Slotting tool and scribing device for thin film solar cell using the same

申请号 JP2012214150 申请日 2012-09-27 公开(公告)号 JP2013056414A 公开(公告)日 2013-03-28
申请人 Mitsuboshi Diamond Industrial Co Ltd; 三星ダイヤモンド工業株式会社; 发明人 SOYAMA MASANOBU;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To provide a slotting tool and a scribing device capable of manufacturing integrated thin film solar cells with a favorable yield.SOLUTION: The slotting tool includes a bar-like body 81, and a blade region 82 of a rectangular parallelepiped shape formed at the tip of the body 81. The blade region 82 is formed of five flat planes of a rectangular bottom face 83 surrounded by a pair of short edges and a pair of long edges, a front face 84 and a rear face 85 orthogonal to the bottom face 83 on two short edge sides of the bottom face 83, respectively, and a right side face 89 and a left side face 88 orthogonal to the bottom face 83 on the two long edge sides of the bottom face 83, respectively. Blades in the vertical direction are formed at a corner 94 of the front face 84 and the right side face 89 and a corner 93 of the front face 84 and the left side face 88, a blade in the lateral direction is formed at a corner of the front face 84 and the bottom face 83, and a slope 90 is formed at a corner of the bottom face 83 and the front face 84.
权利要求
  • 棒状のボディと、ボディの先端に形成された直方体状の刃先領域からなり、
    前記刃先領域は、一対の短辺と一対の長辺とで囲まれる長方形の底面、底面の2つの短辺側でそれぞれ底面に対し直交する前面および後面、底面の2つの長辺側でそれぞれ底面に対し直交する右側面および左側面からなる5つの平面で形成され、
    前面と右側面との角部、および、前面と左側面との角部に縦方向の刃先が形成され、
    前面と底面との角部に横方向の刃先が形成され、
    底面と前面との角部に傾斜面が形成されることを特徴とする溝加工ツール。
  • 傾斜面と底面とのなす角が10度〜40度の範囲である請求項1に記載の溝加工ツール。
  • さらに、後面と右側面との角部、および、後面と左側面との角部に縦方向の刃先が形成されるとともに、後面と底面との角部に横方向の刃先が形成される請求項1または請求項2のいずれかに記載の溝加工ツール。
  • 底面と後面との角部に傾斜面が形成される請求項3に記載の溝加工ツール。
  • 請求項1〜請求項4のいずれかに記載の溝加工ツールと、太陽電池基板が載置されるテーブルと、前記溝加工ツールの底面を、前記太陽電池基板に対し傾斜させた状態でスクライブさせるスクライブヘッドとを備えたことを特徴とするスクライブ装置。
  • 说明书全文

    本発明は、カルコパイライト化合物系集積型薄膜太陽電池等の集積型薄膜太陽電池を製造する際の溝加工ツール、および、溝加工ツールを用いたスクライブ装置に関する。
    ここで、カルコパイライト化合物とは、CIGS(Cu(In,Ga)Se )の他に、CIGSS(Cu(In,Ga)(Se,S) )、CIS(CuInS )等が含まれる。

    カルコパイライト化合物半導体を光吸収層として用いる薄膜太陽電池においては、基板上に複数のユニットセルを直列接続した集積型構造が一般的である。

    従来のカルコパイライト化合物系集積型薄膜太陽電池の製造方法について説明する。 図6は、CIGS薄膜太陽電池の製造工程を示す模式図である。 まず、図6(a)に示すように、ソーダライムガラス(SLG)等からなる絶縁基板1上に、プラス側の下部電極となるMo電極層2をスパッタリング法によって形成した後、光吸収層形成前の薄膜太陽電池基板に対してスクライブ加工により下部電極分離用の溝Sを形成する。

    その後、図6(b)に示すように、Mo電極層2上に、化合物半導体(CIGS)薄膜からなる光吸収層3を蒸着法、スパッタリング法等によって形成し、その上に、ヘテロ接合のためのZnS薄膜等からなるバッファ層4をCBD法(ケミカルバスデポジション法)により形成し、その上に、ZnO薄膜からなる絶縁層5を形成する。 そして、透明電極層形成前の薄膜太陽電池基板に対して、下部電極分離用の溝Sから横方向に所定距離はなれた位置に、スクライブ加工によりMo電極層2にまで到達する電極間コンタクト用の溝M1を形成する。

