And a method of manufacturing the same wire-reinforced plate glass for the network, wire-reinforced plate glass

申请号 JP2003532226 申请日 2002-09-27 公开(公告)号 JP4535726B2 公开(公告)日 2010-09-01
申请人 旭硝子株式会社; 松井金網工業株式会社; 发明人 純也 伊藤; 伸一 原田; 尚之 土井; 積 戸田; 太吉 新井; 隆佳 松井; 直毅 沖野;
摘要
权利要求
  • ステンレス鋼製の線材を交差させた網入り板ガラス用網であって、
    前記線材の直径が0.30〜 0.39 mmであるとともに、前記線材同士の交差部が溶接され、前記線材の20〜700℃における平均線膨張係数が14×10 −6 /℃以下であり、かつ、700℃における引張強度が200N/mm 以下であることを特徴とする網入り板ガラス用網。
  • 溶接されている 前記交差部の厚さが、 前記交差部において交差する2本の 前記線材の直径の合算値の82〜97%であることを特徴とする 請求項 1に記載した網入り板ガラス用網。
  • 前記線材が質量百分率表示で本質的に、74〜83%のFe、0.2〜8%のNi、16〜25%のCr、0.5〜2%のMn、および0〜3%のMoからなることを特徴とする請求項1または2に記載した網入り板ガラス用網。
  • ステンレス鋼製の線材を交差させた網入り板ガラス用網を連続的に製造する方法であって、
    前記線材として、直径が0.30〜 0.39 mmであり、20〜700℃における平均線膨張係数が14×10 −6 /℃以下であり、かつ、700℃における引張強度が200N/mm 以下である線材を用いて、
    前記線材を交差させて線材交差物とし、
    前記網が連続的に製造される方向に対して直交するように配置され、かつ、外周面に前記網の網目の大きさに等しい間隔で設けられた溝を有する軸回転可能な円柱状ロールの前記溝に前記線材交差物が嵌まるようにし、
    前記円柱状ロールを軸回転させて前記線材交差物を順次整列搬送し、搬送された前記線材交差物の交差部を溶接することを特徴とする網入り板ガラス用網の製造方法。
  • 前記円柱状ロールの前記溝の底面の幅が前記線材の直径の1.1〜2倍であり、前記溝の表面の幅が前記線材の直径の2倍超であり、かつ、前記溝のその他の部分の幅が前記線材の直径の1.1倍超であることを特徴とする請求項4に記載した網入り板ガラス用網の製造方法。
  • 前記線材交差物の交差部の溶接をスポット溶接により行なうことを特徴とする請求項4または5に記載した網入り板ガラス用網の製造方法。
  • 前記溶接された交差部の厚さが、前記交差部において交差する2本の前記線材の直径の合算値の82〜97%であることを特徴とする請求項4から6のいずれかに記載した網入り板ガラス用網の製造方法。
  • 前記線材が質量百分率表示で本質的に、74〜83%のFe、0.2〜8%のNi、16〜25%のCr、0.5%〜2%のMn、および0〜3%のMoからなることを特徴とする請求項4から7のいずれかに記載した網入り板ガラス用網の製造方法。
  • 前記交差部が溶接された前記網の搬送速度V を、前記円柱状ロールにおける前記線材交差物の搬送速度V に等しくなるように制御することを特徴とする請求項4から8のいずれかに記載した網入り板ガラス用網の製造方法。
  • 前記交差部が溶接された前記網を巻取ロールにより巻き取り、前記円柱状ロールのV が0のときの周位置からの前記円柱状ロールの周方向移動距離に、前記V が0のときからの前記網の巻き取り長さを等しくするように、前記巻取ロールの回転状況を制御することを特徴とする請求項9に記載した網入り板ガラス用網の製造方法。
  • 前記交差部が溶接された前記網を巻取ロールにより巻き取り、前記円柱状ロールのV が0のときには前記V が0にとどまる範囲で前記網を前記巻取ロールにより引っ張ることを特徴とする請求項9に記載した網入り板ガラス用網の製造方法。
  • 前記網に一定の張力を発生させることを特徴とする請求項9に記載した網入り板ガラス用網の製造方法。
  • 巻き取られるべき前記網をテンショナに通すことを特徴とする請求項12に記載した網入り板ガラス用網の製造方法。
  • 前記テンショナが前記網と接触する昇降転動ローラを有し、
    前記昇降転動ローラの上下方向位置を制御して前記網の緩みを抑制することを特徴とする請求項13に記載した網入り板ガラス用網の製造方法。
  • 請求項1に記載の網入り板ガラス用網が封入された網入り板ガラス。
  • 说明书全文

    本発明は、網入り板ガラス用網とその製造方法、網入り板ガラス、および網入り磨き板ガラスの製造方法に関する。

    従来より、建築物の窓等には、菱網入り板ガラス、網入り板ガラス等の網入り板ガラスまたは線入り板ガラス、これらの両面を磨いて極めて平滑にした網入り磨き板ガラスおよび線入り磨き板ガラスが広く使用されている。

    このうち、網入り板ガラスは、溶融ガラスを圧延ロールによってリボン状ガラスに成形する際、四角形網目を有する鉄製の網をリボン状ガラス内部に挿入し、このリボン状ガラスを徐冷した後に所定寸法に切断して製造される。

    網入り板ガラスに挿入される鉄製の網は、従来、鉄製の線材(直径:0.5〜0.6mm)を所定間隔で編むことにより作製される。

    ここで、菱網入り板ガラスとは、網を構成する線材が菱形状に編まれており、線材がリボン状ガラスの進行方向に対して斜めであり、かつ、網目の対角線の一方が前記進行方向に対して略平行となるように網が挿入されたものを指す。 通常、この菱形状の網目はリボン状ガラスに挿入される際に進行方向に引き伸ばされ、略正方形の網目となる。

    また、角網入り板ガラスとは、例えば網を構成する線材が直交するように編まれている場合、直交する線材がリボン状ガラスの進行方向に対してそれぞれ略平行または略直交するように網が挿入されたものを指す。

