Gear rolling method using circular die

申请号 JP2011276173 申请日 2011-12-16 公开(公告)号 JP2013126667A 公开(公告)日 2013-06-27
申请人 Aisin Seiki Co Ltd; アイシン精機株式会社; 发明人 NAGATA HIDEMICHI;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To provide a gear rolling method using circular dies, capable of producing teeth of an appropriate shape while causing no movement during processing.SOLUTION: A work piece 3 having a cylindrical outer surface is supported on a support part 5 in such a manner as to be freely rotatable around the rotational axis X of the cylindrical outer surface, and a pair of circular dies 1 rotating around an axis parallel to the rotational axis X are arranged in opposition to one another across the work piece 3. The pair of circular dies 1 are pressed against the work piece 3 while synchronously controlling the rotational speed and pressing amount thereof by a drive mechanism. The outer diameter of the work piece 3 is set such that when the rotational state wherein the circular dies 1 and the work piece 3 rotate together changes, from a friction wheel state that is based on the mutual pressing forces, to a toothed wheel state that is based on the engagement of the work piece 3 and the circular dies 1, with a tooth groove being formed in the work piece 3 by the pressing of the circular dies 1, the length when the outer circumferential length of the bottom of the tooth groove is divided by the number of teeth to be formed is identical to the addendum circle pitch of the circular dies 1.
权利要求
  • 円筒状外面を有するワークを前記円筒状外面の回転軸芯の周りに自由転動自在となるよう支持部に支持し、
    前記回転軸芯と平行な軸芯周りに回転する一対の丸ダイスを前記ワークを挟んで対向配置し、
    前記一対の丸ダイスを、駆動機構によって互いの回転速度および押込量を同期制御しつつ前記ワークに押込み操作し、
    前記丸ダイスと前記ワークとが連動回転する回転態様が、
    互いの押付力に基づく摩擦車態様から、前記丸ダイスの押し込みによって前記ワークに歯溝が形成され、前記ワークと前記丸ダイスとの係合に基づく歯車態様に変化する際の、
    前記歯溝の歯底外周長さを形成予定の歯数で割った長さが、前記丸ダイスの歯先円ピッチと等しくなるように前記ワークの外径を設定する丸ダイスを用いた歯車の転造方法。
  • 前記歯車態様に変化する際の前記ワークに対する前記丸ダイスの押込量を0.1mm〜0.3mmに設定してある請求項1に記載の丸ダイスを用いた歯車の転造方法。
  • 前記回転態様が前記摩擦車態様から前記歯車態様に変化するまでの間、前記ワークに対する前記一対の丸ダイスの押し込みを断続的に行う請求項1または2に記載の丸ダイスを用いた歯車の転造方法。
  • 说明书全文

    本発明は、円筒状外面を有するワークをこの円筒状外面の軸芯周りに自由転動自在に保持する保持部と、ワークを挟んで対向配置され、夫々が軸芯と平行な軸芯周りに回転する一対の丸ダイスと、一対の丸ダイスを、回転速度および押込量を同期制御しつつワークに押込み操作する駆動機構とを備えた、丸ダイスを用いた歯車の転造方法に関する。

    本発明に係る転造歯車は、自動車用部品等を初め多くの工業製品に用いられている。 例えば、自動車においてはハイブリッド化あるいは電動化が急速に進められており、中でも各種電動アクチュエータには今後、消費電が少なく体格の小さいものが求められる。 さらに、これらアクチュエータの構成部品は、動力伝達効率や製造効率が良いことも求められる。

    アクチュエータには多くの歯車が用いられる。 これら歯車は、アクチュエータの機能・製造コスト等に大きく影響する。 一般に歯車を効率よく製造する方法として、例えば、円筒形のむくワークに対して丸ダイスを押し付ける転造方法が知られている。 この方法は、求める歯車の形状を備えた一対の丸ダイスをワークを挟んで対向配置させ、双方の丸ダイスの回転速度およびワークに対する押込み速度を同期制御しつつワークの表面に丸ダイスを押し付け、歯車を形成するものである。

    ダイスを用いた転造方法には直線状のラックダイスを用いるものと、円筒状の丸ダイスを用いるものとがある。 このうち、ラックダイスを用いた転造では、一定長さのラックダイスの端部付近の歯先をワークに押し当て、ダイスをワークに押し付けながらダイスを送り操作してワークを転動させる。 ラックダイスの歯丈はワークに当たり始める転造初期に用いる領域と転造が終了する時期に用いる領域とでは異なっていることが多い。 そのため、ラックダイスを用いた転造では、形成する歯車の形状はラックダイスの長さに影響される。

