工作物の平坦面の加工方法

申请号 JP2017550540 申请日 2016-03-29 公开(公告)号 JP2018509307A 公开(公告)日 2018-04-05
申请人 オープン マインド テクノロジーズ アーゲー; 发明人 ブラムブス、ペーター; コッフ、ヨーゼフ;
摘要 本発明は、工作物(32)の平坦面(30)を工具(10)、特にフライス工具を用いて加工するための方法であって、該工具を、衝突が無いように、かつ平坦面(30)に対して横方向に傾け(α)て、接点(34)が平坦面(30)上を案内されるように移動させる方法に関する。平坦面(30)は、円錐状凸状のデザインを有する切削輪郭(18)を1つの側面(16)に備える工具(10)を、片側衝突を回避するためには平坦面(30)と平行な回動 角 度(β)で用いて、両側衝突を回避するためには平坦面(30)と平行な少なくとも2つの異なる回動角度(β、β’)で用いて、加工される。両側衝突を回避するために、平坦面(30)は少なくとも2つの加工セグメント(44、44’、44’’)に分けられ、その各々に工具(10)の回動角度(β、β’)がそれぞれ割り当てられる。
权利要求

工作物(32)の平坦面(30)を工具(10)、特にフライス工具を用いて加工するための方法であって、該工具を、平坦面(30)に対して横方向に傾け(α)、前記平坦面(30)上を接点(34)を有させて案内し、衝突が無いように移動させる方法であって、 前記平坦面(30)が、円錐状凸状のデザインを有する切削輪郭(18)を1つの側面(16)に備える工具(10)を用いて加工され、片側衝突を回避するためには前記平坦面(30)と平行な回動度(β)で前記工具(10)によって完全に加工され、両側衝突を回避するためには前記平坦面(30)と平行な少なくとも2つの異なる回動角度(β、β’)で前記工具(10)によって完全に加工され、 前記両側衝突を回避するために前記平坦面(30)が少なくとも2つの加工セグメント(44、44’、44’’)に分割され、衝突を回避するために前記少なくとも2つの加工セグメント(44、44’、44’’)の各々に前記工具(10)の回動角度(β、β’)がそれぞれ割り当てられる、方法。前記工具(10)を、前記工具(10)の側面(16)における円錐状凸状のデザインを有する切削輪郭(18)の前記平坦面(30)との前記接点(34)が前記工具(10)のシャフト(12)に面する上部領域(36)内にあるように、前記平坦面(30)に対して横方向に傾けることを特徴とする、請求項1に記載の方法。前記工具(10)を、前記平坦面(30)にわたって下から上へマルチパスで移動させ、かつ、前記工具(10)の側面(16)における円錐状凸状のデザインを有する切削輪郭(18)の前記平坦面(30)との前記接点(34)が前記切削輪郭(18)の中間と前記工具(10)の前記シャフト(12)に面する上部領域(36)との間の領域(38)内にあるように、前記平坦面(30)に対して横方向に傾けることを特徴とする、請求項1に記載の方法。前記工具(10)を、前記平坦面(30)にわたって上から下へマルチパスで移動させ、かつ、前記工具(10)の側面(16)における円錐状凸状のデザインを有する切削輪郭(18)の前記平坦面(30)との前記接点(34)が前記切削輪郭(18)の中間と前記工具(10)の前面(20、22)に面する下部領域(42)との間の領域(40)内にあるように、前記平坦面(30)に対して横方向に傾けることを特徴とする、請求項1に記載の方法。前記工具(10)を、前記工具(10)の側面(16)における円錐状凸状のデザインを有する切削輪郭(18)の前記平坦面(30)との前記接点(34)が前記工具(10)の前面(20、22)に面する下部領域(42)内にあるように、前記平坦面(30)に対して横方向に傾けることを特徴とする、請求項1に記載の方法。前記工具(10)の前記平坦面(30)に対する横方向への傾き(α)が、加工の間中、不変に維持されることを特徴とする、請求項1から5のうちのいずれかに記載の方法。衝突が無いことと、前記工作物(32)の幾何学的形状との間で起こる可能性がある片側衝突および/または両側衝突とをテストすることを特徴とする、請求項1から6のうちのいずれかに記載の方法。前記平坦面(30)および/または前記少なくとも2つの加工セグメント(44、44’、44’’)のための前記工具(10)の工具経路(46)を算出することを特徴とする、請求項1から7のうちのいずれかに記載の方法。前記工具(10)を、前記平坦面(30)または前記平坦面(30)の前記少なくとも2つの加工セグメント(44、44’、44’’)にわたってマルチパスで案内することを特徴とする、請求項1から8のうちのいずれかに記載の方法。前記工具(10)を、前記平坦面(30)または前記平坦面(30)の前記少なくとも2つの加工セグメント(44、44’、44’’)にわたって平および/または斜めのパスで案内することを特徴とする、請求項1から9のうちのいずれかに記載の方法。前記平坦面(30)または前記平坦面(30)の前記少なくとも2つの加工セグメント(44、44’、44’’)が、少なくとも1つの前記加工セグメント(44)の前記工具(10)の回動角度(β)が少なくとも別の前記加工セグメント(44’)の前記工具(10)の回動角度(β’)を用いて、またその逆に、連続的に補間されて、前記工具(10)によってマルチパスで加工されることを特徴とする、請求項1から10のうちのいずれかに記載の方法。前記平坦面(30)または前記平坦面(30)の前記少なくとも2つの加工セグメント(44、44’、44’’)が、前記側面(16)における円錐状凸状のデザインを有する切削輪郭(18)が円錐形の輪郭によって形成された工具(10)であって、前記円錐形の輪郭が、前記円錐形の輪郭と前記工具(10)の軸とがなす円錐角と、前記円錐形の輪郭から外側へ張り出す凸状のふくらみとを有する工具(10)を用いて加工されることを特徴とする、請求項1から11のうちのいずれかに記載の方法。前記平坦面(30)または前記平坦面(30)の前記少なくとも2つの加工セグメント(44、44’、44’’)が、前記側面(16)における円錐状凸状のデザインを有する切削輪郭(18)が大きな湾曲半径RK、特にRK≧250mm、非常に好ましくはRK≧500mm、を有する円の一部分または楕円面の一部分として形成された工具(10)を用いて加工されることを特徴とする、請求項1から12のうちのいずれかに記載の方法。前記平坦面(30)または前記平坦面(30)の前記少なくとも2つの加工セグメント(44、44’、44’’)が、前記側面(16)における円錐状凸状のデザインを有する切削輪郭(18)が一定のまたは変化する湾曲半径RKを有する円の一部分、楕円面の一部分、もしくは曲線の一部分として形成された工具(10)を用いて加工されることを特徴とする、請求項1から13のうちのいずれかに記載の方法。前記平坦面(30)または前記平坦面(30)の前記少なくとも2つの加工セグメント(44、44’、44’’)が、前記側面(16)における円錐状凸状のデザインを有する切削輪郭(18)が対称または非対称に形成された工具(10)を用いて加工されることを特徴とする、請求項1から14のうちのいずれかに記載の方法。前記平坦面(30)または前記平坦面(30)の前記少なくとも2つの加工セグメント(44、44’、44’’)が、前記側面(16)における円錐状凸状のデザインを有する切削輪郭(18)が工具(10)のシャフト(12)に直接移行する工具(10)を用いて加工されることを特徴とする、請求項1から15のうちのいずれかに記載の方法。前記平坦面(30)または前記平坦面(30)の前記少なくとも2つの加工セグメント(44、44’、44’’)が、前記側面(16)における円錐状凸状のデザインを有する切削輪郭(18)が丸みのついた移行部(24)を介して工具(10)のシャフト(12)に間接移行する工具(10)を用いて加工されることを特徴とする、請求項1から16のうちのいずれかに記載の方法。前記平坦面(30)または前記平坦面(30)の前記少なくとも2つの加工セグメント(44、44’、44’’)が、前記側面(16)における円錐状凸状のデザインを有する切削輪郭(18)が工具(10)の平坦な前面(20)に移行する工具(10)を用いて加工されることを特徴とする、請求項1から17のうちのいずれかに記載の方法。前記平坦面(30)または前記平坦面(30)の前記少なくとも2つの加工セグメント(44、44’、44’’)が、前記側面(16)における円錐状凸状のデザインを有する切削輪郭(18)が工具(10)の球状の前面(22)に移行する工具(10)を用いて加工されることを特徴とする、請求項1から17のうちのいずれかに記載の方法。