    一方、線入り板ガラスは、前記網入り板ガラスの場合と異なり、鉄製の網の代わりに互いに平行な複数本のステンレス鋼製の線材(直径:0.4mm)がリボン状ガラス内部に、その進行方向に対して略平行となるように挿入されている。

    網入り磨き板ガラスおよび線入り磨き板ガラスはそれぞれ網入り板ガラスおよび線入り板ガラスの両面を連続的に磨いて製造される。 例えば、片面連続磨き法の場合、幅が典型的には2.5〜3mの網入り板ガラスまたは線入り板ガラスを石こう等によってテーブルに張付け、このテーブルを3〜10m/分の速度で進行させながら一列に並べられた磨き機(15〜30台程度のグライジング機、15〜50台程度のポリッシング機等からなる。)によって片面を磨く。 片面を磨き終わるとテーブルから板ガラスをはぎ取り、磨き終わっていない方の片面を同様にして磨く。

    ところで、前述した網入り板ガラスおよび網入り磨き板ガラスは端面に鉄製の線材が露出しており、板ガラスと線材との間の隙間から侵入した分により鉄製の線材にさびが生じ、その際の線材の体積膨張により板ガラスが割れる、または板ガラスにクラックが発生する等の問題があった。

    この間題を解決するために、Sn等のめっきを施した鉄製の網を板ガラスに挿入した網入り板ガラスが提案されているが、必ずしも充分な効果は得られていない。

    一方、前述した線入り板ガラスにおいては、ステンレス鋼製の線材を用いているので、このようなさびに起因する問題は起っていない。

    このため、網入り板ガラスにおいても、このさびに起因する問題をステンレス鋼製の網を用いることにより解決できると考え、数多くの提案がされている。

    しかし、いまだにステンレス鋼製の網を用いた網入り板ガラスまたは網入り磨き板ガラスは工業生産されていない。 これは、従来の数多くの提案が、実験室規模の知見にもとづくものであって、幅が典型的には2.5〜3mであるような大きな網入り板ガラスを連続的に大量に生産する工業生産に必須の要件を開示できていなかったことによるものと考えられる。

    本発明の目的は、前述した問題点を解決する網入り板ガラス用網、網入り板ガラス用網の製造方法、網入り板ガラスおよび網入り磨き板ガラスの製造方法を提供することにある。

    本発明に係る網入り板ガラス用網は、ステンレス鋼製の線材を交差させた網入り板ガラス用網であって、前記線材の直径が0.30〜 0.39 mmであるとともに、前記線材同士の交差部が溶接され、前記線材の20〜700℃における平均線膨張係数が14×10 −6 /℃以下であり、かつ、700℃における引張強度が200N/mm 以下であることを特徴とする網入り板ガラス用網である。

    また、本発明に係る網入り板ガラス用網は、溶接されている前記交差部の厚さが、 前記交差部において交差する2本の前記線材の直径の合算値の82〜97%であることを特徴とする前記網入り板ガラス用網である。

    また 、本発明に係る網入り板ガラス用網は、前記線材が質量百分率で本質的に、74〜83%のFe、0.2〜8%のNi、16〜25%のCr、0.5〜2%のMn、および0〜3%のMoからなることを特徴とする前記網入り板ガラス用網である。

    次に、本発明に係る網入り板ガラス用網の製造方法は、ステンレス鋼製の線材を交差させた網入り板ガラス用網を連続的に製造する方法であって、
    前記線材として、直径が0.30〜 0.39 mmであり、20〜700℃における平均線膨張係数が14×10 −6 /℃以下であり、かつ、700℃における引張強度が200N/mm 以下である線材を用いて、
    前記線材を交差させて線材交差物とし、
    前記網が連続的に製造される方向に対して直交するように配置され、かつ、外周面に前記網の網目の大きさに等しい間隔で設けられた溝を有する軸回転可能な円柱状ロールの前記溝に前記線材交差物が嵌まるようにし、
    前記円柱状ロールを軸回転させて前記線材交差物を順次整列搬送し、搬送された前記線材交差物の交差部を溶接することを特徴とする網入り板ガラス用網の製造方法である。

    また、本発明に係る網入り板ガラス用網の製造方法は、 前記円柱状ロールの前記溝の底面の幅が前記線材の直径の1.1〜2倍であり、 前記溝の表面の幅が前記線材の直径の2倍超であり、かつ、 前記溝のその他の部分の幅が前記線材の直径の1.1倍超であることを特徴とする前記網入り板ガラス用網の製造方法である。

    また、本発明に係る網入り板ガラス用網の製造方法は、前記線材交差物の交差部の溶接をスポット溶接により行なうことを特徴とする前記網入り板ガラス用網の製造方法である。

    また、本発明に係る網入り板ガラス用網の製造方法は、前記溶接された交差部の厚さが、前記交差部において交差する2本の前記線材の直径の合算値の82〜97%であることを特徴とする前記網入り板ガラス用網の製造方法である。

    また 、本発明に係る網入り板ガラス用網の製造方法は、 前記線材が質量百分率表示で本質的に、74〜83%のFe、0.2〜8%のNi、16〜25%のCr、0.5〜2%のMn、および0〜3%のMoからなることを特徴とする前記網入り板ガラス用網の製造方法である。

    また、本発明に係る網入り板ガラス用網の製造方法は、前記交差部が溶接された前記網の搬送速度V を、前記円柱状ロールにおける前記線材交差物の搬送速度V に等しくなるように制御することを特徴とする前記網入り板ガラス用網の製造方法である。

    また、本発明に係る網入り板ガラス用網の製造方法は、前記交差部が溶接された前記網を巻取ロールにより巻き取り、前記円柱状ロールのV が0のときの周位置からの前記円柱状ロールの周方向移動距離に、前記V が0のときからの前記網の巻き取り長さを等しくするように、前記巻取ロールの回転状況を制御することを特徴とする前記網入り板ガラス用網の製造方法である。

