耐熱性チョコレート類及びその製造方法

申请号 JP2013532391 申请日 2013-06-14 公开(公告)号 JPWO2013191105A1 公开(公告)日 2016-05-26
申请人 不二製油グループ本社株式会社; 发明人 安史 金田; 安史 金田; 信宏 大坪; 信宏 大坪; 和季 森川; 和季 森川; ノフィアント トリ; ノフィアント トリ; フランシスカ クララ; フランシスカ クララ;
摘要 チョコレート生地調製中の微粒化が困難になる問題、ダマの発生及び生地の 粘度 上昇の問題がなく、しかもコーチング適性のある特定の粘度範囲のチョコレート生地の調製が可能で、チョコレート中の油脂の融点を超える40℃以上の耐熱性があり、チョコレート表面からチョコレート内部までチョコレート本来の滑らかな食感、口溶けを示すチョコレート類及びその製造方法を提供する。特定量のグルコース及びレシチンを含有し、あるいは、さらにポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを特定量含有する、45℃における粘度が2,000〜20,000cPであるチョコレート類生地を、80〜110℃で加熱処理を行い、その後冷却 固化 させることにより、40℃以上の耐熱性とソフトな食感に優れるチョコレート類を得る。
权利要求

グルコース1〜30重量%、レシチン0.4重量%以下を含有し、かつ45℃における粘度が2,000〜20,000cPであるチョコレート類生地を、80〜110℃で加熱処理を行い固化させることを特徴とする耐熱性チョコレート類。上記チョコレート類生地がポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル(PGPR)0.1〜0.5重量%を含有する請求項1記載の耐熱性チョコレート類。グルコースとしてグルコース−1和物を1〜30重量%含有する請求項1または請求項2記載の耐熱性チョコレート類。グルコースとしてグルコース−1水和物を1〜15重量%含有する請求項1または請求項2記載の耐熱性チョコレート類。チョコレート類生地の45℃における粘度が3,000〜10,000cPである請求項1〜請求項4のいずれか1項記載の耐熱性チョコレート類。請求項1記載の加熱処理時間が60分以内である請求項1〜請求項5のいずれか1項記載の耐熱性チョコレート。チョコレート類生地の水分が2重量%以下である請求項1〜請求項6のいずれか1項記載の耐熱性チョコレート。請求項1〜請求項7のいずれか1項記載の耐熱性チョコレート類の製造方法。

グルコース1〜30重量%、レシチン0.4重量%以下及びポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル(PGPR)0.1〜0.5重量%を含有し、かつ45℃における粘度が2,000〜20,000cPであるチョコレート類生地を、80〜110℃で加熱処理を行い固化させることを特徴とする耐熱性チョコレート類。グルコースとしてグルコース−1水和物を1〜30重量%含有する請求項1記載の耐熱性チョコレート類。グルコースとしてグルコース−1水和物を1〜15重量%含有する請求項1記載の耐熱性チョコレート類。チョコレート類生地の45℃における粘度が3,000〜10,000cPである請求項1〜請求項3のいずれか1項記載の耐熱性チョコレート類。請求項1記載の加熱処理時間が60分以内である請求項1〜請求項4のいずれか1項記載の耐熱性チョコレート類。チョコレート類生地の水分が2重量%以下である請求項1〜請求項5のいずれか1項記載の耐熱性チョコレート類。請求項1〜請求項6のいずれか1項記載の耐熱性チョコレート類の製造方法。

说明书全文

本発明は、耐熱性チョコレート類及びその製造方法に関する。

ココアバター等の油脂類、カカオ豆由来のカカオマスやココアパウダー、砂糖などの糖類、全脂粉乳や脱脂粉乳などの粉乳類及びレシチンなどの乳化剤を主要成分とするチョコレート類は板状、チップ状、ボール状などの形状のものがあるほか、焼菓子類、パン類、デザート類にコーチングされたりサンドやフィリングされたりと、幅広い食品の嗜好性を高めるために利用されている。一般的に、チョコレート類は油脂の連続相の中に他の原材料微粒子が分散された状態であるため、チョコレート類の固化や融解などの挙動は油脂の物理的性質に依存している。チョコレートに使用される油脂の代表がココアバターであり、その融点が33℃前後であるため、体温付近で急激に融解し優れた口溶けを示す一方で、35℃を超えると油脂が殆ど融解して耐熱性が失われ、結果として表面のべとつき、互いの付着、保型性の喪失のような問題が生じる。

上記のような問題を防止するために、ココアバターに代わる油脂としてココアバター改良油脂、ココアバター代用油脂などの融点34〜42℃の各種油脂が使用されているが、かかる油脂を用いてもチョコレート類の耐熱性は38℃程度が限界であるとともに、体温以上の融点を有する油脂を使用したチョコレート類の口溶けは大幅に低下し嗜好性の低いものになるという問題があった。

上記より、夏場の日本市場や熱帯地域の国々などの40℃を超える耐熱性が要求される市場では、チョコレート類の使用に大きな制限があり、かかる市場では耐熱性と口溶け性を両立した嗜好性の高い耐熱性チョコレートへの高いニーズが存在する。

