α- lactalbumin gene structure

申请号 JP50480296 申请日 1995-07-12 公开(公告)号 JPH10502816A 公开(公告)日 1998-03-17
申请人 ピーピーエル・セラピューティクス(スコットランド)リミテッド; 发明人 クーパー,ジュリアン; シュニーケ,アンジェリケ;
摘要 (57)【要約】 本発明は、タンパク質α−ラクトアルブミン、特にヒトα−ラクトアルブミンをウシ属の細胞中で発現するための組み換え遺伝子構造物を提供するものである。 新規遺伝子構造物、ベクターおよび形質転換した細胞が提供されると共に、トランスジェニック動物が、α−ラクトアルブミンの増強された発現のために遺伝子工学的に作りだされる。 ヒトα−ラクトアルブミンは、ヒトの乳児用栄養物として優れていることが示されており、本発明は、人乳中の主要なホエータンパク質の生産のための安価で効率的な形態を可能にする。
权利要求
  • 【特許請求の範囲】 1. ウシ属の動物の細胞中でα−ラクトアルブミンまたはその機能同等物もしくは一部を発現するために適応させた組み換え遺伝子構造物。 2. ヒトα−ラクトアルブミンまたはその機能同等物もしくは一部を発現するために適応させた請求項1に記載の構造物。 3. ウシα−ラクトアルブミンまたはその機能同等物もしくは一部を発現するために適応させた請求項1に記載の構造物。 4. 請求項1に記載の組み換え遺伝子構造物を含むベクター。 5. 請求項4に記載のベクターを含む宿主細胞。 6. そのゲノムに組み込まれた請求項1に記載の構造物を有するトランスジェニック動物。 7. 当該構造物をその子孫に伝播することができる、請求項6に記載のトランスジェニック動物。 8. 請求項6に記載のトランスジェニックウシ。 9. 請求項6に記載の泌乳する雌のトランスジェニック動物から乳汁を得ることを特徴とする、α−ラクトアルブミンの含有量が高められた乳を生産する方法。 10. 請求項9に記載の方法により生産された乳。 11. 請求項10に記載の乳から抽出されたα−ラクトアルブミン。 12. α−ラクトアルブミンまたはその機能同等物もしくは一部を発現するのに適応させた組み換え遺伝子構造物であって、当該構造物は、 a. SEQ ID Nos. 16〜20のいずれか1つの3′フランキング配列; b. SEQ ID No. 21の5′フランキング配列;および c. このような配列の一部からなる群から選択されるフランキング配列を有することを特徴とする構造物。 13. 第一の3′フランキング配列として、SEQ ID Nos. 16〜20 のいずれか1つの配列およびその実質的な一部からなる群から選択される配列を有し、第二の5′フランキング配列として、SEQ ID No. 21の配列またはその実質的な一部からなる群から選択される配列を有する、請求項12に記載の構造物。 14. ヒトα−ラクトアルブミンまたはその機能同等物もしくは一部を発現するのに適応させた請求項12に記載の構造物。 15. ウシα−ラクトアルブミンまたはその機能同等物もしくは一部を発現するのに適応させた請求項12に記載の構造物。 16. 請求項12に記載の組み換え遺伝子構造物を含むベクター。 17. 請求項16に記載のベクターを含む宿主細胞。 18. そのゲノムに組み込まれた請求項12に記載の構造物を有するトランスジェニック動物。 19. 当該構造物をその子孫に伝播することができる、請求項18に記載のトランスジェニック動物。 20. 請求項18に記載のトランスジェニックウシ。 21. 請求項18に記載の泌乳する雌のトランスジェニック動物から乳汁を得ることを特徴とする、α−ラクトアルブミンの含有量が高められた乳を生産する方法。 22. 請求項21に記載の方法により生産された乳。 23. 請求項21に記載の乳から抽出されたα−ラクトアルブミン。 24. pBBHA、pOBHA、pBAHA、pBova−A、pBova−B 、pHA1、pHA2およびそれらに由来する構造物からなる群から選択される組み換え遺伝子構造物。 25. そのゲノムに組み込まれた請求項24に記載の構造物を有するトランスジェニック動物。 26. 当該構造物をその子孫に伝播することができる、請求項25に記載のトランスジェニック動物。 27. 請求項25に記載のトランスジェニックウシ。 28. 請求項25に記載の泌乳する雌のトランスジェニック動物から乳汁を得ることを特徴とする、α−ラクトアルブミンの含有量が高められた乳を生産する方法。 29. 請求項28に記載の方法により生産された乳。 30. 請求項28に記載の乳から抽出されたα−ラクトアルブミン。 31. a. SEQ ID No. 16の配列; b. SEQ ID No. 17の配列;および c. このような配列の一部からなる群から選択される配列を有するポリヌクレオチド。 32. 請求項31に記載のポリヌクレオチドを含む組み換え遺伝子構造物。 33. 請求項32に記載の構造物を含むトランスジェニック動物。 34. 請求項33に記載のトランスジェニックウシ。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】 α−ラクトアルブミン遺伝子構造物 本発明は、タンパク質α−ラクトアルブミン、またはその機能同等物もしくは一部を発現するための組み換え遺伝子構造物に関する。 人乳は、他の種類の乳汁、特にウシ、ヒツジ、ラクダおよびヤギの乳汁よりも、ヒトの乳児用栄養物として優れていることが示されている。 しかし、多くの母親にとって、乳を与えることは困難であるかまたは面倒である。 さらに、乳児用食物補給が大量に要求される国々においては、乳製品が人乳の栄養上の利点を備えていることが高く望まれている。 人乳が、他の哺乳動物(例えばウシまたはヒツジ)からの乳汁と異なる主要な点の一つは、主要なホエータンパク質としてα−ラクトアルブミンが存在することである。 α−ラクトアルブミンは他の種類の乳汁に存在するが、その濃度は比較的低く、主要なホエータンパク質はβ−ラクトグロブリンである。 α−ラクトアルブミンの量は、種の間で異なっていて、人乳は約2.5mg/ml、乳は0.5〜1.0mg/ml、またマウスの乳汁は0.1〜0.8mg/ml含んでいる。 ウシα−ラクトアルブミンおよびヒトα−ラクトアルブミンタンパク質をコード化している遺伝子配列は明らかにされていて、配列情報は、vilotteらによってBiochemie 69 : 609-620(1987)、また、HallらによってBiochem J 242 : 735-7 42(1987)にそれぞれ公表されている。 本発明は、遺伝子工学技術を利用して、哺乳類の細胞中で発現させた時に乳汁中に1.0mg/mlより高い濃度、例えば1.2mg/mlまたはそれ以上の濃度のα−ラクトアルブミンを生産することができる組み換え遺伝子構造物を提供することを目的とする。 一般に上記構造物は、ヒト以外の動物、特にウシの細胞中で発現させるのに適応させる。 一面において、本発明は、α−ラクトアルブミン、またはその機能同等物もしくは一部を、ヒト以外の動物、好ましくはウシの細胞中で発現させるのに適応させた組み換え発現系を提供する。 好ましくは、本発明の組み換え発現系は、ヒトのα−ラクトアルブミンタンパク質、または機能同等物もしくは一部を発現させるのに適応させる。 「発現系」という述語は、本明細書中では、タンパク質コード化領域を含みタンパク質コード化領域の発現を果たすのに必要な遺伝子シグナルの全てに作動可能に連結されている遺伝子配列を指すために使用される。 場合により、当該発現系は、調節要素、例えばプロモーターまたはエンハンサーを含み、タンパク質コード化領域の転写および/または翻訳を上昇させ、あるいは、発現の間の制御を提供することもできる。 調節要素は、タンパク質コード化領域の上流または下流に位置することができ、あるいは、タンパク質コード化領域を分断するイントロン(非コード化部分)に位置することもできる。 あるいは、タンパク質コード化領域の配列自体が調節能を有することもできる。 「機能同等物」という述語は、上記配列またはタンパク質に機能上実質的に類似している誘導体を指している。 特に「機能同等物」という述語は、生物学的機能、特に乳汁生産における生物学的機能に著しく悪い影響を及ぼすことなくヌクレオチド塩基および/またはアミノ酸が付加、除去または置換されている誘導体を含む。 遺伝子工学は、研究においてのみならず商業上の目的のためにも、有効な技術として認識されている。 従って、遺伝子工学技術(ManiatisらMolecular Clonin g,a Laboratory Manual Cold Spring,Harbor Laboratory,Cold Spring Harbo r,New York 1982および"Principle of Genetic Engineering(遺伝子工学の原理)",Old and Primrose,第5版,1994を参照のこと,両者とも引用(reference) によって本明細書中に組み入れられる)を用いることによって、外来遺伝子材料を宿主細胞に移すことができ、外来遺伝子材料によってコード化されているタンパク質またはポリペプチドが、宿主によって複製されおよび/または宿主中で発現され得る。 