Production of collagen in the milk of transgenic mammals

申请号 JP50598696 申请日 1995-07-27 公开(公告)号 JP3791551B2 公开(公告)日 2006-06-28
申请人 アンジオテック バイオマテリアルズ コーポレイション; ファーミング ビーブイ; 发明人 コスタス エヌ. カラッザス,; ウィット, アイニキー デ; ポール デイビッド トーマン,; リチャード エイ. バーグ,; フランク ピーパー,; ジェラルド プラテンブルグ,;
摘要
权利要求
  • トランスジーンを有する、非ヒトトランスジェニック哺乳動物であって、該トランスジーンが:
    乳腺特異的プロモーター;
    乳腺特異的エンハンサー;
    該非ヒトトランスジェニック哺乳動物の乳腺分泌細胞において機能するシグナルペプチドをコードする分泌DNAセグメント;および該分泌DNAセグメントに作動可能に結合して分泌−組換えDNAセグメントを形成する、外因性プロコラーゲンポリペプチドをコードする組換えDNAセグメントであって、該分泌−組換えDNAセグメントは該プロモーターおよび該エンハンサーに作動可能に結合する、組換えDNAセグメント;
    を含み、ここで、
    該トランスジーンが、該非ヒト哺乳動物または該非ヒト哺乳動物の雌の子孫の成体において、乳腺分泌細胞において該分泌−組換えDNAセグメントを発現し得、該乳腺分泌細胞によりプロセスされ、外因性プロコラーゲンまたはコラーゲンとして乳汁に分泌される外因性プロコラーゲンポリペプチドの形態を産生し得、
    ただし、該組換えDNAセグメントは、α1(I)コラーゲン遺伝子由来のゲノムDNAセグメントを含み、そして、
    該組換えDNAセグメントは、該遺伝子の第1エキソン由来のヌクレオチド1−114を有さ ないか、該遺伝子の第1イントロン由来のセグメントを有さない か、あるいは、該遺伝子の第1エキソン由来のヌクレオチド1−114と該遺伝子の第1イントロン由来のセグメントの両方を有さない、
    非ヒトトランスジェニック哺乳動物。
  • 前記外因性プロコラーゲンまたはコラーゲンが、三量体形態である、請求項1に記載の非ヒトトランスジェニック哺乳動物。
  • 前記乳汁における前記外因性プロコラーゲンまたはコラーゲンの濃度が、少なくとも1mg/mlである、請求項 に記載の非ヒトトランスジェニック哺乳動物。
  • 前記外因性プロコラーゲンまたはコラーゲンポリペプチドが、ヒトである、請求項 に記載の非ヒトトランスジェニック哺乳動物。
  • 第2のトランスジーンを有する、請求項 1に記載の非ヒトトランスジェニック哺乳動物であって:
    前記乳腺特異的プロモーターと同一のまたは異なる、第2の乳腺特異的プロモーター;
    前記乳腺特異的エンハンサーと同一のまたは異なる、第2の乳腺特異的エンハンサー;
    該非ヒトトランスジェニック哺乳動物の乳腺分泌細胞において機能するシグナルペプチドをコードする、前記分泌DNAセグメントと同一のまたは異なる第2の分泌DNAセグメント;および該第2の分泌DNAセグメントに作動可能に結合して第2の分泌−組換えDNAセグメントを形成する、ヒトα2(I)プロコラーゲンポリペプチドをコードする第2の組換えDNAセグメントであって、該第2の分泌−組換えDNAセグメントは該第2のプロモーターおよび該第2のエンハンサーに作動可能に結合する、第2の組換えDNAセグメント;
    を含み、ここで、
    該第1および第2のトランスジーンが、該非ヒト哺乳動物または雌の子孫の成体において、乳腺分泌細胞において該第1および第2の分泌−組換えDNAセグメントを発現して、該乳腺分泌細胞によりプロセスされ、少なくとも1つのα1(I)プロコラーゲン鎖またはコラーゲン鎖 ならびに 少なくとも1つのα2(I)プロコラーゲン鎖またはコラーゲン鎖を含む三量体として乳汁に分泌されるα1(I)およびα2(I)プロコラーゲンの形態を産生し得る、非ヒトトランスジェニック哺乳動物。
  • 前記非ヒトトランスジェニック哺乳動物が、ウシである、請求項 1に記載の非ヒトトランスジェニック哺乳動物。
  • 前記三量体がホモ三量体である、請求項 1に記載の非ヒトトランスジェニック哺乳動物。
  • 前記三量体がヘテロ三量体である、請求項 1に記載の非ヒトトランスジェニック哺乳動物。
  • プロコラーゲンまたはコラーゲンを調製する方法であって、以下の工程;
    請求項 1に記載の非ヒトトランスジェニック哺乳動物またはその雌の子孫の成体から乳汁を回収する工程;および該乳汁からプロコラーゲンまたはコラーゲンを精製する工程、
    を包含する、方法。
  • 前記プロコラーゲンをタンパク質分解酵素と接触させ、該プロコラーゲンをコラーゲンに転換する工程をさらに包含する、請求項 に記載の方法。
  • 外因性プロコラーゲンまたはコラーゲンポリペプチドを含む、請求項 1に記載の非ヒトトランスジェニック哺乳動物の乳汁。
  • プロコラーゲンまたはコラーゲンを発現させるトランスジーンであって:
    カゼインプロモーター;
    カゼインエンハンサー;
    プロコラーゲンα1(I )遺伝子のシグナルペプチドコード配列から3'隣接領域までのセグメントを含むゲノムDNAセグメントであって、該プロモーターおよび該エンハンサーに作動可能に結合した、ゲノムDNAセグメント であって、ただし、該ゲノムDNAセグメントは、該遺伝子の第1エキソン由来のヌクレオチド1−114を有さないか、該遺伝子の第1イントロン由来のセグメントを有さないか、あるいは、該遺伝子の第1エキソン由来のヌクレオチド1−114と該遺伝子の第1イントロン由来のセグメントの両方を有さない、ゲノムDNAセグメント、
    を含む、トランスジーン。
  • トランスジーンを有する、安定な乳腺由来の細胞株であって、該トランスジーンが:
    乳腺特異的プロモーター;
    乳腺特異的エンハンサー;
    該細胞株において機能するシグナルペプチドをコードする分泌DNAセグメント;および該分泌DNAセグメントに作動可能に結合して分泌−組換えDNAセグメントを形成する、外因性プロコラーゲンポリペプチドをコードする組換えDNAセグメントであって、該分泌−組換えDNAセグメントは該プロモーターおよび該エンハンサーに作動可能に結合する、組換えDNAセグメント;
    を含み、ここで、
    該細胞株が、乳腺刺激ホルモンにより誘導されて該トランスジーンを発現し、該細胞株によりプロセスされ、三量体形態の外因性プロコラーゲンまたはコラーゲンとして分泌される外因性プロコラーゲンポリペプチドの形態を産生 し、
    ここで、該組換えDNAセグメントは、α1(I)コラーゲン遺伝子由来のゲノムDNAセグメントを含み、そして、該組換えDNAセグメントは、該遺伝子の第1エキソン由来のヌクレオチド1−114を有さないか、該遺伝子の第1イントロン由来のセグメントを有さないか、あるいは、該遺伝子の第1エキソン由来のヌクレオチド1−114と該遺伝子の第1イントロン由来のセグメントの両方を有さない、細胞株。
  • 说明书全文

    関連出願の相互参照本願は、1995年6月7日に出願された代理人整理番号016994-008010(これは1994年7月27日に出願された米国特許出願第08/281,493号の一部継続出願である)の一部継続出願であり、これらの関連出願は、すべての目的のためにその全体が本明細書に参考として援用される。
    技術分野本発明は、一般に、乳汁中にプロコラーゲンまたはコラーゲンを産生する非ヒトトランスジェニック哺乳動物に関する。
