モリンガエキス

申请号 JP2017161489 申请日 2017-08-24 公开(公告)号 JP2017217006A 公开(公告)日 2017-12-14
申请人 太陽化学株式会社; 发明人 杉浦 和彦; クルカルニ アディッティヤ;
摘要 【課題】本発明の第1の課題は、有用な生理機能を有し、安全性の高いモリンガエキスを提供することである。 【解決手段】ベンジルグルコシノレートの含有量が、エキス乾燥固形分換算で6質量%以上であり、アルカロイドを実質的に含まない、モリンガエキス。 【選択図】なし
权利要求

ベンジルグルコシノレートの含有量が、エキス乾燥固形分換算で6質量%以上であり、アルカロイドを実質的に含まない、モリンガエキス。エキスの抽出溶媒がである、請求項1に記載のモリンガエキス。モリンガエキスを含む、ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体(PPAR)活性化剤。前記モリンガエキスが種子エキスである、請求項3記載のPPAR活性化剤。PPARα、PPARβ/δ、およびPPARγの少なくともいずれかを活性化させる、請求項3または4記載のPPAR活性化剤。前記モリンガエキスが、モリンガ・オレイフェラ(Moringa oleifera)を原料とするものである、請求項3〜5いずれか記載のPPAR活性化剤。前記モリンガエキスの抽出溶媒が水である、請求項3〜6いずれか記載のPPAR活性化剤。前記モリンガエキスが、請求項1または2記載のモリンガエキスである、請求項3〜7いずれか記載のPPAR活性化剤。モリンガエキスと、賦形剤とを含むベンジルグルコシノレート含有組成物であって、前記賦形剤の含有量が、前記モリンガエキスの乾燥固形分100質量部に対して65質量部以上である、組成物。前記賦形剤の含有量が、前記モリンガエキスの乾燥固形分100質量部に対して65〜1000質量部である、請求項9記載の組成物。前記賦形剤が、マルトデキストリン、ガラクトマンナン、サイクロデキストリン、デキストリン、でんぷん、および乳糖からなる群より選ばれる1種以上を含む、請求項9または10記載の組成物。前記モリンガエキスが、請求項1または2記載のモリンガエキスである、請求項9〜11いずれか記載の組成物。モリンガエキスと賦形剤とを混合する工程を含む、ベンジルグルコシノレート含有組成物の製造方法であって、前記賦形剤の配合量が、前記モリンガエキスの乾燥固形分100質量部に対して65〜1000質量部である、製造方法。請求項1もしくは2記載のモリンガエキス、請求項3〜8いずれか記載のPPAR活性化剤、または請求項9〜12いずれか記載の組成物を含む、飲食品。清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、これらの飲料の調整用粉末、キャンディ、ガム、錠菓、グミキャンディー、および健康・栄養補助食品(錠剤、カプセル剤、ドリンク剤)からなる群より選択される、請求項14記載の飲食品。肉体および眼精疲労の回復、全身および筋持久の向上、高血圧の予防および改善、高脂血症の予防および改善、肥満の予防および改善、糖尿病の予防および改善、ならびにインスリン抵抗性および高インスリン血症の予防および改善からなる群より選択される少なくとも1以上の目的のための、請求項14または15記載の飲食品。80℃以上で前処理したモリンガを10〜50℃の溶媒中で抽出する工程を含む、モリンガエキスの製造方法。モリンガエキスにおけるベンジルグルコシノレートの含有量が、エキス乾燥固形分換算で6質量%以上であり、アルカロイドを実質的に含まないものである、請求項17記載のモリンガエキスの製造方法。

说明书全文

本発明は、モリンガエキス、モリンガエキスを含むPPAR活性化剤、モリンガエキスを含む組成物、これらの製造方法、およびこれらを含む飲食品に関する。

ワサビノキ属に属する植物(本明細書においては単に「モリンガ」ともいう)は、インド・東南アジアなどで薬用植物として広く親しまれている植物であり、抗酸化・抗炎症効果などの各種有用な生理機能が見出されている。モリンガは、これらの効果の有効成分として、ミネラル、アミノ酸、ベンジルグルコシノレート(BGLs)などを多く含む。そこで近年、モリンガ葉部あるいは根部の乾燥粉砕品、およびこれらを原料として熱や含水アルコールなどで抽出したエキス粉末などが機能性食品の原料素材として販売されはじめ、注目されている。(特許文献1、2、非特許文献1参照)

食生活の改善や医学の発展により、グローバルな平均寿命は上昇している。しかしながら一方で、運動不足や食習慣の変化などの生活習慣の変化により、生活習慣病の罹患者は急増している。このような社会的背景から、日常的に摂取する食品に含まれる食品機能成分の生活習慣病予防効果が注目され、近年の日本においても、機能性表示食品制度が施行されるまでに至っている。このような食品機能成分を積極的に摂取して、健康の保持増進に努めることは、生活の質を向上させるために重要である。

食品機能成分の中には、薬剤と同様に、標的タンパク質に作用して効果を示すと考えられるものがある。そのひとつとして注目されているタンパク質のひとつに、核内受容体のスーパーファミリーに属するPPAR(ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体)というリガンド依存性転写因子がある。このPPARには、α、β/δ、γの3つのサブタイプが存在し、脂質代謝、糖代謝、細胞増殖や分化に関与している。αは主に肝臓に発現して脂肪燃焼に、β/δは筋肉をはじめとした様々な組織に発現し運動能の改善に、またγは白色脂肪組織やマクロファージに発現して、脂肪細胞の分化誘導や脂肪合成にと、それぞれの関与が報告されている。よって、PPARの活性化は、インスリン抵抗性、糖尿病、肥満、高血圧など様々な疾病の予防および改善効果につながるとして、活性化剤に関する開発が期待されている(非特許文献2、3)。

このような観点から、PPARを活性化する物質として、例えば、イブプロフェン、ロイコトリエンB4、インドメタシン、フィブラート系化合物などのような化学合成により作られるPPAR活性化剤が開発され、知られるところとなっている。また、天然成分由来のPPAR活性化剤としては、ウコンに含まれるクルクミンや、油脂の一種であるモノアシルグリセロール、お茶などに含まれるカテキン類などが報告されている(特許文献3参照)。

また、従来より、栄養機能を補填する目的で、健康食品が利用されている。その中でもニーズが高いコンセプトが疲労回復であり、タウリンなどのアミノ酸、高麗人参、マカなどの植物エキスが利用されている。最近では、マカなど、アブラナ科の食品中に含まれているベンジルグルコシノレートの抗疲労効果が注目され、動物試験でもその効果が確認されている。その効果を十分に発揮するためには、ベンジルグルコシノレート濃縮物などが有効であり、植物エキスとして提供することが望ましい(特許文献4、5、非特許文献4参照)。

特許第4032393号公報

特開2008−237117号公報

特許第4719372号公報

特開平7−304685号公報

特表2012−530769号公報

Global Advanced Research Journal of Agricultural Science(ISSN:2315−5094)Vol.4(4) pp.188−199, April,2015

PHARMACOLOGICAL REVIEWS、58 p726−741:2006

日薬理誌、128、p225−230:2006

Journal of Health Science,Vol.55(2009)No.2,page178〜182

しかしながら、モリンガの抽出物であるモリンガエキスにおいては、エキス抽出の過程で前記有効成分の一部が分解されてしまうなどにより含有量が少なくなり、前記有用な生理機能が発揮されないことがある。特に、ベンジルグルコシノレートは、エキス抽出時に分解しやすく、更なる改善が求められるところである。

また、植物にはアルカロイドが含有されており、モリンガもその例外ではない。そのモリンガから抽出して得られるモリンガエキスにも、アルカロイドが含有されている。一般人が通常の量を経口摂取する程度であれば安全と思われるが、妊婦が摂取すると子宮収縮や流産の可能性がある。したがって、モリンガエキスの安全性について、更なる改善が求められるところである。

従って、本発明の第1の課題は、有用な生理機能を有し、安全性の高いモリンガエキスを提供することである。

また、合成物質の場合、長期摂取による副作用の問題があり、日常生活で継続して摂取するには不向きである。また、天然成分由来のものであっても、これまでに報告されている天然成分由来のPPAR活性化剤では、活性化効果が十分であるとは言えない。

従って、本発明の第2の課題は、PPARの活性化に優れた天然成分由来のPPAR活性化剤を提供することである。

また、ベンジルグルコシノレートは、植物エキスから製造する際に分解しやすいなど、品質として安定化したエキスを調製することが困難である。ベンジルグルコシノレートは、アブラナ科のみならず、ワサビノキ科であるモリンガにも含まれていることが確認されているが、モリンガのベンジルグルコシノレートも同様であり、製造する際に分解しやすいなど、品質を安定化した状態で提供することが困難である。