簡易のために、遺伝子工学は、通常、原核生物、例えば大腸菌( E coli )のような細菌を宿主として用いて行われる。 しかし、真核生物、特に、酵母菌または藻類も使用されており、ある応用法においては、真核細胞培養が使用されることもあり得る。 遺伝子を単細胞胚の前核に顕微注入することによって、哺乳類種の遺伝子を変化させることは、Brinsterらによって、Cell 27 : 223-231,1981に記載されている。 ここでは外来遺伝子材料を、動物の受精卵に導入し、この受精卵は続いて胚になり、通常の方法で仮母に移植する。 真のトランスジェニック動物は、各細胞に外来DNAのコピーを含んでいる。 注入された遺伝子材料が、首尾よく宿主染色体に組み込まれると、その動物は「トランスジェニック」動物と言われ、導入遺伝子は、通常のメンデルの法則で、受け継がれる。 しかし、特に大型家畜、例えばブタ、ヒツジおよびウシについては、遺伝子移入操作のうち低率でしか成功しない。 現在まで、導入遺伝子がこのような動物について宿主染色体に組み込まれる位置を制御することは不可能であった。 本発明のために、単に「モザイク」ドナー動物を作出するだけであれば、ある状況においては、十分であるかもしれない。 この場合、導入遺伝子は、ある体器官だけの染色体コピーに組み込まれる。 モザイク動物は、一般に、外来DNAをもっと後の発達段階で胚に導入することによって作出される。 家畜類におけるトランスジェネシス(transgenesis)の最も見込みのある応用法の一つは、乳腺を「バイオリアクター」として利用して、乳汁中に薬学上または栄養上重要な組み換えタンパク質を生産させることを目的としている。 乳腺は、 外分泌により大量のタンパク質を生産するその能力のために、異種構造のタンパク質を発現させるための魅力的な器官である。 組み換えDNA技術を使用して、 ヒトまたは動物の消費に使用される牛乳のタンパク質組成を変えることができる。 例えば、牛乳における人乳タンパク質の発現は、乳児用調合乳(フォーミュラ)に応用すると、その栄養価を改善することができる(Strijkerら,Harnessing Biotechnology for the 21st Century,Ladisch & Boser編,American Chemical Society,pp.38-21(1992))。 上記応用法は共に、慣用のおよび高度の繁殖技術で生産者動物を繁殖させることによって、安価に生産能力を高めることができるという利点がある。 乳腺中で発現させようとする導入遺伝子を開発する第一段階は、関心のあるタンパク質のための遺伝子をクローニングすることである。 乳汁中へ発現させるために、乳汁中に発現させる主要な乳タンパク質のプロモーター遺伝子が使用される。 乳タンパク質遺伝子は、しっかりと調節されていて、乳腺以外の組織中で発現せず、他の組織中での不適当な発現からの動物への負の影響の可能性を最小限にする特徴を有している。 乳腺中で異種構造のタンパク質を発現させるために使用される調節遺伝子の中には、α−S 1 −カゼイン(Strijkerら,1992,前出) 、β−ラクトグロブリン(Wrightら,Bio/Technology 9 :831-834(1991))、ホエー酸性タンパク質(Ebert & Schindler,Transgenic Farm animals: Progress R eport(1993))およびβ−カゼイン(Ebert & Schindler,1993,前出)がある。 新たに作られた遺伝子構造物は、通常、ウシでの使用にそれを採用する前に、 トランスジェニックマウス中で試験される。 トランスジェニックマウスから得られた乳汁は、組み換えタンパク質の量について分析される。 十分な乳汁が得られたら、そのタンパク質を単離して、その構造上の特徴と生物学的活性を試験することができる。 ウシでの使用のための特定の遺伝子構造物の選択は、主として、 結果として得られる組み換えタンパク質の発現レベルと信頼性の両方を考慮して行われる。 ウシでのトランスジェネシスは、通常、遺伝子構造物の数百のコピーを、接合体中の2つの前核のうちの一方に顕微注入することによって開始される。 接合体は、生体内で(in vivo)卵管から得ることができ(Roschlauら,Arch Tierz.Berl in 31 :3-8(1988); Roschlauら,J.Reprod.Fertil.(suppl 38)中,Cell Biol ogy of Hammalian Egg Manipulation,Greveら編(1989); Hillら,Theriogenolo gy 37 :222(1992); BowenらBiol Reprod. 50 :664-448(1994))、あるいは、試験管内で(in vitro)成熟させた卵母細胞の試験管内受精によって得ることができる(Krimpenforthら,Biotechnology 9 :844-847(1991); Hillら,1992,前出; Bow enら,1993 前出)。 位相差、NomarskiまたはHoffmann干渉コントラスト光学で、前核を目に見えるようにするために、ウシ接合体を、15,000×gで数分間遠心分離して不透明な液体を除去しなければならない。 DNA構造物の数百のコピーを含む2〜4plの緩衝液を、前核に注入する。 導入遺伝子は、顕微注入プロセスにおいて機械的破砕から生じる染色体DNA中の任意の切断物(random breaks)に組み込まれると考えられる。 導入遺伝子が接合体段階でDNA複製の前に組み込まれて、成長した動物中の全ての細胞が導入遺伝子を含むことを確実にするのが理想的である。 一般に、導入遺伝子のいくつかの「コピー」は、互いに線状に連結して、単一染色体上の単一部位に組み込まれる。 組み込み部位はランダムである。 組み込みはおそらく、一回目のDNA複製の後に、およびおそらく2または4細胞段階でも起こり(Wall & Seidel,1992)、その結果、導入遺伝子の点でモザイクの動物となる。 確かに、導入遺伝子が体細胞組織中で検出される動物の30%までが、導入遺伝子をそれらの子孫に伝播しない(または予期される50%より少ない子孫に伝播する)。 顕微注入後、胚を、直接宿主の卵管に移すか、数日間培養してから宿主ウシの子宮に移す。 導入遺伝子の組み込みの確認は、出生後の子ウシから取った組織のサザンブロット分析によって行う。 導入遺伝子の発現は、適当な組織、またはこの場合乳汁中の遺伝子生産物を分析することによってわかる。 顕微注入後の胚の生存、導入遺伝子の組み込み頻度、発現の頻度および発現レベル、ならびに生殖系列伝播の頻度は、注入したDNA構造物の量と品質、使用したマウスの系統(B rinsterら,Proc.Natl.Acad Sci.USA 82 :4438-4442(1985))および顕微注入を行うオペレーターの腕前と技術によって変わる。 この基本的なアプローチは、トランスジェニックヒツジ(Wrightら,1991,前出)、ヤギ(Ebert & Schindler, 1993,前出)、ブタ(Rexroad & Purcel,Proc 11th Intl.Congr.Anim.Reprod .AI.Dublin 5 :29-35(1988))およびウシ(Krimpenfortら,1991,前出; Hill ら,1992,前出; Bowenら,1994,前出)を作出するために日常的に使用されている。 引用は、国際公開第88/01648号(出願人はImmunex Corporation)、国際公開第88/00239号および国際公開第90/05188号(両者とも出願人はPharmaceutical Proteins Limited)についても、組み換え遺伝子構造物の生産についての適当な技術および手順、このような構造物を組み込むトランスジェニック動物の生産および泌乳する成熟した雌の哺乳動物の乳腺中でのコード化されたタンパク質の発現を開示するためになされる。 これらの参考文献および上記参考文献の記載は引用によって本明細書中に組み入れられる。 引用はさらに、マウスα−ラクトアルブミン遺伝子をヒトα−ラクトアルブミン遺伝子と置換するノックアウト実験を開示するStaceyらによるMolecular and Cellular Biology 14(2) :1009-1016(1994年2月)についてもなされる。 しかし、この論文(引用によって本明細書中に組み入れられる)はα−ラクトアルブミンタンパク質の発現を報告していない。 