    また、本発明に係る網入り板ガラス用網の製造方法は、前記交差部が溶接された前記網を巻取ロールにより巻き取り、前記巻取ロールのV が0のときには前記V が0にとどまる範囲で前記網を前記巻取ロールにより引っ張ることを特徴とする前記網入り板ガラス用網の製造方法である。

    また、本発明に係る網入り板ガラス用網の製造方法は、前記網に一定の張を発生させることを特徴とする前記網入り板ガラス用網の製造方法である。

    また、本発明に係る網入り板ガラス用網の製造方法は、巻き取られるべき前記網をテンショナに通すことを特徴とする前記網入り板ガラス用網の製造方法である。

    また、本発明に係る網入り板ガラス用網の製造方法は、前記テンショナが前記網と接触する昇降転動ローラを有し、前記昇降転動ローラの上下方向位置を制御して前記網の緩みを抑制することを特徴とする前記網入り板ガラス用網の製造方法である。

    さらに、本発明に係る網入り板ガラスは、前記網入り板ガラス用網が挿入された網入り板ガラスである。

    そして、本発明に係る網入り板ガラスは、本発明の網入り板ガラス用網が挿入された網入り板ガラス、または、本発明の「網入り板ガラス用網の製造方法」によって製造された網入り板ガラス用網が挿入された網入り板ガラスである。

    また、本発明に係る網入り磨き板ガラスの製造方法は、本発明の網入り板ガラスの片面または両面を磨くことを特徴とする網入り磨き板ガラスの製造方法である。

    本発明者らは、ステンレス鋼製の線材により作製された網を用いた網入り板ガラスの工業生産がなぜなされないのかを鋭意検討した結果、従来の鉄製の網の代わりにステンレス鋼製の網を用いると、網入り板ガラスの切断性が低下し、このために工業生産がなされなかった、と考え本発明に至った。

    本発明によれば、網を構成する線材の直径寸法が0.30mm以上0.45mm未満であるとともに、各線材の交差部が溶接されているため、リボン状ガラスに網を挿入するにあたって各線材に相対的な位置ずれが生じる虞れがなく、かつ、従来の鉄製の網を用いた網入り板ガラスと同様に、良好な網入り板ガラスの切断性が得られる。

    また、本発明によれば、網の交差部における厚さが、当該交差部において交差する2本の線材の直径の合算値の82〜97%となるように、2本の線材の接触部同士が互いに溶け込んでいるため、溶接個所が外れる虞れが少なく、また各線材が破断する虞れも少ない。

    さらに、本発明によれば、軸回転可能な円柱状ロールの外周面に形成した多数の溝に各線材(線材交差物)を保持させることにより、各線材を順次整列させて搬送するため、各線材の相対位置を確実に保持できる。
    その上、各溝の断面形状が略V字状であるため、各線材を所定の間隔で保持できる。

    また、各線材が交差する複数の交差部をスポット溶接により固定するため、各線材を確実に固定できる。

    また、本発明によれば、前記波打ち現象を抑制でき、また平坦性を向上することができ、これにより片面連続磨き法等の磨き工程における網入り板ガラスの表面研磨量を削減でき、磨き効率を高めることができる。

    また、本発明によれば、上下の電極部と巻取ロールとの間で網に一定の張力をかけながら網を巻取ロールに巻き取れる。 さらに、接触手段により網入り板ガラス用網が巻取ロールに対して所定の位置を通過して巻き取られるように網入り板ガラス用網の軌路を矯正するとともに、テンショナとして作用することにより網入り板ガラス用網の緩みを吸収し、かつ、接触手段の上流側の網に掛かる第1張力と下流側の網に掛かる第2張力とを切離す。 加えて、網入り板ガラス用網の幅方向両端縁に沿ってサルベージを溶接する。
    よって、網の一部に網目に変形が生じることを防止できる。 加えて、巻取ロールに網が緩く巻き取られたり、不均一に巻き取られることを防止できるので、巻取ロールに網を緻密に巻き取ることができる。
    これにより、一巻き当たりの網の長さを長くできる。
    さらに、板ガラスの平坦性を向上することができ、これにより片面連続磨き法や両面連続磨き法などの磨き工程における網入り板ガラスの表面研磨を減少でき、磨き効力を高めることができる。

    以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
    なお、以下に説明する各実施形態において、一度説明した部材等については、図中に同一符号あるいは相当符号を付すことにより説明を簡略化あるいは省略する。

    図1に示すように、本発明に係る第1実施形態である網入り板ガラス10は、ステンレス鋼製の線材11を多数交差させた網入り板ガラス用網12(以下単に網12という。)が挿入されている板ガラスである。

    網入り板ガラス10は例えば次のようにして製造される。 すなわち、図2に示すようにタンク窯23の前端から溶融ガラス24を流し出し、これを一対の圧延ロール21、22によって板状に成形しリボン状ガラス25とする。 この際、圧延ロール21、22の直前に形成された溶融ガラス24の盛り上がり26から四角形網目を有する網12が挿入される。 この網12が挿入されたリボン状ガラス25はトレーロール27、28、29によりレヤー(図示せず)に搬送され、徐冷された後に所定寸法に切断して製造される。 図2は単層のガラス中に網を挿入する場合を示すが、網入り板ガラスを工業生産する方法はこれに限られず、たとえば2層のガラスの間に網を挿入するサンドイッチ法を用いてもよい。

    図1に戻って、網12は、各線材11同士の交差部13が例えばスポット溶接等の電気抵抗溶接により相互固定されている。 網入り板ガラス10を所定寸法に切断すると網入り板ガラス10の端面から線材11の切断面が露出する。

    網入り板ガラス10は例えば、網12を構成する線材11が菱形状に編まれており、線材12がリボン状ガラス25(図2参照)の進行方向に対して斜めであり、かつ、網目の一方の対角線がリボン状ガラス25の進行方向に対して略平行、他方の対角線が略直交となるように網12が挿入された菱網入り板ガラス、あるいは線材11がリボン状ガラス25の進行方向に対して略平行または略直交するように網12が挿入された角網入り板ガラス等である。 図1に示す網入り板ガラス10は角網入り板ガラスである。
    さらに、ここでいう網目とは、正方形、長方形等の矩形状、菱形状に限らず、平行四辺形状、多角形状等を含む。

