作業工具、調整機構、工具ボデーおよび切削工具

申请号 JP2016561873 申请日 2016-07-04 公开(公告)号 JP6066029B1 公开(公告)日 2017-01-25
申请人 株式会社タンガロイ; 发明人 佐治 龍一;
摘要 高い切削速度に適する切削工具と、その工具ボデーおよび作業工具を提供する。本発明の作業工具は、先端に 力 伝達部分を備え、先端側から基端側に延びる回転中心軸線が定められる作業工具であって、力伝達部分よりも基端側に配置されて、作業工具の回転中心軸線からの寸法が回転中心軸線周りに回転させる 角 度に応じて変化するカム部分を備える。
权利要求

先端(36)に伝達部分(31)を備え、該先端(36)側から基端側に延びる回転中心軸線(B)が定められる作業工具(30)であって、 前記力伝達部分(31)よりも基端側に配置されて、該作業工具(30)の前記回転中心軸線(B)からの寸法が該回転中心軸線(B)周りに回転させる度に応じて変化するカム部分(32)を備える作業工具。前記カム部分(32)の外周面から前記回転中心軸線(B)までの寸法は、該カム部分(32)を該回転中心軸線(B)周りに回転させる角度と比例するように変化する請求項1に記載の作業工具。外周面から前記回転中心軸線(B)までの寸法が略一定とされる少なくとも1つの円柱部分(33)をさらに備える請求項1または2に記載の作業工具。前記先端(36)側を向く当接端面(34)をさらに備え、 前記当接端面(34)は、前記回転中心軸線(B)に対して回転対称な形状の少なくとも一部とされる請求項1から3のいずれか一項に記載の作業工具。前記当接端面(34)は、前記力伝達部分(31)と前記カム部分(32)との間に配置される請求項4に記載の作業工具。前記当接端面(34)は、略円錐面の少なくとも一部とされる請求項4または5に記載の作業工具。切削工具(1)の工具ボデー(20)へ切削インサート(10)を着脱自在に装着するためのドライバまたはレンチとされ、 前記力伝達部分(31)はトルク伝達部分である請求項1から6のいずれか一項に記載の作業工具。前記力伝達部分(31)のトルク被伝達部分(41)への係合形状は、六角の星型および六角形のいずれかから選択される請求項7に記載の作業工具。少なくとも前記カム部分(32)を含む部分が他の部分から着脱自在な別体部分とされている請求項1から8のいずれか一項に記載の作業工具。切削工具(1)における工具ボデー(20)のインサート取付部(21)またはカートリッジに着脱自在に装着される切削インサート(10)の切れ刃(11)の位置を調整するための調整機構であって、 先端(36)側から基端側に延びる回転中心軸線(B)が定められる作業工具(30)であって、該作業工具(30)の外周面から前記回転中心軸線(B)までの寸法が該回転中心軸線(B)周りに回転させる角度に応じて変化するカム部分(32)を備える作業工具(30)と、 前記工具ボデー(20)において前記インサート取付部(21)または前記カートリッジに隣接して設けられて、前記作業工具(30)が前記回転中心軸線(B)周りに回転可能であるように、該作業工具(30)が係合可能に構成された係合部(22)とを備え、 前記切削インサート(10)または前記カートリッジを可動であるように配置した状態で、前記係合部(22)において前記作業工具(30)を前記回転中心軸線(B)周りに回転させることで、前記カム部分(32)の作用により前記切削インサート(10)またはカートリッジが移動する調整機構。前記作業工具(30)は、前記切削インサート(10)を前記インサート取付部(21)に固定するために前記工具ボデー(20)に装着される固定部材(40)に力を付与するために前記先端(36)に形成される力伝達部分(31)をさらに備える請求項10に記載の調整機構。前記係合部(22)は、前記インサート取付部(21)に隣接しており、 前記作業工具(30)が前記切削インサート(10)と直接当接する請求項10または11に記載の調整機構。前記作業工具(30)は、少なくとも前記カム部分(32)を含む部分が他の部分から着脱自在な別体部分とされている請求項10から12のいずれか一項に記載の調整機構。切削インサート(10)が着脱自在に装着されるインサート取付部(21)を備えた切削工具(1)の工具ボデー(20)であって、 前記切削インサート(10)を前記インサート取付部(21)に固定するために前記工具ボデー(20)に装着される固定部材(40)に力を付与するための力伝達部分(31)を有する作業工具(30)であって、先端(36)側から基端側に延びる該作業工具(30)の外周面から回転中心軸線(B)までの寸法が該回転中心軸線(B)周りに回転させる角度に応じて変化するカム部分(32)を、前記力伝達部分(31)よりも基端側に備える作業工具(30)が、前記回転中心軸線(B)周りに回転可能であるように、該作業工具(30)が係合可能な係合部(22)を備え、 前記インサート取付部(21)において前記切削インサート(10)を可動であるように配置した状態で、前記係合部(22)において前記作業工具(30)を前記回転中心軸線(B)周りに回転させることで、前記カム部分(32)の作用により前記切削インサート(10)が移動する工具ボデー。前記係合部(22)における前記作業工具(30)の回転により前記カム部分(32)が直接的にまたは間接的に前記切削インサート(10)に作用する請求項14に記載の工具ボデー。前記作業工具(30)は、前記力伝達部分(31)と前記カム部分(32)との間に円柱部分(33)をさらに備え、 前記係合部(22)は、前記作業工具(30)が係合したとき、該作業工具(30)が前記回転中心軸線(B)周りに回転できるように前記円柱部分(33)と係合する湾曲内壁部分(23)を備える請求項14または15に記載の工具ボデー。前記作業工具(30)は、当接端面(34)をさらに備え、 前記係合部(22)は、前記作業工具(30)が係合したとき、該作業工具(30)が前記回転中心軸線(B)周りに回転できるように前記当接端面(34)と当接する第2の当接端面(24)を備える請求項14から16のいずれか一項に記載の工具ボデー。前記インサート取付部(21)は、弾性壁部分(25)をさらに備え、 前記固定部材(40)が係合することにより、前記弾性壁部分(25)は前記インサート取付部(21)の切削インサート(10)が配置される側に弾性的に変形する請求項14から17のいずれか一項に記載の工具ボデー。請求項14から18のいずれか一項に記載の工具ボデー(20)と、 前記工具ボデー(20)の前記インサート取付部(21)に着脱自在に装着される切削インサート(10)と、を備える切削工具。