上記ニーズに対応するべく、耐熱性に優れたチョコレート類に関し、様々な提案がされている。特許文献1は、砂糖の一部または全部を結晶ブドウ糖、果糖、結晶ソルビトール、粉末飴、粉末水添水飴等の代替糖類の一種または二種以上と置換して調整したチョコレート類生地を成形後に80℃以上に数秒から数十分間の加熱固化させる方法であり、油脂の融点以上の40〜90℃でもべたつきのない油性菓子に関するものである。本方法は、耐熱性は確かに付与できる方法であるが、硬くてボソボソとした食感になり本来のチョコレートの滑らかな食感と口当たりが得られないという問題に加え、砂糖の一部または全部を代替糖類に置き換えてチョコレート類生地を調製する際に、ロールなどのリファイナー粉砕が容易でなく微粒化が困難で、ざらつく食感の原因になったり、チョコレート類生地のコンチング工程において凝集によるダマ(粗大粒子)の発生や生地の粘度上昇の問題があり、実質的に実用的な方法ではなかった。

特許文献2は、上記のチョコレート類生地を調製する際の凝集や増粘を抑制するために、結晶水を有する糖および/または結晶水を有する糖アルコールを含有するチョコレート類の製造に際してショ糖脂肪酸エステル系乳化剤を添加する方法を開示している。本方法によると、凝集や増粘による生地搬送ポンプの焼き付きを防止できるが、該生地粘度はコーチング用途適性の10,000cPを超えるもので焼菓子やパンなどへの極薄いチョコレートコーチングが要求される用途への利用に制約がある方法であるとともに、低粘度化したチョコレート類生地から耐熱性チョコレート類を得るための加熱処理条件や加熱処理後の耐熱性が開示されていない。

特許文献3は、HLB1以下のショ糖脂肪酸エステルを含有するチョコレート類に関し、該チョコレート類生地を2〜10mm程度の厚みに成型固化したチョコレート類を焼菓子類の上に乗せて140〜150℃で5〜10分間加熱処理することにより、チョコレート類の表面が膜を張った如く硬化して手に付着せず、しかもチョコレート類内部は加熱前の軟らかさを保持するという、耐熱性と軟らかい食感を両立する方法である。本方法によると、約40℃に放置しても融解することがないため、夏季においても充分気温に耐え得る耐熱性を有するチョコレート類が得られるが、焼菓子類に対するチョコレート類が通常のコーチングチョコレート類に比べて厚過ぎる、チョコレート類表面が硬すぎる食感になる、風味が焼成前対比で低下するという問題があった。

特開昭52−148662号公報

特開2004−97171号公報

特開昭63−192344号公報

上記のように、チョコレート類中の油脂の融点を超える耐熱性があり、チョコレート表面からチョコレート内部までチョコレート本来の滑らかな食感、口溶けを示すチョコレート類は未だ得られておらず、耐熱性と優れた食感、口溶け及び風味を両立する耐熱性チョコレート類の製造方法が求められていた。

本発明の目的は、チョコレート類中の油脂の融点を超える40℃以上の耐熱性があり、チョコレート表面からチョコレート内部までチョコレート本来の滑らかな食感、口溶けを示すチョコレート類及びその製造方法を提供することにある。また、チョコレート類生地調製中の微粒化が困難となる問題、ダマの発生及び生地の粘度上昇の問題がなく、しかもコーチング適性のある特定の粘度範囲のチョコレート類生地調製法と該生地の特定の加熱処理方法を含む耐熱性チョコレート類の製造方法を提供することにある。

本発明者らは、上記の課題に対して鋭意研究を重ねた結果、特定量のグルコース、レシチン及びポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル(PGPR)を含有するチョコレート類生地であれば、チョコレート類生地調製中の微粒化困難、ダマの発生及び生地の粘度上昇の問題がないこと、生地粘度としてコーチング適性のある特定の粘度に調製することができること、該チョコレート類生地を特定の加熱条件で加熱処理することにより、油脂の融点を超える40℃以上の耐熱性があり、チョコレート表面からチョコレート内部までチョコレート本来のソフトで滑らかな食感、口溶け及び風味に優れるチョコレート類の製造が可能であることを見出し、本発明を完成させた。

即ち、本発明は (1)グルコース1〜30重量%、レシチン0.4重量%以下を含有し、かつ45℃における粘度が2,000〜20,000cPであるチョコレート類生地を、80〜110℃で加熱処理を行い固化させることを特徴とする耐熱性チョコレート類。 (2)上記チョコレート類生地がポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル(PGPR)0.1〜0.5重量%を含有する(1)記載の耐熱性チョコレート類。 (3)グルコースとしてグルコース−1水和物を1〜30重量%含有する(1)または(2)記載の耐熱性チョコレート類。 (4)グルコースとしてグルコース−1水和物を1〜15重量%含有する(1)または(2)記載の耐熱性チョコレート類。 (5)チョコレート類生地の45℃における粘度が3,000〜10,000cPである(1)〜(4)のいずれか1記載の耐熱性チョコレート類。 (6)(1)記載の加熱処理時間が60分以内である(1)〜(5)のいずれか1記載の耐熱性チョコレート。 (7)チョコレート類生地の水分が2重量%以下である(1)〜(6)のいずれか1記載の耐熱性チョコレート。 (8)(1)〜(7)のいずれか1記載の耐熱性チョコレート類の製造方法。 に関するものである。

