刃先交換式回転切削工具

申请号 JP2016505275 申请日 2015-02-25 公开(公告)号 JPWO2015129768A1 公开(公告)日 2017-03-30
申请人 株式会社タンガロイ; 发明人 孝洋 阿曽; 孝洋 阿曽;
摘要 本発明は、刃先交換式回転切削工具用の、回転中心軸を有する略円柱形状の工具ボデー(20)を提供する。工具ボデーの外周面(23)に、前記工具ボデーの基端側から先端側に延びるように形成されたらせん溝(28)が形成される。らせん溝(28)は、基端側から先端側に互いにずれるように配置形成された複数のインサート座(30)を備えている。インサート座(30)は、底面(31)と、この底面(31)に対して交差するように延在する第1および第2側面(32、33)とを備える。第1側面(32)は工具ボデー(20)の基端側を向き、第2側面(33)は工具ボデー20の先端側を向きかつ第1側面(32)よりも基端側に 位置 する。工具ボデー20の最も先端側に位置するインサート座よりも基端側に位置する少なくとも1つのインサート座(30)においては、第1側面(32)の長さL1が第2側面(33)の長さL2よりも長い。
权利要求

回転中心軸(O)を有する略円柱形状の工具ボデー(20)であって、 前記工具ボデー(20)の外周面(23)に、前記工具ボデーの基端側から先端側に延びるように形成されたらせん溝(28)と、 前記らせん溝に沿って前記基端側から前記先端側に互いにずれるように形成された複数のインサート座とを備え、 前記インサート座(30)は、底面(31)と、該底面(31)に交差し前記工具ボデー(20)の基端側を向いた第1側面(32)と、前記底面に交差し前記工具ボデー(20)の先端側を向きかつ前記第1側面(32)よりも基端側に位置する第2側面(33)とを備え、 工具ボデー(20)の最も先端側に位置するインサート座(30)よりも基端側に位置する少なくとも1つのインサート座(30)においては、前記第1側面(32)の長さ(L1)が前記第2側面(33)の長さ(L2)よりも長い、 ことを特徴とする工具ボデー(20)。前記らせん溝(28)を複数備えることを特徴とする請求項1に記載の工具ボデー(20)。前記工具ボデーの最も先端側に位置する前記インサート座(30)では、前記第2側面(33)の長さ(L2)が前記第1側面(32)の長さ(L1)よりも長い、 ことを特徴とする請求項1または2に記載の工具ボデー(20)。同一の前記らせん溝(28)内にある複数の前記インサート座(30)のうち、少なくとも、前記最も先端側にあるインサート座(30)及び最も基端側にあるインサート座(30)以外の全てのインサート座(30)においては、前記第1側面(32)の長さ(L1)が前記第2側面(33)の長さ(L2)よりも長い、 ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の工具ボデー(20)。前記複数のインサート座(30)は、前記らせん溝(28)内において階段状に形成されている、 ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の工具ボデー(20)1つのインサート座の前記底面の前記回転中心軸周りの回転軌跡は、該1つのインサート座の隣りのインサート座に部分的に重なる、ことを特徴とする請求項5に記載の工具ボデー。前記底面(31)は略三形形状を有している、 ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の工具ボデー(20)。請求項1から7のいずれかに記載の工具ボデー(20)のインサート座(30)の各々に、切削インサート(40)が着脱自在に装着される、 ことを特徴とする刃先交換式回転切削工具(10)。

说明书全文

本発明は、刃先交換式回転切削工具に関する。より詳細には、本発明は、複数の切削インサートが着脱自在に装着されたラフィングエンドミルに関する。

従来、高能率加工を目的とする刃先交換式回転切削工具の一つとして、複数の切削インサートが着脱自在に装着されたラフィングエンドミルが存在している。この工具は、円筒状の工具ボデーの外周面に基端側から先端側に向かって複数の溝が形成され、それらの溝にそって複数の切削インサートが着脱自在に取り付けられてなる。このようなラフィングエンドミルにおいては、工具ボデーの回転中心軸方向に配列された複数のインサートが切削に関与することで、工具としての切込深さを非常に大きくできる。したがって、大きな切込み深さを維持したままで工具を被削材に対して平に送ることにより、高能率の切削加工を行うことができる。

