焼成チョコレート及びその製造方法

申请号 JP2017528226 申请日 2016-12-15 公开(公告)号 JP6212676B1 公开(公告)日 2017-10-11
申请人 日清オイリオグループ株式会社; 发明人 赤羽 明; 槇 英昭; 春名 博文;
摘要 本発明における課題は、さっくりとした軽い食感を有する表面、軟らかくソフトな食感を有する内部、優れた口どけ、及びブルーム耐性を有する、焼成チョコレートを提供することにある。 本発明は、油脂Aと油脂Bとを含む油脂を含有し、前記油脂Aは、パーム油中融点画分を含み、前記油脂Bは、エステル交換油脂を含み、前記エステル交換油脂の有する構成 脂肪酸 全量のうちの、20〜70質量%が炭素数16〜22の飽和脂肪酸であり、30〜80質量%が炭素数16〜22の不飽和脂肪酸である、焼成チョコレートである。
权利要求

35〜80質量%の油脂Aと8〜50質量%の油脂Bとを含む油脂を含有し、 前記油脂Aは、パーム油中融点画分を含み、38〜52のヨウ素価を有し、 前記油脂Bは、エステル交換油脂であり、 前記エステル交換油脂の有する構成脂肪酸全量のうちの、20〜70質量%が、炭素数16〜22の飽和脂肪酸であり、30〜80質量%が、炭素数16〜22の不飽和脂肪酸である、焼成チョコレート。前記油脂の固体脂含有量(SFC)が、10℃で54〜70%、20℃で24〜38%、および35℃で0〜5%である、請求項1に記載の焼成チョコレート。前記エステル交換油脂が、パーム系油脂由来のエステル交換油脂である、請求項1または2に記載の焼成チョコレート。油脂Aと油脂Bとを含み、かつ、10℃で54〜70%、20℃で24〜38%、および35℃で0〜5%の固体脂含有量(SFC)を有する油脂を含有し、 前記油脂Aは、パーム油中融点画分を含み、 前記油脂Bは、エステル交換油脂を含み、 前記エステル交換油脂の有する構成脂肪酸全量のうちの、20〜70質量%を、炭素数16〜22の飽和脂肪酸が占め、30〜80質量%を、炭素数16〜22の不飽和脂肪酸が占める、チョコレートを起泡化することにより、含気チョコレートを得ること、および、前記含気チョコレートを焼成することを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の焼成チョコレートの、製造方法。前記含気後に、0.8〜1.25の比重を有するチョコレートを得ることを含む、請求項4に記載の、焼成チョコレートの製造方法。

说明书全文

本発明は、内部で、軟らかい食感が維持されている、焼成チョコレートに関する。

一般的にチョコレートは、構成成分の1/3〜1/2は油脂である。チョコレートの食感および口どけは、油脂の特性に大きく依存することが知られている。そして、チョコレートに配合される油脂の構成が改良されている。その結果、スナップ性のよい従来のチョコレートとは別に、ソフトな食感および良好な口どけを有するチョコレートも人気がある。

チョコレートの食感は、焼成されることでも変化する。焼成されたチョコレートの耐熱性が向上することも知られている(例えば、特開昭52−148662号公報)。典型的には、焼成により、表面が硬く、内部が比較的軟らかい食感を有する焼成チョコレートが得られる。そのような特性を活かし、さまざまな工夫が凝らされた焼成チョコレートも開発されている。

例えば、特開2000−189058号公報には、澱粉性原料を使用することにより、サクサクとした焼菓子様の食感を有する焼成チョコレートが開示されている。また、特開2010−207197号公報に開示されているチョコレートは、糖質としてトレハロース及び/又はマルトースを含有している。上記公報には、その表面は快い歯触りを有し、且つ、その内部は本来の風味および滑らかさを維持している、焼成チョコレートが開示されている。また、特開2008−206458号公報には、2〜3の重合度を有するポリグリセリン脂肪酸エステルを含有することにより、焼成されても内部の食感が軟らかく維持された焼成チョコレートが開示されている。

