締め具用のチタン合金

申请号 JP2015055771 申请日 2015-03-19 公开(公告)号 JP2016017227A 公开(公告)日 2016-02-01
申请人 ザ・ボーイング・カンパニー; The Boeing Company; 发明人 ロバート・ディ・ブリッグス;
摘要 【課題】業界の要求を満足する航空 宇宙 用の締め具のための軽量なチタン 合金 材料を、製造の時間及びコストを節約しつつ提供する。 【解決手段】航空機用の締め具を形成するための方法及び装置。約5.50〜約6.75重量パーセントのアルミニウム、約3.50〜約4.50重量パーセントのバナジウム、0.20重量パーセントを上回る酸素、及び0.30重量パーセントを上回る鉄を有するアニールされたチタン合金が提供される。このアニールされたチタン合金から航空機用の締め具を形成するための作業が実行される。 【選択図】図7
权利要求

5.50〜6.75重量パーセントのアルミニウム、3.50〜4.50重量パーセントのバナジウム、0.20重量パーセントを上回る酸素、及び0.30重量パーセントを上回る鉄を有するチタン合金 を含む、締め具。前記チタン合金は、5.50〜6.75重量パーセントのアルミニウム、3.50〜4.50重量パーセントのバナジウム、0.25〜0.50重量パーセントの酸素、及び0.40〜0.80重量パーセントの鉄を有する、請求項1に記載の締め具。前記チタン合金は、約0.25〜約0.30重量パーセントの酸素及び約0.40〜約0.60重量パーセントの鉄を有する、請求項1に記載の締め具。前記チタン合金は、約0.005〜約0.20重量パーセントのモリブデン及び約0.03〜約0.15重量パーセントのクロムを有する、請求項1に記載の締め具。前記締め具は、該締め具の直径が約0.625インチ未満であるとき、少なくとも160ksiの最大引っ張り強度及び少なくとも95ksiのせん断強度を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の締め具。前記チタン合金の最大引っ張り強度は、該チタン合金の厚さが約1.0インチから約4.0インチに増すときに実質的に同じままである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の締め具。チタン合金を製作するための方法であって、 約5.50〜約6.75重量パーセントのアルミニウム、約3.50〜約4.50重量パーセントのバナジウム、0.20重量パーセントを上回る酸素、及び0.30重量パーセントを上回る鉄を有するように前記チタン合金を製造するステップ を含む、方法。前記チタン合金を製造するステップは、 約0.25〜約0.50重量パーセントの酸素及び約0.40〜約0.80重量パーセントの鉄を有するように前記チタン合金を製造するステップ を含む、請求項7に記載の方法。前記チタン合金を製造するステップは、 約0.25〜約0.30重量パーセントの酸素及び約0.40〜約0.60重量パーセントの鉄を有するように前記チタン合金を製造するステップ を含む、請求項7に記載の方法。前記チタン合金を製造するステップは、 約0.005〜約0.20重量パーセントのモリブデン及び約0.03〜約0.15重量パーセントのクロムを有するように前記チタン合金を製造するステップ を含む、請求項7に記載の方法。前記チタン合金を製造するステップは、 前記チタン合金が少なくとも160ksiの最大引っ張り強度及び少なくとも95ksiのせん断強度を有するように前記チタン合金を製造するステップ を含む、請求項7〜10のいずれか一項に記載の方法。前記チタン合金を製造するステップは、 少なくとも50パーセントのチタンスクラップ材料を使用して前記チタン合金を製造するステップ を含む、請求項7〜11のいずれか一項に記載の方法。前記チタン合金をアニールし、アニールされたチタン合金を形成するステップ をさらに含む、請求項7〜12のいずれか一項に記載の方法。前記チタン合金を製造するステップは、 最大引っ張り強度又はせん断強度の少なくとも一方が、前記チタン合金の厚さが約1.0インチから約4.0インチに増すときに実質的に同じままであるように、前記チタン合金を製造するステップ を含む、請求項7〜13のいずれか一項に記載の方法。

说明书全文

本発明は、概して、チタン合金に関し、特に、所望の機械的特性を持たせるためのチタン合金の処理に関する。さらにより詳しくは、本発明は、所望の機械的特性を有するチタン合金から締め具を形成するための方法及び装置に関する。

チタン合金は、チタンと他の化学元素との混合物を含む金属である。チタン合金は、たとえ高い温度においても、高い強度対重量比を有し、耐食性であり、他の材料よりも高い引っ張り強度及び靱性を示す。これらの理由で、チタン合金は、航空宇宙及び航空の用途に頻繁に用いられる。例えば、これらに限られるわけではないが、チタン合金は、着陸装置の構成要素、エンジンの構成要素、機械的な締め具、及び他の適切な構造を形成するために使用される。

典型的には、航空宇宙の用途におけるチタン部品は、Ti−6Al−4V合金(約6重量パーセントのアルミニウムと、約4重量パーセントのバナジウムと、少量の他の元素と、残部のチタンとで構成されるアルファベータチタン合金)から形成される。航空宇宙産業の基準は、Ti−6Al−4Vなどのチタン合金から形成される部品について、特定の機械的特性を有することを命じている。例えば、これらの基準は、航空宇宙用の締め具が、航空機に使用されるべき特定のせん断強度及び引っ張り強度を有さなければならないと命じている。

これらの材料特性を実現するために、認証機関は、チタン合金で作られる締め具について、化学的な組成及び処理の指針を定めている。例えば、現状の航空宇宙の指針は、Ti−6Al−4Vを最大量の酸素、鉄、炭素、及び窒素にて形成することを求めている。さらに、これらの基準は、チタン合金から製作される締め具のせん断強度及び引っ張り強度を改善するために、溶体化処理及び時効の処理を使用することを推奨している。

