焼結体およびその製造方法

申请号 JP2014050453 申请日 2014-03-13 公开(公告)号 JP2014208889A 公开(公告)日 2014-11-06
申请人 住友電気工業株式会社; Sumitomo Electric Ind Ltd; 发明人 TATSUMI NATSUO; KUKINO AKIRA; TSUNEKANE MASAFUMI;
摘要 【課題】本発明は、工具材料として用いた場合に、優れた高温硬度と耐欠損性とを有する焼結体およびその製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】本発明は、立方晶窒化ホウ素、Al2O3、AlON、SiAlON、TiC、TiCN、TiN、WCおよびダイヤモンドからなる群から選択される1種類以上よりなる硬質粒子と、(Co,Ni)3(Al,W,V,Ti)で表される金属相とを含むことを特徴とする焼結体である。【選択図】なし
权利要求
  • 立方晶窒化ホウ素、Al 、AlON、SiAlON、TiC、TiCN、TiN、WCおよびダイヤモンドからなる群から選択される1種類以上よりなる硬質粒子と、(Co,Ni) (Al,W,V,Ti)で表される金属相とを含む、焼結体。
  • 前記硬質粒子と、前記(Co,Ni) (Al,W,V,Ti)の金属相との両者が、焼結体中に分散された状態で含まれる、請求項1に記載の焼結体。
  • 前記金属相中において、Coの含有率が0〜90質量%であり、Niの含有率が0〜90質量%であり、Alの含有率が0.1〜15質量%であり、Wの含有率が0〜45質量%であり、Vの含有量が0〜25質量%であり、Tiの含有率が0〜25質量%であり、Al、W、VおよびTiの合計量の比率が50質量%以下である、請求項1または請求項2に記載の焼結体。
  • 前記金属相が、CoおよびNiからなるマトリックス相であるγ相と、(Co,Ni) (Al,W,V,Ti)の析出相である強化相とを含む、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の焼結体。
  • 前記強化相の平均結晶粒径が30〜1000nmである、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の焼結体。
  • 前記硬質粒子の平均粒径が0.1〜10μmであり、焼結体中の前記硬質粒子の含有率が50〜99体積%である、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の焼結体。
  • 前記硬質粒子にcBNを含む場合に、前記金属相中のCr、Mo、VおよびZrのそれぞれの含有量は0.1質量%以下である、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の焼結体。
  • Co、Ni、Al、W、VおよびTiを含む金属間化合物を合成する工程と、
    前記金属間化合物を粉砕して、金属間化合物粉末を得る工程と、
    前記金属間化合物粉末と前記硬質粒子の粉末とを混合して、混合粉末を得る工程と、
    前記混合粉末を10MPa〜16GPa、1000〜1800℃の条件で焼結する工程と、
    焼結後に500〜1800℃で時効処理を行う工程とを含む、
    請求項1に記載の焼結体の製造方法。
  • 说明书全文

    本発明は、焼結体およびその製造方法に関する。

    切削加工などに用いられる切削工具の材料として、炭化タングステン(WC)や立法晶窒化ホウ素(cBN)などの硬質粒子をCoやNiを主体とした金属で結合した焼結体が市販されている。 これらの焼結体は、耐欠損性は高いものの、結合金属相が高温で軟化するため、切削工具として使用した場合、耐摩耗性が低下したり、被削材金属が工具に溶着して工具が損傷するなどの問題があった。 特に近年は、耐熱合金など、難削材に対する切削工具性能の向上の要求が強まっている。

    cBNやサーメットなどの焼結体の切削性能を改善するために、TiNやAl などのコーティングが行われてきた(特許文献1:特開昭59−8679号公報)。

    特開昭59−8679号公報

    しかし、高温での硬度の維持と耐欠損性を十分に維持することは困難であった。 特に近年は、耐熱合金など、難削材に対する切削工具性能の向上の要求が強まっている。

    上記の事情に鑑みて、本発明は、工具材料として用いた場合に、優れた高温硬度と耐欠損性とを有する焼結体およびその製造方法を提供することを目的とする。

    本願1の発明は、
    (1)硬質粒子として立方晶窒化ホウ素(cBN)、Al 、AlON、SiAlON、TiC、TiCN、TiN、WCおよびダイヤモンドからなる群から選択される1種類以上よりなる硬質粒子と、(Co,Ni) (Al,W,V,Ti)で表される金属相とを含むことを特徴とする焼結体である。