    背景コラーゲンは、すべての多細胞生物に存在する線維状タンパク質のファミリーである。 コラーゲンは、高い引っ張り強度を有する不溶性線維を形成する。 コラーゲンは、皮膚、骨の、軟骨、血管および歯の主要な線維要素である。 コラーゲンはほとんどすべての器官に存在し、異なるユニットの細胞を一緒に保持するよう機能する。 最近、コラーゲンは、再建外科手順および美容外科手順において治療的に重要であると考えられている。
    コラーゲンを発現させ、加工し、そして最終的に成熟コラーゲン線維を組み立てるプロセスは複雑である。 少なくとも28の異なるコラーゲン遺伝子が報告されており、これらの発現産物が組み合わさって少なくとも14種の異なる形態のコラーゲンを形成する。 異なる形態のコラーゲンは、異なる組織型に関連する。 例えば、I型コラーゲンは、皮膚、腱、骨および膜に;II型コラーゲンは、軟骨、無脊椎動物のディスクおよび硝子体に;III型コラーゲンは、胎児の皮膚、心臓血管系および網状組織線維に;IV型コラーゲンは、基底膜に;そして、V型コラーゲンは、胎盤および皮膚に主に分布する。 I型、II型およびIII型コラーゲンは最も多い形態であり、類似の線維構造を有する。 IV型は線維としては存在せず、むしろ基底薄膜の主要要素を構成する二次元網状組織を形成する。
    コラーゲン遺伝子は、発現して、そのN末端でシグナルペプチドに結合するポリペプチド(プロコラーゲンと称される)が得られる。 プロコラーゲンポリペプチドは、N末端プロペプチドとC末端プロペプチドとの間に成熟コラーゲンにおいて最終的に見られる中央セグメントを含む。 プロコラーゲンα1(I)については、プロコラーゲンポリペプチドは約160kDaであり、成熟コラーゲンポリペプチドは約90kDaであり、そしてプロペプチドは約45kDaである。 シグナルペプチドは、N末端プロペプチドのアミノ末端部に結合する。 プロペプチドのアミノ酸組成は、成熟ペプチドとは異なる。 成熟ペプチドは、ほぼ3つのアミノ酸ごとにグリシンを有し、かつ、プロリン残基が高い割合で存在する独特の反復構造を有する。 プロペプチドは、プロコラーゲン鎖の鎖同士を3重鎖構造に組み立てることを促進する役割を有する。
    シグナルペプチド−プロコラーゲンポリペプチドの発現に続いて、プロコラーゲンの組み立ておよび分泌の間に、一連の翻訳後修飾が起こる。 線維芽細胞においては、以下の修飾が明らかにされている:鎖のN末端でのシグナルペプチドの切断;Y位のプロリンおよびリジン残基のヒドロキシル化;いくつかのX位のプロリン残基のヒドロキシル化;いくつかのヒドロキシリジンへのガラクトースの付加、あるいはガラクトースおよびそれに続くグルコースの付加;C末端-プロペプチドへのマンノースリッチのオリゴ多糖の付加;これらのドメインの構造により誘導されるプロセスを介したC末端プロペプチドの会合;プロペプチドにおける鎖内および鎖間ジスルフィド結合の形成。 これらの修飾に続いて、プロコラーゲン鎖は、3つのプロコラーゲン鎖から構成される3重らせんに組み立てられる。 ある種の形態のコラーゲンの合成においては、3つのプロコラーゲン鎖は同一のタイプであり;他の形態のコラーゲンの合成においては、3つのプロコラーゲン鎖は異なる種である。 例えば、I型コラーゲンは、2つのα1(I)鎖と1つのα2(I)鎖とを含む。 個々の鎖は、プロペプチドの相互作用により三量体に組み立てられる。 これらの相互作用は、プロペプチドにおける鎖内および鎖間ジスルフィド結合の形成を包含する。
    プロセシングおよび組み立てが完了すると、プロコラーゲン三量体は細胞から分泌され、さらなる細胞外修飾に供される。 N-末端およびC-末端プロペプチドは、特殊化酵素(プロコラーゲン N-プロテイナーゼ、およびプロコラーゲン C-プロテイナーゼと称される)により成熟コラーゲンペプチドから切断される。 切断反応により、約285kDaの分子量を有する成熟コラーゲンペプチドの個々の三量体(トロポコラーゲンと称される)が放出される。 個々の三量体は、自然に高次構造に組み立てられる。 次いで、いくつかのリジンおよびヒドロキシリジン残基のアルデヒド誘導体(鎖間架橋を形成する)へのリシルオキシダーゼによる転化により、これらの構造体は固体化される。 この最終産物は、天然の役割および上述の外科的構造物としての役割を果たし得る高分子量の不溶性線維を構成する。 修飾プロセスは、全体で、少なくとも8つの特異的酵素およびいくつかの非特異的酵素を必要とし、100を超えるアミノ酸の修飾を必要とする。 Prockopら,New England J.Med.311,376-386(1984)を参照のこと(これは、すべての目的のためにその全体が本明細書に参考として援用される)。
    外科手順におけるコラーゲンの有用性により、コラーゲン供給源として組換えコラーゲン遺伝子を発現させる試みがなされている。 例えば、ヒト軟骨プロコラーゲンα1(II)をコードするゲノムDNAセグメントおよびそのミニ遺伝子(minigene)型(ほとんどの内部イントロン配列を欠失している)が、内因性I型コラーゲンを産生する細胞株である3T3マウス線維芽細胞において発現されている。 Ala-Kokkoら,J.Biol.Chem.,266,14175-14178(1991);Olsenら,J.Biol.Chem.,266,1117-11121(1991)を参照のこと(これらは、それぞれ、すべての目的のためにその全体が本明細書に参考として援用される)。 プロコラーゲンα2(V)をコードするcDNAが、内因性プロα1(V)を発現するマウス線維芽細胞において発現されている。 Greenspan,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84,8869-8873(1987)を参照のこと(これは、すべての目的のためにその全体が本明細書に参考して援用される)。 ヘテロ三量体は、細胞層の細胞外基質に主に沈着した。 ヒトプロα1(I)鎖をコードするcDNAが、内因性IV型コラーゲンを産生するヒト線維肉腫細胞株において発現されている。 GeddisおよびProckop,Matrix 13,399-405(1993)を参照のこと(これは、すべての目的のためにその全体が本明細書に参考として援用される)。 形質転換された細胞株の約2%が、ホモ三量体プロα1(I)鎖を分泌した。 SDS PAGE分析により判断したところ、これらの鎖は、通常のプロα1(I)鎖に比べて過剰修飾されていた。 変異形態のプロコラーゲン遺伝子の全身的な発現を示すトランスジェニックマウスもまた報告されている。 Staceyら,Nature(1988)322,131-136;Khillanら,J.Biol.Chem.,266,23373-23379(1991);WO 92/22333を参照のこと。 このようなマウスのほとんどは、死産であるか、危篤な奇形であった。
    哺乳動物の細胞発現系は、組換えタンパク質の産生については完全に満足し得るものではない。 なぜなら、このような細胞の増殖および維持に費用がかかるからである。 組換えタンパク質の産生に関する別の試み(トランスジェニック動物の乳汁における組換えタンパク質の産生)が、DeBoerら(WO 91/08216)によって報告されている。 この試みは、費用のかかる哺乳動物細胞培養物の維持を回避し、さらに組換えタンパク質の精製を簡易化する。
