Press molding method

申请号 JP2012274398 申请日 2012-12-17 公开(公告)号 JP5510533B1 公开(公告)日 2014-06-04
申请人 Jfeスチール株式会社; 发明人 正樹 卜部;
摘要 【課題】製品形状の 自由度 を低下させることなく、伸びフランジ割れの問題を根本的に解決し、さらには天板部の形状 精度 にも優れる伸びフランジ成形方法を得る。
【解決手段】本発明に係るプレス成形方法は、外周縁の一部が内方に凹んだ凹状外周縁3を有する天板部5と、天板部5における凹状外周縁3に沿って曲げ成形されたフランジ部7を有する成形部品1をプレス成形するプレス成形方法であって、ブランク材9におけるフランジ部7が形成される部位に、フランジ部7の一部となる縦壁部11と、縦壁部11から外方に向けて折り曲げられると共に天板部5側に凸となる山形部13を含む中間形状部品15を成形する第1成形工程S1と、第1成形工程S1で成形された中間形状部品15の山形部13を含む部位を縦壁部11との境界となる折り曲げ線に沿って曲げ成形してフランジ部7を成形する第2成形工程S2を備えてなることを特徴とするものである。
【選択図】 図1
权利要求
  • 外周縁の一部が内方に凹んだ凹状外周縁を有する天板部と、該天板部における凹状外周縁に沿って曲げ成形されたフランジ部を有する成形部品をプレス成形するプレス成形方法であって、
    ブランク材における前記フランジ部が形成される部位に、フランジ部の一部となる縦壁部と、該縦壁部から外方に向けて折り曲げられると共に前記天板部側に凸となる山形部を含む中間形状部品を成形する第1成形工程と、
    該第1成形工程で成形された中間形状部品の前記山形部を含む部位を縦壁部との境界となる折り曲げ線に沿って曲げ成形してフランジ部を成形する第2成形工程を備えてなることを特徴とするプレス成形方法。
  • 前記第1成形工程は、ブランク材における天板部となる部位をパッドと第1ダイで挟持して、前記ブランク材におけるフランジ部となる部位を第1パンチによって成形し、
    前記第2成形工程は、中間形状部品における天板部となる部位をパッドと第2ダイで挟持して、前記中間形状部品における山形部を含む形状に沿う第2パンチによって成形することを特徴とする請求項1記載のプレス成形方法。
  • 说明书全文

    本発明は、金属板をプレス成形して伸びフランジを成形するプレス成形方法に関する。

    金属薄板を金型で挟むことによってプレス成形をすることでフランジ部を成形する際、金属板におけるフランジ部の屈曲端部が引張を受けて伸び変形が発生する場合がある。 このような成形を伸びフランジ成形と言う。
    伸びフランジ成形においては、伸び変形が金属板の有する変形限界を超えた場合には割れが発生する。 この割れを伸びフランジ割れという。 伸びフランジ割れは、例えば自動車のプレス成形部品、特に高張力鋼板の成形品において発生し、所定の部品形状が得られない場合がある。

    このような伸びフランジ割れを回避する方法について、例えば特許文献1には割れ発生部位の端面の状態を改善することで、伸びフランジ限界を向上させる方法が開示されている。
    また、特許文献2および非特許文献1にはプレス金型によって余肉を付与する方法が記載されている。
    また、特許文献3および特許文献4には伸びフランジワレの発生しにくいブランク形状を用いる方法が開示されている。
    また、非特許文献2および非特許文献3には逐次接触パンチを用いて成形を行うことにより、変形を分散させて伸びフランジ部位への変形の集中を抑え、伸びフランジ割れの発生を回避する方法が記載されている。

    特開2009−255167号公報

    特開2008−119736号公報

    特開2009−214118号公報

    特開2009−160655号公報

    薄鋼板成形技術研究会編「プレス成形難易ハンドブック第3版」、日刊工業新聞社、2007年3月30日、p.234 表4.23 材料とプロセス,21(2008),p.321 塑性と加工 第52巻604号 p.569-573 (2011年)

