金属部品を接合するための方法

申请号 JP2015502323 申请日 2013-03-27 公开(公告)号 JP2015518425A 公开(公告)日 2015-07-02
申请人 アルファ−ラヴァル・コーポレート・アーベー; 发明人 ペール・シェーディン; クリスティアン・ワルター;
摘要 金属部品(11、12)が1100℃超の固相線 温度 を有する、第一の金属部品(11)を第二の金属部品(12)と接合するための方法。本方法は:第一の金属部品(11)の表面(15)上に融点降下組成物(14)を塗布する段階であって、融点降下組成物(14)が、第一の金属部品(11)の融点を低下させるために少なくとも25wt%のホウ素及びケイ素を含む融点降下成分を含む段階と;前記表面(15)上の接点(16)で第二の金属部品(12)を融点降下組成物(14)と 接触 させる段階(202)と;第一の、及び第二の金属部品(11、12)を1100℃超の温度へ加熱する段階と;接点(16)で接合部が得られるように、第一の金属成分(11)の溶融金属層(210)を 凝固 可能にする段階と、を含む。また、融点降下組成物、及び関連する製品が説明される。
权利要求

第一の金属部品(11)を第二の金属部品(12)と接合するための方法であって、金属部品(11、12)が1100℃超の固相線温度を有し、 第一の金属部品(11)の表面(15)上に融点降下組成物(14)を塗布する段階であって、融点降下組成物(14)が、 ・第一の金属部品(11)の融点を低下させるための、少なくとも25wt%のホウ素、及びケイ素を含む融点降下成分、及び ・任意で、表面(15)上で融点降下組成物(14)を塗布する段階(201)を促進するためのバインダー成分を含む、段階と、 前記表面(15)上の接点(16)で第二の金属部品(12)を融点降下組成物(14)に接触させる段階(202)と、 第一の、及び第二の金属部品(11、12)を1100℃超の温度へ加熱する段階(203)であって、第一の金属部品(11)の前記表面(15)がそれによって融解して、第一の金属部品(11)の表面層(21)が融解して、融点降下成分と共に、接点(16)で第二の金属部品(12)と接触する溶融金属層(210)を形成するようになる段階と、 溶融金属層(210)が凝固することを可能にする段階(204)であって、接合部(25)が接点(16)で得られる段階と、を含む方法。ホウ素が、元素のホウ素、並びに、以下の化合物:炭化ホウ素、ホウ化ケイ素、ホウ化ニッケル、及びホウ化鉄、の少なくとも何れかから選択されたホウ素化合物のホウ素、の何れかに由来する、請求項1に記載の方法。ケイ素が、元素のケイ素、並びに、以下の化合物:炭化ケイ素、ホウ化ケイ素、及びケイ素鉄の少なくとも何れかから選択されたケイ素化合物のケイ素、の何れかに由来する、請求項1又は2に記載の方法。融点降下成分が、少なくとも40wt%のホウ素、及びケイ素を含む、請求項1から3の何れか一項に記載の方法。融点降下成分が、少なくとも85wt%のホウ素、及びケイ素を含む、請求項1から4の何れか一項に記載の方法。ホウ素が、融点降下化合物のホウ素、及びケイ素含有量の少なくとも10wt%を構成する、請求項1から5の何れか一項に記載の方法。ケイ素が、融点降下化合物のホウ素、及びケイ素含有量の少なくとも55wt%を構成する、請求項1から6の何れか一項に記載の方法。融点降下成分が、金属元素を50wt%未満含む、請求項1から7の何れか一項に記載の方法。融点降下成分が、金属元素を10wt%未満含む、請求項1から8の何れか一項に記載の方法。第一の金属部品が、0.3mm〜0.6mmの厚さを備え、融点降下組成物(14)を塗布する段階(201)が、第一の金属部品(11)の表面(15)上でmm2当たり平均0.02mg〜0.12mgのホウ素、及びケイ素を塗布する段階を含む、請求項1から9の何れか一項に記載の方法。第一の金属部品が、0.6mm〜1.0mmの厚さを備え、融点降下組成物(14)を塗布する段階(201)が、第一の金属部品(11)の表面(15)上でmm2当たり平均0.02mg〜1.0mgのホウ素、及びケイ素を塗布する段階を含む、請求項1から9の何れか一項に記載の方法。表面(15)が、前記表面(15)上で接点(16)によって画定される領域(A2)よりも大きい領域(A1)を有し、接合部(25)を形成可能にする段階(204)のときに、溶融金属層(21’)における金属が接点(16)へ流れるようになる、請求項1から11の何れか一項に記載の方法。表面(15)の領域(A1)が、接点(16)によって画定される領域(A2)よりも少なくとも10倍大きい、請求項12に記載の方法。表面(15)の領域(A1)が、接合部(25)の断面の領域(A3)よりも少なくとも3倍大きい、請求項12又は13に記載の方法。接合部(25)が、加熱する段階(203)の前は第一の金属部品(11)、及び第二の金属部品(12)の何れかの一部であった金属を少なくとも50wt%含む、請求項1から14の何れか一項に記載の方法。第一の金属部品(11)、及び第二の金属部品(12)の何れかが、他の金属部品に向かって伸びる複数の突起部(28、29)を含み、第二の金属部品(12)を前記表面(15)に接触させる段階(202)のときに、複数の接点(16、116)が前記表面(15)上に形成されるようになる、請求項1から15の何れか一項に記載の方法。第一の金属部品が、Feを>50wt%、Crを<13wt%、Moを<1wt%、Niを<1wt%、及びMnを<3wt%含む、請求項1から16の何れか一項に記載の方法。第一の金属部品が、Feを>90wt%含む、請求項1から16の何れか一項に記載の方法。第一の金属部品が、Feを>65wt%、及びCrを>13wt%含む、請求項1から16の何れか一項に記載の方法。第一の金属部品が、Feを>50wt%、Crを15.5wt%、及びNiを>6wt%含む、請求項1から16の何れか一項に記載の方法。第一の金属部品が、Feを>50wt%、Crを>15.5wt%、Moを1wt%〜10wt%、及びNiを>8wt%含む、請求項1から16の何れか一項に記載の方法。第一の金属部品が、Niを>97wt%含む、請求項1から16の何れか一項に記載の方法。第一の金属部品が、Crを>10wt%、及びNiを>60wt%含む、請求項1から16の何れか一項に記載の方法。第一の金属部品が、Crを>15wt%、Moを>10wt%、及びNiを>50wt%含む、請求項1から16の何れか一項に記載の方法。第一の金属部品が、Coを>70wt%含む、請求項1から16の何れか一項に記載の方法。第一の金属部品が、Feを>10wt%、Moを0.1wt%〜30wt%、Niを0.1wt%〜30wt%、及びCoを>50wt%含む、請求項1から16の何れか一項に記載の方法。接合部(25)によって第二の金属部品(12)と接合される第一の金属部品(11)を含む製品であって、金属部品(11、12)が1100℃超の固相線温度を有し、接合部(25)が、接合部を囲み、且つ、第一の金属部品(11)及び第二の金属部品(12)の何れかの一部であった、領域(A1)から引き出された金属元素を少なくとも50wt%含む、製品。請求項1から27の何れか一項に記載の方法によって第二の金属部品(12)と接合される第一の金属部品(11)を含む、製品。請求項1から27の何れか一項に記載の方法によって、第一の金属部品(11)を第二の金属部品(12)と接合するための融点降下組成物であって、i)融点を低下させるために少なくとも25wt%のホウ素及びケイ素を含む融点降下成分と、ii)任意で、第一の金属部品(11)上に融点降下組成物(14)を塗布する段階(201)を促進するためのバインダー成分と、を含む融点降下組成物。

说明书全文

本発明は、融点降下組成物を用いて、第一の金属部品を第二の金属部品と接合するための方法に関する。また、本発明は、融点降下組成物、及び接合された金属部品を含む製品に関する。

今日、金属元素から作製される金属部品(金属体、又は金属加工品)を接合するための異なる接合方法があり、金属元素は、様々な元素金属、同様に様々な金属合金を含む。それらが作製される金属元素、又は合金が理由で問題になっている金属部品は、少なくとも1100℃の融点を有し、金属部品が、例えば純粋な銅、純粋なアルミニウム、又は様々なアルミニウム系合金から作製され得ないことを意味する。金属部品のいくつかの例は、典型的には鉄、ニッケル、コバルト系合金から作製され得る。

このような金属部品を接合するための一つの一般的な方法は溶接であり、追加の材料を有する、又は有さない金属部品において金属が融解される、つまり、キャスト製品が、融解、及びそれに続く再凝固によって形成される方法である。