说明书全文

本発明は、工作物の平坦面を工具、特にフライス工具を用いて加工するための方法に関する。

平坦面の単純な幾何学的形状にもかかわらず、とりわけ、使用される工具、技術的要件、製造時間、および達成可能な表面品質の点で異なる、多くの異なる加工法がある。このような平坦面または平面は、具体的には、工具および金型の製作において多くの部分に見られる。

例えば、平坦面の加工には正面フライス加工がしばしば用いられる。このために、円筒形のエンドまたはラジアスミル、先端が丸くなったエンドミルを、前面を平面上にして移動させる。例えば、作業は、輪郭と平行または線状に、一貫した方向または交互の方向で、行われる。例えば米国特許出願公開第2013/0151000(A1)号または米国特許第8489224(B2)号に記載のような、底の平面が本質的な幾何学的形状を規定しているポケット処理の分野では、螺旋やトロコイドなどの、より複雑な経路形状も用いられる。正面フライス加工における工具は、本質的には平面に垂直であるが、切削条件を調整するために、送り方向(infeed direction)および/またはそれに対して横方向にわずかに傾けられることもある。正面フライス加工は、実際には、自由にアクセス可能かつ/または「独立している(free-standing)」平面の加工において価値を示しているが、正面フライス加工にはいくつかの固有の欠点がある。一方では、隣接面によって加工が阻害される平面の加工は、大きな制約下でのみ可能であるか、または全く不可能とされてさえいる。例えば、加工対象となる平面に隣接する表面に工具ホルダが衝突する恐れがあるときは、突き出し長さ、すなわち、工具がホルダから突出する長さを増加させなければならず、そのことは、工具直径の維持における安定性を阻害する。例えば、3つ以上の隣接する平坦な側壁と床面とを含むポケットを正面フライス加工によって加工することは不可能である。これは、ホルダと、もしかするとスピンドルなどのようなさらなる構成要素とを備える工具が通常はポケットの中に収まらないためである。他方では、工作物の側方の平面を加工する際に、工具を90°回動させなければならない。大きい工作物では、ホルダとさらなる構成要素とを備える回動後の工具を配置するのに十分な空間が機械の作業空間内に残っていないことが多い。この結果、人員と、時間と、ひいてはコストをかけて、工作物をクランプし直すことになる。

代替方法として、穿孔加工(punching)が平坦面の加工に用いられている。ここでは、通常、エンドミルを、加工対象となる平面にわたって上から下へ垂直に軸に沿っていくつかのパスで移動させる。それによって、工具を当該平面に対して特定の適用度で移動させることもある。しかしながら、穿孔加工にも実際にはかなりの欠点がある。工具が十分に長く、垂直方向のアクセス可能性が確保される場合は、正面フライス加工では届きにくい平面でも加工することができる。ただし、このような長さの工具は、しばしば重大な位置ずれを起こしやすく、概して不安定な加工になる可能性が高い。しかしながら、例えば垂直方向のアクセス可能性が欠けているために、十分に長い工具をそのような平面に使用できない場合は、ホルダの衝突を回避することができず、完全な加工は不可能である。また、穿孔加工は、ある一定の表面精度を達成するためには、非常に多くの垂直パスを必要とする。これは、特に、コーナーの加工もできるように、工具の直径が大き過ぎてはいけないためである。

米国特許第5391024(A)号および米国特許出願公開第2015/0032250(A1)号から例として挙げられるように、平面および自由曲面の加工に最もよく用いられるスワーフ加工(swarf milling)という選択肢もある。円筒形のエンドミルを、このための加工対象となる平面または自由曲面と平行に位置合わせし、当該平面または曲面と接触させ、軸に直交する方向に移動させる。よって、工具の側面が主に用いられる。スワーフ加工は、届く領域がより大きくなるため、正面フライス加工または穿孔加工よりも大きいステップ幅を可能にする。しかしながら、スワーフ加工は、衝突および安定性の問題により、平面加工の実施において比較的大きい欠点を有することが分かってもいる。工具を平面と平行に位置合わせするので、衝突を起こさずに平面を完全に加工するためには、突き出し長さが平面の高さに少なくとも相当していなければならない。しかしながら、突き出し長さが大きいと、工具の安定性、ひいては加工品質が大幅に低下する。安定性を改善するために、円筒形のエンドミルの代わりに、球状の前面を有していても有していなくてもよい円錐形のミルが用いられている。工具を平面と接触させるためには、工具を傾けなければならない。工具の円錐形状は、その傾きと関連して、変位を少なくする。これは、切削の一部を工具軸の方向に放出することができるためである。変位が少なくなることによって、より大きく突き出させることが可能になる。しかしながら、傾けられた工具ホルダは、通常、衝突を回避するために通常は円錐角を小さくしてあるために、平面から十分に離れていない。平面に隣接する面が不利益な位置にある場合、ホルダと当該隣接面との間で衝突を引き起こさずに工具を平面に接触させることは不可能であり得る。円錐形の刃とシャフトまたは平坦なもしくは球状の前面との間の急な移行も特に不利益となる。具体的には、このような移行は、特に、使用されるフライス盤の回動軸が十分に精密に機能しない場合、刃が完全に支持されているときに工作物に好ましくない帯状の痕跡を生じさせ得る。