一実施態様において、本発明は、自然に存在する遺伝子のノックアウトによる以外の技術によって作りだされる発現系を提供する。 さらに別の面で、本発明は、トランスジェニック哺乳類の動物であって、α− ラクトアルブミン(好ましくはヒトα−ラクトアルブミン)またはその機能同等物もしくは一部を発現するように適応させた組み換え発現系を組み込んでいる細胞を有する動物を提供する。 一般に、組み換え発現系は、トランスジェニック動物のゲノムに組み込まれ、従って遺伝性であって、その結果このようなトランスジェニック動物の子孫がそれ自身、導入遺伝子を持ち得、従って本発明はこれにも及ぶ。 適当なトランスジェニック動物は、ヒツジ、ブタ、ウシおよびヤギを含む(がこれらには限定されない)。 さらに、本発明は、このような発現系を含むベクターおよびこのような組み換え発現系(場合によりベクターの形の)で形質転換した宿主細胞を包含する。 さらに別の面で、本発明は、本発明の組み換え発現系の発現によって生産されるα−ラクトアルブミン、好ましくはトランスジェニック哺乳動物中で生産されるこのようなα−ラクトアルブミンを提供する。 α−ラクトアルブミン遺伝子は、泌乳する雌の哺乳動物の乳腺中で自然に活性化される。 従って、本発明の組み換え発現系によって発現されるタンパク質はそのような時に生産され、乳汁成分として排出されるであろう。 関心のあるタンパク質を、ホルモンまたは他の処理を通じて乳汁分泌を引き起こすことによって生産することも可能であり得る。 このようなα−ラクトアルブミンを含む加工した乳製品にも本発明は及ぶ。 一つの好ましい実施態様において、本組み換え発現系は、pHA1、pHA2 、pBBHA、pOBHA、pBAHA、pBova−AまたはpBova−B と呼ばれる構造物を含む。 構造物pHA1、pHA2、pBBHA、pOBHA およびpBAHAはヒトα−ラクトアルブミンを発現し、従って好ましく、特にpHA2が好ましい。 構造物pHA2は、1995年2月15日にNCIMBに受託番号NCIMB 40709で寄託された。 同様に上に挙げた特定の構造物を含むトランスジェニック哺乳動物が好ましい。 さらに、ヒトα−ラクトアルブミン遺伝子が存在する本発明により活性化された乳汁の単位容積あたりのα−ラクトアルブミンの濃度の増大に加えて、生産される乳汁の容積も増大することが見いだされた。 この発見は、まったく予期されておらず、このためにヒトα−ラクトアルブミン遺伝子(またはその機能同等物もしくは一部)を含む構造物およびトランスジェニック動物(特にウシ)は本発明の好ましい実施態様である。 我々は、理論的な考察に拘束されることを望んでいないが、ヒトα−ラクトアルブミン遺伝子のプロモーター領域は、ヒトによるα−ラクトアルブミンの増強された自然の発現について部分的にしか原因にならないとさらに思っている。 増強された発現は、本発明の組み換え発現系中に、タンパク質コード化領域の隣の3′配列および/またはタンパク質コード化領域それ自体の隣の5′配列を入れることによって得ることができると思われる。 ヒトα−lac遺伝子のタンパク質コード化領域の3′および5′末端側のフランキング配列は、初めて配列決定された。 3′フランキング領域の配列の一部(ヌクレオチド1〜264、1331〜2131、2259〜2496、251 9〜2680および3481〜3952)が、SEQ ID Nos. 16〜2 0中に存在し、他方、5′フランキング領域の完全な配列が、SEQ ID N o. 21中に存在している。 実験において、これらの配列の一方または両方は、 α−ラクトアルブミンタンパク質の発現レベルの驚くほど著しい上昇を与えることが観察された。 発現のこの上昇は、タンパク質コード化領域が、ヒトα−ラクトアルブミンのみならず、非ヒトα−ラクトアルブミンである時にも観察され得る。 SEQ ID Nos. 16〜20および21の配列は共に、人乳中のα−ラクトアルブミンの発現のより高いレベルの一因となると思われ、それ故それらは本発明のさらに別の面を構成する。 さらに別の面で、本発明は、SEQ ID Nos. 16〜20のいずれか1 つまたはSEQ ID No. 21、あるいはその部分または機能同等物の中に実質的に並んでいる配列を有するポリヌクレオチドを提供する。 ポリヌクレオチドは、どんな形(例えばDNAまたはRNA、二本鎖または一本鎖)でもよいが、一般に二本鎖DNAが最も便利である。 同様に、本発明によるポリヌクレオチドは、組み換え遺伝子構造物の一部として存在することもでき、その構造物はそれ自体ベクター(例えば発現ベクター)中に含まれていてもよく、またはトランスジェニック動物の染色体に組み込まれていてもよい。 上記ポリヌクレオチドを含むベクターまたはトランスジェニック動物は本発明のさらに別の面を形成する。 さらに別の面から見ると、本発明は、組み換え発現系(好ましくは、α−ラクトアルブミン(好ましくはヒトα−ラクトアルブミン)またはその一部または機能同等物を発現するように適応させた)であって、野性型α−ラクトアルブミン遺伝子のEcoRIおよびXhoI制限部位の間に位置しているポリヌクレオチドおよび野性型ヒトα−ラクトアルブミン遺伝子のBamHIおよびEcoRI 制限部位の間に位置しているポリヌクレオチドから選択されるポリヌクレオチド、またはその一部もしくは機能同等物を含む組み換え発現系を提供する。 一つの好適な実施態様において、本発明の組み換え発現配列は、上記両方のポリヌクレオチド、それらの一部および機能同等物を含む。 本発明は、上記組み換え発現系を含むベクターおよびこのようなベクターで形質転換された細胞も包含する。 さらに、本発明は、導入遺伝子が上記組み換え発現系を含む、トランスジェニック動物を構成する。 図1は、例1で検討され、ウシα−ラクトアルブミンPCRプライマーの配列を示す。 図2は、例1および4で検討され、ウシα−ラクトアルブミンPCRプライマーおよび生産物の位置を示す。 図3は、例2で検討され、ヒトα−ラクトアルブミン遺伝子に関する2つの重複するゲノムλクローン(pHA−2およびpHA−1)の制限地図を示す。 図4は、例3で検討され、ウシβ−ラクトグロブリン遺伝子に関する3つの重複するゲノムλクローンの制限地図を示す。 図5は、例4で検討され、非トランスジェニックマウス乳汁に対するウシα− ラクトアルブミントランスジェニックマウス群(run)からのスキムミルクのSD S−PAGE分析を示す。 図6は、例5で検討され、ヒトα−ラクトアルブミン導入遺伝子構造物を示す。 図7は、例5で検討され、非トランスジェニックマウス乳汁に対するヒトα− ラクトアルブミントランスジェニックマウス群(run)からのスキムミルクのSD S−PAGE分析を示す。 図8は、例5で検討され、ヒトα−ラクトアルブミン標準に対するヒトα−ラクトアルブミントランスジェニックマウス群(run)からの乳汁のウェスタン分析を示す。 図9は、例6で検討される導入遺伝子構造物PKU1〜PKU4に関するPC Rクローニング計画を示す。 図10は、例6で検討されるPKUプライマー1〜10の配列を示す。 図11は、ヌル(null)および人体で作られるものと同じ性質にしたα−ラクトアルブミン対立遺伝子の構造を示す。 図12は、α−ラクトアルブミンを欠乏する泌乳乳腺からの全RNAのノーザン分析である。 図13は、標的のマウス系統からのα−ラクトアルブミンのウェスタン分析を示す。 図14は、野性型およびα−lac -の泌乳乳腺の組織構造分析である。 図15Aは、ヒト置換およびマウスα−ラクトアルブミンmRNAを識別するために使用したRNase保護アッセイ法を示し、図15Bは、マウスおよびヒト置換α−ラクトアルブミンmRNAのRNase保護アッセイ結果を示す。 図16は、疎性相互作用クロマトグラフィーによるα−ラクトアルブミンの定量を示す。 SEQ ID Nos. 16〜20は、以下に示す、内在性ヒトα−ラクトアルブミン遺伝子のタンパク質コード化領域の3′末端側にあるBamHI部位からベクター制限部位(EcoRI部位を含む)までの配列の一部を示す: SEQ ID No. 16:ヌクレオチド1〜264(すべてを含んだ) SEQ ID No. 17:ヌクレオチド1331〜2131(すべてを含んだ) SEQ ID No. 18:ヌクレオチド2259〜2496(すべてを含んだ) SEQ ID No. 19:ヌクレオチド2519〜2680(すべてを含んだ) SEQ ID No. 20:ヌクレオチド3481〜3952(すべてを含んだ) SEQ ID No. 21は、内在性ヒトα−ラクトアルブミン遺伝子のタンパク質コード化領域の5′末端側にあるEcoRI制限部位からXhoI制限部位までの配列を示す。 より詳細には、図11の上の部分に、野性型マウスの遺伝子座が示されている。 転写された領域の位置および方向は、矢印で示されている。 翻訳終止部位およびRNAポリアデニル化(polyadenylation)部位も示されている。 