    本発明によれば、工具材料として用いた場合に、優れた高温硬度と耐欠損性を有する焼結体を得ることができる。

    [本願発明の実施形態の説明]
    最初に本願発明の実施形態の内容を列記して説明する。

    本願の実施形態に係る発明は、(1)硬質粒子として立方晶窒化ホウ素(cBN)、Al 、AlON、SiAlON、TiC、TiCN、TiN、WCおよびダイヤモンドからなる群から選択される1種類以上よりなる硬質粒子と、(Co,Ni) (Al,W,V,Ti)で表される金属相とを含むことを特徴とする焼結体である。 このような焼結体は、工具材料として用いた場合に、優れた高温硬度と耐欠損性を有する。

    (2)前記硬質粒子と、(Co,Ni) (Al,W,V,Ti)の金属相との両者は、焼結体中に分散された状態で含まれることが好ましい。 これにより、高温硬度と耐欠損性を両立させた焼結体を得ることができる。

    (3)前記金属相中において、Coの含有率が0〜90質量%であり、Niの含有率が0〜90質量%であり、Alの含有率が0.1〜15質量%であり、Wの含有率が0〜45質量%であり、Vの含有量が0〜25質量%であり、Tiの含有率が0〜25質量%であり、Al、W、VおよびTiの合計量の比率が50質量%以下であることが好ましい。 これにより、時効処理後に高温硬度の高い強化相((Co,Ni) (Al,W,V,Ti)の析出相)が析出し、焼結体の高温硬度を上げることができる。

    (4)前記金属相が、CoおよびNiからなるマトリックス相であるγ相と、(Co,Ni) (Al,W,V,Ti)の析出相である強化相とを含むことが好ましい。 これにより、焼結体の高温硬度を上げることができる。 ここで強化相とは、Ni Alなどに代表されるL1 構造(γ'相)、Ni Vなどに代表されるD0 22相(γ”相)、Ni Tiなどに代表されるD0 24構造など、優れた高温強度特性を持つ析出相のことである。

    (5)前記強化相の平均結晶粒径は、30〜1000nmであることが好ましい。 この範囲である場合、得られる焼結体の高温硬度がより高くなるからである。

    (6)前記硬質粒子の平均粒径が0.1〜10μmであり、焼結体中の前記硬質粒子の含有率が50〜99体積%であることが好ましい。 このような粒径範囲と組成範囲である場合、得られる焼結体の硬度がより高くなるからである。

    (7)前記硬質粒子にcBNを含む場合に、前記金属相中のCr、Mo、VおよびZrのそれぞれの含有量は0.1質量%以下であることが好ましい。 Cr、Mo、V、Zrのいずれかの添加量が0.1質量%を超えると、Cr、Mo、VおよびZrの触媒反応により、時効処理の際にcBNが柔らかい六方晶窒化ホウ素(hBN)に変化してしまう畏れがあるためである。

    (8)本発明は、上記の焼結体の製造方法であって、Co、Ni、Al、W、VおよびTiを含む金属間化合物を合成する工程と、前記金属間化合物を粉砕して、金属間化合物粉末を得る工程と、前記金属間化合物粉末と前記硬質粒子の粉末とを混合して、混合粉末を得る工程と、前記混合粉末を10MPa〜16GPa、1000〜1800℃の条件で焼結する工程と、焼結後に500〜1100℃で時効処理を行う工程とを含む、製造方法にも関する。 10MPa〜16GPaの圧と、1000〜1800℃の温度で焼結することにより、硬質粒子と金属間化合物の緻密な焼結体を形成できる。 また、時効化処理を行うことにより、γ相(高靭性のCoおよびNiからなるマトリクス相)中に高温硬度の高い強化相((Co、Ni) (Al、W、V、Ti)の析出相)が形成され、高温硬度の高い焼結体を形成することができる。

