【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、組紐の組成原理に基づいて構成される三次元組織体の製造装置に関するものであり、特に、三次元的に組織された三次元組織体を供するものであって、これを例えば蒸留装置の流体流路中に設けて、物質移動、あるいは熱交換等を行う充填体等として効果的に適用するための三次元組織体の製造に関連するものである。 【0002】 【従来の技術】周知のように、例えば、蒸留装置の流体流路中に設けて、物質移動あるいは熱交換等を行う充填体を製造する方法として、例えば、特開平5−9610 1号公開公報に開示されるような技術が知られている。 この従来の技術は、経糸と緯糸とを用いた織機による織成原理によるものである。 この従来技術により得られる充填体101は、図16Aに示すように、多層の透過板102の各層が、接合部102aを介して接合され、非接合部102bにおいて離遠した所謂Xパッキング(隣接する両透過板により形成される接合部102aの断面形状がX字形となる形態のもの)として構成されるものである。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】上記する従来の技術により得られる充填体101を、気体間、液体間または気体と液体間の物質移動、熱交換または混合を行う装置に充填する充填体として用いた場合、流体の流れは、図1 6Bにおいて矢印aで示すように、2方向から接合部1 02aに至り、また2方向に流れるのみであるので(断面的に見た場合、単なる二次的なX字形のものにすぎず、三次元的なX構造部分を有していないので)、フィルタとしての濾過効率が低いものであった。 【0004】そこで、この発明は、上記するような従来技術にみられる上記する問題点を解決するべく、組紐の組成原理を適用することにより、当該構造体における接合部の構成を三次元的なX交絡構造部(3X交絡構造、 4X交絡構造、6X−3X交絡構造)とする三次元組織体を製造するための三次元組織体の製造装置を提供することにある。 【0005】 【課題を解決するための手段】この発明は、上記の目的を達成するものであり、具体的には、多数のボビンから個別に引き出される多数本の線状体によって三次元組織体を組成する三次元組織体の製造装置にあって、前記多数本の線状体を組成位置に個別に供給する線状体供給手段と、前記線状体供給手段から供給される多数本の線状体を少なくとも3本ずつ支持し、少なくとも3方向からの線状体を組成方向に間隔をおいて交絡させ、かつ少なくとも3方向へ離れていくように前記多数本の線状体を組成する線状体分配手段と、組成した組織体を引き上げる組織体引き上げ手段とからなる三次元組織体の製造装置を構成するものである。 【0006】さらに、この発明は、前記線状体分配手段が、連動連結手段を介してそれぞれ回転可能に支持され、周囲に少なくとも3条の線状体受入溝を備えた多数の回転体と、前記回転体における線状体受入溝に支持された少なくとも3本の線状体を隣接する回転体における線状体受入溝との間で移動させる線状体移動手段とを含むものからなる三次元組織体の製造装置を構成するものである。 【0007】さらに、この発明は、前記線状体分配手段における連動連結手段が、前記回転体の周囲に設けたギャ機構からなる三次元組織体の製造装置を構成するものでもある。 【0008】さらにまた、この発明は、前記線状体移動手段が、長さ方向に沿ってのびる上縁カム作用面と下縁カム作用面とを有する線状体移動バー部材からなる三次元組織体の製造装置を構成するものである。 【0009】 【発明の実施の形態】以下、この発明になる三次元組織体の製造装置について、添付図面中、図1〜図11に示す具体的な実施例(特に、三次元3X組織体の製造に関する基本的実施例)に基づいて詳細に説明する。 図1 は、この発明になる三次元組織体の製造装置について、 その基本的構成を示す概略的な斜視図である。 【0010】図2は、この発明により製造される三次元組織体にあって、それぞれ異なる組織構成例を示すものであり、図2Aは、3本の線状体を捩じり絡めて立体的な3X交絡部を形成してなる三次元組織体の第1の構成例(以下、3X組織体という)を示す概略的な斜視図、 図2Bは、4本の線状体を捩じり絡めて立体的な4X交絡部を形成してなる三次元組織体の第2の構成例(以下、4X組織体という)を示す概略的な斜視図、図2C は、6本の線状体を捩じり絡めて立体的な6X交絡部と、3本の線状体を捩じり絡めて立体的な3X交絡部とが組織の組成方向に交互に繰り返して形成される三次元組織体の第3の構成例(以下、6X−3X組織体という)を示す概略的な斜視図である。 