結束機

申请号 JP2016071441 申请日 2016-07-21 公开(公告)号 JPWO2017014280A1 公开(公告)日 2018-08-23
申请人 マックス株式会社; 发明人 長岡 孝博; 笠原 章;
摘要 簡単な構成でワイヤを把持する動作が確実に行える鉄筋結束機を提供する。固定把持部材(70C)の一方の側に対して離接する方向に変位する第1の可動把持部材(70L)と、固定把持部材(70C)の他方の側に対して離接する方向に変位する第2の可動把持部材(70R)と、第1の可動把持部材(70L)及び第2の可動把持部材(70R)を、固定把持部材(70C)に対して離接させる折り曲げ部(71)を備え、固定把持部材(70C)は、第1の可動把持部材(70L)と第2の可動把持部材(70R)を回転可能に支持する軸(77)を備え、折り曲げ部(71)は、第1の可動把持部材(70L)に設けた開閉ガイド孔(77L)及び第2の可動把持部材(70R)に設けた開閉ガイド孔(77R)を押す開閉ピン(71a)を備える。
权利要求

ワイヤを送り、結束物の周囲に巻き回すことが可能な送り手段と、 ワイヤを把持して捩じる結束手段とを備えた結束機であって、 前記結束手段は、 一端側が互いに近づく方向と離れる方向に移動可能なように、他端側が第1の方向に延在する軸で回動可能に支持される一対の把持部材と、 前記第1の方向に延在し、前記第1の方向と直交する第2の方向に移動可能な移動部材とを有し、 前記一対の把持部材の少なくとも一方は、前記移動部材が嵌合し、嵌合した前記移動部材が前記第2の方向に移動可能な嵌合部を有する可動把持部材である ことを特徴とする結束機。前記嵌合部は、前記可動把持部材の長手方向に沿って延びるように形成される ことを特徴とする請求項1に記載の結束機。前記嵌合部は、可動把持部材の長手方向に沿って延び、途中外側に屈曲し、再び前記長手方向に沿って延びるように形成される ことを特徴とする請求項1に記載の結束機。前記嵌合部は、溝である ことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の結束機。前記嵌合部は、前記可動把持部材を貫通する孔である ことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の結束機。前記一対の把持部材は、前記移動部材が嵌合し、嵌合した前記移動部材が前記第2の方向に移動可能な嵌合部を有する第1の可動把持部材と、前記移動部材が嵌合し、嵌合した前記移動部材が前記第2の方向に移動可能な嵌合部を有する第2の可動把持部材である ことを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の結束機。前記結束部は、前記第2の方向に延在する固定把持部材を有し、 前記第1の可動把持部材及び第2の可動把持部材は、前記固定把持部材を介して前記固定把持部材の両側に設けられ、前記第1の可動把持部材の一端側が、回動によって前記固定把持部と近づく方向と離れる方向に移動可能に構成され、前記第2の可動把持部材の一端側が、回動によって前記固定把持部と近づく方向と離れる方向に移動可能に構成される ことを特徴とする請求項6に記載の結束機。前記固定把持部材は、前記第1の可動把持部材の前記嵌合部と前記第2の可動把持部材の前記嵌合部に嵌合された前記移動部材が嵌合して、前記第2の方向に移動可能な嵌合部を有する ことを特徴とする請求項7に記載の結束機。前記固定把持部材の前記嵌合部は、前記第2の方向に延びる溝である ことを特徴とする請求項8に記載の結束機。前記固定把持部材の前記嵌合部は、前記固定把持部を貫通し、前記第2の方向に延びる孔である ことを特徴とする請求項8に記載の結束機。前記軸は、前記固定把持部材に設けられる ことを特徴とする請求項7〜請求項10の何れか1項に記載の結束機。前記移動部材の移動経路の延長線上に前記軸を備えた ことを特徴とする請求項1〜請求項11の何れか1項に記載の結束機。前記移動部材が取り付けられ、前記第2の方向に移動可能な可動部材を備え、 前記可動部材は、前記嵌合部を蓋うカバー部を備えた ことを特徴とする請求項1〜請求項12の何れか1項に記載の結束機。ワイヤを送り、結束物の周囲に巻き回すことが可能な送り手段と、 ワイヤを把持して捩じる結束手段とを備えた結束機であって、 前記結束手段は、 一端側が互いに近づく方向と離れる方向に移動可能なように、他端側が第1の方向に延在する軸で回動可能に支持される一対の把持部材と、 前記第1の方向と直交する第2の方向に移動可能な可動部材とを有し、 前記一対の把持部材の少なくとも一方は、前記第1の方向に延在する開閉軸部を有し、 前記可動部材は、前記開閉軸部が嵌合する嵌合部を有し、 前記嵌合部は、前記開閉軸部が嵌合した状態で前記可動部材を前記第2の方向に移動可能に構成される ことを特徴とする結束機。ワイヤが巻かれたリールが収容され、ワイヤを繰り出し可能に構成される収容部を備え、 前記収容部は、内壁部が設けられ、弛んだワイヤが前記内壁部に接触して前記内壁部に沿って前記リールの軸線方向に横移動するのを規制するワイヤ移動規制部を有する ことを特徴とする請求項1または請求項14に記載の結束機。前記ワイヤ移動規制部は、前記内壁部から前記収容部の内方へ向けて突設された突部である ことを特徴とする請求項15に記載の結束機。前記送り手段は、前記収容部から繰り出されたワイヤを送るワイヤ送り部を有し、 前記ワイヤ移動規制部は、前記リールを介して前記ワイヤ送り部とは反対側に位置する前記内壁部に設けられる ことを特徴とする請求項15または請求項16に記載の結束機。前記収容部は、ワイヤの巻芯となるハブ部と、前記ハブ部の両端側に設けられた一対のフランジ部とを有するリールを収容可能であり、 前記内壁部は、前記リールが収容されたときに前記ハブ部と対向する周壁部を有し、 前記ワイヤ移動規制部は、前記周壁部の端部またはその近傍における壁面から前記リールに向けて突設される ことを特徴とする請求項17に記載の結束機。前記ワイヤ移動規制部は、前記周壁部の端部またはその近傍における壁面から前記フランジ部に向けて突設される ことを特徴とする請求項18に記載の結束機。前記ワイヤ移動規制部は、前記周壁部の壁面から延びる、前記フランジ部に達しない長さの立壁である ことを特徴とする請求項19に記載の結束機。前記収容部は、前記リールを収容可能なケースと、該ケースに設けられた前記リールを装着するための開口部を開閉可能なカバーとを備え、 前記ワイヤ移動規制部は、前記ケースの側または前記カバーの側の前記内壁部に設けられる ことを特徴とする請求項15〜請求項20の何れか1項に記載の結束機。前記ワイヤ移動規制部は、前記リールが収容されたときに前記ケースの側または前記カバーの側の前記内壁部から前記一対のフランジ部のうちの前記開口部に近い側のフランジ部に向けて突設された立壁で形成される ことを特徴とする請求項21に記載の結束機。ワイヤが巻かれたリールが収容され、ワイヤを繰り出し可能に構成される収容部を備え、 前記収容部は、前記リールを収容可能な空間を有するケースと、前記リールを装着するために前記ケースに設けられた開口部を開閉可能なカバーとを備え、 前記ケースと前記カバーとの合わせ部の一部に、前記収容部内で弛んだワイヤと交差する方向へ延びる斜行部が設けられる ことを特徴とする請求項1または請求項14に記載の結束機。前記送り手段は、前記収容部から繰り出されたワイヤを送るワイヤ送り部を有し、 前記斜行部は、前記収容部内で弛んだワイヤが前記収容部の内壁部に接触する部位またはその近傍に対して設けられた、前記ワイヤ送り部から離れるに従い前記収容部の奥側へ向かう傾斜を有する ことを特徴とする請求項23に記載の結束機。ワイヤが巻かれたリールが収容される収容部を備え、 前記収容部は、前記リールを収容可能な空間を有するケースと、前記リールを装着するために前記ケースに設けられた開口部を開閉可能なカバーとを備え、 前記ケースは、前記カバーを前記ケースへ向けて弾性的に押圧保持させる押圧機構を有する ことを特徴とする請求項1または請求項14に記載の結束機。前記押圧機構は、前記カバーにおける、前記収容部内で弛んだワイヤが接触する前記収容部の内壁部に相当する部位またはその近傍を押圧保持する ことを特徴とする請求項25に記載の結束機。

说明书全文

本発明は、鉄筋等の結束物をワイヤで結束する結束機に関する。

従来から、2本以上の鉄筋にワイヤを巻き回し、巻き回したワイヤを捩じって当該2本以上の鉄筋を結束する鉄筋結束機と称す結束機が提案されている。

従来の鉄筋結束機は、ワイヤを送って鉄筋の周囲に巻き回した後、ワイヤを捩じって結束する構成である。このような鉄筋結束機に対し、鉄筋の周囲にワイヤを巻き回した後、ワイヤを鉄筋に密着するように巻き付けて切断し、ワイヤの一方の端部側と他方の端部側が交差する箇所を捩じって鉄筋を結束する鉄筋結束機が提案されている。

鉄筋の周囲に巻き回したワイヤを鉄筋に巻き付ける鉄筋結束機では、鉄筋の周囲に巻き回したワイヤの一方の側を、第1の可動把持部材と固定把持部材の間で把持し、ワイヤの他方の側を、第2の可動把持部材と固定把持部材の間で把持することで、ワイヤを鉄筋に巻き付ける動作と、ワイヤを捩じる動作が行われる。

従来、第1の可動把持部材と第2の可動把持部材が平行移動で開閉する構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、第1の可動把持部材と第2の可動把持部材が軸を支点とした回転動作で開閉する構成が提案されている(例えば、特許文献2参照)。

日本国特許第4747455号

日本国特開昭57−125111号公報

第1の可動把持部材と第2の可動把持部材が平行移動で開閉する従来の構成では、第1の可動把持部材と第2の可動把持部材の移動が、溝とピン等の部材でガイドされる。また、第1の可動把持部材と第2の可動把持部材が平行移動する構造であるため、横方向の寸法が大きくなる。このため、小型化が困難である。また、第1の可動把持部材と第2の可動把持部材が軸を支点とした回転動作で開閉する従来の構成では、第1の可動把持部材と第2の可動把持部材を回転させるための機構が必要であり、構造が複雑化する。

本発明は、このような課題を解決するためなされたもので、小型化が可能で、構造が簡易な結束機を提供することを目的とする。

上述した課題を解決するため、本発明は、ワイヤを送り、結束物の周囲に巻き回すことが可能な送り手段と、ワイヤを把持して捩じる結束手段とを備えた結束機であって、結束手段は、一端側が互いに近づく方向と離れる方向に移動可能なように、他端側が第1の方向に延在する軸で回動可能に支持される一対の把持部材と、第1の方向に延在し、第1の方向と直交する第2の方向に移動可能な移動部材とを有し、一対の把持部材の少なくとも一方は、移動部材が嵌合し、嵌合した移動部材が第2の方向に移動可能な嵌合部を有する可動把持部材である結束機である。

また、本発明は、ワイヤを送り、結束物の周囲に巻き回すことが可能な送り手段と、ワイヤを把持して捩じる結束手段とを備えた結束機であって、結束手段は、一端側が互いに近づく方向と離れる方向に移動可能なように、他端側が第1の方向に延在する軸で回動可能に支持される一対の把持部材と、第1の方向と直交する第2の方向に移動可能な可動部材とを有し、一対の把持部材の少なくとも一方は、第1の方向に延在する開閉軸部を有し、可動部材は、開閉軸部が嵌合する嵌合部を有し、嵌合部は、開閉軸部が嵌合した状態で可動部材を第2の方向に移動可能に構成される結束機である。

本発明では、一対の把持部材の一端側が、近づく方向と離れる方向に相対的に移動できるように、一対の把持部材の他端側が軸で回転可能に支持される。嵌合部と、嵌合部に嵌る移動部材または開閉軸部が、上述した軸の延在する第1の方向と直交する第2の方向に相対的に移動する動作により、一対の把持部材が、軸を支点として回転する。一対の把持部材の一端側が近づく方向に変位することで、ワイヤを把持することができ、また、一対の把持部材の一端側が離れる方向に変位することで、把持したワイヤを離すことができる。

本発明では、一対の把持部材の他端側を軸を支点として回転させるだけで、把持部材の一端側を互いに近づく方向と離れる方向に移動させることができるので、小型化が可能である。また、移動部材または可動部材を移動させるだけで、一対の把持部材を回転させることができるので、構造が簡易である。

本実施の形態の鉄筋結束機の全体構成の一例を示す側面から見た構成図である。

本実施の形態の鉄筋結束機の全体構成の一例を示す前面から見た構成図である。

本実施の形態の送りギアの一例を示す構成図である。

本実施の形態の変位部の一例を示す構成図である。

本実施の形態の変位部の一例を示す構成図である。

本実施の形態の変位部の一例を示す構成図である。

本実施の形態の変位部の一例を示す構成図である。

本実施の形態の並列ガイドの一例を示す構成図である。

本実施の形態の並列ガイドの一例を示す構成図である。

本実施の形態の並列ガイドの一例を示す構成図である。

並列したワイヤの一例を示す構成図である。

交差してねじれたワイヤの一例を示す構成図である。

本実施の形態のガイド溝の一例を示す構成図である。

本実施の形態の第2のガイド部の一例を示す構成図である。

本実施の形態の第2のガイド部の一例を示す構成図である。

本実施の形態の第2のガイド部の一例を示す構成図である。

本実施の形態の第2のガイド部の一例を示す構成図である。

本実施の形態の第2のガイド部の一例を示す構成図である。

本実施の形態の把持部の構成図である。

本実施の形態の把持部の構成図である。

本実施の形態の把持部の構成図である。

本実施の形態の把持部の構成図である。

本実施の形態の把持部の構成図である。

本実施の形態の把持部の構成図である。

本実施の形態の把持部の要部構成図である。

本実施の形態の把持部の要部構成図である。

本実施の形態の鉄筋結束機の一例を示す外観図である。

本実施の形態の鉄筋結束機の動作説明図である。

本実施の形態の鉄筋結束機の動作説明図である。

本実施の形態の鉄筋結束機の動作説明図である。

本実施の形態の鉄筋結束機の動作説明図である。

本実施の形態の鉄筋結束機の動作説明図である。

本実施の形態の鉄筋結束機の動作説明図である。

本実施の形態の鉄筋結束機の動作説明図である。

本実施の形態の鉄筋結束機の動作説明図である。

鉄筋にワイヤを巻く動作説明図である。

鉄筋にワイヤを巻く動作説明図である。

鉄筋にワイヤを巻く動作説明図である。

カールガイド部によりワイヤでループを形成する動作説明図である。

カールガイド部によりワイヤでループを形成する動作説明図である。

ワイヤを折り曲げる動作説明図である。

ワイヤを折り曲げる動作説明図である。

ワイヤを折り曲げる動作説明図である。

ワイヤを把持して捩じる動作の一例の詳細を示す動作説明図である。

ワイヤを把持して捩じる動作の一例の詳細を示す動作説明図である。

ワイヤを把持して捩じる動作の一例の詳細を示す動作説明図である。

ワイヤを把持して捩じる動作の一例の詳細を示す動作説明図である。

ワイヤを把持して捩じる動作の一例の詳細を示す動作説明図である。

ワイヤを把持して捩じる動作の一例の詳細を示す動作説明図である。

ワイヤを把持して捩じる動作の一例の詳細を示す動作説明図である。

ワイヤを把持して捩じる動作の一例の詳細を示す動作説明図である。

ワイヤを把持して捩じる動作の一例の詳細を示す動作説明図である。

ワイヤを把持して捩じる動作の一例の詳細を示す動作説明図である。

本実施の形態の鉄筋結束機の作用効果例である。

本実施の形態の鉄筋結束機の作用効果例である。

従来の鉄筋結束機の作用と課題例である。

従来の鉄筋結束機の作用と課題例である。

本実施の形態の鉄筋結束機の作用効果例である。

従来の鉄筋結束機の作用と課題例である。

本実施の形態の鉄筋結束機の作用効果例である。

従来の鉄筋結束機の作用と課題例である。

本実施の形態の鉄筋結束機の作用効果例である。

従来の鉄筋結束機の作用と課題例である。

本実施の形態の鉄筋結束機の作用効果例である。

従来の鉄筋結束機の作用と課題例である。

本実施の形態の鉄筋結束機の作用効果例である。

本実施の形態の鉄筋結束機の作用効果例である。

本実施の形態の並列ガイドの変形例を示す構成図である。

本実施の形態の並列ガイドの変形例を示す構成図である。

本実施の形態の並列ガイドの変形例を示す構成図である。

本実施の形態の並列ガイドの変形例を示す構成図である。

本実施の形態の並列ガイドの変形例を示す構成図である。

本実施の形態のガイド溝の変形例を示す構成図である。

本実施の形態のワイヤ送り部の変形例を示す構成図である。

本実施の形態のワイヤ送り部の変形例を示す構成図である。

本実施の形態の変形例を示す説明図である。

本実施の形態の変形例を示す説明図である。

本実施の形態の変形例を示す説明図である。

本実施の形態の第2のガイド部の変形例を示す構成図である。

本実施の形態の第2のガイド部の変形例を示す構成図である。

他の実施の形態の並列ガイドの一例を示す構成図である。

他の実施の形態の並列ガイドの一例を示す構成図である。

他の実施の形態の並列ガイドの一例を示す構成図である。

他の実施の形態の並列ガイドの一例を示す構成図である。

他の実施の形態の並列ガイドの動作の一例を示す説明図である。

他の実施の形態の並列ガイドの変形例を示す構成図である。

他の実施の形態の並列ガイドの変形例を示す構成図である。

他の実施の形態の並列ガイドの変形例を示す構成図である。

他の実施の形態の並列ガイドの変形例を示す構成図である。

他の実施の形態の並列ガイドの変形例を示す構成図である。

他の実施の形態の並列ガイドの変形例を示す構成図である。

他の実施の形態の並列ガイドの変形例を示す構成図である。

他の実施の形態の並列ガイドの変形例を示す構成図である。

他の実施の形態の把持部の構成及び動作を示す説明図である。

他の実施の形態の把持部の構成及び動作を示す説明図である。

他の実施の形態の把持部の構成及び動作を示す説明図である。

他の実施の形態の把持部の構成及び動作を示す説明図である。

他の実施の形態の把持部の構成及び動作を示す説明図である。

他の実施の形態の把持部の構成及び動作を示す説明図である。

他の実施の形態の第2のガイド部の一例を示す構成図である。

他の実施の形態の第2のガイド部の動作の一例を示す説明図である。

他の実施の形態の第2のガイド部の動作の一例を示す説明図である。

他の実施の形態の第2のガイド部の動作の一例を示す説明図である。

他の実施の形態の第2のガイド部の動作の一例を示す説明図である。

他の実施の形態の変位部の一例を示す構成図である。

他の実施の形態の変位部の一例を示す構成図である。

他の実施の形態の変位部の一例を示す構成図である。

他の実施の形態の鉄筋結束機の一例を示す外観図である。

他の実施の形態の変位部の動作の一例を示す説明図である。

他の実施の形態の変位部の動作の一例を示す説明図である。

他の実施の形態の変位部の動作の一例を示す説明図である。

他の実施の形態の変位部の動作の一例を示す説明図である。

他の実施の形態の変位部の動作の一例を示す説明図である。

他の実施の形態の変位部の動作の一例を示す説明図である。

他の実施の形態の変位部の動作の一例を示す説明図である。

他の実施の形態の変位部の動作の一例を示す説明図である。

他の実施の形態の変位部の動作の一例を示す説明図である。

他の実施の形態の変位部の動作の一例を示す説明図である。

他の実施の形態の変位部の動作の一例を示す説明図である。

他の実施の形態の変位部の動作の一例を示す説明図である。

他の実施の形態の鉄筋結束機の一例を示す外観図である。

他の実施例にかかる結束機の一部破断した全体側面図である。

図82の結束機の正面図(図1を左側から見た図)である。

図82の結束機の内部構造図である。

図84のワイヤ送り部周辺を示す正面図(図84のA−A線に沿った断面図)である。

図85の送りギアを上方から見た断面図(図85のB−B線に沿った断面図)である。

図84の捩り部およびその周辺を示す側面図である。

図87の捩り部を上方から見た断面図(図87のC−C線に沿った断面図)である。

図87の捩り部を上方から見た別の断面図(図87のD−D線に沿った断面図)である。

図82のリール部分を中心位置で上下方向に切断して前側から見た縦断面図である。

(カバーに設けた)規制部(突部)を示す、収容部の一部を破断した正面図(または図2の下部の部分拡大図)である。

ケースに設けた規制部(突部)を示す、収容部の一部を破断した正面図である。

斜行部を示す、収容部の一部を破断した正面図である。

斜行部を示す、収容部を下側から見た斜視図である。

斜行部を示す、収容部を上側から見た斜視図である。

押圧機構を示す図である。

ロック装置の構造を示す分解斜視図である。

図84の部分拡大斜視図である。

図84を反対側から見た部分拡大斜視図である。

停止位置規制部を備えたロックレバーの案内部の拡大図である。

停止位置規制部を備えていないロックレバーの案内部の拡大図である。

ワイヤ送り工程を示す、収容部の一部を破断した正面図である。

ワイヤ戻し工程を示す、図87と同様の捩り部等の側面図である。

ワイヤ切断工程を示す、図87と同様の捩り部等の側面図である。

ワイヤ捩り工程を示す、図87と同様の捩り部等の側面図である。

ワイヤ離し工程を示す、図87と同様の捩り部等の側面図である。

第1の不具合例を示す、収容部の一部を破断した図である。

第2の不具合例を示す、収容部の一部を破断した図である。

第3の不具合例を示す、収容部の一部を破断した図である。

第4の不具合例を示す、収容部の一部を破断した図である。

付記1に記載された結束部の一例を示す構成図である。

付記5に記載された嵌合部を備えた結束部の一例を示す構成図である。

付記4に記載された嵌合部を備えた結束部の一例を示す構成図である。

付記11に記載された結束部の一例を示す構成図である。

付記11に記載された結束部の一例を示す構成図である。

付記12に記載された結束部の一例を示す構成図である。

付記11に記載された結束部の一例を示す構成図である。

以下、図面を参照して、本発明の結束機の実施の形態としての鉄筋結束機の一例について説明する。

<本実施の形態の鉄筋結束機の構成例> 図1は、本実施の形態の鉄筋結束機の全体構成の一例を示す側面から見た構成図、図2は、本実施の形態の鉄筋結束機の全体構成の一例を示す前面から見た構成図である。ここで、図2は、図1のA−A線での内部構成を模式的に図示したものである。

本実施の形態の鉄筋結束機1Aは、従来の直径が太いワイヤと比較して直径が細い2本以上のワイヤWを使用して、結束物である鉄筋Sを結束する。鉄筋結束機1Aでは、後述するように、鉄筋Sの周囲にワイヤWを巻き回す動作、鉄筋Sの周囲に巻き回されたワイヤWを鉄筋Sに密着するように巻き付ける動作、鉄筋Sに巻き付けられたワイヤを捩じる動作等により、ワイヤWで鉄筋Sを結束する。鉄筋結束機1Aでは、上述した何れの動作でも、ワイヤWが曲げられるため、従来のワイヤと比較して直径の細いワイヤWを使用することで、鉄筋Sに少ないでワイヤを巻け、かつ、少ない力でワイヤWを捩じることができる。また、ワイヤを2本以上使用することで、ワイヤWによる鉄筋Sの結束強度を確保することができる。更に、2本以上のワイヤWを並列させて送る構成とすることで、ワイヤWを巻く動作に要する時間を、1本のワイヤで鉄筋を二重以上に巻く動作と比較して短くできる。なお、鉄筋Sの周囲にワイヤWを巻き回すこと、鉄筋Sの周囲に巻き回されたワイヤWを、鉄筋Sに密着するように巻き付けることを総称して、ワイヤWを巻くとも記載する。ワイヤWが巻かれるのは、鉄筋S以外の結束物でも良い。ここで、ワイヤWは、塑性変形し得る金属で構成された単線のワイヤ、あるいは撚り線のワイヤが使用される。

鉄筋結束機1Aは、ワイヤWが収容される収容部であるマガジン2Aと、マガジン2Aに収容されたワイヤWを送るワイヤ送り部3Aと、ワイヤ送り部3Aに送られるワイヤW、及び、ワイヤ送り部3Aから送り出されたワイヤWを並列させる並列ガイド4Aを備える。また、鉄筋結束機1Aは、並列されて送られるワイヤWを鉄筋Sの周囲に巻き回すカールガイド部5Aと、鉄筋Sに巻き回されたワイヤWを切断する切断部6Aを備える。更に、鉄筋結束機1Aは、鉄筋Sに巻き回されたワイヤWを把持して捩じる結束部7Aを備える。

マガジン2Aは収容手段の一例で、本例では、2本の長尺状のワイヤWが繰り出し可能に巻かれたリール20が、着脱可能に収容される。リール20は、ワイヤWを巻き付け可能な筒状のハブ部20aと、ハブ部20aの軸方向両端側に設けられる一対のフランジ20bとを備える。フランジ20bは、ハブ部20aの直径より大きな直径を有して、ハブ部20aの軸方向両端側より径方向に突出する。ハブ部20aには、2本以上のワイヤW、本例では、2本のワイヤWが巻かれる。鉄筋結束機1Aでは、ワイヤ送り部3Aで2本のワイヤWを送る動作、及び、2本のワイヤWを手動で送る動作で、マガジン2Aに収容されたリール20が回転しながら、2本のワイヤWがリール20から繰り出される。このとき、2本のワイヤWが互いに捩じれることなく繰り出されるように、ハブ部20aに2本のワイヤWが巻かれる。

ワイヤ送り部3Aは、送り手段を構成するワイヤ送り手段の一例で、並列されたワイヤWを送る一対の送り部材として、回転動作でワイヤWを送る平歯車状の第1の送りギア30Lと、第1の送りギア30Lとの間にワイヤWを挟持する同じく平歯車状の第2の送りギア30Rを備える。第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rは、詳細は後述するが、円板状の部材の外周面に歯部が形成された平歯車状である。但し、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rは、互いが噛み合って一方の送りギアから他方の送りギアに駆動力を伝達して、2本のワイヤWを適切に送ることができるものであるならば、必ずしも平歯車状のものに限定されない。

第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rは、それぞれが円板状の部材で構成される。ワイヤ送り部3Aは、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rが、ワイヤWの送り経路を挟んで設けられることで、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rの外周面同士が対向する。第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rは、外周面の対向する部位の間に、並列した2本のワイヤWを挟持する。第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rは、2本のワイヤWを並列させた状態で、ワイヤWの延在方向に沿って送る。

図3は、本実施の形態の送りギアの一例を示す構成図である。ここで、図3は、図2のB−B線断面図である。第1の送りギア30Lは、外周面に歯部31Lを備える。第2の送りギア30Rは、外周面に歯部31Rを備える。

第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rは、互いの歯部31L、31Rが対向するように並列に配置される。換言すれば、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rは、カールガイド部5Aによりに巻き回されるワイヤWによって形成されるループRuの軸方向Ru1、すなわち、ワイヤWによって形成されるループRuを円形と見なした仮想円の軸方向に沿った向きに並列される。なお、以下の説明では、カールガイド部5Aにより巻き回されるワイヤWによって形成されるループRuの軸方向Ru1のことを、ループ状のワイヤWの軸方向Ru1とも称す。

第1の送りギア30Lは、外周面に第1の送り溝部32Lを備える。第2の送りギア30Rは、外周面に第2の送り溝部32Rを備える。第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rは、第1の送り溝部32Lと第2の送り溝部32Rとが対向するように配置される。

第1の送り溝部32Lは、第1の送りギア30Lの外周面に、第1の送りギア30Lの回転方向に沿ってV溝状に形成される。第1の送り溝部32Lは、V溝を形成する第1の傾斜面32Laと第2の傾斜面32Lbを有する。第1の送り溝部32Lは、第1の傾斜面32Laと第2の傾斜面32Lbが所定の度で対向するように、断面形状がV溝状に形成される。第1の送り溝部32Lは、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rとの間に並列された状態でワイヤWが挟持されるとき、並列されるワイヤWの最も外側のワイヤのうちの一方、本例では、並列される2本のワイヤWの一方のワイヤW1の外周面の一部が第1の傾斜面32Laと第2の傾斜面32Lbに接するように構成される。

第2の送り溝部32Rは、第2の送りギア30Rの外周面に、第2の送りギア30Rの回転方向に沿ってV溝状に形成される。第2の送り溝部32Rは、V溝を形成する第1の傾斜面32Raと第2の傾斜面32Rbを有する。第2の送り溝部32Rは、第1の送り溝部32Lと同様に断面形状がV溝状であり、第1の傾斜面32Raと第2の傾斜面32Rbが所定の角度で対向する。第2の送り溝部32Rは、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rとの間に並列された状態でワイヤWが挟持されるとき、並列されるワイヤWの最も外側のワイヤのうちの他方、本例では、並列される2本のワイヤWの他方のワイヤW2の外周面の一部が第1の傾斜面32Raと第2の傾斜面32Rbに接するように構成される。

第1の送り溝部32Lは、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30RでワイヤWを挟持したとき、第1の傾斜面32La及び第2の傾斜面32Lbに接した一方のワイヤW1の第2の送りギア30Rと対向する側の部位が、第1の送りギア30Lの歯底円31Laよりも突出するような深さや(第1の傾斜面32Laと第2の傾斜面32Lbとの)角度で構成される。