    続いて、図6(c)に示すように、絶縁層5の上からZnO:Al薄膜からなる上部電極としての透明電極層6を形成し、光電変換を利用した発電に必要な各機能層を備えた太陽電池基板とし、スクライブ加工により下部のMo電極層2にまで到達する電極分離用の溝M2を形成する。

    上述した集積型薄膜太陽電池を製造する工程において、電極分離用の溝M1およびM2をスクライブにより溝加工する技術として、レーザスクライブ法とメカニカルスクライブ法が用いられてきた。

    レーザスクライブ法は、例えば特許文献1で開示されているように、アークランプ等の連続放電ランプによってNd:YAG結晶を励起して発信したレーザ光を照射することにより電極分離用の溝を形成する。 この方法は、光吸収層形成後の薄膜太陽電池基板に対して溝を形成する場合、スクライブ時にレーザ光の熱によって光吸収層3の光電変換特性が劣化するおそれがあった。

    メカニカルスクライブ法は、例えば特許文献2および3で開示されているように、先端が先細り状となった金属針(ニードル)等の溝加工ツールの刃先を、所定の圧をかけて基板に押しつけながら移動させることによって、電極分離用の溝を加工する技術である。 現在ではこのメカニカルスクライブ法が多く行われている。

    特開平11−312815号公報

    特開2002−094089号公報

    特開2004−115356号公報

    特許文献2および3に開示されているようなメカニカルスクライブ法では、溝加工ツールの刃先の形状を先細りの針状にしてあるが、厳密には、薄膜太陽電池に圧接される部分は接触面積を広くするために平らとなるように先端が略平にカットされている。 すなわち、図7に示すように、先端部分が円錐台形状にしてある。 このような形状の溝加工ツール8'を、薄膜太陽電池基板の溝を形成すべき薄膜(上下両電極や光吸収層等の各種機能層)に押しつけながら、スクライブ予定ラインに沿ってY方向へ相対的に移動させることで、溝加工を行うようにしている。
    先端部分が円錐台形状の溝加工ツールを用いることにより、薄膜との接触面積が大きくなるので比較的安定して溝加工を行うことができる。 その一方で、大きな接触面による摩擦抵抗等によって薄膜が不規則に大きく剥がれてしまい、不必要な部分まで除去してしまうことがあり、太陽電池の特性および歩留まりが低下するといった問題点があった。

    特に、スクライブラインの線幅を一定に維持して製品としての設計上予定された品質(光電変換効率等)の実現および品質の均一性(再現性)をよくするためには、薄膜の剥離度合いを一定にする必要がある。 そのため、薄膜の性状等に合わせて刃先を押しつける負荷を加減することで剥離度合いをある程度調整することができるが、薄膜表面に対する押圧力が一律に増減するため、微調整することは非常に困難であった。

    また、上述した溝加工ツールの刃先は、先細りのテーパ面を有する円錐台形状である。 したがって、刃先が摩耗したり、また、刃こぼれしたりした場合に刃先を研磨すると、刃先の径が大きくなり、その結果、スクライブされる溝幅が研磨前よりも広くなってしまうことになる。 そのため、同じ刃先を、長期間使用し続けることや、研磨して繰り返し使用することができず、不経済であるといった問題点もあった。

    そこで、本発明は、カルコパイライト化合物系集積型薄膜太陽電池基板(例えば、透明電極形成前の前駆体)やその他の集積型薄膜太陽電池における電極分離用の溝や上下電極間に形成された光吸収層等の各種機能層に上下電極コンタクト用の溝を加工する際に、一定の溝幅で歩留まりよく、また、光電変換効率等の製品としての品質の均一性をよく加工することのできる溝加工ツールを提供することを目的とする。