    線材11の直径が0.30mm未満であると、交差部13を溶接する際に各線材11が過度に溶融して切断される虞れがある。 好ましくは0.33mm以上である。 各線材11の直径が0.45mmを超えていると、網入り板ガラス10の切断時に各線材11が障害となって切断が困難になる。 好ましくは0.40mm以下、より好ましくは0.39mm以下である。 なお、各線材11の断面は通常円形であるが、楕円形、多角形等であってもよく、そのような円形でない場合にはその最大幅と最小幅の平均をここでいう直径とする。

    溶接されている交差部13の厚さH2は、交差部13において交差する2本の線材11、11の直径の合算値H1の82〜97%であることが好ましい。 82%未満では各線材11が過度に溶融して破断する虞れがある。 より好ましくは87%以上である。 97%超では、溶接個所が外れる虞れがある。 より好ましくは95%以下である。

    線材11は、その20〜700℃における平均線膨張係数αが14×10 −6 /℃以下であり、かつ、700℃における引張強度Sが200N/mm 以下であることが好ましい。 この範囲外では、リボン状ガラス25が波打つ虞れがある、またはリボン状ガラス25の表面凹凸が大きくなる虞れがある。

    αはより好ましくは13×10 −6 /℃以下である。 また、αは好ましくは10×10 −6 /℃以上、より好ましくは11×10 −6 /℃以上である。 特に好ましくは11×10 −6 〜13×10 −6 /℃である。

    Sは、より好ましくは150N/mm 以下、特に好ましくは100N/mm 以下である。 また、Sは好ましくは50N/mm 以上、より好ましくは70N/mm 以上である。 なお、引張強度は、JIS G 4309の .1引張試験に準拠した方法による測定値である。

    αおよびSをこのように限定することによりリボン状ガラス25の波打ちが抑制され、または表面凹凸が低減する理由は次のようなものであると考えられる。 すなわち、水冷された圧延ロール21、22によって成形された直後のリボン状ガラス25の温度は典型的には700℃であり、網入り板ガラス10のガラスとして通常使用されるソーダライムシリカガラスの場合700℃未満に冷却される過程で急速に固化が進む。 αを前記範囲内に限定するとこの冷却過程でのリボン状ガラス25と線材11の膨張係数の違いが小さくなる。

    また、Sを前記範囲内に限定すると、搬送されるリボン状ガラス25が、リボン状ガラス25に挿入される網12を引張る力が網12を構成する線材11の引張強度Sよりも大きくなる。 その結果、線材11は塑性変形を起こし伸びが生じ、その後の冷却によって起る線材11のリボン状ガラス25に対する相対的収縮量がこの伸びの分だけ小さくなり、前記波打ちが抑制され、または表面凹凸が低減する。

    線材11は、質量百分率表示で本質的に、74〜83%のFe、0.2〜8%のNi、16〜25%のCr、0.5〜2%のMn、および0〜3%のMoからなることが好ましい。 この好ましい態様について以下に説明する。

    Niが8%を超えると線材11の磁力選別が難しくなり、網入り板ガラス10をリサイクルのために粉砕した後に行なうべき線材11の回収が困難となる。 好ましくは4%以下である。 0.2%未満であると、線材11の耐食性が低下する。

    Crが16%未満であると線材11の耐食性が低下する。 25%超であると線材11の磁力選別が困難になる。 好ましくは20%以下である。

    Mnが0.5%未満では線材11の周囲のガラスにクラックが発生しやすくなる。 2%超では線材11が脆化し易くなる。 好ましくは1%以下である。

    Moは必須ではないが、線材11の耐食性を向上させるために3%まで含有してもよい。 3%超では線材11の加工性が低下する。 Moを含有する場合、その含有量は0.5%以上であることが好ましい。

    前記好ましい態様の線材11は本質的に上記成分からなるが、その他の成分を本発明の目的を損なわない範囲で含有してもよい。 たとえば、C、Al、Si、P、Ti等を不純物レベルで含有してもよい。

    ただ、Cについては0.1%以下であることが好ましい。 0.1%超ではガラス中に泡を発生させる虞れがある。 より好ましくは0.01%以下である。

    網12を構成する線材11にはSn、Cr、Ni等のめっきを施しておいてもよいが、網12の製造工程が増加するので、この観点からはめっきがされていないものが好ましい。

    図3には、本発明に係る網12を製造する製造装置30が示されている。 なお、ここに例示する網12は菱網入り板ガラス用網である。

    製造装置30は、ステンレス鋼製の線材11を引き出して交差配置し線材交差物14とする線材引出部31と、これらの各線材11の相対位置を規制する規制手段32と、各線材11の交差部13を溶接固定して網12を形成する固定手段33と、この網12を図3中右下方向に引き寄せながら巻き取る巻取ロール34とを備えている。

    線材引出部31は、線材11を巻き付けた樹脂製のボビン(図示せず)から線材11を引き出す下線側トロッコ35Aおよび上線側トロッコ35Bと、下線側トロッコ35Aおよび上線側トロッコ35Bにより線材11を交差配置した線材交差物14を搬送するコンベア35Cとを有している。

    下線側トロッコ35Aおよび上線側トロッコ35Bは、製造する網12の搬送方向に対して略45度の角度、かつ、互いに異なる方向に向けて配向されている。 従って、下線側トロッコ35Aおよび上線側トロッコ35Bは、製造する網12の搬送方向に対して線材11を略45度の角度、かつ、互いに異なる方向に向けて所定間隔で往復させながら配置する。

    従って、このような線材引出部31は、略菱形状の網目における対角線の一方が搬送方向に平行になるように各線材11を交差配置するようになっている。

    一方、コンベア35Cは、所定幅の板材35Dが無限軌道状に多数配列されていて、これらの各板材35Dの長手方向両端部に線材11を係止して往復するように引き回すため、各線材11の間隔は所望の間隔に確実に維持される。

