Method of manufacturing a medical guide wire

申请号 JP2003181956 申请日 2003-06-26 公开(公告)号 JP4141336B2 公开(公告)日 2008-08-27
申请人 朝日インテック株式会社; 发明人 富久 加藤; 憲次 宮田;
摘要
权利要求
  • 所定長単線の被加工金属細線 である伸線加工したオーステナイト系ステンレス鋼線を用いて、前記被加工金属細線の中間点を固定端と成し、 前記中間点の両側の対称1対の各半部分に、引張り荷重を付与しながら同時に 、1次捻回加工と前記1次捻回加工の逆方向に2次捻回加工を施して前記1次捻回加工の捻回総数と前記2次捻回加工の捻回総数に差を設け、前記捻回加工と同時に前記被加工金属細線に電流導通させて、電気抵抗加熱の加工による残留応力除去の熱処理を施 し、前記被加工金属細線を主線材として用いたことを特徴とする 医療用ガイドワイヤの製造方法。
  • 所定長単線の被加工金属細線 である伸線加工したオーステナイト系ステンレス鋼線を用いて、前記被加工金属細線の一端を固定端と成し、線長方向に引張り荷重を付与しながら、1次捻回加工と、 前記 1次捻回加工の逆方向 2次捻回加工を施し て前記1次捻回加工の捻回総数と前記2次捻回加工の捻回総数に差を設け、前記捻回加工と同時に前記被加工金属細線に電流導通させて、電気抵抗加熱の加工による残留応力除去の熱処理を施 し、前記被加工金属細線を主線材として用いたことを特徴とする 医療用ガイドワイヤの製造方法。
  • 前記2次捻回加工の捻回総数が、前記1次捻回加工の捻回総数の0 .1 5倍以上1.5倍以下である請求項1または2のいずれか一つに記載の医療用ガイドワイヤの製造方法。
  • 線長方向に分割したゾーン毎に、異なる捻回加工を施すことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の医療用ガイドワイヤの製造方法。
  • 線長方向に分割したゾーン毎に、異なる 熱処理を施す ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の医療用ガイドワイヤの製造方法。
  • 前記1次捻回加工と前記1次捻回加工の逆方向の前記2次捻回加工をセットにして、複数回反復することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の医療用ガイドワイヤの製造方法。
  • 熱処理後に、外周に電解研磨を施すことを特徴とする請求項1〜6のいずれか 一つに記載の医療用ガイドワイヤの製造方法。
  • 说明书全文

    【0001】
    【発明の属する技術分野】
    本発明は、主としてカテーテル・カテーテル用ガイドワイヤ・内視鏡用処置具等の医療用器具の主線材として使用する可撓性線状体の金属細線の製造方法と、それによる金属細線を用いて成る医療用ガイドワイヤ等の医療用器具に関するものである。
    【0002】
    【従来の技術】
    曲りくねった血管内に挿入して先端部を病変部に導くカテーテル用ガイドワイヤや、体腔内に挿入して先端部を病変部に導く内視鏡用処置具は、真直性・トルク伝達性に優れた可撓性線状体の金属細線が主材を構成し、体外に位置する手元部の「押し・引き・回転」の手動操作によって先端部分から血管・体腔内に挿入して、その先端部分を病変部に導いて所要の治療を施す操作プロセスとなる。
    【0003】
    従って、先端部分からの挿入操作と治療を円滑にするためには、自由状態で真直性を有して全体が柔軟な可撓性にして曲げ変形からの良好な復元性を有すると共に先端部分が高柔軟性にして後端部分が応分の剛性を有する傾斜特性にして、前記の手動操作に先端部分が的確に順応する優れたステアリング性(高度の回転追従性・トルク伝達性)を備えた高度の機械的性質が必要になる。
    【0004】
    そこで、以上の必要機械的特性を具備する医療器具用金属細線として特許文献1・特許文献2に示す公知例があり、その特許文献1には「矯正ローラーを通して機械的に伸直線加工した後に、加熱処理して応除去を施して真直性に優れる医療用ガイドワイヤに成す金属細線の製造方法」が示されている。
    【0005】