    上記課題を解決するためになされた本発明は、以下に示す溝加工ツールの発明と溝加工方法の発明を前提としてなされたものである。
    まず、前提発明となる集積型薄膜太陽電池用の溝加工ツールの発明は、棒状のボディと、ボディの先端に形成された刃先領域とからなり、刃先領域は細長く延びる長方形の底面と、底面の短手方向の端辺から立ち上がる前面並びに後面と、底面の長手方向の端辺から直に立ち上がって互いに平行な一対の面をなす左、右側面とからなり、少なくとも前後面のいずれか片面と底面とによって形成される角部が刃先となるようにしてある。
    そして、前提発明となる集積型薄膜太陽電池の溝加工方法は、集積型薄膜太陽電池基板のスクライブ予定ラインに沿って、溝加工ツールの刃先で押圧しながら、前記太陽電池基板と前記溝加工ツールを相対的に移動させて前記太陽電池上(例えば、少なくとも光吸収層を含む各種の機能層、特に透明電極層形成前の前駆体の少なくとも光吸収層を含む各機能層)にスクライブラインを形成する集積型薄膜太陽電池の溝加工方法であって、前記溝加工ツールが、棒状のボディと、ボディの先端部に形成された刃先領域とからなり、刃先領域は細長く延びる長方形の底面と、底面の短手方向の端辺から立ち上がる前面並びに後面と、底面の長手方向の端辺から直角に立ち上がって互いに平行な一対の面をなす左、右側面とからなり、前後面のいずれか片面と底面とによって形成される角部が刃先をなし、長方形をなす底面の長軸方向が前記移動方向に沿って配置され、刃先領域の前面若しくは後面が太陽電池の被加工面との間になす角度が50〜80度、特には65度〜75度の範囲内で進行方向側に傾斜させて溝加工を行うようにしている。
    そして、上記課題を解決するためになされた本発明の溝加工ツールは、棒状のボディと、ボディの先端に形成された直方体状の刃先領域からなり、前記刃先領域は、一対の短辺と一対の長辺とで囲まれる長方形の底面、底面の2つの短辺側でそれぞれ底面に対し直交する前面および後面、底面の2つの長辺側でそれぞれ底面に対し直交する右側面および左側面からなる5つの平面で形成され、前面と右側面との角部、および、前面と左側面との角部に縦方向の刃先が形成され、前面と底面との角部に横方向の刃先が形成され、底面と前面との角部に傾斜面が形成されるようにしてある。

    本発明の溝加工ツールによれば、集積型薄膜太陽電池における電極分離用の溝や上下電極間に形成された光吸収層等の各種機能層に上下電極コンタクト用の溝を加工する際に、一定の溝幅で加工することができ、歩留まりが向上する。 刃先が摩耗した場合には、底面並びに必要に応じて前後面を研磨することによって刃先を補修することができる。 特に、底面を研磨しても刃先部分の左右側面を平行面にしてあるので、刃の左右幅の寸法に変化が生じることがない。 これにより、研磨後であってもスクライブされる溝幅を研磨前と同じに維持することができる。
    特に、新品のときから溝加工ツールの底面と前面との角部に傾斜面が形成されるようにすることで、初めて使用するときから傾斜面を被加工面に圧接した状態でスクライブが行われる。 傾斜面が形成されている溝加工ツールは、底面と前面との角部が摩耗した状態と類似した形状になっている。 したがって、新品のときから、あたかも摩耗した後の溝加工ツールの状態でスクライブすることができる。 具体的には、刃先が鋭利すぎると被加工面に対し局所的に圧力がかかってしまい、Mo膜を損傷させる原因となるおそれがあるが、傾斜面により圧力が局所に集中することを避けることができる。
    また、溝加工ツールの刃先を、前後の角部に2カ所形成した場合には、一方が摩耗または破損すればツールの取り付け方向を変えることにより他方の刃先を新品として使用できる。

    本発明の集積型薄膜太陽電池製造方法にあっては、パターニングを行う際に、底面と、前面または後面との角部が刃先として形成されている形状の溝加工ツールを使用するので、溝加工ツールの前面または後面を基板に対して進行方向側に傾斜させることにより、角部の刃先が点接触に近い線接触で基板に接触して薄膜の剥離をスムーズに行うことができる。 特に、溝加工ツールの刃先部分の前面若しくは後面と基板上面に対する角度が50〜80度、特には65度〜75度の範囲内で進行方向側に傾斜させることにより、除去した膜屑に乗り上げてバウンドすることによるスクライブラインの断絶(傾斜角度が上記設定値より低い場合)や、押圧荷重が高くなることによる不規則な薄膜の剥離の発生(傾斜角度が上記設定値より高い場合)を無くして、直線状できれいなスクライブラインを形成することができる。

