Method of manufacturing a molding member

申请号 JP2012534062 申请日 2011-09-16 公开(公告)号 JP5488703B2 公开(公告)日 2014-05-14
申请人 新日鐵住金株式会社; 发明人 正則 泰山; 嘉明 中澤; 誠均 田坂; 利哉 鈴木; 匡浩 中田; 博紀 富士本; ひとみ 西畑;
摘要 A formed member is provided which can be manufactured at a low cost, which has excellent dimensional accuracy, which has excellent axial crushing properties and three-point bending properties, which has excellent bending stiffness and torsional stiffness, and which is suitable for use in a component of an automobile. The formed member (20) has a reinforcing member (35) which is joined by a weld (40) provided on a ridge portion (28). It is manufactured by joining a flat sheet blank and a flat sheet reinforcing member (35) by a weld (40) and performing bending so that the weld (40) becomes a ridge portion (28).
权利要求
  • 平板状ブランクにおける当該稜線部となる位置にスポット溶接部を形成して平板状の補強部材をスポット溶接し、該補強部材を溶接された前記ブランクにプレス成形またはロール成形を行うことによって、一の面と他の一の面とをつなぐ稜線部を少なくとも一つ有する成形部材であって、少なくとも前記稜線部に接合される補強部材を備え、該稜線部に前記補強部材とのスポット溶接部が設けられること、前記補強部材は、前記稜線部の延在方向に直交する方向の断面で、少なくとも稜線部の全域を被うことができる幅寸法を有すること、および前記スポット溶接部は、前記稜線部の延在方向へ連続的または断続的に設けられ る成形部材 を製造することを特徴とする成形部材の製造方法
  • 前記スポット溶接部は、前記稜線部の延在方向に直線状または曲線状に設けられる請求項1に記載された成形部材 の製造方法
  • 前記スポット溶接部は、前記稜線部の断面周長方向の中央位置から該稜線部の断面周長の50%の距離にある位置までの間に設けられる請求項1または請求項2に記載された成形部材 の製造方法
  • 前記補強部材は、前記稜線部の延在方向の一部または全部へ延設される請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載された成形部材 の製造方法
  • 前記補強部材は、前記稜線部の延在方向へ1つまたは2つ以上設けられる請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載された成形部材 の製造方法
  • 前記補強部材は、前記稜線部の外周面または内周面に設けられる請求項1から請求項 までのいずれか1項に記載された成形部材 の製造方法
  • 前記補強 材を スポット溶接された前記ブランクを、Ac 点以上の温度に加熱した後に前記プレス成形を行う請求項 1から請求項6までのいずれか1項に記載された成形部材の製造方法。
  • 说明书全文

    本発明は、成形部材製造方法に関する。 具体的には、本発明は、低コストで製造できるとともに優れた寸法精度を有し、さらに優れた軸圧潰特性および3点曲げ特性、または優れた曲げ剛性および捻じり剛性を有する、自動車構成部材に用いるのに好適な成形部材製造方法とに関する。

    周知のように、殆ど全ての自動車車体は、軽量および高剛性を両立させるために、モノコックボディ(ユニットコンストラクションボディ)により構成される。
    図20は、自動車車体1を模式的に示す説明図である。

    モノコックボディは、通常、板厚2.0mm以下の鋼板からプレス成形された多数の構成部材を、例えばスポット溶接により、所定の形状に組み合わせ接合することによって、構成される。 このような多くの構成部材(以下、自動車構成部材という)には、例えば、フロントサイドメンバー2、バンパーリインフォースメント3、フロントクラッシュボックス4、フロントアッパーレール5、サイドシル6、フロアークロスメンバー7、フロアーパネル8、センターピラー9、ルーフレールサイド10、リアーサイドメンバー11、さらにはリアークラッシュボックス12があり、それらは、要求される車体剛性を確保するため、単一または幾つかの成形部材本体、例えばプレス成形部材本体またはロール成形部材本体から構成される。

    ここに、「成形部材本体」は、板状の素材をプレス成形、ロール成形等の適宜曲げ成形手段によって成形した、稜線部を有する部材本体をいう。 本明細書では、便宜上、単に成形体ということもある。

    図21は、板状ブランクを断面ハット型にプレス成形した成形部材13の例を示す。 特に、図21は、成形部材13と平面状のクロージングプレート14とが組み合わされて構成された自動車構成部材15の一例であるフロントサイドメンバーの構造を模式的に示す説明図である。

    図21に示すように、成形部材13は、一の面13aと他の一の面13bとをつなぐ稜線部13cを有しており、これにより、自動車構成部材15の剛性が高められる。
    特許文献1には、成形部材の稜線部を、鋼板が折り重ねられた折り重ね形状部とする発明が開示され、特許文献2には、成形部材の稜線部に肉盛溶接部を設ける発明が開示され、特許文献3〜5には、成形部材の強度が必要とされる部分に焼入れを行い焼入れ硬化部とする発明が開示されている。

    さらに、特許文献6、7には、素材である2枚の鋼板の間にろう材を介し、いわゆる熱間プレス工程でろう付けと成形を行うことにより、成形部材を製造する発明が開示されている。

    特開2008−155749号公報

    特開2004−276031号公報

    特開平4−72010号公報

    特開平11−152541号公報

    特開平10−17933号公報

    特開2001−310223号公報

    特開2011−88484号公報

    特許文献1により開示された発明では、折り重ね形状部を形成するための特殊な金型が必要になり、設備費が嵩む。 特許文献2により開示された発明では、肉盛溶接部を形成するためのコストが嵩む。 さらに、特許文献3〜5により開示された発明では、焼入れ硬化部を形成するためのコストが嵩むのみならず、焼入れにより成形部材の変形による寸法精度の低下が懸念される。

