集合導線及びその製造方法

申请号 JP2014148796 申请日 2014-07-22 公开(公告)号 JP2016024974A 公开(公告)日 2016-02-08
申请人 トヨタ自動車株式会社; 发明人 水島 大介; 足立 博成; 井下 寛史;
摘要 【課題】ねじれ変形を抑制した集合導線及びその製造方法の提供。 【解決手段】中心線(2)と中心線(2)の周囲に配置された周辺線(1)とを含む導線束(108)を圧延することによって形成される集合導線(10)である。中心線(2)及び周辺線(1)は各々、それぞれの一端側(1d、2d)から他端側(1e、2e)に向かって時計回り方向にねじれた右ねじり部(1a、2a)と、反時計回り方向にねじれた左ねじり部(1b、2b)とを、一定間隔(L1、L2)で交互に繰り返す形状を有する。周辺線(1)は、周辺線(1)のねじり方向が中心線(2)のねじり方向と逆方向になるように、中心線(2)の周囲に配置されている。 【選択図】図5
权利要求

中心線と当該中心線の周囲に配置された周辺線とを含む導線束を圧延することによって形成される集合導線であって、 前記中心線及び前記周辺線は各々、それぞれの一端側から他端側に向かって時計回り方向にねじれた右ねじり部と、反時計回り方向にねじれた左ねじり部とを、一定間隔で交互に繰り返す形状を有し、 前記周辺線は、当該周辺線のねじり方向が前記中心線のねじり方向と逆方向になるように、前記中心線の周囲に配置されている集合導線。前記周辺線の前記右ねじり部が前記中心線の前記左ねじり部の周囲に配置されており、 前記周辺線の前記左ねじり部が前記中心線の前記右ねじり部の周囲に配置されていることを特徴とする請求項1に記載される集合導線。前記周辺線の前記右ねじり部と前記左ねじり部との境界部が、前記中心線の前記左ねじり部と前記右ねじり部との境界部の周囲に配置されていることを特徴とする請求項2に記載される集合導線。前記中心線の軸方向、又は、前記周辺線の軸方向において、ねじりによるねじれ度が360°に到達する距離を、ねじりピッチとすると、 前記周辺線のねじりピッチは前記中心線のねじりピッチと比較して大きいことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載される集合導線。一端側から他端側に向かって時計回り方向にねじれた右ねじり部と、反時計回り方向にねじれた左ねじり部とを、一定間隔で交互に繰り返す形状を有する中心線を形成する中心線形成工程と、 前記中心線の周囲に周辺線を配置することによって導線束を形成する導線束形成工程と、 前記導線束を把持して、前記周辺線を前記中心線のねじり方向と逆方向にねじる周辺線ねじり工程と、を含む集合導線の製造方法。前記周辺線ねじり工程において、 前記導線束を把持する把持は、前記導線束が把持された場合に前記周辺線が前記中心線から離れた状態を維持しつつ、前記周辺線をねじることのできる大きさであることを特徴とする請求項5に記載される集合導線の製造方法。

说明书全文

本発明は集合導線及びその製造方法に関し、特に、中心線と当該中心線の周囲に配置された周辺線とを含む導線束を圧延することによって形成される集合導線及びその製造方法に関する。

導線を束ねることにより形成される集合導線がある。特許文献1には、集合導線の製造方法に関する技術が開示されている。特許文献1に開示されている技術では、複数の素線を撚り合わせて撚線を形成し、その後、成形型を用いて撚線を圧縮成形することで、撚線の断面形状が矩形状である平導体を形成している。そして、平角導体の外周を樹脂等からなる絶縁材料を用いて被覆して絶縁層を形成することで集合導線を形成している。

特開2009−199749号公報

本出願の発明者らは、このような集合導線の製造方法の一例として、図12に示す製造方法を想到した。図12は、関連する製造方法の模式図である。図12において、模式図961〜966は、各工程の素線、集合導線、又はその中間生成体の模式図である。