    トランスジェニック動物の乳汁においていくつかの組換えタンパク質を発現させる可能性が示されているが、この技術が広範な翻訳後修飾および組み立てを必要とする多量体タンパク質(例えば、コラーゲン)の発現まで拡張されるかどうかは予測不可能であった。 哺乳動物腺細胞は、本来、低レベルの内因性IV型コラーゲンしか産生しないので(Davidら,Expl.Cell.Res.,170,402-416(1987))、これらの細胞が、(特に、高い発現レベルでの)他のタイプのコラーゲンの適正な修飾、組み立ておよび分泌のために酵素に必要な補足成分および活性を有するかどうかは不確かである。 適正に修飾されない場合には、コラーゲンは、分泌されるよりもむしろ細胞内で蓄積し得る。 さらに、他の乳汁タンパク質に比べて大きなサイズの三量体プロコラーゲン(>420kDa)は、分泌器官を詰まらせると考えられる。 乳腺で外因性コラーゲンを発現するトランスジェニック動物の健康状態(そして生存能さえ)もまた、不確かであった。 乳腺におけるコラーゲンの不適切な蓄積は、乳腺の発達を害し得、そして乳汁分泌を停止させ得る。 乳腺以外の組織における低レベルの二次発現でさえも、コラーゲン沈着物の致命的な蓄積を生じさせ得る。
    上記の不確実性および困難にもかかわらず、本発明は、特に、乳汁中にプロコラーゲンまたはコラーゲンを分泌する健常なトランスジェニック哺乳動物を提供する。
    発明の要旨本発明は、プロコラーゲンまたはコラーゲンの産生に有用な非ヒトトランスジェニック哺乳動物を提供する。 この哺乳動物はトランスジーンを有する。 このトランスジーンは、乳腺特異的プロモーター;乳腺特異的エンハンサー;該トランスジェニック哺乳動物の乳腺分泌細胞において機能するシグナルペプチドをコードする分泌DNAセグメント;および、外因性プロコラーゲンポリペプチドをコードする組換えDNAセグメントを含む。 この組換えDNAセグメントは、分泌DNAセグメントに作動可能に連結されて分泌−組換えDNAセグメントを形成し、この分泌−組換えDNAセグメントはプロモーターおよびエンハンサーに順次作動可能に連結される。 トランスジーンを有する非ヒト哺乳動物または該非ヒト哺乳動物の雌の子孫は、成熟すると、乳腺分泌細胞において分泌−組換えDNAセグメントを発現し得、該乳腺分泌細胞によりプロセスされ外因性プロコラーゲンまたはコラーゲンとして乳汁に分泌される外因性プロコラーゲンポリペプチド形態を産生し得る。 通常、外因性プロコラーゲンまたはコラーゲンは、三量体形態で分泌される。 乳汁におけるプロコラーゲンまたはコラーゲンの濃度は、通常、約100μg/mlであり、1mg/ml以上の場合がある。 通常、外因性プロコラーゲンまたはコラーゲンポリペプチドは、例えばヒトプロα1(I)である。 組換えDNAセグメントは、cDNA、ゲノムまたはハイブリッドであり得る。 ある種のゲノムDNAセグメントにおいては、第1イントロンのセグメントが除かれて調節配列が取り除かれる。 ある種の非ヒトトランスジェニック哺乳動物は、プロα1(I)ポリペプチドをコードする第1のトランスジーンと、プロα2(I)ポリペプチドをコードする第2のトランスジーンとを有する。 これらの2つのトランスジーンは発現して、α1(I)およびα2(I)プロコラーゲン形態を産生し得る。 このプロコラーゲン形態は、乳腺分泌細胞によりプロセスされ、そして少なくとも1つのα1(I)プロコラーゲン鎖またはα1(I)コラーゲン鎖および少なくとも1つのα2(I)プロコラーゲン鎖またはα2(I)コラーゲン鎖を含む三量体として乳汁に分泌される。 トランスジェニック哺乳動物の好ましい種としては、ウシおよびマウスが挙げられる。
    別の局面においては、本発明は、上記の非ヒトトランスジェニック哺乳動物の乳汁を提供する。 この乳汁は、プロコラーゲンまたはコラーゲンを含有する。
    本発明はさらに、プロコラーゲンまたはコラーゲンを発現させるトランスジーンを提供する。 このようなトランスジーンの1つは、カゼインプロモーター、カゼインエンハンサー、プロコラーゲンα1(I)ポリペプチドにインフレームで連結されており、プロコラーゲンシグナルセグメントをコードするcDNAセグメント、およびプロコラーゲンポリペプチドをコードする遺伝子由来の3'隣接DNAセグメントを含む。 cDNAセグメントは、5'末端でプロモーターおよびエンハンサーに、そして3'末端で3'隣接セグメントに作動可能に連結される。 別のトランスジーンは、カゼインプロモーター、カゼインエンハンサー、およびプロコラーゲンα1(I)遺伝子の5'非翻訳領域から3'隣接領域までのセグメントを含み、プロモーターおよびエンハンサーに作動可能に連結されたゲノムDNAセグメントを有する。
    さらなる局面においては、本発明は、トランスジーンを有する安定な乳腺由来細胞株を提供する。 このトランスジーンは、乳腺特異的プロモーター、乳腺特異的エンハンサー、該細胞株において機能するシグナルペプチドをコードする分泌DNAセグメント、および該分泌DNAセグメントに作動可能に連結されて分泌−組換えDNAセグメントを形成する、外因性プロコラーゲンポリペプチドをコードする組換えDNAセグメントを含む。 この分泌−組換えDNAセグメントは、プロモーターおよびエンハンサーに作動可能に連結される。 この細胞株は、乳腺刺激ホルモンにより誘導されてトランスジーンを発現し得、該細胞株によりプロセスされ、三量体形態の外因性プロコラーゲンまたはコラーゲンとして分泌される外因性プロコラーゲンポリペプチド形態を産生し得る。
    【図面の簡単な説明】
    図1は、プロコラーゲン発現のためのcDNA-ゲノムハイブリッドトランスジーンの構築を示す。
    図2は、プロコラーゲン発現のためのゲノムトランスジーンの構築を示す。
    図3は、トランスフェクトされたプロコラーゲントランスジーンを有する場合(B)または有さない場合(A)の、組織および細胞株におけるmRNAのノーザンブロットを示す。
    図4は、プロコラーゲン発現のためにゲノムトランスジーンでトランスフェクトされた乳腺細胞株の免疫蛍光染色を示す。
    図5は、トランスジェニックマウスまたはコントロールマウスの乳汁のSDS-PAGE分析を示す。 トラック1〜8は還元状態;トラック9〜15は非還元状態である。
    各レーンは以下を含む:
    レーン1 マーカーレーン2 コントロール、乳汁分泌から19日目レーン3 創始(founder)2399、乳汁分泌から4日目レーン4 コントロール、乳汁分泌から6日目レーン5 創始2395、乳汁分泌から4日目レーン6 創始2395、乳汁分泌から2日目レーン7 コントロール、乳汁分泌から3日目レーン8 マーカーレーン9 コントロール、乳汁分泌から19日目レーン10 創始2399、乳汁分泌から4日目レーン11 コントロール、乳汁分泌から6日目レーン12 創始2395、乳汁分泌から4日目レーン13 創始2395、乳汁分泌から2日目レーン14 コントロール、乳汁分泌から3日目レーン15 マーカー図6は、還元状態下でのさらなるトランスジェニックマウスの乳汁タンパク質のSDS-PAGE分析である。
    レーン1 マーカーレーン2 コントロール、乳汁分泌から10日目レーン3 創始2393、乳汁分泌から4日目レーン4 創始2393、乳汁分泌から11日目レーン5 創始2395、乳汁分泌から4日目レーン6 創始2395、乳汁分泌から13日目レーン7 創始2399、乳汁分泌から4日目レーン8 創始2399、乳汁分泌から13日目レーン9 創始2400、乳汁分泌から5日目レーン10 創始2400、乳汁分泌から12日目レーン11 創始2406、乳汁分泌から4日目レーン12 創始2406、乳汁分泌から11日目レーン13 創始2411、乳汁分泌から5日目レーン14 創始2411、乳汁分泌から11日目レーン15 コントロール、乳汁分泌から10日目図7は、α2(I)プロコラーゲン発現ベクターの構築を示す。 パネルAは、αs1遺伝子における制限部位の位置を示す。 パネルBは、α2(I)遺伝子の5'末端の再構築における工程を示す。 ここで、コラーゲン遺伝子由来の5'非翻訳配列は、ウシαS1カゼイン遺伝子由来の5'非翻訳配列で置換される。 パネルBはまた、再構築された5'末端フラグメントを、遺伝子の残りを含むBamHI-BamHIフラグメントに連結する工程を示す。 パネルC(下)は、これらの工程から得られる再構築されたα2(I)遺伝子における制限部位を示す。 パネルC(上)は、第2のストラテジー(ここで、BamHI-BamHIフラグメントは、α2(I)プロコラーゲン遺伝子由来のBamHI-XhoIフラグメントおよびXhoI-XhoIフラグメントで置換される)から得られる再構築されたα2(I)遺伝子における制限部位を示す。