【0011】この発明は、例えば、ワイヤーのような剛性のある線状体1を素材として、組紐の組成原理にもとづいて、三次元的構造になる金網のような三次元組織体を製造するものであり、その具体的な組成例として、図2Aにおいて参照符号11で示すような三次元の3X組織体ST1、図2Bにおいて参照符号12で示すような三次元の4X組織体ST2並びに図2Cにおいて参照符号13で示すような三次元の6X−3X組織体ST3を製造しようとするものである。 【0012】この発明になる三次元組織体の製造装置について、上記する具体的な組成例のうち、図2Aにおいて参照符号11で示すような三次元の3X組織体ST1 に関して、図1、図2A、図3〜図5、図11、図14 〜図15を参照して詳細に説明する。 【0013】まず、この発明になる三次元組織体の製造装置は、図1に示すように、多数のボビン2から個別に引き出される多数本の線状体1によって三次元組織体を組成するものであって、前記多数本の線状体1を組成位置P1に個別に供給する線状体供給手段3と、前記線状体供給手段3から供給される多数本の線状体1を少なくとも3本ずつ支持し、少なくとも3方向からの線状体1 を組成方向に間隔をおいて交絡させ、かつ少なくとも3 方向へ離れていくように前記多数本の線状体1を組成する線状体分配手段4と、組成した組織体ST1、ST2 あるいはST3を引き上げる組織体引き上げ手段5とを備えたものからなっている。 【0014】この発明において、前記線状体供給手段3 は、例えば、クリールスタンドCSに対して、多数のボビン2が回転自在に支持されていて、前記多数のボビン2から前記線状体1がそれぞれ個別に引き出されるように構成されている。 前記線状体供給手段3は、テンション調節機構を含むものであって、前記ボビン2から引き出される線状体1のテンションを適宜調節できるようになっている。 前記多数のボビン2から個別に引き出された多数本の線状体1は、組成位置P1に至る前段において、例えば、走行方向規制部材TRによって互いに略平行に走行するように走行方向が規制されている。 前記走行方向規制部材TRは、多数本の線状体1が挿通する多数の挿通孔を備えたものからなっている。 【0015】この発明において、前記線状体分配手段4 は、極めて重要な構成要素である。 前記線状体分配手段4の具体的な実施例について、図1並びに図11〜図1 5にもとづいて詳細に説明する。 前記線状体分配手段4 は、基本的には、多数の回転体6と、線状体移動手段7 とを含むものからなっている。 前記回転体6は、筐体B U内において連動連結手段8によってそれぞれが互いに保持された状態で回転可能に支持されている。 【0016】図14あるいは図15に示すように、前記回転体6は、周囲に少なくとも3条の線状体受入溝9 (図14あるいは図15においては6条の線状体受入溝9)を備えたものからなっている。 前記線状体受入溝9 は、3X組織体ST1を組成するものにあっては、12 0°の角度間隔をおいた3条の溝によって構成されており、4X組織体ST2を組成するものにあっては、90 °の角度間隔をおいた4条の溝によって構成されており、6X−3X組織体ST3を組成するものにあっては60°の角度間隔をおいた6条の溝によって構成されている。 前記3X組織体ST1を組成するための回転体6 における線状体受入溝9は、60°の角度間隔をおいた6条の溝によって構成されているものであってもよい。 その場合には6条の溝のうち1条おきの3条の溝に対して線状体1が支持されるように適用すればよい。 【0017】前記線状体分配手段4における連動連結手段8は、前記回転体6の周囲に設けたギャ機構10によって構成されるものであり、その具体的な実施例を図1 4および図15に示す。 図14は、回転体6について、 該回転体6の駆動手段をユニット化し、3つの回転体6 を一単位として駆動手段の単位系とする組み合わせ例を示すものであって、図14Aは、駆動手段がヘリカルギャ方式による一構成例を示す概略的な正面図、図14B は、その概略的な斜視図である。 図15は、回転体6について、該回転体6の駆動手段をユニット化し、該駆動手段の一単位の組み合わせ例を示すものであって、図1 5Aは、駆動手段がスパーギャ方式による構成例を示す概略的な正面図、図15Bは、その概略的な斜視図である。 