L- carnitine agent

申请号 JP672999 申请日 1999-01-13 公开(公告)号 JP4452341B2 公开(公告)日 2010-04-21
申请人 雪印乳業株式会社; 发明人 正 井戸田; 雅治 島谷; 隆史 矢賀部; 希代子 高道;
摘要
权利要求
  • L−カルニチン含量が0.1〜100mmol/100g、乳糖含量が20〜95g/100g、灰分含量が5g/100g以下であることを特徴とする乳原料から得られたL−カルニチン剤。
  • カゼインが除去された哺乳類の乳又は乳調製品を、脱塩処理及び乳糖一部除去処理した後に乾燥することによってL−カルニチン含量が0.1〜100mmol/100g、乳糖含量が20〜95g/100g、灰分含量が5g/100g以下に調整したL−カルニチン剤の製造法。
  • 脱塩処理により電気伝導度を0.1〜5mS/cmとすることを特徴とする 請求項2に記載の製造法。
  • 脱塩処理を電気透析装置、イオン交換樹脂及びナノ濾過膜処理から選択される一種以上の処理で行うことを特徴とする 請求項2又は3に記載の製造法。
  • 乳清タンパク質除去処理を含むことを特徴とする 請求項2〜4のいずれかに記載の製造法。
  • 说明书全文

    【0001】
    【発明の属する技術分野】
    本発明は、哺乳類の乳又は乳調製品を原料とするL−カルニチン剤及びその製造法に関する。 本発明のL−カルニチン剤は、取り扱いが容易で、しかも、哺乳類の乳又は乳調製品を原料として製造され、有害なD−カルニチンを含有せず安全なものであるという特徴を有する。
    【0002】
    【従来の技術】
    L−カルニチンは分子内に含まれるアルコール残基によって容易に脂肪酸とエステルを形成する溶性の化合物であり、ビタミンBTとも呼ばれている。 生体内におけるL−カルニチンの主要な機能は、ミトコンドリアにおける脂肪酸の酸化であり、L−カルニチンがシャトルの役割を果たすことで、ミトコンドリア膜を介したミトコンドリア内外の脂肪酸の搬送を行っている。 このように、L−カルニチンは、生体内でのエネルギー生産に関係する、生体にとって不可欠な成分である。
    【0003】
    L−カルニチンは、生体内でリジンとメチオニンから合成される。 しかし、生体内で合成されるL−カルニチンの量は代謝回転される全体量の25%に過ぎず、残りの75%は食物由来である。 通常、年長児や成人の場合、内因性のL−カルニチン量だけで十分とされているが、健常児でも空腹時には脂肪の異化が亢進して、アシルCoAが増加し、その結果、エステル化されたL−カルニチンも増加することとなる。 プロピオン酸血症やメチルマロン酸血症のような有機酸血症の患児では、プロピオニル−L−カルニチンといったアシル−L−カルニチンが増加する。 アシル−L−カルニチンは、遊離L−カルニチンと異なり、容易に尿中へ排泄されるので、L−カルニチンの欠乏をきたす。 また、血中総カルニチン濃度が正常でも、アシル−L−カルニチンの増加により相対的に遊離L−カルニチンが減少している。 このような患児にL−カルニチンを投与すると、血中に蓄積したプロピオニルCoA等のアシルCoAから、アシル−L−カルニチンへの変換が促進され、有害なプロピオニル基等の排泄、及び遊離CoAの増加によるミトコンドリア機能の回復がみられ、L−カルニチンの投与は治療に有効である。
    【0004】
    L−カルニチンは、ミトコンドリアにおける脂肪酸代謝に関与し、エネルギー生産に重要な成分であることから、種々の研究がなされており、その結果、食品やスポーツドリンク等にL−カルニチンを添加すると、体内の蓄積脂肪が効率良くエネルギーに変換され、肥満を防止する効果や、運動時の持久を高める効果等を示すことが報告されている。
    一方、新生児においては、体内でのL−カルニチン合成能が未熟なため、必要量の大部分を母乳又は人工乳から補わなくてはならない。 ところが、アミノ酸混合粉末を主原料とする代謝異常児用の治療用ミルク等は、L−カルニチンを極く少量しか含有しておらず、このような治療用ミルクで哺育した場合は、新生児の正常な発達に影響があると指摘されている。
    【0005】