    また、鋼板、およびろう材(例えば、Pb、Cu、Ag等)それぞれの物性値(融点、強度、伸び)は大きく異なる。 そのため、特許文献6、7に開示された発明には以下に列記の課題が存在する。
    (a)ろう材は、低融点金属の溶融を利用するものであるため、熱間プレス工程では、2枚の鋼板は、溶融状態にあるろう材を間に挟んだ状態で成形される。 この際、溶融したろう材が鋼の粒界に侵入していわゆる液相粒界脆化を生じる。 この脆化した粒界において成形時の歪によりろう材が剥離し、所望の成形部材を製造できない可能性が高い。
    (b)仮に成形部材を製造することができたとしても、2枚の鋼板の間には、強度や伸びといった物性値が鋼とは大きく異なるろう材が不可避的に介在する。 このため、車両に装着された成形部材が、衝撃荷重を受けて軸圧潰変形や曲げ変形する際に、破壊がろう材自体やろう材と鋼板との界面において発生し易くなり、成形部材の衝撃エネルギーの吸収特性を高めることができない。

    本発明者らは、構成が簡単で、かつ、複雑な形状であっても簡便な手段で製造できる複合材、すなわち、稜線部に補強材を溶接で接合し、そのときの溶接部が稜線部の中心に近い領域に設けられている複合材が、そのような衝撃荷重を受けたときにエネルギー吸収特性が特に優れていることを知った。

    本発明は、 平板状ブランクにおける当該稜線部となる位置にスポット溶接部を形成して平板状の補強部材をスポット溶接し、該補強部材を溶接された前記ブランクにプレス成形またはロール成形を行うことによって、一の面と他の一の面とをつなぐ稜線部を少なくとも一つ有する成形部材であって、少なくとも稜線部に接合される補強部材を備え、稜線部に補強部材との溶接部が設けられる成形部材、例えばプレス成形部材、ロール成形部材を製造することを特徴とする成形部材の製造方法である。

    本発明における「稜線部」とは、一の面と他の一の面とをつなぐ曲面部分を意味する。 一の面、および他の一の面がいずれも平面である場合には、1つの面のR止まり位置と他の1つの面のR止まり位置との間の部分を意味する。 一の面および他の一の面の一方または双方が曲率半径を有する曲面である場合には、一の面と他の一の面とをつなぐとともにそれらの曲率半径に比べて小さな曲率半径である部分を意味する。 したがって、「稜線部」は、具体的には、例えばプレス成形による曲げ変形部、つまり曲げ変形を受けた部位をいい、その稜線の方向を稜線部の延在方向という。

    の場合に、補強材を溶接されたブランクを、Ac 点以上の温度に加熱した後にプレス成形を行うこと、すなわちプレス成形がいわゆる熱間プレス成形であってもよい。

    一般的に、炭素鋼の溶接部における溶接金属の硬度は上昇する。 このため、溶接後にプレス加工を行う場合、稜線部の溶接部の変形が非常に厳しいとき、稜線部の溶接部がプレス成形時に破断する可能性が高まる。 これに対し、例えば950℃以上という高温で熱間プレス成形を行えば、稜線部の溶接部は、塑性変形能が大きくなるために、より厳しい形状へプレス成形可能になる。

    一方、熱間プレス成形を行った後の高張鋼板に溶接を行うことを考えると、そのときの高張力鋼板がマルテンサイト組織からなりたとえば1500MPa程度の強度を有している場合、そのようなマルテンサイト組織により硬化した母材は、必然的に、溶接時の熱により軟化域を生じ(いわゆるHAZ軟化)、約30%程度硬度が低下してしまう。 このため、この軟化域で継手破断が懸念される。

    これに対し、上述したように、本発明は、溶接後に熱間成形を行う態様の場合、平板状のブランクに平板状の補強部材を溶接し、そのときプレス成形に際して曲げ中心となる領域、つまり稜線部となる位置に溶接部を形成する。 このようにして補強部材が溶接されたブランクをAc 点以上の温度に加熱した後にプレス成形を行う。 このときの加熱のため、それまでの溶接の履歴は消失し、プレス加工後の冷却に際しては、母材、および、溶接時にHAZ軟化した溶接部のいずれもが硬化する。 硬化の程度は、主として鋼中の炭素量の影響を受けるため、鋼成分が同一である母材およびHAZそれぞれの硬度が均一化される。

    すなわち、本発明によれば、母材の硬化した強度に見合った接合面積(例えばナゲット径)を確保すれば、硬化した母材の強度に見合った継手強度を有する成形部材を得ることができる。

    本発明では、溶接部が、(a)稜線部の延在方向へ連続的または断続的に設けられること、(b)稜線部の延在方向に直線状または曲線状に設けられること、(c)稜線部の断面周長方向の中央位置から稜線部の断面周長の50%の距離にある位置までの間に設けられること、(d)スポット溶接部、シーム溶接部、レーザ溶接部またはプラズマ溶接部であることが、それぞれ望ましい。 また、溶接部は稜線部の全面に形成されていてもよい。 さらに、溶接手段は、スポット溶接、シーム溶接、レーザ溶接またはプラズマ溶接など各種溶接方法の1種を用いても、あるいは、それらの二種以上を併用してもよい。

    稜線部を形成する方法は、プレス成形、ロール成形のいずれであってもよく、また、平板ブランクを溶接して重ねたものをプレス成形、ロール成形してもよい。 もちろん、成形部材本体および補強材をそれぞれ予め成形して、成形部材本体の稜線部に設けた溶接部によって補強材を成形部材本体に接合してもよい。

    また、本発明では、補強部材が、(e)稜線部の延在方向の一部または全部へ延設されること、(f)稜線部の延在方向へ1つまたは2つ以上に分割して設けられること、(g)稜線部の断面において少なくともその全域を被うことができる寸法を有すること、(h)稜線部の外周面または内周面に設けられることが、それぞれ可能である。

    本発明によれば、低コストで製造できるとともに優れた寸法精度を有し、さらに、優れた軸圧潰特性および3点曲げ特性、あるいは優れた曲げ剛性および捻じり剛性を有することから、自動車構成部材に用いるのに好適な成形部材の製造方法提供される。

    図1(a)〜図1(f)は、補強部材を省略した成形部材の各種の横断面形状を模式的に示す説明図である。

    図2(a)は、図1(a)に示す成形部材の第1の稜線部にそれぞれ補強部材を溶接した状況を示す説明図であり、図2(b)は、図1(d)に示す曲げ成形部材の第1の稜線部にそれぞれ補強部材を溶接した状況を示す説明図であり、図2(c)は、図1(e)に示す曲げ成形部材の第1の稜線部から第2の稜線部にかけて第1の補強部材を溶接するとともに第3の稜線部に第2の補強部材を溶接した状況を示す説明図である。

