Broach

申请号 JP2013070820 申请日 2013-03-29 公开(公告)号 JP2014193505A 公开(公告)日 2014-10-09
申请人 Mitsubishi Materials Corp; 三菱マテリアル株式会社; 发明人 YOSHIZUMI NAOKI; KOBAYASHI YOSHIO; KONO KENSUKE;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To provide a broach capable of enhancing process tolerance of cutting sufficiently.SOLUTION: Plural cutting blades 3 arranged in an outer periphery of an axial broach body 2 comprises: a spline blade group 7 including plural spline blades 8 for performing groove processing to a lower hole of a cut material; and a round blade group 9 arranged at a position different from that of the spline blade group 7 in an axial line O direction and including plural round blades 10 for performing inner peripheral processing to the lower hole. Between the round blades 10 adjacent in the axial line O direction in the round blade group 9, cutting grooves 12 extending along the peripheral direction around the axial line O on an outer periphery of the broach body 2 are formed. The cutting grooves 12 extend in a gradually twisted state toward the axial line O direction as going toward the peripheral direction. The spline blade group 7 and the round blade group 9 are formed integrally with the outer periphery of the broach body 2.
权利要求
  • 軸状をなすブローチ本体と、
    前記ブローチ本体の外周に該ブローチ本体の軸線方向に間隔をあけて配列された複数の切刃と、を備え、
    被削材に形成された下孔に前記ブローチ本体を前記軸線方向に沿う工具送り方向に向けて挿入するとともに、前記複数の切刃により前記下孔を溝加工及び内周加工して所定形状に切削加工するブローチであって、
    前記複数の切刃には、
    前記下孔に溝加工を施す複数のスプライン刃を含むスプライン刃群と、
    前記スプライン刃群とは前記軸線方向に沿う異なる位置に配置され、前記下孔に内周加工を施す複数の丸刃を含む丸刃群と、が備えられ、
    前記丸刃群における前記軸線方向に隣り合う前記丸刃同士の間には、前記ブローチ本体の外周を前記軸線回りの周方向に沿うように延びる刃溝が形成され、
    前記刃溝は、前記周方向に向かうに従い漸次前記軸線方向に向けて捩れて延びており、
    前記スプライン刃群及び前記丸刃群は、前記ブローチ本体の外周に一体に形成されていることを特徴とするブローチ。
  • 請求項1に記載のブローチであって、
    前記丸刃群は、前記スプライン刃群よりも前記工具送り方向の後方に配置されることを特徴とするブローチ。
  • 請求項1又は2に記載のブローチであって、
    前記スプライン刃群が、前記丸刃群の前記工具送り方向の前方及び後方にそれぞれ配置されることを特徴とするブローチ。
  • 請求項1に記載のブローチであって、
    前記丸刃群は、前記スプライン刃群よりも前記工具送り方向の前方に配置されることを特徴とするブローチ。
  • 说明书全文

    本発明は、被削材に形成された下孔に、ブローチ本体とともに複数の切刃が順に挿入されて、前記下孔を溝加工及び内周加工して内歯車形状等の所定形状に形成するブローチに関するものである。

    従来、この種のブローチとして、軸状をなすブローチ本体と、前記ブローチ本体の外周に該ブローチ本体の軸線方向に間隔をあけて配列された複数の切刃と、を備え、被削材に形成された下孔に前記ブローチ本体を前記軸線方向に沿う工具送り方向に向けて挿入するとともに、前記複数の切刃により前記下孔を溝加工及び内周加工して内歯車形状等の所定形状に切削加工するものが知られている。

    例えば、下記特許文献1に示されるヘリカルブローチは、そのブローチ本体が、軸線方向に隣り合う大径部及び小径部を有する軸状の本体部と、円筒状のシェル部とから構成される組立タイプとなっており、シェル部は、本体部の後方部分に位置する小径部に着脱可能に装着される。 これらの本体部とシェル部とが組み立てられた状態で、前記複数の切刃は、本体部における大径部の外周及びシェル部の外周に亘って列をなしている。