    [本願発明の実施形態の詳細]
    本発明の焼結体は、立方晶窒化ホウ素、Al 、AlON、SiAlON、TiC、TiCN、TiN、WCおよびダイヤモンドからなる群から選択される1種類以上よりなる硬質粒子と、(Co,Ni) (Al,W,V,Ti)で表される金属相とを含むことを特徴とする。 (Co,Ni) (Al,W,V,Ti)の金属相とは、CoおよびNiの合計と、Al,W,VおよびTiの合計との比が3:1となるような元素比率組成を主として構成される、強化相を意味する。 ここで、(Co,Ni) (Al,W,V,Ti)と表現しているが、強化相として最適な金属相を示しているのであり、このうちCo,W,V,Tiについては含有しなくても良い。

    前記硬質粒子と、(Co,Ni) (Al,W,V,Ti)の金属相との両者は、CoおよびNiからなるマトリックス相であるγ相と共に焼結体中に分散された状態で含まれることが好ましい。 これにより、高温硬度と耐欠損性を両立させた焼結体を得ることができる。 両者は、焼結体中に均一に分散された状態で含まれていることが、より好ましい。

    本発明の一実施の形態においては、まず、Co、Ni、Al、W、VおよびTiを原料として使用し、アトマイズ、アーク溶解、またはプラズマ処理などにより、金属間化合物を作製する。 この金属間化合物を用いて、(Co,Ni) (Al,W,V,Ti)の金属相が構成される。

    (Co,Ni) (Al,W,V,Ti)の金属相の全量に対して、Coの含有率が0〜90質量%であり、Niの含有率が0〜90質量%であり、Alの含有率が0.1〜15質量%であり、Wの含有率が0〜45質量%であり、Vの含有量が0〜25質量%であり、Tiの含有率が0〜25質量%であり、Al、W、VおよびTiの合計量の比率が50質量%以下であることが好ましい。 これにより、時効処理後に高温硬度の高い強化相((Co,Ni) (Al,W,V,Ti)の析出相)が析出し、焼結体の高温硬度を上げることができる。 より好ましくは、Coの含有率が1〜50質量%、Niの含有率が1〜50質量%、Alの含有率が0.1〜10質量%、Wの含有率が3〜45質量%の組成である。

    なお、金属間化合物粉末を作製する際には、Co、Ni、Al、W、VおよびTi以外に、Nb、Ta、B、Cなどを添加しても良い。 ただし、硬質粒子にcBNを用いる場合、金属相の全量に対するCr、Mo、V、Zrのそれぞれの添加量は0.1質量%以下とすることが好ましい。 Cr、Mo、V、Zrのいずれかの添加量が0.1質量%を超えると、Cr、Mo、VおよびZrの触媒反応により、時効処理の際にcBNが柔らかい六方晶窒化ホウ素(hBN)に変化してしまう畏れがあるためである。 ここで、時効処理(時効硬化処理、析出熱処理)とは、硬さ、強さ又は耐食性などを増進させるために適切な温度、又はある種類の合金や質別に対しては室温で、溶体化処理(固溶化熱処理)した製品を均熱保持する処理(JIS W 1103 参照)を意味する。