本発明によれば、チョコレート類生地調製中の微粒化が困難となる問題、ダマの発生及び生地の粘度上昇の問題がなく、生地粘度としてコーチング適性のある特定の粘度に調製することができ、油脂の融点を超える40℃以上の耐熱性があり、チョコレート表面からチョコレート内部までチョコレート本来のソフトで滑らかな食感、口溶け及び風味に優れるチョコレート類の製造が可能となる。

以下、本発明を詳細に説明する。

本発明におけるチョコレート類とは、油脂が連続相を為すもので、チョコレートやチョコレート様食品が挙げられ、またチョコレートは、「チョコレート類の表示に関する公正競争規約」(昭和46年3月29日、公正取引委員会告示第16号)による「チョコレート生地」及び「準チョコレート生地」を含むものであって、カカオ豆から調製したカカオマス、ココアバター、ココアパウダー及び糖類を原料とし、必要により他の食用油脂、乳製品、香料等を加え、通常のチョコレート製造の工程を経たものをいう。

上記チョコレート様食品とは、物性改良や製造コストの節約等の目的にて、ココアバターの一部または全部に代えて他の油脂(CBEと称される1,3位飽和、2位不飽和のトリグリセリド型油脂に富むものと、CBRと称されるラウリン系タイプ、高エライジン酸タイプ及び低トランス非ラウリンタイプのハードバター、さらには菓子類、パン類、冷菓類のコーチング用には用途に合わせて高融点〜低融点の各種油脂や液状油の混合油)を使用したものが挙げられる

本発明のチョコレート類原料としては、カカオマス、ココアパウダー、糖類、粉乳、油脂類、乳化剤、香料、香味剤、着色料等、通常のチョコレート類に使用される任意の成分等を利用することができる。

本発明のチョコレート類は、糖類としてグルコースを必須成分として含有し、その他の糖類として必要に応じて砂糖、乳糖などを配合したものである。グルコースの含有量は1〜30重量%が好ましく、さらに好ましくは2〜20重量%、最も好ましくは5〜15重量%である。グルコース含有量が1重量%未満であると、チョコレート類を加熱処理後にチョコレート中の油脂の融点以上の耐熱性が得られず、チョコレート表面がべとついたり、手指に付着するという問題があり好ましくない。また、30重量%を超えると、チョコレート類生地調製中の微粒化が困難になるとともに、調製後の生地粘度が上昇して後の成型作業やコーチング作業が困難になるため好ましくない。

本発明のグルコースとしては、無水グルコースとグルコースー1水和物のいずれも使用することができる。無水グルコースを使用する場合は、好ましくは5〜30重量%、さらに好ましくは10〜20重量%、最も好ましくは10〜15重量%である。また、グルコースー1水和物を使用する場合は、好ましくは1〜30重量%、さらに好ましくは2〜15重量%、最も好ましくは5〜10重量%である。いずれの場合も、下限未満では充分な耐熱性が得られず、上限を超えるとチョコレート類生地調製中の微粒化が困難になるとともに、調製後の生地粘度上昇が顕著になり好ましくない。なお、無水グルコースとグルコースー1水和物を耐熱性と許容範囲の粘度が両立するように、グルコース1〜30重量%の範囲で適宜併用することも可能である。

本発明のチョコレート類は上記グルコース1〜30重量を含有するとともに、レシチン含有量の制限を必須とするものである。レシチンの含有量は0.4重量%以下が好ましく、さらに好ましくは0.1〜0.3重量%、最も好ましくは0.1〜0.2重量%である。レシチンの含有量が0.1重量%以下の場合、チョコレート類生地の粘度が高くなりすぎて、チョコレート類のモールディング(型流し)やコーチング作業が困難となるため、粘度調整剤としてポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル(以下PGPRと略す。)を添加するのが好ましい。逆に、レシチンの含有量が上限を超えると、チョコレート類の加熱処理後の耐熱性が低下し、目的とする40℃以上の耐熱性が得られないため好ましくない。本発明はチョコレート類生地粘度調製のために、レシチンに加えてPGPRを0.1〜0.5重量%含有するのが好ましく、さらに好ましくは0.1〜0.3重量%、最も好ましくは0.1〜0.2重量%である。レシチンに加えてPGPRを含有することにより、チョコレート類生地粘度を加熱処理後の耐熱性の低下なしに低減できる利点がある。すなわち、レシチン単独で目的とする40℃以上の耐熱性を得る場合は、チョコレート類生地粘度を比較的高く設定する必要があり、モールディングやコーチング作業が困難になる傾向にあるが、PGPR併用により粘度を低く設定することができる。PGPR含有量が下限未満ではチョコレート生地粘度の低減効果が不十分であり、逆に上限を超えてもそれ以上の粘度低減効果が得られない。