    また切刃には、被削材の下孔に溝加工を施す複数のスプライン刃を含むスプライン刃群と、前記下孔に内周加工を施す複数の丸刃を含む丸刃群と、が備えられており、後丸刃付きブローチの場合、丸刃群がスプライン刃群よりも工具送り方向の後方のシェル部にまとまって配置されている。
    このような後丸刃付きブローチでは、交互丸刃タイプのブローチ(スプライン刃と丸刃とが軸線方向に交互に配置されたもの)に比べて、軸線方向に隣り合う同一種類の切刃同士(スプライン刃同士、或いは丸刃同士)の間隔を小さくすることができ、特に被削材の軸線方向に沿う長さが短い(つまり被削材の厚さが薄い)場合においても、スプライン刃同士又は丸刃同士を複数ずつ同時に下孔に切り込ませることができ、種々の被削材に幅広く対応可能である。

    特許第3377713号公報

    しかしながら、前記従来のブローチでは、切削の加工精度をより向上することに改善の余地があった。
    すなわち、特許文献1のブローチでは、シェル部をブローチ本体に組み付けるために設けられたクリアランス等の影響により、被削材におけるブローチ本体の切刃による切削箇所に対して、シェル部の切刃による切削箇所に位置ずれ(芯ずれ)が生じて、加工精度を確保することが難しかった。
    特に、後丸刃付きブローチの場合には、工具送り方向の後方に連設された丸刃群の加工精度を確保することが難しく、前述した課題が顕著となりやすかった。

    その一方、例えば内歯車においては、一般に丸刃群により切削される内周加工部分は、機器の中で実質的に機能しない部位であることから、従来では溝加工精度に比べて内周加工精度への要求は少なく、当業者といえども前記課題を明確に認識してはいなかった。 本発明の発明者は、前記課題を明確に認識した上で、溝加工精度を維持しつつ内周加工についても高品位な加工精度を確保し得るべく、本発明に到達したものである。

    本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、切削の加工精度を十分に高めることができるブローチを提供することを目的としている。

    このような課題を解決して、前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提案している。
    すなわち、本発明は、軸状をなすブローチ本体と、前記ブローチ本体の外周に該ブローチ本体の軸線方向に間隔をあけて配列された複数の切刃と、を備え、被削材に形成された下孔に前記ブローチ本体を前記軸線方向に沿う工具送り方向に向けて挿入するとともに、前記複数の切刃により前記下孔を溝加工及び内周加工して所定形状に切削加工するブローチであって、前記複数の切刃には、前記下孔に溝加工を施す複数のスプライン刃を含むスプライン刃群と、前記スプライン刃群とは前記軸線方向に沿う異なる位置に配置され、前記下孔に内周加工を施す複数の丸刃を含む丸刃群と、が備えられ、前記丸刃群における前記軸線方向に隣り合う前記丸刃同士の間には、前記ブローチ本体の外周を前記軸線回りの周方向に沿うように延びる刃溝が形成され、前記刃溝は、前記周方向に向かうに従い漸次前記軸線方向に向けて捩れて延びており、前記スプライン刃群及び前記丸刃群は、前記ブローチ本体の外周に一体に形成されていることを特徴とする。

    本発明のブローチは、丸刃群がスプライン刃群とは軸線方向の異なる位置に配置されているので、被削材として例えば軸線方向に沿う長さが短い(つまり被削材の厚さが薄く、切削長が短い)ものを切削加工する場合であっても、スプライン刃同士又は丸刃同士を複数ずつ同時に下孔に切り込ませることができ、これによりブローチと被削材との径方向の相対位置を安定させることができることから、種々の被削材に対して幅広く対応可能である。

    そして、本発明のブローチによれば、丸刃群の刃溝が、周方向に向かうに従い漸次軸線方向に向かって捩れて延びており、これにより丸刃も螺旋状をなしているので、前述のように切削長の短い被削材を切削する場合であっても、被削材の下孔に対して略一定の数(量)の丸刃を常に切り込ませた状態とすることができ、内周加工時の芯ずれを抑制できる。
    また、被削材の下孔に対して丸刃が軸線回りに周回するように連続的に切り込まれることから、切り込み時の切削負荷(衝撃)を小さくでき、また切削負荷の変動を抑制することができ、内周加工の加工精度を十分に高めることができる。

    具体的に、本発明とは異なり例えば丸刃群の刃溝が周方向に沿って延びる環状をなしている場合(刃溝が捩れていない軸直タイプの場合)には、被削材の下孔に対して切り込まれる丸刃の数が一定にならず、また被削材の下孔に対して丸刃が周方向全体に断続的に切り込まれることから、切削負荷の変動が大きくなり芯ずれも生じやすくなって、内周加工の精度を確保することが難しい。

