Method of manufacturing the automotive door hinge

申请号 JP2010281433 申请日 2010-12-17 公开(公告)号 JP4792536B1 公开(公告)日 2011-10-12
申请人 和也 小川; 弘士 小川; 发明人 和也 小川; 弘士 小川; 道弘 横山;
摘要 Provided is a method of manufacturing an automobile door hinge having high strength from a round steel bar at low cost through a process including hot forging and punching. The method includes hot forging a round steel bar to form a forged workpiece 33a including a mounting portion, an arm portion, and a column portion 7a that has a horizontal cross section having a circular shape; and forming a shaft hole 6, into which a hinge pin is to be inserted, by punching the column portion 7a so that the shaft hole 6 extends through an axial center of the column portion 7a by using a special die 52a and a punch 51. The die 52a has a gap formed therein so that, during punching, a slug is not generated and the column portion 7a expands outward when the punch 51 is pressed into the column portion 7a from a punching start point to a predetermined dimension, and a slug is generated and discharged when the punch 51 is pressed into the column portion 7a from the predetermined dimension to a punching end point. Thus, the shaft hole 6 can be formed so as to have a height that is twice the diameter thereof or larger. Therefore, with the manufacturing method, an automobile door hinge having high strength can be manufactured at low cost.
权利要求
  • 帯板状の取付部と、取付部から屈曲した帯板状の腕部と、腕部の端部にヒンジ用ピンを挿入する軸孔を有す る円筒状の係合部とを備えた鋼製の自動車用ドアヒンジを熱間鍛造、パンチング等により製造する方法であって、
    鋼製の丸棒を熱間鍛造により帯板状の取付部と、取付部から屈曲した帯板状の腕部と、腕部の端部に水平断面が円形状又は楕円形状の柱状部とを形成する熱間鍛造工程と、
    前記熱間鍛造工程により形成された前記柱状部に軸心を貫通してヒンジ用ピンを挿入する軸孔を第一パンチ及び第一ダイスで形成する軸孔形成工程と、
    前記軸孔形成工程で形成された前記軸孔に対して、第二パンチ及び第二ダイスで前記第一パンチの加工終端側からパンチングを行う軸孔仕上工程とを有し、
    前記熱間鍛造工程は、下型に950℃〜1350℃に加熱した丸棒を載置して上型を複数回打ち下ろして両型により所定形状の鍛造品に成形し、
    前記下型は、前記熱間鍛造工程により成形される前記鍛造品の屈曲部が下方に突出するように、前記鍛造品の前記屈曲部の突出側の面を受入れる凹部を形成し、
    前記上型は、前記鍛造品の前記屈曲部の突出側の反対面に合致する凸部を形成し、
    前記軸孔形成工程により形成された前記軸孔の前記柱状部の高さを該軸孔の直径の2.0倍以上とし、
    前記軸孔形成工程における前記第一パンチは、先端が円錐角度70°〜120°の円錐状であり、
    前記第一ダイスは、前記鍛造品の前記柱状部の外周から隙間をあけた内側壁を有するとともに、前記柱状部の外周と前記内側壁とで形成される隙間容積は、前記鍛造品の前記柱状部に前記第一パンチによりパンチングする際に、前記第一パンチが加工始端側から所定寸法までは形成される孔部が抜きカスとならずに前記柱状部が外方に膨出し、前記第一パンチが前記所定寸法から加工終端までは形成される孔部が抜きカスとなって排出される大きさに形成しており、
    前記第二ダイスは、前記第一ダイスと略同一の形状であり、
    前記第二パンチは、先端が70°〜120°の円錐角度を持つ円錐台状又は円錐状であり、最大径を前記第一パンチの最大径よりも0.1mm〜0.3mm大きくしたことを特徴とする自動車用ドアヒンジの製造方法。
  • 帯板状の取付部と、取付部から屈曲した帯板状の腕部と、腕部の端部にヒンジ用ピンを挿入する軸孔を有す る円筒状であって前記円筒状の先端側にドアの開止め用突起部を有する突起部付係合部とを備えた鋼製の自動車用ドアヒンジを熱間鍛造、パンチング等により製造する方法であって、
    鋼製の丸棒を熱間鍛造により帯板状の取付部と、取付部から屈曲した帯板状の腕部と、腕部の端部に水平断面が円形状又は楕円形状であって前記円形状又は楕円形状の先端側にドアの開止め用突起部を有する突起部付柱状部とを形成する熱間鍛造工程と、
    前記熱間鍛造工程により形成された前記突起部付柱状部に軸心を貫通してヒンジ用ピンを挿入する軸孔を第一パンチ及び第一ダイスで形成する軸孔形成工程と、
    前記軸孔形成工程で形成された前記軸孔に対して、第二パンチ及び第二ダイスで前記第一パンチの加工終端側からパンチングを行う軸孔仕上工程とを有し、
    前記熱間鍛造工程は、下型に950℃〜1350℃に加熱した丸棒を載置して上型を複数回打ち下ろして両型により所定形状の鍛造品に成形し、
    前記下型は、前記熱間鍛造工程により成形される前記鍛造品の屈曲部が下方に突出するように、前記鍛造品の前記屈曲部の突出側の面を受入れる凹部を形成し、
    前記上型は、前記鍛造品の前記屈曲部の突出側の反対面に合致する凸部を形成し、
    前記軸孔形成工程により形成された前記軸孔の前記突起部付柱状部の高さを該軸孔の直径の2.0倍以上とし、
    前記軸孔形成工程における前記第一パンチは、先端が円錐角度70°〜120°の円錐状であり、
    前記第一ダイスは、前記鍛造品の前記突起部付柱状部の外周から隙間をあけた内側壁を有するとともに、前記突起部付柱状部の外周と前記内側壁とで形成される隙間容積は、前記鍛造品の前記突起部付柱状部に前記第一パンチによりパンチングする際に、前記第一パンチが加工始端側から所定寸法までは形成される孔部が抜きカスとならずに前記突起部付柱状部が外方に膨出し、前記第一パンチが前記所定寸法から加工終端までは形成される孔部が抜きカスとなって排出される大きさに形成しており、
    前記第二ダイスは、前記第一ダイスと略同一の形状であり、
    前記第二パンチは、先端が70°〜120°の円錐角度を持つ円錐台状又は円錐状であり、最大径を前記第一パンチの最大径よりも0.1mm〜0.3mm大きくしたことを特徴とする自動車用ドアヒンジの製造方法。
  • 多角形状の板状の取付部と、取付部から屈曲した帯板状であって前記取付部の高さ方向の寸法よりも小さい寸法の腕部と、腕部の端部にヒンジ用ピンを挿入する軸孔を有す る円筒状の係合部とを備えた鋼製の自動車用ドアヒンジを熱間鍛造、パンチング等により製造する方法であって、
    鋼製の丸棒を熱間鍛造により多角形状の板状の取付部と、取付部から屈曲した帯板状であって前記取付部の高さ方向の寸法よりも小さい寸法の腕部と、腕部の端部に水平断面が円形状又は楕円形状の柱状部とを形成する熱間鍛造工程と、
    前記熱間鍛造工程により形成された前記柱状部に軸心を貫通してヒンジ用ピンを挿入する軸孔を第一パンチ及び第一ダイスで形成する軸孔形成工程と、
    前記軸孔形成工程で形成された前記軸孔に対して、第二パンチ及び第二ダイスで前記第一パンチの加工終端側からパンチングを行う軸孔仕上工程とを有し、
    前記熱間鍛造工程は、下型に950℃〜1350℃に加熱した丸棒を載置して上型を複数回打ち下ろして両型により所定形状の鍛造品に成形し、
    前記下型は、前記熱間鍛造工程により成形される前記鍛造品の屈曲部が下方に突出するように、前記鍛造品の前記屈曲部の突出側の面を受入れる凹部を形成し、
    前記上型は、前記鍛造品の前記屈曲部の突出側の反対面に合致する凸部を形成し、
    前記軸孔形成工程により形成された前記軸孔の前記柱状部の高さを該軸孔の直径の2.0倍以上とし、
    前記軸孔形成工程における前記第一パンチは、先端が円錐角度70°〜120°の円錐状であり、
    前記第一ダイスは、前記鍛造品の前記柱状部の外周から隙間をあけた内側壁を有するとともに、前記柱状部の外周と前記内側壁とで形成される隙間容積は、前記鍛造品の前記柱状部に前記第一パンチによりパンチングする際に、前記第一パンチが加工始端側から所定寸法までは形成される孔部が抜きカスとならずに前記柱状部が外方に膨出し、前記第一パンチが前記所定寸法から加工終端までは形成される孔部が抜きカスとなって排出される大きさに形成しており、
    前記第二ダイスは、前記第一ダイスと略同一の形状であり、
    前記第二パンチは、先端が70°〜120°の円錐角度を持つ円錐台状又は円錐状であり、最大径を前記第一パンチの最大径よりも0.1mm〜0.3mm大きくしたことを特徴とする自動車用ドアヒンジの製造方法。
  • 多角形状の板状の取付部と、取付部から屈曲した帯板状であって前記取付部の高さ方向の寸法よりも小さい寸法の腕部と、腕部の端部にヒンジ用ピンを挿入する軸孔を有す る円筒状であって前記円筒状の先端側にドアの開止め用の突起部を有する突起部付係合部とを備えた鋼製の自動車用ドアヒンジを熱間鍛造、パンチング等により製造する方法であって、
    鋼製の丸棒を熱間鍛造により多角形状の板状の取付部と、取付部から屈曲した帯板状であって前記取付部の高さ方向の寸法よりも小さい寸法の腕部と、腕部の端部に水平断面が円形状又は楕円形状であって前記円形状又は楕円形状の先端側にドアの開止め用の突起部を有する突起部付柱状部とを形成する熱間鍛造工程と、
    前記熱間鍛造工程により形成された前記突起部付柱状部に軸心を貫通してヒンジ用ピンを挿入する軸孔を第一パンチ及び第一ダイスで形成する軸孔形成工程と、
    前記軸孔形成工程で形成された前記軸孔に対して、第二パンチ及び第二ダイスで前記第一パンチの加工終端側からパンチングを行う軸孔仕上工程とを有し、
    前記熱間鍛造工程は、下型に950℃〜1350℃に加熱した丸棒を載置して上型を複数回打ち下ろして両型により所定形状の鍛造品に成形し、
    前記下型は、前記熱間鍛造工程により成形される前記鍛造品の屈曲部が下方に突出するように、前記鍛造品の前記屈曲部の突出側の面を受入れる凹部を形成し、
    前記上型は、前記鍛造品の前記屈曲部の突出側の反対面に合致する凸部を形成し、
    前記軸孔形成工程により形成された前記軸孔の前記突起部付柱状部の高さを該軸孔の直径の2.0倍以上とし、
    前記軸孔形成工程における前記第一パンチは、先端が円錐角度70°〜120°の円錐状であり、
    前記第一ダイスは、前記鍛造品の前記突起部付柱状部の外周から隙間をあけた内側壁を有するとともに、前記突起部付柱状部の外周と前記内側壁とで形成される隙間容積は、前記鍛造品の前記突起部付柱状部に前記第一パンチによりパンチングする際に、前記第一パンチが加工始端側から所定寸法までは形成される孔部が抜きカスとならずに前記突起部付柱状部が外方に膨出し、前記第一パンチが前記所定寸法から加工終端までは形成される孔部が抜きカスとなって排出される大きさに形成しており、
    前記第二ダイスは、前記第一ダイスと略同一の形状であり、
    前記第二パンチは、先端が70°〜120°の円錐角度を持つ円錐台状又は円錐状であり、最大径を前記第一パンチの最大径よりも0.1mm〜0.3mm大きくしたことを特徴とする自動車用ドアヒンジの製造方法。
  • 帯板状の取付部と、取付部から屈曲した位置にヒンジ用ピンを挿入する軸孔を有す る円筒状であって前記円筒状の先端側にドアの開止め用突起部を有する突起部付係合部とを備えた鋼製の自動車用ドアヒンジを熱間鍛造、パンチング等により製造する方法であって、
    鋼製の丸棒を熱間鍛造により帯板状の取付部と、取付部から屈曲した位置に水平断面が円形状又は楕円形状であって前記円形状又は楕円形状の先端側にドアの開止め用の突起部を有する突起部付柱状部とを形成する熱間鍛造工程と、
    前記熱間鍛造工程により形成された前記突起部付柱状部に軸心を貫通してヒンジ用ピンを挿入する軸孔を第一パンチ及び第一ダイスで形成する軸孔形成工程と、
    前記軸孔形成工程で形成された前記軸孔に対して、第二パンチ及び第二ダイスで前記第一パンチの加工終端側からパンチングを行う軸孔仕上工程とを有し、
    前記熱間鍛造工程は、下型に950℃〜1350℃に加熱した丸棒を載置して上型を複数回打ち下ろして両型により所定形状の鍛造品に成形し、
    前記下型は、前記熱間鍛造工程により成形される前記鍛造品の屈曲部が下方に突出するように、前記鍛造品の前記屈曲部の突出側の面を受入れる凹部を形成し、
    前記上型は、前記鍛造品の前記屈曲部の突出側の反対面に合致する凸部を形成し、
    前記軸孔形成工程により形成された前記軸孔の前記突起部付柱状部の高さを該軸孔の直径の2.0倍以上とし、
    前記軸孔形成工程における前記第一パンチは、先端が円錐角度70°〜120°の円錐状であり、
    前記第一ダイスは、前記鍛造品の前記突起部付柱状部の外周から隙間をあけた内側壁を有するとともに、前記突起部付柱状部の外周と前記内側壁とで形成される隙間容積は、前記鍛造品の前記突起部付柱状部に前記第一パンチによりパンチングする際に、前記第一パンチが加工始端側から所定寸法までは形成される孔部が抜きカスとならずに前記突起部付柱状部が外方に膨出し、前記第一パンチが前記所定寸法から加工終端までは形成される孔部が抜きカスとなって排出される大きさに形成しており、
    前記第二ダイスは、前記第一ダイスと略同一の形状であり、
    前記第二パンチは、先端が70°〜120°の円錐角度を持つ円錐台状又は円錐状であり、最大径を前記第一パンチの最大径よりも0.1mm〜0.3mm大きくしたことを特徴とする自動車用ドアヒンジの製造方法。
  • 帯板状の取付部と、取付部から屈曲した位置にヒンジ用ピンを挿入する軸孔を有す る円筒状の係合部とを備えた鋼製の自動車用ドアヒンジを熱間鍛造、パンチング等により製造する方法であって、
    鋼製の丸棒を熱間鍛造により帯板状の取付部と、取付部から屈曲した位置に水平断面が円形状又は楕円形状の柱状部とを形成する熱間鍛造工程と、
    前記熱間鍛造工程により形成された前記柱状部に軸心を貫通してヒンジ用ピンを挿入する軸孔を第一パンチ及び第一ダイスで形成する軸孔形成工程と、
    前記軸孔形成工程で形成された前記軸孔に対して、第二パンチ及び第二ダイスで前記第一パンチの加工終端側からパンチングを行う軸孔仕上工程とを有し、
    前記熱間鍛造工程は、下型に950℃〜1350℃に加熱した丸棒を載置して上型を複数回打ち下ろして両型により所定形状の鍛造品に成形し、
    前記下型は、前記熱間鍛造工程により成形される前記鍛造品の屈曲部が下方に突出するように、前記鍛造品の前記屈曲部の突出側の面を受入れる凹部を形成し、
    前記上型は、前記鍛造品の前記屈曲部の突出側の反対面に合致する凸部を形成し、
    前記軸孔形成工程により形成された前記軸孔の前記柱状部の高さを該軸孔の直径の2.0倍以上とし、
    前記軸孔形成工程における前記第一パンチは、先端が円錐角度70°〜120°の円錐状であり、
    前記第一ダイスは、前記鍛造品の前記柱状部の外周から隙間をあけた内側壁を有するとともに、前記柱状部の外周と前記内側壁とで形成される隙間容積は、前記鍛造品の前記柱状部に前記第一パンチによりパンチングする際に、前記第一パンチが加工始端側から所定寸法までは形成される孔部が抜きカスとならずに前記柱状部が外方に膨出し、前記第一パンチが前記所定寸法から加工終端までは形成される孔部が抜きカスとなって排出される大きさに形成しており、
    前記第二ダイスは、前記第一ダイスと略同一の形状であり、
    前記第二パンチは、先端が70°〜120°の円錐角度を持つ円錐台状又は円錐状であり、最大径を前記第一パンチの最大径よりも0.1mm〜0.3mm大きくしたことを特徴とする自動車用ドアヒンジの製造方法。
  • 前記熱間鍛造工程により成形された鍛造品のバリをトリミングプレス加工により除去するトリミング工程を有し、
    該トリミング工程は、前記熱間鍛造工程に続けて前記鍛造品が高温状態で行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の自動車用ドアヒンジの製造方法。
  • 前記熱間鍛造工程は、1200℃±50℃の丸棒を鍛造することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の自動車用ドアヒンジの製造方法。
  • 前記軸孔形成工程を冷間加工で行うことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の自動車用ドアヒンジの製造方法。
  • 請求項1若しくは3により製造した車両本体に取付ける車両本体側ドアヒンジと請求項5により製造したドアに取付けるドア側ドアヒンジ、又は請求項2若しくは4により製造した車両本体に取付ける車両本体側ドアヒンジと請求項6により製造したドアに取付けるドア側ドアヒンジとを、前記各ドアヒンジの前記軸孔に1本のヒンジ用頭付ピンを挿入し、前記ヒンジ用頭付ピンの端部をカシメ加工することにより一対の自動車用ドアヒンジとしたことを特徴とする自動車用ドアヒンジの製造方法。
  • 说明书全文