従って、本発明の第3の課題は、ベンジルグルコシノレートの分解を抑制し、安定性に優れる、ベンジルグルコシノレート含有組成物を提供することである。

前記第1の課題について検討したところ、特定の条件で抽出することにより、ベンジルグルコシノレートの含有量を多くし、かつモリンガエキス中のアルカロイドを実質的に含まないものを得ることができることを見出した。本発明者らは、かかる知見に基づき鋭意研究を重ね、本発明を完成するに至った。

第1の課題を解決する本発明は、 [1]ベンジルグルコシノレートの含有量が、エキス乾燥固形分換算で6質量%以上であり、アルカロイドを実質的に含まない、モリンガエキス、 [2]80℃以上にて前処理したモリンガを10〜50℃の溶媒中で抽出する工程を含む、モリンガエキスの製造方法、 および、 [3][1]記載のモリンガエキスを含む、飲食品に関する。

第2の課題を解決する本発明は、 [1]モリンガエキスを含む、ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体(PPAR)活性化剤、 [2][1]記載のPPAR活性化剤を含む、飲食品、および [3] 80℃以上にて前処理したモリンガを10〜50℃の溶媒中で抽出する工程を含む、モリンガエキスを含むPPAR活性化剤の製造方法に関する。

前記第3の課題について検討したところ、モリンガの抽出物であるモリンガエキスと、賦形剤とを特定の条件で混合することにより、ベンジルグルコシノレートの分解を抑制できることを見出した。本発明者らは、かかる知見に基づき鋭意研究を重ね、本発明を完成するに至った。

第3の課題を解決する本発明は、 [1]モリンガエキスと、賦形剤とを含むベンジルグルコシノレート含有組成物であって、前記賦形剤の含有量が、前記モリンガエキスの乾燥固形分100質量部に対して65質量部以上である、組成物、 [2][1]記載の組成物を含む、飲食品、 および、 [3]モリンガエキスと賦形剤とを混合する工程を含む、ベンジルグルコシノレート含有組成物の製造方法であって、前記賦形剤の配合量が、前記モリンガエキスの乾燥固形分100質量部に対して65〜1000質量部である、製造方法に関する。

第1の課題を解決する本発明によれば、有用な生理機能を有し、安全性の高いモリンガエキスを提供することができる。

第2の課題を解決する本発明によれば、PPARの活性化に優れた天然成分由来のPPAR活性化剤を提供することができる。

第3の課題を解決する本発明によれば、ベンジルグルコシノレートの分解を抑制し、安定性に優れる、ベンジルグルコシノレート含有組成物を提供することができる。

相対ルシフェラーゼ活性を示す図である。

以下、第1の課題を解決する本発明の態様について説明する。

本態様のモリンガエキスは、ベンジルグルコシノレートを含む。ベンジルグルコシノレートには、抗疲労、抗酸化、滋養強壮、ホルモン調節など有用な生理機能があることが知られている。本態様のモリンガエキス中にベンジルグルコシノレートを所定量以上含有することにより、これらの機能が発揮され得る。なお、疲労には、純粋な運動や社会活動、気温や湿度などの環境要因により引き起こされ、症状として緩慢な動作、行動量の減少、注意力の散漫、刺激反応性の低下などとして現れるものと、肌のたるみ、しわなどとして現れる肌疲労がある。本態様でいう抗疲労における疲労にはいずれの疲労も含まれ、好ましくは前者の疲労に対する抗疲労である。本態様のモリンガエキスのDPPHラジカル消去活性は、後述の実施例の項に記載の方法で測定した場合、IC50値が好ましくは600μg/ml以下であり、より好ましくは300μg/ml以下であり、さらに好ましくは100μg/ml以下である。

モリンガエキス中のベンジルグルコシノレートの含有量は、有用な生理機能を発揮する観点から、エキス乾燥固形分換算で6質量%以上であり、10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましく、上限値は特に限定されるものではないが、例えば、50質量%以下とすることができる。

本明細書において、モリンガエキス中のベンジルグルコシノレート含有量は、Zhangらの方法により分析される量を指す(参考文献:Zhang, Y., Wade, K.L., Prestera, T., and Talalay, P. Anal. Biochem. 239: 160−167, 1996)。すなわち、モリンガエキスをミロシナーゼにて処理し、処理物を弱アルカリ緩衝溶液中にて、1,2−ベンゼンジチオールと反応させた際に生じる反応物(1,3−ベンゼンジチオール−2−チオン)を、逆相高速液体クロマトグラフィー(検出:UV365nm)にて分析し定量する方法である。

本態様のモリンガエキスは、アルカロイドを実質的に含まないものであり、全く含まないものが好ましい。本明細書においてアルカロイドを実質的に含まないとは、モリンガエキスの乾燥粉末をサンプルとし、サンプル100ミリグラムをメタノール100mLに溶解し、100μLを薄層プレート上に滴下し(この際のサンプルの滴下量は約100マイクログラムとなる)、展開溶媒にて展開後、ドラーゲンドルフ試薬を噴霧させた場合に発色しない場合には、実質的に含まないと判断する。なお、この場合のアルカロイド類の検出限界は、1マイクログラムであり、前記サンプル中の検出限界は約1%となる。

薄層クロマトグラフィー分析条件 薄層プレートにはシリカゲル60F(メルク社製)を、展開溶媒にはクロロホルム/メタノール/25%アンモニア水(75/25/2、v/v/v)を、発色試薬にはドラーゲンドルフ試薬をそれぞれ用いて測定する。

検出対象のアルカロイドとしては、スピロチンなどが挙げられる。

本態様のモリンガエキスは、遊離アミノ酸を含むことができ、例えば、アルギニン、グルタミン酸、アラニン、メチオニン、およびシステインからなる群より選択される1種以上のアミノ酸をさらに含むことができる。

モリンガエキス中の遊離アミノ酸の含有量は、健康増進の観点から、エキス乾燥固形分換算で0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がよりに好ましく、上限値は特に限定されるものではないが、例えば、2.0質量%以下とすることができる。遊離アミノ酸が2種以上含まれる場合の含有量は、その合計量を指す。

本態様のモリンガエキスは、溶媒を使用して、モリンガから抽出して得られる。

抽出に供されるモリンガは、特に限定されるものではなく、例えば、モリンガ・オレイフェラ(Moringa oleifera)、モリンガ・コンカネンシス(Moringa concanensis)、モリンガ・ドロウハルディ(Moringa drouhardii)等が挙げられる。このなかでも、栽培が広く行われており、容易に採取できる観点から、モリンガ・オレイフェラが好ましい。モリンガ・オレイフェラは、インド原産の落葉小高木であり、ホースラディッシュツリー(Horseradish tree)、ベンナッツ(Ben nut)、Malungai(タガログ語)、Sanjanaa(ヒンズー語)などの別名がある。

抽出に供されるモリンガの部位としては、葉、茎、鞘(果肉)、種子のいずれも用いることができる。これらの部位は生のまま使用しても、乾燥後に使用しても良いが、原料としての保存安定性や、エキス製造時の収率の観点から、乾燥後に使用するのが好ましい。また、アルカロイドの部位別分布量に鑑みて、アルカロイドの比較的少ない部位という観点から、果肉あるいは種子を用いるのが好ましく、種子を用いるのがより好ましい。種子を用いる場合、種子の外皮を除去した後に使用してもよく、粉状に粉砕した後に使用してもよい。容易にエキスを生産する観点から、外皮が付いたままの種子を粉砕して得られる粉状体を使用することが好ましい。一方、アルカロイドの量が多い葉や茎の部位であっても、後述する態様の製造方法に従えば、アルカロイドを実質的に含まないモリンガエキスを得ることができる。この点からも後述する態様の製造方法は、技術的意義を有する。

また、得られるモリンガエキス中のベンジルグルコシノレートの含有量を多くする観点から、抽出前に、前処理される。この前処理の一態様としては、前記の乾燥モリンガ粉状体などを、80℃以上、好ましくは80〜170℃にて行い、例えば、好ましくは80〜95℃、さらに好ましくは85〜90℃の液体中にて、1〜10分間、より好ましくは3〜5分間処理する処理が挙げられる。本態様においては、このように比較的短時間の前処理が効果的であり、10分を超える処理とすると、ベンジルグルコシノレートは、熱安定性が悪いために分解されてしまう。また、アルカロイド抽出抑制の観点からも10分以内の前処理が好ましい。

本態様の前処理は特に限定されないが、湯煮、油調、焙煎などが挙げられ、媒体を使用する場合には、水、エタノール、動植物性油脂あるいはこれらの混合物などが挙げられ、安全性の観点から水が好ましい。

