Method for manufacturing gear structure, and intermediate structure of the gear structure

申请号 JP2011087826 申请日 2011-04-12 公开(公告)号 JP2012218044A 公开(公告)日 2012-11-12
申请人 Sumitomo Heavy Ind Ltd; 住友重機械工業株式会社; 发明人 HAGA TAKU; ISHIKAWA TETSUZO; SHIZU KEIGO;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To highly maintain formation accuracy of a gear formed on a cylindrical member even when a portion of the outer shape of the cylindrical member is deformed upon fixing the gear of a gear structure by plastic flow.SOLUTION: In the method for manufacturing the gear structure 22, the gear structure is formed by having a first gear (one gear) 26 and a second gear (the other gear) 28 formed adjacent to each other in the axial direction on the outer periphery of a hollow shaft (cylindrical member) 24. The method includes: a first step for forming a basic tooth (groove) 26 for incorporating the first gear 26 on the outer periphery of the hollow shaft 24; a second step for forming the second gear 28 on the outer periphery of the hollow shaft 24, so that tooth bottom circle diameters 28d1, 28d2 are different from each other at both axial ends of the second gear 28; and a third step for forming the first gear 26 on the outer periphery of the basic tooth 26A by pressing a gear body 26 of the first gear 26 in the axial direction and fixing the gear body 26B by plastic flow on the outer periphery of the basic tooth 26A.
权利要求
  • 筒状部材の外周に、少なくとも2個の歯車を軸方向に隣接して形成する歯車構造体の製造方法であって、
    前記筒状部材の外周に、前記2個の歯車のうちの一方の歯車を組み込むための溝を形成する第1工程と、
    前記筒状部材の外周に、前記2個の歯車のうち、他方の歯車を、該他方の歯車の軸方向両端部での歯底円径が異なるように形成する第2工程と、
    前記溝の外周に、前記一方の歯車の歯車本体を軸方向に沿って押し込み、該歯車本体を塑性流動によって前記溝の外周に固定することによって当該一方の歯車を形成する第3工程と、
    を含むことを特徴とする歯車構造体の製造方法。
  • 請求項1において、
    前記第1工程における溝も、該溝の軸方向両端部での当該溝の底部の径が異なるように形成される ことを特徴とする歯車構造体の製造方法。
  • 請求項1又は2において、
    前記溝の前記他方の歯車側の端部における山部の高さが、該他方の歯車の前記一方の歯車側の端部の歯高よりも低く形成されている ことを特徴とする歯車構造体の製造方法。
  • 請求項1〜3のいずれかにおいて 前記第1工程の前記溝と、前記第2工程の前記他方の歯車の歯部とを、同一の工具によって連続的に加工する ことを特徴とする歯車構造体の製造方法。
  • 筒状部材の外周に設けられた溝に、歯車本体が塑性流動によって結合された第1の歯車と、該第1の歯車に軸方向に隣接して形成される第2の歯車とを有する歯車構造体を製造するために使用する中間構造体であって、
    前記溝と、自身の軸方向両端部での歯底円径が異なるように形成された前記第2の歯車とが、軸方向に隣接して形成された歯車構造体の中間構造体。
  • 说明书全文

    本発明は、歯車構造体の製造方法及び歯車構造体の中間構造体に関する。

    伝達装置等において、例えば減速比を調整するために歯車構造体が広く使用されている。 この種の歯車構造体は、軸部材の外周に、通常2つの歯車が軸方向に隣接して形成されている。 そして、一方側の歯車を該歯車構造体の前段側の歯車と噛合させ、他方側の歯車を、該歯車構造体の後段側の歯車と噛合させる。 各歯車の歯数を変えることで、該歯車構造体を介して動力伝達装置全体の減速比を調整することができる。

    歯車構造体の軸部材に歯車を固定する方法の1つとして、例えば産業用ロボットの関節駆動のための減速装置等、バックラッシを嫌う用途においては、塑性流動を利用した結合(塑性結合)によって歯車を軸部材に固定する手法が提案されている。 これは、軸部材の外周に軸方向に沿って溝を形成し、歯車本体を軸方向に荷重を加えながら該軸部材の外周に押し込むことによって該歯車本体の内周面を溝内に塑性流動させるものである。