そのようなラフィングエンドミルの一例として、特許文献1には、平面視にて三形状の切削インサートを用いるタイプが開示されている。特許文献1において用いられている切削インサートはポジタイプであり、3つのコーナを切削に使用することができる。また、1つの溝において、切削インサート同士は工具回転軸に沿った方向にて重なり合うようには配置されてはおらず、各々の切削インサート間には一定の間隔が設けられている。

実公平01−037857号公報

ところで、昨今、ラフィングエンドミルを用いた切削加工において、さらなる高能率化の要求が高まっており、それを実現させるために、単位時間あたりの回転数が多くなるなど切削条件はますます厳しいものになってきている。しかしながら、特許文献1の刃先交換式ラフィングエンドミルでは、厳しい切削条件の元において切りくず排出性能に問題があった。すなわち、厳しい切削条件で加工を行うと、切りくずが溝から排出されるのが追いつかず、上手く排出されずに詰まったり、切削インサートと被削材との間に噛み込まれたりする問題が生じやすかった。

本発明は以上の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、刃先交換式回転切削工具において、高能率の厳しい切削条件下における切りくず排出性を高めることにある。

本発明は、回転中心軸を有する略円柱形状の工具ボデー20であって、その外周面23に、前記工具ボデーの基端側から先端側に延びるように形成された複数のらせん溝28と、前記らせん溝に前記基端側から前記先端側に互いにずれるように配置形成された複数のインサート座30を備えている。インサート座30は、底面31と、底面31に交差し前記工具ボデー20の基端側を向いた第1側面32と、前記底面に交差し前記工具ボデー20の先端側を向きかつ前記第1側面32よりも基端側に位置する第2側面33とを備えている。工具ボデー20の最も先端側に位置するインサート座30よりも基端側に位置する少なくとも1つのインサート座30においては、第1側面32の長さL1が第2側面33の長さL2よりも長い。

また、本発明は、上記の工具ボデー20のインサート座30に、切削インサート40が着脱自在に装着されてなる刃先交換式回転切削工具10である。

本発明によれば、同一のらせん溝内にある複数のインサート座のうち、前段のインサート座の第2側面の長さが第1側面よりも短いことにより、その一つ後ろ(工具ボデーの基端側)の段の切削インサートによって生成された切りくずが、前段のインサート座に阻害されることなくスムーズに排出される。したがって、切りくずの詰まりや噛み込みを大きく抑制することが可能となる。

本発明の刃先交換式回転切削工具の一実施形態の先端側から見た斜視図を示す。

図1に記載の工具ボデーの斜視図を示す。

図1に記載の工具ボデーの基端面図を示す。

図1に記載の工具ボデーの先端面図を示す。

同一のらせん溝における1段目から3段目までのインサート座の詳細図を示す。

2段目のインサート座の拡大図を示す。

図1に記載の切削インサートの斜視図を示す。

図1に記載の切削インサートの上面図を示す。

図1に記載の切削インサートの側面図を示す。

図1に記載の切削インサートの底面図を示す。

本発明の刃先交換式回転切削工具の一実施形態の基端側から見た斜視図を示す。

図1に記載の工具ボデーの最も先端側に位置するインサート座がほぼ正面となる向きで見た斜視図を示す。

図1に記載の工具ボデーの先端側から2段目に位置するインサート座がほぼ正面となる向きで見た斜視図を示す。

1段目のインサート座の拡大図を示す。

5段目のインサート座の拡大図を示す。

以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。

本実施形態の刃先交換式回転切削工具10は、図1に示されているように、複数のインサート座30を有する略円筒形状の工具ボデー20と、それらインサート座30に装着された複数の切削インサート40と、から基本的に構成されている。