说明书全文

本発明は、部材の位置の調整に用いられる作業工具に関する。また、本発明は、切削インサートが着脱自在に装着された切削工具において、切削インサートの切れ刃の位置を調整する調整機構に関する。特に、本発明は、切れ刃の位置の調整用の構成を備える作業工具、該作業工具に対応する構成を備える調整機構、工具ボデー、およびその工具ボデーを備える切削工具に関する。

切れ刃の位置を調整できる従来の切削工具には、特許文献1のものがある。特許文献1は、複数の切削インサートと、各々に切削インサートを着脱自在に装着するインサート取付部を有する工具ボデーとを備える回転切削工具を開示する。この回転切削工具は、切削インサートの切れ刃の位置を調整するための調整部品(くさび状の部材)と、切削インサートを固定するためのくさび部品とを用いる。切削インサートは、その切れ刃の位置を変えるように調整部品の傾斜面によって押される傾斜側面を有する。調整部品のねじ穴に螺合する左右ねじを操作することで、くさび部品が配置されていない方向において調整部品の位置を調整することができ、それにより切れ刃の位置が調整される。なお、特許文献1の切削工具で左右ねじを操作するためには、種々の作業工具が用いられ得る。例えば、従来からある汎用のドライバまたはレンチに加えて、特許文献2のようなT型レンチも使用可能であろう。

一方、従来、種々の作業工具が提案されている。例えば、特許文献2は、ボルト等の締め付けを容易にするように、それらの軸線方向の押さえを高めるべく、中間部に押え板を設けたT型レンチを開示する。この押え板は、レンチがボルトなどから外れないように、レンチを軸方向に手で押さえるための部材である。

特開2001−25914号公報

特開平8−187670号公報

特許文献1の回転切削工具は、切れ刃の位置を調整できるが、調整部品や左右ねじを含む複数の部材が切削工具の外周部に配置されている。これらの部材は、切れ刃の位置を調整するために操作され、切れ刃の所望位置に応じてその位置または状態が定められる。それ故、調整部品等の位置によっては、回転切削工具の動バランスがくずれる。すなわち、回転中心軸線に対して、回転切削工具の対称性に乱れが生じる。動バランスの不釣り合いは、切削速度を高めていくときに振動などの発生原因となる。それ故、高速で使用する回転切削工具では、高い動バランスに対する要求がある。

本発明の目的の一つは、切削工具において、動バランスを損なわずに、切れ刃の位置を調整することにある。

本発明の作業工具は、先端に力伝達部分を備え、先端側から基端側に延びる回転中心軸線が定められる作業工具であって、力伝達部分よりも基端側に配置されて、作業工具の回転中心軸線からの寸法が回転中心軸線周りに回転させる度に応じて変化するカム部分を備える。

本発明の調整機構は、切削工具における工具ボデーのインサート取付部またはカートリッジに着脱自在に装着される切削インサートの切れ刃の位置を調整するための調整機構である。先端側から基端側に延びる回転中心軸線が定められる作業工具であって、作業工具の外周面から回転中心軸線までの寸法が回転中心軸線周りに回転させる角度に応じて変化するカム部分を備える作業工具を備える。工具ボデーにおいてインサート取付部またはカートリッジに隣接して設けられて、作業工具が回転中心軸線周りに回転可能であるように、作業工具が係合可能に構成された係合部を備える。切削インサートまたはカートリッジを可動であるように配置した状態で、係合部において作業工具を回転中心軸線周りに回転させることで、カム部分の作用により切削インサートまたはカートリッジが移動する。

本発明の切削工具の工具ボデーは、切削インサートが着脱自在に装着されるインサート取付部を備えた切削工具の工具ボデーであって、切削インサートをインサート取付部に固定するための固定部材が用いられる。また、切削インサートを固定するために作業工具が用いられる。作業工具は、固定部材に力を付与するための力伝達部分を有する作業工具であって、先端側から基端側に延びる作業工具の外周面から回転中心軸線までの寸法が回転中心軸線周りに回転させる角度に応じて変化するカム部分を、力伝達部分よりも基端側に備える。工具ボデーは、作業工具が回転中心軸線周りに回転可能であるように、作業工具が係合可能な係合部を備える。インサート取付部において切削インサートを可動であるように配置した状態で、係合部において作業工具を回転中心軸線周りに回転させることで、カム部分の作用により切削インサートが移動する。