【0018】3つの回転体6A、6B、6Cを一単位とする駆動手段にあって、図14に示すヘリカルギャ機構14による構成例によれば、第1の回転体6Aにはヘリカルギャ14Aが設けてあり、第2の回転体6Bにはヘリカルギャ14Bが設けてあり、第3の回転体6Cにはヘリカルギャ14Cが設けてある。 図14に示す例によれば、第1の回転体6Aが駆動源に連結され、反時計方向に回転する駆動回転体であり、そのヘリカルギャ14 Aを介して第2の回転体6Bのヘリカルギャ14B並びに第3の回転体6Cのヘリカルギャ14Cに噛合連結されていて、前記第2の回転体6B並びに第3の回転体6 Cを時計方向に回転する。 前記第2の回転体6Bと第3 の回転体6Cとは直接的には噛合していない。 【0019】このヘリカルギャ方式による構成例のものにあっては、ギャ構造が回転体6の母線に沿って傾斜形成されることから、前記線状体受入溝9を回転体6の母線に沿ってのびる平行な溝として設計することができる。 この構成例によれば、溝が真っ直ぐなため線状体の受け渡しが容易である。 一方、ギャ位置を保つための加工制度が要求される(ギャ底面とピッチ円径とを一致する状態に設計できるので落ち込みが生じないという利点がある)。 【0020】図15に示すスパーギャ機構15による構成例によれば、第1の回転体6Aにはスパーギャ15A が設けてあり、第2の回転体6Bにはスパーギャ15B が設けてあり、第3の回転体6Cにはスパーギャ15C が設けてある。 図15に示す例によれば、第1の回転体6Aが駆動源に連結され、反時計方向に回転する駆動回転体であり、そのスパーギャ15Aを介して第2の回転体6Bのスパーギャ15B並びに第3の回転体6Cのスパーギャ15Cに噛合連結されていて、前記第2の回転体6B並びに第3の回転体6Cを時計方向に回転する。 前記第2の回転体6Bと第3の回転体6Cとは直接的には噛合していない。 【0021】このスパーギャ方式による構成例のものにあっては、ギャ構造が回転体6の母線に沿って平行に形成されることから、前記線状体受入溝9を回転体6の母線に沿って傾斜する傾斜溝として設計する必要がある。 この構成例によれば、ギャ位置を保つためのローター部が溝を斜めにすることによりカバーすることができるという利点を有している。 【0022】次いで、前記線状体分配手段4における線状体移動手段7の具体的な実施例に関して、図11、図12および図13に基づいて説明する。 図11は、この発明になる三次元組織体の製造装置にあって、3X組織体ST1の製造に関し、線状体1を回転体6、6間で移載させるための線状体移動手段7の具体例並びにその移載手順を示すものであって、図11A及びA'は、第1 の回転体に3本の線状体が支持されていて、その状態で該回転体を回転させて3本の線状体による第1層の3X 交絡部を組織する状態を示す概略的な正面図及びその側面図、図11B及びB'は、線状体移動手段7としての線状体移動バー部材20Aを矢印方向に挿入した状態を示す概略的な正面図及びその側面図、図11C及びC' は、該線状体移動バー部材20Aを回転軸の廻りに90 °回転させて、第1の回転体に支持されている3本の線状体を第2の回転体に移載し、その状態で該回転体を回転させて3本の線状体による第2層の3X交絡部を組織する状態を示す概略的な正面図及びその側面図、図11 D及びD'は、線状体移動バー部材20Aを回転軸の廻りに90°回転させて、第2の回転体に支持されている3本の線状体を第1の回転体に移載した状態を示す概略的な正面図及びその側面図である。 【0023】図12は、この発明になる三次元組織体の製造装置にあって、4X組織体ST2の製造に関し、線状体1を回転体6、6間で移載させるための線状体移動手段7の具体例並びにその移載手順を示すものであって、図12A及びA'は、第1の回転体に4本の線状体が支持されていて、その状態で該回転体を回転させて4 本の線状体による第1層の4X交絡部を組織する状態を示す概略的な正面図及びその側面図、図12B及びB' は、線状体移動手段7としての線状体移動バー部材20 Bを矢印方向に挿入した状態を示す概略的な正面図及びその側面図、図12C及びC'は、該線状体移動バー部材20Bを回転軸の廻りに90°回転させて、第1の回転体に支持されている4本の線状体を第2の回転体に移載し、その状態で該回転体を回転させて4本の線状体による第2層の4X交絡部を組織する状態を示す概略的な正面図及びその側面図、図12D及びD'は、線状体移動バー部材20Bを回転軸の廻りに90°回転させて、 第2の回転体に支持されている4本の線状体1を第1の回転体に移載した状態を示す概略的な正面図及びその側面図である。 