中央の部分は、ヌル対立遺伝子の構造を示している。 しま模様の帯は、HPRT選択可能カセットを示している。 下の部分には、ヒト置換対立遺伝子の構造が示されている。 格子じまの帯は、ヒトα−ラクトアルブミンフラグメントを示している。 転写開始、翻訳終止およびポリアデニル化部位が示されている。 示されている制限酵素部位は次のものである:HindIII(H);BamHI(B);XbaI( X)。 図12に示される2つのオートラジオグラフは、ヒトα−ラクトアルブミンプローブを用い、続いてラットβ−カゼインプローブを用いる、同一のメンブランフィルターの反復ハイブリット形成を示す。 使用したプローブは、各オートラジオグラフの下に示されている。 各レーンのRNA源は、レーンマーカーの上に示されている。 図13のレーンAは精製されたヒトα−ラクトアルブミンを含む。 レーンB〜 Fは、標的のマウスからの乳汁試料を示し、遺伝子型は、レーンマーカの上に示されている。 レーンGおよびHは、曝した時間がレーンCおよびDより短かいものである。 図14に示す光学顕微鏡写真は、乳房組織のヘマトキシリン/エオシン染色切片である。 各乳腺の遺伝子型が示されている。 図15A中、α−lac h対立遺伝子中のマウスとヒトDNAの間の3′結合は、翻訳終止部位とポリアデニル化シグナルの間にある。 ヒトα−ラクトアルブミンmRNAは、3′の翻訳されない末端に120bpのマウス配列を含む。 ヒト置換およびマウスα−ラクトアルブミンmRNAは、マウスRNAプローブとのハイブリッド形成によって検出され、リボヌクレアーゼ消化から保護されたR NAフラグメントの大きさによって識別された。 ヒト配列は、格子じまの帯によって示され、マウス配列は、影付きの帯によって示されている。 示されている制限酵素部位は、次のものである:HindIII(H);BaI(B);Xba I(X)。 図15B中に示されているオートラジオグラフは、5%ポリアクリルアミド尿素薄層ゲルに関するものである。 RNA源は、レーンマーカーの上に示されている。 レーンAは、リボヌクレアーゼで消化されていないマウスRNAプローブとハイブリッドを形成した野性型RNAを示す。 レーンD〜Jは、α−lac m / α−lac hヘテロ接合体からのRNA試料を示し、数字はそれぞれのマウスを示し、量に関する推定の拠り所が図15に示されている。 保護されたフラグメントの予想される大きさが示されている。 図16の上の部分には、3つの乳汁試料のフェニル−セファロース溶出グラフが示されている。 1はα−lac h /α−lac hホモ接合体(マウス#22); 2はα−lac m /α−lac hヘテロ接合体(マウス#76);3は、α−la c m /α−lac m野性型である。 下の部分には、積分したピーク面積に対してプロットした既知量のヒトα−ラクトアルブミンの標準曲線が示されている。 以下、本発明を例を用いてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。 例1−ウシα−ラクトアルブミン遺伝子のクローニングウシα−ラクトアルブミンの3つの既知の変種があり、そのうちB型が最もありふれたものである。 Bos(Bos)nomadicus fd. indicusからのA変種は、B変種と、残基10で異なっている:A中のGluは、B中ではArgに置換されている。 Bos(Bibos)javanicusからのC変種に関する配列の相違点は立証されていない(McKenzie & White,Advances in Protein Chemistry 41,173-315(199 1))。 ウシα−ラクトアルブミン遺伝子(B型をコード化している)を、ゲノムDNAから図1に示したPCRプライマーを用いてクローニングした。 プライマーに次の配列番号を付した: Ba−2 SEQ ID No 1 Ba−7 SEQ ID No 2 Ba−8 SEQ ID No 3 Ba−9 SEQ ID No 4 全PCR反応中のDNA源は、ホルスタイン(Holstein-Friesian)ウシからの血液である。 プライマーBa−9をプライマーBa−8と組み合わせて用いて増幅されたプロモーター領域の長さは0.72kbである。 このBamHI/EcoRIフラグメントを、Bluescript中でクローニングした(pBA−P0.7)。 プライマーBa−7をプライマーBa8と組み合わせて用いて増幅されたプロモーター領域の長さは2.05kbである。 このBamHI/EcoRIフラグメントを、Bluescript中でクローニングした(pBA−P2)。 0.72kbの5′フランキング領域と0.3kbの3′フランキング領域を含むウシα−ラクトアルブミン遺伝子全体を、プライマーBa−9をプライマーBa−2と組み合わせて用いて増幅した。これらのプライマーは、BamHI制限酵素認識部位を含み、これは、増幅した3kbフラグメントをpUC18のB amHI部位に直接サブクローニングすることを可能にして、構造物pBova −Aを生じさせた(図2を参照のこと)。クローンpBA−P2からのBamHI/EcoRVフラグメントの、pBO VA−aのEcoRV/BamHIフラグメントとの結合により、構造物pBO VA−Bを生じさせた(図2を参照のこと)。 TAQポリメラーゼはプルーフリーディング活性を欠いているので、増幅したウシα−ラクトアルブミンDANが、公表されているウシα−ラクトアルブミンと同一であることを確実にすることが極めて重要であった。配列分析は、全てのエクソンと2つのプロモーターフラグメントを交差して行った。ウシα−ラクトアルブミンエクソンとvilotteによって公表されているものとの比較は3つの変化を示した: (i) エクソンI +759でCからA。 5′非コード化領域; (ii) エクソンI +792でCTAからCTGへ。共にロイシンをコード化する(iii)エクソンII +1231でGCGからACGへ。アラニンからスレオニンへこれはタンパク質のよりありふれた「B」型を示している。 PCR増幅中の配列の読み違えをありえないとすることはできないが、上記食い違いはおそらくウシDNA源における違いのためと思われた。 例2−ヒトα−ラクトアルブミン遺伝子のクローニングヒトα−ラクトアルブミンのDNA配列は公表されている(Hallら,Biochem. J., 242 : 735-742(1987)。ヒト配列を用いて、PCRプライマーを作って、ヒトのゲノムDNAからの2つの小さいフラグメント、一方は遺伝子の5′末端にあり、他方は3′末端にある、をクローン化した。これらをpUC18ベクターにサブクローニングし、そしてプローブとして用いて市販の(Stratagene)λゲノムライブラリーをスクリーニングした。α−ラクトアルブミン遺伝子を含む2つの組み換えバクテリオファージ、4aおよび5b.1を確立された方法(Sambro okら,Molecular Cloning第2版,Cold Spring Harbor Laboratory(1989))によって単離した。制限地図は、これらのクローンは共にヒトα−lac遺伝子に関する完全なコード化配列を含むが、存在する5′および3′配列の量が異なることを証明した(図3)。クローン5b.1からのエクソンならびにクローン4a のエクソンおよび5′フランキング領域の配列分析は、これらが公表されている配列と同一であることを示した。 3′配列の一部は、SEQ ID Nos.16〜20中に示され、5′配列は、SEQ ID No.21として示されている。 例3−ウシβ−ラクトグロブリン遺伝子(bBLG)のクローニングウシBLG(pBLG)のDNA配列は、公表されている(Jamiesonら; Gene ,61; 85-90,(1987); Wagner,未公表,EMBL Data Library: BTBLACEX(1991))。 ウシ配列を用いて、PCRプライマーを作って、ウシBLG遺伝子の5′部分からのフラグメントをクローニングした。これをpUC18ベクターにサブクローニングし、そしてプローブとして用いて市販のウシ(Stratagene)λゲノムライブラリーをスクリーニングした。3つのゲノムλクローンを単離し、制限酵素分析によって特徴づけた(図4を参照のこと)。これらのクローンの中の2つ(BB 13、BB17)は完全なpBLGコーディング領域と種々の量のフランキング領域を含んでいるが、クローンBB25はコーィング領域を欠き、もっぱら5′ フランキング領域からなっている。配列分析は、このクローンの末端はATG翻訳開始部位の12bp上流にあることを示した。クローンBB13およびBB1 7の完全な挿入断片を含むSal I フラグメントを、クローンBB25からのEcoR I フラグメントと同様に、pUC18にサブクローニングした( 後者はpBluescriptにクローニングした)(図4)。 例4−ウシα−ラクトアルブミン構造物の構築および発現 導入遺伝子構造物(図2)