本発明のチョコレート類生地の加熱処理前の粘度は、生地調製後の用途にもよるが、該生地中の油脂を完全融解後に45℃に温調した粘度測定値において2,000〜20,000cPであるのが好ましい。生地粘度が20,000cPを超えると、チョコレート類のモールディング(型流し)やコーチング作業が困難となるため、好ましくない。チョコレート類用途が焼菓子類やパン類コーチングの場合、該生地中の油脂を完全融解後に45℃に温調した粘度測定値において、2,000〜10,000cPであるのが好ましく、さらに好ましくは3,000〜8,000cPである。生地粘度が2,000cP未満であるとチョコレート類のコーチング厚みが薄くなりすぎて下地が透けたり、チョコレート風味が薄くなる問題があり、逆に10,000cPを超えるとコーチング厚みが厚くなりすぎる問題とコーチング前保持時間中に更なる粘度上昇の恐れがあり、好ましくない。

本発明におけるチョコレート類に配合される油脂類としては、ココアバターや各種植物油脂を利用することができるが、所謂ハードバターが好適であり、エライジン酸を構成脂肪酸とするトランス酸型ハードバター、非対称型トリグリセリドであるSSO(1,2−ジステアロ、3−オレイン)やPSO(1−パルミト、2−ステアロ、3−オレイン)、PPO(1,2−ジパルミト、3—オレイン)を主要トリグリセリドとして、一部対称トリグリセリドや少量のトランス脂肪酸含有トリグリセリド、飽和トリグリセリドを混合して調製される低トランス非ラウリン酸型ハードバター、ラウリン酸型ハードバター等のノーテンパリング型油脂、ココアバター、ココアバター代用脂等のテンパリング型油脂が利用できる。その他油脂の硬化、分別、エステル交換等を施した加工油脂が利用できる。原料として例えば、菜種油、大豆油、ヒマワリ種子油、綿実油、落花生油、米糠油、コーン油、サフラワー油、オリーブ油、カポック油、胡麻油、月見草油、パーム油、シア脂、サル脂、ココアバター、ヤシ油、パーム核油等の植物性油脂、並びに、それらの油脂の硬化、分別、エステル交換等を施した加工油脂が例示できる。

本発明ではチョコレート類の加熱処理後にテンパリング操作を行うことができないため、上記のハードバターの中でも、エライジン酸を構成脂肪酸とするトランス型ハードバター、低トランス非ラウリン酸型ハードバター、ラウリン酸型ハードバター等の所謂ノーテンパリング型ハードバターのいずれかを配合するのが好ましい。

本発明におけるチョコレート類に含まれてもよい更なる成分は、カカオマス、ココアパウダー、全粉乳、脱脂粉乳、バターミルクパウダー、ホエーパウダー、ホエー製品、ヨーグルトパウダー等の乳製品固形物や、コーヒー、バニラ、キャラメル、フルーツ、ナッツ、及び、フルーツパウダー及びドライフルーツ、ナッツ、バニラ、ハーブ(例えばミント)などの香味剤や、バニラ香料、ハーブ香料、キャラメル香料などの香料や、ナッツ、シリアル、膨化物、フルーツ、クリーム、又はそれらの混合物や、その他の食用成分である。着色料、香味剤、香料は、前述の成分に限られず、当業者に周知の任意のものが使用される。

レシチン及びPGPR以外の乳化剤は、チョコレート類の生地粘度と加熱処理後の耐熱性を両立する範囲内で適宜利用することができる。例えばショ糖脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸エステル類、分別レシチン及び燐酸アンモニウム等を利用することができる。利用目的は、保管、輸送中に油脂の融点以上の高温に晒された場合の対策として、ブルームの抑制やグレーニングの発生防止などである。

本発明のチョコレート類生地は、例えば下記のような常法通りの製造方法で調製することができる。ココアパウダー、糖類、粉乳などの固形粉末原料に対し、加熱融解したカカオマスや油脂類とレシチン、PGPRなどの乳化剤を添加し、ホバートミキサーなどを用いて混合して、油脂分20〜30重量%のぺースト状の生地を調製する。得られた該生地をロールなどのリファイナーで平均粒子径が15〜30μmの滑らかな粒子になるよう微粒化する。次いで、40〜70℃に保温しながらコンチング(攪拌、混合)を行い滑らかなペースト状としてから、さらに油脂類、乳化剤、香料等を添加、混合して所定のチョコレート類生地を得る。なお、コンチング温度が80℃を超えるとチョコレート類生地の粘度が著しく上昇するため、本発明のチョコレート類生地は40〜70℃でのコンチングが好ましい。

上記のチョコレート類生地の調製において、リファイナーなどによる微粒化は平均粒子径が15〜30μmであるのが好ましく、さらに好ましくは18〜25μm、最も好ましくは18〜22μmであり、30μmを超えるとややざらつきを感じる食感となるため好ましくない。また、コンチング工程において生地が粘度上昇を起こすと、ダマが発生したり、ミキサー壁面に付着しやすくなり滑らかなペースト状とするために長時間を要したり、最終的に調製されたチョコレート類生地の粘度が高すぎたりして、後の成形工程に支障を来たすような問題が生じる。従って、コンチング工程で生地の粘度上昇が許容範囲となるようなチョコレート類生地の配合設定が重要である。かかる配合設定に適合するのが、本発明のチョコレート類の生地配合である。