他の一つの接合方法はろう付けであり、金属フィラーが最初に、接合される二つの金属部品の内の少なくとも一つの上に塗布され、その後その融点より上に加熱され、毛管作用によって金属部品間で分配される、金属接合プロセスである。金属フィラーは、典型的には適切な雰囲気によって保護された下で、その融点より上にもっていかれる。金属フィラーはその後、それが接合部を形成する接点へ向かって金属部品の上を流れる。一般的に、ろう付けの際、金属フィラーは、接合される金属部品間の間隙、又はギャップに接触して塗布される。熱プロセスの間、金属フィラーは融解し、接合されるギャップを埋める。ろう付けプロセスでは、3つの大きな段階があり、第一の段階は物理的段階と呼ばれる。物理的段階は、金属フィラーの濡れ、及び流れを含む。第二の段階は一般的に、所与の接合温度で生じる。この段階の間、固体−液体相互作用があり、実質的な物質移動を伴う。液体の金属フィラーにすぐ隣接する少量の金属部品は、この段階において金属フィラーに達するか、溶解するかの何れかである。同時に、液相から少量の元素が、固体金属部品へと侵入する。接合領域における成分のこの再分配は、金属フィラー組成へ、及び時々、金属フィラーの凝固の開始に変化をもたらす。最後の段階は、第2の段階と重複し、最終的な接合部の微細構造の形成によって特徴づけられ、接合部の凝固、及び冷却の間に進む。液体の金属フィラーに隣接する金属部品の体積は非常に小さい、つまり、接合部は、金属フィラーによって最大の程度まで形成される。一般的に、ろう付けの際、接合部において少なくとも95%の金属は、金属フィラーに由来する。

二つの金属部品(母材)を接合するための他の一つの方法は、過渡的液相拡散接合(TLP接合)であり、中間層からの融点降下成分が接合温度で金属部品の格子、及び粒子境界へと移動する際に拡散が生じる。そして、固体状態の拡散プロセスは、接合界面での組成の変化につながり、異なる中間層が、母材よりも低い温度で融解する。そのため、液体の薄層は、界面に沿って広がり、いずれの金属部品の融点よりも低い温度で接合部を形成する。接合温度の低下は、融液の凝固へとつながり、この相は続いて、一定期間、接合温度で保持されることによって金属部品へと拡散され得る。

溶接、ろう付け、及びTLP接合等の接合方法は、首尾よく金属部品を接合する。しかしながら、溶接は、非常に高価となり得、又は、それらがアクセス困難であるときに、多数の接合部を生成することが不可能にさえなり得るようなその制限を有する。ろう付けもまた、例えば最も適切な金属フィラーを適切に塗布する、又は決定することさえ困難なことがときどきあるというその制限を有する。TLP接合は、異なる材料を接合することになるときに優位であるが、その制限を有する。例えば、しばしば適切な中間層を見出すことが困難であり、その方法は、大きなギャップが埋められることになる接合部を生成するために、又は比較的大きな接合部が形成されるときに、実際は適切ではない、 そのため、特定の接合方法を選択する際、多くの要因が含まれる。また、きわめて重要な要因はコスト、生産性、安全性、プロセス速度、並びに、金属部品を接合する接合部の特性、及び接合後の金属部品それ自体の特性である。上述の方法がそれらの優位点を有していたとしても、特に、コスト、生産性、安全性、及びプロセス速度等の要因が考慮されるならば、現在の方法への補足として用いられる接合方法のための必要性がいまだに存在する。

本発明の目的は、上述の技術、及び先行技術を改善することである。特に、金属部品間の強い接合部を依然として製造しつつ、シンプルな、及び信頼性の高い方法において金属部品(金属加工品、つまり、金属から作製される加工品、又は物体)を接合するための方法を提供することが目的である。

これらの目的を解決するために、第一の金属部品を第二の金属部品と接合するための方法が提供される。本方法は、1100℃超の固相線温度を有する金属部品のために用いられる。本方法は、 第一の金属部品の表面上に融点降下組成物を塗布する段階であって、融点降下組成物が、第一の金属部品の融点を低下させるためのホウ素、及びケイ素を少なくとも25wt%含む融点降下成分、並びに任意で、表面上に融点降下組成物の塗布を促進するためのバインダー成分を含む段階と、 上記表面上の接点で第二の金属部品を融点降下組成物に接触させる段階と、 第一の、及び第二の金属部品を1100℃超の温度へと加熱し、それによって第一の金属部品の上記表面は、第一の金属部品の表面層が融解し、融点降下成分と共に、接点で第二の金属部品と接触する溶融(融解した)金属層を形成するように融解する段階と、 接合部が接点で得られるように、溶融金属層が凝固することを可能にする段階と、 を含む。

金属部品における金属は、それらが典型的には1100℃超の固相線温度を有するので、例えば、鉄、ニッケル、及びコバルト系金属合金の形状を有し得る。金属部品は、1100℃超の固相線温度を有さない、純粋な銅、銅系合金、純粋なアルミニウム、又はアルミニウム系合金ではないことがある。金属部品における金属、さらに金属部品それ自体は、“母材金属”又は“母材”として参照され得る。この文脈において、“鉄系”合金は、鉄が、合金における全ての元素の最も大きな重量パーセント(wt%)を有する合金である。対応する状況は、ニッケル、コバルト、クロム、及びアルミニウム系合金にも塗布される。

示されるように、融点降下組成物は、融点降下成分である、少なくとも一つの成分を含む。任意で、融点降下組成物は、バインダー成分を含む。少なくとも第一の金属部品の融点を低下させることに寄与する融点降下組成物の一部、又は全ての物質は、融点降下成分の一部であると考えられる。しかし、少なくとも第一の金属部品の融点を低下させることに含まれず、代わりに、それが例えばペースト、塗料、又はスラリーを形成するように、融点降下組成物を“結びつける”、融点降下組成物の一部は、バインダー成分の一部と考えられる。もちろん、融点降下成分は、少量の金属フィラー等の、他の成分を含み得る。しかしながら、このような金属フィラーは、少なくとも25wt%の融点降下成分がホウ素、及びケイ素を含むので、75wt%の融点降下成分より多く存在しないことがある。金属フィラーが融点降下組成物に含まれる場合、それは常に融点降下成分の一部である。

この文脈において、“ホウ素、及びケイ素”は、wt%で計算されるような、融点降下成分におけるホウ素、及びケイ素の合計を意味する。ここで、wt%は、質量分率を100で乗算することによって決定される重量パーセントを意味する。知られているように、成分における物質の質量分率は、成分の密度に対するその物質の質量濃度(成分における物質の密度)の比率である。そのため、例えば、少なくとも25wt%のホウ素、及びケイ素は、100gの融点降下成分のサンプルにおいて、ホウ素、及びケイ素の総重量が少なくとも25gであることを意味する。明らかに、バインダー成分が融点降下組成物に含まれるならば、そのとき融点降下組成物におけるホウ素、及びケイ素のwt%は、25wt%未満であり得る。しかしながら、少なくとも25wt%のホウ素、及びケイ素が融点降下成分に常に存在し、示されるように、含まれ得る任意の金属フィラーも含む。つまり、金属フィラーは融点降下組成物の一部として常にみられる。

“ホウ素”は、融点降下成分における全てのホウ素を含み、元素のホウ素、及びホウ素化合物におけるホウ素を含む。これに対応して、“ケイ素”は、融点降下成分における全てのケイ素を含み、元素のケイ素、及びケイ素化合物におけるケイ素を含む。そのため、融点降下成分における、ホウ素、及びケイ素両方は、様々なホウ素、及びケイ素化合物におけるホウ素、及びケイ素によって表され得る。

明らかに、融点降下組成物は従来のろう付け物質とは非常に異なる。なぜなら、それらは、ホウ素、及びケイ素のような融点降下物質と比較して非常に多くの金属フィリングを有するからである。一般的に、ろう付け物質は、18wt%未満のホウ素、及びケイ素を有する。

本方法は、金属フィラーが減少され得る、又は排除さえされ得る点において、及び、それが異なる材料から作製される金属部品に関して提供され得るという点において有利である。また、それは、例えば、そうでなければ例えば溶接、又は従来のろう付けによって接合される任意の適切な金属体、又は伝熱プレートを接合するための幅広い用途内で用いられ得る。

もちろん、融点降下組成物は、第二の金属部品にも同様に塗布され得る。

ホウ素は、元素のホウ素、及び、以下の化合物の少なくとも何れかから選択されたホウ素化合物のホウ素、の何れかに由来し得る:炭化ホウ素、ホウ化ケイ素、ホウ化ニッケル及びホウ化鉄。ケイ素は、元素のケイ素、及び、以下の化合物の少なくとも何れかから選択されたケイ素化合物のケイ素、の何れかに由来し得る:炭化ケイ素、ホウ化ケイ素及びケイ素鉄。