    そして、特許文献2には「カテーテル用ガイドワイヤ等に用いる弾性形状記憶金属合金の細線を、張力付与の基に捩り加工して固定し、しかるのち、その張力及び捩りによって生ずる応力を除去する熱処理を施す金属細線の製造方法」が示されている。
    【0006】
    【特許文献1】
    特開平7−148267(要約、段落0026)
    【特許文献2】
    特表2000−512691(要約、請求項1)
    【0007】
    【発明が解決しようとする課題】
    前記公知例の特許文献1の製造方法による医療用ガイドワイヤは、線長方向の伸直性に優れるものの捩り特性が劣るので、医療用ガイドワイヤとしてのトルク伝達性・回転操作性のステアリング性に欠ける。
    【0008】
    そして、特許文献2の製造方法は形状記憶合金の材質限定にして、かつ、ガイドワイヤとしての単位長単品加工となるのでコスト高にして加工生産性に劣る。 そして、線材の1端から単なる1方向捻回加工のみを施す工法であることから、捻り特性が線長方向に不均質になると共に、その1方向捻回加工の逆方向の捻回特性が改良されていないので、例えば左右の任意方向に回転させながら血管内へ挿入操作する医療用ガイドワイヤとして用いたとき、前記の回転追従性・トルク伝達性が充分でなく、改良すべき難点がある。
    【0009】
    本発明は以上の従来技術の難点を解消する医療用ガイドワイヤの製造方法を提供するものである。
    【0010】
    【課題を解決するための手段】
    以上の技術課題を解決する本発明は「所定長単線の被加工金属細線の中間点を固定端と成し、該中間点の両側の対称1対の各半部分に、引張り荷重を付与しながら同時に捻回加工を施し、しかるのち、加工による残留応力除去の熱処理を施すことを特徴とする金属細線の製造方法」の第1発明と、「所定長単線の被加工金属細線の一端を固定端と成し、線長方向に引張り荷重を付与しながら、1次捻回加工と、該1次捻回加工の逆方向の2次捻回加工を施し、しかるのち、加工による残留応力除去の熱処理を施すことを特徴とする金属細線の製造方法」の第2発明と、
    【0011】
    その製造方法によって製造した高度の真直性・回転追従性の金属細線を、「本体線材・シャフト・ステント・スタイレット・針・プルワイヤ等として用いるカテーテル・バルーンカテーテル・医療用ガイドワイヤ・医療用内視鏡等の医療用器具」の用途発明から成っている。
    【0012】
    即ち、前記構成の本発明の金属細線の製造方法は、引張り荷重付与の金属細線に「線長方向に引張り荷重を付与しながら1方向の捻回加工」または「同じく引張り荷重を付与しながら相互に逆方向の1次捻回加工と2次捻回加工」を施すことによって「線長方向に一様にして、かつ、左右いずれの捻回方向にも高度の捻回剛性を付与する」思想から成るものである。
    【0013】
    そして、前記第2発明の製造方法は、1次捻回加工による捻回加工を保持した状態から、逆方向の2次捻回加工を施すものにして、その1次捻回加工は被加工金属細線の表面上に「滑り線(リューダース線)」が発生する近傍まで過捻回加工し、続いて、その1次捻回加工の捻回数に「概ね0.15倍以上1.5倍以下(好ましくは概ね0.2倍)の逆方向捻回」の2次捻回加工を施す態様を採択する。
    【0014】
    そして、前記の第1・第2発明の金属細線の製造方法は、前記用途発明の医療用器具の技術性能のさらなる向上を図る技術意図から「長手方向に分割した複数のゾーン毎に、捻回度または熱処理条件を異にする加工形態」「材質をオーステナイト系ステンレス鋼線に特定する態様」「外周を電解研磨する形態」等の態様を採択する。
    【0015】
    一方、前記第1発明の製造方法は、加工生産性の向上と製造品質の均一化を図る技術意図から、所定長倍長の被加工金属細線の中間点を固定保持し、その中間点の両側の対称一対の金属細線に同時に前記の捻回加工(1方向捻回のみ)を施して同時2本加工するツイン加工形態が特徴である。
    【0016】
    【作用】
    前記構成の本発明の金属細線の製造方法は、線長方向に引張り荷重を負荷した基において「前記の捻回加工」または「前記の1次捻回加工と2次捻回加工」を施すので、その捻回加工によって被加工金属細線の捻回弾性が低減除去されて、その捻り方向の捻回剛性が向上する。