【0024】図13は、この発明になる三次元組織体の製造装置にあって、6X−3X組織体ST3の製造に関し、線状体1を回転体6、6間で移載させるための線状体移動手段7の具体例並びにその移載手順を示すものであって、図13A及びA'は、第1の回転体に6本の線状体が支持されていて、その状態で該回転体を回転させて6本の線状体による第1層の6X交絡部を組織する状態を示す概略的な正面図及びその側面図、図13B及びB'は、線状体移動手段7としての線状体移動バー部材20Cを矢印方向に挿入した状態を示す概略的な正面図及びその側面図、図13C及びC'は、該線状体移動バー部材20Cを回転軸の廻りに90°回転させて、第1 の回転体に支持されている6本の線状体を第2の回転体に各3本ずつ移載し、その状態で該回転体を回転させて3本の線状体による第2層の3X交絡部を組織する状態を示す概略的な正面図及びその側面図、図13D及びD'は、線状体移動バー部材20Cを回転軸の廻りに9 0°回転させて、第2の回転体に支持されている3本の線状体を第1の回転体に各6本ずつ移載した状態を示す概略的な正面図及びその側面図である。 【0025】この発明において、前記線状体移動手段7 は、重要な要素であり、前記回転体6における線状体受入溝9に支持された少なくとも3本の線状体1を隣接する回転体6における線状体受入溝9との間で移動させるためのものである。 前記線状体移動手段7は、より具体的には、長さ方向に沿ってのびる上縁カム作用面21と下縁カム作用面22とを有する線状体移動バー部材20 A、20Bあるいは20Cのいずれかの線状体移動バー部材20によって構成されるものである。 【0026】前記線状体移動手段7のための線状体移動バー部材20は、長さ方向に沿ってのびる上縁カム作用面21と下縁カム作用面22とを有する細長い板体からなっており、図11に示す3X組織体ST1組成用のものにおいては、第1の回転体6Aに支持されている線状体A1と線状体A2、A3の間に、矢印方向に沿って水平な状態で進入し(図11Bにおいて右から左へ、図1 1B'において紙面手前から奥へ)、進入した後、当該線状体移動バー部材20Aの回転軸20aの廻りに90 °回転させる際、前記上縁カム作用面21によって、第1の回転体6Aの線状体受入溝9に支持されている線状体A1を図中上方に押し上げて第2の回転体6Bの線状体受入溝9に移動させ、前記下縁カム作用面22によって、第1の回転体6Aの線状体受入溝9、9に支持されている線状体A2およびA3を図中下方に押し下げて下方に隣接する一対の第2の回転体6B、6Bの各線状体受入溝9に移動させて、それぞれの溝内に各線状体A 1、A2、A3を支配させ得るようになっている。 【0027】上記するように、第1の回転体6Aにおける3つの線状体受入溝9に支持されている線状体A1、 A2、A3を隣接する第2の回転体6B、6B、6Bにおける各1つの線状体受入溝9に効果的に移動させるため、前記線状体移動バー部材20Aの上縁カム作用面2 1並びに下縁カム作用面22が図11Cにおいて仮想線で示すような形態に、それぞれ曲面状に設計されている。 この線状体移動バー部材20Aにおける上縁カム作用面21並びに下縁カム作用面22は、図11Cにおいて左右に規則的に連続するものであって、図において横一列に並ぶ第1の回転体6Aに対して一斉に作用し、それぞれ線状体受入溝9に支持されている線状体を移動させることができるようになっている。 【0028】一方、図12に示す4X組織体ST2組成用の線状体移動バー部材20Bは、第1の回転体6Aに支持されている線状体A1、A2と線状体A3、A4の間に、矢印方向に沿って水平な状態で進入し(図12B において右から左へ、図12B'において紙面手前から奥へ)、進入した後、当該線状体移動バー部材20Bの回転軸20aの廻りに90°回転させる際、前記上縁カム作用面21によって、第1の回転体6Aの線状体受入溝9、9に支持されている線状体A1およびA2を図中上方に押し上げて上方に隣接する一対の第2の回転体6 B、6Bの各線状体受入溝9、9に移動させ、前記下縁カム作用面22によって、第1の回転体6Aの線状体受入溝9、9に支持されている線状体A3およびA4を図中下方に押し下げて下方に隣接する一対の第2の回転体6B、6Bの各線状体受入溝9、9に移動させて、それぞれの溝内に各線状体A1、A2、A3およびA4を支配させ得るようになっている。 