    本発明は、自動車用ドアヒンジの製造方法に係り、帯板状の取付部と、ヒンジ用ピンを挿入する軸孔を有する円筒状の係合部とを備えた鋼製の自動車用ドアヒンジを熱間鍛造、パンチング等により製造する方法であって、特に、熱間鍛造により形成された平断面が円形状又は楕円形状となる柱状部に軸心を貫通してヒンジ用ピンを挿入する軸孔を特殊なダイスとパンチとを用いて、軸孔の高さを孔径の2倍以上に形成できるようにして、十分な強度がありながら、製造費用の低減を図った製造方法に関する技術である。

    従来、自動車用ドアヒンジは、プレス成形等により安価に製造できる板金製のものが汎用されている(例えば、特許文献1参照)。
    また、従来、板金製の自動車用ドアヒンジは、強度が弱いために、ドアの重量が大きい大型車や高級車には、押出し加工により製造された型鋼を所要長さに切断し、切削加工により所要形状に形成したものが用いられている(例えば、特許文献2参照)。

    特開平8−197952号公報(段落0012、図2)

    特開2008−223247号公報(段落0002、図4)

    特許文献1に記載された板金製の自動車用ドアヒンジは、折曲部の板厚が薄くなり、かつ、この折曲部に大きな曲げモーメントが作用するため、ドアの開閉に伴う衝撃により破損が生じ易かった。
    また、車両本体側ドアヒンジに対してドア側ドアヒンジを回動可能に連結するヒンジ軸が露出して設けられているので、ドアの回動時に応が集中し破損し易かった。

    このように、板金製の自動車用ドアヒンジは、安価ではあるが、強度が小さいという問題があった。
    また、特許文献2に記載された切削加工製の自動車用ドアヒンジは、強度の面では満足できるものであるが、押出し加工による型鋼の製造費用が高く、さらに、切削加工にも多大の費用がかかり、全体としての製造費用が高いという問題があった。

    本発明はこのような従来の構成が有していた課題を解決しようとするものであり、鋼製の丸棒を熱間鍛造により帯板状の取付部と水平断面が円形状又は楕円形状の柱状部を形成するとともに、この円形状又は楕円形状となる柱状部に軸心を貫通してヒンジ用ピンを挿入する軸孔を特殊なダイスとパンチとを用いて、軸孔の高さを孔径の2倍以上に形成できるようにしたことにより十分な強度がありながら、製造費用の低減を図った自動車用ドアヒンジの製造方法を提供することを目的としている。

    請求項1に係る本発明の自動車用ドアヒンジの製造方法は、帯板状の取付部と、取付部から屈曲した帯板状の腕部と、腕部の端部にヒンジ用ピンを挿入する軸孔を有する円筒状の係合部とを備えた鋼製の自動車用ドアヒンジを熱間鍛造、パンチング等により製造する方法であって、
    鋼製の丸棒を熱間鍛造により帯板状の取付部と、取付部から屈曲した帯板状の腕部と、腕部の端部に水平断面が円形状又は楕円形状の柱状部とを形成する熱間鍛造工程と、
    前記熱間鍛造工程により形成された前記柱状部に軸心を貫通してヒンジ用ピンを挿入する軸孔を第一パンチ及び第一ダイスで形成する軸孔形成工程と、
    前記軸孔形成工程で形成された前記軸孔に対して、第二パンチ及び第二ダイスで前記第一パンチの加工終端側からパンチングを行う軸孔仕上工程とを有し、
    前記熱間鍛造工程は、下型に950℃〜1350℃に加熱した丸棒を載置して上型を複数回打ち下ろして両型により所定形状の鍛造品に成形し、
    前記下型は、前記熱間鍛造工程により成形される前記鍛造品の屈曲部が下方に突出するように、前記鍛造品の前記屈曲部の突出側の面を受入れる凹部を形成し、
    前記上型は、前記鍛造品の前記屈曲部の突出側の反対面に合致する凸部を形成し、
    前記軸孔形成工程により形成された前記軸孔の前記柱状部の高さを該軸孔の直径の2.0倍以上とし、
    前記軸孔形成工程における前記第一パンチは、先端が円錐度70°〜120°の円錐状であり、
    前記第一ダイスは、前記鍛造品の前記柱状部の外周から隙間をあけた内側壁を有するとともに、前記柱状部の外周と前記内側壁とで形成される隙間容積は、前記鍛造品の前記柱状部に前記第一パンチによりパンチングする際に、前記第一パンチが加工始端側から所定寸法までは形成される孔部が抜きカスとならずに前記柱状部が外方に膨出し、前記第一パンチが前記所定寸法から加工終端までは形成される孔部が抜きカスとなって排出される大きさに形成しており、
    前記第二ダイスは、前記第一ダイスと略同一の形状であり、
    前記第二パンチは、先端が70°〜120°の円錐角度を持つ円錐台状又は円錐状であり、最大径を前記第一パンチの最大径よりも0.1mm〜0.3mm大きくしたものである。

    請求項2に係る本発明の自動車用ドアヒンジの製造方法は、帯板状の取付部と、取付部から屈曲した帯板状の腕部と、腕部の端部にヒンジ用ピンを挿入する軸孔を有する円筒状であって前記円筒状の先端側にドアの開止め用突起部を有する突起部付係合部とを備えた鋼製の自動車用ドアヒンジを熱間鍛造、パンチング等により製造する方法であって、
    鋼製の丸棒を熱間鍛造により帯板状の取付部と、取付部から屈曲した帯板状の腕部と、腕部の端部に水平断面が円形状又は楕円形状であって前記円形状又は楕円形状の先端側にドアの開止め用突起部を有する突起部付柱状部とを形成する熱間鍛造工程と、
    前記熱間鍛造工程により形成された前記突起部付柱状部に軸心を貫通してヒンジ用ピンを挿入する軸孔を第一パンチ及び第一ダイスで形成する軸孔形成工程と、
    前記軸孔形成工程で形成された前記軸孔に対して、第二パンチ及び第二ダイスで前記第一パンチの加工終端側からパンチングを行う軸孔仕上工程とを有し、
    前記熱間鍛造工程は、下型に950℃〜1350℃に加熱した丸棒を載置して上型を複数回打ち下ろして両型により所定形状の鍛造品に成形し、
    前記下型は、前記熱間鍛造工程により成形される前記鍛造品の屈曲部が下方に突出するように、前記鍛造品の前記屈曲部の突出側の面を受入れる凹部を形成し、
    前記上型は、前記鍛造品の前記屈曲部の突出側の反対面に合致する凸部を形成し、
    前記軸孔形成工程により形成された前記軸孔の前記突起部付柱状部の高さを該軸孔の直径の2.0倍以上とし、
    前記軸孔形成工程における前記第一パンチは、先端が円錐角度70°〜120°の円錐状であり、
    前記第一ダイスは、前記鍛造品の前記突起部付柱状部の外周から隙間をあけた内側壁を有するとともに、前記突起部付柱状部の外周と前記内側壁とで形成される隙間容積は、前記鍛造品の前記突起部付柱状部に前記第一パンチによりパンチングする際に、前記第一パンチが加工始端側から所定寸法までは形成される孔部が抜きカスとならずに前記突起部付柱状部が外方に膨出し、前記第一パンチが前記所定寸法から加工終端までは形成される孔部が抜きカスとなって排出される大きさに形成しており、
    前記第二ダイスは、前記第一ダイスと略同一の形状であり、
    前記第二パンチは、先端が70°〜120°の円錐角度を持つ円錐台状又は円錐状であり、最大径を前記第一パンチの最大径よりも0.1mm〜0.3mm大きくしたものである。

    請求項3に係る本発明の自動車用ドアヒンジの製造方法は、多角形状の板状の取付部と、取付部から屈曲した帯板状であって前記取付部の高さ方向の寸法よりも小さい寸法の腕部と、腕部の端部にヒンジ用ピンを挿入する軸孔を有する円筒状の係合部とを備えた鋼製の自動車用ドアヒンジを熱間鍛造、パンチング等により製造する方法であって、
    鋼製の丸棒を熱間鍛造により多角形状の板状の取付部と、取付部から屈曲した帯板状であって前記取付部の高さ方向の寸法よりも小さい寸法の腕部と、腕部の端部に水平断面が円形状又は楕円形状の柱状部とを形成する熱間鍛造工程と、
    前記熱間鍛造工程により形成された前記柱状部に軸心を貫通してヒンジ用ピンを挿入する軸孔を第一パンチ及び第一ダイスで形成する軸孔形成工程と、
    前記軸孔形成工程で形成された前記軸孔に対して、第二パンチ及び第二ダイスで前記第一パンチの加工終端側からパンチングを行う軸孔仕上工程とを有し、
    前記熱間鍛造工程は、下型に950℃〜1350℃に加熱した丸棒を載置して上型を複数回打ち下ろして両型により所定形状の鍛造品に成形し、
    前記下型は、前記熱間鍛造工程により成形される前記鍛造品の屈曲部が下方に突出するように、前記鍛造品の前記屈曲部の突出側の面を受入れる凹部を形成し、
    前記上型は、前記鍛造品の前記屈曲部の突出側の反対面に合致する凸部を形成し、
    前記軸孔形成工程により形成された前記軸孔の前記柱状部の高さを該軸孔の直径の2.0倍以上とし、
    前記軸孔形成工程における前記第一パンチは、先端が円錐角度70°〜120°の円錐状であり、
    前記第一ダイスは、前記鍛造品の前記柱状部の外周から隙間をあけた内側壁を有するとともに、前記柱状部の外周と前記内側壁とで形成される隙間容積は、前記鍛造品の前記柱状部に前記第一パンチによりパンチングする際に、前記第一パンチが加工始端側から所定寸法までは形成される孔部が抜きカスとならずに前記柱状部が外方に膨出し、前記第一パンチが前記所定寸法から加工終端までは形成される孔部が抜きカスとなって排出される大きさに形成しており、
    前記第二ダイスは、前記第一ダイスと略同一の形状であり、
    前記第二パンチは、先端が70°〜120°の円錐角度を持つ円錐台状又は円錐状であり、最大径を前記第一パンチの最大径よりも0.1mm〜0.3mm大きくしたものである。

