Method of manufacturing endodontic instruments

申请号 JP2003112278 申请日 2003-04-17 公开(公告)号 JP4524079B2 公开(公告)日 2010-08-11
申请人 オルムコ コーポレイション; 发明人 カーロス、アロイス; ガーマン ゲイリー;
摘要 Method for manufacturing endodontic instruments (10, 11) having either helical (24) or non-helical (26) flutes. A method is provided for forming superelastic endodontic instruments (10) having helical flutes (24), wherein a wire of superelastic material is formed into an instrument blank (23), and before twisting, the superelastic alloy is brought to an annealed state comprising a phase structure including a rhombohedral phase alone or in combination with austenite and/or martensite, or a combination of martensite and austenite. In this annealed state, the instrument blank (23) is twisted at low temperature, for example less than about 100 DEG C, and advantageously at ambient temperature to the final desired twisted configuration. The twisted instrument (10, 11) is then heat treated and rapidly quenched to a superelastic condition. A method is further provided for manufacturing endodontic instruments having either helical (24) or non-helical (26) flutes with hard surfaces and resilient cutting edges by either an EDM or ECM process, wherein material is removed from the instrument blank (23) in the desired flute pattern. The EDM or ECM process disintegrates the surface material, and as it cools, at least a portion of the removed material re-deposits onto the surface being machined to form a recast layer having a surface hardness that is at least about 15% greater than the hardness of the material forming the instrument blank (23). A method is further provided in which an EDM or ECM process is used to form an instrument blank (23), followed by twisting at low temperature.
权利要求
  • 超弾性の歯内器具を形成する方法において、
    超弾性材料製のワイヤから形成された器具ブランクを提供するステップであって、該器具ブランクの超弾性材料が、焼きなましによって、菱面体相 、菱面体相とオーステナイト相との組合せ、菱面体相とマルテンサイト相との組合せ、および菱面体相とオーステナイト相とマルテンサイト相との組合せ、からなる群から選択される相構造を有する焼きなまし状態とされ、且つ 100℃未満の温度まで冷却されているステップと、
    焼きなまし状態のまま、前記器具ブランクを 100℃未満の温度でねじって、器具の最終的なねじれ形状にするステップと、
    ねじった後、ねじられた器具を熱処理し、その後、ねじられた器具を急速焼入れして超弾性状態にするステップとを含む歯内器具形成方法。
  • 放電加工、ワイヤ放電加工、放電研削、および電気化学的加工からなる群から選択される方法により第1の硬度を有する材料を除去することによって前記器具ブランクのための前記ワイヤを形成するステップであって、最大金属除去箇所において前記ワイヤの直径の少なくとも約25%を除去すること、および除去した材料の少なくとも一部を前記器具ブランク上に再付着させて、第1の硬度よりも少なくとも約15%高い第2の硬度を有する鋳直し層を形成することを含むワイヤ形成ステップをさらに含む請求項1に記載の歯内器具形成方法。
  • ワイヤを形成する前記ステップが研削によるものである請求項1に記載の歯内器具形成方法。
  • 前記超弾性材料が少なくとも約40原子%のチタンを含んでいる請求項1に記載の歯内器具形成方法。
  • 前記超弾性材料がニッケルチタン合金である請求項4に記載の歯内器具形成方法。
  • 前記ニッケルチタン合金が、ニオビウム、銅、鉄、クロム、コバルト、バナジウム、ハフニウム、およびパラジウムからなる群から選択される元素をさらに含んでいる請求項5に記載の歯内器具形成方法。
  • ねじられた器具を熱処理する前記ステップが約400〜600℃の範囲の温度で行われる請求項1に記載の歯内器具形成方法。
  • 急速焼入れの後、ねじられた器具を約150〜300℃の範囲の温度まで加熱して、内部の応力を緩和するステップをさらに含む請求項1に記載の歯内器具形成方法。
  • 前記器具ブランクが、菱面体相を備える焼きなまし状態で提供される請求項1に記載の歯内器具形成方法。
  • 超弾性の歯内器具を形成する方法であって、下記ステップ(a)および(b)を任意の順序で含む方法において、