第2の送り溝部32Rは、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30RでワイヤWを挟持したとき、第1の傾斜面32Ra及び第2の傾斜面32Rbに接した他方のワイヤW2の第1の送りギア30Lと対向する側の部位が、第2の送りギア30Rの歯底円31Raよりも突出するような深さや(第1の傾斜面32Raと第2の傾斜面32Rbとの)角度で構成される。

これにより、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rとの間で挟持される2本のワイヤWは、一方のワイヤW1が、第1の送り溝部32Lの第1の傾斜面32Laと第2の傾斜面32Lbに押圧され、他方のワイヤW2が、第2の送り溝部32Rの第1の傾斜面32Raと第2の傾斜面32Rbに押圧される。そして、一方のワイヤW1と他方のワイヤW2は互いに押圧される。従って、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rが回転することで、2本のワイヤW(一方のワイヤW1と他方のワイヤW2)が、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rとの間では互いに接した状態で同時に送られる。なお、本例では、第1の送り溝部32Lと第2の送り溝部32Rは、断面形状をV溝状としたが、必ずしもV溝状に限定する必要はなく、例えば台形状や円弧状であっても良い。また、第1の送りギア30Lの回転を第2の送りギア30Rに伝達するため、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rの間に、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rを互いに逆方向に回転させる偶数枚のギア等から構成される伝達機構を備える構成としても良い。

ワイヤ送り部3Aは、第1の送りギア30Lを駆動する駆動部33と、第2の送りギア30Rを第1の送りギア30Lに対して押圧及び離接させる変位部34を備える。

駆動部33は、第1の送りギア30Lを駆動する送りモータ33aと、送りモータ33aの駆動力を第1の送りギア30Lに伝達するギア等の組み合わせで構成される伝達機構33bを備える。

第1の送りギア30Lは、送りモータ33aの回転動作が伝達機構33bを介して伝達されて回転する。第2の送りギア30Rは、第1の送りギア30Lの回転動作が歯部31Lを介して歯部31Rに伝達され、第1の送りギア30Lに従動して回転する。

これにより、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rが回転することで、第1の送りギア30Lと一方のワイヤW1との間に生じる摩擦力、第2の送りギア30Rと他方のワイヤW2との間に生じる摩擦力、及び、一方のワイヤW1と他方のワイヤW2との間に生じる摩擦力により、2本のワイヤWが並列された状態で送られる。

ワイヤ送り部3Aは、送りモータ33aの回転方向の正逆を切り替えることで、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rの回転方向が切り替えられ、ワイヤWの送り方向の正逆が切り替えられる。

鉄筋結束機1Aでは、ワイヤ送り部3Aで第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rを正転させることで、ワイヤWが矢印X1で示す正方向、すなわち、カールガイド部5Aの方向に送られ、カールガイド部5Aで鉄筋Sに巻き回される。また、ワイヤWを鉄筋Sに巻き回した後に、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rを逆転させることで、ワイヤWは矢印X2で示す逆方向、すなわち、マガジン2Aの方向に送られる(引き戻される)。ワイヤWを鉄筋Sに巻き回した後に引き戻すことで、ワイヤWは鉄筋Sに密着される。

図4A、図4B、図4C及び図4Dは、本実施の形態の変位部の一例を示す構成図である。変位部34は変位手段の一例で、図2に示す軸34aを支点とした回転動作で、第2の送りギア30Rを第1の送りギア30Lに対して離接させる方向に変位させる第1の変位部材35と、第1の変位部材35を変位させる第2の変位部材36を備える。第2の送りギア30Rは、軸36aを支点とした回転動作で変位する第2の変位部材36を付勢するバネ37で、第1の送りギア30L方向に押圧される。これにより、本例では2本のワイヤWが、第1の送りギア30Lの第1の送り溝部32Lと第2の送りギア30Rの第2の送り溝部32Rで挟持される。また、第1の送りギア30Lの歯部31Lと第2の送りギア30Rの歯部31Rがかみ合う。ここで、第1の変位部材35と第2の変位部材36の関係は、第2の変位部材36を変位させて第1の変位部材35をフリー状態にすることで、第2の送りギア30Rが第1の送りギア30Lから離間可能な構成であるが、第1の変位部材35と第2の変位部材36が連動する機構にしても良い。

変位部34は、第2の変位部材36を押圧する操作ボタン38と、操作ボタン38のロック及びロックの解除を行う解除レバー39を備える。操作ボタン38は操作部材の一例で、本体部10Aから外側に突出し、矢印T1、T2で示す方向に移動可能に支持される。

操作ボタン38は、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30RでワイヤWを送ることが可能な位置であるワイヤ送り位置で解除レバー39が係止される第1の係止凹部38aと、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rとを離間させてワイヤWを装填可能な位置であるワイヤ装填位置で解除レバー39が係止される第2の係止凹部38bを備える。

解除レバー39は解除部材の一例で、操作ボタン38の移動方向に交する矢印U1、U2で示す方向に移動可能に支持される。解除レバー39は、操作ボタン38の第1の係止凹部38a及び第2の係止凹部38bに係止される係止凸部39aを備える。

解除レバー39は、操作ボタン38に近づく矢印U1方向にバネ39bで付勢され、図4Aに示すワイヤ送り位置にある操作ボタン38の第1の係止凹部38aに係止凸部39aが入る形態、または、図4Bに示すワイヤ装填位置にある操作ボタン38の第2の係止凹部38bに係止凸部39aが入る形態で係止される。

係止凸部39aには、操作ボタン38の移動方向に沿った誘導斜面39cが形成される。解除レバー39は、ワイヤ送り位置にある操作ボタン38が矢印T2方向へ押される動作で誘導斜面39cが押され、係止凸部39aが第1の係止凹部38aから外れることにより、矢印U2方向に変位する。

変位部34は、ワイヤ送り部3Aで第1の送りギア30L及び第2の送りギア30Rにより送られるワイヤWの送り方向に対し略直交する方向であって、第1の送りギア30L及び第2の送りギア30Rの後方、すなわち、本体部10A内でワイヤ送り部3Aに対してハンドル部11A側に第2の変位部材36を有する。また、操作ボタン38及び解除レバー39も、第1の送りギア30L及び第2の送りギア30Rの後方、すなわち、本体部10A内でワイヤ送り部3Aに対してハンドル部11A側に設けられる。

変位部34は、図4Aに示すように、操作ボタン38がワイヤ送り位置にあると、操作ボタン38の第1の係止凹部38aに解除レバー39の係止凸部39aが係止され、操作ボタン38がワイヤ送り位置で保持される。

また、変位部34は、図4Aに示すように、操作ボタン38がワイヤ送り位置にあると、第2の変位部材36がバネ37で押圧され、第2の変位部材36が軸36aを支点に第2の送りギア30Rを第1の送りギア30Lに押圧する方向に変位する。

変位部34は、図4Bに示すように、操作ボタン38がワイヤ装填位置にあると、操作ボタン38の第2の係止凹部38bに解除レバー39の係止凸部39aが係止され、操作ボタン38がワイヤ装填位置で保持される。

また、変位部34は、図4Bに示すように、操作ボタン38がワイヤ装填位置にあると、第2の変位部材36が操作ボタン38で押圧され、第2の変位部材36が軸36aを支点に第2の送りギア30Rを第1の送りギア30Lから離す方向に変位する。

図5A、図5B、図5Cは、本実施の形態の並列ガイドの一例を示す構成図である。ここで、図5A、図5B、図5Cは、図2のC−C線断面図であり、導入位置P1に設けられた並列ガイド4Aの断面形状を示す。なお、中間位置P2に設けられた並列ガイド4Aの断面形状を示す図2のD−D線断面図、切断排出位置P3に設けられた並列ガイド4Aの断面形状を示す図2のE−E線断面図も同様の形状を示す。また、図5Dは、並列したワイヤの一例を示す構成図、図5Eは、交差してねじれたワイヤの一例を示す構成図である。

並列ガイド4Aは送り手段を構成し、送られてきた複数本(2本以上)のワイヤWの向きを規制する。並列ガイド4Aは、進入してきた2本以上のワイヤWを並列にして送り出す。並列ガイド4Aは、ワイヤWの送り方向と直交する方向に沿って2本以上のワイヤを並列させる。具体的には、カールガイド部5Aによって鉄筋Sの周囲に巻き回されたループ状のワイヤWの軸方向に沿うように、2本以上のワイヤWを並列させる。並列ガイド4Aは、当該2本以上のワイヤWの向きを規制して並列にするワイヤ規制部(例えば、後述する開口4AW)を有する。本例では、並列ガイド4Aはガイド本体4AGを備え、ガイド本体4AGには複数本のワイヤWを通過(挿通)させるためのワイヤ規制部である開口4AWが形成される。開口4AWは、ワイヤWの送り方向に沿ってガイド本体4AGを貫通する。開口4AWは、送られてきた複数本のワイヤWが開口4AWを通過するとき、及び通過した後、これら複数本のワイヤWが並列するように(複数本のワイヤWがワイヤWの送り方向(軸方向)に直交する方向(径方向)に並び、かつ、複数本のワイヤWの軸がそれぞれ略平行の状態になるように)、その形状が決められる。従って、並列ガイド4Aを通過した複数本のワイヤWは、並列された状態で並列ガイド4Aから出ていく。このように並列ガイド4Aは、2本のワイヤWの径方向に並ぶ向きを規制して、2本のワイヤWが並列となるようにする。このため、開口4AWは、ワイヤWの送り方向に直交する一の方向が、ワイヤWの送り方向に直交し、かつ、一の方向と直交する他の方向より長い形状である。開口4AWは、(2本以上のワイヤWが並列可能な)長手方向が、ワイヤWの送り方向と直交する方向、より具体的には、カールガイド部5Aによってループ状にされたワイヤWの軸方向に沿うように配置される。これにより、開口4AWを挿通した2本以上のワイヤWは、ワイヤWの送り方向と直交する方向、すなわち、当該ループ状にされたワイヤWの軸方向に並ぶようにして並列で送られる。

以下の説明では、開口4AWの形状を説明する場合、ワイヤWの送り方向と直交する方向の断面形状について説明する。なお、ワイヤWの送り方向に沿った方向の断面形状について説明する場合は、都度記載する。

例えば、開口4AW(の断面)が、ワイヤWの直径の2倍以上の直径を有した円形である場合、または、1辺の長さが、ワイヤWの直径の2倍以上の略正方形である場合、開口4AWを通過する2本のワイヤWは、径方向へ自由に動ける状態となる。

開口4AWを通過する2本のワイヤWが、開口4AW内において径方向へ自由に動ける状態であると、2本のワイヤWの径方向に並ぶ向きを規制できず、開口4AWから出てきた2本のワイヤWは並列にならず捩じれたり、交差したりする可能性がある。

そこで、開口4AWは、上記一の方向の長さ、すなわち、長手方向の長さL1を、複数(n)本のワイヤWを径方向に沿って並べた形態におけるワイヤWの直径rの複数(n)本分より若干長い長さとし、上記他の方向の長さ、すなわち、短手方向の長さL2を、ワイヤWの1本分の直径rより若干長い長さとする。開口4AWは、本例では、長手方向の長さL1が、ワイヤWの2本分の直径rより若干長い長さを有し、短手方向の長さL2がワイヤWの1本分の直径rより若干長い長さを有する。本例では、並列ガイド4Aは、開口4AWの長手方向が直線状、短手方向が円弧状に構成されるが、これに限定されない。

図5Aに示す例では、並列ガイド4Aの短手方向の長さL2の好ましい長さとして、ワイヤWの1本分の直径rより若干長い長さとした。しかしながら、ワイヤWは、交差したり、捩れたりせずに並列の状態で開口4AWから出てくれば良いので、並列ガイド4Aの長手方向の向きが、カールガイド部5Aで鉄筋Sに巻き回されるループ状のワイヤWの軸方向Ru1に沿った向きで配置される構成では、並列ガイド4Aの短手方向の長さL2は、図5Bに示すように、ワイヤWの1本分の直径rより若干長い長さから、ワイヤWの2本分の直径rより短い長さの範囲であれば良い。

また、並列ガイド4Aの長手方向の向きが、カールガイド部5Aで鉄筋Sに巻き回されるループ状のワイヤWの軸方向Ru1に直交する向きで配置される構成では、並列ガイド4Aの短手方向の長さL2は、図5Cに示すように、ワイヤWの1本分の直径rより若干長い長さから、ワイヤWの2本分の直径rより短い長さの範囲であれば良い。

並列ガイド4Aは、開口4AWの長手方向の向きが、ワイヤWの送り方向と直交する方向に沿った向き、本例では、カールガイド部5Aで鉄筋Sに巻き回されるループ状のワイヤWの軸方向Ru1に沿った向きで配置される。

これにより、並列ガイド4Aは、ループ状のワイヤWの軸方向Ru1に沿って2本のワイヤを並列させて通過させることが可能となる。

なお、並列ガイド4Aは、開口4AWの短手方向の長さL2が、ワイヤWの直径rの2倍の長さより短く、ワイヤWの直径rより若干長い長さである場合、開口4AWの長手方向の長さL1が、ワイヤWの直径rの複数本分より十分に長い場合であっても、ワイヤWを並列させて通過させることが可能である。

しかしながら、短手方向の長さL2が長く(例えばワイヤWの直径rの2倍の長さに近い長さ)、長手方向の長さL1も長くなるほど、ワイヤWは、開口4AW内をより自由に動くことができるようになる。そうすると、開口4AW内で2本のワイヤWのぞれぞれの軸が平行にならずに、開口4AWを通過した後、ワイヤWが捩れたり、交差する可能性が高くなる。

このため、2本のワイヤWが径方向に沿って並列になるように、開口4AWの長手方向の長さL1が、ワイヤWの直径rの2倍より若干長い長さであることが好ましく、短手方向の長さL2も、ワイヤWの直径rより若干長い長さであることが好ましい。

並列ガイド4Aは、ワイヤWを正方向に送る送り方向に対して、第1の送りギア30L及び第2の送りギア30R(ワイヤ送り部3A)の上流側と下流側の所定の位置に設けられる。並列ガイド4Aを第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rの上流側に設けることで、ワイヤ送り部3Aには、並列状態の2本のワイヤWが進入することになる。このため、ワイヤ送り部3AはワイヤWを適切(並列)に送ることができるようになる。更に、並列ガイド4Aを第1の送りギア30L及び第2の送りギア30Rの下流側にも設けることで、ワイヤ送り部3Aから送られてきた2本のワイヤWの並列状態を維持しながら、当該ワイヤWを更に下流側に送ることができるようになる。

第1の送りギア30L及び第2の送りギア30Rの上流側に設けられた並列ガイド4Aは、ワイヤ送り部3Aに送られるワイヤWが、上述した所定の向きで並列された状態となるようにするため、第1の送りギア30L及び第2の送りギア30Rとマガジン2Aとの間の導入位置P1に設けられる。

また、第1の送りギア30L及び第2の送りギア30Rの下流側に設けられた並列ガイド4Aの1つは、切断部6Aに送られるワイヤWが、上述した所定の向きで並列された状態となるようにするため、第1の送りギア30L及び第2の送りギア30Rと切断部6Aの間の中間位置P2に設けられる。

更に、第1の送りギア30L及び第2の送りギア30Rの下流側に設けられた並列ガイド4Aの他の1つは、カールガイド部5Aに送られるワイヤWが、上述した所定の向きで並列された状態となるようにするため、切断部6Aが配置される切断排出位置P3に設けられる。

導入位置P1に設けられた並列ガイド4Aは、正方向に送られるワイヤWの送り方向に対して開口4AWの少なくとも下流側が、ワイヤWの径方向の向きを規制する上述した形状を有する。これに対し、正方向に送られるワイヤWの送り方向に対して開口4AWの上流側であるマガジン2Aに面した側(ワイヤ導入部)は、上流側に比べて開口面積が大きくなっている。具体的に開口4AWは、ワイヤWの向きを規制する筒状の孔部と、当該筒状の孔部の上流側端部からワイヤ導入部である開口4AWの入口部分にかけて開口面積が徐々に大きくなる円錐形状(漏斗状、テーパ状)の孔部とで構成される。このようにワイヤ導入部の開口面積を最も大きくし、そこから徐々に開口面積を小さくしていくことで、並列ガイド4にワイヤWを進入させやすくしている。よって、開口4AWにワイヤWを導入する作業が容易に行えるようになる。

他の並列ガイド4Aも同様の構成で、正方向に送られるワイヤWの送り方向に対して下流側の開口4AWが、ワイヤWの径方向の向きを規制する上述した形状を有する。また、他の並列ガイド4についても、正方向に送られるワイヤWの送り方向に対して上流側の開口の開口面積を、下流側の開口の開口面積より大きくして構成しても良い。

導入位置P1に設けられる並列ガイド4A、中間位置P2に設けられる並列ガイド4A及び切断排出位置P3に設けられる並列ガイド4Aは、ワイヤWの送り方向に対して直交する開口4AWの長手方向の向きが、鉄筋Sに巻き回されるループ状のワイヤWの軸方向Ru1に沿った向きで配置される。

これにより、第1の送りギア30L及び第2の送りギア30Rで送られる2本のワイヤWは、図5Dに示すように、鉄筋Sに巻き回されるループ状のワイヤWの軸方向Ru1に沿った向きに並列された状態を保持して送られ、図5Eに示すように、2本のワイヤWが送り中に交差して捩じれることが抑制される。

なお、本例では、開口4AWは、開口4AWの入口から出口にかけて(ワイヤWの送り方向に)所定の奥行(開口4AWの入口から出口まで所定の距離または深さ)を有する筒状の孔部として構成したが、開口4AWの形状はこれに限定されるものではない。例えば開口4AWが板状のガイド本体4AGに開けられた奥行の殆どない平面孔などであっても良い。また、開口4AWは、ガイド本体4AGを貫通する孔部ではなく、溝状のガイド(例えば上部が開口したU字状のガイド溝)であっても良い。更に、本例では、ワイヤ導入部である開口4AWの入口部分の開口面積を他の部分よりも大きくしたが、必ずしも他の部分よりも大きくなくても良い。このように、開口4AWを通過して並列ガイド4Aから出てきた複数本のワイヤが並列状態になっているのであれば、開口4AWの形状は特定の形状に限定されるものではない。

以上、並列ガイド4Aが、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rの上流側(導入位置P1)と下流側の所定の位置(中間位置P2及び切断排出位置P3)に設けられる例を説明したが、並列ガイド4Aが設置される位置は必ずしもこの3か所に限定されない。すなわち、並列ガイド4Aを導入位置P1のみ、中間位置P2のみ、または切断排出位置P3のみに設置してもよく、導入位置P1と中間位置P2のみ、導入位置P1と切断排出位置P3のみ、または中間位置P2と切断排出位置P3のみに設置しても良い。更には、並列ガイド4Aを導入位置P1から切断位置P3の下流側のカールガイド部5Aとの間の何れかの位置に4か所以上設置しても良い。なお、導入位置P1とは、マガジン2Aの内部も含む。すなわち、並列ガイド4Aを、マガジン2Aの内部で、ワイヤWが引き出される出口近傍に配置しても良い。

カールガイド部5Aは送り手段を構成し、2本のワイヤWをループ状にして鉄筋Sの周囲に巻き回す搬送経路を構成する。カールガイド部5Aは、第1の送りギア30L及び第2の送りギア30Rで送られるワイヤWに巻き癖をつける第1のガイド部50と、第1のガイド部50から送り出されたワイヤWを結束部7Aに誘導する第2のガイド部51を備える。

第1のガイド部50は、ワイヤWの送り経路を構成するガイド溝52と、ガイド溝52との協働でワイヤWに巻き癖をつけるガイド部材としてのガイドピン53、53bを備える。図6は、本実施の形態のガイド溝の一例を示す構成図である。ここで、図6は、図2のG−G線断面図である。

ガイド溝52はガイド部を構成し、並列ガイド4Aと共にワイヤWの送り方向に直交するワイヤWの径方向の向きを規制するため、本例では、ワイヤWの送り方向に直交する一の方向が、同じくワイヤWの送り方向に直交し、かつ、一の方向と直交する他の方向より長い形状の開口で構成される。

ガイド溝52は、長手方向の長さL1、すなわち、溝の幅方向に長さが、ワイヤWを径方向に沿って並べた形態におけるワイヤWの直径rの複数本分より若干長い長さ、短手方向の長さL2が、ワイヤWの1本分の直径rより若干長い長さを有する。ガイド溝52は、本例では、長手方向の長さL1が、ワイヤWの2本分の直径rより若干長い長さを有する。そして、ガイド溝52は、開口の長手方向の向きが、ループ状のワイヤWの軸方向Ru1に沿った向きで配置される。なお、必ずしもガイド溝52に、ワイヤWの径方向の向きを規制する機能を持たせなくても良い。その場合、ガイド溝52の長手方向及び短手方向の寸法(長さ)は上述の寸法に限定されない。

ガイドピン53は、第1のガイド部50において第1の送りギア30L及び第2の送りギア30Rで送られるワイヤWの導入部側に設けられ、ガイド溝52によるワイヤWの送り経路に対して、ワイヤWにより形成されるループRuの径方向の内側に配置される。ガイドピン53は、ガイド溝52に沿って送られるワイヤWが、ワイヤWにより形成されるループRuの径方向の内側に入り込まないように、ワイヤWの送り経路を規制する。

ガイドピン53bは、第1のガイド部50において第1の送りギア30L及び第2の送りギア30Rで送られるワイヤWの排出部側に設けられ、ガイド溝52によるワイヤWの送り経路に対して、ワイヤWにより形成されるループRuの径方向の外側に配置される。

第1の送りギア30L及び第2の送りギア30Rで送られるワイヤWは、ワイヤWにより形成されるループRuの径方向の外側の2点と、この2点の間の内側の1点の少なくとも3点で、ワイヤWにより形成されるループRuの径方向の位置が規制されることで、ワイヤWに巻き癖が付けられる。

本例では、正方向に送らされるワイヤWの送り方向に対し、ガイドピン53の上流側に設けられる切断排出位置P3の並列ガイド4Aと、ガイドピン53の下流側に設けられるガイドピン53bの2点で、ワイヤWにより形成されるループRuの径方向の外側の位置が規制される。また、ガイドピン53で、ワイヤWにより形成されるループRuの径方向の内側の位置が規制される。

カールガイド部5Aは、鉄筋SにワイヤWを巻き付ける動作でワイヤWが移動する経路からガイドピン53を退避させる退避機構53aを備える。退避機構53aは、ワイヤWが鉄筋Sに巻き回された後、結束部7Aの動作と連動して変位し、ワイヤWを鉄筋Sに巻き付けるタイミングの前に、ガイドピン53をワイヤWが移動する経路から退避させる。

第2のガイド部51は、鉄筋Sに巻き回されるワイヤWにより形成されるループRuの径方向の位置(ループRuの径方向へのワイヤWの動き)を規制する第3のガイド部としての固定ガイド部54と、鉄筋Sに巻き回されるワイヤWにより形成されるループRuの軸方向Ru1に沿った位置(ループRuの軸方向Ru1へのワイヤWの動き)を規制する第4のガイド部としての可動ガイド部55を備える。

図7、図8A、図8B、図9A及び図9Bは、第2のガイド部の一例を示す構成図で、図7は、第2のガイド部51を上方から見た平面図、図8A、図8Bは、第2のガイド部51を一の側方から見た側面図、図9A、図9Bは、第2のガイド部51を他の側方から見た側面図である。

固定ガイド部54は、鉄筋Sに巻き回されるワイヤWにより形成されるループRuの径方向の外側に、ワイヤWの送り方向に沿って延在する面による壁面54aが設けられる。固定ガイド部54は、鉄筋SにワイヤWが巻き回されるときに、壁面54aで、鉄筋Sに巻き回されるワイヤWにより形成されるループRuの径方向の位置を規制する。固定ガイド部54は、鉄筋結束機1Aの本体部10Aに固定され、第1のガイド部50に対して位置が固定されている。なお、固定ガイド部54は、本体部10Aと一体成形であっても良い。また、別部品である固定ガイド部54を本体部10Aに取り付ける構成では、固定ガイド部54が本体部10Aに対して完全に固定されているのではなく、ループRuを形成する動作でワイヤWの移動を規制し得る程度に可動であっても良い。

可動ガイド部55は、第2のガイド部51の先端側に設けられ、鉄筋Sに巻き回されるワイヤWにより形成されるループRuの軸方向Ru1に沿った両側に、ループRuの径方向の内側に向けて壁面54aから立ち上がる面による壁面55aが設けられる。可動ガイド部55は、鉄筋SにワイヤWが巻き回されるときに、壁面55aで、鉄筋Sに巻き回されるワイヤWにより形成されるループRuの軸方向Ru1に沿った位置を規制する。可動ガイド部55は、壁面55aの間隔が、第1のガイド部50から送り出されたワイヤWが入る先端側で広がり、固定ガイド部54bに向けて狭まる形状で、壁面55aがテーパ状となっている。これにより、第1のガイド部50から送り出されたワイヤWは、鉄筋Sに巻き回されるループRuの軸方向Ru1の位置が可動ガイド部55の壁面55aで規制され、可動ガイド部55で固定ガイド部54に誘導される。

可動ガイド部55は、第1のガイド部50から送り出されたワイヤWが入る先端側である一端側に対して反対側の他端側が、軸55bにより固定ガイド部54に支持される。可動ガイド部55は、鉄筋Sに巻き回されるワイヤWにより形成されるループRuの軸方向Ru1に沿った軸55bを支点とした回転動作で、第1のガイド部50から送り出されたワイヤWが入る先端側が、第1のガイド部50に対して離接する方向に開閉する。

鉄筋結束機は、鉄筋Sを結束する際、鉄筋SにワイヤWを巻き回すために設けられる一対のガイド部材、本例では、第1のガイド部50と第2のガイド部51の間に鉄筋Sを入れて(セットして)から結束作業を行う。結束作業が完了すると、次の結束作業を行うため、結束完了後の鉄筋Sから第1のガイド部50と第2のガイド部51を引き抜く。鉄筋Sから第1のガイド部50と第2のガイド部51を引き抜く場合、鉄筋結束機1Aを鉄筋Sから離す一の方向である矢印Z3(図1参照)方向に移動させれば、鉄筋Sは何の問題もなく第1のガイド部50と第2のガイド部51から引き抜くことができる。しかしながら、例えば、矢印Y2に沿って所定の間隔で鉄筋Sが配置されていて、これらの鉄筋Sを順次結束していく場合、結束の度に鉄筋結束機1Aを矢印Z3方向に移動させるのは面倒であり、矢印Z2方向に移動させることができれば迅速に作業を行うことができる。しかし、例えば特許第4747456号公報に開示されている従来の鉄筋結束機では、本例でいう第2のガイド部51に相当するガイド部材が結束機の本体部に固定されているため、鉄筋結束機を矢印Z2方向に移動させようとするとガイド部材が鉄筋Sに引っ掛かる。そこで、鉄筋結束機1Aでは、第2のガイド部51(可動ガイド部55)を上述のように可動とし、鉄筋結束機1Aを矢印Z2方向に移動させて、第1のガイド部50と第2のガイド部51の間から鉄筋Sを抜けるように構成した。

このため、可動ガイド部55は、軸55bを支点とした回転(回動)動作によって、第1のガイド部50から送り出されたワイヤWを第2のガイド部51に誘導し得るガイド位置と、鉄筋結束機1Aを矢印Z2方向に移動させて、鉄筋Sから鉄筋結束機1Aを抜く動作で退避する退避位置との間で開閉する。

可動ガイド部55は、ねじりコイルバネ57等の付勢手段(付勢部)により、第1のガイド部50の先端側と第2のガイド部51の先端側との間隔が近づく方向に付勢され、ねじりコイルバネ57の力で図8A及び図9Aに示すガイド位置に保持される。また、鉄筋Sから鉄筋結束機1Aを抜く動作で、鉄筋Sに可動ガイド部55が押されることで、可動ガイド部55がガイド位置から図8B及び図9Bに示す退避位置まで開く。なお、ガイド位置とは、可動ガイド部55の壁面55aが、ループRuを形成するワイヤWが通過する位置に存在する位置である。また、退避位置とは、鉄筋結束機1Aの移動で鉄筋Sが可動ガイド部55を押して、鉄筋Sが第1のガイド部50と第2のガイド部51の間から抜け得る位置である。但し、鉄筋結束機1Aを動かす方向は一意ではなく、可動ガイド部55がガイド位置からわずかに動いても、鉄筋Sを第1のガイド部50と第2のガイド部51の間から抜き得るので、ガイド位置からわずかに動いた位置も退避位置に含む。

鉄筋結束機1Aは、可動ガイド部55の開閉を検出するガイド開閉センサ56を備える。ガイド開閉センサ56は、可動ガイド部55が閉じた状態及び開いた状態を検出し、所定の検出信号を出力する。

切断部6Aは、固定刃部60と、固定刃部60との協働でワイヤWを切断する回転刃部61と、結束部7Aの動作、本例では、後述する可動部材83が直線方向に移動する動作を回転刃部61に伝達し、回転刃部61を回転させる伝達機構62を備える。固定刃部60は、ワイヤWが通る開口に、ワイヤWを切断可能なエッジ部を設けて構成される。本例では、固定刃部60は、切断排出位置P3に配置される並列ガイド4Aで構成される。

