許文献1には、Cu6Sn5を含有するSn−Cu系はんだを用いた半導体装置の製造方法が記載されている。この製造方法は、二つの部材の間にSn−Cu系はんだを配置する工程と、Sn−Cu系はんだを加熱して溶融させ、各部材のNi膜上に(Cu,Ni)6Sn5を生成させる工程を有する。この製造方法によると、Ni膜上に生成された(Cu,Ni)6Sn5が、Ni膜の金属間化合物化を抑制するバリア層として機能し、はんだとNi膜との接合界面における接合強度の低下を防止することができる。

特開2007−67158号公報

特許文献1に記載の製造方法では、二つの部材の間ではんだが溶融させることにより、二つの部材の各Ni膜上に(Cu,Ni)6Sn5を同時に生成させている。この場合、二つの部材の間ではんだが溶融している間に、はんだに含まれるCu6Sn5の一部が一方の部材へ移動して(Cu,Ni)6Sn5を生成し、他の一部が他方の部材へ移動して(Cu,Ni)6Sn5を生成する。ここで、二つの部材の間に位置するはんだを均一に加熱することは難しく、例えば、加熱中のはんだの温度分布が、その厚み方向において不均一となり得る。このとき、一方の部材に接触する範囲では、はんだの温度上昇が早く、はんだが早期に溶融する一方で、他方の部材に接触する範囲では、はんだの温度上昇が遅く、はんだが遅れて溶融することがある。この場合、一方の部材で先に(Cu,Ni)6Sn5の生成が開始され、他方の部材では(Cu,Ni)6Sn5の生成が遅れて開始される。その結果、はんだに含まれるCu6Sn5の大部分が、一方の部材で消費されてしまい、他方の部材に予定された量の(Cu,Ni)6Sn5を生成させられないことがある。

上記の問題に関して、例えば、使用するSn−Cu系はんだのCu濃度を高くすることが考えられる。Cu濃度が高くなれば、はんだに含まれるCu6Sn5の量も多くなる。そして、はんだにCu6Sn5が潤沢に含まれていれば、仮に二つの部材の間で(Cu,Ni)6Sn5が不均一に生成された場合でも、二つの部材の各表面に必要とされる(Cu,Ni)6Sn5を生成させることができる。しかしながら、Sn−Cu系はんだでは、Cu濃度が高くなるほど、溶融温度(液相温度)も高くなる(図22参照)。従って、使用するSn−Cu系はんだのCu濃度を高くすると、はんだを溶融させる工程ではんだをより高温まで加熱する必要が生じる。例えば、特許文献1に記載の製造方法では、Cuを3〜7重量パーセント含有するSn−Cu系はんだが使用されており、その溶融温度はおよそ330℃〜400℃に達する。

以上の実情を鑑み、本明細書は、Sn−Cu系はんだを用いて二以上の部材が接合された半導体装置を製造する方法において、比較的にCu濃度が低いSn−Cu系はんだを用いた場合でも、各部材のNi膜上に予定された量の(Cu,Ni)6Sn5を生成させられる技術を提供する。

本明細書は、第1の部材と第1の部材に接合された第2の部材とを有する半導体装置の製造方法を開示する。この製造方法は、第1熱処理工程と第2熱処理工程と第3熱処理工程を備える。第1熱処理工程では、Cuを0.9重量パーセント以上含有する第1のSn−Cu系はんだを、第1の部材に形成されたNi膜上で溶融させて、第1の部材のNi膜上に(Cu,Ni)6Sn5を生成させる。第2熱処理工程では、Cuを0.9重量パーセント以上含有する第2のSn−Cu系はんだを、第2の部材に形成されたNi膜上で溶融させて、第2の部材のNi膜上に(Cu,Ni)6Sn5を生成させる。そして、第3熱処理工程では、第1熱処理工程後の第1のSn−Cu系はんだと第2熱処理工程後の第2のSn−Cu系はんだとを溶融させて一体化し、第1の部材と第2の部材とを互いに接合する。ここで、第3熱処理工程で第1のSn−Cu系はんだ及び第2のSn−Cu系はんだを溶融させる時間は、第1熱処理工程で第1のSn−Cu系はんだを溶融させる時間及び第2熱処理工程で第2のSn−Cu系はんだを溶融させる時間よりも短くするとよい。第1熱処理工程と第2熱処理工程は同時に行われてもよいし、異なるタイミングで行われてもよい。第1熱処理工程と第2熱処理工程の順序も特に限定されない。また、Ni膜は、純Niの膜に限られず、P(リン)その他の元素が添加されたものを含む。