    (a)超弾性材料を約250〜700℃の範囲の温度で焼きなましして、菱面体相 、菱面体相とオーステナイト相との組合せ、菱面体相とマルテンサイト相との組合せ、および菱面体相とオーステナイト相とマルテンサイト相との組合せ、からなる群から選択される相構造を有する焼きなまし状態にし、該焼きなましした材料を 100℃未満の温度まで冷却するステップと、
    (b)前記超弾性材料を器具ブランクに形成するステップと、
    (c)前記焼きなまし状態のままで、前記ブランク を1 00℃未満の温度でねじり、器具の最終ねじれ形状にするステップと、
    (d)前記ねじりの後、ねじられた器具を約300〜800℃の範囲の温度で熱処理し、その後、ねじられた器具を急速焼入れして超弾性状態にするステップとを含む歯内器具形成方法。
  • 超弾性材料を焼きなましする前記ステップ(a)が約350〜550℃の範囲の温度で行われる請求項 10に記載の歯内器具形成方法。
  • 超弾性材料を焼きなましする前記ステップ(a)が、菱面体相を含む相構造を提供するのに十分な温度で行われる請求項 10に記載の歯内器具形成方法。
  • 超弾性材料を形成する前記ステップ(b)が、超弾性材料を焼きなましする前記ステップ(a)の前に行われる請求項 10に記載の歯内器具形成方法。
  • 超弾性材料を形成する前記ステップ(b)が、放電加工、ワイヤ放電加工、放電研削、および電気化学的加工からなる群から選択される方法によって第1の硬度を有する材料を除去することによるものであり、また最大金属除去箇所において開始材料の直径の少なくとも約25%を除去することと、除去した材料の少なくとも一部を器具ブランク上に再付着させて、第1の硬度よりも少なくとも約15%高い第2の硬度を有する鋳直し層を形成することとを含んでいる請求項 13に記載の歯内器具形成方法。
  • 超弾性材料を形成する前記ステップ(b)が研削によるものである請求項 13に記載の歯内器具形成方法。
  • 超弾性材料を形成する前記ステップ(b)が、超弾性材料を焼きなましする前記ステップ(a)の後に行われる請求項 10に記載の歯内器具形成方法。
  • 超弾性材料を形成する前記ステップ(b)が、放電加工、ワイヤ放電加工、放電研削、および電気化学的加工からなる群から選択される方法によって第1の硬度を有する材料を除去することによるものであり、また最大金属除去箇所において開始材料の直径の少なくとも約25%を除去することと、除去した材料の少なくとも一部を器具ブランク上に再付着させて、第1の硬度よりも少なくとも約15%高い第2の硬度を有する鋳直し層を形成することとを含む請求項 16に記載の歯内器具形成方法。
  • 超弾性材料を形成する前記ステップ(b)が研削によるものである請求項 16に記載の歯内器具形成方法。
  • ねじられた器具を熱処理する前記ステップ(d)が約400〜600℃の範囲の温度で行われる請求項 10に記載の歯内器具形成方法。
  • 急速焼入れした後、ねじられた器具を約150〜300℃の範囲の温度まで加熱して、内部の応力を緩和するステップをさらに含む請求項 10に記載の歯内器具形成方法。
  • 前記ねじられた器具が約2〜6時間にわたって加熱される請求項 20に記載の歯内器具形成方法。
  • 前記超弾性材料が少なくとも約40原子%のチタンを含む請求項 10に記載の歯内器具形成方法。
  • 前記超弾性材料がニッケルチタン合金である請求項 22に記載の歯内器具形成方法。
  • 前記ニッケルチタン合金が、ニオビウム、銅、鉄、クロム、コバルト、バナジウム、ハフニウム、およびパラジウムからなる群から選択される元素をさらに含んでいる請求項 23に記載の歯内器具形成方法。
  • 超弾性の歯内器具を形成する方法であって、
    ニッケルチタン合金を約250〜700℃の範囲の温度で焼きなましして、菱面体相 、菱面体相とオーステナイト相との組合せ、菱面体相とマルテンサイト相との組合せ、および菱面体相とオーステナイト相とマルテンサイト相との組合せ、からなる群から選択される相構造を有する焼きなまし状態にし、該焼きなましした合金を 100℃未満の温度まで冷却するステップと、
    前記焼きなましした合金を器具ブランクに形成するステップと、
    前記器具ブランクを 100℃未満の温度でねじって、器具の最終ねじれ形状にするステップと、
    前記ねじられた器具を約300〜800℃の範囲の温度で熱処理し、その後、ねじられた器具を急速焼入れして超弾性状態にするステップとを含む歯内器具形成方法。
  • ニッケルチタン合金を焼きなましする前記ステップが約350〜550℃の範囲の温度で行われる請求項 25に記載の歯内器具形成方法。
  • ニッケルチタン合金を焼きなましする前記ステップが、菱面体相を含む相構造を提供するのに十分な温度で行われる請求項 25に記載の歯内器具形成方法。
  • 前記合金を 器具ブランクに形成す るステップが、放電加工、ワイヤ放電加工、放電研削、および電気化学的加工からなる群から選択される方法によって第1の硬度を有する材料を除去することによるものであり、また最大金属除去箇所における開始材料の直径の少なくとも約25%を除去することと、除去した材料の少なくとも一部を器具ブランク上に再付着させて、第1の硬度よりも少なくとも約15%高い第2の硬度を有する鋳直し層を形成することとを含む請求項 25に記載の歯内器具形成方法。
  • 前記合金を 器具ブランクに形成す るステップが研削によるものである請求項 25に記載の歯内器具形成方法。
  • ねじられた器具を熱処理する前記ステップが約400〜600℃の範囲の温度で行われる請求項 25に記載の歯内器具形成方法。
  • 急速焼入れした後、前記ねじられた器具を約150〜300℃の範囲の温度まで加熱して、内部の応力を緩和するステップをさらに含む請求項 25に記載の歯内器具形成方法。
  • 前記ねじられた器具が約2〜6時間にわたって加熱される請求項 31に記載の歯内器具形成方法。
  • 前記ニッケルチタン合金が少なくとも約40原子%のチタンを含む請求項 25に記載の歯内器具形成方法。
  • 前記ニッケルチタン合金が、ニオビウム、銅、鉄、クロム、コバルト、バナジウム、ハフニウム、およびパラジウムからなる群から選択される元素をさらに含んでいる請求項 33に記載の歯内器具形成方法。
  • 超弾性の歯内器具を形成する方法であって、
    ニッケルチタン合金ワイヤから器具ブランクを形成するステップと、
    前記器具ブランクを約250〜700℃の範囲の温度で焼きなましして、菱面体相 、菱面体相とオーステナイト相との組合せ、菱面体相とマルテンサイト相との組合せ、および菱面体相とオーステナイト相とマルテンサイト相との組合せ、からなる群から選択される相構造を有する焼きなまし状態にし、該焼きなましした器具ブランクを 100℃未満の温度まで冷却するステップと、
