【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、特に、タイヤの製造時に回転受入れ表面上にケーブルを取り付ける装置に関する。 【0002】 【従来の技術】タイヤの全周にカーカス補強体のような環状補強体を組み込むことの長所はかなり以前から証明されている。 より詳しくは、このような補強体は、タイヤカーカス上に半径方向に巻かれるケーブルを備えたプライで構成でき、現在では、このプライは、加硫タイヤにおいて「ゼロ度プライ(zero-degree ply)」と呼ばれている。 【0003】本願明細書で、用語「ケーブル」とは、1 本以上のテクスタイルすなわち金属コードを意味し、該コードは、更に生ゴム配合物または硬化ゴム配合物でコーティングできる。 【0004】特に金属コードは、重荷重用として設計されるタイヤのような或るタイヤのゼロ度プライの製造に使用されている。 今では、未硬化タイヤの加硫中に、タイヤは加硫金型内での成形加工を受け、この成形加工には、タイヤの最終構造を考慮に入れなくてはならない。 金属ケーブルはその剛性のため金型内での成形中に伸びることができないので、ゼロ度プライに金属ケーブルを使用することは非常に困難である。 【0005】この問題を解決するため、種々の方法が考えられている。 1つの解決法は、細分化された金属ケーブルを使用することである。 この方法で作られたゼロ度プライの伸びは、加硫中にタイヤが受ける伸びに一致させることができる。 しかしながら、このようなプライは、ケーブル種々のセクション間の切断部のため、加硫タイヤ中に酸化を非常に受け易いゾーンを構成する。 従って、この解決法は満足できないものである。 【0006】金属ケーブルの性質に関する他の解決法も提案されている。 例えば、バイ・エラスチック金属コードを使用すると、得られる未加硫プライの剛性と伸びとを妥協させることができる。 興味深い方法であるが、この方法は、得られる加硫ゼロ度プライの低剛性を補償するのに、例えば付加プライの配置およびゴム配合物の変更等の、タイヤの所望の未加硫構造および加硫構造にかなりの変更を必要とする。 【0007】最後に、第3アプローチは、加硫後に所望構造を得るため、非加硫製品の配置を変更する方法である。 この方法は、加硫金型内で行なわれる成形によりケーブルが加硫タイヤ内で半径方向に配置されるようにするため、ケーブルを非加硫タイヤ内で波形に配置しようとする考えである。 【0008】しかしながら、この巧みな解決法も、依然として実施が困難であるという欠点を有している。 実際に、非加硫タイヤは円筒状または僅かに湾曲したドラム上で製造されているのに対し、加硫金型から出る加硫タイヤは、その初期形状に比べてかなり顕著に湾曲される。 従って、成形中にタイヤが受ける変形は、そのショルダよりもクラウンの部分で非常に大きくなる。 従って、工業的作業では、製造されるプライがクラウンまたはショルダの近くのいかなる半径方向位置においても半径方向に配向されたコードをもつように、ケーブルを、 その半径方向位置に従って、異なる波形または異なる周期をもつ正弦波状に位置決めする。 【0009】欧州特許出願EP−0 724 949には、正弦波状の波形形状をもつ回転表面上にテクスタイルまたは金属コードを取り付ける装置が開示されている。 このような位置決めは、コードの供給方向に対してコードを横方向に変位させるように設計された手段により達成され、正弦波の振幅および周期は、位置決め表面およびコードを供給する要素の回転速度を測定しかつ調整することにより、および変位手段を制御することにより調節される。 しかしながら、前記変位手段は、モータ駆動されるホイールに取り付けられた連結ロッドを介してモータにより駆動されかつ横方向に移動できるコードフィーダを有している。 【0010】実際に、この構成は、位置決め表面の回転速度が固定されているので、当該表面上でのコードの波形の振幅を変えるためには、コードを供給する要素の速度を変化させて供給されるコードの量を変更しなければならず、かつホイールに対する連結ロッドの位置を変化させて、製造される波形の振幅変化に同期させなければならないことを意味している。 この最後の変更を連続的に行なうことは困難であると思われる。 また、所望の正弦波を得るには、コードフィーダのモータ駆動される運動を乱さないように位置決め速度を制限しなければならない。 