    但し、この手法では、軸部材に2個の歯車が軸方向に隣接して形成されている歯車構造体の場合、軸部材に塑性結合をするための溝を形成する工程と、該溝に隣接して歯車を形成する工程と、を別個に実施する必要がある。 そのため、特許文献1では、塑性結合を行うための溝とその隣に隣接して形成するべき歯車とを一直線に(同時に)加工することで、より効率的な生産を実現可能とした技術を開示している。

    特開2010−167446号公報(請求項1、段落[0005])

    しかしながら、この特許文献1にて開示された生産手法は、必然的に隣接して形成した歯車が形成された後に塑性結合を行うことになることから、軸部材が中空の筒状部材であった場合には、該筒状部材が塑性結合の際に変形してしまい、とりわけ(塑性結合を行う歯車と隣接して設けられている)歯車の形成精度を正確に保てないことがある、という問題があった。

    この問題は、該筒状部材の肉厚が外径に対して薄いときほど、顕著になる傾向がある。 換言するならば、この問題は、筒状部材の肉厚を増大することによってある程度回避することができる。 しかしながら、筒状部材の肉厚の増大は、単に歯車構造体(ひいては歯車構造体が組み込まれた動力伝達装置)の重量増大、コストの増大を招くだけでなく、確保したい中空部の空間がそれだけ小さくなってしまうことを意味し、デメリットが大きい。

    本発明は、このような従来な問題を解消するためになされたものであって、筒状部材の外周に複数の歯車を軸方向に隣接して形成した歯車構造体を精度よく製造することのできる歯車構造体の製造方法、及び、該製造方法を実施するのに好適な歯車構造体の中間構造体を提供することをその課題としている。

    本発明は、筒状部材の外周に、少なくとも2個の歯車を軸方向に隣接して形成する歯車構造体の製造方法であって、前記筒状部材の外周に、前記2個の歯車のうちの一方の歯車を組み込むための溝を形成する第1工程と、前記筒状部材の外周に、前記2個の歯車のうち、他方の歯車を、該他方の歯車の軸方向両端部での歯底円径が異なるように形成する第2工程と、前記溝の外周に、前記一方の歯車の歯車本体を軸方向に沿って押し込み、該歯車本体を塑性流動によって前記溝の外周に固定することによって当該一方の歯車を形成する第3工程と、を含むことにより、上記課題を解決したものである。

    発明者の観察によれば、筒状部材の外周に2個(以上)の歯車を軸方向に隣接して形成する歯車構造体において、少なくとも一方の歯車を塑性結合によって形成する場合、特に塑性結合する歯車と隣接した歯車(他方の歯車)が、該筒状部材の変形の影響を受けて筒状部材の軸心に対して傾いてしまう傾向がある。

    本発明は、この知見に基づき、少なくともこの隣接した歯車(他方の歯車)を、その軸方向両端部の歯底円径が異なるように形成する。 これは、換言するならば、該他方の歯車を、(基準ピッチ及びモジュールは不変であるが)ピッチ円が軸方向の一端側と他端側とで異なるように形成することを意味している。 すなわち、本発明では、この筒状部材の変形によって他方の歯車が傾くことを見越して、この他方の歯車を筒状部材に対して、予め逆に傾けた状態で形成しておくものである。

    これにより、筒状部材の外周の溝に歯車本体を強い荷重にて押し込むことによって塑性結合する際に、筒状部材の一部が変形したとしても、他方の歯車は「変形後」において正しい固定状態(形成状態)を結果として維持できるようになり、精度の高い歯車構造体を製造することができる。

    本発明によれば、歯車構造体の歯車を塑性流動によって固定する際に、筒状部材の外形の一部が変形したとしても、該筒状部材に形成される歯車の形成精度を高く維持することができる。

    本発明の実施形態の一例に係る歯車構造体の製造方法における製造工程を示すもので、(A)は歯切り前のギヤブランクを示した断面図、(B)は歯切り後で且つ歯車本体を押し込む前の中間構造体の断面図、(C)は歯車本体を押し込んだ後の歯車構造体の断面図