    前記焼きなましした器具ブランクを 100℃未満の温度でねじって、器具の最終ねじれ形状にするステップと、
    前記ねじられた器具を約300〜800℃の範囲の温度で熱処理し、その後、ねじられた器具を急速焼入れして超弾性状態にするステップとを含む歯内器具形成方法。
  • 器具ブランクを焼きなましする前記ステップが約350〜550℃の範囲の温度で行われる請求項 35に記載の歯内器具形成方法。
  • 器具ブランクを焼きなましする前記ステップが、菱面体相を含む相構造を提供するのに十分な温度で行われる請求項 35に記載の歯内器具形成方法。
  • 前記合金ワイヤ から器具ブランクを形成す るステップが、放電加工、ワイヤ放電加工、放電研削、および電気化学的加工からなる群から選択される方法によって第1の硬度を有する材料を除去することによるものであり、また最大金属除去箇所において合金ワイヤの直径の少なくとも約25%を除去することと、除去した材料の少なくとも一部を器具ブランク上に再付着させて、第1の硬度よりも少なくとも約15%高い第2の硬度を有する鋳直し層を形成することとを含む請求項 35に記載の歯内器具形成方法。
  • 前記合金ワイヤ から器具ブランクを形成す るステップが研削によって行われる請求項 35に記載の歯内器具形成方法。
  • ねじられた器具を熱処理する前記ステップが約400〜600℃の範囲の温度で行われる請求項 35に記載の歯内器具形成方法。
  • 急速焼入れした後、前記ねじられた器具を約150〜300℃の範囲の温度まで加熱して、内部の応力を緩和するステップをさらに含む請求項 35に記載の歯内器具形成方法。
  • 前記ねじられた器具が約2〜6時間にわたって加熱される請求項 41に記載の歯内器具形成方法。
  • 前記ニッケルチタン合金が少なくとも約40原子%のチタンを含む請求項 35に記載の歯内器具形成方法。
  • 前記ニッケルチタン合金が、ニオビウム、銅、鉄、クロム、コバルト、バナジウム、ハフニウム、およびパラジウムからなる群から選択される元素をさらに含んでいる請求項 43に記載の歯内器具形成方法。
  • 说明书全文

    【0001】
    【発明の属する技術分野】
    本発明は、一般に、ファイルやリーマなどといった歯内器具に関するものであり、より詳細には、根管処置において特に有用なこれらの歯内器具に関するものである。
    【0002】
    【従来の技術】
    歯内治療医は、歯の根管を清掃、拡大するための様々なタイプの器具を使用する。 典型的な根管処置では、歯内治療医はまず、歯内にアクセスできるようにするために歯の表面に開口を作成する。 次いで、歯内治療医は、ハンドヘルド・ファイルやリーマなどといった小さな器具を利用して、狭く、テーパの付いている根管を清掃して拡大する。 従来の処置では、歯内治療医は、準備された根管を、ゴム状物質であるガッタ・パーチャで充填し、次いで保護セメントで歯を封止する。 歯内治療医は、最終ステップとして歯に歯冠を付ける場合も時としてある。
    【0003】
    典型的には、歯内治療医は、一連の精巧な可撓性ファイルを使用して、根管を清掃して形状を整える。 各ファイルは、典型的には歯内治療医の指の間に把持するハンドルを含む近位端と、遠位端または先端とを含む。 螺旋溝または非螺旋溝およびカッティング・エッジを備える作業長が、近位端と遠位端の間に位置付けられる。 歯内治療医は、使用するファイルの直径を次第に大きくして、根管の直径を逐次に増大し、所望の直径および形状を形成する。
    【0004】
    螺旋溝を有する所望のタイプの歯内器具は、従来、三形、正方形、または菱形断面のロッドを永久的にねじることによって製造される。 面の間に形成される角が、器具の作業長に沿って螺旋形に延びるカッティング・エッジを形成する。 螺旋溝または非螺旋溝を有する前述のタイプの器具を製造するための別の方法は、器具ブランクを、回転研削ホイールを通過するように進める加工プロセスによるものである。 その後、器具ブランクは割り出され、研削ホイールを通過するように再び進められ、これらステップが、器具ブランクを所望の断面に形成するのに必要な回数繰り返される。 しかし、この溝研削プロセスは、カッティング軸線に沿う方向性表面仕上げを生成し、これは早期材料破壊を伝播させる。 また溝研削プロセスは材料に加工応をもたらし、器具ブランクの結晶粒構造を切断する。 さらに、これらの直接研削方法は、時間がかかり、費用がかかる。 また、最終製品に形成される断面形状の種類を制限する。
    【0005】
    過去数年にわたって、螺旋溝を有する歯内器具は、細い炭素鋼またはステンレス鋼のロッドもしくはワイヤを、同時に研削およびねじることによって製造されている。 具体的には、まず、鋼ワイヤ・ブランクが、正方形、三角形、菱形など所望の断面形状に、また適切なサイズおよびテーパに研削される。 次いで、研削されたブランクが一端で把持され、ばね式ジョーが、ブランクの研削部分と接触される。 ブランクが把持端部から回転されるとき、ジョーは、その端部から離れるように軸線方向に移動される。 それにより、ジョーが、回転するブランクをねじり、ブランクに螺旋溝を形成する。 ブランクの長手方向研削エッジが、ファイル上の螺旋カッティング・エッジを形成する。 軸線方向のジョー速度、ねじり速度、およびばね力が、所望の螺旋形状を得るように制御される。
    【0006】
    炭素鋼およびステンレス鋼の器具は、通常は堅く、これは根管治療中に過失をもたらす可能性がある。 ニッケルチタン合金など超弾性材料の出現により、歯内器具製造業者は、現在、はるかに大きな自由度で歯内根管ファイルおよびリーマを形成することができる。 これにより、歯内治療医は、根管処置でのファイルまたはリーマの使用中に大変助けられている。 しかし、超弾性材料の使用は、加えられた力を解放した後に材料が元の形状に戻る傾向により、いくつかの重大な製造面での問題をもたらす。 超弾性材料から製造されるファイルまたはリーマ・ブランクは、通常、炭素鋼およびステンレス鋼のファイルおよびリーマを製造するのに採用される従来のねじり方法に対して、上述の様式で反応する。 さらに、溝形成処置中に大きくねじりすぎるなど、超弾性ブランクに過剰な応力が加えられた場合、材料が損傷を受ける。 このような理由から、現在の歯内器具製造者は、ブランクにねじり力を加えずに、螺旋プロフィルを超弾性ブランクに直接研削するという方法をとる場合がある。 これらの直接研削方法は時間がかかり、費用のかかるものである。 これらはまた、最終製品に形成される断面形状の種類を制限する。
