【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は砂金を含んだ砂層等を吸引掘削して地上に持ち上げ、これを一定速度で移送する間に砂金を比重分別することを目的とした砂金掘削方法及び掘削分別システム。 【0002】 【従来の技術】従来砂金は機械掘削して水簸しており、 大深度の砂金層については、掘削手段がないものとされていた。 【0003】例えば広大な穴を掘削し、砂層のみ分別移送すれば、現有技術による処理も不可能ではないが、採算がとれないものとして放置されていた。 【0004】 【発明により解決すべき課題】現在知られている砂金層中地表から1000m又はそれ以上の深度に亘って堆積していると考えられているが現状は地表から5m〜20 mの掘削が限度であり、特に地下水位が5m〜10mの地域においては地下水位より深い砂層の掘削は採算ベースに乗らないと考えられ、総て廃鉱となっている。 【0005】即ち採算ベースに乗るような掘削方法及び移送方法がないとされていた。 【0006】 【課題を解決するための手段】然るにこの発明は、砂等と水との混合物を、移送管に導き、前記混合物に加圧流体(例えば加圧エア)で加速することにより、砂等の移送問題を解決すると共に、掘削問題も解決したのである。 【0007】即ち方法の発明は 砂金を含む砂等と水との混合物を吸引して持ち上げ、ジェット流体により加速して流動させると共に、前記混合物の流動過程で比重選によって砂金と、砂等とを分別することを特徴とした砂金掘削分別方法である。 また他の発明は砂金を含む砂等と水との混合物を持ち上げる揚砂管を所定の深度まで挿し込み、要すれば粘土層などの砂層以外を加圧流体で破砕穿孔し、前記揚砂管の下端を砂層に突入させると共に、吸引力を付与して地上に持ち上げ、ついて地上を横方向に移動させて、その間に前記混合物の流速を変えて比重選することを特徴とした砂金掘削分別方法である。 【0008】次に死すの発明は地中の砂金を含む砂等と水の混合物を持ち上げる揚砂管の上端部に、混合物を地表に沿って移動させる移送管の一端を連結すると共に、 概連結部付近に混合物を加速する加速手段を設置し、前記移送管の先端側に比重選別手段の複数を直列に連結したことを特徴とする砂金掘削分別システムである。 更に揚砂管の上部内側を減圧することにより、混合物が自動的に持ち上げられるようにし、持ち上げられた混合物の進行方向に加圧エアを吹き出して加速圧を付与すると共に、移送管の断面積を変化させて、混合物の流速を変え砂金の沈殿できる速度にしたものであり、砂金の沈殿位置に、砂金収容用の漏斗部を連設し、該漏斗部の下部に取出し口を設け、取出し口に開閉蓋を取付けたものである。 【0009】この発明は、砂等と水との混合物(例えば水分60〜80%)を移送管に導き、この混合物に加圧流体(例えばエア又は水)で加速させるもので、移送管の内径の80%までの大きさの固形物であっても容易に移送することができる。 【0010】前記混合物の経済的流速は、移送管の直径、加速流体の圧力その他掘削深度などにより異なるが、1m〜5m/secは使用可能の範囲であり、各種条件が異なる場合であっても2m〜3m/secは無理なく実用になる速度である。 【0011】移送管の内径は理論上特別の制約はないが、効率及び取扱いの容易性を考慮すれば内径0.3m 〜1mが支障の少ない寸法である。 【0012】例えば内径0.6mの移送管で、毎秒3m の速度で、水分75%の砂・水混合物を移送すれば、次のようになる。 【0013】1秒間に0.84m 3 1分間に50.8m 3 1時間に3.052m 3 10時間にほぼ30000m 3となる。 【0014】そこで水分75%とすれば、砂は10時間で7500m 3 (約19,000トン) 前記のように1回10時間で20000トン弱の砂を掘削移送できることになる。 砂金層における砂金の含有量は著しく幅広く、一概に判断することはできないが、仮に0.1%(現在採算割れとされている貧鉱)でも、日産20トン弱の砂金がとれることになる。 【0015】この発明により、移送管を垂直に設置した場合に、水位5m、移送管の下端深さを100mとすれば、下端には水柱95mの水圧が掛っていることになる。 従って地表より深さ25mまでの水を取除くように吸引すれば、水柱20mの圧力差で砂と水との混合物が上昇することになる。 この点は、移送管の下端深さが2 00m〜300mとなっても変りはないので、採砂手段としては、常時地表から深さ25mの間の水を取除くエネルギーを付与すれば、深度100m、200 m. . . . 等の砂層を連続掘削できる筈である。 即ち著しく小さいエネルギーで大深度の砂金含有の砂層を掘削処理できる。 