    【0017】
    そして、前記の1次捻回加工と2次捻回加工を施すと、その2次捻回加工によって、同じくその捻回方向の捻回弾性が低減除去されて当該捻り方向の捻回剛性が向上し、この1次・2次捻回加工を受けた金属細線は左右いずれの方向にも捻回剛性が一様に向上する。
    【0018】
    そして、段落0013に示す前記第2発明の製造方法の態様のものは以下の特有作用がある。 即ち、降伏点伸びを有する金属細線を前記1次捻回加工で過捻回することにより「ずらしストレス」の発生が線体の全体に伝わり、1番弱いポイントで「滑り」が発生して線全体に波及して、一つの波状の線(滑り線)を発生させることにより、全体が均質化される。 続いて、この状態から前記2次捻回加工を施すので、「1次捻回加工で過捻回状態の金属細線は、該2次捻回加工によって該過捻回状態を一定レベルまで解放し、その状態で熱処理を施して応力除去する」加工プロセスとなるので、金属細線に極めて高度の真直性を付与することができる(過捻回状態のみで熱処理加工すると過捻回反発による自転・波打ち現象が激しく、また過捻回しない状態で熱処理したものは、波打ち変形は少ないが真直性が劣り、曲りぐせがつき易い)。
    【0019】
    さらに金属細線は、1端を固定端として他端の回転端から一方向に低い捻回数での捻回加工を施すと、その捻り方向に対する金属細線の弾性反力を有する部位と、塑性変形しはじめた部位との不均質により、線長方向に「うねり」又は「波打ち変形」を発生する定性がある。 しかし、前記の第2発明の製造方法は、その捻り方向を逆にする1次・2次捻回加工を施すので、被加工金属細線はその1次・2次捻回加工による左右2方向捻回の捻り度の総和によって線長方向に概ね一様な捻回度を有する高捻回剛性線に加工できる。
    【0020】
    そして、以上の捻回剛性向上を受ける金属細線は、引張り荷重が付与された真直形態で前記の1次・2次捻回加工が施され、それ等の加工による応力除去の熱処理が施されるので、可撓性を保持したまま線長方向の高度の真直性と、左右いずれの回転方向に対する「高度の回転追従性(高捻回剛性・高トルク伝達性)」を備えた金属細線に製造できる特有作用がある。
    【0021】
    そして、本発明の製造方法によって製造された金属細線を用いて成る本発明の医療用器具は、主要部材を構成する金属細線の前記の高度の回転追従性・真直性によって、それぞれの用途・用法における性能・操作性が向上する。
    【0022】
    【発明の実施の形態】
    本発明1実施形態の金属細線の製造方法を図1を参照して説明する。 即ち、この実施形態は図6に例示する医療用ガイドワイヤ20の主要構成部材として使用する金属細線の製造方法にして、通常の伸線加工によって必要径に伸線加工されて所要長に切断したオーステナイト系ステンレス材の単線細線の被加工金属細線2(以下、被加工細線2という)が加工装置10にセットされて下記に詳述する捻回加工と加工による残留応力除去の熱処理が施されて、「高度の真直性・回転追従性形態」に加工された金属細線1に成っている。
    【0023】
    詳しくは、まずカテーテル用ガイドワイヤ20として必要な所要長(概ね1,000〜1,500粍)に切断したオーステナイト系ステンレス細線の被加工細線2の一端を加工装置10の回転作動チャック11に固定セットする。
    【0024】
    そして他端を、被加工細線2の線長方向にスライド自在にして、かつ、所要重量の静荷重ウエイト13を吊設したスライド型固定チャック12にチャック固定し、静荷重ウエイト13によって回転作動チャック11と固定チャック12間にチャック固定した被加工細線2に所要の引張り荷重Wの捻回抵抗荷重を負荷してストレート状にセットする。
    【0025】
    続いて、その回転作動チャック11と固定チャック12に、電流発生部17から引き伸ばした導通線18を連結し、前記の引張り荷重負荷状態の被加工細線2に電流導通させて電気抵抗加熱による加熱処理可能状態に設定する。
    【0026】