    図8は、プロコラーゲンα1(I)トランスジーンを含むトランスジェニックマウスの乳汁のウェスタンブロットを示す。
    図9は、プロコラーゲンα1(I)トランスジーンを含むトランスジェニックマウスの乳汁のコラーゲナーゼ消化を示す。
    図10は、トランスジェニックマウスの乳汁におけるプロコラーゲンの熱安定性を示す。 パネルA、B、CおよびDは、ヒト皮膚線維芽細胞(HSV)(天然のI型プロコラーゲンを発現する)、ヒト線維芽細胞(SV)(ヒトプロコラーゲンα1(I)をコードする)、マウス2395(高発現)の乳汁、およびマウス2399(中程度の発現)の乳汁由来のサンプルを示す。 各々のゲルの上の数字は、消化温度を示す。 コントロールサンプルは、トリプシンもキモトリプシンも用いることなく20℃でインキュベートした。
    図11は、ホモ三量体プロコラーゲンα1(I)を発現するトランスジーンを含むトランスジェニックマウスにおける種々の組織由来のRNAのノーザンブロットを示す。
    図12は、1.5kbpの3'隣接配列を含むウシαs1-カゼインプロモーター−プロコラーゲンα2(I)構築物の構築を示す。
    図13は、ウシαs1-カゼインプロモーター−プロコラーゲンα2(I)構築物の構築を示す。
    図14は、インビボでの相同組換えによるウシαs1-カゼインプロモーター−プロコラーゲンα2(I)構築物の構築を示す。
    図15は、5.5kbpの3'隣接配列を含む短縮型ウシαs1-カゼインプロモーター−プロコラーゲンα1(I)構築物の構築を示す。
    図16は、短縮型ウシαs1-カゼインプロモーター−プロコラーゲンα2(I)構築物の構築を示す。
    図17は、SDS-PAGEにより分析されるマウスの乳汁におけるヘテロ三量体α1(I)およびα2(I)プロコラーゲンの発現を示す。 パネルAは、クマシーブルー染色を示し、パネルBは、α1(I)形態に特異的な抗体によるウェスタンブロットを示し、そして、パネルCは、α2(I)形態に特異的な抗体によるウェスタンブロットを示す。
    定義用語「実質的同一」または「実質的相同」は、2つのペプチド配列を(例えば、欠損間隙重量(default gap weight)を用いるGAPプログラムまたはBESTFITプログラムにより)最適に並べた場合に、少なくとも65%の配列、好ましくは少なくとも80%または90%の配列、さらに好ましくは少なくとも95%を超える配列(例えば、99%の配列)が同一であることを意味する。 好ましくは、同一でない残基位置は、保存的なアミノ酸置換により異なる。
    用語「実質的に純粋な」または「単離された」は、目的の種が同定されており、かつその自然環境の構成要素から分離および/または回収されていることを意味する。 通常、目的の種は、優勢に存在する種であり(すなわち、組成物中の他のいずれの個々の種よりもモル基準で豊富であり)、好ましくは、実質的に精製された画分は、目的種が、存在するすべての高分子種の少なくとも約50%(モル基準で)を構成する組成物である。 一般に、実質的に純粋な組成物は、組成物中に存在するすべての高分子種の約80〜90重量%を超える量を含む。 最も好ましくは、目的の種は本質的に同種(混入種が、通常の検出方法では組成物中に検出され得ない)となるまで精製され、組成物は、本質的に単一の高分子種からなる。
    DNAセグメントは、他のDNAセグメントとの機能的関係に配置される場合には、作動可能に連結される。 例えば、シグナル配列のDNAは、ポリペプチドの分泌に関係するプレタンパク質として発現される場合には、ポリペプチドをコードするDNAに作動可能に連結される;プロモーターまたはエンハンサーは、配列の転写を刺激する場合には、コード配列に作動可能に連結される。 一般に、作動可能に連結されたDNA配列は隣接しており、シグナル配列の場合には両方が隣接しており、かつリーディングフレーム内に存在する。 しかし、エンハンサーは、エンハンサーが転写を制御するコード配列と隣接する必要はない。 連結は、都合の良い制限部位で、またはそれらの代わりに挿入されたアダプター(adapter)またはリンカーで達成される。
    外因性DNAセグメントは、細胞に対して外来性のDNAセグメントであるか、または細胞のDNAに相同であるが、この要素が通常では見出されない宿主細胞核酸内に位置するDNAセグメントである。 外因性DNAが発現して、外因性ポリペプチドが得られる。
    詳細な説明本発明は、乳汁にプロコラーゲンまたはコラーゲンを分泌する非ヒトトランスジェニック哺乳動物を提供する。 分泌は、プロコラーゲン遺伝子および乳腺にこの遺伝子の発現を生じさせ得る調節配列をコードするトランスジーンを導入することにより達成される。 プロコラーゲン遺伝子が発現し、得られる鎖が乳腺内で翻訳後修飾され、そしてプロコラーゲンに組み立てられる。 プロコラーゲンは、通常、三量体形態で乳汁に分泌される。 通常、乳汁への分泌後には、三量体プロコラーゲンのさらなるプロセシングは自然には起こらない。
    A. コラーゲン遺伝子
    本発明は、23を超える公知のコラーゲン遺伝子のうち、任意の遺伝子を含むDNAセグメントを発現する非ヒトトランスジェニック哺乳動物を提供する。 Adamsら,Am.J.Respir.Cell.Molec.Biol.,1,161-168(1989)を参照のこと(これは、すべての目的のためにその全体が本明細書に参考として援用される)。 ポリペプチドが発現され、個々にホモポリマーを形成し得るか、あるいは組み合わさってヘテロポリマーを形成し得る。 天然形態のコラーゲンと同一の構成鎖を有するコラーゲンを産生する1つ以上のDNAセグメントの発現が好ましい。 間質組織に見られる最も一般的なタイプは、I型、III型、V型およびVI型であり、一方、軟骨においては、II型、IX型、X型およびXI型が優勢である。 ホモ三重鎖として天然に存在するものと、ヘテロ三重鎖として天然に存在するものとがある。 命名法は、特定のコラーゲンを、その起源となる遺伝子で命名する。 例えば、I型コラーゲンは、2つの異なるコラーゲンコード遺伝子の産物を含むヘテロ三重鎖である。 このタイプのコラーゲンは、[α1(I)] 2 α2(I)と称される。 すなわち、I型コラーゲン三重鎖は、プロコラーゲンα1(I)遺伝子でコードされた2つの鎖と、プロα2(I)遺伝子でコードされた1つのタンパク質鎖とを含む。 II型コラーゲンは[α1(II)] 3と称され、α1(II)ポリペプチドのホモ三量体を含む。 III型コラーゲンもまた[α1(III)] 3と称されるホモ三量体である。 IV型およびV型コラーゲンはヘテロ三量体であり、それぞれ、[α1(IV)] 2 α2(IV)および[α1(V)] 2 α2(V)と称される。 任意の公知のコラーゲンコード配列の対立遺伝子変異体、同族変異体、非対立遺伝子変異体および誘導変異体(induced variant)を発現するトランスジェニック哺乳動物もまた包含される。 このような変異体は、通常、アミノ酸レベルで、公知のプロコラーゲン遺伝子(特に、このような遺伝子のドメインをコードするコラーゲンにおいて)との実質的な配列の同一性を示す。 このような変異体は、通常、ストリンジェントな条件下で公知の遺伝子にハイブリダイズし、あるいは、公知の遺伝子の1つにコードされるポリペプチドに対する抗体と交差反応する。