本発明のチョコレート類生地の水分は2重量%以下であるのが好ましく、さらに好ましくは1重量%以下である。水分が上限を超えると、上記のような生地調製中の粘度上昇やダマの発生の問題が起こりやすくなるため好ましくない。また、本発明のチョコレート類生地の油脂分は25〜45重量%であるのが好ましく、さらに好ましくは30〜40重量%、最も好ましくは32〜38重量%である。油脂分が25重量%未満ではチョコレートの滑らかな食感が損なわれて、ごりごりした食感になったり、保管環境によっては糖の吸湿によりべたつく物性になる傾向があるため好ましくない。また、油脂分が45重量%を超えると、チョコレート表面へのオイルオフが顕著になるため好ましくない。

本発明の耐熱性チョコレート類とは、チョコレート類中の油脂の融点以上の温度域、40〜90℃で、チョコレート表面がべとついたり、チョコレート同士が付着したり、型崩れしないような耐熱性を有するとともに、チョコレート表面からチョコレート内部までチョコレート本来のソフトで滑らかな食感、口溶け及び風味に優れるチョコレート類である。

本発明の耐熱性チョコレート類は、上記の方法によって調製したチョコレート類生地を所望の型に流し込みした後や、焼き菓子やパンなどにコーチングした後に、80〜110℃、さらに好ましくは80〜100℃で加熱処理を行い、最終的に冷却してチョコレート類中の油脂を固化させてから型抜きされた板状のチョコレート類やチョコトレート類のコーチングされた焼き菓子やパンのような最終製品を得ることができる。かかる加熱処理により、グルコースに由来するガラス状構造体が形成される結果、チョコレート類中の油脂が融解する温度域である40〜90℃でも耐熱性を有するものになると考えられる。加熱処理温度が80℃未満であると、所望の耐熱性が得られないため好ましくなく、逆に110℃を超えると硬い食感となり所望のソフトで滑らかな食感が得られず、またチョコレート風味も低下するため好ましくない。なお、加熱処理後の冷却は、0〜15℃の冷蔵庫放置冷却やクーリングトンネルなどの冷風冷却、30℃以下の室温放置冷却などを利用することができる。

本発明の上記加熱処理時間は60分以内であるのが好ましく、さらに好ましくは10秒〜40分、最も好ましくは10秒〜20分である。加熱時間はチョコレート類の重量や形状にもよるが、例えば薄い板状チョコレートや菓子類、パン類への薄いコーチングチョコレートの場合は加熱により80〜110℃に達温次第、該温度で保持することなく速やかに上記いずれかの冷却方法で冷却しても良い。少し厚みのある板状チョコレートやコーチングチョコレートの場合は、10秒未満であると、所望の耐熱性が得られないため好ましくない。また、60分を超えるとチョコレート類の生産効率が低下するためやはり好ましくない。

本発明の加熱処理する方法としては、80〜110℃のオーブンやオーブントンネル、ドライヤーなどでの熱風加熱、ヒーター温度150〜700℃の赤外線加熱よりチョコレート類を80〜110℃に加熱する方法や、マイクロ波などの周知の各種加熱手段を利用することができる。中でも、装置が比較的単純でかつ比較的短時間での加熱処理として、赤外線加熱によるヒーター温度300〜400℃、3分以内などの加熱処理によりチョコレート類を80〜110℃に加熱する方法を好適に利用することができる。

また、本発明においては、上記加熱処理前に冷却固化することもできる。本発明の冷却固化とは、調整した融解状態のチョコレート類生地を板状チョコレートの型に流し込んだり、焼き菓子やパンにコーチングしたりしてから、0〜15℃の冷蔵庫やクーリングトンネルで冷却して固化させることを意味する。かかる冷却固化により、冷却後に型からはずした板状チョコレートや焼き菓子やパンにコーチングしたチョコレートの表面を滑らかな状態にすることができる。その後、上記同様の加熱処理と冷却を行うことにより、表面が滑らかな耐熱性チョコレート類を得ることができる。