このような前処理により、ベンジルグルコシノレートの分解促進成分と思われるタンパク質類を変性させ、分解促進活性を失活させることができ、モリンガエキス中のベンジルグルコシノレートの含有量が多くなるものと推定される。なお、従来から熱水抽出はされていたが、十分なエキス抽出には10分を超える長時間の抽出が必要である。このため従来法では、前記のとおり、熱によるベンジルグルコシノレートの分解や、アルカロイドが多く抽出される不具合などがある。一方、本態様の前処理においては、10分以内の前処理の後、後述する低温抽出を行うものであるから、かかる不具合が生じることなく、前記タンパク質類の活性を失活させることができると推定される。

ベンジルグルコシノレートの分解促進成分と思われるタンパク質類としては、ミロシナーゼなどが挙げられる。

前処理は本態様に限定されるものではなく、これらタンパク質類の活性を失活させる公知の処理態様をとり得る。

抽出に使用される溶媒としては、水、または水を含む有機溶媒が使用される。この有機溶媒としては、水と混和することができる低級アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン等の炭素数1〜4の1価若しくは多価アルコール)、アセトンなどが挙げられる。これらの有機溶媒は、事前に水と混和した後に使用してもよく、また2種以上を水と混合して使用してもよい。安全性の観点から、水のみで抽出することが好ましい。

抽出に使用される溶媒の液量としては、特に限定されるものではないが、例えば、抽出に供されるモリンガ100質量部に対して、200〜3000質量部とすることができる。

抽出時の溶媒の温度は、製造効率およびモリンガエキス中のアルカロイド含有量を少なくする観点から、10〜50℃であり、20〜40℃が好ましい。従来から知られている50℃を超える高温抽出では、得られるモリンガエキス中にアルカロイドを相当量含有するものであったが、より低温で抽出することにより、意外にも、アルカロイドの含有量が少なくなることがわかった。アルカロイドの含有量が少なくなるメカニズムは定かではないが、低温条件ではアルカロイドの抽出が抑制されるものと推定される。

抽出時間は、特に限定されるものではないが、例えば、製造効率の観点から、30〜150分とすることができる。

抽出は、攪拌または静止状態で行うことができる。また、抽出に使用される溶媒を用いて前処理を行った際には、前処理と抽出を連続して行うこともできる。例えば、モリンガを、80℃以上にて1〜10分間処理した後に、10〜50℃となるように温度を調整してエキスを抽出するなどの態様が挙げられる。

抽出の後、残渣を除去するためにろ過や遠心分離等の処理を施し、この後に減圧等により抽出溶媒を除去できる。また、抽出エキスを粉末とする場合など、必要に応じて、抽出エキスをスプレードライヤーなどで乾燥させることができる。

このようにして得られた本態様のモリンガエキスは、ベンジルグルコシノレートを多く含むため、有用な生理機能を発揮し得る。また、本態様のモリンガエキスは、アルカロイドを実質的に含まないため、妊婦が摂取しても問題がなく、安全性の高いものである。

本態様のモリンガエキスは、液体、固体のいずれでもよいが、輸送を簡易とする観点から、粉末などの固体状が好ましい。

粉末の場合、製品としてそのまま市場流通させてもよいが、さらに賦形剤を配合し、モリンガエキス含有組成物としてもよい。モリンガエキスと賦形剤とを含む、モリンガエキス含有組成物とすると、モリンガエキスの固化を防ぐ観点から、また、ベンジルグルコシノレートの分解を抑制して品質を安定なものとする観点から、好ましい。このように、モリンガエキスの安定化方法として、モリンガエキスに賦形剤を配合する方法が好ましい。

賦形剤としては、乳糖、でんぷん、サイクロデキストリン、ガラクトマンナン、デキストリン、マルトデキストリンなどが挙げられ、使用実績やアレルゲン性などの観点から、好ましくはサイクロデキストリン、デキストリン、またはマルトデキストリンであり、より好ましくはデキストリンまたはマルトデキストリンである。

本態様のモリンガエキス含有組成物中の賦形剤の含有量は、特に限定されるものではないが、モリンガエキスの乾燥固形分100質量部に対して、安定性の観点から、好ましくは、65質量部以上であり、より好ましくは100質量部以上であり、また、使用する賦形剤を少なくしコストを抑える観点から、1000質量部以下が好ましく、500質量部以下がより好ましい。

賦形剤の添加時期は、特に限定されるものではないが、抽出時、エキス製造時の不溶性残渣分除去後、粉末化前などが挙げられ、ろ過性の向上の観点から、不溶性残渣分除去後または粉末化前の添加が好ましく、不溶性残渣分除去後の添加がより好ましい。

本様態のモリンガエキスは、様々な飲食品に配合できる。例えば清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸飲料などの飲料や、これらの飲料の濃縮原液や調整用粉末などであってもよい。 また、このモリンガエキスを、アイスクリーム、シャーベット、かき氷などの冷菓や、そば、うどん、はるさめ、ぎょうざの皮、しゅうまいの皮、中華麺、即席麺などの麺類に添加することもできる。さらに、このモリンガエキスを、飴、キャンディ、ガム、チョコレート、錠菓、グミキャンディー、スナック菓子、ビスケット、ゼリー、プリン、ジャム、クリーム、焼き菓子などの菓子類に添加することもできる。 また、モリンガエキスを、かまぼこ、ハム、ソーセージなどの水産・畜産加工食品や、加工乳、発酵乳などの乳製品に添加したり、サラダ油、てんぷら油、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリームおよびドレッシングなどの油脂および油脂加工食品、ソース、たれなどの調味料や、スープ、シチュー、サラダ、惣菜、漬物などに添加することもできる。加えて、錠剤、カプセル剤、ドリンク剤など種々の形態の健康・栄養補助食品、その他口中清涼剤、口臭防止剤などの口腔内で使用する口腔清涼剤、歯磨剤、洗口液などの医薬部外品、エモリエントクリーム、エモリエントローションなどに添加して用いることができる。

本態様のモリンガエキスの配合量は、特に限定されるものではないが、飲食品中に、例えば、エキス乾燥固形分換算で0.01〜80質量%となるように配合することができる。これにより本態様の飲食品中のベンジルグルコシノレートの含有量は、0.0006〜40.0質量%とすることができる。また、本態様の飲食品は、配合されるモリンガエキス由来のアルカロイドを実質的に含まないものである。

本態様のモリンガエキスを含む飲食品は、ベンジルグルコシノレートを多く含むため、有用な生理機能を発揮し得る。また、本態様のモリンガエキスを含む飲食品は、配合されるモリンガエキス由来のアルカロイドを実質的に含まないため、従来のモリンガエキスが配合される飲食品と比べて、安全性の高いものである。

以下、第2の課題を解決する本発明の態様について説明する。

本発明者は、前記第2の課題を解決するために、天然成分のPPAR活性化剤について一連の研究を重ねたところ、モリンガから抽出されたエキスに優れたPPAR活性化作用を有することを見出し、本発明に到達した。モリンガは、主にインドや東南アジア地域で長年食用されてきており、その安全性は確認されており、食品等に添加しても、その食品独特の風味を損なうことがないため、食品に添加して長期に渡って日常的に摂取することも可能となる。

本態様のPPAR活性化剤は、モリンガエキスを含む。モリンガエキスは、市販のモリンガエキスを使用してもよいし、溶媒を使用して前記のモリンガの任意の部位から抽出してもよい。ここで、モリンガの任意の部位から抽出されたエキスを使用する場合においては、PPAR活性化作用の観点から、モリンガの種子から抽出されたエキス(「種子エキス」ともいう)を使用することが好ましい。モリンガの種子からエキスを抽出する方法としては、例えば、以下のような態様が挙げられる。

抽出に供されるモリンガは、特に限定されるものではなく、例えば、モリンガ・オレイフェラ(Moringa oleifera)、モリンガ・コンカネンシス(Moringa concanensis)、モリンガ・ドロウハルディ(Moringa drouhardii)等が挙げられる。このなかでも、栽培が広く行われており、容易に採取できる観点から、モリンガ・オレイフェラが好ましい。モリンガ・オレイフェラは、インド原産の落葉小高木であり、ホースラディッシュツリー(Horseradish tree)、ベンナッツ(Ben nut)、Malungai(タガログ語)、Sanjanaa(ヒンズー語)などの別名がある。

抽出に供されるモリンガの種子は、生のまま使用しても、乾燥後に使用しても良いが、原料としての保存安定性や、エキス製造時の収率の観点から、乾燥後に使用するのが好ましい。種子の外皮を除去した後に使用してもよく、粉状に粉砕した後に使用してもよいが、容易にエキスを生産する観点から、外皮が付いたままの種子を粉砕して得られる粉状体を使用することが好ましい。