    【0007】
    米国特許第6,149,501号は、超弾性歯内器具を製造するための方法であって、少なくともねじり操作の前、好ましくはねじり操作前および操作中に、好ましくはオーステナイト仕上げ温度(Af)よりも高い温度で、ブランクが提供されてオーステナイト相に維持されている超弾性歯内器具の製造方法を提供する。 ねじり操作中、材料は、ねじり操作中に加えられる応力によってオーステナイト相からマルテンサイト相に変わる。 すなわち、超弾性材料は、100%オーステナイト相からの応力誘起マルテンサイト変態を受ける。 この方法のためには、ねじり操作がAf温度よりも高い温度で行われるので、高温工具類が必要である。 好ましくは、工具類およびファイル・ブランクを、500℃以上の温度の油または塩溶液など加熱液体中に浸漬して、材料を100%オーステナイト相にする。 しかし加熱液体は、通常、工具類に対する腐食性がある。
    【0008】
    【発明が解決しようとする課題】
    上述の背景を念頭におけば、ファイルやリーマなどの歯内器具のために、研削および/またはねじり技法に関する上述した欠点を回避し、螺旋溝または非螺旋溝を有する器具を提供し、また可撓性があり且つねじり破断に対する高い耐性がある歯内器具の製造方法が必要とされる。 さらに、高温工具類を必要としないねじり技法を使用して様々な超弾性歯内器具を製造する方法を提供することがより望まれる。
    【0009】
    【課題を解決するための手段】
    本発明は、低温で、例えば約100℃未満の温度で、有利には周囲温度で器具ブランクをねじることによってブランクに螺旋溝を形成することができる、超弾性歯内器具を形成するための方法を提供する。 このために、ニッケルチタン合金ワイヤなど超弾性材料のワイヤが器具ブランクとして形成され、ねじり前に、超弾性材料が、菱面体相、オーステナイト相とマルテンサイト相との組合せ、菱面体相とオーステナイト相との組合せ、菱面体相とマルテンサイト相との組合せ、または菱面体相とオーステナイト相とマルテンサイト相との組合せである相構造を有する焼きなまし状態(アニール状態)にされる。 この焼きなまし状態では、器具ブランクが低温でねじられて、器具に望まれる最終的なねじれ形状に形成される。 次いで、ねじられた器具が、例えば少なくとも約300℃の温度で熱処理され、その後すぐに急速に焼入れして超弾性状態にされる。 超弾性材料を焼きなまし状態で提供するために、材料を、約250〜700℃の範囲の温度、有利には約350〜550℃で焼きなまし、次いで周囲温度まで冷却することができる。 この焼きなましは、合金ワイヤを器具ブランクとして形成する前に、または器具ブランクが形成された後に行うことができる。 ねじられた器具を急速に焼入れした後に、この方法はさらに、例えば約2〜6時間にわたって、約150〜300℃の範囲の温度での応力緩和熱処理を含むことができる。
    【0010】
    本発明はさらに、螺旋溝または非螺旋溝を有し、また無方向性表面仕上げを有する硬い表面と弾性カッティング・エッジとを有し、可撓性があり且つねじり破断に対する耐性を有する歯内器具を製造するための方法を提供する。 そのために、EDMまたはECMによって器具ブランクに溝が形成される。 EDMは、放電加工、ワイヤ放電加工、および放電研削を含めた加工方法を表す。 ECMは、電気化学的加工を表す。 EDMまたはECMプロセスを使用して、材料が器具ブランクから除去されて所望の溝パターンが形成され、最も金属が除去される箇所で器具ブランクの直径の少なくとも約25%が除去される。 EDMまたはECMプロセスは表面材料を分解し、表面材料が冷却するとき、除去された材料の少なくとも一部が、加工された表面上に、すなわち形成された溝上に再付着して、鋳直し層(再鋳造層)を形成する。 器具上の鋳直し層は、器具ブランクを形成する材料の硬度よりも少なくとも約15%高く、例えば約15〜25%高い表面硬度を有する。 したがって、表面硬度は溝に沿って増大し、これは、歯内器具に対してかなり堅く、より弾性のあるカッティング・エッジを提供する。 さらに、EDMまたはECMプロセスは、無方向性表面仕上げを生み出し、それにより、従来の研削技法による方向性表面仕上げによって伝搬される早期材料破壊の誘発が回避される。
    【0011】
    本発明の1つの例示方法によれば、器具ブランクをその中心長手方向軸線の周りで回転させ、それとともに、電極を通して器具ブランクを進めることによって螺旋溝を形成することができる。 本発明の代替例示方法では、器具ブランクを静止状態に保ち、それとともに、器具ブランクを通して電極を進めることによって、軸線方向に一直線に非螺旋溝を形成することができる。 したがって、螺旋溝設計と非螺旋溝設計の両方で、器具の作業長に沿って、歪みが最小化され、無方向性表面仕上げで、硬化カッティング・エッジを有する精密歯内器具を効率的に製造するための方法が提供される。
    【0012】
    本発明はさらに、器具ブランクをEDMまたはECMによって形成し、その後ブランクを低温でねじって螺旋溝を形成する方法を提供し、それによりEDMおよびECMによって達成される表面仕上げおよび硬度の利点をもつ低温ねじり方法を提供する。
    【0013】
    本明細書に組み込まれ、本発明の一部を構成する添付図面が、本発明の実施形態を例示し、上述した本発明の一般的な説明、および後述の詳細な説明とともに本発明を説明する。
    【0014】
    【発明の実施の形態】
    全図面を通じて、同じ部分を表すために同じ参照番号を使用する。 まず、図1を参照すると、本発明の一実施形態に従って構成された歯内器具10が、歯12に対する根管処置中に使用されている様子が示されている。 歯12は、根管14、16と、ドリル(図示せず)など別の器具を使用してはじめに開けられている上側内部18とを含む。 器具10は、以下により詳細に論じるように、例えば歯内治療医が手で把持するためのハンドル20と、溝を有する作業長22とを含む。 これらの器具は、通常、手で操作されるが、本発明を動力作動式の器具に適合させることもできる。 従来は、器具10を、歯内治療医が矢印「A」の方向に回転させ、矢印「B」の方向に往復運動させて、根管16から汚れを取り、広げることができる。 器具10の作業長22は、図1および図1Aに示されるように、螺旋溝24を含むことができる。 あるいは、図1Bに示されるように、作業長22が非螺旋溝26を備える器具11を使用することもできる。 螺旋溝24は、器具10の中心長手方向軸線Cの周りで螺旋を描き、非螺旋溝26は、軸線方向に一直線になって器具11の中心長手方向軸線Cに沿って延びている。