【0029】上記するように、第1の回転体6Aにおける4つの線状体受入溝9に支持されている線状体A1、 A2、A3およびA4を隣接する第2の回転体6Bにおける各1つの線状体受入溝9に効果的に移動させるため、前記線状体移動バー部材20Bの上縁カム作用面2 1並びに下縁カム作用面22が図12Cにおいて仮想線で示すような形態に、それぞれ曲面状に設計されている。 この実施例における線状体移動バー部材20Bの上縁カム作用面21並びに下縁カム作用面22の形態は、 当該構成並びにその作動原理から明らかなように上下対称の曲面によって構成されている。 【0030】さらにまた、図13に示す6X−3X組織体ST3組成用の線状体移動バー部材20Cは、第1の回転体6Aに支持されている線状体A1、A2、A3と線状体A4、A5、A6の間に、矢印方向に沿って水平な状態で進入し(図13Bにおいて右から左へ、図13 B'において紙面手前から奥へ)、進入した後、当該線状体移動バー部材20Cの回転軸20aの廻りに90° 回転させる際、前記上縁カム作用面21によって、第1 の回転体6Aの線状体受入溝9に支持されている線状体A1、A2およびA3を図中上方に押し上げて上方に隣接する3つの第2の回転体6B、6B、6Bの各線状体受入溝9に移動させ、前記下縁カム作用面22によって、第1の回転体6Aの線状体受入溝9に支持されている線状体A4、A5およびA6を図中下方に押し下げて下方に隣接する3つの第2の回転体6B、6B、6Bの各線状体受入溝9に移動させて、それぞれの溝内に各線状体A1、A2、A3、A4、A5およびA6をそれぞれ個別に支配させ得るようになっている。 【0031】上記するように、第1の回転体6Aにおける6つの線状体受入溝9に支持されている線状体A1、 A2、A3、A4、A5およびA6を隣接する6つの第2の回転体6Bにおける各1つの線状体受入溝9に効果的に移動させるため、前記線状体移動バー部材20Cの上縁カム作用面21並びに下縁カム作用面22が図13 Cにおいて仮想線で示すような形態に、それぞれ曲面状に設計されている。 この実施例における線状体移動バー部材20Cの上縁カム作用面21並びに下縁カム作用面22の形態は、当該構成並びにその作動原理から明らかなように上下対称の曲面によって構成されている。 【0032】次に、図3、図4および図5を参照して、 図2Aに示す三次元の3X組織体ST1の組成手順について説明する。 図3〜図5は、図2Aに示す3X組織体ST1の製造手順の詳細を示すものであり、図3は、各第1の回転体6Aに3つの線状体受入溝9に線状体A 1、A2、A3がそれぞれ個別に支持されている状態を示すものである。 【0033】図4は、図3に示す状態において前記回転体6Aを数回転させて3本の線状体受入溝9に支持されている線状体A1、A2、A3を3X交絡状に捩じり絡め、第1層の3X交絡部Tw1を形成した後、該線状体A1、A2、A3を第1の回転体6Aから各第2の回転体6B、6B、6Bにおける各1つの線状体受入溝9に移動させて、支持している状態を示してある。 【0034】図5は、図4に示す状態において前記回転体6A、6B、6Cを数回転させ、それぞれの回転体における3つの線状体受入溝9に支持されている各線状体を3X交絡状に捩じり絡め、第2層の3X交絡部Tw2 を形成した後、前記線状体A1、A2、A3を第2の回転体6Bから各第1の回転体6Aにおける線状体受入溝9に移動させて、支持している状態を示してある。 さらに、この実施例によれば、第2の回転体6Bから各第1 の回転体6Aに戻された線状体A1、A2、A3は、次に、第1の回転体6Aの回転によって3X交絡状に捩じり絡められ、第3層の3X交絡部を形成し、+60°の回転が加えられた後、該線状体A1、A2、A3を第1 の回転体6Aから各第3の回転体6C、6C、6Cにおける各1つの線状体受入溝9に移動させて支持し、該第3の回転体6Cの回転によって各線状体を3X交絡状に捩じり絡め、第4層の3X交絡部を形成し、しかる後、 前記線状体A1、A2、A3を第3の回転体6Cから各第1の回転体6Aにおける線状体受入溝9に戻して、1 サイクルの組成が完了し、この手順を繰り返して、三次元の3X組織体ST1が組成される。 