    kbの5′フランクおよび0.3kbの3′フランクからなり、3kb Bam HI フラグメントとしてBluescriptベクターにクローニングした。 pBova−Bは3つのフラグメントからなる: 1. クローンpBA−P2からの1.47kb BamHI〜EcoRVフラグメント。 2. クローンpBova−Aからの2.78kb EcoRV〜BamHIフラグメント。 3. クローニングベクターBluescriptの消化されたBamHI。

    トランスジェニックマウスにおけるウシα−ラクトアルブミンの発現 2つの構造物pBova−AおよびpBova−B(図2)を、マウス胚に注入し、トランスジェニック動物を作出した。 クーマシーブルーで染色したSDS −PAGEゲル(クーマシーゲルと呼ぶ)による乳汁分析およびα−ラクトアルブミンの標準量との比較は、ウシα−ラクトアルブミンの発現レベルは、pBo まで変動することを示した(図5および表1を参照のこと)。

    表1は、クーマシーゲル上のタンパク質標準との比較によって推定したトランスジェニックマウス乳汁中のウシα−ラクトアルブミンの相対レベルを示している。

    例5−ヒトα−ラクトアルブミン構造物の構築と発現 α−ラクトアルブミンは、ヒトの主要なホエータンパク質であり、β−ラクトグロブリンは、ヒツジおよびウシの主要なホエータンパク質である。 α−ラクトアルブミンの発現レベルは、種の間で異なっており、人乳は約2.5mg/ml 、牛乳は0.5〜1.0mg/ml、また、マウスの乳汁は0.1〜0.8mg /ml含んでいる。 ヒトα−ラクトアルブミン遺伝子の最大の発現を可能にする配列を明らかにするために、いくつかの異なる構造物を作った。 これらは、a) ヒトα−ラクトアルブミン遺伝子座に由来する、異なる量の5′および3′フランキンング領域、b)ウシα−ラクトアルブミン遺伝子座に由来する5′フランキング領域、またはc)ウシまたはヒツジβ−ラクトグロブリン遺伝子に由来する5′フランキング領域を含む。 ヒツジβ−ラクトグロブリン遺伝子プロモーターを使用して、マウスの乳汁中で異種構造の遺伝子を高く発現させる(>10m g/ml)ことに成功した。

    導入遺伝子構造物(図6) pHA−1は、7kb EcoRI/SalIフラグメントとしてpuc18 にクローニングされたλクローン5b. 1に由来するヒトα−ラクトアルブミン pHA−2は、19kbのSalIフラグメントとしてpuc18にクローニングされたλクローン4aに由来するヒトα−ラクトアルブミンコード化領域、 pOBHA(ヒツジβ−ラクトグロブリン、ヒトα−ラクトアルブミン)は4 つのDNAフラグメントから構成されていた: 1. ヒツジβ−ラクトグロブリンプロモーター(prom.)を含む4.2kb S alI/EcoRVフラグメント(国際公開第90/05188号パンフレットを参照のこと); 2.8bpのBclIリンカーおよび、blunt/BglIフラグメントとして使用されたヒトα−ラクトアルブミン配列の塩基15〜77に対応する74 bpの合成オリゴヌクレオチド; 3. 塩基77のBglI部位および3′フランク中のXhoI部位の間の領域を含むλクローン4aに由来する6.2kbのBglI/PstI ヒトα−ラクトアルブミンフラグメント; 4. PstIおよびSalIで切断されたpSL1180(Pharmacia)。 pBBHA(ウシβ−ラクトグロブリン、ヒトα−ラクトアルブミン)は4つのDNAフラグメントから構成されていた: 1. クローンBB25−3に由来し、EcoRI/EcoRVフラグメントとして使用されたウシβ−ラクトグロブリンプロモーターを含む3.0kbのEc oRIフラグメント; 2.8bp BclIリンカーおよび、blunt/BglIフラグメントとして使用されたヒトα−ラクトアルブミン配列の塩基15〜77に対応する74 bpの合成オリゴヌクレオチド; 3. 塩基77のBglI部位および3′フランク中のXhoI部位の間の領域を含むλクローン4aに由来する6.2kbのBglI/PstI ヒトα−ラクトアルブミンフラグメント; 4. EcoRIおよびPstIで切断されたBluescriptベクター。 pBAHA(ウシα−ラクトアルブミン、ヒトα−ラクトアルブミン)は、4 つのDNAフラグメントから構成されていた: 1. クローンpBA−P0.7に由来するウシα−ラクトアルブミンプロモーターを含む0.72kbのBamHI〜StuIフラグメント; 2. blunt/BglIフラグメントとして使用されたヒトα−ラクトアルブミン配列の塩基15〜77に対応する62bpの合成オリゴヌクレオチド; 3. 塩基77のBglI部位および3′フランク中のXhoI部位の間の領域を含むλクローン4aに由来する6.2kbのBglI/PstI ヒトα−ラクトアルブミンフラグメント; 4. BamHIおよびPstIで切断されたBluescriptベクター。

    トランスジェニックマウスにおけるヒトα−ラクトアルブミンの発現上記5つの構造物を、マウス胚に注入し、トランスジェニックマウスを作出した。 全ての構造物が、マウスの乳汁中でヒトα−ラクトアルブミンを発現した。 ヒトα−ラクトアルブミン遺伝子およびそれぞれ異なる量のフランキング領域を mlの間で発現した(213.5 pHA−2)。 ヒツジまたはウシBLGプロモーターのいずれかによって作動するヒトα−ラクトアルブミン遺伝子を含むp OBHAおよびpBBHAは、わずかに低い発現レベルを有していた。 0.72 kbのウシα−ラクトアルブミンプロモーターによって作動するヒトα−ラクトアルブミン遺伝子を含むpBAHAは、pHA−1またはpH−2と同様の発現レベルを有していたが、トランスジェニック動物の中の低率は、検出可能なレベルのタンパク質を発現した。 この知見は、ウシα−ラクトアルブミン遺伝子を作動する同一のウシプロモーター配列が非常に悪い結果を与えたので、意外である(例4およびvilotteら; FEBS,第297巻,1.2.13-18(1992)を参照のこと)。 表2にトランスジェニックタンパク質の相対量を簡単に示す。 これらの動物からのスキムミルクを、クーマシーブルーで染色したSDS−PAGE、等電点電気泳動、市販の抗ヒトα−ラクトアルブミン抗体(Sigma)で視覚化したウェスタンブロットおよびクロマト電気泳動によって分析した。 これらの分析からの結果は、トランスジェニックタンパク質が、ヒトα−ラクトアルブミン標準(Sigma) と比べて、正確な大きさ、pIおよび抗原性を有することを示した。

    表2は、クーマシーゲルおよびウェスタンブロット上のタンパク質標準との比較によって推定したトランスジェニックマウス乳汁中のヒトα−ラクトアルブミンの相対レベルを示す。 数匹のマウスからの結果を、図7および図8に示す。 図7は、対照の非トランスジェニックマウス乳汁に対するトランスジェニックマウススキムミルク群のS DS−PAGE分析を示す。 図8は、ヒトα−ラクトアルブミン標準に対するヒトα−ラクトアルブミントランスジェニック乳汁群のウェスタンブロットを示す。