    天然に存在するカルニチンは、左旋性のL−カルニチンであり、右旋性のD−カルニチンは天然には存在しない。 D−カルニチンは、L−カルニチンに対して拮抗阻害を示すことから有害とされており、実際、L−カルニチンとD−カルニチンの混合物であるラセミ体カルニチンの長期投与による副作用も報告されている。
    カルニチンは化学合成法により製造できる。 しかしながら、化学合成法により得られるカルニチンはラセミ体であるため、その使用に当たっては、合成反応後に、有害なD−カルニチンを除去してL−カルニチンのみを取り出すための光学分割を含む精製操作が必要である。 そのため、製造工程が複雑となり、製造物が高価になるばかりか、不十分な精製操作により有害なD−カルニチンが混入する危険性がある。
    【0006】
    また、化学的に合成されたデヒドロカルニチンやアポカルニチンを原料として、生物等から得られる酵素を用いて、L−カルニチンを製造する方法も知られているが、反応液からのL−カルニチンの精製が困難であったり、原料が高価であったり、原料の安全性が保証されない等、多くの問題を有している。 また、これとは別に、微生物を用いた発酵法によりL−カルニチンを製造する試みもなされているが、L−カルニチンの収量が低く現実的ではない。
    【0007】
    一方、食品の中には、L−カルニチンを含有するものが知られている。 例えば、乳等の乳に天然L−カルニチンが含まれていることが古くから知られているが、牛乳中のL−カルニチン含量は約20μmol/100gと低い。 一方、畜肉、魚肉等では比較的L−カルニチン含量が高く、例えば、L−カルニチン含量の高い食品である牛肉中のL−カルニチン含量は約800μmol/100gであるが、味や臭い等特有の強い風味を持つこと、色や物性の点で扱い難いこと等の欠点があった。 そのため、これらはいずれも、そのままでは利用の範囲が極めて限られ、実用性に乏しいものであった。
    【0008】
    哺乳類の乳又は乳調製品を原料とするL−カルニチンの製造法としては、乳又は乳調製品を限外濾過処理する工程で得られる副産物(パーミエイト)を原料とし、電気透析装置により脱塩処理を行った後に強酸性陽イオン交換樹脂を充填したカラムを用いたカラムクロマトグラフィー処理によりL−カルニチンを吸着させ、洗浄後溶出させて分離する方法(特開昭62−63553号公報)が開示されている。 この方法においては、脱塩処理に先立って乳糖を結晶化させて沈殿除去することが脱塩効果上好ましいこと、また、カラムクロマトグラフィー処理により分離されたL−カルニチンは粉末化すると吸湿性が著しく強いため、濃縮したものを乳糖等に分散させ、倍散末として使用することが実用上好ましいことが記載されている。 しかし、この製造法では、L−カルニチン剤は得られるものの、工程中で一旦乳糖を除去しておきながら、後で同じ乳糖を用いて倍散末とする等、工程全体の効率は必ずしも高いとは言えない。
    【0009】
    なお、得られたカルニチン剤のL−カルニチン含量が0.1mmol/100g未満であると、十分な生理効果を得るための1日当りのL−カルニチン剤の投与量が多くなりすぎ実用的ではなく、逆に、100mmol/100gを越えると、工程が煩雑になり、L−カルニチンの収率も下がり経済性が悪くなる。 また、乳糖含量が20g/100g未満であると、乳糖の賦形剤としての機能が十分に得られず、95g/100gを越えると、十分なL−カルニチン含量が得難くなる。 さらに、灰分含量が5g/100gを超える量であると、吸湿しやすく流動性も悪くなる。
    【0010】
    以上述べたように、L−カルニチンは、生体内における重要な機能を有しており、医薬、飲食品等の有用な素材である。 従って、取り扱いが容易でありL−カルニチンを豊富で均一に含有する、安価で安全なL−カルニチン剤、及び、単にL−カルニチンを濃縮するのみならず、適切な賦形剤を含有しており、そのまま簡単に食品や医薬に添加して使用できるようなL−カルニチン剤を、簡便に効率よく製造する方法が求められている。
    【0011】
    【発明が解決しようとする課題】
    本発明は、哺乳類の乳又は乳調製品を原料とする、安全で取り扱いの容易なL−カルニチン剤及びその製造法を提供することを課題とする。
    【0012】