    かくして、その捻回抵抗負荷・加熱処理可能状態にセットした被加工細線2を、図示X方向に捻回する1次捻回加工を施し、続いてその状態に保持したまま、その1次捻回加工の戻し捻回加工になる「該1次捻回加工と逆捻回方向の図示Y方向の2次捻回加工」を施し、その捻回加工と同時または捻回加工後に、電気抵抗加熱による「加工による残留応力除去」の熱処理を施して図1(C)に示す「高度の回転追従性・真直性付与形態」の金属細線1に加工する。
    【0027】
    続いて、その金属細線1の外周を電解研磨加工して所定形状に仕上げてガイドワイヤ20の主線材25に順次連続的に量産加工する。 なお、この実施形態の製造諸元は「 主線材25の直径 =0.342粍、1次捻回加工の捻回総数=125〜185回、2次捻回加工の捻回加工総数=18〜280回、抵抗加熱= 2.0〜2.3アンペアー3〜5分間、負荷荷重W=4〜6キログラム」である。
    【0028】
    以上の実施形態は前記の作用がある。 即ち、1次捻回加工を受けた被加工細線2は、回転作動チャック11側の1端3から固定チャック12側の他端4の方向へ捻回度が漸減徐変する図示2Aの形態となる。
    【0029】
    そして、その1次捻回加工の状態を維持して施す2次捻回加工による該2次捻回加工のみの捻回度は回転作動チャック11側の1端3から固定チャック12側の他端4の方向へ捻回が漸増徐変する伝播形態(図示2Bの形態)となり、この1次・2次捻回加工の相互の逆方向捻回度の複合と、該1次捻回加工の捻回総数と該2次捻回加工の捻回総数の差に基づいて、線長方向に概ね均等な捻回度形態に加工され、その捻回加工によって生じた捩り剛性が線長方向に一様に生じて線長方向に概ね一様な回転追従性・真直性を備えた金属細線1に加工される。 なお、図1(C)の各線材に示す波状曲線は、現物で視認困難な各線材の捻回形態を判り易くあらわしたものである。
    【0030】
    なお、補足すれば(図2参照)この実施形態における被加工細線2は1次捻回加工の捻回加工中は図示2Cの「捻れ表面状態」を示し、その1次捻回加工(過捻回)の捻回停止時は図示2Dのように「捻れピッチが概ね一定にして全体に少し膨らみがある表面状態」となる。 そして、続いて施す2次捻回加工の停止時には図示2Eのように「前記2Dの状態より捻れピッチが少し大にして、かつ、外径の膨らみがない表面状態」となり線長方向に概ね5°の傾きを成すスパイラル状の捻れ表面状態を視認することができる。 (なお、この図2の2Eは2次捻回加工の捻回総数が、1次捻回加工(過捻回)の捻回総数の約20%のときの状態を示している。)
    【0031】
    続いて、図3〜図5を参照して本発明の金属細線の製造方法の他の実施形態を説明する。 即ち、まず図3は図1実施形態で1次捻回加工と2次捻回加工した被加工金属細線2が線長方向に分割したX・Y・Zの3分割ゾーン毎に「1次捻回加工と2次捻回加工後の捻回度」が異なる形態に捻回形成され、図6に示す医療用ガイドワイヤ等として用いるときの手元部27側のXゾーンが最大の捻回度にして先端部28側のZゾーンが最小の捻回度、その両者の中間部分のYゾーンが両者の中間捻回度に順次徐変設定され、そのX・Y・Zのゾーン毎に捻回度が層別区画された形態に加工される。
    【0032】
    なお、この実施形態の製造方法は図1に示す捻回装置10の回転作動チャック11と固定チャック12の間に(図3(C)参照)対向一対の開閉自在のクランプ片15から成り、かつ、スライド自在の中間クランプ部14をX・Y・Zのゾーン境界ポイントに設置し、この中間クランプ部14を時間差を設けて順次クランプさせることによって、前記ゾーン毎の異なる捻回度加工を施す方法によって実行される。
    【0033】
    以上の図3実施形態のものは、長手方向のゾーン毎に区画したX・Y・Zゾーン毎に捻回度が異なるので、それぞれの捻回度に対応した硬軟曲げ特性の機械的性質を呈する作用を奏し、(図3(D)参照)医療用ガイドワイヤの可撓性線状体として体外に位置して手動操作する手元部分が最剛質にして、かつ、血管・体腔へ先導挿入進行させる先端部分が柔軟・高可撓性となる線長方向Lに沿って曲げ剛性R1が漸増漸減徐変する剛直・柔軟徐変形態の高品質金属細線として機能できる。
    【0034】