    例6−生体内のヒトα−ラクトアルブミンプロモーターの制御下での変異原を

    与えたウシα−ラクトアルブミンの発現ヒトα−ラクトアルブミン導入遺伝子の発現は、自然のウシα−ラクトアルブミン導入遺伝子の発現よりもかなり高く、内在性のウシおよびヒト遺伝子の発現レベルの違いを反映している。 これは、5′コントロール領域の違いによって引き起こされているかもしれないので、ウシα−ラクトアルブミン転写開始部位の5′領域を、ヒトα−ラクトアルブミン遺伝子からの配列と置換した。 2つの構造物、すなわち、表3に示すアミノ酸置換を含んでいるPKU−5およびPKU−1Hを作った。 次の配列番号を、使用したPCRプライマーに割り当てた。 PKU−1 SEQ ID No. 5 PKU−2 SEQ ID No. 6 PKU−2L SEQ ID No. 7 PKU−3 SEQ ID No. 8 PKU−4 SEQ ID No. 9 PKU−5 SEQ ID No. 10 PKU−6 SEQ ID No. 11 PKU−7 SEQ ID No. 12 PKU−8 SEQ ID No. 13 PKU−9 SEQ ID No. 14 PKU−10 SEQ ID No. 15 PKU−5 第一クローニング工程において、次の3つのフラグメントをpUC18のEc oRI/BamHI部位にサブクローニングした: (1)PKU−プライマー7を8(図10を参照のこと)と組み合わせて使用するPCR増幅によって得られたEcoRI〜PvuIフラグメント; (2)PKU−プライマー9を10(図10を参照のこと)と組み合わせて使用するPCR増幅によって得られたPvuI〜BsaBIフラグメント;および(3)pBAから得られたBsaBI〜HindIIIフラグメント。 最終構造物は次の6つのDNAフラグメントを含んでいた: (1)λクローン4a(図3)から得られたヒトα−ラクトアルブミンプロモーターを含む3.7kbのSalI〜KpnIフラグメント; (2)KpnI部位からAUGまでのヒトα−ラクトアルブミン配列およびAU GからHapI部位までのウシα−ラクトアルブミン配列を含む152bpの合成オリゴヌクレオチド; (3)第一サブクローニング工程からの1.25kbのHpaI〜HindII Iフラグメント; (4)pBAに由来する0.95kbのHindIII〜BglIIフラグメント; (5)BamHIフラグメントとして使用されたλクローン4a(図3)に由来するヒトα−ラクトアルブミン遺伝子の3′フランクからの3.7kbのBam HI〜XhoIフラグメント;および(6)SalIおよびBamHIで切断されたBluescript KS−ベクタ。 PKU−1Hは、PKU−1に由来するフラグメント(3)を除いて、PKU −5と同じ方法で構成された。 PKU−1は、次の6つのDNAフラグメントから構成された(図9を参照のこと): (1)pBOVA−6に由来する2.04kbのSstI〜HpaIフラグメント; (2)PCR生産物A(PKU−プライマー対1および2;図10を参照のこと)に由来する0.46kbのHpaI〜PvuIフラグメント; (3)PCR生産物B(プライマー対3および4;図10を参照のこと)に由来する0.60kbのPvuI〜BsaBIフラグメント; (4)pBOVA−6に由来する0.22kbのBsaBI〜HindIIIフラグメント; (5)pBOVA−6に由来する0.95kbのHindIII〜BglIIフラグメント; (6)SstIおよびBglIIで消化されたベクターpSL1180。 トランスジェニックマウスにおける発現 2つの構造物PKU−1HおよびPKU−5を、マウス胚に注入した。 今までのところでは、トランスジェニック動物は、PKU−5構造物について得られた。 これらの動物は、乳汁分析を可能にするために、繁殖に供される。

    例7−マウスにおけるα−ラクトアルブミン欠乏の中断およびヒトα−ラクト

    アルブミン遺伝子置換の挿入の泌乳に及ぼす効果材料および方法 マウス系統 以前に記載されたようにして(Fitzgeraldら,J.Biol.Chem

    245 :2103-2108) 、ヌルα−ラクトアルブミン対立遺伝子および人体で作られるものと同じ性質にしたα−ラクトアルブミン置換対立遺伝子を有するマウスを、Balb/c対(m ates)に対してそれぞれ標的の胎児性幹細胞クローンM2およびF6から作りだされたキメラを繁殖させることによって得た。 この系統の繁殖の間、α−ラクトアルブミン遺伝子型を、尾の生検から調製したゲノムDNAのサザン分析によって決定した。 RNA分析 全RNAを、Auffray & Rougeonの方法によって(Eur.J.Biochem

    107 :303-1 4)、分娩後506日目の雌のマウスの腹部の乳腺から調製した。 ノーザン分析を一般的方法(Sambrookら,Molecular cloning)に従って行った。 ハイブリッド形成に使用したプローブは次のものであった:完全なマウスα−ラクトアルブミン遺伝子を含む3.5kbのBamHIフラグメント;および1.1kbのラットβ−カゼインcDNA(BlackburnらNucl.Acids Res

    10 :2295-2307)。 RNAse保護分析

    32 P−CTP標識アンチセンスRNAを、T7 PNAポリメラーゼ(Promega )によって、Bluescript KS中でクローン化した455bpのHindIII−B alIマウスα−ラクトアルブミンフラグメント(図15A)から転写した。 転写反応、溶液ハイブリッド形成およびRNAse消化の条件は、Promegaによって推奨されている通りとした。 保護したフラグメントは、ポリアクリルミドゲル電気泳動によって分離し、オートラジオグラフィーによって視覚化した。 乳汁組成および収量分析 乳汁試料を、Hypnorm(Roche)/Hypnovel(Janssen)麻酔をかけて3〜7日の乳汁分泌の間に集めた。 150mUのオキシトシン(Intervet)を、腹腔内注射によって投与し、乳汁を、静かにマッサージすることによって排出させた。 乳汁脂肪含有率を、Fleet & Linzell(J.Physiol

    175 :15)によって記載されているようにして測定した。 脱脂した乳汁を、タンパク質についてアッセイし(BradfordA nalyt.Biochem

    72 :248-54)、ラクトースを、Bergmeyer & Bertの方法(Methods in Enzyme Analysis

    3 :1205-1212)から適応させた方法によってβ−ガラクトシダーゼ(Boehringer)、グルコースオキシダーゼおよびペルオキシダーゼ(Sigma) で連続してインキュベートすることによって酵素により測定した。 乳汁収量は、Knightらによって記載された滴定水技術(Comp.Biochem.Physio l

    84A :127-133)を用いて、乳を飲む幼いマウスで、3〜6日間の乳汁分泌の間に48時間にわたって推定した。 乳汁α−ラクトアルブミン分析および定量 乳汁試料を、16%のSDS−PAGEゲル(Novex)、およびImmobilon P膜上のウェスタンブロットで分析した。 α−ラクトアルブミンを、ラビット抗ヒトα −ラクトアルブミン抗血清(Dako)、続くヤギ抗ラビットIgGペルオキシダーゼ抗体抱合体との吸着によって検出し、増強した化学発光系(Amersham)で視覚化した。 乳汁試料中のα−ラクトアルブミンを、フェニル−セファロースクロマトグラフィーによるα−ラクトアルブミンのカルシウム依存精製のためのLindahlらの方法(Analyt.Biochem

    140 :394-402)の変法によって定量した。 乳汁試料を、 27%w/v硫酸アンモニウム溶液で1:10に希釈し、室温で10分間インキュベートしそして遠心分離した。 上清を等容積の100mM Tris/Cl, pH7.5,70mM EDTAと混合し、50mM Tris/Cl,pH7 . 5,1mM CaCl

    2で予備平衡化したフェニル−セファロース(Pharmacia )のカラム(詰めた容積200μl)上に載せた。 カラムを同一の緩衝液で洗浄し、α−ラクトアルブミンを50mM Tris/Cl,pH7.5,1mM CaCl

    2で溶出した。 カラムの280nmでの光学吸光度を監視し、α−ラクトアルブミンフラクションに対応する積分したピーク面積をコンピューターで計算した。 標準曲線は、0〜2.46mg/mlの既知量の精製したヒトα−ラクトアルブミンを用いて作った(図16)。 組織構造 産後6日目の泌乳している母親から子供を2時間離し、母親を犠牲にし、胸部の乳腺を、普通の方法で、解剖し、緩衝剤で処理した中性のホルマリン中で保存し、パラフィン包埋し、ヘマトキシン/エオシンで染色した。 結果 マウスα−ラクトアルブミン遺伝子欠失 完全なマウスα−ラクトアルブミンコード化領域を包含する2.7kbのフラグメントおよび0.57kbのプロモーターが除かれ、ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT)選択マーカー遺伝子を含む2.7kbのフラグメントと置換されたマウス系統を、Staceyら,1994(前出)に記載されたようにして作出した(図11を参照のこと)。 この対立遺伝子を持つ動物をα− lac