    図4(A)にも示すように、規制手段32は、網12の搬送方向に対して横断するように、好ましくは直交するように配置された円柱状ロール36である。 円柱状ロール36の外周面36Aには多数の溝37が形成されている。
    円柱状ロール36は、当該円柱状ロール36の軸線を中心として回転可能とされている。

    図4(B)に示すように、溝37は、円柱状ロール36の軸線に向かって先細りとなるように一対の壁面37A、37Bが対向配置された断面略V字形状を有している。 すなわち、溝37の深さ方向の幅は溝37の表面から溝37の底面に向って小さくなっている。

    溝37の深さ方向の最小幅である底面の幅W1は線材11の直径の1.1〜2倍、好ましくは1.1〜1.8倍とされ、かつ、溝37の表面の幅W2は線材11の直径の2倍超、好ましくは4〜9倍に設定される。 図4(B)においてはW2は溝37の深さ方向の最大幅でもある。

    なお、この第1実施形態においては溝37の底面と表面との両端を除く部分の溝37の幅は線材11の直径の1.1倍超である。

    図4(A)に戻って、溝37は、円柱状ロール36の外周面36Aに沿って所定の間隔で交差する螺旋状に形成されている。
    ここで、所定の間隔とは、網12を形成する各線材11の離間寸法に対応した間隔、すなわち網12の網目の大きさに等しい間隔である。

    そして、円柱状ロール36は、各溝37内に各線材11を収容した状態、すなわち線材交差物14が各溝37に嵌まっている状態で軸回転することにより、各線材11を順次整列させて次工程の固定手段33に搬送する。

    この際、溝37のW1が線材11の直径の1.1〜2倍とされ、溝37のW2が線材11の直径の2倍超に設定され、かつ溝37の表面と底面を除く部分の幅が線材11の直径の1.1倍超とされているため、線材11は壁面37A、37Bに対して確実に接触して保持され、これにより各線材11が所定の間隔で整列される。

    再び図3に戻って、固定手段33は、規制手段32を経た線材交差物14の各線材11の交差部13を径方向に挟持する上電極部38および下電極部39を有するスポット溶接機となっている。

    図5に示すように、下電極部39は製造工程方向(図5中矢印参照)に対して略45度の角度で配置された表面が略長方形の電極ユニット40を多数備えている。 これらの電極ユニット40は、互いに平行に配置され、各線材11における4ヶ所の交差部13を一度に溶接して固定できるようになっている。

    これらの4ヶ所の交差部13を一度に溶接できる電極ユニット40は、例えば2ヶ所溶接できる電極を2対備えるものであってもよいし、または、1ヶ所溶接できる電極を4対備えるものであってもよい。 なお、各対においては個々に挟持圧力、電流、電圧を調整できる。

    線材11の直径のばらつきが大きく該直径が小さくなる虞れがある場合、または交差部13の電極中心からのずれが大きくなる虞れがある場合、2ヶ所溶接できる電極を2対、または、1ヶ所溶接できる電極を4対備えるものとすることが好ましい。

    また、H2をH1の82〜97%の範囲とするためには、4ヶ所の交差部13を同時に溶接するのではなく、2回以上溶接することが好ましい。 たとえば、2ヶ所溶接できる電極を2対並べ、上流側の対で溶接後、下流側の対で2回目の溶接を行なえばよい。

    なお、ここでは4ヶ所の交差部13を同時または順次溶接する場合について説明したが、4ヶ所には限定されず、1ヶ所、2ヶ所、3ヶ所または5ヶ所以上でもよい。 網の製造速度を大きくするためには2ヶ所以上であることが好ましい。

    図6に示すように、固定手段33は、固定された下電極部39に対して上電極部38が近接離反できるようになっている。 上電極部38および下電極部39による挟持圧力、電流値、近接時間(線材11を挟持する時間)を適宜選択することにより、交差部13における各線材11の積層方向の厚さ、すなわち溶接されている交差部13の厚さH2(図6(B)参照)が、当該交差部13において交差する2本の線材11,11の直径の合算値H1(図6(A)参照)に対して3〜18%減少するように、2本の線材11,11の接触部同士を互いに溶け込ませている。 前記H2は前記H1の82〜97%である。

    再び図3に示すように、このようにして製造された網12は、搬送方向両端部12Aが切除された後、巻取ロール34により巻き取られ、図2に示す網入り板ガラス10の製造工程において使用される。

    以上のような第1実施形態によれば、網12を構成する線材11の直径が0.30mm以上0.45mm以下であるとともに、各線材11の交差部13が溶接されているため、リボン状ガラス25に網12を挿入するにあたって各線材11に相対的な位置ずれが生じる虞れがなく、かつ、従来の鉄製の網を用いた網入り板ガラスと同様に切断性が良好な網入り板ガラス10が得られる。

    また、これらの線材11により形成された網12は、交差部13における厚さH2が、当該交差部13において交差する2本の線材11,11の直径の合算値H1の82〜97%となるように、当該2本の線材11の接触部同士が互いに溶け込んでいるため、H2がH1の97%を超えている場合に比較して溶接個所が外れる虞れが少なく、82%未満である場合に比較して各線材11が破断する虞れが少ない。

    また、前述した製造装置30によれば、軸回転可能な円柱状ロール36の円周面36Aに形成した多数の溝37に線材交差物14を構成する各線材11をそれぞれ保持させることにより、各線材11を順次整列させて搬送するため、各線材11間の間隔を一定に保持できる。

    特に、この製造装置30によれば、各溝37の断面形状が略V字状であるため、線材11が溝37の断面の中心に確実に保持される、換言すれば各線材11を所定の間隔で確実に保持できる。

    また、製造装置30によれば、各線材11が交差する複数の交差部13をスポット溶接により固定するため確実に交差部13を固定でき、さらに各交差部13のうちの複数箇所を同時にスポット溶接するため、網12の製造工程を高速化できる。