    また、前記硬質粒子にcBNを用いる場合には、前記強化相が硬質粒子周辺において高いB濃度を含有することが好ましい。

    また、前記硬質粒子にAl ,AlON,SiAlONを用いる場合には、前記強化相が硬質粒子周辺においてその他の領域より高いAl濃度を含有することが好ましい。

    また、前記硬質粒子にTiC,TiCN,TiNを用いる場合には、前記強化相が硬質粒子周辺においてその他の領域より高いTi濃度を含有することが好ましい。

    また、前記硬質粒子にWCを用いる場合には、前記強化相が硬質粒子周辺においてその他の領域より高いW濃度を含有することが好ましい。

    また、硬質粒子として上記以外に、TiAlN、AlCrNなどを用いても良い。 TiAlNの場合は、前記強化相が硬質粒子周辺において他の領域より高いAl、Ti濃度を含有することが好ましい。 AlCrNの場合は、前記強化相が硬質粒子周辺において他の領域より高いAl、Cr濃度を含有し、(Co,Ni,Cr) (Al,W,V,Ti)を形成することが好ましい。

    さらに、焼結プロセスもしくは時効化処理プロセスによって、焼結体中にNi 20 Al などに代表される金属のアルミホウ化物を生成しても良い。 このようなアルミホウ化物を形成することにより、金属相とcBNとの結合力が強化され、耐欠損性の優れた焼結体が得られる。

    得られた金属間化合物は、例えばビーズミルやボールミル、ジェットミルなどによって粉砕されて、金属間化合物粉末となる。 金属間化合物粉末の平均粒径は、0.3〜3μmであることが好ましい。 ビーズミル/ボールミルに用いるビーズ/ボールとしては、例えば粒径0.1〜3mmのアルミナ製、窒化ケイ素製、超硬合金製ビーズ/ボールが挙げられ、分散媒としては、例えばエタノールやアセトン、液体窒素が挙げられる。 ビーズミル/ボールミルによる処理時間は、例えば30分〜10時間である。 ビーズミル/ボールミルにより得られたスラリーは、例えばN 中で乾燥させる。

    次に、得られた金属間化合物粉末と硬質粒子粉末を、ボールミルや乳鉢等によって混合する。 cBNは極めて硬度が高く、工具として高い切削性能を示す。 また、Al 、AlON、TiC、TiCN、TiN、TiAlN、AlCrNはFeに対して反応摩耗しにくい物性を持っているため、Feを含む鋳鉄、鋼、焼入鋼などの被削材に好適である。 また、SiAlON(α、β、立方晶のいずれの結晶構造も含む)はNiに対して反応摩耗しにくい物性を持っているため、インコネルなど耐熱合金に好適である。 またこれらの硬質粒子に加えて、Mo C、Cr 、TaC、NbC、VC、HfC、ZrC、AlN、CrN、TaN、NbN、VN、HfN、ZrNなどの硬質粒子を添加しても良い。 なお、TiC、TiCN、TiNを硬質粒子として用いる場合は、CoよりNiが多い方が硬質粒子と金属結合材との結合力が強くなり、耐欠損性が増加するため望ましい。 ボールミルに用いるボールとしては、例えばアルミナ製、窒化ケイ素製もしくは超硬合金製の直径3mmのボールが挙げられ、分散媒としては例えばエタノールやアセトン、液体窒素が挙げられる。 処理時間は、例えば3〜20時間である。 混合により得られたスラリーを、例えばN 中で乾燥させることにより混合粉末が得られる。

    得られた混合粉末を、Taカプセルに入れ、プレスによって焼結体を形成する。 圧力は10MPa〜16GPa、温度は1000〜1800℃で焼結することが好ましい。 これにより硬質粒子と金属間化合物の緻密な焼結体を形成できる。

    焼結後に、500〜1100℃で1〜24時間で時効化処理を行う。 これにより、γ相(高靭性のCoおよびNiからなるマトリクス相)中に高温硬度の高い強化相((Co、Ni) (Al、W、V、Ti)の析出相)が形成され、高温硬度の高い焼結体を形成することができる。 強化相単体では、粒界脆性を起こしやすい欠点を持っている。

    しかしながら本発明により、例えばcBNと焼結した状態で時効処理することにより、粒界へのホウ素添加効果が表れ、従来工具と比べてcBNとの焼結体は特に粒界破壊が起こりにくいため、高温硬度と耐欠損性を両立させた焼結体を得ることができる。