本発明の切削工具は、本発明の工具ボデーと、工具ボデーのインサート取付部に着脱自在に装着される切削インサートとを備える。

本発明の切削工具は、動バランスを損なわずに、切れ刃の位置を調整することができる。

本発明の実施形態における切削工具および作業工具の斜視図である。

図1の作業工具の正面図である。

図1の作業工具の左側面図である。

図1の作業工具の平面図である。

図1の切削工具の部分拡大斜視図である。

図1の切削工具の別方向からの部分拡大斜視図である。

図1の切削工具に用いる切削インサートの斜視図である。

図7の切削インサートの平面図である。

図7の切削インサートの正面図である。

図7の切削インサートの右側面図である。

図7の切削インサートの背面図である。

本発明の実施形態における締め付けねじの斜視図である。

図12の締め付けねじの側面図である。

図1の切削工具の部分拡大側面図である。

図14のXIV−XIV切断線での断面図である。

切削インサートとカム部分との関係を示す説明図である。

切削工具へ切削インサートを装着するときの説明図である。

締め付けねじを作業工具で締めるときの説明図である。

切削インサートへ作業工具のカム部分を接触させるときの説明図である。

図1の切削工具から切削インサートおよび締め付けねじを取り外した状態の部分拡大斜視図である。

本発明の他の実施形態における作業工具の斜視図である。

図21の作業工具の平面図である。

図21の作業工具の分解斜視図である。

図21の作業工具の別体部分の斜視図である。

図24の別体部分の平面図である。

図24の別体部分の背面図である。

図24の別体部分の正面図である。

以下、本発明に係る実施形態について図面を適宜参照しながら説明する。

図1に示すように、本発明の実施形態に係る切削工具1は、複数の切削インサート10と、各切削インサート10が着脱自在に装着される工具ボデー20と、各切削インサート10を工具ボデー20に固定する複数の固定部材(締め付けねじ)40とを備える。切削工具1は、回転中心軸線Aを中心に回転しながら被加工物を切削する回転切削工具(転削工具)である。

切削工具1は、工具ボデー20のインサート取付部21に着脱自在に装着される切削インサート10の切れ刃11の位置を調整(位置合わせ)するための調整機構を備える。調整機構は、以下の説明から明らかになるように、作業工具30と、工具ボデー20のインサート取付部21に関係付けられた係合部(案内凹部)22とを備える。作業工具30は、それの外周面から回転中心軸線Bまでの寸法が回転中心軸線B周りに回転させる角度に応じて漸次変化するカム部分32を備える。そして、その調整機構では、この作業工具30を工具ボデー20の係合部22に係合させて、その回転中心軸線B周りに回転させることで、カム部分32が切削インサート10に作用して、それによりカム部分32の状態または向きに応じて切削インサート10の切れ刃11の位置を変化させることができる。以下、この調整機構を備える切削工具について詳述する。まず、作業工具30について説明する。

図2から図4に示すように、この実施形態における作業工具30は、先端36側から基端側に延びる回転中心軸線Bを有する。作業工具30は、先端36側に形成された力伝達部分(トルク伝達部分)31と、基端側に形成された把持部35とを備える。以降、この実施形態の力伝達部分31を、トルク伝達部分と称する。作業工具30は、把持部35を手で握って回転中心軸線Bの周りに回転させることで、トルク伝達部分31が係合する締め付けねじ40などの固定部材を締め付けたり緩めたり、作動させることができる道具である。このような作業工具30は、ドライバまたはレンチと呼ばれる。ドライバは、ねじ回しとも呼ばれ、ねじを回すための道具である。レンチは、ボルトやナットなどを回すための道具である。すなわち、ねじ部材を回す道具として、ドライバまたはレンチが広く用いられている。以降、この実施形態の作業工具30を、ドライバと称する。

この実施形態におけるドライバ30のトルク伝達部分31と把持部35との間には、カム部分32、円柱部分33および当接端面34が形成されている。ドライバ30の先端36側から基端側に向けて、トルク伝達部分31、円柱部分33、当接端面34、カム部分32、把持部35が順に配置されている。1つのドライバ30には、カム部分32と、円柱部分33と、当接端面34とが、各々1つずつ備えられている。カム部分32は、回転中心軸線B周りに回転される角度に応じて、回転中心軸線Bからの寸法が漸次変化する外周面を有する。したがって、カム部分32の外周面は、回転中心軸線Bに最も近い最小径部と回転中心軸線Bから最も離れた最大径部とがステップ的に接続され、その他の領域では、最小径部から最大径部に向けて滑らかに径が変化する湾曲面となるように形成されている。円柱部分33は、回転中心軸線B周りに回転させても、外周面から回転中心軸線Bまでの寸法が略一定とされている。ドライバ30の当接端面34は、カム部分32に接続する、先端36側を向いた端面として形成され、カム部分32と円柱部分33との間をつないでいる。当接端面34は、回転中心軸線Bと直角な平面の一部とされ、回転中心軸線Bに対して回転対称な面の一部として、回転中心軸線Bを取り巻くように形成されている。当接端面34の外周縁の形状はカム部分32の形状に対応する。

このドライバ30を用いて、切削インサート10の取り付け、およびその切れ刃11の位置調整が行われるように、切削工具1、つまり切削インサート10および工具ボデー20は構成されている。