固溶化処理及び時効の処理においては、材料が固溶化処理のための炉に配置され、急冷され、及び汚れが除かれ、次いで材料を強くするために時効の処理が行われる。この処理は、数時間を必要とし、貴重な製造の空間を占めるかさばる機械類を必要とする可能性がある。熱処理工程は表面の汚染を生じさせ、これは表面を脆くし、その除去が必要となる。結果として、この工程は、理想よりも多くの時間を必要とし、多くのリソースを使用する。

さらに、溶体化及び時効の処理の対象の材料の厚さが大きくなるにつれ、材料は所望のせん断強度及び引っ張り強度を維持できにくくなる。結果として、溶体化及び時効の処理による大径の締め具は、所望のようには上手く機能しない可能性がある。

したがって、上述の問題のうちの少なくとも一部並びに生じうる他の問題を考慮に入れた方法及び装置を有することが、望ましいと考えられる。具体的には、業界の要求を満足する航空宇宙用の締め具のための軽量なチタン合金材料を、製造の時間及びコストを節約しつつ提供することが、望ましいと考えられる。

本発明の実施形態は、所望の材料特性を有する締め具ストックからチタン合金製の締め具を形成するための方法及び装置を提示する。締め具は、0.20重量パーセントを上回る酸素及び0.30重量パーセントを上回る鉄を有する締め具ストックから形成される。具体的には、例示の実施形態は、約5.50〜約6.75重量パーセントのアルミニウム、約3.50〜約4.50重量パーセントのバナジウム、約0.25〜約0.50重量パーセントの酸素、及び約0.40〜約0.80重量パーセントの鉄を有する締め具を開示する。

チタン合金における酸素及び鉄の量が、それぞれ0.20及び0.30重量パーセントという航空宇宙産業の最大値を超えて増やされている。例示の実施形態における酸素及び鉄の組成は、航空宇宙の締め具に求められる最大引っ張り強度及びせん断強度を、締め具について溶体化及び時効の処理を使用することなく達成する。

溶体化及び時効の処理の必要性を除くことによって、製造時間が大幅に節約され、結果として締め具ごとのコストを削減しつつ、締め具をより迅速に製造することができる。酸素及び鉄のレベルがより高い締め具ストックの製造は、インゴットの製造者が、インゴットの形成において両元素が豊富なスクラップ材料の使用割合を高くすることを可能にする。

これらの特徴及び機能を、本発明の種々の実施形態において個別に達成することができ、或いは以下の説明及び図面を参照してさらなる詳細を見て取ることができるさらに他の実施形態に組み合わせることができる。

さらに、本発明は、以下の条項による実施形態を含む。

条項1.航空機用の締め具を形成するための方法であって、約5.50〜約6.75重量パーセントのアルミニウム、約3.50〜約4.50重量パーセントのバナジウム、0.20重量パーセントを上回る酸素、及び0.30重量パーセントを上回る鉄を有するアニールされたチタン合金を製造するステップと、前記アニールされたチタン合金から航空機用の締め具を形成するための作業を実行するステップとを含む方法。

条項2.前記アニールされたチタン合金を製造するステップは、約0.25〜約0.50重量パーセントの酸素及び約0.40〜約0.80重量パーセントの鉄を有するアニールされたチタン合金を製造するステップを含む条項1に記載の方法。

条項3.前記アニールされたチタン合金を製造するステップは、約0.005〜約0.20重量パーセントのモリブデン及び約0.03〜約0.15重量パーセントのクロムを有するアニールされたチタン合金を製造するステップを含む条項1に記載の方法。

条項4.前記締め具を形成するステップは、前記締め具の直径が約0.625インチ未満である場合に、前記締め具が少なくとも160ksiの最大引っ張り強度及び少なくとも95ksiのせん断強度を有するように前記アニールされたチタン合金から直接に締め具を形成するステップを含む条項1に記載の方法。

条項5.前記締め具を形成するための作業を実行するステップは、前記アニールされたチタン合金を前記締め具の所望の長さに切断するステップと、前記締め具の頭部を形成するステップと、前記締め具のねじ山を形成するステップと、前記締め具を検査するステップとを含む条項1に記載の方法。

条項6.前記アニールされたチタン合金について、華氏約1,000度〜約1,400度の間の温度で前記締め具を形成するための作業を実行するステップをさらに含む条項1に記載の方法。

例示の実施形態の特徴を示すと考えられる新規な特徴が、添付の特許請求の範囲に記載される。しかしながら、これらの例示の実施形態、並びにそれらの好ましい使用の態様、さらなる目的、及び特徴は、本発明の例示の実施形態の以下の詳細な説明を参照し、添付の図面と併せて検討することによって、最もよく理解されるであろう。

例示の実施形態による製造環境のブロック図を示している。

例示の実施形態による複数の締め具の図である。

例示の実施形態による溶体化及び時効の処理後のチタン合金の微細構造の図である。

例示の実施形態によるアニール後のチタン合金の微細構造の図である。

例示の実施形態による2種類の材料の最大引っ張り強度のグラフである。

例示の実施形態による2種類の材料のせん断強度のグラフである。

例示の実施形態による航空機用の締め具を形成するための工程のフロー図を示している。

例示の実施形態による締め具を形成するための工程のより詳細なフロー図を示している。

例示の実施形態によるチタン合金製の締め具ストックを製作するための工程のフロー図を示している。

例示の実施形態による航空機の製造及び保守点検方法のブロック図の形態の図である。

例示の実施形態を実行することができる航空機のブロック図の形態の図である。

例示の実施形態は、1つ以上の異なる考慮事項を認識し、考慮に入れる。例えば、例示の実施形態は、航空宇宙用の締め具の製造速度を、締め具の所望の材料特性を維持しつつ高めることが望まれる可能性を認識し、考慮に入れる。例えば、例示の実施形態は、業界の基準が、Ti−6Al−4Vチタン合金から作られる航空宇宙用の締め具について、締め具が0.625インチ以下の直径を有する場合に、160ksi(キロポンド/平方インチ)の引っ張り強度及び95ksiのせん断強度を有するように求めていることを認識し、考慮に入れる。さらに、これらの基準は、0.625インチを超える直径を有する締め具について、150ksiの引っ張り強度及び90ksiのせん断強度を有するように求めている。例示の実施形態は、そのような基準を満足しながら、伝統的なTi−6Al−4V合金を強化するために使用される高コストで時間のかかる処理工程の数を減らす必要性を認識する。