【0011】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記種々の困難性を解決することにある。 【0012】 【課題を解決するための手段】本発明によれば、本体を有し、該本体が、ケーブルを線速度V1で供給方向に供給するための少なくとも1つの回転キャプスタンを備えたケーブル供給手段と、ケーブルを受入れ表面に対して横方向に変位させる手段と、ケーブルを受入れ表面上で位置決めする手段とを備えている、表面線速度V2を有する回転受入れ表面上に少なくとも1本のケーブルを取り付ける装置において、ケーブルを横方向に変位させる手段の横方向変位の振幅が、速度V1とV2との比の関数として直接制御され、この振幅は、ケーブルの位置決め中に連続的に変化させることができることを特徴とする装置が提供される。 かくして、前記制御は、形成される正弦波の振幅の連続的変更を可能にし、特に、非常に高いケーブル位置決め速度を達成できる。 【0013】本発明の上記目的は、ケーブルを線速度V 1で供給方向に供給するための少なくとも1つの回転キャプスタンを備えたケーブル供給手段と、ケーブルを受入れ表面に対して横方向に変位させる手段と、ケーブルを受入れ表面上で位置決めする手段とを有する、表面線速度V2を有する回転受入れ表面上に少なくとも1本のケーブルを取り付ける装置において、ケーブルを横方向に変位させる手段が、ケーブル移動方向に対して垂直な軸線の回りの回転運動と、該回転運動の軸線を含む平面内での枢動運動との組合せにより前記変位を行ない、枢動運動の大きさが速度V1とV2との比により決定されることを特徴とする装置により達成される。 【0014】また、本発明は、ケーブルを、受入れ表面の回転軸線に対して本質的に垂直な方向に供給する段階と、受入れ表面上で波形を形成すべく、ケーブルを受入れ表面に対して横方向に変位させる段階と、ケーブルを受入れ表面上で位置決めする段階とを有する、特にタイヤの製造中に、回転受入れ表面上に少なくとも1本のケーブルを取り付ける方法において、ケーブルの横方向変位が、ケーブル移動方向に対して垂直な軸線の回りの回転運動と、該回転運動の軸線を含む平面内での枢動運動との組合せにより得られ、枢動運動の大きさが、受入れ表面の1回転当りに供給されるケーブルの量により決定されることを特徴とする方法に関する。 【0015】 【発明の実施の形態】本発明の他の特徴および長所は、 本発明のケーブル取付け装置の一例示実施形態を読むことにより明らかになるであろう。 図1に示すように、回転受入れ表面2の上にケーブルを取り付ける装置1は本体5を有し、ケーブルは、受入れ表面2の回転軸線に対して垂直でかつ接線方向に、受入れ表面2の上に取り付けられる。 受入れ表面2は、符号V2で示す制御された表面線速度で回転する。 【0016】以下の記載において、「ケーブル移動方向」とは、受入れ表面2の回転軸線に対して本質的に垂直な方向を意味する。 本体5は、受入れ表面2の回転軸線に対して垂直な方向にケーブルを供給する手段10 と、ケーブルを横方向に変位させる手段20、30と、 最後に、受入れ表面2上でケーブルを位置決めする手段40とを有しており、これらの種々の装置は連続的に作用して、所望の波形でケーブルを受入れ表面2上に取り付ける。 【0017】供給手段10は、供給リール(図示せず) から供給されるケーブルを送り込む少なくとも1つのケーブル送込みプーリ12を有している。 この場合、プーリ12の回転軸線は受入れ表面2の回転軸線に対して平行である。 これにより、供給リールは、プーリ12の回転軸線に対して垂直な回転軸線XX′をもつキャプスタン11に容易にケーブルを供給することができる。 かくして、キャプスタン11から離れるとき、ケーブルは本質的にその移動方向でキャプスタンを出て、ケーブルを横方向に変位させる手段20、30に入る。 【0018】キャプスタン11は、モータ13により伝達ベルト14を介して駆動され、ケーブルを符号V1で示す線速度で供給方向に供給する。 受入れ表面2の表面線速度V2と同期するように線速度V1を制御することにより、回転表面2の1回転当りに、回転表面2上に供給されるケーブルの量を決定することができる。 【0019】変位手段20、30は、図2および図3 に、より詳細に示されており、本体5の手段30と協働するガイドヘッド20を有している。 