融点降下成分は、少なくとも40wt%のホウ素、及びケイ素を含むことがあり得、又は、少なくとも85wt%のホウ素、及びケイ素を含むことさえあり得る。これは、任意の金属フィラーが存在する場合、それがそれぞれ60wt%未満、15wt%未満の量で存在することを意味する。融点降下成分は、少なくとも95wt%のホウ素、及びケイ素を含むことさえあり得る。

ホウ素は、少なくとも10wt%の、融点降下化合物のホウ素、及びケイ素含有量を構成し得る。これは、融点降下成分が少なくとも25wt%のホウ素、及びケイ素を含む際、そのとき、融点降下成分が少なくとも2.5wt%のホウ素を含むことを意味する。ケイ素は、少なくとも55wt%の、融点降下化合物のホウ素、及びケイ素の含有量を構成し得る。

融点降下成分は、50wt%未満の金属元素、又は10wt%未満の金属元素を含み得る。このような金属元素は、上述の“金属フィラー”に対応する。このような少量の金属元素、又は金属フィラーは、融点降下組成物を例えば既知のろう付け組成物から完全に区別する。なぜなら、それらは少なくとも60wt%の金属元素を含むからである。ここで、“金属元素”は、例えば、周期表のdブロックにおける元素であり、周期表上の3から12群を含む、全ての遷移金属を含む。これは、例えば、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、クロム(Cr)及びモリブデン(Mo)が“金属元素”であることを意味する。“金属元素”ではない元素は、希ガス、ハロゲン、及び以下の元素である:ホウ素(B)、炭素(C)、ケイ素(Si)、窒素(N)、リン(P)、ヒ素(As)、酸素(O)、硫黄(S)、セレン(Se)、及びテルル(Tu)。例えば、ホウ素が化合物ホウ化ニッケルに由来する場合、そのとき、この化合物のニッケル部分は、一実施形態では50wt%未満であるべき、及び他の実施形態では10wt%未満であるべき、金属元素に含まれる金属元素であることが留意されるべきである。

第一の金属部品は、0.3mm〜0.6mmの厚さを備え得、そして、融点降下組成物の塗布は、第一の金属部品の表面上でmm2当たり平均0.02mg〜0.12mgのホウ素、及びケイ素を塗布することを含み得る。第一の金属部品の表面上でmm2当たり平均0.02mg〜0.12mgのホウ素、及びケイ素を塗布することは、例えば第二の金属部品を介する任意の間接的な塗布、例えば、第二の金属部品から第一の金属部品へと移動されるホウ素、及びケイ素、を含む。そのため、本明細書で参照されるホウ素、及びケイ素は、それが第一の金属部品の表面層の融解に寄与する限り、第一の金属部品上に直接塗布されることが必要不可欠ではない。

第一の金属部品は、0.6mm〜1.0mmの厚さを備え得、そのとき、融点降下組成物の塗布は、第一の金属部品の表面上にmm2当たり平均0.02mg〜1.0mgのホウ素、及びケイ素を塗布することを含み得る。以前のように、塗布は、第二の金属部品を介した直接的な“塗布”も含む。

第一の金属部品は、1.0mm超の厚さを備え得、そのとき、融点降下組成物の塗布は、第一の金属部品の表面上にmm2当たり平均0.02mg〜5.0mgのホウ素、及びケイ素を塗布することを含み得る。

表面は、接合部が形成可能なとき、溶融金属層における金属が接点へ流れるように、上記表面部の上の接点によって画定される領域よりも大きい領域を有し得る。このような流れは、典型的には毛管作用によって引き起こされる。

表面の領域は、接点によって画定される領域よりも少なくとも10倍大きくてよい。表面の領域は、接点によって画定される領域よりも少なくとも20倍、又は30倍大きいように、さらに大きい(又は、接点が比較的より小さい)ことがあり得る。表面の領域は、溶融金属が接合部を形成するために流れる表面の領域を言及する。

表面の領域は、接合部の断面の領域よりも少なくとも3倍大きくてよい。表面の領域は、それが接点によって画定される領域よりも少なくとも6倍、又は10倍大きいように、さらに大きい(又は、接合部の断面の領域が比較的小さい)ことがあり得る。接合部の断面の領域は、接合部がその最も小さい拡張(断面の領域)を有する位置で、接点が配される表面に平行である平面を横切る、接合部が有する断面の領域として定義され得る。

接合部は、加熱の前に、第一の金属部品、及び第二の金属部品の何れかの一部であった、少なくとも50wt%の、又は少なくとも85wt%の、さらに又は100wt%の金属(金属元素)を含み得る。これは、金属部品の金属が接点へ流れ、接合部を形成可能にすることによって達成される。このように形成される接合部は、ろう付けによって形成される接合部とは非常に異なる。なぜならこのような接合部は一般的に、ろう付け前に、接合部を形成するために用いられたろう付け物質の金属フィラーの一部であった、少なくとも90wt%の金属を含むからである。

第一の金属部品、及び第二の金属部品の何れかは、第二の金属部品を上記表面に接触させる際、複数の接点が上記表面上に形成されるように、他の金属部品へ向かって伸びる複数の突起部を含み得る。これは典型的には、熱交換器を形成するために重ねられ、接合される波形のプレートの形状を金属部品が有するときの場合である。

第一の金属部品は、以下の何れかを含み得る: i) >50wt%のFe、<13wt%のCr、<1wt%のMo、<1wt%のNi、及び<3wt%のMn; ii) >90wt%のFe; iii) >65wt%のFe、及び>13wt%Cr; iv) >50wt%のFe、>15.5wt%のCr、及び>6wt%のNi; v) >50wt%のFe、>15.5wt%のCr、1〜10wt%のMo、及び>8wt%のNi; vi) >97wt%のNi; vii) >10wt%のCr、及び>60wt%のNi; viii) >15wt%のCr、>10wt%のMo、及び>50wt%のNi; ix) >70wt%のCo;、並びに x) >10wt%のFe、0.1wt%〜30wt%のMo、0.1wt%〜30wt%のNi、及び>50wt%のCo。

上記は、第一の金属部品、及び第二の金属部品は同様に、多数の異なる合金によって作製され得ることを意味する。明らかに、上記の例は、工業内で一般的なように、他の金属、又は元素とバランスをとる。

他の一つの態様によると、接合部によって第二の金属部品と接合される第一の金属部品を含む製品が提供される。金属部品は、1100℃超の固相線温度を有し、接合部は、接合部を囲む領域から引き出された少なくとも50wt%の金属元素を含み、その領域は第一の金属部品、及び第二の金属部品の何れかの一部であった。

他の一つの態様によると、上述の本方法、又はその実施形態の何れかによって第二の金属部品と接合される第一の金属部品を含む製品が提供される。

他の一つの態様によると、上述の本方法、又はその実施形態の何れかによって第二の金属部品と第一の金属部品を接合するための、つまり、特に発展され且つ構成された、融点降下組成物が提供され、融点降下組成物は、i)融点を低下させるための少なくとも25wt%のホウ素、及びケイ素を含む融点降下成分と、ii)任意で、第一の金属部品上に融点降下組成物を塗布することを促進するためのバインダー成分と、を含む。

本方法、製品、及び融点降下組成物の異なる目的、特徴、態様、及び優位点は、以下の詳細な説明から、同様に図面から明らかになるであろう。

本発明の実施形態は、例として、添付の概略図を参照して、これから説明されることになる

融点降下組成物が部品に介在される、第一の、及び第二の金属部品の断面図である。

加熱の間の、図1の金属部品を示す。

接合部が形成される際の、図1の金属部品を示す。

融点降下組成物が成分に介在され、第二の金属部品が第一の金属部品に隣接するときの、第一の、及び第二の金属部品の断面図である。

加熱の際の、図4の金属部品を示す。

接合部が形成される際の、図4の金属部品を示す。

接合部が形成され、接合部の形成の間に、部品が互いに向かって圧縮されているときの金属部品を示す。

両方の金属部品からの材料が融解し、接合部を形成する、図7に対応する図である。

図1に対応し、金属部品間の接点の分布を示す。

金属部品間の接点の領域を示す。

図3に対応し、金属部品間の接合部の分布を示す。

接合部の断面の領域を示す。

二つの金属部品がどのように接合され得るかを記載した多数の実施例において用いられるプレスされたプレートを示す。

図13に示されるプレートと平たいプレートとの間の接合部の断面の写真である。

測定された接合部の幅が、融点降下組成物の塗布量(g/3500mm

2)の関数としてプロットされ、傾向線を含む図を示す。

測定された幅に基づく接合部の計算された満たされた領域が、融点降下組成物の塗布量(g/3500mm

2)の関数としてプロットされ、傾向線を含む他の一つの図を示す。

接合部がプレート材料よりも強かった、又は同一であった、引張試験が行われたサンプルの%が、融点降下組成物の塗布量(g/3500mm

2)の関数としてプロットされ、傾向線を含む他の一つの図を示す。

接合されている他の試験サンプルの写真を示す。

第一の、及び第二の金属部品を接合するための方法のフローチャートである。

図1は、融点降下組成物14が第一の金属部品11の表面15上に配される、第一の金属部品11、及び第二の金属部品12を示す。第二の金属部品12は、接点16で、表面15上の融点降下組成物14と接触している。示された第二の金属部品12に関して、第一の突起部28は、接点16で融点降下組成物14と接触しており、一方、第二の突起部29は、他の一つの接点116で、融点降下組成物14と接触している。第一の金属部品11は、鉄系合金等の金属元素から作製される。第一の金属部品11が作製され得る適した金属元素のさらなる例は、以下に与えられる。また、第二の金属部品12は、第一の金属部品11が作製されるのと同一の金属元素であり得る金属元素から作製され得る。図1では、第一の金属部品11、及び第二の金属部品12は、まだ接合されていない。