    【課題を解決するための手段】
    本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を行った結果、乳清等のカゼインが除去された哺乳類の乳又は乳調製品を原料とし、電気透析装置、イオン交換樹脂、ナノ濾過膜等による脱塩処理、及び結晶化等による乳糖一部除去処理を行うことで、効率的にL−カルニチンを濃縮できることを見いだし、また、このようにして濃縮されたL−カルニチンを乾燥することで、L−カルニチンとともに賦形剤として有用な乳糖を含有し、かつ灰分含量の低い、取り扱いが容易で安全なL−カルニチン剤が得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。
    【0013】
    以下、本発明を具体的に説明する。
    本発明において用いる哺乳類の乳は、特に限定されるものではないが、通常、生産量の多い牛乳やヤギ乳が用いられる。 哺乳類の乳としては、生乳に限らず、脱脂乳、全粉乳、脱脂粉乳等、各種の乳を用いることができる。
    また、本発明において用いる哺乳類の乳調製品としては、乳清、乳清を乾燥したホエー粉、乳清タンパク質濃縮物を製造する際に得られる副産物(パーミエイト)、パーミエイト粉、カゼイン又は乳清タンパク質等の乳タンパク質を膜処理やイオン交換樹脂処理等の手段によって乳から除去したものやその粉末、酵素処理した乳やその粉末等を用いることができる。
    本発明では、上記のカゼインが除去された哺乳類の乳又は乳調製品を原料として用いる。
    なお、カゼインは、予めpHを調整するか、酵素を作用させる等の方法で凝集させ分離除去することができる。
    【0014】
    上記の原料を、必要に応じて濃縮して固形含量を20〜35%に調整した後、脱塩処理により電気伝導度を0.1〜5mS/cmとする。
    脱塩処理は、電気透析装置、イオン交換樹脂、ナノ濾過膜等の手段を用いて行えばよく、中でも、L−カルニチンの収量を考慮すると、電気透析装置を用いるのが有利であり特に好ましい。 電気透析装置を用いる場合は、温度を4〜50℃に保って脱塩し、電気伝導度を0.1〜5mS/cmとする。 イオン交換樹脂を用いる場合は、陽イオン交換樹脂及び陰イオン交換樹脂を用い、4〜40℃の温度で通液して脱塩し、電気伝導度を0.1〜5mS/cmとする。 用いるイオン交換樹脂の種類は特に限定されないが、陽イオン交換樹脂として強酸性樹脂、陰イオン交換樹脂として強塩基性又は中塩基性樹脂を用い、陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂の比率を1:0.75〜1.5(容積比)とするのが好ましい。 ナノ濾過膜を用いる場合は、温度を4〜50℃に保って脱塩し、電気伝導度を0.1〜5mS/cmとする。 用いるナノ濾過膜の種類は特に限定されないが、塩化ナトリウムの阻止率が90%以下、操作圧力が5MPa以下であることが好ましい。
    【0015】
    なお、乳清タンパク質を除去したい場合には、予め加水して固形含量を6〜20%に調整し、次いで限外濾過膜処理等によって透過液(パーミエイト)を得ることにより、高分子成分である乳清タンパク質を除去できる。 このような処理により乳清タンパク質を実質的に除去したL−カルニチン剤は、タンパク質代謝異常疾患や乳アレルギー疾患等、乳タンパク質の摂取を避けなければならない患者へ投与できる医薬や飲食品の製造に利用でき、特に有用である。
    【0016】
    得られた溶液を殺菌した後、固形含量が60%以上となるように濃縮し、緩やかに撹拌しながら冷却して乳糖を結晶化させ、生成した乳糖結晶を分離除去して乳糖母液を得る。 この操作により、乳糖の一部が除去される。 なお、上記の脱塩及び乳糖一部除去の処理はいずれの順序で行っても差し支えない。 すなわち、上記のように、脱塩処理、乳糖一部除去処理の順で行うこともできるし、あるいは乳糖一部除去処理、脱塩処理の順で行うこともできる。 また、上記した乳清タンパク質除去処理は必要に応じて行えばよい。
    【0017】