    上記製造方法によって製造しようとする歯車構造体が組み込まれている減速装置の構成を示すのもので、(A)は全体断面図、(B)は(A)のIIB−IIB断面図、(C)は(A)のIIC−IIC断面図、(D)は(A)のIID部分の拡大断面図

    従来の歯車構造体の製造方法における製造工程を示すもので、(A)は歯切り後で且つ歯車本体を押し込む前の断面図、(B)は歯車本体を押し込んだ後の断面図

    以下、図面に基づいて本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。

    図2は、本発明の実施形態の一例に係る歯車構造体の製造方法によって製造しようとする歯車構造体が組み込まれている産業用ロボットの関節駆動用の減速装置を示す。

    図2の(A)はその全体断面図、(B)は(A)のIIB−IIB断面図、(C)は(A)のIIC−IIC断面図、(D)は(A)のIID部分の拡大断面図である。

    減速装置G1は、入力部12、減速比調整部14、及び主減速機構部16を備える。

    前記入力部12は、図示せぬモータからの回転を受ける部分であり、この実施形態では入力軸18及び該入力軸18と一体化されたピニオン20を有している。

    前記減速比調整部14は、歯車構造体22によって構成されている。

    この歯車構造体22は、中空軸(筒状部材)24の外周に、第1歯車26及び第2歯車28の計2個の歯車が軸方向に隣接して形成されている。 この歯車構造体22のより具体的な構成については、後に該歯車構造体22の製造方法を説明する際に詳述する。

    前記主減速機構部16は、揺動内接噛合型の遊星歯車機構で構成されている。 主減速機構部16は、歯車構造体22の第1歯車26と噛合する第3歯車30を入力歯車として備える。 第3歯車30は、偏心体軸32に固定されている。 図2においては、第3歯車30及び偏心体軸32は、1セットのみ描写されているが、この第3歯車30及び偏心体軸32は、実際には3セット配備されている。 偏心体軸32には、2個の偏心体34が一体的に形成されており、ころ36を介して外歯歯車38が偏心(揺動)回転可能に組み付けられている。 外歯歯車38は、内歯歯車40に内接噛合している。 内歯歯車40は、ケーシング42と一体化されており、その歯数は外歯歯車38の歯数よりも僅かだけ(例えば1だけ)多い。 前記偏心体軸32は、一対の第1、第2キャリヤ43、44に円錐ころ軸受46、47を介して回転自在に支持されている。 第1、第2キャリヤ43、44はボルト48によって一体化され、一対のアンギュラ玉軸受50、51を介してケーシング42に回転自在に支持されている。

    主減速機構部16の作用を簡単に説明すると、例えば、ケーシング42(内歯歯車40)を固定した場合には、偏心体軸32の回転によって外歯歯車38が内歯歯車40に内接しながらゆっくりと自転し、この自転が偏心体軸32の軸心O1周りの公転、すなわち第1キャリヤ43(及び第2キャリヤ44)の回転(自転)として取り出される。 一方、第1キャリヤ43(及び第2キャリヤ44)を固定した場合には、偏心体軸32の公転が拘束されるため、外歯歯車38は自転しない(できない)。 このため、公転の拘束された偏心体軸32の回転(自転)によって外歯歯車38が内歯歯車40に内接しながら揺動のみを行う。 この揺動により、内歯歯車40が回転し、該内歯歯車40と一体化されているケーシング42が回転する(いわゆる枠回転)。

    この実施形態に係る減速装置G1は、産業用ロボットにその関節駆動用として組み込まれ、ケーシング42及び第1キャリヤ43のうちの一方が前段アーム側の部材に、他方が後段アーム側の部材(いずれも図示略)にそれぞれ固定されている。 これにより、後段アームを前段アームに対して相対的に回転させることができる。