    溝加工ツールは、底面と前後面とによって形成される刃先の角度が直角であるようにするのが好ましい。 刃先が摩耗し研磨を行う際に、ボディの軸方向に対し直角に研磨すれば底面と前後面とが直角にすることができるので、研磨作業が容易になる。

    溝加工ツールが、超硬合金、または、ダイヤモンドで形成されているのが好ましい。
    これにより、ツールの寿命が長く、変形も少ないことから、長期間にわたって精度よくスクライブ加工することができる。

    本発明にかかる集積型薄膜太陽電池のスクライブ装置の一実施形態を示す斜視図。

    本発明にかかる溝加工ツールの斜視図。

    上記溝加工ツールの底面拡大図。

    本発明にかかる溝加工ツールの取り付け傾斜角度と、それに対応する太陽電池基板のスクライブラインの加工状態を示す模式図。

    従来の加工ツールと本発明にかかる溝加工ツールとによる加工状態の比較例を示す図。

    一般的なCIGS系の薄膜太陽電池の製造工程を示す模式図。

    従来の溝加工ツールの一例を示す斜視図。

    本発明にかかる溝加工ツールの他の一実施形態を示す斜視図。

    図8の溝加工ツールの底面を拡大した斜視図。

    図8の溝加工ツールの底面の拡大図。

    スクライブ時の刃先部分の状態を示す図。

    本発明の他の一実施形態の溝加工ツールを示す斜視図。

    図12の溝加工ツールの底面を拡大した斜視図。

    (実施形態1)
    以下において、本発明の詳細を、その実施の形態を示す図面に基づいて詳細に説明する。
    図1は本発明にかかる溝加工ツールを用いた集積型薄膜太陽電池用スクライブ装置SCの実施形態を示す斜視図である。 スクライブ装置SCは、水平方向(Y方向)に移動可能で、かつ、水平面内で90度および角度θ回転可能なテーブル18を備えており、テーブル18は実質的に太陽電池基板Wの保持手段を形成する。

    テーブル18を挟んで設けてある両側の支持柱20,20と、X方向に延びるガイドバー21とで構成されるブリッジ19は、テーブル18上を跨ぐように設けてある。 ホルダ支持体23は、ガイドバー21に形成したガイド22に沿って移動可能に取り付けられ、モータ24の回転によりX方向に移動する。

    ホルダ支持体23には、スクライブヘッド7が設けられており、スクライブヘッド7の下部には、テーブル18上に載置される太陽電池基板Wの薄膜表面をスクライブ加工する溝加工ツール8を保持するホルダ9が設けられている。 ホルダ9はスクライブヘッド7への取り付け角度を調整することができるようにしてあり、この取り付け角度を調整することで、溝加工ツール8と太陽電池基板Wとの角度を調整できるようにしてある。

    また、X方向およびY方向に移動することが可能な台座12,13にカメラ10,11がそれぞれ設けられている。 台座12,13は支持台14上でX方向に延設されたガイド15に沿って移動する。 カメラ10,11は、手動操作で上下動することができ、撮像の焦点を調整することができる。 カメラ10,11で撮影された画像はモニタ16,17に表示される。

    テーブル18上に載置された太陽電池基板Wの表面には、位置を特定するためのアライメントマークが設けられており、カメラ10,11によりアライメントマークを撮像することにより、太陽電池基板Wの位置を調整する。 具体的には、テーブル18に支持された太陽電池基板W表面のアライメントマークを、カメラ10,11により撮像してアライメントマークの位置を特定する。 特定されたアライメントマークの位置に基づいて、太陽電池基板W表面の載置時の方向ズレを検出し、テーブル18を所定角度回転させることでズレを修正する。

