肉様乾燥蛋白加工食品の製造方法

申请号 JP2016063438 申请日 2016-03-28 公开(公告)号 JP6227693B2 公开(公告)日 2017-11-08
申请人 日清食品ホールディングス株式会社; 发明人 吉田 和樹; 瀬戸 次朗;
摘要
权利要求

脱脂大豆粉、大豆タンパク粉及び小麦タンパク粉の少なくとも一つからなる植物由来の粉末素材と、と、を混練し、該混練物を二軸エクストルーダを用いて高温高圧下でダイを通して常圧下に押出すことで作製された多孔質構造を有する塊状または偏平なシート状の組織状蛋白素材を、 水戻し後、脱水し、 得られた前記組織状蛋白素材に味付け処理を行った後、 食用油脂を乾燥後の油脂含量が10〜20重量%となるように添加し、 100〜120℃の熱風で水分が5〜12重量%となるように乾燥することを特徴とする肉様乾燥蛋白加工食品の製造方法。前記植物由来の粉末素材に澱粉を加えることを特徴とする請求項1記載の肉様乾燥蛋白加工食品の製造方法。前記熱風の温度が105〜115℃であることを特徴とする請求項1または2何れか一項記載の肉様乾燥蛋白加工食品の製造方法。前記食用油脂の添加量が、乾燥後の油脂含量が12〜16重量%となるように添加することを特徴とする請求項1〜3何れか一項記載の肉様乾燥蛋白加工食品の製造方法。

说明书全文

本発明は、肉様乾燥蛋白加工食品の製造方法に関する。

従来、肉の代替として、大豆タンパクや小麦タンパク等の植物タンパク質を主とする粉末をエクストルーダにより押出すことで作製した組織状蛋白素材から肉様の蛋白加工食品を製造するが提案されている。

例えば、特許文献1は、植物蛋白を主体とした素材から畜肉に類似した食感をもつ食品を製造する技術であり、植物蛋白を主体とする蛋白物質ととの混練物を高温圧下にダイを通して塊状、シート状又は棒状に押出した組織状又は構造状蛋白を、調味料、香辛料等からなる調味液に浸漬した後100〜150℃で油ちょう処理することを特徴とする蛋白食品の製造方法が記載されている。

また、特許文献2は、インスタント食品具材の製造方法に関する技術であり、加圧加熱後押出機の先端胴壁部に開口するスリット状ダイから押出して得られる偏平な素材蛋白を調味し、水分10%以下に乾燥することを特徴とするインスタント食品具材の製造方法が記載されている。

特公昭60−10693号公報

特公平3−11750号公報

本発明は、即席食品用の具材として、肉様の風味、食感を有する肉様乾燥蛋白加工食品の製造方法を提供することを目的とする。

発明者らは、即席食品用の具材として、肉の代替として肉様の食感や風味を有する乾燥具材の開発を試みた。しかしながら、通常行われている植物蛋白を主原料としてエクストルーダを用いて加圧加熱して押出すことにより製造される組織状蛋白素材を味付け、乾燥するだけでは、風味や食感の面で肉とはかけ離れていた。また、味付けした組織状蛋白素材を食用油脂により油ちょうすることを試みたが、湯戻しする前は、大豆臭等の臭いが低下するが、湯戻した際には湯戻りが悪く、脂っこすぎる風味であった。

そこで発明者らは鋭意研究した結果、多孔質化した組織状蛋白素材に味付け処理を行った後、食用油脂の添加量を調整してから、熱風により加熱乾燥することで、蛋白を収縮させ多孔質構造をコントロールし、湯戻しした際に肉様の風味、食感に優れた肉様乾燥蛋白加工食品を提供できることを見出し本発明に至った。

すなわち、エクストルーダを用いて塊状または偏平なシート状に押出されて作製された組織状蛋白素材を、水戻し後、脱水し、得られた前記組織状蛋白素材に味付け処理を行った後、食用油脂を乾燥後の油脂含量が10〜20重量%となるように添加し、100〜120℃の熱風で水分が5〜12重量%となるように乾燥することを特徴とする肉様乾燥蛋白加工食品の製造方法である。