図1に示すように、切削工具1の工具ボデー20は、略円柱状の外郭形状を有する。工具ボデー20は、先端側から基端側に延びる回転中心軸線Aを有し、略円形の先端面と略円筒状の外周面とを備える。工具ボデー20には、複数のインサート取付部21が形成されている。より具体的には、ここでの工具ボデー20には、18箇所のインサート取付部21が設けられている。各インサート取付部21は、先端面に開くと共に外周面に開くように形成されている。

この実施形態においては、インサート取付部21の数に対応する18個の切削インサート10が1つの工具ボデー20へ装着される。切削インサート10が工具ボデー20に取り付けられたとき、切れ刃11は、工具ボデー20から先端側および外周側に突出する。この実施形態における切削インサート10は、同じ形状のものが各々使用される。図7から図11に示すように、切削インサート10は、超高圧焼結体が切れ刃部材として超硬合金のベース部材に固着され、その切れ刃部材にたった1つの切れ刃11が形成されている。超高圧焼結体の材料は、ダイヤモンドとされ、ベース部材への切れ刃部材の固着は、ろう付けが採用されている。しかし、これは切削インサートの材料を限定するものではなく、種々の材料から切削インサートは作られることができる。また、1つの切削インサートにおける切れ刃の数は、1つであることに限定されず、複数であってもよい。さらに切削インサートは両面使いの切削インサートとして構成されてもよい。

切削インサート10は、略六面体とされている。切削インサート10は、2つの対向する端面と、これら端面間に延在する周側面とを備える。周側面は概して4つの側面部を備える。2つの対向する端面のうちの一方を便宜的に上面と称し、もう一方を下面と称する。上面と周側面との交差稜線部に切れ刃11が形成されている。この切れ刃11は、上面のコーナに位置するコーナ切れ刃とコーナ切れ刃の両側に延びる切れ刃部分とを備える。

切削インサート10の上面には、切れ刃11の内側に延在するすくい面部と、すくい面部とは別の箇所に設けられた傾斜部12とを備える。傾斜部12は、切削インサート10が工具ボデー20に取り付けられたとき、すくい面部に対して、すくい面部の奥側に、切れ刃11の位置調整を可能にする方向においても奥側に、位置するように配置されている。そして、後述する説明から明らかになるように、傾斜部12は、切れ刃11の位置調整による切削インサートの動きまたは位置変化を許容するように、切れ刃11の位置調整を可能にする方向において、ある程度の幅を有する。この幅は、ドライバ30のカム部分32による調整範囲に応じて設定される。また、この幅は、後述する弾性壁部分25の大きさおよび形状の少なくともいずれか一方に応じるように設定される。したがって、傾斜部12における、切れ刃11の位置調整を可能にする方向と直交する断面形状は一定である。具体的には、傾斜部12は、傾斜した平面として形成されている。すなわち傾斜部12は、切削インサート10の厚さを変化させるように傾斜するとともに、(上下面間の寸法である)厚さが変化する方向と直角方向に延在している。これに対して、切削インサート10の下面は、全体的に平面として形成されている。上面の傾斜部12および下面は、切削インサート10を工具ボデー20へ装着するときの当接面とされる。特に、傾斜部12は、後述する工具ボデー20の弾性壁部分25と当接する当接面として構成されていて、弾性壁部分25に対応する形状を有する。

前述のとおり、工具ボデー20は、切削インサート10と同数の、すなわち18箇所のインサート取付部21を備える。この実施形態における各切削インサート10は同じ形状とされているため、各インサート取付部21も同じ形状として形成されている。インサート取付部21は、1箇所のみを説明し、他の17箇所は同様であるため説明を省略する。

図5、図6および図20の部分拡大斜視図に示すように、各インサート取付部21は、各切削インサート10の形状に対応する凹所を備える。凹所は、工具回転方向を向く底面と、底面に交差するように、特にここでは略直角に延在する2つの側壁面と、底面に対向するように設けられた弾性壁部分25とにより概ね形成されている。弾性壁部分25は、比較的薄い壁部分とされ、適切な押圧力が加わるときにその根元部が弾性変形しやすいように構成されている。特に、ここでは、弾性壁部分25は後述するように締め付けねじ40から力を受けることでインサート取付座21の切削インサート10側に弾性的に傾くように形成されている。したがって、弾性壁部分25は、根元部と、その根元部よりも自由端側に位置すると共に根元部よりも厚みがある押圧部とを備える。弾性壁部分25の押圧部は、底面側を向く第1の当接斜面25Aと、凹所の外側を向く第2の当接斜面25Bとを有する。なお、第1の当接斜面25Aは切削インサート10をしっかりと保持するためにそれを押圧することができるように構成され、第2の当接斜面25Bはそのような押圧力が弾性壁部分25に付与されるように締め付けねじ40により押されることができるように構成されている。後述するように、第1の当接斜面25Aは、切削インサート10の傾斜部12と当接し、第2の当接斜面25Bは、締め付けねじ40のくさび部43に当接する。