別の平面加工法として、マルチパスフライス加工が知られている。工具を平坦面に対して垂直または特定の角度に配置し、往復移動させる。これには、ボールミルが最もよく使用される。このような、平坦面のマルチパス加工は、例えば特開2011−251401号に記載されており、切削条件(同期フライス加工)を改善するために、ボールミルを交互の送り方向のためのリード角で移動させる。マルチパスフライス加工の実施において、工具またはその球状の前面を、狭い部分をも加工するのに十分なほどに細くしなければならないことが特に不利であることが分かっている。さらに、指定された表面精度を可能にするためには、加工パス間距離を比較的小さくする必要がある。どちらも、パス数の多さにつながり、それに応じて加工が長くなる。したがって、平坦面を加工するためのマルチパスフライス加工は、多くの場合、能率が悪く、そのために、特に、比較的コストがかかる。

様々な工具を用いる多くの加工法において生じる衝突問題を解決するために、特開2011−183528号は、工具経路のそれぞれの位置において加工対象となる表面に対して工具を傾ける方法をさらに提案している。この文脈においては工具における接点の変更は考えられておらず、工具の種類によっては決定的な不利点につながり得る。さらに、一方で工具の適用を具体的に制御しながら、他方でこれとは別に衝突を防止する対策を講じることは可能ではない。工具を傾けることも、加工対象となる平坦面自体との衝突を防止することにだけは役立つが、隣接面との衝突を防止することには役立たない。

結果として、これらの公知のフライス加工方法は、技術的実現可能性、衝突回避のための選択肢、安定性、能率、およびこれに関連するコスト面での努力に関して、かなりの不利点を有している。

米国特許出願公開第2013/0151000号明細書

米国特許第8489224号明細書

米国特許第5391024号明細書

米国特許出願公開第2015/0032250号明細書

特開2011−251401号公報

特開2011−183528号公報

ここで、本発明は、工作物の平坦面を工具、特にフライス工具を用いて加工するための方法であって、上記の不利点を防止することができ、具体的には、特に簡単で迅速で実用的で能率がよく、しかも衝突の無い、平坦面および/または平面の加工を可能にし、非常に高い表面品質の工作物を得ることができ、これに関連して、操業・製造コストが全体として大幅に削減される方法を提供するという目的を有する。

この目的は、請求項1の特徴によって驚くほど簡単に達成される。

工作物の平坦面を工具、特にフライス工具を用いて加工するための本発明に係る方法であって、該工具を、平坦面に対して横方向に傾け、平坦面上を接点を有させて案内し、衝突が無いように移動させる方法において、平坦面が、円錐状凸状のデザインを有する切削輪郭を1つの側面に備える工具を用いて加工され、片側衝突を回避するためには平坦面と平行な回動角度で工具によって完全に加工され、かつ/または、工具の両側衝突を回避するためには平坦面と平行な少なくとも2つの異なる回動角度で工具によって完全に加工され、両側衝突を回避するために平坦面が少なくとも2つの加工セグメントに分割され、衝突を回避するために該少なくとも2つの加工セグメントの各々に工具の回動角度がそれぞれ割り当てられる、方法の構成は、特に簡単で迅速で実用的で能率がよく、かつ、衝突の無い、平坦面および/または平面の加工を可能にする。本発明に係る方法の1つの本質的な利点は、アクセスが特にしにくい平坦面および/または平面であっても、衝突を起こさずに、かつ、公知の方法の長い加工時間に対処することを必要とせずに、加工する選択肢である。それと同時に、非常に高い表面品質の工作物の平坦面および/または平面を得ることができる。最後に、本発明に係る方法は、操業・製造コスト、ひいては、平坦面および/または平面の加工の総コストの大幅な削減に寄与する。

円錐形の凸状にデザインされた切削輪郭を1つの側面に有し、平坦面および/または平面上を接点を有して案内される工具、特にフライス工具は、本発明に係る方法に最も適切である。円錐状凸状のデザインおよび/または円錐形の凸状のデザインを有する切削輪郭に由来する本発明に係る方法の1つの本質的な利点は、加工対象となる平坦面および/または平面への適切な適用により得られる工具の非常に大きな重なりに基づいている。このことにより、とりわけ、本発明に係る方法は、全ての従来の方法と比較して、同じ表面品質を達成しながらも、はるかに大きいステップ幅を達成する。そして、このことにより、これらの従来の方法のいずれと比較しても、最大で90%時間が節約され、よって、全体のコストが大幅に削減される。さらに加えて、本発明に係る方法は、本発明に係る工具の側面における切削輪郭の各端点が、円錐状凸状のデザインを有する当該切削輪郭を平坦面および/または平面における平坦な円錐形状に適用する際に、工作物の表面からある一定の距離にあり、よって跡を残さない、という利点を有する。機械の角度ずれに関して本発明に係る方法が達成可能な公差は、さらなる利点である。例えば、機械の回動軸の不正確さによって工具の指定された適用を精密に設定できない場合、本発明に係る工具の側面における円錐状凸状もしくはわずかにふくらんだ(dented)凸状の切削輪郭が、機械の角度の不正確さを補償することができる。このため、工具の側面における切削輪郭は、工作物にほぼ不変に係合したままとなり、均質なフライス加工パターンを作り出す。これと比較して、工具の側面における切削輪郭が平坦な円錐形であると、角度の不正確さによって切削輪郭が精密に適用されないため、切り口が不均一になり、マルチパス加工においては工作物の表面に好ましくない段差効果が生じる。

本発明に係る方法のさらに有利な詳細は、請求項2から19に記載されている。

請求項2の特徴によると、工具は、工具の側面における円錐状凸状のデザインを有する切削輪郭の接点が工具のシャフトに面する上部領域内で平坦面に適用されるように、平坦面に対して横方向に傾けられることが好ましい。