    一方、丸ダイスの場合は丸ダイスを回転させつつワークに押しつける。 よって、丸ダイスの何れの部分も歯の形状が同じであり、丸ダイスの構成は簡単なものとなる。 また丸ダイスの回転方向を転造中に切り替えることも可能であり、大型ウォームやはすば歯車の転造成形に応用されている。

    従来、このような丸ダイスを用いた歯車の転造方法としては、たとえば下記公知文献に記載されたものがある。 この技術は、転造装置の簡素化を図りつつ「歩み」を低減させることのできるはすば歯車・ウォーム及びねじ(歯すじにリードを持った機械要素)の転造装置を提供するものである。 ここで、歩みとは、丸ダイスをワークに押し込む際に、ワークが丸ダイスの回転軸芯に沿って移動する現象をいう。 この現象は、ダイスの歯とワークの表面に先に形成されている歯溝との相対位置が適切でないときに生じる。 つまり、ダイスの歯先がワークの歯溝に対して偏って押し付けられる結果、両者がネジのすすみ/もどり運動のように作用することで歩みが発生する。 歩みが発生すると、ワークの表面のうち本来歯車を形成しない領域まで転造加工されるため、歯車の品質保持が困難となる。

    上記公知技術では、歩みの発生を軽減すべく、ワークを挟んで対向配置したロールダイスの外周部のそれぞれに、食い込み歯、成形歯および仕上げ歯等を周方向に沿って設け、各ロールダイスが1回転する範囲内でワークにウォームを成形するものである。 各ロールダイスの外周部の軸方向一端側には、ウォームの成形時におけるワークの軸方向への移動に伴い、成形歯ないし逃げ歯をウォームに追従させる面取り部を設けてある。 これにより、各ダイスをコントローラにより駆動制御させることなく歩み現象による不具合を抑制できるという。

    特開2010−075963 (〔0052段落〕)

    しかし、上記従来の技術では、丸ダイスの形状として、その周方向に食い込み歯、成形歯および仕上げ歯等を形成する必要がある。 そのため、丸ダイスが特殊なものとなって製作に手間が掛かるうえ、製作コストも増大する。 また、当該丸ダイスは、ラックダイスと同様にワークに対して1回転のみ駆動可能であるから作製する歯車の形状が制限される。 このように、上記従来の転造方法にあっては合理的に歯車を転造加工するには未だ改善すべき点が多くある。

    本発明は、上記従来技術の課題を解決し、適切な形状の歯を得ることができ、加工中に歩みの生じない丸ダイスを用いた歯車の転造方法を得ることを目的とする。

    〔第1の特徴手段〕
    本発明の丸ダイスを用いた歯車の転造方法の特長構成は、円筒状外面を有するワークを円筒状外面の回転軸芯の周りに自由転動自在となるよう支持部に支持すると共に、回転軸芯と平行な軸芯周りに回転する一対の丸ダイスをワークを挟んで対向配置し、一対の丸ダイスを、駆動機構によって互いの回転速度および押込量を同期制御しつつワークに押込み操作し、丸ダイスとワークとが連動回転する回転態様が、互いの押付力に基づく摩擦車態様から、丸ダイスの押し込みによってワークに歯溝が形成され、ワークと丸ダイスとの係合に基づく歯車態様に変化する際の、歯溝の歯底外周長さを形成予定の歯数で割った長さが、丸ダイスの歯先円ピッチと等しくなるようにワークの外径を設定する点にある。

    〔作用効果〕
    丸ダイスを用いて歯車を転造する場合、ワークの当初の表面形状は単なる円筒面である。 そのため、丸ダイスの押し込みによって互いに当接を開始した丸ダイスとワークとは摩擦歯車の態様で連れ回りを始める。 更に丸ダイスの押し込みが進むとワークの表面に歯溝が形成されてゆく。 丸ダイスとワークとが確実に噛み合うようになると、両者は歯車態様で回転する。 このようにこれら二つの態様として導かれるワークの回転速度に差があると歩みが発生するが、当初発生した歩みも次第に収束する。 歩みが収束したあとの工程においては歯形が安定して形成される。