    次に図4に示す実施形態のものは、同じく被加工細線2の線長方向のX・Y・Zゾーンに分割したゾーン毎に、加熱条件が異なる3個の加熱装置16A・16B・16C内にセットし、しかるのち、捻回装置10による1次・2次の捻回加工中または捻回加工ずみのものを、加熱装置16A・16B・16Cによって加熱処理して加工による残留応力を除去する態様の製造方法に成っている。
    【0035】
    以上の図4実施形態のものは、加熱装置16A〜16Cによる加熱処理条件の相違によってX・Y・Zゾーンそれぞれの残留応力除去度が相異する形態となり、図4(C)に例示する長さL方向に傾斜徐変する「引張り強度・曲げ剛性」R2の機械的性質の付与が可能にして、高性能医療用ガイドワイヤの主線状体として機能できる。
    【0036】
    一方、図5に示す実施形態のものは、図1に示す捻回装置10が回転作動チャック11を中心点とする左右1対の「負荷荷重Wつき固定チャック12」が配設されており、所定長の倍長の被加工細線2の中間点を回転作動チャック11にクランプ固定して、その両側を固定チャック12に固定保持するツイン形態にセットし、しかるのち、図1実施形態と同一の「1次捻回加工と2次捻回加工と加熱処理」を同時に施す製造方法に成っている。
    【0037】
    この図5実施形態の製造方法は、同時に2本の金属細線1が加工できるので、加工生産性が向上して加工コストが低減すると共に、2本同一条件の加工条件となるので加工による品質均一性が向上する。 以上の特有作用がある。
    【0038】
    続いて、図6を参照して本発明の製造方法による金属細線1の用途発明の医療用器具の実施形態を説明する。 即ち、図6(A)(B)は前記実施形態のいずれかの製造方法で加工形成したオーステナイト系ステンレス材の金属細線1を主線材25として用いたガイドワイヤ20であり、図6(C)は同じくオーステナイト系ステンレス材の金属細線1をシャフト26と成したバルーンカテーテル21である。
    【0039】
    この図6実施形態のガイドワイヤ20・バルーンカテーテル21は、手元部27の手動操作を先端部28に機械的に伝達する操作力伝達主体が金属細線1によって構成されているので、手元部27による押し・引き操作と、左右いずれの方向への回転操作が先端部28へ的確・迅速にして高精度に伝達可能にして、ガイドワイヤ20・バルーンカテーテル21の操作性が極めて良く当該治療性の一段の向上ができる。
    【0040】
    そして、ガイドワイヤ20の主線材25に図3・図4実施形態の「線長方向に傾斜特性を付与した金属細線1」を用いると、ガイドワイヤ20として「先端部柔軟・手元部剛性の必要傾斜特性」にマッチングさせることができるので、ガイドワイヤ20として要求される機械的特性が特段に向上し、前記の特有作用が一段と顕著になる。
    【0041】
    さらに、この実施形態の金属細線1はオーステナイト系ステンレス材から成るのでガイドワイヤ20として下記の特有作用が享受できる。 即ち、マルテンサイト系ステンレスは熱処理によって硬化する定性があるので、膨出頭29のロー付溶接時の熱影響によって膨出頭29近傍の主線材25・コイル30が硬化して柔軟可撓性を損う。 そして、フェライト系ステンレスは、475℃付近での「475℃脆性」600〜800℃に長時間さらされることによる「シグマ脆性」950℃以上に加熱されると結晶粒の粗大化を生ずる「高温脆性」発生の定性が存在するので、同じく溶接熱等による脆化を生じてガイドワイヤとして品質劣化をもたらす難点がある。
    【0042】
    しかし、オーステナイト系ステンレスは、加熱しても組織の変化が少いので、溶接等による熱影響を受け難く、その上熱伝導率が小なる定性を有するので、膨出頭29の溶着時に生ずる熱膨張・熱応力が先端部28近傍の限られた部位によって吸収して溶接による内部応力残留を緩和し、先端部位の主線材25の良好な真直性・屈曲性の安定確保ができる。
    【0043】
    そして、本発明の製造方法における被加工線2は、前記の1次・2次捻回加工と熱処理加工によって線長方向に伸縮を反復する加工形態となる。 しかし、オーステナイト系ステンレスは熱膨張係数が大(一般鋼材の約1.5〜1.6倍)であることから、加工中の前記の伸縮反復のストロークが大となって表面の加工度(仕事量)が大となり、表面の緻密化組織形成を促進する特有作用がある。