    特許文献1に開示されたように、割れ発生部位の端面の状態を改善する方法では、その効果は限定的であり、伸びフランジ割れの根本的な解決には至らない。
    また、特許文献2、非特許文献1に開示されたように、プレス金型によって余肉を付与する方法についても、上記同様に効果が限定的であり、根本的な解決とは言えない。
    また、特許文献3および特許文献4に開示されたように、伸びフランジワレの発生しにくいブランク形状を用いる方法の場合、ブランク形状が制約を受けるため製品形状の自由度が低下する。 また、最終的に目標形状にするために該当部位の形状を整えるための加工が必要となり、コスト増大の原因ともなる。
    また、非特許文献2および非特許文献3に開示された逐次接触パンチを用いる方法の場合、天板部の形状悪化が指摘されており、天板部の形状精度が要求される場合には適用するのが難しいという問題がある。

    本発明は、上記のような種々の問題を解決するためになされたものであり、製品形状の自由度を低下させることなく、伸びフランジ割れの問題を根本的に解決し、さらには天板部の形状精度にも優れるプレス成形方法を得ることを目的としている。

    発明者は伸びフランジ成形において、フランジ部の屈曲端部に伸びが集中するのを緩和する根本的な解決方法を鋭意検討した。
    その結果、フランジ部を成形するに際してフランジ部における屈曲端部に、伸びと縮みが同時に発生するようにできれば、これらが相殺され屈曲端部に伸びが集中することなく当該部位に割れが発生することもなくなるのではないかと考えた。
    そして、フランジ部における屈曲端部に伸びと縮みが同時に発生するような成形方法について検討した。 この検討内容を図21〜図25に基づいて以下に説明する。

    図21(a)は、平板状の第1ブランク50であり、破線は第1フランジ部51(図21(b)参照)を成形するための第1折り曲げ線53を示し、中央の太い実線は第1切り込み55である。
    このような第1ブランク50を第1折り曲げ線53に沿って曲げて第1フランジ部51を成形すると、図21(b)に示すように、第1フランジ部51における第1切り込み55の部分が開く。 したがって、第1切り込み55がなく板が繋がっている場合、図22に示すように、第1フランジ部51における斜線で示した部位に伸びが発生する。 これが伸びフランジ成形である。

    図23(a)は、矩形状の板の中央で山形になった第2ブランク57を示している。 破線は第2フランジ部59を成形するための第2折り曲げ線61で、中央の太い実線は第2切り込み63である。
    このようなブランクを第2折り曲げ線61に沿って曲げて第2フランジ部59を成形すると、図23(b)に示すように、第2フランジ部59の中央部でブランクの一部が重なり合う。 したがって、第2切り込み63がなく板が繋がっている場合、図24の斜線で示した部位に縮みが発生し、当該縮みが板厚増加で吸収できない場合にはシワが生ずることになる。 これが縮みフランジ成形である。