具体的には、素線供給機941が、断面円形状の複数の素線901を第1圧延ロール942に供給し、第1圧延ロール942が複数の素線901の一部を、所定の断面形状、例えば、断面矩形状に圧延加工し、周辺線902(模式図962参照。)を形成する。さらに第1圧延ロール942は、周辺線902を搬送装置943へ送り、素線群901の残りを圧延加工することなく、そのまま中心線903として搬送装置943へ送る。次いで、搬送装置943は、各周辺線902を展開し、周辺線902が中心線903を取り囲む位置関係を作る。搬送装置943は、中心線903と、展開された周辺線902とをクランプ944に送る。

次いで、クランプ944は、搬送装置943から中心線903及び周辺線902を受け、中心線903の周囲に周辺線902を配置し、束ねた導線束907を形成する。クランプ944は、導線束907の中心方向に向かって、所定の圧を導線束907に加える。このため、模式図963に示すように、導線束907の断面907aにおいて、中心線903及び周辺線902並びに周辺線902同士は接近する。導線束907は、クランプ944及び回転機945を通過し、さらにクランプ946まで送られる。

次いで、クランプ944、回転機945及びクランプ946が導線束907をクランプし、導線束907の軸を固定する。さらに、クランプ944、回転機945及びクランプ946が導線束907をクランプしたまま、回転機945が所定の回転方向954に回転し、導線束907をねじる。すると、ねじれ導線束908が形成される。ここで、ねじれ導線束908は、例えば、回転機945を境に、中心線903を軸として螺旋を描くようにねじれているねじれ部分と、このねじれ部分のねじれ方向と逆方向にねじれている逆ねじれ部分とを有する。

模式図964に示すように、ねじれ導線束908は中心線903及び所定の形状を有する周辺線902を整列した集合導体である。このため、回転機945は、導線束907の断面907a(模式図963参照。)の実質的な円形状が維持された断面908aを形成することができる。

クランプ946は、ねじれ導線束908の中心方向に向かって、所定の圧力をねじれ導線束908に加えて、中心線903及び周辺線902並びに周辺線902同士を密着させる。

第2圧延ロール947は、ねじれ導線束908をクランプ946から受ける。第2圧延ロール947は、1対のロールを有し、図示しない駆動機構により回転し、ねじれ導線束908が平角形状になるように圧延する。

さらに、絶縁被膜付与装置953は集合導線810を受ける。集合導線810は引抜ダイ953aのダイス孔に導かれる。絶縁被膜付与装置953は、予め、ホッパー953eに装填された粉末状の原料953fを加熱により軟化させており、スクリュー953dにより引抜ダイ953aのダイス孔へ射出してさらに加圧する。その後、集合導線810を引抜ダイ953aのダイス孔から下流側に引き抜く。すると、絶縁被膜803が集合導線810の外周面に形成された状態で、外側被膜集合導線811が引抜ダイ953aのダイス孔から引き抜かれる。以上の工程により、外側被膜集合導線811が製造される。

しかしながら、上記で説明した製造方法を用いて集合導線を形成した場合、図13に示すように、集合導線810において、ねじれ変形が生じることがあった。具体的には、ねじれ変形とは、集合導線810の断面の角度がその軸上の位置によって変化する変形である。例えば、測定位置b、c、d、e、fにおける上辺804b〜804fは、測定位置aにおける上辺804aに対して、それぞれ異なる角度を有する。測定位置に対するねじれ角度の例を図14に示した。図14に示すように、上辺804の角度は、測定位置aから測定位置fに向かって、所定の周期で変化するよう推移しているようにみえる。

ねじれ変形が生じた場合の、外側被膜集合導線811の断面を図15に示した。図15に示すように、ねじれ変形が生じた場合、集合導線810が外側被膜集合導線811に対して傾く。具体的には、外側被膜集合導線811の断面における集合導線810の上辺804は、断面における絶縁被膜803の上辺814に対して、実質的に平行ではなく、所定の角度で傾斜している。このため、被膜として機能するために必要な絶縁被膜803の厚みが確保されなくなることがあった。

そこで、本発明は、上記した事情を背景としてなされたものであり、ねじれ変形を抑制した集合導線及びその製造方法を提供することを目的とする。

本発明にかかる集合導線は、 中心線と当該中心線の周囲に配置された周辺線とを含む導線束を圧延することによって形成される集合導線であって、 前記中心線及び前記周辺線は各々、それぞれの一端側から他端側に向かって時計回り方向にねじれた右ねじり部と、反時計回り方向にねじれた左ねじり部とを、一定間隔で交互に繰り返す形状を有し、 前記周辺線は、当該周辺線のねじり方向が前記中心線のねじり方向と逆方向になるように、前記中心線の周囲に配置されている。