    -と称する。 野性型マウスα−ラクトアルブミン対立遺伝子は、α−la c

    mと称する。 乳汁分泌の5日目に採取した乳腺からのRNAのノーザン分析は、α−ラクトアルブミンmRNAがα−lac

    - /α−lac

    -ホモ接合体中にないことを示し(図12を参照のこと)、標的のα−ラクトアルブミン遺伝子が除去され、α− ラクトアルブミンmRNAの他の源が存在していないことを裏づけた。 β−カゼインRNAとの同一RNAのハイブリッド形成を、全ての試料について行った( 図12を参照のこと)。 α−ラクトアルブミン欠乏は、乳汁分泌以外にマウスに明らかな効果をもたらさない。 α−lac

    - /α−lac

    -ホモ接合体およびα−lac

    m /α−lac

    -

    ヘテロ接合体は雄雌共に外観、挙動および繁殖性に関して正常である。 しかし、 α−lac

    - /α−lac

    -ホモ接合体の雌は、うまく同腹子を育てることができない。 それらの子は、成長できず、最初の5〜10日の寿命で死亡する。 ホモ接合体α−lac

    - /α−lac

    -の雌の子を、野性型の仮母に移すと、正常に生きる。 反対に、ホモ接合体α−lac

    - /α−lac

    -母親に移された野性型母親からの子供は、生命を維持しない。 表4は、α−lac

    - /α−lac

    -母親によって育てられた子は、α−lac

    m /α−lac

    m野性型マウスによって育てられた子の体重のほぼ半分であることを示している。 乳汁収量の推定は、これと一致し、α−lac

    m /α−lac

    -ヘテロ接合体は、野性型と似た量の乳汁を作るが、α−lac

    - /α−lac

    -ホモ接合体の収量は、激しく減少した(表4)。 乳汁は、手で搾乳することによって各遺伝子型から得、そしてかぎ成分の組成を分析した。 α−lac

    m /α−lac

    -ヘテロ接合体からの乳汁は、野性型乳汁と外観は区別ができず、野性型に似た脂肪およびタンパク質含有量を示した(表4)。 ラクトース濃度はα−lac

    m /α−lac

    -ヘテロ接合体において僅かに減少するように見えたが、統計学上の分析は、この相違は重要でないことを示した。 対照的に、α−lac

    - /α−lac

    -ホモ接合体からの乳汁は、ねばねばし、乳頭から絞り出すのが困難であり、野性型と組成が著しく異なっていた。 脂肪含有率は、野性型よりもほぼ60%大きく、タンパク質含有量は、ほぼ88%大きく、ラクトースは事実上存在していなかった。 使用したラクトースアッセイ法は、ラクトースをグルコースに酵素により変換することを伴うので、α−lac

    - /α−lac

    -雌において検出された見かけの0.7mMラクトースは、乳汁グルコース含有量を表している。 野性型乳汁中のグルコースの直接アッセイは、1 . 8mMの濃度を示した。 乳タンパク質のウェスタン分析によって、α−lac

    - /α−lac

    -ホモ接合体からの乳汁中のα−ラクトアルブミンを検出することができなかった(図13 、レーンFを参照のこと)。 これは、フェニル−セファロースクロマトグラフィーによって確認された。 このフェニル−セファロースクロマトグラフィーは、α −ラクトアルブミンを特に確認するために使用される技術であって、乳α−ラクトアルブミン含有量の量的推定を得るために適応させたものである(表5;図1 6も参照のこと)。 α−lac

    - /α−lac

    -ホモ接合体からの乳汁に適用すると、α−ラクトアルブミンは全く検出されなかった。 対照的に、α−lac

    m / α−lac

    -ヘテロ接合体乳汁中のα−ラクトアルブミン濃度は、0.043m g/mlと推定された。 これは、野性型の濃度のほぼ半分であった(表5)。 乳汁試料のα−ラクトアルブミン含有量は、フェニル−セファロースクロマトグラフィーによって推定された。 値は平均±SEである。 括弧内の数字は、分析した母親の数を示す。 α−ラクトアルブミン欠乏は、乳腺発達に明らかな効果を及ぼさない。 表4は、野性型、ヘテロ接合体α−lac

    m /α−lac

    -およびホモ接合体α−lac

    - /α−lac

    -の泌乳する母親の乳房組織の全重量があまり異なっていないことを示す。 乳腺の光学顕微鏡分析(図4)は、ヘテロ接合体およびホモ接合体α− lac

    - /α−lac

    -乳腺が組織学的に正常であることを示した。 しかし、ホモ接合体乳腺の小胞および管は、拡張し、脂肪小滴に富んだ材料でぎっしりであった。 ヒトα−ラクトアルブミンによるマウスのα−ラクトアルブミンの置換 我々は、マウスα−ラクトアルブミン遺伝子座にヒトα−ラクトアルブミン遺伝子を持つマウスを作った。 α−lac

    -ヌル対立遺伝子のところで除かれた2 . 7kbのマウスα−ラクトアルブミンフラグメントを、完全なヒトα−ラクトアルブミンコード化領域および5′フランキング配列を含む2.97kbのフラグメントによって置換した。 ヒトフラグメントは、ヒト翻訳開始部位の0.77 kb上流から、ヒト翻訳終止部位の136bp3′末端側のEcoRI部位まで伸びている。 マウス配列との結合は、マウス翻訳開始部位の0.57kb上流のBamHI部位と、マウス翻訳終止部位の147bp3′末端側のXbal部位とで行われた(Staceyら,1994,前出を参照のこと;また図11も参照のこと)。 ここに我々は、α−lac

    hと呼称するこの対立遺伝子を持つ動物に関する我々の分析結果を記載する。 マウスα−ラクトアルブミン遺伝子の欠失は、α−ラクトアルブミン欠乏がラクトース合成を妨害し、乳汁生産をひどく混乱させることを証明した。 我々は、 α−lac

    h対立遺伝子を用いて、マウスα−ラクトアルブミンの不存在下で乳汁生産を元に戻すヒトα−ラクトアルブミンの能力を試験した。 α−lac

    m / α−lac

    hヘテロ接合体およびα−lac

    h /α−lac

    hホモ接合体マウスは、外観、繁殖性および挙動について正常であった。 α−lac

    - /α−lac

    -マウスと対照的に、α−lac

    h /α−lac

    hホモ接合体の母親は、明らかに正常な乳汁を生産し、子孫を育てるのに成功する。 表4は、α−lac

    m /α−lac

    hヘテロ接合体およびα−lac

    h /α−lac

    h

    ホモ接合体の雌によって育てられた子が、野性型の母親の子と、体重が似ていることを示している。 このことは、これらの動物が、子の代々の同腹子を全く正常な育てたという我々の観察によって支持される。 これらのデータは、ヒトの遺伝子がマウスの遺伝子に機能的に取って代わることができるという明白な証拠となる。 乳汁組成の分析(表4)は、ラクトース濃度が全ての遺伝子型で似ていることを示す。 タンパク質および脂肪の濃度は共にα−lac

    h /α−lac

    hホモ接合体動物において減ぜられたように見えるが、脂肪の減少だけが、無対のt−試験によって統計学上重要であると判断された。 これらの動物は、野性型に比べて乳汁容積の増大を示す(表4)。 ヒトおよびマウスα−ラクトアルブミンRNAの相対的定量 人乳は、マウスの乳汁(0.1mg/ml)よりもかなり多いα−ラクトアルブミンを含む(2.5mg/ml)。 我々は、ヒトα−ラクトアルブミンフラグメントが、マウス遺伝子座に置かれた時に高レベルの発現を保持するか、あるいは低レベルでマウス遺伝子の特性をより多く示すかを決めたいと思った。 α−l ac

    m /α−lac

    hヘテロ接合体マウスは、ヒト遺伝子の発現を同一動物においてそれのマウスの同等物と直接比べることができるので、この問題を処理する理想的な手段であった。 図15Aは、マウスおよびヒトα−ラクトアルブミンmRNAのレベルを比較するために使用した計画を示す。 ヒトおよびマウスα−ラクトアルブミン配列の間の結合が、ポリアデニル化部位の上流にあるので、α−lac