    請求項4に係る本発明の自動車用ドアヒンジの製造方法は、多角形状の板状の取付部と、取付部から屈曲した帯板状であって前記取付部の高さ方向の寸法よりも小さい寸法の腕部と、腕部の端部にヒンジ用ピンを挿入する軸孔を有する円筒状であって前記円筒状の先端側にドアの開止め用の突起部を有する突起部付係合部とを備えた鋼製の自動車用ドアヒンジを熱間鍛造、パンチング等により製造する方法であって、
    鋼製の丸棒を熱間鍛造により多角形状の板状の取付部と、取付部から屈曲した帯板状であって前記取付部の高さ方向の寸法よりも小さい寸法の腕部と、腕部の端部に水平断面が円形状又は楕円形状であって前記円形状又は楕円形状の先端側にドアの開止め用の突起部を有する突起部付柱状部とを形成する熱間鍛造工程と、
    前記熱間鍛造工程により形成された前記突起部付柱状部に軸心を貫通してヒンジ用ピンを挿入する軸孔を第一パンチ及び第一ダイスで形成する軸孔形成工程と、
    前記軸孔形成工程で形成された前記軸孔に対して、第二パンチ及び第二ダイスで前記第一パンチの加工終端側からパンチングを行う軸孔仕上工程とを有し、
    前記熱間鍛造工程は、下型に950℃〜1350℃に加熱した丸棒を載置して上型を複数回打ち下ろして両型により所定形状の鍛造品に成形し、
    前記下型は、前記熱間鍛造工程により成形される前記鍛造品の屈曲部が下方に突出するように、前記鍛造品の前記屈曲部の突出側の面を受入れる凹部を形成し、
    前記上型は、前記鍛造品の前記屈曲部の突出側の反対面に合致する凸部を形成し、
    前記軸孔形成工程により形成された前記軸孔の前記突起部付柱状部の高さを該軸孔の直径の2.0倍以上とし、
    前記軸孔形成工程における前記第一パンチは、先端が円錐角度70°〜120°の円錐状であり、
    前記第一ダイスは、前記鍛造品の前記突起部付柱状部の外周から隙間をあけた内側壁を有するとともに、前記突起部付柱状部の外周と前記内側壁とで形成される隙間容積は、前記鍛造品の前記突起部付柱状部に前記第一パンチによりパンチングする際に、前記第一パンチが加工始端側から所定寸法までは形成される孔部が抜きカスとならずに前記突起部付柱状部が外方に膨出し、前記第一パンチが前記所定寸法から加工終端までは形成される孔部が抜きカスとなって排出される大きさに形成しており、
    前記第二ダイスは、前記第一ダイスと略同一の形状であり、
    前記第二パンチは、先端が70°〜120°の円錐角度を持つ円錐台状又は円錐状であり、最大径を前記第一パンチの最大径よりも0.1mm〜0.3mm大きくしたしたものである。

    請求項5に係る本発明の自動車用ドアヒンジの製造方法は、帯板状の取付部と、取付部から屈曲した位置にヒンジ用ピンを挿入する軸孔を有する円筒状であって前記円筒状の先端側にドアの開止め用突起部を有する突起部付係合部とを備えた鋼製の自動車用ドアヒンジを熱間鍛造、パンチング等により製造する方法であって、
    鋼製の丸棒を熱間鍛造により帯板状の取付部と、取付部から屈曲した位置に水平断面が円形状又は楕円形状であって前記円形状又は楕円形状の先端側にドアの開止め用の突起部を有する突起部付柱状部とを形成する熱間鍛造工程と、
    前記熱間鍛造工程により形成された前記突起部付柱状部に軸心を貫通してヒンジ用ピンを挿入する軸孔を第一パンチ及び第一ダイスで形成する軸孔形成工程と、
    前記軸孔形成工程で形成された前記軸孔に対して、第二パンチ及び第二ダイスで前記第一パンチの加工終端側からパンチングを行う軸孔仕上工程とを有し、
    前記熱間鍛造工程は、下型に950℃〜1350℃に加熱した丸棒を載置して上型を複数回打ち下ろして両型により所定形状の鍛造品に成形し、
    前記下型は、前記熱間鍛造工程により成形される前記鍛造品の屈曲部が下方に突出するように、前記鍛造品の前記屈曲部の突出側の面を受入れる凹部を形成し、
    前記上型は、前記鍛造品の前記屈曲部の突出側の反対面に合致する凸部を形成し、
    前記軸孔形成工程により形成された前記軸孔の前記突起部付柱状部の高さを該軸孔の直径の2.0倍以上とし、
    前記軸孔形成工程における前記第一パンチは、先端が円錐角度70°〜120°の円錐状であり、
    前記第一ダイスは、前記鍛造品の前記突起部付柱状部の外周から隙間をあけた内側壁を有するとともに、前記突起部付柱状部の外周と前記内側壁とで形成される隙間容積は、前記鍛造品の前記突起部付柱状部に前記第一パンチによりパンチングする際に、前記第一パンチが加工始端側から所定寸法までは形成される孔部が抜きカスとならずに前記突起部付柱状部が外方に膨出し、前記第一パンチが前記所定寸法から加工終端までは形成される孔部が抜きカスとなって排出される大きさに形成しており、
    前記第二ダイスは、前記第一ダイスと略同一の形状であり、
    前記第二パンチは、先端が70°〜120°の円錐角度を持つ円錐台状又は円錐状であり、最大径を前記第一パンチの最大径よりも0.1mm〜0.3mm大きくしたしたものである。

    請求項6に係る本発明の自動車用ドアヒンジの製造方法は、帯板状の取付部と、取付部から屈曲した位置にヒンジ用ピンを挿入する軸孔を有する円筒状の係合部とを備えた鋼製の自動車用ドアヒンジを熱間鍛造、パンチング等により製造する方法であって、
    鋼製の丸棒を熱間鍛造により帯板状の取付部と、取付部から屈曲した位置に水平断面が円形状又は楕円形状の柱状部とを形成する熱間鍛造工程と、
    前記熱間鍛造工程により形成された前記柱状部に軸心を貫通してヒンジ用ピンを挿入する軸孔を第一パンチ及び第一ダイスで形成する軸孔形成工程と、
    前記軸孔形成工程で形成された前記軸孔に対して、第二パンチ及び第二ダイスで前記第一パンチの加工終端側からパンチングを行う軸孔仕上工程とを有し、
    前記熱間鍛造工程は、下型に950℃〜1350℃に加熱した丸棒を載置して上型を複数回打ち下ろして両型により所定形状の鍛造品に成形し、
    前記下型は、前記熱間鍛造工程により成形される前記鍛造品の屈曲部が下方に突出するように、前記鍛造品の前記屈曲部の突出側の面を受入れる凹部を形成し、
    前記上型は、前記鍛造品の前記屈曲部の突出側の反対面に合致する凸部を形成し、
    前記軸孔形成工程により形成された前記軸孔の前記柱状部の高さを該軸孔の直径の2.0倍以上とし、
    前記軸孔形成工程における前記第一パンチは、先端が円錐角度70°〜120°の円錐状であり、
    前記第一ダイスは、前記鍛造品の前記柱状部の外周から隙間をあけた内側壁を有するとともに、前記柱状部の外周と前記内側壁とで形成される隙間容積は、前記鍛造品の前記柱状部に前記第一パンチによりパンチングする際に、前記第一パンチが加工始端側から所定寸法までは形成される孔部が抜きカスとならずに前記柱状部が外方に膨出し、前記第一パンチが前記所定寸法から加工終端までは形成される孔部が抜きカスとなって排出される大きさに形成しており、
    前記第二ダイスは、前記第一ダイスと略同一の形状であり、
    前記第二パンチは、先端が70°〜120°の円錐角度を持つ円錐台状又は円錐状であり、最大径を前記第一パンチの最大径よりも0.1mm〜0.3mm大きくしたものである。

    請求項7に係る本発明の自動車用ドアヒンジの製造方法は、請求項1〜6のいずれかに記載の本発明の構成に加え、前記熱間鍛造工程により成形された鍛造品のバリをトリミングプレス加工により除去するトリミング工程を有し、
    該トリミング工程は、前記熱間鍛造工程に続けて前記鍛造品が高温状態で行うようにしたものである。

    請求項8に係る本発明の自動車用ドアヒンジの製造方法は、請求項1〜7のいずれかに記載の本発明の構成に加え、前記熱間鍛造工程は、1200℃±50℃の丸棒を鍛造するようにしたものである。

    請求項9に係る本発明の自動車用ドアヒンジの製造方法は、請求項1〜9のいずれかに記載の本発明の構成に加え、前記軸孔形成工程を冷間加工で行うようにしたものである。

    請求項10に係る本発明の自動車用ドアヒンジの製造方法は、請求項1若しくは3により製造した車両本体に取付ける車両本体側ドアヒンジと請求項5により製造したドアに取付けるドア側ドアヒンジ、又は請求項2若しくは4により製造した車両本体に取付ける車両本体側ドアヒンジと請求項6により製造したドアに取付けるドア側ドアヒンジとを、前記各ドアヒンジの前記軸孔に1本のヒンジ用頭付ピンを挿入し、前記ヒンジ用頭付ピンの端部をカシメ加工することにより一対の自動車用ドアヒンジとしたものである。

    請求項1又は2に係る本発明の自動車用ドアヒンジの製造方法の効果は、鋼製の丸棒を熱間鍛造により帯板状の取付部と、取付部から屈曲した帯板状の腕部と、腕部の端部に水平断面が円形状若しくは楕円形状の柱状部又は突起部付柱状部とを形成する熱間鍛造工程と、前記熱間鍛造工程により形成された前記柱状部又は突起部付柱状部に軸心を貫通してヒンジ用ピンを挿入する軸孔を第一パンチ及び第一ダイスで形成する軸孔形成工程と、前記軸孔形成工程で形成された前記軸孔に対して、第二パンチ及び第二ダイスで前記第一パンチの加工終端側からパンチングを行う軸孔仕上工程とを有し、前記熱間鍛造工程は、下型に950℃〜1350℃に加熱した丸棒を載置して上型を複数回打ち下ろして両型により所定形状の鍛造品に成形し、前記軸孔形成工程における前記第一パンチは、先端が円錐角度70°〜120°の円錐状であり、前記第一ダイスは、前記鍛造品の前記柱状部又は突起部付柱状部の外周から隙間をあけた内側壁を有するとともに、前記柱状部又は突起部付柱状部の外周と前記内側壁とで形成される隙間容積は、前記鍛造品の前記柱状部又は突起部付柱状部に前記第一パンチによりパンチングする際に、前記第一パンチが加工始端側から所定寸法までは形成される孔部が抜きカスとならずに前記柱状部又は突起部付柱状部が外方に膨出し、前記第一パンチが前記所定寸法から加工終端までは形成される孔部が抜きカスとなって排出される大きさに形成しているから、直径の2倍以上の高さの軸孔をパンチングにより加工することができ、鋼製の丸棒を用いながら熱間鍛造及びパンチング等により十分な強度がありながら安価に製造できるのである。

    請求項3又は4に係る本発明の自動車用ドアヒンジの製造方法の効果は、鋼製の丸棒を熱間鍛造により多角形状の板状の取付部と、取付部から屈曲した帯板状であって取付部の高さ方向の寸法よりも小さい寸法の腕部と、腕部の端部に水平断面が円形状若しくは楕円形状の柱状部又は突起部付柱状部とを形成する熱間鍛造工程と、前記熱間鍛造工程により形成された前記柱状部又は突起部付柱状部に軸心を貫通してヒンジ用ピンを挿入する軸孔を第一パンチ及び第一ダイスで形成する軸孔形成工程と、前記軸孔形成工程で形成された前記軸孔に対して、第二パンチ及び第二ダイスで前記第一パンチの加工終端側からパンチングを行う軸孔仕上工程とを有し、前記熱間鍛造工程は、下型に950℃〜1350℃に加熱した丸棒を載置して上型を複数回打ち下ろして両型により所定形状の鍛造品に成形し、前記軸孔形成工程における前記第一パンチは、先端が円錐角度70°〜120°の円錐状であり、前記第一ダイスは、前記鍛造品の前記柱状部又は突起部付柱状部の外周から隙間をあけた内側壁を有するとともに、前記柱状部又は突起部付柱状部の外周と前記内側壁とで形成される隙間容積は、前記熱間鍛造工程により成形された鍛造品の前記柱状部又は突起部付柱状部に前記第一パンチによりパンチングする際に、前記第一パンチが加工始端側から所定寸法までは形成される孔部が抜きカスとならずに前記柱状部又は突起部付柱状部が外方に膨出し、前記第一パンチが前記所定寸法から加工終端までは形成される孔部が抜きカスとなって排出される大きさに形成しているから、直径の2倍以上の高さの軸孔をパンチングにより加工することができ、鋼製の丸棒を用いながら熱間鍛造及びパンチング等により十分な強度がありながら安価に製造できるのである。