弾性壁部分25と隣り合うように、特に、第2の当接斜面25Bの近傍に、各インサート取付座21に対して、1つのねじ穴27が形成されている。そのねじ穴27のねじ部27Bに締め付けねじ40が螺入される。ねじ穴27の開口部付近は、締め付けねじ40の頭部を収容可能なように拡径された、拡径部27Aを有する。図12および図13に示すように、締め付けねじ40は、ねじ穴27のねじ部27Bと螺合するらせん状のおねじが形成されたねじ部42と、側面視でくさび状のくさび部(テーパ部)43とを有する。図15に示すように、第1当接斜面25Aは切削インサート10の傾斜部12に当接するように構成されているのに対して、第2当接斜面25Bは締め付けねじ40のくさび部43と当接するように構成されている。締め付けねじ40のねじ部42がねじ穴27のねじ部27Bに係合つまり螺合するとき、締め付けねじ40のくさび部43は、弾性壁部分25の第2の当接斜面25Bと当接し、締め付けねじ40の頭部は、ねじ穴27の拡径部27Aと当接するため、締め付けねじ40を締め付けると、ねじ穴27側から弾性壁部分25を押圧して、弾性壁部分25を切削インサート10側に向かって弾性変形させる。したがって、締め付けねじ40を締め付けると、弾性壁部分25の弾性変形によってインサート取付部21の第1当接斜面25Aと底壁面との間隔が部分的に狭められて、切削インサート10が固定される。つまり、弾性壁部分25が切削インサート10の傾斜部12と当接して押圧し、切削インサート10の反対側の端面がインサート取付部21の凹所の底面と当接しているため、切削インサート10は挟まれて固定される。

図1、図5、図6および図20に示すように、工具ボデー20は、外周部に係合部(案内凹部)22をさらに備える。以後、係合部22を案内凹部と称する。案内凹部22は、インサート取付部21に対して工具ボデー20の基端側に配置されている。より正確には、案内凹部22は、切れ刃11の位置調整を可能にする方向において、インサート取付部21に対して位置調整される切れ刃11とは逆側の位置に位置付けられている。案内凹部22は、ドライバ30のトルク伝達部分31、カム部分32、円柱部分33および当接端面34を受容する大きさおよび深さに形成されている。案内凹部22は、ドライバ30の当接端面34と当接する第2の当接端面24を備えている。また案内凹部22は、ドライバ30の円柱部分33が回転中心軸線B周りに回転可能に受容される湾曲内壁部分23を備えている。切削インサート10は、案内凹部22の内側に切削インサート10の一部が突出可能なように配置されている。すなわち案内凹部22とインサート取付部21とは、その境界のインサート取付部21の1つの側壁面が低くされて(大部分が取り除かれたように形成されていて)、相互に一部が接続している。

次に、本実施形態の作業工具および切削工具の作用および効果を説明する。特に、前述のドライバを用いての切削インサートの取付方法(つまり固定方法)と、切れ刃の位置調整方法について説明する。

インサート取付部21の凹所に 切削インサート10は挿入される。この挿入は、締め付けねじ40が緩められた状態、または外された状態で行われる。工具ボデー20の先端側または外周面側から凹所に切削インサート10を挿入することで、切削インサート10の下面は凹所の底面に当接し、切削インサート10の周側面は凹所の2つの側壁面に当接することができる。このとき、切削インサート10の傾斜部12は、弾性壁部分25の第1当接斜面25Aに対向または当接する。この状態で、ねじ穴27に締め付けねじ40をしっかりと螺合させることで、弾性壁部分25が切削インサート10側に弾性的に変形し、切削インサート10を凹所に固定することができる。

傾斜部12は、工具ボデー20の外周側に配置される切れ刃11が形成される側面側の切削インサート10の厚さが薄くなるように傾斜している。つまり、切削インサート10がインサート取付部21に配置されているとき、傾斜部12は、工具ボデー20の外周側ほどその傾斜部による上面における凹み量が増すように形成されている。具体的には、図8および図11において、右側の側面側の切削インサート10の厚さが薄くなるように傾斜している。したがって、弾性壁部分25の弾性変形により傾斜部12に弾性壁部分25が係合することで、傾斜部12は第1当接斜面25Aにより凹所の奥側に押し付けられる向きに力を受ける。よって、切削工具1が高速で回転する際に、切削インサート10が遠心力により外周側に飛散することを防止することができる。要するに、傾斜部12は、切削工具1に装着されたときに、遠心力を受け止める方向に傾斜している。このように、傾斜部12と第1当接斜面25Aとの当接により、切削工具1が高速回転しても遠心力で切削インサート1がずれ動くこと、および切削インサート10が飛散することが防止される。したがって、この実施形態の切削工具1は、切削速度を高めるときの安全性が極めて高められている。

なお、締め付けねじ40を締め付けるとき、または緩めるときには、ドライバ30を用いることができる。締め付けねじ40の頭部は、ドライバ30のトルク伝達部分31と係合するトルク受け止め部分41を備える。図2および図12に示すように、この実施形態のトルク伝達部分31とトルク受け止め部分41との係合形状(断面形状)は、六角の星型とされる。このような六角の星型には、トルクス(登録商標)またはトルクスプラス(登録商標)などと呼ばれる形状がある。この実施形態のトルク伝達部分31とトルク受け止め部分41との係合形状は、トルクスプラス(登録商標)と呼ばれる形状とされている。