【0035】すなわち、図3に示す段階では、各第1の回転体6Aに対して、それぞれ3本の線状体1が支持されていて、前記第1の回転体6Aの一つには、線状体A 1、A2、A3が支配され、前記回転体を数回転させて各線状体A1、A2、A3を3X交絡状に捩じり絡め、 第1層の3X交絡部Tw1が形成される。 しかる後、前記第1の回転体6Aに支配されている線状体1は、隣接する3つの第2の回転体6Bに移行し、その内の一つには、線状体A1、G2、D3が、その内の他には、線状体A2、B3、C1が、その内のさらに他には、線状体A3、E1、I2が支配され、前記回転体を数回転させて線状体A1、G2、D3、線状体A2、B3、C1および線状体A3、E1、I2によって、それぞれ個別に3X交絡状に捩じり絡められ、それぞれ第2層の3X交絡部Tw2が形成され、互いに隣辺の線状体が3X状に交絡し合って三次元の組織体を連鎖的に連結組織する。 【0036】次に、図6および図7を参照して、図2B に示す三次元の4X組織体ST2の組成手順について説明する。 図6は、各第1の回転体に線状体が支持されている状態を示す概略的な平面図であり、図7は、図6に示す状態において前記回転体を数回転させて各線状体からの線状体を4X交絡状に捩じり絡め、第1層の4X交絡部を形成した後、線状体を各第1の回転体から各第2 の回転体に移行し、支持している状態を示してある。 上記するように、図6、図7、図6の手順をおって、三次元の4X組織体ST2が組成される。 【0037】図2Bに示すような第2の例になる三次元の4X組織体ST2を製造するための装置は、各回転体6の構成において前記3X組織体ST1を製造するための装置と相違するものであって、その他の構成においては何ら相違するものではない。 すなわち、前記4X組織体ST2を製造するための製造装置における前記回転体6は、90°の角度間隔をおいて放射方向に開口する線状体受入溝9を備えたものからなっている。 【0038】上記する構成によれば、図6に示す段階では、各第1の回転体6Aに対して、それぞれ4つの線状体1が支持されていて、前記第1の回転体6Aの一つには、線状体A1、A2、A3、A4が支配され、前記回転体を数回転させて各線状体A1、A2、A3、A4を4X交絡状に捩じり絡め、第1層の4X交絡部Tw1が形成される。 しかる後、前記第1の回転体6Aに支配されている線状体1は、隣接する4つの第2の回転体6B に移行し、その内の一つには、線状体A1、C2、L 3、D4が、その内の他には、線状体A2、D3、B 4、F1が、その内のさらに他には、線状体A3、F 4、G1、E2が、さらにまた他には、線状体A4、E 1、M2、C3が支配され、前記回転体を数回転させて各線状体A1、C2、L3、D4、線状体A2、D3、 B4、F1、線状体A3、F4、G1、E2および線状体A4、E1、M2、C3によって、それぞれ個別に4 X交絡状に捩じり絡められ、それぞれ第2層の4X交絡部Tw2が形成され、互いに隣辺の線状体が4X状に交絡し合って三次元の組織体を連鎖的に連結組織する。 【0039】次いで、図8、図9および図10を参照して、図2Cに示す三次元の6X−3X組織体ST3の組成手順について説明する。 図8〜図10は、図2Cに示す6X−3X組織体の製造手順の詳細を示すものであって、図8は、各第1の回転体にそれぞれ6つの線状体が支持されている状態を示す概略的な平面図であり、図9 は、図8に示す状態において前記回転体を数回転させて各線状体を6X交絡状に捩じり絡め、第1層の6X交絡部Tw1を形成した後、線状体を各第1の回転体6Aから各第2の回転体6Bにそれぞれ3つずつ移行させて、 支持している状態を示してあり、図10は、各第1の回転体6Aに、それぞれ6つの線状体が移行して支持されている状態を示してある。 上記するように、図8、図9 および図10の手順をおって、三次元の6X−3X組織体ST3が組成される。 【0040】すなわち、図8に示す段階では、各第1の回転体6Aに対して、それぞれ6つの線状体1が支持されていて、前記第1の回転体6Aの一つには、線状体A 1、A2、A3、A4、A5およびA6が支配され、前記回転体を数回転させて各線状体A1、A2、A3、A 4、A5およびA6を6X交絡状に捩じり絡め、第1層の6X交絡部Tw1が形成される。 