【0016】 【発明の実施の形態】この発明は地中の砂層から砂等と水との混合物を地上に持ち上げ、これを横方向に流動中に比重選により砂金と砂等とを分別する砂金の掘削分別方法である。 【0017】また地中へ挿入した砂等と水との混合物を持ち上げる揚上管に混合物を地表に沿って流動させる移送管を連結し、該移送管の混合物を加速する加速手段を付与すると共に、前記混合物の流速を変化させる為の沈殿匣を所定の間隔で連設して砂金を沈殿分別するようにした砂金掘削分別システムである。 【0018】この発明における流体加速手段を移送管の適所に設ければ移送管の敷設距離が長大であっても、円滑容易に移送することができる。 【0019】 【実施例1】この発明の方法の実施例を図1、2に基づいて説明する。 地中の砂層1を吸引掘削し、揚砂管2で地表3まで持ち上げ、該地表3に沿って敷設した移送管4へ移送する。 この移送管4には加圧エアによる加速装置を付設してあって、砂と水との混合物を例えば3m/ secで移動する。 前記移送管4に比重分別匣5、6を所定間隔で直列に連結する。 比重分別匣5、6は、2個に限定することなく、比重分別が効率よく出来るように、流速変動量を勘案して定める。 【0020】前記のようにして比重分別したならば、水と砂とに分離し、要すれば砂を粒度別に分別することもできる。 前記砂金は一定量宛包装販売し、又は次工程へ運ぶことになる。 【0021】 【実施例2】この発明のシステムの実施例を図2、3、 4、5、6に基づいて説明する。 【0022】地表3から地中へ向って揚砂管2を挿入し、揚砂管2と地表に敷設した移送管4とを連結管8で連結する。 連結管8には、その屈曲部に加圧エア匣9を付設し、コンプレッサー11により生成した加圧エアを、エアパイプ10を介して加圧エア匣7に供給し、ノズル12から、連結管8内へ加圧エアを矢示13のように吹き込むことによって移送管4内の砂等と水との混合物を加速し、所定の速度(例えば3m/sec)で流動させる。 そこで移送管4内に図2中矢示13のような流動が生じると、連結管8を介し、揚砂管2にも矢示14 のように上向きの流動を生じる。 前記移送管4内に、3 m/secの流動が生じると、揚砂管2内にも等速の流動を生じることになり、揚砂管2の下端から、前記流動量に見合う砂と水が吸引される。 【0023】前記において揚砂管2の下端には水位15 との間にHの水圧が掛っているので、水位15から下方へXmの間の揚砂管2内の混合物を排除すれば、該部へ下方の混合物が自動的に補充されることになり、結局揚砂状態が継続される。 前記砂層が強圧を受けて深度による水圧以上の力を受けておれば、前記加圧エアなどによる加速装置を使用することなく、加圧圧縮された場所へ穴をあけると、砂等と水との混合物が吹き出す場合も十分あり得るが、この実施例では水圧ヘッド以外はないものとして記載した。 【0024】前記移送管4には、分離匣5、6、7が所定間隔で直列に連結してある。 前記分離匣5、6、7内は、移送管4の断面積より大きい断面積になっているので、その断面積に比例して流速が低下し、流速の低下に伴って砂等が浮力を失う。 そこで比重の大きい砂金が先ず沈降することになり、以下順次比重の大きいものから沈降して、分別することができる。 前記流速と比重分別との関係は砂金の形状、粒度などに関連するので、実験的に求めた法がより分別効率を向上することができる。 【0025】前記分離匣5、6、7を通過した後、更に他の分離手段(例えば遠心分離、一般水簸)を用いることもできるが、移送管による移送能力が大きいので、これを十分処理できる設備とすれば、分離匣が好適と思われる。 【0026】前記実施例において、揚砂管を挿入する際に、揚砂管の先端が粘土層又は岩層に当接した場合には、図6に示すように、揚砂管2の先端にジェットノズル16を下向に固定し、耐圧パイプ17を介して高圧水を前記ジェットノズル16から吹き出させると、粘土層18又は岩層などを容易に破砕することができる。 【0027】 【発明の効果】この発明によれば、砂金入り砂等を吸引して持ち上げ、移送管内を流動中に比重分離するので、 大量の砂等を能率よくかつ自動的に処理できる効果がある。 また高深度の砂層から砂等と水との混合物を持ち上げて自動的に分別できるので、従来掘削不能とした廃鉱から採算ベースによる採金し得る効果がある。 【図面の簡単な説明】 【図1】この発明の方法の実施例を示すブロック図。 【図2】同じく一部を省略した掘削断面図。 【図3】同じく一部を省略した平面図。 【図4】同じく加速手段の実施例の一部を破切した拡大図。 【図5】同じく比重分別の実施例の一部を破切した拡大図。 【図6】同じく揚砂管の実施例の下端部拡大図。 【符号の説明】 1 砂層 2 揚砂管 3 地表 4 移送管 5、6、7 比重分別匣 8 連結管 9 加圧エア匣 10 エアパイプ 11コンプレッサー 12 ノズル 15 水位 |