一方、この実施形態における切削工具1は、ドライバ30のカム部分32により、切削インサート10の切れ刃11の位置を調整することができる。切削工具1は、回転中心軸線Aの方向に対して各々の切れ刃11の位置を調整することができる。すなわち切削インサート10は、回転中心軸線Aの延びる方向に固定位置を調整することができる。ただし、切削インサート10の切れ刃11の位置を調整する方向は、回転中心軸線Aの延びる方向に限定されず、切削工具1の側面視において、回転中心軸線Aに対して90°以外の角度の方向であれば構わない。切削インサート10が調整できる方向が回転中心軸線Aに対して90°の角度の方向とされると、切削インサート10を移動しても切れ刃11の位置が回転中心軸線Aの方向に調整されないことは容易に理解されよう。切削工具1の側面視において90°以外の角度が与えられていれば、切削インサート10の位置を調整することで切れ刃11の位置を回転中心軸線Aの方向に調整することができる。なお、この角度は鋭角であることが好ましい。さらに、回転中心軸線Aの延びる方向に概ね沿う方向に切削インサート10を調整することができると、より好ましい。

本実施形態における切削インサート10は、前述のとおり、略六面体とされており、すくい面が形成される端面に傾斜部12が形成されている。傾斜部12は、傾斜した平面として形成されている。すなわち傾斜部12は、切削インサート10の厚さを変化させるように傾斜するとともに、厚さが変化する方向と直角方向に延在している。切削インサート10の下面は、平面として形成されている。上面の傾斜部12および下面は、切削インサート10を工具ボデー20へ装着するときの当接面とされる。傾斜部12は、弾性壁部分25と当接し、下面はインサート取付部21の凹所の一部(座面)と当接する。前述の傾斜部12が延在する方向は、下面と平行な方向とされる。そのため、締め付けねじ40が緩められているとき、切削インサート10は、傾斜部12が延在する方向に、つまり切れ刃の位置を調整可能な方向に平行移動することができる。すなわち、切削インサート10の位置を調整することができるため、切れ刃11の位置を調整することができる。ただし傾斜部12は、所望の範囲において、延在していれば構わない。また厳密に下面と平行な方向に延在する必要はなく、工具ボデー20のインサート取付部と当接する切削インサート10の少なくとも1つの当接面が、所望の範囲において延在していればよい。所望の範囲とは、切れ刃11の位置を調整するために必要な範囲のことである。すなわち、所望の範囲とは、切れ刃11の位置の調整範囲よりも長い寸法範囲のことである。インサート取付部21側の当接面は、切削インサート10側の当接面と各々当接できる形状であれば、どのような面形状とされても構わない。ただし、少なくとも一方のインサート取付部21側の当接面は、切削工具1の側面視において、回転中心軸線Aに対して90°以外の角度を与えられて、延ばされていることが好ましい。なおインサート取付部21の凹所の一部は、このように延ばされている平面であることが好ましい。インサート取付部21の凹所の一部が平面に形成されると、切削インサート10の下面の平面と広い範囲で当接されつつ、切削インサート10の位置を調整することが容易とされる。

ここで、切れ刃の位置11の調整手順を説明する。まずは図17に示すように、工具ボデー20を工作機械から取り外し、インサート取付部21が上に向いて開くように置く。なお、切れ刃11の位置を確認しながら調整するためには、ツールプリセッタなどの測定装置を用いるとよい。締め付けねじ40を緩めた状態で、切削インサート10をインサート取付部へ、工具ボデー20の先端側から基端側に(図17で矢印の方向に)押し込む。このとき、図5および図6に示すような突き当て部(側壁面の一部)26が設けられていると、切削インサート1を、突き当て部26に突き当たるまで押し込むことで、押し込む深さを容易に一定にできる。

次に図18に示すように、ドライバ30のトルク伝達部分31を、締め付けねじ40のトルク受け止め部分41へ係合させ、ドライバ30を回すことで、切削インサート10を緩く締めた状態(仮止め状態)にする。このときは、切削インサート10を、後述するようにカム部分32で押せば動く程度で、なおかつ動いた位置から落下しない程度に締める。この状態で、(図17および図18とは異なる向きからの)図19に示すように、案内凹部22の中にドライバ30の先端36側を挿入し、ドライバ30を把持部側からみて時計回りに回転させて、カム部分32で切削インサート10を徐々に押圧すると、(図17の矢印の方向と逆向きに)切れ刃11の位置を調整することができる。切削インサート10とカム部分32との関係の説明図を図16に示す。カム部分32の回転中心軸線Bに近い部分(最小径部に近い部分)が切削インサート10側になる向き、すなわち図16の実線の向きでドライバ30を挿入し、ドライバ30を時計回りに回転させることで、切削インサート10とカム部分32とが当接する。さらにドライバ30を回転させることで、図16に寸法d(2点鎖線で示す位置)で示すように、切削インサート10を押し動かすことができる。寸法dは、カム部分32を回転させる回転角度に応じて、任意の寸法に調整することができる。切れ刃11の位置を調整した後、締め付けねじ40をドライバ30にて完全に固定されるまで締め付ければ、切削インサート10が強く固定される。その状態で切れ刃11の位置を測定し、許容される調整範囲におさまっていれば調整を終了する。切れ刃11の位置が許容される調整範囲からはずれている場合には、締め付けねじ40を緩めて調整をやり直す。なお、1本のドライバ30が、トルク伝達部分31とカム部分32との両方を備えていることにより、作業者はドライバ30を持ち替えることなしに、1本のドライバ30のみで切削インサート10の切れ刃11の位置の調整と、切削インサート10を固定する作業や緩める作業とを、短時間で効率よく行うことができる。