しかしながら、上記公報のように、多くのチョコレートが、油脂以外の素材を工夫することにより、特徴ある食感を付与されている。特開2013−201907号公報には、低融点の油脂を配合することにより、焼成チョコレートにソフトな食感を付与する、焼成用チョコレート様素材が開示されている。しかし、上記公報に開示された発明によれば、ブルーム耐性を付与するために、BOBおよびアセチル化蔗糖脂肪酸エステルが添加されている。よって、当該素材の取扱い、および、得られる焼成チョコレートの風味に難点があった。

特開昭52−148662号公報

特開2000−189058号公報

特開2010−207197号公報

特開2008−206458号公報

特開2013−201907号公報

本発明における課題は、さっくりとした軽い食感を有する表面、軟らかくソフトな食感を有する内部、優れた口どけ、及びブルーム耐性を有する、焼成チョコレートを提供することにある。

本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った。その結果、チョコレートに含まれる油脂が、パーム油中融点画分と特定のエステル交換油脂とを含むことにより、本課題が解決できることが見いだされた。これにより、本発明が完成するに至った。

すなわち、本発明は以下の焼成チョコレートおよびその製造方法を提供する。 (1)油脂Aと油脂Bとを含む油脂を含有し、前記油脂Aは、パーム油中融点画分を含み、前記油脂Bは、エステル交換油脂を含み、前記エステル交換油脂の有する構成脂肪酸全量のうちの、20〜70質量%が、炭素数16〜22の飽和脂肪酸であり、30〜80質量%が、炭素数16〜22の不飽和脂肪酸である、焼成チョコレート。 (2)前記油脂の固体脂含有量(SFC)が、10℃で54〜70%、20℃で24〜38%、および35℃で0〜5%である、(1)の焼成チョコレート。 (3)前記エステル交換油脂が、パーム系油脂由来のエステル交換油脂である、(1)または(2)の焼成チョコレート。 (4)油脂Aと油脂Bとを含み、かつ、10℃で54〜70%、20℃で24〜38%、および35℃で0〜5%の固体脂含有量(SFC)を有する油脂を含有し、前記油脂Aは、パーム油中融点画分を含み、前記油脂Bは、エステル交換油脂を含み、前記エステル交換油脂の有する構成脂肪酸全量のうちの、20〜70質量%を占め、炭素数16〜22の飽和脂肪酸であり、30〜80質量%を、炭素数16〜22の不飽和脂肪酸が占める、チョコレートを起泡化することにより、含気チョコレートを得ること、および、前記含気チョコレートを焼成することを含む、(1)〜(3)のいずれかの焼成チョコレートの、製造方法。 (5)前記含気チョコレートの比重が、0.8〜1.25である、(4)の焼成チョコレートの製造方法。

本発明によれば、さっくりとした軽い食感を有する表面、軟らかくソフトな食感を有する内部、優れた口どけ、及び、ブルーム耐性を有する、焼成チョコレートを提供することができる。

以下、本発明の焼成チョコレートについて順を追って記述する。 本発明においてチョコレートとは、チョコレート類の表示に関する公正競争規約(全国チョコレート業公正取引協議会)乃至法規に規定されているチョコレートに限定されない。本発明におけるチョコレートは、食用油脂、並びに、糖質および糖類を主原料とする。主原料には、必要に応じてカカオ成分(カカオマス、ココアパウダー等)、乳製品、香料、または乳化剤等を加える。かかるチョコレートは、チョコレート製造の工程(混合工程、微粒化工程、精練工程、成形工程、及び、冷却工程等の全部乃至一部)を経て製造される。また、本発明におけるチョコレートは、ダークチョコレート及びミルクチョコレートの他に、ホワイトチョコレート及びカラーチョコレートも含む。本発明の焼成チョコレートは、焼成済みのチョコレートである。以下、特別な記載がない限り、「チョコレート」とは、焼成前のチョコレートを指す。しかし、焼成前後のチョコレートの間で、基本的にその成分構成に差異はない。