    図3(a)〜図3(d)は、溶接部が点状のスポット溶接部である場合における、稜線部の延在方向への溶接部の配置位置を部分的に示す斜視図である。

    図4(a)〜図4(h)は、溶接部が線状の溶接部である場合における、稜線部の延在方向への溶接部の配置位置を模式的に示す説明図である。

    図5(a)〜図5(d)は、溶接部が、線状の溶接部と点状の溶接部との組み合わせである場合を模式的に示す説明図である。

    図6(a)〜図6(c)は、外観上の意匠性(美麗さ)を要求される部位に溶接部を形成する場合の溶接方法の一例を模式的に示す説明図である。

    図7(a)〜図7(d)は、成形部材における溶接部の好適な形成位置を、模式的に示す説明図である。

    図8は、本発明をセンターピラー(Bピラー)に適用する状況を示す説明図であり、図8(a)は全体図であり、図8(b)は、図8(a)のVIII−VIII断面図であり、従来例である。 図8(c)は、同じく図8(a)のVIII−VIII断面図であり、本発明例である。

    図9は、本発明をフロントピラー(Aピラー)に適用する状況を示す説明図であり、図9(a)は全体図であり、図9(b)は、図9(a)のXI−XI断面図であり、従来例である。 図9(c)は、同じく図9(a)のXI−XI断面図であり、本発明例である。

    図10(a)は、実施例で用いる補強部材の概略断面形状を示す説明図であり、図10(b)は、稜線部への補強部材の形状および配置を示す説明図である。

    図11(a)は、補強部材をスポット溶接した後の成形部材の斜視図であり、図11(b)および図11(c)は、稜線部への補強部材のスポット溶接位置を示す説明図である。

    図12は、試験条件をまとめて示す説明図である。

    図13は、試験方法を示す説明図である。

    図14(a)は、比較例1および本発明例1の成形部材の変位および荷重の関係を示すグラフであり、図14(b)は、比較例1および本発明例1の成形部材の変位および吸収エネルギーの関係を示すグラフである。

    図15(a)は、比較例2および本発明例2の成形部材の変位および荷重の関係を示すグラフであり、図15(b)は、比較例2および本発明例2の成形部材の変位および吸収エネルギーの関係を示すグラフである。

    図16(a)および(b)は、それぞれ、本発明例2、比較例2の場合、成形部材の変形量が8mmのときの部材軸方向応力の分布状態を示す説明図である。

    図17(a)は3点曲げ試験の状況を示す説明図であり、図17(b)はハット部材の断面形状を示す説明図である。

    図18は、No. 1〜3の曲げ試験の結果を示すグラフである。

    図19は、No. 1〜6の試験条件と試験結果(最大荷重)とをまとめて示す説明図である。

    図20は、自動車車体を模式的に示す説明図である。

    図21は、成形部材本体と平面状のクロージングプレートとが組み合わされて構成された自動車構成部材の一例であるフロントサイドメンバーの構造を模式的に示す説明図である。

    15 自動車構成部材20〜25 曲げ成形部材26 一の面27 他の一の面28 第1の稜線部28−1 軸圧壊性能を要求される部分28−2 曲げ変形性能を要求される部分29 一の面30 第2の稜線部31 クロージングプレート32 他の一の面33 第3の稜線部34 フランジ35 補強部材35−1 第1の補強部材35−2 第2の補強部材

    本発明を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。 以降の説明では、成形部材が、自動車構成部材の一つの要素である場合を例にとる。 また、成形部材の断面をもって、また、成形方法として、プレス成形を例にとり本発明を説明する。

    形部材は、一の面と他の一の面とをつなぐ稜線部を少なくとも一つ有する成形部材本体と、この成形部材本体の少なくとも稜線部に接合される補強部材とを備える。 つまり、成形部材の稜線部に補強部材との溶接部が設けられる。 ここに、本明細書では、説明を簡単にするために、この成形部材本体をも便宜上「成形部材」とうこともある。

    図1(a)〜図1(f)は、成形部材20〜25の各種の横断面形状を模式的に示す説明図である。 図1(a)〜図1(f)における稜線部に補強部材(図示しない)が溶接により接合される。 同一符号は同一部位を示す。

    図1(a)に示す成形部材20は、一の面26と他の一の面27、27とをつなぐ第1、第2の稜線部28、28と、一の面29、29と他の一の面27、27とをつなぐ第3、第4の稜線部30、30とを有する。 成形部材20は、これら4つの稜線部28、28、30、30のうちの少なくとも一つの稜線部に接合される補強部材を備える。 成形部材20は、単体で、自動車構成部材を構成してもよい。

    図1(b)に示す成形部材21は、第1、第2の稜線部28、28の少なくとも一つの稜線部に接合される補強部材を備える例を示す。 成形部材21は、一の面(フランジ)29、29を介してスポット溶接される平板状のクロージングプレート31とともに、自動車構成部材を構成してもよい。

    図1(c)に示す成形部材22は、第1の稜線部28に接合される補強部材を備える。 成形部材22は、一の面(フランジ)29、29を介してスポット溶接される平板状のクロージングプレート31とともに、自動車構成部材を構成してもよい。

    図1(d)に示す成形部材23は、上述した成形部材21を二つ、それぞれの一の面(フランジ)29、29を介してスポット溶接されて組み合わされ、自動車構成部材を構成してもよい。

    図1(e)に示す成形部材24は、一の面26と他の一の面27、27とをつなぐ第1、第2の稜線部28、28と、一の面29、29と他の一の面27、27とをつなぐ第3、第4の稜線部30、30と、一の面29、29と他の一の面32、32とをつなぐ第5、第6の稜線部33、33とを有する。 成形部材24は、これらの稜線部28、28、30、30、33、33のうちの少なくとも一つの稜線部に接合される補強部材を備える。 成形部材24は、単体で、自動車構成部材を構成してもよい。

    さらに、図1(f)に示す成形部材25は、上述した成形部材24の一の面(フランジ)29、29を介してスポット溶接される平板状のクロージングプレート31とともに、自動車構成部材を構成してもよい。