    本発明では、ワークに確実に歯溝が形成された状態で、その歯底の外周長さを形成予定の歯数で割った長さが丸ダイスの歯先円ピッチとなるようにワークの初期外径を設定する。 即ち、ワークの外径は、ワークの回転態様が摩擦車態様から歯車態様に移行するときにワークに形成されている歯溝の深さを考慮して決定する。 この場合、歯溝が形成された時点でワーク上に歯の割り切りが終了することになる。 本方法であれば、丸ダイスとワークとが適切な相対位相で回転し、転造過程で歩みが生じず、正確な歯車を得ることができる。

    〔第2の特徴手段〕
    本発明の丸ダイスを用いた歯車の転造方法においては、歯車態様に変化する際のワークに対する丸ダイスの押込量を0.1mm〜0.3mmに設定するとよい。

    〔作用効果〕
    丸ダイスをワークに対して滑らすことなく押し込むには、丸ダイスの歯先を周囲から拘束する壁部をワークの表面に形成するのが好ましい。 転造加工するワークは通常金属であり、所定の塑性変形能を有する。 つまり、本構成のごとく、丸ダイスを0.1mm〜0.3mmだけ押し込むと、丸ダイスの歯先の周囲はこれだけの高さの壁部で囲まれることとなり、歯先を拘束するのに十分な抵抗力が発揮される。 この押し込み量が少ないと、その後も丸ダイスがワークに対して滑るおそれがあるため、歯の割り切りが終了したことにはならない。 一方、押し込み量を過大に設定すると、歯先の拘束という意味では有利になるものの、ワークの初期外径が大きくなるため、歯底の割り切りが困難となる。 また、ワーク外径が大きくなれば、ワークの母材のうち歯先の形成に寄与するボリュームが多くなる。 よって、歯の形状が適切でなくなったり、余剰の母材ボリュームを吸収するために丸ダイスの歯底深さを大きく設定するなど、別途の付加作業が必要になって効率化が損なわれる。

    〔第3の特徴手段〕
    本発明の丸ダイスを用いた歯車の転造方法においては、回転態様が摩擦車態様から歯車態様に変化するまでの間、ワークに対する一対の丸ダイスの押し込みを断続的に行うとよい。

    〔作用効果〕
    本構成のごとく、回転態様が歯車態様に変化するまでの間、丸ダイスの押し込み量を断続的に増やすことで、丸ダイスの歯先をワークの表面に対して法線方向に近い度で当接させることができる。 よって、丸ダイスの歯が、回転軸芯方向に沿って、或いは、回転軸芯方向に対して直角な方向にワークを加圧する外力成分が低減でき、歩みの発生を効果的に抑制することができる。 また、丸ダイスの歯先をワークの表面に押し込む際に丸ダイスの押し込み量を断続的に行うことで、夫々の歯溝に対する押込態様を等しくすることができる。 つまり、全ての歯溝に対して一定の押し込みを完了した後、次の新たな押し込みを各歯溝に付与することで、全周に亘って均等な歯溝を形成しつつ割り切りが終了する。 よって、その後の押し込み加工がより確実なものとなり、精度のよい転造歯車を得ることができる。

    転造装置の構造を示す説明図

    転造装置のうちワークの支持構造を示す説明図

    ワーク及びダイスの加工前後の寸法を示す図

    ワーク直径の算出方法を示す説明図

    ダイスの押し込み量とワークの回転速度との関係を示す図

    ダイスの押し込み量とワークの軸方向変位との関係を示す図

    歩みが最小となったダイスの押し込み量とワークの回転速度との関係を示す図

    ダイスの押し込み量に対してワークの軸方向変位が最小になった例を示す図

    ワーク表面に対するダイス歯先の押し込み軌跡を示す図

    (転造装置の概要)
    本発明に係る丸ダイス(以下、単に「ダイス」と称する)を用いた歯車の転造方法につき、以下、図面を用いて説明する。 図1および図2に、本発明に用いる転造装置の概要を示す。 一対のダイス1は、例えば油圧駆動部2によりワーク3の側に押し込まれる。 これらダイス1の回転は例えばACサーボモータ4で駆動される。 左右のダイス1は回転速度および押し込量を図外のCNC装置により同期制御される。 一方、ワーク3は図2に示すごとく、回転軸芯Xに沿った両側の支持部5で支持される。 ワーク3はダイス1の回転により自由駆動(連れ周り)される。 ワーク3を支持する一方の支持部51は装置台6に固定される。 ワーク3を支持する他方の支持部52は、装置台6に対して回転軸芯Xに沿って移動可能である。 この支持部52は空気圧等によりワーク3を回転軸芯Xの方向に沿って押し付ける。 これにより、ワーク3に対するダイス1の押し付けによって生じるワーク3の伸びに対応することができる。 これら支持部51,52を備える装置台6は、装置ベッド7の上に設置された案内部材8に沿って回転軸芯Xの方向に沿って移動可能である。 これにより、ワーク3に対するダイス1の押し付けによって仮に歩みが生じた場合に、ワーク3が回転軸芯Xの方向に沿って移動できるように構成してある。 ワーク3の回転速度は、支持部5の一方側に対して外周位置に設定した回転センサ9によって測定可能である。 また、ワークの歩みは、一方の支持部5と同軸芯上に配置した距離センサ10で測定可能である。