上記した製造方法では、第1の部材と第2の部材を組み合わせる前に、第1の部材に対して第1熱処理工程を実施し、かつ、第2の部材に対して第2熱処理工程を実施することができる。第1熱処理工程では、第1のSn−Cu系はんだを用いて、第1の部材のNi膜上に(Cu,Ni)6Sn5を生成させる。第2熱処理工程では、第1のSn−Cu系はんだとは別の第2のSn−Cu系はんだを用いて、第2の部材のNi膜上に(Cu,Ni)6Sn5を生成させる。特許文献1に記載された製造方法のように、一つのはんだに含まれるCu6Sn5を二つの部材で分け合うことがないので、第1及び第2のSn−Cu系はんだのCu濃度が比較的に低い場合でも、第1の部材及び第2の部材の各Ni膜上へ、予定された量の(Cu,Ni)6Sn5を生成させることができる。ここで、第1のSn−Cu系はんだのCu濃度が0.9重量パーセント以上であると、第1の部材のNi膜上に、バリア層として機能し得る量の(Cu,Ni)6Sn5を生成させることができる。第2のSn−Cu系はんだについても同様である。第1熱処理工程及び第2熱処理工程の後は、第1の部材と第2の部材を組み合わせて第3熱処理工程を実施することにより、第1の部材と第2の部材を互い接合することができる。

はんだ付け方法の一工程を示す図であって、第1のはんだ14が配置された第1の部材10と、第2のはんだ24が配置された第2の部材20を示す。

はんだ付け方法の一工程を示す図であって、第1熱処理工程後の第1の部材10と第2熱処理工程後の第2の部材20を示す。

はんだ付け方法の一工程を示す図であって、第1熱処理工程後の第1の部材10と第2熱処理工程後の第2の部材20とを組み合わせた様子を示す。

はんだ付け方法の一工程を示す図であって、第3熱処理工程後の第1の部材10及び第2の部材20を示す。

図5(A)〜図5(E)は、はんだ付け後(第3熱処理工程後)のNi膜12(Ni−P)とはんだ接合層30との接合界面を撮影した電気顕微鏡写真である。

図6(A)〜図6(E)は、はんだ付け後(第3熱処理工程後)のNi膜12(Ni)とはんだ接合層30との接合界面を撮影した電気顕微鏡写真である。

第1のはんだ14及び第2のはんだ24のCu濃度を変化させて実施したはんだ付けした結果を示す表。

第1のはんだ14及び第2のはんだ24のCu濃度毎に、高温耐久試験において測定されたPリッチ層の成長を示すグラフ。

図9(A)〜図9(E)は、500時間の高温耐久試験後にNi膜12(Ni−P)とはんだ接合層30との接合界面を撮影した電気顕微鏡写真である。図9(A)〜(E)は、第1及び第2のはんだ14、24のCu濃度をそれぞれ0.7重量パーセント、0.9重量パーセント、1.4重量パーセント、1.5重量パーセント、1.6重量パーセントとしたものを示す。

図10(A)〜図10(E)は、高温耐久試験後にNi膜12(Ni−P)とはんだ接合層30との接合界面を撮影した電気顕微鏡写真である。図10(A)はCu濃度を0.7重量パーセントとし、250時間の高温耐久試験を行ったものであり、図10(B)はCu濃度を0.9重量パーセントとし、250時間の高温耐久試験を行ったものであり、図10(C)はCu濃度を1.4重量パーセントとし、500時間の高温耐久試験を行ったものであり、図10(D)はCu濃度を1.5重量パーセントとし、500時間の高温耐久試験を行ったものであり、図10(E)はCu濃度を1.6重量パーセントとし、1000時間の高温耐久試験を行ったものである。

半導体装置50を模式的に示す斜視図。

半導体装置50の構造を模式的に示す分解図。なお、樹脂パッケージ60は図示省略されている。

半導体装置50の電気的な構成を示す回路図。

図11のXIV−XIV線における断面図。

図14のXV部の拡大図。

半導体装置50の製造方法の一工程を示す図であって、第1熱処理工程又は第2熱処理工程後の各部材を示す。

半導体装置50の製造方法の一工程を示す図であって、一部の部材が組み合わされた半製品を示す。

半導体装置50の製造方法の一工程を示す図であって、第3熱処理工程後の半製品を示す。

半導体装置50の製造方法の一工程を示す図であって、さらに他の部材が組み合わされた半製品を示す。

半導体装置50の製造方法の一工程を示す図であって、二度目の第3熱処理工程後の半製品を示す。

半導体装置50の製造方法の一工程を示す図であって、樹脂パッケージ60が形成された半導体装置50を示す。

Sn−Cu系はんだの状態図(相図)を示す。

最初に、本明細書で開示されるはんだ付け方法について説明する。このはんだ付け方法では、図1〜図4に示すように、第1のはんだ14と第2のはんだ24を用いて、第1の部材10と第2の部材20とを互いに接合する。このはんだ付け方法は、各種の工業製品の製造に適用することができる。従って、第1の部材10及び第2の部材20は、特定の部材に限定されない。例えば、第1の部材10及び第2の部材20は、半導体装置を構成する複数の部材のうちの二つである。この場合、本明細書で開示されるはんだ付け方法は、半導体素子と導電部材(例えばリードフレーム)との間のはんだ付け、導電部材と導電部材との間のはんだ付け、及び、半導体素子と半導体素子との間のはんだ付けのいずれにも適用することができる。