このような構成によれば、周辺線のねじり方向と中心線のねじり方向とが逆方向であるため、中心線に生じるねじれ変形、及び、周辺線に生じるねじれ変形が相殺され、結果として集合導線に生じるねじれ変形が抑制されるのである。

また、前記周辺線の前記右ねじり部が前記中心線の前記左ねじり部の周囲に配置されており、前記周辺線の前記左ねじり部が前記中心線の前記右ねじり部の周囲に配置されていることを特徴としてもよい。また、前記周辺線の前記右ねじり部と前記左ねじり部との境界部が、前記中心線の前記左ねじり部と前記右ねじり部との境界部の周囲に配置されていることを特徴としてもよい。また、前記中心線の軸方向、又は、前記周辺線の軸方向において、ねじりによるねじれ角度が360°に到達する距離を、ねじりピッチとすると、前記周辺線のねじりピッチは前記中心線のねじりピッチと比較して大きいことを特徴としてもよい。

このような構成によれば、集合導線に生じるねじれ変形が、より確実に抑制されるのである。

他方、本発明にかかる集合導線の製造方法は、一端側から他端側に向かって時計回り方向にねじれた右ねじり部と、反時計回り方向にねじれた左ねじり部とを、一定間隔で交互に繰り返す形状を有する中心線を形成する中心線形成工程と、前記中心線の周囲に周辺線を配置することによって導線束を形成する導線束形成工程と、前記導線束を把持して、前記周辺線を前記中心線のねじり方向と逆方向にねじる周辺線ねじり工程と、を含むことを特徴としてもよい。

このような構成によれば、周辺線のねじり方向と中心線のねじり方向とが逆方向であるため、中心線に生じるねじれ変形、及び、周辺線に生じるねじれ変形が相殺され、結果として集合導線に生じるねじれ変形が抑制されるのである。

また、前記周辺線ねじり工程において、前記導線束を把持する把持力(例えば、チャック力)は、前記導線束が把持された場合に前記周辺線が前記中心線から離れた状態を維持しつつ、前記周辺線をねじることのできる大きさであることを特徴としてもよい。

このような構成によれば、捻転を抑制して周辺線をねじることができる。

本発明によれば、ねじれ変形を抑制した集合導線及びその製造方法を提供することができる。

実施の形態1にかかる集合導線の側面図である。

実施の形態1にかかる集合導線の断面図である。

実施の形態1にかかる中心線の側面図である。

実施の形態1にかかる中心線の断面図である。

実施の形態1にかかる製造方法のフローチャートである。

実施の形態1にかかる製造方法の模式図である。

チャック力に対するねじりトルク及びチャック後内径を示すグラフである。

実施例1のねじれ集合導線の断面図である。

参考例1のねじれ集合導線の断面図である。

ねじりピッチに対するねじれ角度を示すグラフである。

集合導線の斜視図である。

関連する製造方法の模式図である。

集合導線のねじれ変形を示す模式図である。

測定位置に対するねじれ角度を示すグラフである。

ねじれ変形が生じた外側被膜集合導線の断面図である。

実施の形態1. (集合導線) 図1〜図4を参照して実施の形態1にかかる集合導線について説明する。図1は、実施の形態1にかかる集合導線の側面図である。図2は、実施の形態1にかかる集合導線の断面図である。図3は、実施の形態1にかかる中心線の側面図である。図4は、実施の形態1にかかる中心線の断面図である。図2及び図4は、見易さのため、適宜、ハッチングを省略している。

図1及び図2に示すように、集合導線10は、中心線束20と、中心線束20の周囲に配置された周辺線1とを含む。集合導線10は、所定の断面形状、例えば、断面矩形状の線状体である。集合導線10の断面形状は、後述する圧延加工によって形成されてもよい。