第一の金属部品11、及び第二の金属部品12がどのように接合されるかを説明するために、5つの平面P1〜P5が用いられる。第一の平面P1は、融点降下組成物14の表面を画定する。第二の平面P2は、第一の金属部品11の“上部”表面15である、第一の金属部品11の表面15を画定する。これは、融点降下組成物14が、第一の平面P1と第二の平面P2(表面15)との間の距離に相当する厚さを有することを意味する。融点降下組成物14の厚さは、示された図面において大きく誇張されていることが留意されるべきである。実際の厚さ、つまり表面15上の融点降下組成物14の量、及び融点降下組成物14の組成は、以下で詳細に議論される。

第三の平面P3は、第一の金属部品11の表面層21を画定し、表面層21は、表面15から、第一の金属部品11に配される第三の平面P3へと広がる。そのため、表面層21の厚さは、第二の平面P2(表面15)と、第三の平面P3との間の距離に相当する。第四の平面P4は、第一の金属部品11の下面を画定する。第一の金属部品11の厚さは、第二の平面P2と第四の平面P4との間の距離に相当する。また、第一の金属部品11は、表面層21を含まず、第三の平面P3から第四の平面P4へと広がる第一の金属部品11の一部である下層22を有する。第五の平面P5は、第二の金属部品12のベースラインを画定し、第一の突起部28、及び第二の突起部29は、第一の金属部品11に向かう方向でベースラインから突き出る。

第一の金属部品11、及び第二の金属部品12の示された形状は、単に例示的な形状であり、他の形状が同等に考えられる。例えば、金属部品11、12は、湾曲した形状を有し得、平面P1〜P5は、平面の形状、2次元の表面を有さず、代わりに湾曲した表面の形状を有することがある。

図2は、融点降下組成物14が表面層21の融解を引き起こし、溶融金属層210を形成する温度より上に、しかし、第一の金属部品11における、及び第二の金属部品12における材料の融点未満である温度で、加熱されるときの、金属成分11、12を示す。簡単に述べると、金属部品11、12を加熱する際、融点降下組成物14におけるホウ素、及びケイ素が、第一の金属部品11の中に拡散し、第一の金属部品11における材料の(及び、第二の金属部品12の)融点よりも低い温度でそれを融解させる。融点降下組成物14は、表面層21の融解を引き起こし、溶融金属層210を形成する量で表面15上に塗布される。そのため、融点降下組成物14の量は、ホウ素、及びケイ素が表面層21の中にのみ拡散するように選択される(多すぎるホウ素、及びケイ素は、第一の金属部品11全てを融解し得る)。適切な量の融点降下組成物14は、以下の実施例において説明される。その後、溶融金属層210における金属は、典型的には毛管作用によって、接点16(、及び他の、接点116等の同様の接点)へ向かって流れる。

図3は、全ての融点降下組成物14が第一の金属部品11の中に拡散したとき、且つ、接合部25がこれから形成される接点16に向かって溶融金属層210における金属が流れたときの、金属成分11、12を示す。接合部は今、以前は第一の金属部品11の一部であった金属を含む。分かるように、融点降下組成物14は、それが第一の金属部品11の中に、及び、典型的には、第二の金属部品12へある程度拡散したので、第一の金属部品11の表面15上にはもはや存在しない。接合部25は、第一の金属部品11からの金属から形成されるので、第一の金属部品11は今、加熱前よりもより薄くなっている。分かるように、第一の金属部品11は今、第二の平面P2に位置していない上部表面15’を有する。代わりに、上部表面は今、第四の平面P4へより近い。一般的に、溶融金属層210の全てでない金属が、接点16へ向かって流れ、接合部25を形成するが、いくらかは、第一の金属部品11の上部表面として残り、接合部25の凝固と同時にそこに凝固する。例えば、融点降下組成物におけるホウ素、及びケイ素は第一の金属部品11の材料内に徐々に拡散し、混ざるので、凝固は、温度が低下するときだけでなく温度が低下する前にも起こる。第一金属部品11における金属の融解、及び続いての凝固の背後の物理的プロセスは、ろう付けの間に生じる融解、及び凝固プロセスと同様である。しかしながら、従来のろう付けと比較すると、融点降下組成物14が金属フィラーを全く含まない、又は非常に少量の金属フィラーを含む点で大きな違いがある;接合部25を生成するために金属フィラーを用いる代わりに、第一の金属部品11からの、及び、説明されることになるように任意で、第二の金属部品12からの金属が、接合部25を生成するために用いられる。

図4〜6は、図1〜3に対応し、第二の金属部品12が融点降下組成物14に押し付けられ、それが基本的には第一の金属部品11と接触する、又は隣接する程度になるという違いを有する(いくらか少量の融点降下組成物14は典型的には金属部品11、12の間にいまだに存在する)。

図7は、図3及び6に相当し、第一の金属部品11、及び第二の金属部品12が、接合部25を形成する間に互いに向かって押されるという違いを有する。結果として、第二の金属部品12は、接合部25の位置で、第一の金属部品11の溶融金属層210内に“沈んでいる”。

図8は図7に相当し、第一の金属部品11、及び第二の金属部品12両方からの材料が、融解し、接合部25を形成している。実際、これは典型的には、第二の金属部品も融点降下組成物に接触しているので、特に第一の金属部品11、及び第二の金属部品12が同一の材料から作製される場合に、接合部25を形成する間に生じるものである。

加熱前、第二の金属部品12は、線L2によって画定される外面形状を有する。加熱の間、第二の金属部品12の表面層は、融解された表面層を形成し、この層の金属は接点16へ流れ、そこで接合部25の一部を形成する。第二金属部品12の融解された表面層は、線L2と線L1との間の層によって表され、線L1は、第二金属部品12の金属が溶かされていない境界を画定する。

融解した、融解していないそれぞれの、第一の金属部品11、及び第二の金属部品12の金属の間に実際の明確な境界がないことを留意すべきである。代わりに、“融解した”から“融解しなかった”への段階的移行が存在する。

図9は、図1に相当し、第一の金属部品11と第二の金属部品12との間の接点16の分布を示す。図10は、上からの、第一の平面P1における同一の金属部品11、12を示す。図9は、図10における線A−Aに沿って見られるような断面図である。

分かるように、接点16は、表面15上の融点降下組成物14の分布よりもかなり大きい、第一の金属部品11上の融点降下組成物14の上に分布を有する。接点16の分布は、表面15上の融点降下組成物14の領域A1よりもかない小さい領域A2を有する。領域A1は、領域A2を含む。領域A1は、接点16のそれぞれの側に位置する二つの線L3、L4との間に広がる。第一の金属部品11の融解した金属は一般的に、最も近い接点に向かって流れるので、線L3は、接点16と他の接点116との間に位置する。融点降下組成物14が塗布される表面15の領域A1は、接点16によって画定される領域A2よりも少なくとも10倍大きい。領域A1は、その上に融点降下組成物14が塗布され、且つその領域A1から金属が引き出されて接合部25を形成する表面15の領域として画定され得る。領域A2は、接点16の領域として、つまり、任意で(もしあれば)接点16での第一の金属部品11と第二の金属部品12との間の接触の領域を含む、融点降下組成物14と第二の金属部品12との間の接触の領域、として画定され得る。領域A1は一般的に、領域A2よりも少なくとも10倍大きい。

図11は図3に相当し、接合部25の断面の領域A3を示す。その上に融点降下組成物14が塗布される表面15の領域A1は、接合部25の断面の領域A3よりも少なくとも3倍大きい。図12は、上から、且つ第二の平面P2における同一の金属部品11、12を示す。図11は、図12における線A−Aに沿って見られるような断面図である。