さらに加えて、請求項3に係る工具を、平坦面にわたって下から上へマルチパスで移動させ、工具の側面における円錐状凸状のデザインを有する切削輪郭の平坦面との接点が切削輪郭の中間と工具のシャフトに面する上部領域との間の領域内にあるように、平坦面に対して横方向に傾けることは、本発明の範囲内にある。

さらに、本発明は、請求項4の手段によると、工具を、平坦面にわたって上から下へマルチパスで移動させ、工具の側面における円錐状凸状のデザインを有する切削輪郭の平坦面との接点が切削輪郭の中間と工具の前面および/または前側および/または前部に面する下部領域との間の領域内にあるように、平坦面に対して横方向に傾けることを意図している。

さらに、工具を、工具の側面における円錐状凸状のデザインを有する切削輪郭の平坦面との接点が工具の前面および/または前側および/または前部に面する下部領域内にあるように、平坦面に対して横方向に傾ける請求項5の特徴が、有益である。

好ましくは、請求項6に係る工具の平坦面に対する横方向への傾きは、加工の間中不変に維持される。

請求項7の手段によると、衝突が無いことと、起こる可能性のある片側衝突および/または両側衝突とを、工作物の幾何学的形状でテストすることは、本発明の範囲内にある。

好ましくは、請求項8によると、平坦面および/または少なくとも2つの加工セグメントのための工具の工具経路が算出される。

工具を平坦面または平坦面の少なくとも2つの加工セグメントにわたってマルチパスで移動させる請求項9の手段は、非常に特筆すべきものである。

この文脈において、請求項10に係る工具を、平坦面または平坦面の少なくとも2つの加工セグメントにわたって平および/または斜めのパスで移動させることは、本発明の範囲内にある。

平坦面または平坦面の少なくとも2つの加工セグメントが、少なくとも1つの加工セグメントの工具の回動角度が少なくとも別の加工セグメントの工具の回動角度を用いて、またその逆に、連続的に補間されて、工具によってマルチパスで加工される請求項11の特徴は、特別に有利である。

好ましくは、平坦面または平坦面の少なくとも2つの加工セグメントは、請求項12によると、円錐状凸状のデザインを有する切削輪郭を側面に有する工具であって、該切削輪郭が円錐形の輪郭によって形成され、該円錐形の輪郭が、該円錐形の輪郭と工具の軸とがなす円錐角と、該円錐形の輪郭から外側に張り出す凸状のふくらみ(dent)とを有する工具を用いて加工される。

さらに加えて、平坦面または平坦面の少なくとも2つの加工セグメントは、請求項13によると、側面における円錐状凸状のデザインを有する切削輪郭が大きな湾曲半径、特に≧250mm、好ましくは≧500mm、を有する円の一部分または楕円面の一部分として形成された工具を用いて有益に加工される。

請求項14によると、平坦面または平坦面の少なくとも2つの加工セグメントは、側面における円錐状凸状のデザインを有する切削輪郭が一定のまたは変化する湾曲半径RKを有する円の一部分、楕円面の一部分、もしくは曲線の一部分として形成された工具を用いて加工される。

さらに、本発明は、平坦面または平坦面の少なくとも2つの加工セグメントが、請求項15によると、円錐状凸状のデザインを有する切削輪郭が側面において対称または非対称に形成された工具を用いて加工されることを、非常に有益に意図している。

好ましくは、平坦面または平坦面の少なくとも2つの加工セグメントは、請求項16によると、側面における円錐状凸状のデザインを有する切削輪郭が側面において工具のシャフトに直接移行する工具を用いて加工される。

本発明によると、平坦面または平坦面の少なくとも2つの加工セグメントは、請求項17によると、側面における円錐状凸状のデザインを有する切削輪郭が丸みのついた移行部を介して工具のシャフトに間接移行する工具を用いて加工されることも意図されている。この丸みのついた移行部または丸みをつけることは、工具の切削輪郭の各端点が、円錐状凸状のデザインを有する切削輪郭の平坦面および/または平面への適用時に、工作物の表面からある一定の距離にあることよって、加工後の工作物に跡を残さない、という本発明に係る方法の前述の利点をさらに高める。さらに加えて、丸みのついた移行部は、多くの場合において、隣接する(平坦な)表面の間のアクセスしにくい領域の加工を容易にする。

最後に、平坦面または平坦面の少なくとも2つの加工セグメントが、請求項18によると、側面における円錐状凸状のデザインを有する切削輪郭が工具の平坦な前面および/または前側および/または前部に移行する工具を用いて加工されることは、本発明の範囲内にある。

あるいは、平坦面または平坦面の少なくとも2つの加工セグメントは、最後に請求項19によると、側面における円錐状凸状のデザインを有する切削輪郭が工具の球状の前面および/または前側および/または前部に移行する工具を用いて加工されてもよい。

本発明のさらなる特徴、利点、および詳細は、本発明のいくつかの好適な実施形態についての以下の説明から知ることができ、また、図面に基づくものである。図面は下記の通りである。

図1aおよび図1bは、本発明に係る工具の一実施形態の概略部分側面図および図1aの本発明に係る工具の実施形態の拡大概略部分側面図である。

図2aおよび図2bは、図1aおよび図1bの工具の別の実施形態の概略部分側面図である。

図3aおよび図3bは、図1aおよび図2aの本発明に係る工具の別の実施形態の概略部分側面図である。

図4aおよび図4bは、図1aおよび図2aの本発明に係る工具のさらに別の実施形態の概略部分側面図である。

図5a〜図5cは、本発明に係る方法の第1のステップを説明するための、工作物と本発明に従って設計された工具との概略部分斜視図、部分正面図、および部分側面図である。

図6a〜図6dは、図5cの工作物と本発明に係る工具との拡大概略部分側面図である。

図7は、種々の平坦面および/または平面を有する工作物の拡大部分斜視図である。

図8a〜図8cは、図7の工作物を横方向への傾きが異なる本発明に係る工具と共に示す概略部分側面図である。

図9a〜図9cは、本発明に係る方法の第2のステップを説明するための、工作物と本発明に係る工具との一実施形態の概略部分斜視図および側面図である。

図10a〜図10gは、図9a〜図9cの工作物と本発明に係る工具との別の実施形態の、工具の深さ設定が異なる概略部分斜視図および側面図である。

図11a〜図11gは、図9a〜図9cの工作物と本発明に係る工具との別の実施形態の、工具の深さ設定が異なる概略部分斜視図および側面図である。

図12a〜図12gは、本発明に係る方法の第3のステップを説明するための、図9a〜図11gの工作物と本発明に係る工具との実施形態の概略部分斜視図および側面図である。