図3及び図4に示すように、中心線束20は、複数の中心線2を束ねて形成される。中心線束20は、一端2d側から他端2e側に向かって時計回り方向にねじれた右ねじり部2aと、反時計回り方向にねじれた左ねじり部2bとを、一定間隔L2で交互に繰り返す形状を有する。なお、中心線束20は、右ねじり部2aと左ねじり部2bとの間に、一端側から他端側に向かってねじれの無い、つまり、中心線束20の軸と実質的に平行に延びる平行部2cを有してもよい。なお、本実施の形態1では、中心線束20を用いたが、1本の中心線2だけを用いてもよい。

再び図1及び図2を参照すると、周辺線1は、一端側1dから他端1e側に向かって時計回り方向にねじれた右ねじり部1aと、反時計回り方向にねじれた左ねじり部1bとを、一定間隔L1で交互に繰り返す形状を有する。具体的には、周辺線1は、周辺線1のねじり方向が中心線束20のねじり方向と逆方向になるように、中心線束20の周囲に配置される。また、周辺線1の右ねじり部1aが、中心線束20の左ねじり2bの周囲に配置されており、周辺線1の左ねじり部1bが、中心線束20の右ねじり2aの周囲に配置されている。また、周辺線1の右ねじり部1aと左ねじり部1bとの境界部が、中心線束20の左ねじり部2bと右ねじり部2aとの境界部の周囲に配置される。

なお、周辺線1は、右ねじり部1aと左ねじり部1bとの間に、一端側1dから他端1e側に向かってねじれの無い、つまり、中心線束20の軸と実質的に平行に延びる平行部1cを有してもよい。 ここで、中心線の軸方向、又は、周辺線の軸方向において、ねじりによるねじれ角度が360°に到達する距離を、ねじりピッチとする。例えば、ねじりピッチが小さいほど強い力でねじられている。このとき、周辺線のねじりピッチは、中心線のねじりピッチと比較して大きいと好ましい。 なお、中心線2同士の間、周辺線1同士の間、各中心線2と周辺線1との間は、各々、図示しない絶縁被膜に隔てられており、互いに電気的に絶縁される。また、集合導線10は、その外周面を覆う絶縁被膜3をさらに含んでもよい。このような、その外周面を覆う絶縁被膜3を含んだ集合導線として、後述する外側被膜集合導線11(図6中、模式図170参照。)がある。

(製造方法) 図5及び図6を参照して実施の形態1にかかる製造方法について説明する。図5は、実施の形態1にかかる製造方法のフローチャートである。図6は、実施の形態1にかかる製造方法の模式図である。図6において、模式図161〜170は、各工程の素線、集合導線、又はその中間生成体の模式図である。ここでは、製造装置140を用いて、複数の素線101等から外側被膜集合導線11を製造する製造方法について説明する。

図6に示すように、素線供給機141は複数の素線101を第1圧延ロール142に送る。模式図161に示すように、素線101は、導電材料からなり、略円形状の断面形状を有する線状体である。

第1圧延ロール142は複数の素線101を素線供給機141から受けて、模式図162に示すように複数の素線101を塑性変形させて、中心素線102を形成する(中心素線形成工程S1)。ここで、中心素線102の断面形状は、扇形である。なお、中心素線102の断面形状は扇形以外の様々な形状であってもよい。中心素線102の断面における扇形の中心は、中心線束103(後述)の断面形状が円形状となるように、360°を中心素線102の本数によって等分した値であってもよい。例えば、中心素線102の本数が4である場合、その中心角度は90°であるとよい。第1圧延ロール142は、1対のロールを有し、図示しない駆動機構により回転し、複数の中心素線102を第1搬送装置143に送る。複数の中心素線102は、その送り出し方向(中心素線102の長手方向:Z軸方向)に対して垂直な方向に一列に並んで配置されている。具体的には、中心素線102の円弧状周面が下方を向くように配置されている。

第1搬送装置143は、複数の中心素線102を第1圧延ロール142から受けて、中心素線102のそれぞれを展開し、放射状にそれぞれ配置する(中心素線展開工程S2)。また、各中心素線102の中心角が、中心線束103の中心軸103cに向くように、各中心素線102の位置及び向きを整える。すなわち、クランプ144において各中心素線102の中心角同士が互いに接近又は接触するため、各中心素線102は、中心軸103cから外側に放射状に延びる仮想線がその中心角を等分割するように、配置されるとよい。第1搬送装置143は、複数の中心素線102をクランプ144に送る。

