Manufacturing and transgenic methods of recombinant polypeptide according to the cattle species

申请号 JP50179494 申请日 1993-06-15 公开(公告)号 JPH08504562A 公开(公告)日 1996-05-21
申请人 ジェン ファーミング ヨーロッパ ベスローテン フェンノートシャップ; 发明人 ストリカー、レイン; デボール、ヘルマン、エー.; ハイネカー、ヘルベルト、エル.; ピーパー、フランク; プラテンブルグ、ゲラルド; リー、サング、ヘ.;
摘要 (57)【要約】 トランスジェニックウシ種のミルク中に組み換えポリペプチドを製造するためのトランスジーンが、少なくとも一つの発現調節配列、ウシ種の乳房分泌細胞中で機能しうる分泌シグナル配列をエンコードする分泌DNA配列及び組み換えポリペプチドをエンコードする組み換えDNA配列を含む。 またトランスジェニックウシ種を製造するための方法。 該方法は、上記トランスジーンをウシ種の胚標的細胞中に導入すること、それにより形成したトランスジェニック標的細胞を宿主ウシ親中に移植すること及び、組み換えポリペプチドをミルク中に製造できる少なくとも一つの雌の子孫を同定することを含む。 本発明はまた、トランスジェニックウシ種並びにこのようなトランスジェニックウシ種からのミルクを含む。 方法はまた、所望の表現型を有するトランスジェニック非ヒト哺乳動物の製造のために提供される。 該方法は、最初にトランスジーンをメチル化し、次いで受精卵母細胞中に導入することを含む。 次いで、卵母細胞を着床前胚を形成するために培養する。 その後、少なくとも一つの細胞をそれぞれの着床前胚から取り出し、メチル化されたトランスジーンを切断できるが、トランスジーンのメチル化されていない形は切断できない制限エンドヌクレアーゼでDNAを消化する。
权利要求
  • 【特許請求の範囲】 1. トランスジェニックウシ種中で組み換えポリペプチドを製造するためのトランスジーンであって、該ウシ種の少なくとも一つの細胞タイプ中で機能しうる、 組み換えポリペプチドをエンコードする組み換えDNAに操作可能に連結された少なくとも一つの発現調節DNA配列を含むトランスジーンにおいて、該トランスジーンは、該組み換えポリペプチドを製造するために、該トランスジーンを含むウシ種の少なくとも一つの該細胞タイプ中で該組み換えDNA配列の発現を引き起こすことができるトランスジーン。 2. 該発現調節配列が血清アルブミンからの5′及び3′発現調節配列を含み、 該細胞タイプが肝臓細胞であり、該組み換えポリペプチドがヒト血清アルブミンであり、そして、該トランスジーンが更に該肝臓細胞中で機能できかつ該ヒト血清アルブミンをエンコードする組み換えDNAに操作可能に連結されている分泌DNA配列を含むところの、請求の範囲第1項のトランスジーン。 3. トランスジェニックウシ種のミルク中で組み換えポリペプチドを製造するためのトランスジーンであって、該ウシ種の乳房分泌細胞中で機能できる少なくとも一つの発現調節DNA配列、該ウシ種の乳房分泌細胞中で機能できる分泌シグナル配列をエンコードする分泌DNA配列及び組み換えポリペプチドをエンコードする組み換えDNA配列を含むトランスジーンにおいて、該分泌DNA配列は該組み換えDNA配列に操作可能に連結されて分泌−組み換えDNA配列を形成し、そして該少なくとも一つの発現調節配列は該分泌−組み換えDNA配列に操作可能に連結されており、このようにして、該トランスジーンは該トランスジーンを含むウシ種の乳房分泌細胞中で該分泌−組み換えDNA配列の発現を引き起こすことができて、該乳房分泌細胞から分泌されたときに、該ウシ種のミルク中に組み換えポリペプチドを製造する組み換えポリペプチドの形を製造するところのトランスジーン。 4. 更に組み換え介在配列を含む請求の範囲第1項又は第3項のトランスジーン。 5. 該組み換え介在配列がハイブリッド介在配列である請求の範囲第4項のトランスジーン。 6. 該ハイブリッド介在配列が許容されうるRNAスプライスシグナルを含む請求の範囲第5項のトランスジーン。 7. 該組み換えポリペプチドがウシ種からの同種ポリペプチドである請求の範囲第3項のトランスジーン。 8. 該同種ポリペプチドが、カゼイン、ラクトフェリン、リゾチーム、コレステロール加水分解酵素及び血清アルブミンからなる群より選ばれる請求の範囲第7 項のトランスジーン。 9. 該組み換えポリペプチドが異種ポリペプチドである請求の範囲第3項のトランスジーン。 10. 該異種ポリペプチドが、ヒトミルクタンパク質、ヒト血清タンパク質及び工業的酵素からなる群より選ばれる請求の範囲第9項のトランスジーン。 11. 該異種ポリペプチドがヒトミルクタンパク質である請求の範囲第10項のトランスジーン。 12. 該ヒトミルクタンパク質が、分泌免疫グロブリン、リゾチーム、ラクトフェリン、ラクトグロブリン、α−ラクトアルブミン及び胆汁塩に刺激されたリパーゼからなる群より選ばれる請求の範囲第11項のトランスジーン。 13. 該ミルクタンパク質がラクトフェリン又はリゾチームである請求の範囲第12 項のトランスジーン。 14. 該異種ポリペプチドがヒト血清タンパク質である請求の範囲第10項のトランスジーン。 15. 該ヒト血清タンパク質が、アルブミン、免疫グロブリン、因子VIII、因子IX 及びプロテインCからなる群より選ばれる請求の範囲第14項のトランスジーン。 16. 該血清タンパク質がアルブミンである請求の範囲第15項のトランスジーン。 17. 該異種ポリペプチドが、プロテアーゼ、リパーゼ、キチナーゼ及びリグニナーゼ(ligninase)からなる群より選ばれる工業的酵素である請求の範囲第10項のトランスジーン。 18. 該分泌DNA配列が、ヒトラクトフェリン、ヒト血清アルブミン、ヒトリゾチームからの分泌シグナル配列及びウシαS1−カゼイン、αS2−カゼイン、 β−カゼイン、κ−カゼイン、α−ラクトアルブミン、β−ラクトグロブリン及び血清アルブミンからの分泌シグナル配列をエンコードするDNA配列からなる群より選ばれる請求の範囲第3項のトランスジーン。 19. 該分泌DNA配列がウシαS1カゼインのシグナル分泌配列をエンコードするDNA配列である請求の範囲第18項のトランスジーン。 20. 該少なくとも一つの発現調節配列が、該分泌−組み換えDAN配列の5′末端に操作可能に連結された5′発現調節DNA配列を含む、請求の範囲第3項のトランスジーン。 21. 該5′発現調節DNA配列が、αS1−カゼイン、αS2−カゼイン、β− カゼイン、κ−カゼイン、α−ラクトアルブミン及びβ−ラクトグロブリンをエンコードするウシ遺伝子からの5′発現調節配列からなる群より選ばれる請求の範囲第20項のトランスジーン。 22. 該5′発現調節DNA配列が、ウシαS1−カゼインのプロモーターを含む近位5′発現調節配列である請求の範囲第21項のトランスジーン。 23. 該5′発現調節DNA配列が更に、ウシαS1−カゼインからの5′−フランキングDNA配列を含む遠位5′発現調節配列を含む、請求の範囲第22項のトランスジーン。 24. 該分泌−組み換えDNA配列の3′末端に操作可能に連結された3′発現調節配列を更に含む請求の範囲第20項のトランスジーン。 25. 該3′発現調節配列が、αS1−カゼイン、αS2−カゼイン、β−カゼイン、κ−カゼイン、α−ラクトアルブミン及びβ−ラクトグロブリンをエンコードするウシ遺伝子からの3′発現調節配列を含む、請求の範囲第24項のトランスジーン。 26. 該3′発現調節DNA配列が、ウシαS1−カゼインからの3′近位発現調節配列を含む請求の範囲第25項のトランスジーン。 27. 該3′発現調節配列が更に、ウシαS1−カゼインからの3′遠位発現調節配列を含む、請求の範囲第26項のトランスジーン。 28. 該遠位5′発現調節DNA配列がウシαS1−カゼインの約30kbの5′−フランキング領域を含み、かつ、該遠位3′発現調節DNA配列がウシαS1−カゼインの約15kbの3′−フランキング領域を含む、請求の範囲第27項のトランスジーン。 29. 組み換えポリペプチドをその動物の少なくとも一つの細胞タイプ中で製造できるトランスジェニックウシ種。 30. 組み換えペプチドを、そのトランスジェニック種のミルク中に製造できるトランスジェニックウシ種。 31. 該組み換えポリペプチドが、ウシ種からの同種ポリペプチドである請求の範囲第30項のトランスジェニックウシ種。 32. 該組み換えポリペプチドが異種ポリペプチドである請求の範囲第30項のトランスジェニックウシ種。 33. 該異種ポリペプチドが、ヒトミルクタンパク質、ヒト血清タンパク質及び工業的酵素からなる群より選ばれる請求の範囲第32項のトランスジェニックウシ種。 34. 該異種ポリペプチドがヒトミルクタンパク質である請求の範囲第33項のトランスジェニックウシ種。 35. 該ヒトミルクタンパク質が、分泌免疫グロブリン、リゾチーム、ラクトフェリン、ラクトグロブリン、α−ラクトアルブミン及び胆汁塩に刺激されたリパーゼからなる群より選ばれる請求の範囲第34項のトランスジェニックウシ種。 36. 該ミルクタンパク質がラクトフェリン又はリゾチームである請求の範囲第35 項のトランスジェニックウシ種。 37. 該異種ポリペプチドがヒト血清タンパク質である請求の範囲第33項のトランスジェニックウシ種。 38. 該ヒト血清タンパク質が、アルブミン、免疫グロブリン、因子VIII、因子IX 及びプロテインCからなる群より選ばれる請求の範囲第37項のトランスジェニックウシ種。 39. 該血清タンパク質がアルブミンである請求の範囲第38項のトランスジェニックウシ種。 40. 該異種ポリペプチドが、プロテアーゼ、リパーゼ、キチナーゼ及びリグニナーゼからなる群より選ばれる工業的酵素である請求の範囲第33項のトランスジェニックウシ種。 41. 組み換えポリペプチドを含むトランスジェニックウシ種からのミルク。 42. 該組み換えポリペプチドが、ウシ種からの同種ポリペプチドである請求の範囲第41項のミルク。 43. 該組み換えポリペプチドが異種ポリペプチドである請求の範囲第41項のミルク。 44. 該異種ポリペプチドが、ヒトミルクタンパク質、ヒト血清タンパク質及び工業的酵素からなる群より選ばれる請求の範囲第43項のミルク。 45. 該異種ポリペプチドがヒトミルクタンパク質である請求の範囲第44項のミルク。 46. 該ヒトミルクタンパク質が、分泌免疫グロブリン、リゾチーム、ラクトフェリン、ラクトグロブリン、α−ラクトアルブミン及び胆汁塩で刺激されたリパーゼからなる群より選ばれる請求の範囲第45項のミルク。 47. 該ミルクタンパク質がラクトフェリン又はリゾチームである請求の範囲第46 項のミルク。 48. 該異種ポリペプチドがヒト血清タンパク質である請求の範囲第43項のミルク。 49. 該ヒト血清タンパク質が、アルブミン、免疫グロブリン、因子VIII、因子IX 及びプロテインCからなる群より選ばれる請求の範囲第48項のミルク。 50. 該血清タンパク質がアルブミンである請求の範囲第49項のミルク。 51. 組み換えポリペプチドを含む、トランスジェニックミルクを含む食品処方。 52. 該組み換えポリペプチドが該トランスジェニックミルクより少なくとも部分的に精製されている請求の範囲第51項の食品処方。 53. 乳児処方のために適した栄養素が処方された請求の範囲第51項の食品処方。 54. ウシ種のミルク中に組み換えポリペプチドを製造しうるトランスジェニックウシ種を製造するための方法であって、 請求の範囲第1項のトランスジーンをウシ種の胚標的細胞中に導入し、 それにより形成されたトランスジェニック胚標的細胞又は、それから得られる胚を、宿主雌ウシ親に移植し、そして 該組み換えポリペプチドをミルク中に製造しうる少なくとも一つの雌の子孫を同定することを含む方法。 55. 所望の表現型を有するトランスジェニック非ヒト哺乳動物を製造する方法であって、 (a) 該トランスジェニックを非ヒト動物の細胞中へ組み込まれたときに該表現型を与えうるトランスジーンをメチル化し、 (b) 該メチル化されたトランスジーンを該非ヒト哺乳動物の受精卵母細胞中へ導入して、該受精卵母細胞のゲノムDNA中への該トランスジーンの組み込みを可能とし、 (c) このようにして形成された個々の卵母細胞を着床前胚まで培養し、それによってそれぞれの該受精卵母細胞のゲノムを複製し、 (d) 該着床前胚のそれぞれから少なくとも一つの細胞を取り出し、そして、 そこに含まれるDNAを遊離させるために該少なくとも一つの細胞を溶解し、 (e) 該遊離されたDNAを、該メチル化されたトランスジーンを切断できるが、該ゲノムDNA中に組み込まれそして該ゲノムDNAが複製された後に、形成された該トランスジーンのメチル化されていない形を切断できない制限エンドヌクレアーゼと接触させ、 (f) どの着床前胚が該トランスジーンを組み込んでいるかの指標として、該着床前胚からのどの細胞が該制限エンドヌクレアーゼによる切断に対して耐性であるトランスジーンを含むかを検出することを含む方法。 56. 少なくとも一つの細胞の該取り出しが、該着床前胚のそれぞれのための第1 及び第2の半胚を形成し、そして、該第1の半胚のそれぞれが、工程(d)〜(f )に従って溶解され、分析される請求の範囲第55項の方法: (g) 該第2の半胚の少なくとも一つをクローニングすること、及び(h) 複数のトランスジェニック胚を形成すること。 57. 該トランスジェニック胚の1以上を、宿主雌親中に移植して、同じ遺伝子型を有する少なくとも二つのトランスジェニック非ヒト動物を含む集団を製造することを更に含む請求の範囲第56項の方法。 58. ゲノム的に組込まれたトランスジーンを含む該着床前胚の残りを宿主雌親中に移植し、そして、該表現型を有する少なくとも一つの子孫を同定することを更に含む請求の範囲第55項の方法。 59. 該制限エンドヌクレアーゼがDPNIであり、かつ、該トランスジーンが、 該トランスジーン中に含まれる配列GATCのアデニンのN6においてメチル化されている、請求の範囲第55項の方法。 60. 該検出が、該GATC配列の上流及び下流の配列に対して相補的な伸長プライマーを用いるポリメラーゼ連鎖反応を利用する、請求の範囲第59項の方法。 61. 該非ヒトトランスジェニック哺乳動物がウシ種であり、該トランスジーンが組み換えポリペプチドをエンコードしており、そして、該所望の表現型が該ウシ種のミルク中に該組み換えポリペプチドを製造する能力である、請求の範囲第59 項の方法。 62. 該トランスジーンが請求の範囲第3項のトランスジーンである請求の範囲第61項の方法。 63. (i) ウシ5′発現調節配列、 (ii) ウシ種の乳房分泌細胞中で機能しうる分泌シグナル配列をエンコードする分泌DNA配列、 (iii) 組み換えポリペプチドをエンコードする組み換えDNA配列、但し該分泌DNA配列は、該組み換えDNA配列に操作可能に連結され、ここで分泌−組み換えDNA配列が形成され、該分泌−組み換えDNA配列は、該ウシ発現調節配列に操作可能に連結されていること、 (iv) 3′非翻訳配列、 (v) ウシ遺伝子の3′フランキング配列、 を含む、トランスジェニックウシ種のミルク中に組み換えポリペプチドを製造するためのトランスジーンであって、 該トランスジーンが、該トランスジーンを含むウシ種の乳房分泌細胞中に該分泌−組み換えDNA配列の発現を引き起こすことができて、該乳房分泌細胞から分泌されたときに該ウシ種のミルク中に組み換えポリペプチドを製造する組み換えポリペプチドの形を製造するところのトランスジーン。 64. 更に組み換え介在配列を含む請求の範囲第63項のトランスジーン。 65. 組み換え介在配列がハイブリッド介在配列である請求の範囲第64項のトランスジーン。 66. ハイブリッド介在配列が、ウシαS1−カゼインからの介在配列の5′部分及びIgG重鎖介在配列の3′配列部分を含む、請求の範囲第65項のトランスジーン。 67.3′配列部分が、IgG重鎖のJ−Cセグメント再配列と関連した3′スプライスシグナル配列である請求の範囲第66項のトランスジーン。 68. ウシ発現調節配列及び3′フランキング配列が同じウシ遺伝子由来である請求の範囲第63項のトランスジーン。 69. ウシ発現調節配列、3′非翻訳配列及び3′フランキング配列が同じウシ遺伝子由来である請求の範囲第63項のトランスジーン。 70. ウシ遺伝子がαS1−カゼインである請求の範囲第68項又は第69項のトランスジーン。 71. ウシ発現調節配列がウシαS1−カゼインの約30kbの5′フランキング領域を含み、3′フランキング配列がウシαS1−カゼインの約15kbの3′フランキング領域を含む、請求の範囲第70項のトランスジーン。 72. ミルクが、ミリリットル当たり50マイクログラムより多い組み換えポリペプチドを含む請求の範囲第3項又は第63項のトランスジーン。 73. 唾液中に組み換えポリペプチドを製造できるトランスジェニックウシ種。 74. トランスジェニックウシの精液。 75. (i) 5′発現調節配列、 (ii) ウシ種の乳房分泌細胞中で機能できる分泌シグナル配列をエンコードする分泌DNA配列、 (iii) 組み換えポリペプチドをエンコードする組み換えDNA配列、但し該分泌DNA配列は、該組み換えDNA配列に操作可能に連結され、ここで分泌−組み換えDNA配列が形成され、該分泌−組み換えDNA配列は、5′発現調節配列に操作可能に連結されていること、 (iv) 3′非翻訳配列、及び (v) ヒト遺伝子からの3′フランキング配列、 を含む、トランスジェニックウシ種のミルク中に組み換えポリペプチドを製造するためのトランスジーンであって、 該トランスジーンが該トランスジーンを含むウシ種の乳房分泌細胞中に分泌− 組み換えDNA配列の発現を引き起こすことができて、乳房分泌細胞から分泌されたときにウシ種のミルク中に組み換えポリペプチドを製造する組み換えポリペプチドの形を製造するところのトランスジーン。 76.5′発現調節配列がウシ配列である請求の範囲第75項のトランスジーン。 77.3′フランキング配列がヒトラクトフェリン(hLF)遺伝子由来である請求の範囲第75項又は第76項のトランスジーン。 78.3′フランキング配列が長さが9キロベースペアである、請求の範囲第77項のトランスジーン。 79. 組み換えポリペプチドがヒトラクトフェリンである請求の範囲第77項のトランスジーン。 80.5′発現調節配列、分泌DNA配列、組み換えポリペプチドをエンコードする組み換えDNA配列、3′非翻訳配列及び3′フランキング配列がヒト遺伝子由来である請求の範囲第75項のトランスジーン。 81. ヒト遺伝子がラクトフェリン遺伝子である請求の範囲第80項のトランスジーン。 82. ヒトポリペプチドをエンコードするヒトゲノムフラグメントをウシ種の胚標的細胞中に導入し、 それにより形成されたトランスジェニック胚標的細胞又は、それから得られた胚を宿主雌ウシ親中に移植し、そして 組み換えポリペプチドをミルク中に製造しうる少なくとも一つの雌の子孫を同定することを含む、ウシのミルク中にヒトポリペプチドを発現する方法。 83. ヒトポリペプチドがラクトフェリンである請求の範囲第82項の方法。
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    【発明の詳細な説明】 ウシ種による組み換えポリペプチドの製造 及びトランスジェニック法発明の分野 本発明は、トランスジェニックウシ種による組み換えポリペプチドの製造及び所望の表現型を有するトランスジェニック非ヒト動物の製造方法に関する。 発明の背景下等生物例えば、単細胞バクテリア、酵母及び糸状菌、及び高等細胞タイプ例えば哺乳動物細胞中での異種遺伝子の発現に関する極めて多くの文献がある。 また、トランスジェニック動物の製造についての非常に多くの報告があり、それらの大部分は、トランスジェニックマウスの製造に関するものである。 例えば、米国特許第4736866号明細書(活性化されたオンコジーンを含むトランスジェニックマウス);Andres,A. ら、1987年Proc. Natl. Acad. Sci. USA 、第84巻、第1 299〜1303頁(乳漿酸タンパク質プロモーター制御下でのHA-RASオンコジーン) ;Schoenberger,C. A. ら、1987年、 Experientia 、第43巻、第644頁、及び1988 年、 EMBO. J. 、第7巻、第169〜175頁(乳漿酸タンパク質プロモーターの制御下でのC‐mycオンコジーン);及びMuller,W. J. ら、1988年、 Cell 、第54 巻、第105〜115頁(マウス乳ガンウィルスプロモーターの制御下でのC‐mycオンコジーン)を参照。 また、いくつかの研究室では、トランスジェニックブタ種(Muller,K.F.ら、1989年、 J.Endocrin 、第120巻、第481〜488 頁(トランスジェニックブタでのヒト又はウシ成長ホルモン遺伝子の発現);Vi ze,P.D.ら、1988年、 J.Cell Sci. 、第90巻、第295〜300頁(トランスジェニッックブタでのブタ成長ホルモン融合遺伝子);及びEbert,K.ら、1988年、 Mol.Endocrin. 、第2巻、第277〜283頁(トランスジェニックブタでのMML V‐ラット ソマトトロピン融合遺伝子))、トランスジェニックヒツジ(Nanc arrowら、1987年、 Theriogenology 、第27巻、第263頁(ウシ成長ホルモン遺伝子を含むトランスジェニックヒツジ)、Clark A.J.ら、1989年、 Bio/Technology 、第7巻、第487〜482頁及びSimon,J.ら、1988年、 Bio/Technology 、第6巻、 第179〜183(ヒツジ種でのヒト因子IX及びα‐1抗トリプシン CONA)及びウサギ(Hanover,S.V.ら、1987年、 Deutche Tierarztliche Wochenschrift 、 第94巻、第476〜478頁(受精ウサギ卵母細胞中へのウテログロブリン‐プロモーター‐CAT融合遺伝子の注入によるトランスジェニックウサギの製造)の製造を報告している。多くの報告はまたトランスジェニックウシの製造を示唆しており(Wangerら、1984年、 Theriogenology 、第21巻、第29〜44頁)、その一つはマイクロインジェクション技術(Lohse,J.K.ら1985年、 Theriogenology 、第23 巻、第205頁)の進歩を報告している。しかしながら、トランスジェニック乳の製造の成功は、たとえあったとしても、ほとんどない。異種のタンパク質を製造できるトランスジェニック乳牛の実際の製造を明らかに示している科学的な論文は現在、知られていない。ヒトβ‐インターフェロンを発現するトランスジェニック乳牛ウシが、カナダで製造された(Van Brunt,J.、1988年、 Bio/Te chnology 、第6巻、第1149〜1155頁)、そして、肝臓及び血液中でのヒトα‐フェトプロテインの一時的発現がある場合に得られた(Church,R. B.,1986年、B iotechnology News Watch ,第6巻(15)、第4頁)という記述にもかかわらずにである。 ある文献は、ウシパピローマウィルスがトランスジェニック乳牛中に明らかに組み込まれたが発現されなかったことを報告している(Roschlauら、19 88年、 Arch.Tierz 、ベルリン、第31巻、第3〜8頁)。 ある最近の論文は、家畜の遺伝工学を要約している(Pursel,V.G.ら、1989年、 Science 、第244巻、 第1281〜1288頁)。 多くの研究室が、乳腺での種々のタンパク質をエンコードするDNAの組織特異的発現又はトランスジェニックマウス及びヒツジのミルク中での種々のタンパク質の製造を報告している。 例えば、Simmons,J. P. ら、1987年、 Nature 、第3 28巻、第530〜532頁は、4kbの5′配列、4.9kbのBLG転写単位及び7.3kbの3 ′フランキング配列を含むβ‐ラクトグロブリン(BLG)をエンコードする16 .2kbのゲノムフラグメントの、受精したマウス卵へのマイクロインジェクションを報告している。 これらの著者に従えば、ヒツジBLGは、乳房組織中で発現され、そしてトランスジェニックマウスのミルク中に約3.0〜約23mg/mlの範囲の濃度にてBLGを製造した。 しかしながら、ヒト因子IX又はヒトα1‐抗トリプシンをエンコードするcDNAが、B LG遺伝子の5′非翻訳領域中に挿入され、そして、ヒツジ中へマイクロインジェクションされた(Simmons,J.P.ら、1988年、 Bio/Techonology 、第6巻、第179〜183頁)場合は、因子IX又はα1‐抗トリプシンの製造は非常に減少している(因子IXは25ng/ml及びα1‐抗トリプシンは10mg/ml、Clark,A.J.ら、198 9年、 Bio/Techonology 、第7巻、第487〜492頁参照)。 伝えられるところによると、類似のアプローチで、3.5kbの5′フランキングDNA及び3.0kbの3′フランキングDNAとともに無傷の7.5kbのラットβ‐カゼインを含む14kbのゲノムクローンが受精マウス卵母細胞中にマイクロインジェクションされた。 Leeら、1988年、 Nucl. Acids Res. 、第16巻、第1027〜1041頁。 このケースでは、また、トランスジェニックマウスの乳分泌乳腺中のラットβ ‐トランスジーンの発現レベルは、内在性マウスβ‐カゼイン遺伝子の0.01〜1 %のレベルにあると報告された。 伝えられるところによると、ヒトの組織プラスミノーゲン活性化因子(t‐P A)をエンコードするcDNAがその内在性分泌配列とともに、乳漿酸タンパク質遺伝子の2.6kbの5′配列の制御下で発現されると、ヒトt‐PAは、トランスジェニックマウスミルク中に、0.2〜約0.4μg/mlのレベルで製造された。 Gord on,K. ら、1987年、 Bio/ Techonology 、第5巻、第1183〜1187頁。 伝えられるところによると、同じ又は類似の構築物を用いたそれに続く実験により、種々のマウスの系統において、ミルク1ml当たり20ng未満から50μg/mlまでの範囲でt‐PAが製造された。 Pitt ius,C. W. ら、1986年、 Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 、第85巻、第5874 〜5878頁。 1989年10月10日発行の米国特許第4873316号明細書は、成熟t‐PA配列に融合されたカゼインシグナルペプチド及びいくつかのカゼインコドンを含むウシα S1カゼイン遺伝子からの9kbの5′配列の使用を開示している。 伝えられるところによると、この構築物によって得られたトランスジェニクマウスは、ミルク中に約0.2〜0.5μg/mlのt‐PA融合タンパク質を製造した。 更に、うわさによれば多くの特許出願が、トランスジェニックマウス及びヒツジのミルク中においての特定のタンパク質の製造を述べている。 例えば、1988年4月20日発行のヨーロッパ特許公開第0264166号公報(マウスでの乳房組織特異的発現のための乳漿酸プロモータータンパク質の制御下での肝炎B表面抗原及びt‐PA遺伝子);1988年1月14日発行のPCT公開番号WO88/00239 号公報(ヒツジでの乳漿タンパク質プロモーターの制御下での因子IXをエンコードするトランスジーンの組織特異的発現);1988年3月10発行のPCT公開番号WO88/01648号公報(インターロイキン‐2に融合されたウシα‐ラクトアルブミン遺伝子を含む組み換え発現系を取り込んでいる乳房分泌細胞を有するトランスジェニックマウス);1988年、8月24日発行のヨーロッパ特許公開第0279582号公報(トランスジェニックマウスでのラットβ‐カゼインプロモーターの制御下でのクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼの組織特異的発現);1988年、12月29日発行のPCT公開番号WO8 8/10118号公報(t‐PAに融合されたウシαS1カゼインプロモーター及びシグナル配列をエンコードするトランスジーンを含むトランスジェニックマウス及びヒツジ)を参照。 