    稜線部28、30、33の内(図1(a)において例示する角度θ)は、90度である必要はなく、各成形部材20〜25に要求される所定の角度であればよい。
    また、図示例で稜線部は、全体が対称となるように設けられているが、非対称であってもよい。

    図2(a)は、図1(a)に示す成形部材20の稜線部28、28にそれぞれ補強部材35、35を溶接した状況を示す説明図であり、図2(b)は、図1(d)に示す成形部材23の稜線部28、28、28、28にそれぞれ補強部材35、35、35、35を溶接した状況を示す説明図であり、図2(c)は、図1(e)に示す成形部材24の稜線部28、28から稜線部30、30にかけて第1の補強部材35−1、35−1を溶接するとともに稜線部33、33に第2の補強部材35−2、35−2を溶接した状況を示す説明図である。 なお、図中、稜線部28,30,33に設ける溶接部は図面を明瞭にするために省略してある。

    ここに,補強部材を稜線部の断面でその領域だけに被せる例を示している。 それは,部材特性を改善させる上で,稜線部の溶接固定が有効であるが,一方で,補強部材は部材全体の重量増要因であるためである。 なお、「稜線部の断面」は成形部材の長手方向に直交する方向の断面を云う。
    さらに,本発明では,溶接により補強材を溶接させてからプレス成形あるいはロール成形を行うことが好ましい. すなわち,稜線部つまり曲げ加工部全体(母材部+補強部)が隙間なく一体的に成形されるのが好ましいからである。

    図2(a)〜図2(c)に示すように、補強部材35、35−1、35−2は、各稜線部28、30、33の全域をその断面周長方向に被うことができる幅寸法を有していればよい。 図2(a)中の拡大図に示すように、稜線部28、30、33の内角をθ(rad)、曲率半径をR(mm)とすると、稜線部28、30、33の断面周長方向の長さはRθ(mm)となるので、補強部材35の幅はRθ(mm)以上であることが好ましい。 なお、実際の成形部材の形状を考慮すると、例えば、内角θは60度以上120度以下である。

    図2(a)および図2(b)は、補強部材35を稜線部28の外周面に設けた例を示し、図2(c)は、補強部材35−1、35−2を、稜線部28、30の外周部および内周面の双方に設けた例を示す。 1つの稜線部の外周面および内周面の双方に補強材を設ける態様も考えれる。 ここに「外周面」、「内周面」とは、稜線部の凸面、凹面をそれぞれ云う。

    補強部材35、35−1、35−2を各稜線部28、30、33に溶接するための溶接部の幅(断面周長方向の長さ)は、後述するプレス成形時に負荷される荷重によって補強部材35、35−1、35−2が各稜線部28、30、33から大きく剥離しない限り、特に規定する必要はない。 しかし、いうまでもなく大きな荷重変形を受けても剥離しないことが好ましく、例えば溶接部がスポット溶接部である場合には、溶接部のナゲット径が補強部材35の板厚をt(mm)とした場合に3√t(mm)以上であることが好ましい。 このように、溶接部の幅は、成形部材20〜25が所望の特性を維持するために、稜線部28、30、33の断面周長方向の長さRθに占める割合が大きいほうが好ましく、また一つの稜線部に溶接部が複数存在していてもよい。

    溶接部は、各稜線部28、30、33の断面周長方向の中央位置から各稜線部28、30、33の断面周長の50%の距離にある位置までの間に設けられることが望ましい。 これにより、本発明の効果を確実に得ることが可能である。

    また、溶接部の幅全域が稜線部28、30、33の断面周長方向の長さRθの範囲に全て含まれていなくともよい。 溶接部の少なくとも一部が稜線部に含まれていればよい。
    基本的には、補強部材35、35−1、35−2の幅が大きくなるほど、補強部材35、35−1、35−2による曲げ成形部材20〜25の補強効果は増加するが、自動車構成部材としての重量やコストの増加は避けられない。 このため、補強部材35、35−1、35−2の幅は、稜線部28、30、33の断面周長方向の長さRθを少し上回る程度、具体的には、Rθ×5以下であることが望ましく、Rθ×4以下であることがさらに望ましく、Rθ×3以下であることが最も望ましい。

    補強部材35、35−1、35−2は、各稜線部28、30、33の延在方向への成形部材20〜25の断面形状が一定で変化しない場合には、当然のことながら、各稜線部28、30、33の延在方向の全長にわたって設けることにより、本発明の効果を得ることができる。

    しかし、実在の多くの成形部材は、各稜線部28、30、33の延在方向において断面形状がその位置によって一定ではなく変化する。 この場合には、成形部材20〜25が、例えば軸圧潰方向への荷重を受けた時に最も変形し易い、断面積が小さな領域がある。 そのため、少なくとも、この領域に補強部材35、35−1、35−2を設けることが有効である。 成形部材20〜25の軸方向の全長に補強部材35、35−1、35−2を設けなくとも、この断面積が小さな領域に補強部材35、35−1、35−2を設けることにより、より確実に、本発明の効果を得ることができる。 もちろん、成形部材20〜25の軸方向の全長に補強部材35、35−1、35−2を設けることによりさらに大きな効果を得ることが可能である。

    稜線部28、30、33の延在方向への溶接部の配置は、成形時の成形性や成形部材に要求される特性に応じて、適宜設定すればよい。 点状、直線状、曲線状といった溶接部の形状やその配置数、また溶接部の寸法(長さ)も適宜設定すればよい。 また、点状の溶接部と線状の溶接部を併用したり、直線状の溶接部と曲線状の溶接部とを併用してもよい。

    ここに、稜線部の「延在方向」とは、稜線部が成形部材の長手方向に沿って設けられていることから、その長手方向、つまり軸方向を云う。 また、「稜線部の断面形状」とは、その長手方向に直交する断面での形状である。

    図3(a)〜図3(d)は、溶接部40が点状のスポット溶接部である場合における、稜線部28の延在方向への溶接部40の配置位置を部分的に示す斜視図である。 図3(a)〜図3(d)における丸印は溶接部40を示す。 図示例は、図2に示す成形部材20に設けた稜線部28の外周面に補強部材35を、溶接により接合する場合を例にとって説明する。 便宜上、稜線部28を補強部材35の稜線部として図示している。 なお、後述する図4〜図7の場合も同じである。