分かるように、接合部25は、表面15上の融点降下組成物14の領域A1よりもかなり小さい断面の領域A3を有する。以前のように、領域A1は、その上に融点降下組成物14が塗布され、且つその領域A1から金属が引き出されて接合部25を形成する表面15の領域として画定され得る。接合部25の断面の領域A3は、接合部25が第一の金属部品11と第二の金属部品12との間で有する最も小さい領域として画定され得る。断面の領域A3は、曲面の形状を有し得る。明らかに、領域A1及びA2は、第一の金属部品11、及び第二の金属部品12のそれぞれの形状に応じて、曲面の形状を有し得る。

多数の実験、及び実施例が、第一の金属部品11、第二の金属部品12のための適切な材料、融点降下組成物14の組成、どの量の融点降下組成物14が用いられるべきか、加熱のための適切な温度、どれくらいの長さの間加熱が行われるべきか等を説明するために、これから示される。そのため、これらの実験、及び実施例の結果は、第一の金属部品11、第二の金属部品12、融点降下組成物14、接点16、接合部25等のような以前に説明した物のために用いられる。つまり、以前に説明した全ての物は、以下の実験、及び実施例に関連して説明されるそれぞれの関連した特徴を組み込み得る。以下では、融点降下組成物は“ブレンド”と呼ばれる。金属部品は“母材金属”と呼ばれる。

図13は、どのように二つの金属部品が接合され得るかを例示するために用いられるプレート150を示す。プレート150は、直径42mmであり、0.4mmの厚さを有し、且つ、ステンレス鋼タイプ316L(SAE鋼種)から作製される、円形の、プレスされたプレートである。プレスされたプレート150は、それぞれ長さおよそ20mmの二つのプレスされた梁v及びhを有する。梁vは左の梁を表し、梁hは右の梁を表す。“v”及び“h”は、以下の実施例5及び9において用いられる。

図14は、図13に示されるタイプのプレート150と、平たいプレートとの間の接合部の断面図を示す。プレート150の梁と平たいプレートとの間の接点で、接合部が生成される。接合物を形成する金属の量を推定するために、以下の近似、及び計算が行われた。

接合部の中心における体積が無視できると推定された。従って、幅B(実施例において1.21mm以下)のような幅の上の接合部に関する生成された金属の体積は、ゼロと設定される。(X−B)/2の距離を有する、梁vの外側上で、金属は蓄積されている。ブレンド(融点降下組成物)が平たいプレート上に塗布されるとき、プレートは一緒に保持され、プレートの加熱された表面層は融解し、融解した形態の金属は毛管作用によって隣接する領域から接合部の領域へと移動するので、接合部を構成する金属の体積を形成する。

二つの三形が接合部の中心の各側面上で形成されることを推定することによって、領域を算出することが可能である。三角形における角度αは28°と測定される。全ての測定した幅はXであり、中心幅はBである。従って、二つの三角形の総領域Aは、A=2・(((X−B)/2)・((X−B)/2)・tan(α))/2である。Bを1.21mmと測定するとき、A=2・(((X−1.21)/2)・((X−1.21)/2)・tan(28))/2となる。隙間へ流れて接合部を形成した、ろう付け合金の全ての生成された体積は、領域かける二つの梁v、hの長さ、となるであろう。形成されたろう付け合金のいくつかは、隙間へ流れず、ブレンドが塗布された表面上に残される。

図15は、傾向線を備える、ブレンドの異なる実施例の塗布量(g/3500mm2、つまり3500平方mm当たりのグラム)の関数としての測定された幅を示す図である。試験の結果は、表8及び9(以下の実施例5を参照)、並びに図15に示される。図3の傾向線は、関数Y=K・X+Lに基づいており、Yは領域であり、Kは線の傾きであり、Xはブレンドの塗布量であり、Lは一定である。測定された幅、及び推定される領域の結果は図15によって示される。ブレンドの塗布量(表8及び9を参照)、は、0.06g/3500mm2から0.96グラム/3500mm2であり、およそ0.017mg/mm2から0.274mg/mm2に相当する。

ブレンドに関する傾向線Y=K・X+Lが測定され、Yは接合部の幅であり、Kは線の傾きであり、Xはブレンドの塗布量であり、Lは一定である(図の表面15 3を参照)。そのため、ろう付け接合部の幅は: Y(A3.3に関する幅)=1.554+9.922・(ブレンドA3.3の塗布量) Y(B2に関する幅)=0.626+10.807・(ブレンドB2の塗布量) Y(C1に関する幅)=0.537+8.342・(ブレンドC1の塗布量) Y(F0に関する幅)=0.632+7.456・(ブレンドF0の塗布量)

図15から観測されるように、ブレンドA3.3、B2、C1、D0.5、E0.3及びF0からのブレンドA3.3は、ブレンドの塗布量の関数としての接合部におけるろう付け合金の最も高い量を与える。実施例F0は、3500mm2当たり0.20グラム未満では、いかなる実質的な接合部も与えなかった。

図16は、傾向線を備える塗布されたブレンドの量の関数としての(グラム/3500mm2)測定された幅に基づくろう付け接合部の計算された満たされた領域がプロットされる他の一つの図を示す。ブレンドに関する傾向線Y=K・X−Lが測定され、Yは領域であり、Kは線の傾きであり、Xはブレンドの塗布量であり、Lは一定である。図16を参照。図16に関して、ろう付け接合部の領域は: Y(A3.3に関する領域)=4.361・(ブレンドA3.3の塗布量)−0.161 Y(B2に関する領域)=3.372・(ブレンドB2の塗布量)−0.318 Y(C1に関する領域)=2.549・(ブレンドC1の塗布量)−0.321 Y(F0に関する領域)=0.569・(ブレンドF0の塗布量)−0.093

ろう付け接合部が“ない”ためにサンプルF0を、及び、データが少なすぎるためにサンプルD0.5を除く、例えば3500mm2当たりの0.18グラムの量に関する、図16における図に基づく生成された体積の推定は、プレート間の接合部におけるろう付け合金の生成された体積に関するサンプルに関する値を与える。以下を参照: 体積(A3.3)=0.63・長さ40(20・2)=25.2mm3 体積(B2)=0.30・長さ40(20・2)=12.0mm3 体積(C1)=0.12・長さ40(20・2)=4.8mm3 体積(E0.3)=0.10・長さ40(20・2)=4.0mm3

図17は、%(パーセント)が、ブレンドの塗布量、つまり3500mm2当たりのグラムの関数としての引張試験の成功率であり、接合部がプレート材料よりも強い又は同一である、他の一つの図を示す。プレートが接合部よりも強かったときは、接合部の割れをもたらし、結果はゼロに設定された。結合部がプレート材料よりも強かったサンプルに関して、結果における違いは統計的に有意ではなかった。

図18は、ブレンドを用いて接合部を形成することによる接合のさらなるサンプルを示す。写真は、二つのプレートの間に形成された接合部があることを示す。サンプルは実施例10からである。

実施例 以下の実施例では、さらなる詳細が本発明を示すために表される。

これらの実施例における試験は、ケイ素が母材金属の試験サンプルの表面上に(つまり金属部品上に)塗布されたときに、ケイ素、Siが“ろう付け合金”を生成可能であったかどうかを調査するために行われた。また、異なる量のホウ素、Bが、ろう付け合金に関する融点を低下させるために加えられた。ホウ素は、ろう付け合金の濡れ挙動を変化させるためにも用いられる。試験されたブレンドの特性もまた調査された。実施例では、wt%は重量パーセントであり、atm%は原子パーセントである。ここで、“ろう付け合金”は、ケイ素、及びホウ素が、母材金属(金属部品)の一部、又は層を融解させる際に形成された合金と呼ばれる。そのため、“ろう付け合金”は、母材金属からの金属元素、及びブレンドを含む。

他になにも記載されない場合、全ての試験のための母材金属の試験サンプルは、ケイ素、及びホウ素のブレンドのサンプルが試験サンプルへと加えられる前に、皿洗い機によって、アセトンを用いて洗浄された。

実施例1 実施例1は、試験されるケイ素、及びホウ素のブレンドのサンプルの調整に関する。ブレンドサンプルNo.C1は、118.0グラムの、Alfa Aesar−Johnsson Matthey Companyからの99.5%(金属基準)7440−21−3、結晶ケイ素粉末粒子サイズ325メッシュを、13.06グラムの、Alfa Aesar−Johnsson Matthey Companyからの98%(金属基準)7440−42−8、結晶ホウ素粉末粒子サイズ325メッシュ、及び、77.0グラムの、Wall ColmonoyからのNicorobraz S−30バインダーを、Busch & HolmからのVarimixer BEARにおいてブレンドすることによって調整し、208グラムのペーストを製造した(サンプルC1を参照)。全ての試験サンプルは、ブレンドサンプルC1と同一の手順に従って調整された。サンプルは表2にまとめられる。調整されたブレンドは、以前議論した“融点降下組成物”に相当する。ブレンドにおけるホウ素、及びケイ素は、融点降下組成物における“融点降下成分”に相当し、ブレンドにおけるバインダーは、融点降下組成物の“バインダー成分”に相当する。