ガイドヘッド20 はキャプスタン11の回転軸線XX′に対して垂直な連結ロッド21を有し、該連結ロッド21は、ケーブル取付け装置1の外側を向いている面210の上に2つのガイドローラ22、23を有している。 これらのローラ2 2、23は、その軸線が連結ロッド21に対して垂直でありかつ連結ロッド21に対して自由に回転できるように取り付けられている。 【0020】各ガイドローラ22、23は、キャプスタン11により供給されるケーブルを受け入れるための中央溝221、231を有している。 ケーブルのガイドを容易にしかつケーブルのガイドと横方向変位との同時遂行を容易にするため、両ガイドローラ22、23は、ケーブルの移動方向に延びかつ連結ロッド21の中心を通る線に対して接するようにかつケーブルの移動方向に対して互いにオフセットするように、連結ロッド21の面の中心に対して偏心配置されている。 この構成は優れたものであるが、相互オフセットさせないように両ローラを配置することを考えることもできる。 【0021】連結ロッド21の端部211、212には、互いに平行な軸線をもつスピンドル24、25が、 ボールベアリング26を介して、回転できるように取り付けられており、両スピンドル24、25の軸線は連結ロッド21に対して垂直である。 これらのスピンドル2 4、25は、ケーブル取付け装置に対して連結ロッド2 1の内側に形成された開口において、それぞれキャップ241、251を有している。 【0022】変位手段30は、軸線XX′すなわちケーブル移動方向に対して垂直でかつ互いに平行な2つのスピンドル31、32を有し、該スピンドルは、本体5内に取り付けられたボールベアリング33内で回転しかつ各スピンドルの駆動プーリ36、37に同じ伝達ベルト35を介してそれぞれ連結された共通モータ(図示せず)により駆動される。 【0023】ガイドヘッド20に面する本体5の開口で、スピンドル31、32はそれぞれキャップ311、 321により延長されており、これらのキャップ31 1、321は、駆動力をスピンドル24、25に伝達する互いに平行なレバー27、28により、それぞれキャップ251、241に連結されている。 【0024】スピンドル31、32、24、25の回転速度は、符号V3で示されている。 ケーブルが通るとき、スピンドル31、32が回転すると、レバー27、 28の位置を変えることができる。 実際に、レバー2 7、28が、キャップ311、321に固定されたこれらの軸線の回りで枢動すると、スピンドル31、32に対し連結ロッド21の中心が逸脱する。 かくして、連結ロッド21に対して平行な平面上への投影図で見るとき、連結ロッド21の中心は、この回転中に楕円形を描く。 また、本体5は、連結ロッド21に対して平行なその面上に電磁石38を有し、該電磁石38は、重力を補償すべく、ロッド21に復元力を加える。 【0025】受入れ表面2の上にケーブルを位置決めする手段40は位置決めローラ41を有し、該位置決めローラ41はその回転軸線Yの回りで自由に回転する。 位置決めローラ41の回転外周面410は、ケーブルが該回転面410と受入れ表面2との間を通るようにして、 受入れ表面2と接触する。 位置決めローラ41は両ガイドローラ22、23の近くに配置され、両ガイドローラから出るケーブルを受け入れる。 【0026】アーム42はその一端420に位置決めローラ41を支持しており、アームの他端421は、支持体43を介して本体5に固定されている。 支持体43 は、ケーブルが或る程度の力が加えられた状態で回転表面2上に取り付けられることを確実にするため、弾性継手45上で枢動できるように本体5に取り付けられている。 【0027】図3および図4A〜図4Dを参照して、1 周期の正弦波状ケーブルの形成中のケーブル取付け装置の作動を以下に簡単に説明する。 この説明の前提として、受入れ表面の所与の線速度V2において、ケーブル供給速度V1を調節することにより、表面2の1回転当りに供給されるケーブルの量を調整できることに留意されたい。 また、ケーブルが存在しない場合には、スピンドル31、32が回転しているので、電磁石38は、連結ロッド21をキャップ311、321に対してレバー27、28の固定位置に保持し、ロッド21の中心は、 ロッドに対して平行な平面上への投影図で見たときに円を描く。 【0028】ケーブルが存在する場合に、速度V1=V 2であれば、ケーブルは直線状に配置される。 