    そして、テーブル18をY方向に所定ピッチで移動するごとに、スクライブヘッド7を下降させて溝加工ツール8の刃先を太陽電池基板Wの表面に押しつけた状態でX方向に移動させ、太陽電池基板Wの表面をX方向に沿ってスクライブ加工する。 太陽電池基板Wの表面をY方向に沿ってスクライブ加工する場合は、テーブル18を90度回転させて、上記と同様の動作を行う。

    図2並びに図3は、本発明の前提となる発明の溝加工ツール8を示す。 図2は下方から見た斜視図であり、図3は溝加工ツール8の底面を拡大した図である。 この溝加工ツール8は実質的にスクライブヘッド7への取付部となる円柱状のボディ81と、その先端部に放電加工等により一体的に形成された刃先領域82とからなり、超硬合金またはダイヤモンド等の硬質材料で造られている。 刃先領域82は、長方形の底面83と、底面83の短手方向の端辺から直角に立ち上がった前面84並びに後面85と、底面83の長手方向の端辺から直角に立ち上がって互いに並行をなす左、右側面88,89とからなる。 底面83と前後面84,85とによって形成される角部がそれぞれ刃先86,87となる。

    底面83の左右幅L1は50〜60μmが好ましいが、要求されるスクライブの溝幅に合わせて25〜80μmとすることができる。 また、刃先領域82の有効高さ、すなわち刃先領域の左右側面88,89並びに前後面84,85の高さL2は0.5mm程度が好ましい。 さらに、円柱状のボディ81の直径は2〜3mm程度がよい。 なお、溝加工ツール8のボディ81は円柱状に限らず、断面四角形や多角形で形成することも可能である。

    上述した溝加工ツール8を用いて加工を行う場合は、刃先領域82の底面83の長軸方向をツールの移動方向に沿った状態で、かつ、太陽電池基板Wに対して刃先部分82の前面84または後面85を所定角度だけ傾斜させた状態でスクライブヘッド7に取り付ける。 この場合の傾斜角度は50〜80度、特には65度〜75度の範囲が好ましい。

    図4は溝加工ツール8を用いて太陽電池基板Wに溝加工を行うときの溝加工ツール8の取り付け角度と太陽電池基板Wの加工状態との関係について、実験によって得た結果を示す模式図である。
    図4(a)は、溝加工ツール8を50〜80度、特には65度〜75度の好ましい傾斜角度で取り付けてスクライブさせた場合の結果を示す。 太陽電池基板Wに形成される溝Mは余分な部分が剥離されることなく、スクライブラインに沿って直線状にきれいに形成することができた。
    図4(b)は、溝加工ツール8を50度未満の傾斜角度で取り付けてスクライブさせた場合の結果を示す。 溝加工ツール8の刃先は、除去した膜屑に乗り上げてバウンドすることにより加工される溝Mに断絶の発生が見られた。
    図4(c)は、溝加工ツール8を、80度を超える傾斜角度で取り付けてスクライブさせた場合の結果を示す。 溝加工ツール8の押圧荷重が高くなることによって加工された溝Mに不規則な薄膜の剥離が発生した。

    本発明(前提発明)によれば、溝加工ツール8の前面84または後面85を太陽電池基板Wに対して進行方向側に傾斜させることにより、前面または後面と、底面とによって形成される角部、すなわち刃先86または刃先87が点接触に近い線接触で太陽電池基板Wに接触して薄膜の剥離をスムーズに行うことができる。 特に、溝加工ツール8の刃先領域の前面84若しくは後面85と基板Wの上面に対する角度が、50〜80度、特には65度〜75度の範囲内で進行方向側に傾斜させることにより、除去した膜屑に乗り上げてバウンドすることによるスクライブラインの断絶や、押圧荷重が高くなることによる不規則な薄膜の剥離の発生を無くして、直線状できれいなスクライブラインを形成することが可能となった。

    また、溝加工ツール8の刃先86,87は、前後の角部に2カ所形成されているので、一方が摩耗または破損すれば、溝加工ツール8の取り付け方向を変えることにより他方の刃先を新品として使用できる。 しかも、いずれの刃先も摩耗した場合には、底面83並びに必要に応じて前後面84,85を研磨することによって刃先を補修することができる。