しかる後、前記第1 の回転体6Aに支配されている線状体1は、隣接する6 つの第2の回転体6Bに移行し、その内の第1には、線状体A1、G3、B5が、その内の第2には、線状体A 2、B4、C6が、その内の第3には、線状体A3、C 5、D1が、その内の第4には、線状体A4、D6、E 2が、その内の第5には、線状体A5、E1、F3が、 その内の第6には、線状体A6、F2、G4が支配され、前記回転体を数回転させて各線状体A1、G3、B 5、線状体A2、B4、C6、線状体A3、C5、D 1、線状体A4、D6、E2、線状体A5、E1、F3 および線状体A6、F2、G4によって、それぞれ個別に3X交絡状に捩じり絡められ、それぞれ第2層の3X 交絡部Tw2が形成され、互いに隣辺の線状体が6X状並びに3X状に交互に交絡し合って三次元の組織体を連鎖的に連結組織する。 【0041】 【発明の効果】この発明になる三次元組織体の製造装置によれば、当該三次元組織体を組紐の組成原理にもとづいて構成されるものであって、三次元3X組織体、三次元4X組織体あるいは三次元6X−3X組織体を組成することができ、これらの組織体を蒸留装置の流体流路中に設け、物質移、熱交換等を行う充填体として適用した場合、三次元3X組織体にあっては、流体は3方向から接合部に至り、3方向へ流れていくものであり、三次元4X組織体にあっては、流体は4方向から接合部に至り、4方向へ流れていくものであり、三次元6X−3X 組織体にあっては、流体は6方向から6X接合部に至り、6方向へ流れていき、そのそれぞれが、それぞれ3 方向に別れて3X接合部に至り、3方向へ流れていくものであり、処理機能が優れ、しかも圧力損失が低減し処理効率もアップするという点において極めて有効に作用するものといえる。 【図面の簡単な説明】 【図1】図1は、この発明になる三次元組織体の製造装置について、その基本的構成を示す概略的な斜視図である。 【図2】図2は、この発明により製造される三次元組織体にあって、それぞれ異なる組織構成例を示すものであり、図2Aは、3本の線状体を捩じり絡めて立体的な3 X交絡部を形成してなる三次元組織体の第1の構成例(3X組織体)を示す概略的な斜視図、図2Bは、4本の線状体を捩じり絡めて立体的な4X交絡部を形成してなる三次元組織体の第2の構成例(4X組織体)を示す概略的な斜視図、図2Cは、6本の線状体を捩じり絡めて立体的な6X交絡部と、3本の線状体を捩じり絡めて立体的な3X交絡部とが組織の組成方向に交互に繰り返して形成される三次元組織体の第3の構成例(6X−3 X組織体)を示す概略的な斜視図である。 【図3】図3〜図5は、図2Aに示す3X組織体ST1 の製造手順の詳細を示すものであって、図3は、各第1 の回転体に各3本の線状体が支持されている状態を示す概略的な正面図である。 【図4】図4は、図3に示す状態において前記第1の回転体を数回転させてそれぞれの溝に支持されている各3 本の線状体を3X交絡状に捩じり絡め、第1層の3X交絡部Tw1を形成した後、該各3本の線状体を各第1の回転体から各第2の回転体に移行し、支持している状態を示す概略的な正面図である。 【図5】図5は、図4に示す状態において前記第2の回転体を数回転させてそれぞれの回転体に支持されている各3本の線状体を3X交絡状に捩じり絡め、第2層の3 X交絡部Tw2を形成した後、該各3本の線状体を各第2の回転体から各元の回転体に移行し、支持している状態を示す概略的な正面図である。 【図6】図6〜図7は、図2Bに示す4X組織体ST2 の製造手順の詳細を示すものであり、図6は、各第1の回転体に各4本の線状体が支持されている状態を示す概略的な正面図である。 【図7】図7は、図6に示す状態において前記第1の回転体を数回転させてそれぞれの溝に支持されている各4 本の線状体を4X交絡状に捩じり絡め、第1層の4X交絡部Tw1を形成した後、該各4本の線状体を各第1の回転体から各第2の回転体に移行し、支持している状態を示す概略的な正面図である。 【図8】図8〜図10は、図2Cに示す6X−3X組織体ST3の製造手順の詳細を示すものであって、図8 は、各第1の回転体に各6本の線状体が支持されている状態を示す概略的な正面図である。 【図9】図9は、図6に示す状態において前記第1の回転体を数回転させてそれぞれの溝に支持されている各6 本の線状体を6X交絡状に捩じり絡め、第1層の6X交絡部Tw1を形成した後、該各6本の線状体を各第1の回転体から各第2の回転体に移行し、支持している状態を示す概略的な正面図である。 【図10】図10は、各第1の回転体に、それぞれ6本の線状体が移行して支持されている状態を示す概略的な正面図である。 