抽出に供されるモリンガの種子は、種子エキス中のベンジルグルコシノレートなどの機能成分の含有量を多くするために、抽出前、任意に、前処理を行うことができる。ベンジルグルコシノレートなどの機能成分を多く含有する種子エキスをPPAR活性化剤に用いることは、抗酸化・抗炎症効果などの各種有用な生理機能をPPAR活性化剤に付与する観点から好ましい。この前処理は、エキス抽出時や抽出後にベンジルグルコシノレートなどを分解促進する成分を変性あるいは失活させる処理である。この前処理の態様としては、前記の乾燥モリンガ種子の粉状体などを、この前処理の一態様としては、前記の乾燥モリンガ粉状体などを、80℃以上、好ましくは80〜170℃にて行い、例えば、好ましくは80〜95℃、さらに好ましくは85〜90℃の液体中にて、好ましくは1〜10分間、より好ましくは3〜5分間処理させる方法が挙げられる。また、本態様の前処理は特に限定されないが、湯煮、油調、焙煎などが挙げられ、媒体を使用する場合には、水、エタノール、動植物性油脂あるいはこれらの混合物などが挙げられ、安全性の観点から水が好ましい。

抽出に使用される溶媒としては、水、または水を含む有機溶媒などを使用することができる。この有機溶媒としては、水と混和することができる低級アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン等の炭素数1〜4の1価若しくは多価アルコール)、アセトンなどが挙げられる。これらの有機溶媒は、事前に水と混和した後に使用してもよく、また2種以上を水と混合して使用してもよい。安全性の観点から、水のみで抽出することが好ましい。

抽出に使用される溶媒の液量としては、特に限定されるものではないが、例えば、抽出に供されるモリンガ種子100質量部に対して、200〜3000質量部とすることができる。

抽出時の溶媒の温度は、特に限定されるものではなく、例えば、10〜95℃とすることができ、種子エキス中のアルカロイドの含有量を少なくする観点から、比較的低温での抽出が好ましく、例えば、10〜50℃が好ましく、20〜40℃がより好ましい。アルカロイドとしては、スピロチンなどが挙げられる。アルカロイド含有量の少ない種子エキスをPPAR活性化剤に用いることで、PPAR活性化剤をより長期間、安全に摂取することが可能となり、好ましい。すなわち、種子エキス由来のアルカロイドを実質的に含まないか、あるいは全く含まないPPAR活性化剤が好ましい。

抽出時間は、特に限定されるものではないが、例えば、製造効率の観点から、30〜150分とすることができる。

抽出は、攪拌または静止状態で行うことができる。また、抽出に使用される溶媒を用いて前処理を行った際には、前処理と抽出を連続して行うこともできる。例えば、モリンガを、80℃以上にて1〜10分間処理した後に、10〜50℃となるように温度を調整してエキスを抽出するなどの態様が挙げられる。

抽出の後、残渣を除去するためにろ過や遠心分離等の処理を施し、この後に減圧等により抽出溶媒を除去し、種子エキスを得ることができる。また、種子エキスを粉末とする場合など、必要に応じて、種子エキスを凍結乾燥機やスプレードライヤーなどで乾燥させることができる。種子エキスは、液体、固体のいずれでもよいが、輸送を簡易とする観点から、粉末などの固体状が好ましい。

PPAR活性化剤中のモリンガエキスの含有量は、特に限定されるものではないが、例えば、5〜100質量%とすることができる。

PPAR活性化剤は、賦形剤、滑沢剤など、任意の添加剤を含有することができる。

賦形剤としては、乳糖、でんぷん、サイクロデキストリン、ガラクトマンナン、デキストリン、マルトデキストリンなどが挙げられ、使用実績やアレルゲン性などの観点から、好ましくはサイクロデキストリン、デキストリン、またはマルトデキストリンであり、より好ましくはデキストリンまたはマルトデキストリンである。

PPAR活性化剤中の賦形剤の含有量は、特に限定されるものではないが、モリンガエキスの乾燥固形分100質量部に対して、安定性の観点から、好ましくは65質量部以上であり、より好ましくは100質量部以上であり、また、使用する賦形剤を少なくしコストを抑える観点から、1000質量部以下が好ましく、500質量部以下がより好ましい。

賦形剤の添加時期は、特に限定されるものではないが、モリンガエキスの抽出時、エキス製造時の不溶性残渣分除去後、粉末化前などが挙げられ、ろ過性の向上の観点から、不溶性残渣分除去後または粉末化前の添加が好ましく、不溶性残渣分除去後の添加がより好ましい。

本態様のPPAR活性化剤において、活性化されるPPARは、α、β/δ、γの3つのサブタイプのいずれでも良いが、PPARβ/δが好ましく、全て活性化されることがより好ましい。これにより、PPAR活性化剤は、例えば、骨格筋、脳、肝臓、心筋、小腸、脾臓、脂肪組織での脂肪酸の取り込み、輸送、酸化、および脱共役タンパクといった脂肪酸代謝を調節・誘導する。

なお、本態様の対象は、PPARを有する哺乳動物にて有効であり、例えば、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ、サル等があげられる。

本態様のPPAR活性化剤は、例えば、肉体および眼精疲労の回復、全身および筋持久力の向上、高血圧の予防および改善、高脂血症の予防および改善、肥満の予防および改善、糖尿病の予防および改善、ならびにインスリン抵抗性および高インスリン血症の予防および改善からなる群より選択される少なくとも1以上の目的のため、様々な飲食品に配合できる。

飲食品としては、例えば、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸飲料などの飲料や、これら飲料の濃縮原液や調整用粉末など、アイスクリーム、シャーベット、かき氷などの冷菓、そば、うどん、はるさめ、ぎょうざの皮、しゅうまいの皮、中華麺、即席麺などの麺類、飴、キャンディ、ガム、チョコレート、錠菓、グミキャンディ、スナック菓子、ビスケット、ゼリー、プリン、ジャム、クリーム、焼き菓子などの菓子類、かまぼこ、ハム、ソーセージなどの水産・畜産加工食品、加工乳、発酵乳などの乳製品、サラダ油、てんぷら油、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシングなどの油脂および油脂加工食品、ソース、たれなどの調味料、スープ、シチュー、サラダ、惣菜、漬物など、錠剤、カプセル剤、細粒剤(散剤を含む)、液剤(シロップ剤を含む)など種々の形態の健康・栄養補助食品、サプリメント、その他口中清涼剤、口臭防止剤などの口腔内で使用する口腔清涼剤、ペット用飲食品などが挙げられる。

PPAR活性化剤の配合量は、特に限定されるものではないが、飲食品中に、例えば、エキス乾燥固形分換算で0.0001〜80質量%となるように配合することができる。

以下、第3の課題を解決する本発明の態様について説明する。

本態様のベンジルグルコシノレート含有組成物は、モリンガエキスと、賦形剤とを含む。賦形剤を含むことでモリンガエキス中のベンジルグルコシノレートの分解を抑制できるメカニズムは定かではないが、賦形剤によるベンジルグルコシノレートの加水分解の遅延化と推定される。

本態様の組成物に含まれるモリンガエキスは、ベンジルグルコシノレートを含む。モリンガエキス中のベンジルグルコシノレートの含有量は、有用な生理機能を発揮する観点から、エキス乾燥固形分換算で6質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上がさらに好ましく、上限値は特に限定されるものではないが、例えば、50質量%以下とすることができる。

モリンガエキスは、アルカロイドを実質的に含まないものが好ましく、全く含まないものがより好ましい。

モリンガエキスは、遊離アミノ酸を含むことができ、例えば、アルギニン、グルタミン酸、アラニン、メチオニン、およびシステインからなる群より選択される1種以上のアミノ酸をさらに含むことができる。

モリンガエキス中の遊離アミノ酸の含有量は、健康増進の観点から、エキス乾燥固形分換算で0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がよりに好ましく、上限値は特に限定されるものではないが、例えば、2.0質量%以下とすることができる。遊離アミノ酸が2種以上含まれる場合の含有量は、その合計量を指す。

モリンガエキスは、溶媒を使用して、モリンガから抽出してもよいし、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、Moringa Extract 5%(インド・Apollo Ingredient社製)などが挙げられる。モリンガから抽出するいくつかの態様については以下に説明する。

抽出に供されるモリンガは、特に限定されるものではなく、例えば、モリンガ・オレイフェラ(Moringa oleifera)、モリンガ・コンカネンシス(Moringa concanensis)、モリンガ・ドロウハルディ(Moringa drouhardii)等が挙げられる。このなかでも、栽培が広く行われており、容易に採取できる観点から、モリンガ・オレイフェラが好ましい。モリンガ・オレイフェラは、インド原産の落葉小高木であり、ホースラディッシュツリー(Horseradish tree)、ベンナッツ(Ben nut)、Malungai(タガログ語)、Sanjanaa(ヒンズー語)などの別名がある。