    請求項5又は6に係る本発明の自動車用ドアヒンジの製造方法の効果は、鋼製の丸棒を熱間鍛造により帯板状の取付部と、取付部から屈曲した位置に水平断面が円形状若しくは楕円形状の突起部付柱状部又は柱状部とを形成する熱間鍛造工程と、前記熱間鍛造工程により形成された前記突起部付柱状部又は柱状部に軸心を貫通してヒンジ用ピンを挿入する軸孔を第一パンチ及び第一ダイスで形成する軸孔形成工程と、前記軸孔形成工程で形成された前記軸孔に対して、第二パンチ及び第二ダイスで前記第一パンチの加工終端側からパンチングを行う軸孔仕上工程とを有し、前記熱間鍛造工程は、下型に950℃〜1350℃に加熱した丸棒を載置して上型を複数回打ち下ろして両型により所定形状の鍛造品に成形し、前記軸孔形成工程における前記第一パンチは、先端が円錐角度70°〜120°の円錐状であり、前記第一ダイスは、前記鍛造品の前記突起部付柱状部又は柱状部の外周から隙間をあけた内側壁を有するとともに、前記突起部付柱状部又は柱状部の外周と前記内側壁とで形成される隙間容積は、前記鍛造品の前記突起部付柱状部又は柱状部に前記第一パンチによりパンチングする際に、前記第一パンチが加工始端側から所定寸法までは形成される孔部が抜きカスとならずに前記突起部付柱状部又は柱状部が外方に膨出し、前記第一パンチが前記所定寸法から加工終端までは形成される孔部が抜きカスとなって排出される大きさに形成しているから、直径の2倍以上の高さの軸孔をパンチングにより加工することができ、鋼製の丸棒を用いながら熱間鍛造及びパンチング等により十分な強度がありながら安価に製造できるのである。

    請求項7に係る本発明の自動車用ドアヒンジの製造方法の効果は、請求項1〜6のいずれかに係る本発明の効果に加え、前記熱間鍛造工程により成形された鍛造品のバリをトリミングプレス加工により除去するトリミング工程を有し、該トリミング工程は、前記熱間鍛造工程に続けて前記鍛造品が高温状態でプレス加工するようにしたから、精度を要しないトリミングプレス加工を簡単に行うことができ、加工機械を小型化することができるのである。

    請求項8に係る本発明の自動車用ドアヒンジの製造方法の効果は、請求項1〜7のいずれかに係る本発明の効果に加え、前記熱間鍛造工程は、1200℃±50℃の丸棒を鍛造するようにしたから、熱間鍛造工程により成形された鍛造品の品質を一定範囲に保持することができるのである。

    請求項9に係る本発明の自動車用ドアヒンジの製造方法の効果は、請求項1〜8のいずれかに係る本発明の効果に加え、前記軸孔形成工程を冷間加工で行うようにしたから、軸孔形成工程で形成される軸孔の精度を高くできるのである。

    請求項10に係る本発明の自動車用ドアヒンジの製造方法の効果は、請求項1若しくは3により製造した車両本体に取付ける車両本体側ドアヒンジと請求項5により製造したドアに取付けるドア側ドアヒンジ、又は請求項2若しくは4により製造した車両本体に取付ける車両本体側ドアヒンジと請求項6により製造したドアに取付けるドア側ドアヒンジとを、前記各ドアヒンジの前記軸孔に1本のヒンジ用頭付ピンを挿入し、前記ヒンジ用頭付ピンの端部をカシメ加工することにより一対の自動車用ドアヒンジとしたから、請求項1若しくは3及び請求項5に係る本発明の効果又は請求項2若しくは4及び請求項6に係る本発明の効果に加え、簡単に一対の自動車用ドアヒンジを製造することができるのである。

    本発明の第一の実施の形態に係るブロック図

    本発明の第一の実施の形態に係る車両本体側ドアヒンジの斜視図

    本発明の第一の実施の形態に係る切断工程の説明図

    本発明の第一の実施の形態に係る熱間鍛造工程の説明図

    本発明の第一の実施の形態に係る熱間鍛造工程により成形された鍛造品の斜視図

    本発明の第一の実施の形態に係るトリミング工程の説明図

    本発明の第一の実施の形態に係る第一パンチの正面

    本発明の第一の実施の形態に係る第一ダイスの平面図

    本発明の第一の実施の形態に係る円柱部と第一ダイスとを示す部分拡大平面図

    本発明の第一の実施の形態に係る軸孔形成工程における上下ダイセットの断面図

    本発明の第一の実施の形態に係る第二パンチの正面図

    本発明の第一の実施の形態に係る第二ダイスの平面図

    本発明の第一の実施の形態に係る軸孔仕上工程における上下ダイセットの断面図

    本発明の第一の実施の形態に係る抜きダレ部を示す断面図

    本発明の第一の実施の形態に係る穴形成工程の説明図

    本発明の第二の実施の形態に係る車両本体側ドアヒンジの斜視図

    本発明の第二の実施の形態に係る熱間鍛造工程の説明図

    本発明の第二の実施の形態に係る突起部付円柱部と第一ダイスとを示す部分拡大平面図

    本発明の第二の実施の形態に係る軸孔形成工程における上下ダイセットの断面図

    本発明の第二の実施の形態に係る軸孔仕上工程における上下ダイセットの断面図

    本発明の第三の実施の形態に係る車両本体側ドアヒンジの斜視図

    本発明の第三の実施の形態に係る熱間鍛造工程の説明図

    本発明の第三の実施の形態に係る第一ダイスの平面図

    本発明の第三の実施の形態に係る軸孔形成工程における上下ダイセットの断面図

    本発明の第三の実施の形態に係る軸孔仕上工程における上下ダイセットの断面図

    本発明の第四の実施の形態に係る車両本体側ドアヒンジの斜視図

    本発明の第四の実施の形態に係る熱間鍛造工程の説明図

    本発明の第四の実施の形態に係る第一ダイスの平面図

    本発明の第四の実施の形態に係る軸孔形成工程における上下ダイセットの断面図

    本発明の第四の実施の形態に係る軸孔仕上工程における上下ダイセットの断面図

    本発明の第五の実施の形態に係るドア側ドアヒンジの斜視図

    本発明の第五の実施の形態に係る熱間鍛造工程の説明図

    本発明の第五の実施の形態に係る第一ダイスの平面図

    本発明の第五の実施の形態に係る本発明の第二の実施の形態に係る突起部付円柱部と第一ダイスとを示す部分拡大平面図

    本発明の第五の実施の形態に係る上下ダイセットの断面図

    本発明の第五の実施の形態に係る軸孔仕上工程における上下ダイセットの断面図

    本発明の第六の実施の形態に係るドア側ドアヒンジの斜視図

    本発明の第六の実施の形態に係る熱間鍛造工程の説明図

    本発明の第六の実施の形態に係る第一ダイスの平面図

    本発明の第六の実施の形態に係る円柱部と第一ダイスとを示す部分拡大平面図

    本発明の第六の実施の形態に係る軸孔形成工程における上下ダイセットの断面図

    本発明の第六の実施の形態に係る軸孔仕上工程における上下ダイセットの断面図

    本発明の第一〜第六の実施の形態の変形例を示す部分拡大平面図で、(a)は柱状部と第一ダイス、(b)は突起部付柱状部と第一ダイス

    本発明の第七の実施の形態に係る一対の自動車用ドアヒンジで、(a)は斜視図、(b)は正面図

    本発明の第八の実施の形態に係る一対の自動車用ドアヒンジで、(a)は斜視図、(b)は正面図

    本発明の第九の実施の形態に係る一対の自動車用ドアヒンジで、(a)は斜視図、(b)は正面図

    本発明の第十の実施の形態に係る一対の自動車用ドアヒンジで、(a)は斜視図、(b)は正面図

    以下、本発明の実施の形態を添付した図面により詳細に説明する。
    本発明の第一の実施の形態に係る自動車用ドアヒンジの製造方法について図1〜図15に基づき説明する。

    まず、第一の実施の形態に係る自動車用ドアヒンジの製造方法の概略の工程を図1に示すブロック図により説明する。
    第一の実施の形態に係る製造方法は、切断工程20、加熱工程25、熱間鍛造工程30、トリミング工程40、冷却工程45、軸孔形成工程50、軸孔仕上工程60及び穴形成工程70を有している。

    図2に示す自動車用ドアヒンジは、第一の実施の形態に係る製造方法により製造された車両本体に取付ける車両本体側ドアヒンジ1aを示しており、図2において、3は帯板状の取付部、4は取付部3から屈曲した帯板状の腕部、5aは腕部4の端部に形成したヒンジ用ピンを挿入する軸孔6を有する円筒状の係合部、4aは腕部4に形成したストッパー、3a、3bは取付部3に形成した取付穴である。
    以下、この車両本体側ドアヒンジ1aを製造する上記各工程20〜70を図1及び図3〜図15に基づいて順に説明する。

    図3に示す切断工程20では、直径が23mmで、長さが5500mmで、材質がS45Cの黒皮付の鋼製丸棒21を、切断機22で長さ125mm毎に切断して、直径23mm、長さ125mmの鋼製丸棒の素材2aを形成する。
    次に、加熱工程25(図1参照)では、図示していないが、切断工程20により形成した素材2aを搬送装置により加熱炉内を搬送して、素材2aを1200℃±50℃に加熱して加熱炉から搬出するのである。

    加熱炉における熱源は電力又はガスであり、電力の調整又はガスバーナーの調整により加熱炉から搬出する素材2aの温度を上記1200℃±50℃にするのである。
    また、加熱炉における搬送装置は素材2aが加熱炉内を6秒かけて搬送されるようにしており、次工程の熱間鍛造工程30における生産タクトに合わせている。

    加熱炉で1200℃±50℃に加熱された素材2aは、続いて図4に示す熱間鍛造工程30において熱間鍛造される。
    熱間鍛造工程30では、エアースタンプハンマー(図示せず)により、高硬度で高耐食性の熱間ダイス鋼(例えば材質SKD61)により製作された下型31及び上型32を用いて熱間鍛造を行なうのである。

    まず、熱間鍛造の開始に当たっては、下型31及び上型32を約150℃に暖めた後に、前記加熱工程25により1200℃±50℃に加熱された鋼製の丸棒からなる素材2aを下型31に載置して、上型32を複数回(例えば3回)打ち下ろして両型31、32により所定形状の鍛造品33aに成形するのである。
    前記下型31は熱間鍛造工程30により成形される鍛造品33aの屈曲部34aが下方に突出するように、前記鍛造品33aの前記屈曲部34aの突出側の面35aを受入れる凹部36aを形成している。

    また、前記上型32は前記鍛造品33aの前記屈曲部34aの突出側の反対面37aに合致する凸部38aを形成している。
    そして、鍛造品33aの形状は、図5に示すように、帯板状の取付部3と、取付部3から屈曲した帯板状の腕部4と、腕部4の端部に水平断面が円形状の柱状部7aと、腕部4に形成したストッパー4aとを備えるとともに、これらの外方に形成されるバリ8とを備えたものである。

    前記鍛造品33aに生ずるバリ8は下型31と上型32との合せ面に形成された隙間に生じたものである。
    なお、下型31及び上型32の大きさは、鍛造品33aの熱間鍛造時の熱膨張及び常温使用時の熱収縮を考慮して、寸法を決めるのである。

    すなわち、下型31及び上型32の大きさは、下型31及び上型32の熱膨張率と熱間鍛造時の温度(例えば200℃)と、鍛造品33aの熱膨張率と熱間鍛造時の温度(例えば1200℃)を考慮して、常温時の設計値よりも大きく製作しておくのである。
    次に、前記熱間鍛造工程30により形成された鍛造品33aの前記バリ8をトリミング加工により除去するトリミング工程40に移るのである。

    図6に示すトリミング工程40では、前記熱間鍛造工程30に続けて前記鍛造品33aが高温状態で、トリミングプレス機(図示せず)で鍛造品33aのバリ8を打抜いて除去するのである。
    なお、鍛造品33aのバリ8の除去は寸法精度を要求されないので、鍛造品33aが高温状態で行なって、トリミングプレス機の容量を小さくするようにしているのである。

    トリミング工程40を経た鍛造品33aは高温状態であるので、冷却工程45(図1参照)で、数時間かけて常温近くまで大気により自然冷却するのである。
    次に、軸孔形成工程50を、図7〜図10に基づいて説明する。 図7は第一パンチ、図8は第一ダイスの平面図、図9は鍛造品の柱状部と第一ダイスの拡大平面図、図10は上下ダイセットの断面図である。

    軸孔形成工程50では、前記冷却工程45を経た鍛造品33aの柱状部7aの軸心を貫通してヒンジ用ピンを挿入する軸孔6を第一パンチ51及び第一ダイス52aで形成するのである。
    図7に示す前記第一パンチ51は、先端に半径1mmの丸み51aを備えた円錐角度90°で、円錐の最大径及び円柱部51bが8.6mm、円柱部51bの長さが1mmで、円柱部51bから0.2mm細くした軸部51c及び固定部51dを備えている。

    また、図8に示す前記第一ダイス52aは、図9に示すように、前記鍛造品33aの前記柱状部7a(点線で示す)の外周から隙間をあけた内側壁53aを有するとともに、前記柱状部7aの外周と前記内側壁53aとで形成される隙間容積53bは、前記鍛造品33aの前記柱状部7aに前記第一パンチ51によりパンチングする際に、前記第一パンチ51が加工始端側から五分の四の位置までは形成される孔部が抜きカスとならずに前記柱状部7aが外方に膨出し、前記第一パンチ51が前記五分の四の位置から加工終端までは形成される孔部が抜きカスとなって排出される大きさに形成するのである。
    前記第一ダイス52aには、前記柱状部7aと対向する部分を除く内側壁53cについては隙間なく前記鍛造品33aの前記取付部3及び前記腕部4の外周を挿入する形状としており、この内側壁53cにより前記鍛造品33aの前記柱状部7aの位置決めとするのである。