    多くの公知のプロコラーゲン遺伝子のゲノム配列またはcDNA配列を含むDNAクローンが利用可能である。 Barshら(J.Biol.Chem.,259,14906-14913(1984))、および、Chuら(Nucleic Acid Res.,10,5925-5933(1982))は、それぞれ、プロα1(I)遺伝子をコードするゲノムクローンおよびcDNAクローンを記載する(これらは、すべての目的のためにその全体が本明細書に参考として援用される)。 Trompら,Biochem.J.,253,9191-922(1988)もまた参照のこと。 Chuら(J.Biol.Chem.,260,4357-4363(1985))は、プロα1(III)遺伝子のクローンを記載する(これは、すべての目的のためにその全体が本明細書に参考として援用される)。 Dewetら(J.Biol.Chem.,262,16032-16036)は、ヒトプロα2(I)遺伝子のクローン化を記載する(これは、すべての目的のためにその全体が本明細書に参考として援用される)。 Sangiorgiら(Nucleic Acids Res.,13,2207-2225(1985))、および、Elimaら(Biochem.J.,229,183-188(1985))は、ヒトプロα1(II)のゲノムクローンおよびcDNAクローンを記載する(これらは、すべての目的のためにその全体が本明細書に参考として援用される)。 ゲノム配列およびcDNA配列の他の例は、GenBankより入手可能である。 コラーゲン遺伝子のさらなるクローン化配列が必要な場合、これらは、公知のコラーゲンDNA配列または公知のコラーゲンポリペプチドに対する抗体をプローブとして用いて、ゲノムライブラリーまたはcDNAライブラリー(好ましくは、ヒト)から得られ得る。
    B. コラーゲンコンホメーション
    組換えコラーゲンまたはプロコラーゲンポリペプチドは、好ましくは、天然コラーゲンと同一または類似の三量体構造を有するようにプロセスされそして組み立てられる。 この構造においては、個々のストランドがらせんを形成し、これらの3つのストランドが互いに巻き付いて超らせん索を形成する。 成熟コラーゲンにおいては、この超らせん索は、テロペプチドと称される短い非らせん状の延長部分を含む。 プロコラーゲンにおいては、非らせん領域がより長く、プロペプチドに連結したテロペプチドを含む。 ホモ三量体は、3つの同一のストランドを含み;ヘテロ三量体は、少なくとも2つの異なるタイプのコラーゲン鎖(通常、第1のタイプの2つのコピーおよび第2のタイプの1つのコピー)を含む。 I型コラーゲンの場合には、超らせんにおける一残基あたりの勾配(rise)は約2.9Åであり、一回転の残基数は約3.3である。 三量体構造は、一部が、翻訳後のプロセシングにより導入された修飾残基(例えば、ヒドロキシプロリン)の素結合により安定化される。 従って、三量体構造の組み立ては、少なくとも実質的に完全な翻訳後のプロセシングが起こったことを示す。 適切な数のY位のプロリル残基がプロリル 4-ヒドロキシラーゼによって4-ヒドロキシプロリンにヒドロキシル化されない限り、新たに合成された鎖は3重らせん構造に折り畳まれ得ず、分泌が不十分であり、それ自体をコラーゲン線維へと組み立て得ない。 Prockopら、WO 92/22333を参照のこと。 翻訳後修飾の程度は、天然コラーゲンに比べてより正確にSDS-page分析により決定され得る。 翻訳後修飾の程度が大きいほど、この分析における単量体鎖の移動度が小さい。
    三量体のプロコラーゲンまたはコラーゲンの存在は、トリプシンまたはキモトリプシン消化に対する耐性により検出され得る。 熱安定性およびそれによる適正な折り畳みは、温度の関数としてのタンパク質分解性消化に対する耐性から決定され得る。 BrucknerおよびProckop,Annal.Biochem.,110,36-368(1981)を参照のこと(これは、すべての目的のためにその全体が本明細書に参考として援用される)。 3重らせんの融点(I型コラーゲンについては41℃)を超えると、プロテアーゼ消化速度が顕著に増大する。 通常、本発明のトランスジェニック動物により産生されるプロコラーゲンまたはコラーゲンは、約25℃〜45℃、さらに一般的には約30℃〜40℃の範囲の融点を有する。 三量体プロコラーゲンまたはコラーゲンはまた、非還元ゲル上の高分子量バンド(I型プロコラーゲンについては約420kDa、およびI型コラーゲンについては約285kDa)の存在により同定され得る。
    C. トランスジーンの設計
    トランスジーンは、トランスジーンを有する非ヒトトランスジェニック哺乳動物の乳腺に組換えタンパク質(通常、プロコラーゲンポリペプチド)の発現を生じさせるよう設計される。 この基本的なアプローチは、プロコラーゲンポリペプチドをコードする外因性DNAセグメントを、シグナル配列、プロモーターおよびエンハンサーと作動可能に連結させることである。 このDNAセグメントは、ゲノム、ミニ遺伝子(1つ以上のイントロンが除かれたゲノム)、cDNA、YACフラグメント、2つの異なるコラーゲン遺伝子のキメラ、またはこれらの任意のハイブリッドであり得る。 一般に、ゲノム配列を含むことにより、より高レベルの発現が得られる。 非常に高レベルの発現は、プロコラーゲン鎖の翻訳後修飾、組み立ておよび分泌を行う乳腺の許容量を超える可能性がある。 しかし、実施例3に示される結果は、mg/mlの範囲の高発現レベルにもかかわらず、実質的な翻訳後修飾が起こることを示している。 従って、一般に、ゲノム構築物またはハイブリッドcDNA-ゲノム構築物が好ましい。
    ゲノム構築物においては、すべてのイントロン配列を保持する必要はない。 これらの配列のいくつか、特にα1(I)プロコラーゲンの第1イントロンは、取り除くことが望ましい調節配列のセグメントを含み得る。 DNA操作およびそれに続くミクロ注入を容易にするより小さなトランスジーンを得るために、他のイントロン配列を除去し得る。 Archibaldら、WO 90/05188を参照のこと(これは、すべての目的のためにその全体が本明細書に参考として援用される)。 mRNAに三次元構造を形成して転写を妨害する非コードエキソン部分(例えば、α1(I)プロコラーゲン遺伝子のエキソン1の5'部分)を取り除くこともまた可能である。 いくつかのイントロンの除去はまた、発現レベルを減少させ、それにより翻訳後修飾が実質的に完全であることを確実にするいくつかの例においても有用である。 いくつかのトランスジーンにおいては、プロコラーゲン配列中の選択されたいくつかのヌクレオチドが変異され、N-およびC-プロコラーゲンペプチダーゼにより認識されるタンパク質分解性切断部位が除去される。 このような部位の除去により、プロコラーゲンからコラーゲンへの自然な転化が防止される。 (ただし、実施例3は、たとえこれらの変異がなくても、このような転化は通常実質的には存在しないことを示す)。 いくつかのトランスジーンにおいては、コラゲナーゼ酵素に対する認識部位(Gly-IleまたはGly-Leu)をコードするヌクレオチドは、乳汁への分泌後のプロコラーゲンの消化に対する予防策として変異誘発される。 Wuら,Proc.Natl.Acad.Sci.,(USA)87,5888-5892(1990)を参照のこと(これは、すべての目的のためにその全体が本明細書に参考として援用される)。