また、本発明における熱風の温度は、105〜115℃であることが好ましい。

また、本発明における食用油脂の添加量は、乾燥後の油脂含量が12〜16重量%となるように添加することが好ましい。

本発明により、即席食品用の具材として、肉様の風味、食感を有する肉様乾燥蛋白加工食品の製造方法を提供することができる。

以下、本発明について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の記載に限定されるものではない。

1.組織状蛋白素材作製 本発明に係る組織状蛋白素材は、脱脂大豆粉、大豆タンパク粉、小麦タンパク粉及び澱粉等の植物由来の粉末素材と水とを混練し、二軸エクストルーダを用いて高温高圧下でダイを通して常圧下に押出されることで作製される。このとき、高圧下から常圧下に一気に開放されることで組織状蛋白素材は多孔質構造を有するようになる。また、ダイの形状を変えることにより、塊状やシート状の組織状蛋白素材が得られる。得られた組織状蛋白素材は、そのまま使用してもよいが、乾燥するか、冷凍することで長期保存することが可能となる。

作製した組織状蛋白素材を水に浸漬し、水戻しする。水戻し方法は特に限定しないが、一晩程度水に浸漬することで組織状蛋白素材全体に水分が行き渡り、適度な弾のある組織となる。次いで、水戻した組織状蛋白素材を脱水し、不要な水分を取り除く。脱水することで、不要成分を取り除くことが出来きるだけでなく、大豆臭や小麦タンパク臭などの臭いも低減することが出来る。

2.組織状蛋白素材加工工程 本発明においては、必ずしも本工程を行う必要はないが、脱水した組織状蛋白素材を、ロールや切刃ロールにより圧扁するまたは、切り溝をつけることにより、組織状蛋白素材に弾力性や繊維の配向性が出るため、より肉らしい食感となる。また、本工程を経ることにより、後述する味付け処理をする際や食用油脂を添加する際に組織状蛋白素材全体に調味液や食用油脂が浸透しやすくなるだけでなく、喫食時の復元性もよくなる。

組織状蛋白素材をロールや切刃ロールにより圧扁するまたは、切り溝を付ける場合は、二軸エクストルーダで押出された組織状蛋白素材の方向と同方向でロールや切刃ロールに通すことが好ましい。押出された方向と垂直方向にロールや切刃ロールに通した場合、繊維の方向性が破壊されるため好ましくない。

3. 味付け処理 次いで、組織状蛋白素材に味付け処理を行う。味付け処理に用いる原料としては、目的とする即席食品に合わせて変えればよく、特に限定しない。例えば、食塩、みりん、酒、砂糖、還元糖、醤油、グルタミン酸ナトリウム、蛋白加水分解物、核酸、畜肉エキス、玉ねぎやショウガなどの搾汁または粉末、香辛料、色素、香料、酸化防止剤等を組織状蛋白素材と直接混合するか、または溶解した調味液に組織状蛋白素材を浸漬し、味付け処理を行えばよい。

調味液に浸漬の方法は特に限定はなく、調味液に浸漬するのみでも、加熱または加温しながら浸漬してもよい。調味液に浸漬した組織状蛋白素材は、液切りして不要な調味液を落として次の工程に用いる。

4.食用油脂添加 味付けした組織状蛋白素材に食用油脂を添加する。添加する食用油脂は特に限定しないが、保存中に製造した肉様乾燥蛋白加工食品から食用油脂が溶出しないように、融点が20℃以上の液油、好ましくは30℃〜50℃の半固形または固形油を用いることが好ましい。このような食用油脂としては、例えば、パーム油、カカオ油、ラード及び脂等が挙げられる。また、食用油脂の融点が高すぎると喫食時の油の風味が悪く、舌触りも悪くなる。半固形または固形油を用いる場合には、融解して液体状にしてから組織状蛋白素材に添加する。