図13a〜図13fは、本発明に係る方法の第3のステップを説明するための、図11a〜図11gの工作物と本発明に係る工具との実施形態の概略部分斜視図および側面図である。

図14a〜図14gは、本発明に係る方法の変更された第3のステップを説明するための、図13a〜図13fの工作物と本発明に係る工具との実施形態の概略部分斜視図である。

図15aおよび図15bは、本発明に係る方法のさらに変更された第3のステップを説明するための、図13a〜図13fの工作物と本発明に係る工具との実施形態の概略部分斜視図である。

図16a〜図16fは、本発明に係る方法の第4のステップを説明するための、工作物と本発明に係る工具との上記の実施形態の概略部分斜視図である。

図17aおよび図17bは、底面が平坦なポケットを有する工作物の概略斜視図ならびに、図17aの底面が平坦なポケットを有する工作物を図4aおよび図4bの本発明に係る工具と共に示す概略部分側面図である。

本発明に従って形成された工具10と工具10を用いて加工するための本発明に係る方法との様々な実施形態についての以下の説明においては、相互に対応する同様の部分に同一の参照符号が付されている。工具10は、例えば、フライス工具および/またはミリングカッターとして設計され得るが、本発明はこれに限定されるものではない。

図1aおよび図1bに示すような本発明に係る方法のための工具10、特にフライス工具の実施形態において、工具10は、シャフト12と、該シャフト12に隣接する刃14とを含む。刃14は、工具10の側面16に配置され、円錐状凸状のデザインを有する切削輪郭18を備える。

上記および下記において用いられる「円錐状凸状のデザインおよび/または円錐形の凸状のデザインを有する切削輪郭を備える工具」という表現は、円錐角、すなわち、図1bおよび図2bにおいて垂直線で示す工具10の工具軸19と図1bおよび図2bにおいて破線で示す円錐形の輪郭とがなす角度と、この輪郭における湾曲半径RKを有する凸状のふくらみ(dent)とによって形成される形状を備える工具10を意味する。

したがって、工具10は、(直線的に)円錐形に延びているのではなくわずかにふくらんで(dented)やや凸状の形状となっている、ほぼ円錐形状の切削輪郭18を有する。このようにして、工作物の平坦面の表面品質を、特に機械の不正確さに関して工具10の公差に基づいて、著しく改善することができる。しかしながら、それと同時に、大きいステップ幅(本発明においてはその分だけ湾曲半径RKが大きくなる)などの純粋な円錐形の形状の工具の利点、または、適用時に工具シャフトと工具ホルダとが平面から離れるように傾けられる、純粋な円錐形の切削輪郭の有益な衝突回避性を、利用することができる。

平坦面30または平坦面30の少なくとも2つの加工セグメント44、44’、44’’は、円錐状凸状のデザインを有する切削輪郭18を側面16に有する工具10であって、該切削輪郭18が円錐形の輪郭によって形成され、該円錐形の輪郭が、該円錐形の輪郭と工具10の軸とがなす円錐角と、該円錐形の輪郭から外側に張り出す凸状のふくらみとを有する工具10を用いて加工される。

大きな湾曲半径RK、特にRK≧250mm、最も好ましくは≧500mmを有する円の一部分もしくは楕円面の一部分として設計された、工具10の側面16における円錐状凸状のデザインを有する切削輪郭18が、特別に有利であることが分かった。

さらに、工具10の側面16における円錐状凸状のデザインを有する切削輪郭18は、一定のまたは変化する湾曲半径RKを有する円の一部分、楕円面の一部分、もしくは曲線の一部分として、有益に設計され得る。

図1aおよび図1bの本実施形態においては、工具10の側面16における円錐状凸状のデザインを有する切削輪郭18は、対称に設計されている。すなわち、平坦な経路からのずれが中心で最大となるように形成されている。但し、詳細には図示しないが、円錐状凸状のデザインを有する切削輪郭18は、非対称に設計されていてもよい。

図1aおよび図1bに示すように、工具10の側面16における円錐状凸状のデザインを有する切削輪郭18は、工具10のシャフト12に直接に隣接して配置される。

円錐状凸状のデザインを有する切削輪郭18は、工具10の平坦な前面20および/または前側および/または前部にも移行し、そこに実質的に融合する。

図2aおよび図2bに示す本発明に係る方法のための工具10の実施形態は、工具10が、平坦な前面20の代わりに、追加的な球状の前面22および/または前側および/または前部を備えている点のみが、図1aおよび図1bのものと異なる。このため、円錐状凸状のデザインを有する切削輪郭18は、工具10の球状の前面22および/または前側および/または前部へ変化していく。

図3aおよび図3bに、本発明に係る方法のための工具10のさらに別の実施形態を提示する。本実施形態においては、工具10の側面16における円錐状凸状のデザインを有する切削輪郭18が、工具10のシャフト12に間接的に隣接して配置されている。工具10のシャフト12と側面16との間の丸みのついた追加的な移行部24は、このためのものである。

さらに加えて、図4aおよび図4bは、ポケットの底面のような本質的に水平な平坦面30の加工に特に適した、工具10の別の例示的な実施形態を示す。工具10の側面16における円錐状凸状のデザインを有する切削輪郭18は、ここでは、より急勾配に延びている(基礎となる円錐形の輪郭の円錐角がより大きい)。図4aおよび図4bの実施形態において、工具10は、図2aおよび図2bに準じた球状の前面22および/または前側および/または前部と、図3aおよび図3bに準じたシャフト12と側面16との間の丸みのついた追加的な移行部24とを備える。詳細には図示しないが、これらの追加的な形態要素を備えていないかまたは他のデザインの実施形態も、何ら問題なく可能である。

機械において使用される際、工具10は、図5aに概略的に示すように、シャフト12を介してホルダ26に固定され、そして、ホルダ26は機械スピンドル28に連結される。ホルダの幾何学的形状は種類によって異なる。突き出し長さ、すなわち、工具10がホルダ26から突出する長さは、変更可能である。

本発明に係る方法は、工作物32の平坦面30および/または平面を特にフライス工具の形態の工具10を用いて加工するのに非常に有益に適している。工具10の刃14は、平坦面を能率よくかつ衝突を起こさずに5軸加工することを達成するために用いられる、円錐状凸状にデザインされた形状を有する。

本発明に係る方法は、球状の前面22と丸みのついた移行部24とを備える本発明に係る工具10の特に代表的な設計に基づいて純粋に例示として詳細に説明する以下の個々の処理ステップからなるが、これらに限定されるものではない。