続いて、クランプ144は、複数の中心素線102を第1搬送装置143から受ける。クランプ144は、複数の中心素線102を整列して、束ねた中心線束103を形成する(中心線束形成工程S3)。クランプ144は、複数の中心素線102の中心角同士が接触するように、中心線束103を形成する。中心線束103は、例えば、円形状の断面形状を有する。クランプ144は、中心線束103の中心に向かって、所定の圧力を中心線束103に加える。このため、中心線束103の断面103aにおいて、中心線束103同士は接近又は密着する。中心線束103を、クランプ144及び回転機145を通過させて、さらにクランプ146まで送る。

クランプ144、回転機145及びクランプ146が中心線束103をクランプし、中心線束103の軸を固定する。さらに、クランプ144、回転機145及びクランプ146が中心線束103をクランプしたまま、回転機145が所定の回転方向154に回転し、中心線束103をねじる(中心線ねじり工程S4)。すると、ねじれ中心線束104が形成される。ここで、ねじれ中心線束104は、例えば、回転機145を境に、中心線束103の送り出し方向(中心線束103の長手方向、即ちZ軸方向)に向かって、時計回り方向にねじれた右ねじり部と、反時計回り方向にねじれた左ねじり部とを有する。なお、中心線束103は、右ねじり部と左ねじり部との間に、中心線束103の軸と実質的に平行に延びる平行部をさらに備えてもよい。

模式図164に示すように、ねじれ中心線束104は、所定の形状を有する中心素線102を整列した集合導線である。このため、回転機145は、中心線束103の断面103aの実質的な円形状が維持された断面104aを形成することができる。

第2圧延ロール147は、ねじれ中心線束104をクランプ146から受けつつ、複数の素線105も素線供給機156から受ける。模式図164に示すように、第2圧延ロール147は、複数の素線105を塑性変形させて、周辺素線106を形成する(周辺素線形成工程S5)。ここで、周辺素線106の断面形状は、断面形状が回転により変化しない等方性を有する円形状から、断面形状が回転により変化する異方性を有する異方性断面形状に変形すればよく、例えば、上底と下底の長さの異なる台形状に変形する。異方性断面形状として、例えば、台形状、扇形状、円弧状、三角形状などが挙げられる。また、周辺素線106及びねじれ中心線束104のそれぞれは、直列に配置されている。即ち周辺素線106及びねじれ中心線束104のそれぞれは、当該ねじれ中心線束104の送り出し方向(ねじれ中心線束104の長手方向、即ちZ軸方向)に対して垂直な方向に一列に並んで配置されている。ねじれ中心線束104は、周辺素線106の列の中央近傍に配置されている。より具体的には、周辺素線106は、その断面の台形状の上底に相当する面と、台形状の下底に相当する面とが互いに交互に並ぶように、配置されている。第2圧延ロール147は、1対のロールを有し、図示しない駆動機構により回転し、ねじれ中心線束104及び複数の周辺素線106を、第2搬送装置148に送る。

第2搬送装置148は、ねじれ中心線束104及び複数の周辺素線106を第2圧延ロール147から受ける。第2搬送装置148は、複数の周辺素線106の1本1本を展開し、周辺素線106がねじれ中心線束104を取り囲む位置関係を作る。より具体的には、周辺素線106がねじれ中心線束104を中心として放射状に配置される(周辺素線展開工程S6)。このとき、各周辺素線106は、外周面が内周面よりも面積が広くなるように配置される。即ち、各周辺素線106の断面において、台形状の上底又は下底のうち長さの長い方が外側に、短い方が内側に位置するように配置される。

また、第2搬送装置148は、周辺素線106の内周面がねじれ中心線束104側を向くように周辺素線106の位置及び向きを整える。即ち、周辺素線106の内周面は、円柱状のねじれ中心線束104の外周面に沿う必要があるから、各周辺素線106の断面の上底を含む面が、ねじれ中心線束104の外周面側となるように配置する。第2搬送装置148は、複数の周辺素線106をクランプ149に送る。