食用油脂の添加量としては、食用油脂添加前の組織状蛋白素材の水分含量によって異なるため、乾燥後の肉様乾燥蛋白加工食品の重量に対して10〜20重量%となるように添加することが好ましい。10重量%未満であると、肉らしい油の風味にかけ、復元性が良くなりすぎて食感的に柔らかくなる。逆に20重量%よりも多くなると油っぽい風味となるだけでなく復元性が悪く、硬い食感となる。より好ましくは、12〜16重量%である。

食用油脂の添加方法は、特に限定はなく、味付けした組織状蛋白素材に直接噴霧してもよく、混合機等で混合して添加してもよい。油ちょうにより食用油脂を添加してもよいが、脱油処理が必要となる。また、油ちょうする場合は食用油脂の温度が高くなると組織状蛋白素材表面が硬化したり、組織状蛋白素材の多孔質構造が強化されるため、80℃以下とすることが好ましい。

5.加熱乾燥 次いで油脂を添加した組織状蛋白素材を100〜120℃の熱風で水分が5〜12重量%となるまで加熱乾燥する。高温の熱風で乾燥処理することでタンパク質を収縮させながら多孔質構造をコントロールして乾燥させることにより、喫食時に適度な弾力を有する肉様の触感となり、加熱調理された風味が出る。100℃未満の場合、多孔質構造の収縮が弱く、復元性が良すぎるため柔らかく弾力の欠ける食感となり、また、加熱調理された風味に欠けるため好ましくない。また、120℃を超えると乾燥中に組織状蛋白素材の一部に焦げが発生するため好ましくない。より好ましくは、105〜115℃である。

また、加熱乾燥後の水分は、12重量%よりも高くとなると保存性に欠けるため好ましくない。また、5重量%未満であると組織状蛋白素材が硬くなり、保管中や輸送中に組織状蛋白素材が割れてしまう。より好ましくは6〜10重量%である。

6.その他 乾燥した組織状蛋白素材は、篩がけや異物選別工程を経て肉様乾燥蛋白加工食品として即席食品用の具材に使用することができる。

以上のように、エクストルーダにより加圧加熱して押出されることにより作製された多孔質化した組織状蛋白素材を水戻し、脱水した後、味付け処理を行い、油を添加してから、100120℃の熱風により加熱乾燥して、タンパク質を収縮し、多孔質構造をコントロールすることで、復元性を制御することができ、湯戻しした際に肉様の風味、食感に優れた肉様乾燥蛋白加工品を提供することができる。

以下に実施例を挙げて本実施形態をさらに詳細に説明する。

<実験1>油脂含量の検討 (実施例1−1) 脱脂大豆80重量%、分離ダイズ蛋白10重量%、コーンスターチ9.4重量%、硫酸カルシウム0.4重量%からなる原料粉を混合し、そこに水を原料粉の重量に対して5重量%となるように加水して混捏しながら、飽和蒸気を原料粉の重量に対して1.5重量%流入して、二軸エクストルーダで110℃、3.5Mapsの加温加圧条件で出口の口径が1x30mmのスリットダイから押出して組織状蛋白シートを作製した。

作製した組織状蛋白シートを約25mmの長さになるように切断し、60℃の熱風で水分が8重量%となるように乾燥し、組織状蛋白素材とした。

乾燥した組織状蛋白素材を水に1晩漬け、水戻しをした後、脱水した。

次いで脱水した組織状蛋白素材を醤油20重量%、砂糖35重量%、食塩5重量%、カラメル色素2重量%、水38重量%からなる調味液に浸漬し、沸騰するまで加熱し、沸騰後、火を止めて5分間静置し、液切りして味付けを行った。

次いで混合機に組織状蛋白素材を入れ、そこに味付けした組織状蛋白素材の重量に対して10重量%の加温溶解した50℃の牛脂(融点40℃)を入れて均質に混合した後、組織状蛋白素材を取り出した。