先ず、図1に示すように、第1の部材10の表面10aに第1のはんだ14を配置し、第2の部材20の表面20aに第2のはんだ24を配置する。第1の部材10の表面10aには、Ni膜12が形成されている。ここで、Ni膜とは、Ni(ニッケル)を主成分とする金属層を意味し、例えば無電解Ni−Pめっき層や電解Niめっき層であってよい。Ni膜12は、第1の部材10と第1のはんだ14との接合界面における金属化合物の過剰な生成を抑制するために設けられている。Ni膜12の初期厚みD0は、特に限定されず、例えば数μm〜数百μmとすることができる。同様に、第2の部材20の表面20aにも、Ni膜22が形成されている。なお、Ni膜12、22は、その腐食を防止するために、Au(金)又はAg(銀)といった他の金属膜によって覆われていてもよい。このような金属膜は、後の第1熱処理工程又は第2熱処理工程において、はんだ14、24が溶融している間に当該はんだ14、24中に拡散する。

第1のはんだ14及び第2のはんだ24のそれぞれは、Sn(錫)にCu(銅)が添加されたSn−Cu系はんだであり、CuとSnとの金属間化合物であるCu6Sn5(符号16、26)が含まれている。詳しくは後述するが、各々のはんだ14、24は、Cuを0.9重量パーセント以上含有することが好ましい。各々のはんだ14、24は、様々な形態のものであってよく、シート状、ワイヤ状、ペースト状であってよい。また、第1のはんだ14と第2のはんだ24との間で、Cu濃度は同一であってもよいし、異なってもよい。

次に、図2に示すように、第1の部材10上に配置された第1のはんだ14を加熱する第1熱処理工程と、第2の部材20上に配置された第2のはんだ24を加熱する第2熱処理工程とを実施する。第1熱処理工程と第2熱処理工程は、同時に行われてもよいし、別々のタイミングで行われてもよい。また、第1熱処理工程と第2熱処理工程は、物理的に離れた位置で個別に行われてもよい。第1熱処理工程では、第1のはんだ14を加熱することによって、第1のはんだ14を第1の部材10のNi膜12上で溶融させる。即ち、第1熱処理工程では、第1のはんだ14を、その溶融温度(液相点)以上まで加熱する。ここで、図22に示す相図から理解されるように、Sn−Cu系はんだの溶融温度は、Sn−Cu系はんだに含まれるCu濃度に応じて変化し、Cu濃度が高くなるほど溶融温度も高くなる。例えば、Cu濃度が0.9重量パーセントの場合、Sn−Cu系はんだの溶融温度は230℃〜235℃となる。この点に関して、第1のはんだ14のCu濃度は、低い方が好ましい。後述する第2のはんだ24についても同様である。

第1のはんだ14が溶融すると、第1のはんだ14に含まれるCu6Sn5がNi膜12上へ移動して、(Cu,Ni)6Sn5(符号18)が生成される。これにより、第1の部材10と第1のはんだ14が強固に接続される。(Cu,Ni)6Sn5は、Ni膜12を覆うことによって、Ni3Sn4の生成を抑制するバリア層として機能する。第1熱処理工程において、第1のはんだ14を溶融した状態に維持する溶融時間は、例えば5分〜10分とすることができる。但し、当該溶融時間は、3分〜10分に限られず、予定する量の(Cu,Ni)6Sn5が生成されるのに要する時間を考慮して、適宜設定することができる。なお、Ni膜12上に生成される(Cu,Ni)6Sn5の量は、第1のはんだ14のCu濃度に応じて変化し、Cu濃度が高くなるほど(Cu,Ni)6Sn5の生成量は多くなる。この点に関しては、第1のはんだ14のCu濃度は、高い方が好ましい。後述する第2のはんだ24についても同様である。