    【0044】
    さらに、マルテンサイト系ステンレスは熱処理によって引張り荷重を向上させる焼入硬化性を示すが、オーステナイト系ステンレスは加工(伸線加工)によって強度が上昇し(加工硬化)ガイドワイヤ用主線材25としての好適性が存在する。 そして、オーステナイト系ステンレスの電気抵抗は「炭素鋼の約5倍・マルテンサイト系ステンレスの約1.6倍」であることから溶接電流が少いので、溶接熱を必要最小限に抑止して溶接熱の影響による「曲がり・ねじれ変形」等の発生を少くすることができる。
    【0045】
    一方、オーステナイト系ステンレス鋼線の被加工素線2はダイスによる伸線加工によって加工誘起変態して磁性を帯び、かつ、外周鏡面形態となることから「ファン・デル・ワールス力」の分子間の吸着力によって異物・微小鉄粉等が付着し易く、その異物界面との「すきま腐食」と「もらい錆」によって耐食性が低下する不良現象がある。 しかし、前記の外周電解研磨によって素線2の表面の酸化スケールを除去して本来のクロム濃度に回復させるので、前記の不良現象を防止して耐食性の向上ができる。
    【0046】
    なお、本発明の金属細線の製造方法は、前記の実施例に限定されず図1〜図5実施形態における1次捻回加工と2次捻回加工をセットにして、複数セットの捻回加工を施して1次・2次捻回加工による特有作用の一段の向上を図る形態にしたり、2次捻回加工の捻回総数を1次捻回加工の捻回総数より少数にする等の変化がある。 そして、前記第1発明の実施形態は特別に図示開示しないものの、前記各実施形態における2次捻回加工を施さない形態でも実施される。
    【0047】
    また、第2発明のうち過捻回加工方法については、2次捻回数を1次捻回数の1.0倍以下とする態様において、金属細線は単線のみならず、撚り線(1次捻回は撚り線の撚り方向に捻回する)も含まれる。 さらに、被加工素線2はオーステナイト系ステンレス材以外の金属線にしたり、前記の外周電解研磨を省略することがある。 そして、本発明の金属細線は医療用器具以外の「高回転追従性を不可欠とする機器要素の作動用細線」として応用することがある。 そして、医療用器具への用途としては前記例示のガイドワイヤ・カテーテルのみではなく、内視鏡用処置具・軟性内視鏡等の構成細線として広く応用する。
    【0048】
    【発明の効果】
    以上の説明のとおり本発明の金属細線の製造方法は、医療用器具の主要構成線材として有用に使用できる高度の回転追従性・真直性を備えた高品質金属細線が高生産性で量産提供できる。
    【0049】
    そして、本発明の製造方法による金属細線を用いて成る医療用器具は、医療用器具としてのそれぞれの使用性能・機能を向上し、当該医療の能率化・医療性の向上を図ることができる。 以上の有用な効果がある。
    【図面の簡単な説明】
    【図1】本発明の金属細線の製造方法の1実施形態を示し、(A)は加工装置と加工方法の説明図、(B)は被加工金属細線の断面図、(C)は加工順と加工状態の説明図【図2】図1実施形態の被加工金属細線の表面形態の説明図【図3】本発明の金属細線の製造方法の他の実施形態を示し、(A)は加工した金属細線の形態説明図、(B)(C)は加工装置と加工方法の説明図、(D)は特性説明図【図4】本発明の金属細線の製造方法の他の実施形態を示し、(A)は加工した金属細線の形態説明図、(B)は加工装置と加工方法の説明図、(C)は特性説明図【図5】本発明の金属細線の製造方法の他の実施形態の加工装置と加工方法の説明図【図6】本発明の製造方法による金属細線を用いた医療用器具の実施形態を示し、(A)(B)(C)ともその正面図【符号の説明】
    1 金属細線2 被加工金属細線10 加工装置11 回転作動チャック12 固定チャック13 静荷重ウエイト14 中間クランプ部16 加熱装置20 ガイドワイヤ21 バルーンカテーテル25 ガイドワイヤの主線材26 バルーンカテーテルのシャフト27 手元部28 先端部29 膨出頭

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