さらに、例示の実施形態は、熱間圧延、コーティング、及び他の熱によってもたらされる技術を使用してチタン合金から締め具を形成することが望まれる可能性を認識し、考慮に入れる。例えば、締め具のねじ山を、熱間圧延工程を使用して形成することができる。しかしながら、例示の実施形態は、材料について溶体化及び時効の処理を使用することで、チタン合金から締め具を形成できる方法が制約される可能性を認識し、考慮に入れる。例えば、溶体化及び時効の処理が行われた材料は、最大処理温度の限界を有する可能性がある。この最大処理温度の限界は、一部の熱間圧延工程を実行不可能にする。

さらに、例示の実施形態は、スクラップ材料から締め具ストックの材料を形成することが望まれる可能性を認識し、考慮に入れる。スクラップ材料は、これまでの所望の量よりも多くの酸素を含むため、材料をリサイクルして締め具ストックを形成する可能性は、限定されている。例示の実施形態は、締め具ストックを形成するために使用されるスクラップ材料の量を増やすことで、原材料のコストが削減され、廃棄物も減ることを認識し、考慮に入れる。

したがって、例示の実施形態は、チタン合金を製造するための方法及び装置を提供する。さらに、例示の実施形態は、チタン合金から締め具を形成するための方法及び装置を提示する。装置は、航空機において使用される締め具を含む。締め具は、約5.50〜約6.75重量パーセントのアルミニウム、約3.50〜約4.50重量パーセントのバナジウム、約0.25〜約0.50重量パーセントの酸素、及び0.40〜約0.80重量パーセントの鉄を含むチタン合金を含む。

次に図面を参照し、特に図1を参照すると、例示の実施形態による製造環境のブロック図の図解が示されている。この例示の例において、製造環境100における製造システム102は、締め具106のための締め具ストック104を製造するために使用される。また、製造システム102を、締め具ストック104から締め具106を形成するために使用することもできる。

図示のとおり、製造システム102は、締め具ストック104又は締め具106の少なくとも一方の形成に使用されるように構成された幾つかの構成要素を備えることができる。本明細書において使用されるとき、「幾つかの」アイテムは、1つ以上のアイテムであってよい。したがって、幾つかの構成要素は、1つ以上の構成要素である。

製造システム102における構成要素の例として、冷却システム、加熱システム、成形システム、コントローラ、検査システム、切削システム、プレス機、及び他の適切なシステムを挙げることができる。これらの構成要素は、コンピュータ制御であってよく、人間である運転者によって手動で操作されてよく、或いはこれらの何らかの組み合わせであってよい。

図示のとおり、製造システム102は、締め具106を形成するための作業103を実行することができる。作業103を、温度105にて実行することができる。温度105は、締め具106を形成すべく実行される作業103の種類に基づいて変更することができる。

本明細書において使用されるとき、用語「締め具」は、2つ以上の構造物を機械的に結合させ、或いは取り付けるハードウェア装置を指す。例えば、締め具106は、プラットフォーム107において2つ以上の構造物を一体に結合させることができる。締め具106として、例えば、これらに限られるわけではないが、ボルト、ナット、鋲、ねじ、リベット、ワッシャ、ロックワッシャ、及び他の適切な要素が挙げられる。プラットフォーム107は、この例示の例では、航空機109の形態をとることができる。

本明細書において使用されるとき、「締め具ストック」は、物品から1つ以上の締め具を形成するために加工される材料を指す。例えば、締め具ストック104を、締め具106を形成するために鍛造することができる。

締め具ストック104は、この例示の例においては金属を含む。具体的には、締め具ストック104は、チタン合金108を含む。航空機109に使用される締め具106は、締め具ストック104から形成されるとき、チタン合金108を含む。

チタン合金108は、この例示の例では、元素110を含む材料である。元素110は、チタンと、アルミニウム、バナジウム、鉄、酸素、炭素、窒素、素、クロム、イットリウム、モリブデン、ジルコニウム、ニッケル、ニオブ、マンガン、コバルト、ニオブ、又は他の適切な元素のうちの少なくとも1つとを含むことができる。

本明細書において使用されるとき、「…のうちの少なくとも1つ」という表現は、アイテムの列挙とともに使用される場合に、列挙されたアイテムのうちの1つ以上のアイテムの種々の組み合わせを使用できることを意味し、列挙されたアイテムのうちのただ1つのアイテムだけが必要であってよいことを意味する。アイテムは、特定の物体、事物、又はカテゴリであってよい。換言すると、「…のうちの少なくとも1つ」は、列挙の中からアイテムの任意の組み合わせ又は幾つかのアイテムが使用されてよいが、必ずしも列挙されたすべてのアイテムが必要とされるわけではないことを意味する。

例えば、「アイテムA、アイテムB、及びアイテムCのうちの少なくとも1つ」は、アイテムA、アイテムAとアイテムB、アイテムB、アイテムAとアイテムBとアイテムC、或いはアイテムBとアイテムCを意味する。幾つかの場合に、「アイテムA、アイテムB、及びアイテムCのうちの少なくとも1つ」は、例えば、これらに限られるわけではないが、2つのアイテムAと1つのアイテムBと10個のアイテムC、4つのアイテムBと7つのアイテムC、或いは何らかの他の適切な組み合わせを意味することができる。