本発明のチョコレートは、油脂を25〜65質量%含有する。本発明のチョコレートに含まれる油脂含有量は、好ましくは28〜60質量%であり、より好ましくは30〜55質量%である。なお、本発明におけるチョコレートに含まれる油脂は、配合される油脂以外に、含油原料(カカオマス、ココアパウダー、全脂粉乳等)由来の油脂(ココアバター、乳脂等)も含む。例えば、一般的に、カカオマスに含まれる油脂(ココアバター)の含有量(含油率)は、55質量%であり、ココアパウダーに含まれる油脂(ココアバター)の含有量(含油率)は11質量%であり、全脂粉乳に含まれる油脂(乳脂)含有量(含油率)は25質量%である。よって、チョコレート中の油脂含有量は、チョコレート中の各原料の配合量(質量%)に含油率を掛け合わせた値を合計した値となる。

本発明のチョコレートに含有される油脂に含まれる油脂Aは、パーム油中融点画分を含む。パーム油中融点画分とは、パーム油に分別処理(乾式分別、溶剤分別、あるいは界面活性剤分別等)を適用することにより、得られる画分のことを意味する。この分別処理により、低融点画分(例えば、パームオレイン)、および、高融点画分(例えば、パームステアリン)が分別除去される。分別は、複数回繰り返されてもよい。分別の条件および回数により、28〜52程度のヨウ素価を有する画分が得られる。本発明のチョコレートに使用されるパーム油中融点画分のヨウ素価は、好ましくは38〜52であり、より好ましくは40〜50であり、さらに好ましくは42〜48である。本発明に使用するパーム油中融点画分には、混合された複数種のパーム油中融点画分を含有してもよい。また、パーム油中融点画分にその他の分別画分を混合することにより、ヨウ素価を調整してもよい。好ましくは、ヨウ素価の調整には、低融点画分が用いられる。

本発明のチョコレートに含有される油脂に含まれる油脂Bは、エステル交換油脂を含む。このエステル交換油脂の有する構成脂肪酸全量のうちの、20〜70質量%を炭素数16〜22の飽和脂肪酸が占め、30〜80質量%を炭素数16〜22の不飽和脂肪酸が占める。当該エステル交換油脂が有する構成脂肪酸全量のうち、炭素数16〜22の飽和脂肪酸の含有量は、好ましくは25〜60質量%であり、より好ましくは25〜50質量%である。また、当該エステル交換油脂が有する構成脂肪酸全量のうち、炭素数16〜22の不飽和脂肪酸の含有量は、好ましくは40〜75質量%であり、より好ましくは50〜75質量である。当該エステル交換油脂が有する構成脂肪酸全量のうち、炭素数16〜22の飽和脂肪酸の含有量、および、炭素数16〜22の不飽和脂肪酸の含有量が上記範囲内にあると、エステル交換により生成された3飽和脂肪酸トリアシルグリセロール(トリアシルグリセロールに結合する3つの脂肪酸が全て飽和脂肪酸である。以下、SSSとも表す)の生成量が抑えられる。そのため、当該エステル交換油脂を使用して製造されたチョコレートの口どけがよくなる。当該エステル交換油脂に含まれる飽和脂肪酸の炭素数、および、不飽和脂肪酸の炭素数は、好ましくは16〜20であり、より好ましくは16〜18である。

上記エステル交換油脂は、好ましくは、パーム系油脂由来のエステル交換油脂である。ここで、パーム系油脂由来のエステル交換油脂とは、パーム系油脂を含む原料油脂から、エステル交換を経て得られるエステル交換油脂である。ここで、パーム系油脂とは、パーム油由来の油脂である。このパーム系油脂の例としては、パーム油、パーム油の分別油、およびそれらの加工油(硬化、エステル交換、および分別のうち1種以上の処理が適用されたもの)を挙げることができる。より具体的には、1段分別油であるパームオレインおよびパームステアリン、パームオレインの2段分別油であるパームオレイン(パームスーパーオレイン)およびパームミッドフラクション、パームステアリンの2段分別油であるパームオレイン(ソフトパーム)およびパームステアリン(ハードステアリン)を挙げることができる。上記エステル交換油脂の原料油脂に含まれるパーム系油脂の含有量は、好ましくは30質量%以上であり、より好ましくは50質量%以上である。