第1のステップにおいて、平坦面30および/または平面に対する工具10の横方向への傾き、すなわち、平坦面30から離れる方向への傾きが、図5a〜図8cに従って決定される。この目的は、円錐状凸状のデザインを有する切削輪郭18を平坦面30および/または平面に対して適切に適用し、適応させることである。

図5a〜図5cに概略的に示すように、垂直線に対する、かつ/あるいは、一実施形態の本例においては垂直に延びる平坦面30および/または平面に対する、横方向への傾きαは、工具10の切削輪郭18が接点34において当該平面に触れるように設定される。

刃14の円錐状凸状形状18によって、傾斜角度αは比較的小さい範囲に特定される。この範囲内の任意の傾斜角度αを選択することができ、その傾斜角度によって工具10における接点34の正確な位置が決まる。

有益な接点34が、図6a〜図6dにおける選ばれた対応する傾斜角度αによって提示されている。

図6aでは、円錐状凸状のデザインを有する切削輪郭18の接点34が、工具10のシャフト12に面する上部領域36内の、平坦面30に接する工具10の側面16に位置している。図6aの実施形態の例では、接点34は、丸みのついた移行部24に直接に隣接している。

図6bでは、円錐状凸状のデザインを有する切削輪郭18の平坦面30との接点34は、切削輪郭18の中心と工具10のシャフト12に面しかつ/またはそれに隣接する上部領域36との間の領域38内にある。

図6cでは、円錐状凸状のデザインを有する切削輪郭18の平坦面30との接点34は、切削輪郭18の中心と工具10の前面22および/または前側および/または前部に面しかつ/あるいはそれに隣接して配置された下部領域42との間の領域40内に配置されている。

最後に、図6dでは、円錐状凸状のデザインを有する切削輪郭18の平坦面30との接点34は、工具10の前面22および/または前側および/または前部に面する下部領域42内に配置されている。図6dの実施形態の例では、接点34は、工具10の前面22および/または前側および/または前部に直接に隣接している。

傾斜角度αひいては接点34の選択と決定は、多くの状況において、有益でありながらも様々な方法で用いることができる。

平坦面30および/または平面間の移行領域をより高精度に作成するためには、2つの隣接面同士がなす角度が非常に大きい場合の加工には、図6aに示すような接点34を選択することが有益である。

そして、平坦面30および/または平面を下から上へマルチパス加工する際は、図6bに示すような、中心またはその上方の接点34が好ましい。これは、後続のパスの最適な重なりが確保され、平坦面30の上端をより良好に加工できるためである。

逆に、図6cに示すような、中心またはその下方の接点34は、上から下へのマルチパス加工において有益である。これは、一方では、後続のパスの最適な重なりがこのようにして確保され(切削輪郭18の下端からの距離がパス間距離と等しい接点34がここでは特に有益である)、他方では、平坦面30の下端により良好に到達できるためである。このことは、底面(図示せず)が隣接している場合に特に当てはまる。

平坦面30および/または平面間の移行領域をより高精度に作成するためには、2つの隣接面同士がなす角度がやや小さい場合の加工には、図6dに示すような接点34を選択することが有益であり得る。

図7は、上下に隣接する他の2つの平坦面30’および30’’によって加工がより困難になっている平坦面30および/または平面の一例を示す。

平坦面30は、図8aに示すように、表面精度のために最適な、図6bまたは図6cの刃14の中間領域38または40内の接点34で加工される。

平坦面30とその上方の平坦面30’との間の移行領域は、図8bに示すように、図6aの刃14の上部領域36内の接点34でさらに良好に達成できる。このため、シャフト12への丸みのついた追加的な移行部24を有益に用いることも可能である。

そして、平坦面30とその下方の平坦面30’’および/または底面との間の移行領域については、図8cに示すように、図6dの刃14の下部領域42内の接点34が適している。このため、工具10は、刃14のちょうど中心またはその付近、すなわち、やや上方もしくは下方の領域38もしくは40内に位置する接点34を維持する場合に比べて、より深く進入することができる。その上、このことによって、コーナーを作成するために、追加的な球状の前面22を有益に係合させることも可能になる。

平坦面30および/または平面への刃14の適用または適応には、比較的小さい傾斜角度αしか必要とされない。工作物32の側方の平坦面30の加工を問題なく行うことが可能である。よって、特に、垂直な平坦面30および/または平面(ポケット内部も)に対して、回動軸にはわずかな応力しかかけないで非常に容易にアクセスできる。このような平坦面30上に工具を配置するために工具を90°回転させなければならない従来の方法と比較すると、このことは、本発明に係る方法および工具10の別の利点である。よって、機械の限られた作業空間内で大きい工作物32または部分に工具10を位置決めする問題をほとんど解決することができる。

本発明に係る方法の第2のステップにおいては、工具10のシャフト12もしくはホルダ26および/または該当する場合には機械スピンドル28と、その周囲の図9a〜図11gの工作物32の幾何学的形状との間で起こる可能性のある衝突が検討される。

したがって、選択された工具10の横方向への傾きαに基づいて、平坦面30の完全な加工が可能かどうか、すなわち、工具10の刃14を、工具10のシャフト12もしくはホルダ26または機械スピンドル28を周囲の構成要素の幾何学的形状に衝突させることなく、表面30および/または平面の全体に沿って(例えば、マルチパス加工に準じて)移動させることができるかどうかが検討される。工具10、ホルダ26、工作物32および/または部分は、切削計算の一般的な方法による衝突テストが可能なように、CADモデルの形態で存在することが好ましい。

以下において、衝突テスト中に生じる種々の例示的状況を説明する。以下の説明は、簡単化のために、引き続き、垂直な矩形状の平坦面30および/または平面に限定されている。詳細には図示しないが、傾斜した非矩形状の平坦面30および/または平面(例えば、台形状もしくは三角形状、または、湾曲した輪郭を有する)への移行は問題なく可能である。

図9a〜図9cによると、平坦面30の加工が隣接面によって阻害されることはない。衝突が起こることはない。

図10a〜図10dによると、左側の隣接面30’によって、平坦面30および/または平面へのアクセスが片側において困難になっている。

ある一定の深さ以降は、まず、工具10のシャフト12が、本例においては図10a〜図10dの隣接面30’に衝突する。図10e〜図10gから分かるように、さらに下方では、工具10のホルダ26と隣接面30’との衝突も起きる。

図11a〜図11eによると、隣接面30’および30’’によって、平坦面30および/または平面へのアクセスが2つの側および/または両側において困難になっている。

したがって、図11dおよび図11eによると工具10のシャフト12と隣接面30’および30’’との間で両方向の衝突が初期に起こり、図11fおよび図11gによるとさらに下では工具10のホルダ26と隣接面30’および30’’との間での衝突も起こる。