トランスジェニックの技術の状況を考えると、トランスジェニック哺乳動物、 特にトランスジェニックマウス以外のトランスジェニック哺乳動物の効率的な製造を可能にする方法が必要であることが明らかである。 更に、このようなトランスジェニック哺乳動物のミルク中に、組み換えポリププチド、例えばヒトミルクタンパク質及びヒト血清タンパク質を製造できるトランスジェニックウシ種を製造するための方法が必要であることが明白である。 従って、本発明は、着床に先立ち受精卵母細胞のトランスジェネシス(transg enesis)を検出する方法を提供することが一つの目的である。 更に、本発明は、細胞内に維持されるか又は細胞外に分泌される組み換えポリペプチドを製造できるトランスジェニックウシ種を提供することが一つの目的である。 また本発明は、このようなトランスジェニック動物のミルク中に、組み換えポリペプチド例えば、ヒトミルクタンパク質及びヒト血清タンパク質を製造できるトランスジェニックウシ種を提供することが一つの目的である。 更に、本発明は、このような組み換えポリペプチドを含むトランスジェニックウシ 種からのミルクを提供することが一つの目的である。 更にまた、本発明は、このようなトランスジェニックミルクからの組み換えポリペプチドが補われた食品処方例えばヒトラクトフェリンが補われたヒト乳児用処方を提供することが一つの目的である。 更に、本発明は、トランスジェニックウシ種のミルク中での組み換えポリペプチドの製造を導くことができるトランスジーンを提供することが一つの目的である。 本明細書中で述べた文献は、本出願の出願日以前の開示のためにのみ提供されるものである。 本明細書は、先に出願された出願に基づいた優先権によって、このような開示よりも日付が先であるとする権利が発明者にはないということを認めるものであると解釈されるものではない。 発明の概要上記目的に従って、本発明は、トランスジェニックウシ種のミルク中に組み換えポリペプチドを製造するためのトランスジーンを含む。 本発明はヒトの消費のために精製がほとんど必要ないかいらないマトリックス(基質)を提供するので、1以上の組み換えポリペプチドを含むこのようなトランスジェニックウシミルクの製造は望ましい。 トランスジーンは、目的のウシ種の乳房分泌細胞中で機能する分泌シグナル配列をエンコードする分泌DNA配列及び組み換えポリペプチドをエンコードする組み換えDNA配列を含む。 これらの配列は、分泌‐組み換えD NA配列を形成するために、操作可能に(operably)連結される。 ウシ種の乳房分泌細胞中で機能する少なくとも一つの発現調節配列は、分泌‐組み換えDNA 配列に操作可能に連結されるる。 このように構築されたトランスジーンは、トランスジーンを含むウシ種の乳房分泌細胞中での分泌‐組み換えDNA配列の発現を導くことができる。 このような発現は、トランスジェニックウシ種の乳房分泌細胞からミルク中へ分泌される組み換えポリペプチドの形の物を製造する。 更に、本発明は、このようなトランスジェニックウシ種を製造するための方法を含む。 該方法は、上記トランスジーンをウシ種の胚標的細胞中に導入し、それにより形成されたトランスジェニック胚標的細胞を宿主のウシ親中へ移植し、そして、組み換えポリペプチドをそのミルク中に製造できる少なくとも一つの雌の子孫を同定することを含む。 本発明はまた、トランスジェニックウシ種の乳分泌をする雌のミルク中に組み換えポリペプチドを製造できる該トランスジェニックウシ種、このような組み換えポリペプチドを含むこのようなトランスジェニックウシ種からのミルク、及び液体又は乾燥形態のトランスジェニックミルクを含む食品処方、並びにこのようなトランスジェニックミルクからの1以上の組み換えポリペプチドを補われた食品処方を含む。 前記に加え、本発明は、トランスジーン及び組み換えポリペプチドを製造できるトランスジーンを含むトランスジェニックウシ種を含む。 このようなトランスジーンは、ミルク分泌のための前記のトランスジーンと類似であり、そして、特定の細胞又は組織タイプに対して、組み換えポリペプチドをエンコードするDN Aの発現、例えば、トランスジェニックウシ種の肝臓でのヒト血清アルブミンの発現を目的とする発現調節配列を有することによって特徴づけられる。 組み換えポリペプチドがこのような、標的細胞又は組織から分泌されるべき場合は、特定の標的細胞又は組織で機能する分泌シグナル配列をエンコードする分泌DNA配列が、組み換えポリペプチドをエンコードする組み換えDNA配列へと操作可能に連結される。 例えば、ウシ肝臓からのウシ循環系へのヒト血清アルブミンの分泌。 更に、本発明は、所望の表現型を有するトランスジェニック非ヒト哺乳動物を製造するための方法を含む。 該方法はまず、トランスジェニック非ヒト動物の細胞中に取り込まれた場合に所望の表現型を与えることができるトランスジーンのメチル化を例えば、適当なバクテリア例えばE. coli MM 294を上記トランスジーンを含むプラスミドで形質転換することによって引き起こすことを含む。 メチル化されたトランスジーンは、次いで、切り出され、そして、非ヒト動物の受精卵母細胞中へ導入されて、ゲノム中への取り込みを可能にする。 次いで、卵母細胞を培養して着床前胚を形成し、それによりそれぞれの受精卵母細胞のゲノムを複製する。 その後、少なくとも1つの細胞がそれぞれの着床前胚から取出され、そして、その中に含まれているDNAを遊離するために処理される。 次いで、遊離されたDNAのそれぞれを、メチル化されたトランスジーンを切断できるが、ゲノムDNAへの組込み及びその複製後に形成されたメチル化されていない形態のトランスジーンは切断できない、制限エンドヌクレアーゼで消化する。 トランスジーンを組込んでいるそのような着床前胚は、制限エンドヌクレアーゼによる切断に対して耐性であるDNAをトランスジーンを含む領域に含む。 DNA のPCR増幅後の消化物の電気泳動及びトランスジーンのための標識プローブとのハイブリダイゼーションによって検出されうる消化に対するこの耐性は、成功したトランスジェネシスの同定を容易にする。 本発明はまた、同じ表現型を有するトランスジェニック子孫の集団を製造する方法を含む。 この方法は、早期トランスジェネシスを検出するための上記方法の特定の具体例を利用する。 この方法においては、メチル化されたトランスジーンは、着床前胚へと培養される受精卵母細胞中に導入される。 その後、それぞれの着床前胚を分割して、第1及び第2の半胚を形成する。 次いで第1の半胚のそれぞれは、上記の如くトランスジェネシスについて分析される。 少なくとも一つの第1の半胚において成功したトランスジェネシスが同定された後に、組込まれたトランスジーンを含む第2の未処理の半胚は、それぞれが同じ表現型を有する多数のクローントランスジェニック胚盤胞又は半胚盤胞を形成するためにクローン化される。 その後、トランスジェニック胚は、同じ遺伝子型を有するトランスジェニック非ヒト哺乳動物の集団を製造するために1以上の宿主雌親中に移植される。 図の簡単な説明明細書に取り込まれそして一部をなす添付の図面は本発明の実施例を説明し、 そして、詳細な説明と一緒になって本発明の本質を説明するのに役立つ。 図面において図1は、ヌクレオチド1557〜1791及び2050〜2119の間の配列が公知の配列(Radoら、1987年、 Blood 、第70巻、第989〜993頁)に対応すること以外は本明細書中に記したヒト乳房cDNAライブラリー由来のヒトラクトフェリンクローンのDNA(配列番号:1)及びアミノ酸(配列番号:2)配列を描いている。 図2は、5′及び3′の非翻訳配列並びに完全なヒトラクトフェリンシグナル配列を含むヒトラクトフェリンの完全なDNA(配列番号:3)及びアミノ酸( 配列番号:4)配列を描いている。 図3は、ウシαS1カゼイン遺伝子の5′‐フランキング領域のクローンの制限地図である。 図4は、ウシαS1カゼイン遺伝子の3′‐フランキング領域のクローンの制限地図である。 図5A、5B及び5CはpSI3′5′CAT及びpSI5′CATの構築を描いている。 図6は、pMH‐1を描いている。 図7Aから7Fは、ヒトラクトフェリンをエンコードする配列を含む発現ベクターの構築を描いている。 図8は、ヒト血清アルブミンのゲノム、このゲノムDNA中に含まれるトランスジェニックマウスを作成するのに用いたフラグメント、及び制限酵素BstE‐II とNco‐I又はNco‐IとHind‐IIIでのトランスジェニックマウスからのゲノムDNAの消化後に得られるであろうフラグメントサイズの同定を描いている。 図9は、ヒトラクトフェリンをエンコードする本発明のトランスジーンの構築のための別の経路を描いている。 図10は、プロテインCをエンコードするトランスジーンを含むプラスミドpP Cの構築を描いている。 図11は、本発明の好ましい実施例に用いたハイブリッド介在配列のためのD NA配列を描いている。 このハイブリッド配列は、ウシαS1カゼインの介在配列からの5′部分及びIgG介在配列の介在配列からの3′部分を含む。 5′及び3′部分の連結は、示されているHindIII部位である。 図12Aは、ウシαS1カゼインプロモーター hLFcDNAトランスジーンの制限地図である。 図12Bは、hLF cDNAプローブを用いた種々のウシ及びマウス組織から単離されたDNAのサザンブロット分析を示す。 図13は、hLGゲノムクローン13.1及び13.2の制限地図を描いている。 図14は、プラスミドpUC19中にサブクローン化されたゲノムhLFからのBam HIフラグメントを描いている。 図15Aは、8又は16kbのαS1カゼインプロモーター、ClaI‐ApaI合成リンカー及び9kb(すなわち8.9kb)のApaI‐SalIゲノムhLFフラグメントを含む8hLFgen9k又は16hLFgen9k構築物の制限地図を描いている。 図15Bは、図15Aに示されたClaI‐ApaI合成配列のDNA配列を描いている。 図15Cは、1VS及び図15Aから図17に示されたゲノムhLF構築物のエキソン1及びエキソン2の一部の構造を描いている。 図16は、(図15Aに示された)8hLFgen9k又は16hLFgen9k構造物からのNot I‐SalIフラグメントとゲノムhLFの3′ClaIフラグメントとのコインジェクション(coinjection)を描いている。 図17は、(図15Aに示された)8hLFgen9k構築物からのNotI‐MluIフラグメント、図13に描かれたクローン13.2からのMluI‐ClaIフラグメント及びClaI‐NotIリンカーを連結することによるゲノム8hLFトランスジーンの作成を描いている。 図17はまた、ClaI‐NotIリンカーのDNA配列を描いている。 図18〜20は、βLG‐hLFgen及びβLG‐hLFgen37構築物の作成を描いている。 図21は16,8hLZ発現ベクターの設計を描いている。 図22は16,8hLZ3発現ベクターの設計を描いている。 図23A〜23Eは、プラスミドp16,8hLZの構築のための別の経路を描いている。 図24は、ウシβLG及びヒツジβLGのDNA間の比較を描いている。 上段の配列は、ウシの配列を表している。 図25は、リンカーGP278/279を示している。 図26は、p16,8AhlZ3発現ベクターを描いている。 図27は、16,AhLZ3発現ベクターを描いている。 発明の詳細な説明本発明の“非ヒト哺乳動物”とは、“所望の表現型”を有する“トランスジェニック非ヒト哺乳動物”を製造できるすべての非ヒト哺乳動物を含む。 このような哺乳動物は、非ヒト霊長類、ネズミ種、ウシ種、イヌ種等を含む。 好ましい非ヒト動物は、ウシ、ブタ及びヒツジ種を含み、特に好ましくはウシ種である。 トランスジェニック非ヒト哺乳動物のための所望の表現型は、雌のトランスジェニック非ヒト哺乳動物のミルク中での組み換えポリペプチドの製造、病気の研究のための動物モデルの製造、病気(例えば、乳腺の病気例えば、乳腺炎)に高耐性の動物の製造及び血液、尿或いは、他の適した体液又は動物の組織中での組み換えポリペプチドの製造を含むが、これらには限定されない。 好ましい実施例においては、組み換えヒトラクトフェリン、ヒト血清アルブミン及びヒトプロテインCを乳を分泌する雌のミルク中に、又は、ヒト血清アルブミンをトランスジェニック動物の肝臓中に製造することができるトランスジェニックウシ種が開示されている。 本発明のトランスジェニック非ヒト哺乳動物は、“トランスジーン”を選択された動物の胚標的細胞中へ導入することによって製造される。 本発明の一面においては、トランスジーンは、トランスジェニック非ヒト動物の細胞のゲノム中に含まれたときに所望の表現型を生み出すことができるDNA配列である。 特定の実施例においては、トランスジーンは、“組み換えポリペプチド”をエンコードする“組み換えDNA配列”を含む。 このような場合では、トランスジーンは、 組み換えポリペプチドを製造するために発現されうる。 本明細書中で用いている“組み換えポリペプチド”(又はこれをエンコードする組み換えDNA配列)は、“異種ポリペプチド”又は“同種ポリペプチド”のいずれかである。 異種ポリペプチドは、トランスジェニック動物によっては通常製造されないポリペプチドである。 異種ポリペプチドの具体例は、ヒトミルクタンパク質例えばラクトフェリン、リゾチーム、分泌免疫グロブリン、ラクトアルブミン、胆汁酸塩に刺激されたリパーゼ等;ヒト血清タンパク質例えばアルブミン、免疫グロブリン、因子VIII、因子IX、プロテインC等及び、原核及び真核供給源からの工業酵素例えばプロテアーゼ、リパーゼ、キチナーゼ、及びリギナーゼ(liginase)を含む。 組み換えDNA配列は、組み換えポリペプチドをエンコードするゲノム及びcDNA配列を含む。 異種ポリペプチドをエンコードする組み換えDNA配列が用いられる場合は、 トランスジーンはトランスジェネシスのために用いられる種のゲノム中にランダムな様式で取り込まれ得る。 実施例中に開示した如く、ヒトラクトフェリン、ヒト血清アルブミン及びヒトプロテインCをエンコードするトランスジーンは、α S1カゼイン発現調節配列の制御下で、αS1カゼイン分泌シグナル配列と共同して、これらの異種ポリペプチドを製造し、そして乳分泌トランスジェニック哺乳動物の乳腺からそのミルク中へ分泌するように設計されている。 本明細書中で用いている同種ポリペプチドは、特定のトランスジェニック種に対して内在性であるところのポリペプチドである。 ウシ種からの内在性ポリペプチドの具体例は、ウシミルクタンパク質、例えばαS1、αS2、β‐及びκ‐ カゼイン、β‐ラクトグロブリン、ラクトフェリン、リゾチーム、コレステロール加分解酵素、血清タンパク質例えば血清アルブミン、及びタンパク質性ホルモン例えば成長ホルモンを含む。 同種ポリペプチドをエンコードする組み換えD NA配列が用いられる場合は、トランスジーンは好ましくは、トランスジェネシスのために用いられる種のゲノム中にランダヌな様式で組み込まれる。 このようなランダムな組み込みは、内在性ポリペプチドをエンコドするトランスジーンばかりでなく対応する内在性ゲノムDNA配列をも含むトランスジェニック動物をもたらす。 従って、このようなトランスジェニック非ヒト哺乳動物は、内在性ポリペプチドをエンコードする遺伝子のコピー数の増加によって容易に特徴づけられる。 更に、トランスジーンは一般に内在性遺伝子とは異なった位置に配置される。 同種ポリペプチドをエンコードするDNAが発現された場合、例えば、ウシ種においては、トランスジェニック動物は、それが通常見い出されるところの内在性組織又は液体のいずれか中での同種ポリペプチド量の増加及び/又は、通常同種ポリペプチドを含まないか或いはそれを著しく低いレベルで製造するかのいずれかであるところの組織及び/又は体液中でのそれの存在によって特徴づけられる。 このように例えば、ウシコレステロール加水分解酵素は、通常授乳期のおおよそ最初の15〜20日間の初乳中に存在する。 この本来発生する内在性ポリペプチドは、子ウシの体重を増加させる。 しかしながら、例えば、乳房分泌細胞中でのその発現が、同種ポリペプチドが通常存在する授乳期間を越えて同種ポリペプチドの発現を容易にする発現調節配列例えばウシカゼイン遺伝子から得られた発現調節配列の制御下に置かれた場合には、このタンパク質もまた同種ポリペプチドである。 このように、本発明の一つの面に従って、コレステロール加水分解酵素組み換えDNA(cDNA又はゲノムのいずれか)の発現がウシαS1カゼイン発現調節配列の制御下に置かれることにより、トランスジェニックウシミルク中でウシコレステロール加水分解酵素が発現され続ける。 ゲノム組み換えDNAが用いられる場合は、それが適当なトランスジーンゲノムカセット(例えば、実施例15に記したp‐16kb、CS)中に挿入されうるために、構造遺伝子の5′及び3′末端においてそれが適当な制限部位(例えば、ClaI及びSalI)を有するように設計される。あるいは、cDNA 由来のウシコレステロール加水分解酵素をエンコードする組み換えDNAは、プラスミッド例えばp16,8HLF3(ハイブリッド介在配列を含む)又はp16,8H LF4(同種αS1カゼイン介在配列を含む)中でヒトラクトフェリン配列と置き換えることにより、ウシαS1カゼイン発現調節配列の制御下に置かれうる。これらの特定のプラスミッドが用いられる場合は、cDNAクローンは、それが組みかえDNAの末端において適当なClaI及びSalI制限部位を有するように設計される。更なる実施例として、ウシラクトフェリンは通常乳牛ミルク中に、ほんの微量しか存在しない。しかしながら、ウシラクトフェリンが例えばαS1カゼイン遺伝子から得られた他の調節配列の制御下で発現された場合は、より多量のラクトフェリンがトランスジェニックウシ種のミルク中で得られる。他の実施例においては、同種ウシ成長ホルモンをエンコードするDNAを含むトランスジーンは、 ウシゲノム中に取り込まれて、トランスジェニック動物に、非常に優れた成長特性を与える。他の例においては、同種ポリペプチドは、例えば、通常、特定の種では細胞内に維持されるが、トランスジェニック種のミルク又は他の細胞外区画例えば循環系中には分泌されるポリペプチドを含む。それぞれの異種又は同種ポリペプチドは、特定のアミノ酸及び核酸配列によって特徴づけられる。しかしながら、このような配列は、それの自然発生する対立遺伝子変異及び組み換え法により生み出される変異体を含むと理解されるべきであり、ここで、このような核酸及びポリペプチド配列は、組み換えポリペプチド中に1以上のアミノ酸残基の置換、挿入又は欠失を引き起こす、このような核酸中の1以上の核酸の置換、挿入及び/又は欠失によって修飾されている。トランスジーンのDNAの発現が、所望の表現型を生じるため、例えば組み換えポリペプチドを製造するために必要な場合は、トランスジーンは、典型的には、以下に定義した組み換え又は分泌‐組み換えDNAにそれぞれ操作可能に連結された少なくとも一つの5′及び好ましくは更に3′の“発現調節配列”を含む。このような発現調節配列はまた、転写を制御することに加えて、少なくともそれらがまた転写される程度に、RNAの安定性及びプロセシングにも貢献する。このような発現調節配列は、組み換え又は分泌‐組み換えDNAの組織特異的又は細胞タイプ特異的発現を生じるために選ばれる。組織又は細胞タイプが発現のために選ばれるとすぐに、5′及び場合により3′発現調節配列が選ばれる。一般に、このような発現調節配列は、選ばれた組織又は細胞タイプ中で主に発現される遺伝子由来である。他の組織及び/又は細胞タイプ中の二次的発現は、このような組織又は細胞タイプ中でのトランスジーン中の組み換えDNA の発現がトランスジェニック動物に対して有害でなければ許容されるが、好ましくは、これらの発現調節配列が得られるところの遺伝子が、選ばれた組織又は細胞タイプ中でのみ実質的に発現される。特に好ましい発現調節配列は、処理されるべき動物種に対して内在性のものである。しかしながら、他の種からの発現調節配列例えばヒト遺伝子からのものもまた用いられ得る。特に好ましいヒト遺伝子からの発現調節配列は、ヒトラクトフェリン(hLF)配列である。ある例においては、発現調節配列及び組み換えDNA配列(ゲノム又はcDNAのいずれか)は、同種由来、例えばそれぞれウシ種由来又はヒト供給源由来である。このようなケースでは、発現調節配列及び組み換えDNA配列は、互いに同種である。或いは、発現調節配列及び組み換えDNA配列(cDNA又はゲノムのいずれか)は、異なった種から得られる。 (例えば発現調節配列はウシ種由来で、そして組み換えDNA配列はヒト供給源由来である)。このようなケースでは、発現調節及び組み換えDNA配列は、互いに異種である。以下に、内在性遺伝子由来の発現調節配列を定義する。このような定義はまた、非内在性の異種遺伝子由来の発現調節配列にも適用できる。一般に、5′発現調節配列は、翻訳開始配列(5′非翻訳領域又は5′UTR )から上流の内在性遺伝子の転写される部位、及びそれらから上流の、機能的プロモーターを含むフランキング配列を含む。本明細書中で用いられている、“機能的プロモーター”は、転写を促進するためにRNAポリメラーゼを内在性遺伝子へ結合させる必須の転写されないDNA配列を含む。このような配列は、典型的には、一般に転写開始部位から約25〜30ヌクレオチドのところに配置されているTATA配列又はボックスを含む。 TATAボックスはまたときどき、近位シグナルと言われる。多くの例においては、プロモーターは、近位シグナル(TA TAボックス)から上流に配置されており、転写を開始するのに必要な、1以上の遠位シグナルを更に含む。このようなプロモーター配列は、一般に、転写開始部位から上流に位置する最初の100〜200ヌクレオチド中に含まれるが、転写開始部位から500〜600ヌクレオチドまで伸びうる。このような配列は、本技術分野の当業者にとっては明白であるか或いは標準法により容易に同定できる。このようなプロモーター配列は単独で、又は5′非翻訳領域と組み合わせて、本明細書中で“近位5′発現調節配列”と言われる。このような近位5′発現調節配列に加えて、追加的な5′フランキング配列( 本明細書中で、“遠位5′発現調節配列”という)がまたトランスジーン中に含まれることが好ましい。このような遠位5′発現調節配列は、内在性遺伝子の発現を容易にする1以上のエンハンサー及び/又は他の配列を含み、そしてその結果、遠位及び近位5′発現調節配列と操作可能に連結された組み換え又は分泌‐組み換えDNA配列の発現を容易にすると信じられている。遠位5′発現調節配列の量は、発現調節配列が由来するところの内在性遺伝子に依存する。しかしながら、一般にこのような配列は、約1kb、更に好ましくは16kbの5′フランキング領域及び最も好ましくは約30kbの5′フランキング配列を含む。任意の特定の内在性遺伝子からの用いられる遠位5′発現調節配列の最適量の決定は、最高の発現を得るべく遠位5′発現調節配列の量を変化させることにより容易に決定される。一般に、遠位5′発現調節配列は、隣接遺伝子中に伸びるほどは大きくないであろうし、そして、トランスジーン発現のレベルに不都合に影響するDNA配列を含まないであろう。更に、3′発現調節配列はまた組織又は細胞タイプ特異性の発現を補うために含まれることが好ましい。このような3′発現調節配列は、適当な内在性遺伝子からの3′近位及び3′遠位発現調節配列を含む。 3′近位発現調節配列は、組み換えDNA配列中の翻訳停止シグナルから下流に位置する転写されるが翻訳されないDNA(これはまた3′非翻訳領域又は3′UTRと呼ばれる)を含む。このような配列は、一般に、(内在性遺伝子又は他の供給源例えばSV40のいずれかからの)ポリアデニル化配列及びRNAの安定性に影響しうる配列で終わる。一般に、3′UTRは、3′調節配列が由来するところの遺伝子中の翻訳停止シグナルから下流約100〜500ヌクレオチドを含む。遠位3′発現調節配列は、近位3′発現調節配列から下流のフランキングDNA配列を含む。これらの遠位配列のいくつかは転写されるが、mRNAの一部を形成しない。一方この遠位3′発現調節配列中の他の配列は全く転写されない。このような遠位3′発現調節配列は、発現を増強するエンハンサー及び/又は他の配列を含むと信じられている。このような配列は、効率的なポリアデニル化のために必要であり、そして、転写終結配列を含んでいると信じられている。好ましくは、このような配列は、約2kb、更に好ましくは、8kb、最も好ましくは、約15kbの3′フランキング配列を含む。好ましい3′フランキング配列は、ヒトラクトフェリン(hLG)遺伝子の3 ′フランキング配列である。約9kbのhLF3′フランキング配列を含むトランスジーンを有するトランスジェニック動物は、この領域に配置されたエンハンサー又は他の増強配列のために、1kb又はそれ以下のhLF3′フランキング配列を含むトランスジーンを有する動物に比べて、ミルク中で増幅された組み換えポリペプチドの発現を示す。通常、ヒトラクトフェリン3′フランキング配列は、 少なくとも長さが1kbから長さが約9kb又はそれ以上であり、典型的には3〜7 kb、更に好ましくは4〜5kbである。また、組み換えポリペプチドの乳腺発現を増強する9kbの3′フランキング配列中に含まれる領域を同定するために標準法(例えば、欠失分析)を用いることも可能であり、時には好ましい。これらのエンハンサー又は増強配列は、単離され、そして、種々の量の同種又は異種配列と組み合わせて用いられることができる。典型的には、増強配列は長さが約50塩基対から約2kb、更に典型的には約100塩基対から約500塩基対の範囲であり得る。しばしば、同一の遺伝子から由来する5′発現調節配列及び3′フランキング配列を有するトランスジーンを用いることが望ましい。好ましい実施例においては、5′発現調節配列及び3′フランキング配列は、ウシαS1‐カゼイン遺伝子由来である。他の実施例においては、ゲノム配列例えばヒトゲノムの単一クローン又は複数のクローンは、動物中に導入されて、5′発現調節配列のすべて或いは一部、コーディング配列、イントロン、及び3′非翻訳及びフランキング配列を含むヒト遺伝子の配列を有しするトランスジーンを含むトランスジェニック動物を製造する。好ましい実施例においては、ヒトラクトフェリンゲノム配列は、そっくりそのまま用いられるが、種々の成分が他の乳腺特異的遺伝子由来の成分により置換されうる。 5′及び3′発現調節配列の両方を用いるのが好ましいけれども、本発明のいくつかの実施例においては、内在性3′調節配列が用いられていない。このようなケースでは、組み換えDNA配列によってエンコードされるゲノムDNAと共に3′近位発現調節配列は、ポリアデニル化を監督するために用いられる。更に、組み換えポリペプチドをエンコードするゲノムDNA由来の遠位3′調節配列は、また、好ましくは、内在性3′発現調節配列のために前記したのと同じ量で用いられうる。このようなケースでは、トランスジーンによってエンコードされる組み換えポリペプチドは、 ゲノムDNA又はcDNA由来の二本鎖DNAのいずれかを含みうると理解されるべきである。 5′発現調節配列と同様、3′発現調節配列の最適量は、組み換えポリペプチドの最大発現を得るために3′フランキング配列の量を変えることによって容易に決定され得る。一般に、遠位3′調節配列(これは、内在性遺伝子又は異種遺伝子由来である)は、それが由来するところに隣接遺伝子までは延長せず、そしてトランスジーン発現のレベルに不都合に影響するいずれの配列も排除しているであろう。発現調節配列の例を表Iに表わす。