工具ボデー20は、図2、図3A、図3B及び図7に示されているように、略円形形状を有する第1端面21と、第1端面21に対向して配置され且つ第1端面21と同様の略円形形状を有する第2端面22と、それら端面間を接続する外周面23とを有し、略円筒形状である。工具ボデー20は、第1端面21の中心点と第2端面22の中心点とを通る回転中心軸Oを有する。この回転中心軸Oを基準として、刃先交換式回転切削工具10は回転する。第1端面21は工具ボデー20の基端側に配置されている端面であり、基端面とも称される。ここにおいて、工具ボデー20の基端側とは、工作機械に装着される側のことを指す。第2端面22は工具ボデー20の先端側に配置されている端面であり、先端面とも称される。ここにおいて、工具ボデー20の先端側とは、被加工物に近接する側のことを指す。工具ボデー20には、第1端面21から第2端面22まで回転中心軸Oに沿って形成された貫通孔24と、クーラントが流れる複数のクーラント供給孔25とが設けられている。貫通孔24には、工具ボデー20を工作機械用のアーバに固定するときに使用される取付ボルトが挿入される。第1端面21には、貫通孔24の開口部と、クーラント供給孔25の開口部と、工作機械の主軸から動を伝達するためのキー溝26と、が形成されている。また、第2端面22には、貫通孔24の開口部と、インサート座30を設けたことによる切欠きが形成されている。

工具ボデー20の外周面23には、第1端面21と第2端面22との間において、複数のらせん溝28が形成されている。らせん溝28は一定の幅及び深さを有しており、基端側から先端側に向かって、工具ボデー20の先端面視にて反時計回りに回転するように形成されている。らせん溝28は、工具ボデー20の第1端面21の近傍から始まって、第2端面22にまで達している。本実施形態において、らせん溝28の数は4本であるが、これに限定されることはなく、2本以上設けられていればよい。図3Bに示すように、らせん溝28は、外周面23の表面を切欠くように窪んだ溝であり、らせん溝28の工具回転方向K前方を向く第1領域には、らせん溝28に沿って、複数のインサート座30が形成されている。すなわち、らせん溝28の回転方向K前方を向く第1領域に、複数のインサート座30が形成されている。そして、各インサート座30は、このらせん溝28に沿う外周面から、そこに取り付けられたインサート40の切れ刃部分が径方向外側に突き出すように形成されている。本実施形態において、インサート座30は、1本のらせん溝28につき5つ設けられているが、これに限定されることなく、2つ以上設けられていればよい。図1及び図7に示すように、各インサート座30は、らせん溝28の基端から先端へ延びる第1領域に階段状に形成されている。一方、らせん溝28の工具回転方向Kの反対方向を向く第2領域には、クーラントを噴出するための複数のクーラント噴出口27が設けられている。クーラント噴出口27は、クーラント通路を介して、前述したクーラント供給孔25に連通している。クーラント噴出口27、クーラント通路およびクーラント供給孔25の数や配置箇所等は、求められる冷却性能等に鑑みて適宜変更することが可能である。

ここで、工具ボデー20の側面視において、同一のらせん溝28において最も工具先端側に位置しているインサート座30aを1段目のインサート座、次のインサート座30bを2段目のインサート座、その次のインサート座30cを3段目のインサート座、その次のインサート座30dを4段目のインサート座、最上部のインサート座30e、すなわち、最も工具基端側に位置するインサート座30eを5段目(最上段)のインサート座と定義する。