回転刃部61は、軸61aを支点とした回転動作で、固定刃部60の並列ガイド4Aを通るワイヤWを切断する。伝達機構62は、結束部7Aの動作と連動して変位し、ワイヤWを鉄筋Sに巻き付けた後、ワイヤWを捩じるタイミングに合わせて回転刃部61を回転させ、ワイヤWを切断する。

図10、図11、図12、図13A、図13B及び図14は、本実施の形態の把持部の構成図である。図10は、把持部の内部を上方から見た上面図、図11は、把持部の内部を側方から見た側面図、図12は、把持部の内部を下方から見た下面図である。また、図13A、図13Bは、把持部を上方から見た上面図、図14は、結束部の内部を側方から見た側面図である。

結束部7Aは結束手段の一例で、ワイヤWを把持する把持部70と、ワイヤWの一方の端部WS側と他方の端部WE側を、鉄筋S側へ曲げる折り曲げ部(曲げ部)71を備える。本例では、折り曲げ部71は、把持部70で把持されたワイヤWの一方の端部WS側と他方の端部WE側を、鉄筋S側へ曲げる。

把持部70は結束手段を構成し、固定把持部材70Cと、第1の可動把持部材70Lと、第2の可動把持部材70Rを備える。第1の可動把持部材70Lと第2の可動把持部材70Rは、固定把持部材70Cを介して左右方向に配置される。具体的には、第1の可動把持部材70Lは、固定把持部材70Cに対し、巻き回されるワイヤWの軸方向に沿った一方の側に配置され、第2の可動把持部材70Rは、他方の側に配置される。

固定把持部材70Cは、棒状に延在する形状で、第1の可動把持部材70L及び第2の可動把持部材70Rを回転可能に支持する軸77を備える。第1の可動把持部材70Lと固定把持部材70Cは、第1の可動把持部材70Lと固定把持部材70Cの一の側である長手方向の一端側(先端側)との間にワイヤWが通るように構成される。また、固定把持部材70Cは、他の側である長手方向の他端側(後端側)に軸77が設けられ、第1の可動把持部材70Lの後端側が回転可能に支持される。第2の可動把持部材70Rと固定把持部材70Cは、第2の可動把持部材70Rと固定把持部材70Cの一の側である先端側との間にワイヤWが通るように構成される。また、固定把持部材70Cは、他の側である後端側に軸77が設けられ、第2の可動把持部材70Rの後端側が回転可能に支持される。第1の可動把持部材70Lは、軸77を支点とした回転動作により他の側である先端側(一端側)が固定把持部材70Cや第2の可動把持部材70Rに対して離接する方向に変位するように構成される。また、第2の可動把持部材70Rは、軸77を支点とした回転動作で他の側である先端側(一端側)が固定把持部材70Cや第1の可動把持部材70Lに対して離接する方向に変位するように構成される。第1の可動把持部材70Lを支持する軸77と、第2の可動把持部材70Rを支持する軸77は、本例では同軸で構成される。軸77は、矢印F、Rで示す折り曲げ部71の移動方向に直交し、かつ、ワイヤWが送られる(または戻される)方向(第1の方向)に延在する。ここで、矢印F方向は、本例では、ワイヤWの端部を曲げる方向である。

折り曲げ部71は、例えば筒状の中空構造体で、第1の可動把持部材70L及び第2の可動把持部材70Rを開閉する開閉ピン71aを備える。また、第1の可動把持部材70Lは、開閉ピン71aの動作で第1の可動把持部材70Lを開閉する第1の開閉ガイド孔として開閉ガイド孔(嵌合部)77Lを備える。更に、第2の可動把持部材70Rは、開閉ピン71aの動作で第2の可動把持部材70Rを開閉する第2の開閉ガイド孔として開閉ガイド孔(嵌合部)77Rを備える。

開閉ピン71aは移動部材の一例で、折り曲げ部71の内部を貫通して、上述した第1の方向に延在する。開閉ピン71aは、折り曲げ部71に固定されており、ワイヤWを折り曲げるための折り曲げ部71の移動に伴って移動する。開閉ピン71aは、第1の可動把持部材70L側と第2の可動把持部材70R側で同軸上に延在し、開閉ピン71aが延在する方向である開閉ピン71aの軸方向に対して直交する方向(第2の方向)に、折り曲げ部71と連動して直線方向に移動する。折り曲げ部71は、折り曲げ部71の移動による開閉ピン71aの移動経路の延長線上に、軸77を備える。

開閉ガイド孔77Lは、第1の可動把持部材70Lの長手方向に沿って延びるように形成される。換言すれば、開閉ガイド孔77Lは、開閉ピン71aの移動方向に沿って延在し、開閉ピン71aの直線方向の動きを、軸77を支点とした第1の可動把持部材70Lの回転による開閉動作に変換する。開閉ガイド孔77Lは、第1の可動把持部材70Lの長手方向に沿って延び、途中外側に屈曲し、再び長手方向に沿って延びるように形成される。具体的には、開閉ガイド孔77Lは、折り曲げ部71の移動方向に沿って一端部から第1の待機距離だけ延在する第1の待機部770Lと、第1の待機部770Lから外側に屈曲し、斜め外側(前方)に延在する開閉部78Lと、開閉部78Lから再び折り曲げ部71の移動方向に沿って第2の待機距離だけ延在する第2の待機部771Lを備える。開閉部78Lを、第1の待機部770Lの一端部から斜め外側方向に屈曲させて延在させ、第2の待機部771Lと繋がるように構成することで、第1の可動把持部材70Lは、開閉ピン71aが開閉部78Lを通過するときに閉じられる。

開閉ガイド孔77Rは、第2の可動把持部材70Rの長手方向に沿って延びるように形成される。換言すれば、開閉ガイド孔77Rは、開閉ピン71aの移動方向に沿って延在し、開閉ピン71aの直線方向の動きを、軸77を支点とした第2の可動把持部材70Rの回転による開閉動作に変換する。開閉ガイド孔77Rは、第2の可動把持部材70Rの長手方向に沿って延び、途中外側に屈曲し、再び長手方向に沿って延びるように形成される。具体的には、開閉ガイド孔77Rは、折り曲げ部71の移動方向に沿って一端部から第1の待機距離だけ延在する第1の待機部770Rと、第1の待機部770Rから外側に屈曲し、斜め外側(前方)に延在する開閉部78Rと、開閉部78Rから再び折り曲げ部71の移動方向に沿って第2の待機距離だけ延在する第2の待機部771Rを備える。開閉部78Rを、第1の待機部770Rの一端部から斜め外側方向に屈曲させて延在させ、第2の待機部771Rと繋がるように構成することで、第2の可動把持部材70Rは、開閉ピン71aが開閉部78Rを通過するときに閉じられる。

固定把持部材70Cは、一方の側方から第1の可動把持部材70Lが嵌入し、他方の側方から第2の可動把持部材70Rが嵌入する空間により構成される取付部77Cを備える。また、固定把持部材70Cは、開閉ピン71aの直線方向の動きをガイドするガイド孔(嵌合部)78Cを備える。

折り曲げ部71は、開閉ピン71aの延在方向に沿った固定把持部材70Cの上下方向を蓋うカバー部71cを備える。折り曲げ部71は、図13Aに示すように、カバー部71cで開閉ガイド孔77L、開閉ガイド孔77R、開閉部78L、開閉部78R、ガイド孔78Cを蓋う形状であり、開閉ガイド孔77L、開閉ガイド孔77R、開閉部78L、開閉部78R、ガイド孔78Cが露出しない。

把持部70は、固定把持部材70Cの一方の側方から取付部77Cに第1の可動把持部材70Lが入れられ、固定把持部材70Cの他方の側方から取付部77Cに第2の可動把持部材70Rが入れられる。

第1の可動把持部材70Lと第2の可動把持部材70Rは、取付部77C内では、互いが摺動可能な状態で、上下方向に重なる形態であり、図14に示すように、開閉ガイド孔77Lと開閉ガイド孔77Rが重なる。

固定把持部材70Cの取付部77Cに入れられた第1の可動把持部材70Lは、固定把持部材70Cに対し軸77で回転可能に支持される。第2の可動把持部材70Rは、固定把持部材70Cに対し軸77で回転可能に支持される。

第1の可動把持部材70L及び第2の可動把持部材70Rが軸77を介して固定把持部材70Cに取り付けられた把持部70は、開閉ピン71aがガイド孔78C、開閉ガイド孔77L及び開閉ガイド孔77Rに挿入されることで、折り曲げ部71に取り付けられる。折り曲げ部71は可動部材83を構成し、把持部70に対して移動可能に構成される。

折り曲げ部71が矢印Fで示す前方向に移動すると、開閉ピン71aもこれに伴い前方向に移動する。そして、開閉ピン71aが前方向に所定距離(第1の待機距離以上)移動すると、開閉ピン71aが開閉ガイド孔77Lの第1の待機部770Lから開閉部78Lに移動し、開閉部78Lを押し始める。開閉部78Lが開閉ピン71aに押されると、第1の可動把持部材70Lは、軸77を支点とした回転動作で、固定把持部材70Cに近づく方向に移動する。同様に、開閉ピン71aが開閉ガイド孔77Rの開閉部78Rを押すと、第2の可動把持部材70Rは、軸77を支点とした回転動作で、固定把持部材70Cに近づく方向に移動する。

把持部70は、後述する図29A、図29B、図29Cと、図30A、図30B、図30Cに示すように、第1の可動把持部材70Lが固定把持部材70Cから離れる方向に移動することで、第1の可動把持部材70Lと固定把持部材70Cとの間にワイヤWが通る送り経路が形成される。これに対し、第1の可動把持部材70Lが固定把持部材70Cに近づく方向に移動することで、第1の可動把持部材70Lと固定把持部材70Cとの間にワイヤWが把持される。

また、把持部70は、第2の可動把持部材70Rが固定把持部材70Cから離れる方向に移動することで、第2の可動把持部材70Rと固定把持部材70Cとの間にワイヤWが通る送り経路が形成される。そして、折り曲げ部71で後述するワイヤWの他方の端部WE側を折り曲げることでワイヤWが把持される。なお、第2の可動把持部材70Rが固定把持部材70Cに近づく方向に移動することで、第2の可動把持部材70Rと固定把持部材70Cとの間にワイヤWが支持または把持されるようにしても良い。

第1の送りギア30L及び第2の送りギア30Rで送られ、切断排出位置P3の並列ガイド4Aを通過したワイヤWは、固定把持部材70Cと第2の可動把持部材70Rの間を通り、カールガイド部5Aに誘導される。カールガイド部5Aで巻き癖が付けられたワイヤWは、固定把持部材70Cと第1の可動把持部材70Lの間を通る。

これにより、固定把持部材70Cと第1の可動把持部材70Lで、ワイヤWの一方の端部WS側を把持する第1の把持部が構成される。また、固定把持部材70Cと第2の可動把持部材70Rで、切断部6Aで切断されたワイヤWの他方の端部WE側を把持する第2の把持部が構成される。

なお、第1の可動把持部材70Lと第2の可動把持部材70Rは折り曲げ部71(可動部材)に対して開閉する機構であればよいので、上記の例とは逆に、第1の可動把持部材70L側と第2の可動把持部材70R側に開閉ピン(移動部材)を設け、折り曲げ部71(可動部材)側に開閉ガイド孔を設けた構成でも良い。

図15A、図15Bは、本実施の形態の把持部の要部構成図である。第1の可動把持部材70Lは、固定把持部材70Cと対向する面に、固定把持部材70Cの方向に突出する凸部70Lbを有する。一方、固定把持部材70Cは、第1の可動把持部材70Lと対向する面に、第1の可動把持部材70Lの凸部70Lbが入る凹部73を有する。従って、第1の可動把持部材70Lと固定把持部材70CでワイヤWを把持すると、ワイヤWは第1の把持部材70L側に曲がる。

具体的には、固定把持部材70Cは、予備折り曲げ部72を備える。予備折り曲げ部72は、固定把持部材70Cの第1の可動把持部材70Lと対向する面で、正方向に送られるワイヤWの送り方向に沿った下流側の端部に、第1の可動把持部材70L方向に突出する凸部を設けて構成される。

把持部70は、固定把持部材70Cと第1の可動把持部材70Lの間にワイヤWを把持し、把持したワイヤWが抜けないようにするため、固定把持部材70Cに凸部72bと凹部73を備える。凸部72bは、固定把持部材70Cの第1の可動把持部材70Lと対向する面で、正方向に送られるワイヤWの送り方向に沿った上流側の端部に設けられ、第1の可動把持部材70L方向に突出する。凹部73は、予備折り曲げ部72と凸部72bの間に設けられ、第1の可動把持部材70Lと反対方向に凹状となる。

第1の可動把持部材70Lは、固定把持部材70Cの予備折り曲げ部72が入る凹部70Laを有すると共に、固定把持部材70Cの凹部73に入る凸部70Lbを有する。

これにより、図15Bに示すように、固定把持部材70Cと第1の可動把持部材70Lとの間にワイヤWの一方の端部WS側を把持する動作で、ワイヤWが予備折り曲げ部72で第1の可動把持部材70L側に押圧され、ワイヤWの一方の端部WSが、固定把持部材70Cと第2の可動把持部材70Rで把持されるワイヤWから離れる方向に折り曲げられる。

固定把持部材70Cと第2の可動把持部材70RでワイヤWを把持するとは、固定把持部材70Cと第2の可動把持部材70Rとの間である程度フリーにワイヤWが動ける状態を含む。これは、ワイヤWを鉄筋Sに巻き付ける動作では、固定把持部材70Cと第2の可動把持部材70Rとの間でワイヤWが動ける必要があるためである。

折り曲げ部71は曲げ手段の一例で、結束物を結束した後のワイヤWの端部が、結束物から離れる方向に最も突出するワイヤWの頂部よりも結束物側へ位置するようにワイヤWを曲げる。折り曲げ部71は、把持部70でワイヤWを捩る前に、把持部70で把持されたワイヤWを曲げる。

折り曲げ部71は、把持部70の一部を覆うようにして把持部70に周囲に設けられ、把持部70の軸方向に沿って移動可能に設けられる。具体的には、折り曲げ部71は、固定把持部材70Cと第1の可動把持部材70Lで把持されたワイヤWの一方の端部WS側、及び、固定把持部材70Cと第2の可動把持部材70Rで把持されたワイヤWの他方の端部WE側に対して接近し、ワイヤWの一方の端部WS側と他方の端部WE側を折り曲げる方向、及び、折り曲げたワイヤWから離れる方向である前後方向に移動可能に構成される。

折り曲げ部71は、矢印Fで示す前方向(図1参照)に移動することで、固定把持部材70Cと第1の可動把持部材70Lで把持されたワイヤWの一方の端部WS側を、把持位置を支点として鉄筋S側へ曲げる。また、折り曲げ部71は、矢印Fで示す前方向に移動することで、固定把持部材70Cと第2の可動把持部材70Rの間にあるワイヤWの他方の端部WE側を、把持位置を支点として鉄筋S側へ曲げる。

折り曲げ部71の移動によってワイヤWが折り曲げられることで、第2の可動把持部材70Rと固定把持部材70Cの間を通るワイヤWが折り曲げ部71で押さえられ、固定把持部材70Cと第2の可動把持部材70Rとの間からワイヤWが抜けることが抑制される。

結束部7Aは、ワイヤWの一方の端部WSの位置を規制する長さ規制部74を備える。長さ規制部74は、固定把持部材70Cと第1の可動把持部材70Lの間を通過したワイヤWの送り経路に、ワイヤWの一方の端部WSが突き当てられる部材を設けて構成される。長さ規制部74は、固定把持部材70Cと第1の可動把持部材70LによるワイヤWの把持位置から所定の距離を確保するため、本例ではカールガイド部5Aの第1のガイド部50に設けられる。

鉄筋結束機1Aは、結束部7Aを駆動する結束部駆動機構8Aを備える。結束部駆動機構8Aは、モータ80と、減速及びトルクの増幅を行う減速機81を介してモータ80に駆動される回転軸82と、回転軸82の回転動作で変位する可動部材83と、回転軸82の回転動作と連動した可動部材83の回転を規制する回転規制部材84を備える。

回転軸82と可動部材83は、回転軸82に設けたネジ部と、可動部材83に設けたナット部により、回転軸82の回転動作が、可動部材83の回転軸82に沿った前後方向への移動に変換される。結束部駆動機構8Aは、折り曲げ部71が可動部材83と一体に設けられ、可動部材83の前後方向への移動で、折り曲げ部71が前後方向に移動する。

可動部材83及び折り曲げ部71は、把持部70でワイヤWを把持及び折り曲げ部71でワイヤWを折り曲げる動作域では、回転規制部材84に係止されることで、回転規制部材84により回転動作が規制された状態で前後方向に移動する。また、可動部材83及び折り曲げ部71は、回転規制部材84の係止から抜けることで、回転軸82の回転動作で回転する。

把持部70は、可動部材83及び折り曲げ部71の回転と連動して、ワイヤWを把持した固定把持部材70C、第1の可動把持部材70L及び第2の可動把持部材70Rが回転する。

上述したガイドピン53の退避機構53aは、可動部材83の前後方向への移動をガイドピン53の変位に変換するリンク機構で構成される。また、回転刃部61の伝達機構62は、可動部材83の前後方向への移動を回転刃部61の回転動作に変換するリンク機構で構成される。

図16は、本実施の形態の鉄筋結束機の一例を示す外観図である。本実施の形態の鉄筋結束機1Aは、作業者が手に持って使用する形態であり、本体部10Aとハンドル部11Aを備える。鉄筋結束機1Aは、図1等に示すように、本体部10Aに結束部7Aと結束部駆動機構8Aを内蔵し、本体部10Aの長手方向(第1の方向Y1)の一端側にカールガイド部5Aを備える。また、ハンドル部11Aは、本体部10Aの長手方向の他端側から、当該長手方向と略直交(交差)する一の方向(第2の方向Y2)に突出するように設けられる。更に、結束部7Aに対して第2の方向Y2に沿った側にワイヤ送り部3Aが設けられ、ワイヤ送り部3Aに対して第1の方向Y1に沿った他方の側、すなわち、本体部10A内でワイヤ送り部3Aに対してハンドル部11A側に変位部34が設けられ、ワイヤ送り部3Aに対して第2の方向Y2に沿った側にマガジン2Aが設けられる。

これにより、マガジン2Aに対して第1の方向Y1に沿った他方の側にハンドル部11Aが設けられる。以下の説明では、マガジン2A、ワイヤ送り部3A、変位部34及びハンドル部11Aが並ぶ方向に沿った第1の方向Y1において、マガジン2Aが設けられる側を前方、ハンドル部11Aが設けられる側を後方と称す。変位部34は、ワイヤ送り部3Aで第1の送りギア30L及び第2の送りギア30Rにより送られるワイヤWの送り方向に対し略直交する方向であって、ワイヤ送り部3Aの第1の送りギア30L及び第2の送りギア30Rの後方で、第1の送りギア30L及び第2の送りギア30Rとハンドル部11Aとの間に第2の変位部材36が設けられる。また、第2の変位部材36を変位させる操作ボタン38、操作ボタン38のロック及びロックの解除を行う解除レバー39が、第1の送りギア30L及び第2の送りギア30Rとハンドル部11Aとの間に設けられる。

なお、第2の変位部材36を変位させる操作ボタン38に、ロック及びロックの解除を行う解除機能を搭載させても良い(解除レバー兼用)。すなわち、変位部34は、ワイヤ送り部3Aの第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rを互いに近づく方向及び離す方向に変位させる第2の変位部材36と、第2の変位部材36を変位させる本体部10Aから外側へ突出した操作ボタン38を備え、本体部10A内でワイヤ送り部3Aとハンドル部11Aとの間に位置する構成になっている。

このように、第2の送りギア30Rを変位させる機構を、第2の送りギア30Rの後方で、第2の送りギア30Rとハンドル部11Aとの間に設けたことで、図2に示すように、第1の送りギア30L及び第2の送りギア30Rの下方で、ワイヤWの送り経路には、第2の送りギア30Rを変位させる機構が設けられない。すなわち、第1の送りギア30L及び第2の送りギア30Rの下方で、ワイヤWの送り経路をするマガジン2Aの内部を、ワイヤ送り部3AへワイヤWを装填するための空間であるワイヤ装填空間22として利用することができる。つまり、マガジン2Aの内部に、ワイヤ送り部3Aへのワイヤ装填空間22を形成することができる。

ハンドル部11Aには前側にトリガ12Aが設けられ、トリガ12Aの操作で押されるスイッチ13Aの状態に応じて、制御部14Aが送りモータ33aとモータ80を制御する。また、ハンドル部11Aの下部にバッテリ15Aが着脱可能に取り付けられる。

<本実施の形態の鉄筋結束機の動作例> 図17〜図24は、本実施の形態の鉄筋結束機1Aの動作説明図、図25A、図25B及び図25Cは、鉄筋にワイヤを巻く動作説明図である。また、図26A、図26Bは、カールガイド部によりワイヤでループを形成する動作説明図、図27A、図27B及び図27Cは、ワイヤを折り曲げる動作説明図である。更に、図28A、図28B、図28C及び図28Dは、ワイヤを把持して捩じる動作の一例の詳細を示す動作説明図である。また、図29A、図29B、図29Cと、図30A、図30B、図30Cは、ワイヤを把持して捩じる動作の一例の詳細を示す動作説明図である。次に、各図を参照して、本実施の形態の鉄筋結束機1Aにより鉄筋SをワイヤWで結束する動作について説明する。

マガジン2Aに収容されたリール20に巻かれたワイヤWを装填するため、まず、図4Aに示すワイヤ送り位置にある操作ボタン38が矢印T2方向へ押される。操作ボタン38が矢印T2方向へ押されると、解除レバー39の誘導斜面39cが押され、係止凸部39aが第1の係止凹部38aから外れる。これにより、解除レバー39が矢印U2方向に変位する。

操作ボタン38がワイヤ装填位置まで押されると、図4Bに示すように、解除レバー39がバネ39bで矢印U1方向に押され、係止凸部39aが操作ボタン38の第2の係止凹部38bに入り係止される。これにより、操作ボタン38がワイヤ装填位置で保持される。

また、操作ボタン38がワイヤ装填位置にあると、第2の変位部材36が操作ボタン38で押圧され、第2の変位部材36が軸36aを支点に第2の送りギア30Rを第1の送りギア30Lから離す方向に変位される。よって、第2の送りギア30Rが第1の送りギア30Lから離間し、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rの間にワイヤWが挿入可能となる。

ワイヤWを装填した後、図4Cに示すように、解除レバー39を矢印U2方向に押すことで、係止凸部39aが操作ボタン38の第2の係止凹部38bから外れる。これにより、第2の変位部材36がバネ37で押圧され、第2の変位部材36が軸36aを支点に第2の送りギア30Rを第1の送りギア30Lに押圧する方向に変位される。よって、ワイヤWが第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rの間に挟持される。

また、操作ボタン38が第2の変位部材36によって矢印T1方向に押され、図4Aに示すように、ワイヤ送り位置に変位することで、操作ボタン38の第1の係止凹部38aに解除レバー39の係止凸部39aが係止され、操作ボタン38がワイヤ送り位置で保持される。

図17は、ワイヤW装填後の原点状態、すなわち、ワイヤWがワイヤ送り部3Aによってまだ送られていない初期状態を示す。原点状態では、ワイヤWの先端が切断排出位置P3で待機する。図25Aに示すように、切断排出位置P3で待機するワイヤWは、本例では2本のワイヤWが切断排出位置P3に設けられた並列ガイド4A(固定刃部60)に通されることで、所定の向きに並列される。

切断排出位置P3とマガジン2Aとの間のワイヤWについても、中間位置P2の並列ガイド4A及び導入位置P1の並列ガイド4Aと、第1の送りギア30L及び第2の送りギア30Rにより、所定の向きに並列される。

図18は、ワイヤWが鉄筋Sに巻き回される状態を示す。鉄筋Sをカールガイド部5Aの第1のガイド部50と第2のガイド部51の間に入れ、トリガ12Aを操作すると、送りモータ33aが正回転方向に駆動され、第1の送りギア30Lが正転すると共に、第1の送りギア30Lに従動して第2の送りギア30Rが正転する。

これにより、第1の送りギア30Lと一方のワイヤW1との間に生じる摩擦力、第2の送りギア30Rと他方のワイヤW2との間に生じる摩擦力、及び、一方のワイヤW1と他方のワイヤW2との間に生じる摩擦力により、2本のワイヤWが正方向に送られる。

正方向に送られるワイヤWの送り方向に対し、ワイヤ送り部3Aの上流側と下流側のそれぞれに並列ガイド4Aが設けられることで、第1の送りギア30Lの第1の送り溝部32Lと、第2の送りギア30Rの第2の送り溝部32Rとの間に入る2本のワイヤW、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rから排出される2本のワイヤWが、所定の向きで並列された状態で送られる。

ワイヤWが正方向に送られると、図28A、図29A及び図30Aに示すように、ワイヤWは固定把持部材70Cと第2の可動把持部材70Rの間を通り、カールガイド部5Aの第1のガイド部50のガイド溝52を通過する。これにより、ワイヤWは鉄筋Sの周囲に巻き回される巻き癖が付けられる。第1のガイド部50に導入される2本のワイヤWは、切断排出位置P3の並列ガイド4Aで並列された状態が保持される。また、2本のワイヤWがガイド溝52の外側の壁面に押し付けられた状態で送られることで、ガイド溝52を通過するワイヤWも、所定の向きで並列された状態が保持される。

第1のガイド部50から送り出されたワイヤWは、図26Aに示すように、第2のガイド部51の可動ガイド部55で、巻き回されるワイヤWにより形成されるループRuの軸方向Ru1に沿った移動が規制され、壁面55aにより固定ガイド部54に誘導される。固定ガイド部54に誘導されたワイヤWは、図26Bに示すように、固定ガイド部54の壁面54aでループRuの径方向に沿った移動が規制され、固定把持部材70Cと第1の可動把持部材70Lの間に誘導される。そして、ワイヤWの先端が長さ規制部74に突き当てられる位置まで送られると、送りモータ33aの駆動が停止される。

ワイヤWの先端が長さ規制部74に突き当てられる位置まで送られ、送りが停止されるまでの間に正方向へ若干量ワイヤWが送られることで、鉄筋Sに巻き回されたワイヤWは、図26Bに実線で示す状態から、二点鎖線で示すようにループRuの径方向Ru2に広がる方向へ変位する。鉄筋Sに巻き回されたワイヤWが、ループRuの径方向Ru2に広がる方向へ変位すると、把持部70で固定把持部材70Cと第1の可動把持部材70Lの間に誘導されたワイヤWの一方の端部WS側が後方に変位する。そこで、図26Bに示すように、固定ガイド部54の壁面54aでワイヤWのループRuの径方向Ru2の位置を規制することで、把持部70に誘導されたワイヤWのループRuの径方向Ru2への変位が抑制され、把持不良の発生が抑制される。なお、本実施の形態では、固定把持部材70Cと第1の可動把持部材70Lの間に誘導されたワイヤWの一方の端部WS側が変位せずに、ワイヤWがループRuの径方向Ru2へ広がる方向へ変位する場合でも、固定ガイド部54によりワイヤWのループRuの径方向Ru2への変位が抑制され、把持不良の発生が抑制される。

これにより、ワイヤWが、鉄筋Sの周囲にループ状に巻き回される。このとき、鉄筋Sに巻き回された2本のワイヤWは、図25Bに示すように、互いに捩じれることなく並列された状態が保持される。ここで、第2のガイド部51の可動ガイド部55が開いていることを、ガイド開閉センサ56の出力から検出すると、制御部14Aは、トリガ12Aが操作されても、送りモータ33aを駆動せず、ランプ、ブザー等の図示しない報知手段で報知を行う。これにより、ワイヤWの誘導不良が発生することを防ぐ。

図19は、ワイヤWを把持部70で把持する状態を示す。ワイヤWの送りを停止した後、モータ80が正回転方向に駆動されることで、モータ80は、可動部材83を前方向である矢印F方向に移動させる。すなわち、可動部材83は、モータ80の回転に連動した回転動作が、回転規制部材84により規制されて、モータ80の回転が直線移動に変換される。これにより、可動部材83は前方向に移動する。可動部材83が前方向に移動する動作に連動して、折り曲げ部71が前方向に移動することで、図29Bに示すように、開閉ピン71aが開閉ガイド孔77Lの開閉部78Lを通過すると、第1の可動把持部材70Lは、軸77を支点とした回転動作で、固定把持部材70Cに近づく方向に移動する。これにより、ワイヤWの一方の端部WS側が把持される。

また、図30Bに示すように、開閉ピン71aが開閉ガイド孔77Rの開閉部78Rを通過すると、第2の可動把持部材70Rは、軸77を支点とした回転動作で、固定把持部材70Cに近づく方向に移動する。第2の可動把持部材70Rが固定把持部材70Cに近づく方向に移動することで、ワイヤWは、延在方向に移動可能な状態で把持される、

更に、可動部材83が前方向に移動する動作が退避機構53aに伝達され、ガイドピン53をワイヤWが移動する経路から退避させる。

図20は、ワイヤWを鉄筋Sに巻き付ける状態を示す。第1の可動把持部材70Lと固定把持部材70Cとの間にワイヤWの一方の端部WS側を把持した後、送りモータ33aが逆回転方向に駆動されることで、第1の送りギア30Lが逆転すると共に、第1の送りギア30Lに従動して第2の送りギア30Rが逆転する。