サンプルG15、H100、I66、及びJは、サンプルF0、E0.3、D0.5、C1、B2、及びA3.3と同様の方法で調整され、他の一つのバインダーが用いられた点で異なる。バインダーは、Wall ColmonoyからのNicorobraz S−20バインダーであった。これらの試験サンプルは表3にまとめられる。

ブレンドサンプルに関して、計算がされ、表4に示されるように、比率、重量パーセント、及び原子パーセントを示す。

バインダー S−20及びS−30におけるバインダー(ポリマー及び溶媒)含有量が測定された。その後、ゲル内の“乾燥”材料の含有量が試験された。S−20バインダー、及びS−30バインダーのサンプルは重さが量られ、その後98℃で18時間の間オーブンに配された。サンプルがオーブンから取り出された後、それらは再び重さが量られ、結果は表5に示される。

実施例2 実施例2は、ろう付け試験、つまり、ブレンドサンプルが金属部品(試験部品、又は試験プレート)上に配された試験に関する。金属部品は、直径83mm、厚さ0.8mmを有する円形の試験片の形状を有し、金属部品は、ステンレス鋼タイプ316Lから作製された。二つの異なる量のブレンドが用いられた:0.2g、及び0.4g。ブレンドは金属部品上に塗布された。全てのサンプルは、1時間の間1210℃で従来の真空炉においてろう付けされた。二重試験が実施された。二つの量のブレンド、二重のサンプル、及び6つの異なるブレンド、2・2・6=24サンプルを意味する。試験されたブレンドは:F0、E0.3、D0.5、C1、B2、及びA3.3である。ブレンドは、およそ10mmから14mmの直径、つまり78mm2から154mm2の表面を有する金属部品の円形の領域上に塗布された。このおよそ1.3mg〜5.1mgのブレンドがmm2当たり塗布された。

金属部品の金属が融解した、つまり融液が生成されたことが観測された。また、いくつかの態様では融液は流れを有するろう付け合金として現れたことが観測された。濡れのサイズを測定することなく、ブレンドにおける増加した量のホウ素がより良い濡れをもたらしたように見えた。しかしながら、いくつかのサンプルに関して、金属部品の全ての厚さが溶解して、金属部品の中央において穴が生成されたことも見られた。“0.2グラムのサンプル”に関して、12個の試験片の内の5個が、穴を有し、“0.4グラムの片”に関して、12個の内の10個が穴を有していた。さらに、試験は、穴を避けるためには、金属部品が0.3mm〜0.6mmの厚さを有するとき、mm2当たり平均0.02mg〜0.12mgのホウ素、及びケイ素を塗布することが適切であり得ることを示した。金属部品が0.6mm〜1.0mmの厚さを有するとき、mm2当たり0.02mg〜1.0mgのホウ素、及びケイ素が適切であり得る。よりさらに適切な量は、経験的に決定され得る。

実施例3 実施例3は、表面上のブレンドの塗布に関する。この実施例では、試験プレート(金属部品)が、フィレット(fillet)試験、腐食試験、及び引張試験のために同時に調整された。実施例2から、薄壁のプレート上に点、又は線でケイ素、及びホウ素のブレンドを塗布することは、これがプレートに穴を生成し得るので、リスクになり得ることが結論付けられた。従って、新しい試験サンプル、つまり試験プレートが、フィレット試験、腐食試験、及び引張試験に関して、異なるブレンドのSi及びBの塗布のために用いられた。

新しい試験サンプルは、ステンレス鋼タイプ316Lから作製されたプレートであった。プレートのサイズは幅100mm、長さ180mmから200mm、及び厚さ0.4mmであった。全てのプレートは、Si及びBのブレンドのサンプルの塗布前に、皿洗い機によって、アセトンを用いて洗浄された。重量が測定された。各プレート上で、短辺から35mmと測定された一部がマスクされた。

異なる試験ブレンドA3.3、B2、C1、D0.5、E0.3、F0、G15、H100、及びI66が用いられた。試験プレートは、表面領域が100mm×35mmのサイズを有する、プレートのマスクされていない表面領域上でブレンドによって(従来のブラシを用いることによって)塗られた。バインダーはS−30であった。室温において12時間超の間乾燥した後、マスキングテープが取り除かれ、各プレートに関してプレート重量が測定された。以下の表6に示される重量は、100mm×35mm=3500mm2=35cm2の領域上のブレンドの総量の重量である。実施例は、ブレンドが金属表面上で容易に塗布されることを示す。

実施例4 実施例4は、腐食曲げ試験に関する。試験プレートから、スライスが、35mm×35mmの塗布された表面領域を有することを意味する、35mmの幅を有して切り出された。この表面領域上に、円形のプレスされたプレートが配され(図13を参照)、プレスされたプレートは、直径42mm、厚さ0.4mmのサイズを有し、ステンレス鋼タイプ316Lから作製された。試験サンプルは1210℃で1時間加熱された(“ろう付けされた”)。腐食試験に関して試験されたプレートは、ブレンドサンプルA3.3、B2、C1、D0.5、E0.3、H100、I66、及びJを塗布した(表4を参照)。

サンプルは、腐食試験法ASTM A262、“オーステナイトステンレス鋼における粒間攻撃への感受性を検出するための標準的プラクティス(Standard Practices for Detecting Susceptibility to inter−granular Attack in Austenitic Stainless Steels)”に従って試験された。“オーステナイトステンレス鋼における粒間攻撃への感受性を検出するための、プラクティスE−銅−硫酸銅−硫酸試験”が、試験法から選択された。この腐食試験を選択した理由は、ホウ素が鋼においてクロムと反応して、主に粒子境界においてホウ化クロムを生成し得、そして粒間腐食攻撃に関するリスクを増加させ得ることがあるからであった。規格では“プラクティス”と呼ばれるものが用いられ、16%硫酸を硫酸銅と共に20時間沸騰させ、その後、規格のチャプター30に従って、曲げ試験が行われた。

以下で、腐食−曲げ試験からの結果、及び試験サンプルの切片化を議論する。試験片は、規格のチャプター30.1における腐食試験法に従って曲げ試験が行われた。曲げられた表面の目の検査で粒間攻撃の示差を与えるサンプルはなかった。ASTM検査の後、曲げられた試験サンプルは切られ、粉砕され、研磨された。断面がEDS、つまりエネルギー分散分光法における光光学顕微鏡において検査された。結果は表7にまとめられる。

明らかに、サンプルH100、J、I66に関して、多量のホウ素を加えるとき、ほぼ確実にホウ化クロム相である脆弱な相が表面上に形成され、ホウ素の量と共に増加した。脆弱な相は、H100サンプルにおいては見られず、ほぼ確実に表面上の腐食によるものであった。また、ホウ化物の量はホウ素の量と共に増加し、腐食試験において攻撃されたサンプルH100に関して、多量のホウ素が加えられるときに腐食特性が減少し得ることが考慮されなくてはならないことを意味する。ホウ素によるこの“負の”効果は、より厚い母体金属、及び/又はより長い拡散時間(接合部を形成可能にするために用いられる時間)を用いることによって低減され得る。そして、母体金属におけるホウ素を薄めることが可能である。また、A3.3及びB2については通常量のホウ素に関して、より薄い脆弱な表面層が形成された。サンプル、サンプルE0.3における少量のホウ素に関して、一般的に>5wt%のケイ素の高いケイ素含有量を備える、かなり厚い脆弱な表面層が、A3.3、B2、H100、I66、及びJに関する脆弱な表面とは異なる特徴を有して形成されることが見られた。ケイ素による“負の”効果は、より厚い母体金属、及び/又はより長い拡散時間を用いることによって低減され得る。そして、母体金属におけるケイ素を薄めることが可能である。

実施例5 実施例5は、いくつかのサンプルのフィレット試験に関する。実施例3に従って作製された試験サンプルから、プレートのスライスが、35mm×35mmの塗布される表面を意味する、35mmの幅を有して切り出された。この表面上に、ステンレス鋼タイプ316Lによって作製され、厚さ0.4mm、直径42mmの、円形のプレスされたプレートが配された(図13を参照)。プレスされたプレートは、二つのプレスされた梁を有し、各々はおよそ長さ20mmであった。サンプルは、およそ1200℃でおよそ1時間でろう付けされた。

フィレット試験からの結果は、(その上にブレンドが塗布される)平坦な表面領域と、図13に示される試験サンプルのプレスされた梁との間に生成された接合領域においてある量のろう付け合金があったことを示す。ろう付け合金の量は、二つの三角形が接合部の中心のそれぞれの側に形成されることを推定することにより領域を計算することによって、近似により算出された(図14を参照)。中間部分では、追加の形成された“ろう付け”合金がない、又は少量ある。二つの三角形は、高さ(h)、及び底辺(b)を測定することによって測定され得、二つの三角形の総領域は、二つの三角形があるので、(h)・(b)と総計される。この計算が有する問題は、高さの測定が困難であることである。従って、我々は、二つの三角形の領域の計算のために以下の式を用いる: A=((X−B)/2)・((X−B)/2)・tanα