    以上のように、図22に示すように、平板状の第1ブランク50を外周縁の一部が内方に凹んだ凹状の第1折り曲げ線53に沿って第1フランジ部51を成形すると第1フランジ部51における屈曲端部に伸びが発生し、図24に示すように、山形形状の第2ブランク57を山形に沿った折り曲げ線に沿って第2フランジ部59を成形すると第2フランジ部59における屈曲端部に縮みが発生する。
    そこで、このようなフランジ部の同一部分に伸びと縮みが同時に発生する成形を行うことで、伸びと縮みが相殺される。
    そのためには、フランジ部を成形するに際して、図22に示したような内方に凹んだ凹状である第1折り曲げ線53と、図24に示したような山形に沿う第2折り曲げ線61の2つの特質を備えた折り曲げ線に沿って成形すればよい。
    このような成形を行うためには、2つの特質を備えた折り曲げ線を実現できる予備的な中間形状を、目標形状のフランジ部を成形する前段階で作っておけばよい。
    図25はこのような中間形状65の一例を示すものであり、外周縁の一部が内方に凹んだ凹状外周縁67を有する天板部69と、該天板部69における凹状外周縁67に沿って曲げ成形されフランジ部の一部となる縦壁部71と、該縦壁部71から外方に向けて折り曲げられると共に前記天板部69側に凸となる山形部73を含む形状である。
    図25に示す中間形状65において、縦壁部71に形成された第3折り曲げ線75が、上述した2つの特質を有する折り曲げ線となっている。 つまり、第3折り曲げ線75は、中間形状65を上から見ると、内方に凹んでいることから図22の第1折り曲げ線53と同様の形状になっており、また前方から見ると山形になっていることから図24の第2折り曲げ線61と同様になっている。

    中間形状65を成形し、この中間形状65に現れた縦壁部71の第3折り曲げ線75に沿って山形部73を図25の矢印Aで示すように成形すると、山形部73の中央先端のX部には、図22に示した伸びと、図24に示した縮みが同時に発生し、その結果、伸びと縮みが相殺されて、伸びに起因する割れや、縮みに起因するシワなどが発生しない。
    なお、中間形状65を成形する際に縦壁部71の中央(凹形状の凹部)に伸びが発生するが、当該部位は天板部69からの垂下距離が短いので、大きな伸びとはならず割れ等の問題はない。
    本発明は上記のような知見に基づいてなされたものであり、具体的には以下の構成からなるものである。

    (1)本発明に係るプレス成形方法は、外周縁の一部が内方に凹んだ凹状外周縁を有する天板部と、該天板部における凹状外周縁に沿って曲げ成形されたフランジ部を有する成形部品をプレス成形するプレス成形方法であって、
    ブランク材における前記フランジ部が形成される部位に、フランジ部の一部となる縦壁部と、該縦壁部から外方に向けて折り曲げられると共に前記天板部側に凸となる山形部を含む中間形状部品を成形する第1成形工程と、
    該第1成形工程で成形された中間形状部品の前記山形部を含む部位を縦壁部との境界となる折り曲げ線に沿って曲げ成形してフランジ部を成形する第2成形工程を備えてなることを特徴とするものである。

    (2)また、上記(1)に記載のものにおいて、前記第1成形工程は、ブランク材における天板部となる部位をパッドと第1ダイで挟持して、前記ブランク材におけるフランジ部となる部位を第1パンチによって成形し、
    前記第2成形工程は、中間形状部品における天板部となる部位をパッドと第2ダイで挟持して、前記中間形状部品における山形部を含む形状に沿う第2パンチによって成形することを特徴とするものである。

    本発明においては、ブランク材における前記フランジ部が形成される部位に、フランジ部の一部となる縦壁部と、該縦壁部から外方に向けて折り曲げられると共に前記天板部側に凸となる山形部を含む中間形状部品を成形する第1成形工程と、
    該第1成形工程で成形された中間形状部品の前記山形部を含む部位を縦壁部との境界となる折り曲げ線に沿って曲げ成形してフランジ部を成形する第2成形工程を備えてなることにより、第2成形工程ではフランジ部の屈曲端部には伸びと縮みが同時に発生し、前記屈曲端部に割れを生ずることなく、伸びフランジ成形を行うことができる。
    また、山形部を含む中間形状部品を成形する第1成形工程においてフランジ部となる部位の広い範囲に剪断ひずみが生じて山形部が形成され、これによってフランジ部の屈曲端部に要求される伸び変形を予め成形することとなり、第2成形工程では主として曲げ成形となるのでフランジ部の屈曲端部に割れを生ずることなく、伸びフランジ成形を行うことができる。
    また、第1成形工程における山形部を成形する際の剪断ひずみは、フランジ部となる縦壁部と山形部との間で生ずるため、天板部にはほとんど応力が発生せず、天板部の形状精度にも優れる。