これにより、2本のワイヤWがマガジン2A方向に引き戻され、逆方向に送られる。ワイヤWを逆方向に送る動作で、ワイヤWは鉄筋Sに密着されるようにして巻き付けられる。本例では、図25Cに示すように、2本のワイヤが並列されているので、ワイヤWを逆方向に送る動作でワイヤW同士が捩じれる等による送り抵抗の増加が抑制される。また、従来のように1本のワイヤで鉄筋Sを結束する場合と、本例のように2本のワイヤWで鉄筋Sを結束する場合とで、同様の結束強度を得ようとした場合、2本のワイヤWを使用した方が、各ワイヤWの直径をより細くすることができる。このため、ワイヤWを曲げやすく、小さい力でワイヤWを鉄筋Sに密着させることができる。従って、小さい力でワイヤWを確実に鉄筋Sに巻き付けることができる。また、直径が細い2本のワイヤWを使用していることにより、ワイヤWをループ状に癖付けしやすく、更に、ワイヤWの切断時の負荷低減を図ることができる。これに伴い、鉄筋結束機1Aの各モータの小型化、機構部位の小型化による本体部全体の小型化が可能である。また、モータの小型化、負荷の低減により消費電力の低減が可能である。

図21は、ワイヤWを切断する状態を示す。ワイヤWを鉄筋Sに巻き付けて、ワイヤWの送りを停止した後、モータ80が正回転方向に駆動されることで、可動部材83を前方向に移動させる。可動部材83が前方向に移動する動作が伝達機構62で切断部6Aに伝達され、第2の可動把持部材70Rと固定把持部材70Cで把持されたワイヤWの他方の端部WE側が回転刃部61の動作で切断される。

図22は、ワイヤWの端部を鉄筋S側に折り曲げる状態を示す。ワイヤWを切断した後、可動部材83を更に前方向に移動させることで、図28Bに示すように、可動部材83と一体で折り曲げ部71が前方向に移動する。

折り曲げ部71は、図27B及び図27Cに示すように、矢印Fで示す前方向である鉄筋Sに接近する方向へ移動することで、固定把持部材70Cと第1の可動把持部材70Lで把持されたワイヤWの一方の端部WS側と接する曲げ部71b1を備える。更に、折り曲げ部71は、矢印Fで示す前方向である鉄筋Sに接近する方向へ移動することで、固定把持部材70Cと第2の可動把持部材70Rで把持されたワイヤWの他方の端部WE側と接する曲げ部71b2を備える。

折り曲げ部71は、矢印Fで示す前方向に所定距離移動することで、図28Cに示すように、固定把持部材70Cと第1の可動把持部材70Lで把持されたワイヤWの一方の端部WS側を、曲げ部71b1で鉄筋S側へ押圧して、把持位置を支点として鉄筋S側へ曲げる。折り曲げ部71が更に前方向に移動することで、図29Cに示すように、開閉ピン71aが開閉ガイド孔77L内を移動することにより、第1の可動把持部材70Lと固定把持部材70Cとの間に、ワイヤWの一方の端部WS側が把持された状態で保持される。また、折り曲げ部71が更に前方向に移動することで、図30Cに示すように、開閉ピン71aが開閉ガイド孔77R内を移動することにより、第2の可動把持部材70Rと固定把持部材70Cとの間に、ワイヤWの一方の端部WE側が把持された状態で保持される。

把持部70は、図27A及び図27Bに示すように、第1の可動把持部材70Lの先端側に、固定把持部材70C方向に突出する抜け防止部75(凸部70Lbが抜け防止部75を兼ねても良い)を備える。固定把持部材70Cと第1の可動把持部材70Lで把持されたワイヤWの一方の端部WSは、折り曲げ部71が矢印Fで示す前方向に移動することにより、固定把持部材70Cと第1の可動把持部材70Lとによる把持位置で、抜け防止部75を支点として、鉄筋S側へ折り曲げられる。なお、図27Bでは、第2の可動把持部材70Rは図示していない。

また、折り曲げ部71は、矢印Fで示す前方向に所定距離移動することで、固定把持部材70Cと第2の可動把持部材70Rで把持されたワイヤWの他方の端部WE側を、曲げ部71b2で鉄筋S側へ押圧して、把持位置を支点として鉄筋S側へ曲げる。

把持部70は、図27A及び図27Cに示すように、第2の可動把持部材70Rの先端側に、固定把持部材70C方向に突出する抜け防止部76を備える。固定把持部材70Cと第2の可動把持部材70Rで把持されたワイヤWの他方の端部WEは、折り曲げ部71が矢印Fで示す前方向に移動することにより、固定把持部材70Cと第2の可動把持部材70Rとによる把持位置で、抜け防止部76を支点として、鉄筋S側へ折り曲げられる。なお、図27Cでは、第1の可動把持部材70Lは図示していない。

図23は、ワイヤWを捩じる状態を示す。ワイヤWの端部を鉄筋S側に折り曲げた後、モータ80が更に正回転方向に駆動されることで、モータ80は、可動部材83を更に前方向である矢印F方向に移動させる。可動部材83が矢印F方向の所定の位置まで移動することで、可動部材83は回転規制部材84の係止から抜け、可動部材83の回転規制部材84による回転の規制が解除される。これにより、モータ80が更に正回転方向に駆動されることで、ワイヤWを把持している把持部70が回転し、図28Dに示すように、ワイヤWを捩じる。把持部70は、図示しないバネで後方に付勢されており、ワイヤWにテンションを掛けながら捩じる。よって、ワイヤWが緩むことなく、鉄筋SがワイヤWで結束される。

図24は、捩じられたワイヤWを離す状態を示す。ワイヤWを捩じった後、モータ80が逆回転方向に駆動されることで、モータ80は、可動部材83を矢印Rで示す後方向に移動させる。すなわち、可動部材83は、モータ80の回転に連動した回転動作が、回転規制部材84により規制されて、モータ80の回転が直線移動に変換される。これにより、可動部材83は後方向に移動する。可動部材83が後方向に移動する動作に連動して、第1の可動把持部材70Lと第2の可動把持部材70Rが固定把持部材70Cから離れる方向に変位し、把持部70はワイヤWを離す。なお、鉄筋Sの結束が完了し、鉄筋結束機1Aから鉄筋Sを抜く際、従来は、鉄筋Sがガイド部に引っ掛かって抜き難いことがあり、作業性を悪化させることがあった。これに対し、第2のガイド部51の可動ガイド部55を矢印H方向に回転可能に構成することで、鉄筋結束機1Aから鉄筋Sを抜く際に第2のガイド部51の可動ガイド部55が鉄筋Sに引っ掛かることはなく、作業性が向上する。

<本実施の形態の鉄筋結束機の作用効果例> 第1の可動把持部材と第2の可動把持部材が平行移動で開閉する従来の構成では、第1の可動把持部材と第2の可動把持部材の移動が、溝とピン等の部材でガイドされる。このため、溝に粉塵等の異物が入ると、ピンの移動が阻害され、第1の可動把持部材と第2の可動把持部材が正常に移動できなくなる可能性がある。

また、過負荷等で第1の可動把持部材と第2の可動把持部材の向きが変化すると、ピンの移動方向と溝の延在方向がずれ、第1の可動把持部材と第2の可動把持部材が正常に移動できなくなる可能性がある。

これに対し、本実施の形態では、第1の可動把持部材70Lと第2の可動把持部材70Rが、軸77を支点とした回転動作で固定把持部材70Cに対して離接する方向に変位するので、粉塵や過負荷の影響を受けにくくすることができる。

軸77の精度を向上させることは、溝にピンが摺動する構成と比較して容易であり、かつ、耐摩耗性も高い。このため、固定把持部材70Cに対する第1の可動把持部材70L及び第2の可動把持部材70Rのがたつき、第1の可動把持部材70Lと第2の可動把持部材70Rとのがたつきの発生を抑制することができる。これにより、ワイヤWの把持が確実に行える。

第1の可動把持部材70L及び第2の可動把持部材70Rが開閉する方向を左右、開閉ピン71aが延在する方向を上下とした場合、固定把持部材70Cは、取付部77C及びガイド孔78Cにより上下と左右が開口している形状である。

そこで、固定把持部材70Cの上下と左右を蓋う部材を設ければ、固定把持部材70Cの強度低下を抑制することができる。しかし、固定把持部材70Cの左右は、第1の可動把持部材70L及び第2の可動把持部材70Rの開閉動作の妨げになるため、覆うことができない。そこで本例では、折り曲げ部71は、第1の可動把持部材70L及び第2の可動把持部材70Rの開閉動作の妨げにならない固定把持部材70Cの上下方向を蓋うカバー部71cを備える。これにより、開口である取付部77C及びガイド孔78Cを設けることによる固定把持部材70Cの強度低下を抑制することができる。

また、折り曲げ部71は、図13Aに示すように、カバー部71cで開閉ガイド孔77L、開閉ガイド孔77R、開閉部78L、開閉部78R、ガイド孔78Cを蓋う形状である。このため、開閉ガイド孔77L、開閉ガイド孔77R、開閉部78L、開閉部78R、ガイド孔78Cが露出しない。従って、ガイド孔78C等に粉塵が入るのを抑制することができる。

また、開閉ピン71aの移動経路の延長線上に軸77を備える。これにより、固定把持部材70Cにおいて、第1の可動把持部材70L及び第2の可動把持部材70Rが開閉する方向に沿った左右方向の長さを小さくできる。また、第1の可動把持部材70L及び第2の可動把持部材70Rについても、左右方向の長さを小さくできる。

更に、開閉ピン71aの移動経路の延長線上に軸77を備えることで、過負荷が掛かっても、開閉ピン71aの移動方向とガイド孔78Cの延在方向が大幅にずれることが抑制され、第1の可動把持部材70Lと第2の可動把持部材70Rが正常に動作可能である。

図31A、図31B及び図32Aは、本実施の形態の鉄筋結束機の作用効果例、図31C、図31D及び図32Bは、従来の鉄筋結束機の作用と課題例である。以下に、鉄筋Sを2本のワイヤWで結束する動作に関して、本実施の形態の鉄筋結束機の従来と比較した作用効果例について説明する。

図31Cに示すように、所定の直径(例えば、1.6mm〜2.5mm程度)を有した1本のワイヤWbを鉄筋Sに巻き付ける従来の構成では、図31Dに示すように、ワイヤWbの剛性が高いので、余程大きな力でワイヤWbを鉄筋Sに巻き付けない限り、ワイヤWbを巻き付ける動作でワイヤWbに弛みJが生じ、鉄筋Sとの間に隙間が生じる。

これに対し、図31Aに示すように、従来と比較して直径が細い(例えば、0.5mm〜1.5mm程度)2本のワイヤWを鉄筋Sに巻き付ける本実施の形態では、図31Bに示すように、ワイヤWの剛性が従来と比較して低いので、従来よりも低い力でワイヤWを鉄筋Sに巻き付けても、ワイヤWを巻き付ける動作でワイヤWに弛みが生じることが抑制され、直線部Kで鉄筋Sに確実に巻き付けられる。ここで、ワイヤWで鉄筋Sを結束する機能を考慮すると、ワイヤWの剛性は、ワイヤWの直径のみならず、材質等によっても変化する。例えば、本実施の形態では、直径が0.5mm〜1.5mm程度のワイヤWを例に説明したが、ワイヤWの材質等も加味すると、ワイヤWの直径の下限値及び上限値は、少なくとも公差分程度の差が生じることもあり得る。

また、図32Bに示すように、所定の直径を有した1本のワイヤWbを鉄筋Sに巻き付けて捩じる従来の構成では、ワイヤWbの剛性が高いので、ワイヤWbを捩じる動作でもワイヤWbの弛みが解消されず、鉄筋Sとの間に隙間Lが生じる。

これに対し、図32Aに示すように、従来と比較して直径が細い2本のワイヤWを鉄筋Sに巻き付けて捩じる本実施の形態では、ワイヤWの剛性が従来と比較して低いので、ワイヤWを捩じる動作で、従来と比較して鉄筋Sとの間の隙間Mを少なく抑えることができ、よって、ワイヤWの結束強度が向上する。

そして、2本のワイヤWを使用することで、従来と比較して鉄筋保持力を同等とし、かつ、結束後の鉄筋S同士のずれを抑制することができる。本実施の形態では、2本のワイヤを同時に送り、これら同時に送られた2本のワイヤWを使用して鉄筋Sを結束している。ここで、2本のワイヤWを同時に送るとは、一方のワイヤWと他方のワイヤWが略同じ速度で送られる場合、すなわち、一方のワイヤWに対する他方のワイヤWの相対速度が略0の場合を意味するが、本例では、必ずしもこの意味に限定されるものではない。例えば、一方のワイヤWと他方のワイヤWが異なる速度(タイミング)で送られる場合であっても、ワイヤWの送り経路で2本のワイヤWがとなり合って並列に進み、ワイヤWが並列状態で鉄筋Sに巻き回されるようになっていれば、それは2本のワイヤが同時に送られるという意味である。つまり、2本のワイヤWのそれぞれの断面面積を合わせた総面積が鉄筋保持力を決める要因となるので、2本のワイヤWを送るタイミングをずらしても、鉄筋保持力を確保するという点では同じ結果である。但し、2本のワイヤWを送るタイミングをずらす動作に比較して、2本のワイヤWを同時に送る動作の方が送りに必要な時間が短縮できることから、2本のワイヤWを同時に送る方が、結果的に結束スピードを向上させることができる。

図33Aは、本実施の形態の鉄筋結束機の作用効果例、図33Bは、従来の鉄筋結束機の作用と課題例である。以下に、鉄筋Sを結束したワイヤWの形態に関して、本実施の形態の鉄筋結束機の従来と比較した作用効果例について説明する。

従来の鉄筋結束機で鉄筋Sに結束されたワイヤWは、図33Bに示すように、ワイヤWの一方の端部WS及び他方の端部WEが鉄筋Sと反対方向を向いている。これにより、鉄筋Sを結束したワイヤWにおいて、捩じられた部位より先端側であるワイヤWの一方の端部WS及び他方の端部WEが鉄筋Sから大きく突出した形態となる。ワイヤWの先端側が大きく突出すると、突出部分が作業の邪魔になる等して作業に支障をきたす虞がある。

また、鉄筋Sの結束後、鉄筋Sの敷設箇所にコンクリート200が流し込まれるが、この際、コンクリート200からワイヤWの一方の端部WS及び他方の端部WEが突出しないように、鉄筋Sに結束されたワイヤWの先端、図33Bの例では、ワイヤWの一方の端部WSと、流し込んだコンクリート200の表面201までの厚さを所定の寸法S1に保つ必要がある。このため、ワイヤWの一方の端部WS及び他方の端部WEが鉄筋Sと反対方向を向く形態では、鉄筋Sの敷設位置からのコンクリート200の表面201までの厚さS12が厚くなる。

これに対し、本実施の形態の鉄筋結束機1Aでは、折り曲げ部71によって、鉄筋Sの周囲に巻き回されたワイヤWの一方の端部WSが、ワイヤWの曲げ部位である第1の折り曲げ部位WS1より鉄筋S側へ位置し、鉄筋Sの周囲に巻き回されたワイヤWの他方の端部WEが、ワイヤWの曲げ部位である第2の折り曲げ部位WE1より鉄筋S側へ位置するようにワイヤWが曲げられる。本実施の形態の鉄筋結束機1Aでは、第1の可動把持部材70Lと固定把持部材70CでワイヤWを把持する動作で、予備折り曲げ部72で曲げられた曲げ部位、及び、ワイヤWを鉄筋Sに巻き付ける動作で、固定把持部材70Cと第2の可動把持部材70Rにより曲げられた曲げ部位の1つが、ワイヤWの鉄筋Sから離れる方向に最も突出した頂部となるように、折り曲げ部71でワイヤWが曲げられる。

これにより、本実施の形態の鉄筋結束機1Aで鉄筋Sに結束されたワイヤWは、図33Aに示すように、捩じり部位WTと一方の端部WSの間に第1の折り曲げ部位WS1が形成され、ワイヤWの一方の端部WSが、第1の折り曲げ部位WS1より鉄筋S側に位置するように、ワイヤWの一方の端部WS側が鉄筋S側に折り曲げられる。また、ワイヤWは、捩じり部位WTと他方の端部WEの間に第2の折り曲げ部位WE1が形成され、ワイヤWの他方の端部WEが、第2の折り曲げ部位WE1より鉄筋S側に位置するように、ワイヤWの他方の端部WE側が鉄筋S側に折り曲げられる。

図33Aに示す例では、ワイヤWに2つの折り曲げ部、本例では第1の折り曲げ部位WS1と第2の折り曲げ部位WE1が形成されるが、そのうち、鉄筋Sを結束したワイヤWにおいて鉄筋Sから離れる方向(鉄筋Sと反対方向)に最も突出する第1の折り曲げ部位WS1が頂部Wpとなる。そして、ワイヤWの一方の端部WSと他方の端部WEのいずれとも、頂部Wpを超えて鉄筋Sと反対方向へ突出しないように折り曲げられる。

このように、ワイヤWの一方の端部WS及び他方の端部WEを、ワイヤWの曲げ部位で構成される頂部Wpを超えて鉄筋Sと反対方向へ突出しないようにすることで、ワイヤWの端部が突出することによる作業性の低下を抑制することができる。また、ワイヤWの一方の端部WS側が鉄筋S側に折り曲げられ、ワイヤWの他方の端部WE側が鉄筋S側に折り曲げられるので、ワイヤWの捩じり部位WTより先端側の突出量は従来と比較して少ない。このため、鉄筋Sの敷設位置からのコンクリート200の表面201までの厚さS2を、従来と比較して薄くできる。よって、コンクリートの使用量を低減することができる。

本実施の形態の鉄筋結束機1Aでは、ワイヤWの正方向への送りで鉄筋Sの周囲に巻き回され、ワイヤWの逆方向への送りで鉄筋Sに巻き付けられたワイヤWの一方の端部WS側が、固定把持部材70Cと第1の可動把持部材70Lで把持された状態で、折り曲げ部71により鉄筋S側に折り曲げられる。また、切断部6Aで切断されたワイヤWの他方の端部WE側が、固定把持部材70Cと第2の可動把持部材70Rで把持された状態で、折り曲げ部71により鉄筋S側に折り曲げられる。

これにより、図27Bに示すように、固定把持部材70C及び第1の可動把持部材70Lによる把持位置を支点71c1とし、図27Cに示すように、固定把持部材70C及び第2の可動把持部材70Rによる把持位置を支点71c2として、ワイヤWを折り曲げることができる。また、折り曲げ部71は、鉄筋Sに近づく方向への変位で、ワイヤWを鉄筋S方向に押圧する力を加えることができる。

このように、本実施の形態の鉄筋結束機1Aでは、ワイヤWを把持位置でしっかりと把持し、支点71c1、71c2を支点としてワイヤWを曲げるようにしたので、ワイヤWを押す力が他方向に分散することなく、ワイヤWの端部WS、WE側を所望の方向(鉄筋S側)に確実に曲げることができる。

これに対して、例えばワイヤWを把持しない状態で、ワイヤWを捩じる方向に力を加える従来の結束機では、ワイヤWの端部を捩じる方向に沿った向きに曲げることはできる。しかし、ワイヤWを把持していない状態でワイヤWを曲げる力が加えられることで、ワイヤWを曲げる方向が定まらず、ワイヤWの端部が鉄筋Sと反対の外側に向く場合もある。

しかし、本実施の形態では、上述したように、ワイヤWを把持位置でしっかりと把持し、支点71c1、71c2を支点としてワイヤWを曲げるようにしたので、ワイヤWの端部WS、WE側を確実に鉄筋S側に向けることができる。

また、ワイヤWを捩じって鉄筋Sを結束した後に、ワイヤWの端部を鉄筋S側に折り曲げようとすると、ワイヤWを捩じった結束箇所が緩み、結束強度が落ちる可能性がある。更に、ワイヤWを捩じって鉄筋Sを結束した後、更にワイヤWを捩じる方向に力を加えてワイヤ端部を曲げようとすると、ワイヤWを捩じった結束箇所が損傷する可能性がある。

これに対し、本実施の形態では、ワイヤWを捩じって鉄筋Sを結束するより前に、ワイヤWの一方の端部WS側と他方の端部WE側を鉄筋S側に折り曲げるので、ワイヤWを捩じった結束箇所が緩むことはなく、結束強度が落ちることはない。また、ワイヤWを捩じって鉄筋Sを結束した後、更にワイヤWを捩じる方向の力が加えられることもないので、ワイヤWを捩じった結束箇所が損傷することがない。

図34A、図35Aは、本実施の形態の鉄筋結束機の作用効果例、図34B、図35Bは、従来の鉄筋結束機の作用と課題例である。以下に、鉄筋SにワイヤWを巻き付ける動作で、把持部からワイヤWが抜けることを防止することに関して、本実施の形態の鉄筋結束機の従来と比較した作用効果例について説明する。

鉄筋結束機の従来の把持部700は、図34Bに示すように、固定把持部材700Cと第1の可動把持部材700L及び第2の可動把持部材700Rを備え、鉄筋Sに巻き回されたワイヤWが突き当てられる長さ規制部701を第1の可動把持部材700Lに備えた構成である。

ワイヤWを逆方向に送って(引き戻して)鉄筋Sに巻き付ける動作、及び、把持部700でワイヤWを捩じる動作では、固定把持部材700Cと第1の可動把持部材700LによるワイヤWの把持位置から長さ規制部701までの距離N2が短いと、固定把持部材700Cと第1の可動把持部材700Lで把持したワイヤWが抜けやすい。

把持したワイヤWを抜け難くするためには距離N2を長くすれば良いが、そのためには、第1の可動把持部材700LにおけるワイヤWの把持位置から長さ規制部701までの距離を長くする必要がある。

しかし、第1の可動把持部材700LにおけるワイヤWの把持位置から長さ規制部701までの距離を長くすると、第1の可動把持部材700Lが大型化する。このため、従来の構成では、固定把持部材700Cと第1の可動把持部材700LによるワイヤWの把持位置からワイヤWの一方の端部WSまでの距離N2を長くすることができない。

これに対し、本実施の形態の把持部70は、図34Aに示すようにワイヤWが突き当てられる長さ規制部74を、第1の可動把持部材70Lとは独立した別の部品とした。

これにより、第1の可動把持部材70Lを大型化することなく、第1の可動把持部材70LにおけるワイヤWの把持位置から長さ規制部74までの距離N1を長くすることができるようになる。

従って、第1の可動把持部材70Lを大型化しなくても、ワイヤWを逆方向に送って鉄筋Sに巻き付ける動作、及び、把持部70でワイヤWを捩じる動作で、固定把持部材70Cと第1の可動把持部材70Lで把持したワイヤWが抜けるのを抑制することができる。

また、鉄筋結束機の従来の把持部700は、図35Bに示すように、第1の可動把持部材700Lの固定把持部材700Cと対向する面に、固定把持部材700C方向に突出する凸部と固定把持部材700Cが入る凹部とを設けて予備折り曲げ部702が形成される。

これにより、第1の可動把持部材700Lと固定把持部材700CでワイヤWを把持する動作で、第1の可動把持部材700Lと固定把持部材700Cによる把持位置から突出したワイヤWの一方の端部WS側が折り曲げられ、ワイヤWを逆方向に送って鉄筋Sに巻き付ける動作、及び、把持部700でワイヤWを捩じる動作で、ワイヤWの抜けを防止する効果が得られる。

しかし、ワイヤWの一方の端部WS側が、固定把持部材700Cと第2の可動把持部材700Rの間を通るワイヤWに向かう内側に折り曲げられるので、折り曲げられたワイヤWの一方の端部WS側が、鉄筋Sに巻き付けるため逆方向に送られるワイヤWに接触して巻き込まれる可能性がある。

鉄筋Sに巻き付けるため逆方向に送られるワイヤWに、折り曲げられたワイヤWの一方の端部WS側が巻き込まれると、ワイヤWの巻き付けが不十分になったり、ワイヤWの捩じりが不十分になる可能性がある。

これに対し、本実施の形態の把持部70では、図35Aに示すように、固定把持部材70Cの第1の可動把持部材70Lと対向する面に、第1の可動把持部材70L方向に突出する凸部と第1の可動把持部材70Lが入る凹部を設けて予備折り曲げ部72が形成される。

これにより、第1の可動把持部材70Lと固定把持部材70CでワイヤWを把持する動作で、第1の可動把持部材70Lと固定把持部材70Cによる把持位置から突出したワイヤWの一方の端部WS側が折り曲げられ、固定把持部材70Cにおける予備折り曲げ部72による凸部、予備折り曲げ部72の凹部に入る第1の可動把持部材70Lによる凸部、固定把持部材70Cの他方の凸部の3点で、ワイヤWの一方の端部WS側が把持される。よって、ワイヤWを逆方向に送って鉄筋Sに巻き付ける動作、及び、把持部70でワイヤWを捩じる動作で、ワイヤWの抜けを防止する効果が得られる。

そして、ワイヤWの一方の端部WS側が、固定把持部材70Cと第2の可動把持部材70Rの間を通るワイヤWと反対の外側に折り曲げられるので、折り曲げられたワイヤWの一方の端部WS側が、鉄筋Sに巻き付けるため逆方向に送られるワイヤWに接触することが抑制される。

これにより、ワイヤWを逆方向に送って鉄筋Sに巻き付ける動作で、ワイヤWの把持部70からの抜けが抑制され、ワイヤWの巻き付けが確実に行えると共に、ワイヤWを捩じる動作でワイヤWの結束が確実に行える。

次に、鉄筋Sの周囲にワイヤを巻き回す送り経路を構成するガイドについて、従来の課題を説明する。ワイヤを送って鉄筋の周囲にワイヤを巻き回した後、ワイヤを捩じって結束する従来の鉄筋結束機では、ループ状となるワイヤがループの径方向に広がりにくいので、鉄筋の周囲にワイヤを巻き回す送り経路を構成するガイドは可動する構成である。

これに対し、ワイヤを正方向に送って鉄筋の周囲にワイヤを巻き回した後、ワイヤを逆方向に送ってワイヤを鉄筋に巻き付けて切断し、ワイヤの一方の端部側と他方の端部側が交差する箇所を捩じって結束する従来の鉄筋結束機では、ワイヤの送り方向を切り替えるため、ワイヤの送りを一旦停止する。

ワイヤの送りを一旦停止する際、送りが停止されるまでの間に正方向へ若干量ワイヤが送られることで、結束物に巻き回されたワイヤは、径方向に広がる方向へ変位する。このため、従来の鉄筋結束機では、鉄筋の周囲にワイヤを巻き回す送り経路を構成するガイドは固定された構成である。このため、鉄筋がガイド部に引っ掛かって抜き難いことがあり、作業性が悪かった。

図36A、図36Bは、本実施の形態の鉄筋結束機の作用効果例である。以下に、カールガイド部に鉄筋を入れる動作及びカールガイド部から鉄筋を抜く動作に関して、本実施の形態の鉄筋結束機の作用効果例について説明する。例えば、土台を構成する鉄筋SをワイヤWで結束する場合、鉄筋結束機1Aを使用しての作業では、カールガイド部5Aの第1のガイド部50と第2のガイド部51との間の開口が下を向いた状態となる。

結束作業を行う場合、第1のガイド部50と第2のガイド部51との間の開口を下に向け、図36Aに示すように、鉄筋結束機1Aを、矢印Z1で示す下方に移動させることで、第1のガイド部50と第2のガイド部51との間の開口に鉄筋Sが入る。

そして、結束作業が完了し、図36Bに示すように、鉄筋結束機1Aを矢印Z2で示す横方向に移動させると、ワイヤWで結束された鉄筋Sに第2のガイド部51が押され、第2のガイド部51の先端側の可動ガイド部55が軸55bを支点として矢印H方向へ回転する。

これにより、鉄筋SにワイヤWを結束する毎に、鉄筋結束機1Aをいちいち上方に持ち上げなくても、鉄筋結束機1Aを横方向に移動させるだけで結束作業を次々と行うことができる。従って、(鉄筋結束機1Aを一旦上へ移動させて再び下へ移動させるのに比べて、単に横方向に移動させれば良いので)ワイヤWで結束された鉄筋Sを抜く動作での鉄筋結束機1Aの移動方向及び移動量の制約を少なくすることができ、作業効率が向上する。

また、上述した結束動作で、図26Bに示すように、第2のガイド部51の固定ガイド部54は、変位せずワイヤWの径方向Ru2の位置を規制可能な状態で固定されている。これにより、鉄筋SにワイヤWを巻き回す動作では、固定ガイド部54の壁面54aでワイヤWの径方向Ru2の位置を規制することができ、把持部70に誘導されるワイヤWの径方向への変位を抑制して、把持不良の発生を抑制することができる。なお、上述したように、ワイヤを送って鉄筋の周囲にワイヤを巻き回した後、ワイヤを捩じって結束する従来の鉄筋結束機では、ワイヤを引き戻す固定がなく、ワイヤの送りを一時停止して送り方向を反転させる動作がないので、ループ状となるワイヤがループの径方向に広がりにくい構成である。このため、本実施の形態の固定ガイド部に相当するガイドは不要である。但し、このような鉄筋結束機であっても、本発明の固定ガイド部と可動ガイド部を適用することで、鉄筋の周囲に巻き回されるワイヤのループの径方向に広がりを抑える構成とすることができる。