    5′及び3′発現調節配列及び組み換えDNA(ゲノム又はcDNA由来のいずれか)に加えて、本発明のトランスジーンはまた、好ましくは、転写されるが翻訳されないトランスジーンの5′領域を分断する“組み換え介在配列”を含む。 このような介在配列は、例えばウシαS1カゼイン及びヒトラクトフェリン由来でありうる。 本明細書中で用いられるこのような配列は、“相同組み換え介在配列”であり、そこでは、このような組み換え介在配列中の5′及び3′RNAスプライスシグナルが内在性又は外来性遺伝子由来の介在配列中に通常見い出される。 しかしながら、組み換え介在配列はまた、“ハイブリッド介在配列”を含みうる。 このようなハイブリッド介在配列は、種々の供給源からの介在配列由来の5′RNAスプライスシグナル及び3′RNAスプライスシグナルを含む。 本発明のある面においては、このようなハイブリッド介在配列は、少なくとも一つの“許容されうるRNAスプライス配列”を含む。 本明細書中で用いている、許容されうるRNAスプライスシグナルは、細胞分化の間に再配列を受ける生殖細胞系DNAセグメントのレパートリー中に含まれるイントロン由来のRNAスプライスシグナル配列、好ましくは、3′RNAスプライスシグナルである。 このような遺伝子レパートリーの具体例は、免疫グロブリン及びT‐細胞抗原受容体並びに主要組織適合性複合体(MMC)遺伝子のレパートリー及びその他を含む免疫グロブリン超遺伝子ファミリーを含む。 特に、好ましい許容されうるスプライス配列は、免疫グロブリンレパートリー、好ましくは、 IgGクラスの免疫グロブリンレパートリー、更に好ましくは、Ig重鎖及び軽鎖、最も好ましくは重鎖のJ‐Cセグメント再配列と関連された3′スプライスシグナル配列から得られる。 特に好ましい許容されうるスプライス配列は、図1 1中のHindIII部位の下流に示された配列の部分を含む。 特に好ましいハイブリッド介在配列は、ウシαS1カゼイン由来の介在配列の5′部分及びIgG重鎖介在配列の3′配列部分を含む図11に示された全配列を含む。 許容されうるRNAスプライスシグナルを含むこのようなハイブリッド介在配列は、好ましくは、組み換えDNAがcDNA配列に一致する場合に用いられる。 実施例中に示される如く、αS1カゼイン分泌シグナル配列に操作可能に連結されたヒトラクトフェリンcDNAを発現するために、αS1カゼイン遺伝子由来の16kbの5 ′発現調節配列をαS1カゼイン‐IgGハイブリッド介在配列と連結して用いた場合、約1330μg/mlのhLFをトランスジェニックミルク中で製造するトランスジェニックマウスが得られた。 組み換えポリペプチドのこの量は、トランスジェニックマウスミルク中での種々のタンパク質の製造に関して従来報告された量、すなわち一般には10μg/ml未満、一つの場合では約50μg/mlを、はるかに超えている。 それはまた、ハイブリッド介在配列以外の相同ウシ介在配列を含む同じトランスジーンを用いた場合に製造された最大量である8μg/mlのhLFをも超えている。 しかしながら、このようなハイブリッド介在配列は、cDNA配列を利用するトランスジーンに限定されない。 それどころか、ハイブリッド介在配列はまた、 組み換えポリペプチドがゲノム配列によってエンコードされる場合に有用である。 cDNA組み換えDNAによって得られた結果及び、ゲノムDNA配列はcD NA由来の配列より高いレベルで発現するという一般的予測に基づいて、ゲノム組み換えDNAと連結して用いられるこのようなハイブリッド介在配列が、別のやり方でゲノム配列単独にて得られる発現レベルを超えて発現レベルを更に増強する。 前記に基づいて、好ましいトランスジーンは、多量の5′及び3′発現調節配列を含むことが明らかである。 更に好ましくは、組み換えDNAは、数十〜数百キロベースの長さでありうるゲノムクローン由来である。 DNAをクローニングして操作する現在の技術に基づくと、トランスジーンの構築及びマイクロインジェクションは、事実上、約50kb以下の長さを有する線状化されたDNAに限定される。 しかしながら、本発明のトランスジーン、特に、約50kbより大きい長さを有するトランスジーンは、所望のトランスジーンの2以上のオーバーラップグラグメントを胚標的細胞中へ導入することによって容易に作られうる。 このように導入された場合、オーバーラップフラグメントは、完全に再構築されたトランスジーンの標的細胞のゲノム中への組み込みを引き起こす相同組み換えを受ける。 一般に、このようなオーバーラップトランスジーンフラグメントはオーバーラップする領域において100%相同性を有するのが好ましい。 しかしながら、効率的な相同組み換えが起こるのであれば、より低い相同性も許容されうる。 もし非相同性が相同配列部分間に存在するのであれば、非相同性は、相同配列部の至る所に拡がるよりは分離した領域に配置されることが好ましい。 100%相同性がたった14の塩基対程度と少なくても、哺乳動物細胞中での相同組み換えには十分である(Rubnitz,J.とSubramani,S. ,1984年、Mol.Cell Biol.,第4巻、第2253〜2258頁)が、より長い相同配列部分が好ましく、例えばそれぞれの相同配列部分が500bp、更に好ましくは1000b p、つぎに好ましくは2000bp、そしてもっとも好ましくは2000bp超である。 実施例に示された如く、ヒト血清アルブミン遺伝子の3つのオーバーラップフラグメントが、ほぼ同じモル部で、マウス接合体の前核中にマイクロインジェクトされる。 これらのフラグメントの成功した組み換え及びマウスゲノム中への取り込みは、サザンブロット法による組み込まれたDNAの分析及び、RNA転写及びトランスジェニックマウスの血清中でのヒト血清アルブミンの検出によって確認される。 このように作られたトランスジーンは、38kbの単位長を有するが、 より長い/又はより多数のオーバーラップトランスジーンフラグメントを用いて形成されたトランスジーンの大きさの実質的な限界は未知である。 特に、このアプローチにより、約50〜1000kb、更に好ましくは50〜500kbの長さを有するトランスジーンが形成されうることが期待される。 更に、オーバーラップフラグメントの相同組み換えを用いることは、別の方法では、前核中に取り込まれてトランスジェニック動物を形成することをできないゲノムDNAを含む組み換えDNA を取り込んでいるトランスジーンを含む、より大きいトランスジェニック動物、 例えばトランスジェニックウシ種の創造において有益であると期待される。 このようなゲノムトランスーンは、トランスジェニック乳牛において、組み換えcD NAをエンコードするトランスジーンによって製造されるものに比べてより高い発現レベルを生じると期待される。 最終目的が組み換えポリペプチドを分泌させることである場合は、トランスジェニック動物中の1以上の細胞タイプからの組み換えポリペプチドの分泌を導くために、機能的分泌シグナルペプチドをエンコードする“分泌DNA配列”はまたトランスジーン中に操作可能に連結される。 一般に、分泌DNA配列は、トランスジェニック動物と同じ種の分泌されるタンパク質をエンコードする遺伝子由来である。 このような分泌DNA配列は、乳房分泌細胞中での発現及びそれからの分泌のために、好ましくは、組織特異的発現のために標的とされた細胞タイプから分泌されるポリペプチド、例えば、分泌されるミルクタンパク質をエンコードする遺伝子由来である。 しかしながら、分泌DNA配列は、このような配列に限定されない。 トランスジェニック動物の種の中の他の細胞タイプから分泌されるタンパク質からの分泌DNA配列例えば、乳腺中以外に分泌されるタンパク質をエンコードする同種遺伝子の天然シグナル配列もまた用いられ得る。 更に、トランスジェニック動物以外の種からのシグナル分泌ペプチドをエンコードする“非相同分泌DNA配列”、例えばヒトt‐PA、ヒト血清アルブミン、ヒトラクトフェリン及びヒトラクトアルブミン、及び例えば酵母、糸状菌及びバクテリアから分泌されるポリペプチドをエンコードする微生物遺伝子からの分泌シグナルもまた用いられうる。 一般に、分泌DNA配列は、機能的に、組み換えポリペプチドの分泌を引き起こすことができるシグナルペプチドをエンコードする組み換えDNA配列に操作可能に連結された任意のDNA配列として、定義され得る。 好ましい実施例の一つにおいて、ウシ種の乳房分泌細胞中で機能する分泌シグナル配列をエンコードする分泌DNA配列が、ウシ乳房分泌細胞からの組みかえポリペプチドの分泌を引き起こすために用いられる。 分泌DNA配列は、組み換えDNA配列に操作可能に連結される。 このような分泌DNA配列の具体例は、 ウシαS1カゼイン、マウスラクトフェリン及びヒトトランスフェリンのためのシグナル分泌配列をエンコードするDNA配列を含む。 好ましい分泌DNA配列は、ウシ種からのαS1カゼインの分泌配列をエンコードする配列である。 この分泌DNA配列の使用は、実施例中に更に詳細に記してある。 組み換えDNA配列に分泌DNA配列を連結するという文脈での“操作可能に連結された”とは、分泌DNA配列(分泌シグナルペプチド配列をエンコードするコドンを含む)が共有結合的に組み換えDNA配列と連結され、得られた分泌‐組み換えDNA配列が分泌シグナル配列及び組みかえポリペプチドの5′から3′をエンコードすることを意味する。 従って、分泌配列及び組み換えDNA配列のためのリーディングクレームは、転写及び第一次RNA転写物のプロセッシング後に形成されるmRNAの5′末端からオープンリーディングフレームが存在するように、共有結合的に組み合わされる。 RNA中のこのオープンリーディングフレームは、分泌シグナルペプチドをエンコードする5′配列部分及び組み換えポリペプチドをエンコードする3′配列部分を含む。 このように構築された場合、分泌‐組み換えDNA配列の発現下で製造された組み換えポリペプチドは、DNA 配列を発現する標的細胞から分泌され得る形である。 シグナルペプチドは、組み換えポリペプチドの細胞外の形を製造するために、分泌の間に、一般に

    インビボ で除かれる。 本発明の好ましい実施例においては、分泌‐組み換えDNA配列は、主に、トランスジェニックウシ種の乳房分泌細胞中で発現される。 このような組織特異的発現は乳房特異的発現調節DNA配列を上記分泌‐組み換えDNA配列に操作可能に連結することによって得られる。 このような乳房特異的調節配列は、ウシ種の乳房分泌細胞中で優先的に発現される様々なウシ遺伝子中に含まれる上記調節配列を含む。 このような乳房特異的遺伝子は、αS1カゼイン、αS2‐カゼイン、β‐カゼイン、κ‐カゼイン、α‐ラクトアルブミン及びβ‐ラクトグロブリンを含む。 好ましい発現調節配列は、実施例中に更に詳細に記載された如く、 αS1カゼイン由来である。 一般に、トランスジェニックウシミルク中に組み換えポリペプチドを分泌するために設計された本発明のトランスジーンは、トランスジェニックマウス及びヒツジについて従来報告されているそれよりも著しく高いレベルでこのような分泌を引き起こすことができる。 組み換えポリペプチドが、cDNAに相当するか又はcDNA由来の組み換えDNAによってエンコードされている場合は、組み換えポリペプチドのモル濃度は好ましくは、約1.0μMより大きく、 更に好ましくは、約100μMより大きく、そして最も好ましくは100μMより大きい。 トランスジェニックミルク中に存在する組み換えポリペプチドのレベルの観点から見ると、組み換えポリペプチドの量は、好ましくは50μg/mlより大きく、もっと好ましくは約500μg/mlより大きく、最も好ましくは約約1000μg/ml(1mg/ ml)より大きい。 本発明のトランスジーンがゲノムDNA由来の又はゲノムDNAに相当する( 又はこのようなゲノム配列が実質的に含まれる、例えば、組み換えポリペプチドをエンコードするコドンの約50%超、更に好ましくは約75%超、最も好ましくは90%超がゲノム配列由来である)組み換えDNAによってエンコードされる組み換えポリペプチドをエンコードする場合は、ウシトランスジェニックミルク中のモル濃度及びタンパク質レベルはcDNAのそれと同じか又はそれ以上である。 一般に、このようなトランスジェニックミルク中の組み換えポリペプチドのモル濃度は、好ましくは約50μMより大きく、更に好ましくは約150μMより大きく、 最も好ましくは約500μMより大きい。 トランスジェニックミルク中のタンパク質のレベルから見ると、そのレベルは好ましくは約10mg/mlより大きく、更に好ましくは約2.5mg/mlより大きく、最も好ましくは約5mg/mlより大きい。 前述のウシトランスジェニックミルク中のモル濃度及びタンパク質レベルは、 特定の組み換えポリペプチドの分子量に依存して変化する。 ウシトランスジェニックミルク中で組み換えポリペプチドを製造することの特定の利点は、他の系例えば原核発現系において多量に製造することが困難である、比較的大きな分子量のポリペプチドが製造され得るということである。 本発明に従って、いずれの組み換えポリペプチドもウシトランスジェニックミルク中で製造され得るが、一般には、このような組み換えポリペプチドは約10,000ダルトンを超える分子量を有するのが好ましい。 しかしながら、15,000超、20,000超そして60,000超ダルトンの分子量を有する他の組み換えポリペプチドも、トランスジェニックウシミルク中で発現され得る。 例えば、17,000ダルトンの分子量を有するヒトリゾチーム及び79,000ダルトンの分子量を有するラクトフェリンも、本発明の開示に従ったウシ種のトランスジェニックミルク中で容易に製造され得る。 このように、本発明の組み換えポリペプチドは、広い範囲の分子量を有する。 従って、高分子量の組み換えポリペプチドが製造される場合には前述の好ましい組み換えポリペプチドのモル濃度は調節される。 このような調節は、モル濃度を、製造されるタンパクの量に換算し、そして、組み変えタンパク質のレベルが、以下の好ましい濃度内になるようにモル濃度を調節することによって成される。 トランスジェニックミルク中のポリペプチドの製造に関する従来の報告のほとんどは、トランスジェニックマウスを含む。 しかしながら、マウスは通常、ミルク1ml当り55〜80ミリグラムのタンパク質を製造する。 一方、乳牛は通常、ml当たり30〜34ミリグラムのタンパク質を製造する。 非常に高いレベルでの組み変えポリペプチド製造は、内在性ミルクタンパク質の製造に不都合に影響し、及び/又は乳分泌腺に不都合に影響するので、組み換えポリペプチドの濃度は、通常のウシミルクタンパク質濃度の約3〜50%(すなわち、トランスジェニックミルクのml当たり約1〜17ミリグラムの組み換えポリペプチド)、が好ましく、更に好ましくは、ウシミルク中に製造されるタンパク質の通常量の10〜20%( すなわち、ml当たり3〜約7ミリグラム)そして最も好ましくは10〜15%(すなわち、ml当たり約3〜5ミリグラム)である。 このような好ましい範囲はまた、 前記した、トランスジェニックウシミルク中に製造されるタンパク質レベルの好ましい最大限度を与える。 本発明のトランスジーンを形成するための、上述した種々のDNA配列の連結は、本技術分野の当業者に公知の又は本明細書中に記した標準法によって達成される。 トランスジーン又はトランスジーンをエンコードするオーバーラップ同種フラグメントが、記載のようにして構築されると、トランスジェニック非ヒト動物を作るために用いられる。 トランスジーン又はオーバーラップトランスジーンフラグメントを胚標的細胞に導入する方法は、非ヒト動物の受精卵母細胞の前核又はES細胞の核中へのトランスジーンのマイクロインジェクションを含む。 マウス種のためのこのような方法は、本技術分野の当業者によく知られている。 或いは、トランスジーンは、 トランスジーンを含んだレトロウィルスを接合体に感染させることにより動物中に導入されうる。 (Jaenish ,R.、1976年、

    Proc.Acad.Sci.U.S.A .,第73巻、第1260〜1264頁)。 好ましい方法は、受精卵母細胞のマイクロインジェクションである。 好ましい実施例においては、受精卵母細胞は、最初に標準法によりマイクロインジェクトされる。 その後、それらを、“着床前胚”が得られるまで、

    インビトロで培養する。 このような着床前胚は好ましくは、約16〜150の細胞を含む。 胚の16〜30細胞段階は、通常桑実胚と呼ばれる。 32より多い細胞を含むそれらの着床前胚は通常、胚盤胞と呼ばれる。 一般に、それらは、典型的には64細胞段階において、細胞胚腔の発生を示すことにより特徴づけられる。 受精卵母細胞を着床前段階まで培養する方法は、Gordonら、1984年、

    Methods in Enzynology 、第101巻、第414頁、Hog anら、1986年、

    Manipulation the Mouse Embryo 、Cold Spring Harbor Laborato ry Press、Cold Spring Habor,N. Y. 、(これらはマウス胚のための方法)、 及びHammerら、1985年、

    Nature 、第315巻、第680頁、(これはウサギ及びブタ胚のための方法)、Gandolfiら、1987年、

    J.

    Reprod.

    Fert. 、第81巻、第23〜28 頁、Rexroadら、1988年、

    J.

    Anim.

    Sci. 、第66巻、第947〜953頁、(これらはヒツジ胚のための方法)、及びEyestone,W. H. ら、1989年、

    J.

    Reprod.

    Fref

    、第85巻、第715〜720頁、Camousら、1984年、J. Reprod. Fert. 、第72巻、 第779〜785頁及びHeyman Y. ら、1987年、

    Theriogenology 、第27巻、第5968頁( これらは、ウシ胚のための方法)を含む。 その後このような着床前胚は、標準法により適当な雌に移植され、トランスジーンが導入された場合に、発生段階に依存してトランスジェニック動物又はキメラ動物の誕生を可能にする。 よく知られているように、真性生殖細胞系トランスジェニック動物を作るためにモザイク動物が生育されうる。 トランスジーンの取り込みの頻度はしばしば低いので、着床前胚中へのトランスジーンの組み込みを検出することが非常に望ましい。 本発明の一つの面において、胚の中でトランスジェネシスが起こっており、そしてトランスジェニック動物を作成するためにトランスジェニック胚の着床を可能にする胚を同定するための方法が提供される。 この方法において、1以上の細胞が着床前胚から取り出される。 等分割が用いられる場合には、胚は好ましくは、桑実胚段階(32細胞)を過ぎて培養されない。 着床前胚の分割(Williamsら、1986年、

    Theriogenology 、 第22巻、第521〜531頁によってレビーされている)は、2つの“半胚”(半桑実胚又は半胚盤胞)をもたらし、そのうちの一つは適当な雌への着床後に発達することができ、

    子宮内で出産まで発生できる。 着床前胚の等分割が好ましいけれども、このような胚は通常、意図的に或いは意図的でなく、等しい細胞数である必要がない2つの半胚に分割されうると理解されるべきである。 要するに、要求されることの全ては、以下に記載のように分析がなされていない胚の一つが、

    子宮

    で出産までの間発達するのに十分な細胞数であるということである。 特定の実施例においては、本明細書に記載の分析がなされていない半胚は、もしトランスジェニックであることが示されればトランスジェニック非ヒト動物のクローン集団を作るために用いられる。 前着床胚の分割によって形成された半胚のいずれかの一つはトランスジーンが生物のゲノム中に組み込まれているかどうかを決定するために分析される。 他の半胚のそれぞれは、次に行う宿主であるその種の雌への着床のために維持される。 胚発達のこの初期段階におけるトランスジーン検出のための好ましい方法は、 制限エンドヌクレアーゼ

    Dpn Iの特有の性質との関連においてこれらの半胚を用いる。 この酵素は、二本鎖DNA中の配列GATCを、この配列中のそれぞれの鎖のアデニンがN‐6でメチル化されているときにのみ、認識する。 この好ましい方法を用いる場合には、配列GATCを含むトランスジーンはマイクロインジェクションに先立って、適当なプラスミド上のトランスジーンを微生物、例えば

    E.

    coli MM294のDAM

    +株を通して移動する又は、damメチラーゼを用いてトランスジーンを直接メチル化することによってメチル化される。 次いで、メチル化されたトランスジーン(好ましくは、外来性配列例えばプラスミドベクターなしに)は、受精卵母細胞中へマイクロインジェクトされる(前核当り約10から500コピー、更に好ましくは前核当り50から100コピー)。 このようにして得られた受精卵母細胞は、着床前段階へと

    インビトロで培養される。 この初期成長及び細胞分割段階の間に、ゲノムDNAが複製される。 従って受精卵母細胞のゲノム中に組み込まれたメチル化されたトランスジーンのコピーは複製後に脱メチル化され、一方、複製後もそのまま存在している組み込まれていないトランスジーンは、メチル化されたままである(Lacks,Sら、1977年

    、J.Mol.Biol .、第114巻、第153頁)。 組み込まれていないトランスジーンに対する組み込まれたトランスジーンのこの異なったメチル化の様式は、ゲノム中にトランスジーンを組み込んだ受精卵母細胞の同定を可能にする。 組み込まれたトランスジーンを含む着床前胚の同定は、それぞれの半胚からのDNAを分析することにより達成される。 このような、DNAは、典型的には、 半胚を溶解し、そしてNinomiy,T. ら、1989年、

    Molecular Reproduction and D

    evelopment 、第1巻、第242〜248の記載の如く、処理した後のこのような遊離されたDNAを分析することにより得られる。 DNA試料のそれぞれは、

    Dpn Iによって処理される。 その後、トランスジーンの全て、或いは一部を増幅するためにポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(Saikiら、1985年、

    Science 、第230巻、第1 350〜1354頁)を行う。 無傷のトランスジーンが増幅される場合には、トランスジーンの対立する末端において、対立する2本の鎖にそれぞれ相補的な2つの伸長プライマーが増幅のために用いられる。 しかしながら、無傷なトランスジーンより小さいものが増幅される場合には、このような伸長プライマーは、増幅される遺伝子製造物がトランスジーン中の

    Dpn I部位に及ぶように選ばれる。 もし、

    Dpn I切断が起こっていなければ、PCR増幅は前もって決定された大きさを有する増幅された配列をもたらし、一方切断されているトランスジーンのためのプライマー伸長は、指数関数的増幅を引き起こさない。 一般に、半胚からのDpn I/PCR増幅したDNAは、電気泳動され、引き続いて、2つの伸長プライマーの間のトランスジーンの領域に相補的な標識プローブとハイブリダイゼーションされる。 これは、増幅したDNA配列の大きさの決定を容易にし、もしあれば、半胚(以下、“トランスジェニック半胚”と呼ぶ) がそれから得られるところの着床前胚中にトランスジーンが組み込まれているか否かの指標を提供する。 もし有していれば、残りの非処理トランスジェニック半胚は、宿主親中に移植される。

    子宮内での発達後、組み込まれたトランスジーンによって与えられる所望の表現型を有するトランスジェニック非ヒト動物は、子宮内で又は出産後に適当な方法により同定される。 もちろん、認識配列がメチル化されたDNA配列は切断できるが、メチル化されていない形は切断できない他の制限エンドヌクレアーゼを、上記方法において用いることができる。

    Dpn Iを用いる上記方法においては、目的のトランスジーン中に配列GATC が存在することが必要である。 そのような配列が存在しない場合には、その配列は特定部位の突然変異誘発(kunkel,T.A.,1985年、

    Proc.Natl.Acad.Sci. 、第82巻、第488頁)又はカセット突然変異(Well,J.A. ら、1985年、

    Gene 、第34巻、第315頁)によって、トランスジーン中に容易に導入される。 但し、そのような突然変異は、トランスジーンによってエンコードされるアミノ酸配列を変えない(又はアミノ酸配列の重要でない変化を引き起こす)こと及びそのように作られたいずれのコドンも目的のトランスジェニック非ヒト動物中で機能すること。 着床前胚におけるトランスジェネシスを検出するための上記の方法は、トランスジェニック動物を製造するために要求される妊娠数を著しく減少し、そして着床された胚がトランスジェニック非ヒト動物を製造する可能性を大幅に増加させているので、トランスジェニック非ヒト動物を作るための、経済的で時間を節約した方法を提供する。 このような方法は、非常に低いか又は存在しないトランスジェネシスの頻度しか得られない動物、例えばウシ種にとって特に重要である。 他の実施例においては、着床前胚のトランスジェネシスを検出するための上記の方法は、トランスジェニック胚のクローン集団を作るための胚クローニング工程と組み合わせられ、該トランスジェニック胚は、その後、同じ遺伝子型を有するトランスジェニク非ヒト動物のクローン集団を製造するために宿主雌中へ着床される。この点においては、同じ“遺伝子型”を有するトランスジェニック胚及び/又は非ヒトトランスジェニック動物とは、個々の胚及び/又はトランスジェニック動物集団の間でゲノムDNAが、実質的に同一であることを意味すると理解されるべきである。しかしながら、有糸分裂の間に種々の体細胞突然変異が起り得、そして、1以上の細胞及び/又は動物の遺伝子型に変異が生じ得るということが理解されるべきである。このように、同じ遺伝子型を有する集団は、個々の又は副次集団変異を示し得る。半胚はトランスジェニック半胚であると同定された後に、クローン化される。このような胚クローニングは、いくつかの異なった方法により達成される。一つのクローニング方法においては、トランスジェニック半胚は個々の卵母細胞を着床前段階まで培養するために用いられるのと同じ又は類似の培地中で培養される。次いで、このようにして形成された“トランスジェニック胚”(好ましくは、 トランスジェニック桑実胚)は、その後2つのトランスジェニック非ヒト動物のクローン集団を形成するために宿主雌中へ着床されるところの“トランスジェニック半胚”へと分割される。或いは、得られた2つのトランスジェニック半胚は、再び、着床前段階まで培養され、分割され、そしてトランスジェニック胚段階まで再培養されうる。この手順は、所望の数の同じ遺伝型を有するクローントランスジェニック胚が得られるまでくり変えされる。次いで、このようなトランスジェニック胚は、トランスジェンック非ヒト動物のクローン集団を製造するために宿主雌中へと着床されうる。好ましいクローニング方法においては、トランスジェニック胚は、Pratherら、1988年

    、Biol Reprod .第37巻、第59〜86頁、Robleら、1987年、

    J. Anim. Sci

    、第64巻、第642〜664頁の方法に従って、核移入によりクローン化される。この方法に従って、トランスジェニック胚の核は、脱核した卵母細胞中へと移植され、その後、それらのそれぞれは胚盤胞まで培養される。この時点で、トランスジェニック胚は、核移植によるクローニングのもう一つの過程に再び置くことができ、又は、同じ遺伝型をもったトランスジェニック子孫を製造するために宿主親へ移入されることもできる。初期トランスジェネシス検出のための上記方法に加えて、トランスジェネシスを検出するために他の方法を用いることができる。このような方法としては、組織の

    子宮内及び

    分娩後分析を含む。

    子宮内分析は、いくつかの方法により行われる。一つにおいては、羊膜腔の経腟穿刺が、エコスコープ案内下で行われる(Bo wagoら、1975年、Bet.Res.、第96巻、第124〜127頁、Rumseyら、1974年、