この例示の例において、チタン合金108は、0.20重量パーセントを超える酸素及び0.30重量パーセントを超える鉄を有する。例示の例において、チタン合金108は、約5.50〜約6.75重量パーセントのアルミニウム、約3.50〜約4.50重量パーセントのバナジウム、約0.25〜約0.50重量パーセントの酸素、及び0.40〜約0.80重量パーセントの鉄を含む。幾つかの例示の例において、チタン合金108は、約0.25〜約0.30重量パーセントの酸素及び約0.40〜約0.60重量パーセントの鉄を有する。チタン合金108は、約0.005〜約0.20重量パーセントのモリブデン及び約0.03〜約0.15重量パーセントのクロムをさらに含むことができる。チタン合金108の残部は、チタン及び他の適切な元素を含む。

同様のアルミニウム及びバナジウムの含有量を有するチタン合金を、Ti−6Al−4Vと称することができる。航空宇宙の用途に使用されるTi−6Al−4V材料は、所望の材料特性112を有さなければならない。所望の材料特性112として、この例示の例では、最大引っ張り強度114、せん断強度116、及び他の適切な特性が挙げられる。

例示の例において、最大引っ張り強度114は、材料が引き伸ばし又は引っ張りの際に破断前に耐えることができる最大の応を表す。せん断強度116は、材料の面に平行な方向の荷重に耐えることができる材料の能力を表す。本明細書において使用されるとき、用語「最大引っ張り強度(UTS)」及び「引っ張り強度」を、入れ換え可能に使用することができる。

航空宇宙の用途に使用される締め具の引っ張り強度及びせん断強度の最小要件は、航空宇宙の管理機関、政府機関、製造者、又はこれらの組み合わせによって定められてよい。例えば、幾つかの引っ張り強度及びせん断強度の要件が、Aerospace Industries Association(AIA)によって定められた米国航空宇宙規格(NAS)に述べられている。米国航空宇宙規格は、0.625インチ未満の直径を有する締め具に、160ksiの最大引っ張り強度及び95ksiのせん断強度を有するように求めている。

さらに、製造者の基準は、0.625インチを超える大型の締め具に、所望の引っ張り強度及びせん断強度の値を有するように求めることができる。例えば、幾つかの場合に、締め具が0.625インチ超であるとき、150ksiの最大引っ張り強度及び90ksiのせん断強度を所望することができる。他の例示の例では、関係する機能に応じて、最大引っ張り強度114及びせん断強度116について、他の値を所望することができる。

所望の材料特性112を達成するために、米国航空宇宙規格は、Ti−6Al−4V材料が最大で0.20重量パーセントの酸素含有量及び0.30重量パーセントの鉄含有量を含むという工学的要件を述べている。例示の実施例は、基準において述べられている典型的なTi−6Al−4V材料を上回る高い鉄及び酸素含有量を有する。チタン合金108の酸素及び鉄含有量を増やすことで、材料の強度が高くなる。

この例示の実施例において、チタン合金108は、アニールされたチタン合金118を形成するようにアニールされる。アニーリングは、材料の延性を向上させるために材料の物理的特性(多くの場合、化学的特性も)を変化させる熱処理である。アニーリングは、材料を臨界温度を超えて加熱し、或る期間にわたってその温度を保ち、次いで冷却することを含むことができる。アニーリングは、例えば、延性を生じさせ、材料を柔らかくし、内部応力を緩和し、材料の構造を均質化し、冷間加工性を改善することができる。この例示の実施例において、チタン合金108は、締め具ストック104として用いられる前に材料特性を変化させるためにアニールされる。

図示のとおり、アニーリング後のチタン合金118は、処理温度限界120を有する可能性がある。処理温度限界120は、締め具106を形成するための作業103が実行される温度105の限界であってよい。換言すると、熱によって引き起こされる作業103が実行されるときに、それらの作業が、アニーリング後のチタン合金118を処理温度限界120を超えて加熱してはならない。さもないと、所望の材料特性112が変化してしまう可能性がある。この図示の例において、処理温度限界120は、華氏約1,400度であってよい。

アニーリング後のチタン合金118は、この例示の例において、微細構造122を有する。微細構造122は、所定のレベルの拡大において材料の微細な構造を示す。微細構造122は、他の特性の中でもとりわけ強度、靱性、延性、硬度、耐食性、温度挙動、及び耐摩耗性などの、アニーリング後のチタン合金118の物理的特性を左右する。微細構造122は、アニーリング後のチタン合金118におけるアルファ相及びベータ相のチタン合金の構成を示す。

アニーリング後のチタン合金118は、この図示の例では、厚さ124を有する。アニーリング後のチタン合金118は、種々の厚さにおいて異なる挙動を呈する可能性がある。例えば、より薄いアニーリング後のチタン合金118は、より厚い材料よりも高い最大引っ張り強度114を有する可能性がある。アニーリング後のチタン合金118の他の特性も、厚さ124に応じて異なる可能性がある。幾つかの場合には、材料の種々の厚さの材料特性は、実質的に同じであってよい。

例示の例において、チタン合金108は、種々の材料から形成される。これらの材料は、適切な組成のチタンスポンジ、マスター合金、及びチタンスクラップ材料126を含むことができる。チタンスクラップ材料126は、Ti−6Al−4Vスクラップ並びにTi−10V−2Fe−3Al及びTi−5Al−5Mo−5V−3Crなどの他のチタン合金からのスクラップを含むことができる。幾つかの場合には、チタン合金108の50パーセントが、チタンスクラップ材料126で構成されてよい。他の例では、チタン合金108の70パーセントが、チタンスクラップ材料126で構成される。