続いて、クランプ149は、複数の周辺素線106を第2搬送装置148から受ける。クランプ149は、複数の周辺素線106を整列して、ねじれ中心線束104の周囲に周辺素線106を配置し、束ねた導線、すなわち、導線束107を形成する(導線束形成工程S7)。また、クランプ149は、周辺素線106の内周面がねじれ中心線束104の外表面の各辺と対向するように、導線束107を形成する。

クランプ149は、導線束107の中心方向に向かって、所定の圧力を導線束107に加える。このため、模式図167aに示すように、導線束107の断面において、ねじれ中心線束104及び周辺素線106並びに周辺素線106同士は接近する。導線束107を、クランプ149及び回転機150を通過させて、さらにクランプ151まで送る。模式図167bに示すように、クランプ149は、爪149aと、爪149bと、爪149cとを含む。クランプ149は、図示しない締付部により爪149a、爪149b、及び爪149cをそれぞれ導線束107に押し当てて、所定のチャック力(把持力とも称する。)Fcでクランプすることができる。回転機150及びクランプ151もクランプ149と同様の構成を有し、回転機150は、図示しない回転駆動部により、導線束107の軸回りに回転する。

クランプ149、回転機150及びクランプ151が導線束107をクランプし、導線束107の軸を固定する。さらに、クランプ149、回転機150及びクランプ151が導線束107をクランプしたまま、回転機150が所定の回転方向156に回転し、ねじれ中心線束104をねじらず、周辺素線106のみをねじる(周辺素線ねじり工程S8)。すると、ねじれ導線束108が形成される。ここで、ねじれ導線束108は、例えば、回転機150を境に、導線束107の送り出し方向(導線束107の長手方向:Z軸方向)に向かって、時計回り方向にねじれた右ねじり部と、反時計回り方向にねじれた左ねじり部とを有する。なお、ねじれ導線束108は、右ねじり部と左ねじり部との間に、ねじれ中心線束104の軸と実質的に平行に延びる平行部をさらに備えてもよい。

模式図168に示すように、ねじれ導線束108はねじれ中心線束104及び所定の形状を有する周辺素線106を整列した集合導線である。このため、回転機150は、断面107aの実質的な円形状が維持された断面108aを形成することができる。

クランプ149は、ねじれ導線束108の中心方向に向かって、所定の圧力をねじれ導線束108に加える。このため、ねじれ中心線束104及び周辺素線106並びに周辺素線106同士を密着させる。

第3圧延ロール152は、ねじれ導線束108をクランプ149から受ける。第3圧延ロール152は、1対のロールを有し、図示しない駆動機構により回転し、ねじれ導線束108が平角形状になるように圧延する(仕上げ圧延工程S9)。以上の工程により、集合導線10が形成される。ここで、ねじれ中心線束104から中心線2が形成され、周辺素線106から周辺線1が形成されることになる。上記したように、集合導線10は、互いに逆方向にねじれられたねじれ導線束108を圧延することにより、形成される。中心線2に生じるねじれ変形、及び、周辺線1に生じるねじれ変形は互いに相殺されるため、結果として集合導線に生じるねじれ変形が小さくなる。そのため、集合導線10ではねじれ変形が発生しにくい。

さらに、必要に応じて、絶縁被膜3を集合導線10の外周面に形成する(絶縁被膜形成付与工程S10)。この場合、第3圧延ロール152は、集合導線10を絶縁被膜付与装置153に送る。絶縁被膜付与装置153は集合導線10を受けて、集合導線10は引抜ダイ153aのダイス孔に導かれる。さらに、絶縁被膜付与装置153は、ホッパー153eに装填した原料153fを、加熱により軟化させる。その後で、軟化させた原料153fをスクリュー153dにより引抜ダイ153aのダイス孔へ射出してさらに加圧し、集合導線10を引抜ダイ153aのダイス孔から下流側に引き抜く。すると、絶縁被膜3が集合導線10の周面に形成された状態で、外側被膜集合導線11が引抜ダイ153aのダイス孔から引き抜かれる。