    図3(a)は、溶接部40を、稜線部28の延在方向の同一断面に配置した場合であり、一方向への成形性や変形を制御し易い効果がある。
    図3(b)は、溶接部40を、稜線部28の延在方向に千鳥配置した場合であり、単位面積当りの溶接部40の位置数をより増加できるために成形部材の性能を向上できる。

    図3(c)は、溶接部40の形成位置を稜線部28の延在方向の位置に応じて変更した場合であり、例えば、稜線部28のうちで軸圧壊性能を要求される部分28−1と、曲げ変形性能を要求される部分28−2とで、溶接部40の形成位置を異ならせることによって、成形部材の軸圧壊性能および曲げ変形性能をいずれも高めることができる。 このように、溶接部40の形成位置を稜線部28の延在方向の位置に応じて変更することにより、成形部材に要求される多様な要求に柔軟に対応することができる。

    図3(d)は、溶接部40を、稜線部28の延在方向への打点ピッチを変更して形成した場合であり、図3(c)に示す場合と同様に、成形部材に要求される多様な要求に柔軟に対応することができる。

    図4(a)〜図4(h)は、溶接部が線状の溶接部41である場合における、稜線部28の延在方向への溶接部41の配置位置を模式的に示す説明図である。
    図4(a)は、溶接部41を、稜線部28の延在方向へ連続して直線状に形成した場合を示す。

    図4(b)は、溶接部41を、稜線部28の延在方向へ断続して直線状に形成した場合を示す。
    図4(c)は、溶接部41を、稜線部28の延在方向へ連続して、かつ途中で位置を変更して直線状に形成した場合を示す。

    図4(d)は、溶接部41を、稜線部28の延在方向へ連続して曲線状に形成した場合を示す。
    図4(e)は、溶接部41を、稜線部28の延在方向へC字状に連続して離間して形成した場合を示す。

    図4(f)は、溶接部41を、稜線部28の延在方向へC字状に連続して一部を交差させて形成した場合を示す。
    図4(g)は、断面方向へのステッチ状の溶接部41を、稜線部28の延在方向へ連続して離間して形成した場合を示す。

    図4(h)は、断面方向への連続溶接部41を、稜線部28の延在方向へ連続して離間して形成した場合を示す。
    図5(a)〜図5(d)は、溶接部が、線状の溶接部と点状の溶接部との組み合わせである場合を模式的に示す説明図である。 なお、点状の溶接部は、スポット溶接により形成してもよいし、あるいはレーザ溶接により形成してもよい。 また、線状の溶接部は、レーザ溶接により形成してもよいし、あるいはシーム溶接により形成してもよい。

    図5(a)は、点状の溶接部40と線状の溶接部41とを併用した場合を示し、図5(b)は、線状の溶接部41とは方向が異なる線状の溶接部42とを併用した場合を示し、図5(c)は、Cの字形状の溶接部41と点状の溶接部40とを併用した場合を示し、図5(d)は、稜線部の延在方向と直交する方向への線状の溶接部41と点状の溶接部40とを併用した場合を示す。

    このように、補強部材35は、稜線部28の延在方向の一部または全部へ延設されていてもよく、また、稜線部28の延在方向へ1つまたは2つ以上に分割して設けられていてもよい。

    稜線部28へ補強部材35を溶接するための溶接部40〜42は、成形部材20が外力を受ける際に、補強部材35と成形部材20との間に隙間が発生することを防止して、軸圧潰特性および曲げ変形特性を向上させる効果、若しくは曲げ剛性および捻じり剛性を高める効果を有する。 このため、溶接部40〜42は、稜線部28の延在方向へ連続して形成されることが最も好ましいが、例えばスポット溶接のように、稜線部28の延在方向へ断続的に形成されていてもよい。 溶接部40〜42が稜線部28の延在方向へ断続的に形成される場合には、変形時に稜線部28から補強部材35が剥離しないように、隣接する各溶接部の間隔を適宜設定すればよい。

    また、成形部材から構成される自動車用構成部材が例えばフロアーパネルである場合には、稜線部の断面周長方向の長さRθが長くなる傾向にある。 この場合には、溶接部は、稜線部の延在方向に直線状に存在する必要はなく、例えばS字状に屈曲した曲線状、または千鳥状の短線状、あるいは点状に存在していてもよい。 要するに、成形部材が外力を受ける際に、稜線部から補強部材が剥離しないように、溶接部を形成すればよい。

    補強部材35が、稜線部28だけではなく稜線部28に連続する面部(例えばハット断面部の縦壁部)をも被う場合には、稜線部28で溶接することに加えてこの面部でも溶接してもよいことはいうまでもない。

    成形部材20が軸圧潰変形を生じる場合、断面形状が稜線部28の延在方向について変化しないときには、軸圧潰時の変形は、成形部材20の端部に集中する。 そのため、プレス成形の際に稜線部で成形部材28と補強部材35との間で材料が滑ったり、それぞれの材料が異なった変形をしたりすることを防止するために、端部、特に断面形状変化部ではより密に溶接部を設ける。 このように、成形部材20の両端部の稜線部28と補強部材35との隙間を溶接により少なくすること、また、断面形状が変化するときには形状変化領域の近傍の稜線部28と補強部材35との隙間を溶接により少なくすることが、それぞれ重要である。 さらに、溶接部が、スポット溶接部のように断続的に形成される場合には、これらの部分において、隣接する各溶接部40〜42の間隔を小さく設定することが望ましい。

    溶接法は、特に限定を要するものではなく、例えば、スポット溶接、シーム溶接、レーザ溶接またはプラズマ溶接を用いることができる。 後述するように、平板状のブランク材の一部に同じく平板状の補強部材を重ね合わせた状態で両者を溶接することが可能な溶接法であれば、同様に適用することが可能である。

    図6(a)〜図6(c)は、溶接部40〜42を、外観上の意匠性(美麗さ)を要求される部位に形成する場合の溶接方法の一例を模式的に示す説明図である。
    組み立て後の成形部品の一面あるいは一部に対して外観上の意匠性、すなわち溶接ビードや抵抗溶接による電極痕跡等の凹凸が残存しない外観上の美麗さが要求される場合には、図6(a)〜図6(c)に例示される方法を用いることが好ましい。