以下に、変位部34に関して本実施の形態の鉄筋結束機の作用効果例について説明する。本実施の形態の鉄筋結束機1Aでは、図2に示すように、変位部34は、ワイヤWの送り方向に対し略直交する方向であって、第1の送りギア30L及び第2の送りギア30Rの後方、すなわち、第1の送りギア30L及び第2の送りギア30Rとハンドル部11Aとの間に第2の変位部材36を有する。また、第2の変位部材36を変位させる操作ボタン38、操作ボタン38のロック及びロックの解除を行う解除レバー39が、第1の送りギア30L及び第2の送りギア30Rとハンドル部11Aとの間に設けられる。

このように、第2の送りギア30Rを変位させる機構を、第2の送りギア30Rの後方で、第2の送りギア30Rとハンドル部11Aとの間に設けたことで、第1の送りギア30L及び第2の送りギア30Rの下方で、ワイヤWの送り経路には、第2の送りギア30Rを変位させる機構を設ける必要がなくなる。

これにより、ワイヤの送り部とマガジンの間に、一対の送りギアを変位させる機構を備える構成と比較して、マガジン2Aをワイヤ送り部3Aに近づけて配置することができるので、装置の小型化が図れる。また、マガジン2Aとワイヤ送り部3Aとの間に操作ボタン38を備える構成でもないので、マガジン2Aをワイヤ送り部3Aに近づけて配置することができる。

更に、マガジン2Aをワイヤ送り部3Aに近づけて配置することができるので、図16に示すように、円筒状のリール20が収容されるマガジン2Aにおいて、リール20の形状に合わせて突出した凸部21を、バッテリ15Aの取付位置より上方とする配置にできる。従って、凸部21をハンドル部11Aに近づけて配置することができ、装置の小型化が図れる。

また、第1の送りギア30L及び第2の送りギア30Rの下方で、ワイヤWの送り経路には、第2の送りギア30Rを変位させる機構が設けられないので、マガジン2Aの内部に、ワイヤ送り部3Aへのワイヤ装填空間22が形成され、ワイヤWの装填に障害となる構成要素がなく、ワイヤWの装填が容易に行える。

一対の送りギアからなるワイヤ送り部においては、一方の送りギアを他方の送りギアに対して離間させる変位部材と、一方の送りギアを他方の送りギアに対して離間させた状態で変位部材を保持する保持部材を備える構成が考えられる。このような構成では、ワイヤWの変形等で一方の送りギアが他方の送りギアから離れる方向に押されると、変位部材が保持部材で係止され、一方の送りギアが他方の送りギアから離間した状態で保持される可能性がある。

一方の送りギアが他方の送りギアから離間した状態で保持されると、一対の送りギアでワイヤWを挟持できなくなり、ワイヤWの送りができなくなる。

これに対し、本実施の形態の鉄筋結束機1Aでは、図4に示すように、第2の送りギア30Rを第1の送りギア30Lに対して離間させる変位部材である第1の変位部材35及び第2の変位部材36と、第2の送りギア30Rを第1の送りギア30Lから離間した状態でのロック及びロックの解除を行う操作ボタン38と解除レバー39を独立した部品とした。

これにより、図4Dに示すように、ワイヤWの変形等で第2の送りギア30Rが第1の送りギア30Lから離れる方向に押されると、第2の変位部材36はバネ37を押圧して変位するが、ロックはされない。従って、バネ37の力で第2の送りギア30Rを第1の送りギア30L方向に常時押圧することができ、一時的に第2の送りギア30Rが第1の送りギア30Lから離間しても、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30RでワイヤWを挟持する状態に復帰でき、ワイヤWの送りを継続することができる。

<本実施の形態の鉄筋結束機の変形例> 本実施の形態の鉄筋結束機1Aは、2本のワイヤWを使用する構成を例に説明したが、2本以上のワイヤWで鉄筋Sを結束しても良い。

把持部70において、第1の可動把持部材70Lと第2の可動把持部材70Rは、同じタイミングで開閉することとした。これに対し、ワイヤWを戻す動作では、第1の可動把持部材70Lと固定把持部材70Cとの間でワイヤWを把持していれば良いので、第1の可動把持部材70Lの動作を第2の可動把持部材70Rの動作に先行させても良い。第1の可動把持部材70Lと第2の可動把持部材70Rの動作のタイミングは、開閉ガイド孔77Lと開閉ガイド孔77Rの形状により制御可能である。

図37A、図37B、図37C、図37D及び図37Eは、本実施の形態の並列ガイドの変形例を示す構成図である。2本以上のワイヤWで鉄筋Sを結束する構成では、図37Aに示す並列ガイド4Bは、開口4BWの断面形状、すなわち、ワイヤWの送り方向と直交する方向の開口4BWの断面形状が矩形状に構成され、開口4BWの長手方向及び短手方向が直線状に構成される。並列ガイド4Bは、開口4BWの長手方向の長さL1が、ワイヤWを径方向に沿って並べた形態におけるワイヤWの直径rの複数本分より若干長い長さ、短手方向の長さL2が、ワイヤWの1本分の直径rより若干長い長さを有する。並列ガイド4Bは、本例では、開口4BWの長手方向の長さL1が、ワイヤWの2本分の直径rより若干長い長さを有する。

図37Bに示す並列ガイド4Cは、開口4CWの長手方向が直線状、短手方向が三角状に構成される。並列ガイド4Cは、複数本のワイヤWが開口4CWの長手方向に並列し、短手方向の斜面でワイヤWをガイドできるようにするため、開口4CWの長手方向の長さL1が、ワイヤWを径方向に沿って並べた形態におけるワイヤWの直径rの複数本分より長い長さ、短手方向の長さL2が、ワイヤWの1本分の直径rより若干長い長さを有する。

図37Cに示す並列ガイド4Dは、開口4DWの長手方向が内側方向に凸状に湾曲した曲線状、短手方向が円弧状に構成される。すなわち、開口4DWの開口形状が、並列するワイヤWの外形状に沿った形に形成される。並列ガイド4Dは、開口4DWの長手方向の長さL1が、ワイヤWを径方向に沿って並べた形態におけるワイヤWの直径rの複数本分より若干長い長さ、短手方向の長さL2が、ワイヤWの1本分の直径rより若干長い長さを有する。並列ガイド4Dは、本例では、長手方向の長さL1が、ワイヤWの2本分の直径rより若干長い長さを有する。

図37Dに示す並列ガイド4Eは、開口4EWの長手方向が外側方向に凸状に湾曲した曲線状、短手方向が円弧状に構成される。すなわち、開口4EWの開口形状が、楕円形状に形成される。並列ガイド4Eは、開口4EWの長手方向の長さL1が、ワイヤWを径方向に沿って並べた形態におけるワイヤWの直径rの複数本分より若干長い長さ、短手方向の長さL2が、ワイヤWの1本分の直径rより若干長い長さを有する。並列ガイド4Eは、本例では、長手方向の長さL1が、ワイヤWの2本分の直径rより若干長い長さを有する。

図37Eに示す並列ガイド4Fは、ワイヤWの本数に合わせた複数の開口4FWで構成される。各ワイヤWは、それぞれ1本ずつ別の開口4FWに通される。並列ガイド4Fは、各開口4FWが、ワイヤWの直径rより若干長い直径(長さ)L1を有し、開口4FWの並ぶ向きで、複数本のワイヤWが並列される向きを規制する。

図38は、本実施の形態のガイド溝の変形例を示す構成図である。ガイド溝52Bは、ワイヤWの直径rより若干長い幅(長さ)L1及び深さL2を有する。一方のワイヤWが通一方のガイド溝52Bと、他方のワイヤWが通る他方のガイド溝52Bの間には、ワイヤWの送り方向に沿って仕切り壁部が形成される。第1のガイド部50は、複数のガイド溝52Bの並ぶ向きで、複数本のワイヤが並列される向きを規制する。

図39A、図39Bは、本実施の形態のワイヤ送り部の変形例を示す構成図である。図39Aに示すワイヤ送り部3Bは、ワイヤWを1本ずつ送る第1のワイヤ送り部35aと第2のワイヤ送り部35bを備える。第1のワイヤ送り部35aと第2のワイヤ送り部35bは、それぞれ第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rを備える。

第1のワイヤ送り部35aと第2のワイヤ送り部35bで送られた1本ずつのワイヤWは、図5A、図5Bあるいは図5Cに示す並列ガイド4A、あるいは、図37A、図37B、図37Cあるいは図37Dに示す並列ガイド4B〜4Eと、図6に示すガイド溝52により、所定の向きで並列される。

図39Bに示すワイヤ送り部3Cは、ワイヤWを1本ずつ送る第1のワイヤ送り部35aと第2のワイヤ送り部35bを備える。第1のワイヤ送り部35aと第2のワイヤ送り部35bは、それぞれ第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rを備える。

第1のワイヤ送り部35aと第2のワイヤ送り部35bで送られた1本ずつのワイヤWは、図37Eに示す並列ガイド4Fと、図39Bに示すガイド溝52Bにより、所定の向きで並列される。ワイヤ送り部30Cでは、2本のワイヤWが独立してガイドされるので、第1のワイヤ送り部35aと第2のワイヤ送り部35bを独立して駆動できる構成とすれば、2本のワイヤWを送るタイミングをずらすことも可能である。なお、2本のワイヤWのうちの一方で、鉄筋Sを巻き回す動作の途中から、他方のワイヤWの送りを開始して、鉄筋Sを巻き回す動作を行っても、2本のワイヤWは、同時に送られることになる。また、2本のワイヤWの送りを同時に開始するものの、一方のワイヤWの送りスピードと他方のワイヤWの送りスピードが異なる場合も、2本のワイヤWは、同時に送られることになる。

本実施の形態の鉄筋結束機1Aは、長さ規制部74をカールガイド部5Aの第1のガイド部50に備える構成としたが、第1の可動把持部材70L等、把持部70と独立した部品であれば他の場所に備える構成でも良く、例えば、把持部70を支持する構造物に備えても良い。

更に、折り曲げ部71でワイヤWの一方の端部WS側と他方の端部WE側を鉄筋S側に折り曲げる動作が終了するより前に、把持部70の回転動作を開始して、ワイヤWを捩じる動作を開始する構成としても良い。また、把持部70の回転動作を開始して、ワイヤWを捩じる動作を開始した後で、ワイヤWを捩じる動作を終了するより前に、折り曲げ部71でワイヤWの一方の端部WS側と他方の端部WE側を鉄筋S側に折り曲げる動作が開始及び終了する構成としても良い。

また、曲げ手段として、折り曲げ部71を可動部材83と一体とした構成で備えたが、独立した構成でも良く、把持部70と折り曲げ部71が、独立したモータ等の駆動手段で駆動される構成としても良い。更に、折り曲げ部71に代えて、曲げ手段として、固定把持部材70Cと、第1の可動把持部材70L及び第2の可動把持部材70Rに、ワイヤWを把持する動作でワイヤWを鉄筋S側に曲げる力を加える凹凸形状等から構成される折り曲げ部を備えても良い。

図40A、図40B、図40Cは、本実施の形態の変形例を示す説明図である。本実施の形態の鉄筋結束機1Aでは、折り曲げ部71は、ワイヤWの一方の端部WSを、ワイヤWの第1の折り曲げ部位WS1より鉄筋S側へ位置させると共に、鉄筋Sの周囲に巻き回されたワイヤWの他方の端部WEを、ワイヤWの第2の折り曲げ部位WE1より鉄筋S側へ位置させている。そして、図40Aに示す例では、鉄筋Sと反対方向に最も突出した部位である第1の折り曲げ部位WS1が頂部Wpとなるため、ワイヤWの一方の端部WSと他方の端部WEが、第1の折り曲げ部位WS1で形成される頂部Wpを超えて鉄筋Sと反対方向へ突出しないようにすればよい。このため、図40Aに示すように、例えば、ワイヤWの一方の端部WS側が第1の折り曲げ部位WS1で鉄筋S側に曲げられていれば、ワイヤWの一方の端部WSが鉄筋S側を向かなくても良い。

また、図40Bに示すように、第1の曲げ部位WS2及び第2の曲げ部位WE2が、湾曲した形状となるように曲げる曲げ手段を備えても良い。この場合、鉄筋Sと反対方向に最も突出した部位は第1の曲げ部位WS2となるため、第1の曲げ部位WS2が頂部Wpとなり、ワイヤWの一方の端部WSと他方の端部WEが、第1の曲げ部位WS2で形成される頂部Wpを超えて鉄筋Sと反対方向へ突出しないようにする。

更に、図40Cに示すように、ワイヤWの一方の端部WSが、第1の折り曲げ部位WS1より鉄筋S側に位置するように、ワイヤWの一方の端部WS側が鉄筋S側に折り曲げられる。また、ワイヤWの他方の端部WEが、第2の折り曲げ部位WE1より鉄筋S側に位置するように、ワイヤWの他方の端部WE側が鉄筋S側に折り曲げられる。そして、鉄筋Sを結束したワイヤWにおいて鉄筋Sと反対方向に最も突出する第2の折り曲げ部位WE1が頂部Wpとなるようにしても良く、ワイヤWの一方の端部WSと他方の端部WEのいずれとも、頂部Wpを超えて鉄筋Sと反対方向へ突出しないように折り曲げられる。

図41A、図41Bは、本実施の形態の第2のガイド部の変形例を示す構成図である。第2のガイド部51の可動ガイド部55は、ガイド軸55cと、可動ガイド部55の変位方向に沿ったガイド溝55dとによって、変位方向が規制される。例えば、図41Aに示すように、可動ガイド部55は、第1のガイド部50に対する可動ガイド部55の移動方向である、第1のガイド部50に対して可動ガイド部55が近づく方向及び離れる方向に沿って延在するガイド溝55dを備える。固定ガイド部54は、ガイド溝55dに挿入され、ガイド溝55d内を移動可能なガイド軸55cを備える。これにより、可動ガイド部55は、第1のガイド部50に対して離接する方向(図41Aの上下方向)への平行移動でガイド位置から退避位置に変位する。

また、図41Bに示すように、前後方向に延在するガイド溝55dを可動ガイド部55に備えることとしても良い。これにより、可動ガイド部55が、本体部10Aの一端である前端から突出及び本体部10Aの内部に退避する前後方向への移動でガイド位置から退避位置に変位する。この場合のガイド位置は、可動ガイド部55の壁面55aがループRuを形成するワイヤWが通過する位置に存在するように、可動ガイド部55が本体部10Aの前端から突出した位置である。また、退避位置とは、可動ガイド部55の全部あるいは一部が、本体部10Aの内部に入り込んだ状態である。更に、第1のガイド部50に対して離接する方向及び前後方向に沿った斜め方向に延在するガイド溝55dを可動ガイド部55に備える構成としても良い。なお、ガイド溝55dは、直線状でも円弧等の曲線状でも良い。

図42、図43A、図43B及び図44は、他の実施の形態の並列ガイドの一例を示す構成図で、図43Aは、図42のA−A断面図、図43Bは、図42のB−B断面図、図44は、他の実施の形態の並列ガイドの変形例である。また、図45は、他の実施の形態の並列ガイドの動作の一例を示す説明図である。

導入位置P1に設けられる並列ガイド4G1と、中間位置P2に設けられる並列ガイド4G2は、ガイド内をワイヤWが通過する際のワイヤWの摺動による摩耗を抑制する摺動部材40Aを備える。切断排出位置P3に設けられる並列ガイド4G3は、摺動部材40Aが非具備である。

並列ガイド4G1は送り手段を構成する規制手段の一例で、ワイヤWの送り方向に沿って貫通した開口40G1で構成される。並列ガイド4G1は、ワイヤWの送り方向に直交する径方向の向きを規制するため、図43A、図44に示すように、ワイヤWの送り方向に直交する一の方向の長さL1が、ワイヤWの送り方向及び一の方向と直交する他の方向の長さL2より長い形状の開口40G1である。

並列ガイド4G1は、2本のワイヤWを径方向に沿って並べた形態とし、かつ、2本のワイヤWが並ぶ向きを規制するため、ワイヤWの送り方向と直交する開口40G1の長手方向の長さL1が、ワイヤWの直径rの2本分より長い長さ、短手方向の長さL2が、ワイヤWの1本分の直径rより若干長い長さを有する。並列ガイド4G1は、開口40G1の長手方向が直線状、短手方向が円弧状あるいは直線状に構成される。

カールガイド5Aの第1のガイド部50で円弧状に成形されるワイヤWは、中間位置P2に設けられる並列ガイド4G2と、第1のガイド部50のガイドピン53、53bの3点で、円弧の外側の2点と内側の1点の位置が規制されることにより巻き癖が付けられて、略円形のループRuを形成する。

ワイヤWによって形成される図45に示すループRuの軸方向Ru1を基準とした場合、図44に一点鎖線Degで示すように、並列ガイド4G1の開口40G1を通過する2本のワイヤWの並ぶ向きの傾斜(開口40G1の、ループRuの軸方向Ru1に延びる辺(長手方向に延びる辺)に対する2本のワイヤWの並ぶ向きの傾き)が45度を超えると、2本のワイヤWが送られることにより捩じれて交差する可能性がある。

そこで、並列ガイド4G1の開口40G1を通過する2本のワイヤWの並ぶ向きの傾斜が、ワイヤWによって形成されるループRuの軸方向Ru1に対して45度以下となるように、並列ガイド4G1の開口40G1の短手方向の長さL2と長手方向の長さL1の比率が決められる。本例では、開口40G1の短手方向の長さL2と長手方向の長さL1の比率が1:1.2以上で構成される。ワイヤWの直径rを考慮すると、並列ガイド4G1の開口40G1の短手方向の長さL2が、ワイヤWの直径rの1倍を超え、かつ、1.5倍以下の長さで構成される。なお、2本のワイヤWの並ぶ向きの傾斜は、15度以下であることがより好ましい。

並列ガイド4G2は送り手段を構成する規制手段の一例で、ワイヤWの送り方向に沿って貫通した開口40G2で構成される。並列ガイド4G2は、ワイヤWの送り方向に直交する径方向の向きを規制するため、図43Bに示すように、ワイヤWの送り方向に直交する一の方向の長さL1が、ワイヤWの送り方向及び一の方向と直交する他の方向の長さL2より長い形状の開口40G2である。

並列ガイド4G2は、2本のワイヤWを径方向に沿って並べた形態とし、かつ、2本のワイヤWが並ぶ向きを規制するため、ワイヤWの送り方向と直交する開口40G2の長手方向の長さL1が、ワイヤWの直径rの2本分より長い長さ、短手方向の長さL2が、ワイヤWの1本分の直径rより若干長い長さを有する。並列ガイド4G2は、開口40G2の長手方向が直線状、短手方向が円弧状あるいは直線状に構成される。

並列ガイド4G2においても、2本のワイヤWの並ぶ向きの傾斜が45°以下、好ましくは15°以下となるように、開口40G2の短手方向の長さL2と長手方向の長さL1の比率が、1:1.2以上で構成される。ワイヤWの直径rを考慮すると、並列ガイド4G2の開口40G2の短手方向の長さL2が、ワイヤWの直径rの1倍を超え、かつ、1.5倍以下の長さで構成される。

並列ガイド4G3は送り手段を構成する規制手段の一例で、かつ、固定刃部60を構成する。並列ガイド4G3は、並列ガイド4G1及び並列ガイド4G2と同様に、ワイヤWの送り方向と直交する長手方向の長さが、ワイヤWの直径rの2本分より長く、短手方向の長さが、ワイヤWの1本分の直径rより若干長い形状の開口40G3である。

並列ガイド4G3は、2本のワイヤWの並ぶ向きの傾斜が45°以下、好ましくは15°以下となるように、開口40G3の短手方向の少なくとも1部の長さと長手方向の少なくとも1部の長さの比率が、1:1.2以上で構成される。ワイヤWの直径rを考慮すると、並列ガイド4G3の開口40G3の短手方向の長さが、ワイヤWの直径rの1倍を超え、かつ、1.5倍以下の長さで構成されることで、2本のワイヤWが並ぶ向きを規制する。

摺動部材40Aは摺動部の一例である。摺動部材40Aは、超硬合金と称す材質で構成される。超硬合金は、並列ガイド4G1が設けられるガイド本体41G1を構成する材質、及び、並列ガイド4G2が設けられるガイド本体41G2を構成する材質より高い硬度を有する。これにより、摺動部材40Aは、ガイド本体41G1及びガイド本体41G2より高い硬度を有する。摺動部材40Aは、本例では円筒状のピンと称す部材で構成される。

ガイド本体41G1及びガイド本体41G2は、鉄で構成される。一般的な熱処理を行ったガイド本体41G1及びガイド本体41G2の硬度は、ビッカース硬さで500〜800程度である。これに対し、超硬合金で構成される摺動部材40Aの硬度は、ビッカース硬さで1500〜2000程度である。

摺動部材40Aは、円周面の一部が、並列ガイド4G1の開口40G1において、ワイヤWの送り方向と直交し、かつ、本例では2本のワイヤWが並ぶ方向に沿った長手方向の内面から露出するように設けられる。また、摺動部材40Aは、円周面の一部が、並列ガイド4G2の開口40G2において、ワイヤWの送り方向と直交し、かつ、2本のワイヤWが並ぶ方向に沿った長手方向の内面から露出するように設けられる。摺動部材40Aは、ワイヤWが送られる方向に対して直交し、かつ、2本のワイヤWが並ぶ方向に沿って延在する。摺動部材40Aは、円周面の一部が、並列ガイド4G1の開口40G1の長手方向の内面及び並列ガイド4G2の開口40G2の長手方向の内面と段差がない同一面に露出していれば良い。好ましくは、摺動部材40Aは、円周面の一部が、並列ガイド4G1の開口40G1の長手方向の内面及び並列ガイド4G2の開口40G2の長手方向の内面から突出して露出する。

ガイド本体41G1には、摺動部材40Aが圧入により固定される直径を有した穴部42G1が設けられる。穴部42G1は、穴部42G1に圧入された摺動部材40Aの円周面の一部が、並列ガイド4G1の開口40G1の長手方向の内面に露出する所定の位置に設けられる。穴部42G1は、ワイヤWの送り方向と直交し、かつ、2本のワイヤWが並ぶ方向に沿って延在する。

また、ガイド本体41Gには、摺動部材40Aが圧入により固定される直径を有した穴部42G2が設けられる。穴部42G2は、穴部42G2に圧入された摺動部材40Aの円周面の一部が、並列ガイド4G2の開口40G2の長手方向の内面に露出する所定の位置に設けられる。穴部42G2は、ワイヤWの送り方向と直交し、かつ、2本のワイヤWが並ぶ方向に沿って延在する。

カールガイド部5Aで図45に示すループRuが形成されるワイヤWは、ワイヤ送り部3Aで送られる動作で、ループRuの径方向Ru2に移動し得る。また、鉄筋結束機1Aでは、カールガイド部5Aでループ状に形成されるワイヤWが送られる方向(カールガイド部5Aで鉄筋Sの周囲に巻き回されるワイヤWの巻き方向)と、リール20でワイヤWが巻かれる方向が逆向きである。このため、ワイヤWは、ワイヤ送り部3Aで送られる動作で、ループRuの径方向Ru2に移動し得る。ループRuの径方向Ru2とは、ワイヤWの送り方向に直交し、かつ、2本のワイヤWが並ぶ方向に直交する一の方向である。ループRuの径が大きくなる場合、ワイヤWはループRuの径方向Ru2に対して外側に移動する。また、ループRuの径が小さくなる場合、ワイヤWはループRuの径方向Ru2に対して内側に移動する。

並列ガイド4G1は、図1等に示すリール20から繰り出されたワイヤWが開口40G1を通るように構成される。このため、並列ガイド4G1を通過するワイヤWは、開口40G1の内面のうち、図45に示すワイヤWのループRuの径方向Ru2に対して外側と内側の位置の相当する面上を摺動する。ワイヤWの摺動により並列ガイド4G1の開口40G1の内面の外側の面と内側の面が摩耗すると、並列ガイド4G1を通過するワイヤWが、ループRuの径方向Ru2に動く。

これにより、ワイヤ送り部3Aへ誘導されるワイヤWが、図3で説明した第1の送りギア30Lの第1の送り溝部32Lと、第2の送りギア30Rの第2の送り溝部32Rとの間から外れ、ワイヤ送り部3Aへの誘導が困難になる。

そこで、並列ガイド4G1は、開口40G1の内面のうち、カールガイド部5Aで形成されるワイヤWによるループRuの径方向Ru2に対して、外側の面と内側の面の所定の位置に摺動部材40Aを備える。これにより、開口40G1内の摩耗が抑制され、並列ガイド4G1を通過するワイヤWのワイヤ送り部3Aへの誘導が確実に行える。

また、並列ガイド4G2は、ワイヤ送り部3Aから送り出されカールガイド部5AでループRuが形成されるワイヤWが通るため、カールガイド部5Aで形成されるワイヤWによるループRuの径方向Ru2に対して、開口40G2の内面の主に外側の面にワイヤWが摺動する。ワイヤWの摺動により並列ガイド4G2の開口40G1の内面の外側の面が摩耗すると、並列ガイド4G2を通過するワイヤWが、ループRuの径方向Ru2の外側に向けて動く。これにより。ワイヤWの並列ガイド4G3への誘導が困難になる。

そこで、並列ガイド4G2は、開口40G2の内面のうち、カールガイド部5Aで形成されるワイヤWによるループRuの径方向Ru2に対して、外側の面の所定の位置に摺動部材40Aを備える。これにより、ワイヤWの並列ガイド4G3への誘導に影響を及ぼす上述した所定の位置の摩耗が抑制され、並列ガイド4G2を通過するワイヤWの並列ガイド4G3への誘導が確実に行える。

また、摺動部材40Aが、並列ガイド4G1の開口40G1の内面及び並列ガイド4G2の開口40G2の内面と段差のない同一面形状の場合、並列ガイド4G1の開口40G1の内面及び並列ガイド4G2の開口40G2の内面が若干摩耗することが考えられる。但し、摺動部材40Aは、摩耗せずそのまま残り、開口40G1の内面及び開口40G2の内面から突出して露出する。これにより、並列ガイド4G1の開口40G1の内面及び並列ガイド4G2の開口40G2の内面の更なる摩耗が抑制される。

図46は、他の実施の形態の並列ガイドの変形例を示す構成図である。図1に示すように、リール20におけるワイヤWの巻き方向と、カールガイド部5Aで形成されるワイヤWによるループRuの巻き方向が異なる。そこで、並列ガイド4G1は、開口40G1の内面のうち、カールガイド部5Aで形成されるワイヤWによるループRuの径方向Ru2に対して内側の面の所定の位置にのみ摺動部材40Aを備えてもよい。

図47〜図51は、他の実施の形態の並列ガイドの変形例を示す構成図である。摺動部は、断面形状が円形の上述したピン状の摺動部材40Aに限るものではなく、図47に示すように、直方体状、立方体状等、断面形状が多角形の部材で摺動部材40Bを構成しても良い。

また、図48に示すように、並列ガイド4G1の開口40G1の内面及び並列ガイド4G2の開口40G2の内面の所定の位置を、焼き入れ等の加工によって硬度を他の箇所より高くして、摺動部40Cを構成しても良い。更に、並列ガイド4G1を構成するガイド本体41G1及び並列ガイド4G2を構成するガイド本体41G2を、並列ガイド4G3等より高度の高い材質で構成し、図49に示すように、並列ガイド4G1及び並列ガイド4G2の全体を摺動部40Dとしても良い。

また、図50に示すように、ワイヤWの送り方向に対して直交する軸43を有し、ワイヤWの送りに従動して回転可能なローラ40Eを摺動部に代えて備えても良い。ローラ40Eは、ワイヤWの送りに伴う回転で、ワイヤWとの接触箇所が変わるため、摩耗が抑制される。

更に、図51に示すように、並列ガイド4G1及び並列ガイド4G2に、着脱部材の一例としてのネジ400が挿入される穴部401を備える。また、図1等に示す鉄筋結束機1Aに、ネジ400が締結されるネジ穴402が形成された取付台座403を備える。そして、ネジ400の締結及び取り外しで、並列ガイド4G1及び並列ガイド4G2を、固定及び固定の解除で着脱可能としても良い。これにより、並列ガイド4G1及び並列ガイド4G2が摩耗した場合でも、交換が可能である。

図52は、他の実施の形態の並列ガイドの変形例を示す構成図である。導入位置P1に設けられる並列ガイド4H1は、ワイヤWの本数に合わせた2本の穴部(開口)が設けられ、穴部の並ぶ向きで、ワイヤWが並列される向きを規制する。並列ガイド4H1は、図42、図43A、図43B、図44、図46で説明した摺動部材40A、図47で説明した摺動部材40B、図48で説明した摺動部40C、図49で説明した摺動部40D、あるいは、図50で説明したローラ40Eの何れかを備えても良い。

中間位置P2に設けられる並列ガイド4H2は、図4A等で説明した並列ガイド4A、図37Aで説明した並列ガイド4B、図37Bで説明した並列ガイド4C、図37Cで説明した並列ガイド4D、図37Dで説明した並列ガイド4Eの何れである。

また、並列ガイド4H2は、摺動部の一例として図42、図43A、図43B、図44、図46で説明した摺動部材40Aを備えた並列ガイド4G2でも良い。更に、並列ガイド4H2は、摺動部の変形例として図47で説明した摺動部材40Bを備えた並列ガイド4G2、図48で説明した摺動部40Cを備えた並列ガイド4G2、図49で説明した摺動部40Dを備えた並列ガイド4G2、あるいは、図50で説明したローラ40Eを備えた並列ガイド4G2の何れかでも良い。