    さらに本発明では、スプライン刃群及び丸刃群が、ともにブローチ本体の外周に一体に形成されているので、被削材においてスプライン刃群又は丸刃群が切削した部位に対して、後続の丸刃群又はスプライン刃群が切削した部位が芯ずれしにくくなって、加工品位が十分に高められることになる。

    また、このようにスプライン刃群及び丸刃群が一体に形成されることで、当該ブローチの製造が容易となる。 すなわち、ブローチ本体とは別体のシェル部を作製する必要がないことから、部品点数を削減でき、製造工程も削減できる。 さらに、例えばスプライン刃群の刃溝、及び丸刃群の刃溝を、ともにオフノルマルタイプとすることで、より製造を容易化することが可能である。

    このように、本発明によれば、溝加工のみならず内周加工についても高い加工精度を確保することができ、よって種々様々な製品要望に対応可能である。
    尚、前述の説明では、特に切削長が短い被削材を用いた場合について述べたが、切削長が長い被削材の切削加工においても同様の効果が得られることは言うまでもない。

    また、本発明のブローチにおいて、前記丸刃群は、前記スプライン刃群よりも前記工具送り方向の後方に配置されることとしてもよい。

    このブローチの構成によれば、ブローチ本体の切刃の形成領域における後端部に、丸刃群を配置できる。 すなわち、例えば被削材の下孔に内歯車形状を切削加工する際、スプライン刃群が備える外径上がり刃群(下孔に対して歯丈方向(径方向外側)に切り込む第1のスプライン刃群)、及び歯厚上がり刃群(外径上がり刃群の後方に位置して歯厚方向(周方向)に切り込む第2のスプライン刃群)のうち、歯厚上がり刃群の後方に、丸刃群を接近して配置できる。 この場合、加工後の内歯車形状における歯面(溝加工部分において周方向を向く面)と、小径(内周加工部分)との同心度を高精度に確保することができる。

    また、本発明のブローチにおいて、前記スプライン刃群が、前記丸刃群の前記工具送り方向の前方及び後方にそれぞれ配置されることとしてもよい。

    このブローチの構成によれば、例えば被削材の下孔に内歯車形状を切削加工する際、スプライン刃群が備える外径上がり刃群(第1のスプライン刃群)と、歯厚上がり刃群(第2のスプライン刃群)との間に、丸刃群を配置できる。 この場合、丸刃群を外径上がり刃群の後方に接近して配置できることから、加工後の内歯車形状における大径(溝加工部分において最も径方向外側に位置する溝底面)と、小径(内周加工部分)との同心度を高精度に確保することができる。

    また、本発明のブローチにおいて、前記丸刃群は、前記スプライン刃群よりも前記工具送り方向の前方に配置されることとしてもよい。

    このブローチの構成によれば、ブローチ本体の切刃の形成領域における前端部に丸刃群を配置できるので、例えば被削材の下孔に内歯車形状を切削加工する際、スプライン刃の歯溝幅が狭い場合など、ブローチの製造が困難なときに有効である。 本発明の前述した構成のように、スプライン刃群よりも丸刃群を前方に配置することで、該丸刃群によって下孔の小径(内周部分)を先に切削し、該下孔の内径を大きくした状態から、後続のスプライン刃群を切り込ませることとすれば、スプライン刃の歯溝幅が広がり、ブローチの製造が簡単となる。

    本発明のブローチによれば、切削の加工精度を十分に高めることができる。

    本発明の一実施形態に係るブローチを示す側面図である。

    図1のブローチによって加工する被削材の一部を示す断面図である。

    以下、本発明の一実施形態に係るブローチ1について、図面を参照して説明する。
    本実施形態のブローチ1は、被削材に予め形成された下孔に対して、溝加工及び内周加工をこの順に施して内歯車形状(所定形状)を形成する、後丸刃付きブローチである。 具体的に、このブローチ1はヘリカルブローチであり、図2に示されるように、例えば自動変速機用のプラネタリーインターナルギヤ等のヘリカル内歯車Pのように内周に捩れ溝Gを有する製品となる被削材Wをブローチ加工するものである。