    これら第一パンチ51及び第一ダイス52aにより500トンのトランスファープレス機を用いて柱状部7aの軸心に軸孔6を形成するのである。
    この軸孔形成は、図10に示すように、トランスファープレス機の上下動する上ダイセット54にパンチプレート54a、パンチフォルダー54b、54c、54d、スプリング54e、ストリッパー55aなどにより前記第一パンチ51を取付けるとともに、トランスファープレス機に固定の下ダイセット56にダイスフォルダー57a、ダイスプレート58a、58bなどにより前記第一ダイス52aを固定するのである。

    そして、第一ダイス52aに鍛造品33aを挿入し、上ダイセット54を下降させて、上ダイセット54のストリッパー55aを第一ダイス52aに当接させた後、スプリング54eにより鍛造品33aに形成する軸孔6の部分を除きストリッパー55aとダイスフォルダー57aとの間に鍛造品33aの上下を固定して、次に、第一パンチ51が下降して軸孔6を形成するとともに、前記第一パンチ51が加工始端側から五分の四の位置までは形成される孔部が抜きカスとならずに前記柱状部7aが外方に膨出して前記第一ダイス52aの隙間容積53bを充満させた後、前記第一パンチ51が前記五分の四の位置から加工終端までは形成される孔部が抜きカスとなって抜きカス排出口58cから外部に排出されるのである。
    次に、上ダイセット54を当初の位置まで上昇させ、図示しない油圧装置により軸孔6を形成した鍛造品33aを第一ダイス52aから突き上げて取出すことにより、軸孔形成工程50を完了するのである。

    このように、軸孔形成工程50を完了した鍛造品33aは軸孔形成工程50による加工前の前記柱状部7a が円筒状であって内径8.8mm、高さ24mmの係合部5aに加工されるのである。
    軸孔形成工程50を完了した鍛造品33aはトランスファープレス機により上下を逆にして軸孔仕上工程60で係合部5aに形成した軸孔6を仕上加工するのである。

    軸孔仕上工程60では、図11〜図13に示すように、第二パンチ61及び第二ダイス62aで軸孔形成工程50で形成した鍛造品33aの係合部5aに形成した軸孔6を精度よく仕上げるのである。
    図11に示す第二パンチ61は、先端に半径1mmの丸み61aを備えた円錐角度90°で、円錐の最大径及び円柱部61bが8.8mm、円柱部61bの長さが1mmで、円柱部61bから0.2mm細くした軸部61c及び固定部61dを備えており、前記第一パンチ51と相違する点は、最大径、円柱部61b及び軸部61cの径が第一パンチ51の最大径、円柱部51b及び軸部51cの径よりも0.2mm大きくして仕上加工をするようにしているのである。

    また、図12に示す第二ダイス62aは、前記第一ダイス52aの内側壁と同一の形状にしており、前記鍛造品33aの前記係合部5aの膨出した外周に合致する内側壁63aと、前記取付部3及び腕部4との外周に合致する内側壁63cとを有するようにし、これら内側壁63a、63cに隙間なく前記鍛造品33aの外周を挿入する形状としている。
    なお、前記鍛造品33aは上下を逆にして第一ダイス52aと第二ダイス62aとに挿入するため、第一ダイス52aと第二ダイス62aとは図8及び図12に示すように上下対称の形状とするのである。

    そして、軸孔仕上工程60においても、図13に示すように、前記軸孔形成工程50で使用したトランスファープレス機を使用し、前記第二パンチ61を前記上ダイセット54に取付け、前記第二ダイス62aを下ダイセット56に固定するのである。
    また、この軸孔仕上工程60における第二パンチ61の最大径は軸孔形成工程50における第一パンチ51の最大径よりも0.2mm大きくしているが、鍛造品33aについては、上下方向をストリッパー65a及びダイスフォルダー67aにより、外周方向を第二ダイス62aにより、外方に膨出できないようにしているため、軸孔6が0.2mmだけ軸孔仕上工程60で大きくなるが、この余肉は、抜きカスとはならずに、軸孔形成工程50における加工始端側に図14に示すような抜きダレ部6aが生じ、この抜きダレ部6aの補填がなされたり、前記係合部5aと第二ダイス62aの内側壁63aとの間の微小隙間により吸収されるのである。

    そして、これら第二パンチ61及び第二ダイス62aにより500トンのトランスファープレス機を用いて係合部5aに形成した直径8.8mm程度の軸孔6を直径9.0mmに仕上加工するのである。
    この軸孔仕上加工は図13に示すように、軸孔形成工程50と同様な構成については同一の符号を用いて説明すると、トランスファープレス機の上下動する上ダイセット54にパンチプレート54a、パンチフォルダー54b、54c、54d、ストリッパー65a、スプリング54eなどにより前記第二パンチ61を取付けるとともに、トランスファープレス機に固定の下ダイセット56にダイスフォルダー57a、ダイスプレート58a、58bなどにより前記第二ダイス62aを固定するのである。

    そして、第二ダイス62aに鍛造品33aを上下逆にして挿入し、上ダイセット54を下降させて、上ダイセット54のストリッパー65aを第二ダイス62aに当接させるとともに、スプリング54eにより鍛造品33aに形成した軸孔6の部分を除きストリッパー65aとダイスフォルダー57aとの間に鍛造品33aの上下を固定し、次に、第二パンチ61が下降して軸孔6を仕上加工するのである。
    次に、上ダイセット54を当初の位置まで上昇させ、図示しない油圧装置により軸孔6を仕上加工した鍛造品33aを第二ダイス62aから突き上げて取出すことにより、軸孔仕上工程60を完了するのである。

    軸孔仕上工程60を完了した鍛造品33aはトランスファープレス機により、図15に示す穴形成工程70に移るのである。
    穴形成工程70では、鍛造品33aの取付部3に、車両本体側に取付けるための直径14mmの2個の取付穴3a、3bを形成するのであり、一方の取付穴3aを前記薄肉の端部に、他方の取付穴3bを取付部3の中央に形成するのである。

    なお、穴形成工程70に使用する穴用パンチ71は外径が14mmの2個の円柱部71aを備えており、穴用ダイス72は径が14mmの2個の孔部72aを備えている。
    穴形成工程70を完了することにより、第一の実施の形態に係る車両本体側ドアヒンジ1aの製造方法を完了するのである。

    次に、本発明の第二の実施の形態に係る自動車用ドアヒンジの製造方法について、図16〜図20に基づき説明する。
    第二の実施の形態に係る自動車用ドアヒンジの製造方法は、第一の実施の形態に係る車両本体側ドアヒンジ1aの構造の一部を変更したものである。

    具体的には、第一と第二の実施の形態に係る車両本体側ドアヒンジの構造上の相違点は、第二の実施の形態に係る車両本体側ドアヒンジが、第一の実施の形態に係る取付部、腕部及び係合部の高さ寸法を一致させ、腕部に設けたストッパーを無くし、係合部の円筒状の先端側にドアの開止め用突起部を有する突起部付係合部としたものである。
    図16に示す自動車用ドアヒンジは、第二の実施の形態に係る製造方法により製造された車両本体に取付ける車両本体側ドアヒンジ1bを示しており、図16において、3は帯板状の取付部、4は取付部3から屈曲した帯板状の腕部、5bは腕部4の端部に形成したヒンジ用ピンを挿入する軸孔6有する円筒状であって前記円筒状の先端側にドアの開止め用突起部9を有する突起部付係合部、3a、3bは取付部3に形成した取付穴である。

    この車両本体側ドアヒンジ1bは取付部3、腕部4及び突起部付係合部5bの高さを同一寸法としており、ドアの開止め用突起部9は突起部付係合部5bの高さ方向の三分の一に形成している。
    以下、第一の実施の形態と同様な製造工程については、同一の符号を付して説明を省略ないし簡略にして説明する。

    第二の実施の形態に係る製造方法の概略の工程は、第一の実施の形態において説明した図1に示すブロック図と同様であるので説明を省略するが、以下の説明では、第一の実施の形態で使用した工程及び符号を使用する。
    第二の実施の形態における切断工程20及び加熱工程25は、第一の実施の形態におけるこれら工程20、25と同様であるので説明を省略する。

    また、第二の実施の形態における熱間鍛造工程30は、図17に示すように、鍛造品33bの構造が第一の実施の形態における鍛造品33aと相違するため、下型31の凹部36bの形状を鍛造品33bの屈曲部34bの突出側の面35bの形状を受入れるように形成し、上型32の凸部38bの形状を鍛造品33bの突出側の反対面37bの形状に合致するように形成している。
    そして、熱間鍛造を行なう方法については第一の実施の形態と同様であるので説明を省略する。

    第二の実施の形態におけるトリミング工程40及び冷却工程45については、第一の実施の形態と同様であるので説明を省略する。
    また、第二の実施の形態における軸孔形成工程50については、鍛造品33bの形状が第一の実施の形態とは異なるため、第一ダイス52bの形状を図18に示すように形成するとともに、上下ダイセットの構造を図19に示すように一部変更するのである。

    前記第一ダイス52bは、図18に示すように、前記鍛造品33bの突起部付柱状部7b(点線で示す)の外周から隙間をあけた内側壁53aを有するとともに、前記突起部付柱状部7bの外周と前記内側壁53aとで形成される隙間容積53bは、前記鍛造品33bの前記突起部付柱状部7bに第一の実施の形態と同一の前記第一パンチ51によりパンチングする際に、前記第一パンチ51が加工始端側から五分の四の位置までは形成される孔部が抜きカスとならずに前記突起部付柱状部7bが外方に膨出し、前記第一パンチ51が前記五分の四の位置から加工終端までは形成される孔部が抜きカスとなって排出される大きさに形成するのである。
    前記第一ダイス52bは、前突起部付柱状部7bと対向する部分を除く内側壁52cについては隙間なく前記鍛造品33bの前記取付部3及び前記腕部4の外周を挿入する形状としており、この内側壁52cにより前記鍛造品33bの前記突起部付柱状部7bの位置決めとするのである。

    これら第一パンチ51及び第一ダイス52bにより500トンのトランスファープレス機を用いて突起部付柱状部7bの軸心に軸孔6を形成するのである。
    この軸孔形成は、図19に示すように、トランスファープレス機の上下動する上ダイセット54にパンチプレート54a、パンチフォルダー54b、54c、54d、スプリング54e、ストリッパー55bなどにより前記第一パンチ51を取付けるとともに、トランスファープレス機に固定の下ダイセット56にダイスフォルダー57b、ダイスプレート58a、58bなどにより前記第一ダイス52bを固定するのである。

    そして、第一ダイス52bに鍛造品33bを挿入し、上ダイセット54を下降させて、上ダイセット54のストリッパー55bを第一ダイス52bに当接させた後、スプリング54eにより鍛造品33bに形成する軸孔6の部分を除きストリッパー55bとダイスフォルダー57bとの間に鍛造品33bの上下を固定して、次に、第一パンチ51が下降して軸孔6を形成するとともに、前記第一パンチ51が加工始端側から五分の四の位置までは形成される孔部が抜きカスとならずに前記突起部付柱状部7bが外方に膨出して前記第一ダイス52bの隙間容積53bを充満させた後、前記第一パンチ51が前記五分の四の位置から加工終端までは形成される孔部が抜きカスとなって抜きカス排出口58cから外部に排出されるのである。
    次に、上ダイセット54を当初の位置まで上昇させ、図示しない油圧装置により軸孔6を形成した鍛造品33bを第一ダイス52bから突き上げて取出すことにより、軸孔形成工程50を完了するのである。

    このように、軸孔形成工程50を完了した鍛造品33bは軸孔形成工程50による加工前の前記突起部付柱状部7b が円筒状であって内径8.8mm、高さ24mmの突起部付係合部5bに加工されるのである。
    軸孔形成工程50を完了した鍛造品33bはトランスファープレス機により上下を逆にして軸孔仕上工程60で突起部付係合部5bに形成した軸孔6を仕上加工するのである。

    軸孔仕上工程60では、第二ダイス62b及び第一の実施の形態と同一の第二パンチ61で軸孔形成工程50で形成した鍛造品33bの突起部付係合部5bに形成した軸孔6を精度よく仕上げるのである。
    また、第二ダイス62bは、前記第一ダイス52bにおける鍛造品33bの突起部9の下方に位置する内側壁を除き、前記第一ダイス52bの内側壁と同一の形状にしている。

    なお、前記鍛造品33bは上下を逆にして第一ダイス52bと第二ダイス62bとに挿入するため、第一ダイス52bと第二ダイス62bとは上下対称の形状とするのである。
    そして、軸孔仕上工程60においても、図20に示すように、前記軸孔形成工程50で使用したトランスファープレス機を使用し、前記第二パンチ61を前記上ダイセット54に取付け、前記第二ダイス62bを下ダイセット56に固定するのである。

    また、この軸孔仕上工程60における第二パンチ61の最大径は軸孔形成工程50における第一パンチ51の最大径よりも0.2mm大きくしているが、鍛造品33bについては、上下方向をストリッパー65b及びダイスフォルダー57bにより、外周方向を第二ダイス62bにより、外方に膨出できないようにしているため、軸孔6が0.2mmだけ軸孔仕上工程60で大きくなるが、この余肉は、抜きカスとはならずに、軸孔形成工程50における加工始端側に抜きダレ部6a(図14参照)が生じ、この抜きダレ部6aの補填がなされたり、前記突起部付係合部5bと第二ダイス62bの内側壁との間の微小隙間により吸収されるのである。
    そして、これら第二パンチ61及び第二ダイス62bにより500トンのトランスファープレス機を用いて突起部付係合部5bに形成した直径8.8mm程度の軸孔6を直径9.0mmに仕上加工するのである。