    プロコラーゲン配列をコードするDNAセグメントが得られる種は、通常、プロコラーゲンの意図される用途に依存する。 意図される用途がヒトの手術である場合には、DNAセグメントは、レシピエントであるヒト患者の手術後の免疫応答を最小化するようヒト起源のものであることが好ましい。 同様に、意図される用途が(例えば、ウマ、イヌまたはネコの)獣医学的手術である場合には、DNAセグメントは、同一の種由来であることが好ましい。
    プロモーターおよびエンハンサーは、独占的にまたは少なくとも優先的に乳腺において発現される遺伝子(すなわち、乳腺特異的遺伝子)由来である。 プロモーターおよびエンハンサー源としての好ましい遺伝子は、β−カゼイン、κ−カゼイン、αs1−カゼイン、αs2−カゼイン、β−ラクトグロブリン、乳漿酸(whey acid)タンパク質、およびα−ラクトアルブミンを包含する。 プロモーターおよびエンハンサーは、通常(しかし、常にではない)、同一の乳腺特異的遺伝子から得られる。 この遺伝子は、好ましくは、トランスジーンが挿入される哺乳動物と同一の種の哺乳動物由来である。 他の種由来の(例えば、ヒト由来の)発現調節配列もまた使用され得る。 シグナル配列は、乳腺からのプロコラーゲンの分泌を誘導できなければならない。 適切なシグナル配列は、実質上、分泌されたタンパク質をコードする任意の哺乳動物由来であり得る。 好ましいシグナル配列源は、発現されるプロコラーゲンDNAセグメントに本来連結しているシグナル配列、または、プロモーターおよびエンハンサーが得られる遺伝子と同一の遺伝子由来のシグナル配列である。 必要に応じて、さらなる調節配列がトランスジーンに含まれ、発現レベルを最適化する。 このような配列は、5'隣接領域、5'転写非翻訳領域、イントロン配列、3'転写非翻訳領域、ポリアデニル化部位、3'隣接領域を包含する。 このような配列は、通常、プロモーターおよびエンハンサーが得られる乳腺特異的遺伝子、あるいは発現されるプロコラーゲン遺伝子のいずれかから得られる。 このような配列を含むことにより、乳腺特異的遺伝子の配列および/またはプロコラーゲン遺伝子の発現を確実に刺激する遺伝子環境が得られる。 いくつかの場合(例えば、ウシαS1-カゼインの場合)には、この遺伝子環境により、転写プロコラーゲン遺伝子のより高レベルの発現が得られる。 あるいは、3'隣接領域および非翻訳領域は、他の異種遺伝子(例えば、β−グロブリン遺伝子またはウィルス遺伝子)から得られる。 プロコラーゲン、乳腺特異的遺伝子、または他の異種遺伝子由来の3'および5'非翻訳領域を含むことにより、転写安定性もまた増大し得る。
    いくつかの実施態様においては、乳腺特異的遺伝子由来の約0.5、1、5、10、15、20または30kbの5'隣接配列が、発現されるプロコラーゲン遺伝子由来の約1、5、10、15、20または30kbの3'隣接配列と組み合わせて含まれる。 プロコラーゲンポリペプチドがcDNA配列から発現される場合には、プロモーターとコード配列との間にイントロン配列を含むことが有利である。 イントロン配列は、好ましくは、プロモーターが得られる乳腺特異的領域の第1イントロンの介在配列の5'部分、およびIgG介在配列またはプロコラーゲン遺伝子の介在配列の3'部分から形成されるハイブリッド配列である。 DeBoerら、WO 91/08216を参照のこと(これは、すべての目的のためにその全体が本明細書に参考として援用される)。
    プロコラーゲンまたはコラーゲンを発現させる好ましいトランスジーンは、カゼインプロモーターおよびエンハンサーに5'で結合したcDNA-ゲノムハイブリッドプロコラーゲン遺伝子を含む。 このハイブリッドプロコラーゲン遺伝子は、シグナル配列、プロコラーゲンコード領域および3'隣接領域を含む。 トランスジーンは、便利なことには、以下の3つの成分から組み立てられる:カゼインプロモーターおよびエンハンサーを含むカゼイン遺伝子由来の5'隣接配列;シグナル配列およびプロコラーゲンポリペプチドをコードするcDNAセグメント;および、3'隣接領域を提供するゲノムセグメント。 カゼインフラグメントは、カゼインおよびプロコラーゲン遺伝子の5'非翻訳領域の融合によりcDNAセグメントに結合する。 cDNAセグメントは、プロコラーゲンコード配列の最終エキソン(エキソン52)内の融合により、ゲノムセグメントに結合する。 必要に応じて、cDNAセグメントは、5'カゼインとプロコラーゲン非翻訳領域との間にイントロン配列を含む。 もちろん、得られる融合体から連続的なタンパク質が発現し得る限りは、対応するcDNAおよびゲノムセグメントもまた、遺伝子内の他の位置で融合し得る。 融合部位に応じて、構築物は、0〜51イントロンの任意の位置を含む。
    他の好ましいトランスジーンは、カゼイン調節配列に5'で結合したゲノムプロコラーゲンセグメントを有する。 ゲノムセグメントは、制御配列を取り除くために第1イントロンのセグメントが除かれることがある以外は、通常、プロコラーゲン遺伝子の5'非翻訳領域から3'隣接領域まで連続している。 従って、ゲノムセグメントは、プロコラーゲン5'非翻訳配列の部分、シグナル配列、交互に現れるイントロンおよびコードエキソン、3'非翻訳領域、および3'隣接領域を含む。 ゲノムセグメントは、5'非翻訳領域を介して、プロモーターおよびエンハンサーならびに通常5'非翻訳領域を含むカゼインフラグメントに結合する。 いくつかの構築物においては、すべてのプロコラーゲン5'非翻訳配列は、カゼイン5'非翻訳配列で置換される。
    DNA配列情報は、少なくとも1つの生物において、そして多くの場合はいくつかの生物において、上述の乳腺特異的遺伝子のすべてについて利用可能である。 例えば、Richardsら,J.Biol.Chem.,256,526-532(1981)(α−ラクトアルブミンラット);Campbellら,Nucleic Acids Res.,12,8685-8697(1984)(ラットWAP);Jonesら,J.Biol.Chem.,260,7042-7050(1985)(ラット β−カゼイン);Yu-LeeおよびRosen,J.Biol.Chem.,258,10794-10804(1983)(ラット γ−カゼイン);Hall,Biochem.J.,242,735-742(1987)(α−ラクトアルブミン ヒト);Stewart,Nucleic Acids Res.,12,389(1984)(ウシαs1およびκカゼインcDNA);Gorodetskyら,Gene,66,87-96(1988)(ウシβカゼイン);Alexanderら,Eur.J.Biochem.,178,395-401(1988)(ウシκカゼイン);Brignonら,FEBS Lett.,188,48-55(1977)(ウシαS2カゼイン);Jamiesonら,Gene,61,85-90(1987),Ivanovら,Biol.Chem.Hoppe-Seyler,369,425-429(1988),Alexanderら,Nucleic Acids Res.,17,6739(1989)(ウシβラクトグロブリン);Vilotteら,Biochimie,69,609-620(1987)(ウシαラクトアルブミン)を参照のこと(これらは、すべての目的のためにその全体が参考として援用される)。 種々の乳汁タンパク質遺伝子の構造および機能が、MercierおよびVilotte(J.Dairy Sci.,76,3079-3098(1993))により総説されている(これは、すべての目的のためにその全体が参考として援用される)。 さらなる配列データが必要とされ得る程度まで、すでに得られた領域の隣接する配列は、存在する配列をプローブとして用いて容易にクローン化され得る。 同様に、異なる生物由来の乳腺特異的調節配列が、公知の同族ヌクレオチド配列、または同族タンパク質に対する抗体をプローブとして用いて、このような生物由来のライブラリーをスクリーニングすることにより得られる。