同様に、第2熱処理工程では、第2のはんだ24を加熱することによって、第2のはんだ24を第2の部材20のNi膜22上で溶融させる。即ち、第2熱処理工程では、第2のはんだ24を、その溶融温度(液相点)以上まで加熱する。第2のはんだ24が溶融すると、第2のはんだ24に含まれるCu6Sn5がNi膜22上へ移動して、(Cu,Ni)6Sn5(符号28)が生成される。(Cu,Ni)6Sn5についても、Ni膜22を覆うことによって、Ni3Sn4の生成を抑制するバリア層として機能する。第2の熱処理工程においても、第2のはんだ24を溶融した状態に維持する溶融時間は、例えば3分〜10分とすることができる。但し、この溶融時間についても、予定する量の(Cu,Ni)6Sn5が生成されるのに要する時間を考慮して、適宜設定することができる。第2熱処理工程における溶融時間は、第1熱処理工程における溶融時間と同一であってもよいし、異なってもよい。なお、第1の部材10のNi膜12や第2の部材20のNi膜22がAu又はAgといった他の金属膜によって覆われている場合でも、このような金属膜は、はんだ14、24が溶融している間にはんだ14、24中に拡散するので、Ni膜12、22上には同じく(Cu,Ni)6Sn5が生成される。

次に、図3に示すように、第1のはんだ14と第2のはんだ24とが向かい合うように、第1の部材10と第2の部材20とを組み合わせる。このとき、第1のはんだ14と第2のはんだ24とを直接的に接触させてもよいし、第1のはんだ14と第2のはんだ24との間に別のはんだ又はその他の部材を介在させてもよい。

次に、図4に示すように、第1のはんだ14及び第2のはんだ24を加熱する第3熱処理工程を実施する。第3熱処理工程では、第1熱処理工程後の第1のはんだ14と、第2熱処理工程後の第2のはんだ24とを溶融させて一体化する。その後、第1のはんだ14及び第2のはんだ24が凝固すると、第1の部材10と前記第2の部材20との間に、両はんだ14、24が一体となったはんだ接合層30が形成され、第1の部材10と第2の部材20とが互いに接合される。第3熱処理工程では、各々のはんだ14、24が短時間でも溶融すれば、両者を一体化させることができる。従って、第3熱処理工程では、はんだ14、24を溶融した状態に維持する溶融時間を例えば数秒に設定してもよい。従って、第3熱処理工程における溶融時間は、各種の条件を考慮して適宜設定することができるが、第1熱処理工程及び第2熱処理工程における各溶融時間よりも短くすることができる。

上記したはんだ付け方法では、第1の部材10と第2の部材20を組み合わせる前に、第1の部材10に対して第1熱処理工程が実施され、第2の部材に対して第2熱処理工程が実施される。第1熱処理工程では、第1のはんだ14を用いて、第1の部材10のNi膜12上に(Cu,Ni)6Sn5を生成する。第2熱処理工程では、第1のはんだ14とは別の第2のはんだ24を用いて、第2の部材20のNi膜22上に(Cu、Ni)6Sn5を生成する。これに対して、従来のはんだ付け方法では、二つの部材の間で共通のはんだを溶融させることにより、二つの部材の各Ni膜上へ(Cu,Ni)6Sn5を同時に生成していた。このような方法であると、はんだに含まれるCu6Sn5を二つの部材で分け合うことになり、一方の部材で(Cu,Ni)6Sn5が過剰に生成されると、他方の部材で(Cu,Ni)6Sn5が十分に生成されないことがあった。これに対して、本明細書で開示されるはんだ付け方法によると、一つのはんだに含まれるCu6Sn5を第1の部材10及び第2の部材20で分け合うことがない。従って、第1のはんだ14及び第2のはんだ24のCu濃度が比較的に低い場合でも、第1の部材10及び第2の部材20の各Ni膜12、22上へ、予定された量の(Cu,Ni)6Sn5を生成することができる。第1のはんだ14及び第2のはんだ24のCu濃度を低くすれば、第1のはんだ14及び第2のはんだ24の各溶融温度が低下する(図22参照)。従って、第1熱処理工程で第1のはんだ14を加熱する目標温度、及び、第2熱処理工程で第2のはんだ24を加熱する目標温度をそれぞれ低くすることができる。これらの目標温度を低くすることができれば、例えば、それぞれの熱処理工程で必要とされるエネルギー消費量を抑制することができる。あるいは、第1のはんだ14又は第2のはんだ24と共に加熱される各種の部材への悪影響を避けることができる。