    この軸孔仕上加工は第一の実施の形態と同様であるから、説明を省略する。
    また、第二の実施の形態における穴形成工程70は第一の実施の形態と同様であるから、説明を省略する。

    次に、本発明の第三の実施の形態に係る自動車用ドアヒンジの製造方法について、図21〜図25に基づき説明する。
    第三の実施の形態に係る自動車用ドアヒンジの製造方法は、第一の実施の形態に係る車両本体側ドアヒンジ1aの構造の一部を変更したものである。

    具体的には、第一と第三の実施の形態に係る車両本体側ドアヒンジの構造上の相違点は、第三の実施の形態に係る車両本体側ドアヒンジが、第一の実施の形態に係る取付部の形状を使用時に正面から見て略直角三角形状からなる板状としたものである。
    図21に示す自動車用ドアヒンジは、第三の実施の形態に係る製造方法により製造された車両本体に取付ける車両本体側ドアヒンジ1cを示しており、図21において、3cは略直角三角形状からなる板状の取付部、4は取付部3から屈曲した帯板状であって前記取付部3cの高さ方向の寸法よりも小さい寸法の腕部、5aは腕部4の端部に形成したヒンジ用ピンを挿入する軸孔6有する円筒状の係合部、4aは腕部4に形成したストッパー、3d、3eは取付部3cに形成した取付穴である。

    この第三の実施の形態に係る車両本体側ドアヒンジ1cは、第一の実施の形態に係る車両本体側ドアヒンジ1aに比べて、水平方向の寸法を小さくして、高さ方向の寸法を大きくすることにより、取付孔3dを取付部3cの上方に、取付孔3eを取付部3cの下方に設けることができるようにして、車両本体における水平方向の狭い取付箇所に取付ける;ことができるようにしたものである。
    以下、第一の実施の形態と同様な製造工程については、同一の符号を付して説明を省略ないし簡略にして説明する。

    第三の実施の形態に係る製造方法の概略の工程は、第一の実施の形態において説明した図1に示すブロック図と同様であるので説明を省略するが、以下の説明では、第一の実施の形態で使用した工程及び符号を使用する。
    第三の実施の形態における切断工程20については、取付部3cの形状が第一の実施の形態と異なることから、材質がS45cの黒皮付の鋼製丸棒であることは第一の実施の形態と同じであるが、直径が32mm、長さが70mmである点が異なっており、他は同様である。

    また、加熱工程25については、第一の実施の形態における加熱工程25と同様であるので説明を省略する。
    第三の実施の形態における熱間鍛造工程30は、図22に示すように、鍛造品33cの構造が第一の実施の形態における鍛造品33aと相違するため、下型31の凹部36cの形状を鍛造品33cの屈曲部34cの突出側の面35cの形状を受入れるように形成し、上型32の凸部38cの形状を鍛造品33cの突出側の反対面37cの形状に合致するように形成している。

    そして、熱間鍛造を行なう方法については第一の実施の形態と同様であるので説明を省略する。
    第三の実施の形態におけるトリミング工程40及び冷却工程45については、第一の実施の形態と同様であるので説明を省略する。

    また、第三の実施の形態における軸孔形成工程50については、鍛造品33cの形状が第一の実施の形態とは異なるため、第一ダイス52cの形状を図23に示すように形成するとともに、上下ダイセットの構造を図24に示すように一部変更するのである。
    なお、第三の実施の形態における柱状部7cと第一ダイス52cとを示す部分拡大平面図は第一の実施の形態に係る図9と同様であるので、図示及び説明を省略する。

    前記第一ダイス52cは、図23に示すように、前記鍛造品33cの柱状部7c(図示せず)の外周から隙間をあけた内側壁53aを有するとともに、前記柱状部7cの外周と前記内側壁53aとで形成される隙間容積53bは、前記鍛造品33cの前記柱状部7cに第一の実施の形態と同一の径で軸部51cが長い第一パンチ51によりパンチングする際に、前記第一パンチ51が加工始端側から五分の四の位置までは形成される孔部が抜きカスとならずに前記柱状部7cが外方に膨出し、前記第一パンチ51が前記五分の四の位置から加工終端までは形成される孔部が抜きカスとなって排出される大きさに形成するのである。
    前記第一ダイス52cは、前柱状部7cと対向する部分を除く内側壁52cについては隙間なく前記鍛造品33cの前記取付部3及び前記腕部4の外周を挿入する形状としており、この内側壁52cにより前記鍛造品33cの前記柱状部7cの位置決めとするのである。

    これら第一パンチ51及び第一ダイス52cにより500トンのトランスファープレス機を用いて突起部付柱状部7cの軸心に軸孔6を形成するのである。
    この軸孔形成は、図24に示すように、トランスファープレス機の上下動する上ダイセット54にパンチプレート54a、パンチフォルダー54b、54c、54d、スプリング54e、ストリッパー55cなどにより前記第一パンチ51を取付けるとともに、トランスファープレス機に固定の下ダイセット56にダイスフォルダー57c、ダイスプレート58a、58bなどにより前記第一ダイス52cを固定するのである。

    そして、第一ダイス52cに鍛造品33cを挿入し、上ダイセット54を下降させて、上ダイセット54のストリッパー55cを第一ダイス52cに当接させた後、スプリング54eにより鍛造品33cに形成する軸孔6の部分を除きストリッパー55cとダイスフォルダー57cとの間に鍛造品33cの上下を固定して、次に、第一パンチ51が下降して軸孔6を形成するとともに、前記第一パンチ51が加工始端側から五分の四の位置までは形成される孔部が抜きカスとならずに前記柱状部7cが外方に膨出して前記第一ダイス52cの隙間容積53bを充満させた後、前記第一パンチ51が前記五分の四の位置から加工終端までは形成される孔部が抜きカスとなって抜きカス排出口58cから外部に排出されるのである。
    次に、上ダイセット54を当初の位置まで上昇させ、図示しない油圧装置により軸孔6を形成した鍛造品33cを第一ダイス52cから突き上げて取出すことにより、軸孔形成工程50を完了するのである。

    このように、軸孔形成工程50を完了した鍛造品33cは軸孔形成工程50による加工前の前記柱状部7c が円筒状であって内径8.8mm、高さ24mmの係合部5cに加工されるのである。
    軸孔形成工程50を完了した鍛造品33cはトランスファープレス機により上下を逆にして軸孔仕上工程60で係合部5cに形成した軸孔6を仕上加工するのである。

    軸孔仕上工程60では、第二ダイス62c及び第一の実施の形態と同一の第二パンチ61で軸孔形成工程50で形成した鍛造品33cの係合部5cに形成した軸孔6を精度よく仕上げるのである。
    また、第二ダイス62cの内側壁は、前記第一ダイス52cの内側壁と同一の形状にしている。

    なお、前記鍛造品33cは上下を逆にして第一ダイス52cと第二ダイス62cとに挿入するため、第一ダイス52cと第二ダイス62cとは上下対称の形状とするのである。
    そして、軸孔仕上工程60においても、図25に示すように、前記軸孔形成工程50で使用したトランスファープレス機を使用し、前記第二パンチ61を前記上ダイセット54に取付け、前記第二ダイス62cを下ダイセット56に固定するのである。

    また、この軸孔仕上工程60における第二パンチ61の最大径は軸孔形成工程50における第一パンチ51の最大径よりも0.2mm大きくしているが、鍛造品33cについては、上下方向をストリッパー65c及びダイスフォルダー67cにより、外周方向を第二ダイス62cにより、外方に膨出できないようにしているため、軸孔6が0.2mmだけ軸孔仕上工程60で大きくなるが、この余肉は、抜きカスとはならずに、軸孔形成工程50における加工始端側に抜きダレ部6a(図14参照)が生じ、この抜きダレ部6aの補填がなされたり、前記係合部5cと第二ダイス62cの内側壁との間の微小隙間により吸収されるのである。
    そして、これら第二パンチ61及び第二ダイス62cにより500トンのトランスファープレス機を用いて突起部付係合部5cに形成した直径8.8mm程度の軸孔6を直径9.0mmに仕上加工するのである。

    この軸孔仕上加工は第一の実施の形態と同様であるから、説明を省略する。
    また、第三の実施の形態における穴形成工程70は第一の実施の形態と同様であるから、説明を省略する。

    次に、本発明の第四の実施の形態に係る自動車用ドアヒンジの製造方法について、図26〜図30に基づき説明する。
    第四の実施の形態に係る自動車用ドアヒンジの製造方法は、第三の実施の形態に係る車両本体側ドアヒンジ1cの構造の一部を変更したものである。

    具体的には、第三と第四の実施の形態に係る車両本体側ドアヒンジの構造上の相違点は、第四の実施の形態に係る車両本体側ドアヒンジが、第三の実施の形態に係る腕部に設けたストッパーを無くし、係合部の円筒状の先端側にドアの開止め用突起部を有する突起部付係合部としたものである。
    図26に示す自動車用ドアヒンジは、第四の実施の形態に係る製造方法により製造された車両本体に取付ける車両本体側ドアヒンジ1dを示しており、図26において、3cは略直角三角形状からなる板状の取付部、4は取付部3cから屈曲した帯板状であって前記取付部3cの高さ方向の寸法よりも小さい寸法の腕部、5bは腕部4の端部に形成したヒンジ用ピンを挿入する軸孔6を有する円筒状であって前記円筒状の先端側にドアの開止め用突起部9を有する突起部付係合部、3d及び3eは取付部3cに形成した取付穴である。

    この車両本体側ドアヒンジ1bは取付部3c、腕部4及び突起部付係合部5bの高さを同一寸法としており、ドアの開止め用突起部9は突起部付係合部5bの高さ方向の三分の一に形成している。
    以下、第三の実施の形態と同様な製造工程については、同一の符号を付して説明を省略ないし簡略にして説明する。

    第四の実施の形態に係る製造方法の概略の工程は、第三(第一)の実施の形態において説明した図1に示すブロック図と同様であるので説明を省略するが、以下の説明では、第三(第一)の実施の形態で使用した工程及び符号を使用する。
    第四の実施の形態における切断工程20及び加熱工程25は、第三(第一)の実施の形態におけるこれら工程20、25と同様であるので説明を省略する。

    また、第四の実施の形態における熱間鍛造工程30は、図27に示すように、鍛造品33dの構造が第三の実施の形態における鍛造品33cと相違するため、下型31の凹部36dの形状を鍛造品33dの屈曲部34dの突出側の面35dの形状を受入れるように形成し、上型32の凸部38dの形状を鍛造品33dの突出側の反対面37dの形状に合致するように形成している。
    そして、熱間鍛造を行なう方法については第三(第一)の実施の形態と同様であるので説明を省略する。

    第四の実施の形態におけるトリミング工程40及び冷却工程45については、第三(第一)の実施の形態と同様であるので説明を省略する。
    また、第四の実施の形態における軸孔形成工程50については、鍛造品33dの形状が第三の実施の形態とは異なるため、第一ダイス52dの形状を図28に示すように形成するとともに、上下ダイセットの構造を図30に示すように一部変更するのである。

    前記第一ダイス52dは、第二の実施の形態に係る図18を参照して説明すると、前記鍛造品33dの突起部付柱状部7b(点線で示す)の外周から隙間をあけた内側壁53aを有するとともに、前記突起部付柱状部7bの外周と前記内側壁53aとで形成される隙間容積53bは、前記鍛造品33bの前記突起部付柱状部7bに第一の実施の形態と同一の径で軸部51cが長い第一パンチ51によりパンチングする際に、前記第一パンチ51が加工始端側から五分の四の位置までは形成される孔部が抜きカスとならずに前記突起部付柱状部7bが外方に膨出し、前記第一パンチ51が前記五分の四の位置から加工終端までは形成される孔部が抜きカスとなって排出される大きさに形成するのである。
    前記第一ダイス52dは、前突起部付柱状部7bと対向する部分を除く内側壁52cについては隙間なく前記鍛造品33bの前記取付部3及び前記腕部4の外周を挿入する形状としており、この内側壁52cにより前記鍛造品33dの前記突起部付柱状部7bの位置決めとするのである。

    これら第一パンチ51及び第一ダイス52dにより500トンのトランスファープレス機を用いて突起部付柱状部7bの軸心に軸孔6を形成するのである。
    この軸孔形成は、図29に示すように、トランスファープレス機の上下動する上ダイセット54にパンチプレート54a、パンチフォルダー54b、54c、54d、スプリング54e、ストリッパー55dなどにより前記第一パンチ51を取付けるとともに、トランスファープレス機に固定の下ダイセット56にダイスフォルダー57d、ダイスプレート58a、58bなどにより前記第一ダイス52dを固定するのである。

    そして、第一ダイス52dに鍛造品33dを挿入し、上ダイセット54を下降させて、上ダイセット54のストリッパー55dを第一ダイス52dに当接させた後、スプリング54eにより鍛造品33dに形成する軸孔6の部分を除きストリッパー55dとダイスフォルダー57dとの間に鍛造品33dの上下を固定して、次に、第一パンチ51が下降して軸孔6を形成するとともに、前記第一パンチ51が加工始端側から五分の四の位置までは形成される孔部が抜きカスとならずに前記突起部付柱状部7bが外方に膨出して前記第一ダイス52dの隙間容積53bを充満させた後、前記第一パンチ51が前記五分の四の位置から加工終端までは形成される孔部が抜きカスとなって抜きカス排出口58cから外部に排出されるのである。
    次に、上ダイセット54を当初の位置まで上昇させ、図示しない油圧装置により軸孔6を形成した鍛造品33dを第一ダイス52dから突き上げて取出すことにより、軸孔形成工程50を完了するのである。