    J.A

    nim.Sci. 、第39巻、第386〜391頁)。このことは、妊娠約35日〜100日の間に約15〜20ミリリットルの羊水を回収することを含む。この羊水の量は、ml当りに、尿生殖管、皮膚及び発達している胚の恐らく由来の約1,000〜12,000の細胞を含む。これらの細胞のほとんどは死んでいる。しかしながら、このような細胞は、成功したトランスジェネシスの指標としてトランスジーンのためのPDCR 分析に付されるゲノムDNAを含む。或いは、胎児細胞が、絨毛膜穿刺により回収され得る。この方法はまた、経腟的に及びエコスコープの案内下で行なわれ得る。この方法においては、宿主動物の胎盤、特に腟壁に固定された胎盤組織を穿刺するために針が用いられる。このような試料採取は、ウシでは妊娠60日付近で行われる。もし必要ならば、 絨毛膜細胞を母親の組織から分離し、成功したトランスジェネシスの指標としてのトランスジーンのためのPCR分析に付す。また、トランスジェネシスは出産後に検出されることもできる。このな場合は、トランスジーンの組み込みは、適当な組織生検例えば、推定されるトランスジェニック動物の又は尾からの組織生検を行うことにより検出されうる。尾の約1〜2センチメートル又は耳の約5〜10平方ミリメートルを取り、引き続き、Ho ganらの方法(1986年、

    Manipulating the Mouse Embryo 、Cold Spring Harbor L abratoy)に従って、トランスジーンのためのプローブを用いてサザンブロッティングを行う。トランスジェネシスはまた、他の組織から得られたDNAを用いたサザンブロット法を用いることによって決定されうる。特に、組み変え雄牛からの精液はトランスジェニック動物を同定するのに有用である。トランスジェネシスはまた、組織、分泌液(例えば、唾液)又は他の体液中での組み換えポリペプチドの発現を分析することによって検出され得る。乳牛ミルク中での組み換えポリペプチドの発現が最終目標である場合は、発現レベルのために雄牛の唾液を分析するのが特に有用である。これは、いくつかの乳房特異的プロモーターが、低いレベルではあるが、唾液腺の発現をも引き起こすからである。例えば、Archibaldら、1990年、Proc. Nat. Acad. Sci. U. S. A. 、第872巻、 第5178〜5182頁を参照。組み換えポリペプチドが発現され、そしてトランスジェニックウシ種のミルク中に分泌される実施例においては、そのようにして得られたトランスジェニックミルクは、そのまま用いられるか又は組み換えポリペプチドを精製するために更に処理されるかのいずれかでありうる。これは、ある程度、トランスジェニックミルク中に含まれる組み換えポリペプチド及び該タンパク質の最終的な使用に依存する。ウシミルクの栄養価を増加させるために組み換えポリペプチドがトランスジェニックミルク中に分泌される場合には、通常、更なる精製は必要ない。このような状況の一つの例は、ヒトラクトフェリンが新生ヒト乳児の腸管感染を制御しそして鉄吸収を改善するための補足としてウシ種のミルク中に製造されるところの好ましい実施例の一つを含む。他の状況では、特定の組み換えポリペプチドをその栄養価値ゆえに、部分的な精製が望まれうる。従って、例えば、トランスジェニクウシミルク中に製造されるヒトラクトフェリンは、ミルクを約pH4〜 5に酸性化して、カゼインを沈殿させることによって部分的に精製されうる。可溶分画(乳漿)は、部分的に精製されたヒトラクトフェリンを含む。ウシトランスジェニックミルク中に含まれる組み換えポリペプチドは、食品処方中に用いられうる。特に有用な食品処方は、栄養又は他の有用価値のいずれかを有するトランスジェニックウシミルクからの1以上の組み換えポリペプチドを含む乳児処方を含む。例えば、本発明に従って作られたトランスジェニックウシミルクからのヒトラクトフェリンを含む乳児処方は、新生児の下痢を制御することを助ける静菌効果を提供する。同様に、組み換えポリペプチド例えばヒトカゼイン及びヒトリゾチームはまた、栄養価値を提供するために、トランスジェニックウシミルク中に作られうる。表2は、代表的な乳児処方の成分を説明している。そこに示されるごとく、タンパク質含有量は、処方100キロカロリー当たり、約1.8〜4.5mg の間で変化する。すなわち、組み換えポリペプチドを含む全タンパク質は、少なくとも米国における規定(表2の処方はそれに基づく)に基づく値の間にあるべきである。もちろん、組み換えポリペプチドを含む全タンパク質量は、前記の如く、特定の処方を用いるところの地域の規定に依存して変化し得る。 a 100キロカロリー当たりで表わした。 b タンパク質の供給源は少なくともカゼインと栄養学的に等しい。 c レチノール等量d ミルクベースではない処方中にのみこの量で含まれるべきであると要求されている。 e カルシウム対リンの比は、1.1未満ではなく又2.0を超えない。 f 本発明に従った組み換えタンパク質又は組み換えタンパク質と他のタンパク質を含む。 乳児処方に加えて、他の食品処方もまた、トランスジェニックウシミルクからの組み換えポリペプチドによって補われうる。 例えば、このような組み換えポリペプチドは、普通のダイエット処方を補うために用いられうる。 組み換えポリペプチドを、製薬として用いようとする場合には、そのような適用と一致した精製法が要求される。 このような精製法は、精製されるべき特定の組み換えポリペプチドに依存し、そして一般的には、本技術分野の当業者に公知である。 このような方法は、典型的には、カゼイン分画及びそれに続く、組み換えポリペプチドを含む適当な分画のクロマトグラフィーによる部分精製を含む。 このようなクロマトグラフィーは、アフィニティクロマトグラジー、イオン交換クロマトグラフィー、ゲルクロマトグラジー及びHPLCを含む。 本発明の特定の実施例においては、トランスジーンは、トランスジェニックウシ種のミルク中にヒトラクトフェリンを製造するために提供される。 ヒトラクトフェリン(HLF)は、2つの第2鉄イオンを結合する一本鎖の糖タンパク質である。 外分泌線によって(Masonら、1978年、

    J.Clin.Path.第31巻、第316〜3 27頁、Tenovuoら、1986年、

    Infect.Imnun. 、第51巻、第49〜53頁)及び多核形好中球顆粒(Masonら、1969年、

    J.Exp.Med.第130巻、第643〜658頁)によって分泌されたこのタンパク質は、広い種類の細菌の成長を阻害することにより、 宿主の非特異的防御系の一部として機能する。 HLFは、培地中の利用可能なイオンをキレートし、この必須金属が侵入した細菌に近づけないようにすることにより静菌効果を示す。 (Bullenら、1972年、

    Br.Med.J. 、第1巻、第69〜75頁、Griffithsら、1977年、

    Infect,Immun .、第15巻、第396〜401頁、Spikら、19 78年、

    Immunology 、第8巻、第663〜671頁、Stuartら、1984年、

    Into J.Biohem .、第16巻、第1043〜1947頁)。 もしタンパク質が第2鉄イオンで飽和されると、この効果はブロックされる。 いくつかの研究は、HLFがある種の微生物に対して直接の殺菌効果を示すと示唆している。 (Arnoldら、1980年、

    Infect.Immu

    n .第28巻、第893〜898頁;Arnoldら、1977年、

    Science 、第197巻、第263〜265 頁;Arnoldら、1981年、

    Infect.Immun .、第32巻、第655〜660頁;Arnoldら、1 982年、

    Infect.Immun .、第35巻、第792〜797頁;Bortnerら、1986年、

    Infect

    .Immun .、第51巻、第373〜377頁)。 殺菌効果はまた、タンパク質の鉄飽和によって、阻害される。 HLFの殺菌効果の機構は、それがグラム陰性細菌の外膜にダメージを与えそして外膜の透過性を変えるということが示されているが、未だに仮説が立てられていない(Ellisonら、1988年、

    Infect.Zmmun .、第56巻、 第2274〜2781頁) ラクトフェリンは、ヒトミルク中で鉄を結合する主なタンパク質であり(約1. 5〜1.7mg/mlの濃度で存在する)、小腸による鉄の吸収において役割を果たしうる。 母乳中に存在するすべての鉄は、hLFに結合されていると考えられており、処方と比べて非常に高い効率で取り込まれる(Hide,D.W.ら、1981年、

    Arch.Dis.Child .、第56巻、第172頁)。 hLF に結合された鉄の高い取り込みは、空腸中の受容体のためで、そしてアカゲサルにおいて受容体の存在を示唆するデータが示されている(Coxら、1979年、

    BBA 、 第588巻、第120頁;Davidson,L.A.ら、1985年、

    Fed.Proc .、第18巻、第901 頁)。 また、成人のヒトの小腸の粘膜細胞上の特定のラクトフェリン受容体を示す証拠もある(Coxら、1979年、

    Biochem.Biophys.Acta. 、第588巻、第120〜1 28頁)。 遊離鉄のレベルは、腸微生物叢の制御下に関係づけられている(Mevisse n-Verhageら、1985年、

    Eur.J.Clin.Microbiol. 、第4巻、第14頁)。 母乳で育った乳児は、添加された鉄を含む及び含まない牛のミルクで育った乳児に比べて、相当に減少した腸内細菌を有し、そして便中に増加したビフィドバステリア及びクロストリジアの数を有することが示された。

    インビトロの研究において、 ヒトミルクは、

    E.

    coli . に対して特定の阻害効果を有することが示されている(Brockら、1983年、

    Infect.and Immunit .、第40巻、第453頁)。 ヒトミルクはまた、鉄結合性タンパク質、主にhLFの高含量のために、小腸においてE. c

    oli . に対して特定の阻害効果を有することが示されている(Bullenら、1972年、

    British Med.J .、

    i 、第69頁)。 このように、トランスジェニックウシ種のミルク中のヒトラクトフェリンの製造は、ヒトラクトフェリンの供給原を提供する。 このようなラクトフェリンは、 処方目的のためにトランスジェニックミルクから精製されうる。 或いは、 全トランスジェニックミルクが、好ましくは低温殺菌後に溶液又は乾燥形態で用いられうる。 更に、ヒトラクトフェリンの有益な作用は、ヒトラクトフェリン又はヒトラクトフェリンを含むトランスジェニックミルクをヒトリゾチームと組み合わせることができるということである。 ヒトリゾチームは、トランスジェニックミルク中に1以上の組み換えポリペプチドを製造しうるトランスジェニック乳牛を製造するためにHLFトランスジーンと同時に第2のトランスジーンを導入することによりトランスジェニック乳牛中に同時に製造されうる。 或いは、トランスジーンは、順次ウシ種中に導入されうる。 このようなケースでは、トランスジーンの一つを含んでいるトランスジェニックウシ種が得られる。 その後、胚細胞、例えば卵がトランスジェニック雌から得られ、第2のポリペプチドをエンコードする第2のトランスジーンを取込むために処理される。 好ましくは、卵を受精させ、引き続いてそのようにして得られた接合体の前核にマイクロインジェクションする。 前記トランスジェニックウシミルク中の2以上の組み換えポリペプチドの組み合わせは、前述のヒトラクトフェリン及びリゾチームの組み合わせに限定されないと理解されるべきである。 このように本発明は、トランスジェニックウシ種の製造を意図しており、このようなトランスジェニック動物によってトランスジェニックミルク中に1以上の組み換えポリペプチドが含まれるところのトランスジェニックミルクを意図している。 HLFの完全アミノ酸配列が決定されている(Metz-Boutigueら、1984年、

    Eur

    .J.Biochem .、第1451巻、第659〜676頁)。 HLFは2つのドメインを含み、 それぞれが一つの鉄結合部位及び一つのN‐結合グリコシル化部位を含む。 これらのドメインは、互いに相同性を示し、祖先遺伝子重複及び融合結果の徴候を示す。 更に、HLFは、トランスフェリンファミリーの他のものと広い範囲で相同である(Metz-Boutigue、上記、Pontecostら、1987年、

    J.Biol.Chem .、第262 巻、第10134〜10139頁)。 鉄結合部位中に含まれるアミノ酸の配置は、x‐線結晶学によって決定されている(Andersonら、1987年、

    Proc.Natl.Acad.Sci . 、第84巻、第1769〜1773頁)。 好中球HLFの部分cDNA配列がRadoら、1987 年、

    Blood 、第70巻、第989〜993頁によって発表されている。 cDNAから推定されたアミノ酸配列と、ヒトミルクからのラクトフェリンの直接の分析によって決定されたアミノ酸配列とは、>98%一致していた。 ヒトラクトフェリンの鉄で飽和した構造及び、鉄が遊離した形は、すでに発表されている(Andersonら、19 89年、

    J.Mol.Biol .、第209巻、第713〜787頁、Andersonら、1990年、Nature 、第784 787頁)。 本明細書中で用いる“ヒトラクトフェリン”は、Metz-Boutigueら、1984年、

    E

    ur.

    J.

    Biochem . 、第1451巻、第659〜676頁の記載及び図2に示されたものと実質的に同じアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。 しかしながら、ヒトラクトフェリン配列の初期の部分配列においては、発表された配列と本明細書中で得られた配列の間で多くの不一致が明らかになったということを述べておく。 特に、以下の不一致が存在している(アミノ酸番号は、図1の配列からのものであり、括弧内はDNAの位置である)。 従って、ヒトラクトフェリンはまた、本明細書中で示された配列の違いと発表されている配列を組み合わせた図1に示された配列によって定義される。 ヒトラクトフェリンという言葉はまた、これらの配列のいずれかの対立変異又は1以上のアミノ酸残基の置換、挿入又は欠失によって1以上のアミノ酸が修飾されている組み換えヒトラクトフェリンの変異を含む。 いくつかの場合には、ヒトラクトフェリンは、それに共有結合的に結合されている全ての又は部分的な分泌シグナル配列とともにミルク中に製造されうる。 本明細書中でいう“ヒトラクトフェリンDNA配列”とは、上記の定義されたヒトラクトフェリンをエンコードするDNA配列である。 このようなヒトラクトフェリンDNA配列は、ヒト乳腺cDNAライブラリーから得られうる又は、ヒトゲノム由来でありうる。 本明細書の実施例2は、ヒト乳腺cDNAライブラリー由来のヒトラクトフェリンのクローニング及びヌクレオチド配列を示している。 このヒトラクトフェリンのDNA配列を図1及び図2に示す。 そしてこのヒトラクトフェリンのDNA配列はRadoら、1987年、

    Blood 、第70巻、第989〜993頁に示されたそれと実質的に同じである。 hLFをエンコードする発現可能なトランスジーンを含むプラスミドの構築を、実施例中に記載した。 これらのプラスミドの1つは、ウシ乳房分泌細胞中で組織特異的に発現するために設計されたトランスジーンを含むcGP1HLF(これはまた時々16,8HLF3と言われる)である。 本発明の第2の実施例においては、トランスジーンは、トランスジェニックウシ種のミルク中でヒト血清アルブミンを製造するために提供される。 ヒト血清アルブミンは、584アミノ酸残基を含む血清タンパク質である(Minghettiら、1986 年、

    J.Biol.Chem .、第261巻、第6747頁)。 それは、ヒト血清中で、最も豊富なタンパク質であり、そして2つの重要な生理的機能を果たす。 血清アルブミンは、血液のモル浸透圧濃度の約80%を担っており、そして脂肪組織間で脂肪酸を移送する。 ヒト血清アルブミンは、主として、循環系の浸透圧を回復することによって血漿容量を増すために用いられる。 最近、hSA分画由来の熱処理された血清が、 大手術を受けるほとんどの患者を含む、ショック及び外傷にあった者に注入される。 HSAは、現在のところ、希少な血液タンパク質、例えば因子VIII及びIXを得るための血液分画方法の副産物としてヒト血漿由来である。 しかしながら、遺伝工学手段によってこのような因子を製造するために最近開発された技術は、ヒト血清アルブミンの供給源をおびやかしている。 本明細書中で用いる“ヒト血清アルブミン”は、Minghettiら(同書);Lawn ら、1981年、

    Nucl.

    Acids Res . 、第9巻、第6103頁に記載されたアミノ酸配列と実質的に同じアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。 1以上のアミノ酸残基の置換、挿入又は欠失によって修飾されている1以上のアミノ酸をその中に含む組み換えヒト血清アルブミン変異体を含むそれの変異もまた含まれる(Minghe ttiら、1986年、

    J.Biol.Chem .、第261巻、第6747〜6757頁)。 いくつかの場合には、ヒト血清アルブミンは、hSAの分泌シグナル配列をエンードするDN Aを含むトランスジーンを発現することによりミルク中で製造されうる。 或いは、ヒト血清アルブミンは、5′発現調節配列をエンコードするヒトゲノムDNA ,ヒト血清アルブミンの分泌シグナル及び構造遺伝子、及び3′発現調節配列を含む完全な異種トランスジーンを利用してトランスジェニック動物の肝臓細胞中で製造され、そして肝臓細胞から分泌されうる。 実施例中に示されたように、この異種配列を含むトランスジーンは、 オーバーラップトランスジーンフラグメントの

    インビボでの相同組み換えによって形成され、トランスジェニック動物でhSAを再構築する。 このように形成されたトランスジェニック動物は、その循環系中にヒト血清アルブミンを製造した。 本明細書で用いる“ヒト血清アルブミンDNA配列”とは、上記で定義したヒト血清アルブミンをエンコードするDNA配列である。 このようなヒト血清アルブミンDNA配列は、Uranoら、1986年、

    J.

    Biol.

    Chem . 、第261巻、第3244〜3 251頁及びUranoら、1984年、

    Gene 、第32巻、第255〜261頁、及び本明細書の実施例中に記載された、λHAL‐HAI、λHAL‐3W及び、λHAL‐HI4 から得られうる。 ヒト血清アルブミンDNA配列は、本明細書の実施例10の記載のようにしてクローン化され、そして引き続き、プラスミドのcGP1HLF(これはまたp16, 8HLF4とも言われる)中にエンコードされたヒトラクトフェリン遺伝子の構築のために操作される。 このプラスミドから、ウシのαS1カゼイン遺伝子の16 kbの5′発現調節配列、ヒト血清アルブミンDNA配列及びαS′1カゼインウシ遺伝子の約8kbの3′フランキング領域を含むトランスジーンが得られる。 このトランスジーンは、ウシ種からの受精卵母細胞へのマイクロインジェクションのために用いられる。 トランスジェネシスの初期検出の後、h SAトランスジーンを含む胚盤胞は、宿主雌ウシ種中へ着床され、出産まで保持される。 以下実施例を示すが、本発明の範囲を限定するものと解釈されるものではない。

    実施例1:ウシαS1カゼイン配列に特異的なプローブの構築

    A.

    染色体DNAの単離胎盤組織は、と場より得た。 周囲の結合組織を除き、約30グラム毎の部分にして、液体窒素中ですばやく凍結した。 染色体DNAは以下のようにして単離した: 30グラムの組織を、300mMスクロース、60mM KCl、15mM NaCl、60mM Tris:HCl 、(pH8.2)、0.5mMスペルミジン、0.15mMスペルミン、2mM EDTA、0.5mM EGTA を含む緩衝液1の35mlを用いて、(氷上で)ホモジナイズした。 1%NP40を含む氷冷した65mlの緩衝液1を加え、混合物を、氷上にて5分間保温した。 3000xgにて5分間遠心した後、ペレットを1%のNP40を含む緩衝液1でさっと洗った。 遠心工程をくり返した後、ペレットを5mlの緩衝液1に懸濁した。 5mlの0.5M EDT Aをすばやく加えた。 最終容量は15mlとなった。 0.15mlの10%SDS溶液を加えた。 混合後、RNAse及びT1を最終濃度がそれぞれ0.4mg/ml及び6u/mlとなるように加えた。 37℃で3時間保温後、プロテイナーゼKを最終濃度が0.1mg/mlとなるように加えた。 この混合物を37℃で15時間保温した。 次いで、混合物を注意してフェノールで抽出した。 水相を分離し、1/30容量の3M NaOAc pH5.2及び等容量のイソプロピルアルコールを加えた。 沈殿物(DNA)を、70%エタノールでさっと洗い、0.5mlの10mM Tris. HCl pH8.0、1mM EDTAにて4℃でゆっくり溶解した。

    B.

    αS1カゼイン遺伝子の5′フランキング領域からの配列の増幅 2つのDNAプライマーを、Yu‐Leeら、1986年、

    Nucl.

    Acids.

    Res . 、第14 巻、第1883〜1902頁で発表された配列に基づいて合成した。 プライマー1は、主要な転写開始部位に関係する位置‐681に位置されており、以下の配列: 5′-TCC ATG GGG GTC ACA AAG AAC TGG AC-3′. (配列番号:5) を有した。 プライマー#2は、主要な転写開始部位に関係する位置+164に位置されており、以下の配列; 5′-TGA AGC TTG CTA ACA GTA TAT CAT AGG-3′. (配列番号:6)を有した。 このプライマーの最初の8ヌクレオチドは、ウシゲノムによってエンコードされていないが、次のクローニング工程を容易にするためのMindIII制限部位を含む。 これらのプライマーは、染色体DNAにアニールされ、そしてデオキシヌクレオチドの存在下で、T AQポリメターゼによって伸長された。 3分後に、混合液を92℃にて1分間変性させ、50℃にて1.5分間再アニールさせ、そして、再び伸長温度(68℃)にて2 分間保温した。 このサイクルを30回くり返した。 最終サイクル後に、期待されるEcoRI部位が存在するかどうかを確かめるためにDNAを検査した。 フラグメントの大きさ及びEcoRI部位の存在は期待のとおりであった。 次いで、フラグメントを、オーバーハンギング(overhanging)末端を修復するためにクレノウ酵素で処理し、フラグメントの末端にホスフェート残基を結合させるためにキナーゼで処理し、キナーゼとクレノウ酵素を失活させるために65℃にて10分間保温し、 そして最後にHindIIIで消化した。 次いで、このフラグメントを、SmaI及びHind IIIで消化されたpUC19(Yanisch-Peroonら、1985年、

    Gene 、第33巻、第103〜109 頁)中にサブクローン化した。 このフラグメントの同定の正式な証明は、このサブクローンの部分を(M13ベクター中へ再クローニングした後に)配列決定することによって得られた。 決定された配列は、発表されている配列と同一であった。 次いで、このプローブを、αS1‐カゼイン遺伝子の5′フランキング領域に特異的なクローンを得るために、ウシゲノムライブラリーをスクリーニングするために用いた。

    C.

    αS1カゼイン遺伝子の3′フランキング領域からの配列の増幅同様のアプローチを上記と同じように行なった。 2つのプライマーを、Stewar tら、1984年、

    Nucl.

    Acids Ros . 、 第12巻、第3895〜3907頁によって発表されている配列に基づいて設計した。 5′ プライマーはcDNA配列の位置713にて開始されるコード配列のすぐ下流に位置された。 それは以下の配列 5′-GAG GGA CTC CAC AGT TAT GG-3′. (配列番号:7) を有する。 他のプライマーは、cDNA配列の位置1070に位置され、以下の配列: 5′-GCA CAC AAT TAT TTG ATA TG-3′. (配列番号:8) を有した。 これらのプライマーは、染色体DNAにアニールされ、これらのプライマーの間の領域は、上記のようにして増幅された。 得られたフラグメントは予想より約900bp長かった。 配列分析は、この大きさの介在配列は、cDNAのヌクレオチド737〜738の間に存在することを示していた。 増幅されたフラグメントは、在りうるオーバーハンギング末端を修飾するためにクレノウポリメラーゼで処理され、そしてフラグメントの末端にホスフェート残基を結合させるためにキナーゼで処理された。 次いで、フラグメントを、前もってSmaIで切断されたpUC 19中に連結した。

    D.

    αS1カゼインフランキング配列のためのウシファージライブラリーのスク

    リーニング EMBL3中に構築されたウシゲノムライブラリーを、Dr. M. Groenen,(Agricultural University Wageningen、オランダ)から得、以下の方法によりスクリーニングした。 バイテリオファージ粒子価は、

    Escherichi

    s coli MB406許容される宿主株(Strantagene Inc.)上で決定した。 このことのために、ファージストックを、SM緩衝液(50mM Tris.HCl.pH7.5、100mM NaC l、10mM MgSO

    4 、0.01%ゼラチン)で、いくつかに希釈し、200μlのMB406(OD

    550 =0.9)と混合した。 37℃、20分間ののちに、3mlのトップアガロース(Luria -Bertani培地、0.8%アガロース、10mM MgCl

    2 )を加え、そしてこれをLBプレート上に塗布し、そして37℃で一晩保温した。 次いで、400μlのMB406にファージストックの要求された量を加えることにより、約600,000ファージを塗布した。 それに続く塗布は、上記と同じである。 次の工程は、ニトロセルロースフィルターへのファージの移送であった。 プレートを1時間4℃に置いた。 ニトロセルロースフィルター(S&S)を、トップアガロース層の上に置き、正確な位置をマークした。 フィルターを持ち上げたのち、 フィルターを(1)変性緩衝液(1.5M NaCl、0.5M NaOH)中にて30分間、(2)中和緩衝液(1.5M NaCl、0.5M Tris.HCl、pH8.0)中にて5分間、浸した。 2倍のSSPE(360mM NaCl、20mM NaH

    2 PO

    4 、2mM EDTA)でさっと洗ったのち、フィルターを、80℃にて2時間、真空下で焼いた。 フィルターのプレハイブリダイゼーションを、50%ホルムアミド、5倍のデンハート溶液(0.1%フィコール、0.1 %ポリビニルピロリドン、0.1%ウシ血清アルブミン)、5倍のSSPE、0.1%SDS 及び100μg/mlの変性サケ精子DNAを含む緩衝液中で、42℃にて2時間行った。 ハイブリダイゼーションは、同じ緩衝液中で、振とう水浴中、42℃にて一晩行った。 前述したようにして作ったプローブを、ベーリンガーマンハイムのランダムプライムド標識キットを用いて標識した。 一晩のハイブリダイゼーションの後、フィルターを、2倍のSSC、0.1%SDSで、室温にて3回洗った。 増幅スクリーン(デユポン)を用いて、-70℃でコダックXARフィルムを一晩照射した。 陽性と推定されるものをプレートから取り出し、そしてSM緩衝液中で4 ℃にて一晩置いた。 これらを上記のようにしてプレートに塗布し、DNAをプレート溶菌法(Maniatis,T.ら、1982年、

    Molecular Cloning:A Laboratory Man

    ual .,Cold Spring Harbor,N.Y.)に従って、単離した。 5mlのSM緩衝液をトップアガロース層に加えた。 2時間の穏やかな振とう後、緩衝液を除き、4℃にて、4000rpmで10分間回した。 上清を、減菌管に移し、RNase及びDNasI(共に最終濃度 1μg/ml)を加え、これを37℃で30分間保温した。 等容量の20%ポリエチレングリコール、2.5M NaCl溶液を加え、氷上に1時間置いた。 4℃にて、400 0rpmで30分間遠心することにより、沈殿したバクテリオファージ粒子が残った。 これらを、500mlSM緩衝液に懸濁し、SDS(最終濃度 0.1%)及びEDTA(最終濃度 5mM)を加え、これを68℃で15分間保温した。 タンパク質をフェノール抽出及びクロロフォルム抽出の各工程で除いた。 ファージDNAの沈殿操作は、等量のイソプロパノールを用いて行った。 ファージDNAを1回、70%エタノールで洗い、50ml Tris. HCl、 pH7.5、1mM EDTA緩衝液に溶解した。 制限酵素分析、アガロースゲル電気泳動、ゲルからニトロセルトースフィルタへのDNAの転移及びサザンブロティングは、すべて、標準法(Maniatis、1982 年、

    Molecular CLonig;A Laboratory Manual )に従って行った。 プローブを用いたハイブリダイゼーション(後述する)は、上記のスクリーニング条件と同じ方法に従って行った。

    E.