この実施形態におけるカム部分32の形状は、回転角度と回転中心軸線Bからの距離とが比例するように変化する形状とされている。このような形状にされると、調整される位置がドライバ30を回転させる角度と比例するため、直感的にわかりやすくなり、微調整が容易になる。ただしカム部分32の形状は、このような形状に限定されず、回転方向に関して回転中心軸線Bからの距離が変化する形状であれば、どのような形状とされても構わない。例えば、切削インサート10とカム部分32とが当接するまでの回転初期は、回転中心軸線Bからの距離が大きく変化して速く当接し、当接してからは中心軸線Bからの距離の変化を小さくして、微調整を容易にするような形状とされても構わない。この実施形態のドライバ30は、カム部分32と把持部35との間の外面に、切欠き状のマーク37がある。このマーク37は、カム部分の回転中心軸線Bからの距離が最も短い部分を示している。したがって、ドライバ30を案内凹部22の中に挿入するときは、この切欠き状のマーク37を切削インサート10側に向けた向きで挿入するとよい。切欠き状のマーク37を切削インサート10側に向けた向きでは、切削インサート10とカム部分32とが衝突することがなく、スムーズに案内凹部22へドライバ30を挿入することができる。

切削インサート10をカム部分32で押圧して切れ刃11の位置を調整するために、案内凹部22は、切れ刃11の調整方向に対して、切削インサート10の一方側に隣接するように形成されている。すなわち、切削インサート10を調整するために押圧できる方向に、案内凹部22が配置される。この実施形態の切削工具1の場合、切れ刃11を切削工具1の回転中心軸線A方向に調整するため、案内凹部22は、切削インサート10に対して基端側に隣接するように形成されている。また、切れ刃11の位置の調整範囲において、切削インサート10の一部(当接部)が、案内凹部22の内側に突出するように、つまりドライバ30のカム部分32に前述のとおり切削インサート10が当接できるように配置される。

さらに、ドライバ30に円柱部分33が形成され、案内凹部22に湾曲内壁部分23が形成され、これらは当接可能に構成されている。円柱部分33と湾曲内壁部分23とが当接することにより、ドライバ30を回転させるときに、回転中心軸線Bの位置が一義的に定まり、回転中心軸線Bの周りにドライバ30を回転させることが容易になる。ドライバ30を容易に回転中心軸線Bの周りに回転させることができると、カム部分32の形状が有効に働き、切れ刃11の位置の調整が容易になる。ドライバ30のカム部分32は、切削インサート10を押すときに反力を受ける。円柱部分33が湾曲内壁部分23と当接していれば、この反力を受けてもドライバ30の回転中心軸線Bが動かず(ずれず)、切削インサート10を効率的に押し動かすことができる。円柱部分33は、ドライバ30の回転中心軸線Bに対して、回転対称な形状である。これに対応する湾曲内壁部分23は、円筒状の曲面、すなわち断面形状が円形の凹部とされている。しかし、これに限定されない。湾曲内壁部分23は、ドライバ30をスムーズに回転中心軸線Bの回りに回せるような形状であれば、どのような形状でも構わない。円柱部分33に対する湾曲内壁部分23の隙間は、適正に調整されるとよい。湾曲内壁部分23は、カム部分32が切削インサート10を押すときの反力を受け止めつつ、回転中心軸線Bが動かないようにドライバ30を支えられればよいため、断面形状が円弧状の曲面部分が切削インサート10と反対側にだけ設けられても構わない。

さらに、ドライバ30に先端36側を向く当接端面34が形成され、案内凹部22に当接端面34と当接する第2の当接端面24が形成されている。当接端面34と第2の当接端面24とが当接することにより、ドライバ30を案内凹部22へ挿入するときの深さが所望の挿入深さに矯正される。このため、ドライバ30を挿入する深さを意識せずに、当接端面34が第2の当接端面24と当接するまで挿入すればよく、常に好適な状態で切削インサート10とカム部分32とを当接させることができる。なお、この実施形態で当接端面34および第2の当接端面24は、いずれも平面とされたが、これに限定されない。当接端面34および第2の当接端面24は、お互いに当接し、なおかつドライバ30を回転させることを妨げない形状であれば、どのような形状とされても構わない。すなわち、当接端面34は、ドライバ30の回転中心軸線Bに対して回転対称な面形状の少なくとも一部とされ、第2の当接端面24は、当接端面34と当接できる面であれば、どのような面形状とされても構わない。例えば、当接端面34および第2の当接端面24が、互いに当接する略円錐面(テーパ面)などの一部とされても構わない。当接端面34および第2の当接端面24は、円錐面に限定されず、球面の一部のような回転対称形状とされても構わない。当接端面34および第2の当接端面24が略円錐面や球面の一部とされると、前述の円柱部分33を設けなくても、円柱部分33と当接端面34の両方の構成を兼ね備えることができる。すなわち、当接端面34および第2の当接端面24が略円錐面や球面の一部とされると、ドライバ30を挿入する深さを矯正し、なおかつ切削インサート10からの反力を受け止めることができる。第2の当接端面24の回転中心軸線Bに直角な方向での断面形状は、完全な円形に限定されず、円形の一部分となる円弧相当部分だけが設けられても構わない。