    (ワーク形状およびダイス形状)
    所期の歯車を得るためには、ダイス1の緒元とワーク3の緒元とが適合している必要がある。 ワーク3の外径は、ワーク3の外周を歯数で除した寸法と形成する歯車の歯先円ピッチとが等しくなるように決定する。
    図3(a)は、歯先円直径da1のダイス1が外径dvのワーク3に接触した瞬間の状態を示す。 両者の軸間距離はa0である。 このとき、ワーク3の外周を正確に割り切るダイス歯先円直径da1は、ワーク3の外径をdv、ダイス1の歯数をz1、ワーク3の歯数をz2、とするとき、式(1)から計算される。
    da1 ≒dv・z1/z2 ・・・・・ (1)

    図3(b)は、ワーク3に対するダイス1の押し込みが終了した状態での、両者のピッチ円どうしが接している状態を示す。 図3(b)に示すごとく、ダイス1のピッチ円直径はd1であり、完成した歯車の歯底径はdf2であり、両者が噛み合った状態でのダイス1と歯車との軸間距離はa1である。 押し込み前のワーク3とダイス1と中心間距離a0 は a0 =(dv+da1)/ 2である。 一方、ワーク3に対するダイス1の押し込みが終了した状態での中心間距離a1は、ダイスの基準円をd1とすると a1=(d1+d2)/2 となり、かつ a1=(da1+df2)/2 となる。 なお図3(b)のうちdf2は、はすば歯車の歯底円直径である。

    転造工程において、ワーク3とダイス1とは以下のように運動する。
    図3(a)に示す押し込み当初の段階では、ダイス歯先円とワーク外周(歯底円)とを夫々ころがり円とした摩擦車対の回転運動と考えることができる。 ここでダイスの回転速度をω1、ワークの回転速度をω2、ダイスの押し込み量をx、ダイスの歯先円直径をda1、ワークの外径をdvとすると、ω2は式(2)で表される。
    ω2 = ω1・da / (dv-2x) ・・・・・ (2)
    一方、図3(b)では、ダイス1とワーク3とは歯車対の噛み合いとみなされるため、z1をダイスの歯数、z2を歯車の歯数とすると式(3)の関係が成立する。
    ω2= z1 / z2・ω1 ・・・・・ (3)

    ダイス1の押し込みの初期において、ワーク3の表面に歯溝が成形されるまでワークは摩擦車として運動する。 即ち、上記式(2)で表すことのできるワークの回転態様を摩擦車態様と称することにする。 この状態では歩みは生じない。
    しかし、歯溝が成形され、順次押込当接するダイス1の歯先が歯溝に嵌り込むようになると、ワーク3は歯車としてダイスと連動回転するようになる。 即ち、上記式(3)で表すことのできるワークの回転態様となり、これを歯車態様と称することにする。 歯車態様でワークが回転するようになると、ダイスの歯先がワーク表面に上手く割り切られていないと歩みが生じる。 つまり、ワークの回転が歯車態様となったとき、式(2)と式(3)とで表すワークの回転速度に差があると、ワークの運動がねじのすすみ/もどりの様な差動運動となって歩みが生じる。 よって、歩みを生じさせないためには、ワークの回転が摩擦車態様から歯車態様に変化する瞬間に、正確な割り切りがなされており、しかもワークに対してダイスが滑らないことが必要となる。

    特に、正確な割り切りについては、ワーク3に形成された歯溝の歯底円外周をワーク歯数Z2で除した長さとダイス1の歯先円ピッチとが等しくなることが必要である。
    一方、ダイス1の滑りを防止するためには、ダイス1の歯先の周囲をワーク3の母材が適切に取り囲んでいる必要がある。 つまり、十分な深さの歯溝が形成されている必要がある。 通常、転造に用いられるワークの材料は、鋼材やアルミニウム等の金属が殆どである。 素材が金属であれば、材料自身が塑性変形能を有する。 よって、ワーク3の表面でダイス1の歯先が滑ろうとする場合に、ダイス1の歯先を取り囲む壁部の高さを適切な高さに設定する。
    ただし、壁部の高さが高過ぎる場合、ワーク3はそれだけ余剰の母材を有することになる。 その場合、成形後の歯車の精度が損なわれたり、余剰の金属を吸収することができるようダイス1の歯形を修正するなど付加工数が発生する。 また、余剰の母材が必要になる分だけ材料の歩留まりが悪くなる。