    本発明の一実施の形態に係るプレス成形方法の各工程を説明する説明図である。

    本発明の一実施の形態に係るプレス成形方法によって成形する成形部品の説明図である。

    本発明の一実施の形態に係るプレス成形方法の第1成形工程によって成形された中間形状部品の説明図である。

    本発明の一実施の形態に係るプレス成形方法の第1成形工程に用いる第1パンチの説明図である。

    本発明の一実施の形態に係るプレス成形方法の第1成形工程において生ずる剪断ひずみ発生のメカニズムを説明する説明図である。

    本発明の一実施の形態に係るプレス成形方法の第1成形工程における剪断力によって生ずる塑性ひずみをコンター図で示す図である。

    本発明の一実施の形態に係るプレス成形方法の第1成形工程における板厚減少率をコンター図で示す図である。

    本発明の一実施の形態に係るプレス成形方法の第2成形工程に用いる第2パンチの説明図である。

    本発明の一実施の形態に係るプレス成形方法の第2成形工程における剪断力によって生ずる塑性ひずみをコンター図で示す図である。

    本発明の一実施の形態に係るプレス成形方法の第2成形工程における板厚減少率をコンター図で示す図である。

    従来のプレス成形方法によって生ずる塑性ひずみをコンター図で示す図である。

    従来のプレス成形方法によって成形した場合の板厚減少率をコンター図で示す図である。

    本発明の実施例における成形部品の説明図である。

    本発明の実施例における第1パンチの説明図である。

    本発明の実施例における第2パンチの説明図である。

    本発明の実施例の効果を説明するグラフである(その1)。

    本発明の実施例の効果を説明するグラフである(その2)。

    本発明の実施例の効果を説明する説明図であって、成形部品における応力分布をコンター図で示す図である。

    本発明のプレス成形方法における第1成形工程で用いる第1パンチの他の態様の説明図である(その1)。

    本発明のプレス成形方法における第1成形工程で用いる第1パンチの他の態様の説明図である(その2)。

    本発明にかかるプレス成形方法のメカニズムを説明する説明図である(その1)。

    本発明にかかるプレス成形方法のメカニズムを説明する説明図である(その2)。

    本発明にかかるプレス成形方法のメカニズムを説明する説明図である(その3)。

    本発明にかかるプレス成形方法のメカニズムを説明する説明図である(その4)。

    本発明にかかるプレス成形方法のメカニズムを説明する説明図である(その5)。

    本発明の一実施の形態に係るプレス成形方法は、図2に示すように、外周縁の一部が内方に凹んだ凹状外周縁3を有する天板部5と、該天板部5における凹状外周縁3に沿って曲げ成形されたフランジ部7を有する成形部品1をプレス成形するプレス成形方法であって、
    フランジ部7が形成されるブランク材7における部位に、フランジ部7の一部となる縦壁部11と、該縦壁から外方に向けて折り曲げられると共に上方に凸となる山形部13を含む中間形状部品15(図1(b)、図3参照)を成形する第1成形工程S1(図1(a)参照)と、第1成形工程S1で成形された中間形状部品15の山形部13を含む形状に沿う第1パンチ17によって山形部13を含む部位を縦壁部11との境界線19に沿って曲げ成形してフランジ部7を成形する第2成形工程S2(図1(c)参照)を備えてなることを特徴とするものである。
    以下、目標とする成形部品1、第1成形工程S1、第2成形工程S2について詳細に説明する。

    <成形部品>
    本実施の形態におけるプレス成形の目標形状となる成形部品1は、図2に示すように、外周縁の一部が内方に凹んだ凹状外周縁3を有する天板部5と、該天板部5における前記凹状外周縁3に沿って曲げ成形されたフランジ部7を有するものである。
    このような形状の成形部品1は、フランジ部7における屈曲端部21に伸びが集中して、当該部位に割れが発生しやすい。