上記エステル交換油脂の原料油脂の具体例として、分別処理(乾式分別、溶剤分別、および界面活性剤分別等)を適用することにより得られる、52〜71(好ましくは54〜68)のヨウ素価を有するパームオレイン(パーム油を1回以上分別することにより得られる軟質部)、および、パームステアリン(パーム油を分別することにより得られる高融点部)と、構成脂肪酸の50質量%以上をオレイン酸が占める液状油脂と、を混合して得られる、52〜71(好ましくは54〜68)のヨウ素価を有する混合油脂、を挙げることができる。パームステアリンの例として、パーム油を1段分別することにより得られたパームステアリン、および、該パームステアリンを更に1回以上分別することにより得られた高融点部であるパームハードステアリンが挙げられる。構成脂肪酸の50質量%以上をオレイン酸が占める液状油脂の例として、菜種油、ハイオレイック菜種油、ハイオレイックヒマワリ油、ハイオレイックサフラワー油、およびオリーブ油が挙げられる。

上記エステル交換油脂を調製するためのエステル交換の方法は、特に制限されない。化学的エステル交換および酵素的エステル交換のいずれの方法をも、用いることができる。なお、化学的エステル交換は、触媒として、ナトリウムメチラート等の、化学触媒を用いて行われる。その反応は、位置選択性がない、非選択的エステル交換(全ランダムエステル交換)である。エステル交換は、好ましくは低位置選択性エステル交換(ランダム化率が50%以上である)であり、より好ましくは非選択的エステル交換である。

化学的エステル交換は、例えば、常法に従って、以下の操作により行うことができる。すなわち、十分に乾燥させた原料油脂に対して、0.1〜1質量%の触媒を添加することにより得られた、触媒含有原料油脂を、減圧下、80〜120℃で、0.5〜1時間攪拌することにより、エステル交換反応を行うことができる。エステル交換反応終了後は、洗にて反応生成物から触媒を洗い流す。得られた粗製油脂に、通常の食用油の精製工程で行われる、脱色および脱臭処理を適用することができる。

酵素的エステル交換は、触媒として、リパーゼ製剤を用いて行われる。リパーゼ製剤の有する選択的な触媒作用により、1,3位選択性のあるエステル交換が可能である。酵素的エステル交換は、例えば、常法に従って、以下の操作により行うことができる。すなわち、原料油脂に対して、0.01〜5質量%のリパーゼ製剤を添加することにより得られた、酵素含有原料油脂を、30〜70℃で、1〜40時間攪拌することにより、エステル交換反応を行うことができる。エステル交換反応終了後は、ろ過により反応生成物からリパーゼ製剤が除去される。得られた粗製油脂に、通常の食用油の精製工程で行われる、脱色および脱臭処理を適用することができる。

本発明のチョコレートに含有される油脂に含まれる油脂Aの含有量は、好ましくは35〜80質量%であり、より好ましく44〜70質量%であり、さらに好ましくは48〜66質量%である。また、本発明のチョコレートに含有される油脂に含まれる油脂Bの含有量は、好ましくは8〜50質量%であり、より好ましくは16〜41質量%であり、さらに好ましくは20〜37質量%である。本発明のチョコレートに含有される油脂に含まれる油脂Aの含有量と油脂Bの含有量との合計は、好ましくは65質量%以上であり、より好ましくは75質量%以上であり、さらに好ましくは80質量%以上である。

本発明のチョコレートに含有される油脂は、上記油脂Aと上記油脂Bとを含む。本発明のチョコレートに含有される油脂の固体脂含有量(以下、SFCとも表す)は、10℃で54〜70%、20℃で24〜38%、および35℃で0〜5%である。本発明のチョコレートに含有される油脂のSFCは、好ましくは10℃で56〜68%、20℃で25〜36%、および35℃で0〜4%であり、より好ましくは10℃で58〜66%、20℃で26〜34%、および35℃で0〜3%である。チョコレートに含有される油脂のSFCが上記範囲内であると、焼成チョコレートの内部で、軟らかくソフトな食感を維持することができる。なお、SFC(%)は、IUPAC法2.150a Solid Content determination in Fats by NMRに準じて測定することができる。