【図11】図11は、この発明になる三次元組織体の製造装置にあって、3X組織体の製造に関し、線状体を回転体間で移載させるための線状体移動手段7の具体例並びにその移載手順を示すものであって、図11A及びA'は、第1の回転体に3本の線状体が支持されていて、その状態で該回転体を回転させて3本の線状体による第1層の3X交絡部を組織する状態を示す概略的な正面図及びその側面図、図11B及びB'は、線状体移動手段としての線状体移動バー部材を矢印方向に挿入した状態を示す概略的な正面図及びその側面図、図11C及びC'は、該線状体移動バー部材を回転軸の廻りに90 °回転させて、第1の回転体に支持されている3本の線状体を第2の回転体に移載し、その状態で該回転体を回転させて3本の線状体による第2層の3X交絡部を組織する状態を示す概略的な正面図及びその側面図、図11 D及びD'は、線状体移動バー部材を回転軸の廻りに9 0°回転させて、第2の回転体に支持されている3本の線状体を第1の回転体に移載した状態を示す概略的な正面図及びその側面図である。 【図12】図12は、この発明になる三次元組織体の製造装置にあって、4X組織体の製造に関し、線状体を回転体間で移載させるための線状体移動手段7の具体例並びにその移載手順を示すものであって、図12A及びA'は、第1の回転体に4本の線状体が支持されていて、その状態で該回転体を回転させて4本の線状体による第1層の4X交絡部を組織する状態を示す概略的な正面図及びその側面図、図12B及びB'は、線状体移動手段7としての線状体移動バー部材を矢印方向に挿入した状態を示す概略的な正面図及びその側面図、図12C 及びC'は、該線状体移動バー部材を回転軸の廻りに9 0°回転させて、第1の回転体に支持されている4本の線状体を第2の回転体に移載し、その状態で該回転体を回転させて4本の線状体による第2層の4X交絡部を組織する状態を示す概略的な正面図及びその側面図、図1 2D及びD'は、線状体移動バー部材を回転軸の廻りに90°回転させて、第2の回転体に支持されている4本の線状体を第1の回転体に移載した状態を示す概略的な正面図及びその側面図である。 【図13】図13は、この発明になる三次元組織体の製造装置にあって、6X−3X組織体の製造に関し、線状体を回転体間で移載させるための線状体移動手段7の具体例並びにその移載手順を示すものであって、図13A 及びA'は、第1の回転体に6本の線状体が支持されていて、その状態で該回転体を回転させて6本の線状体による第1層の6X交絡部を組織する状態を示す概略的な正面図及びその側面図、図13B及びB'は、線状体移動手段7としての線状体移動バー部材を矢印方向に挿入した状態を示す概略的な正面図及びその側面図、図13 C及びC'は、該線状体移動バー部材を回転軸の廻りに90°回転させて、第1の回転体に支持されている6本の線状体を第2の回転体に各3本ずつ移載し、その状態で該回転体を回転させて3本の線状体による第2層の3 X交絡部を組織する状態を示す概略的な正面図及びその側面図、図13D及びD'は、線状体移動バー部材を回転軸の廻りに90°回転させて、第2の回転体に支持されている3本の線状体を第1の回転体に各6本ずつ移載した状態を示す概略的な正面図及びその側面図である。 【図14】図14は、回転体について、該回転体の駆動手段をユニット化し、該駆動手段の一単位の組み合わせ例を示すものであって、図14Aは、駆動手段がヘリカルギャ方式による一構成例を示す概略的な正面図、図1 4Bは、その概略的な斜視図である。 【図15】図15は、回転体について、該回転体の駆動手段をユニット化し、該駆動手段の一単位の組み合わせ例を示すものであって、図15Aは、駆動手段がスパーギャ方式による構成例を示す概略的な正面図、図15B は、その概略的な斜視図である。 【図16】図16は、従来のこの種の組織体の例を示すものであって、図16Aは、その概略的な斜視図であり、図16Bは、上記従来例になる組織体における流体の流れの関係を示す説明図である。 【符号の説明】 1 線状体 2 ボビン 3 線状体供給手段 4 線状体分配手段 5 組織体引き上げ手段 6 回転体 6A 第1の回転体 6B 第2の回転体 6C 第3の回転体 7 線状体移動手段 8 連動連結手段 9 線状体受入溝 10 ギャ機構 11 三次元3X組織体ST1 12 三次元4X組織体ST2 13 三次元6X−3X組織体ST3 14 ヘリカルギャ機構 15 スパーギャ機構 P1 組成位置 Tw1 第1層の3X交絡部 Tw2 第2層の3X交絡部 20 線状体移動バー部材 21 上縁カム作用面 22 下縁カム作用面 |