    なお、本発明においては、歯車構造体が組み込まれる装置(この実施形態では歯車構造体22が組み込まれる減速装置G1)の具体的な構成については、特に限定されない。

    次に、歯車構造体22の詳細な構成を説明する。

    歯車構造体22は、前述したように、中空軸(筒状部材)24の外周に、第1歯車26及び第2歯車28を軸方向に隣接して形成したものである。 このうち第1歯車26は基礎歯(溝)26Aに対して歯車本体26Bを塑性結合することによって形成される。 ここで、本実施形態においては、第1歯車26を組み込むための「溝」を、第2歯車28と同一の工具で歯切りすることによって形成するため、「基礎歯26A」と称しているが、この基礎歯26Aは、いわゆる歯車の歯である必要はなく、第1歯車26の内周が塑性流動できる溝であればよい。 歯車本体26Bは、外周に歯部26B1を有すると共に、半径方向中央部に中空部26B2を有したリング状の部材である。 第2歯車28は中空軸24に一体的に形成される。 中空軸24は、一対の軸受25、27を介して第2キャリヤ44及び前段側の部材(図示略)に回転自在に支持されている。

    この実施形態に係る歯車構造体22では、第2歯車28が入力部12のピニオン20と噛合しており、第1歯車26が主減速機構部16の入力軸である第3歯車30と噛合している。 ピニオン20と第2歯車28との噛合は「減速」、第1歯車26と第3歯車30との噛合は「増速」である。 各歯車、特に第1歯車26の歯数(及び該第1歯車26と噛合する第3歯車30の歯数)を調整することにより、減速装置G1全体の減速比を調整可能である。

    この歯車構造体22は、以下のようにして製造される。

    先ず、図1(A)に示されるように、第1、第2突部54、56が一体形成されたギヤブランク(歯切り前の素材)58が準備される。 第1突部54は、第1歯車26の基礎歯26Aの歯高26hに相当する高さ54hを有すると共に、該基礎歯26Aの歯幅26wに相当する軸方向幅54wを有している。 ここで、「基礎歯26Aの歯高」とは、基礎歯(溝)26Aの山部の高さに相当し、具体的には中空軸24の内周と基礎歯26Aの歯先(溝の山部の頂点)との間の距離を意味している。 なお、この「基礎歯26Aの歯高」は、中空軸24の軸心から歯先までの距離と定義してもよい。 また、第2突部56は、第2歯車28の歯高28hに相当する高さ56hを有すると共に、該第2歯車28の歯幅28wに相当する軸方向幅56wを有している。 なお、「第2歯車28の歯高」とは、先と同様に、第2歯車28の山部の高さに相当し、具体的には中空軸24の内周と第2歯車28の歯先との間の距離を意味している。 なお、この「第2歯車28の歯高」についても、中空軸24の軸心から歯先までの距離と定義してもよい。 第1突部54と第2突部56の間には、隙間δ1が設けられている。 この第1、第2突部54、56間の隙間δ1は、歯切り後において第1歯車26の基礎歯26Aと第2歯車28間の隙間δ2として残存することになる。

    図1(A)から明らかなように、この実施形態では、第1、第2突部54、56の高さ54h、56hは、歯車本体26Bを挿入する側の方が高くなっており、軸方向において一定ではない。 その結果として、第1、第2歯車26、28の歯高26h、28hも、歯車本体26Bを挿入する側の方が高く形成されている。 但し、この第1、第2突部54、56の高さ54h、56hの傾斜は、後述する「歯底円径が軸方向で一定でない」こととは、直接的には関係していない。

    次に、図1(B)に示されるように、第1突部54に対して第1歯車26の基礎歯26Aを形成すると共に(第1工程)、そのまま同一の工具によって連続的に第2突部56に対して第2歯車28の歯部を形成する(第2工程)。

    このとき、少なくとも第2歯車28の歯部は、軸方向両端部での歯底円径28dが異なるように形成する。 すなわち、第2歯車28の第1歯車側の歯底円径は、28d1であり、反第1歯車側の歯底円径は、28d2であって、第1歯車側の歯底円径28d1の方が大きい(28d1>28d2)。 これは、基準ピッチ及びモジュールは同一であるが、ピッチ円28pが第1歯車側程、大きくなっていることを意味している。