    乳腺に対する組換えタンパク質の発現を標的するための、αs1−カゼイン調節配列を採用する一般的なストラテジーおよび例示的なトランスジーンは、より詳細に、WO 91/08216およびWO 93/25567に記載されている(これらは、すべての目的のためにその全体が参考として援用される)。 他の乳腺特異的遺伝子由来の調節配列を採用するトランスジーンの例もまた報告されている。 例えば、Simonら,Bio/Technology,6,179-183(1988)およびWO 88/00239(1988)(ヒツジにおける発現のためのβ−ラクトグロブリン調節配列);Rosenら,EP 279,582,およびLeeら,Nucleic Acids Res.,16,1027-1041(1988)(マウスにおける発現のためのβ−カゼイン調節配列);Gordon,Biotechnology,5,1183(1987)(マウスにおける発現のためのWAP調節配列);WO 88/01648(1988),およびEur.J.Biochem.,186,43-48(1989)(マウスにおける発現のためのα−ラクトアルブミン調節配列)を参照のこと(これらは、すべての目的のためにその全体が参考として援用される)。
    いくつかのトランスジェニック哺乳動物は、2つ以上のプロコラーゲン遺伝子を発現する。 通常、このようなトランスジーンは、各々が単一のトランスジーンについて上述した原則に従って、独立に構築される。 2つのトランスジーンの共注入は、多くの場合、共に組み込まれ、それによりトランスジーンの発現を対等に行う。 対等な発現(coordinate expression)はまた、同一の調節配列の対等な制御下に2つのプロコラーゲン遺伝子を配置することにより得られ得る。 これは、プロコラーゲンをコードするセグメントを、タンパク質分解切断部位を介してインフレームで結合させることにより達成される。 プロコラーゲンは、細胞内タンパク質分解酵素によりその成分部分に分割される融合タンパク質として発現される。 あるいは、各々がプロコラーゲン遺伝子をコードする2つの独立な転写ユニットが産生され得、この2つのユニットが結合して単一のトランスジーンを形成する。
    本発明のいくつかの実施態様において、さらなるトランスジーンが乳腺に対する翻訳後プロセスに含まれる酵素の発現を標的するために構築される。 実施例3に示されるデータは、驚くべきことに、乳腺がすでに、高レベルで三量体プロコラーゲン鎖を組み立てて分泌するに十分な量でこれらの酵素を発現していることを示す。 しかし、高レベルでプロコラーゲン鎖を発現するいくつかのトランスジェニック哺乳動物において、トランスジーン発現により得られるさらなる酵素でプロセシング酵素の内因性レベルを相補するのが好ましい場合がある。 このようなトランスジーンは、トランスジーンにおいてプロコラーゲンコード配列を置換するプロセシング酵素コード配列について上述したのと同様の原則を用いて構築される。 翻訳後プロセシング酵素の分泌は、一般には必ずしも必要ではない。 従って、プロコラーゲン配列に結合した分泌シグナル配列は、分泌することなく小胞体に対するプロセシング酵素を標的するシグナル配列で置換される。 例えば、これらの酵素と自然に会合するシグナル配列が適切である。 翻訳後修飾に含まれる遺伝子および組み立てタンパク質ジスルフィドイソメラーゼは、プロリルヒドロキシラーゼのα−サブユニットと結合して、プロリルヒドロキシラーゼとして単離される四量体タンパク質を形成する。 タンパク質ジスルフィドイソメラーゼのクローン化遺伝子が利用可能である(Tasanenら,J.Biol.Chem.,(1988)263,16218-16224)(これは、すべての目的のためにその全体が参考として援用される)。 α−サブユニットのcDNAもまた、ニワトリおよびヒトからクローン化されている。 Bassukら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1989)86,7382-7386;Helaakoski,T.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1989)86,4392-4396を参照のこと(これらは、すべての目的のためにその全体が参考として援用される)。 ヒトリジルオキシダーゼ遺伝子をコードするクローンが報告されている(Hanaleinenら,Genomics 17,544-548(1993))(これは、すべての目的のためにその全体が参考として援用される)。 いくつかのトランスジーンは、bik(分泌を促進すると報告されている細胞タンパク質)の1コピーをコードする。
    本発明のトランスジェニック哺乳動物がプロセスされたコラーゲンよりもむしろプロコラーゲンを主に分泌するという観察(実施例3)は、分泌後のプロセシング工程において役割を有する酵素(例えば、N-およびC-末端プロテアーゼ)が、組換えコラーゲンのプロセシングを完結させるに十分な割合で乳腺分泌細胞により産生されないことを示唆している。 これらの酵素が実質的に存在しないことは、本質的に有利である。 なぜなら、不溶性凝集体の形成を引き起こす分泌後プロセシングが制御され得るからである(下記参照)。 従って、一般に、分泌後酵素を発現させるトランスジーンを産生する必要はない。
    多種のトランスジーンが、同一の哺乳動物に挿入するために構築される実施態様において、調節配列は、同一の原則にしたがって選択されるが、各場合において同一である必要はない。 例えば、第1のプロコラーゲンDNAセグメントを発現させるトランスジーンは、αs1カゼイン遺伝子由来の調節配列を含み得る。 同一の動物に含まれる第2のトランスジーンは、通常、αs1カゼイン遺伝子由来の調節配列に結合した第2のプロコラーゲンDNAセグメントを含む。 しかし、第2のプロコラーゲンDNAセグメントはまた、他の乳汁タンパク質遺伝子(例えば、乳漿酸タンパク質遺伝子)由来の調節配列に結合し得る。
    D. トランスジェネシス(transgenesis)