ひとたびチタン合金108が形成されてアニーリングされると、締め具106を、締め具ストック104から形成することができる。具体的には、締め具106の頭部128、軸部130、及びねじ山132を形成するための作業103を実行することができる。締め具106は、作業103の間に締め具106の特性を変化させるような追加の処理は用いられないため、締め具ストック104と同じ所望の材料特性112を有する。換言すると、アニーリング後のチタン合金118による締め具ストック104が、160ksiの引っ張り強度及び95ksiのせん断強度を有するため、締め具106も、やはりそれらの材料特性を有すると考えられる。

締め具106は、完成時に寸法134を有することができる。寸法134は、長さ136及び直径138を含むことができる。直径138は、この例示の例では、軸部130の直径を表す。締め具106を形成する工程は、溶体化及び時効の処理を含まない。むしろ、アニーリング後のチタン合金118から形成される締め具106は、溶体化及び時効の処理が不要であるような所望の材料特性112を示す。

図1の締め具ストック104及び締め具106の例示は、例示の実施形態を実施できる方法について、物理的又は構造的な限定の示唆を意味するものではない。図示の構成要素に加え、或いは図示の構成要素に代えて、他の構成要素を使用することができる。幾つかの構成要素は任意選択であってよい。また、ブロックは、幾つかの機能的な構成要素を示すために提示されている。これらのブロックのうちの1つ以上は、例示の実施形態において実施されるときに異なるブロックに結合、分割、或いは結合及び分割が可能である。

例示の例は、航空機に関して説明されるが、例示の実施形態は、他の種類のプラットフォームに適用可能である。プラットフォームは、例えば、これらに限られるわけではないが、可動のプラットフォーム、静止したプラットフォーム、地上の構造物、水上の構造物、及び宇宙の構造物であってよい。

より具体的には、プラットフォームは、水上艦、タンク、人員運搬車、列車、宇宙船、宇宙ステーション、衛星、潜水艦、自動車、発電所、橋、ダム、住宅、製造工場、ビル、及び他の適切なプラットフォームであってよい。締め具106は、酸素及び鉄の含有量が増やされたチタン合金108によってもたらされるとおりの引っ張り強度及びせん断強度を必要とする上述のプラットフォームのいずれかに適用可能であってよい。

次に図2を参照すると、例示の実施形態による複数の締め具の図が示されている。この図示の例において、締め具200は、さまざまな種類の締め具を含む。締め具200の各々は、図1にブロックの形態で示された締め具106の物理的な実施の例である。

図示のとおり、締め具200は、さまざまな直径を有することができる。締め具200は、例示の実施形態によるチタン合金製の締め具ストックで構成される。具体的には、締め具200の各々は、約5.50〜約6.75重量パーセントのアルミニウム、約3.50〜約4.50重量パーセントのバナジウム、約0.25〜約0.50重量パーセントの酸素、及び0.40〜約0.80重量パーセントの鉄を含む。結果として、締め具200の各々は、直径にかかわらず、引っ張り強度及びせん断強度についての業界の基準を満たす。

図3及び図4は、例示の実施形態による溶体化及び時効の処理が行われたチタン合金並びにアニーリング後のチタン合金の微細構造を比較している。図3が、溶体化及び時効の処理が行われたチタン合金の微細構造を示している一方で、図4は、約0.25重量パーセントを上回る酸素含有量及び約0.40重量パーセントを上回る鉄含有量のアニーリング後のチタン合金の微細構造を示している。

図3は、微細構造300を示している。微細構造300は、溶体化及び時効の処理後の状態においてそれぞれ0.20重量パーセント及び0.30重量パーセントという業界の最大値又は最大値未満の酸素含有量を有するTi−6Al−4Vを表している。微細構造300は、時効マルテンサイトのマトリクス中に一次アルファを含む。

図4は、微細構造400を示している。この例示の例において、微細構造400は、約0.25重量パーセントの酸素及び約0.40パーセントの鉄を有するチタン合金の微細構造である。

微細構造400は、業界の最大値を上回る酸素及び鉄含有量を有し、アニーリングされた状態にある改良されたTi−6Al−4Vチタン合金を表している。微細構造400は、変態ベータマトリクス中に等軸の細長いアルファ相を含む。アルファ相及びベータ相の両方の強度は、Ti−6Al−4Vチタン合金において、酸素及び鉄の含有量の増加によって高められている。酸素含有量の増加が、アルファ相の強度を高める一方で、鉄含有量の増加は、ベータ相の強度を高める。

チタン合金において両方の元素を増やすことで、材料中のアルファ及びベータ相の強度のバランスが保たれる。換言すると、一方の元素だけが他方の元素を同じに保ちつつ増やされると、アルファ及びベータ相の強度の差が生じると考えられる。この差が、材料中に弱点を生じさせる可能性があり、全体としての強度が所望のとおりには向上しない可能性がある。例えば、酸素だけが最大値を超えて増やされると、アルファ相の強度は向上するが、ベータ相の強度は向上せず、ベータ相が構造内の弱いリンクになると考えられる。結果として、チタン合金が、所望のとおりには機能しない可能性がある。

次に図5を参照すると、例示の実施形態による2種類の材料の最大引っ張り強度のグラフが示されている。この図示の例において、グラフ500は、x軸502及びy軸504を有する。x軸502は、最大引っ張り強度(単位は、ksi)を表し、y軸504は、厚さ(単位は、インチ)を表している。この例示の例では、1.0インチ〜4.0インチの間の厚さの値が示されている。

図示のとおり、線506は、酸素が0.20重量パーセント未満でありかつ鉄が0.30重量パーセント未満である溶体化及び時効の処理後のTi−6Al−4V材料の最大引っ張り強度を示している。線506は、材料の厚さが大きくなるときの引っ張り強度を示している。この厚さは、締め具ストックの棒材の厚さであってよい。同様の方法で、線508は、例示の実施形態によるアニーリング後のチタン合金材料の最大引っ張り強度を示している。