    図6(a)における符号70はレーザ溶接機を示す。 図6(a)は、稜線部28と補強部材35とをレーザ溶接する際に、稜線部の外面である面aまで溶接ビード41を貫通させずにレーザ溶接を行うことにより、面aを美麗に保つことができる。

    図6(b)における符号71、72はシーム溶接用電極を示す。 図6(b)に示すように、シーム溶接では面a側に接触面積の大きな円盤形状のシーム溶接用電極72を採用し回転させながら溶接を行うことにより、面aを美麗に保つことができる。

    図6(c)における符号73は、片側シーム溶接用電極を示す。 符号74は、フラットなバック電極を示す。 図6(c)に示すように、片側シーム溶接では、面a側にフラットなバック電極74を採用し、面b側の電極73を回転させながら溶接(所謂,片側シーム溶接)することにより、面aを美麗に保つことができる。

    また、スポット溶接ではフラットなバック電極や先端の曲率半径の大きな電極を用いることによりa面に電極痕跡を残存させずに美麗に保つことができる。
    形部材は、例えば、フロントサイドメンバー、バンパーリインフォースメント、フロントクラッシュボックス、フロントアッパーレール、サイドシル、フロアークロスメンバー、フロアーパネル、センターピラー、ルーフレールサイド、リアーサイドメンバー、さらにはリアークラッシュボックスといった自動車構成部材に、単独であるいは他の部材と組み合わせて、好適に用いることができる。 あるいは、そのような自動車構成部材の一部を形部材で構成するようにしてもよい。 つまり、上記自動車構成部材の一部の箇所に、 強材を、その稜線部に設けた溶接部によって固着させるようにしてもよい。
    なお、本明細書では、説明を簡単にするために、上述のような自動車構成部材それ自体を形部材と称することもある。

    例えば、トンネル部を備えたフロアーパネル(フロントフロアーパネル)に本発明を適用する場合には、トンネル部の稜線部のうち、前方衝突時に最初に衝撃荷重が入力される部分である、ダッシュロアーパネルに近い側(前側)の稜線部に、補強部材を配置することが望ましい。 これにより、フロントフロアーパネルの曲げ剛性や捻じり剛性を高めることが可能になるのみならず、フロントフロアーパネルの衝撃吸収特性を向上させることも可能になる。

    形部材は、稜線部において溶接された補強部材を備えるため、例えば、軸圧潰時においては、(i)曲げ成形部材の外壁部が断面外部側へ開こうするとする変形(以下、「面外変形」という)が補強部材により確実に抑制され、成形部材の座屈荷重が増加するとともに、(ii)最も特性寄与度の大きな稜線部に溶接された補強部材を有するので、単座屈荷重が向上するとともに座屈波長を小さくすることができる。 このため、本発明によれば、成形部材の衝撃エネルギーの吸収特性が向上する。

    また、 形部材は、稜線部において溶接された補強部材を備えるため、例えば、三点曲げ時においては、稜線部が接合されていない従来の場合に比較して、この補強された稜線部が、高い剛性とともに高い強度を有するため、変形初期から高い曲げ強度を示すとともに、この稜線部での変形量が従来の場合に比較して小さくなる。 このため、側壁部が曲げ応力に対して負荷を有効に負担することができ、その結果として、高い曲げ座屈荷重を得られる。 このため、本発明によれば、成形部材の衝撃エネルギーの吸収特性が向上する。

    さらに、 形部材は、稜線部において溶接された補強部材を備えるため、例えばフロアーパネルに適用すると、このフロアーパネルに曲げ変形や捻じり変形が発生する際の抵抗性が高まり、成形部材の曲げ剛性や捻じり剛性を高めることができる。

    このため、 形部材を用いて自動車構成部材を構成すれば、
    (A)筒状の自動車構成部材であってその軸方向へ負荷される衝撃荷重を負担する部材(例えば、フロントサイドメンバー、フロントクラッシュボックス、フロントアッパーレール、フロアークロスメンバー、リアーサイドメンバー、さらにはリアークラッシュボックス等)の場合には、その軸圧潰時の衝撃エネルギーの吸収特性を高めること、
    (B)筒状の自動車構成部材であってその軸方向と略直交する方向へ負荷される衝撃荷重を負担する部材(例えば、バンパーリインフォースメント、サイドシル、センターピラー、ルーフレールサイド等)の場合には、その3点曲げ時の衝撃エネルギーの吸収特性を高めること、さらには、
    (C)板状の自動車構成部材(フロアーパネル等)の場合には、その曲げ剛性や捻じり剛性を高めることがいずれも可能になる。

    図7(a)〜図7(d)は、成形部材44〜47における溶接部40〜42の好適な形成位置を、断面で部分的かつ模式的に示す説明図である。
    図7(a)は、その軸方向へ負荷される衝撃荷重を負担する成形部材44を示し、溶接部40〜42が稜線部Rθの断面周長の50%に含まれる範囲(図中、1/2Rθで示す)に少なくとも存在することが好ましい。

    図7(b)は、その軸方向と直交する方向へ負荷される衝撃荷重(σ、図中、白抜矢印で示す)を負担する成形部材45を示し、溶接部40〜42の一部が、側壁側のR終端部に掛かる位置に存在することが好ましい。

    図7(c)は、その軸方向、および、軸方向と直交する方向の2方向へ負荷される衝撃荷重をひとつの溶接部で負担する成形部材46を示す。
    さらに、図7(d)は、同一断面上にそれぞれの負荷方向に応じた溶接部を個々に設けて負担する成形部材47をそれぞれ示す。

    図8は、本発明をセンターピラー(Bピラー)48に適用する態様の一例を示す説明図であり、図8(a)は全体図であり、図8(b)は、図8(a)のVIII-VIII断面図であり、比較のために示す、従来のセンターピラーの断面図である。 図8(c)は、同じく図8(a)のVIII-VIII断面図であり、 ンターピラーを示す断面図である。 図中、溶接部の位置を丸印で示す。 図9においても同じである。