    ウシS1カゼインの5′フランキング領域を含むクローンの単離 3つの推定クローンを上述のプローブ及び方法を用いて同定した。 もう一つの一連のスクリーニングの後、純粋な組み換えバクテリオファージを分析した。 クローン化されたDNAの

    SalI

    EcoRI及び

    SalI/EcoRI (二重消化)による消化及び前述のプローブを用いたハイブリダイゼーションは、3つのすべてのクローンにおける挿入が同一であることを示した。 挿入は、18kb(

    SalIで削除された、部分的

    Sau3Aフラグメント)からなっていた。 クローンの転写方向は、(1) 上述したプローブ1及び(2)プローブ1の

    NcoI-NsiIフラグメントを用いた上述した制限フラグメントのハイブリダイゼーションによって決定した。 これは、 転写開始の上流約16kbの領域を示した。 転写開始から下流は、他の1.9kbpであった。 後者の領域の部分の配列決定は、 ウシαS1カゼイン遺伝子のエキソン2及びイントロン2の一部分の存在を示した。 領域-103〜+300の追加の配列決定は、クローンの同一性を確認した。 示された制限フラグメントの臭化エチジウムパターンはまた、EMBLベクター中のクローンの配向を示した。 引き続く、以下の制限酵素(

    NcoI

    PstI

    KpnI

    BamHI

    HindIII

    BglII )を用いたクローンの分析により、図3に示されるウシS1カゼイン遺伝しの5′フランキング領域の制限地図が得られた。

    F.

    ウシS1カゼインの3′フランキング領域を含むクローンの単離 5′クローンを単離するために用いられた開始のファージの塗布からの重複したニトロセルロースフィルターを、先に述べたのと同じハイブリダイゼーション条件を用いて、3′αS1カゼインプローブを用いスクリーニングした。 8の陽性なクローンが、2回のスクリーニングの後同定された。 ファージDNAを記載のようにして調製した。 続いて、

    SalI

    EcoRI及び

    SalI/EcoRIを用いて制限消化し、そして3′αSIプローブを用いてハイブリダイゼーションを行ったところ、8つのクローンのうちの7つに、同一の挿入が示された。 18.5kb EcoRI 挿入を含む一つのクローンを、制限酵素

    BsteII及び

    BamHIを用いて更に分析した。 そのクローンの制限地図を図4に示す。

    実施例2:ヒトラクトフェリン遺伝子のクローニング

    A.

    材料制限エンドヌクレアーゼ、T4リガーゼ及びT7ポリヌクレオチドキナーゼは、Beringer-Mannheim,New England Biolabs又は、Bethesda Research Laborato riesより得た。 ラジオアイソトープは、Amershamより購入した。 バクテリオファージλgt11中のヒト乳腺cDNAライブラリーは、Clontech Inc.,Palo Alto ,Calif. より得た。

    B.

    ヒトラクロフェリン遺伝子の単離ヒト乳腺ライブラリーを、標準プラークハイブリダイゼーション方法(Maniat isら、1982年、

    Molecular Cloning;A Laboratory Manual )によって、3つの合成オリゴマーを用いてスクリーニングした。 オリゴマーの2つは、Radoら(上記)のcDNA配列とアミノ酸位置435〜445及び682〜691において一致する30-マ- であった。 第3のものは、ヒトコドン偏りに基づいた21-マ-の“最良の予測”プローブであり、アミノ酸残基18から24の間HLFのアミノ酸配列をコードした。 それぞれは (1)5′-CTTGCTGTGGCGGTGGTTAGGAGATCAGAC-3′ (配列番号:9) (2)5′-CTCCTGGAAGCCTGTGAATTCCTCAGGAAG-3′ (配列番号:10) (3)5′-ACCAAGTGCTTCCAGTGGCAG-3′ (配列番号:11) プローブを放射線標識し(Crouseら、1983年、

    Methods Enzynol .、第101巻、第78〜98頁)、そして重複フィルターをスクリーニングするために用いた。 フィルターを最後に厳格に2倍のSSC、37℃にて洗浄した。

    C.

    ヌクレオチド配列分析 DNAフラグメントを、低融点アガロースを用いて単離し(Crouseら、上記) そして、バクテリオファージM13mp18又はM13mp19(Messingら、1983年、

    Method

    Enzymol .、第101巻、第20〜78頁)中へサブクローン化した。 配列は、シークエナーゼ酵素(修飾されたT7DNAポリメラーゼ)(Taborら、1987年、

    Proc.N

    atl.Acad.Sci.U.S.A. 、第84巻、第4767〜4711頁)を用いて決定した。 全ての反応を、製品仕様書(US Biochemiclas)に従って行った。 配列を図1に示す。 hLF配列を、

    HindIII及び

    EcoRI (ファージ配列の周囲に存在)を用いて消化し、そしてpUC19の

    HindIII及び

    EcoRI部位中にサブクローン化し、pU S119Lacto4.1を形成した。 このクローンは、成熟した形のhLFの無傷なコーティング配列を含むが、完全なシグナル配列を欠いている。

    実施例3:ウシαS1カゼインCATベクターの構築実施例1で得られたαS1カゼインフラグメントが、異種遺伝子を発現するために必要とされるプロモーター及び他の性質を有するか否かを決定するために、 αS1カゼイン遺伝子からの種々の量の5′及び3′フランキング領域を含む発現プラスミドを構築した。 クロラムフェニコールアセチルトランスラーゼ遺伝子(CAT)をこれらのベクター構築物中に異種遺伝子として用いた。 CAT遺伝子は、 通常哺乳類細胞中には存在せずかつ、発現可能遺伝子を含む細胞又は動物中で定量されうる検出容易な酵素活性(Gorman,C.N.ら、1983年、

    Mol.Cell.Biol .、第2巻、第1044〜1051参照)を与えるので、異種遺伝子構築物の発現レベルを検出するために有用である。

    A.

    DNA配列 681bpのαS1カゼインプロモーター+最初の非コーディングエキソン+約150 bpの最初の介在配列(IVS)を、PCR増幅により、実施例1の5′フランキングゲノムクローンから、NcoI‐HindIIIフラグメント(約830bp)として単離した。 このフラグメントは、図5Aのフラグメント1と同定された。 プライマー配列は 5′-TCCATGGGGGTCACAAAGAACTGGAC-3′ (配列番号:12)及び 5′-TGAAGCTTGCTAACAGTATATCATAGG-3′ (配列番号:13)から成り、 それらは、Yu-Leeら、1986年、

    Nuc.

    Acids Res . 第14巻、第1883〜1902頁により発表された配列から設計された。 αS1カゼイン3′フランキング配列の約1.6kb(フラグメント2、図5A) を、PCR増幅により、実施例1のウシ3′フランキングゲノムクローンから単離した。 この領域は、αS1カゼイン遺伝子の3′非翻訳領域中の前述したスプライスを含んでいた。 フラグメント2をpUC19のSmaI部位中へサブクローン化した。 プライマー配列は、 5′-GAGGGACTCCACAGTTATGG-3′ (配列番号:14)及び 5′-GCACACAATTATTTGATATG-3′ (配列番号:15)から成り、 それらは、Stewartら、1984年、

    Nucl.

    Acids.

    Res. 、第12巻、第3895〜3907頁)により発表された配列から設計された。 免疫グロブリン遺伝子(Bothwellら、1981年、

    Cell 、第24巻、第625〜637頁) の3′スプライス部位を含むハイブリッドスプライスシグナルは、合成的に調製され、両端に位置する、ユニーク制限部位とともにpUC18中に挿入され、pM H-1を製造した。 このプラスミドを図6に示す。 NcoI及びHindIII部位はウシ5′ゲノムクローンからのフラグメント1との連結が、機能的なハウリッドスプライス配列を生じるように設計された。 図11参照。 ポリアデニル化配列は、SV40ウィルスより、pRSVcat(Gorman,C.M.ら、1 982年、

    Proc.Natl.Acad.Sci .、第79巻、第6777〜6781頁)から単離されたBa mHI-DraIフラグメント(図5A中のフラグメント3)として得られた。 細菌CATコーディング配列を、PstI‐BamHIフラグメントとしてpUC19中へサブクローン化した。

    B.

    pS13′5′CATの構築 αS1カゼインプロモーターのフラグメント1を、NcoI及びHindIII部位の間にて、pMH-1(図6)中へサブクローン化し、pMHS15′フランクを形成した。 SV40ポリアデニル化配列(フラグメント3)を、BamHI‐DraIフラグメントとしてpUC19中に、3′αS1カゼインフランキング配列(フラグメント2)に対して3′側のすぐのところにサブクローン化し、pUC193′UTR/SV40を形成した。 これは、pMH-1中にサブクローン化されてpMHS13′UTR(図5B)を派生する(3′フランキング配列及びポリ(A)配列を含む)連続的EcoRI‐SalIフラグメントの除去を可能とし、該pMHS13′UTRは、後にヒトラクトフェリンをエンコードする配列を含むpMHSI3′UTRhlfを構築するために用いられる。 EcoRI‐SalI配列(フラグメント2及び3)を、pMHS15′フランクのEcoRI ‐SalI部位中へサブクローン化し、pS13′5′フランクを形成した。 クレノウを用いてBamHI部位をブラント化(blunting)したのち、PstI-BamH ICATフラグメント(図5B中のフラグメント4)を、PstI及びSmaI部位の間にて、pS13′5′フランク(図5B)中にサブクローン化し、pS13′5′CAT を形成した。

    C.

    pS15′CATの構築 CATフラグメント(図5Bのフラグメント4、PstIBamHI)及びSV40ポリアデニル化フラグメント(図5Aのフラグメント3、BamHI‐DraI)を、pMHS1 5′フランクのPstI及びSmaI部位中にサブクローン化し、pS15′CAT(図5 C)を形成した。

    D.

    CAT生産の検定 これらのCATプラスミドのそれぞれを、リン酸カルシウム共沈降法(Gorman, C.M.ら、1983年、Science、第221巻、第551頁;Graham,F.L.ら、1973年、V irology、第52巻、第456〜467頁)によりヒト293S細胞(Graham,F.L.ら、197 7年、

    J.Gen.Virol .、第36巻、第59〜72頁)中へトランスフェクトした。 トランスフェクションの44時間後に細胞を集め、そして細胞抽出物を、CAT活性について検定した(Gorman,C.M.ら、1982年、

    Mol.Cell.Biol .、第2巻、第1 011頁;de Crombrugghe,B.ら、1973年、

    Nature [London]、第241巻、第237頁〜251頁、Nordeen,S.K.ら、1987年、

    DNA 、第6巻、第173〜178頁によって改良された方法)。 サイトメガロウィルスイミディエイト(Immediate)初期プロモータによって促進されたCATを発現する対照プラスミド(Boshart,M.ら、 1985年、

    Cell 、第41巻、第521頁)を、トランスフェクション効率を検定するためにヒト293S細胞中へトランスフェクトした。 pS13′5′CATは、これらの細胞中で対照プラスミドの約30〜100分の1のレベルで発現されたが、バックグランドよりは著しく高かった。 プライマー伸長分析は、転写が、予期された領域中で主に開始しているということを示した。 pS15′CATが、293S細胞中にトランスフェクトされた場合もまた、発現が検出された。

    実施例4:ウシαSIカゼイン/ヒトラクトフェリン発現コスミドcGP1HLF

    A.

    DNA配列の構築実施例1の16kbウシαS1カゼイン5′フランキング配列を、SalI‐BglIIフラグメントとしてウシゲノムライブライー(ファージGP1)から単離した。 BglII 部位は、αS1カゼイン遺伝子の最初のイントロン及び第2のエキソンの結合部にある。 ウシαS1カゼインシグナル配列(Stewartら、1984年、

    Nucl.Acid.Res. 、 第12巻、第3895頁)は、Cyclone Plus DNAシンセサイザー(Millgen/Biosear ch I)上で合成した合成DNAから調製し、無傷のスグナル配列+5′末端に結合したXhoI及びClaI部位、及び3′末端に結合したNaeI部位を含む(フラグメント8、図7B)。

    EaeIを用いてのpUC119Lacto4.1の切断は、成熟hLFの最初のアミノ酸のためのコドンの場所において、正確にプラスミドを開環した。 クレノウによる処理を、オーバーハンギング5′末端を満たすために用いた。 更にAccI及びEcoRI を用いた切断は、2つのフラグメント(a)成熟hLFの最初の243bpを含むEae I‐AccIフラグメント(フラグメント5、図7C)及び(b)残りのコーディング配列の5つの末端コドン以外のすべてを含む1815bpの近接AccI‐EcoRIフラグメント(フラグメント6、図7C)を与えた。 EcoRI部位から始まり、停止コドンを4塩基超えて伸びているhLFの最後の5つのコドンを含む合成リンカーを調製した。 KpnI部位を3′末端に加えた( 図7C中のフラグメント7)。 αS1カゼインのコーティング領域のすぐ下流から始まる配列及び5′末端から約350bpのところにBstEII部位を含む8.5kbのEcoRI3′フラグメントを、ウシゲノムライブライーから単離した(図4)。このフラグメントを、EcoRI部においてpMH-1中にサブクローン化してpMH3′E10を形成した(図7A)。 SalI部位は、pMH3′E10の3′EcoRI部位に隣接している。

    B.

    cGP1HLFの構築 hLF3′リンカー(フラグメント7、図7C)を、pMH3′UTR(図7A)のE coRI‐KpnI部位中にサブクローン化して、pMH3′UTRhLF2リンカー(図7A) を製造した。次いで、合成ウシαS1カゼインシグナル配列(フラグメント8)をpMH3′UT RhLF2リンカーのXhoI及びSmaI部位中にサブクローン化して、pS13′hLF1/2L( 図7B)を作成した。 2つのhLFコーディングフラグメント(図7C中のフメント5及び6)をpS 13′hLF1/2L(図7B)のNaeI及びEcoRI部位中にサブクローン化してpS13′UT RhLF(図7C)を作成した。 pMH3′E10(図7A)からの巨大なαS1カゼイン3′UTRフラグメントをB stEII‐SalIフラグメントとして単離し、そしてpS13′UTRhLFの同じ部位中にサブクローン化して、phLF3′10kb(図7D)を形成した。コスミドcGP1HLFを3系連結(3-way ligation)(図7 F)から調製した: (1)ファージGP1(実施例1、図3)からの16kbの5′フランキング配列を2つのリンカーアダプターを結合することによって修飾した。 5′末端のSal I部位を、NotI‐SalIリンカーに連結させた。 3′末端のBglII部位をBglII‐ XhoIリンカーに連結させた; (2)5′末端がαS1カゼインシグナル配列により及び3′末端が約8.5kbのαS1カゼイン3′フランキング配列により隣接されたhLFコーディング領域を、phLF3′10kbからXhoI‐SalIフラグメントとして単離した。 5′末端のSalI部位をSalI‐NotIリンカーに連結させた; (3)コスミドpWE15(Stratagene,Inc.)は、NotIを用いて直線状とした。 (a)、(b)及び(c)からのフラグメントを互いに連結させ、市販のラムダパッケージング抽出物(Stratagene,Inc.)を用いて、細菌中へトランスフェクトし、cGP1HLFを製造した。

    実施例5:ウシαS1カゼイン/hLF発現プラスミド

    A. pS13′5′hLFの構築 pS13′UTRhLFのHindIII‐SalIフラグメントを、pMHS15′フランク中の同じ部位中にサブクローン化して、pS13′5′hLF(図7E)を作った。このプラスミドは、681bpのウシαカゼインプロモーター配列、αS1カゼイン/IgGハイブリットイントロン、αS1カゼインシグナル配列、 hLFコーディング領域、約1.6kbのαS1カゼイン3′フランキング配列及びSV40後期領域ポリアデニル化配列を含む。

    B.

    pS15′hLFプラスミドpS13′5′hLF(図7E)を、αS1カゼインの1.6kbの3′フランキング配列に隣接するKpnI及びBamHIで切断した。比較的大きなベクターフラグメントを精製して、クレノウでブラント末端とし、そして自己連結によりpS15 ′hLFを形成した。

    C.

    hLFのラジオイムノアッセイウシ又はマウスのタンパク質に交叉反応しない、ヒトラクトフェリンに対するモノクローナル抗体の腹水液の免疫グロブリンに富んだ分画を、50%硫安沈殿により調製して、CNBr‐活性化セファロース4Bに結合させた(1gのセファロースに対してタンパク質20mg)。セファロースビーズを10mM EDTA、0.1%(w/v) ポリロレン及び0.02%(w/v)NaN

    3を含むリン酸塩緩衝塩類溶液(PBS;10mMリン酸ナトリウム、0.14M NaCl)、pH7.4に懸濁した(2mg/ml)。セファロース懸濁液(0.3ml)を、2mlのポリスチレン管中に試料(通常50μl)と共に入れて、垂直方向(head-over-head)回転によって室温にて5時間保温した。次いで、セファロースビーズを生理食塩水で洗い(1.5mlで5回)、0.5mlのPBS、0.1%(w/v )のトゥイーン‐20とともに、50μl(1kBq)の

    125 I‐標識アフィニティー精製したポリクローナルウサギ抗ヒトラクトフェリン抗体といっしょにして16時間室温にて保温した。その後、セファロースを再び生理食塩水で洗い(1.5mlで4回)、結合された放射能を測定した。結果は、加えた標識した抗体の結合%として表わした。試料中のラクトフェリンのレベルは、標準として精製したヒトミルクラクトフェリン(PBS,10mM EDTA,0.1%(w/v)トゥイーン20で一連の希釈)を用いて、ナノモルで表わした。別々の機会における標準のくり返しの試験より、このRIAは非常に再現性がよく、変動の内部及び相互(inter)検定係数は、5〜10%の範囲であったことが示された。 0.1ナノグラムと少ないヒトラクトフェリンもこのRIAにより容易に検出されうる。

    D.

    293S細胞中での発現 293S細胞に、上述のhLFプラスミドをトランスフェクトした(トランスフェクション効率のための対照として1μgのCMV‐CATプラスミドをコトランスフェクトした)。トランスフェクションの44時間後に、培地を細胞から除去し、上記のようにしてhLFの検定をし、RNAをStrykerら、1988年、

    EMBO J. 、第8巻、第2669の記載のようにして単離した。結果は以下のように要約される: 1.トランスフェクション効率は、2つのhLFプラスミドで同じであった; 2. hLFは細胞中で発現されて、培地中へ分泌された。いずれの場合でも、 そのレベルは、約3×10

    6細胞を用いて約0.4μg/ml培地である; 3.タンパク質は、用いた試料の関数として、結合された

    125 1‐抗ラクトフェリンの量を測定する投与量‐応答検定においてヒトミルク試料中でhLFと同じに挙動する。 4.タンパク質は、ウエスタンブロッティングによって判断すると、ヒトミルク中のものとはほぼ同じ大きさ(80kb)を有している。 5.細胞中で製造されるhLFRNAは、正しい大きさを有しており、そのレベルは、ノーザンブロッティングによて判断すると、いずれのプラスミドも類似であった。これらのデータは、これらの2つの発現プラスミドがhLFを発現できるということを示している。今までのところ用いたすべての標準によると、タンパク質は、ヒトミルク中に存在するhLFと同じである。異種シグナル配列は、細胞から培地中へのタンパク質の分泌を促進する機能を果たす。更にこれらのプラスミドに用いられたカゼイン調節配列は、異種遺伝子の発現を促進できる。

    実施例6:ウシ卵母細胞のインビトロ成熟、受精及び培養未成熟卵母細胞は、畜殺場で得た卵巣の卵炉胞を吸引することにより大量に得られる(400〜500/day)。未成熟卵母細胞が受精を受ける能力をもつまで、それをある期間

    インビトロで培養する。 “成熟化”するとすぐに、卵母細胞は、すでに成熟されているか又は

    インビトロで“受精能獲得した”精子によって受精される。次いで、受精卵母細胞の前核に、ヒトラクトフェリンの発現及び分泌をエンコードするトランスジーンを注入する。次いで、このインビトロの受精及びマイクロインジェクションより得られた接合体は、調製された又は卵管組織によって“順化された”培地中で後期桑実胚又は胚盤胞段階まで培養される(5〜6日)。次いで、胚盤胞は、残りの妊娠のために宿主ウシに非外科手術的に移入されるか、又は本明細書中に記したトランスジーンの組み込みについて分析される。

    インビトロ成熟(IVM)卵巣を、地元の畜殺場でと殺の直後に得て、卵母細胞を回収する。或いは、卵母細胞は、生きているウシより、外科手術、エンドスコープ又は、経腟超音波方法により得られる。すべての場合において、卵母細胞は、卵巣の卵炉胞(直径2 〜10mm)より吸収される。洗浄後、卵母細胞を、10%牛胎児血清が補われたM199 から成る成熟培地中に置き、39℃で24時間培養した。 Sirardら、1988年、Biol. Reprod. 、第39巻、第546〜552頁。

    インビトロ受精成熟(IVF)成熟した卵母細胞を、新鮮な又は解凍された精子で受精させる。精子は、第一に“泳ぎのぼる(swim-up)”分離方法(Parrishら、1986年、

    Theriogenology 、 第25巻、第591〜600頁)により、自動力に富んだ精子の集団を得ることによって、受精のために調製される。次いで、自動力のある精子を、精子の受精能獲得を引き起こすヘパリンを補なった修飾Tyrode溶液(Parrishら、1986年、上記)から成る受精培地に加える(Parrishら、1988年、

    Biol.Reprod .、 ランスジーンを注入する。次いで、このインビトロの受精及びマイクロインジェクションより得られた接合体は、調製された又は卵管組織によって“順化された”培地中で後期桑実胚又は胚盤胞段階まで培養される(5〜6日)。次いで、胚盤胞は、残りの妊娠のために宿主ウシに非外科手術的に移入されるか、又は本明細書中に記したトランスジーンの組み込みについて分析される。

    インビトロ成熟(IVM)卵巣を、地元の畜殺場でと殺の直後に得て、卵母細胞を回収する。或いは、卵母細胞は、生きているウシより、外科手術、エンドスコープ又は、経腟超音波方法により得られる。すべての場合において、卵母細胞は、卵巣の卵炉胞(直径2 〜10mm)より吸収される。洗浄後、卵母細胞を、10%牛胎児血清が補われたM199 から成る成熟培地中に置き、39℃で24時間培養した。Sirardら、1988年、Biol. Reprod.、第39巻、第546〜552頁。

    インビトロ受精成熟(IVF)成熟した卵母細胞を、新鮮な又は解凍された精子で受精させる。精子は、第一に“泳ぎのぼる(swim-up)”分離方法(Parrishら、1986年、

    Theriogenology 、 第25巻、第591〜600頁)により、自動力に富んだ精子の集団を得ることによって、受精のために調製される。次いで、自動力のある精子を、精子の受精能獲得を引き起こすヘパリンを補なった修飾Tyrode溶液(Parrishら、1986年、上記)から成る受精培地に加える(Parrishら、1988年、

    Biol.Reprod .、 第38巻、第1171〜1180頁)。受精能獲得は、受精に必須の最終の精子成熟プロセスの一部を成す。精子及び卵母細胞を18時間、共培養(co-culture)する。このIVF方法の有用な特徴は、(解凍した精子の場合でも)特定の精液のための最適な受精条件が、いったん最適にされれば、安定した再現性のある結果が得られることである。(Parrishら、1986年、上記)。

    インビトロ培養(IVC)マウス、ウサギ又はヒトの卵の発生を支持する慣用の培養系は、8〜16細胞段階を過ぎたウシ胚の発達は支持しない。この問題は、卵管組織で前もって条件化された培地によって克服された。卵管一条件化された培地は、

    インビトロで8〜 16細胞段階を過ぎたウシ胚を胚盤胞段階まで支持する。 (EyestoneとFirst、198 9年、

    J.Reprod.Fert .、第85巻、第715〜720頁)。ウシ胚は、

    インビトロ培養に対して無反応であると証明された。このことは部分的に、8〜16細胞段階において

    インビトロでの分割に対する“ブロック”の存在から起る。このブロックは、ウサギ(Bolandによるレビュー、1984年、

    Therio

    genology 、第21巻、第126〜137頁)又はヒツジ(Willadeen、1982年、Mammalian Egg Transfer(E.Adams編、第185〜210頁);Eyestoneら、1987年、

    Theriogen

    ology 、第28巻、第1〜7頁)の卵管中で胚を培養することにより、軽減されうる。しかしながら、これらの

    インビボでの代わりの方法は、理想より低いものであった。そこでは(1)それらは、大多数の宿主動物の維持を必要とする。 (2)それらは、移入のために卵管に接近するための外科手術及び胚を回収するための第2の外科手術(又は犠牲)を必要とする。 (3)すべての移入された胚は、ほとんど回収されない。そして(4)観察又は処理のための培養の間での胚への接近は全く不可能である。

    インビトロ 培養系が無いことは、ウシの発達のタイムテーブル及び個体発生の基礎的情報の蓄積を妨げ、そして、非外科的胚移送及び冷凍保存技術と適合する段階(例えば、後期胚盤胞段階)へと胚を培養する方法を複雑化することにより様々な操作技術(例えば前核注入による遺伝子移送)の開発を阻止している。胚を栄養膜組織と共培養した場合に216細胞まで分割されるということをCowan ら、(1984年、

    J.Reprod.Fert .、第72巻、第479〜485頁)が論証するまで、 ウシ胚を

    インビトロで8〜16細胞の“ブロック”過ぎまで培養するという試みは成功しなかった。共培養方法は、同種又は異種卵管が接合体から胚盤胞への発生を支持するという能力に基づいて卵管組織にまで拡げられた。このように、卵管組織と共培養された又は卵管組織によって順化された培地中で培養されたウシ胚は、

    インビトロ で接合体から胚盤胞へと発生した(EyestoneとFirst、1989年、

    J.Reprod.Fert .、第85巻、第715〜720頁;Eyestone W.H.、1989年、“

    インビボ及び

    インビ

    トロ での初期ウシ胚の発生に影響する因子”、ph.D.Thesis,Wisconsin大学) 。胚盤胞は、この系で、過排卵及び人工授精の後、又は未成熟卵母細胞の

    インビトロ成熟(IVM)及び授精(IVF)により製造された。この方法によって製造された胚盤胞は、宿主動物に移入された後妊娠を引き起こし、子牛を生み出した。得られた結果は以下の通りである: それ故、初めの毎日の500卵母細胞の収集から、約55の妊娠が生じると期待される。

    卵管組織の共培養及び順化培地の調製 1. と殺後又は、卵管排除によってウシ卵管を得る。 2. 無傷の卵管を穏やかにガラススライドでこすることにより管腔組織を集める。 3.10mlの修飾チロデス(tyrodes)ヘペス溶液(Parrishら、1988年、

    Biol.