    このように、軸孔形成工程50を完了した鍛造品33dは軸孔形成工程50による加工前の前記突起部付柱状部7b が円筒状であって内径8.8mm、高さ24mmの突起部付係合部5bに加工されるのである。
    軸孔形成工程50を完了した鍛造品33dはトランスファープレス機により上下を逆にして軸孔仕上工程60で突起部付係合部5bに形成した軸孔6を仕上加工するのである。

    軸孔仕上工程60では、第二ダイス62d及び第一の実施の形態と同一の第二パンチ61で軸孔形成工程50で形成した鍛造品33dの突起部付係合部5bに形成した軸孔6を精度よく仕上げるのである。
    また、第二ダイス62dは、前記第一ダイス52dにおける鍛造品33dの突起部9の下方に位置する内側壁を除き、前記第一ダイス52dの内側壁と同一の形状にしている。

    なお、前記鍛造品33dは上下を逆にして第一ダイス52dと第二ダイス62dとに挿入するため、第一ダイス52dと第二ダイス62dとは上下対称の形状とするのである。
    そして、軸孔仕上工程60においても、図30に示すように、前記軸孔形成工程50で使用したトランスファープレス機を使用し、前記第二パンチ61を前記上ダイセット54に取付け、前記第二ダイス62dを下ダイセット56に固定するのである。

    また、この軸孔仕上工程60における第二パンチ61の最大径は軸孔形成工程50における第一パンチ51の最大径よりも0.2mm大きくしているが、鍛造品33dについては、上下方向をストリッパー65d及びダイスフォルダー57dにより、外周方向を第二ダイス62dにより、外方に膨出できないようにしているため、軸孔6が0.2mmだけ軸孔仕上工程60で大きくなるが、この余肉は、抜きカスとはならずに、軸孔形成工程50における加工始端側に抜きダレ部6a(図14参照)が生じ、この抜きダレ部6aの補填がなされたり、前記突起部付係合部5bと第二ダイス62dの内側壁との間の微小隙間により吸収されるのである。
    そして、これら第二パンチ61及び第二ダイス62dにより500トンのトランスファープレス機を用いて突起部付係合部5bに形成した直径8.8mm程度の軸孔6を直径9.0mmに仕上加工するのである。

    この軸孔仕上加工は第三(第一)の実施の形態と同様であるから、説明を省略する。
    また、第四の実施の形態における穴形成工程70は第三(第一)の実施の形態と同様であるから、説明を省略する。

    以上の第三及び第四の実施の形態では、取付部3cを使用時に正面から見て略直角三角形状としたが、矩形状、五角形状などの多角形状としてもよい。

    次に、本発明の第五の実施の形態に係る自動車用ドアヒンジの製造方法について、図31〜図36に基づき説明する。
    第一〜第4の実施の形態に係る自動車用ドアヒンジの製造方法が車両本体側ドアヒンジに関するものであったが、第五の実施の形態に係る自動車用ドアヒンジの製造方法は、ドアに取付けるドア側ドアヒンジに関するものである。

    第五の実施の形態に係るドア側ドアヒンジと第一又は第三の実施の形態に係る車両本体側ドアヒンジとの構造上の相違点は、第一又は第三の実施の形態に係る車両本体側ドアヒンジが開止め用の突起部を備えておらずストッパーを有する腕部を備えていたのに対し、第五の実施の形態に係るドア側ドアヒンジが係合部に開止め用の突起部を備えている点と、ドア側ドアヒンジは取付け箇所の制約から小形であり、腕部を備えていない点及び取付穴が1個である点が相違する。
    図31に示す自動車用ドアヒンジは、第五の実施の形態に係る製造方法により製造されたドアに取付けるドア側ドアヒンジ1eを示しており、図31において、3fは帯板状の取付部、5eは取付部3fから屈曲した位置にヒンジ用ピンを挿入する軸孔6有する円筒状であって前記円筒状の先端側にドアの開止め用突起部9を有する突起部付係合部、3gは取付部3fに形成した取付穴である。

    このドア側ドアヒンジ1eは、突起部付係合部5eの高さ方向の寸法を取付部3fの高さ方向の寸法よりも小さく形成しており、突起部9と突起部付係合部5eの高さは略同じである。
    以下、第一の実施の形態と同様な製造工程については、同一の符号を付して説明を省略ないし簡略にして説明する。

    第五の実施の形態に係る製造方法の概略の工程は、第一の実施の形態において説明した図1に示すブロック図と同様であるので説明を省略するが、以下の説明では、第一の実施の形態で使用した工程及び符号を使用する。
    第5の実施の形態における切断工程20については、熱間鍛造工程30において鍛造により形成される鍛造品33eが小形であるから、材質がS45cの黒皮付の鋼製丸棒であることは第一の実施の形態と同じであるが、直径が26mm、長さが52mmである点が異なっており、他は同様である。

    また、加熱工程25については、第一の実施の形態における加熱工程25と同様であるので説明を省略する。
    第五の実施の形態における熱間鍛造工程30は、図32に示すように、鍛造品33eの構造が第一の実施の形態における鍛造品33aと相違するため、下型31の凹部36eの形状を鍛造品33eの屈曲部34eの突出側の面35eの形状を受入れるように形成し、上型32の凸部38eの形状を鍛造品33eの突出側の反対面37eの形状に合致するように形成している。

    そして、熱間鍛造を行なう方法については第一の実施の形態と同様であるので説明を省略する。
    第五の実施の形態におけるトリミング工程40及び冷却工程45については、第一の実施の形態と同様であるので説明を省略する。

    また、第五の実施の形態における軸孔形成工程50については、鍛造品33eの形状が第一の実施の形態とは異なるため、第一ダイス52eの形状を図33に示すように形成するとともに、上下ダイセットの構造を図35に示すように一部変更するのである。
    前記第一ダイス52eは、図33及び34に示すように、前記鍛造品33eの突起部付柱状部7e(点線で示す)の外周から隙間をあけた内側壁53aを有するとともに、前記突起部付柱状部7eの外周と前記内側壁53aとで形成される隙間容積53bは、前記鍛造品33eの前記突起部付柱状部7eに第一の実施の形態と同一の前記第一パンチ51によりパンチングする際に、前記第一パンチ51が加工始端側から五分の四の位置までは形成される孔部が抜きカスとならずに前記突起部付柱状部7eが外方に膨出し、前記第一パンチ51が前記五分の四の位置から加工終端までは形成される孔部が抜きカスとなって排出される大きさに形成するのである。

    前記第一ダイス52eは、前突起部付柱状部7eと対向する部分を除く内側壁52cについては隙間なく前記鍛造品33eの前記取付部3fの外周を挿入する形状としており、この内側壁52cにより前記鍛造品33eの前記突起部付柱状部7eの位置決めとするのである。
    これら第一パンチ51及び第一ダイス52eにより500トンのトランスファープレス機を用いて突起部付柱状部7eの軸心に軸孔6を形成するのである。

    この軸孔形成は、図35に示すように、トランスファープレス機の上下動する上ダイセット54にパンチプレート54a、パンチフォルダー54b、54c、54d、スプリング54e、ストリッパー55eなどにより前記第一パンチ51を取付けるとともに、トランスファープレス機に固定の下ダイセット56にダイスフォルダー57e、ダイスプレート58a、58bなどにより前記第一ダイス52eを固定するのである。
    そして、第一ダイス52eに鍛造品33eを挿入し、上ダイセット54を下降させて、上ダイセット54のストリッパー55eを第一ダイス52eに当接させた後、スプリング54eにより鍛造品33eに形成する軸孔6の部分を除きストリッパー55eとダイスフォルダー57eとの間に鍛造品33eの上下を固定して、次に、第一パンチ51が下降して軸孔6を形成するとともに、前記第一パンチ51が加工始端側から五分の四の位置までは形成される孔部が抜きカスとならずに前記突起部付柱状部7eが外方に膨出して前記第一ダイス52eの隙間容積53bを充満させた後、前記第一パンチ51が前記五分の四の位置から加工終端までは形成される孔部が抜きカスとなって抜きカス排出口58cから外部に排出されるのである。

    次に、上ダイセット54を当初の位置まで上昇させ、図示しない油圧装置により軸孔6を形成した鍛造品33eを第一ダイス52eから突き上げて取出すことにより、軸孔形成工程50を完了するのである。
    このように、軸孔形成工程50を完了した鍛造品33eは軸孔形成工程50による加工前の前記突起部付柱状部7e が円筒状であって内径8.8mm、高さ24mmの突起部付係合部5eに加工されるのである。

    軸孔形成工程50を完了した鍛造品33eはトランスファープレス機により上下を逆にして軸孔仕上工程60で突起部付係合部5eに形成した軸孔6を仕上加工するのである。
    軸孔仕上工程60では、第二ダイス62e及び第一の実施の形態と同一の第二パンチ61で軸孔形成工程50で形成した鍛造品33eの突起部付係合部5eに形成した軸孔6を精度よく仕上げるのである。

    また、第二ダイス62eは、前記第一ダイス52eの内側壁と同一の形状にしている。
    なお、前記鍛造品33eは上下を逆にして第一ダイス52eと第二ダイス62eとに挿入するため、第一ダイス52eと第二ダイス62eとは上下対称の形状とするのである。
    そして、軸孔仕上工程60においても、図36に示すように、前記軸孔形成工程50で使用したトランスファープレス機を使用し、前記第二パンチ61を前記上ダイセット54に取付け、前記第二ダイス62eを下ダイセット56に固定するのである。

    また、この軸孔仕上工程60における第二パンチ61の最大径は軸孔形成工程50における第一パンチ51の最大径よりも0.2mm大きくしているが、鍛造品33eについては、上下方向をストリッパー65e及びダイスフォルダー57eにより、外周方向を第二ダイス62eにより、外方に膨出できないようにしているため、軸孔6が0.2mmだけ軸孔仕上工程60で大きくなるが、この余肉は、抜きカスとはならずに、軸孔形成工程50における加工始端側に抜きダレ部6a(図14参照)が生じ、この抜きダレ部6aの補填がなされたり、前記突起部付係合部5eと第二ダイス62eの内側壁との間の微小隙間により吸収されるのである。
    そして、これら第二パンチ61及び第二ダイス62eにより500トンのトランスファープレス機を用いて突起部付係合部5eに形成した直径8.8mm程度の軸孔6を直径9.0mmに仕上加工するのである。

    この軸孔仕上加工は第一の実施の形態と同様であるから、説明を省略する。
    また、第五の実施の形態における穴形成工程70は第一の実施の形態と同様であるから、説明を省略する。

    次に、本発明の第六の実施の形態に係る自動車用ドアヒンジの製造方法について、図37〜図42に基づき説明する。
    第六の実施の形態に係る自動車用ドアヒンジの製造方法は、第五の実施の形態に係るドアに取付けるドア側ドアヒンジの構造の一部を変更したものである。

    具体的には、第五と第六の実施の形態に係る車両本体側ドアヒンジの構造上の相違点は、第五の実施の形態に係るドア側ドアヒンジがドアの開止め用の突起部を備えた突起部付係合部であったのに対し、第六の実施の形態では、突起部を除去した係合部としたものである。
    図37に示す自動車用ドアヒンジは、第六の実施の形態に係る製造方法により製造されたドアに取付けるドア側ドアヒンジ1fを示しており、図37において、3fは帯板状の取付部、5fは取付部3fから屈曲した位置にヒンジ用ピンを挿入する軸孔6有する円筒状の係合部、3gは取付部3fに形成した取付穴である。

    このドア側ドアヒンジ1fは、係合部5fの高さ方向の寸法を取付部3fの高さ方向の寸法よりも小さく形成しており、取付部3fの端部における係合部5fがない下方部をストッパー3hとしている。
    以下、第五の実施の形態と同様な製造工程については、同一の符号を付して説明を省略ないし簡略にして説明する。

    第六の実施の形態に係る製造方法の概略の工程は、第五(第一)の実施の形態において説明した図1に示すブロック図と同様であるので説明を省略するが、以下の説明では、第五(第一)の実施の形態で使用した工程及び符号を使用する。
    第六の実施の形態における切断工程20及び加熱工程25は、第五(第一)の実施の形態におけるこれら工程20、25と同様であるので説明を省略する。

    第六の実施の形態における熱間鍛造工程30は、図38に示すように、鍛造品33fの構造が第五の実施の形態における鍛造品33fと相違するため、下型31の凹部36fの形状を鍛造品33fの屈曲部34fの突出側の面35fの形状を受入れるように形成し、上型32の凸部38fの形状を鍛造品33fの突出側の反対面37fの形状に合致するように形成している。
    そして、熱間鍛造を行なう方法については第五(第一)の実施の形態と同様であるので説明を省略する。

    第六の実施の形態におけるトリミング工程40及び冷却工程45については、第五(第一)の実施の形態と同様であるので説明を省略する。
    また、第六の実施の形態における軸孔形成工程50については、鍛造品33fの形状が第五の実施の形態とは異なるため、第一ダイス52fの形状を図39に示すように形成するとともに、上下ダイセットの構造を図41に示すように一部変更するのである。

    前記第一ダイス52fは、図39及び40に示すように、前記鍛造品33fの柱状部7f(点線で示す)の外周から隙間をあけた内側壁53aを有するとともに、前記柱状部7fの外周と前記内側壁53aとで形成される隙間容積53bは、前記鍛造品33fの前記柱状部7fに第一の実施の形態と同一の前記第一パンチ51によりパンチングする際に、前記第一パンチ51が加工始端側から五分の四の位置までは形成される孔部が抜きカスとならずに前記柱状部7fが外方に膨出し、前記第一パンチ51が前記五分の四の位置から加工終端までは形成される孔部が抜きカスとなって排出される大きさに形成するのである。
    前記第一ダイス52fは、前記柱状部7fと対向する部分を除く内側壁52cについては隙間なく前記鍛造品33fの前記取付部3fの外周を挿入する形状としており、この内側壁52cにより前記鍛造品33fの前記柱状部7fの位置決めとするのである。