抽出に供されるモリンガの部位としては、葉、茎、鞘(果肉)、種子のいずれも用いることができる。これらの部位は生のまま使用しても、乾燥後に使用しても良いが、原料としての保存安定性や、エキス製造時の収率の観点から、乾燥後に使用するのが好ましい。また、アルカロイドの部位別分布量に鑑みて、アルカロイドの比較的少ない部位という観点から、果肉あるいは種子を用いるのが好ましく、種子を用いるのがより好ましい。種子を用いる場合、種子の外皮を除去した後に使用してもよく、粉状に粉砕した後に使用してもよい。容易にエキスを生産する観点から、外皮が付いたままの種子を粉砕して得られる粉状体を使用することが好ましい。一方、アルカロイドの量が多い葉や茎の部位であっても、後述する態様の製造方法に従えば、アルカロイドを実質的に含まないモリンガエキスを得ることができる。

また、得られるモリンガエキス中のベンジルグルコシノレートの含有量を多くする観点から、抽出前に、任意に前処理をすることが好ましい。この前処理の一態様としては、前記の乾燥モリンガ粉状体などを、80℃以上、好ましくは80〜170℃にて行い、例えば、好ましくは80〜95℃、さらに好ましくは85〜90℃の液体中にて、好ましくは1〜10分間、より好ましくは3〜5分間処理させる方法が挙げられる。本態様においては、このように比較的短時間の前処理が効果的である。また、アルカロイド抽出抑制の観点からも10分以内の前処理が好ましい。

本態様の前処理は特に限定されないが、湯煮、油調、焙煎などが挙げられ、媒体を使用する場合には、水、エタノール、動植物性油脂あるいはこれらの混合物などが挙げられ、安全性の観点から水が好ましい。

抽出に使用される溶媒としては、水、または水を含む有機溶媒が使用される。この有機溶媒としては、水と混和することができる低級アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン等の炭素数1〜4の1価若しくは多価アルコール)、アセトンなどが挙げられる。これらの有機溶媒は、事前に水と混和した後に使用してもよく、また2種以上を水と混合して使用してもよい。安全性の観点から、水のみで抽出することが好ましい。

抽出に使用される溶媒の液量としては、特に限定されるものではないが、例えば、抽出に供されるモリンガ100質量部に対して、200〜3000質量部とすることができる。

抽出時の溶媒の温度は、特に限定されるものではなく、例えば、10〜95℃とすることができ、製造効率およびモリンガエキス中のアルカロイド含有量を少なくする観点から、10〜50℃が好ましく、20〜40℃がさらに好ましい。

抽出時間は、特に限定されるものではないが、例えば、製造効率の観点から、30〜150分とすることができる。

抽出は、攪拌または静止状態で行うことができる。また、抽出に使用される溶媒を用いて前処理を行った際には、前処理と抽出を連続して行うこともできる。例えば、モリンガを、80℃以上にて1〜10分間処理した後に、10〜50℃となるように温度を調整してエキスを抽出するなどの態様が挙げられる。

抽出の後、残渣を除去するためにろ過や遠心分離等の処理を施し、この後に減圧等により抽出溶媒を除去できる。また、抽出エキスを粉末とする場合など、必要に応じて、抽出エキスをスプレードライヤーなどで乾燥させることができる。

抽出時においてモリンガエキスは、液体、固体のいずれでもよいが、本態様の組成物に使用されるモリンガエキスは、粉末などの固体状が好ましい。

本態様のベンジルグルコシノレート含有組成物に含まれる賦形剤としては、例えば、マルトデキストリン、ガラクトマンナン、サイクロデキストリン、デキストリン、でんぷん、および乳糖からなる群より選ばれる1種以上を含むことができ、使用実績やアレルゲン性などの観点から、好ましくはマルトデキストリン、ガラクトマンナン、およびサイクロデキストリンからなる群より選ばれる1種以上であり、より好ましくはマルトデキストリンである。

本態様のベンジルグルコシノレート含有組成物中の賦形剤の含有量は、ベンジルグルコシノレート含有組成物中のモリンガエキスの乾燥固形分100質量部に対して、安定性の観点から、65質量部以上であり、好ましくは100質量部以上であり、また、使用する賦形剤を少なくしコストを抑える観点から、1000質量部以下が好ましく、500質量部以下がより好ましい。したがって、本態様の賦形剤の含有量は、65〜1000質量部、65〜500質量部、65〜100質量部、100〜1000質量部、100〜500質量部、500〜1000質量部などの好適範囲が挙げられる。

賦形剤の添加時期は、特に限定されるものではないが、抽出時、エキス製造時の不溶性残渣分除去後、粉末化前などが挙げられ、ろ過性の向上の観点から、不溶性残渣分除去後または粉末化前の添加が好ましく、不溶性残渣分除去後の添加がより好ましい。

本態様のベンジルグルコシノレート含有組成物の製造方法としては、例えば、モリンガエキスと賦形剤とを混合する工程を含む、ベンジルグルコシノレート含有組成物の製造方法であって、前記賦形剤の配合量が、前記モリンガエキスの乾燥固形分100質量部に対して65〜1000質量部である、製造方法などが挙げられる。

本態様のベンジルグルコシノレート含有組成物は、ベンジルグルコシノレートの分解を抑制し、安定性に優れる。したがって、本態様のベンジルグルコシノレート含有組成物は、ベンジルグルコシノレートを多く含み、有用な生理機能を発揮し得る。

本様態のベンジルグルコシノレート含有組成物は、様々な飲食品に配合できる。例えば清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸飲料などの飲料や、これらの飲料の濃縮原液や調整用粉末などであってもよい。 また、このベンジルグルコシノレート含有組成物を、アイスクリーム、シャーベット、かき氷などの冷菓や、そば、うどん、はるさめ、ぎょうざの皮、しゅうまいの皮、中華麺、即席麺などの麺類に添加することもできる。さらに、このベンジルグルコシノレート含有組成物を、飴、キャンディ、ガム、チョコレート、錠菓、グミキャンディー、スナック菓子、ビスケット、ゼリー、プリン、ジャム、クリーム、焼き菓子などの菓子類に添加することもできる。 また、ベンジルグルコシノレート含有組成物を、かまぼこ、ハム、ソーセージなどの水産・畜産加工食品や、加工乳、発酵乳などの乳製品に添加したり、サラダ油、てんぷら油、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリームおよびドレッシングなどの油脂および油脂加工食品、ソース、たれなどの調味料や、スープ、シチュー、サラダ、惣菜、漬物などに添加することもできる。加えて、錠剤、カプセル剤、ドリンク剤など種々の形態の健康・栄養補助食品、その他口中清涼剤、口臭防止剤などの口腔内で使用する口腔清涼剤、歯磨剤、洗口液などの医薬部外品、エモリエントクリーム、エモリエントローションなどに添加して用いることができる。

本態様のベンジルグルコシノレート含有組成物の配合量は、特に限定されるものではないが、飲食品中に、例えば、0.01〜80質量%となるように配合することができる。これにより本態様の飲食品中のベンジルグルコシノレートの含有量は、0.0006〜40.0質量%とすることができる。

本態様の飲食品は、前記のとおりベンジルグルコシノレートを多く含むベンジルグルコシノレート含有組成物を含むため、有用な生理機能を発揮し得る。

以下、第1の課題を解決する本発明の実施例を説明する。

モリンガエキスの調製 (実施例1−1〜1−7) モリンガ種子をミルにて粉砕し、種子粉砕物を得た。種子粉砕物100gに対して、500gの脱イオン水(90℃)を加え、5分間攪拌した後に、脱イオン水(10℃)を1500g加えて35℃とし、2時間攪拌した。その後ろ紙にてろ過し、ろ液をロータリーエバポレーターにより減圧濃縮した。得られた濃縮液を凍結乾燥機にて乾燥し、実施例1−1のモリンガエキスを10g得た。 乾燥モリンガ葉をミルにて粉砕し、得られた葉粉砕物を用いた以外は実施例1−1と同様にして、実施例1−2のモリンガエキスを15g得た。 モリンガ茎をハンマーミルにて粉砕し、得られた茎粉砕物を用いた以外は実施例1−1と同様にして、実施例1−3のモリンガエキスを10g得た。 モリンガ鞘を1センチ程度に切り分け、凍結乾燥させ、ミルにて粉砕し、得られた鞘乾燥粉砕物を用いた以外は実施例1−1と同様にして、実施例1−4のモリンガエキスを10g得た。 ミルで粉砕したモリンガ種子粉砕物100gを、140℃に熱した食用油で5分間揚げたものに、脱イオン水(35℃)を1500g加えて2時間攪拌した。その後の工程を実施例1−1と同様にして、実施例1−5のモリンガエキスを8g得た。 ミルで粉砕したモリンガ種子粉砕物100gを、170℃に熱した鉄板で5分間炒めたものに、脱イオン水(35℃)を1500g加えて2時間攪拌した。その後の工程を実施例1−1と同様にして、実施例1−6のモリンガエキスを8g得た。 ミルで粉砕したモリンガ種子粉砕物100gを、蒸し器にて100℃で5分間蒸したものに、脱イオン水(35℃)を1500g加えて2時間攪拌した。その後の工程を実施例1−1と同様にして、実施例1−7のモリンガエキスを7g得た。