    以下には、ワーク3の外径をより正確に決定する手法につき説明する。
    例として、形成する歯車の形状を表1に示し、ダイス1の形状を表2に示す。
    形成する歯車は歯数が2のはすば歯車とした。
    ダイス1は、押込みが終了した仕上げ状態で、ダイス1の基準円とピッチ円とが等しくなるように設計する。 ダイスの歯数z1は、ダイス1を転造装置に取り付ける制約条件等に鑑みて85とした。 ダイス1の歯形はインボリュート歯形である。 ダイス1の各緒元は、ワーク3に対するダイス1の押し込みが終了した状態でのダイス1のピッチ円が、ダイス1の基準円に一致するものとして算出している。 よって、ワーク3に対してダイス1を転位させて加工する場合には、例えば表2の中の転位係数の値を変化させることとなる。 この場合、ダイス1の形状は同じであるものの、歯直角モジュール・歯直角圧力角・ねじれ角の値は変化する。

    [表1]

    [表2]

    〔割り切り〕
    ダイス設計に先立ってワーク3の外径を決定した。 まず図4に示すように、歯車の軸直角断面をCADを用いて描き、ダイス1が押し込む部分の断面積S1と、それにより盛り上がる部分の断面積S2とが等しくなる円を計算した。 また、形成する歯車の歯数が2、ダイス1の歯先径が242.7mm、ダイス1の歯数が85であるので、上述の式(1)も勘案してワーク3の外径は5.71mmとなった。 尚、ワーク材料としてはS45Cを用いることにした。

    ワーク3としては、外径5.71mmのものを中心に、比較のために、4.3mmから6.5mmに至る合計8種類のものを使用し、図1および図2に示した転造装置を用いて実際に転造加工を行なった。 その結果を表3に示す。
    [表3]

    成形精度は、歯すじ誤差で評価した。 歯形誤差や歯すじ勾配誤差、歯厚等はダイス1の歯面修正で修整可能と考えられるが、歯すじ誤差については、歯面修整等によっても簡単には修正できない。
    表3に示したごとく、上記で算出した素材径5.71mmのものが歯筋方向誤差が最も小さかった。 尚、ピッチ誤差も最小であった。

    次にこれらのワーク3に対して転造加工中に生じた歩みの評価を行った。 歩みは、転造中におけるワーク3の回転速度の変化を測定することで評価することができる。 つまり、ダイス1の押し込みが理想的に行われた場合、ダイスの回転速度が一定に制御されている限り、歯車態様に移行した後はワークの回転速度も一定となる。 これに対して、押し込み当初の摩擦態様の段階においては、ワークの表面に全く歯溝が形成されていない状態から、ある程度の深さの歯溝が形成されるまでのあいだワークの直径は順次小さくなる。 よって、押し込みに伴なってワークの回転速度は速くなる。
    また、ワークの当初の直径が理想値から離れている場合ほど、割り切りが適切にされていないから、ダイスの歯がワークに確実に噛み込んだ後に長く歩みが発生するなど、ワークの速度変化が大きく表れる。

    そこで、上記転造加工で誤差が最も少なかった外径5.71mmのワーク3を中心に、4.8mmおよび6.25mmのワークを用いて回転速度の変化を測定した。 ワークの回転速度は、図2に示す回転センサ9を用いて測定した。 この回転センサ9は、ワーク3の側に備えた円筒に一回転当たり所定のパルスを発生するスリットを備えておき、その回転を光電式回転センサで読みとるものである。
    この結果を図5に示す。 参考のため式(1)および式(2)で計算したワーク回転速度の変化も図中に併記した。

    図5に示すように、各ワークとも押し込み量0mm近傍、および押し込み量0.9mm以上の部分では、それぞれ式(2)および式(3)で計算した回転速度とよく一致していることが分かる。
    また、ワーク外径5.71mmは回転速度変化が小さく、式(3)の計算結果と一致した回転速度となった。 ワーク4.8mmについては、式(2)で計算した回転速度付近まで立ち上がり、その後高回転側より緩やかに式(3)で計算した値に近づいていく様子が分かる。 また、ワーク6.25mmについては、4.8mmとは反対に式(2)で計算した回転速度付近まで立ち上がった後、低回転側より式(3)の回転速度まで変化することが分かった。