    本発明では、上記した脱塩処理及び乳糖一部除去処理からなる一連の工程を、必要に応じて繰り返し行うことで、得られるL−カルニチン剤中の乳糖含量を必要に応じて調整することができる。 この一連工程により乳糖が一部除去され、一方、L−カルニチンはほぼ全量が回収されるので、一連工程の繰り返し回数により、得られるL−カルニチン剤中の乳糖含量だけを調整することができる。 すなわち、乳糖含量の高いL−カルニチン剤を得たい場合は、一連工程の繰り返し回数を少なくすればよい。 逆に、乳糖含量の低い、従ってL−カルニチン純度の高いL−カルニチン剤を得たい場合は、一連工程の繰り返し回数を多くすればよい。
    【0018】
    以上の工程により得られた溶液は、L−カルニチンを豊富に含有し、また、必要に応じて調整された量の乳糖をも含有しており、かつ、工程中で脱塩されており灰分含量の低いものである。 この溶液を、常法に従って適宜濃縮した後、例えばアトマイザー式、スプレー式等の乾燥機を用いて乾燥し、L−カルニチン剤を得ることができる。
    【0019】
    このようにして得られるL−カルニチン剤は、その100g当たり、L−カルニチンを0.1〜100mmol、及び乳糖を20〜95g含有しており、灰分含量は5g以下の好ましい組成のものとすることができる。 なお、本発明では天然物である哺乳類の乳又は乳調製品を原料としているので、得られるL−カルニチン剤は有害なD−カルニチンを含有せず安全なものである。
    【0020】
    【発明の実施の形態】
    本発明では、上記した通り、哺乳類の乳又は乳調製品から、L−カルニチンとともに賦形剤として有用な乳糖を含有し、灰分含量の低い、好ましい組成のL−カルニチン剤を得ることができる。
    【0021】
    本発明のL−カルニチン剤は、上記した通り、賦形剤として有用な乳糖を含有しているため、通常用いられるグラッド式造粒機等を用いて簡単に溶解しやすい顆粒状とすることができ、また、打錠機等を用いて容易に錠剤の形態とすることもできる。 この時、他の生理効果や薬効を示す成分を同時に配合することにより、例え同時に配合する他の成分が顆粒状とし難いものや錠剤とし難いものであったとしても、容易にこのような形態とすることができる。 また、本発明のL−カルニチン剤は、脱塩されて灰分含量が低いため、吸湿性が低く、流動性が良い等、その取り扱いが容易であるという特徴を有し、他の成分を同時に配合する際には特に有利である。 更に、本発明のL−カルニチン剤は、天然物である哺乳類の乳又は乳調製品を原料としているので、有害なD−カルニチンを含有せず安全であり、医薬や飲食品の製造に有用である。
    【0022】
    このような特徴を有する本発明のL−カルニチン剤は、医薬や飲食品にそのまま配合して利用することができ、有用である。 また、本発明のL−カルニチン剤は、乳を原料としているので、牛肉等を原料としたL−カルニチン剤の場合のような臭いの問題がなく、特に飲食品には利用しやすいものである。
    また、本発明の乳清タンパク質を実質的に除去したL−カルニチン剤は、タンパク質代謝異常疾患や乳アレルギー疾患等、乳タンパク質の摂取を避けなければならない患者へ投与できる医薬や飲食品の製造に利用でき、特に有用である。
    さらに、本発明のL−カルニチン剤の製造法により、哺乳類の乳又は乳調製品から安価に効率良く、安全なL−カルニチン剤を得ることができ有用である。
    【0023】
    以下、実施例を示して本発明を具体的に説明する。 なお、実施例中、各成分の分析は次の方法にて行った。
    L−カルニチンの分析は次のように行った。 L−カルニチン剤を10〜20%(w/v)の濃度となるように純水に溶解し、この溶液100mlに1Mリン酸二ナトリウム溶液を200ml添加し、さらに、2.0N水酸化カリウム溶液を100ml添加した。 この溶液を37℃で1時間保温した後、1.0N塩酸で中和してL−カルニチン測定用の試料とした。 この試料中の遊離L−カルニチン量を、倉垣らの方法(日本臨床,91巻,p2665,1992年)により測定し、L−カルニチン剤中のL−カルニチン含量を算出した。
    【0024】
    乳糖含量は次のようにして測定した。 L−カルニチン剤1.0gを純水で溶解して100mlとした。 この溶液20μlを示差屈折計(RI−71、昭和電工社製)を装備した高速液体クロマトグラフィー(880−PU、日本分光社製)にて分析し、乳糖の標準溶液のクロマトグラムと比較することで試料中の乳糖含量を算出した。