次に、第1のはんだ14及び第2のはんだ24のCu濃度について検討する。前述したように、第1のはんだ14のCu濃度を高くするほど、Ni膜12上により多くの(Cu,Ni)6Sn5が生成され、好適なバリア層を形成することができる。第2のはんだ24についても同様であるので、以下では、第1のはんだ14を例にして説明する。図5は、はんだ付け後のNi膜12とはんだ接合層30との界面を撮影した電子顕微鏡写真である。なお、図5(A)〜図5(E)の各写真は、第1の部材10をCuとし、Ni膜12を無電解Ni−Pめっき層としたものである。また、図5(A)〜図5(E)は、第1のはんだ14のCu濃度を、それぞれ0.7重量パーセント、1.7重量パーセント、2.7重量パーセント、3.0重量パーセント、3.2重量パーセントとしたものを示す。図5(A)に示すように、第1のはんだ14のCu濃度が0.7重量パーセントの場合、(Cu,Ni)6Sn5の生成が不十分であり、Ni3SnPが広く生成されていることが確認される。また、生成されたPリッチ層(Ni3Pが生成された層)の厚みD1も大きい。ここで、Pリッチ層の厚みD1は、Ni膜12から消費されたNiの量に相関し、Pリッチ層の厚みD1が大きいときほど、Ni膜12から多くのNiが消費されたことを示す。一方、図5(B)〜図5(E)に示すように、第1のはんだ14のCu濃度が1.7重量パーセント以上であると、Ni3SnPの生成が確認されず、(Cu,Ni)6Sn5が十分に生成されていることが確認される。また、Pリッチ層の厚みD1も比較的に小さく、(Cu,Ni)6Sn5がNi膜12を覆い、バリア層として機能したことが確認される。

図6(A)〜図6(E)の各写真は、図5(A)〜図6(E)に示すものと比較して、Ni膜12を電解Niめっき層に変更したものである。図6(A)〜図6(E)は、第1のはんだ14のCu濃度を、それぞれ0.7重量パーセント、1.7重量パーセント、2.7重量パーセント、3.0重量パーセント、3.2重量パーセントとしたものを示す。図6(A)に示すように、第1のはんだ14のCu濃度が0.7重量パーセントの場合、(Cu,Ni)6Sn5の生成が不十分であり、(Ni,Cu)3Sn4が広く生成されていることが確認される。また、Ni膜12の厚みD2も、初期厚みD0から比較的に大きく減少している。即ち、Ni膜12から多くのNiが消費されたことが確認される。一方、図6(B)〜図6(E)に示すように、第1のはんだ14のCu濃度が1.7重量パーセント以上であると、(Ni,Cu)3Sn4の生成が確認されず、(Cu,Ni)6Sn5が十分に生成されていることが確認される。また、Ni膜12の消失量(即ち、D0とD2との差)も比較的に小さく、(Cu,Ni)6Sn5がNi膜12を覆い、バリア層として機能したことが確認される。

上記した実験結果から、第1のはんだ14及び第2のはんだ24のCu濃度が1.7重量パーセント以上であると、各Ni膜12、22上にバリア層として機能し得る量の(Cu,Ni)6Sn5が生成されることが確認された。しかしながら、Sn−Cu系はんだの溶融温度は、Cu濃度が1.7重量パーセントの場合、250℃〜260℃となる(図22参照)。前述したように、Sn−Cu系はんだでは、Cu濃度が低くなるほど溶融温度が低くなり、それによって、第1熱処理工程及び第2熱処理工程における目標加熱温度を低下させることができる。ここで、図5、図6に示す実験結果によると、第1のはんだ14及び第2のはんだ24のCu濃度が1.7重量パーセント未満であっても、各Ni膜12、22上に、バリア層として機能し得る量の(Cu,Ni)6Sn5を生成し得ることが推測される。そのことから、以下では、第1のはんだ14及び第2のはんだ24のCu濃度が0.7〜1.7重量パーセントの範囲の場合についてさらに検討する。

図7〜図10は、本発明者らが実施した実験の結果を示す。この実験では、第1のはんだ14及び第2のはんだ24のCu濃度を変化させた各サンプルに対して、200℃の高温雰囲気下に放置する高温耐久試験を行っている。なお、この実験では、Ni膜12、22を無電解Ni−Pめっき層とし、第1の部材10及び第2の部材20をCuとした。また、各サンプルの評価については、Cu濃度が0.7重量パーセントである場合を基準とし、それに対する「Ni消失量の少なさ」及び「(Ni,Cu)3Sn4の生成されにくさ」を相対的に判断している。図7に示す表において、丸印「○」は当該基準(Ref)よりも優れていることを示し、丸印の数が多いものほど、より優れていることを示す。ここで、「はんだ付け」の欄は、はんだ付け直後に各サンプルを観察及び測定した結果を示し、「高温耐久(200℃)」の欄は、高温耐久試験後に各サンプルを観察及び測定した結果を示す。図8は、高温耐久試験における保持時間(各サンプルを200℃の高温雰囲気下に放置した時間)と、測定されたPリッチ層の厚みD1との関係を示すグラフである。ここで、図7に示す「Ni消失量の少なさ」は、図8に示すPリッチ層の厚みD1に基づいて評価されている。