(比較例1−1、1−3、1−5、1−7) モリンガ種子をミルにて粉砕し、種子粉砕物を得た。種子粉砕物100gに対して、2000gの脱イオン水(90℃)を加え、2時間攪拌した。その後ろ紙にてろ過し、ろ液をロータリーエバポレーターにより減圧濃縮した。得られた濃縮液を凍結乾燥機にて乾燥し、比較例1−1のモリンガエキスを15g得た。 乾燥モリンガ葉をミルにて粉砕し、得られた葉粉砕物を用いた以外は比較例1−1と同様にして、比較例1−3のモリンガエキスを20g得た。 モリンガ茎をハンマーミルにて粉砕し、得られた茎粉砕物を用いた以外は比較例1−1と同様にして、比較例1−5のモリンガエキスを20g得た。 モリンガ鞘を1センチ程度に切り分け、凍結乾燥させ、ミルにて粉砕し、得られた鞘乾燥粉砕物を用いた以外は比較例1−1と同様にして、比較例1−7のモリンガエキスを18g得た。

(比較例1−2、1−4、1−6、1−8) モリンガ種子をミルにて粉砕し、種子粉砕物を得た。種子粉砕物100gに対して、2000gの50%(v/v)エタノール水溶液(55℃)を加え、2時間攪拌した。その後ろ紙にてろ過し、ろ液をロータリーエバポレーターにより減圧濃縮した。得られた濃縮液を凍結乾燥機にて乾燥し、比較例1−2のモリンガエキスを12g得た。 乾燥モリンガ葉をミルにて粉砕し、得られた葉粉砕物を用いた以外は比較例1−2と同様にして、比較例1−4のモリンガエキスを25g得た。 モリンガ茎をハンマーミルにて粉砕し、得られた茎粉砕物を用いた以外は比較例1−2と同様にして、比較例1−6のモリンガエキスを25g得た。 モリンガ鞘を1センチ程度に切り分け、凍結乾燥させ、ミルにて粉砕し、得られた鞘乾燥粉砕物を用いた以外は比較例1−2と同様にして、比較例1−8のモリンガエキスを20g得た。

(比較例1−9) モリンガ種子をミルにて粉砕し、種子粉砕物を得た。種子粉砕物100gに対して、2000gの脱イオン水(35℃)を加え、2時間攪拌した。その後ろ紙にてろ過し、ろ液をロータリーエバポレーターにより減圧濃縮した。得られた濃縮液を凍結乾燥機にて乾燥し、比較例1−9のモリンガエキスを8g得た。

<ベンジルグルコシノレート含有量> 各実施例および比較例のモリンガエキスのベンジルグルコシノレート含有量(BGLs含有量、エキス乾燥固形分換算)について、以下の条件に基づき分析した。結果を表1に示す。 各実施例および比較例のモリンガエキス水溶液(濃度:0.2%(w/v))を調製した。これらのサンプル溶液にミロシナーゼ(シグマ製)を加え、30℃にて16時間反応させた。反応液をリン酸緩衝溶液(pH8.5)中に希釈し、1,2−ベンゼンジチオールを加え、65℃で2時間処理し、処理物中に含まれる生成物(1,3−ベンゼンジチオール−2−チオン)を以下の条件で逆相高速液体クロマトグラフィーにて定量分析した。 HPLC:LC−20AD(島津製作所) ガラム:L−カラムODS(メーカー:一般財団法人 化学物質評価研究機構、内径:4.6mm、長さ:250mm、粒径:5ミクロン) サンプル注入量:10μL 検出:UV365nm 溶媒:水/メタノール(20/80,v/v) 流速:0.5mL/分

<アルカロイドの検出> 各実施例および比較例のモリンガエキスからアルカロイドが検出されるか否かについて、薄層クロマトグラフィーにて分析した。結果を表1に示す。 試料:実施例および比較例のメタノール溶液(濃度:1mg/mL) プレートへの滴下量:100μL(サンプルの固形滴下量:約100マイクログラム) 薄層プレート:シリカゲル60F(メルク社製) 展開溶媒:クロロホルム/メタノール/25%アンモニア水(75/25/2、v/v/v) 発色試薬:ドラーゲンドルフ試薬

各実施例および比較例のモリンガエキスの有用性を確認するために、DPPHラジカルの消去活性をRaoらの方法を参考にして分析した(参考文献:Austin J Nutr Metab − Volume 1 Issue 1 − 2014)。 すなわち、各サンプル(乾燥粉末)100mgを100mlの脱イオン水に溶解させ、段階的に希釈し、0.5,0.25,0.125,0.6125mg/mlの濃度となるように調整した。各濃度のサンプル溶液0.05mlに対して、1mlの2,2−ジフェニル−1−ピクリルヒドラジル(DPPH)のエタノール溶液(濃度:0.1mM)、0.45mlの50mMトリス—塩酸緩衝液(pH7.4)を加え、1時間常温暗所にて保持後に、吸光度517nmで測定し、50%阻害濃度(IC50)を算出した。

実施例1−1〜1−7のモリンガエキスは、ベンジルグルコシノレートの含有量も多く、また、DPPHラジカル消去活性に優れており、抗酸化作用が認められた。 一方、90℃で2時間の熱水抽出、あるいは55℃で2時間のエタノール抽出した比較例1−1〜1−9のモリンガエキスは、ベンジルグルコシノレートの含有量が実施例1−1〜1−7よりも少なく、また、DPPHラジカル消去活性が認められなかった。 また、実施例1−1〜1−7のモリンガエキスからはいずれもアルカロイドが検出されず、以下の安全性評価1、2において示すように、安全性に問題のないものであった。

<安全性評価1> 得られた実施例1−1のモリンガエキスの安全性を簡易的に評価するために、単回投与試験(ラット)を行ったところ、体重1kgあたり5gおよび2.5g摂取させても死亡にいたるラットは見られなかった。よって、実施例1−1のモリンガエキスの安全性は問題ないものと考えられる。

<安全性評価2> 得られた実施例1−1および比較例1−3のエキス粉末を用いて、安全性について、堕胎活性をラットを用いた動物実験で確認した。すなわち、8〜10週齢のメスアルビノラット(1匹あたりの体重幅160〜200g)を用い、所定期間飼育環境に慣れさせた後に、雄ラットとペアリングさせた。ペアリング後に膣内観察にて精子が確認されたラットを別ゲージに写し、実施例1−1および比較例1−3を、1日あたり体重1kgあたり200mgを、10日間強制投与し、投与後の子宮内胎児の状況を確認した。コントロールとして、ペアリング後に自由飲食させた試験群を設定した。各試験区には7匹のラットを用いた。その結果、比較例1−3を摂取させたラットは、ペアリングを確認したにもかかわらず、子宮内胎児は全て死亡していたが、実施例1−1摂取群およびコントロール群は、子宮内胎児は同様の発育を示していた。よって、実施例1−1のモリンガエキスの安全性は問題ないものと考えられる。

処方例1−1:清涼飲料 (組成) (質量部) 実施例1−1のモリンガエキス 0.5 果糖ブドウ糖液糖 11.0 クエン酸 0.2 クエン酸3ナトリウム 0.06 L−アスコルビン酸 0.01 香料 0.2 色素 0.1 水 87.93 全量 100.00

処方例1−2:炭酸飲料 (組成) (質量部) 実施例1−1のモリンガエキス 0.5 グラニュー糖 8.0 濃縮レモン果汁 1.0 L−アスコルビン酸 0.01 クエン酸 0.10 クエン酸ナトリウム 0.04 着色料 0.05 香料 0.15 炭酸水 90.15 全量 100.00

処方例1−3:キャンデー (組成) (質量部) 実施例1−1のモリンガエキス 1.0 砂糖 47.0 水飴 49.0 香料 1.0 水 2.0 全量 100.0

処方例1−4:トローチ (組成) (質量部) 実施例1−1のモリンガエキス 0.5 アラビアガム 6.0 ブドウ糖 72.0 リン酸第二カリウム 0.2 リン酸第一カリウム 0.1 乳糖 17.0 香料 0.1 ステアリン酸マグネシウム 4.1 全量 100.0