    図6は、図5と同時に計測した、歩みにともなう支持部の軸芯方向の位置変位データである。
    この測定は、図2に示すごとく、ワーク3を支持する装置台の一方側に距離センサ10(レーザ変位計)を備え、レーザ光によって装置台の軸方向の位置を計測することで行った。
    歩みの符号は図2においてプラスが右へ、マイナスが左への移動を示している。
    ワーク4.8mmについては、奥側へ10mm以上歩んでいることが確認された。 なお距離センサ10の検出範囲を超えたため、0.5mm以上でデータは飽和した。
    ワーク5.71mmについて、歩み量は小さく奥側へ1.7mmとなった。
    6.25mmについては、押し込み量1mmから2.5mmにわたり奥側へ歩んだ後、手前側に歩むことが分かった。

    さらに、歩みが最小になるワーク径を求めるため、5.71mmに近い、外径5.81mm、5.91mm、6.0mmのワーク3について改めて歩みを評価した。
    この結果、ワーク外径をさらに0.2mm加えた5.91mmのワーク3が最も良い結果を示した。 図7に示すように、5.91mmのワーク3の場合、回転数の変化は、歯溝が形成される押し込み量である約0.1mmまではワークの回転は式(2)の値と一致し、その後式(3)の回転数に落ち着いた。 また、図8に示すように5.91mmのワークでは歩みが1mm以下と最小となった。

    以上のごとく、本発明の歯車の転造方法においては、ダイス1の緒元に応じて転造する歯車の緒元を決定し、特に、ワーク3の直径を所定量だけ大きく設定する。 用いるワークの材料が例えば鋼材等の金属であり、形成する歯車および加工に用いるダイスの緒元が一般的なものである場合、ワークの適切な外径付加長さは上記のごとくおよそ0.2mmであると判断できる。
    尚、この深さは、材料の塑性変形能やワークおよびダイスのサイズによって変動し得る。 よって、適切な付加長さは、0.1〜0.3mmと判断できる。
    尚、金属に限らず、熱可塑性の樹脂などを用いて歯車を転造する場合には、用いる材料に応じてワーク直径を長く設定すると良い。

    〔別実施形態〕
    (押し込み速度の影響)
    図9に、ワーク3を固定し、軸直角方向から見たダイス歯先の軌跡を示した模式図を示す。 通常、割り切り計算では、ワークの外周を歯数で除した円弧長さと、ダイス1の歯先の円ピッチとを等しく設定する。 しかしワークの回転とともにダイス1が押し込まれるため、その軌跡はアルキメデスの螺旋となる。 よって、実際の求めるべき螺旋の長さは、円弧基準の割り切り計算の場合より小さくなる。
    また、回転速度に対してダイスの押し込み速度が大きいと、先の歯が大きくワークに食い込んだ状態で次の歯がワークに当たることとなる。 よって、ワークの表面に対するダイスの歯先の角度がより傾斜した状態となる。 このため、ダイスの歯先がワークの表面に当接する位置が適切でなくなり、歩みの原因となる。
    そこで、ダイス1の押し込みに際しては、ダイスとワークとの回転態様が摩擦車態様から歯車態様に変化するまでの間、ワークに対する一対のダイスの押し込みを断続的に行うとよい。

    その結果、ダイスの歯先をワークの表面に対して法線方向に近い角度で当接させることができる。 よって、ダイスの歯がワークに対して例えば回転軸芯方向に沿って加圧する外力成分が低減できるなど、歩みの発生を効果的に抑制することができる。
    また、ダイスの歯先をワークの表面に押し込む際にダイスの押し込み量を断続的に行うことで、夫々の歯溝に対する押込態様を等しくすることができる。 つまり、全ての歯溝に対して所定の形態の押し込みを施した後、新たな押し込みを各歯溝に均等に付与することで、全周に亘って均等な歯溝を形成しつつ割り切りを行うことができる。 よって、精度のよい転造歯車を得ることができる。

    本発明の丸ダイスを用いた歯車の転造装置および転造方法は、一般のボルトやネジの他、ボールネジ、ウォーム、変動ピッチネジなど多くの種類の工業製品の製造に適用可能である。

    1 ダイス3 ワーク5 支持部6 装置台7 装置ベッド8 案内部材X 回転軸芯

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