    <第1成形工程>
    本実施の形態の第1成形工程S1は、ブランク材9におけるフランジ部7が形成される部位に、フランジ部7の一部となる縦壁部11と、該縦壁から外方に向けて折り曲げられると共に上方すなわち天板部5側に凸となる山形部13を含む中間形状部品15(図3参照)を成形する工程である。

    第1成形工程S1のプレス成形には、図1に示すように、下金型となる第1ダイ23と、ダイの上方から下降する第1パンチ17と、ブランク材7を押えるパッド25を使用する。
    第1パンチ17の形状は、図4(a)に示すように、成形品の天板部5に相当する部位に位置する平坦部27と、成形品の凹状外周縁3に沿って下方に延出する縦壁を成形する縦壁成形部29と、縦壁成形部29から平方向に延出して上方に凸の山形の山形成形部31を備えている。 なお、山形成形部31には、図4(b)に示すように、山形裾平坦部32があってもよい。
    第1ダイ23は、第1パンチ17の各成形部の形状に対応した形状を有している。
    パッド25によるブランク材7を第1ダイ23に押圧する押圧力は、第1パンチ17の下降による成形に際して天板部5に変形が生じないような十分強い圧力であることが望ましい。

    第1成形工程S1をより具体的に説明する。
    第1成形工程S1では、図1(a)に示すように、ブランク材7を第1ダイ23とパッド25で挟持した状態で、第1パンチ17をダイ側に下降する。 第1パンチ17が下降するとまず第1パンチ17の山形成形部31(図4参照)における両端がブランク材7に当接して、さらに下降すると、裾から順に山形部13の成形と縦壁の成形が同時に行われる。

    このとき、図5の矢印で示すように、縦壁部11は下方に引っ張られ、山形部13は上方に向けて押し上げられるので、縦壁部11と山形部13との間に剪断力が作用する。 この第1成形工程における剪断力によって生ずる塑性ひずみをコンター図で示したのが図6である。 図6においては、符号Aで示す部位は塑性ひずみがゼロの部位であり、BC・・・Fという順で塑性ひずみが大きくなっている。

    図6を参照すると分かるように、山形部13のみならず縦壁部11の広い範囲に亘って塑性ひずみが生じている。 このことから、第1成形工程S1において、縦壁部11の広い範囲の材料が山形部13の成形に寄与しており、山形部13の成形に際してひずみが集中することなく分散していることが分かる。
    第1成形工程S1を実施した後の板厚変化を示したコンター図が図7である。 図7においては、符号Aで示す部位は板厚減少率がゼロの部位であり、BC・・・Fという順で板厚減少率が大きくなっている。
    図7に示されるように、板厚減少率が最も大きいのは山形部13の頂上付近であるが、この部分でも板厚減少率は16%であった。
    このように、第1成形工程S1によって、ひずみを集中させることなく山形部13を成形することができ、縦壁部11には山形部13との境界線19が形成される(図3参照)。 この境界線19が図25で示した第3折り曲げ線75と同じ性質、すなわちフランジ部の屈曲端部に伸びと縮みを当時に発生させる性質を有する折り曲げ線となる。

    なお、第1成形工程S1は、フランジ部7となる部位において剪断ひずみを生じさせるものであることから、天板部5への影響が少なく、天板部5に応力が生じないので天板部5の平坦度の精度を高く保つことができる。

    <第2成形工程>
    第2成形工程S2は、図1に示すように、第1成形工程S1で成形された中間形状部品15を第2ダイ33とパッド25で挟み、山形部13を含む形状に沿う第2パンチ35によって山形部13を含む部位を境界線19に沿って下方に折り曲げてフランジ部7を成形する。
    第2成形工程S2で使用する第2パンチ35は、図8(a)に示すように、第1成形工程S1で成形された山形状に沿う凹形状と縦壁部11に沿う形状を有している。 第2パンチ35において第1パンチ17と違う点は、縦壁成形部29の長さが長い点のみである。
    第2ダイ33は、第2パンチ35の各成形部の形状に対応した形状を有している。