    なお、カラムはLiChrospher NH 2 (メルク社製)、移動相にはアセトニトリル:水=70:30(v/v)溶液を用い、流速1.0ml/分、室温にて分析を行った。
    【0025】
    灰分含量は次のようにして測定した。 磁製るつぼに1.0gのL−カルニチン剤を秤量し、これを電気炉中で250℃に1時間保持した後、更に550℃で1時間加熱して完全に灰化させ、るつぼの重量を秤量して内容物の重量を算出して灰分とした。
    【0026】
    【実施例1】
    牛乳60kgにレンネットを作用させ、カゼインを沈殿分別し、乳清53kg(固形分6%)を得た。 得られた乳清を、薄膜下降式濃縮機(ヴィーガンド社製、以下同じ)により固形分28%となるまで濃縮した後、電気透析装置(イオニクス社製、以下同じ)に供し、液温を40℃に保ちながら電気伝導度が5mS/cmとなるまで脱塩し、脱塩乳清10kg(固形分29%)を得た。 次いで、pHを6.5に調整し、高温短時間殺菌した後、薄膜下降式濃縮機により固形分62%となるまで濃縮し、濃縮液を撹拌しながら徐々に冷却し、5℃で一晩保持して、乳糖を結晶化させた。 結晶化した乳糖を濾過により除去し、乳糖母液(一次)5kg(固形分24%)を得た。 得られた乳糖母液を再度、電気透析装置に供し、液温を40℃に保ちながら電気伝導度が1mS/cmとなるまで脱塩し、脱塩した乳糖母液4kgを得た。 これを、高温短時間殺菌した後、薄膜下降式濃縮機により固形分64%となるまで濃縮し、濃縮液を撹拌しながら徐々に冷却し、8℃で一晩保持して、乳糖を結晶化させた。 結晶化した乳糖を濾過により除去し、乳糖母液(二次)2kgを得た。 これを、高温短時間殺菌した後、薄膜下降式濃縮機により濃縮し、遠心アトマイザー式乾燥機(アンヒドロ社製、以下同じ)を用いて噴霧乾燥し、L−カルニチン剤490gを得た。
    得られたL−カルニチン剤は、その100g当たり、L−カルニチンを2.5mmol、乳糖を62g、灰分を1.1g含有していた。
    【0027】
    【実施例2】
    実施例1と同様にして、牛乳60kgから乳糖母液(一次)5kg(固形分24%)を得た。 この乳糖母液を、カチオン交換樹脂(アンバーライトIR120、強酸性樹脂、ダウケミカル社製)100ml及びアニオン交換樹脂(アンバーライトIRA410、強塩基性樹脂、ダウケミカル社製)110mlを用いて脱塩し、脱塩された乳糖母液5kgを得た。 この液を高温短時間殺菌した後、薄膜下降式濃縮機により固形分65%となるまで濃縮し、濃縮液を撹拌しながら徐々に冷却し、10℃で一晩保持して、乳糖を結晶化させた。 結晶化した乳糖を濾過により除去し、乳糖母液(二次)2kgを得た。 これを、高温短時間殺菌した後、薄膜下降式濃縮機により濃縮し、遠心アトマイザー式乾燥機を用いて噴霧乾燥し、L−カルニチン剤480gを得た。
    得られたL−カルニチン剤は、その100g当たり、L−カルニチンを2.2mmol、乳糖を67g、灰分を0.8g含有していた。
    【0028】
    【実施例3】
    実施例1と同様にして、牛乳120kgから脱塩乳清20kg(固形分29%)を得た。 脱塩乳清のpHを6.5に調整した後、水を添加して固形分12%に調整した後、限外濾過膜(分画分子量5kDa、DDS社製)を用いて限外濾過処理を行い、透過液(パーミエイト)を回収することで、乳清タンパク質を除去した乳清44kg(固形分10%)を得た。 これを高温短時間殺菌した後、薄膜下降式濃縮機により固形分65%となるまで濃縮し、濃縮液を撹拌しながら徐々に冷却し、8℃で一晩保持して、乳糖を結晶化させた。 結晶化した乳糖を濾過により除去し、乳糖母液(一次)7.2kg(固形分24%)を得た。 得られた乳糖母液を再度、電気透析装置に供し、液温を30℃に保ちながら電気伝導度が0.7mS/cmとなるまで脱塩し、脱塩された乳糖母液4.4kgを得た。 これを高温短時間殺菌した後、固形分65%となるまで濃縮し、濃縮液を撹拌しながら徐々に冷却し、8℃で一晩保持して、乳糖を結晶化させた。 結晶化した乳糖を濾過により除去し、乳糖母液(二次)2kgを得た。 これを、高温短時間殺菌した後、薄膜下降式濃縮機により濃縮し、遠心アトマイザー式乾燥機を用いて噴霧乾燥し、L−カルニチン剤700gを得た。