本発明のチョコレートに含有される油脂は、その構成脂肪酸が炭素数16〜22の飽和脂肪酸のみを有する3飽和脂肪酸のトリアシルグリセロール(SSS)を含んでもよい。本発明のチョコレートに含有される油脂のSSS含有量は、好ましくは2〜7質量%であり、より好ましくは3〜6質量%であり、さらに好ましくは3.5〜5.5質量%である。本発明のチョコレートに含有される油脂に占めるSSS含有量が上記範囲内であると、チョコレートの食感も口どけも損なうことなく、チョコレートを容易に起泡することができる。

上記油脂Aおよび上記油脂Bを含むこと以外に、本発明のチョコレートに使用することのできる油脂に、特に制限はない。チョコレートに含まれる油脂として、当該油脂が上記SFCの条件を満たす限りにおいて、通常の食用油脂を使用することができる。使用可能な油脂の例として、ココアバター、パーム油、パーム分別油、シア脂、シア分別油、サル脂、サル分別油、イリッペ脂、コクム脂、マンゴー脂、マンゴー分別油、大豆油、菜種油、綿実油、サフラワー油、ひまわり油、米油、コーン油、ゴマ油、オリーブ油、ヤシ油、パーム核油、脂、豚脂、および乳脂などの動植物油脂、および、これらに混合、分別、エステル交換、および水素添加等のうちの1種以上の処理が適用されることにより得られる加工油脂、の中から選択される1種以上の油脂を挙げることができる。

本発明のチョコレートは、油脂以外に、好ましくは糖質および糖類を含有する。使用できる糖質および糖類の例として、ショ糖(砂糖、粉糖)、乳糖、ブドウ糖、果糖、麦芽糖、還元澱粉糖化物、液糖、酵素転化水飴、異性化液糖、ショ糖結合水飴、還元糖ポリデキストロース、オリゴ糖、ソルビトール、還元乳糖、トレハロース、キシロース、キシリトース、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、ラフィノース、及び、デキストリンを挙げることができる。本発明のチョコレートに含まれる糖質および糖類の含有量は、好ましくは20〜60質量%であり、より好ましくは25〜55質量%であり、さらに好ましくは30〜50質量%である。

本発明のチョコレートは、油脂並びに糖質および糖類以外にも、チョコレートに一般的に配合される原料を使用することができる。具体的な例として、全脂粉乳および脱脂粉乳等の乳製品、カカオマスおよびココアパウダー等のカカオ成分、大豆粉、大豆蛋白、果実加工品、野菜加工品、抹茶粉末およびコーヒー粉末等の各種粉末、ガム類、澱粉類、レシチン、リゾレシチン、酵素分解レシチン、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルおよびソルビタン脂肪酸エステル等の乳化剤、酸化防止剤、着色料、および香料等を挙げることができる。

本発明のチョコレートは、従来公知の方法により製造することができる。本発明のチョコレートは、例えば、油脂、カカオ成分、糖質および糖類、乳製品、並びに、乳化剤等の原材料を使用して、混合工程、微粒化工程(リファイニング)、精練工程(コンチング)、及び、冷却工程等を経て、製造される。精錬工程の後で、必要に応じて、テンパリング処理が行われてもよい。

本発明のチョコレートは、起泡化することにより、含気チョコレートとしてもよい。チョコレートを起泡化することにより、ソフトな食感に軽さが加わる。また、口どけがさらに良好になる。含気されたチョコレートの比重(g/cm3)は、好ましくは0.8〜1.25であり、より好ましくは0.9〜1.2である。チョコレートを起泡化する方法は、特に制限されない。起泡化する方法の例として、製造工程上の冷却固化前の融液状ないし半融液状のチョコレート、あるいは、一度固化したチョコレートを加熱により融液状ないし半融液状としたチョコレートを、縦型ミキサーあるいは連続ミキサーなどにより含気することが挙げられる。

本発明の焼成チョコレートは、上記チョコレートないし起泡化したチョコレートを焼成することにより得られる。焼成することにより、さっくりとした軽い食感を有する表面、軟らかくソフトな食感を有する内部、および、優れた口どけを有するチョコレートが得られる。焼成の方法に特に制限はない。上記チョコレートないし起泡化したチョコレートを、型に詰めた状態のままで、もしくは、型抜きないし絞り袋等より絞り出して成形した状態で、焼成することができる。焼成は、チョコレート表面の温度が130〜170℃程度に達するように、オーブン、マイクロ波、過加熱蒸気などを用いて行うことができる。例えば、オーブンで、170〜210℃、3〜5分間程度の条件で、好適に焼成することができる。