    Reprod .、第38巻、第1171〜1180頁)で組織を5回洗浄する。 4. 最終の組織ペレットを、M199(10%牛胎児血清を追加)中に、組織1容量:培地50容量の比で懸濁した。 5. 組織懸濁液を胚共培養のために用いることができる。 6. 或いは、培地を48時間順化して、懸濁液を遠心したのち、上清を胚培養培地として用いることができる。 順化培地は、所望により-7 0℃で保存されうる。 順化培地は、胚培養のためにそのままで用いられるべきである(希釈なしで)(Eyestone、1989年、同書)

    実施例7:ウシ卵前核中へのhLFトランスジーンのマイクロインジェクショ

    hLF発現単位を含むDNAフラグメントを適当な制限酵素で消化することによりベクターから切り出して、アガロースゲル上で分離した。 フラグメントを電気溶出、フェノール及びクロロホルム抽出、及びエタノール沈降(Maniatisら) により精製した。 DNAフラグメントを、1〜2μg/mlの濃度にて、10mMtris、 0.1mM EDTA、pH7.2に溶解し、そしてその溶液で透析する。 マイクロインジェクション針を透析したDNA溶液で満たす。

    インビトロ授精前に、最大スピードで2分間、ボルテックスにかけるか、又は標準マイクロピペット中で、数回上下にピペッティングすることのいずれかにより卵丘細胞を卵から除去する。 前核を見えるようにするための遠心工程を加え、 ウシ前核(引用例でいうマウス前核として)は注入される(Mogan,B.ら、1986 年、マウス胚の操作、Cold Spring Harbor Laboratory)。 注入は、受精の18〜2 4時間後に行った。 時間は、精液の供給源として用いた雄牛に依存して変化する。 精液の異なる処理単位は、異なる時間において、核を可視化させた。

    インビトロで成熟されそして受精されたウシ卵母細胞をエッペンドルフチューブ中で、チロデスヘペス溶液(Parrish、1987年)1ml中にて、14,500gで8分間回した(Wallら、1985年、

    Biol.Reprod .、第32巻、第645〜651頁)。 胚を、パラフィンオイルで覆った顕微鏡スライド上の一滴のチロデスヘペス溶液の滴に移入した。 液圧系を用いて、前核がともに見れるようにして卵母細胞を卵ホルダーに固定した(干渉‐コントラスト又は相‐コントラスト光学系を用いた。)必要であれば、卵母細胞をころがし、卵ホルダー上での位置を変え、前核を見えるようにする。 注入針を、前核の一つの同じはっきりした焦点の中へ持っていく。 次いで、針は、透明帯、細胞質体を通され、前核中へ進められる。 DNA溶液の、 針の外への一定の流れ又はパルス流れ(スウィッチを用いる)のいずれかにより1〜3p1の少量が、前核中に注入される(20〜100DNAコピーを含む)。 或いは、2細胞段階の胚を、記載の如く回し、両割球の核は、記載の如く、注入される。 次いで、注入された胚は、桑実胚又は胚盤胞段階へ発生させるために実施例6に記載の如く、共培養培地の一滴へ移入される。

    実施例8:hLFトランスジーンでのトランスジェネシスの初期検出構築物をマイクロインジェクションした後、卵母細胞を培養した。 それぞれの胚の適した部位を割り、そして溶解(king,D.ら、1988年、

    Molecular Reprodu

    ction and

    Development 、第1巻、第57〜62頁)、タンパク質の加水分解(Higuchi R.、19 89年、“増幅(PCRユーザーのためのフォーラム)、第2巻、第1〜3頁)及びDPNI消化を行った。PCRは、2つのプライマー(1つはαS1cDNA 配列中、他はhLFcDNA配列中)のセットを用いて前述のようにして(Nino miy,T.ら、1979年、

    Molecular Reprod.and Devel. 、第1巻、第242〜248頁)を行った。例えば、PCR中で、前進プライマー(30mer)αS1配列は、 ATG AAA CTT ATC CTC ACC TGT CTT GTG (配列番号:16) そして、hLF配列中の逆行プライマー(30mer)は、 GGG TTT TCG AGG GTG CCC CCG AGG ATG GAT (配列番号:17);(図1の971〜1,000)、 であり、990bpフラグメントが作られる。このフラグメントは、前進プライマーの開始から934bp離れたところに、アデノシン‐メチル化の欠失のために今のところ不活性な、DpNI部位を含む。

    実施例9:ウシ種ミルク中でのhLFの製造マイクロインジェクトされた卵母細胞から発生したウシ桑実胚をDonahue(Don ahue,S.、1986年、

    Genetic Engineering of Animals ,J.Warren Evansら編、 Plenum)の方法に従って、割る。桑実胚の半分を胚盤胞へと発生させるために培養する。他の半分は、実施例8に記載の如く、DN A分析に付す。この分析の結果が判った時には、培養に置かれた桑実胚は、胚盤胞へと発生しているか又は脱核接合体への核移入の供給源となる。同期させた乳牛中への胚盤胞の移入は、Betteridgeの方法(Betteridge,K.J.、1977年;農場動物の胚移入、技術及び適応のレビュー)に従って行った。 hLFは、実施例5のRIAを用いて、乳分泌トランスジェニック子孫のミルク中に検出された。

    実施例10:ウシαS1カゼイン/hSA発現プラスミド完全なhSA遺伝子を含む3つのオーバーラップファージクローンをhSAの発現ベクターの構築のために用いた。 それらは、消化されたλHAL‐HA1、 λHAL‐3W及びλHAL‐H14である。 それらは、Uranoら、1986年、

    J.

    Bi

    ol Chem . 、第261巻、第3244〜3251頁及びUranoら、1984年、

    Gene 、第32巻、第2 55〜261頁に記載されている。 遺伝子及び周辺領域の配列は、Minghettiら、1986 年、

    J.

    Biol.

    Chem . 、第261巻、第6747〜6757頁に発表されている。 完全なhS A遺伝子を含む単一のファージは、以下のようにして構築された: クローンHA‐1を、BstEII及びAhaIIで切断する。 位置1784(最初のエキソン中で、ATGのすぐ下流)から3181に及ぶ約1400bpのフラグメントを単離して、 合成リンカーを、BstIIで切り出される最初の数アミノ酸並びにATG付近の配列並びに少しの慣用の制限部位を含むところの5′末端にて、BstII部位に結合させた。 このフラグメントはフラグメント#1と呼ばれる。 クローン3Wを

    AhaII及び

    SacIで切断して、位置3181から16322まで及ぶ約13. 1kbのフラグメントを単離して、そして、合成リンカーをSacI部位に結合して、 ファージEMBL3中へのクローニングを容易とした。 このフラグメントはフラグメント#2と呼ばれる。 これらの2つのフラグメントは、連結され、ファージEMBL3中にクローン化される。 正しいファージの同定後に、クローンH‐14から単離したSacI〜SalIフラグメント(位置16322から約21200に及ぶ)から、BstEII部位(そこにユニーク制限部位が導入されている)のすぐ上流からSacI部位まで及ぶフラグメントを単離し、そして、連結する。 次いで、これらの2つのフラグメントは連結され、 EMBL4中でクローン化される。 ClaI(BstEII部位のすぐ上流、新しく導入された)及びBamHI(ファージD NA中のSalI部位のすぐ下流)で切断後に、約2.5kbの3′フランキング配列を伴なった完全なhSA遺伝子を含むフラグメントがこの新しいクローンから得られた。 hSAの発現ベクターを構築のために、コスミドcGPI HLFを部分的に、ClaI及びBamHIで消化した。 これは、シグナル配列、hLFのコーディング配列、αS 1カゼインの3′‐UTR及びポリ(A)付加領域並びにカゼイン遺伝子の小領域3 ′が除去されている。 これを上述のhSAフラグメントと連結した。 得られたコスミドはcGPI HSAと呼ばれる。 このように形成された発現ベクターは、(1)αS1カゼイン遺伝子由来の16k bのプロモーター配列、(2)ともにGPI中に存在するこの遺伝子の最初のエキソン及び介在配列、(3)hSA遺伝子のシグナル配列(完全なゲノム遺伝子は該遺伝子の下流2.5kbを含むhSAをエンコードする)及び(4)αS1カゼイン遺伝子由来の約8kbの3′フランキング配列を含む。 このトランスジーンは、ウシ種のミルク中にhLFを製造するために用いた方法とほぼ同じ方法でミルク中にhSAを製造するトランスジェニックウシ種を製造するために用いられる。

    実施例11:ウシ種のミルクからのHSAの精製ミルクからの異種タンパク質の精製は、以下の事実により容易である。 カゼイン沈降のあとでは、これらのタンパク質のほとんどは、乳漿分画中に見られ、それは微生物又は細胞に基づいた系で用いられる生産培地に比べて混入が少ない。 クロマトグラフィー法が、乳牛ミルクからのhSAの精製に好ましい。 この方法は、エタノール分画と比べて、良好な回収及び高アルブミン純度並びに低いアルブミンポリマーの含量をもたらす。 (Curling、1980年、“血清タンパク質分画の方法”、Curling編、Academick Press London, UK,Curlingら、1982年、

    J.Parenteral Sci.Technol .、第36巻、第59頁;B erglotらとMartinacheら、1982年、Joint Meeting IHS-ISBT,Budapest)。 hS Aの特異的な輸送の役割並びに脈管内の浸透圧の維持という主要な役割はまた、 クロマトグラフィー精製の後も良好に保存されうる(Steinbrach、1982年、

    Join

    t Meeting ISH-ISBT,Budapest )。 以下の工程をトランスジェニック乳牛のミルク中で製造されたhSAを回収するために用いた: 1. pH4.5で及び/又はキモシンを加えることによるカゼイン(ミルクタンパク質の約80%)及び本質的に全てのミルク脂肪の沈降。 乳漿分画はアルブミンを含む; 2. シバクロンブルー3GA‐セファロースCL‐6Bでのアルブミンのアフィニティクロマトグラフィー(Harvey、1980年、血清タンパク質分画の方法、既に引用):この工程によりアルブミン以外のタンパク質が除かれ、そして、操作容量を約1/30に減少できる。 アルブミンは、0.15M NaCl及び20mMサリチル酸ナトリウム、pH7.5でこのマトリックスより溶出される; 3. セファデックスG‐25での緩衝液交換:0.025M酢酸ナトリウムへと脱塩して、pHを5.2に調節し、続いて瀘過した; 4. DEAE-セファロースCL-6Bでのアニオン交換クロマトグラフィー。 アルブミンの脱着はpH4.5; 5. CM-セファロースCL-6Bでのカチオン交換クロマトグラフィー。 アルブミンは0.11M酢酸ナトリウム、pH5.5で溶出し、限外瀘過によりアルブミンの濃度を6%(w/v)溶液とする;そして 6. セファクリルS-200でのゲル瀘過。 高分子量タンパク質の分画(例えば、 アルブミンポリマー、発熱物質)を捨てる。 主要分画(アルブミンモノマー)を限外瀘過により濃縮して、処方した。 工程3〜6は、血漿からのhSAの精製のための、Curling他により記載されている方法(Curling、1980年、 1982年、既に引用)と本質的には同一である。

    実施例12:相同組み換えによって作られたヒト血清アルブミン(hSA)トラ

    ンスジーンを含むトランスジェニックマウス 3つのオーバーラップゲノムhSAクローンを、トランスジェニックマウス中でhSA遺伝子を作るために用いた。 λHAL‐HAI、λHAL‐H14及びλ HAL‐3Wを図8に示す。 これらは、Uranoら、1984年、

    Gene 、第32巻、第25 5〜261頁、及びUranoら、1986年、

    J.

    Boil.

    Chem. 、第261巻、第3244〜3251頁によって報告されている。 要すれば、ゲノムライブラリーは、ヒト繊維芽細胞D NAの部分的EcoRI消化から構築された。 クローンλHAL‐H14及びλHAL ‐3Wのために、このライブラリーを、3倍のSCC及び10倍のデンハート溶液中でプレハイブリダイゼーションした後に、1M NaCl、50mM Tris-HCl(pH8.0)、10mM EDTA、0.1%SD S、100μg/mlの剪断されたサケ精子DNA及び10倍のデンハート溶液中で、65℃ にて一晩、32

    P標識ヒトアルブミンゲノムクローンを用いてハイブリダイゼーションすることによりスクリーニングした。 ハイブリダイゼーションに引き続き、 フィルターを、0.2倍のSSC及び0.1%SDS中で65℃にて洗浄した。 λHAL ‐HA1クローンの単離は、λHAL‐3Wの5′末端からの0.9kbBglII‐EcoR Iフラグメントを、ヒト繊維芽細胞ライブラリーをスクリーニングするために用いたこと以外は、同じであった。 これら3つのhSAファージクローンは、全HSA遺伝子及びフランキング領域を複合して含む3つのオーバーラップ直線状DNAフラグメントを作るために用いた。 最も5′側のフラグメントIは、λHAL‐HAIから単離されたEcoR I‐EcoRIフラグメントであり、中間のフラグメントIIは、λHAL‐3WのAc yI(=AhaII)‐SacIフラグメントであり、そして最も3′側のフラグメントII Iは、λHAL‐H14のXhoI‐SalIフラグメントであった。 (図7)。 フラグメントをクレノウDNAポリメラーゼ及びdNTPで処理してオーバーハンギング付着末端を満たした。 いくつかの実験においては、次いでブラント末端フラグメントを細菌アルカリホスファターゼで処理して、それぞれのフラグメントから5′ ホスフェート残基を除いた。 オーバーラップDNAフラグメントを次に濃縮して、発表されている方法(Hoganら、1986年、“マウス胚の操作:ALaboratory Manual”、C old Spring Harbor Laboratory)に従って受精マウス卵の雄性前核中へ共注入した。 注入された分子の数は卵細胞当たり約25から約100の間を変化したが、個々のフラグメントの比は、約1:1:1であった。 胚を、Hoganら(上記)の方法に従って、擬妊娠雌マウスの子宮中に着床させた。 3つのオーバーラップフラグメントの正しい相同組み換え及び新生トランスジーンのマウスゲノム中への組み込みを検定するために、新生子からのゲノムDN Aを以下の特定の消化に付し、引き続き、HSAcDNAプローブを用いてサザンハイブリダイゼーションした: BstEII:もし正しい組み換えが起っていれば、HSA遺伝子領域の外側で切断し、18kbのバンドが生じる; NcoI:もし正しい組み換えが起っていれば、オーバーラップ領域の外側で切断し、8.0及び9.3kbのバンドを生じる; NcoI+HindIII:オーバーラップ領域の外側のいくつかの位置で切断し、無傷のフラグメントの存在を示す; HincII:オーバーラップ領域中で切断し、これらの領域中の正しい再配列を示すいくつかのバンドを生じる。 28のトランスジェニック動物が生まれた最初の実験において、22が、正しく組み換えられたすべての3つのフラグメントを持っていた。 それら22の動物のうちの20から、血液を採取して、ラジオイムノアッセイを用いてhSAタンパク質の存在を検定した。 それら20の動物のうちの15が、0.5〜5μg/mlのレベルでhSAの発現を示した。 組み換えが起こっていない又はトランスジェニックでない動物は発現を示さなかった。 RNAブロットを用いた場合、たった2つ( 最も高いタンパク質レベルの2つ)がバンドを示した。 我々は最近、mRNAの存在のために富化されたRNA(例えばポリ(A)+RNA)のブロットを行っている。 cDNAを合成するための逆転写酵素を用い、引き続きPCRを行うことにより、RNAとタンパク質の存在間の完全な関係を観察した。 しかしながら、この実験では、我々は、RNAの大きさを決定することはできなかった。

    実施例13

    hLFをエンコードするトランスジーンの別の構築この実施例は、2つのhLFトランスジーンの構築を記述し、そこでは第一のものは約16kbのαS1カゼイン5′発現調節配列(pGPlhLF(16kb)、またp16,8HLF4ともわれる)を含み、第二のものは約7.9kbのαS1カゼイン5′発現調節配列(pGPlhLF(8kb)、またp8.8HLF4とも云われる)を含む。 これらの構築の全体的戦略を図9に示す。 1.8kb EcoRI−BglIIフラグメント(図9中のフラグメントC)が、ファージクローンGP1から分離された。 このフラグメントは、転写開始部位の−100 位置から、αS1カゼイン遺伝子の第二エキソン中まで続く。 BglII部位は、α S1カゼイン遺伝子の第一イントロンと第二エキソンの結合点に在る。 BglII部位を含む3′末端が合成BglII−ClaIリンカーにリゲート(連結)され、プラスミドpUC19中にサブクローンされた。 得られたプラスミドは、pEBSと呼ばれる。 図9中のフラグメントBは、EcoRIフラグメントとして分離され、pEBS のEcoRI部位中にクローンされた。 フラグメントBは、αS1カゼイン遺伝子中の転写開始部位の−7500位置から−100位置の配列を含む。 このように形成されたプラスミドはpEB3Sと呼ばれ、フラグメントBとCの組合せを含み、転写開始部位の−7500位置から+1400位置に続く8.9kb EcoRI−ClaIフラグメントである。 ClaIによる完全消化及びEcoRIによる部分消化により得られた、pE B3からの8.9kb EcoRI−ClaIフラグメントは、分離され、そしてEcoRI −ClaI切断pKUN2(NotI制限部位を含む、pKUN;Gene(1986)

    46 , 第269〜276頁の誘導体)中にサブクローンされて、pNE3BSを形成した。 転写開始部位の−16000位置から−7500位置に続く8.5kb ClaI−EcoRIフラグメント(図9中のフラグメントA)が、ファージGP1から分離された。 これは次に、pUC19中にサブクローンされて、pSEを形成した。 合成オリゴヌクレオチドを用いて、ユニークNotI部位がClaI部位中に導入され、これによりそれを破壊する。 得られたプラスミドは、pNEと呼ばれる。 pNEからのインサート(挿入)がNotI−EcoRIフラグメントとして分離され、pNE3BSからのEcoRI−ClaIインサートと共に、クローニングベクターpKUN2中にリゲートされた。 得られたプラスミドpGP1(Δ2ex) は、16kbのαS1カゼインプロモーター、及び第二エキソンの境界におけるBgl II部位へのジーンの5′末端を含む。 トランスジーンを含む出来上ったプラスミド(16.8HLF4)は、クローンp GPI(Δ2ex)からのNotI−ClaIフラグメント及びクローンpHLF3′ 10kbからのXho−NotIフラグメントを用いてアセンブルされた。 このトランスジーンの構築は、上記と同じである。 このプラスミドへの小さな修飾として、SalIによる切断及びNotI部位を含む(しかしSalI部位を含まない)リンカーの挿入によって、このプラスミドのSalI部位を取除いた。 続いて、下記のリンカーを加える位置として、KpnI部位を切断することによりSalI部位をhLF配列の直下流に導入した。 5′−CGTCGACAGTAC−3′ (配列IDNo.:18) CATGGCAGCTGT−5′ (配列IDNo.:19) 事実上、hLF配列は今や、2つのユニーク制限部位(ClaI及びSalI)により取囲まれ、5′末端にClaI部位及び3′末端にSalI部位を有する任意の組み換えDNA配列により置き換えられることができる。 もう1つのトランスジーンが構築された。 それは、約8kbの5′αS1カゼイン発現調節配列のみを含むことを除いて、上記と同じである。 それは、pNE3 BSからNotI−ClaIフラグメントを取り、これをクローンpHLF3′10kb からのXho−NotIフラグメント中に直接に融合することにより構築された。 得られたプラスミドはpGPIhLF(7kb)と呼ばれた(p8.8HLF4とも云われる)。 プラスミド16,8hLF4は、実施例3及び5で述べられたハイブリッドスプライスシグナル(αS1カゼイン−IgG)を含むように修飾された。 得られたプラスミドは、16,8hLF3と呼ばれ、5′−UTRにおける「天然」カゼインイントロンに対してハイブリッドイントロンの存在を除いて16,8hLF4に同じである。 hLFシグナル配列はまた、カゼインシグナル配列の代りに、本明細書で開示されるcDNA構築物のすべてにおいて用いられうる。 これは、下記のようにして行うことができる。 完全なhLFシグナル配列(図2参照)に加えて、5′末端におけるClaI制限部位及び3′末端におけるEagI制限部位を含む合成オリゴが作られた。 これら制限部位はまた、他のプラスミド(たとえばp16,8hL F4)中のカゼイン−シグナル配列と隣り合う。 ClaI及びSalI部位により囲まれたhLF−cDNAを含むフラグメントが、ClaI及びSalI部位を含むp GEM7(Stratagene,Inc)中にクローンされた。 得られたプラスミドは、Cl aI及びEagIで消化され、hLF配列を含むClaI−EagIフラグメントを収容するためにベクターとして用いられた。 ポジティブクローンから、それ自身の配列を持つcDNAがClaI−SalIフラグメントとして切出され、ClaI−S alI消化されたp16,8hLF4に挿入されて、p16,8hLF5を生じた。 同様に、hLF−cDNA及びhLFシグナル配列を含むこのClaI−SalIフラグメントは、任意のhLFcDNAベクターに挿入されうる。

    実施例14

    トランスジェニックマウスのミルクにおける組み換えヒトラクトフェリン及び

    ヒト血清アルブミンの産生本明細書の実施例で同定されたトランスジーンのいくつかを用いて、トランスジェニックマウスを発生させた。 用いられたトランスジーンは、表3及び4で同定されている。 各々の場合に、5′及び3′発現調節配列は、ウシαS1カゼイン遺伝子からであり、5′非翻訳領域におけるRNAスプライスシグナルは、αS1カゼイン遺伝子からの同種であるか、又はハイブリッドカゼイン‐IgG介在配列であった。 各々の場合における組み換えDNAは、 cDNAクローンから導かれた。 26kbの5′αS1カゼイン発現調節配列を含むトランスジーンが、オーバーラップフラグメントのインビボ相同組み換えにより発生された。 短く云えば、約14 kbSalIインサートを含むファージクローンが同定された。 このインサートは、 16,8hLF4に含まれた5′カゼイン配列から上流の約11.5kbの配列、及び約2.5kbのオーバーラップ配列を含む。 16,8hLF4からのNotIインサート及びSalIファージインサートがコインジェクトされて、26,8hLF4マウスが作られた。 *コンマの前のプラスミド表示中の数字は、ウシのS1カゼインプロモーター/ フランキング領域からの5′配列におけるおよその長さ(kbp)を表わし、一方、コンマの後の数字は、αS1遺伝子の3′フランキング配列におけるおよその長さ(kbp)を表わす。 8kb及び16kbプロモーター(5′フランキング領域)の塩基の実際の数は、夫々6.2kbp及び14.5kbpであることに注意。 **例外:表3中のデータに含まれていない追加のp16,8hLF4トランスジェニックマウス(系統145)は、224μg/mlの最高発現レベル及び112μg/mlの平均を与えた。 表3及び4のデータは、ハイブリッドイントロン+異種スプライスアクセプター部位が、有意な数の場合(5/13)において発現レベルを劇的に増大することを示す。 構築物16,8hLF4は高レベルで(16,8hLF3と同じ範囲で)発現される。 しかし、(マウスにおいて)このことは少ない数の場合においてのみ起り、 8,8hLF4及び26,8hLF4が含まれる場合に1/16である。 同様の結果が、hSA cDNAを用いて得られた。 短く云えば、16,8hSA4トランスジーンは、p16,8hLF4をClaI及びSalIで消化してhLF cDNA配列を取除くことにより構築された。 hS A cDNAは、EcoRIによりクローンから切出された。 ClaI合成リンカーが5′(上流)末端に、SalIリンカーが3′(下流)末端に加えられた。 Cla I/SalI消化された16,8hLF4ベクター中への挿入の後、16,8hSA4 が形成され、これからNotIインサートが切出され、マイクロインジェクションのために用いられた。 16,8hSA4構築物は、9つの系統を与える。 9つの系統の1つが、高レベル発現(100μg/ml)を与えた。 一方、9つのうちの残り8つは、低レベル発現(0.01〜0.05μg/ml)を与えた。 このことは、マウス乳腺におけるhLF発現のレベル及び頻度が用いられた特定のcDNAにより決定されるのでなく、16, 8×4構築物(すなわち、異種IVSを結合されたαS1カゼイン遺伝子の16kb 5′及び8kb3′フランキング領域)の固有の特徴であることを示している。 データはまた、0.7kbの5′αS1カゼインフランキング配列が高レベル発現を導かないこと、及び8(6.2),16(14.5)及び26kbがより効果的であることを示している。 これに関して、8kbは、16又は26kbの5′フランキング配列より少しだけより効果的である。 また、RNA分析は、cDNA構築物の発現が組織特異的かつ場所特異的(すなわち、発現が乳を出す乳腺でのみ観察される)であること、転写物は正確に大きさを決められる(sized)こと、及びRNAレベルと蛋白質レベルが相関することを示した。

    実施例15

    hLFトランスジェニックウシの発生ウシ系におけるトランスジェネシスは、実施例13で記述されたp16,8hLF 4トランスジーンを用いて得られた。

    卵母細胞成熟及び受精ウシ卵母細胞は、と殺所から得た卵巣上に存在した卵胞の吸引により集められ、30〜32℃の断熱コンテナー中に移された。 卵母細胞は、卵胞液と共に、2〜8 mm直径の卵胞から吸引され、50mlの円錐管中にプールされた。 卵丘−卵母細胞コンプレックス(COC)は、沈降してペレットとなることを許され、その後、上清を捨て、ペレットを50mlのTL−Hepes(Vander Shawsら,1991,Theriogenol ogy,

    35 ,288頁(アブストラクト))中で洗った。 いくつかの無傷の完全な、膨脹していない卵丘細胞層を含むCOCを15倍の解剖顕微鏡下で選択し、分離し、 10mlのTL−Hepe s中で4度、2〜3mlのTCM199+10%胎児ウシ血清(M199)中で1度、そしてパラフィンオイル(20COC/1滴)で洗った。 COCを、39℃の空気中で、 5%CO

    2の加湿雰囲気中で23時間インキュベートした。 合計約2500個の卵母細胞が用いられた。 平均して、1週間当り2回の吸収を行った。 吸引された卵母細胞の収量は、日によって大きく変り、平均して1日に約150であった。 成熟及び受精は、細胞学的分析により分析された。 成熟は、核膜の破壊、第一極体及び中期プレートの出現として定義された。 卵母細胞は、遺伝子的背景、現場での挙動及び子を生むことの容易性の点で優れた特徴を持つ三頭の雄牛から得られた凍結解凍した精子によりインビトロで受精された。 精子受精能獲得は、ヘパリンにより促進された。 Parrish,J. ら(1986)Theriogenology 25:519-600。 個々の雄牛からの精子は、特定の受精条件に異って応答するので、各ロットからの精子は正常受精の頻度を最大にし、多精子進入を最小にするために要求される最適ヘパリン及び精子濃度を決定するために、予めテストされた。 所与の雄牛のための受精条件は、0.0,1.0及び10.0mgヘパリン/mlのヘパリン濃度、及び1.0,2.0及び4.0×10

    6運動性精子/mlでスクリーンした後に選択された。 凍結及び解凍後に生き残る精子の割合は雄牛ごとに異る(雄牛について約30 〜60%がここで用いられた)ので、精子調製物は、スイムアップ(Swim-up)法(Parrish,J.ら,上述)により、生きた運動能力のある精子に富むようにされた。 あるいは精子は、 パーコール勾配中で遠心分離された。 運動能力ある部分の分離後に、精子は血球計で計算され、25倍濃縮された貯蔵物を得るために適当な濃度に希釈された。 受精媒体は、2.0〜10.0mg/mlヘパリン(ブタ腸粘膜から、177 IU/mg;シグマ社)及び、もし卵丘が受精前に除去されたなら、1mMのハイポタウリン、10mMのペニシルアミン、20mMのエピネフリン及び2mMのメタ重亜硫酸ナトリウムを補われたTALP媒体(Banister,Bethal

    Biol.Reprod. 28:235-247)より成った。 成熟したCOCは、受精のための膨脹した卵丘大きさ(mass)に基づいて選択され、10mlの受精媒体で1度洗われ、受精小滴に直接加えられるか、又は初めに、 小さな孔の、炎で磨いたピペットを通す穏やかなピペッティングによりその卵丘埋没材(インベストメント)を取除き、そして次に小滴に加えられた。 最後に、 精子細胞が、1×10

    6 〜2.0×10

    6 /mlの最終濃度に加えられた。 16〜24時間後に、 発生予定の受精卵(接合子)が受精小滴から取出された。 この時点で、各実験について20〜30個の受精卵が、3:1のメタノール:酢酸中で24時間固定され、1 %アセトオルセイン(40%酢酸中)で染色され、受精頻度(2つの前核と1つの精子尾を持つサンプルのパーセント)を測定するために調べられた。 精液の各バッチについて、上記したように、2つの前核と1つの精子尾の存在により決定するときに50〜70%の正常受精率を得るように、インビトロ受精条件(ヘパリン濃度及び精子数)を最適化した。 スイムアップ法とパーコール勾配中の遠心分離の2 つの方法のうち1つを、運動能力ある精子の選択のために用いた。 これら方法の間に、受精率の有意な差は記録されなかった。 これら及び下記の工程の効率を表5に示す。 次に、残りの卵母細胞をマイクロインジェクションのために準備した。 *パーセントは、各工程において成功裡に完成した胚又は細胞の割合を示す。 **単一未分化胎細胞(複数)の69の移入が7の妊娠を結果し、2卵化された胚の30の移入が14の妊娠を結果した。 マイクロインジェクション マイクロインジェクションに用いられた26kbpのカゼイン−hLFトランスジーン(p16,8hLF4 から)は、NotI消化により遊離され、アガロースゲル電気泳動及び電気溶出により精製された。 最終のDNA濃度は2.5μg/mlに調節された。 50個の卵丘−完全な受精した卵母細胞のバッチを、上記したようにして、又は10ml容の円錐管中の2mlTL−hepes媒体中で2分間渦巻きさせることにより、裸にした。 前核を可視化するために、卵丘のない卵母細胞を、エッペンドルフ遠心分離機で1mlのTL−hepes媒体中で14,500gで8分間遠心分離した。 Wall,R. ら,

    Biol.