    図1に示されるように、ブローチ1は、軸状をなすブローチ本体2と、ブローチ本体2の外周に該ブローチ本体2の軸線O方向に間隔をあけて配列された複数の切刃3と、を備え、被削材Wに形成された下孔にブローチ本体2を軸線O方向に沿う工具送り方向Dに向けて挿入するとともに移動させて、複数の切刃3により前記下孔を溝加工及び内周加工して、内歯車形状に切削加工する。
    ここで、ブローチ本体2は、その軸線Oが被削材Wの下孔の中心軸に対して同軸となるように、該下孔内に挿入される。 本明細書では、ブローチ本体2の軸線O方向のうち、被削材Wに対してブローチ本体2が送られる向き(図1における左側)を工具送り方向D(又は工具送り方向Dの前方)といい、これとは反対側の向き(図1における右側)を工具送り方向Dの後方という。 また、軸線Oに直交する方向を径方向といい、軸線O回りに周回する方向を周方向という。

    具体的にブローチ本体2は、軸線Oを中心とした長尺の軸状をなしており、その両端部は掴み部4、5とされ、これら掴み部4、5の間は切刃部6とされている。 そして、この切刃部6におけるブローチ本体2の外周には、径方向の外側に向けて複数の切刃3が突設されている。 これら切刃3のうち後述するスプライン刃8は、ブローチ本体2の先端側(図1における左側)から後端側(図1における右側)に向けて軸線O回りに捩れるリードLに沿った螺旋状をなすように配列されている。 また、これらスプライン刃8の列は、周方向に間隔をあけて複数列形成されている。

    複数の切刃3には、被削材Wの下孔に溝加工を施す複数のスプライン刃8を含むスプライン刃群7と、スプライン刃群7とは軸線O方向に沿う異なる位置に配置され、前記下孔に内周加工を施す複数の丸刃10を含む丸刃群9と、が備えられている。 本実施形態のブローチ1は後丸刃付きブローチであり、丸刃群9は、スプライン刃群7よりも工具送り方向Dの後方に配置されている。 具体的に、図1に示される例では、切刃部6における工具送り方向Dの後端部に丸刃群9が配置され、前記後端部以外の部位にスプライン刃群7が配置されている。

    そして、スプライン刃群7及び丸刃群9は、ブローチ本体2の外周に一体に形成されている。 すなわち本実施形態において、ブローチ本体2にシェル部は組み付けられておらず、複数の切刃3はすべてブローチ本体2の外周に一体に形成されている。

    切刃部6のうちスプライン刃群7が配置される部位において、工具送り方向Dの前方領域に設けられた複数のスプライン刃8(切刃3)は、ヘリカル内歯車Pの歯形を歯丈方向(径方向)に切削する外径上がり刃とされている。 これらの外径上がり刃においては、切刃3の歯丈が該切刃3の列に沿って工具送り方向Dの後方に向かって順次増大するようにされている。
    また、切刃部6のうちスプライン刃群7が配置される領域において、前記外径上がり刃よりも工具送り方向Dの後方に設けられた複数のスプライン刃8(切刃3)は、前述のように外径上がり刃によって所定の歯丈に切削された歯形の歯面すなわち被削材Wの捩れ溝Gの両内側面を、歯厚方向(周方向)に追い込み切削して所定の歯厚に形成する歯厚上がり刃とされている。
    つまり、本実施形態のスプライン刃群7には、複数の外径上がり刃からなる外径上がり刃群(第1のスプライン刃群)と、前記外径上がり刃群よりも工具送り方向Dの後方に配置され、複数の歯厚上がり刃からなる歯厚上がり刃群(第2のスプライン刃群)と、が含まれる。

    また、スプライン刃群7において切刃列をなし軸線O方向に隣り合うスプライン刃8同士の間には、ブローチ本体2の外周を周方向に沿うように延びる刃溝11が形成されており、該刃溝11は周方向に向かうに従い漸次軸線O方向に向けて捩れて延びている。 つまりスプライン刃群7の刃溝11は、オフノルマルタイプの捩れ刃溝とされている。

    また、切刃部6のうち丸刃群9には、軸線O方向から見て円環形状をなす丸刃10が、軸線O方向に間隔をあけて複数形成されている。 具体的に、丸刃群9において軸線O方向に隣り合う丸刃10同士の間には、ブローチ本体2の外周を周方向に沿うように延びる刃溝12が形成されており、該刃溝12は周方向に向かうに従い漸次軸線O方向に向けて捩れて延びている。 つまり丸刃群9の刃溝12も、オフノルマルタイプの捩れ刃溝とされている。