    【0015】
    本発明の器具は、有利には超弾性材料を含む。 超弾性材料は、通常、実質的な変形後に元の形状に戻る金属合金である。 ニッケルチタン(NiTi)合金などの超弾性合金は、塑性変形することなく、ステンレス鋼など従来の材料よりも数倍大きな歪に耐えることができる。 さらに、超弾性材料は、周囲温度でねじった後、一般に約6%回復し、一方ステンレス鋼はねじり後に1〜2%しか回復しない。 典型的には、超弾性合金は、形状記憶特性を可能にする応力誘起マルテンサイト変態を受ける。 超弾性は組成および材料処理による機能であり、したがって、その組成および処理の履歴が超弾性特性を示すことができるようなものである場合に材料が超弾性になることを当業者は理解できよう。 形状記憶および超弾性特性は、正規組成のNiTi、ほぼ同じ原子数のNi−Ti(例えば50.8原子%のTiと49.2原子%のNi)、Ni−Ti−Cu、Ni−Ti−Nb、およびNi−Ti−Fe合金、ならびにベータ相チタンまたは他のTiベース合金で見出すことができる。 本発明で使用する超弾性材料は、有利には、少なくとも約40原子%のチタンを含む。 さらに他の例として、超弾性材料は、ニッケルチタン、またはさらにニオビウム、銅、鉄、クロム、コバルト、バナジウム、ハフニウム、もしくはパラジウムを含むニッケルチタン合金とすることができる。 制限する意図はないが、本発明で使用されるNiTi合金は、有利には、最適な形状記憶および超弾性特性を提供するために約52〜57原子%のNiを含む。 例えば、例示的な合金は、54〜55原子%のNiを含み、残部がTi、またはTiおよび1つまたは複数の合金元素である。 さらなる例示的な合金には、54Ni−46Tiおよび41Ni−50Ti−9Nbが含まれる。
    【0016】
    本発明は、超弾性特性を示す多くの材料を利用することができるので、本発明の歯内器具に使用される特定の合金組成は重要ではない。 例えば、全体を参照により本明細書に組み込む米国特許第5,044,947号および第5,429,501号が、それぞれニッケルチタン銅合金およびベータ相チタン合金を開示し、全体を参照により本明細書に組み込む「Ni−Ti−Nb ALLOY PROCESSING METHOD AND ARTICLES FORMED FROM THE ALLOY」という名称の米国特許出願第08/839,965号がNiTiNb合金を開示している。
    【0017】
    本発明は、ねじり操作が低温で、または周囲温度で行われ、それにより高温耐性工具類および腐食性高温塩浴の必要性をなくした、ファイルやリーマなどの超弾性歯内器具を形成するための方法を提供する。 高温ねじり操作をなくすことによって、ステンレス鋼材料に従来使用されているねじり機器を、ニッケルチタン合金から作成される器具などの超弾性歯内器具を形成するための方法に使用することができる。 さらに、高温および腐食性液体浴をなくすことによって、より安全なプロセスが提供される。
    【0018】
    本発明の方法の最初の部分は、ニッケルチタン合金など超弾性材料が、菱面体相、菱面体相とマルテンサイトおよびオーステナイトの一方または両方との組合せ、あるいはオーステナイト相とマルテンサイト相との組合せを含む相構造を有する焼きなまし状態になっている器具ブランクを提供するステップを含む。 焼きなまし状態のブランクを得るために、どちらのステップが最初に実行されてもよい2ステップ・プロセスが行われる。 2ステップの一方は、超弾性材料のワイヤからブランクを形成するステップを含む。 ブランクは、さらに以下に論じるように、放電加工、ワイヤ放電加工、および放電研削を含めたEDMによって、またはECMによって形成することができる。 あるいは、器具ブランクは、研削によって形成することができる。 しかし、EDM/ECMプロセスは、以下にさらに詳細に述べるように、歯内器具の形成においていくつかの利点を提供する。 例えば、EDM/ECMプロセスは、研削法によって誘発される加工応力を低減し、またはなくし、無方向性表面仕上げを生成し、それにより研削法によって生じる方向性表面仕上げによって伝搬される早期材料破壊の誘発が回避される。
    【0019】
    焼きなまし状態の器具ブランクを提供するための2ステップ・プロセスのもう一方のステップは、焼きなましステップであり、これは、器具ブランクを形成する前にワイヤに対して行うことも、器具ブランク形成後に器具ブランクに対して行うこともできる。 焼きなましステップは、100%オーステナイトと100%マルテンサイトとの間の所望の相構造を有する状態に合金を導くのに十分な温度および時間で合金を焼きなますステップを含む。 相構造は、有利には菱面体相である。 菱面体相が唯一の相であってもよく、あるいは相構造がさらに、オーステナイトおよび/またはマルテンサイトを含んでいてもよい。 あるいは、相構造を、オーステナイトとマルテンサイトの組合せにすることもできる。 当業者によって理解されるように、焼きなましとは、ある温度まで合金を加熱し、合金の所望の変化をもたらすのに十分な時間にわたってその温度を保つことを表す。 所望の相構造を誘起するのに十分な温度は、特定の合金に依存し、しかし通常、現在知られている超弾性材料では約250〜700℃の範囲にあり、有利には約350〜550℃の範囲にある。 当業者は理解することができるように、所望の相構造を誘起するのに十分な時間も、特定の合金と、ワイヤまたはブランクのサイズとに依存する。 一般に、焼きなまし時間は、約15秒〜約20分の範囲であり、例えば約30秒〜約2分である。 限定的ではなく単に他の例として、1mm直径ワイヤを、15秒の期間にわたって約495℃の温度で焼きなまして、90%以上で100%未満のオーステナイトを含み、残りが菱面体相である相を誘起することができる。 焼きなまし後、材料は、室温または周囲温度まで冷却され、その後、所望の相構造を含む焼きなまし状態で留まる。 この2ステップの形成および焼きなまし方法によって、菱面体相のみ、またはオーステナイトおよび/またはマルテンサイトと組合せた菱面体相の超弾性材料、あるいはオーステナイトとマルテンサイトとの組合せである相構造の超弾性材料を含む、焼きなまし状態の器具ブランクが提供される。
    【0020】
    この2ステップ法によって、歯内器具の製造者が、例えば焼きなまし状態のニッケルチタン合金ワイヤを得ることができ、それによりワイヤ製造者が焼きなまし処理を行い、歯内器具製造者が器具ブランクを形成し、その後ブランクをねじって溝付き器具を形成することを理解できよう。 あるいは、歯内器具製造業者が、非焼きなまし状態でワイヤを得て、器具製造プロセスの一部として焼きなまし処理を行うことができる。