    本発明をBピラー48に適用する場合には、Bピラーアウター49とBピラーインナー51の間に設けられるBピラーリインフォース50を、 形部材で構成する。 このように補強部材を備えた成形部材であるBピラーリインフォース50は、通常、Bピラー48の上部に配置される。 そして、本発明をBピラーリインフォース50に適用し、その稜線部に補強材(図示せず)および溶接部40〜42を配置することで、Bピラーアウター49の耐衝撃特性は大幅に改善される。 なお、図8(c)における成形部材であるBピラーリインフォース50の具体的構成は、その具体的形状によって例えば図2に示すいずれかの構成であってもよい。

    このとき、B ピラーリインフォース 50および補強部材それぞれの材料は、特に限定を要するものではなく、高張力鋼板もしくは熱間プレス材でもよい。
    図8(c)に示す溶接部はスポット溶接部40であるが、スポット溶接部40ではなくレーザ溶接部41やシーム溶接部42であってもよい。

    さらに好ましくは、Bピラーアウター49、Bピラーインナ51に、さらに複数の稜線部を形成しておき,それぞれの稜線部に補強部材と溶接部40〜42を適宜配置することにより、Bピラー48の曲げ荷重をさらに高めることが可能になる。

    図9は、本発明をフロントピラー(Aピラー)に適用する態様の一例を示す説明図であり、図9(a)は全体図であり、図9(b)は、図9(a)のXI−XI断面図であり、比較のために示す従来のフロントピラーの断面図である。 図9(c)は、同じく図9(a)のXI−XI断面図であり、 ロントピラーの断面図である。

    Aピラー52のアウター57とAピラーインナー56との間には、Aピラーインナーリインフォース54とアウターリインフォース53とが設けられている。 本発明をAピラー52に適用する場合には、アウターリインフォース53の稜線部に補強部材を配置し、それを同じく稜線部に設けられた溶接部40〜42によって固定することが好ましい。 つまり、アウターリインフォース53を形部材で構成する。
    あるいは、Aピラーのインナーリインフォース54の稜線部に補強部材と溶接部40〜42を配置してもよい。
    これにより、前方衝突時のAピラー52の曲げ圧潰荷重を大幅に高めることが可能になる。

    図8、図9において、説明を簡単にするため補強部材については示していないが、その具体的形態は、例えば、インナーリインフォース54とアウターリインフォース53の形状、つまり成形部材の形状に応じて、例えば図2に示す各種の形態をとりうる。
    このときのAピラーのアウターリインフォース53およびインナーリインフォース54、さらにはそれらの稜線部に設ける補強部材のそれぞれの材料は、特に限定を要するものではなく、高張力鋼板もしくは熱間プレス材でもよい。

    本発明に係る製造方法を説明する。
    形部材を製造するには、その1態様によれば、プレス成形あるいはロール成形によりそれぞれ曲げ成形を行うことで、稜線部を備えた成形部材本体および補強部材を予め用意する。 このとき予め行うプレス成形、ロール成形は、熱間で行っても冷間で行ってもよい。 このようにして予め成形された成形部材本体の稜線部に、これも同様な形状に曲げ成形された補強部材を配置し、稜線部において溶接を行い、両者をその位置で固着する。 稜線部に補強部材を配置するときには、両者の間に隙間はできるだけ生じないようにする。 このときの溶接部の配置はすでに詳述したとおりであり、溶接手段もすでに述べた各種手段を適宜選択して使用することができる。

    このように本発明によれば、成形部材は簡便な手段で製造でき、補強材を設ける領域は、稜線部であれば、任意の個所に部分的に設けるだけで、局所的にその部位の耐衝撃性を大きく改善できるため、そのような成形部材を自動車構成部材として用いると車体軽量化と耐衝撃性改善という本来相反する特性を同時に満足させることができる。

    本発明の別の態様によれば、 形部材を製造するには、はじめに、素材である平板状のブランクと、平板状の補強部材35、35−1、35−2とを重ね合せて配置する。 重ね合わせる位置は、ブランクにおける稜線部となる位置である。

    この位置において、ブランクと補強部材35、35−1、35−2とを、上述した各種の溶接法のいずれかにより溶接し、平板状の溶接部材を製造する。 このときの溶接部の配置、溶接部の形成方法などはすでに述べた通りである。

    この平板状の溶接部材に対して、補強部材35、35−1、35−2が存在する範囲が稜線部28、30、33となるようにして、プレス成形またはロール成形を行う。 これにより、プレス成形部あるいはロール成形部、つまり稜線部に補強部材を備えた形部材が製造される。 このときの成形は冷間であっても、熱間であってもいずれであってもよい。 材料の種類、溶接手段に応じて適宜決めることができる。

    本発明者らは、440〜980MPa級の二枚の高強度鋼板(板厚0.7〜2.0mm)を重ね合せてスポット溶接し、このようにして形成されたスポット溶接部の中心が、曲率半径3mmの稜線部の頂点に位置するように90°曲げ加工を行うプレス成形試験を多数回行い、曲げ加工によりスポット溶接部が破断するか否かを確認したが、いずれの試験においても溶接部割れは発生しないことを確認した。

    また、本発明では、平板状の溶接部材を、Ac 点以上の温度に加熱した後にプレス成形(ロール成形)を行うこと、すなわちプレス成形がいわゆる熱間プレス成形であっても十分な効果を得られる。 これにより、プレス成形性を高めながら、より高強度を有する熱間プレス成形部材を製造することができる。

    熱間プレス成形部材が高強度材からなる場合、溶接部にはいわゆるHAZ軟化を生じることがあるが、平板状の溶接部材を熱間プレス成形工程により製造すると、溶接時に生じた軟化部にも焼入れ硬化が得られ、HAZ軟化部が存在せず、母材および溶接部がともに同等の強度(硬さ)を有する成形部材を得られる。