    Repro

    d.

    32:645- 651。 マイクロインジェクションは、Hogan B. ら(1985)マウス胚の取扱い:実験室マニュアル、コールドスプリングハーバー ラボラトリー プレス,コールドスプリングハーバー,ニューヨークに記載されるのと本質的に同様に行われた。 胚培養 胚は、卵管組織コンディション化(順化)媒体中で受精卵からコンパクト桑実胚又は胚盤胞段階まで培養された。 Eyestoneら、(1991)

    J.

    Repr

    od.

    Fert.

    92 :59-64。 卵管がと殺場で得られ、環境温度で輸送された。 2〜4 の卵管(1〜2頭の雌牛)から内腔組織が、ガラススライドで無傷の(完全な) 卵管の外側を穏やかにこすることにより収穫された。 押出された物質を10mlTA LP−Hepesで5度洗い、1:50の組織:媒体比にM199で希釈した。 媒体を、卵管組織懸濁物5mlを含む50mlTフラスコ中でコンディショニングした。 コンディションされた媒体はしばしば、解凍後に蛋白質様沈澱物を含み、これは遠心分離により除去された。 小滴(複数)がパラフィンオイルで覆われ、受精卵を加える前にpHを平衡化させるために、2時間インキュベートされた。 受精卵は、マイクロインジェクション後2時間以内に、培養小滴中に置かれた。 最初の卵割(>2細胞)は、精子を加えた後42時間アセスされた。 媒体は、インキュベーションの過程で変えられなかった。 正常発達の判断基準は、コンパクト桑実胚又は胚盤胞段落の達成より成った。 胚移入 同期化スケジュールは、卵母細胞がと殺場の卵巣から吸引されたのと同じ日(すなわち成熟開始は第1日)に宿主が発情するように設定された。 宿主ウシにおける発情は、9日ノルジェスタメット(Norgestamet)(Intervert ,Boxmeer,オランダ)処置(製造者に従い耳インプラントに投与された)、及びノルジェスタメット処置の第7日に与えられたクロプロスタノール(cloprost anol)500μg投与によって同期化された。 インプラント除去の2〜3日内に発情が起った。 発情の5〜7日後に、胚が宿主の若い雌牛に非外科的に移入された( 1〜2つの胚/子宮ホーン)。 宿主は、9日齢の胚を受け、この時点でそれらはコンパクト桑実胚又は初期胚盤胞段階に発達していた。 これら胚は、宿主の発情サイクルの段階に比べて発達が1日先行している。 後の日における2つのマイクロインジェクションの場合に、集められた卵母細胞の第一バッチと同期していた宿主の一群が用いられた。 発条開始の日に吸引された卵母細胞から発達した胚の移入は、1日後に得られた卵母細胞からの胚よりも良い結果を与えた。 マイクロインジェクトされた胚の幾分遅れた発達の故に、宿主と胚の第一グループとの間に、より良い同期性があるように見えた。 質等級(Linder及びWrightに従う、

    Theriogenology 20:407-416)がまあまあ乃至不良(fair to poor)であるとき宿主は2つの胚を受け、質等級が優乃至良(exce llent togood)であるとき唯一つの胚を受けた。 2つの胚を受けた夫々の妊娠した宿主は、唯一つの胎児を出産予定日まで育てた。 全体としての妊娠率は21%であった。 これは、インビボで発達したマイクロインジェクションされない胚に関して他人により報告された率より著しく低い(LinderとWright,上述、及びMass yら(1984)

    Theriogenology 21:196-217)。 ここで述べた実験において、インジェクションされない胚を用いる移入は行われなかった。 妊娠は、妊娠の45〜60日に直腸触診により決定された。 合計21の妊娠が確立された(移入後45〜460日の直腸触診により確認された)。 妊娠の間、2つの胎児が失われた。 1つの宿主が、妊娠の7.5ヶ月に理由不明で自発的に流産した。 出産の予定日の3週後に宿主を殺して回収された第2の胎児は、シストソーマ リフレクサム(schistosoma reflexum)と呼ばれる異常胚発達を持つ完全に成長した死んだ子牛であった。 2つの場合に、完全な無傷のDNAを分析のために分離することが出来なかった。 19の子牛が正常妊娠後に生まれた。 これら子牛の1つは分娩中に死に、 第2の子牛はミルクの吸入事故に続く肺炎のため出産24時間後に死んだ。 10ヶ月の妊娠後に体重70kgで生まれた第3の子牛は、3週齢で安楽死させられた。 病理学的分析によると、この動物は、慢性的請動脈炎の故に敗血症を患っていた。 3 つの死んだ子牛から分析できた組織は、組込まれたヒトラクトフェリン(hLF )配列を含んでいなかった。 従って、それらの死の原因は、トランスジーン組込みに関係ないと考えられる。 残る16の子牛は優れて健康である。 トランスジーンの構造 図12Aに、hLF cDNAのコーディング配列を、斜線を付した箱により示す。 翻訳開始及び停止コドンの位置が示されている。 5′及び3′非翻訳領域は、αS1カゼインエキソン(空の箱により示される)によりエンコードされる。 これらエキソンを中断する介在配列は、細線により示されている。 発現単位は、ウシのS1カゼイン遺伝子(太線により示される) から導かれたフランキング配列により囲まれている。 制限酵素部位の位置は、下記の記号により示される:R,EcoRI;A,Asp718;N,NotI。 NotI部位は、ウシαS1カゼイン遺伝子自体中の示された位置に存在せず、合成リンカーにより導入された。 黒い棒は、トランスジーンの存在を検出するために用いられたプローブの位置を示す。 EcoRI又はAsp718での消化後に得られたフラグメントのサイズ(kbp)は、下方に示されている。 DNA分析 DNAは、すべての子牛からの胎盤、血液及び耳組織から分離された。 抽出されたDNAのサザンブロット分析を図12Bに示す。 1レーン当り10μgのDNAを与えた。 フラグメントサイズメーカーはkbpで示され(ラムダDNAのHindIII消化)、左に表示されている。 レーン1は、EcoRI消化されたヒトDNA(血液から分離された);レーン2は、血液から分離された子牛No.4からの、EcoRI消化されたD NA;レーン3は、血液から分離された子牛No.4からのAsp718消化されたDN A;レーン4は、子牛No.4からのEcoRI消化された胎盤DNA;レーン5は、子牛No.4からのAsp718消化された胎盤DNA;レーン6は、血液から分離された子牛No.15からのEcoRI消化されたDNA;レーン7は、血液から分離された子牛No.15からのAsp718消化されたDNA;レーン8は、耳組織から分離された子牛No.15からのEcoRI消化されたDNA;レーン9は、耳組織から分離された子牛No.15からのAsp718消化されたDNA;レーン10は、子牛No.15からのEcoRI消化された胎盤DNA;レーン11は、子牛No.15からのAsp718消化された胎盤DNA;レーン12は同じ構築物を宿すトランスジェニックマウスの尾から分離されたEcoRI消化されたDNAである。 DNA抽出、サザンブロット分析及びハイブリダイゼーションは、標準手順に従って行われた。 サザンブロット実験で用いられたプローブは、図2のhLF cDNAの3′部分をカバーする758bp EcoRV−EcoRIフラグメントであった。 プローブとしてhLF cDNAを用いるサザンブロット分析は、2つの子牛(No.4と15)の組織においてトランスジーン配列が宿主ゲノム中に組込まれていたことを示した。 子牛No .15(雌)は、トランスジーンの組込みについてモザイクであった。 胎盤組織はポジティブであり、一方、血液及び耳組織においてはhLF配列は検出されなかった。 胎盤中のコピー数は1〜2であった。 トランスジーンの制限酵素マップは、カゼイン−hLFプラスミド(図12A)のマップに基づいて及び多数の個々のトランスジェニックマウスにおいて得られたパターン(データを省略)に基づいて予測されるものと異っていた。 明らかに、DNA構築物の一部の削除を含む再配列が起っていた。 この再配列事象が、トランスジーンがすべての組織では検出され得なかった事実と関連あるかどうかは明らかではない。 マウスにおいて、すべての生まれたトランスジェニック動物の30%越がモザイクであることが示された。 子牛No.4(雄)は、3つのすべての組織において、予期されたものと同じである、同一のハイブリダイゼーションパターンを示した。 種々の酵素による制限消化は、無傷の完全なコピーの頭尾連続物(concatamer)が取込まれ、再配列の徴候はないことを示した。 コピー数は、トランスジェニックバンドの強度を、ヒトDNAへのhLFプローブのハイブリダイゼーションから得られたバンドと比較することにより推定された(図12B)。 子牛No.4において、トランスジーンの5〜10コピーが、調べられた3つの総ての組織において取込まれていた。 子牛No.4により作られた精子の分析は、異常を検出しなかった。 次にDNAが精子から分離され、hLFトランスジーンの存在について分析された。 トランスジーンのコピー数(2〜3)は、精子中と他の組織中とで同じであることが判った。 これは子牛No.4がモザイクでなく、彼の子の50%にトランスジーンを渡しうることを示している。

    実施例16

    ゲノム組み換えDNAのためのトランスジーン

    カセットの構築ここまでに記述したプラスミドはすべて、ウシαS1カゼイン非翻訳領域(介在配列を含め)から導かれた領域を含む。 高い発現を許す非翻訳領域及び介在配列をすでに含むゲノム遺伝子が発現されるべきである場合に、αS1カゼイン遺伝子の翻訳開始部位を含むフランキング領域が、発現されるべき遺伝子の非翻訳領域に操作可能に(operably)結合されているところの発現カセットを用いることが好ましい。 そのような発現カセットはp−16kb,CSであり、下記のようにして構築された。 プラスミドpS1 3′5′hLFが、PCR実験におけるテンプレートとして用いられた。 このプラスミドは、αS1カゼイン遺伝子のプロモーター配列の680bpならびにその初めのエキソンを含む。 このプラスミドの残部は、この実験において関連しない。 上流プライマーは、プラスミド部分中のインサートの直上流(NotI制限部位の直上流)に位置された。 その配列は、5′ −CGA CGT TGT AAA ACG ACGG−3′である。 下流プライマーは、エキソン1中に位置された。 その配列は、エキソンの初めの19bpと正確にマッチし、またClaI及びSalI部位を含む17bpの非ハイブリッド化領域を有する。 それは、下記の配列を有する。 5′-ATTGTCGACTTATCGATGGGTTGATGATCAAGGTGA-3′ 増幅されたフラグメントは、NotI及びSalIにより消化され、pKUN2中にリゲートされた(実施例13参照)。 従って、得られたプラスミド(p−680 CS)は、−680〜+19の近位プロモーターフラグメント、及びこれら19bpの直下流の2つの制限部位を含む。 このプラスミドは、NotI(−680の直上流)及びNsiI(−280で)により消化され、p16,8hLF4から分離された、NotI部位(−16kbの直上流)からNsiI(−280)まで続くフラグメント(実施例13)にリゲートするためにベクターとして用いられる。 従って、このプラスミド(p−16kb,CS)は、約−16 ,000〜+19のプロモーターフラグメントを含む。 それは、ゲノム遺伝子自身のU TR及びポリ(A)シグナルを有するゲノム遺伝子をインサートするために用いられうる。 ClaI−SalIフラグメントとしてのゲノム遺伝子の挿入後に、αS 1カゼイン3′−フランキング領域は、SalIフラグメントとして挿入されうる。

    実施例17

    プロテインCの産生のためのトランスジーンの構築プロテインCのゲノム配列は、文献にある。 Fosterら(1985)、

    Proc.

    Natl.

    Acad.

    Sci.

    USA 82,4673-4677。 しかし、この配列は、 Beckmanら(1985)

    Nucl.

    Acids Res. 13,5233-5247により発表されたcDNA 配列を介して同定された初めのエキソンを含まない。 プロテインCの初めのエキソンは、Foster配列中の−1499乃至−1448位置に位置される。 ウシ種のミルク中にプロテインCを発現し分泌するためのトランスジーンは、図10に示される。 このトランスジーンは下記のように構築された。 EMBL−3(Clonotech)中のヒトゲノムライブラリーが、プロテインCに対して特異的な配列によりプローブされる。 完全なプロテインC遺伝子を含む精製されたファージDNA調製物が分離される。 ファージは、Dam表現型を持つ

    E

    coli株たとえば株GM113から分離される。 これは、メチルされていないクローンされたDNAをもたらし、そのままですべてのClaI制限部位が切断されうる。 +1333位置から11483位置に続くClaI NheIフラグメントが分離される。 これはフラグメントIと呼ばれる。 pGEM7(Stratogene,Inc.)がSphI及びSmaIにより消化される。 中間の領域は、プラスミドpKUN(

    Gene (1986)46,269-276)の対応する領域により置き換えられる。 得られたプラスミドは、pGEN7Aと呼ばれ、問題の領域において下記の制限マップを有する。 2つのプライマーが合成される。 プライマーGP125は、 下記の配列を有する。 5′-CAA

    ATC GAT TGA ACT TGC AGT ATC TCC ACG AC-3′ ClaI プライマーGP126は下記の配列を有する。 5′-GGG

    ATC GAT CAG ATT CTG TCC CCC AT-3′ ClaI プライマーGP125は、エキソン0(プロテインC遺伝子の654〜675位)とのオーバーラップを有し、5′非翻訳領域中にClaI部位を導入する。 エキソン0 は、Fosterらにより同定されなかったエキソンである。 プライマーGP126は、 プロテインC遺伝子中の1344〜1315の領域とオーバーラップする。 この領域は、 ClaI部位を含む。 654と1344位の間の領域は、テンプレートとしてヒトDNA又はファージDN Aを用いて増幅される。 そのように増幅された物質は、ClaIで消化され、ベクターpGEN7a中でクローンされて、pPCCCを形成する。 このベクターは、damネガティブ株たとえばGM113中で増殖され、そしてClaIで部分的に切断され(1340位でClaIにより1度切断されたプラスミドのみが興味ある)、 かつXbaIで完全に切断される。 ClaI NheIフラグメント(フラグメントI )は、このベクター中にクローンされる。 得られたプラスミドは、pPCと呼ばれる。 その構造を図10に示す。 このプラスミドから、プロテインCトランスジーンがClaI−SalIフラグメントとして分離され、p16kb,CS(実施例15参照)中にリゲートされて、ウシミルク中にプロテインCを発現できるトランスジーンを発生する。 このプラスミドは、p16kb,CS,PCと呼ばれる。 p16kb,CS,PC中に含まれるトランスジーンは、NotIにより切出され、 上述のようにトランスジェニックウシ種を発生させるために用いられる。 そのようなトランスジェニック動物は、そのミルク中にプロテインCを作ることができる。

    実施例18

    インビボ相同組み換えにより形成されたヒトラクトフェリントランスジーン:

    2つのオーバーラップするDNAフラグメントのマイクロインジェクション全体のhLFゲノムクローンを得るために、プローブとして本明細書に記述されるhLF cDNAクローンを用いて、2つのヒトゲノムコスミドライブライーをスクリーンした。 最初の及び最後(第17番)のhLFエキソンに対し特異的なプライマーとのハイプリダイゼーション及びDNA配列決定により決定すると、分離された14のクローンのうち、2つのクローン(13.1及び13.2と呼ばれ、 一つは各ヒトコスミドライブラリーから)が全hLF遺伝子を含んでいた。 これらhLFゲノムクローンのインサート大きさは、クローン13.1については42kbp 、クローン13.2については43kbpであった。 クローン13.1及び13.2は夫々、5kbp 及び13kbpの5′フランキング配列を含む。 クローン13.2の3′フランキング領域は、1kbpと3kbpの間である。 クローン13.1は、7kbpの追加的3′フランキング配列を含む。 構造的hLF遺伝子(=イントロン+エキソン)の大きさは、約30kbである。 hLFクローンの同定は、いくつかのエキソン(最初及び最後を含め)を配列決定し、これら配列及びプロモーター領域を図2に示されるhLF cDNA配列と比べることにより確認された。 加えて、クローンは、ヒト腎臓293細胞中に移植され、hLF発現が検出された。 これは、二つのクローンが機能しうることを示す。 制限マッピング及びサザンブロットによる13.1及び13.2クローン(独立のライブライリーから導かれた)の比較は、対応する領域(すなわち構造的hLF遺伝子)において差を示さなかった。 サザンブロット実験は、hLF遺伝子がヒトゲノムにおいて単一コピー遺伝子であることを示した。 図13〜16は、αS1カゼイン/ゲノムhLFトランスジーンを発生させるための全体手順を示す。 構造的hLF遺伝子中の最も5′側のApaI部位は、エキソンI中、hLFシグナル配列中に位置される。 エキソンIのすぐ5′側の400bp領域が配列決定された。 この領域は、hLF遺伝子の翻訳開始部位及びTATA‐ボックスを含む。 この領域はまた、BamHI制限部位を含む。 乳腺特異的発現ベクターを構築するために、8(6.2)kbp又は16(14.5)kbp のαS1ウシカゼインプロモーター領域をゲノムhLFクローンに融合させることが必要であった。 しかし、約50又は60kb(カゼイン遺伝子プロモーターからの6.2又は14.5kb+コスミドベクターからの8kbおよびhL Fゲノムクローンからの35〜40kb、すなわち約50〜63kb)のそのような構築物の全サイズは、慣用のクローニングベクターの使用を困難にする。 従って、8kbp 又は16kbpのαS15′カゼインプロモーター及びフランキング配列は、構造的hLF遺伝子の5′遺伝子の9kbの5′領域に融合され、このフラグメントは、 ClaI消化により得られた一般的(generic)hLFクローン13.1の3′配列の約33〜34kbpを含むオーバーラップするhLFフラグメントと共にインジェクトされた。 図13及び16参照。 クローン13.2からのBamHIフラグメント(エキソンIを含む)は、プラスミドpUC19中へサブクローニングされた(図14)。 このクローンから、ApaI(部分的消化)及びSalI消化により8.9kbpのApaI-SalIフラグメントが分離された。 このフラグメントは、hLFシグナル配列の殆ど及びhLF5′UTRの全てを欠く。 この失われた領域を示す合成配列(図15B)は、5′ApaI部位からhLF TATA ‐ボックスからの下流領域中へ続く、2つの相補的DNAストランド(68量体及び62量体)を合成することにより得られた。 これらプライマーをアニーリングした後に、5′ClaIオーバーハング及び3′ApaIオーバーハングを有するDNA フラグメントが発生された。 ClaI‐ApaIフラグメントの引続く配列決定は、それが図15Bに示す配列(これは天然の配列とは1位置で異なる)を持つことを示した。 この合成ClaI‐ApaIフラグメント及び上述の8.9kbp ApaI‐SalIフラグメントは、p‐16kbpCS及び類似のプラスミド(αS1カゼインプロモーターの16kbpの代りに8kbpを含む)中にリゲートされた。 これは、hLFゲノム遺伝子の5′部(9kbp)に融合された16kbp又は8kbpのウシα S1カゼインプロモーターを含む2つのプラスミドを与える。 図15A参照。 これらフラグメントは切出され(NotI‐SalI)、そしてhLFコスミドクローン13 .1からの3′の33〜34kbpClaIフラグメントと共にインジェクトされた。 コインジェクトされたフラグメントは5.4kbpのオーバーラップを持った。 8kbpのαS1カゼインプロモーターを含む構築物のコインジェクションの後に、8つの独立したトランスジェニックマウスを、尾‐DNAブロッティングにより同定した。 相同的組み換えが起ったがどうかを決定するために、染色体DN A(始祖及び子孫の尾から)をApaIで消化し、サザンブロットにより分析した。 オーバーラップ中に位置された2.7kbのClaI‐MluIフラグメント(図13又は1 7参照)をプローブとして用いた。 相同的組み換えが起ったとき、7.5+0.3=7.8 kbのバンドが発生され、このプローブで検出される。 このバンドはまた、ヒト染色体DNA中にも存在し、それは分析において対照として用いられた。 もし相同的組み換えが起らなかったなら、プローブは、組込みの部位近傍のApaI部位の位置に依存して、種々のサイズのバンドを検出する。 診断的な7.8kbバンドは、8つの全てのトランスジェニックマウスにおいて検出された。 これは各トランスジェニックマウスが組み換えられたフラグメントを含んだことを示す。 これら8つのマウス系統(始祖No.936,937,950,951,982,983,984及び985)について、乳を出す雌からミルクを集め、hLF蛋白質発現について評価した。 7つのマウス系統についてのデータを下記に示す。 発現レベル

    マウス系統

    (最大) (mg hLF/ml) 936 4.5 937 6.0 950 0.003 951 0.010 982 5.9 983 乳分泌の第2及び4日に 982及び937と類似* 984 2.8 985 6.6 *このマウスは、乳分泌の第4日に事故により死んだ。 この時点で、hLF発現は0.3mg hLF/mlのレベルに達っしていた。 これは、乳分泌のこの初期段階において、他の高発現(たとえば937,982,984)について見られるレベルと正確に同じレベルである。 特に始めの乳分泌の開始におけるhLF発現の徐々の増加のこの現象は、ここで発生されたマウスにおいて共通して観察された。 従って、マウス983は高レベル発現体と分類される。 hLF発現の組織特異性は、多数の組織から全RNAを分離し、トランスジーン由来のmRNAの存在及びレベルを分析することにより決定された。 この分析に基づくと、hLF mRNAは乳分泌する乳腺中でのみ起り、発現は組織及び段階特異的である。 RNAレベルは、系950及び951では検出限界より下であったが、高発現性系統においては高く、ウシαS1カゼイン発現レベルと相間する。 これは、ウシ乳分泌乳腺RNAと乳分泌トランスジェニックマウスからの乳腺RNA両者のノーザンブロットにより決定された。 ウシαS1カゼインRNAの5′UTRにおいて及びトランスジーンRNAにおいて正確に同じ配列にハイブリダイズする24bp合成オリゴマーを、プローブとして用いた。 発現レベルは、トランスジーン‐及びα S1RNAにハイブリダイズしたラベルされたプローブの量の定量化により直接に比べられた。 ウシαS1カゼイン(20kD)とhLF(80kD)の間のサイズ差について較正が行われたとき、mRNAと蛋白質の比は、ウシαS1カゼイン及びhLFについて同じ範囲にあった。 このことは、トランスジーン由来のhLFの翻訳及び分泌が損われないことを示す。 hLF mRNAの長さは、予測されたようであり(約2.5kb)、しかしマウス系統937においては少し小さい強度の、より長いバンド(3〜3.5kb)も観察された。 このバンドの発生は、相同組み換えプロセスに関係づけられるかも知れない。 このRNAが、真にすばらしい(bona fine)hLFへと翻訳されるかを決めることが残っている。 カゼインプロモーターは、他のミルク特異的プロモーターに比べて、高レベル発明を得るのに好都合でないことが示唆されていた。 しかし、今般のデータは、 これが正しくないことを示す。 発現レベル及び発現する動物のパーセントの両者に関して、αS1カゼイン配列を含むトランスジーンは、報告された他のいかなる乳腺特異的トランスジーンよりも良好に挙動する。 上記データを、hLF cDNAを含む構築物で得られたデータと比べると、 下記の観察が得られる。 本明細書で最良のcDNA発現ベクター(16,8hLF3) は、ゲノムhLF構築物に比べて常にはるかに低いレベルで発現する。 発生された13のcDNA系統のうち、8つが非常に低いレベル(1〜5μg/ml)で発現し、5つは40〜200μg/mlで発現した。 ゲノムhLF(同じフランキング配列を含む)について観察されたレベルと比べて、これら比較的低いレベル(cDNA発現については高いけれど)は、ゲノム配列が一貫してより高い発現レベルを作ることを示す。

    実施例19

    慣用のコスミドリゲーション法によるゲノムヒトラクトフェリントランスジー

    ンの作成 hLFゲノムトランスジーンもまた、コスミド中の慣用のリゲーションにより作製された。 第一の構成物8hLFgenは、コインジェクションにより発生されたトランスジーンと類似であるが、しかしhLFクローン13.2からの3′ClaIフラグメントを含む。 このフラグメントのサイズは、約26〜27kbである。 第2の構成物16hLFgenは8hLFgenと同じであるが、しかしαS1カゼインプロモーター配列のより大きいストレッチを含む。

    構成の詳細図15Aに書かれた構築物からのNotI‐MluIフラグメント(8hLFgen9kと呼ばれる)が、8hLFgen構築物を作るために用いられた。 このNotI‐MluIフラグメントは、図15Bに書かれた合成ClaI‐ApaIフラグメントを含む。 この合成配列は、hLF5′‐UTRの24bpを含み、hLFシグナル配列の殆どをエンコードする( 図15C参照)。 このNotI‐MluIは、図17に示されるように、クローン13.2からの3′MluI‐CalIフラグメント及びCalI‐NotIリンカーとリゲートされた。 クローニングベクターは、NotIで切断されたコスミドpWE15(これから、内部Ca lI及びSalI部位が削除されていた)であった。 hLF遺伝子の第1のイントロンは、シグナル配列中のApaI部位の4bp下流に位置される。 その結果、19aaシグナル配列をエンコードするDNA配列は部分的にエキソン1(43bp,14aa及び1コドンを部分的にエンコードする)中に及びエキソン2(初めの14bp、4aa及び1コドンを部分的にエンコードする)中に位置される。 hLFイントロン1の正確な位置は、DNA配列決定及びゲノム配列をhLF cDNA配列と比べることにより決定された。 翻訳開始部位の上流の配列(35 5bp,hLF5′UTR及び5′フランキング領域を含む)もまた配列決定された。 hLF転写開始部位は、示されたゲノムhLF構築物中に含まれなかった。 代りに、それらは、ウシαS1カゼイン遺伝子転写開始部位を含む。 hLF“キャプ”部位の正確な位置は、決定されていないが、それはおそらく、真核遺伝子の極めて多数の場合と同じく、“TATA”ボックスの約30bp下流にある。 加えて、マウスLF遺伝子について転写開始部位がマップされている(Shirsatら(1992)Gen e 110,229-234;LiuとTeng(1991)

    J.of Boil.Chem .32,21880-21885)。 m LFとhLF5′UTRの間の相同性に基づいて、ここでのゲノムhLF構築物は、hLF転写開始部位を含まないと結論される。 cDNAは、aa位置130にThrコドン(ACA)を含む(図2参照)。 ゲノムhL Fクローン13.1及び13.2における対応する領域(エキソン4、及びイントロン3 と4の部分)が配列決定された。 これらクローンは、配列ATAを含み、それはイソロイシンをエンコードする。 cDNAはまた、位置404にCysコドン(TGC)を含む(図2参照)。 hLFクローン13.1及び13.2において、これはGGCであり、 グリシンをエンコードする。 8hLFgen9kの代りに16hLFgen9kからのNotI‐MluIフラグメントを用いることにより、16hLFgenが作製された。

    8hLFgen37の構築図15Aに書いた構築物(8hLFgen9kと呼ばれる)からの5′NotI‐MluIフラグメントは、ClaI‐NotIリンカーを組み合わせて、クローン13.1からの3′MluI ‐ClaIフラグメントに連結された(図17と対比させよ:13.2の代りに13.1と読み替える)。 クローニングベクターはコスミドpWE15であり、これから予め内部C laI及びSalI部位が除去されて、NotIで切断された。 マイクロインジェクションの前に、ベクター配列はNotI消化により除去された。 すべての構築物は、Not Iを用いてベクターから切断され、そしてマイクロインジェクションされた。

    発現データ 8hLFgenを含む3つのマウス及び16hLFgenを含む5つのマウスが作製された。 ミルク中での予備的発現データは下記の通りである。

    実施例20

    ウシβLG/ヒトラクトフェリントランスジーンウシβLG‐プロモーター(β‐ラクトグログリン)が、hLFの発現をエンコードするトランスジーンを構築するために用いられた。 簡単に言えば、ゲノムh LF構築物8hLFgen及び8hLFgen37中のαS1プロモーターが、ウシβLG‐プロモーターで置き代えられた。 得られた構築物は、βLG‐hLFgen及びβLG‐hLFgen37 と呼ばれる。 これら構築の全体的戦略を図18〜20に示す。

    ウシβLG‐プロモーターの単離 Silvaら(1990)

    Nucl.