    図5は従来からの加工ツールにより形成されたスクライブラインと、本発明の溝加工ツールにより形成されたスクライブラインとを比較した画像データである。 本発明の溝加工ツールを用いて65〜75度の範囲の傾斜角でスクライブした場合には、従来例に比べて、明らかに一定の幅できれいなスクライブラインを形成することができた。

    なお、上記実施例では、スクライブヘッド7をX方向に移動させることでスクライブ加工を実行したが、スクライブヘッド7と、太陽電池基板Wとが相対的に移動できれば足りることから、太陽電池基板Wが固定された状態でスクライブヘッド7をX方向およびY方向に移動させてもよいし、スクライブヘッド7を移動させることなく、太陽電池基板WのみをX方向およびY方向に移動させてもよい。

    以上、本発明(前提発明)の代表的な実施例について説明したが、本発明は必ずしも上記の実施例の構造のみに特定されるものではなく、変形実施されてもよい。 例えば、底面と前後面とによって形成される刃先の角度は上記実施例で述べたように略直角が好ましいが、多少鈍角に形成しても差し支えがない。

    (実施形態2)
    次に、実施形態1の溝加工ツールを変形した実施形態について説明する。 図2,図3で説明した溝加工ツール8では、図4で説明したように、溝加工ツール8の前面84と被加工面とのなす角度(スクライブ角度という)が適切な角度範囲内になるように傾斜させてスクライブすることにより、連続した一定幅の溝が形成できる。

    しかしながら、例えば、溝加工ツール8が新品の場合には、適切なスクライブ角度に設定して使用する場合であっても、溝に隣接する薄膜が剥離してしまい、溝の幅が広い部分が生じる場合があった。 さらに、Mo膜に比較的傷がつきやすい傾向もあった。 新品でない場合においても、まれに同様の不具合が生じることがあった。

    そこで、溝加工ツール8をさらに改良し、溝に隣接する薄膜の剥離を抑制して、一定の幅の溝を安定して形成することができ、しかも溝加工される薄膜の下の層の膜に傷がつきにくい構造の溝加工ツールを作成するようにした。

    すなわち、第二の実施形態にかかる溝加工ツールは、棒状のボディと、ボディの先端に形成された直方体状の刃先領域からなり、刃先領域は、一対の短辺と一対の長辺とで囲まれる長方形の底面、底面の2つの短辺側でそれぞれ底面に対し直交する前面および後面、底面の2つの長辺側でそれぞれ底面に対し直交する右側面および左側面からなる5つの平面で形成され、前面と右側面との角部、および、前面と左側面との角部に縦方向の刃先が形成され、前面と底面との角部に横方向の刃先が形成され、底面と右側面との角部、および、底面と左側面との角部は面取りが行われるようにしている。
    そして本発明の溝加工ツールによれば、溝加工ツールを進行方向側に傾斜させることで前面と底面との角部の刃先を被加工面に当接し、圧接状態でスクライブするようにして溝加工を行う。

    第二の実施形態にかかる溝加工ツールによれば、底面と右側面との角部、および、底面と左側面との角部は、面取りが行われているのでこの部分が鋭利ではなくなっており、スクライブを行ったときにこれらの角部が薄膜に接して剥離することがなくなり、きれいな直線の溝を形成することができるようになる。
    具体的には、これらの角部が薄膜に接することによって、ときたま発生する不規則な薄膜の剥離(図4(c)参照)を完全に抑えることができる。

    上記第二実施形態の溝加工ツールにおいて、本発明では底面と前面との角部に傾斜面が形成されるようにしている。 新品のときから溝加工ツールに傾斜面を形成しておくことにより、初めて使用するときから傾斜面を被加工面に圧接した状態でスクライブが行われる。 傾斜面が形成されている溝加工ツールは、傾斜面が形成されていない溝加工ツール(図2参照)をしばらく使用し続けて、底面と前面との角部が摩耗した状態と類似した形状になっている。 したがって、新品のときから、あたかも摩耗した後の溝加工ツールの状態でスクライブすることができる。 具体的には、刃先が鋭利すぎると被加工面に対し局所的に圧力がかかってしまい、Mo膜を損傷させる原因となるおそれがあるが、傾斜面により圧力が局所に集中することを避けることができる。