以上より、実施の形態1にかかる製造方法によれば、ねじれ変形を抑制した集合導線を製造することができる。

(中心線の直径について) 次に、図7〜9を用いて、好ましい中心線の直径について説明する。図7は、チャック力に対するねじりトルク及びチャック後内径を示すグラフである。図8は、実施例1のねじれ導線束の断面図である。図9は、参考例1のねじれ導線束の断面図である。具体的には、実施の形態1にかかる製造方法における周辺素線ねじり工程S8において、好ましいねじれ中心線束104の直径について説明する。

実施の形態1にかかる製造方法を用いて、実験1及び実験2を行った。ねじれ中心線束104として導線1本を用い、周辺素線106として断面台形状の導線8本を用いた。具体的には、周辺素線ねじり工程S8においてクランプ149、151及び回転機150のチャック力を実験因子として、実験1を行った。さらに、上記した実施の形態1にかかる製造方法におけるねじれ中心線束104の直径を実験因子として、実験2を行なった。

(好ましい中心線の直径の上限値) 実験1では、クランプ149、151及び回転機150が導線束107を所定のチャック力Fcで把持した状態において、クランプ149、151及び回転機150が導線束107を舐めることなく把持したままで、導線束107をねじることのできるねじりトルクの最大値Trmaxを計測した。このチャック力Fcに対するねじりトルクの最大値Trmaxとの計測結果を図7に示した。

ところで、実験1で行われた実施例1の断面図を図8に示す。実施例1における導線束207は、図6中の模式図167aに示すように、実施の形態1にかかる製造方法における導線束107に相当する。同様に、中心線204がねじれ中心線束104に相当する。

図8に示すように、複数の周辺素線206により仮想的に形成される円筒状体の内径をdcとする。所定のチャック力Fcで把持した状態での内径dc、つまり、チャック後内径dcaを計測し、この計測結果を図7に示した。

図7に示すように、チャック力Fcが増加すると、周辺素線206にかけることのできるねじりトルクTrmaxも増加する傾向にある一方で、チャック後内径dcaが減じる。

次いで、周辺素線206をねじるのに必要なねじりトルクの下限値Truを求める。ねじりトルクの下限値Truは周辺素線206のサイズ及び材料、必要な周辺線のねじり角度などの諸条件により、決定する。本実験では、周辺素線をねじるのに必要なねじりトルクの下限値Truは、例えば7.5N・mとする。

次いで、ねじりトルクの下限値Truをかけるために必要な最低チャック力Fcuを求める。本実験では、図7に示すように、このねじりトルクの下限値Truをかけるための最低チャック力Fcuは、約15kNである。

次いで、最低チャック力Fcuで周辺素線206を把持した状態において内径dc、つまり、チャック後内径dcaを求める。本実験では、図7に示すように、最低チャック力Fcuで周辺素線206を把持した状態におけるチャック後内径dcaは、約1.3mmである。 中心線204の直径が、チャック後内径dcaと比較して小さい場合、周辺素線206が中心線204から離れた状態を維持した上でねじられるため、中心線204の形状が維持される。中心線204の直径は、チャック後内径dcaよりも小さいと好ましい。つまり、本実験では、好ましい中心線204の直径の上限値は、約1.3mmである。

(好ましい中心線の直径の下限値) また、実験2では、中心線604の直径が1.2mm以下である場合に、図9に示すように、周辺素線606が不安定となり、捻転することがあった。つまり、中心線604の直径が所定値以下まで減じると、周辺素線606が不安定になるため、捻転しやすくなる傾向があると考えられる。したがって、中心線604の直径は、周辺素線606が捻転することなく、安定してねじることのできるように、所定の値よりも大きいと好ましい。例えば、本実験では、好ましい中心線の直径の下限値は、約1.2mmである。

以上より、中心線の直径は、周辺素線が安定してねじられるように所定値以上の大きさを有すると好ましい。また、中心線の直径は、周辺素線が中心線から離れた状態で、ねじられるように、所定値以下であると好ましい。例えば、実験1及び実験2では、図8に示すように、中心線204の直径が1.2mm以上、1.3mm以下の範囲である場合、周辺素線206が殆ど捻転することなく、中心線204の周囲に安定して配置されて好ましい。

(ねじりピッチについて) 次に、図10を用いて、好ましい中心線と周辺素線とのねじりピッチについて説明する。図10は、ねじりピッチに対するねじれ角度を示すグラフである。好ましい中心線と周辺素線とのねじりピッチを求めるために、実験3及び実験4を行った。