次いで牛脂を添加した組織状蛋白素材を110℃の熱風乾燥機で水分が8重量%となるまで加熱乾燥した後、冷却し、肉様乾燥蛋白加工食品サンプルとした(油脂含量10量%)。尚、油脂の測定方法は、食品表示基準別添(栄養素等の分析方法等 2 脂質(1))に記載されているエーテル抽出法で行った。また、水分の測定方法は、食品表示基準別添(栄養素等の分析方法等 5 炭水化物 イ 水分(3))に記載されている常圧加熱乾燥法で行い、加熱温度は105℃で時間は4時間で行った。

(実施例1−2) 牛脂の添加量を15重量%とする以外は、実施例1−1と同様の方法で肉様乾燥蛋白加工食品サンプルとした(油脂含量12重量%)。

(実施例1−3) 牛脂の添加量を20重量%とする以外は、実施例1−1と同様の方法で肉様乾燥蛋白加工食品サンプルとした(油脂含量14重量%)。

(実施例1−4) 牛脂の添加量を30重量%とする以外は、実施例1−1と同様の方法で肉様乾燥蛋白加工食品サンプルとした(油脂含量16重量%)。

(実施例1−5) 牛脂の添加量を50重量%とする以外は、実施例1−1と同様の方法で肉様乾燥蛋白加工食品サンプルとした(油脂含量20重量%)。

(比較例1−1) 牛脂を添加しない以外は、実施例1−1と同様の方法で肉様乾燥蛋白加工食品サンプルとした。

(比較例1−2) 油脂添加及び加熱乾燥の代わりに110℃に加温した牛脂に浸漬して水分が8重量%となるまで油ちょうする以外は実施例1−1と同様の方法で肉様乾燥蛋白加工食品サンプルとした。(油脂含量30重量%)

また、作製した肉様乾燥蛋白加工食品についても官能評価を行った。評価は、湯かけ調理後の食感、風味について行った。また、評価方法は、同じパネラー5人によって、4階評価で行った。湯かけ調理は、10個の肉様乾燥蛋白加工食品をカップ容器に入れ、予め用意した400mlの熱湯入れを3分間復元させて行った。

湯かけ調理後の食感についての評価は、適度な弾力を有し非常に良好なものを◎、良好なものを○、硬いまたは柔らかいものを△、非常に硬いまたは非常に柔らかく弾力がないものを×、とした。

湯かけ調理後の風味についての評価は、適度な調理臭と油の風味を感じ非常に良好なものを◎、調理臭、油の風味が良好なものを○、調理臭または油の風味が弱いまたは脂っこいものを△、調理臭または油の風味が著しく弱いまたは、焦げ臭がするまたは脂っこすぎるものを×とした。

実験1の評価結果について表1に示す。

<実験2>加熱乾燥温度について (実施例2−1) 加熱乾燥温度を100℃とする以外は実施例1−3と同様の方法で肉様乾燥蛋白加工食品サンプルとした。

(実施例2−2) 加熱乾燥温度を105℃とする以外は実施例1−3と同様の方法で肉様乾燥蛋白加工食品サンプルとした。

(実施例2−3) 加熱乾燥温度を115℃とする以外は実施例1−3と同様の方法で肉様乾燥蛋白加工食品サンプルとした。

(実施例2−4) 加熱乾燥温度を120℃とする以外は実施例1−3と同様の方法で肉様乾燥蛋白加工食品サンプルとした。

(比較例2−1) 加熱乾燥温度を70℃とする以外は実施例1−3と同様の方法で肉様乾燥蛋白加工食品サンプルとした。

(比較例2−2) 加熱乾燥温度を90℃とする以外は実施例1−3と同様の方法で肉様乾燥蛋白加工食品サンプルとした。

(比較例2−3) 加熱乾燥温度を130℃とする以外は実施例1−3と同様の方法で肉様乾燥蛋白加工食品サンプルとした。

作製した肉様乾燥蛋白加工食品サンプルを実験1と同様の方法で評価した。実験2の評価結果を表2に示す。

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