ケーブル供給速度V1が表面線速度V2より大きければ、レバー27、28を枢動させるスラスト力を加えることにより、ケーブルがロッドに作用する。 かくして、V1の方がV2より大きい場合には、スピンドルの回転速度V3 が、受入れ表面2の1回転当りのレバー27、28の変化量、従って受入れ表面2上でケーブルにより形成される波形の周期の決定を可能にする。 これらの波形の振幅は、表面2の1回転当りに供給されるケーブルの量により直接決定される。 なぜならば、このケーブルの量によって、連結ロッド21が「押される」量、すなわちレバー27、28の傾斜角度が決定されるからである。 【0029】かくして、本願明細書の冒頭で述べたように、ケーブルの半径方向位置に従って連続的に変化する振幅を得るべく受入れ表面2上でのケーブルの波形の振幅の容易な変更を達成するためには、表面2の1回転当りに供給されるケーブルの量、従って速度V1を変更するだけで充分である。 波形の振幅は、前述のように自動的に調節でき、従って、本発明のシステムは、所望の波形変更に非常に簡単に適合できる。 【0030】ケーブルの性質を考慮に入れることも重要である。 実際に、前述のように、ケーブルは連結ロッド21上でスラスト要素として作用し、従ってスラスト要素の機能を遂行できる或る程度の剛性を有する必要がある。 この剛性は、金属ケーブルを選択する場合には容易に得ることができる。 テクスタイルケーブルの場合には、電磁石が大きな役割を演じるように磁力を増大させる必要がある。 また、ケーブルではなく磁石が、連結ロッド21の横方向変化を引き起こすように構成することもできる。 【0031】図4A〜図4Dは、振幅AをもつケーブルCの波形周期Pを形成するためのロッド21の運動を示す。 符号X″、Y″およびZ″は、3次元方向を考慮した場合の、位置決めローラ41に中心をもつ3次元軸を示し、Z″軸は、キャプスタン11の回転軸線に対して平行である。 【0032】図4Aでは、レバー27、28がゼロ度プライに等しい角度位置を有し、このことは、スピンドル32、31がそれぞれスピンドル24、25に整合しておりかつローラ41の中心でのケーブルの位置が座標軸X″=0に一致していることを意味する。これは、周期の始点である。 【0033】図4Bでは、スピンドル31、32が90 °回転され、従ってレバー27、28が、ロッド21が移動できる両極端位置のうちの一方の極端位置にあり、 ケーブルの位置はX″=A/2に一致している。 【0034】図4Cでは、ケーブルは再びX″=0の位置にあり、スピンドル31、32は180°回転され、 レバー27、28は、スピンドル31、32とスピンドル25、24とが整合する位置に回転されている。 【0035】最後に図4Dでは、スピンドル31、32 が270°回転されており、レバー27、28はロッド21の第2「極端」位置、すなわち図4Bに示したレバー27、28の位置と比較し、軸線Y′Yに対して反対側の端部にある。 これらの図面は、ロッド21の移動により、受入れ表面2上でのケーブルの波形を制御する方法を明瞭に示している。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明によるケーブル取付け装置を示す概略側面図である。 【図2】図1のケーブル取付け装置のII−II線に沿う部分断面図である。 【図3】図1のケーブル取付け装置を矢印Fの方向から見た部分図である。 【図4A】図3のケーブル取付け装置の種々の作動フェーズの1つを示す概略図である。 【図4B】図3のケーブル取付け装置の種々の作動フェーズの1つを示す概略図である。 【図4C】図3のケーブル取付け装置の種々の作動フェーズの1つを示す概略図である。 【図4D】図3のケーブル取付け装置の種々の作動フェーズの1つを示す概略図である。 【符号の説明】 1 ケーブル取付け装置 2 回転受入れ表面 10 ケーブル供給手段 20 ガイドヘッド 22、23 ガイドローラ 24、25 スピンドル 30 ケーブルの横方向変位手段 31、32 スピンドル 40 ケーブル位置決め手段 ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ダニール メイヤー フランス 63400 シャマリエール リュ ー ドゥ ボスケ 9 Fターム(参考) 4F212 AH20 VA11 VC22 VD07 VD16 VP34 |