図4には、同一のらせん溝28内における1段目から3段目のインサート座30a〜30cの詳細図が示されている。図4からわかるように、インサート座30は、後述する切削インサート40の下面42と当接する平坦な底面31と、切削インサート40の周側面43と当接する2つの平坦な側面32,33から基本的に構成されている。本実施形態において、それら側面および底面は、側面32,33を延長した仮想面が、底面31を延長した仮想面に対して鈍角で交差する位置関係にあるが、これに限定されることはなく、それらが直角に交差する位置関係にあってもよいし鋭角に交差する位置関係にあってもよい。底面31と側面32,33との間には、ぬすみ部34が設けられている。そして、インサート座30の底面31は、取り付ける切削インサート40の着座面としての下面42とおおよそ同様の形状を有している。本実施形態の場合、底面31の形状は略三角形であるが、これに限定されることはない。また、底面31の略中央部には、切削インサート40をインサート座30にねじ止めするための固定穴35が設けられている。固定穴35は、その内面に、めねじ用ねじみぞが形成されている。インサート座30の側面32,33は、工具基端側かつ外周面側を向いた第1側面32と、工具先端側かつ外周面側を向いた第2側面33と、から構成されている。言い換えると、1つのインサート座30の中で、工具先端側に位置する側面が第1側面32であり、工具基端側に位置する側面が第2側面33である。これら第1側面32及び第2側面33は、底面31に対して直角方向に一定の距離離間した位置において、底面31と平行な方向に一定の長さで伸長している。また、第1側面32及び第2側面33は、底面31に交差する方向において一定の幅を有している。本実施形態において、それら第1側面32及び第2側面33は約60°で交差する位置関係で対向しているが、これに限定されることはなく、他の角度で交差していても構わない。これらインサート座30の底面31や側面32,33の形状又はそれらの位置関係に関しては、装着する切削インサート40の形状等に鑑みて適宜変更することが可能である。

前述したように、インサート座30の第1側面32及び第2側面33は、底面31に対して直角方向に一定の距離離間した位置において、底面31と平行な方向に一定の長さで伸長しているのであるが、図5に2段目のインサート座が拡大して示されているように、特定のインサート座では、第1側面32の長さL1と第2側面33の長さL2とは異なっている。そして、本実施形態においては、図4、図8及び図10に示すように、1段目のインサート座30aは、第1側面32aの長さL1と第2側面33aの長さL2とを比較したとき、第2側面33aの長さL2の方が第1側面32aの長さL1よりも長くなるように構成されている。これに対して、図4、図5及び図9に示すように、2段目のインサート座30bは、第1側面32bの長さL1の方が第2側面33bの長さL2よりも長くなるように構成されている。3段目及び4段目のインサート座30c、30dも、2段目と同様に、第1側面32c、32dの長さL1の方が第2側面33c、33dの長さL2よりも長くなるように構成されている。5段目のインサート座30eについては、第1側面32eと第2側面33eの長さはほぼ同一となっている(図2、図8及び図11参照。)。

本実施形態において使用されている切削インサート40は、図6A〜図6Dに示されているように、略三角形状の上面41と、上面41に対向して配置され且つ略三角形状の下面42と、上面41と下面42とを接続する周側面43と、から基本的に構成されている。より詳細には、上面41は、図6Bにおいて、長辺部分と短辺部分とが交互に略直角又は鈍角に交差することによって形成された六角形状を有しているとも言える。また、上面41及び下面42の略中央部を貫通するように、取付孔44が設けられている。取付孔44の中心軸線に直交すると共に上面41の縁部を通る平面に対して周側面43は鋭角を成し、取付孔44の中心軸線に直交すると共に下面42と周側面43とは鈍角を成す。したがって、この切削インサート40は、いわゆる、ポジタイプである。そして、上面41と周側面43との交差稜線部の少なくとも一部には切れ刃が形成されている。具体的には、長辺部分には主切れ刃45が形成され、短辺部分には副切れ刃46が形成され、長辺部分と短辺部分とが略直角に交差するコーナ部にはコーナ切れ刃47が形成されている。したがって、本実施形態の切削インサート40は、主切れ刃45と副切れ刃46とコーナ切れ刃47からなる組を3つ有するので、切れ刃の組を順々に使用することによって1つの切削インサート40で3回切削加工を行うことができる。しかしながら、本発明の刃先交換式回転切削工具10に使用する切削インサート40の形状及び構成はこれに限定されることはなく、必要に応じて適宜変更することが可能である。例えば、外郭形状が四角形や五角形といった他の多角形であってもよいし、上面及び下面が周側面に対して90°に交差するネガタイプであってもよい。