    【0021】
    本発明の方法はさらに、低温で、例えば約100℃未満の温度で、焼きなまし状態にある器具ブランクをねじって、歯内器具に関する最終的なねじれ形状にするステップを含む。 あるいは、ねじりステップを周囲温度で行い、それによりブランクおよび工具類などの機器を高温塩浴内に浸漬する必要、またはそれらを他の高温方法にさらす必要をなくす。 例えば最大約100℃の低温は、従来技術で使用される非常に高い温度も不要とする。 したがって、従来の熱処理オーブンを、塩浴または他の高温加熱方法ではなく、低温加熱に使用することができる。
    【0022】
    本発明の方法のねじり操作は、例えば、図2に示される装置30などの装置を用いて実施することができる。 ねじり装置30は、平軸線の周りで回転するドライブ・ヘッド31を含む。 ドライブ・ヘッド31からコレット32が延びており、コレット32は、事前成形された器具ブランク23の近位端または内端を円周方向で把持して固定し、長手方向軸線の周りで回転できるようにしている。 器具ブランク23の遠位端部または外端部は、対向するジョー34、35によって固定され、ジョーは、図1Aに示される螺旋溝付きファイル10などのねじれた器具を形成するために器具ブランク23をねじるようにコレットが回転するときに、所定の速度でコレット32から離れるように、器具ブランクの長手方向軸線に平行に(図2に示されるように水平方向に)移動するステージ36上に取り付けられている。 少なくとも1つのジョーがばねまたは空気シリンダ37を含み、それにより、そのジョーを、対向するジョーに向けて一定の力で圧縮することができる。 各ジョー34、35が保護層38、39を含み、保護層は、可鍛性があり、例えば最大約100℃の場合があるファイル・ブランク23の作業温度に耐えることができる。 真鍮が、適するものとして知られている1つの材料である。 後続のファイルが形成されるとき、ジョー34、35は、必要であれば、テークオフ・リールなどの供給源38a、39aからの新たな保護層38、39を備えることができる。 装置30は、本発明の方法で使用することができるねじり装置の単なる例であり、現在知られている装置、または今後開発される他の装置を、本発明の範囲または精神を逸脱することなくねじり操作に使用することができることを当業者は理解できよう。
    【0023】
    器具ブランクをねじってその最終形状にした後、ねじれた器具を熱処理し、その後、ねじれた器具を急速に焼入れして超弾性状態にする。 熱処理は、約300〜800℃の範囲、例えば約400〜600℃の範囲の温度で行うことができる。 熱処理は、従来の熱処理オーブン、電気加熱、誘導加熱によって、または加熱された液体中にねじれた器具を浸漬することによって行うことができる。 急速焼入れは、熱処理後すぐに行われ、それにより器具は、数分の1秒から数秒のうちに超弾性状態に冷却される。
    【0024】
    さらに、焼入れ後に、ねじれた器具に応力緩和熱処理を施すことができる。 材料内部での応力を緩和するために、器具を、例えば従来の熱処理オーブン、電気加熱、誘導加熱によって、または加熱された液体中への浸漬によって、例えば約150〜300℃の温度まで加熱することができる。 応力緩和熱処理は、例えば約2〜6時間にわたって行うことができる。
    【0025】
    したがって、本発明の方法により、従来の鋼製器具よりも高いねじれおよび曲げ可撓性を有し、従来の超弾性器具製造技法よりも改善されたプロセスによって製造されるファイルまたはリーマといった超弾性歯内器具が提供される。 一般に、本発明は、超弾性歯内器具ブランクをEDM、ECM、または研削によって形成し、次いで周囲温度または低温でねじって、超弾性特性を有する溝付き器具を製造することができるプロセスを提供する。 本発明により、ねじり操作に関する高温工具類が必要なくなる。
    【0026】
    本発明のEDM/ECM方法は、図3に示される装置40などの装置を用いて実施することができる。 溝を形成する前に、望みであれば、円筒形ロッドまたはワイヤを器具ブランク23として形成することができる。 本発明の方法の一実施形態では、器具ブランク23は、EDMまたはECM法によって形成することができる。 本発明の別の実施形態では、器具ブランクは、研削など従来の技法によって形成することができる。 装置40は、本発明の方法を実施するためのEDM/ECM装置の一例である。 装置40は、30〜46°の動作で同時に傾斜する軸線Xと、360°の動作で回転する軸線Yとを備える「V」ブロック・サポート42を含む。 「V」ブロック・サポート42は、わかりやすいように90°回転させて示してある。 装置40はさらに、中心軸線Zの周りで回転可能であり、円形電極48を支持するための電極ホルダ46を有する機械スピンドル44を含む。 ECM法では電極がカソードであることを当業者は理解できよう。 器具ブランク23は、「V」ブロック・サポート42内に保持され、回転軸線Yの周りで「V」ブロック・サポート42を回転させることによって中心長手方向軸線Cの周りで回転するようにされている。 器具ブランク23および電極48の動作は、CNCコントローラ(図示せず)によってデジタル式に制御された、事前プログラムされた経路に従うことができ、コントローラにプログラムされたパターンに従って溝パターンを生成する。
    【0027】
    図1Aにおける器具10など螺旋溝24を有する歯内器具10を形成するために、器具ブランク23は、割出し取付具である「V」ブロック・サポート42内に保持され、その中心長手方向軸線Cの周りで回転される。 器具ブランク23は、回転しながら電極48を通り過ぎるように進められ、一方、電極は静止状態で保たれるか、または中心軸線Zの周りで回転される。 器具ブランク23は、比較的遅いフィード速度で、例えば約0.635cm〜約10.16cm/分(約0.25〜約4インチ/分)で電極48を通り過ぎるように進められ、それにより電極48は、最大金属除去箇所において器具ブランク23の直径の少なくとも約25%を除去し、器具ブランク23に螺旋表面または溝24を形成する。 次いで、器具ブランク23は、「V」ブロック・サポート42を回転させることによって、その中心長手方向軸線Cの周りで180°以下の角度だけ回転によって割り出され、器具ブランク23は、再び電極48を通り過ぎるように進められて、器具ブランク23に第2の螺旋面または溝24を形成する。 割出しおよび溝形成ステップは、歯内器具10に所望の数の溝24を形成するのに必要な回数だけ繰り返すことができる。