この図示の例において、溶体化及び時効の処理によるTi−6Al−4Vの最大引っ張り強度は、材料の厚さが増すにつれて一貫して低下している。他方で、酸素及び鉄の含有量が増やされたアニーリング後のチタン合金は、チタン合金の厚さが約1.0インチから約4.0インチに増すときに実質的に同じままである最大引っ張り強度を有する。

図6は、例示の実施形態による2種類の材料のせん断強度のグラフである。この図示の例において、グラフ600は、x軸602及びy軸604を有する。x軸602は、せん断強度(単位は、ksi)を表し、y軸604は、厚さ(単位は、インチ)を表している。この例示の例では、0.5インチ〜3.0インチの間の厚さの値が示されている。

図示のとおり、線606は、酸素が0.20重量パーセント未満でありかつ鉄が0.30重量パーセント未満である溶体化及び時効の処理後のTi−6Al−4V材料のせん断強度を示している。線606は、材料の厚さが増すときのせん断強度を示している。この厚さは、締め具ストックの棒材の厚さであってよい。同様の方法で、線608は、例示の実施形態によるアニーリング後のチタン合金材料のせん断強度を示している。

この図示の例において、溶体化及び時効の処理によるTi−6Al−4Vのせん断強度は、材料の厚さが増すにつれて一貫して低下している。他方で、酸素及び鉄の含有量が増やされたアニーリング後のチタン合金は、チタン合金の厚さが約0.5インチから約3.0インチに増すときに実質的に同じままである最大引っ張り強度を有する。

図2〜図6の例示は、例示の実施形態を実施できる方法について、物理的又は構造的な限定の示唆を意味するものではない。図示の構成要素に加え、或いは図示の構成要素に代えて、他の構成要素を使用することができる。幾つかの構成要素は、随意であってよい。

図2〜図6に示した種々の構成要素は、図1にブロックの形態で示した構成要素を物理的な構造としてどのように実施できるかについての例示の例であってよい。さらに、図2〜図6の構成要素の幾つかについて、図1の構成要素との組み合わせ、図1の構成要素と一緒の使用、或いは両者の組み合わせが可能である。

次に図7を参照すると、例示の実施形態による航空機用の締め具を形成するための工程のフロー図の説明が示されている。図7に示される工程を、図1の航空機109のための締め具106を形成するための製造環境100において実行することができる。

工程は、約5.50〜約6.75重量パーセントのアルミニウム、約3.50〜約4.50重量パーセントのバナジウム、0.20重量パーセントを超える酸素、及び0.30重量パーセントの鉄を有するアニーリングされたチタン合金を製造することによって始まる(作業700)。例えば、アニーリング後のチタン合金は、上述のアルミニウム及びバナジウムの含有量に加えて、約0.25〜約0.50重量パーセントの酸素及び0.40〜約0.80重量パーセントの鉄を有することができる。アニーリング後のチタン合金は、幾つかの場合に、約0.005〜約0.20重量パーセントのモリブデン及び約0.03〜約0.15重量パーセントのクロムをさらに有することができる。

次に、工程は、アニーリング後のチタン合金から航空機用の締め具を形成するための作業を実行し(作業702)、その後に工程は終了する。0.625インチ未満の直径を有する締め具において、締め具は、締め具が少なくとも160ksiの最大引っ張り強度及び少なくとも95ksiのせん断強度を有するように形成される。1インチ超の直径を有する締め具において、締め具は、締め具が少なくとも150ksiの最大引っ張り強度及び少なくとも90ksiのせん断強度を有するように形成される。

図8に目を向けると、例示の実施形態による締め具を形成するための工程のより詳細なフロー図の説明が示されている。図8に示される工程を、図1の締め具106を形成するために図7に示した作業702の間に製造環境100において実行することができる。締め具は、材料の溶体化及び時効の処理を伴わずに、アニーリング後のチタン合金から直接形成される。

工程は、アニーリング後のチタン合金を締め具のための所望の長さに切断することによって始まる(作業800)。次に、工程は、締め具の頭部を形成する(作業802)。

次いで、工程は、締め具のねじ山を形成する(作業804)。作業804において、工程は、ねじ山を形成するためのアニーリング後のチタン合金の熱間圧延を含むことができる。プロセスは、締め具を検査し(作業806)、その後に終了する。

幾つかの例示の例では、工程の間の種々の時点において、締め具の汚れを除き、検査し、修正することができる。例えば、締め具の頭部が形成された後で、チタン合金の汚れを除き、検査し、次いでねじ山の形成のための次のステーションに移動させることができる。別の例示の例では、工程が、酸洗い、研削、コーティング、他の処理、又はこれらの組み合わせなどのさらなる工程を含むことができる。

図8に示した作業は、締め具を強化するための溶体化及び時効の処理を含まない。代わりに、締め具は、酸素及び鉄の含有量が増やされたアニーリング後のチタン合金だけを含むことによって、所望の最大引っ張り強度及びせん断強度を達成する。

アニーリングされたチタン合金の処理温度限界は、溶体化及び時効による試料における処理温度限界よりも高い。結果として、締め具を形成するための作業を、アニーリングされたチタン合金について、最大で華氏約1,400度の温度で実行することができる。幾つかの場合には、個々の実施例に応じて、さらに高い温度も可能かもしれない。これらの作業を、アニーリングされたチタン合金の所望の材料特性を変化させることなく実行することができる。

次に図9を参照すると、例示の実施形態によるチタン合金製の締め具ストックを製作するための工程のフロー図の説明が示されている。図9に示される工程を、図1に示した締め具ストック104を形成するために製造環境100において実行することができる。さらに、図9に示される工程を、図8において説明したように締め具106を形成するために使用されるアニーリングされたチタン合金を形成するために使用することができる。