このような切削インサート40は、固定ねじ50によって工具ボデー20のインサート座30に装着される。その際、切削インサート40の下面42とインサート座30の底面31とが当接する。また、切削インサート40の周側面43とインサート座30の第1側面32及び第2側面33とが当接する。このとき、切削インサート40は、作用する主切れ刃45が工具ボデー20の外周面側において外周面23と平行な位置関係で配置され、作用する副切れ刃46が工具ボデー20の先端面側において先端面22と平行な位置関係で配置されるように、インサート座に装着されている。切削インサート40が固定ねじ50によって工具ボデー20に固定されると、切削インサート40取付孔44にねじ頭が収容されるので、くさびや押さえ駒などで切削インサート40を固定する場合と比較して、らせん溝28への突起物をなくすことができる。したがって、切削インサート40の上面で、切りくずが衝突するような突起物がなく、ほぼ平らな空間を確保することができ、切りくずの排出性が高められる。

切削インサート40の切れ刃周辺は、超硬合金、サーメット、セラミック、これらにコーティングを施した材料又はダイヤモンドあるいは立方晶窒化素を含有する超高圧焼結体、立方晶窒化硼素を含有する超高圧焼結体にコーティングを施した材料といった硬質材料から作製されることができる。切削インサート40の切れ刃以外の部分も、同様の硬質材料から作製されることが好ましい。

本実施形態では、1本のらせん溝28につき切削インサート40が5つ装着される。このとき、図1、図7に示すように、最も工具先端側に配置されている1段目の切削インサート40aは、主切れ刃45が被加工物の加工側面の切削に関与し、作用副切れ刃46が被加工物の加工底面の切削に関与し、作用コーナ切れ刃47が被加工物の加工隅部の切削に関与する。これに対し、2段目から5段目の切削インサート40b〜40eにおいては、作用主切れ刃45は被削材加工側面の切削に関与するけれども、副切れ刃46及びコーナ切れ刃47は切削に関与することがない。すなわち、2段目から5段目の切削インサート40b〜40eの副切れ刃46及びコーナ切れ刃47は、他の切削インサート40の、特に、隣接してより先端側に位置する切削インサートの主切れ刃45の回転軌跡よりも径方向外周側に突出しないように配置される。

また、各切削インサート40は、工具ボデー20の側面視において、1つのらせん溝28内で回転中心軸O方向に重畳的に配置されている。より詳細には、1つのらせん溝28内で隣り合う切削インサート40の主切れ刃45同士が、回転中心軸O方向において重なり合っている。図2に示されているように、5つのインサート座30がらせん溝28内において階段状に形成されているために、重畳的な切削インサート40の配置が可能となっている。このような切削インサート40の配置によって、被加工物の加工側面に削り残しの領域が生じることがない。