    なお、本発明は、前述した第1実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形、改良等が可能である。
    例えば、前述した第1実施形態では、網入り板ガラス10として角網入り板ガラスが例示されていたが、本発明は菱網入り板ガラスにも適用可能である。
    この場合、網を製造するための規制手段としては、図7に示す円柱状ロール70や図8に示す円柱状ロール80を例示できる。

    すなわち、図7に示す円柱状ロール70は、円周面70Aの周方向に沿って多数の溝77が形成されている。 また、図8に示す円柱状ロール80は、円周面80Aにおける周方向および母線に沿って多数の溝88が形成されている。

    その他、前述した第1実施形態において例示した線材、網、交差部、円柱状ロール、溝等の材質、形状、寸法、溶け込み量、形態、数、配置個所等は本発明の目的を達成できるものであれば任意であり、限定されない。

    本発明の網入り磨き板ガラスの製造方法において、本発明の網入り板ガラスの片面または両面を磨く方法は特に限定されないが、たとえば前述の片面連続磨き法が挙げられる。 また、本発明の網入り板ガラスの両面を磨く方法としては、前述の片面連続磨き法を網入り板ガラスの両面にそれぞれ一回ずつ施す方法や、あるいは両面連続磨き法が挙げられる。

    前記両面を磨く効率を向上させるためには、前記本発明の網入り板ガラスのうち、特に、線材のαが14×10 −6 /℃以下であり、かつ、Sが200N/mm 以下であるものを用いることが好ましい。 その理由は、このような網入り板ガラスにおいてはその両面の波打ちまたは表面凹凸が小さい可能性が高いからである。

    なお、網入り磨き板ガラスは、日本工業規格においては先に述べたように両面が磨かれて極めて平滑にされたものを言うが、本発明においては片面のみが磨かれ、他の片面が磨かれていないものも含む。

    (実施例)
    質量百分率表示の組成が、Fe:83.95%、Ni:0.24%、Cr:16.68%、Mn:0.77%、C:0.011%、Si:0.34%、P:0.008%、S:0.003%であるSUS430からなり、直径H1が0.35mmである断面が円形の線材を用いて、先に図3、4、5および6を用いて説明した方法により、網目が1辺19.35mmの菱形状である網入り板ガラス用網を作製した。

    なお、前記線材のαは11.9×10 −6 /℃、Sは83N/mm である。
    また、網の作製に使用した円柱状ロールの溝は図4(B)に示すような略V字状であり、そのW1は0.5mm、W2は2.5mmである。
    得られた網の溶接されている交差部の厚さH2は0.63mmであり、したがって、H2/H1は90%であった。

    次に、この網を、図2とは異なり、溶融ガラスの下方から溶融ガラスに挿入して網入り板ガラスを製造した。 すなわち、対になっている2本の圧延ロールの接触部を溶融ガラス液面よりも低くし、下方の圧延ロールの前記接触部上流側に溶融ガラスの長まくら状のため(ボルスタ)を形成し、このボルスタに網を挿入していった。 ボルスタの温度は900〜1200℃、圧延ロール対を出たリボン状ガラスの温度は700℃であった。

    挿入した網の長さは90m、網の線材の直径は0.35mm、リボン状ガラスの厚さは6.8mm、幅は2.7mであった。
    このリボン状ガラスを徐冷後切断し、大きさが2.54m×1.80mの網入り板ガラスを得た。 なお、前記切断は問題なく行なえ、また切断性は良好であった。

    この網入り板ガラスにおいて、溶接された交差部の溶接はがれ、線材まわりのガラス中のクラック、および前記交差部まわりのガラス中の泡の数はいずれも通常の鉄製網を用いた網入り板ガラスと同程度またはそれ以下であり問題はなかった。 また、表面の波打ちも認められなかった。

    この網入り板ガラス(以下、本発明品という。)と、単なる鉄製網を用いた網入り板ガラス(以下、従来品1という。)およびCrめっき鉄製網を用いた網入り板ガラス(以下、従来品2という。)の各サンプル、それぞれ3個について次のような30日間の塩水浸漬テストを行い、さびやすさを調べた。

    すなわち、質量百分率表示の濃度が5%である塩水に1日おきに浸漬、乾燥を繰り返し、サンプル端面からのさびの進行とそのさびに起因するサンプル端面のクラックの発生の有無を調べた。 なお、週末に行なう浸漬または乾燥は3日間とした。 結果を表1に示す。

    また、本発明品および従来品1の各サンプルそれぞれ2枚の両面について表面凹凸を次のようにして測定し、比較した。 すなわち、新光電子社製変位センサ(差動トランス、AC−5SPM)を用いて幅方向の1.88mについて凹凸を測定した。 各測定(1〜4)における凹凸の最大値とそれらの平均を表2に示す(単位:mm)。

    本発明品の表面凹凸は明らかに従来品1に比べ小さい。 実際、先に述べた片面連続磨き法で両面を連続的に磨いて平滑にする試験を行なったところ、本発明品の磨き効率は従来品1に比べて明らかに向上していた。

    次に、第2〜第4実施形態について説明する。

    ここで、第1実施形態の網入り板ガラス用網の製造方法によれば、巻取ロール34により巻き取られる網の長さが長くなると、図9(A)〜(E)に示す現象が発生する虞れがある。
    すなわち、(A)において、線材交差物14の交差部を溶接するために上下の電極部38,39で当該交差部を挟持する。 このとき、円柱状ロール36は静止状態にあり、巻取ロール34は網12の巻き取りを継続する。
    (B)において、上下の電極部38,39で前記交差部を溶接した後、上下の電極部38,39を交差部から開放する。 同時に、円柱状ロール36が回転を開始して網12を搬送開始するが、この際に網12が急加速することになる。
    (C)において、巻取ロール34の回転が網12の急加速に追従できないと、網12が押され過ぎの状態になる。 このため、円柱状ロール36と巻取ロール34との間において網12の一部の部位50に緩みが発生する。 これにより、既に巻取ロール34に巻き取られている網12にも緩みが波及する。 具体的には、巻取ロール34に巻き付けて積層された網12と、その上に積層されていく網12とが互いに厚み方向に沿って離れるように緩む。
    (D)において、次の交差部を再度溶接するために上下の電極部38,39で線材交差物14の交差部を挟持する。
    (E)において、巻取ロール34は網12の巻き取りを継続しているので、緩みが発生した部位50が急激に引っ張られる。 これにより前述したように巻取ロール34において離れるように緩んでいた前記網12の層と、その上積層されるべき網12とが互いに強く押し付けられる。 この際、前記網12の層における線材と、その上に積層されるべき網12における線材とが互いに係合し合う虞れが高くなる。