工程は、チタン合金の形成に使用される幾つかの材料を用意することによって始まる(作業900)。次に、工程は、約5.50〜約6.75重量パーセントのアルミニウム、約3.50〜約4.50重量パーセントのバナジウム、約0.25〜約0.50重量パーセントの酸素、及び約0.40〜約0.80重量パーセントの鉄を有するようにチタン合金を製造する(作業902)。作業902において、チタン合金を、幾つかの例においては、約0.25〜約0.30重量パーセントの酸素、約0.40〜約0.60重量パーセントの鉄、約0.005〜約0.20重量パーセントのモリブデン、及び約0.03〜約0.15重量パーセントのクロムを有するように製造することができる。このチタン合金は、この例示の例ではアルファ−ベータチタン合金である。

作業902において、所望のチタン合金製の締め具ストックを形成するためのインゴットから棒材への加工を完結するために、幾つかの工程を実行することができる。例えば、鉱石処理、TiO2塩素処理、TiCl4蒸留、Mg還元、スポンジ精製、粉砕、スポンジ−スクラップ−合金の組み合わせの調合、圧縮、可変アーク再溶解、均質化、種々のレベルの状態調節、熱間加工、冷間加工、又は他の適切な工程のうちの少なくとも1つを、実行することができる。

作業902を、酸素及び鉄の含有量を制限する伝統的な航空宇宙のTi−6Al−4Vよりも多くのスクラップ材料にて実行することができる。例えば、スポンジ−スクラップ−合金の組み合わせの調合の際に、チタン合金を、少なくとも50パーセントのチタンスクラップ材料を使用して製造することができる。幾つかの場合には、チタン合金を、少なくとも70パーセントのチタンスクラップ材料を使用して製造することができる。

次に、工程は、チタン合金をアニーリングして、アニーリングされたチタン合金を形成し(作業904)、その後に終了する。アニーリング温度は、個々の実施例に応じて、華氏約1,200度〜華氏約1,400度の間であってよい。

作業904の前又は後に、工程は、熱間圧延、状態調節、冷間圧延、及びチタン合金の所望の材料特性を形成するための他の方法、などの工程を含むことができる。例えば、チタン合金を、華氏約1,200度〜華氏約1,400度の間のアルファ−ベータ相領域の温度で熱間圧延し、その後にアニーリング及び状態調節を行うことができる。その後に、冷間圧延を行うことができ、材料を再びアニーリングすることができる。

図9に記載の工程は、材料の厚さに応じて、少なくとも160ksiの最大引っ張り強度及び少なくとも95ksiのせん断強度を有する締め具ストックを形成する。チタン合金の最大引っ張り強度又はせん断強度の少なくとも一方が、チタン合金の厚さが約1.0インチから約4.0インチに増すときに、実質的に同じままである。

種々の図示の実施形態のフロー図及びブロック図は、例示の実施形態において装置及び方法について考えられる実施例の構造、機能、及び動作を例示している。この点に関し、フロー図又はブロック図における各ブロックは、モジュール、セグメント、機能、或いは動作又は工程の一部又はその組み合わせのうちの少なくとも1つを表すことができる。

例示の実施形態の幾つかの代案の実施例においては、ブロックに示された1つ以上の機能が、図に示された順序とは異なる順序で生じてもよい。例えば、幾つかの場合に、連続して示された2つのブロックを実質的に同時に実行することができ、或いはブロックを、場合によっては、関係する機能に応じて、逆順で実行してもよい。また、フロー図又はブロック図に示されるブロックに加えて、他のブロックを追加してもよい。

本発明の例示の実施形態を、図10に示されるとおりの航空機の製造及び保守点検方法1000並びに図11に示されるとおりの航空機1100の文脈において説明することができる。最初に図10に目を向けると、例示の実施形態による航空機の製造及び保守点検方法の図が、ブロック図の形態で示されている。製造の前段階において、航空機の製造及び保守点検方法1000は、図11の航空機1100の仕様及び設計1002並びに材料調達1004を含むことができる。

製造時に、図11の航空機1100の構成要素及び部分組立品の製造1006並びにシステム統合1008が行われる。その後に、図11の航空機1100を、認証及び搬送1010を経て就航1012させることができる。顧客による就航1012中に、図11の航空機1100について、改良、構成変更、改修、並びに他の整備又は保守点検を含むことができる所定の整備及び保守点検1014が計画される。

航空機の製造及び保守点検方法1000のプロセスの各々を、システムインテグレーター、第三者、運用者、及び/又はこれらの組み合わせによって実行又は達成することができる。これらの例において、運用者は、顧客であってよい。本明細書の目的において、システムインテグレーターは、これらに限られるわけではないが、任意の数の航空機メーカー及び主要なシステムの下請け業者を含むことができ、第三者は、これらに限られるわけではないが、任意の数の製造供給元、下請け業者、及びサプライヤーを含むことができ、運用者は、航空会社、リース企業、軍、サービス組織(service organization)、などであってよい。

次に図11を参照すると、例示の実施形態を実行することができる航空機の図が、ブロック図の形態で示されている。この例において、航空機1100は、図10の航空機の製造及び保守点検方法1000によって製造され、複数のシステム1104と内部1106とを有する機体1102を備えることができる。システム1104の例として、推進システム1108、電気システム1110、油圧システム1112、及び環境システム1114のうちの1つ以上が挙げられる。任意の数の他のシステムが含まれてよい。航空宇宙の例が示されているが、別の例示の実施形態は、自動車産業などの他の産業にも適用可能である。