    このような構成により複数の丸刃10は、ブローチ本体2の外周上を捩れつつ延設された一条の螺旋状リブのごとく一体的に形成されており、刃溝12も同様に一条の螺旋状溝のごとく一体的に形成されている。
    尚、図1に示される例では、スプライン刃群7における刃溝11の捩れと、丸刃群9における刃溝12の捩れ角とが互いに同等となるように設定されている。

    以上説明した本実施形態のブローチ1では、被削材Wの下孔にブローチ本体2が挿入され、工具送り方向Dに送られることで、図2において、前記下孔に対して、スプライン刃群7が捩れ溝Gの溝加工(内歯車形状の歯部の加工)を施した後、続いて丸刃群9が最も小径とされた内周面Sを内周加工(内歯車形状の小径部の加工)するようになっている。

    本実施形態のブローチ1は、丸刃群9がスプライン刃群7とは軸線O方向の異なる位置に配置されているので、被削材Wとして例えば軸線O方向に沿う長さが短い(つまり被削材の厚さが薄く、切削長が短い)ものを切削加工する場合であっても、スプライン刃8同士又は丸刃10同士を複数ずつ同時に下孔に切り込ませることができ、これによりブローチ1と被削材Wとの径方向の相対位置を安定させることができることから、種々の被削材Wに対して幅広く対応可能である。

    そして、本実施形態のブローチ1によれば、丸刃群9の刃溝12が、周方向に向かうに従い漸次軸線O方向に向かって捩れて延びており、これにより丸刃10も螺旋状をなしているので、前述のように切削長の短い被削材Wを切削する場合であっても、被削材Wの下孔に対して略一定の数(量)の丸刃10を常に切り込ませた状態とすることができ、内周面Sの加工(内周加工)時における芯ずれを抑制できる。
    また、被削材Wの下孔に対して丸刃10が軸線O回りに周回するように連続的に切り込まれることから、切り込み時の切削負荷(衝撃)を小さくでき、また切削負荷の変動を抑制することができ、内周加工の加工精度を十分に高めることができる。

    具体的に、本実施形態とは異なり例えば丸刃群の刃溝が周方向に沿って延びる環状をなしている場合(刃溝が捩れていない軸直タイプの場合)には、被削材の下孔に対して切り込まれる丸刃の数が一定にならず、また被削材の下孔に対して丸刃が周方向全体に断続的に切り込まれることから、切削負荷の変動が大きくなり芯ずれも生じやすくなって、内周加工の精度を確保することが難しい。

    さらに本実施形態では、スプライン刃群7及び丸刃群9が、ともにブローチ本体2の外周に一体に形成されているので、被削材Wにおいてスプライン刃群7が切削した部位に対して、丸刃群9が切削した部位が芯ずれしにくくなって、加工品位が十分に高められることになる。

    また、このようにスプライン刃群7及び丸刃群9が一体に形成されることで、当該ブローチ1の製造が容易となる。 すなわち、ブローチ本体2とは別体のシェル部を作製する必要がないことから、部品点数を削減でき、製造工程も削減できる。 さらに、本実施形態で説明したように、スプライン刃群7の刃溝11、及び丸刃群9の刃溝12を、ともにオフノルマルタイプとすることで、より製造を容易化することが可能である。

    このように、本実施形態によれば、捩れ溝Gの加工(溝加工)のみならず内周面Sの加工(内周加工)についても高い加工精度を確保することができ、よって種々様々な製品要望に対応可能である。
    尚、前述の説明では、特に切削長が短い被削材Wを用いた場合について述べたが、切削長が長い被削材Wの切削加工においても同様の効果が得られることは言うまでもない。

    また、本実施形態のブローチ1は、丸刃群9がスプライン刃群7よりも工具送り方向Dの後方に配置されており、具体的には、ブローチ本体2の切刃3の形成領域(切刃部6)における後端部に丸刃群9が配置された後丸刃付きブローチである。 従って、本実施形態のように、被削材Wの下孔に内歯車形状を切削加工する際、スプライン刃群7が備える外径上がり刃群(下孔に対して歯丈方向(径方向外側)に切り込む第1のスプライン刃群)、及び歯厚上がり刃群(外径上がり刃群の後方に位置して歯厚方向(周方向)に切り込む第2のスプライン刃群)のうち、歯厚上がり刃群の後方に、丸刃群9を接近して配置できる。 これにより、加工後の内歯車形状における歯面(溝加工部分(捩れ溝G)において周方向を向く面)と、小径(内周加工部分(内周面S))との同心度を高精度に確保することができる。