処方例1−5:錠剤(タブレット): (組成) (質量部) 実施例1−1のモリンガエキス 80.0 結晶セルロール 10.0 還元麦芽糖水飴粉末 6.0 ステアリン酸カルシウム 2.0 セラック 2.0 全量 100.0

処方例1−6:粉末清涼飲料 (組成) (質量部) 実施例1−1のモリンガエキス 5.0 デキストリン 65.0 ラズベリー果汁粉末 15.0 紅茶エキス粉末 5.0 オリゴ糖 5.0 環状オリゴ糖 2.5 香料 0.9 クエン酸 1.0 クエン酸3ナトリウム 0.3 ステビア抽出物 0.3 全量 100.0

処方例1−7:グミキャンディー (組成) (質量部) 実施例1−1のモリンガエキス 10.0 砂糖 30.0 水飴 32.0 還元水飴 12.0 アラビアガム 5.0 イオン交換水 5.0 ゼラチン 5.0 着色料 0.2 香料 0.8 全量 100.0

処方例1−8:ガム (組成) (質量部) 実施例1−1のモリンガエキス 0.05 ガムベース 20.0 炭酸カルシウム 2.0 ステビア抽出物 0.1 乳糖 76.85 香料 1.0 全量 100.00

処方例1−9:キャラメル (組成) (質量部) 実施例1−1のモリンガエキス 5.0 グラニュー糖 27.0 水飴 20.0 粉乳 40.0 硬化油 4.0 食塩 0.6 香料 0.2 水 3.2 全量 100.0

処方例1−10:ゼリー(コーヒーゼリー) (組成) (質量部) 実施例1−1のモリンガエキス 1.0 グラニュー糖 15.0 ゼラチン 1.0 コーヒーエキス 5.0 水 78.0 全量 100.0

処方例1−11:アイスクリーム (組成) (質量部) 実施例1−1のモリンガエキス 1.0 生クリーム(45%脂肪) 33.8 脱脂粉乳 11.0 グラニュー糖 14.8 加糖卵黄 0.3 バニラエッセンス 0.1 水 39.0 全量 100.0

処方例1−12:カスタードプリン (組成) (質量部) 実施例1−1のモリンガエキス 0.1 乳 47.5 全卵 31.9 上白糖 17.1 水 3.4 全量 100.0

処方例1−13:歯磨剤 (組成) (質量部) 実施例1−1のモリンガエキス 0.05 第二リン酸カルシウム 42.0 グリセリン 18.0 カラギーナン 0.9 ラウリル硫酸ナトリウム 1.2 サッカリンナトリウム 0.09 パラオキシ安息香酸ブチル 0.005 香料 1.0 水 36.755 全量 100.00

処方例1−14:洗口液 (組成) (質量部) 実施例1−1のモリンガエキス 0.05 ラウリル硫酸ナトリウム 0.8 グリセリン 7.0 ソルビトール 5.0 エチルアルコール 15.0 l−メントール 0.05 香料 0.04 サッカリンナトリウム 0.1 水 71.96 全量 100.00

処方例1−15:エモリエントクリーム (組成) (質量部) 実施例1−1のモリンガエキス 0.1 ミツロウ 2.0 ステアリルアルコール 5.0 ステアリン酸 8.0 スクアラン 10.0 自己乳化型プロピレングリコールモノステアレート 3.0 ポリオキシエチレンセチルエーテル(20EO) 1.0 香料 0.5 酸化防止剤 微量 防腐剤 微量 プロピレングリコール 4.8 グリセリン 3.0 ヒアルロン酸ナトリウム 0.1 トリエタノールアミン 1.0 精製水 61.5 全量 100.0

処方例1−16:エモリエントローション (組成) (質量部) 実施例1−1のモリンガエキス 0.1 ステアリン酸 2.0 セタノール 1.5 ワセリン 3.0 ラノリンアルコール 2.0 流動パラフィン 10.0 ポリオキシエチレンモノオレイン酸エステル(10EO) 2.0 香料 0.5 酸化防止剤 微量 防腐剤 微量 プロピレングリコール 4.8 グリセリン 3.0 ヒアルロン酸ナトリウム 0.1 トリエタノールアミン 1.0 精製水 70.0 全量 100.0

以下、第2の課題を解決する本発明の実施例を説明する。

PPAR活性化剤の調製 モリンガ種子をミルにて粉砕し、種子粉砕物を得た。種子粉砕物100gに対して、500gの脱イオン水(90℃)を加え、5分間攪拌した後に、脱イオン水(10℃)を1500g加えて35℃とし、2時間攪拌しながらエキスを抽出した。その後ろ紙にてろ過し、ろ液をロータリーエバポレーターにより減圧濃縮した。得られた濃縮液を凍結乾燥機にて乾燥し、種子エキスを10g得た。得られた種子エキスを、PPAR活性化剤とした。このPPAR活性化剤からアルカロイドが検出されるか否かについて、薄層クロマトグラフィー(以下条件)にて分析したところ、発色スポットが見られず、アルカロイドが検出されなかった。 試料:PPAR活性化剤のメタノール溶液(濃度:1mg/mL) プレートへの滴下量:100μL(サンプルの固形滴下量:約100マイクログラム) 薄層プレート:シリカゲル60F(メルク社製) 展開溶媒:クロロホルム/メタノール/25%アンモニア水(75/25/2、v/v/v) 発色試薬:ドラーゲンドルフ試薬

試験例 実施例2−1、2−2 培養プレートに、BAEC(ウシ血管内皮細胞)を植え込み、37℃、5%CO2条件下で一晩(約15時間)培養した。培地にはFetal Bovine Serum(SIGMA)を10%添加したDMEM(High Glucose)(ナカライテスク)を用いた。次いで、TransIT−LT1(Mirus)を用いて、PPAR応答性エレメント(PPRE)をもつレポーターベクター(tK−PPREx3−LUC)、ヒトPPARα、β/δ、γの発現ベクター(それぞれGS−hPPARα、pCMX−hNUCI、pCMX−hPPARg1)、およびβーガラクトシダーゼ発現ベクター(pSV−β-Galactosidase)を共導入し、37℃、5%CO2条件下で4時間培養し、培地交換した後にさらに24時間培養した。培養後、前記のとおり調製したPPAR活性化剤の水溶液(実施例2−1:0.004質量%、実施例2−2:0.006質量%)を各ウェルに25μl加え、24時間培養した。なお、蒸留水のみを25μl加えて培養したものを対照群とした。培養終了後、細胞を回収し、Luciferase Assay Reagent(Progma)を用いて、細胞抽出液のルシフェラーゼ活性を測定した。なお、βーガラクトシダーゼの酵素活性で遺伝子導入効率を補正した。各実施例について、実施例及び対照群の発光強度の平均値(n=3)の比(実施例/対照群)を算出し、対照群に対する相対ルシフェラーゼ活性を実施例のPPAR活性化能とした。この結果を図1のグラフに示す。

図1から分かるように、モリンガ種子エキスを含むPPAR活性化剤を添加することにより、各PPARが活性化され、とくに骨格筋の脂質代謝に関与するPPARβ/δの活性化と、脂肪細胞の分化誘導や脂肪合成に関与するPPARγの活性化が顕著であることが判明した。

錠剤の調製 前記のとおり調製したPPAR活性化剤を用いた錠剤を、表2−1に記載の組成で調製し、実施例2−3の錠剤とした。また、PPAR活性化剤を含まない錠剤をあわせて調製し、比較例2−1の錠剤とした。これらを用いたボランティア試験を以下のように行った。

ボランティア試験 ・ボランティア対象者 35才〜55才のデスクワーク中心であり、かつ日常的な運動をしていない男性会社員8名(他の薬やサプリメントを摂取していない、病院にかかっていない、および規則的な食生活を送っている)とした。

・摂取方法 二重盲検比較試験として行った。すなわち、実施例2−3および比較例2−1の錠剤を、ボランティアはどちらを摂取しているかわからない状態で、1日2錠を4週間連続で摂取した。摂取後、1ヶ月間のウォッシュアウト期間を経て、先に摂取したものとは異なる錠剤を、1日2錠を4週間連続で摂取した。