本明細書において具現化されるシステム及び方法を、図10の航空機の製造及び保守点検方法1000の各段階のうちの少なくとも1つにおいて使用することができる。特に、図1からの締め具ストック104から形成される締め具106を、航空機の製造及び保守点検方法1000の最中に設置することができる。例えば、これに限られるわけではないが、酸素及び鉄の量を多くした締め具106を、構成要素及び部分組立品の製造1006、システム統合1008、所定の整備及び保守点検1014、或いは航空機の製造及び保守点検方法1000の何らかの他の段階のうちの少なくとも1つにおいて設置し、設定し、整備し、交換し、さらには/或いは取り除くことができる。しかしながら、他の好都合な実施形態を、航空機の製造及び保守点検方法1000の幾つかの他の段階において設置し、製造し、或いは再加工することができる。

1つの例示の例において、図10の構成要素及び部分組立品の製造1006において製造される構成要素又は部分組立品を、航空機1100が図10の就航1012中にあるときに製造される構成要素又は部分組立品と同様の方法で製作又は製造することができる。さらに別の例として、1つ以上の装置の実施形態、方法の実施形態、又はそれらの組み合わせを、図10における構成要素及び部分組立品の製造1006並びにシステム統合1008など、製造の各段階において利用することができる。1つ以上の装置の実施形態、方法の実施形態、又はそれらの組み合わせを、航空機1100が就航1012中であるとき、図10における整備及び保守点検1014の最中、或いはそれらの組み合わせにおいて利用することができる。幾つかの種々の例示の実施形態の使用は、航空機1100の組み立ての大幅な効率化、コストの大幅な削減、又は両方を達成することができる。

このように、例示の実施形態は、チタン合金108を製造するための方法及び装置を提供する。さらに、例示の実施形態は、チタン合金108から締め具106を形成するための方法及び装置を提示する。装置は、航空機109において使用される締め具106を含む。締め具106は、0.20重量パーセントを超える酸素及び0.30重量パーセントを超える鉄を有するチタン合金108を含む。特に、チタン合金108から作られた締め具106は、約5.50〜約6.75重量パーセントのアルミニウム、約3.50〜約4.50重量パーセントのバナジウム、約0.25〜約0.50重量パーセントの酸素、及び約0.40〜約0.80重量パーセントの鉄を有する。

例示の実施形態を使用することで、航空機に使用されるチタン合金製の締め具は、業界の基準を満たしつつ、高価かつ時間のかかる製造工程を回避する。例示の実施形態における酸素及び鉄の組成が、溶体化及び時効の処理を使用することなく、必要とされる引っ張り強度及びせん断強度を達成する。結果として、大幅なコストの節約を実現することができる。

さらに、酸素及び鉄の水準がより高い締め具ストックの製造は、スクラップ材料の使用割合を以前よりも高めることを製造者にとって可能にする。例示の実施形態においては、締め具ストックに使用される材料の50パーセント超が、スクラップ材料であってよい。そのようなスクラップ材料のリサイクルは、廃棄物を少なくし、さらに大きなコストの節約を実現する。

さらに、例示の実施形態は、溶体化及び時効の処理による材料とは異なる方法で操作及び処理できる締め具ストックを提供する。時効は、所望の特性を達成するために最大で華氏約1,000度の温度で行われるため、材料について実行される後の作業は、これらの特性を変化させることがないように1,000度未満で行われなければならない。例示の実施形態では、より高い温度で材料について作業を実行することができる。アニーリングされた材料の処理温度限界ははるかに高く、製造者は、締め具を形成するために1,000度を超える温度で行われる種々の熱間圧延及び熱間加工工程を使用することができる。結果として、締め具を、溶体化及び時効の処理による材料と比べて、より迅速に、より柔軟な工程を使用して、製造することができる。

さらに、例示の実施形態の最大引っ張り強度及びせん断強度は、材料の厚さが大きくなっても実質的に同じままである。この方法で、例示の実施形態は、業界の基準を充分に上回る類似の強度プロファイルを有するさまざまな直径の締め具を提供する。結果として、開示の材料から作られた締め具は、約1インチ及びさらに大きい直径を有する締め具であっても、幾つかの現時点において入手可能な溶体化及び時効の処理によるTi−6Al−4Vの締め具と比べ、より強度が高く、航空宇宙の用途により好適である。

種々の例示の実施形態の説明を、例示及び説明の目的で提示したが、それらはすべてを述べ尽くそうとするものでも、開示された形態での実施形態に限定されるものでもない。多数の変更及び変種が、当業者にとって明らかであろう。さらに、種々の例示の実施形態は、他の望ましい実施形態と比べて異なる特徴を提供しているかもしれない。選ばれた1つ以上の実施形態は、実施形態の原理及び実際の応用を最もよく解説し、想定される個々の用途に適するとおりの種々の変更を伴う種々の実施形態についての開示を当業者にとって理解可能にするように、選択及び説明されている。

100 製造環境 102 製造システム 103 作業 104 締め具ストック 105 温度 106 締め具 107 プラットフォーム 108 チタン合金 109 航空機 110 元素 112 所望の材料特性 114 最大引っ張り強度 116 せん断強度 118 アニールされたチタン合金 120 処理温度限界 122 微細構造 124 厚さ 126 チタンスクラップ材料 128 頭部 130 軸部 132 ねじ山 134 寸法 136 長さ 138 直径 200 締め具 300 微細構造 400 微細構造 500 グラフ 502 x軸 504 y軸 506 線 508 線 600 グラフ 602 x軸 604 y軸 606 線 608 線 700、702 作業 800、802、804、806 作業 900、902、904 作業 1000 航空機の製造及び保守点検方法 1002 仕様及び設計 1004 材料調達 1006 構成要素及び部分組立品の製造 1008 システム統合 1010 認証及び搬送 1012 就航中 1014 整備及び保守点検 1100 航空機 1102 機体 1104 システム 1106 内部 1108 推進システム 1110 電気システム 1112 油圧システム 1114 環境システム

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