以下に実施例を記載する。各例中の%及び部は重量基準を意味する。 なお、各例において調製したチョコレート類生地の平均粒子径、粘度、ダマの発生は下記の方法で測定または確認した。 (平均粒子径) マイクロメーター(株式会社ミツトヨ社製、商品名「デジマチック標準外側マイクロメーター MDC−25PJ」)の測定面にチョコレート類(油分が50%未満に満たない場合は、液油により希釈し油分50〜60%に調製)を付着させ、測定面同士を付着させてチョコレート類が測定面よりはみ出す状態で粒度を測定する。粒度は5回測定し、最大と最小の値を除く3回の測定値の平均値を平均粒子径とした。 (粘度) チョコレート類の品温を45℃に調整し、BM型粘度計(東京計器株式会社製)で10,000cP以下の場合は3号ローター、12rpmにて測定し、10,000cPを超える場合は4号ローター、12rpmにて測定した。 (ダマの確認) コンチング終了後のチョコレート類生地1.5Kgを100メッシュ篩を通過させ、メッシュ上の粒状物の有無を目視で確認する。粒状物がないものを合格、あるものを不合格とした。 また、調製した耐熱性チョコレート類の耐熱性評価、食感と風味評価は下記の基準で評価した。 (耐熱性評価) 型抜きしたチョコレートを20℃、3日間安定化後、40℃恒温槽に7日間放置してから、チョコレート表面を手で触って手指への付着の有無、オイルオフの有無、変形の有無を確認した。 ◎:非常に良好(手指への付着、オイルオフ、変形いずれもない) ○:良好 (手指へわずかにオイルが付着するが、変形はない) △:やや不良 (手指への付着、オイルオフがあるが、変形はない) ×:不良 (手指への付着とオイルオフが激しく、変形も発生) (食感評価) 型抜きしたチョコレートを20℃、3日間安定化後、官能評価によって評価した。 ◎:非常に良好(表面及び内部ともソフトで滑らかな食感) ○:良好 (表面がやや硬いが、内部はソフトで滑らかな食感) △:やや不良 (表面が硬く、内部もやや硬い食感) ×:不良 (表面、内部とも硬く、滑らかさがない食感)

試作例1 ココアパウダー(油分11%)5.9部、砂糖29.9部、グルコース−1水和物(商品名「ハイメッシュ」、サンエイ糖化株式会社製)12.4部、全脂粉乳21.2部を計量、混合し、あらかじめ融解したカカオマス(油分55%)2.4部、精製硬化パーム核油36℃(不二製油株式会社製、商品名「ニューメラリン36」)21.4部をミキサー(愛工舎株式会社製AM30)を用いて攪拌しながら添加した。得られたドウ状の生地をロールリファイナー(BUHLER株式会社製「Three−roll mill SDY−300」)により微粉砕し、ロールフレークを得た。得られたロールフレークを5部の精製硬化パーム核油36℃とレシチン0.2部と共にコンチングミキサー(株式会社品川工業所製)にて、55℃に保温しながら中速攪拌した。フレークがややソフトなドウ状となってから、精製硬化パーム核油36℃ 1.8部を攪拌しながら添加し、チョコレート生地1を得た。チョコレート生地1の平均粒子径は22μm、粘度は13,200cP、水分は0.8%であり、ダマの発生はなく合格であった。

試作例2 試作例1のグルコース−1水和物を無水グルコース(商品名「TDA−C」、サンエイ糖化株式会社製)に置換して、試作例1同様にチョコレート生地2を試作した。チョコレート生地2の平均粒子径は22μm、粘度は31,900cP、水分は0.8%であり、ダマの発生はなく合格であった。

試作例3 試作例1のレシチン0.2部を0.5部に変更して、試作例1同様にチョコレート生地3を試作した。チョコレート生地3の平均粒子径は22μm、粘度は8,740cP、水分は0.8%であり、ダマの発生はなく合格であった。

試作例4 試作例2のレシチン0.2部を0.5部に変更して、試作例1同様にチョコレート生地4を試作した。チョコレート生地4の平均粒子径は22μm、粘度は9,450cP、水分は0.8%であり、ダマの発生はなく合格であった。

試作例5 試作例1のグルコース−1水和物を砂糖に置換して、試作例1同様にチョコレート生地5を試作した。チョコレート生地5の平均粒子径は22μm、粘度は33,800cP、水分は0.8%であり、ダマの発生はなく合格であった。

試作例6 試作例5のレシチン0.2部を0.5部に変更して、試作例1同様にチョコレート生地6を試作した。チョコレート生地6の平均粒子径は22μm、粘度は9,690cP、水分は0.8%であり、ダマの発生はなく合格であった。

実施例1 試作例1で得られたチョコレート生地1を、品温45℃でプラスチック製モールド(20mm×30mm×20mm)に流し込み、90℃の恒温オーブン中で30分間加熱処理を行った。終了後、5℃冷蔵庫中に60分間冷却固化し、型抜きして直方体状の板状チョコレートを得た。得られた板状チョコレートの耐熱性評価、食感評価は、耐熱性、食感とも非常に良好であった。また、チョコレート風味も良好であった。

比較例1〜5 試作例2〜6で得られたチョコレート生地2〜6を、実施例1同様に加熱処理と冷却固化を行い、を行い直方体状の板状チョコレートを得た。得られた板状チョコレートの耐熱性評価、食感評価、風味評価結果を表1に示す。

表1 グルコースー1水和物12.4部、レシチン0.2部使用の実施例1は、生地粘度が許容範囲で耐熱性、食感とも良好であった。一方、無水グルコース12.4部、レシチン0.2部使用の比較例1は、耐熱性、食感は良好であったが、生地粘度が許容範囲外であった。また、レシチン0.5部使用の比較例2、3、5は粘度は許容範囲内であったが、耐熱性が不良であった。