    なお、この実施形態では、第1歯車26の基礎歯26Aについても、その軸方向両端部での歯底円径(溝の底部の径:すなわち、中空軸24の軸心と溝の底部との距離)26dが異なるように形成している。 すなわち、この実施形態では、第1歯車26の基礎歯26Aの反第2歯車側の歯底円径は、26d1であり、第2歯車側の歯底円径は26d2であって、反第2歯車側の歯底円径26d1の方が大きい(26d1>26d2)。

    また、前述したように、この実施形態では、第1、第2突部54、56の高さ54h、56hが軸方向に一定でなかったことに起因して、第1歯車26の基礎歯26Aの歯高26h及び第2歯車28の歯高28hも軸方向に一定ではなく、それぞれ歯底円径26d、28dの傾斜に沿った傾斜を有している。

    また、この実施形態では、第1歯車26の基礎歯26Aの第2歯車28側の歯高26hが、第2歯車28の第1歯車26側の歯高28hよりもΔhだけ低く形成されている。 この歯高差Δhに起因して生じる段差部60は、第1歯車26の歯車本体26Bを基礎歯26Aに押し込む際の「止め部」として機能する。

    この図1(B)の状態の歯車構造体22の「中間構造体62」は、これ自体を歯車構造体22の中間製品として、在庫管理(或いは流通)の対象とすることができる。 それは、この中間構造体62をベースとし、押し込む歯車本体(26B)を適宜選択することによって、さまざまな減速比の調整が可能な歯車構造体22を容易に製造することができるためである。

    最後に、図1(C)に示されるように、第1歯車26の基礎歯26Aの外周に、該第1歯車26の歯車本体26Bを軸方向に沿って第2歯車28の段差部60に当接するまで押し込み荷重する(第3工程)。 これにより、歯車本体26Bを塑性流動による結合によって基礎歯26Aの外周にバックラッシ無しで固定することができ、塑性結合による第1歯車26の形成が完了する。

    この実施形態では、このような構成の歯車構造体22を、このような製造方法によって製造することにより、以下のような作用効果を得ることができる。 なお、この説明をする前に、理解を容易にするために、先ず、比較例として従来の歯車構造体、あるいはその製造方法において発生していた不具合について図3を参照しながら説明する。 図3では、便宜上図1と同一の番号の末尾にrの付された符号を振っている。

    図3(A)を参照して、従来の歯車構造体22rの製造方法にあっては、第1歯車26rの基礎歯26Ar及び第2歯車28rの歯高26Ahr、28hr、ピッチ円26Apr、28pr、及び歯底円径26Adr、28dr等は、それぞれの軸方向の各位置で同一であった。 そのため、この状態で第1歯車26rの基礎歯26Arの外周に該第1歯車26の歯車本体26Brを軸方向に沿って押し込み荷重すると、図3(B)に誇張して示されるような状態が形成される。 すなわち、とりわけ(塑性結合しない方の)隣接して形成された第2歯車28rが、中空軸24rの変形の影響を直接的に受けてしまい、軸方向において同一であるべきピッチ円26Apr、28pr等が軸心O1に対して傾いてしまう。 この状態は、結果として第2歯車28rとその相手方歯車(上記実施形態においてはピニオン20)との噛合に、いわゆる片当たりを発生させ、円滑な動力の伝達が阻害される。

    これに対し、上記実施形態における歯車構造体22の製造方法によれば、図1(A)(B)に示されるように、塑性結合時の中空軸24の変形を予め想定し、歯車構造体22の中間構造体62における第2歯車28の軸方向両端部での歯底円径28d1、28d2が異なるように(28d1>28d2)該第2歯車28が形成されている。 このため、図1(C)に示されるように、塑性結合した後において、結果として第2歯車28のピッチ円28pのほか、歯底円径28d及び歯高28h等も軸方向の各位置で同一とすることができ、片当たりを防止できる。

    また、第1歯車26では、(仮に中空軸24が多少変形したとしても)歯車本体26Bの持つ剛性により、軸方向の各位置においてピッチ円26Bpを同一に維持することができるため、結局、第1、第2歯車26、28の双方とも、中空軸24(の軸心O1)に対して精密な形成精度を維持することができる。