次に、本実施形態の刃先交換式回転切削工具10の作用及び効果について説明する。

刃先交換式ラフィングエンドミル10の工具ボデー20において、インサート座30が、底面31と、底面31に交差するように形成された第1側面32及び第2側面33とを備えており、第1側面32が工具ボデー20の先端側に位置し、第2側面33が工具ボデー20の基端側に位置する。5つの切削インサート座30のうち、2段目から4段目のインサート座においては図5に示すように、第1側面32の長さL1が第2側面33の長さL2よりも長い。この構成によって、切削加工によって生じた切りくずの流出方向に障害物となる壁面がなくなるため、切りくず排出性が大幅に向上する。例えば、3段目の切削インサート40cの主切れ刃45によって切りくずが生成されるとき、その切りくずはカールしながららせん溝28へ侵入し、さらにらせん溝28の外部へと排出される。このとき、2段目のインサート座30bの第2側面33bの長さL2が長いと、そのバックメタル部分60b(図4及び図7参照)が大きく張り出すこととなり、バックメタル部分60bの工具外周側領域に3段目の切削インサート40cの切りくずが衝突することが多い。これによって、らせん溝28の外部への切りくずの自然な排出が阻害され、切りくずがらせん溝28内に滞留しやすくなる。また、切りくずに意図しない屈折や潰れなどの変形が生じ、切りくずの排出性が一層低下するおそれがある。切削条件が厳しいほど、この問題はさらに大きなものとなる。これに対し、本実施形態における2段目、3段目、4段目のインサート座30b、30c、30dは、第2側面33b、33c、33dの長さL2が第1側面32b、32c、32dの長さL1よりも短く形成されていることによって、バックメタル部分60b、60c、60dが外周面側に大きく張り出すこととならない。すなわち、2段目のインサート座30bの第2側面33bの長さL2が本発明のように第1側面32bの長さL1よりも短く形成されていることによって、2段目のインサート座30bと3段目のインサート座30cとの間の空間が広く、障害物が無くなるため、3段目の切削インサートによって生成された切りくずは、障害なくスムーズにらせん溝28へ侵入し、さらにらせん溝28の外部へと排出され得る。さらに、第1側面32bの長さL1は、第2側面33bの長さL2よりも長く確保されているので、切削インサート40の固定力が大きく低下することはなく、十分な強度で切削インサート40を支持することが可能である。これは、3段目と4段目の関係においても同様である。また、最上段のインサート座30eに関しては、第2側面33eが切りくずの障害になることはないので、第1側面32eの方が長い構成でも構わないし、第2側面33eの方が長い構成でも構わない。したがって、本発明においては、最上段以外の少なくとも1つのインサート座30にて第1側面32の長さL1が第2側面33の長さL2よりも長ければ、前述した効果を発揮することができる。

さらに、本発明においては、同一のらせん溝28内に配置された複数のインサート座30のうち、一段目のみは、第2側面33aの長さL2が第1側面32aの長さL1よりも長いことが好ましい(図8及び図10参照。)。なぜなら、1段目の切削インサート40は副切れ刃46によって被加工物の底面の加工も行うので、工具ボデー20の回転中心軸Oに沿った方向に大きな切削抵抗(背分力)を受ける。この切削抵抗を十分に受け止めるために、工具基端側に配置されている第2側面33aが長く形成されることが望ましい。これに対し、2段目以降の切削インサート40は副切れ刃46が切削に関与することがないので、回転中心軸Oに沿った方向に切削抵抗がかかることはない。したがって、2段目以降においては、第2側面33を長く形成する必要はない。

さらに、同一のらせん溝28内に配置されている複数のインサート座30のうち、少なくとも、1段目及び最上段以外の全ての段においては、第1側面32の長さL1が第2側面33の長さL2よりも長いことが好ましい。この構成によって、前述したように1段目の切削インサート40の固定性を向上させながらも、その他の段においては切りくず排出性を最大限に高めることが可能となっている。このとき、当然ながら、最上段のインサート座30において第1側面32の長さL1が第2側面33の長さL2よりも長い構成であっても構わない。

また、本発明は、インサート座30がらせん溝28内において階段状に形成されている構成において特に大きな効果を発揮する。なぜなら、この構成においては、同一のらせん溝28内において隣接する切削インサート40が工具ボデー20の回転中心軸O方向に重なり合う配置となっているため、この構成を備えない場合、前段の、すなわち先端側に隣接するインサート座の第2側面33が後段の、すなわち後端側に隣接するインサート座の切削インサート40の工具先端側に張り出しており、切りくずの排出に対して大きな障害となるからである。

また、本発明は、上記実施形態で例示された構成に限定されることはなく、例えば、各段の間で分割が可能なタイプのラフィングエンドミルに適用することも可能であるし、アーバと一体型のラフィングエンドミルなどに適用することも可能である。

以上、本発明の代表的な実施形態について説明した。しかし、本発明は種々の変更が可能であり、本願の請求の範囲によって定義される本発明の精神及び範囲から逸脱しない限り、置換、変更が可能である。

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