切断排出位置P3に設けられる並列ガイド4H3は、図4A等で説明した並列ガイド4A、図37Aで説明した並列ガイド4B、図37Bで説明した並列ガイド4C、図37Cで説明した並列ガイド4D、図37Dで説明した並列ガイド4Eの何れである。

図53は、他の実施の形態の並列ガイドの変形例を示す構成図である。導入位置P1に設けられる並列ガイド4J1は、図4A等で説明した並列ガイド4A、図37Aで説明した並列ガイド4B、図37Bで説明した並列ガイド4C、図37Cで説明した並列ガイド4D、図37Dで説明した並列ガイド4Eの何れである。

また、並列ガイド4J1は、摺動部の一例として図42、図43A、図43B、図44、図46で説明した摺動部材40Aを備えた並列ガイド4G2でも良い。更に、並列ガイド4J1は、摺動部の変形例として図47で説明した摺動部材40Bを備えた並列ガイド4G2、図48で説明した摺動部40Cを備えた並列ガイド4G2、図49で説明した摺動部40Dを備えた並列ガイド4G2、あるいは、図50で説明したローラ40Eを備えた並列ガイド4G2の何れかでも良い。

中間位置P2に設けられる並列ガイド4J2は、ワイヤWの本数に合わせた2本の穴部で構成され、並列ガイド4J2の並ぶ向きで、ワイヤWが並列される向きを規制する。並列ガイド4J2は、図42、図43A、図43B、図44、図46で説明した摺動部材40A、図47で説明した摺動部材40B、図48で説明した摺動部40C、図49で説明した摺動部40D、あるいは、図50で説明したローラ40Eの何れかを備えても良い。

切断排出位置P3に設けられる並列ガイド4J3は、図4A等で説明した並列ガイド4A、図37Aで説明した並列ガイド4B、図37Bで説明した並列ガイド4C、図37Cで説明した並列ガイド4D、図37Dで説明した並列ガイド4Eの何れである。

図54〜図59は、他の実施の形態の把持部の構成及び動作を示す説明図であり、ワイヤWの一方の端部WSを折り曲げる方向の他の実施の形態について説明する。

カールガイド5Aの第1のガイド部50で円弧状に成形されるワイヤWは、切断排出位置P3で並列ガイド4Aを構成する固定刃部60と、第1のガイド部50のガイドピン53、53bの3点で、円弧の外側の2点と内側の1点の位置が規制されることにより巻き癖が付けられて、略円形のループRuを形成する。

ワイヤ送り部3AでワイヤWを逆方向に送って鉄筋Sに巻き付ける動作では、ループRuの径が小さくなる方向に、ワイヤWが移動する。

上述した実施の形態では、図35Aに示すように、ワイヤWの端部WSを、予備折り曲げ部72によって、固定把持部材70Cと第2の可動把持部材70Rの間を通るワイヤWと反対の外側に折り曲げるようにした。これにより、ワイヤWを鉄筋Sに巻き付ける動作によるワイヤWの移動経路から、ワイヤWの端部WSを退避させていた。図54、図55に示す実施の形態では、ワイヤWの端部WSを、固定把持部材70Cと第2の可動把持部材70Rの間を通るワイヤWと反対の外側に曲げる場合に、ワイヤWで形成されるループRuの径方向に対し内側に向けて曲げる。図56、図57に示す実施の形態では、ワイヤWの端部WSを、固定把持部材70Cと第2の可動把持部材70Rの間を通るワイヤWと反対の外側に曲げる場合に、ワイヤWで形成されるループRuの径方向に対し外側に向けて曲げる。このため、把持部70は、鉄筋Sに巻き付けられ、ワイヤWのループRuの径が小さくなる方向にワイヤWが移動するワイヤWのワイヤWの移動経路Ru3から、ワイヤWの端部WSが退避する所定の方向へワイヤWを曲げる予備折り曲げ部72aを備える。

図54及び図55では、予備折り曲げ部72aは、固定把持部材70Cの第1の可動把持部材70Lと対向する面に設けられ、ワイヤWで形成されるループRuの径方向、かつ、並列ガイド4AのワイヤWの送り方向と直交する方向に沿った向きRu2に対し、内側に向けてワイヤWを折り曲げる方向に突出する。

これにより、第1の可動把持部材70Lと固定把持部材70CでワイヤWを把持する動作で、ワイヤWの端部WSが、ワイヤWで形成されるループRuの径方向、かつ、並列ガイド4AのワイヤWの送り方向と直交する方向に沿った向きRu2に対し内側に向けて折り曲げられる。また、ワイヤWの端部WSが、ワイヤWで形成されるループRuの軸方向Ru1に対しては、図35Aに示すように、固定把持部材70Cと第2の可動把持部材70Rの間を通るワイヤWと反対の外側に向けて曲げられる。

よって、ワイヤWを鉄筋Sに巻き付ける動作で、第1の可動把持部材70Lと固定把持部材70Cとの間を通るワイヤWの端部WSが、固定把持部材70Cと第2の可動把持部材70Rとの間を通るワイヤWに干渉しないことによって、ワイヤWの端部WSがワイヤWに巻き込まれることが抑制される。

図56及び図57では、予備折り曲げ部72aは、固定把持部材70Cの第1の可動把持部材70Lと対向する面に設けられ、ワイヤWで形成されるループRuの径方向、かつ、並列ガイド4AのワイヤWの送り方向と直交する方向に沿った向きRu2に対し、外側に向けてワイヤWを折り曲げる方向に突出する。

これにより、第1の可動把持部材70Lと固定把持部材70CでワイヤWを把持する動作で、ワイヤWの端部WSが、ワイヤWで形成されるループRuの径方向、かつ、並列ガイド4AのワイヤWの送り方向と直交する方向に沿った向きRu2に対し外側に向けて折り曲げられる。また、ワイヤWの端部WSが、ワイヤWで形成されるループRuの軸方向Ru1に対しては、図35Aに示すように、固定把持部材70Cと第2の可動把持部材70Rの間を通るワイヤWと反対の外側に向けて曲げられる。

よって、ワイヤWを鉄筋Sに巻き付ける動作で、第1の可動把持部材70Lと固定把持部材70Cとの間を通るワイヤWの端部WSが、固定把持部材70Cと第2の可動把持部材70Rとの間を通るワイヤWに干渉しないことによって、ワイヤWの端部WSがワイヤWに巻き込まれることが抑制される。

図54〜図57で説明した実施の形態に対し、ワイヤWを鉄筋Sに巻き付ける動作によるワイヤWの移動経路から、ワイヤWの端部WSを退避させることができれば、ワイヤWの端部WSを、固定把持部材70Cと第2の可動把持部材70Rの間を通るワイヤW側に曲げても良い。図58及び図59では、カールガイド部5Aの第1のガイド部50に設けられたワイヤWの一方の端部WSの位置を規制する長さ規制部74が、ワイヤWの端部WSをワイヤWで形成されるループRuの径方向、かつ、並列ガイド4AのワイヤWの送り方向と直交する方向に沿った向きRu2に対し、外側に導かれるように形成されている。

これにより、ワイヤWを送りワイヤWの端部WSを長さ規制部74に突き当てる動作で、ワイヤWの端部WSが、ワイヤWで形成されるループRuの径方向、かつ、並列ガイド4AのワイヤWの送り方向と直交する方向に沿った向きRu2に対し外側に向けて折り曲げられる。

よって、第1の可動把持部材70Lと固定把持部材70Cとの間を通るワイヤWの端部WSが、ワイヤWで形成されるループRuの軸方向Ru1に対して、固定把持部材70Cと第2の可動把持部材70Rの間を通るワイヤW側に向けて干渉しないように曲げられる形態であるため、ワイヤWの端部WSがワイヤWを鉄筋Sに巻き付ける動作で、ワイヤWの端部WSがワイヤWに巻き込まれることが抑制される。

図60は、他の実施の形態の第2のガイド部の一例を示す構成図である。第2のガイド部51Bは、第1のガイド部50から送り出されたワイヤWで形成されるループRuの径方向Ru2の位置を規制する第3のガイド部として基部ガイド部54Bと、ループRuの軸方向Ru1に沿った位置を規制する第4のガイドとしての可動ガイド部55を備える。

基部ガイド部54Bは、ワイヤWで形成されるループRuの径方向Ru2の外側に設けられる壁面54aで、ワイヤWで形成されるループRuの径方向Ru2の位置を規制する。

可動ガイド部55は、第2のガイド部51Bの先端側に設けられ、第1のガイド部50から送り出されたワイヤWで形成されるループRuの軸方向Ru1に沿った両側に壁面55aが形成される。これにより、ワイヤWで形成されるループRuの軸方向Ru1の位置が可動ガイド部55の壁面55aで規制され、ワイヤWが可動ガイド部55で基部ガイド部54Bに誘導される。

可動ガイド部55は、ワイヤWで形成されるループRuの軸方向Ru1に沿った軸55bを介して基部ガイド部54Bに支持される。可動ガイド部55は、軸55bを支点とした矢印H1、H2で示す回転動作によって、第1のガイド部50から送り出されたワイヤを第2のガイド部51Bに誘導し得るガイド位置と、鉄筋Sから鉄筋結束機1Aを抜く動作で退避する退避位置との間で開閉する。

可動ガイド部55は、ねじりコイルバネ57等の付勢手段により、第1のガイド部50の先端側と第2のガイド部51Bの先端側との間隔が近づく矢印H2方向に付勢され、ねじりコイルバネ57の力で図36Aに示すガイド位置に保持される。また、鉄筋Sから鉄筋結束機1Aを抜く動作で、鉄筋Sに可動ガイド部55が押されることで、可動ガイド部55が矢印H1方向に回転して、ガイド位置から図36Bに示す退避位置まで開く。

第2のガイド部51Bは、基部ガイド部54Bを第1のガイド部50に対して離れる方向に変位させて退避させる退避機構(回動機構)54Cを備える。退避機構54Cは、固定ガイド部54を支持する軸58と、基部ガイド部54Bを所定のガイド位置で保持するバネ59を備える。

基部ガイド部54Bは、軸58を支点とした回転動作により矢印Q1、Q2で示す方向に変位可能に支持される。バネ59は付勢手段の一例で、例えば、ねじりコイルバネで構成される。バネ59は、ねじりコイルバネ57よりバネ荷重が大きく構成される。基部ガイド部54Bは、バネ59により図60に示すガイド位置で保持される。

図61〜図64は、他の実施の形態の第2のガイド部の動作の一例を示す説明図である。カールガイド5Aの第1のガイド部50で円弧状に成形されるワイヤWは、切断排出位置P3で並列ガイド4G3を構成する固定刃部60と、第1のガイド部50のガイドピン53、53bの3点で、円弧の外側の2点と内側の1点の位置が規制されることにより巻き癖が付けられて、略円形のループRuを形成する。

これにより、図61に示すように、ワイヤWの先端が可動ガイド部55に入り、ワイヤWで形成されるループRuの軸方向Ru1の位置が可動ガイド部55の壁面55aで規制されて、ワイヤWが可動ガイド部55で基部ガイド部54Bに誘導される。

ワイヤWがワイヤ送り部3Aで送られると、図62に示すように、可動ガイド部55で基部ガイド部54Bに誘導される。ワイヤWで形成されるループRuが径方向Ru2の外側に膨らんで、ワイヤWが基部ガイド部54Bに接しても、基部ガイド部54Bはバネ59の力でガイド位置で固定された状態を保持する。

ワイヤWが更に送られると、図63に示すように、ワイヤWの先端が長さ規制部74に突き当たる。ワイヤWの送りが停止されるまで、更に所定量ワイヤWが送られると、図64に示すように、ワイヤWの先端の位置が長さ規制部74で規制されているので、ワイヤWの先端が長さ規制部74に沿って前方に移動しながら、ワイヤWで形成されるループRuが径方向Ru2の外側に膨らむ。但し、基部ガイド部54Bはバネ59の力でガイド位置で固定された状態を保持する。

このように、第1のガイド部50から送り出されたワイヤWでループRuを形成する動作では、ワイヤWが基部ガイド部54Bに接しても、基部ガイド部54Bはガイド位置で固定された状態を保持する。

また、鉄筋Sから鉄筋結束機1Aを抜く動作で、鉄筋Sに可動ガイド部55が押されることで、可動ガイド部55がガイド位置から退避位置まで開く動作でも、基部ガイド部54Bはガイド位置で固定された状態を保持する。

但し、不用意な外力等が加わった場合、基部ガイド部54Bがバネ59の付勢力に抗して軸58を支点に矢印Q1方向に回転することで、外力を逃がすことが可能である。外力から解放されると、基部ガイド部54Bは、バネ59に押圧されて矢印Q2方向に回転し、ガイド位置に復元する。

これにより、基部ガイド部54Bに退避機構54Cを備えたことで、鉄筋Sに巻き回されるワイヤWのループRuの形成を阻害することなく、外力等が掛かった場合の負荷を軽減することができる。特に、可動ガイド部55の軸55bと、基部ガイド部54Bの軸58を並行とすることで、可動ガイド部55に大きな外力が掛かった場合等、可動ガイド55に掛かる力で基部ガイド部54Bを退避させることができる。

また、手の力で可動ガイド部55を矢印H1方向に開くと共に、基部ガイド部54Bを矢印H1方向に開くことができるように構成することで、第2のガイド部51Bの可動範囲を大きくすることができる。これにより、ワイヤジャム等の除去やメンテナンスが容易となる。なお、基部ガイド部54Bは、図41A及び図41Bで説明した直線動作で退避できるようにしても良い。

図65〜図67は、他の実施の形態の変位部の一例を示す構成図、図68は、他の実施の形態の鉄筋結束機の一例を示す外観図である。変位部340は変位手段の一例で、軸350aを支点とした回転動作により矢印V1、V2で示す方向に変位し、第2の送りギア30Rを第1の送りギア30Lに対して離接させる方向に変位させる第1の変位部材350を備える。また、変位部340は、第1の変位部材350を変位させる第2の変位部材360を備える。

第1の変位部材350は、長尺の板状部材であり、一端側が軸350aに回転可能に支持され、他端側に第2の送りギア30Rが軸300Rにより回転可能に支持される。なお、第1の変位部材350の形状は、長尺の板状部材に限定されない。また、第1の変位部材350は、軸300Rを介して支持する第2の送りギア30Rの軸方向に沿った厚さtの範囲内、好ましくは、第2の送り溝部32Rの位置近傍に、第2の変位部材360から押圧される被押圧部350bを備える。

被押圧部350bは、軸300Rから第2の送りギア30Rの径方向に向かって延びるように配置される。被押圧部350bは、U字状を呈し、U字状の開口部で第2の送りギア30Rを挟むようにして軸300Rに取り付けられる。なお、被押圧部350bの形状は、U字状に限定されない。

第2の変位部材360は、軸360aに回転可能に支持され、軸360aを支点とした回転動作により矢印W1、W2で示す方向に変位する。第2の変位部材360は、軸360aを挟んだ一端側に第1の変位部材350の被押圧部350bを押圧する押圧部360bを備える。押圧部360bは、第2の送りギア30Rの軸方向に沿った厚さtの範囲内、好ましくは、第2の送り溝部32Rの位置近傍で被押圧部350bを押圧する。

ここで、第1の変位部材350は、軸350aを支点とした回転動作で変位し、第2の変位部材360は、軸360aを支点とした回転動作で変位するが、互いの軸は平行ではない。そこで、押圧部360bは、軸300Rを支点とした回転方向に沿った凸状の円弧で構成される。また、被押圧部350bは、軸360aを支点とした回転方向に沿った凹状の円弧で構成される。これにより、第1の変位部材350と第2の変位部材360の回転動作で、押圧部360bと被押圧部350bとの接触箇所が大きくずれることが抑制される。

更に、第1の変位部材350は、少なくとも被押圧部350b、あるいは全体が鉄で構成され、第2の変位部材360は、少なくとも押圧部360b、あるいは全体が鉄で構成される。これにより、押圧部360bと被押圧部350bとの接触箇所の摩耗が抑制される。

第2の変位部材360は、軸360aを挟んだ他端側に例えば圧縮コイルバネで構成されるバネ370が当接されるバネ当接部370aを備える。バネ370は、バネ当接部370aを押す方向に付勢する。このため、第2の変位部材360の一端側、すなわち、押圧部360bは、バネ370の付勢力によって被押圧部350bを押圧した状態となる。

第2の送りギア30Rは、バネ370が第2の変位部材360を押圧し、第2の変位部材360の押圧部360bが第1の変位部材350の被押圧部350bを押圧することで、第1の送りギア30L方向に押圧される。

これにより、2本のワイヤWが、第1の送りギア30Lの第1の送り溝部32Lと第2の送りギア30Rの第2の送り溝部32Rで挟持される。また、第1の送りギア30Lの歯部31Lと第2の送りギア30Rの歯部31Rがかみ合う。

変位部340は、バネ370の付勢力に抗して第2の変位部材360を押圧する操作ボタン380を備える。また、変位部340は、操作ボタン380を所定の状態、すなわち、操作ボタン380が第2の変位部材360を押圧した状態に固定し、及び当該固定を解除する解除レバー390を備える。

操作ボタン380は操作部材の一例で、第2の変位部材360を介してバネ370に対向する位置に設けられる。操作ボタン380は、操作部380bが本体部10Aの一方の側面から外側に突出し、矢印T1で示す本体部10Aに対して押す方向、矢印T2で示す本体部10Aから突出する方向に移動可能に本体部10Aに支持される。操作ボタン380の操作部380bを本体部10Aに対して押す矢印T1方向に押圧することにより、バネ370は収縮し、操作ボタン380とバネ370の挟まれた第2の変位部材360は矢印W1方向に回転する。

操作ボタン380は、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rとを離間させてワイヤWを装填可能な位置であるワイヤ装填位置で解除レバー390が係止される係止凹部380aを備える。係止凹部380aは、解除レバー390と対向して、操作ボタン380の本例では前側に凹部を設けて構成される。

解除レバー390は解除部材の一例で、軸390cを支点とした回転動作により、操作ボタン380の移動方向に交する矢印U1、U2で示す方向に移動可能に支持される。

解除レバー390は、操作ボタン380が所定の状態まで押圧されるとき、操作ボタン380に形成された係止凹部380aに係合する係止凸部390aを備える。従って、操作ボタン380は、所定の状態まで押圧されると解除レバー390によってその位置で固定される。解除レバー390は、固定を解除するための操作部390dを備える。操作部390dは、本体部10Aの一方の側面から外側に突出する。解除レバー390は、操作部390dを操作することによって、操作ボタン380から離間する方向に移動し、係止凸部390aが係止凹部380bから外れる。

解除レバー390は、例えば、ねじりコイルバネで構成されるバネ390bで、操作ボタン380へ近づく矢印U1方向に付勢され、係止凸部390aが操作ボタン380に突き当てられる。

図69〜図71は、他の実施の形態の変位部の動作の一例を示す説明図で、第2の送りギア30Rの押圧を解除する動作を示す。操作ボタン380が矢印T1方向に押されると、バネ370を圧縮しながら、第2の変位部材360が軸360aを支点に矢印W1方向に回転する。これにより、第2の変位部材360の押圧部360bが、第1の変位部材350の被押圧部350bから離れる。

また、解除レバー390の係止凸部390aに係止凹部380aが対向する位置まで操作ボタン380が矢印T1方向に押されると、バネ390bが復元する力で、解除レバー390がバネ390bにより軸390cを支点に矢印U1方向に回転する。これにより、操作ボタン380の係止凹部380aに解除レバー390の係止凸部390aが入り、第2の変位部材360を押圧した状態で操作ボタン380が保持される。よって、ワイヤWの装填時に、操作ボタン380を押し続ける必要はない。

図72〜図74は、他の実施の形態の変位部の動作の一例を示す説明図で、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rの間にワイヤWを装填する動作を示す。第2の変位部材360の押圧部360bが、第1の変位部材350の被押圧部350bから離れた状態では、第2の送りギア30Rを支持する第1の変位部材350は、軸350aを支点に自由に回転可能である。

これにより、2本のワイヤWを並列させた形態として、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rとの間に挿入すると、軸350aを支点に第1の変位部材350が矢印V1方向に回転し、第2の送りギア30Rが第1の送りギア30Lから離れる。よって、第1の送りギア30Lの第1の送り溝部32Lと第2の送りギア30Rの第2の送り溝部32Rとの間に、2本のワイヤWが並列した形態で挿入される。

図75〜図77は、他の実施の形態の変位部の動作の一例を示す説明図で、操作ボタン380の保持を解除する動作を示す。ワイヤWを第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rとの間に挿入した後、軸390aを支点に解除レバー390を矢印U2方向に回転させる。これにより、解除レバー390の係止凸部390aが操作ボタン380の係止凹部380aから抜ける。

図78〜図80は、他の実施の形態の変位部の動作の一例を示す説明図で、第2の送りギア30Rを第1の送りギア30Lに押圧する動作を示す。解除レバー390の操作で、解除レバー390の係止凸部390aが操作ボタン380の係止凹部380aから抜けると、バネ370が復元する力で、第2の変位部材360が軸360aを支点に矢印W2方向に回転する。

第2の変位部材360が矢印W2方向に回転すると、第2の変位部材360の押圧部360bが、第1の変位部材350の被押圧部350bを押圧することで、軸350aを支点に第1の変位部材350が矢印V1方向に回転し、バネ370の力で第2の送りギア30Rが第1の送りギア30L方向に押圧される。

これにより、2本のワイヤWが並列された形態で、第1の送りギア30Lの第1の送り溝部32Lと第2の送りギア30Rの第2の送り溝部32Rで挟持される。また、第1の送りギア30Lの歯部31Lと第2の送りギア30Rの歯部31Rがかみ合う。

更に、第2の変位部材360が矢印W2方向に回転することで、操作ボタン380が矢印T2方向に移動する。

第2の送りギア30Rは、第1の変位部材350の被押圧部350bが第2の変位部材360の押圧部360bで押圧されることで、第2の送り溝部32Rの位置近傍が押圧される力が軸300Rを介して伝達されて、第1の送りギア30L方向に押圧される。

これにより、第2の送りギア30Rが第1の送りギア30Lに対して傾斜することが抑制され、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rに偏荷重が掛かることが抑制される。

よって、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rの偏摩耗が抑制される。また、第1の送りギア30Lの第1の送り溝部32Lと第2の送りギア30Rの第2の送り溝部32RからワイヤWが外れることが抑制される。

図81は、他の実施の形態の鉄筋結束機の一例を示す外観図である。操作ボタン380の操作部380bと及び解除レバー390の操作部390dは、本体部10Aの一方の側面であって、トリガ12Aの前方でマガジン2Aの上方に設けられる。本体部10Aの他方の側面であって、トリガ12Aの前方でマガジン2Aの上方には、手の指が当たる指当て部16を備える。

これにより、ハンドル部11Aを片手で持つと、操作ボタン380の操作部380bと指当て部16を挟む形態として、片手で操作ボタン380の操作部380bを操作することができる。また、解除レバー390の操作部390dと指当て部16を挟む形態として、片手で解除レバー390の操作部390dを操作することができる。よって、鉄筋結束機1Aを作業場所等に置かずに、操作ボタン380及び解除レバー390の操作が可能となる。

なお、操作ボタン380と解除レバー390との間で固定保持と解除ができる機構であればよいので、操作ボタン380側に係止凸部形状、解除レバー390側に係止凹部形状を備えた係止部材の機構にしてもよい。

本実施の形態の他の変形例としては、複数本のワイヤWを同時に送る構成に代えて、1本ずつワイヤWを送って鉄筋Sに巻き回し、複数のワイヤを巻き回した後、複数のワイヤを逆方向に送って鉄筋Sに巻き付ける構成としても良い。

なお、本発明は、結束物として配管等をワイヤで結束する結束機に適用することも可能である。

以下、結束機の他の実施の形態を説明する。図82〜図103は、この他の実施の形態を説明するためのものである。

<構成>以下、構成について説明する。

例えば、図82の側面図、図83の正面図に示すように、建築現場で鉄筋や電線等の(結束)対象物(以下鉄筋S)を結束するのに、鉄筋結束機(結束機)1Bが用いられている。この鉄筋結束機1Bは、ワイヤWをカールさせながら(または、円弧状の曲げ癖をつけながら)送り出して鉄筋Sの周囲を取り囲むループ(輪)Ruを作り、このループRuを捩り絞ることによって鉄筋Sの結束を行い得るようにしたものである。

以下、鉄筋結束機1Bについて説明する。

上記した鉄筋結束機1Bは、本体部(結束機本体)10Bと、ハンドル部11Bとを有している。

なお、以下の説明では、方向については、図82の状態(鉄筋結束機1Bを立てた状態)を基準としている。そして、本体部10Bの長手方向(図82の左右方向に相当する方向)を前後方向とし、本体部10Bの長手方向と直交する方向のうちの所定の一方向(図82の上下方向に相当する方向)を上下方向(または高さ方向)とし、前後方向および上下方向と直交する方向を左右方向(または幅方向)とする。また、本体部10Bの長手方向の一端側(鉄筋Sへ向ける側、図82の左側)を前側または先端側、本体部10Bの長手方向の他端側(鉄筋Sとは反対の側、図82の右側)を後側または後端側とする。更に、本体部10Bを基準として図82の上側を上、本体部10Bを基準として図82の下側(ハンドル部11Bが延びる方向)を下とする。そして、図82の紙面奥側(図83の左側)を本体部10Bの右、図82の紙面手前側(図83の右側)を本体部10Bの左とする。

ハンドル部11Bは、本体部10Bの長手方向のほぼ中間部からほぼ下方へ向けて延びるように設けられている。このハンドル部11Bには、トリガ12Bとロックスイッチ800とが設けられると共に、下部に電池パック15Bが着脱できるようになっている。そして、電源スイッチが入った状態でロックスイッチ800を解除してトリガ12Bを引くことにより、鉄筋結束機1Bが作動されて、結束動作がなされる。

そして、ハンドル部11Bの前側には、鉄筋Sの結束に使われる(結束)ワイヤWが巻き付けられたリール120をセットするための収容部(マガジン)110が設けられている。この場合、ワイヤWは、リール120に対してコイル状に巻き取ったものを使用するようになっている。リール120は、ワイヤWを同時に1本または複数本引き出せるようになっている。ワイヤWを巻き付けたリール120は、収容部110に対して着脱可能にセットされる。収容部110は、リール120を収容できればどのようなものであっても良い。この場合、収容部110に対するリール120の着脱方向は、リール120の軸線方向とされている。

また、図84の内部構成図に示すように、本体部10Bには、リール120に巻き付けられたワイヤWを本体部10Bの先端側に設けられた結束部150へ向けて送るためのワイヤ送り部160が設けられている。この場合、ワイヤ送り部160は、本体部10Bの先端側下部に設けられる。また、収容部110は、ワイヤ送り部160の下部に設けられている。ワイヤ送り部160は、送り手段を構成する。収容部110は、本体部10Bの先端と、ハンドル部11Bの下端との間に架設状態で取付けられている。

なお、収容部110は必ずしも本体部10Bに架設状態で取付けられていなくても良く、例えば、収容部110からワイヤWを本体部10Bに搬送できれば、収容部110は本体部10Bと別体構成にしても良い。

このように、ワイヤ送り部160と収容部110とを本体部10Bの前側下部の位置に設けることにより、(例えば、収容部110を本体部10Bの後端側に設けた場合と比べて、)鉄筋結束機1Bの重量バランスを良くして鉄筋結束機1Bを取り扱い易いものにすると共に、ワイヤWの経路がより曲線的なものとなるので、ワイヤWのループRuを作り易くすることができる。

ワイヤ送り部160は、図85、図86の機構図に示すように、少なくとも、ワイヤWを送るための一対の送りギア(送り部材)170と、一対の送りギア170のうちの一方を回転駆動するための送りモータ180とを備えている。送りギア170は、例えば、ワイヤWを左右から挟むように一対設けられる。左右一対の送りギア170は、一方が駆動輪とされ、他方が従動輪とされる。従動輪とされた送りギア170は、駆動輪とされた送りギア170に対し所要の押圧力を有して近接離反動可能なテンションローラ等としても良い。

送りギア170の外周の厚み方向中央部には、ワイヤWを受けて摩擦駆動するためのV溝状の送り溝部(切込部)190が設けられており、周方向へ延びる噛み込み用溝部を形成している。なお、送りギア170と送りモータ180の出力軸に取付けられた出力ギアとの間には、適宜、中間ギア210等を設けることができる。

そして、送りモータ180によって送りギア170を正転させることで、ワイヤWをほぼ上側へ移動させて結束部150へ送ることができるようになっている。また、送りモータ180によって送りギア170を逆転させることで、ワイヤWをほぼ下側へ移動させて結束部150から収容部110へ引き戻すことができるようになっている。この場合、送りギア170の回転軸220は、図84に示すように、平方向に対し前傾状態に傾斜配置されており、ワイヤWをほぼ前斜め上方へ向けて送るようになっている。

また、結束部150には、鉄筋Sに対して当接可能な当接部250が設けられている。また、結束部150には、ワイヤ送り部160によって送られてきたワイヤWをループRuにするためのカールガイド部(湾曲形成部)5Aが設けられている。カールガイド部5Aは送り手段を構成し、当接部250を挟んで(上下に)一対設けられた第1のガイド部50と第2のガイド部51とを有している。