    h mRNAは、 3′末端に120塩基の翻訳されないマウス配列の「目印」を含んでいる。 均一に標識化したマウスRNAプローブを、リボヌクレアーゼ保護アッセイにおいて使用して、同じRNA試料の中でヒトおよびマウスα−ラクトアルブミンmRN Aを検出し識別した。 各mRANの相対的存在率を、ヒトおよびマウスmRNA によって保護されたフラグメント中の同位体の量から計算した。 リボヌクレアーゼ保護アッセイを行ってその結果を図15Bに示した。 レーンAは、消化されていない455塩基プローブを示し、レーンKは、酵母tRNA がどのフラグメントも保護しなかったことを示す。 野性型マウスRNAは、内在性マウスα−ラクトアルブミンRNAから、予測された305塩基RNAと一致するフラグメントを保護した(レーンBを参照のこと)。 ホモ接合体α−lac

    h /α−lac

    h乳腺RNAは、ヒトα−ラクトアルブミンmRNAによって保護された予測された120塩基RNAと一致するより小さいバンドを保護した(レーンCを参照のこと)。 レーンD〜Jは、一連のヘテロ接合体α−lac

    m /α −lac

    h動物と一致する結果が得られたことを示す(レーンD〜Jを参照のこと)。 各試料中の大小の保護されたフラグメントは、ヒトおよびマウスのα−ラクトアルブミンmRNAが共に存在することを示す。 保護されたフラグメントを、ゲルから取り、推定された大きさの違いおよびヒトα−ラクトアルブミンmR NAの、マウスα−ラクトアルブミンmRNAに対する比について調整して、ラジオアイソトープ含有量を測定した。 表6は、図15Bに示されたゲルのレーンD〜Jから取った305塩基および120塩基フラグメント中に存在するラジオアイソトープの量、ならびに各α−lac

    m /α−lac

    hヘテロ接合体中のヒトα−ラクトアルブミンmRNAの、マウスα−ラクトアルブミンmRNAに対する計算された比を示す。 個々の動物の間の変動はあるが、ヒトα−ラクトアルブミンmRNAは、マウスのmRNAよりもかなり豊富であることが明白である。 7つのα−lac

    m /α−lac

    hヘテロ接合体の平均は、ヒトα−ラクトアルブミンmRNAについて15倍大きい発現の値を示す。 レーンの名称は、保護されたフラグメントの源を示し、図15B中に示したものに対応している。 a. 数字は、1分あたりのカウント数を表している(c.p.m.) b. 2.54を乗じた(大きさの違いについて調整するために)120塩基フラグメントのc. p. m. と305塩基フラグメントのc. p. m. の間の比 ヒトα−ラクトアルブミンタンパク質発現 標的のマウス系統におけるα−ラクトアルブミンのウェスタン分析を行った。 ヒトα−ラクトアルブミンは、マウスα−ラクトアルブミンから、それのより速い電気泳動移動度によって識別することができる(レーンA、Bを参照のこと) 。 α−lac

    h /α−lac

    hホモ接合体およびα−lac

    h /α−lac

    mヘテロ接合体において突出して低いバンドが観察され(レーンC、D、G、Hを参照のこと)、ヒトα−ラクトアルブミン標準の位置に対応し、遺伝子ターゲティングによってまたは前核の顕微注入によって作出されたヒトα−ラクトアルブミンを発現するマウスでのみ観察された(データは示されていない)。 この同一性は、 フェニル−セファロースクロマトグラフィー(図16を参照のこと)および臭化シアン分解によって遊離されたペプチドの分析(データは示されていない)によって確認された。 マウスα−ラクトアルブミンに似て、より遅い移動度を持ったバンドは、同様に、性質が知られていないヒトα−ラクトアルブミン遺伝子生産物である。 この種類は、α−lac

    h遺伝子量と共に強度において異なり(レーンG、Hを参照のこと)、前核の顕微注入によって作られたヒトα−ラクトアルブミントランスジェニックマウスからの乳汁中にも存在していた(データは示されていない)。 乳汁試料のα−ラクトアルブミン含有量は、フェニル−セファロースクロマトグラフィーによって量った。 図16は、図13に示されているα−lac

    m /α −lac

    hヘテロ接合体およびα−lac

    h /α−lac

    hホモ接合体を含む3つの実例となる乳汁試料のカラム溶出液の重ねた吸光度グラフを示す。 溶出したα −ラクトアルブミンに対応するピークに印が付けられている。 α−ラクトアルブミン含有量は、積分したピーク面積を、示されたヒトα−ラクトアルブミン標準曲線と比較することによって推定した。 積分したピーク面積とα−ラクトアルブミン量との関係は、直線であって、再現性が高かった。 図16に示された試料についてのα−ラクトアルブミン含有量は次のように推定された:α−lac

    m / α−lac

    m野性型 0.1mg/ml;α−lac

    m /α−lac

    hヘテロ接合体#76 0.45mg/ml;α−lac

    h /α−lac

    hホモ接合体#22 0.9mg/ml。 表5は、標的のマウス系統および泌乳する婦人からの乳汁試料中のα−ラクトアルブミンの濃度を示している。 乳汁中のα−ラクトアルブミン濃度は、遺伝子量に直接関連していて、例えば、α−lac

    m /α−lac

    -ヘテロ接合体は、野性型のそれの半分のα−ラクトアルブミン濃度を示すことが明らかである。 これらのマウスによって生産される乳汁の容積が似ていると仮定すると(表4)、α−ラクトアルブミンの濃度は、合成された量の妥当な示度である。 α−lac

    m /α−lac

    hヘテロ接合体乳汁中のヒトおよびマウスα−ラクトアルブミン成分の相対的比率は、単一のマウス対立遺伝子からのα−ラクトアルブミン発現が0.043mg/mlであり、残りがヒトα−ラクトアルブミンを表すと仮定することによって、推定した。 これは、α−lac

    m /α−lac

    -

    ヘテロ接合体および野性型マウスによって発現されたα−ラクトアルブミンの量と一致している。 それ故、α−lac

    m /α−lac

    -ヘテロ接合体は、0.61 mg/mlのヒトα−ラクトアルブミンおよび0.043mg/m lのマウスα−ラクトアルブミンを発現すると推定された。 従って、ヒトα−ラクトアルブミンは、α−lac

    m /α−lac

    hヘテロ接合体乳汁においてマウスα−ラクトアルブミンよりも約14倍豊富である。 これは、mRNAの相対的比率と著しく一致する。

    例8 非相同遺伝子の増強された発現これらのデータによって、pHA−2構造物中に含まれる上流のプロモーター領域(AUG〜約−3.7kb)が非相同遺伝子の発現を増強することが確認される。 表7は、pHA−2トランスジェニック始祖雌からの乳汁分析の結果を示す。 10匹の雌から、6匹の動物が、高レベルのヒトのα−lacを発現した。 3匹の動物は、検出可能なレベルのヒトα−lac(この検定法において0.2 mg/mlより低い)を発現することができず、3匹全ては、導入遺伝子を伝播することもできなかった。 我々は、それらが弱い発現者であるかトランスジェニックでないかのいずれも確信することができない。

    表8 :構造物PKU−0〜PALT−Bは全て、ウシα−lacプロモーター(約2kb)を含んでいる。 構造物PKU−1H〜PKU−16は全て、ヒトα −lacプロモーター(3.7kb)を含んでいる。 ヒトα−lacプロモーターを使用すると、導入遺伝子の発現がほぼ100%まで増大した。 これらのデータは、ヒトα−lacプロモーターの使用が、ウシプロモーターより高い発現レベルを達成すること、およびウシプロモーターよりもより多くの動物において発現を引き起こすことを示している。

    ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl. 6識別記号 庁内整理番号 FI C12P 21/02 9735−4B C12N 5/00 B (31)優先権主張番号 08/381,691 (32)優先日 1995年1月31日(33)優先権主張国 米国(US) (31)優先権主張番号 9503822.0 (32)優先日 1995年2月25日(33)優先権主張国 イギリス(GB) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG ,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN, TD,TG),AP(KE,MW,SD,SZ,UG), AM,AT,AU,BB,BG,BR,BY,CA,C H,CN,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB ,GE,HU,IS,JP,KE,KG,KP,KR, KZ,LK,LR,LT,LU,LV,MD,MG,M N,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU ,SD,SE,SG,SI,SK,TJ,TM,TT, UA,UG,US,UZ,VN

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