    また、Al 、AlON、SiAlONを硬質粒子として用いた場合は、硬質粒子と金属相との間に他の場所より高濃度Al領域が形成された(Co、Ni) (Al、W,V,Ti)の析出相が多数形成されるため、硬質粒子と金属相の結合力が増加し、耐欠損性の高い焼結体を得ることが出来る。

    また、TiC、TiCN、TiNを硬質粒子として用いた場合は、硬質粒子と金属相との間に高濃度Ti領域が形成された(Co、Ni) (Al、W、V、Ti)の析出相が形成され、硬質粒子と金属相の結合力が増加し、耐欠損性の高い焼結体を得ることが出来る。

    また、WCを硬質粒子として用いた場合は、硬質粒子と金属相との間に他の場所より高濃度W領域が形成された(Co、Ni) (Al、W,V,Ti)の析出相が多数形成されるため、硬質粒子と金属相の結合力が増加し、耐欠損性の高い焼結体を得ることが出来る。

    また、TiAlNを硬質粒子として用いた場合は、硬質粒子と金属相との間に他の場所より高いAl、Ti濃度を含有し、(Co,Ni) (Al,W,V,Ti)を形成されるため、硬質粒子と金属相の結合力が増加し、耐欠損性の高い焼結体を得ることが出来る。

    また、AlCrNを硬質粒子として用いた場合は、硬質粒子と金属相との間に他の場所より高いAl、Cr濃度を含有し、(Co,Ni,Cr) (Al,W,V,Ti)を形成されるため、硬質粒子と金属相の結合力が増加し、耐欠損性の高い焼結体を得ることが出来る。

    また、ダイヤモンドを硬質粒子として用いた場合は、硬質粒子と金属相との間において、C濃度が他の場所より高く、(CO,Ni) (Al,W,C)が形成されるため、硬質粒子と金属相の結合力が増加し、耐欠損性の高い焼結体を得ることが出来る。

    強化相の平均結晶粒径は30〜1000nmであることが好ましい。 この範囲である場合、得られる焼結体の高温硬度がより高くなるからである。

    硬質粒子の平均粒径は0.1〜10μmであることが好ましく、焼結体中の硬質粒子の含有率は50〜99体積%であることが好ましい。 このような粒径範囲と組成範囲である場合、得られる焼結体の硬度がより高くなるからである。 なお、硬質粒子の平均粒径は、マイクロトラックなどの粒度分布測定機により測定することができる。

    なお、本発明の焼結体は、不可避不純物としてB、N、O等を本発明の効果を損なわない範囲で含んでいてもよい。

    以下に、本発明を実施例を用いて詳細に説明するが、これらの実施例は例示的なものであり、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。

    [実施例1〜37]
    (粉末の作製)
    表1〜4の「金属間化合物組成(体積%)」欄に記載の割合となるようにCo、Ni、Al、W、VおよびTiを混合し、アトマイズ法により金属間化合物を作製した。 これを粒径0.5mmのアルミナビーズを用い、ビーズミルによって粉砕した。 得られたスラリーをN 雰囲気中で乾燥させ、金属間化合物粉末を得た。

    次に、該金属間化合物粉末と表1〜3に記載の硬質粒子粉末とを超硬合金製の直径3mmのボールとエタノールと共にボールミルに投入し、5時間混合した。 得られたスラリーをN 雰囲気中で乾燥させ、混合粉末を得た。

    (焼結体の作製)
    次に、得られた混合粉末をタンタル製のカプセルに充填し、プレス機を用いて、表1〜4の「焼結条件」欄に記載の圧力および温度で焼結処理を行い、焼結体を作製した。