    本発明において使用する鋼板については、Ac3点以上に加熱してすること熱間プレス成形及び熱間ロース成形が可能となる鋼種、板材であれば特に制限はないが、溶接部のHAZ軟化は,鋼のマルテンサイト強化によるものであるから,その強化機構の寄与が大きいため,HAZ軟化を生じる590MPa級以上の鋼(特に,デュアルフェーズ(DP)鋼)が好ましく,さらにより好ましくは,1500MPa級以上の鋼である.
    このようにして、本発明によれば、低コストで製造できるとともに優れた寸法精度を有し、さらに優れた軸圧潰特性や3点曲げ特性、または優れた曲げ剛性や捻じり剛性を有する、自動車構成部材に用いるのに好適な成形部材または自動車構成部材それ自体を提供することができる。

    図10(a)は、本実施例で用いる補強部材35の概略断面形状を示す説明図であり、図10(b)は、成形部材21の稜線部28への補強部材35の形状・配置を示す説明図である。
    図11(a)は、補強部材をスポット溶接した後の成形部材21の斜視図であり、図11(b)および図11(c)は、それぞれ、本発明例および比較例2の稜線部28への補強部材のスポット溶接位置を示す説明図である。 ただし、比較例2では稜線部28にはスポット溶接部は見られない。

    なお、本実施例で用いる成形部材21は、図1(a)に示す断面形状を有する成形部材21とほぼ同じ形状であり、同一部位は同一符号で示す。 また図11(b)、(c)では、スポット溶接部は黒丸印で示す。 また、成形部材21、補強部材35の板厚はいずれも0.7mmとした。

    図12は、成形部材の諸元および試験条件をまとめて示す説明図であり、図13は、試験方法を示す説明図である。 なお、図12中の「成形部材断面図」の欄で白抜矢印により示す位置は、スポット溶接位置である。

    図12に示す比較例1、2、および本発明例1、2で得られた成形部材に、図13に示す試験を行った。 すなわち、図13に示すようにして時速64km/hrで落錘体36を、下端部を完全に固定および拘束されて垂設された成形部材試料の上端部から衝突させ、軸方向への変形量が20mmとなるまでの荷重を測定した。 なお、図12に示すように、比較例1、2は稜線部28にはスポット溶接部が存在しないが、本発明例1、2は稜線部28にもスポット溶接部が存在する。

    図14(a)は、引張強度270MPaの鋼板から構成した成形部材(比較例1、本発明例1)の変位および荷重の関係を示すグラフであり、図14(b)は、引張強度270MPaの鋼板から構成した成形部材(比較例1、本発明例1)の変位および吸収エネルギーの関係を示すグラフである。

    また、図15(a)は、同じく引張強度980MPaの場合の成形部材(比較例2、本発明例2)の変位および荷重の関係を示すグラフであり、図15(b)は、引張強度980MPaの場合試料(比較例2、本発明例2)の変位および吸収エネルギーの関係を示すグラフである。

    図14(a)、図14(b)、図15(a)および図15(b)のそれぞれのグラフから明らかなように、本発明例1、2は、比較例1、2に対して、高い荷重特性を得ることができ、衝撃エネルギーの吸収特性が高いことがわかる。

    また、図16(a)、(b)は、引張強度980MPaの場合(比較例2、本発明例2)のそれぞれの変形量8mmにおける部材軸方向応力の分布状態を示す説明図である。 なお、図16では、補強部材35は省略してある。

    図16(a)に示すように、比較例2の場合は、軸方向のA部およびB部において応力集中が発生しているのに対し、図16(b)に示す本発明例2の場合は、比較例2よりも稜線部の面外変形が抑制されるようになり、その結果、軸方向応力が高まり、かつその応力分布が軸方向の全域C部に均一に広がるようになることがわかる。

    熱間プレス工法を用いてハット型の断面を有するハット本体、すなわちハット型成形部材を製造し、3点曲げ試験を行った。 本例はハット型成形部材の稜線部の内側に補強材60を設けた例を示す。

    図17(a)は3点曲げ試験の状況を示す説明図であり、図17(b)はハット部材58の断面形状を示す説明図である。
    図17(b)に示すように、ハット部材58は、ハット本体59、補強材60、およびハット底板61からなる。 これら構成部材59〜61のスペックを以下に列記する。

    ハット本体59:熱間プレス用合金化溶融亜鉛めっき鋼板、板厚1.2mm、幅240mm、長さ600mm
    補強材60:熱間プレス用合金化溶融亜鉛めっき鋼板、板厚1.4mm、幅180mm、長さ600mm
    ハット底板61:780MPa級合金化溶融亜鉛めっき鋼板、板厚1.8mm、幅150mm、長さ600mm
    ハット本体59および補強材60それぞれの平板(ブランク)を、後述する図19に示す各種溶接法により溶接して熱間プレス用の溶接ブランク材とし、この溶接ブランク材に熱間プレス成形(900℃で4分間加熱)を行ってハット本体材とし、その後に、このハット本体材にハット底板61をスポット溶接することにより、曲げ試験用のハット成形部材58を製造した。

    図17(a)に示すように、このようにして得られたハット成形部材58を支持点間隔500mmで二点62,63において支持し、ハット成形部材58の長手方向の中央位置に半径150mmのインパクタ64を2mm/secの速度で降下させて衝突させ、曲げ変形を与えた。

    図18は、No. 1〜3の曲げ試験の結果を示すグラフであり、図19は、No. 1〜6の試験条件と試験結果(最大荷重)とをまとめて示す説明図である。
    図19における「HP成形」とは熱間プレス成形を意味し、「TWB」はテーラーウェルドブランクを意味し、「パッチTWB時の形状」の欄、および「形状(断面)」の欄における丸印はスポット溶接位置を示し、「パッチTWB時の形状」の欄における直線は連続溶接(シーム溶接またはレーザ溶接)を示す。

    図18、19におけるNo. 1,2は、稜線部に溶接部を有さない比較例であり、No. 3〜6は稜線部に溶接部を有する本発明例である。
    なお、スポット溶接は、稜線の延在方向へ40mmピッチで行った。 また、No. 5のシーム溶接(稜線垂直方向)は、長さ40mm、40mmピッチで行った。 さらに、No. 6のレーザ曲線溶接は、振幅20mm、周期40mmの正弦波曲線とした。

    図18、19に示す結果より、本発明例によれば、比較例よりも最大荷重が大幅に増加したこと、特に、比較例よりも変位の全域で荷重が高まっており、衝撃エネルギーの吸収量が大幅に増加したことがわかる。

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