図8、図9、図10から確認されるように、Cu濃度が0.7重量パーセントのサンプルでは、500時間の高温耐久試験によって、Ni膜12がほぼ完全に消失しており、(Ni,Cu)3Sn4の顕著な生成が確認される。これに対して、Cu濃度が0.9重量パーセント以上であると、500時間の高温耐久試験によっても、Ni膜12の残存が確認されており、(Ni,Cu)3Sn4の生成も抑制されている。このことから、第1のはんだ14及び第2のはんだ24のCu濃度が0.9重量パーセント以上であれば、200℃に達するような高温を経験し得る工業製品においても、実用化に耐え得るはんだ付けを行うことができると判断される。

さらに、図8のグラフによると、Cu濃度が高くなるほど、生成されるPリッチ層の厚みは減少する。これは、Cu濃度が高くなるほど、Ni膜12、22上に(Cu,Ni)6Sn5が厚く生成され、(Cu,Ni)6Sn5によるバリア性が優れることを示す。特に、Cu濃度が1.6重量パーセントのサンプルでは、500時間〜1000時間の高温耐久試験においても、Pリッチ層の生成が安定して抑制されており、(Cu,Ni)6Sn5の層が特に優れたバリア性を有することが確認される。そのことから、第1のはんだ14及び第2のはんだ24のCu濃度は、1.6重量パーセント以上であることがより好ましいと判断される。

本明細書で開示されるはんだ付け方法は、はんだ付けを必要とする各種の工業製品の製造に適用することができる。以下では、一例として、本明細書で開示されるはんだ付け方法を適用した半導体装置50の製造方法を説明する。最初に、図11〜図15を参照して半導体装置50の構成について説明する。この半導体装置50は、電気自動車(ハイブリッドカー及び燃料電池車を含む)において、モータへの電供給経路に使用されるパワーモジュールである。

図11〜図13に示すように、半導体装置50は、複数の半導体素子52、54、56、58と、それらの半導体素子52、54、56、58を封止する樹脂パッケージ60を備える。複数の半導体素子52、54、56、58は、第1トランジスタ素子52と、第2トランジスタ素子54と、第1ダイオード素子56と、第2ダイオード素子58とを含む。各々の半導体素子52、54、56、58は、許容電流が100アンペア以上であり、パワー半導体素子に属するものである。図13に示されるように、第1トランジスタ素子52と第2トランジスタ素子54は電気的に直列に接続されている。第1ダイオード素子56は第1トランジスタ素子52に電気的に逆並列に接続されており、第2ダイオード素子58は第2トランジスタ素子54に電気的に逆並列に接続されている。

半導体装置50はさらに、複数の放熱板62、64、66、68と、複数のスペーサ72、74、76、78を備える。複数の放熱板62、64、66、68及び複数のスペーサ72、74、76、78の各々は、導電部材であり、例えば銅といった金属材料で形成されている。各々の放熱板62、64、66、68は、樹脂パッケージ60の下面60a又は上面60bに露出しており、複数の半導体素子52、54、56、58の熱を外部へ放出する。図14に示すように、第1トランジスタ素子52の下面電極52aと放熱板62は互いにはんだ付けされており、両者の間には、はんだ接合層91が形成されている。第1トランジスタ素子52の上面電極52bとスペーサ72の下面は互いにはんだ付けされており、両者の間には、はんだ接合層92が形成されている。スペーサ72の上面と放熱板66は互いにはんだ付けされており、両者の間には、はんだ接合層93が形成されている。

同様に、第2トランジスタ素子54の下面電極54aと放熱板64は互いにはんだ付けされており、両者の間には、はんだ接合層94が形成されている。第2トランジスタ素子54の上面電極54bとスペーサ74の下面は互いにはんだ付けされており、両者の間には、はんだ接合層95が形成されている。スペーサ74の上面と放熱板68は互いにはんだ付けされており、両者の間には、はんだ接合層96が形成されている。また、放熱板64の継手65と放熱板66の継手67は互いにはんだ付けされており、両者の間には、はんだ接合層97が形成されている。図示省略するが、第1ダイオード素子56及び第2ダイオード素子58についても、第1トランジスタ素子52及び第2トランジスタ素子54と同様に、放熱板62、64、66、68及びスペーサ76、78に対してはんだ付けによって固定されている。

図14、15に示すように、はんだ接合層91に接する放熱板62及び第1トランジスタ素子52の各表面には、Ni膜101、102が形成されている。また、はんだ接合層92に接する第1トランジスタ素子52及びスペーサ72の各表面には、Ni膜103、104が形成されている。図示省略するが、その他のはんだ接合層93〜97に接する二つの部材の各表面にも、Ni膜がそれぞれ形成されている。

図11、図12に示すように、半導体装置50はさらに、正極端子82、負極端子84、出力端子86及び複数の制御端子88を備える。正極端子82は、放熱板62と一体に形成されている。負極端子84は、放熱板68の継手69にはんだ付けされている。出力端子86は、放熱板64と一体に形成されている。ここで、各々の放熱板62、64、66、68は、複数の半導体素子52、54、56、58と電気的に接続されており、導電経路を構成している。各々の制御端子88は、ボンディングワイヤ89を介して、第1トランジスタ素子52又は第2トランジスタ素子54のゲートパッドその他の電極パッドに接続されている。