図示した片側および両側衝突の場合において、加工対象となる平坦面30に衝突の原因となる表面30’および30’’が直接に隣接していることは、本発明を限定するものではない。例えば、図示した表面30’および/または30’’が、それぞれ多数の部分表面からなり、該当する場合には、そのうちの平坦面30に直接には隣接していない部分表面のみが衝突の影響を受けることも考えられる。同様に、このことは、直接に隣接する表面30’および30’’との衝突は起こらないが、これらの表面に隣接する表面、つまりは間接にしか隣接していない表面との衝突が起こる場合も含んでいる。

図10a〜図10gおよび図11a〜図11gから明らかなように、平坦面30および/または平面を、衝突を起こさずに完全に加工することはできない。したがって、左右のコーナーにおいて工具経路を短縮しなければならず、そのことによって平坦面30および/または平面の縁に余分な材料が残ることになる。

第3のステップにおいては、図12a〜図15bによって衝突が判定されると、工具10を平坦面30および/または平面と平行な適切な回動角度βで回動させる。第1のステップにおいて決定された横方向への傾きαは、平坦面30および/または平面の全体にわたって維持される。すなわち、一定のままである。

図10a〜図10gおよび/または11a〜図11gに従って実施形態の図示した例と同様に衝突を回避するためには、工具10を、本発明に係る方法に従って、影響を受けるそれぞれの構成要素の幾何学的字形状に対して平坦面30および/または平面と平行な回動角度βだけ回動させる。

図12a〜図12eを参照すると、回動角度βの大きさは、シャフト12および/またはホルダ26との衝突が起こらないように、かつ/または、影響を受ける構成要素の幾何学的形状からのある所定の最小距離が満たされるように、選択される。これは、図10a〜図10gに示した一方向に制約のある状況に対しては、もはや十分である。図12a〜図12eは、前にシャフトが衝突した位置において工具10の向きが変更された工具10を示す。

図12fおよび図12gは、加工のさらなる過程において向きが変更された工具10を示す。ここでは、平坦面30および/または平面を、シャフトまたはホルダが衝突することなく、ほぼ完全に、コーナーの奥深くまで入り込んで加工することができる。

しかしながら、図11a〜図11gに基づいて説明した両側または両方向に制約のある状況については、この手順はまだ十分ではない。衝突を回避するために、平坦面30と平行な回動角度βが、両方向に制約のある平坦面30の一方の(例えば左)側で設定されると、この回動角度βは、他方の(例えば右)側の領域での加工を阻害することになり、逆もまた同じである。図11a〜図11gの実施形態の例においては、左側の衝突回避のために、工具10をホルダ26と共に左の隣接面30’から離して中間または右側に近づけるように回動させる回動角度βが決定される。該回動角度βは、右側の加工には適していない。この角度では、衝突、この場合にはホルダ26の衝突、が早い時期に生じるからである。

したがって、図13a〜図13fを参照すると、本発明に係る方法は、傾斜角度αを維持したまま、平坦面30および/または平面を個々の加工セグメント44および44’に構造化することを意図しており、加工セグメント44および44’のそれぞれに対して異なる回動角度βおよびβ’が設定される。言い換えれば、平坦面30および/または平面は、衝突が判定されると加工セグメント44および44’に分割され、衝突を回避するために、これらの加工セグメント44および44’のそれぞれに、工具10を平坦面30および/または平面と平行に回動させる回動角度βおよびβ’が割り当てられる、または割り振られる。

最も簡単な場合では、図13aに示すように、平坦面30が、中央または本質的に中央で、すなわち、2つの等しい大きさまたは略等しい大きさの加工セグメント44および44’に分割される。これにより、制約が片側のみになった2つの平坦面30および/または平面が得られる。

次いで、図12a〜図12gの平坦面30と平行な専用の衝突回避用回動角度βおよびβ’が平坦面30ごとに決定される。

図13a〜図13dを参照すると、第1の加工セグメント44の完了後、工具10が工作物32から持ち上げられ、回動され、図13d〜図13fを参照すると第2の加工セグメント44’に適用される。このようにして、平坦面30を完全にかつ衝突を起こさずに加工することが可能である。

異なる工具の向きβおよびβ’で作業する際、工具10の略円錐形であるかまたは円錐状凸状のデザインを有する切削輪郭18が非常に良い効果を発揮する。多くの機械は、回動軸の不正確さのために、それぞれ異なる回動角度βおよびβ’の2つの加工セグメント44および44’において、必要な横方向への傾きαを全く同じに調節することができない。工具10に一般的な平坦な円錐形の刃を用いた場合は、このことにより、加工セグメント44および44’に異なる模様の段差効果が生じる。これは、加工セグメント44および44’が直接に隣接しているために特に顕著である。これに対して、本発明に従って設計されたかつ/または本発明に係る方法の工具10の刃14の円錐状凸状のデザインを有する切削輪郭18は、機械の軸のある程度の不正確さを補償することができ、それにより、要求される表面品質に応じて衝突を回避するための上記の手法を実際的に実施することを可能にする。

図14aおよび図14cに概略的に示すように、上述の説明にもかかわらず、工具10を回動させることでシャフト12またはホルダ26と平坦面30’’および/または第2の加工領域44’に隣接する幾何学的形状との衝突が結局のところ加工セグメント44における何らかの状況において生じ得ることは、常に排除できるわけではない。このような状況は、特に、幅狭かつ/または帯状の平坦面30および/もしくは平面の場合、あるいは、比較的幅広のホルダ26または大きい回動角度βおよびβ’を用いる場合に生じる。

図14aおよび図14bによると、前述の例において用いられていたホルダ26が、より大きいホルダ26に置き換えられている。工具10の前面22および/または前側および/または前部および/または先端が、この文脈において第1の加工セグメント44においてある一定の深さに到達すると、ホルダ26が、第2の加工セグメント44’の右側に隣接する平坦面30’’などの隣接する幾何学的形状の上部にぶつかる。

図14cに、より詳細に示すように、本発明に係る方法により、平坦面30および/または平面が、この場合はもう一回、分割される。このことにより、2つの縮小された外側加工セグメント44および44’と中間の追加の加工セグメント44’’とが得られる。

図14dおよび図14eによると、2つの外側加工セグメント44および44’のそれぞれにおいて、上記のように、工具10を平坦面30および/または平面と平行な回動角度βおよびβ’だけ回動させる。加工セグメント44および44’の幅が縮小したことによって、今度は、いずれの場合にも、完全にかつ無衝突で加工することが可能になる。