試作例7 試作例2のレシチン0.2部を0.3部に変更して、試作例2同様にチョコレート生地7を試作した。チョコレート生地7の平均粒子径は20μm、粘度は12,650cP、水分は0.8%であり、ダマの発生はなく合格であった。

試作例8 試作例2のレシチン0.2部を0.4部に変更して、試作例2同様にチョコレート生地8を試作した。チョコレート生地8の平均粒子径は20μm、粘度は9,370cP、水分は0.8%であり、ダマの発生はなく合格であった。

実施例2 試作例7で調製したチョコレート生地7を品温45℃でプラスチック製モールド(20mm×30mm×20mm)に流し込み、90℃、95℃、100℃、110℃の恒温オーブン中で30分間加熱処理を行った。終了後、5℃冷蔵庫中に60分間冷却固化し、型抜きして直方体状の板状チョコレートを得た。得られた板状チョコレート耐熱性評価、食感評価、風味評価結果を表2に示す。

実施例3 試作例8で調製したチョコレート生地8を品温45℃でプラスチック製モールド(20mm×30mm×20mm)に流し込み、90℃、95℃、100℃、110℃の恒温オーブン中で30分間加熱処理を行った。終了後、5℃冷蔵庫中に60分間冷却固化し、型抜きして直方体状の板状チョコレートを得た。得られた板状チョコレート耐熱性評価、食感評価、風味評価結果を表2に示す。

比較例6 試作例2で調製したチョコレート生地2を品温45℃でプラスチック製モールド(20mm×30mm×20mm)に流し込み、90℃、95℃、100℃、110℃の恒温オーブン中で30分間加熱処理を行った。終了後、5℃冷蔵庫中に60分間冷却固化し、型抜きして直方体状の板状チョコレートを得た。得られた板状チョコレート耐熱性評価、食感評価、風味評価結果を表2に示す。

比較例7 試作例4で調製したチョコレート生地4を品温45℃でプラスチック製モールド(20mm×30mm×20mm)に流し込み、90℃、95℃、100℃、110℃の恒温オーブン中で30分間加熱処理を行った。終了後、5℃冷蔵庫中に60分間冷却固化し、型抜きして直方体状の板状チョコレートを得た。得られた板状チョコレート耐熱性評価、食感評価、風味評価結果を表2に示す。

表2 無水グルコース12.4部とレシチン0.3%及びレシチン0.4%を使用した実施例2及び3は粘度が許容範囲で、それぞれ95℃以上及び100℃以上の加熱処理で優れた耐熱性と風味を示した。比較例6のレシチン0.2%では粘度が許容範囲とならず、比較例7のレシチン0.5%では耐熱性が不良であった。

試作例9 試作例2のレシチン0.2部に加えて、PGPR(商品名:CRS75、阪本薬品工業株式会社製)0.1部を添加し、試作例1同様にチョコレート生地を試作して、チョコレート生地9を得た。チョコレート生地9の平均粒子径は19μm、粘度は7,130cP、水分は0.8%であり、ダマの発生はなく合格であった。

試作例10 試作例9のチョコレート生地9 98部に対し、ニューメラリン36 2部を追油してチョコレート生地10を得た。チョコレート生地10の平均粒子径は20μm、粘度は3,430cP、水分は0.8%であり、ダマの発生はなく合格であった。

試作例11 試作例2のレシチン0.2部を0.1部に変更し、PGPR(商品名:CRS75、阪本薬品工業株式会社製)0.2部を添加し、試作例2同様にチョコレート生地を試作して、チョコレート生地11を得た。チョコレート生地11の平均粒子径は20μm、粘度は7,550cP、水分は0.8%であり、ダマの発生はなく合格であった。

試作例12 試作例11のチョコレート生地9 98部に対し、ニューメラリン36 2部を追油してチョコレート生地12を得た。チョコレート生地12の平均粒子径は20μm、粘度は3,960cP、水分は0.8%であり、ダマの発生はなく合格であった。

試作例13 ココアパウダー(油分11%)5.7部、砂糖33.5部、グルコース−1水和物(商品名「ハイメッシュ」、サンエイ糖化株式会社製)7.5部、全脂粉乳20.6部を計量、混合し、あらかじめ融解したカカオマス(油分55%)2.3部、精製硬化パーム核油36℃(不二製油株式会社製、商品名「ニューメラリン36」)21.4部をミキサー(愛工舎株式会社製AM30)を用いて攪拌しながら添加した。得られたドウ状の生地をロールリファイナー(BUHLER株式会社製「Three−roll mill SDY−300」)により微粉砕し、ロールフレークを得た。得られたロールフレークを精製硬化パーム核油36℃ 5部とレシチン0.3部と共にコンチングミキサー(株式会社品川工業所製)にて、55℃に保温しながら中速攪拌した。フレークがややソフトなドウ状となってから、精製硬化パーム核油36℃ 4部及びPGPR0.2部を攪拌しながら添加し、チョコレート生地13を得た。チョコレート生地13の平均粒子径は19μm、粘度は4,180cP、水分は0.8%であり、ダマの発生はなく合格であった。