以下、図16〜図21を参照して、上述した半導体装置50の製造方法について説明する。先ず、図16に示すように、互いはんだ付けする二つの部材について、前述した第1熱処理工程及び第2熱処理工程を実施する。それにより、各部材にはんだを溶着させる。例えば、互いにはんだ付けされる放熱板62と第1トランジスタ素子52については、放熱板62に対して第1熱処理工程を実施するとともに、第1トランジスタ素子52に対して第2熱処理工程を実施する。第1熱処理工程では、Sn−Cu系はんだである第1のはんだ91aを、放熱板62に形成されたNi膜101上で溶融させて、当該Ni膜101上に(Cu,Ni)6Sn5を生成させる。一方、第2熱処理工程では、同じくSn−Cu系はんだである第2のはんだ91bを、第1トランジスタ素子52に形成されたNi膜102上で溶融させて、当該Ni膜102上に(Cu,Ni)6Sn5を生成させる。ここで、前述したように、第1のはんだ91a及び第2のはんだ91bは、Cuを0.9重量パーセント以上含有するものであり、Cuを1.6重量パーセント以上含有することがより好ましい。同様にして、その他のはんだ付け箇所についても、各々の部材に第1熱処理工程又は第2熱処理工程を実施して、第1のはんだ92a〜97a又は第2のはんだ92b〜97bを各部材に溶着させる(なお、図16に図示されない第1ダイオード素子56その他の部材も同様である)。

次に、図17に示すように、放熱板62上に第1トランジスタ素子52及びスペーサ72を重畳的に配置し、放熱板64上に第2トランジスタ素子54及びスペーサ74を重畳的に配置する。このとき、放熱板62に溶着された第1のはんだ91aは、第1トランジスタ素子52の下面に溶着された第2のはんだ91bと接触又は対向し、第1トランジスタ素子52の上面に溶着された第1のはんだ92aは、スペーサ72の下面に溶着された第2のはんだ92bと接触又は対向する。第2トランジスタ素子54側に関しても同様に、第1のはんだ94a、95aが、対応する第2のはんだ94b、95bにそれぞれ接触又は対向する。図示省略するが、放熱板62上にはさらに、第1ダイオード素子56及びスペーサ76を重畳的に配置し、放熱板64上にはさらに、第2ダイオード素子58及びスペーサ78を重畳的に配置する。なお、放熱板62及び放熱板64は、複数の制御端子88等と共に一体に成形されたリードフレームとして用意することができる。

次に、図18に示すように、前述した第3熱処理工程を実施することにより、各部材に溶着された第1のはんだ91a、92a、94a、95aと、各部材に溶着された第2のはんだ91b、92b、94b、95bを溶融させて一体化する。これにより、第1トランジスタ素子52は、はんだ接合層91を介して放熱板62に接合され、かつ、はんだ接合層92を介してスペーサ72に接合される。また、第2トランジスタ素子54は、はんだ接合層94を介して放熱板64に接合され、かつ、はんだ接合層95を介してスペーサ74に接合される。図示省略するが、同様にして、第1ダイオード素子56は放熱板62及びスペーサ76にはんだ接合層を介して接合され、第2ダイオード素子58は放熱板64及びスペーサ78にはんだ接合層を介して接合される。その後、制御端子88に対するワイヤボンディングを行う。

次に、図19に示すように、上述した第3熱処理工程後の半製品に対して、放熱板66、68を組み合わせる。このとき、スペーサ72の上面に溶着された第1のはんだ93aは、放熱板66の下面に溶着された第2のはんだ93bと接触又は対向し、スペーサ74の上面に溶着された第1のはんだ96aは、放熱板68の下面に溶着された第2のはんだ96bと接触又は対向する。また、放熱板64の継手65に溶着された第1のはんだ97aは、放熱板66の継手67に溶着された第2のはんだ97bと接触又は対向する。

次に、図20に示すように、二度目の第3熱処理工程を実施することにより、各部材に溶着された第1のはんだ93a、96a、97aと、各部材に溶着された第2のはんだ93b、96b、97bを溶融させて一体化する。これにより、放熱板66は、はんだ接合層93を介してスペーサ72に接合され、放熱板68は、はんだ接合層96を介してスペーサ74に接合される。また、放熱板66の継手67が、はんだ接合層97を介して放熱板64の継手65に接合される。図示省略するが、放熱板66は、第1ダイオード素子56上のスペーサ76にもはんだ付けされ、放熱板68は、第2ダイオード素子58上のスペーサ78にもはんだ付けされる。その後、図21に示すように、モールド成形によって樹脂パッケージ60を形成し、リードフレームの切断及び他の必要な工程を行うことによって、半導体装置50は完成する。