図14dおよび図14eは、工具10の前面22および/または先端が加工セグメント44および44’の内側縁に位置しているときに、工具ホルダ26が構成要素の幾何学的形状、すなわち、左右の隣接面30’および30’’からある一定の距離を依然として満たしていることを示す。このため、平坦面30を、シャフト12および/またはホルダ26と構成要素の幾何学的形状との間の所定の最小距離に基づいて各領域に分割することが可能である。2つの外側加工セグメント44および44’は工具10がどの位置にあってもこの最小距離が満たされるだけの幅を有している。

図14fおよび図14gに示すように、本発明に係る方法のこのような実施は、中間の加工セグメント44’’においては回動角度βおよびβ’なしで、すなわち、図9a〜図9cの独立している平坦面30に係る横方向への傾斜角度αだけで機能する。

図15aおよび図15bに基づき、平坦面30または平坦面30の少なくとも2つの加工セグメント44、44’、および44’’が工具10によってマルチパスで加工される、両側または二方向の制約に対する本発明に係る方法の別の有益な変更について説明する。少なくとも1つの加工セグメント44の工具10の回動角度βからここでは少なくとも別の加工セグメント44’の工具10の回動角度β’へ、また、その逆に、連続的に補間される。結果として、工具10は、加工セグメント44、44’、および44’’にわたるマルチパスにおいて、算出された回動角度βおよびβ’の間で連続的に前後に揺動する。

平坦面30および/または平面を加工セグメント44、44’、および44’’に分割することと、一定の回動角度β、β’を決定することとは、いずれにせよ、暫定的な(interim)ステップにすぎない。

加工セグメント44、44’、および44’’間で工具10を工作物32から持ち上げて回動させることはこのためには必要ない。工具10の連続的な動きは、衝突回避の点でも有利である。なぜなら、コーナー、すなわち、衝突回避が実際に必要とされる場所でのみ、それぞれの対向するコーナーとの衝突を引き起こすかもしれない最大回動角度β、β’に到達するからである。

図15bによると、工具10のこのような動きは、図10a〜図10gに示すような平坦面30の片側のみの制約においても同様に有益である。その場合には、回動角度βは、制約のない側における0°および/もしくは所定の最小角度から、制約のある側における、衝突を回避するために本発明に係る方法で算出された回動角度βおよび/もしくはβ’へ、かつ/または、その逆に、連続的に推移する。

最後に、第4の最終ステップにおいて、加工セグメント44、44’、および44’’のための図16a〜図16fの工具経路46および46’が算出される。

最初の3つのステップにより、平坦面30および/または平面に対する傾斜角度αと、平坦面30の各加工セグメント44、44’、44’’において工具10を案内しなければならない平坦面30および/または平面と平行な回動角度β、β’とに関する情報を入手可能である。工具経路46および46’は、これに基づいて算出される。これに含まれる位置情報は、常に、工具10における特定の固定された基準点、通常は、前面22の中心または工具10の軸上の別の点を参照する。

工具経路46および46’の算出は、特定のパターンに基づいて行われる。

図16a〜図16dによると、工具経路46は水平または本質的に水平であることが好ましい。いずれにせよ、水平パスのパターンが得られる。

図16a〜図16cは、種々の実施形態のための例示的な工具経路46を示し、具体的には、図16aは、図9a〜図9cに係る無衝突のためのもの、図16bは、図10a〜図10gに係る片側の制約のためのもの、図16cは、図13a〜図13fに係る両側または二方向の制約のためのものを示す。ここで、2つの加工セグメント44および44’は、異なる破線によって明らかになっているように、別々に順次加工される。

図16dは、加工セグメント44および44’間で揺動する工具10の動きが行われる図15aの実施形態における工具経路46をさらに示す。ここでは、ライン毎に加工セグメント44および44’が順次加工される。

図16a〜図16dに提示するようなこのような水平の工具経路46は、実際には、平面加工の分野において最もよく見られる。

しかしながら、原則的に、その他の例えば斜めのパターンも、図16eによると工具経路46および46’として可能である。詳細には図示しないが、加工セグメント44および44’における工具経路46は、水平のパターンのみ、斜めのパターンのみ、または水平のパターンと斜めのパターンの組合せで決定されることも考えられる。

図16fによると、3つの加工領域44、44’、および44’’に分割する場合には、両方のパターンを混合して用いてもよい。中間の加工セグメント44’’においては、回動角度β、β’を用いないことから水平のパターンが工具経路46に適切なものとして提案されているが、加工セグメント44および44’では斜めのパターンが用いられている。

工具経路46および46’の全てのパターンにおいて、個々のパス間の距離は可変の値である。当然ながら、それは略円錐形の刃14の長さを超えるべきではなく、それよりも小さい値であり得る。この選択には、送り(infeed)、回転数、達成すべき表面精度、または接点34の選択などの様々なパラメータを導入することができる。ここでは工作物32の材料も関与し得る。

上記の図5a〜図8cによる本発明に係る方法の第1のステップの説明においては、垂直なおよび/または傾斜した平坦面30および/または平面が想定されていた。しかしながら、本発明に係る方法は、ポケットの底面などのような本質的に水平な平坦面30および/または平面も同様に加工することができ、同じ技術的利点を達成することが可能である。特に、低い位置にある平坦な底面であって、それゆえに届きにくい底面の場合は、図17aおよび図17bに示すように、図4aおよび図4bに準じた工具10の実施形態の使用が非常に適している。切削輪郭18がより急勾配であるので、平坦な底面30への適用または適応のためには、工具軸19と表面30に対する垂直線48とがなす工具10の傾斜角度αはわずかでよい。よって、アクセスしにくい深いポケットであっても、底の平坦面30に容易に届かせて加工することができる。

本発明は、図1a〜図17bによる本発明に係る方法の図示した実施形態に限定されない。よって、本発明に係る方法の上記実施形態をそれらの間でもしくはお互いにどのようにでも組み合わせることが可能である。さらに、本発明に係る方法は、好ましくはかつ最も具体的には、加工により平滑化する際の使用に適してはいるが、本発明は、加工の種類、すなわち、特に荒削りまたは平滑化処理とは、全く関係がない。最後に、本発明に係る方法は、片側および/または両側衝突を回避するために、例えば、矩形、非矩形、例えば台形もしくは三角形または湾曲状の輪郭の、垂直な表面、任意の傾きの表面、ならびに水平な平坦面30および/または平面、特にはポケットの底面などの、いかなる種類、大きさ、形状、および/または配置の平坦面の加工にも用いることができる。

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