Aは、二つの三角形の総領域であり、Xは形成された接合部の総幅であり、Bは形成された接合部の一部であり、接合部の中心において形成されたろう付け合金の体積は無視できる。そのため、各三角形の底辺は(X−B)/2である。高さは、底辺に対する、プレスされた梁の正接の間の角度である、角度αを測定することによって算出される。

隙間へ流れた、形成されたろう付け合金の体積を算出するために、測定された表面と接触する二つの梁それぞれの長さが20mmと測定された。梁の総長さは、総領域によってかけられた。

二つの三角形の領域は、表8及び9におけるろう付け後の推定された領域である。体積は、梁の内の一方の上にの形成されたろう付け合金の体積である。フィレット試験からの結果は、表8及び9、並びに図15に示される。表8及び9において、v、及びhは、v=左の梁、及びh=右の梁、を表す。

測定された幅、及び推定された領域の結果は、表8及び9に表され、図15の図において示される。塗布量(表8及び9を参照)は、0.06グラム/3500mm2から0.96グラム/3500mm2であり、およそ0.017mg/m2から0.274mg/m2に相当する。

ブレンドに関する傾向線Y=K・X+Lが測定され、Yは接合部の幅であり、Kは線の傾きであり、Xはブレンドの塗布量であり、Lは一定である(図15を参照)。そのため、ろう付け接合部の幅は: Y(A3.3に関する幅)=1.554+9.922・(ブレンドA3.3の塗布量) Y(B2に関する幅)=0.626+10.807・(ブレンドB2の塗布量) Y(C1に関する幅)=0.537+8.342・(ブレンドC1の塗布量) Y(F0に関する幅)=0.632+7.456・(ブレンドF0の塗布量)

図から観測されるように、ブレンドA3.3、B2、C1、D0.5、E0.3、及びF0の内でブレンドA3.3は、ブレンドの塗布量の関数として、接合部における最も高い量のろう付け合金を与える。サンプルF0は、3500mm2当たり0.20グラム未満ではいかなる実質的な接合部を与えなかった。

ブレンドに関する傾向線Y=K・X−Lが測定され、Yは領域であり、Kは線の傾きであり、Xはブレンドの塗布量であり、Lは一定である(図16を参照)。 Y(A3.3に関する領域)=4.361・(ブレンドA3.3の塗布量)−0.161 Y(B2に関する領域)=3.372・(ブレンドB2の塗布量)−0.318 Y(C1に関する領域)=2.549・(ブレンドC1の塗布量)−0.321 Y(F0に関する領域)=0.569・(ブレンドF0の塗布量)−0.093

ろう付け接合部が“ない”ためにサンプルF0を、及び、データが少なすぎるためにサンプルD0.5を除く、例えば3500mm2当たり0.18グラムの量に関する、図16における図に基づく生成された体積の推定は、二つの梁の間の接合部におけるろう付け合金の生成された体積に関するサンプルに関する値を与える。以下を参照。 体積(A3.3)=0.63・長さ40(20・2)=25.2mm3 体積(B2)=0.30・長さ40(20・2)=12.0mm3 体積(C1)=0.12・長さ40(20・2)=4.8mm3 体積(E0.3)=0.10・長さ40(20・2)=4.0mm3

また、より高い割合のホウ素を備えるブレンド、例えばサンプルG15、H100、I66、及びJが試験された。試験されたサンプルは、生成されたろう付け合金の体積に関して、ブレンドA3.3及びB2と極めて同様に作用した。しかしながら、ろう付けされたサンプルの冶金的断面は、ホウ化物の量がより大きく、また、サンプルH100、つまり純粋なホウ素に関して、前のブレンドが塗布された表面上に脆弱な高クロム相が見い出されたことを示した。固い相はほぼ確実にホウ化クロムであり、周囲の材料におけるクロム含有量を減少させ、耐腐食性を低下させる。これは、優れた耐腐食性が求められるときに問題となり得るが、非腐食性環境に関しては問題ではない。ホウ素の効果は、熱処理を変えることによって、又は、多量のホウ素を“吸収”し得る、より厚い母材金属を用いることによって減少され得る。より厚い材料≧1mmに関して、母体金属体積と比較した表面体積の割合が<1mm又は<0.5mmの薄い材料よりも非常に小さくなるので、表面におけるこの効果はあまりひどくならないこともあるであろう。ホウ化クロムは、より良い摩耗耐性が欲しい場合、優位点であり得る。また、冶金的調査は、サンプルF0、つまり純粋なケイ素に関して、相を含む厚く脆弱なケイ素が見出され、調査されたサンプルのいくつかの領域に関してプレート厚さの>50%の厚さを備えることを示した。同様の相が接合部においても見出された。プレート厚さの>30%の長さを有する割れが、この相において見出された。このような割れは、接合された製品の機械的性能を低下させることになり、腐食、及び、又は疲労割れに関する開始点になり得る。相の平均的な測定された硬度は、400Hv(ビッカース)超であった。脆弱な相はおそらく、ホウ化物相によるものと比較して、より厚い母材金属を用いること、又は熱処理における変化を減少させることがより困難であり得る。さらに、より厚い母体金属に関して、この効果はあまりひどくならないことがある。

実施例6 実施例6は、接合部の引張試験に関する。そして、実施例3で用いられるものに相当する試験プレートは、スライスへと薄く切られた。薄く切られたサンプルのサイズは、およそ10mmの幅、180mmから200mmの長さであり、0.4mmの厚さを有する。そして、各スライスに関する塗布された領域は、10mmかける35mm=350mm2であった。塗布された領域上で、ステンレス鋼タイプ316Lのより厚い部品、4mmは、全部で35mmの塗布される表面の30mmを覆って配された。より厚い部品は、厚いプレートによって覆われない、5mmの塗布される表面を残して、スライスの端に配された。これを行うことによって、塗布されたブレンドによるプレート材料強度の低下が、接合部がプレートよりも強い場合に引張試験をする際に、検出されることになるであろう。また、より厚いプレートは、10mmのスライスよりも広い。全ての試験サンプルは、およそ1200℃でおよそ1時間の間ろう付けされた(加熱された)。

加熱の後、厚い部品は、引張試験機械において平に取り付けられた。スライスは、垂直方向へ90°へ固く曲げられた。サンプルは、それらが水平方向に動き得るように取り付けられた。その後、サンプルがロードされ、接合部が割られた。

接合部が割れるように、プレートが接合部よりも強いとき、結果はゼロへ設定される。接合部がプレート材料よりも強いサンプルに関して、結果の違いは統計的に有意ではなかった。塗布量の関数として、接合部がプレートより強い、又は同じであった、試験されたサンプルのパーセント(%)として結果が示され、試験が行われたときに接合部が割れなかったことを意味する。結果は、表10において、及び図17の図においてまとめられる。

実施例7 ブレンドの塗布量と、プレートを介する穴の生成に関するリスクとの間の関係を規定するために、新しい試験が実施された。全ての試験に関して、ブレンドB2(表6を参照)が用いられた。また、ブレンドB2は、バインダーS−30を含む。試験が行われた試験片は、0.8mmの厚みを有し、且つ83mmの直径を有する円形であった。試験プレートにおける母材金属はステンレス鋼タイプ316であった。全てのサンプルに関して、ブレンドは試験サンプルの中央に塗布された。塗布された領域は28mm2、つまり、6mmの直径を有する円形スポットであった。全ての試験サンプルは、塗布の前後に重量を量られ、結果は表11にまとめられる。その後、試験サンプルは、12時間の間室温で炉に配された。サンプルは再び重量を量られた。

試験サンプルは炉に置かれ、およそ1時間の間1210℃で加熱された(“ろう付けされた”とも呼ばれる)。ろう付けの間、各サンプルの外縁のみが固定具材料と接触して、ろう付けの間に何れの材料と接触することなく、プレートを底面の中央に維持する。接触することなくプレートを底面の中央に維持するための理由は、中央の材料が固定具材料によって下から支持される場合に、崩壊、又は溶け落ちが防がれ得るからである。

0.8mmサンプルに関する塗布量、及び溶け落ちの結果は表11にまとめられる。

試験は、0.8mmの厚さを有するプレートに関して、サンプル10と11との間に溶け(穴)落ちがあることを示す。サンプル10は、2.264mg/mm2の塗布量のブレンドを有し、サンプル11は2.491mg/mm2を有する。1mm未満の厚さを有するプレートを接合するためには、プレートを溶かすことに関する約2.830mg/mm2から約3.114mg/mm2までの範囲内の量によるリスクがあり、この範囲の中間における量は、2.972mg/mm2である。従って、1mm未満の厚さを有するプレートに関して、2.9mg/mm2未満の量は、プレートを溶かすことを避けるために適切であろう。