この実施形態の切削工具1は、切れ刃11の位置の調整構造がドライバ30側に形成されている。したがって、調整が終わった切削工具1には、調整部品などの部材を含む調整構造が一切残らない。このため、この切削工具1を高速切削加工に用いるために高速回転させるとき、動バランスがくずれにくい。すなわち、動バランスがくずれるように配置される部材がほとんどない。この結果、この実施形態の切削工具1は、従来の切削工具よりも切削速度を高めることが可能となり、切削工具1の加工能率を大幅に向上できる。また構造が簡単であるため、切削工具1を軽量化することも可能となり、ますます切削速度を高めることに適した切削工具1とされる。工具ボデー20と一体的に形成された弾性壁部分25は、切削インサート10の固定構造がバランスよく配置され、動バランスがくずれにくい。また構造が簡単であるため、軽量化するときに有利である。さらに、部品の総数量が削減されるため、製造コストが抑制される。特に刃数が多い場合など、部品の総数量が大幅に削減されるため、製造コストが大幅に抑制される。

この実施形態の切削工具1は、切削インサート10を直接的にドライバ30のカム部分32で押したが、これに限定されない。例えば、図示しないが、切削インサート10がカートリッジなどに装着され、ドライバ30のカム部分32によってカートリッジなどが押されることで、間接的に切れ刃11の位置が調整されても構わない。カートリッジを用いる場合は、カートリッジ取付部に隣接するように案内凹部が配置されることが好ましい。

この実施形態の切削工具1の切れ刃11の調整方向は、切削工具1の回転中心軸線Aの方向であったが、これにも限定されない。例えば、案内凹部22を切削インサート10の(工具ボデーの回転中心軸線に対して)径方向内側に配置すれば、切れ刃11の径方向位置の調整にも適用できる。また、案内凹部22を2つ設けるなど、軸方向と径方向との両方向の位置を調整するようなときにも、本発明の切れ刃の位置の調整機構またはシステムは適用できる。

図21から図27は、本発明の他の実施形態に係る作業工具300である。以下の説明において、図2から図4等に示す作業工具30と同じ構造又は機能を有する部材や部位に関しては、図2から図4と同じ符号を付すとともにそれらの説明は省略する。

この実施形態における作業工具(以下、ドライバと称する。)300は、図22に示すように、先端36側から基端側に延びる回転中心軸線Bを有する。ドライバ300は、図21から図23に示すように、軸305と、軸305の先端36側に形成されたトルク伝達部分31と、軸305に着脱自在に装着された別体部分310と、軸305の基端側に形成された把持部35と、を備える。図23は、小径部302から別体部分310を取り外した状態を示している。軸305は、回転中心軸線Bに沿って直列に配置された大径部301と小径部302とを備える。小径部302の外周には、後述する固定ネジ312の先端面が当接する平坦部302Aが形成されている。

段付き円柱状の外形を有する別体部分310は、図24及び図25に示すように、最も小径の円柱部分33、最も大径の円柱部分311、それら円柱部分33,311の間に位置するカム部分32と、を備え、貫通孔313が長手方向に沿って形成されている。カム部分32の円柱部分33側を向いた端面が当接端面34となる。軸305の小径部302に別体部分310を外挿し、図26及び図27に示すように、円柱部分311の径方向に沿って形成された一対のネジ穴のそれぞれに固定ネジ312をねじ込むことで、固定ネジ312の各先端が軸305の小径部302に形成された平坦部302Aを押圧し、別体部分310が小径部302に回転中心軸線B周りの回転が規制された状態で固定される。

この実施形態のドライバ300によれば、軸305と別体部分310とが別体に構成されているため、別体部分310を別のものと交換するだけで、カム部分32の外周面のプロファイルを変更することができる。また、種々の形状の案内凹部22に対しても、別体部分310を別のものと交換するだけで対応することができる。さらに、カム部分32、円柱部分33、当接端面34が摩耗等により変形したり、破損した場合でも、ドライバ300全体の破棄ではなく、別体部分310のみの交換で済ますことができる。

この図21等に示す実施形態では、ドライバ300のうち、カム部分32、円柱部分33、当接端面34を含む部分を交換可能にしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、さらにトルク伝達部分31を含む軸先端部分の全体(例えば図21における小径部302の全体)を交換可能にしてもよいし、把持部35を除く軸の全体(例えば図21における軸305の全体)を交換可能にしてもよい。

前述した実施形態では本発明をある程度の具体性をもって説明したが、本発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではない。本発明については、請求の範囲に記載された発明の精神や範囲から離れることなしに、さまざまな改変や変更が可能であることは理解されなければならない。すなわち、本発明には、請求の範囲によって規定される本発明の思想に包含されるあらゆる変形例や応用例、均等物が含まれる。

1 切削工具 10 切削インサート 11 切れ刃 12 傾斜部 20 工具ボデー 21 インサート取付部 22 案内凹部(係合部) 23 湾曲内壁部分 24 第2の当接端面 25 弾性壁部分 25A 第1の当接斜面 25B 第2の当接斜面 26 突き当て部 27 ねじ穴 27A 拡径部 27B ねじ部 A 切削工具の回転中心軸線 d 調整量 30 作業工具(ドライバ) 31 トルク伝達部分 32 カム部分 33 円柱部分 34 当接端面 35 把持部 36 先端 B 作業工具の回転中心軸線 40 締め付けねじ 41 トルク受け止め部分(トルク被伝達部分) 42 ねじ部 43 くさび部(テーパ部) 300 作業工具(ドライバ) 310 別体部分

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