    図8(a)に示すような、第2パンチ35を第1成形工程S1で成形された縦壁に沿って下降することで、第2パンチ35が山形部13を含む形状に当接し、さらに下降することで、山形部13を含む形状が縦壁との境界線19から垂直下方に曲げ成形され、図1(d)に示すように目標形状に成形される。
    なお、第2パンチ35の形状としては、図8(b)に示すように、山形裾平坦部32があってもよい。
    また、図8の第2パンチ(a)または(b)と、図4の第1パンチ(a)または(b)との組み合わせはいずれでもよい。

    この第2成形工程S2では、第1成形工程S1で成形された山形部13を含む形状を境界線19に沿って下方に向けて曲げ成形するが、このときフランジ部7の中央下端部には伸びと縮みの両方が作用し、これらが相殺されるので、この曲げ成形によって大きな伸びが発生することはなく、まして割れが生ずることもない。

    第2成形工程S2後における塑性ひずみの分布をコンター図で示したのが図9である。 図9に示されるように、広い範囲に塑性ひずみが分散していることが分かる。 つまり、塑性ひずみが集中せずに分散することで、割れの発生を防止できるのである。
    なお、図9のコンター図に示すように、本発明の方法によってもフランジ部の屈曲端部に塑性ひずみが生ずるのは、当該部位に発生する伸びと縮みが完全に一致しているわけではないからである。
    第2成形工程S2後の板厚の分布をコンター図で示したのが図10である。 図10に示すように、板厚の変化が広範囲に分散しており、最も板厚減少率が大きい部位でも20%であった。 このことは、伸びと縮みの相殺作用によって板厚減少率の最大値を小さくすることができ、割れの発生を確実に防止できることを意味している。

    図11は、伸びフランジ成形を一工程で行う従来のプレス成形方法で行った場合の塑性ひずみ分布をコンター図で示した図であり、図12は同じく伸びフランジ成形を一つの工程で行う従来のプレス成形方法で行った場合の板厚の分布をコンター図で示したものである。
    図11を図9と比較すると分かるように、従来方法(図11)では塑性ひずみが生じている部位が図9のように分散せずにフランジの中央下端の屈曲部に集中していることが分かる。
    また、図12を図10と比較すると分かるように、従来方法(図12)では板厚変化が生じている部位が図10のようにフランジ部7の広い範囲に分散せず、中央に集中していることが分かる。 図12に示した従来方法の最大の板厚減少率は41%であり、本発明の20%よりも大きくなっている。

    以上のように、本実施の形態によれば、第1成形工程S1で中間形状部品15を成形し、第2成形工程S2において第1成形工程S1で成形した中間形状部品15を曲げ成形することで最終形状の成形部品1を成形するようにしたので、第1成形工程S1では成形部品1におけるフランジ部7の広い範囲に塑性ひずみを生じさせ、それによって伸びの集中を防止でき、また第2成形工程S2ではフランジ部の屈曲端部に伸びを集中させることなく、割れの発生を効果的に防止できる。

    本発明の効果を検証するため、従来方法と本発明方法を有限要素法による解析で検証した。 解析に用いたソフトウエアはLSTC社製のLS−DYNAバージョン971で、動的陽解法を用いた。
    対象とする成形品形状は図13に示したものであり、図13に示した各部の寸法等を表1に示す。 成形部品形状はフランジ部の縦壁の高さHが30mmのもの(成形部品形状1)と、縦壁の高さHが40mmのもの(成形部品形状2)の2種類を成形した。
    なお、表1において、W、L、H、Rの単位はmmであり、θ、φの単位はdegree(度)である。