    このままの状態で巻取ロール34の巻き取りが継続されると、線材同士が係合し合った場合には、図10に示すように、網12の一部の部位50の網目に変形が生じる。 網12の網目が変形するのは狭い幅であるが、網12は斜めに編網しているので、比較的長い範囲L1の網12が不良になることが考えられる。

    加えて、(A)〜(E)で説明したように、網12を間欠送りするので、巻取ロール34に網12が緩く巻き取られたり、不均一に巻き取られる虞れがある。

    このように、網12が緩く巻き取られたり、不均一に巻き取られると、巻取ロール34に巻き取られた網12の巻き径が大きくなる。 よって、緩く巻き取られると、一巻き当たりの網12の長さが短くなる。

    そこで、第2〜第4実施形態を提案する。

    先ず、図11に示す第2実施形態の網入り板ガラス用網の製造方法においては、円柱状ロール36の回転状況を検出手段51によって検出し当該回転状況に対応させて巻取ロール34の回転状況を制御手段52によって変化させることにより、線材交差物14の搬送速度V と線材交差物14の交差部が溶接された網12の搬送速度V が等しくなるようにする。

    円柱状ロール36の回転状況はたとえば検出手段51としてロータリーエンコーダを用いて検出し、その検出結果から円柱状ロール36の周速度を知る。 なお、当該周速度はV に等しい。

    巻取ロール34の回転状況、具体的には巻取ロール34の回転速度を、たとえば制御手段52としてACサーボモータを用いて前記検出結果を入力信号として変化させ、網12の搬送速度V がV に等しくなるようにする。
    このようにすることにより、網12における緩みの発生を抑制できる。

    をV に等しくするように制御する好ましい方法として次のようなものが例示される。 すなわち、前記交差部が溶接されるときには線材交差物14の搬送は停止されV は0となるがそのときの円柱状ロール36の周位置を記憶する。 以下、前記搬送が停止されるときを単に停止時といい、前記記憶された周位置を停止時周位置という。

    次に、ロータリーエンコーダ等の検出手段51によって検出された円柱状ロール36の回転状況データをもとにたとえば0.1秒経過する毎の円柱状ロール36の周位置を、前記停止時周位置を基準として計算して求める。 すなわち前記周位置は停止時周位置からの周位置変化量(周方向移動距離)である。

    このようにして計算して求められた周位置の情報等をACサーボモータ等の制御手段52に送り、前記情報等にもとづいて制御手段52によって巻取ロール34の回転状況をたとえば0.1秒毎に変化させ、網12の巻取ロール34における周位置変化量が前記円柱状ロール36における周位置変化量に等しくなるようにする。

    前記緩みをより抑制したい場合には、前記停止時にV は0となりV はV に等しくするべく0とされるが、このとき網12に張力T (>0)を発生させることが好ましい。 制御手段52としてACサーボモータを用いる場合、V が0に保持されるという条件を満たしつつT を所望の値にするべくACサーボモータを制御する。

    第2実施形態によれば、巻取ロール34に網12が緩く巻き取られたり、不均一に巻き取られることを防止できる。 このように、網12が緩く巻き取られたり、不均一に巻き取られることを防止できるので、巻取ロール34に網12を緻密に巻き取ることができる。
    これにより、一巻き当たりの網12の長さを長くできる。 また、網目の変形も起こり難くなる。

    第2実施形態の方法を採用して網12を製造した際の、巻取ロール34への巻取径(実測径)や網幅を測定した。 結果を表3に示す。 なお、表3中、計算径は、巻き取られた網の長さ(網長さ)および線材直径を基に算出した理論上の巻取径である。

    表3に示すように、実測径は計算径と略同じであることが判る。 また、巻き取られた網の巾(網幅)も実測径に関わらず略均一に安定的に保たれていることが判る。 さらに、網12の変形は皆無であった。

    次に第3実施形態について説明する。

    図12に示す第3実施形態の網入り板ガラス用網の製造方法は、円柱状ロール36と巻取ロール34との間に設けられて網12に接触する接触手段55により、円柱状ロール36とテンショナ55の間の第1張力T と、テンショナ55と巻取ロール34の間の第2張力T とを等しくする。

    テンショナ55においては、ガイド部材56のガイド溝57に支軸58が自在に移動できるように取り付けられ、この支軸58には昇降転動ローラ59が取り付けられている。 また、支軸58にはボールねじ60の上端が取り付けられ、ボールねじ60の下端は位置検出手段または荷重検出手段61に取り付けられ、ガイド部材56の上流側及び下流側にそれぞれ上流側転動ローラ63及び下流側転動ローラ64が備られている。

    このように、テンショナ55には、昇降転動ローラ59、上流側転動ローラ63及び下流転動ローラ64が備えられ、これら転動ローラ59、63、64は網12に接触し、かつ昇降転動ローラ59が上下方向に昇降して網12を略クランク状に屈曲させるように配置されている。

    昇降転動ローラ59が上下方向に昇降して昇降転動ローラ59が上流側転動ローラ63や下流側転動ローラ64に対して近接離反を繰り返し、第1張力T および第2張力T を所望のある一定値に保持する。

    さらに、円柱状ロール36における網12の一定時間内たとえば0.1秒の間の搬送距離と巻取ロール34における網12の同じ一定時間内の巻取り長さとを比較し、前記搬送距離と巻取り長さの差の半分に相当する距離だけ昇降転動ローラ59の上下方向位置をACサーボモータ81により変化させ、張力を一定に保持する。