本発明の焼成チョコレートは、さっくりとした軽い食感を有する表面、軟らかくソフトな食感を有する内部、優れた口どけ、およびブルーム耐性を有するチョコレートである。チョコレート塊として、本発明の焼成チョコレートをそのまま食することができる。また、本発明の焼成チョコレートと、製菓製パン製品と組み合わせて、複合菓子を作ることができる。例えば、本発明の焼成チョコレートは、パン、ケーキ、洋菓子、焼き菓子、ドーナツ、および、シュー菓子などに、コーティング材、フィリング材、または、生地へ混ぜ込むチップ材として使用される。焼成されたチョコレートを用いることにより、焼成チョコレートを含む複合菓子を作ることができる。

次に、実施例および比較例を挙げ、本発明を更に詳しく説明する。しかし、本発明はこれらに何ら制限されない。

〔使用油脂〕 チョコレートの原料油脂として以下の油脂を使用した。 (油脂A) PMF :パーム油中融点画分(ヨウ素価45) (油脂B) IEPL56:パームオレイン(ヨウ素価56)を全ランダムエステル交換することにより得られたエステル交換油脂

〔焼成チョコレートの製造〕 表1の配合に従って、油脂1〜7を調製した。表2の配合に従って、油脂1〜7をそれぞれ使用したチョコレート(実施例1〜4、比較例1〜3)を、常法に従って、製造した。すなわち、まず、混合、微粒化(リファイニング)、および精練(コンチング)の各工程を経ることにより、融液状のチョコレートが得られた。 次いで、融液状の各チョコレートを、24〜26℃に冷却した。さらに、ホバートミキサーを用いて起泡化(含気)を行った。起泡化(含気)により得られた含気状態にある可塑性状の各チョコレートを、直径1.5cmの口金を有する絞り袋を用いて絞り出すことにより、棒状に成形した。その後、成形されたチョコレートを8℃で30分間冷却固化した。得られた棒状のチョコレートを、長さ2cm程度にカット成形した。続いて、オーブン(上火:210℃、下火:170℃)を用いて、カット成形した各含気チョコレートを、4分間焼成した。

〔焼成チョコレートの評価〕 上記製造工程を経て得られた、各チョコレートの含気後の比重を測定した。また、各チョコレートのカット成形時および焼成後の保形性、および、各焼成チョコレートの食感、口どけ、およびブルーム耐性を、以下の評価基準に従って、5名のパネラーにより、総合的に評価した。結果を表3に示した。

(カット成形時の保形性) 4:保形性があり良好である 3:やや変形するが、保形性が良好である 2:大きく変形し、保形性がよくない 1:非常に大きく変形し、保形性がよくない

(焼成後の保形性) 4:型崩れがなく、保形性が非常に良好である 3:型崩れがほとんどなく、保形性が良好である 2:型崩れが大きく、保形性がよくない 1:型崩れが非常に大きく、保形性がよくない

(焼成チョコレートの食感) 4:噛み出しがさっくりと軽くソフトで、食感が非常に良好である 3:噛み出しが軽く、食感が良好である 2:噛み出しが硬く食感がよくない 1:噛み出しが非常に硬く、食感がよくない

(焼成チョコレートの口どけ) 4:非常に良好 3:良好 2:ふつう 1:よくない

(ブルーム耐性) 4:ブルームがみられない 3:表面に僅かにブルームがみられるが概ね良好 2:表面に激しくブルームがみられる 1:内部まで激しくブルームがみられる

〔分析〕 ヘキサンを使用してチョコレートから抽出された油脂の固体脂含有量(SFC)の分析が行われた。SFCの分析は、IUPAC法2.150a Solid Content determination in Fats by NMRに準じて行われた。

*;3飽和脂肪酸のトリアシルグリセロール(SSS)

QQ群二维码
意见反馈