    (時効処理)
    得られた焼結体をアルゴン雰囲気炉で表1〜4の「時効処理条件」欄に記載の温度と時間で時効処理を行い、強化相を析出させた。

    (焼結体の測定)
    強化相の平均結晶粒径は、焼結体を研磨した後、SEMによる撮影像を基にして測定した。 具体的には、SEM撮影像の測定範囲内にある結晶粒数Nを数え、測定範囲の全面積A を結晶粒数Nで除して結晶粒1個あたりの面積A を求めた。 結晶粒の形状を円と仮定して,A から半径を算出して、その値を平均結晶粒径d AVEとした。

    また、硬質粒子にcBN、Al 、AlON、SiAlON、TiC、TiCN、TiNまたはWCを用いた試料については、常温における焼結体の硬度、および、800℃における焼結体の硬度(高温硬度)を、アルゴン雰囲気下で、ビッカース硬度計によって測定した。 なお、硬質粒子にダイヤモンドを用いた試料については、硬度測定は不可能であった。 また、硬質粒子にcBNを用いた試料については、XRD強度を測定することにより、時効処理後の際にcBNが低硬度の六方晶窒化ホウ素(hBN)に変換されていないことを確認した。

    (切削工具の作製)
    得られた焼結体を、ワイヤー放電加工により切断して仕上げ加工し、先端ノーズR0.8mmの切削工具を作製した。

    比較例1〜4として、表2に示すようにCr、Mo、V、Zr濃度が高いcBN焼結体を作製し、XRD測定と切削工具の作製を行った。 また、表2および3に示すように、比較例5として、80体積%のWC(炭化タングステン)および20体積%のCoからなる超硬合金を、比較例6として、80体積%のTiC(炭化チタン)および20体積%のNiからなるサーメットを用いて、上記と同様の切削工具を作製した。 また、表4に示すように、比較例7〜8として、90体積%のダイヤモンドおよび10体積%のCoからなるダイヤモンド焼結体を用いて、上記と同様の切削工具を作製した。

    (切削試験1)
    得られた切削工具を用いて、実施例1〜28と比較例1〜5については以下の切削条件でインコネル(登録商標)718(商品名、インコネル社製)を被削材としてNC旋盤で切削試験を行い、0.7km切削後の各切削工具の逃げ面の摩耗量(μm)を測定した。

    切削速度:200m/min.
    切込み量:0.2mm
    送り量:0.1mm/rev
    切削油:あり 結果を表1および2に示す。

    (評価結果1)
    実施例1〜28の焼結体および切削工具は、比較例1〜5の焼結体および切削工具よりも、耐熱合金に対する耐摩耗性が優れていた。

    (切削試験2)
    得られた切削工具を用いて、実施例29〜37と比較例6については以下の切削条件で焼入鋼SCM415を被削材としてNC旋盤で切削試験を行い、3.0km切削後の各切削工具の逃げ面の摩耗量(μm)を測定した。

    切削速度:100m/min.
    切込み量:0.1mm
    送り量:0.1mm/rev
    切削油:あり 結果を表3に示す。

    (評価結果2)
    実施例29〜37の焼結体および切削工具は、比較例6の焼結体および切削工具よりも、焼入鋼に対する耐摩耗性が優れていた。

    (切削試験3)
    得られた切削工具を用いて、実施例38〜47と比較例7〜8については以下の切削条件でアルミニウム合金A390(17%Si−Al合金)を被削材としてNC旋盤で切削試験を行い、5.0km切削後の各切削工具の逃げ面の摩耗量(μm)を測定した。

    切削速度:500m/min.
    切込み量:0.5mm
    送り量:0.12mm/rev
    切削油:あり 結果を表4に示す。

    (評価結果3)
    実施例38〜47の焼結体および切削工具は、比較例7〜8の焼結体および切削工具よりも、アルミニウム合金に対する耐摩耗性が優れていた。

    今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。 本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

    本発明による焼結体は、切削工具に広く利用することができ、長距離にわたって、被削材の表面に平滑な切削表面を形成することができる。 特に、高温での硬度の高い被削材、耐熱合金からなる被削材、鉄系材料を含む被削材を切削するための切削工具に好適に利用することができる。

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