    また、本発明の第1成形工程で用いた第1パンチを図14に、第2成形工程で用いた第2パンチを図15に示し、図13〜15に示した各部の寸法をそれぞれ表2に示す。
    なお、表2において、Wp、Lp、Ha、Hb、W1、L1、R、Rp1、Rt、Rbの単位はmmであり、θ1、θ2、φ1の単位はdegree(度)である。 また、表2において、R、Rp1、Rt、Rbはラウンド加工部の半径を示す。

    図16はフランジ部の縦壁高さHが30mmの場合における最大板厚減少率を本発明と従来例(一工程で伸びフランジ成形を行うプレス成形方法)とで比較してグラフ表示したものである。
    また、図17はフランジ部の縦壁高さHが40mmの場合における最大板厚減少率を本発明と従来例とで比較してグラフ表示したものである。
    図16に示すように、縦壁の高さHが30mmの場合、従来例では41%であったのに対して本発明の最大板厚減少率は20%であった。
    また、図17に示すように、縦壁の高さHが40mmの場合、従来例では58%であったのに対して本発明の最大板厚減少率は31%であった。
    このように、本発明のプレス成形方法によれば、従来方法に比較して最大板厚減少率を低減できることが実証された。 このことは、伸びフランジ成形によって割れの発生を効果的に防止できることを意味している。

    図18は、本発明の第2成形工程の実施後の離型前のブランクの応力分布をコンター図で示したものである。 図18においては、応力がゼロの部位を符号Aで示し、圧縮応力が大きくなるに従って-B、・・・-Cとし、逆に引張応力が大きくなるに従って+B、・・・、+Cとしている。
    図18に示されるように、天板部5にはほとんど応力が発生しておらず、離型後にも天板部5の変形がほとんどないことを意味している。
    これは、第1成形工程S1及び第2成形工程S2のいずれの成形工程でも、塑性ひずみが生じているのはフランジ部7のみであるためと推察される。
    このため、天板部5の形状の精度が要求されるような場合にも本発明のプレス成形方法は極めて有用であることが実証された。

    なお、上記実施の形態においては、成形部品形状として天板部5が平坦の場合について説明したが、本発明のプレス成形方法によって成形される成形部品の天板部は平坦である必要はない。 例えば、天板部が中央に向かって下向きに傾斜する傾斜面を有し天板部として凹形状の場合や、逆に天板部が中央に向かって上向きに傾斜する傾斜面を有し天板部として凸形状の場合であってもよい。

    天板部が凹形状の場合における第1パンチ37の天板成形部39は、図19に示すように、中央に向かって下向きに傾斜する傾斜面からなる凹形状とし、山形成形部の傾斜度θ3は、天板部が平坦な場合の傾斜角度θ2よりも大きくすることが望ましい。
    また、天板部が凸形状の場合における第1パンチ41の天板成形部43は、図20に示すように、中央に向かって上向きに傾斜する傾斜面からなる凸形状とし、山形成形部の傾斜角度θ4は、は天板部が平坦な場合の傾斜角度θ2よりも小さくすることが望ましい。

    S1 第1成形工程 S2 第2成形工程 1 成形部品 3 凹状外周縁 5 天板部 7 フランジ部 9 ブランク材 11 縦壁部 13 山形部 15 中間形状部品 17 第1パンチ 19 境界線 21 屈曲端部(フランジ中央下端部)
    23 第1ダイ 25 パッド 27 平坦部 29 縦壁成形部 31 山形成形部 32 山形裾平坦部 33 第2ダイ 35 第2パンチ 37 第1パンチ 39 天板成形部 41 第1パンチ 43 天板成形部 50 第1ブランク 51 第1フランジ部 53 第1折り曲げ線 55 第1切り込み 57 第2ブランク 59 第2フランジ部 61 第2折り曲げ線 63 第2切り込み 65 中間形状 67 凹状外周縁 69 天板部 71 縦壁部 73 山形部 75 第3折り曲げ線

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