    これら第一パンチ51及び第一ダイス52fにより500トンのトランスファープレス機を用いて柱状部7fの軸心に軸孔6を形成するのである。
    この軸孔形成は、図42に示すように、トランスファープレス機の上下動する上ダイセット54にパンチプレート54a、パンチフォルダー54b、54c、54d、スプリング54e、ストリッパー55fなどにより前記第一パンチ51を取付けるとともに、トランスファープレス機に固定の下ダイセット56にダイスフォルダー57f、ダイスプレート58a、58bなどにより前記第一ダイス52fを固定するのである。

    そして、第一ダイス52fに鍛造品33fを挿入し、上ダイセット54を下降させて、上ダイセット54のストリッパー55fを第一ダイス52fに当接させた後、スプリング54eにより鍛造品33fに形成する軸孔6の部分を除きストリッパー55fとダイスフォルダー57fとの間に鍛造品33fの上下を固定して、次に、第一パンチ51が下降して軸孔6を形成するとともに、前記第一パンチ51が加工始端側から五分の四の位置までは形成される孔部が抜きカスとならずに前記柱状部7fが外方に膨出して前記第一ダイス52fの隙間容積53bを充満させた後、前記第一パンチ51が前記五分の四の位置から加工終端までは形成される孔部が抜きカスとなって抜きカス排出口58cから外部に排出されるのである。
    次に、上ダイセット54を当初の位置まで上昇させ、図示しない油圧装置により軸孔6を形成した鍛造品33fを第一ダイス52fから突き上げて取出すことにより、軸孔形成工程50を完了するのである。

    このように、軸孔形成工程50を完了した鍛造品33fは軸孔形成工程50による加工前の前記柱状部7f が円筒状であって内径8.8mm、高さ24mmの係合部5fに加工されるのである。
    軸孔形成工程50を完了した鍛造品33fはトランスファープレス機により上下を逆にして軸孔仕上工程60で係合部5fに形成した軸孔6を仕上加工するのである。

    軸孔仕上工程60では、第二ダイス62f及び第一の実施の形態と同一の第二パンチ61で軸孔形成工程50で形成した鍛造品33fの係合部5fに形成した軸孔6を精度よく仕上げるのである。
    また、第二ダイス62fは、前記第一ダイス52fの内側壁と同一の形状にしている。

    なお、前記鍛造品33fは上下を逆にして第一ダイス52fと第二ダイス62fとに挿入するため、第一ダイス52fと第二ダイス62fとは上下対称の形状とするのである。
    そして、軸孔仕上工程60においても、図42に示すように、前記軸孔形成工程50で使用したトランスファープレス機を使用し、前記第二パンチ61を前記上ダイセット54に取付け、前記第二ダイス62fを下ダイセット56に固定するのである。

    また、この軸孔仕上工程60における第二パンチ61の最大径は軸孔形成工程50における第一パンチ51の最大径よりも0.2mm大きくしているが、鍛造品33fについては、上下方向をストリッパー65f及びダイスフォルダー57fにより、外周方向を第二ダイス62fにより、外方に膨出できないようにしているため、軸孔6が0.2mmだけ軸孔仕上工程60で大きくなるが、この余肉は、抜きカスとはならずに、軸孔形成工程50における加工始端側に抜きダレ部6a(図14参照)が生じ、この抜きダレ部6aの補填がなされたり、前記係合部5fと第二ダイス62fの内側壁との間の微小隙間により吸収されるのである。
    そして、これら第二パンチ61及び第二ダイス62fにより500トンのトランスファープレス機を用いて係合部5fに形成した直径8.8mm程度の軸孔6を直径9.0mmに仕上加工するのである。

    この軸孔仕上加工は第一の実施の形態と同様であるから説明を省略する。
    また、第六の実施の形態における穴形成工程70は第五(第一)の実施の形態と同様であるから、説明を省略する。

    以上の第一〜第六の実施の形態に係る製造方法は、切断工程20、加熱工程25、熱間鍛造工程30、トリミング工程40、冷却工程45、軸孔形成工程50、軸孔仕上工程60及び穴形成工程70を有していたが、第一〜第六の実施の形態に係る発明の特徴は、熱間鍛造工程、軸孔形成工程及び軸孔仕上工程であり、切断工程、加熱工程、トリミング工程、冷却工程及び穴形成工程は省略又は他の工程で行うことができる。
    以上の第一〜第六の実施の形態では、熱間鍛造工程30における素材の温度を加熱工程25において、1200℃±50℃としたが、950℃〜1350℃の範囲にすることができる。 なお、950℃未満としたときは熱間鍛造装置(例えばエアースタンプハンマー)の容量が大きくなり、1350℃超としたときは鍛造品が脱炭して強度的に不適当である。

    また、以上の第一〜第六の実施の形態では、熱間鍛造工程30により水平断面が円形状の柱状部又は突起部付柱状部を形成したが、図43(a)、(b)に示すように、水平断面が楕円形状の柱状部又は突起部付柱状部としてもよい。
    図43(a)は、第一の実施の形態における図9に対応する水平断面が楕円形状の柱状部7aと第一ダイス52aを示す部分拡大平面図であり、また、図43(b)は、第二の実施の形態における図18に対応する水平断面が楕円形状の突起部付柱状部7bと第一ダイス52bを示す部分拡大平面図である。 なお、図示を省略するが、第三〜第六の実施の形態についても同様に水平断面が楕円形状の柱状部又は突起部付柱状部とすることができる。

    また、以上の第一〜第六の実施の形態では、トリミング工程40を熱間鍛造工程に続けて鍛造品が高温状態で行うようにしたが、鍛造品が450℃〜900℃の温間で行うようにしてもよく、さらに冷却工程45を経て冷間で行うようにしてもよい。
    温間で行う場合、冷却工程45における鍛造品の温度を450℃〜900℃になるように調節するのである。

    以上の第一〜第六の実施の形態では、第一パンチ51及び第二パンチ61の先端を円錐角度90°としたが、70°〜120°とするのが好ましい。
    特に、第一パンチ51については、70°よりも小さくするとパンチの外周方向に軸孔の余肉が移動してパンチの応力が大きくなり破損しやすくなり、好ましくない。

    また、第一パンチ51については、120°よりも大きくすると軸孔前方側への押し出し力が強く作用し軸孔周辺の肉が貫通方向に引っ張られてパンチの応力が大きくなりやはり破損しやすくなるとともに、軸孔におけるパンチの加工始端側のダレが大きくなり実用に支障を来たすことになり、好ましくない。
    なお、第二パンチ61は円錐状に替えて円錐台状であってもよい。

    また、以上の第一〜第六の実施の形態では、第一ダイス52a〜52fについて、前記柱状部7a、7c、7f、突起部付柱状部7b、7d、7eの外周と第一ダイス52a〜52fの前記内側壁53a、53cとで形成される隙間容積53bは、前記鍛造品33a〜33fの前記柱状部7a、7c、7f、突起部付柱状部7b、7d、7eに前記第一パンチ51によりパンチングする際に、前記第一パンチ51が加工始端側から五分の四の位置までは形成される孔部が抜きカスとならずに前記柱状部7a、7c、7f、突起部付柱状部7b、7d、7eが外方に膨出し、前記第一パンチ51が前記五分の四の位置から加工終端までは形成される孔部が抜きカスとなって排出される大きさに形成するようにしたが、前記五分の四の値は四分の三〜六分の五の範囲に設定してもよい。
    四分の三よりも小さい値に設定すると隙間容積53bにおける下方部分に膨出しなくなり、六分の五よりも大きい値に設定すると第一パンチに作用する応力が増大しすぎるから好ましくないのである。

    さらに、以上の第一〜第六の実施の形態では、軸孔形成工程50及び軸孔仕上工程60を冷間加工により行ったが、軸孔形成工程及び軸孔仕上工程を温間加工により行うようにすることもできる。
    温間加工で行う場合、冷却工程45における鍛造品の温度を450℃〜900℃になるように調節するのである。

    この場合、第一パンチ及び第一ダイス並びに第二パンチ及び第二ダイスの大きさは、鍛造品の温間加工時の熱膨張及び常温での使用時の熱収縮を考慮して、寸法を決めるのである。
    すなわち、パンチ、ダイスは、熱膨張率の小さい材質からなるので、加工時の温度と、熱膨張率の差を考慮して、第一パンチ及び第一ダイス並びに第二パンチ及び第二ダイスの大きさを常温時の設計値よりも大きく製作しておくのである。

    次に、本発明の第七の実施の形態に係る自動車用ドアヒンジの製造方法について、図44(a)、(b)に基づき説明する。
    第七の実施の形態は、第一の実施の形態に係る自動車用ドアヒンジの製造方法により製造された車両本体側ドアヒンジと、第五の実施の形態に係る自動車用ドアヒンジの製造方法により製造されたドア側ドアヒンジとを用いて一対の自動車用ドアヒンジを製造する方法である。

    図44(a)、(b)は、第一の実施の形態により製造された車両本体に取付ける車両本体側ドアヒンジ1aと、第五の実施の形態により製造されたドア側ドアヒンジ1eとから製造した一対の自動車用ドアヒンジ1gであり、前記各ドアヒンジ1a、1eの各軸孔に1本のヒンジ用頭付ピン16を貫通するように挿入し、前記頭付ピン16の端部16aをカシメ加工することにより一対の自動車用ドアヒンジ1gとしたのである。
    なお、17は前記頭付ピン16の端部に設けた座金である。

    次に、本発明の第八の実施の形態に係る自動車用ドアヒンジの製造方法について、図45(a)、(b)に基づき説明する。
    第八の実施の形態は、第二の実施の形態に係る自動車用ドアヒンジの製造方法により製造された車両本体側ドアヒンジと、第六の実施の形態に係る自動車用ドアヒンジの製造方法により製造されたドア側ドアヒンジとを用いて一対の自動車用ドアヒンジを製造する方法である。

    図45(a)、(b)は、第二の実施の形態により製造された車両本体に取付ける車両本体側ドアヒンジ1bと、第六の実施の形態により製造されたドア側ドアヒンジ1fとから製造した一対の自動車用ドアヒンジ1hであり、前記各ドアヒンジ1b、1fの各軸孔に1本のヒンジ用頭付ピン16を貫通するように挿入し、前記頭付ピン16の端部16aをカシメ加工することにより一対の自動車用ドアヒンジ1hとしたのである。
    なお、17は前記頭付ピン16の端部に設けた座金である。

    次に、本発明の第九の実施の形態に係る自動車用ドアヒンジの製造方法について、図46(a)、(b)に基づき説明する。
    第九の実施の形態は、第三の実施の形態に係る自動車用ドアヒンジの製造方法により製造された車両本体側ドアヒンジと、第五の実施の形態に係る自動車用ドアヒンジの製造方法により製造されたドア側ドアヒンジとを用いて一対の自動車用ドアヒンジを製造する方法である。

    図46(a)、(b)は、第三の実施の形態により製造された車両本体に取付ける車両本体側ドアヒンジ1cと、第五の実施の形態により製造されたドア側ドアヒンジ1eとから製造した一対の自動車用ドアヒンジ1iであり、前記各ドアヒンジ1c、1eの各軸孔に、1本のヒンジ用頭付ピン16を貫通するように挿入し、前記頭付ピン16の端部16aをカシメ加工することにより一対の自動車用ドアヒンジ1iとしたのである。
    なお、17は前記頭付ピン16の端部に設けた座金である。

    次に、本発明の第十の実施の形態に係る自動車用ドアヒンジの製造方法について、図47(a)、(b)に基づき説明する。
    第十の実施の形態は、第四の実施の形態に係る自動車用ドアヒンジの製造方法により製造された車両本体側ドアヒンジと、第六の実施の形態に係る自動車用ドアヒンジの製造方法により製造されたドア側ドアヒンジとを用いて一対の自動車用ドアヒンジを製造する方法である。

    図47(a)、(b)は、第四の実施の形態により製造された車両本体に取付ける車両本体側ドアヒンジ1dと、第六の実施の形態により製造されたドア側ドアヒンジ1fとから製造した一対の自動車用ドアヒンジ1jであり、前記各ドアヒンジ1d、1fの各軸孔に、1本のヒンジ用頭付ピン16を貫通するように挿入し、前記頭付ピン16の端部16aをカシメ加工することにより一対の自動車用ドアヒンジ1jとしたのである。
    なお、17は前記頭付ピン16の端部に設けた座金である。

    以上の第一〜第十の実施の形態では、ドアの重量が大きい大型車や高級車に適する自動車用ドアヒンジの製造方法を説明したが、軽量のドアを用いた小型車や普及車に適用することができることはもちろんであり、小型車や普及車の場合、上記実施の形態で具体的に例示した寸法について、小さくするのである。

    1a〜1d 車両本体側ドアヒンジ1e、1f ドア側ドアヒンジ1g〜1j 一対の自動車用ドアヒンジ2a、2c、2e 素材3、3c、3f 取付部4 腕部5a、5f 係合部5b、5e 突起部付係合部6 軸孔7a、7c、7f 柱状部7b、7d、7e 突起部付柱状部9 開止め用突起部16 ヒンジ用頭付ピン16a 端部30 熱間鍛造工程31 下型32 上型33a〜33f 鍛造品34a〜34f 屈曲部35a〜35f 突出側の面36a〜36f 凹部37a〜37f 反対面38a〜38f 凸部40 トリミング工程50 軸孔形成工程51 第一パンチ52a〜52f 第一ダイス53a、53c 内側壁53b 隙間容積60 軸孔仕上工程61 第二パンチ62a〜62f 第二ダイス

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