    また、第二実施形態の溝加工ツールにおいて、傾斜面と底面とのなす角が10度〜40度の範囲であるようにするのが好ましい。 傾斜面と底面とのなす角を当該範囲内にすることで、溝加工ツールの傾斜面を被加工面に当接させたときに、前面と被加工面とのなす角度(スクライブ角度と呼ぶ)が50度(傾斜面と底面とのなす角が40度)〜80度(傾斜面と底面とのなす角が10度)の間になり、図4(a)で説明したようにきれいなスクライブ加工ができる範囲に設定することができる。

    また、第二実施形態の溝加工ツールにおいて、後面と右側面との角部、および、後面と左側面との角部に縦方向の刃先が形成されるとともに、後面と底面との角部に横方向の刃先が形成されるようにしてもよい。
    前面と後面とを入れ替えることにより、片側面が破損し、または、十分に摩耗した場合でも他方に切り替えて使用を続けることができる。

    ここで、底面と後面との角部に傾斜面が形成されるようにしてもよい。 底面と後面との角部にも傾斜面を形成することにより、前後入れ替えた場合にも、あたかも摩耗した後の溝加工ツールの状態でスクライブすることができるようになり、その結果、加工品質の経時変化を抑えることができる。

    以下において、第二の溝加工ツールにかかる本発明の詳細を、図面に基づいて詳細に説明する。

    第二の溝加工ツールを使用するスクライブ装置SCは、第一の実施形態における図1で説明したスクライブ装置と同じ装置を用いることができるので、同符号を付すことにより説明を省略する。

    次に、スクライブ装置に取り付ける本発明の溝加工ツールについて説明する。 図8、図9、図10は、一実施形態である溝加工ツール8aを示す図であり、図8は下方から見た斜視図、図9は底面を拡大した斜視図、図10は底面の拡大図である。 なお、図2で説明した溝加工ツール8と同じ部分についても、同符号を付すこととする。

    この溝加工ツール8aは、スクライブヘッド7への取付部となる円柱状のボディ81と、その先端部に放電加工等により一体的に形成された直方体状の刃先領域82とからなり、超硬合金またはダイヤモンド等の硬質材料で造られている。
    刃先領域82は、一対の短辺と一対の長辺とで囲まれる細長い長方形の底面83と、(後述する傾斜面90,96が形成される前の状態で)底面83の短辺側で底面に対し直交するように形成される前面84、後面85と、底面83の長辺側で底面側に対し直交するように形成され、互いに平行をなす左側面88、右側面89とを有する。

    刃先領域82の底面83と前面84との角部は面取りが行われ、傾斜面90が形成してある。 太陽電池基板を溝加工する際には、この傾斜面90を太陽電池基板の被加工面に当接させた状態で、溝加工ツール8aを左側面88および右側面89に平行な方向に移動させることにより、太陽電池基板の被加工面をスクライブする。 傾斜面90を設ける主な理由は、新品のときから、あたかも摩耗した後の溝加工ツールの状態でスクライブすることができるようにするためであるが、これ以外に、刃先が鋭利すぎると局所的に圧力がかかってしまい、Mo膜を損傷させる原因となるおそれがあるので、圧力が局所に集中することを避けるためでもある。 なお、説明の便宜上、図においては傾斜面90を模式的に大きく示しているが、傾斜面90が被加工面に当接してスクライブできればよいので、傾斜面90はこれよりも小さくてもよい。 具体的には傾斜面90の底面側から前面側までの長さ(面取りの幅)は、3μm〜20μm程度にしてある。

    なお、傾斜面90を設けず、刃先領域82の底面83と前面84との角部を被加工面に当接させた状態で、溝加工ツール8aを左側面88および右側面89に平行な方向に移動させることにより、太陽電池基板の被加工面をスクライブしてもよい。 その場合は、新品状態で初めて使用するときにMo膜を損傷させるおそれがあるが、スクライブを数回行うと底面83と前面84との角部が摩耗し、Mo膜を損傷させるおそれが解消される。 このため、新品の溝加工ツールに交換した際に、Moの金属板や不良品などの製品にならない太陽電池基板を用いてスクライブを数回行い、底面83と前面84との角部を意図的に摩耗させてから、製品を生産するための加工に使用することとしてもよい。