    【0028】
    図1Bにおける器具11など非螺旋溝26を有する歯内器具11を形成するために、器具ブランク23が、「V」ブロック・サポート42によって静止状態で保たれ、電極48が、静止している器具ブランク23を通り過ぎるように比較的遅いフィード速度で進められ、それにより電極は、最大金属除去箇所において器具ブランク23の直径の少なくとも約25%を除去し、器具ブランク23に非螺旋表面または溝26を形成する。 非螺旋であることは、溝が軸線方向に配列されていることを意味する。 次いで、器具ブランク23は、「V」ブロック・サポート42を回転させることによって、その中心長手方向軸線Cの周りで180°以下の角度だけ回転によって割り出され、電極48が再び器具ブランク23を通り過ぎるように進められて、第2の非螺旋溝26を形成する。 割出しおよび溝形成ステップは、歯内器具11に所望の数の非螺旋溝26を形成するのに必要な回数繰り返される。
    【0029】
    EDMおよびECMプロセスは、歯内器具を製造する際に従来の研削技法に勝る明確な利点を提供する。 EDMおよびECMプロセスは、器具ブランクに電極が直接接触しないように材料を分解し、それにより従来の研削法によって誘発される加工応力をなくす。 EDMおよびECMプロセスは、除去された材料が分解されて冷却されるときに表面上に材料を再付着させ、溝上に鋳直し層をもたらし、これは、器具ブランクの開始材料に比べて少なくとも約15%、例えば15〜25%増加した表面硬度を有し、それによりかなり堅く、より弾性のあるカッティング・エッジを提供する。 さらに、EDMおよびECMプロセスは、無方向性表面仕上げを生成し、それにより研削技法によって生成された方向性表面仕上げによって伝搬される早期材料破壊の誘発をなくす。 さらに、この器具ブランクは、溝を形成する前に所望の断面形状に事前研削する必要がなく、一方この事前研削は、所望の螺旋溝を得るためにファイルを永久的にねじる際には行わなければならなかった。
    【0030】
    歯内器具に関するEDMおよびECMプロセスの別の利点は、EDMおよびECMに関連する様々な変数を調整することによって、器具ブランクの表面仕上げ、および器具の溝付き部分の表面仕上げを、精密なものから粗いものまで変えることができ、それにより様々なカッティング性能、および溝のカッティング・エッジに沿った多様な表面硬度をもたらす。 さらに、電極上に様々な表面パターンまたはテクスチャを生成することによって、また処理される器具ブランクに電極の表面上の逆イメージを直接転写することができるEDMおよびECMの能力によって、EDMまたはECMによって加工される器具ブランクの表面上に様々な表面テクスチャおよびパターンを生成することができる。 表面テクスチャ形成および多様な表面仕上げは、器具によるカッティング性能を高める。 EDMおよびECMプロセスはさらに、器具弾性を高める。 したがって、EDMおよびECMプロセスは、従来認識されていなかった歯内器具の製造に対する明確な利点を提供する。
    【0031】
    器具ブランクに使用される材料は、超弾性ニッケルチタン合金などのチタン合金を含むワイヤ状ロッドであっても、ステンレス鋼または鋼合金であってもよい。 超弾性材料は、そのような材料の高い可撓性によって、有利に使用される。
    【0032】
    本発明のEDMおよびECMプロセスはさらに、器具に対して形成し得る溝の特定の設計に高い柔軟性を提供する。 図4A〜図4Iは、本発明に従って形成することができる様々な例示溝設計の横方向断面図を提供する。 図4Aは、器具ブランク56の周縁面に形成された2つの連続螺旋溝52、54を有する器具50の断面を提供する。 本発明の方法では、第1の溝52がEDMまたはECMによって形成され、次いで器具ブランク56が180°割り出され、第2の溝54がEDMまたはECMによって形成される。 2つの追加の溝53、55を形成して、図4Bの断面で示される器具58を提供することができる。 器具58を製造する方法は、EDMまたはECMによって溝52を形成し、次いでブランク56を90°割り出し、第2の溝53を形成し、次いでブランク56を90°割り出し、第3の溝54を形成し、次いでブランク56を90°割り出し、最後に第4の溝55を形成するステップを含むことができる。 あるいは、この方法が、第1の溝52を形成し、次いでブランク56を180°割り出し、第2の溝54を形成し、次いでブランクを90°割り出し、第3の溝53を形成し、次いでブランク56を180°割り出し、第4の溝55を形成するステップを含んでいてもよい。 図4Cの断面で示される器具60は、4つの溝52、53、54、55を有する点で器具58と同様であるが、しかし菱形横方向断面を有している。 器具60を形成するための方法は、第1の溝52を形成し、次いでブランク56を120°割り出し、第2の溝53を形成し、次いでブランク56を60°割り出し、第3の溝54を形成し、次いでブランク56を120°割り出し、最後に第4の溝55を形成するステップを含む。 図4Dの断面で示される器具62は、3つの溝52、53、54、および三角形横方向断面を有する。 器具62は、ファイル・ブランク56を120°の増分で割り出すことによって製造することができる。 図4A〜図4Dのそれぞれにおいて、加工面すなわち溝52、53、54、55が凹形状を有している。 凹面間の頂点が、螺旋カッティング・エッジ64を形成し、各図で3つ、または4つのカッティング・エッジ64を含んでいる。 溝の凹形状によって、頂点の角度はより鋭くなり、これは鋭いカッティング・エッジ64を提供する。
    【0033】
    図4E〜図4Hは、図4A〜図4Dの凹形溝ではなく、平坦溝を有する器具に関する様々な横方向断面を示す。 平坦面間の頂点が、螺旋カッティング・エッジ68を形成し、各図で3つ、または4つのカッティング・エッジ68を含んでいる。 溝の平坦形状により、頂点の角度はあまり鋭角が強くなく、これは、より長い作業寿命をもたらすより頑丈なカッティング・エッジ68を提供する。 図4A〜図4Dの鋭角カッティング・エッジは鋭く、しかし材料がより少量であるのでより脆弱であり、図4E〜図4Hのあまり鋭角が強くないカッティング・エッジはあまり鋭くなく、しかしより頑丈であり、より長い作業寿命を有する。
    【0034】