    この作用効果から明らかなように、本発明の第2工程における「他方の歯車(実施形態では第2歯車28)の軸方向両端部での歯底円径が異なるように形成する」とあるのは、あくまで、第1歯車の歯車本体を塑性結合した後において、結果として第2歯車の特にピッチ円を、軸方向の各位置で同一とすることを意図するものである。

    このようにして製造された歯車構造体22を利用することで、第1歯車26の歯車本体26B、及び該歯車本体26Bと噛合する主減速機構部16の第3歯車30の歯数をそれぞれ適宜に選択することにより、減速装置G1の減速比を(ある範囲内で)任意に調整することができる。 第1歯車26及び第2歯車28は、共に中空軸24とバックラッシ無しで完全に一体化されているため、本歯車構造体22は、例えばこの実施形態で例示した産業用ロボットの減速装置G1のようなバックラッシを嫌う用途に特に好適である。

    なお、本発明では、歯車本体が塑性結合される「一方の歯車(実施形態では第1歯車26)」を組み込むための「溝」については、必ずしも中間構造体の段階で予め軸方向両端部で歯底円径が異なるように製造することは要求しない。 それは、塑性結合される方の歯車は、歯車本体自体の剛性を利用できるため塑性結合後においても、ある程度精度の高いピッチ円を軸方向の各位置において維持できるためである。 しかしながら、上記実施形態で示されるように、本発明では、塑性結合される方の歯車の溝についても、このような変形を見越した構成を採用するようにすることを禁止するものではなく、この場合には、図3(B)及び図1(C)の描写の比較から明らかなように、溝と歯車本体との塑性結合をより良好に行うことができるようになるという効果が得られる。

    また、上記実施形態においては、第1歯車の基礎歯(溝)の第2歯車側端部の歯高が第2歯車の第1歯車側端部の歯高よりも低く形成されるように構成し、これによって生じる段差部を第3工程の塑性結合の際の歯車本体の止め部として機能させるようにしていたが、本発明においては、例えば、止め部として機能する別途の部材等が利用できるならば、この構成は必ずしも必要ではない。

    更に、上記実施形態においては、第1工程の基礎歯(溝)と、第2工程の第2歯車の歯部とを、同一の工具によって連続的に加工するようにしていたが、本発明においては、第1工程の溝と、第2工程の第2歯車の歯部は、必ずしも同一の工具によって連続的に加工する必要はなく、例えば、別の加工工具を用いて独立した工程で別々に加工してもよい。 このように独立した工程で別々に歯部を形成するようにすると、筒状部材の変形のメカニズムをより正確に反映させることができ、結果としてより高い形成精度を有する歯車構造体を得ることができる。

    また、第2歯車については、上記実施形態においては、筒状部材に形成されたものをそのまま第2歯車として利用するようにしていたが、本発明では、この第2歯車を、溝として第2歯車の歯車本体を塑性流動によって結合してもよいし、その他の方法によって固定してもよい。 つまり、本発明における「歯車を形成」とは、筒状部材に直接形成するものだけでなく、別体の歯車本体を筒状部材に固定する構成も含む。 この場合でも、第2歯車を形成(固定)した後に、第1歯車の歯車本体を塑性結合した後における第2歯車の傾きを低減できるという同様な効果が得られる。 また、溝(基礎歯26A)についても、筒状部材に直接形成するものに限られるものではなく、溝の形成されたリング状部材を筒状部材に固定することによって形成してもよい。

    また、上記実施形態においては、筒状部材に第1、第2歯車の2個のみの歯車が形成される例が示されていたが、本発明においては、筒状部材に更に他の歯車が軸方向に隣接して形成されている場合にも適用できる。 この場合、当該他の歯車を本発明の範疇から外して設計してもよく、また、当該他の歯車も「本発明の第2の歯車」として歯底円径を考慮した設計にて形成するようにしてもよい。

    G1…減速装置 12…入力部 14…減速比調整部 16…主減速機構部 18…入力軸 20…ピニオン 22…歯車構造体 24…中空軸(筒状部材)
    26…第1歯車 26A…溝 26B…歯車本体 28…第2歯車 28d1、28d2…第2歯車の軸方向端部の歯底円径

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