試作例14 試作例13のチョコレート生地13 98部に対し、ニューメラリン36 2部を追油してチョコレート生地14を得た。チョコレート生地14の平均粒子径は20μm、粘度は3,090cP、水分は0.8%であり、ダマの発生はなく合格であった。

実施例4 試作例9で調製したチョコレート生地Iを品温45℃で市販のクッキー表の表面(商品名:ムーンライト、森永製菓株式会社製)に1枚当たり約2.1gコーチングし、90℃及び100℃恒温オーブン中で30分間加熱処理を行った。終了後、20℃室温で1晩冷却固化させてクッキーコーチングチョコレートを得た。得られたクッキーチョコレートの耐熱性評価、食感評価、風味評価結果を表3に示す。

実施例5〜実施例9 試作例10〜14で調製したチョコレート生地10〜14を用いて、実施例4同様にクッキーコーチングチョコレートを得た。得られたクッキーチョコレートの耐熱性評価、食感評価、風味評価結果を表3に示す。

表3

無水グルコースを12.4部またはグルコース−1水和物を7.5部とレシチン及びPGPRを併用した実施例4〜9はいずれもコーチングチョコレートとして適度な生地粘度を保持し、加熱処理後の耐熱性、風味とも非常に優れたものであった。

試作例15〜18 グルコース−1水和物含有量を2.6部、5.2部、21.4部、28.9部にそれぞれ調整したチョコレート生地15〜18を試作した。それぞれのチョコレート生地の配合を表4に示す。

実施例10〜12 チョコレート生地15〜18を用いて、実施例4同様にクッキーコーチングチョコレートを得た。得られたクッキーチョコレートの耐熱性評価、食感評価、風味評価結果を表4に示す。 表4

グルコース−1水和物含有量が2.6〜5.2%と比較的低いチョコレート生地では、レシチン及びPGPRを比較的低い含有量での併用によりコーチング適性のある生地粘度が得られ、加熱処理後の耐熱性、風味とも良好であった。グルコース−1水和物含有量が21.4%〜28.9%と比較的高いチョコレート生地では、レシチン及びPGPRを比較的高い含有量で併用する必要があり、加熱処理温度も高めに設定する必要があったが、加熱処理後の耐熱性、風味は良好であった。

加熱処理温度の好ましい上限温度と下限温度を確認するために、加熱処理温度を下記に変更して実施例4同様にクッキーコーチングチョコレートを得た。 実施例14〜15 実施例10のチョコレート生地15の加熱処理温度を80℃、110℃に変更して、耐熱性と風味を確認した。

比較例8〜9 実施例10のチョコレート生地15の加熱処理温度を70℃、120℃に変更して、耐熱性と風味を確認した。

実施例14〜15及び比較例8〜9の耐熱性評価と風味評価結果を表5に示す。 表5

加熱処理温度70℃では、耐熱性が全く得られず、実施例14の加熱処理温度80℃で耐熱性が付与された。実施例15の加熱処理温度110℃では、耐熱性が非常に良好で、風味、食感とも良好であったが、比較例9の加熱処理温度120℃ではチョコレート表面、内部とも硬く、やや焦げ臭い風味であった。

実施例16 チョコレート生地16を用いて、実施例4同様にクッキーコーチングチョコレートを得た。得られたクッキーチョコレートを、ヒーター温度250℃〜260℃の遠赤外線加熱装置を用いて3.5分間加熱した。放射温度計(SK−800 株式会社佐藤計量器製作所製)を用いて、遠赤外線加熱装置外に取り出したクッキーコーチングチョコレート表面温度をモニターしたところ、加熱開始3分後に80℃に達し、3.5分後に88℃に達していた。その後、5℃の冷蔵庫中で1時間冷却して、耐熱性クッキーコーチングチョコレートを得た。得られた耐熱性クッキーコーチングチョコレートの耐熱性を40℃、7日及び60℃、1日間保存後に評価したところ、いずれの温度でも手指への付着も変形もなく非常に良好であった。また、いずれも風味、食感とも良好であった。

実施例17 実施例16の遠赤外線加熱装置のヒーター温度を360〜370℃へ、加熱時間を1分間へ変更して、実施例17同様に加熱処理を行った。同様にチョコレート表面温度をモニターしたところ、加熱開始50秒に80℃に達し、60秒後に90℃に達していた。その後、5℃の冷蔵庫中で1時間冷却して、耐熱性クッキーコーチングチョコレートを得た。得られた耐熱性クッキーコーチングチョコレートの耐熱性を40℃、7日及び60℃、1日間保存後に評価したところ、いずれの温度でも手指への付着も変形もなく非常に良好であった。また、いずれも風味、食感とも良好であった。

本発明により、チョコレート生地調製中の微粒化困難、ダマの発生及び生地の粘度上昇の問題がなく、しかもコーチング適性のある特定の粘度範囲のチョコレート生地の調製が可能で、チョコレート中の油脂の融点を超える40℃以上の耐熱性があり、チョコレート表面からチョコレート内部までチョコレート本来の滑らかな食感、口溶けを示すチョコレート類を製造することができる。

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