上記した半導体装置50の製造方法は一例であり、本明細書で開示されるはんだ付け方法は、様々な構成の半導体装置の製造方法にも適用することができる。但し、半導体装置50は、パワー半導体素子52、54、56、58を有しており、大電流が通電されることによって、はんだ付け箇所が200℃に達することも想定される。この点に関して、上記した製造方法によると、各部材のNi膜(例えばNi膜101、102、103)上に十分な(Cu,Ni)6Sn5を生成させることによって、200℃の高温下でもNi膜の金属間化合物化を抑制し得るバリア層を形成することができる。従って、上記した製造方法は、パワー半導体素子52、54、56、58を有する半導体装置50の製造方法に好適に適用することができる。なお、上述した半導体装置50の製造方法では、本明細書で開示されるはんだ付け方法を、複数のはんだ付け箇所に適用しているが、本明細書で開示されるはんだ付け方法は、複数のはんだ付け箇所の一部のみに適用することもできる。

以上、いくつかの具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。以下に、本明細書の開示内容から把握される技術的事項を列記する。なお、以下に記載する技術的事項は、それぞれが独立した技術的事項であり、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものである。

本明細書では、第1の部材と第1の部材に接合された第2の部材を有する半導体装置の製造方法が開示される。この製造方法は、Cuを0.9重量パーセント以上含有する第1のSn−Cu系はんだを、第1の部材に形成されたNi膜上で溶融させて、第1の部材のNi膜上に(Cu,Ni)6Sn5を生成させる第1熱処理工程と、Cuを0.9重量パーセント以上含有する第2のSn−Cu系はんだを、第2の部材に形成されたNi膜上で溶融させて、第2の部材のNi膜上に(Cu,Ni)6Sn5を生成させる第2熱処理工程と、第1熱処理工程後の第1のSn−Cu系はんだと、第2熱処理工程後の第2のSn−Cu系はんだとを溶融させて一体化し、第1の部材と第2の部材とを互いに接合する第3熱処理工程とを備える。この製造方法によると、第1及び第2のSn−Cu系はんだのCu濃度が比較的に低い場合でも、第1の部材及び第2の部材の各Ni膜上へ、予定された量の(Cu,Ni)6Sn5を生成させることができる。

上記した製造方法では、第3熱処理工程で第1のSn−Cu系はんだ及び第2のSn−Cu系はんだを溶融させる時間を、第1熱処理工程で第1のSn−Cu系はんだを溶融させる時間及び第2熱処理工程で第2のSn−Cu系はんだを溶融させる時間よりも短くするとよい。第3熱処理工程は、金属化合物の生成を目的とするものではなく、第1のSn−Cu系はんだ及び第2のSn−Cu系はんだを単に溶融させることで、両者を一体化することができる。そのことから、第3熱処理工程ではんだを溶融させる時間は、第1熱処理工程及び第2処理工程ではんだを溶融させる時間よりも短くてよく、それにより、半導体装置の製造に要する時間を短縮することができる。

上記した製造方法において、第1のSn−Cu系はんだと第2のSn−Cu系はんだの少なくとも一方は、Cuを1.6重量パーセント以上含有することが好ましい。これにより、第1部材と第2部材の少なくとも一方のNi膜上に、より優れたバリア性を発揮し得る量の(Cu,Ni)6Sn5を生成させることができる。

上記した製造方法において、第1の部材と第2の部材の少なくとも一方は、パワー半導体素子であることが好ましい。パワー半導体素子を有する半導体装置では、大きな電流が通電されることによって、はんだ付け箇所が例えば200℃に達するような高温まで加熱されることがある。この点に関して、上記した製造方法によると、Ni膜に十分な(Cu,Ni)6Sn5を生成させることによって、200℃の高温下でもNi膜の金属間化合物化を長期間に亘って抑制し得るバリア層を形成することができる。これにより、パワー半導体素子を有する半導体装置の耐熱性を有意に高めることができる。

10:第1の部材 12:第1の部材のNi膜 14:第1のはんだ 20:第2の部材 22:第2の部材のNi膜 24:第2のはんだ 30:はんだ接合層 50:半導体装置 52:第1トランジスタ素子 54:第2トランジスタ素子 56:第1ダイオード素子 58:第2ダイオード素子 60:樹脂パッケージ 62、64、66、68:放熱板 72、74、76、78:スペーサ 60:樹脂パッケージ 91、92、93、94、95、96:はんだ接合層 91a、92a、94a、95a、96a:第1のはんだ 91b、92b、94b、95b、96b:第2のはんだ 101、102、103、104:Ni膜

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