    Acids.

    Res . 18:3051により記述されたシャロン28ファージクローンλβLG‐13が、Carl A. Batt博士から得られた。 このクローンは、βLG cDNAプローブでスクリーンニングすることにより、ウシゲノムライブラリーから単離された。 それは、構造βLG遺伝子及び約8kb の5′フランキング領域を含む。 このクローンから、標準的手法を用いて4.3kb EcoRIフラフメントが単離され、プラスミドpKUN5中にサブクローンされた(図1 8参照)。 このプラスミドから、3.2kb NotI‐SacIフラグメントが単離された。 NotI 部位は、クローニングベクターのポリリンカーに由来した。 SacI部位は、BLG転写開始部位の15bp下流にある。 PvuII部位は、翻訳開始部位の5bp上流にある。 S acI部位及びPvuII部位の間の領域(これら部位を含む)を表わすフラグメントは、図18に書かれた30量体及び37量体DNAオリゴマーを合成し、アニーリングすることにより作製された。 このフラグメントはまた、PvuII部位の直下流に1 つのClaI及び1つのSaII部位を含む(図18)。 3.2kbNotI‐SacIフラグメント及び合成SacI‐SalIフラグメントが、pKUNプラスミド(pKUN1deltaC)(これから、ClaIによる切断及び続くクレノウ酵素による切断ベクターの処理により内部ClaI部位が予め除去されていた)中に連結された。 この連結化は、プラスミドpBLG3.2をもたらした。 翻訳開始部位の直上流の734bp領域が配列決定され、ヒツジBLGプロモーターの発表されている配列の対応する領域と比べられた(図24参照)。 全体的相同性は91%であり、ヒツジとウシのBLG‐プロモーターが極めて似ていることを示す。

    βLG‐hLF構築物の作製構築物8hLFgen9k(実施例15A)からの8.9ClaI‐SalIフラグメントが単離され、pβLG3.2中に、このベクターをClaI及びSalIで切断した後に、クローンされた。 この連結化は、構築物pβLGhLFgen9kをもたらした(図19)。 この構築物から、9.4kbNotI‐MluIフラグメントが単離され、8hLFgenから単離された23〜 24kbMluI‐NotIフラグメントと共に、NotI切断されたpWE15コスミド中に連結され、pβLG‐hLFgenをもたらした(図19)。 34kbNotIインサートが、NotI消化によりこのコスミドから単離され、標準的手順に従ってマイクロインジェクトされた。 pβLG‐hLFgen37の作製のために、pβLGhLFgen9kからの9.4kbNotI‐MluIフラグメントが、NotI切断されたpWE15コスミドベクター中へClaI‐NotIリンカーを結合してクローン13.1からの30kb3′MluI‐ClaIフラグメントと連結された。 βLG‐hLFgenインサートが、標準的手順に従って単離され、マイクロインジェクトされた。

    発現データ βLG‐hLFgen(2つの構築物の短い方)がインジェクトされ、7つの独立したマウス系統が作られた。 ミルク中のhLF生成物の発現データは、下記の系統について入手できる。

    実施例21

    構造遺伝子及びhLFプロモーターの両者を含むゲノムhLFフラグメントの単離 hLFは通常、ヒトミルク中に比較的高いレベル(1〜2mg/ml)で発現される。 hLFプロモーターがトランスジェニック動物のミルク中の高レベルhLF 発現を促進できるかどうかを決定するために、それ自身のプロモーターの制御下の無傷のhLF遺伝子を標準的手順によりマイクロイアンジェクトした。

    構築の詳細 2つの重要な点が、構築ルートを決定した。 ゲノムhLFクローンを含むコスミドベクターC2RB(図13)は、hL Fインサートをフランクするユニーク制限部位を含まないので、無傷のインサートをこのコスミドから直接に単離できなかった。 hLFクローン13.1及び13.2中に存在する5′及び3′フランキング配列のすべてをトランスジーン中に含めることが望まれた。 クローン13.2(図13)は5′フランキング配列(13kb)の殆どを含み、クローン13.1は3′フランキング配列(13.2よりも7kb多い)の殆どを含むので、13.2の5′部が13.1の3′部と結合された。 コスミド13.2が、hLFインサートの5′領域の0.5〜0.8kb上流のPvuI部位で直線化され(図20)、続いてエキソヌクレアーゼBal31で処理され、それによりコスミドの約1kb及び5′hLF配列の0.2〜0.5を除いた。 続いて、該DNA をT4ポリメラーゼで処理して、ブラント末端を作り、そしてMluIで切断した。 約19kb(12.5kbの5′フランキング配列+6.2kbのhLF遺伝子)ブラント末端‐ MluI切断プラスミドベクター(pKUN6 deltaCla,SmaI‐MluI)は、プラスミドphLF5′Mgene37をもたらした。 このプラスミドは、SmaI部位の直接5′側にN otI部位を含む。 このプラスミドから、19kbNotI‐MluIフラグメントが単離され、構築物8hLFgen37からの30kb MluI‐NotI3′フラグメントと共に、NotI切断pWE15コスミド中に連結されて、p5′hLFgen37をもたらした(図20)。 49kbNotIインサートは、標準的手順に従って、単離され、マイクロインジェクトされた。

    構築物p5′hLFgen37についての発現データ p5′hLFgen37構築物に関して8つの独立の祖先マウスが作製された。 発現データは6つの系統について入手できる。

    実施例22

    乳腺特異的hLZ発現カセットの作製ヒトリゾチーム遺伝子の構造及び配列が記載されている(Petersら(1989)

    Eu

    r.J.Biochem 182:507:516)。 構造hLZ遺伝子は、4つのエキソンを含み、5.3kbのサイズを持つ。 プローブとして、hLZ遺伝子のエキソン2の部分に相補的な91量体合成DN A配列を用いて、いくつかの独立のhLZクローンをヒトゲノムファージライブラリーから単離した。 クローンλ7.2.1は、8.7kbの5′フランキング配列及び5.3kbのゲノムhLZ遺伝子を含む14kbのインサートを含む。 エキソン4は、部分的にのみ含まれる:クローンλ7.2.1は、位置5333及び5350(Petersら、 前述)に従って、番号付けする)のSau3A部位の一つで停止する。 位置5333/5350 の下流の領域(エキソン4配列の532又は549bp)は失われている。 これら配列は非コーディングであり、hLZ遺伝子の3′UTRの部分を表す。 すべてのhLZ コーディング配列は、λ7.2.1中に存在する。

    発現ベクター16,8hLZ図21に示す発現ベクター16,8hLZの設計は下記の通りである。 hLZ遺伝子の5′フランキング領域(プロモーターを含む)が除かれ、実施例16に述べられているプラスミドp‐16kbCS中にサブクローニングすることによりウシαS1カゼイン遺伝子プロモーターで置き代えられた。 融合部位は、hLZ遺伝子の5′ UTR(エキソン1)中に位置され、従って、カゼイン5′UTRの23bpに加えてhLZ5 ′UTRの殆どが存在する。 この構築物中のすべてのコーディング配列(シグナル配列を含め)は、hLZクローンλ7.2.1に由来する(図23A)。 クローンλ7.2.1中のhLZ遺伝子の3′UTRは、上述したウシαS1カゼイン遺伝子の3′UTR+フランキング領域に融合された。 構築物16,8hLZの得られた3 ′UTRは従って、hLZ遺伝子から部分的に(エキソン4、bp4761からbp5333/53 50に続く)、及びウシαS1カゼイン遺伝子から部分的に(エキソン8の一部及びエキソン9のすべてを含み)由来する。 3′フランキング領域(8kb)は、ウシαS1カゼイン遺伝子に全面的に由来する。

    16,8hLZの構築の詳細

    16,hLZ hLZエキソン1中のAUGコドンヘ直接5′側の6bpは、HincII部位を成す。 SalIファージポリリンカー部位は、λ7.2.1インサートの直接3′側に位置される。 これら部位は、5.3kb HincII‐SalIインサートを単離するために用いられた(図23)。 +3(+1における転写開始部位に対して)からHincII部位に続く配列は、図23Aに書かれている31量体及び35量体をアニーリングすることにより合成された。 得られた合成DNAフラグメントは、人工的な5′‐KpnI‐HincII フラグメントを有し、5.3kb HincII‐SalIフラグメントは、KpnI‐SalI切断p KUN‐1プラスミド中にサブクローンされた(図23A)。 得た9.3kbプラスミド(pK HLys3′5.3)から、5.3kb ClAI‐SalIフラグメントが単離され、ClaI‐SalI 切断p‐0.7kbCSプラスミド(p‐16CSの等価物だが、より小さい5′フランキング配列を含む)中にサブクローンされて、pKhLZ0.7をもたらした。 3′カゼインUTR及びフランキング配列の約6.6kbを含む8kbウシαS1カゼイン遺伝子EcoRIフラグメントが、8kb5′‐HhoI‐SalI‐3′フラグメントとして、プラスミドpKE3′E10(上述)から単離された(図23B)。 このフラグメントは、pKhLZ0.7のSalI部位中にサブクローンされて、p0.7,8hNLZをもたらした。 この後、p0.7,8hLZのSalI部位を、リンカーS1/S2の挿入によりNotI部位で置き代えて、プラスミドp0.7、8hLZ Ntを得た(図23D)。 このプラスミドから、13.3kb ClAI‐NotIフラグメントを単離し、p‐16CSからの14.5kbNotI‐ClAIフラグメントと共に、NotI切断pWE1 5コスミド中へと連結した(図23E)。 得た構築物(図23Eで16,8hLZと名付けた)から、27.8kb NotIインサートを、標準的手順に従って単離し、精製し、ネズミ及びウシ受精卵中にマイクロインジェクトした。

    発現ベクター16,8hLZ3図22に示す発現ベクター16,8hLZ3の設計は下記の通りである。 上述の発現ベクター16,8hLF3を、16,8hLZ3の構築に用いた。 ベクター16,8hLZ3は、ウシα S1カゼイン遺伝子プロモーターのみでなく、ウシαS1遺伝子の完全な最初のエキソン及び最初のイントロンの一部を含む。 加えて、それは、免疫グロブリン遺伝子の最初のイントロン及びスプライスアクセプター部位を含む。 シグナル配列及び3′UTRの一部及び完全な3′フランキング領域がまた、ウシαS1カゼイン遺伝子に由来する。 hLF cDNA及びαS1カゼインシグナル配列が、Cl AI‐SalI二重消化によりこのベクターから切出される。 ClAI部位は、翻訳開始コドンに対し5bp5′側に位置される。 5.3bp ClAI‐SalI hLZフラグメントが、プラスミドpKhLZ0.7から単離され、 ClAI‐SalI切断16,8hLF3ベクター(これからhLF cDNAがClAI‐Sal I二重消化により除かれていた)中にサブクローンされた。 16,8hLZ発現カセットベクター配列は、NotI消化により除去され、続いて標準的手順により精製され、そしてマウス受精卵にマイクロインジェクトされた。

    発現データ

    構築物16,8hLZ構築物16,8hLZに関して7つのトランスジェニックマウスが発生された。 発現データは、6つの独立マウス系統について入手できる(ミルクサンプルについて我々の標準的hLZ評価法を用いて、乳分泌する子孫からのデータ)。 上記のデータは、16,8hLZが比較的高レベルで発現することを示す。 ヒトミルクにおいて、hLZレベルは、50μg/ml(最大)のみである。 hLZは15kD蛋白質であるから、0.26mg/ml hLZのレベルはhLFの約1.3mg/mlに相当する(hL Fは80kDである)。

    構築物16,8hLZ3コバレント16,8hLZ3について、4つの独立のトランスジェニックマウスが発生された。 下記の発現のデータがマウス系統905及び907から入手できる。 マウス系統 発現(μg/ml)(最大) 905 475 907 10 このデータは、16,8hLZ3が比較的高いレベルで発現されうることを示す(0.3 6mg/mlが約1.8mg/ml hLFに相当する)。 しかし、示されるように、16,8hLZ3 が常に高レベルで発現する訳ではない。 分析されたマウスの数は極めて少いが、 構築物16,8hLAと16,8hLZ3は、発現の頻度及び発現レベルに関して、多かれ少なかれ似ているように見える。 しかし、16,8hLZについてトランスジェニックなマウスの他の7系統も、16,8hLF3構築物を含むことに留意しなければならない(下記参照)。 これら系統のどれも、0.36mg/mlのような高レベルで発現しなかった。 従って、16,8hLZ3は、16,8hLZよりも効率的な構築物であるように見える。 これは、異種の(非相同的な)スプライス部位(これはhLF cDNA発現レベルを高めない)により起されうる。

    実施例23

    ゲノムhLZ及びhLZ cDNAをエンコードするトランスジーンを含むトランスジェ

    ニックマウス

    16,8hLZF3及び16,8hLZのコインジェクショントランスジェニック動物のミルクにおいてhLFとhLZを同時に発現することの可能性を評価するために、適当な単離され精製された16,8hLF3及び16,8hL Z構築物を、マウス受精卵中にコインジェクトした。 2つの構築物についてトランスジェニックな7つの独立のマウス系統が発生された。 各系統について入手できる発現データは下記の通りである。

    結論系649のみ(7分の1)が、比較的高レベルでhLZを発現する。 系統649及び660(7分の2)が高レベルでhLFを発現する。

    単一の構築物のインジェクションから得られたデータとの比較

    16,8hLZについて 16,8hLF3及び16,8hLZ発現カセットをコインジェクトされたマウス系統649のhLZ発現レベルは、16,8hLZのみをインジェクトされた系統661のそれと同等である。 多くの場合に、hLZの高レベル発現はコインジェクション後に得られない( 7分の1で高発現(系統649);7分の2(系統650と660)で中程度の低発現; 7分の4で低発現)。 hLZトランスジーン単独のインジェクション後に、同様のデータが得られる(4分の1で高い発現(系統661);4分の1で中程度;4 分の2で低発現)。 従って、16,8hLZトランスジーンの挙動は、16,8hLF3トランスジーンの存在によって、測定可能な程に影響されない。 7系統のどれも系統905(構築物16,8hLZ3)ほど高いレベルで発現せず、但し649のレベルは同じ範囲にあることに留意されたい。 結論として、これら構築物は比較的高レベル(0.2〜5mg/mL範囲)で発現されることができ、得られたトランスジェニックマウスの約20〜25%がこれら高レベルで発現する(13分の3;7つがコインジェクション+6つが単独インジェクション)。 また、16,8hLF3とのコインジェクションは、16,8hLZの発現に影響するとは見えない。

    16,8hLF3について 16,8hLF3の単独インジェクションは、13の独立のトランスジェニックマウス系統をもたらした。 これらは2群に分けることができる。 (1)0.1〜5μg/mlのレベルを作った低発現体(13分の8)、 及び (2)40〜200μg/mlのレベルを作った高発現体(13分の5)。 コインジェクトされたフラグメントを持つマウスのうち、7分の2が高レベルで発現する。 これは、一つのフラグメントのインジェクション後に観察された高レベル発現の頻度(5/13)と類似である。 しかし、16,8hLF3/16,8hLZマウス系統(649と660)は、先に観察されたのよりはるかに高レベルでhLFを発現する。 これは、hLZ構築物の存在が16,8hLF3構築物の発現を刺激することを示す。 系統649において、高hLFレベルは、高hLZレベルを伴なう。 系統660について、hLZレベルが中程度なので、このことはあまり明瞭でない。 しかし、下記で示すように、RNA分析によると、系統660中の16,8hLZトランスジーンは、hL Fトランスジーンと比べて少なくとも同程度に転写的に活性である。

    mRNAレベルにおける発現分析からの結果ウシ乳分泌乳腺全RNA及び乳分泌トランスジェニックマウス(ゲノムhLF 、16,8hLF3及び16、8hLF3+16,8hLZについてトランスジェニックなマウスを含め)からの乳腺全RNAの両者に対してノーザンブロット分析を行った。 ウシα S1カゼインRNAの5′UTRにおいて及び全てのトランスジーン由来RNAにおいて正確に同じ配列にハイブリッドする24bp合成オリゴマーがプローブとして用いられた。 発現レベルは、トランスジーン‐及びウシαS1RNAにハイブリッドした標識されたプローブの量の定量化により直接に比較された。 hLZ‐mRNAとhLF‐mRNAの比、及びhLZ‐mRNAとウシαS1mRNAの比は、h LZ及びhLF蛋白質レベルから予測されるよりもはるかに高かった。 たとえば、系統649は、〜0.2mg/mlのhLZ、及び〜1‐2mg/mlのhLFを発現した。 蛋白質サイズについて較正(因子5)した後、hLZ及びhLF mRNAレベルは同じ範囲にあって、hLFレベルがhLZ RNAレベルより約2倍高いと予測される。 しかし、系統649において、hLZ mRNAレベルはは、hLF mRNAレベルより20倍高かった。 系統650,661,662及びウシ乳腺RNAの比較RNA分析は、これらデータを確認した。 従って、hLZ発現の転写的に極めて高いレベルは、本発明の発現系に基づくゲノムhLZ配列及びウシαS1カゼイン遺伝子を用いて得られると結論されうる。 ゲノムhLZ構築物は、hLF cDNA構築物よりもはるかい高いレベルで転写され、ゲノムhLF構築物と同じ範囲で発現される。 様々のhLF及びhLZトランスジーンの挙動を翻訳レベルで比較するために、20倍較正がなされねばならない。 0.25mg/mlで発現するhLZトランスジーンの転写活性は、5mg/mlの蛋白質レベルと同等であり、50μg/mlのレベルが1mg/ mlに等しい。 加えて、マウス系統649hLZ mRNAレベルは、ウシαS1mRNAレベル(これは10倍希釈されていた)を数倍超えた。 ウシαSカゼインは〜12mg/m lで発現され(そしてhLZと類似のサイズである)から、これらhLZRNAレベルは、数mg/mlの発現レベルに等しいであろう。

    実施例24

    16,8A hLZの作製構築物16,8A hLZは、16,8 hLZ3の誘導体である。 16,8A hLZ3において、hLZ 5'UTR配列及びhLZシグナル配列が、ウシαS1カゼイン遺伝子からの対応する配列で置き代えられた。 構築物16. A hLZ3は、16,8A hLZ3の誘導体である。 16. A hLZ3において、ウシαS1カゼイン遺伝子3'UTR及びフランキング配列は、hLZ3'UTR及び4.5kbのhLZ3 ''フランキング配列により置き代えられた。

    構成の詳細ベクターp07,8hLZ(図23B)が、ClaIおよびSalIで消化された。 4.7kbフラグメント(0.7kbのαS1カゼイン5'フランキング配列及びプラスミドベクターを含む)が単離され、リンカーGP278/279に連結された(図25)。 このDNA配列は、 ウシαS1カゼイン5'UTRの一部、完全なウシαS1カゼインシグナル配列及び25kb のhLZ配列(成体hLZのN末端領域をエンコードする)を含む。 連結化生成物は単離され、pKHLys3'5.3からの5.3kb BalI-SalIフラグメント(図23Aに書かれている)に連結された。 得られた構築物

    は、p0.7AhLZΔ3'である。

    この構築物から

    、5.3kb ClaI- SalIフラグメントが単離され、p16,8hLF3由来のClaI-SalIベクター(16,8hLZ3の構築でも用いられた)中に挿入された。 得られた構築物は、p16,8AhLZ3と呼ばれる(図26)。 16,AhLZ3の構築のため、ベクターp0.7AhLZΔ3'がXba1及びSalIで消化され、 Xbal-NotI-SalIリンカーが挿入された(図27)。 このベクターは、Xbalで線形化され。 λHLYS1(Petersらにより記述されている。Eur.J.Biochem.182,507 -516,1989)からの6.5kb Xbalフラグメントが、センスオリエンテーションに挿入された。 これは、ベクターp0.7AhLZをもたらした。 このベクターから、9.8kb ClaI-NotI hLZ フラグメントが単離され、16,8hLZ3からの14.5kb NotI-Cla Iフラグメントと共に、NotI消化されたpWE15 コスミドベクター中に挿入された。 両場合に、プラスミド配列のないトランスジーンがNotIフラグメント(16,8 A hLZ3;27.8kb;AhLZ3;24.3kb)として単離され、精製され、標準的手順に従って受精したマウス卵母細胞中にマイクロインジェクトされた。 4つの独立したトランスジェニック祖先マウスが構築物16,8A hLZ3を有して発生され、6つのマウスが構築物16AhLZ3を有して発生された。 予備的な発現データは下記の通りである。 これら結果から、構築物16A hLZ3は、テストされた他のhLZ構築物のいずれよりもはるかに高い発現を与えると結論される。 hLZ蛋白質発現レベルのデータと結び付けた予備的な定量的ノーザンブロットデータは、構築物16,8hLZと16,8hLZ3について観察されたようなRNAレベルと蛋白質レベルとの差違が構築物16AhLZ3では起きないことを示す。

    実施例25

    子牛No.4での伝達実験牛繁殖で用いられる通常の手順を用いて、3頭の若雌牛が過剰排卵された(Di ekman,S.J.ら(1989)Theriogenology 31:473-487)。 次に、これら動物を、実施例15で記載したように子牛No.4からの精子で受精させた。 子牛No.4は、実施例15で記載したようにトランスジェニックであると判定された。 受精は、2つの妊娠を結果した。 これら2頭の動物を受精の4週後に殺し、胚を子宮から回収した。 全DNAを、M aniatisら(1982)に記載された手順に従って、これら胚から分離し、EcoRIで消化し、サザンブロット法で分析した。 ブロットは、hLF遺伝子に対し特異的なプローブにハイブリッド化された(実施例15と同じプロトコール)。 回収された12の胚のうち、 6つ(50%)がhLF特異的バンドを示した。 すべての場合に、バンドは、予期されたサイズ及び強度を有した。 これは下記を示している。 (a)約50%の効率でのトランスジーン伝達。 (b)コピー数は、祖先におけると同じ(〜3)である。 (c)伝達の間に、大きな再配置は起きなかった。 ウシY染色体リピートに対して特異的なプライマーを用いるPCR分析によると、6つのトランスジェニック胚のうち、5つが雄であり、1つが雌であった。 これらデータは、トランスジーンが雄にも雌にも伝達されることができ、Y染色体中に組込まれなかったことを示す。 Y染色体特異的なプライマーの配列は、下記の通りである。 前進プライマー:5'-GGA TCC GAG ACA CAG AAC AGG-3' 逆行プライマー:5'-GCT AAT CCA TCC ATC CTA TAG-3'

    実施例26

    子ウシ唾液中での組み換え蛋白質の発現 hLFトランスジーン(実施例18で記載)及びhLZトランスジーン(16,8hLZ、実施例22で記載)でコインジェクトされた卵母細胞から10の動物が生まれた。 サザンブロットで判定すると、これら動物のどれもトランスジェニックでなく、しかし、それらの4つ(すべての雄)は、血液及び耳からの0.5μgDNAでのPCR実験によると、モザイクであると判定された。 これらPCR実験のためのプライマーは、hLF遺伝子のエキソン8中に位置された。 プライマーの配列は、下記の通りである。 5'-TTT GGA AAG GAC AAG TCA CCG-3' 5'-CTC ACT TTT CCT CAA GTT CTG-3' 10頭の動物のすべてが、唾液中のhLF及びhLZ発現についてテストされた。 唾液腺中の上皮細胞は、乳腺中の上皮細胞と構造的及び機能的に類似であり、いくつかの乳蛋白遺伝子は唾液腺中でも発現されうる(乳腺におけるよりもはるかに低いレベルであるとはいえ)。 唾液の約2mlを動物の口から集め、実施例5に記載されるラジオイムノアッセイを用いてこれら試料中の蛋白質のレベルを決定した。 10頭の動物のうち、3頭が検出下限より上のhLF発現を示した。 3頭すべては、モザイクであると判定された4頭の動物の群の一部であった。 発現レベルは下記の通りであった。 nd=測定せず 10頭すべての動物が、hLZ発現についてもテストされた。 動物9772のみが、唾液中のhLZ発現を示した。 検出された量は、2ng/mlであった。 実施例15で記載した実験で生まれた21の動物のうち、1つの動物(雄)が、hL Fに対して免疫寛容である事実に基づいて、モザイクであると判定された。 この動物は、唾液中で100ng/mlのhLF発現を示した。 これらデータは、用いられたトランスジーンがウシ中でhLF (及びhLZ)を発現できることを示す。 本発明の好ましい態様を記載したが、開示された実施態様に種々の変更を行いうること、及びその様な変更は本発明の範囲内にあると意図されることが、当業者にとって明らかであろう。 本明細書で述べられたすべての引用文献は、引用することにより本明細書に組込まれるものである。

    ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl. 6識別記号 庁内整理番号 FI C07K 14/47 8318−4H 14/765 8318−4H 14/79 8318−4H // A61K 48/00 AEX 8314−4C C12P 21/02 C 9282−4B (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG ,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN, TD,TG),AT,AU,BB,BG,BR,CA, CH,CZ,DE,DK,ES,FI,GB,HU,J P,KP,KR,KZ,LK,LU,MG,MN,MW ,NL,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD, SE,SK,UA,US,VN (72)発明者 ハイネカー、ヘルベルト、エル. アメリカ合衆国、カリフォルニア州 94010、ヒルスボロウ、ロハンプトン ロ ード 501 (72)発明者 プラテンブルグ、ゲラルド オランダ国、2252 エックスアール ヴォ ールショテン ウィンガールデンラーン 56 (72)発明者 リー、サング、ヘ. オランダ国、2331 エイチエヌ レイデン フィエン デ ラ マルストラート 26 (72)発明者 ピーパー、フランク オランダ国、3555 ヴィエム ユトレヒ ト、シー. ヴァン マースジックストラー ト 13

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