第1のガイド部50は、その内周側にワイヤWをカールさせる(または、ワイヤWに円弧状の曲げ癖を与える)ためのカール用溝部(ガイド溝)を有している。第2のガイド部51は、その内周側に第1のガイド部50でカールされたワイヤWを受けるための受溝を有している。そして、ワイヤWは、第1のガイド部50と第2のガイド部51との間を、図中反時計回りに通されることでループRuを作るようになっている。そして、第1のガイド部50と第2のガイド部51との間(間隙)は、当接部250へ向けて鉄筋Sを通すための通過部となっている。

更に、図85に示すように、本体部10Bには、少なくとも、ワイヤ送り部160の入側および出側、ならびに、第1のガイド部50の少なくとも基部の位置に、ワイヤWを案内したり位置規制したりするための並列ガイド(ワイヤガイド)310、320、330がそれぞれ設けられている。並列ガイド310、320、330は、送り手段を構成する。このうち、ワイヤ送り部160の入側に配置された並列ガイド310は、リール120からのワイヤWをワイヤ送り部160へ案内するためのものであり、ワイヤ送り部160の出側に配置された並列ガイド320は、ワイヤ送り部160からのワイヤWを切断部340Zへ案内するためのものである。切断部340Zは、ワイヤWのループRuになった部分をその他の部分から切り離すために設けられており、固定刃と可動刃とを有している。また、少なくとも、第1のガイド部50の基部の位置に配置された並列ガイド330は、ワイヤWをループ状にカールさせるような癖付けが可能となっている。

加えて、本体部10Bの先端側の当接部250(図82参照)は、ワイヤWのループRuの軸方向両側に位置し、所要の間隔を有して左右一対設けられている。本体部10Bの内部における、左右の当接部250間の位置には、図87の側面図や、図88の平面図、図89の平断面図に示すような、ループRuにしたワイヤWを捩り絞ることで、鉄筋Sに対してワイヤWを締め込むようにする捩り部350が設けられている。捩り部350は、ワイヤWを挟んだり離したり引っ掛けたりできるようにした把持部70と、把持部70を所要数だけ回転させて保持したワイヤを捩る(捩転)ための捩転用モータ370Zと、把持部70をワイヤWに対して開閉動させたり捩転させたり進退動させたりするための作動機構380Zとを備えている。

図89に示すように、把持部70は、固定把持部材(センターフック)70Cと左右一対の第1の可動把持部材(フック)70L及び第2の可動把持部材(フック)70Rとを備えており、ループRuにしたワイヤWの重なり部分をそれぞれ別個に通すための左右のワイヤ通し部を構成し得るようになっている。また、把持部70を開閉操作するための作動機構380Zは、主に、ネジ軸(回転軸)380aと、このネジ軸380aの外周側に螺着されたスリーブ(可動部材)380bと、スリーブ380bに回転規制を掛けたり、回転規制を解除したりするための回転規制部380cとを有するネジ機構等から成っている。

作動機構380Zは、把持部70と捩転用モータ(モータ)370との間の位置に介在されている。作動機構380Zは、ネジ軸380aの回転によるスリーブ380bのネジ軸380aに対する長手方向への相対変位を利用して、把持部70の開閉動作や捩転等を行わせるようになっている。また、作動機構380Zは、切断部340Zや第1のガイド部50の基部の並列ガイド330等を、連動機構340a,330a(図87参照)を用いて連動して作動させ得るようになっている。

そして、作動機構380Zは、ワイヤWを捩るときには、把持部70(の第1の可動把持部材70Lと第2の可動把持部材70R)を閉じてループRuとなったワイヤWの重なり部分を保持できるようにし、ワイヤWのループRuを捩り終わった後には、把持部70(の左右の第1の可動把持部材70Lと第2の可動把持部材70R)を開いた状態で待機させるようになっている。なお、把持部70の構成は、上述した図10、図11、図12、図13A、図13B等に示す通りである。また、把持部70の動作は、上述した図29A、図29B、図29C、図30A、図30B、図30C等に示す通りである。

ワイヤ送り部160や、捩り部350等は、本体部10Bの内部に設けられた制御装置390Z(図84参照)によって制御される。

そして、図90に示すように、リール120は、ワイヤWの巻芯となる筒状のハブ部410と、このハブ部410の軸方向両端側(またはその周辺)に一体に設けられた一対のフランジ部420、430とを有している。フランジ部420、430は、ハブ部410よりも径の大きいほぼ円板状のもの等とされており、ハブ部410と同心に設けられている。一対のフランジ部420、430は、同径にしても良いし、収容部110に対するリール120の着脱方向を基準として収容部110の奥側(後述する開口部570やカバー580とは反対の側、図の左側)に位置されるフランジ部420を手前側(開口部570やカバー580の側、図の右側)に位置されるフランジ部430よりも小径となるようにしても良い。フランジ部420、430には、補強リブや肉抜き部等を適宜形成することができる(図87等参照)。なお、リール120は、ABS樹脂や、ポリエチレンや、ポリプロピレン等のような、摩耗や曲げに対して優れた耐性を有する樹脂によって形成するのが好ましい。

更に、リール120は、収容部110の内部で特に回転駆動されることなく、ワイヤWの引き出し等に伴って(従動)回転されるようになっている。そのために、リール120と収容部110との間には、リール120の回転を支承するための回転軸部(または回転ガイド部)等が設けられる。

この場合、ワイヤWは、リール120から、リール120の時計回りの回転(図82参照)によってほぼ上方へ引き出されるようになっている。また、リール120は、本体部10Bやワイヤ送り部160の幅中心位置に対して、左右方向の一方(例えば、右利きの人が扱い易いように装置左側(図90の右側)等)にオフセットした状態で配置されている(図83、図85参照)。特に、リール120は、第1のガイド部50に対して横方向に完全にオフセットされるようにしている。但し、リール120は、本体部10Bやワイヤ送り部160に対して、上記とは反対の側にオフセット配置しても良い。

そして、以上のような基本的または全体的な構成に対し、この実施例は、以下のような構成を備えている。

(1)本体部10Bは、ワイヤWが巻き付けられたリール120を収容設置可能な収容部110を備えている。鉄筋結束機1Bは、収容部110に収容されたリール120からワイヤWを送り出すワイヤ送り部160を備えている。そして、図91に示すように、収容部110内で弛んだワイヤWが収容部110の内壁部510に接触して(矢印a参照)、内壁部510に沿いリール120の軸線方向へ横移動する(矢印b参照)のを(予め決めた位置等で)規制するワイヤ移動規制部101が内壁部510に設けられる。

ここで、収容部110の内壁部510は、収容部110を構成する壁の内面全体を指している。このうち、ワイヤ移動規制部101は、特に、収容部110の内部においてワイヤWの弛みに影響を受ける部分に対して設けられる。より具体的には、収容部110(のリール収容部110a)にリール120を収容した際に、リール120の外周側に位置するリール収容部110aの周壁部520、特に、周壁部520の幅方向の端部における、フランジ部420、430の周縁部と対向する円形または円弧状の部分およびその周辺部分が主なものとなる。リール収容部110aの周壁部520は、一対のフランジ部420、430の径よりも若干径の大きい(部分)円筒面等とされる。

ワイヤWの横移動は、リール120を、本体部10Bやワイヤ送り部160に対して、左右方向の一方にオフセットさせたことに伴い表面化したもので、主に、オフセット方向(例えば、図91の右側)へ向うものとなる。そして、ワイヤ移動規制部101については、どのようなものであっても良いが、好ましくは、以下のようなものとする。

(2)ワイヤ移動規制部101は、内壁部510から収容部110の内方へ向けて突設された突部105とすることができる。

ここで、ワイヤ移動規制部101は、収容部110の内壁部510のうちの少なくとも周壁部520の位置に設けられる。ワイヤ移動規制部101としての突部105は、周壁部520の壁面から収容部110の内方へ向けて突出され、ワイヤWの横移動を規制できるのであればどのようなものであっても良い。そして、突部105は、周壁部520に沿って横移動してきたワイヤWが当接する(引っ掛る)位置に設けられると共に、当該ワイヤWが確実に引っ掛かるような形状や高低差を有するものとされる。このため、横移動してきたワイヤWは、突部105によって、更なる横移動が確実に阻止される。突部105は、例えば、突条や、単数または複数個の棒状の突起や、突壁等とすることができる。

突部105は、収容部110内で弛んだワイヤWが収容部110の内壁部510に対して最も強く接触する部位131(図82、図93A参照)等)における、リール120のオフセット方向に片寄った位置に設けるようにしている。

(3)ワイヤ移動規制部101は、リール120を介してワイヤ送り部160とは反対側に位置する内壁部510に設けられる。

ここで、リール120を介してワイヤ送り部160とは反対側に位置するとは、内壁部510における、ハブ部410よりもワイヤ送り部160から遠くにある位置のことである。具体的には、内壁部510の底部周辺の位置(図91の下側の位置)等である。このように、ワイヤ移動規制部101をワイヤ送り部160から遠い位置としたのは、収容部110内で弛んだワイヤWが内壁部510に対して最も早く接触する部位、または、最も強く接触する部位131になり易い部分だからである。

(4)収容部110は、ワイヤWの巻芯となるハブ部410と、ハブ部410の両端側に設けられた一対のフランジ部420、430とを有するリール120を収容可能とされる。内壁部510は、リール120が収容されたときにハブ部410と対向する周壁部520を有する。ワイヤ移動規制部101は、周壁部520の端部またはその近傍における壁面からリール120に向けて突設される。

ここで、ワイヤ移動規制部101は、周壁部520の端部またはその近傍の任意の位置から設けることができるが、好ましくは、以下のようにする。

(5)ワイヤ移動規制部101は、周壁部520の端部またはその近傍における壁面からフランジ部420、430に向けて突設されるようにする。

ここで、ワイヤ移動規制部101は、フランジ部420、430の一方または両方に対して設けることができる。この場合には、ワイヤ移動規制部101は、フランジ部430の側に設けるようにしている。

(6)ワイヤ移動規制部101は、周壁部520の壁面から延びる、フランジ部420、430に達しない長さの立壁とすることができる。

ここで、ワイヤ移動規制部101は、フランジ部420、430に達しない範囲でどのような長さとしても良いが、フランジ部420、430の周縁部と干渉が生じない程度の僅かな隙間を有して対向配置するのが好ましい。なお、隙間は、ワイヤWの径よりも小さいものとするのが更に好ましい。ワイヤ移動規制部101としての立壁は、周壁部520に設けられて、収容部110の内方へ向かって延びる壁部であり、内壁部510の周壁部520に対して段部を構成するものとなっている。立壁は、リール120の周方向へ延びるものとするのが好ましい。立壁の先端部は、フランジ部420、430よりも僅かに径が大きく、また、ケース560の内壁部510を構成する周壁部520よりも僅かに径が小さい円弧状とされる。

(7)以下、収容部110の具体的な構成について説明する。収容部110は、リール120を収容可能なケース560と、ケース560に設けられたリール120を装着するための開口部570を開閉可能なカバー580等の部材によって構成されている。

ここで、ケース560は、マガジン等と呼ばれているものであり、リール120やリール120から引き出されたワイヤWを保護するための保護部材等とされる。ケース560は、その内部に、少なくとも、リール120を収容可能なほぼ円筒状の凹部(リール収容部110a)を有するものとされる。

ケース560内における円筒状のリール収容部110aの上側には、リール120から引き出されたワイヤWをワイヤ送り部160(の入側の並列ガイド310)まで導くための部分(ワイヤ通路110b)が設けられる(図82参照)。ワイヤ通路110bは、リール収容部110aと一体に連なって、内部をワイヤWが自由に通れる空間(自由空間)を構成している。この場合には、ワイヤ通路110bは、リール収容部110aからワイヤ送り部160へ向かって漸縮する上狭まり(または下広がり)の側面形状等とされている。なお、ケース560は、本体部10Bと一体の樹脂製のケースとされる。ケース560は、リール120と同様に、ABS樹脂や、ポリエチレンや、ポリプロピレン等のような、摩耗や曲げに対して優れた耐性を有する樹脂によって形成するのが好ましい。

開口部570は、ケース560に対し、左右のどちら側の面に設けても良い。この場合には、オフセット側(装置左側)の面に設けられている。

一方、カバー580は、マガジンカバー等と呼ばれているものであり、ケース560の開口部570とほぼ同じ形状(すなわち、下側が円形で、上側が上狭まりの形状)の縁部を有する樹脂製のものとされる。カバー580は、ケース560に対しヒンジ部610(図82参照)を中心として開閉するように取付けられている。ヒンジ部610は、収容部110の後方側の位置に設けられている。ヒンジ部610には、ケース560に対してカバー580を常時開方向へ付勢する付勢バネが介装されている。なお、カバー580は、ケース560やリール120と同様に、ABS樹脂や、ポリエチレンや、ポリプロピレン等のような、摩耗や曲げに対して優れた耐性を有する樹脂によって形成するのが好ましい。

ケース560とカバー580との間には、カバー580を閉止状態に保持させるためのロック装置620(図82、図93B参照)が設けられる。この場合、ロック装置620は、どの位置に設けても良いが、好ましくは、後述のようにする。

そして、収容部110がケース560とカバー580とを有するものの場合、周壁部520は、ケース560とカバー580とに跨って設けることができ、ワイヤ移動規制部101(突部105)は、周壁部520における、ケース560とカバー580との合わせ部(ケース560の開口部570の縁部の位置)を避けた位置に対して設定する。図91では、ワイヤ移動規制部101(突部105)は、カバー580とケース560との合わせ部よりも、収容部110の手前側(図中右側)の位置、すなわち、カバー580側に形成されている。

なお、図90に示すように、収容部110の奥側に位置するリール120のフランジ部420の外面とケース560のリール収容部110aの側面との間には、大小の同心円状をしたガイドリブ650,660等が突設されている。同様に、収容部110の手前側に位置するリール120のフランジ部430の外面とカバー580の内面との間には、それぞれ互いに回動自在に嵌合可能な円形状のガイド凹部670やガイド凸部680等が形成されている。

あるいは、他の実施例として、図92に示すように、ワイヤ移動規制部101は、ケース560の側の内壁部510(特に、周壁部520)に設けられても良い。

ここで、ケース560のワイヤ移動規制部101は、上記と同様の突部105aとされている。ケース560のワイヤ移動規制部101は、図91のカバー580に設けられたワイヤ移動規制部101(突部105)と同様に、収容部110内で弛んだワイヤWが横方向に確実に引っ掛かるような形状や高低差を有するものとされる。突部105aは、収容部110に対して手前側に位置されるフランジ部430の外周側の位置か、または、それよりも僅かに収容部110の奥側の位置等に対して設けられる。なお、ワイヤWの横移動方向が反対となる場合には、収容部110に対して奥側に位置されるフランジ部420の外周側の位置か、または、それよりも僅かに収容部110の手前側の位置等に対して設けることもできる。

図92では、ワイヤ移動規制部101(突部105a)は、収容部110の内壁部510を構成しているカバー580とケース560との合わせ部よりも、収容部110の奥側(図中左側)となる位置に形成するようにしている。そして、ワイヤ移動規制部101(突部105a)の外側面(図中右側の側面)に対してカバー580の縁部を当接させるようにしている。

更に、各ワイヤ移動規制部101(突部105,105a)と同様の構成は、ケース560とカバー580との合わせ部の他にも、ケース560とリール120との間や、カバー580とリール120との間等に対しても、ワイヤWの入り込みで不具合が生じないように適宜設けるようにしても良い。

(8)ワイヤ移動規制部101は、リール120が収容されたときにケース560の側またはカバー580の側の内壁部510から一対のフランジ部420、430のうちの開口部570に近い側のフランジ部430に向けて突設された立壁で形成されるようにしても良い。

(9)そして、図93A(図93B、図93Cも併せて参照)に示すように、ケース560とカバー580との合わせ部の一部に、収容部110内で弛んだワイヤWと交差する方向へ延びる斜行部111、112を設けるようにしても良い。なお、図93B、図93Cでは、ケース560側の斜行部111、112に(a)を付し(すなわち、111(a)、112(a)とし)、カバー580側の斜行部111、112に(b)を付す(すなわち、111(b)、112(b)とする)ことで、識別できるようにしている。

ここで、ケース560とカバー580との合わせ部は、ケース560の開口部570(の縁部)の位置となる。この場合、開口部570(合わせ部)は、基本的に、収容部110に対して手前側に位置するリール120のフランジ部430またはその周辺の位置に設定されている。

そして、斜行部111、112のうちの少なくとも1つ(この場合には斜行部111)は、ケース560とカバー580との間へのワイヤWの入り込みや、ケース560とカバー580との間から外部へのワイヤWの飛び出しを防止するための手段(入り込み防止手段または飛び出し防止手段)として機能するものとされる。

斜行部111、112は、リール120の周方向および軸線方向に対して傾斜したものとされる。なお、斜行部111,112(特に、斜行部111)は、ケース560の厚み方向に対しては特に傾斜されておらず、また、ケース560の肉厚を変更するようにもなっていない。斜行部111、112の傾斜角度は、リール120の軸線方向に対してほぼ30°〜60°程度、好ましくは45°等とされる。

(10)この際、斜行部111,112の少なくとも一方は、収容部110内で弛んだワイヤWが収容部110の内壁部に接触する部位131またはその近傍に対して設けられた、ワイヤ送り部160から離れるに従い収容部110の奥側へ向かう傾斜を有するものとするのが好ましい。

この場合、図93Aの下側に位置された斜行部111が、ケース560の奥側(開口部570とは反対の側)へ向かって下がり勾配に傾斜したものとされている。これにより、少なくとも斜行部111よりも下側では、ケース560とカバー580との合わせ部が、収容部110の手前側に位置するリール120のフランジ部430の内面の位置、および、ワイヤ移動規制部101の位置よりも、収容部110の奥側へ部分的に変位される。そして、下側の斜行部111が、収容部110内で弛んだワイヤWが収容部110の内壁部510に対して最も強く接触する部位131(図82参照)またはその近傍に対して設けたものとされている。具体的には、下側の斜行部111は、図93Bに示すように、ケース560の下側で且つ後側における、ヒンジ部610とロック装置620との間の位置に設けられている。

なお、斜行部111は、ワイヤ移動規制部101(突部105、105a)と組み合わせて設けることができる。また、斜行部112は、ケース560とカバー580との合わせ部の形状を調整するために適宜設けられている。

(11)または、図93A(図90も併せて参照)に示すように、ケース560は、カバー580をケース560へ向けて弾性的に押圧保持させる押圧機構121を有しても良い。

ここで、押圧機構121は、ケース560とカバー580との間へのワイヤWの入り込みや、ケース560とカバー580との間から外部へのワイヤWの飛び出しを防止するための手段(入り込み防止手段または飛び出し防止手段)として機能するものである。押圧機構121は、ヒンジ部610等に設けても良いが、この場合には、ロック装置620に対して一体に設けるようにしている。

ロック装置620は、図90に示すように、カバー580を外側から押えるロックレバー122と、ロックレバー122の端部にピン123等で取付けられた回転軸124と、回転軸124をリール120の軸線方向へ移動可能で且つ回動可能に収容保持する軸孔125とを備えている。そして、ロック装置620に押圧機構121を組み込む場合には、更に、ロックレバー122をカバー580へ向けて付勢する付勢手段126を備えるようにする。

ロックレバー122は、カバー580の面に沿って延びるものとされる。カバー580には、ロックレバー122によって押さえ付けられる押さえ部580b(図94B参照)が設けられる。回転軸124および軸孔125は、リール120の軸線方向へ延びるものとされる。軸孔125は、ケース560の周縁部に設けられた段付き孔とされ、カバー580の側が回転軸124とほぼ同径の小径部とされ、カバー580とは反対の側が回転軸124よりも大径の大径部とされる。そして、軸孔125へ挿通された回転軸124の、カバー580側へ突出した端部に対してロックレバー122が、回転軸124を中心に回動可能に取付けられる。

付勢手段126は、回転軸124と軸孔125の大径部との間に挿入されたコイルバネとされる。コイルバネは、軸孔125の小径部と大径部との間の段差部、または、段差部に形成されたリブ127と、回転軸124の(ロックレバー122とは反対側の)端部に形成されたフランジ128との間に圧縮状態で介装される(圧縮バネ)。

なお、押圧機構121は、斜行部111やワイヤ移動規制部101(突部105,105a)と適宜組み合わせて設けることができる。

(12)押圧機構121は、カバー580における、収容部110内で弛んだワイヤWが接触する内壁部510に相当する部位131またはその近傍を押圧保持するものとされる。

ここで、弛んだワイヤWが収容部110の内壁部510に対して(最も強く)接触する部位131は、収容部110の下側に位置するリール収容部110aの周辺部分となる。リール収容部110aは、鉄筋結束機1Bの下側に位置しているため、弛んだワイヤWが自重によって向かい易く、また、ワイヤ送り部160によって引き戻されたワイヤWが向かう方向にも位置している。よって、弛んだワイヤWが収容部110の内壁部510に対して(最も強く)接触する部位131は、リール収容部110aにおける周壁部520、特に、周壁部520の底部周辺(下半部よりも下側の部分)等とするのが好ましい。この場合には、押圧機構121は、カバー580の最下部またはその周辺の位置を押圧保持し得るようにしている。

(13)そして、図94B〜図94E(主に図94E参照)に示すように、ロックレバー122がロック位置と解除位置の中間位置で止まらないようにするための停止位置規制部として停止防止部141、142を設けるようにする。

ここで、ケース560とロックレバー122の基部との間には、ロックレバー122の回動を案内する案内面143、144がそれぞれ設けられている。案内面143,144には、ロック位置と解除位置との境界となる位置に、相互に乗り越えるようにした山状の凸部145,146が設けられている。山状の凸部145,146は、ロック位置と解除位置とを明確に区切ると共に、ロックレバー122がロック位置と解除位置との間で不用意に変位しないようにするためのものである。案内面143,144と、凸部145,146とで、ロックレバー122の案内部を構成している。そして、凸部145,146の頂部に対し、停止防止部141,142として不安定形状部147を設けるようにする。

ここで、案内面143、144は、ロックレバー122の回転軸124と垂直な面を有する平坦な円形状またはリング状をしたものとされる。山状の凸部145、146は、案内面143、144に対して、周方向に所要の間隔を有して単数または複数設けられる。この場合には、周方向に4箇所設けられている。

そして、凸部145、146の頂部(停止防止部141、142)は、図94Fに示すように、案内面143、144と並行な平坦部とすることもできるが、平坦部は安定形状をしているため、凸部145、146の頂部を長い平坦部にすると、凸部145、146の頂部の位置でロックレバー122が安定して止まってしまうおそれがある。このように、凸部145,146の頂部の位置でロックレバー122が止まると、ロックレバー122がケース560から浮いてしまうので、ケース560に対してカバー580が僅かに開いて隙間ができ、隙間からワイヤWがハミ出してしまうおそれがある。

そこで、凸部145,146の頂部に、停止防止部141,142として不安定形状部147を設けるようにしている。不安定形状部147は、例えば、凸部145,146の頂部をアール形状部としたり、凸部145,146の頂部を尖った先端部にしたり、凸部145,146の頂部を短い平坦部としたり、凸部145,146の頂部を(山状の凸部145,146よりは傾斜の緩い)傾斜部としたりすること等によって設けることができる。

また、凸部145,146の頂部の不安定形状部147に替えて、または、不安定形状部147に加えて、ロックレバー122の先端部とカバー580の押さえ部580bとの間に、ロックレバー122がロック位置と解除位置の中間位置で止まるのを防止可能な別の停止防止部を設けることも可能である。ロックレバー122の先端部とカバー580の押さえ部580bとの間の別の停止防止部は、例えば、先の尖った山部等とすることができる。

<作用>以下、この実施例の作用について説明する。

図82、図84に示すように、鉄筋結束機1Bは、ワイヤWが巻き付けられたリール120を収容部110に装着し、リール120の下側前部の位置からリール120を時計回りに回転させるようにワイヤWを上へ引き出してワイヤ送り部160やカールガイド部5Aの第1のガイド部50等へ通すことで使用可能な状態となる。

収容部110へリール120を装着するには、先ず、ロック装置620を解除してケース560に対してカバー580を開き、ケース560の内部にリール120を装着すると共に、リール120の装着後にケース560に対しカバー580を閉じてロック装置620でカバー580をロックする。これにより、ワイヤWが巻き付けけられたリール120や、リール120から引き出されたワイヤWが、ケース560に対して収容され保護される。

そして、本体部10Bの電源スイッチを入れ、ロックスイッチ800を解除して、本体部10Bの先端(の結束部150)の当接部250に鉄筋Sを当接させ、トリガ12Bを引くことによって鉄筋結束機1Bが作動されて、鉄筋Sの結束が行われる。

この際、トリガ12Bを引くと、先ず、図95に示すように、ワイヤ送り部160の送りギア170によってワイヤWが上方の第1のガイド部50へ向けて規定量送られ、第1のガイド部50(のカール用溝部)によってワイヤWが前側で且つ下方へ向くようカールされる。カールされたワイヤWの先端は反時計回りに回って第2のガイド部51へ飛び込み、第2のガイド部51で案内されて捩り部350の把持部70内を通過し、鉄筋Sの周囲を取り囲むループRuとなって第1のガイド部50の基部に突き当たる(ワイヤ送り工程)。

次に、捩り部350が作動して、連動機構330a(図87参照)等を介して第1のガイド部50の基部の並列ガイド330がループRuになったワイヤWの先端を位置規制すると共に、把持部70でワイヤWの先端部分を保持する(ワイヤ掴み工程)。

更に、図96に示すように、ワイヤ送り部160の送りギア170が逆転してワイヤWを下方へ所定量引き戻す(ワイヤ戻し工程)。このワイヤWの引き戻しによって、1回の結束に使用するワイヤWの量を最小限に抑えて、結束可能回数を増やすことができる。また、鉄筋Sを結束するワイヤWの巻姿が小さくて整ったものとなる。しかし、ワイヤWを引き戻すと、収容部110の内部にワイヤWの弛みが発生するおそれがある。また、ワイヤWの弛みは、上記の他に、例えば、ワイヤWの引き出し時等に回転慣性でリール120が多く回転し過ぎてしまったような場合や、結束時に鉄筋結束機1Bに発生する振動等によってリール120が少しずつ過剰に回転されてしまったような場合等にも生じ得る。

続けて、図97に示すように、切断部340Zが作動してワイヤWを切断する(ワイヤ切断工程)。

その後、図98に示すように、捩り部350の把持部70が捩転してワイヤWを捩ると共に、把持部70が前進することで、ループRuを小さくすると共にワイヤWの捩り部分を鉄筋Sに近付けて、締め付けによる結束がなされる(ワイヤ捩り工程)。

最後に、図99に示すように、把持部70が鉄筋Sから後退されると共に、ワイヤWの捩り部分を離すことで結束が終了される(ワイヤ離し工程)。

<効果>この実施例によれば、以下のような効果を得ることができる。

(効果1)収容部110内で弛んだワイヤWは、収容部110の内部でリール120の外側へ広がるように膨らんで収容部110の内壁部510に接触する(矢印a)。更にワイヤWが膨らむと、ワイヤWは収容部110の内壁部510に密着した状態になる。この状態から更にワイヤWが弛むと、ワイヤWは更なる逃げ場を求めて(図91に矢印bで示すように)収容部110(のリール収容部110a)の内壁部510に沿い(膨らみながら)リール120の軸線方向へ横移動することになる。

その結果、例えば、図100、図101に示すように、何の対策もしていない場合には、横移動(矢印b)によってワイヤWが、収容部110(の内壁部510)とリール120(の手前側のフランジ部430)との間に入り込んで挟まったり、収容部110とリール120との間へ入り込んだワイヤWが更に収容部110とリール120との間を越えたりしてしまい、最終的に収容部110から外部へ飛び出したりするような不具合が起こり得る。

そこで、図91に示すように、収容部110の内壁部510にワイヤ移動規制部101を設けて、ワイヤWの横移動を、ワイヤ移動規制部101によって規制するようにした。これによって、ワイヤWの横移動による不具合(例えば、収容部110とリール120との間へのワイヤWの入り込みやワイヤWの外部への飛び出し等)を確実に防止することができるようになる。すなわち、ワイヤ移動規制部101によって収容部110内でのワイヤWの弛みよる不具合に有効に対処することが可能となる。

(効果2)この際、ワイヤ移動規制部101を突部105として、ワイヤWの横移動を予め設定した突部105の位置で止めるようにした。これにより、簡単な構成でワイヤWの横移動を予め決めた位置に確実に規制することができるようになる。また、突部105は、構成が簡単であるため、ワイヤWの横移動の規制にとって最適となる位置に対して設けることが容易なので、ワイヤ移動規制部101を設ける上で都合が良い。

(効果3)ワイヤ移動規制部101は、リール120を介してワイヤ送り部160とは反対側に位置する内壁部510に設けられている。これにより、ワイヤ送り部160とは反対側のワイヤWに弛みが生じ易い位置に対して効果的にワイヤ移動規制部101を設けることができる。

(効果4)収容部110は、ワイヤWの巻芯となるハブ部410と、ハブ部410の両端側に設けられた一対のフランジ部420、430とを有するリール120を収容可能とされる。内壁部510は、リール120が収容されたときにハブ部410と対向する周壁部520を有している。ワイヤ移動規制部101は、周壁部520の端部またはその近傍における壁面からリール120に向けて突設されている。これにより、リール120から弛んだワイヤWの横移動をリール120に向けて突設されたワイヤ移動規制部101によって、周壁部520の端部またはその近傍の位置で規制することができる。