    第3実施形態では、網12が間欠的に搬送されるときでも巻取ロール34は一定速度で網12を巻き取ることができる。 また、上下の電極部38、39と巻取ロール34との間で網12に一定の張力をかけながら網12を巻き取ることができる。 従って、図10の部位50のような網目の変形を防止でき、また網12が緩く巻き取られたり、または不均一に巻き取られることが防止できる。

    次に、第4実施形態を図13(A),(B)で説明する。

    図13に示す第4実施形態の網入り板ガラス用網の製造方法は、円柱状ロール36と、円柱状ロール36に搬送されて網12を巻き取る巻取ロール34との間に設けられて網12に接触する接触手段65により、網12が巻取ロール34に対して所定の位置を通過して巻き取られるように網12の位置を矯正するとともに、円柱状ロール36および接触手段65間の第1張力T1と、巻取ロール34および接触手段65間の第2張力T2とを個別に調整するようにした。

    この網入り板ガラス用網の製造方法は、接触手段65を一対の転動ローラ66,67で構成した点、および網入り板ガラス用網12の緩みを全域にわたって吸収するためのテンショナとして作用する構造が省略されている点が第3実施形態と異なる。 この接触手段65を用いることで、接触手段65の上流側の網12に掛かる第1張力T1と下流側の網12に掛かる第2張力T2とを切離すことができる。

    よって、(B)に示すように、万が一網12に弛み68が発生しても、弛み68は接触手段65の上流側にのみ生じ、接触手段65の下流側の網12には弛みが波及しない。 従って、弛んだ網12を急激に延ばそうとする張力が掛かることを防ぐことができる。

    このように、接触手段65の上流側の網12に掛かる第1張力T1と下流側の網12に掛かる第2張力T2とを切離すことで、図10に示すような網12のうちの一部の部位50のように、網目に変形が生じることを防止できる。

    加えて、巻取ロール34に網12が緩く巻き取られたり、不均一に巻き取られることを防止できる。 このように、網12が緩く巻き取られたり、不均一に巻き取られることを防止できるので、巻取ロール34に網12を緻密に巻き取ることができるので、一巻き当たりの網12の長さを長くできる。

    なお、図13(A),(B)においては、接触手段65として転動ローラ66,67を使用した例を説明したが、接触手段65は転動ローラ66,67に限らないで、網12を上下から単に挟持する部材を使用することも可能である。 要は、網12が巻取ロール34に対して所定の位置を通過して巻き取られるように網12の位置を矯正できればよく、さらには接触手段65の上流側の網12に掛かる第1張力T1と下流側の網12に掛かる第2張力T2とを切離すことができるように構成されていればよい。

    次に、第5実施形態について説明する。

    図14〜図15に示す第5実施形態の網入り板ガラス用網の製造方法は、網入り板ガラス用網12の幅方向(矢印で示す方向)の両端縁69に沿って金属製の線材70(以下、「サルベージ70」という)を溶接するようにした。

    サルベージ70は、図15に示すように網12の端部69から所定距離L2離れた位置に、例えばスポット溶接、好ましくはTIG溶接で網12に溶接される。
    ここで、所定距離L2は、好ましくは2〜12mmの範囲であり、より好ましくは3〜8mm、最も好ましくは6mmである。

    また、サルベージ70は網12の交差位置71を避けて溶接する。 サルベージ70を網12の交差位置71に溶接すると、網12の線材11,11とサルベージ70とが3本重なることになり厚みが増すからである。

    さらに、サルベージ70は、ステンレス鋼を使用することが好ましい。 線材11とサルベージ70とが同じステンレス鋼であると、電位差がないため、電池効果による保管中のさびが発生しにくいという利点がある。

    なお、図14〜図15では、ひし形状の網目(菱目)の網12にサルベージ70を適用した例を説明したが、網目の形状は菱目に限定するものではない。

    このように、網入り板ガラス用網12の幅方向の両端縁69に沿ってサルベージ70を溶接することにより、図10に示すような網12のうちの一部の部位50のように、網目に変形が生じることを防止できる。

    加えて、網12をリボン状ガラスに挿入する際には、網12は引張って挿入されるが、この引張力が変化してもサルベージ70が網12の両端を拘束しているので網目が変化し難い。

    第5実施形態の方法を採用して製造した網12を挿入したガラス板の、網12の網曲りや網目を測定した。 結果を表4に示す。 表4において、右/左とはガラス板の右端部/左端部、Y,Xは2本の対角線の長さである。

    なお、ここで言う網目とは、ガラス板に封入された状態における網目の対角線長さを測定したものであり、対角線比とは各対角線長さの比である。 対角線比は、好ましくは0.95以上であり、より好ましくは0.97以上である。

    なお、図15に示すように、リボン状ガラスに網12を挿入した後、サルベージ70の内側のライン73で網入り板ガラス12は切断される。 網12にサルベージ70を溶接することで、網12の変形を防止できるので、網入り板ガラスの外観性を高めることできる。

    本発明に係る第1実施形態の網入り板ガラスを示す斜視図である。

    網入り板ガラスの製造工程を示す模式図である。

    製造装置を示す全体模式斜視図である。

    規制手段を示す模式斜視図および要部断面図である。

    固定手段の要部を示す平面図である。

    固定手段の要部を示す断面図である。

    本発明の変形例を示す模式斜視図である。

    本発明の変形例を示す模式斜視図である。

    本発明に係る網入り板ガラス用網の製造方法の工程を示す側面図である。

    本発明に係る網入り板ガラス用網の製造方法で製造した網を示す平面図である。

    本発明に係る第2実施形態を示す側面図である。

    本発明に係る第3実施形態を示す側面図である。

    本発明に係る第4実施形態を示す側面図である。

    本発明に係る第5実施形態を示す平面図である。

    図14の要部拡大図である。

    10 網入り板ガラス 11 線材 12 網(網入り板ガラス用網)
    36 円柱状ロール 34 巻取ロール 37 溝 51 検出手段 52 ACサーボモータ 55 テンショナ 65 接触手段 70 サルベージ

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