実施例8 実施例8では、二つのプレスされた熱交換器プレートの間のろう付け接合部は、三つの異なる方法で作製される。熱交換器プレートの厚さは0.4mmである。

第一の、及び第二の試験サンプルでは、ステンレス鋼タイプ316に近い組成を備える鉄系ろう付けフィラーが用いられた。ろう付けフィラーに関してはWO2002/38327を参照。ろう付けフィラーは、約10wt%へ増加した量のケイ素、約0.5wt%の量のホウ素、及び、約10.5wt%の減少した量のFeを有した。第一の試験サンプルでは、ろう付けフィラーは、線で塗布され、第二の試験サンプルでは、ろう付けフィラーは、表面上に均一に塗布された。両方の場合において、フィルターはプレスの後に塗布された。

ろう付け試験サンプル1は、線で塗布されたろう付けフィラーがろう付け接合部へ引き出されたことを示した。いくつかのろう付けフィラーは、ろう付け接合部へ流れず、従って、塗布された線で局所的に厚さを増加させた。試験サンプル2に関して、ろう付けフィラーはろう付け接合部へ流れたが、いくつかのろう付けフィラーは表面上に残り、厚さを増加させた。試験サンプル1及び2では、ろう付けフィラーの量は、プレート材料のおよそ15wt%の量に相当する。

試験サンプル3では、A3.3ブレンドが用いられた(表6を参照)。ブレンドはプレート上に均一にプレスする前に塗布された。ブレンドは、試験サンプル1及び2と同様のサイズでろう付け接合部を生成することになる量で塗布された。

試験サンプル3は、プレート材料のおよそ1.5wt%の量に相当する厚さを有する層によって塗布された。ブレンドA3.3aを塗布することによって、ろう付け合金は母材金属(金属部品)から形成され、形成されたろう付け合金はろう付け接合部へ流れる。従って、表面上で、加えられたブレンドより多くの材料がろう付け接合部へ引き出されたので、プレートの厚さは減少した。

実施例9 実施例9は、異なるホウ素、及びケイ素源を備える試験に関する。目的は、代替のホウ素源、及びケイ素源を調査することであった。ブレンドB2(表6を参照)は、試験に関する参照として選択された。代替源は、接合部を生成するためのそれらの能に関して試験された。各実験に関して、代替のホウ素源、又は代替のケイ素源の何れかが試験された。代替源を用いるとき、他の構成要素の影響はゼロであると想定され、それは“測定された”ものが、代替成分におけるホウ素、又はケイ素の量のみであったことを意味する(表12を参照)。参照のブレンドB2に関して、ケイ素とホウ素との重量比率は、10グラム対2グラムであり、合計で12グラムになる。各ブレンドはS−30バインダーを含み、ブレンドは、実施例1に従って鋼板上に塗布された。全てのサンプルは1210℃で1時間の間真空炉においてろう付けされた。

ブレンドB2に関する傾向線Y=K・X+Lが測定された。Yは接合部幅であり、KはB2に関する線の傾きであり、Xはブレンドの塗布量であり、Lは、ブレンドB2の塗布量がないことに関して一定である(図15を参照)。そのため、ろう付け接合部の幅はY=0.626+10.807・(ブレンドの塗布量)。

表13において、v及びhは、実施例5におけるように、v=左の梁、及びh=右の梁を表す。

表13における結果は、ホウ素の代替源としてB4C、NiB、及びFeBを使用することが可能であることを示す。NiBが用いられるとき、生成される量は純粋なホウ素に関してよりも少ない。しかしながら、NiBは、Ni合金効果が求められる場合に用いられ得る。

実施例10 実施例10では、多量の異なる母材金属、つまり、図1の金属部品11及び12に関して用いられ得る金属、が試験された。軟鋼、及びNi−Cu合金を除く全ての試験は、“試験Y”に従って試験が行われた(以下を参照)。

試験Yに関して、およそ0.8mmの厚さを備える二つの円形のプレスされた試験片が、互いの上に配された。各サンプルは、プレスされた円形の梁を有した。梁の上面は、互いに向かって配され、片の間に円形の隙間を生成する。各サンプルに関して、この実施例ではバインダーS−20を含むB2ブレンドは、塗装ブラシによって塗布された。塗装ブラシによって塗布する際、塗布が均一でなかったため、加えられた量のブレンドの量は測定されなかった。接合後のサンプルの内の一つの写真は図18に示される。

軟鋼サンプル、及びNi−Cuサンプルは、同様の方法で塗布されたが、軟鋼に関しては実施例5“フィレット試験”で行われた試験に従い、Ni−Cu試験に関しては二つの平坦な試験片を備えた。Ni−Cuを除くサンプルは、真空雰囲気炉において、1時間の間、およそ1200℃、つまり1210℃で炉において“ろう付けされた”。Ni−Cuサンプルは、同様の真空炉においておよそ1時間の間、およそ1130℃でろう付けされた。“ろう付け”後、全ての試験に関して片の間に接合部が形成された。また、生成された“ろう付け合金”(母材金属によって作製された)の接合部への流れは、全ての試験が行われたサンプルに関して観測された。結果は表14上に示される。

表14における結果は、各サンプル1から20に関して、ろう付け合金が、ブレンドと母材金属との間で形成されることを示す。また、結果は、接合部が各試験されたサンプルに関して生成されたことを示す。

実施例は、接合部を埋め、また、接合部で強度を生み出し得る、相当量のろう付け合金を生成するのにホウ素が必要とされたことを示す。また、実施例は、厚い脆弱な相がホウ素を有さないサンプルに関して見出されたので、微細構造のためにホウ素が必要とされたことを示した。

以上より、母材金属、つまり、例えば図1と関連して説明された金属部品は、鉄(Fe)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、マンガン(Mn)、銅(Cu)等の構成要素を含む合金によって作製され得ることになる。金属部品のために用いられる合金のいくつかの実施例は、表15のリストにおいて見出される。

ブレンド、つまり、融点降下組成物は、上述のように、塗装によって塗布され得る。また、ブレンドは、物理気相成長法(PVD)、又は化学気相成長法(CVD)等によって塗布され得、この場合、ブレンドはバインダー成分を含む必要がない。塗装によって、又は、PVD若しくはCVDによって、一つの層にケイ素、及び一つの層にホウ素を塗布することが可能である。さらに、層において塗布する場合さえ、ホウ素、及びケイ素の両方は、それらが加熱の間に相互作用することになるので、それらが塗布前に混合されたかのように、融点降下組成物に含まれると考えられる。

方法 図19を参照して、第一の、及び第二の金属部品を接合するための方法のフローチャートが示される。金属部品は、上述のように異なる材料から作製され得る。

第一の段階201では、融点降下組成物が、金属部品の内の一つの表面上に塗布される(ここでは第一の金属部品)。塗布それ自体は、従来の技術、例えば、融点降下組成物がバインダー成分を含む場合は、噴霧、又は塗装によって、バインダー成分が用いられない場合はPVD、又はCVDによって行われ得る。

次の段階202では、第二の金属部品が、表面上の接点で融点降下組成物と接触させられる。これは、手動で、又は、従来の自動化された製造システムを採用することによって自動で行われ得る。

次の段階303では、金属部品が、1100℃超である温度へ加熱される。厳密な温度は、上記実施例で見出され得る。加熱の間、少なくとも第一の金属部品の表面が融解し、融点降下成分と共に、第一の金属部品と第二の金属部品との間の接点で、第二の金属部品と接触する溶融金属層を形成する。これが起こるとき、溶融金属層の金属は接点へ向かって流れる。

最後の段階204では、溶融金属層は凝固が可能となり、接合部が接点で得られるようになる、つまり、接点へ流れた金属が固化するようになる。凝固は典型的には、通常の室温への温度の低下を含む。しかしながら、凝固は、温度が低下する前に、接合領域における成分(ホウ素、及びケイ素)の再分布の物理的プロセスの間にも生じる。

上述の説明から、本発明の様々な実施形態が説明され、示されてきたが、本発明はそれに限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲において定義される対象の範疇内において他の方法で実施されてもよいことになる。また、様々な融点降下組成物が、金属部品に関する様々な金属と組み合わされ得る。例えば、融点降下組成物(ブレンド)A3.3は、316鋼によって作製される金属部品と組み合わされ得る。

11 第一の金属部品 12 第二の金属部品 14 融点降下組成物 15、15’ 表面 16、116 接点 25 接合部 28、29 突起部 210 溶融金属層

QQ群二维码
意见反馈