(効果5)ワイヤ移動規制部101は、周壁部520の端部またはその近傍における壁面からフランジ部420、430に向けて突設する。これにより、リール120から弛んだワイヤWの横移動をフランジ部420、430に向けて突設されたワイヤ移動規制部101によって、フランジ部420、430の直前の位置で規制することができる。

(効果6)ワイヤ移動規制部101は、周壁部520の壁面から延びる、フランジ部420、430に達しない長さの立壁とされる。これにより、立壁をワイヤWが確実に引っ掛かる高さにしつつ立壁とフランジ部420、430との干渉を防止することができる。また、ワイヤ移動規制部101を立壁にすることで、ワイヤWの横移動を効果的に規制することができる。特に、立壁をリール120の周方向へ延びるものとすることで、ワイヤWの横移動を周方向の広い範囲で受けることができる。

(効果7)収容部110が、ケース560とカバー580とを備えるものとされた。これにより、ケース560にリール120を装着してカバー580を閉じることで、ワイヤWが外部へ露出されないように保護しつつ収容部110内にリール120を確実に収容保持することができる。

そして、収容部110をケース560とカバー580とで構成した場合、ケース560とリール120との間(図100、図101参照)や、カバー580とリール120との間(図101、図102参照)や、ケース560とカバー580との間(図102参照)にワイヤWが入り込み易い部分が生じ、更に、ケース560とカバー580との間から外部へワイヤWが飛び出すおそれが生じる。

なお、図100、図101は、ワイヤ移動規制部101が全くないため、ワイヤWがケース560とカバー580との合わせ部に達するまで止められることなく横移動してしまう例を示している。

また、図102は、ケース560とカバー580との合わせ部に対するワイヤWの入り込みを防止するワイヤ移動規制部101がないため、ワイヤWがケース560とカバー580との合わせ部に達するまで止められることなく横移動してしまい、しかも、カバー580の縁部に設けられている突部580aによって、ケース560とカバー580との合わせ部の位置でワイヤWが止められてしまうため、却って、ケース560とカバー580との合わせ部へワイヤWが入り易くなってしまっている例を示している。

しかし、図91に示すように、収容部110がケース560とカバー580とを有するものとされた場合でも、収容部110の内壁部510の適正な位置(例えば、カバー580の側の位置)に対して、適正に機能するようにワイヤ移動規制部101(突部105)を予め設けておけば、各部へのワイヤWの入り込みやワイヤWの飛び出しを防止できるようにすることが可能となる。

また、図92に示すように、突部105a等のワイヤ移動規制部101を、ケース560の側の内壁部510に設けるようにしても良い。これにより、収容部110の内部で弛んだワイヤWの横移動をケース560内のワイヤ移動規制部101の位置で規制して、弛んだワイヤWがケース560からカバー580へと乗り移り、ケース560とカバー580との合わせ部へ入り込むのを防止することができる。その結果、ワイヤ移動規制部101を設ける部品をケース560のみに限定することができるようになり、収容部110の構造の簡略化や、収容部110の製造の容易化等を図ることができる。

更に、ワイヤ移動規制部101をケース560の側の内壁部510に設けて、ワイヤWの横移動をケース560のワイヤ移動規制部101の位置で規制させるようにしたことにより、弛んだワイヤWが横移動してケース560とカバー580との合わせ部にまで到達させないようにすることができる。よって、ワイヤWがケース560とカバー580との合わせ部を広げて入り込んだり(挟み込まれたり)、合わせ部へ入り込んだワイヤWが合わせ部から外部へ飛び出したり、または、ワイヤWがケース560とリール120との間に入り込んだり、ケース560とカバー580との間に入り込んだりしないようにすることができる。その結果、例えば、ワイヤWの挟み込み等による鉄筋結束機1Bの作動不良(または結束不良)や、ワイヤWの座屈等を防止することができる。

(効果8)ワイヤ移動規制部101は、リール120が収容されたときにケース560の側またはカバー580の側の内壁部510から一対のフランジ部420、430のうちの開口部570に近い側のフランジ部430に向けて突設された立壁で形成される。これにより、開口部570に近い側のフランジ部430とケース560の側またはカバー580の側の内壁部510との間へのワイヤWの入り込み等を防止できるようになる。

(効果9)図93A(〜図93C)に示すように、ケース560とカバー580との合わせ部に斜行部111、112を設けた(特に、斜行部111)。これにより、ケース560とカバー580との合わせ部の一部を、斜行部111、112によって、リール120の軸線方向へ変位させて、ケース560とカバー580との合わせ部の全てが、リール120の軸線方向と垂直な同一の平面内に存在しないようにすることができる。その結果、例えば、合わせ部の一部(例えば、合わせ部の下側部分等)を収容部110の奥側へずらして、ケース560とカバー580との合わせ部を、ワイヤ移動規制部101(突部105,105a)から遠ざけることができる。これにより、ケース560とカバー580との合わせ部へのワイヤWの入り込みや、ケース560とカバー580との合わせ部からの飛び出し等が起こり難い構造とすることができる。

また、例えば、図103に示すように、ケース560とカバー580との合わせ部に、寸法精度の関係で小段差部710等が生じているような場合に、斜行部111が設けられていないと、横移動したワイヤWが小段差部710を乗り越えるきっかけとなる部位が存在しなくなるので、例えば、ケース560とカバー580との合わせ部の小段差部710にワイヤWが引っ掛かってしまい、小段差部710で引っ掛かったワイヤWが合わせ部の間の隙間を広げて入り込んだり、隙間へ入り込んだワイヤWが合わせ部から外部へ飛び出したりするおそれが生じる。

しかし、図93Aに示すように、収容部110内で弛んだワイヤWに対して交差する方向へ延びる斜行部111を設けることにより、上記したような場合に、ケース560とカバー580との合わせ部の小段差部710に一時的にワイヤWが引っ掛かったとしても、斜行部111がワイヤWの乗り越え起点として機能するため、ワイヤWが斜行部111の位置から小段差部710を乗り越えてワイヤ移動規制部101まで横移動できるようになる。よって、ケース560とカバー580との合わせ部の小段差部710でワイヤWが引っ掛かったままとなったり、小段差部710で引っ掛かったワイヤWが合わせ部の隙間を広げて入り込んだり、隙間へ入り込んだワイヤWが合わせ部から外部へ飛び出したりするような不具合を防止することができる。

なお、上記において、ロック装置620や押圧機構121が設けられていれば、ワイヤWが小段差部710に引っ掛かってから斜行部111を乗り越えるまでの僅かな間、ワイヤWがケース560とカバー580との合わせ部へ入り込むのがロック装置620や押圧機構121によって防がれるので、相乗効果を得ることができる。

(効果10)この際、斜行部111、112の少なくとも一方は、収容部110内で弛んだワイヤWが収容部110の内壁部に接触する部位131またはその近傍に対して、合わせ部を収容部110の奥側へ部分的に変位可能に設けられるようにしても良い。また、斜行部111、112の少なくとも一方は、ワイヤ送り部160から離れるに従い収容部110の奥側へ向かう傾斜を有するものとしても良い。斜行部111、112の少なくとも一方を上記したようなものにすることで、ケース560とカバー580との合わせ部へのワイヤWの入り込みや、ケース560とカバー580との合わせ部からのワイヤWの飛び出し等を、より一層起こり難くすることができる。

(効果11)図94A(図90)に示すように、押圧機構121を設けてカバー580をケース560へ向けて弾性的に押圧保持させるようにした。このように、カバー580を所要の力で常時ケース560へ弾接し続けさせることで、カバー580とケース560との間のガタ殺しを行うと共に、弛んだワイヤWから作用される力によってカバー580とケース560との間の隙間が広がらないように押え付けさせることができる。その結果、弛んだワイヤWがカバー580とケース560との間の隙間へ入り込んだり、隙間から外部へ飛び出したりするのを有効に防止することが可能となる。

しかも、押圧機構121は、ケース560とカバー580との合わせ部に小段差部710が存在しているような場合にも、弛んだワイヤWがカバー580とケース560との間の隙間へ入り込んだり、隙間から外部へ飛び出したりするのを防止するのに有効なものとなる。

更に、押圧機構121をロック装置620に設けることにより、両者を一体化して、カバー580とケース560との間に無理なく押圧機構121を設置することができる。なお、押圧機構121は、ヒンジ部610等に対して設けることも構造的には可能である。

(効果12)そして、押圧機構121を、カバー580における、収容部110内で弛んだワイヤWが内壁部510に接触する部位131またはその近傍に設けた。これにより、カバー580とケース560との間の隙間が最も開き易い位置に対して効果的に押圧機構121を配することができ、押圧機構121によってカバー580をケース560との間の隙間が広がらないように確実且つ効率的に押えることができる。

(効果13)ロックレバー122がロック位置と解除位置の中間位置で止まらないようにするために、停止防止部141、142を設けた。これにより、ロックレバー122がロック位置と解除位置の中間位置で止まることで、例えば、ケース560に対してカバー580が僅かに開いて隙間ができてしまい、隙間からワイヤWがハミ出るような不具合の発生を確実に防止することができる。

不安定形状部147を、例えば、凸部145、146の頂部をアール形状部としたり、凸部145、146の頂部を尖った先端部にしたり、凸部145、146の頂部を短い平坦部としたり、凸部145、146の頂部を(山状の凸部145、146よりは傾斜の緩い)傾斜部としたりすることにより、ロックレバー122を確実にロック位置と解除位置とのどちらかに位置させるようにすることができる。

また、凸部145、146の頂部の不安定形状部147に替えて、または、不安定形状部147に加えて、ロックレバー122の先端部とカバー580の押さえ部580bとの間に、ロックレバー122がロック位置と解除位置の中間位置で止まるのを防止可能な別の停止防止部を設けるようにしても良い。ロックレバー122の先端部とカバー580の押さえ部580bとの間の別の停止防止部は、例えば、先の尖った山部等とすることにより、ロックレバー122を確実にロック位置と解除位置とのどちらかに位置させるようにすることができる。

以上、この発明の実施の形態を図面により詳述してきたが、実施の形態はこの発明の例示にしか過ぎないものである。よって、この発明は実施の形態の構成にのみ限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれることは勿論である。また、例えば、各実施の形態に複数の構成が含まれている場合には、特に記載がなくとも、これらの構成の可能な組合せが含まれることは勿論である。また、実施の形態に複数の実施例や変形例がこの発明のものとして開示されている場合には、特に記載がなくとも、これらに跨がった構成の組合せのうちの可能なものが含まれることは勿論である。また、図面に描かれている構成については、特に記載がなくとも、含まれることは勿論である。更に、「等」の用語がある場合には、同等のものを含むという意味で用いられている。また、「ほぼ」「約」「程度」等の用語がある場合には、常識的に認められる範囲や精度のものを含むという意味で用いられている。

上記の実施の形態の一部または全部は、以下の付記の如く記載され得る。

(付記1) ワイヤを繰り出し可能な収容部と、 前記収容部から繰り出されたワイヤを送るワイヤ送り部と、 前記ワイヤ送り部で送られたワイヤに巻き癖をつけて結束物の周囲に巻き回すカールガイド部と、 前記カールガイド部で結束物の周囲に巻き回されたワイヤを把持して捩じる結束部とを備え、 前記結束部は、 一端側が互いに近づく方向と離れる方向に移動可能なように、他端側が第1の方向に延在する軸で回動可能に支持される第1の可動把持部材及び第2の可動把持部材と、 前記第1の方向に延在し、前記第1の方向と直交する第2の方向に移動可能な移動部材とを有し、 前記第1の可動把持部材と前記第2の可動把持部材は、前記移動部材が嵌合し、嵌合した前記移動部材が前記第2の方向に移動可能な嵌合部をそれぞれ有する結束機。

(付記2) 前記嵌合部は、前記第1の可動把持部材及び前記第2の可動把持部材の長手方向に沿って延びるように形成される付記1に記載の結束機。

(付記3) 前記嵌合部は、前記第1の可動把持部材及び前記第2の可動把持部材の長手方向に沿って延び、途中外側に屈曲し、再び前記長手方向に沿って延びるように形成される付記2の記載の結束機。

(付記4) 前記嵌合部は、溝である付記1から付記3の何れかに記載の結束機。

(付記5) 前記嵌合部は、前記第1の可動把持部材及び第2の可動把持部材を貫通する孔である付記1から付記3の何れかに記載の結束機。

(付記6) 前記結束部は、前記第2の方向に延在する固定把持部材を有し、 前記第1の可動把持部材及び第2の可動把持部材は、前記固定把持部材を介して前記固定把持部材の両側に設けられ、前記第1の可動把持部材の一端側が、回動によって前記固定把持部と近づく方向と離れる方向に移動可能に構成され、前記第2の可動把持部材の一端側が、回動によって前記固定把持部と近づく方向と離れる方向に移動可能に構成される付記1から付記5の何れかに記載の結束機。

(付記7) 前記固定把持部材は、前記第1の可動把持部材の前記嵌合部と前記第2の可動把持部材の前記嵌合部に嵌合された前記移動部材が嵌合して、前記第2の方向に移動可能な嵌合部を有する付記6に記載の結束機。

(付記8) 前記固定把持部材の前記嵌合部は、前記第2の方向に延びる溝である付記7に記載の結束機。

(付記9) 前記固定把持部材の前記嵌合部は、前記固定把持部を貫通し、前記第2の方向に延びる孔である付記7に記載の結束機。

(付記10) 前記軸は、前記固定把持部材に設けられる付記6〜付記9の何れかに記載の結束機。

(付記11) ワイヤを繰り出し可能な収容部と、 前記収容部から繰り出されたワイヤを送るワイヤ送り部と、 前記ワイヤ送り部で送られたワイヤに巻き癖をつけて結束物の周囲に巻き回すカールガイド部と、 前記カールガイド部で結束物の周囲に巻き回されたワイヤを把持して捩じる結束部とを備え、 前記結束部は、 一端側が互いに近づく方向と離れる方向に移動可能なように、他端側が第1の方向に延在する軸で回動可能に支持される第1の可動把持部材及び第2の可動把持部材と、 前記第1の方向と直交する第2の方向に移動可能な可動部材とを有し、 前記第1の可動把持部材及び前記第2の可動把持部材は、前記第1の方向に延在する開閉軸部を有し、 前記可動部材は、前記開閉軸部が嵌合する嵌合部を有し、 前記嵌合部は、前記開閉軸部が嵌合した状態で前記可動部材を前記第2の方向に移動可能に構成される結束機。

(付記12) ワイヤを繰り出し可能な収容部と、 前記収容部から繰り出されたワイヤを送るワイヤ送り部と、 前記ワイヤ送り部で送られたワイヤに巻き癖をつけて結束物の周囲に巻き回すカールガイド部と、 前記カールガイド部で結束物の周囲に巻き回されたワイヤを把持して捩じる結束部とを備え、 前記結束部は、 固定把持部材と、 前記固定把持部材に対して一端側が近づく方向と離れる方向に移動可能なように、他端側が第1の方向に延在する軸で前記固定把持部材に回動可能に支持される可動把持部材と、 前記第1の方向に延在し、前記第1の方向と直交する第2の方向に移動可能な移動部材とを有し、 前記可動把持部材は、前記移動部材が嵌合し、嵌合した前記移動部材が前記第2の方向に移動可能な嵌合部を有する結束機。

以上、付記に記載された内容は、上記の実施の形態の一部または全部を表現したものであるが、以下、付記に関する補足的な説明を行う。図104は、付記1に記載された結束部の一例を示す構成図、図105は、付記5に記載された嵌合部を備えた結束部の一例を示す構成図である。結束部7Bは、一対の把持部材として、第1の可動把持部材70L1と第2の可動把持部材70R1を備える。第1の可動把持部材70L1と第2の可動把持部材70R1は、軸773を支点として互いが回転可能(回動可能)である。

軸773の軸方向である軸773が延在する方向を第1の方向、第1の方向に直交する方向を第2の方向としたとき、第1の可動把持部材70L1と第2の可動把持部材70R1は、第2の方向に沿って延在する。第1の方向を矢印P1、第2の方向を矢印P2で示す。

第1の可動把持部材70L1と第2の可動把持部材70R1は、第2の方向に沿った長手方向の一端側が互いに近づく方向と離れる方向(離接、接離とも称す)に移動可能なように、第1の方向に延在する軸773で、それぞれの他端側が基部材772に回動可能に支持される。軸773は、円柱状の部材であり、基部材772から第1の方向に突出する。

結束部7Bは、第1の方向に延在し、かつ、第2の方向に移動可能な開閉ピン71a1(移動部材)を備える。開閉ピン71a1は、上述した折り曲げ部(曲げ部)71に取り付けられる。折り曲げ部71は、第2の方向に延在し、かつ、略円筒状、角筒状等、内部に第1の可動把持部材70L1と第2の可動把持部材70R1の一部が入る空間が形成される。開閉ピン71a1は、折り曲げ部71の内側の空間に向けて第1の方向に突出する。

第1の可動把持部材70L1は、開閉ピン71a1が嵌合する開閉ガイド孔(嵌合部)77L1を備える。開閉ガイド孔77L1は、付記2に記載されているように、第1の可動把持部材70L1の長手方向に沿って延びる。また、開閉ガイド孔77L1は、付記5に記載されているように、第1の可動把持部材70L1を貫通する孔である。

第2の可動把持部材70R1は、開閉ピン71a1が嵌合する開閉ガイド孔(嵌合部)77R1を備える。開閉ガイド孔77R1は、付記2に記載されているように、第2の可動把持部材70R1の長手方向に沿って延びる。また、開閉ガイド孔77R1は、付記5に記載されているように、第2の可動把持部材70R1を貫通する孔である。なお、付記3に記載されているように、第1の可動把持部材70L1と第2の可動把持部材70R1に備えた嵌合部の一部が外側に屈曲する構成については、上述したように、図10等に記載されている。

開閉ピン71a1は、開閉ガイド孔77L1を通って第1の可動把持部材70L1を貫通し、開閉ガイド孔77R1を通って第2の可動把持部材70R1を貫通する。

折り曲げ部71が第2の方向に移動すると、開閉ピン71a1は、開閉ガイド孔77L1に沿って第2の方向に移動する。また、開閉ピン71a1は、開閉ガイド孔77L1に沿って第2の方向に移動する。

折り曲げ部71が第2の方向に沿った一の方向である矢印P2f方向に移動すると、第1の可動把持部材70L1と第2の可動把持部材70R1は、一端側が近づく方向に、軸773を支点に回動する。折り曲げ部71が第2の方向に沿った他の方向である矢印P2r方向に移動すると、第1の可動把持部材70L1と第2の可動把持部材70R1は、一端側が離れる方向に、軸773を支点に回動する。

図106は、付記4に記載された嵌合部を備えた結束部の一例を示す構成図である。結束部7Bは、一対の把持部材として、第1の可動把持部材70L2と第2の可動把持部材70R2を備える。第1の可動把持部材70L2と第2の可動把持部材70R2が、軸773を支点として互いが回転可能(回動可能)に支持される構成については、図104に示す通りである。

第1の可動把持部材70L2は、第1の開閉ピン710a1が嵌合する開閉ガイド溝(嵌合部)77L2を備える。開閉ガイド溝77L2は、第1の可動把持部材70L2の長手方向に沿って延びる。また、開閉ガイド溝77L2は、付記4に記載されているように、第1の可動把持部材70L2を非貫通とした溝である。

第2の可動把持部材70R2は、第2の開閉ピン710a2が嵌合する開閉ガイド溝(嵌合部)77R2を備える。開閉ガイド溝77R2は、第2の可動把持部材70R2の長手方向に沿って延びる。また、開閉ガイド孔77R2は、付記4に記載されているように、第2の可動把持部材70R2を非貫通とした溝である。

折り曲げ部71は、第1の開閉ピン710a1と第2の開閉ピン710a2が同軸で設けられる。第1の開閉ピン710a1と第2の開閉ピン710a2は、折り曲げ部71の内側の空間に向けて第1の方向に突出し、それぞれ第1の方向に延在する。

折り曲げ部71が第2の方向に移動すると、第1の開閉ピン710a1は、開閉ガイド溝77L2に沿って第2の方向に移動する。また、第2の開閉ピン710a2は、開閉ガイド溝77R2に沿って第2の方向に移動する。

図107、図108は、付記11に記載された結束部の一例を示す構成図である。結束部7Cは、固定把持部材70C3と第1の可動把持部材70L3と第2の可動把持部材70R3を備える。

第1の可動把持部材70L3と第2の可動把持部材70R3は、固定把持部材70C3を介して左右方向に配置される。第1の可動把持部材70L3は、軸773aを支点として固定把持部材70C3に対して回転可能(回動可能)である。第2の可動把持部材70R3は、軸773aを支点として固定把持部材70C3に対して回転可能(回動可能)である。

軸773aの軸方向である軸773aが延在する方向を第1の方向、第1の方向に直交する方向を第2の方向としたとき、固定把持部材70C3と、第1の可動把持部材70L3及び第2の可動把持部材70R3は、第2の方向に沿って延在する。

第1の可動把持部材70L3は、第2の方向に沿った長手方向の一端側が固定把持部材70C3の一端側に近づく方向と離れる方向(離接、接離とも称す)に移動可能なように、第1の方向に延在する軸773aで、他端側が固定把持部材70C3に回動可能に支持される。第2の可動把持部材70R3は、第2の方向に沿った長手方向の一端側が固定把持部材70C3の一端側に近づく方向と離れる方向に移動可能なように、第1の方向に延在する軸773aで、他端側が固定把持部材70C3に回動可能に支持される。軸773aは、円柱状の部材であり、固定把持部材70C3から第1の方向に突出する。

よって、第1の可動把持部材70L3は、一端側が固定把持部材70C3の一端側に近づく方向と離れる方向に移動可能なように、他端側が軸773aで固定把持部材70C3に回動可能に支持される。また、第2の可動把持部材70R3は、一端側が固定把持部材70C3の一端側に近づく方向と離れる方向に移動可能なように、他端側が軸773aで固定把持部材70C3に回動可能に支持される。

結束部7Bは、第1の方向に延在する開閉ピン(開閉軸部)70Lpを備える。開閉ピン70Lpは、第1の可動開閉把持部材70L3と、図示しないが第2の可動開閉把持部材70R3に取り付けられ。第1の可動開閉把持部材70L3及び第2の可動開閉把持部材70R3から第1の方向に突出する。開閉ピン70Lpは、軸773aを支点とした第1の可動開閉把持部材70L3及び第2の可動開閉把持部材70R3の回動で、円弧状の軌跡を通る。

結束部7Bは、第2の方向に移動可能な可動部材711を備える。可動部材711は、上述した折り曲げ部(曲げ部)である。可動部材711は、開閉ピン70Lpが嵌合する開閉ガイド孔(嵌合部)712を備える。開閉ガイド孔712は、可動部材711の長手方向に沿って延びる。詳細には、開閉ガイド孔712は、可動部材711の移動方向に沿って第1の待機距離延在する第1の待機部712aと、可動部材711の移動方向に沿って第2の待機距離延在する第2の待機部712bと、第1の待機部712aの一の端部から斜め外側方向に屈曲して延在し、第2の待機部712bと繋がる開閉部712cを備える。図示しないが、第2の可動把持部材70LR3に設けた開閉ピン70Lpが嵌合する開閉ガイド孔も同様の構成である。

可動部材711が第2の方向に移動すると、開閉ガイド孔712が第2の方向に移動する。開閉ガイド孔712の開閉部712cが、開閉ピン70Lpの位置を通過すると、開閉部712cの形状によって開閉ピン70Lpが変位する。

これにより、可動部材711が第2の方向に沿った一の方向である矢印P2f方向に移動すると、図86に示すように、第1の可動把持部材70L3は、一端側が固定把持部材70C3に近づく方向に、軸773aを支点に回動する。また、第2の可動把持部材70R3は、一端側が固定把持部材70C3に近づく方向に、軸773aを支点に回動する。

折り曲げ部71が第2の方向に沿った他の方向である矢印P2r方向に移動すると、図83に示すように、第1の可動把持部材70L3は、一端側が固定把持部材70C3から離れる方向に、軸773aを支点に回動する。また、第2の可動把持部材70R3は、一端側が固定把持部材70C3から離れる方向に、軸773aを支点に回動する。

なお、図107、図108で説明した結束部において、付記1のように、一対の可動把持部材を備える構成としても良い。

図109、図110は、付記12に記載された結束部の一例を示す構成図である。結束部7Dは、一対の把持部材として、可動把持部材70L4と固定把持部材70C4を備える。可動把持部材70L4は、軸773bを支点として固定把持部材70C4に対して回転可能(回動可能)である。

軸773bの軸方向である軸773bが延在する方向を第1の方向、第1の方向に直交する方向を第2の方向としたとき、可動把持部材70L4と固定把持部材70C4は、第2の方向に沿って延在する。第1の方向を矢印P1、第2の方向を矢印P2で示す。

可動把持部材70L4は、第2の方向に沿った長手方向の一端側が固定把持部材70C4の一端側に近づく方向と離れる方向(離接、接離とも称す)に移動可能なように、第1の方向に延在する軸773bで、他端側が固定把持部材70C4に回動可能に支持される。軸773bは、円柱状の部材であり、固定把持部材70C4から第1の方向に突出する。

結束部7Dは、第1の方向に延在し、かつ、第2の方向に移動可能な開閉ピン71a4(移動部材)を備える。開閉ピン71a4は、上述した折り曲げ部(曲げ部)71に取り付けられる。折り曲げ部71は、第2の方向に延在し、かつ、略円筒状、角筒状等、内部に可動把持部材70L4と固定把持部材70C4の一部が入る空間が形成される。開閉ピン71a4は、折り曲げ部71の内側の空間に向けて第1の方向に突出する。

可動把持部材70L4は、開閉ピン71a4が嵌合する開閉ガイド孔(嵌合部)77L4を備える。開閉ガイド孔77L4は、第1の可動把持部材70L3の長手方向に沿って延びる。詳細には、開閉ガイド孔77L4は、折り曲げ部71の移動方向に沿って第1の待機距離延在する第1の待機部77L4aと、折り曲げ部71の移動方向に沿って第2の待機距離延在する第2の待機部77L4bと、第1の待機部77L4aの一の端部から斜め外側方向に屈曲して延在し、第2の待機部77L4bと繋がる開閉部77L4cを備える。

折り曲げ部71が第2の方向に移動すると、開閉ピン71a4は、開閉ガイド孔77L4に沿って第2の方向に移動する。

折り曲げ部71が第2の方向に沿った一の方向である矢印P2f方向に移動すると、可動把持部材70L4は、一端側が固定把持部材70C4に近づく方向に、軸773bを支点に回動する。折り曲げ部71が第2の方向に沿った他の方向である矢印P2r方向に移動すると、可動把持部材70L4は、一端側が固定把持部材70C4から離れる方向に、軸773bを支点に回動する。なお、図109、図110で説明した結束部において、付記11のように、可動把持部材に開閉軸部を備え、可動部材(折り曲げ部)に嵌合部を設ける構成としても良い。

本出願は、2015年7月22日出願の日本特許出願特願2015−145263、2016年7月8日出願の日本特許出願特願2016−135748及び、2016年7月8日出願の日本特許出願特願2016−136070に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。

1A・・・鉄筋結束機、2A・・・マガジン、20・・・リール、3A・・・ワイヤ送り部(送り手段)、4A・・・並列ガイド(送り手段)、5A・・・カールガイド部(送り手段)、6A・・・切断部、7A・・・結束部(結束手段)、8A・・・結束部駆動機構、30L・・・第1の送りギア、30R・・・第2の送りギア、31L・・・歯部、31La・・・歯底円、32L・・・第1の送り溝部、32La・・・第1の傾斜面、32Lb・・・第2の傾斜面、31R・・・歯部、31Ra・・・歯底円、32R・・・第2の送り溝部、32Ra・・・第1の傾斜面、32Rb・・・第2の傾斜面、33・・・駆動部、33a・・・送りモータ、33b・・・伝達機構、34・・・変位部、50・・・第1のガイド部、51・・・第2のガイド部、52・・・ガイド溝、53・・・ガイドピン、53a・・・退避機構、54・・・固定ガイド部、54a・・・壁面、55・・・可動ガイド部、55a・・・壁面、55b・・軸、60・・・固定刃部、61・・・回転刃部、61a・・・軸、62・・・伝達機構、70・・・把持部、70C・・・固定把持部材、70L・・・第1の可動把持部材、70R・・・第2の可動把持部材、71・・・折り曲げ部、71a・・・開閉ピン(移動部材)、77・・・軸、77C・・・取付部、77L・・・開閉ガイド孔(第1の開閉ガイド孔、嵌合部)、77R・・・開閉ガイド孔(第2の開閉ガイド孔、嵌合部)、78C・・・ガイド孔(嵌合部)、78L、78R・・・開閉部、80・・・モータ、81・・・減速機、82・・・回転軸、83・・・可動部材、101・・・規制部、105・・・突部、110・・・収容部、111・・・斜行部、120・・・リール、121・・・押圧機構、131・・・接触する部位、141・・・停止防止部、142・・・停止防止部、410・・・ハブ部、420・・・フランジ部、430・・・フランジ部、510・・・内壁部、520・・・周壁部、560・・・ケース、570・・・開口部、580・・・カバー、W・・・ワイヤ

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