    尚、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。

    例えば、前述の実施形態では、丸刃群9が、スプライン刃群7よりも工具送り方向Dの後方に配置されていると説明したが、これに限定されるものではない。
    すなわち、スプライン刃群7は、丸刃群9の工具送り方向Dの前方及び後方にそれぞれ配置されていてもよい。 つまり、ブローチ1は、中間丸刃付きブローチであってもよい。
    この構成によれば、例えば被削材Wの下孔に内歯車形状を切削加工する際、スプライン刃群7が備える外径上がり刃群(第1のスプライン刃群)と、歯厚上がり刃群(第2のスプライン刃群)との間に、丸刃群9を配置できる。 この場合、丸刃群9を外径上がり刃群の後方に接近して配置できることから、加工後の内歯車形状における大径(溝加工部分(捩れ溝G)において最も径方向外側に位置する溝底面)と、小径(内周加工部分(内周面S))との同心度を高精度に確保することができる。

    また、丸刃群9は、スプライン刃群7よりも工具送り方向Dの前方に配置されていてもよい。 つまり、ブローチ1は、前丸刃付きブローチであってもよい。
    この構成によれば、ブローチ本体2の切刃3の形成領域(切刃部6)における前端部に丸刃群9を配置できるので、例えば被削材Wの下孔に内歯車形状を切削加工する際、スプライン刃8の歯溝幅が狭い場合など、ブローチ1の製造が困難なときに有効である。 前述した構成のようにスプライン刃群7よりも丸刃群9を前方に配置することで、該丸刃群9によって下孔の小径(内周部分(内周面S))を先に切削し、該下孔の内径を大きくした状態から、後続のスプライン刃群7を切り込ませることとすれば、スプライン刃8の歯溝幅が広がり、ブローチ1の製造が簡単となる。

    また、スプライン刃群7のスプライン刃8には、外径上がり刃と歯厚上がり刃とが設けられているとしたが、これに限定されるものではない。 すなわち、複数のスプライン刃8は、工具送り方向Dの前方から後方へ向かうに従い順次その径方向外側へ向けた突出量及び周方向の幅が大きくなるように構成されていてもよい。

    また、スプライン刃群7の刃溝11の捩れ角と、丸刃群9の刃溝12の捩れ角とが互いに同等とされているとしたが、これに限定されるものではなく、スプライン刃群7の刃溝11の捩れ角と、丸刃群9の刃溝12の捩れ角とが、互いに異なって設定されていてもよい。

    また、ブローチ本体2において、掴み部4と切刃部6との間に前部案内が設けられ、掴み部5と切刃部6との間に後部案内が設けられていてもよい。
    尚、前部案内は、被削材Wに最初に切り込まれる、工具送り方向Dの最も前方に位置する切刃3(スプライン刃8)を、下孔に対して径方向に精度よく位置決めし案内する目的で設けられる。 また、後部案内は、被削材Wに最後に切り込まれる、工具送り方向Dの最も後方に位置する切刃3(丸刃10)が切削を終えるまで、ブローチ本体2と被削材Wとを径方向に位置決めする目的で設けられる。

    また、前述の実施形態では、ブローチ1が被削材Wの下孔を切削加工してヘリカル内歯車Pを作製することとしたが、これに限定されるものではない。 すなわち、ブローチ1は、被削材Wの下孔を溝加工及び内周加工して所定形状に切削加工するものであればよく、前述したヘリカル内歯車P以外の、例えばセレーション形状やキー溝形状に切削加工するものであっても構わない。

    その他、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において、前述の実施形態、変形例及び尚書き等で説明した各構成(構成要素)を組み合わせてもよく、また、構成の付加、省略、置換、その他の変更が可能である。 また本発明は、前述した実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。

    1 ブローチ 2 ブローチ本体 3 切刃 7 スプライン刃群 8 スプライン刃 9 丸刃群 10 丸刃 12 刃溝 D 工具送り方向 O ブローチ本体の軸線 W 被削材

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