    図4Eの断面で示される器具70は、3つの平坦螺旋溝72、73、74によって形成される三角形横方向断面を有し、これらの溝は、順次、形成ステップ間ごとに器具ブランク76を120°割り出すことで、ECMまたはEDMによって形成することができる。 図4Fに示される器具78は、例えば図2Aの線4Fに沿って取られた正方形横方向断面を有し、4つの平坦螺旋溝72、73、74、75を有する。 器具78は、図4Bの器具58を形成するために使用されるのと同じ方法によって形成することができ、しかし凹面ではなく平坦面を形成する切断経路を用いている。 図4Gに示される器具80も、4つの平坦螺旋溝72、73、74、75を有するが、長方形横方向断面を有する。 例えば、器具80を形成するための方法では、第1の平坦面または溝72をEDMまたはECMによって形成することができ、次いで器具ブランク76を90°割り出す。 初期切込み深さを増大して、第2の平坦面または溝73をEDMまたはECMによって形成する。 器具ブランク76を再び90°割り出し、初期切込み深さを減少して溝74を形成する。 次いで、ブランク76を最後の90°割り出し、初期切込み深さを増大して溝75を形成する。 あるいは、溝72をEDMまたはECMによって形成することができ、次いで器具ブランクを180°割り出し、溝74を形成する。 次いで、ブランク76を90°割り出し、初期切込み深さを増大して溝73を形成する。 次いで、ブランク76を180°割り出し、溝75を形成する。 図4Hに示される器具82も、平坦螺旋溝72、73、74、75を有し、しかし菱形横方向断面を有している。 器具82を形成するための方法は、溝72を形成し、次いでブランク76を120°割り出し、溝73を形成し、次いでブランク76を60°割り出し、溝74を形成し、次いでブランク76を120°割り出し、最後に溝75を形成するステップを含む。 正方形、三角形、および菱形器具を製造するのに初期切込み深さを変える必要はない。
    【0035】
    図4Iは、凹面を有する非螺旋溝26を有する図1Bの器具11の線4Iに沿った横方向断面を示す。 この例示実施形態では、溝26は不均一な凹形であり、間に凸形ランド28を有する。 頂点が形成されており、そこで溝26がランド28と合流して6つのカッティング・エッジ29を形成している。 溝26およびカッティング・エッジ29は、作業長22に沿ってテーパを付けられている。 本発明に従って使用されるEDMおよびECMプロセスは、図1Bおよび図4Iに示されるものなど複雑なプロフィルを有する歯内器具の簡単な製造を可能にする。 しかし、示したもの以外の他のプロフィルを本発明に従って形成することができることも理解できよう。
    【0036】
    溝を形成するためのEDMおよびECMの使用を説明した上述の実施形態に加え、EDMおよびECMプロセスは、器具ブランクを形成する際にも有用であり、これは溝を形成するために後でねじりを使用するかEDM/ECMを使用するかに関わらない。 したがって、本発明はさらに、第1に、EDMまたはECMプロセスによって所望の横方向断面の溝面を有するブランクを形成し、第2に、ブランクをねじって螺旋溝を形成することによって準備される、複数の螺旋溝を有する歯内器具を提供する。 最大金属除去箇所においてワイヤまたはロッドの直径の少なくとも約25%を除去し、除去された材料の一部を再付着して、ワイヤまたはロッド材料の硬度よりも少なくとも約15%高い硬度を有する鋳直し層を形成することによって溝面が形成される。 ねじりは、例えば、米国特許第6,149,501号および第5,984,679号に従って、または図2を参照して上述した方法に従って得ることができる。 器具ブランクを形成するために使用されるEDMまたはECMプロセスは、ブランク上に鋳直し層をもたらし、これは、開始材料に比べて少なくとも約15%、例えば15〜25%増加した表面硬度を有し、それによりねじり後にかなり堅く、より弾性のあるカッティング・エッジを提供する。 さらに、EDMまたはECMプロセスは、無方向性表面仕上げを生成し、それにより研削技法により生じる方向性表面仕上げによって伝搬される早期材料損傷の誘発をなくす。
    【0037】
    本発明を、本発明の実施形態の説明によって例示し、実施形態をかなり詳細に説明してきたが、本発明は、頭記の特許請求の範囲をそのような詳細例に制限するもの、あるいは何らかの限定を加えるものではない。 追加の利点および修正形態が当業者に容易に明らかになろう。 したがって、より広範な態様での本発明は、図示して説明した特定の詳細な例示装置および方法、ならびに示した例に限定されない。 したがって、本出願人の一般的な発明概念の範囲または精神を逸脱することなく、そのような詳細例から逸脱してもよい。
    【図面の簡単な説明】
    【図1】歯と、根管内部で使用した状態で示される本発明による歯内器具との断面図である。
    【図1A】螺旋溝を有する本発明による歯内器具の側面図である。
    【図1B】非螺旋溝を有する本発明による歯内器具の斜視図である。
    【図2】本発明による超弾性ファイルを製造する際に使用される装置の1タイプの概略斜視図である。
    【図3】本発明による歯内器具を形成するための例示装置の概略側面図である。
    【図4A】図3の装置を使用して形成された器具の中心長手方向軸線に垂直な横方向断面図である。
    【図4B】図3の装置を使用して形成された器具の中心長手方向軸線に垂直な横方向断面図である。
    【図4C】図3の装置を使用して形成された器具の中心長手方向軸線に垂直な横方向断面図である。
    【図4D】図3の装置を使用して形成された器具の中心長手方向軸線に垂直な横方向断面図である。
    【図4E】図3の装置を使用して形成された器具の中心長手方向軸線に垂直な横方向断面図である。
    【図4F】図3の装置を使用して形成された器具の中心長手方向軸線に垂直な横方向断面図である。
    【図4G】図3の装置を使用して形成された器具の中心長手方向軸線に垂直な横方向断面図である。
    【図4H】図3の装置を使用して形成された器具の中心長手方向軸線に垂直な横方向断面図である。
    【図4I】図3の装置を使用して形成された器具の中心長手方向軸線に垂直な横方向断面図である。
    【符号の説明】
    10 歯内器具12 歯14、16 根管20 ハンドル22 作業長23 器具ブランク24 螺旋溝26 非螺旋溝29 カッティング・エッジ30 ねじり装置31 ドライブ・ヘッド32 コレット34 ジョー36 ステージ37 ばねまたは空気シリンダ38、39 保護層38a、39a 供給源42 「V」ブロック・サポート44 機械スピンドル46 電極ホルダ48 円形電極

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