    また、溝加工ツール8aは、底面83と左側面88との角部91、および、底面83と右側面89との角部92の面取りを行うようにしてある。 この面取りはC面加工が好ましいが、R面加工でもよい。 面取りの幅(底面側から左側面側、および、底面側から右側面側までの長さ)は、それぞれ3μm〜8μm程度である。

    一方、前面84と左側面88との角部93、前面84と右側面89との角部94は、面取りを行わずに鋭利に仕上げて、縦方向(垂直方向)の刃先となるようにしてある。

    そして、傾斜面90は、底面83となす角が10度〜40度、好ましくは15度〜25度にしてある。 すなわち、傾斜面90が被加工面に当接した状態にすると、前面84と傾斜面90とがなすスクライブ角度αが50度〜80度の範囲、好ましくは65度〜75度の範囲になるようにしてある。 このスクライブ角度は、図4(a)で説明した適切なスクライブ加工ができる範囲内に入ることになる。

    次に、本発明の溝加工ツール8aによる刃先の経時変化について説明する。 図11はスクライブ時の刃先部分の状態を示す図であり、図11(a)は新品のときの状態、図11(b)はしばらく使用した後の状態である。

    新品のときの傾斜面90は、スクライブ回数が増加するにつれて摩耗し、やがて前後方向に長さが増した傾斜面90aで使用することになるが、傾斜面90が傾斜面90aに変化しても、面接触している長さが少し変化しただけなので、被加工面に対する影響は大きく変化することはない。 また、傾斜面90aは左右側面方向には広がらず、また、傾斜面90に平行に摩耗していくので、摩耗後も同じ線幅で、しかもスクライブ角度αが同じ状態で安定したスクライブ加工が行える。

    底面83と左側面88との角部91、および、底面83と右側面89との角部92は、積極的に面取りがなされているので、溝加工ツール8aを傾斜させてスクライブする場合に、底面83は被加工面から離れることになるので、これまでは加工品質にほとんど影響しないと考えられていた。 そのため、面取りを行わず鋭利な状態にしていた。 しかしながら、角部91,92について面取りすることにより、加工品質が向上することになった。 特に、時折発生していた膜の剥離がほとんど発生しなくなった。 このように、角部93,94を鋭利にし、これ以外の角部91,92を面取りすることにより、使用後に不規則に発生する膜の剥離がほとんど発生しなくなった。

    なお、角部93,94についてもC面取り加工を行ってみたが、これらの角部の面取りをすることにより、かえって加工品質が劣化し、膜剥離が発生した。 これらの結果を表1にまとめる。

    すなわち、角部93,94は面取りせず鋭利な刃先とし、角部91,92は面取りを行ったときに、優れた加工品質が得られることとなった。

    図12は、他の実施形態である溝加工ツール8bの斜視図、図13はその底面を拡大した斜視図である。 なお、図8〜図10で示した溝加工ツール8aと同じ部分については同符号を付すことにより、説明を省略する。
    本実施形態では、前面84だけでなく、後面85側の角部97,98も面取りを行わず鋭利に仕上げて縦方向の刃先としてある。 さらに傾斜面96を形成して、傾斜面96と後面85との角部99を横方向の刃先としてある。

    これにより、前面84側を進行方向にしてスクライブ加工するだけでなく、前後入れ替えて後面85側を進行方向にしてスクライブ加工することで、溝加工ツールとしての寿命を倍増することができる。

    以上、本発明の代表的な実施例について説明したが、本発明は必ずしも上記の実施例の構造のみに特定されるものではく、本発明の目的を達成し、請求の範囲を逸脱しない範囲内で適宜修正、変更することが可能である。

    本発明は、例えば、カルコパイライト化合物系半導体膜を用いた集積型薄膜太陽電池の製造の際に用いる溝加工ツールに適用することができる。

    W 太陽電池基板7 スクライブヘッド8,8a,8b 溝加工ツール81 ボディ82 刃先領域83 底面84 前面85 後面86 刃先87 刃先88 左側面89 右側面90,96 傾斜面91,92 角部(面取り)
    93,94,95 角部(刃先)
    97,98,99 角部(刃先)

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