実験3では、実施の形態1の製造方法を用いて、8本の周辺線と1本の中心線とを含む集合導線を製造した。ここでは、周辺素線ねじり工程S8におけるねじりピッチを実験因子とし、各ねじりピッチに対するねじれ角度を測定した。ここで、ねじれ角度は、図13に示すように、基準となる測定位置aにおける上辺804aと、各測定位置における上辺804(例えば、上辺804b〜上辺804fなど))との交差する角度である。

実験4では、上記した中心素線形成工程S1〜中心線ねじり工程S4、及び、仕上げ圧延工程S9をこの順に実施し、4本の中心線からなる集合導線を製造した。ここでは、中心線ねじり工程S4におけるねじりピッチを実験因子として、ねじれ角度を測定した。ねじれ角度の測定結果を図10に示した。

図10に示すように、ねじりピッチが増大すると、周辺線のねじれ角度及び中心線のねじれ角度がいずれも減じる傾向にある。また、ねじりピッチが同じ又は同程度である場合、周辺線は、中心線と比較して、大きなねじれ角度を有する。これは、周辺線が中心線より外側に位置するため、集合導線におけるねじれ変形に大きな影響を与えるからと推定される。

したがって、周辺線のねじりピッチが中心線のねじりピッチと比較して大きいと、中心線のねじりピッチの値を大きく設定する必要なく、集合導線のねじれ変形を抑制することができる。例えば、本実験では、ねじれ角度の目標値を約10°以下とした場合、周辺線のねじりピッチを32mm、中心線のねじりピッチを21mmに設定すると、ねじれ角度の目標値を達成し得るため好ましい。

(比較例) 比較例として、図11に示すような、互いに逆方向にねじられた中心線及び周辺線を含む導線束710について考える。図11に示す導線束710は、複数の中心線712と、中心線712の周囲に配置された複数の周辺線711とを含む。導線束710を圧延することによって集合導線を製造すると、中心線712に生じるねじれ変形、及び、周辺線711に生じるねじれ変形が相殺されるため、結果として集合導線に生じるねじれ変形が小さくなる。

しかし、このような集合導線の製造方法では、中心線および周辺線のそれぞれをねじるために、中心線および周辺線の全体を一方向に連続的に回転させる必要がある。そのために、例えば、「連続ねじり設備」など、大きな製造装置を必要とする。

一方、上記した実施の形態1に係る製造方法(図5参照。)では、クランプ144(図6参照。)、146、149、151、及び回転機145、150を用いて、中心線および周辺線をねじっているため、素線101等の線の全体を回転させる工程を必要としていない。そのため、製造装置140は、素線101等の線の全体を回転させることのできる大きな装置、例えば、連続ねじり設備を必要としていない。したがって、製造装置140は、「連続ねじり設備」などの大きな製造装置と比較して、小さい傾向にある。

なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。実施の形態1にかかる製造方法により得られる集合導線を用いてコイルを形成し、かかるコイルをモータの部品として利用することができる。

1 周辺線 1a 右ねじり部 1b 左ねじり部 1c 平行部 1d 一端側 1e 他端 2、20 中心線(中心線束) 2a 右ねじり部 2b 左ねじり部 2c 平行部 2d 一端 2e 他端 3 絶縁被膜 10、11 集合導線(外側被膜集合導線) 10a 壁面 101 素線 102 中心素線 103 中心線束 104、204、604 中心線(中心線束) 105 素線 106、204、604 周辺素線 107、207、607 導線束 108 ねじれ導線束 140 製造装置 141、156 素線供給機 142、147、152 圧延ロール 143、148 搬送装置 144、146、149、151 クランプ 145、150 回転機 153 絶縁被膜付与装置 L1、L2 間隔 S1 中心素線形成工程 S2 中心素線展開工程 S3 中心線束形成工程 S4 中心線ねじり工程工程 S5 周辺素線形成工程 S6 周辺素線展開工程 S7 導線束形成工程 S8 周辺素線ねじり工程 S9 仕上げ圧延工程 S10 絶縁被膜形成付与工程

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