    得られたL−カルニチン剤は、その100g当たり、L−カルニチンを3.7mmol、乳糖を90g、灰分を0.7g含有していた。
    【0029】
    【実施例4】
    実施例3と同様にして、牛乳1800kgから乳糖母液(二次)30kgを得た。 この乳糖母液(二次)を再度、電気透析装置に供し、液温を30℃に保ちながら電気伝導度が0.7mS/cmとなるまで脱塩した。 得られた液を、高温短時間殺菌した後、固形分65%となるまで濃縮し、濃縮液を撹拌しながら徐々に冷却し、8℃で一晩保持して、乳糖を結晶化させた。 結晶化した乳糖を濾過により除去して、乳糖母液(三次)を得た。 さらに、同様にして、電気透析装置による脱塩から乳糖一部除去までの一連の工程を2度繰り返し、最終的に得られた乳糖母液(五次)を、高温短時間殺菌した後、薄膜下降式濃縮機により濃縮し、遠心アトマイザー式乾燥機を用いて噴霧乾燥し、L−カルニチン剤600gを得た。
    得られたL−カルニチン剤は、その100g当たり、L−カルニチンを62mmol、乳糖を83g、灰分を0.6g含有していた。
    【0030】
    【実施例5】
    牛乳60kgにレンネットを作用させ、カゼインを沈殿分別し、乳清53kg(固形分6%)を得た。 得られた乳清を、薄膜下降式濃縮機により固形分28%となるまで濃縮した後、ナノ濾過膜(日東電工社製、NTR−7250、以下同じ)を用い、運転圧力1.5MPa、液温を30℃に保ちながら電気伝導度が5mS/cmとなるまで脱塩し、脱塩乳清10kg(固形分29%)を得た。 次いで、pHを6.5に調整し、高温短時間殺菌した後、薄膜下降式濃縮機により固形分65%となるまで濃縮し、濃縮液を撹拌しながら徐々に冷却し、5℃で一晩保持して、乳糖を結晶化させた。 結晶化した乳糖を濾過により除去し、乳糖母液(一次)5kg(固形分23%)を得た。 得られた乳糖母液を再度、ナノ濾過膜処理に供し、運転圧力1.5MPa、液温を30℃に保ちながら電気伝導度が1mS/cmとなるまで脱塩し、脱塩した乳糖母液4kgを得た。 これを、高温短時間殺菌した後、薄膜下降式濃縮機により固形分64%となるまで濃縮し、濃縮液を撹拌しながら徐々に冷却し、8℃で一晩保持して、乳糖を結晶化させた。 結晶化した乳糖を濾過により除去し、乳糖母液(二次)1kgを得た。 これを、高温短時間殺菌した後、薄膜下降式濃縮機により濃縮し、遠心アトマイザー式乾燥機を用いて噴霧乾燥し、L−カルニチン剤500gを得た。
    得られたL−カルニチン剤は、その100g当たり、L−カルニチンを1.2mmol、乳糖を58g、灰分を1.4g含有していた。
    【0031】
    【発明の効果】
    本発明により、哺乳類の乳又は乳調製品を原料とするL−カルニチン剤及びその製造法が提供される。 本発明のL−カルニチン剤の製造法により、乳から安価に効率良く、安全なL−カルニチン剤を得ることができ、有用である。
    本発明のL−カルニチン剤は、天然物である乳を原料としているので、有害なD−カルニチンを含有せず、安全性に優れている。 さらに、本発明のL−カルニチン剤は、賦形剤として有用な乳糖を含有しており、医薬や飲食品に配合して利用しやすく、また、灰分含量が低いため、吸湿性が低く、流動性が良い等、取り扱いが容易であるという特徴を有する。
    【0032】
    このような特長を有する本発明のL−カルニチン剤は、医薬や飲食品にそのまま配合して利用することができ、有用である。 また、本発明のL−カルニチン剤は、乳を原料としているので、牛肉等を原料としたL−カルニチン剤の場合のような臭いの問題もなく、特に飲食品には利用しやすいものである。
    【0033】
    また、本発明の乳清タンパク質を実質的に除去したL−カルニチン剤は、タンパク質代謝異常疾患や乳アレルギー疾患等、乳タンパク質の摂取を避けなければならない患者へ投与できる医薬や飲食品の製造に利用でき、特に有用である。

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