・評価方法 以下のとおり行った。 1.全身疲労感:摂取後のボランティア自身の主観的な評価として、摂取前と4週間摂取後の変化について、効果があったものを○、効果を感じられなかった、あるいは悪化したものを×とし、○をつけた人数を表2−2(実施例2−3摂取時)および表2−3(比較例2−1摂取時)に記した。 2.眼の疲労感:全身疲労感と同じ方法で行った。 3.3分間歩行距離:全身持久力の指標として評価した。すなわち、陸上競技場の400メートルトラックを使用し、ボランティアが3分間のうちに何メートル歩いたかを計測した。4週間摂取後の距離と摂取前との差を増減とし、距離が伸びたボランティアには効果があった人として表2−2(実施例2−3摂取時)および表2−3(比較例2−1摂取時)に記した。 4.最高血圧の増減:4週間摂取後および摂取前の血圧を測定し、その差を増減とし、数値が下がった(マイナスとなった)ボランティアは効果があった人として表2−2(実施例2−3摂取時)および表2−3(比較例2−1摂取時)に記した。 5.血中中性脂肪の増減:4週間摂取後および摂取前の血中中性脂肪を測定し、その差を増減とし、数値が下がった(マイナスとなった)ボランティアは効果があった人として表2−2(実施例2−3摂取時)および表2−3(比較例2−1摂取時)に記した。

表2−2(実施例2−3の摂取結果)は、表2−3(比較例2−1の摂取結果)と比べて、各項目ともに改善傾向が顕著であった。実施例2−3を摂取した際には、8人すべてが2項目以上で改善効果を示したことが確認されたが、比較例2−1摂取時には大きな改善効果は見られなかった。なお、全員指示通り1日2錠を4週間毎日摂取し、どのボランティアにも錠剤摂取による体調の異常は見られなかった。

処方例2−1:清涼飲料 (組成) (質量部) 実施例2−1のPPAR活性化剤 0.5 果糖ブドウ糖液糖 11.0 クエン酸 0.2 クエン酸3ナトリウム 0.06 L−アスコルビン酸 0.01 香料 0.2 色素 0.1 水 87.93 全量 100.00

処方例2−2:キャンディ (組成) (質量部) 実施例2−1のPPAR活性化剤 1.0 砂糖 47.0 水飴 49.0 香料 1.0 水 2.0 全量 100.0

処方例2−3:グミキャンディ (組成) (質量部) 実施例2−1のPPAR活性化剤 10.0 砂糖 30.0 水飴 32.0 還元水飴 12.0 アラビアガム 5.0 イオン交換水 5.0 ゼラチン 5.0 着色料 0.2 香料 0.8 全量 100.0

処方例2−4:チョコレート (組成) (質量部) 実施例2−1のPPAR活性化剤 1.0 砂糖 44.5 全粉乳 20.0 ココアバター 20.0 カカオマス 13.5 乳化剤 0.5 香料 0.5 全量 100.0

以下、第3の課題を解決する本発明の実施例を説明する。

ベンジルグルコシノレート含有組成物の調製 実施例3−1〜3−5、比較例3−1〜3−2 モリンガ種子をミルにて粉砕し、種子粉砕物を得た。種子粉砕物100gに対して、500gの脱イオン水(90℃)を加え、5分間攪拌した後に、脱イオン水(10℃)を1500g加えて35℃とし、2時間攪拌した。その後ろ紙にてろ過し、固形分含量を加熱残分として測定し、総固形分含量と同量のマルトデキストリンを加えた。デキストリン混合ろ過溶液を、ロータリーエバポレーターにより減圧濃縮し、得られた濃縮液を凍結乾燥機にて乾燥し、実施例3−1のベンジルグルコシノレート含有組成物を20g得た。 マルトデキストリンに代えて、サイクロデキストリンを用いた以外は実施例3−1と同様にして、実施例3−2のベンジルグルコシノレート含有組成物を20g得た。 マルトデキストリンに代えて、ガラクトマンナンを用いた以外は実施例3−1と同様にして、実施例3−3のベンジルグルコシノレート含有組成物を20g得た。 添加するマルトデキストリン量を、モリンガエキス総固形分含量100質量部に対して75質量部とした以外は実施例3−1と同様にして、実施例3−4のベンジルグルコシノレート含有組成物を16g得た。 添加するマルトデキストリン量を、モリンガエキス総固形分含量100質量部に対して1000質量部とした以外は実施例3−1と同様にして、実施例3−5のベンジルグルコシノレート含有組成物を110g得た。 マルトデキストリンを加えず、ろ過後に、減圧濃縮した以外は実施例3−1と同様にして、比較例3−1のベンジルグルコシノレート含有組成物を10g得た。 添加するマルトデキストリン量を、モリンガエキス総固形分含量100質量部に対して50質量部とした以外は実施例3−1と同様にして、比較例3−2のベンジルグルコシノレート含有組成物を13g得た。

<安定性> 各実施例および比較例のベンジルグルコシノレート含有組成物をポリエチレン袋(内袋)とアルミ袋(外袋)に入れ、55℃にて保管するとともに、所定期間ごとにサンプルを袋から取り出し、ベンジルグルコシノレート含有量(BGLs含有量)について、以下の条件に基づき分析した。分析結果を表3に示す。 各実施例および比較例のモリンガエキス水溶液(濃度:0.2%(w/v))を調製した。これらのサンプル溶液にミロシナーゼ(シグマ製)を加え、30℃にて16時間反応させた。反応液をリン酸緩衝溶液(pH8.5)中に希釈し、1,2−ベンゼンジチオールを加え、65℃で2時間処理し、処理物中に含まれる生成物(1,3−ベンゼンジチオール−2−チオン)を以下の条件で逆相高速液体クロマトグラフィーにて定量分析した。 HPLC:LC−20AD(島津製作所) ガラム:L−カラムODS(メーカー:一般財団法人 化学物質評価研究機構、内径:4.6mm、長さ:250mm、粒径:5ミクロン) サンプル注入量:10μL 検出:UV365nm 溶媒:水/メタノール(20/80,v/v) 流速:0.5mL/分

実施例3−1〜3−5および比較例3−1〜3−2より、ベンジルグルコシノレートの安定化には賦形剤を配合した方が好ましく、賦形剤をモリンガエキスの乾燥固形分100質量部に対して75質量部以上配合すると好ましいことがわかった。また賦形剤のうち、マルトデキストリンを含有した実施例3−1の組成物がより好ましいことがわかった。

処方例3−1:清涼飲料 (組成) (質量部) 実施例3−1の組成物 1.0 果糖ブドウ糖液糖 10.5 クエン酸 0.2 クエン酸3ナトリウム 0.06 L−アスコルビン酸 0.01 香料 0.2 色素 0.1 水 87.93 全量 100.00

処方例3−2:炭酸飲料 (組成) (質量部) 実施例3−1の組成物 1.0 グラニュー糖 7.5 濃縮レモン果汁 1.0 L−アスコルビン酸 0.01 クエン酸 0.10 クエン酸ナトリウム 0.04 着色料 0.05 香料 0.15 炭酸水 90.15 全量 100.00

処方例3−3:キャンデー (組成) (質量部) 実施例3−1の組成物 2.0 砂糖 46.0 水飴 49.0 香料 1.0 水 2.0 全量 100.0

処方例3−4:トローチ (組成) (質量部) 実施例3−1の組成物 1.0 アラビアガム 6.0 ブドウ糖 71.0 リン酸第二カリウム 0.2 リン酸第一カリウム 0.1 乳糖 17.0 香料 0.1 ステアリン酸マグネシウム 4.1 全量 100.0

処方例3−5:錠剤(タブレット) (組成) (質量部) 実施例3−1の組成物 80.0 結晶セルロール 10.0 還元麦芽糖水飴粉末 6.0 ステアリン酸カルシウム 2.0 セラック 2.0 全量 100.0

処方例3−6:粉末清涼飲料 (組成) (質量部) 実施例3−1の組成物 10.0 デキストリン 60.0 ラズベリー果汁粉末 15.0 紅茶エキス粉末 5.0 オリゴ糖 5.0 環状オリゴ糖 2.5 香料 0.9 クエン酸 1.0 クエン酸3ナトリウム 0.3 ステビア抽出物 0.3 全量 100.0

処方例3−7:グミキャンディー (組成) (質量部) 実施例3−1の組成物 20.0 砂糖 25.0 水飴 27.0 還元水飴 12.0 アラビアガム 5.0 イオン交換水 5.0 ゼラチン 5.0 着色料 0.2 香料 0.8 全量 100.0

本発明は、上記の実施態様および実施例によりなんら限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の実施態様を取り得る。

第1の課題を解決する本発明のモリンガエキスは、飲食品などの分野において有用である。また、第2の課題を解決する本発明のPPAR活性化剤は、優れたPPAR活性化作用を有し、副作用の問題がなく長期間摂取することが可能であり、飲食品等に好ましく用いることができる。したがって、第2の課題を解決する本発明のPPAR活性化剤は、例えば、インスリン抵抗性、高インスリン血症、2型糖尿病、高血圧、高脂血症、動脈硬化、肥満、などの疾病予防のみならず、基礎代謝の改善による疲労回復、持久力向上のための食品、サプリメント、医薬として使用が期待できる。また、第3の課題を解決する本発明のベンジルグルコシノレート含有組成物は、飲食品などの分野において有用である。

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