    上記のトランスジーンは、非ヒト哺乳動物に導入される。 齧歯類(例えば、マウスおよびラット)、ウサギ、ヒツジ類(例えば、ヒツジおよびヤギ)、ブタ類(例えば、ブタ)およびウシ(例えば、畜およびバッファロー)を包含する多くの非ヒト哺乳動物が適切である。 しかし、代表的には、非胎生哺乳動物(例えば、ハリモグラまたはカモノハシ)は採用されない。 トランスジェネシスのいくつかの方法において、トランスジーンは、受精卵母細胞の前核(pronuclei)に導入される。 いくつかの動物(例えば、マウス)については、受精はインビボで行なわれ、受精卵は外科的に取り出される。 他の動物(特に、ウシ)においては、卵子を生きている動物または屠殺された動物から取り出し、卵子をインビトロで受精させる。 DeBoerら、WO 91/08216を参照のこと。 インビトロでの受精により、トランスジーンは組込みのための細胞周期の最適期(S-期より後ではない)で、実質的に同調している細胞に導入され得る。 トランスジーンは、通常、ミクロインジェクションにより導入される。 米国特許第4,873,292号を参照のこと。 次いで、受精卵母細胞は、約16〜150細胞を含む移植前の胚が得られるまでインビトロで培養される。 胚の16〜32細胞の段階は、桑実胚として報告されている。 32を超える細胞を含む移植前の胚は、胚盤胞と称される。 これらの胚は、代表的には64細胞の段階で、卵割腔の発達を示す。 受精卵母細胞を移植前段階まで培養するための方法は、以下により報告されている:Gordonら,(1984)Methods Enzymol.101,414;Hoganら,Manipulation of the Mouse Embryo:A Laboratory Manual,CSHLNY(1986)(マウスの胚);Hammerら,(1985)Nature 315,680(ウサギおよびブタの胚);Gandolfiら,(1987)J.Reprod.Fert.81,23-28;Rexroadら,(1988)J.Anim.Sci.66,947-953(ヒツジの胚)およびEyestoneら,(1989)J.Reprod.Fert.85,715-720;Camousら,(1984)J.Reprod.Fert.72,779-785;および、Heymanら,(1987)Theriogenology 27,5968(ウシの胚);(これらは、すべての目的のためにその全体が参考として援用される)。 移植前の胚は、移植までの期間、凍結して保存される場合がある。 移植前の胚は適切な雌に移され、トランスジーン組込みの発達段階に応じて、トランスジェニック動物またはキメラ動物が得られる。 キメラ哺乳動物は繁殖されて真の生殖系(germline)トランスジェニック動物を形成するため繁殖され得る。
    あるいは、トランスジーンは、胚の幹細胞(ES)に導入され得る。 これらの細胞は、インビトロで培養された移植前の胚から得られる。 Bradleyら,(1984)Nature 309,255-258(これは、すべての目的のためにその全体が参考として援用される)。 トランスジーンは、エレクトロポレーションまたはミクロインジェクションによりこのような細胞に導入され得る。 形質転換されたES細胞は、非ヒト動物由来の胚盤胞と組み合わせられる。 ES細胞は胚をコロニー化し、いくつかの胚においては得られるキメラ動物の生殖細胞系を形成する。 Jaenisch,Science,240,1468-1474(1988)を参照のこと(これは、すべての目的のためにその全体が参考として援用される)。 あるいは、ES細胞は、トランスジェニック哺乳動物が得られる核を除去した受精卵母細胞への移植のための核源として使用され得る。
    2つ以上のトランスジーンを含むトランスジェニック動物を産生するために、トランスジーンは、単一のトランスジーンの場合と同様の手順を用いて同時に導入され得る。 あるいは、トランスジーンは、最初に別の動物に導入され、次いで、この動物を繁殖させることにより同じゲノム内に組み合わせられ得る。 あるいは、複数のトランスジーンのうちの1つを含む第1のトランスジェニック動物を産生する。 次いで、第2のトランスジーンが、この動物由来の受精卵母細胞または胚幹細胞に導入され得る。 いくつかの実施態様において、上記とは異なり約50kbを超える長さのトランスジーンが、重複フラグメントとして構築される。 このような重複フラグメントは、受精卵母細胞または胚幹細胞に同時に導入され、インビボでの相同組換えに供される。 Kayら、WO 92/03917を参照のこと(これは、すべての目的のためにその全体が参考として援用される)。
    E. トランスジェニック哺乳動物の特徴
    本発明のトランスジェニック哺乳動物は、上記のように、そのゲノムに少なくとも1つのトランスジーンを取り込む。 そしていくつかのトランスジーンを取り込む場合もある。 この取り込まれたトランスジーンは、乳腺に対して少なくとも優先的なプロコラーゲンDNAセグメントの発現を標的する。 驚くべきことに、乳腺は、内因性コラーゲン合成に必要とされるプロセシング能力に関して大過剰で、コラーゲンの翻訳後修飾に必要とされる酵素を発現し得る。 乳腺における酵素によるプロセシングは、少なくともプロコラーゲンの三量体が形成され分泌される程度に、外因性プロコラーゲンポリペプチドの実質的に完全な翻訳後修飾をもたらす。 いくつかの場合には、プロリン残基のヒドロキシル化は、トランスジェニック動物の食餌をビタミンCで補うことにより増大し得る。 これは、内因性ビタミンCを有さない食糧混合物でトランスジェニック動物を飼育する場合に特に望ましい。 ビタミンCは、食糧1kg当たり約50〜1000mgのレベルで、好ましくは食糧1kg当たり約200mgのレベルで補われる。 乳腺により産生される内因性コラーゲンはIV型であり、従って、基底膜へ運搬される。 従って、分泌したプロコラーゲンは、実質的にまたは完全に内因性プロコラーゲンおよびコラーゲンを有さない(すなわち、内因性コラーゲンは、総分泌コラーゲンの10、20または50%未満しか形成されない)。 通常、分泌したポリペプチドは、主にプロコラーゲン形態であり、プロテイナーゼが外部から供給されるまでその形態を保持する。 プロテイナーゼは、インビボで用いられるプロコラーゲンN-およびC-末端プロテアーゼ、または非特異的タンパク質分解酵素であり得る。 プロコラーゲン3重らせんの三量体部分は、比較的プロテアーゼ耐性である。 従って、プロペプチドは、最初に非特異的プロテアーゼにより消化され、三量体コラーゲンが残る。 いくつかのトランスジェニック動物において、内因性プロテアーゼが分泌され、分泌に続いてプロコラーゲンからコラーゲンへの自発的プロセシングが起こる。
    プロコラーゲンまたはコラーゲンは、少なくとも10、50、100、500、1000、2000、5000または10,000μg/mlの高レベルで分泌される。 驚くべきことに、本発明のトランスジェニック哺乳動物は、実質的に通常の健康状態を示す。 乳腺以外の組織におけるプロコラーゲンの二次発現は、有害な影響を生じるに十分な程度には起こらない。 さらに、乳腺において産生される実質的にすべての外因性プロコラーゲンは、分泌器官を詰まらせる沈着物が重大な問題とならないように、分泌される。
    トランスジェニック動物が乳汁の産生を開始し得る齢が、その動物の性質に応じて変化することは言うまでもない。 トランスジェニックウシについては、この齢は、自然では約2年半であり、ホルモン刺激によれば約6ヶ月である。 一方、トランスジェニックマウスについては、約5〜6週である。 もちろん、種の雌のみが乳汁の産生に有用である。 しかし、トランスジェニックの雄もまた、雌の子孫を繁殖するために価値を有する。 トランスジェニックの雄の精子は、その以後のインビトロでの受精および雌の子孫の生殖のために凍結して保存され得る。
    F. 細胞発現システム
    本発明のトランスジーンはまた、乳腺由来細胞株(例えば、HC11またはMacT)にトランスフェクトされ得、安定な細胞株を産生し得る。 発現は、乳腺刺激ホルモン(例えば、インスリン、ヒドロコルチゾンおよびプロラクチン)の相乗効果により、細胞媒体に対して誘導される。
    G. 乳汁からのタンパク質の回収
    トランスジェニック哺乳動物の雌の成体は、高濃度の外因性プロコラーゲンまたはコラーゲンを含む乳汁を産生する。 コラーゲンまたはプロコラーゲンは、その区別できる物理的および化学的な性質により乳汁から精製される。 例えば、酸性化により、乳汁特異的タンパク質(例えば、カゼイン)が沈殿するが、コラーゲンまたはプロコラーゲンは溶液中に残る。 次いで、コラーゲンまたはプロコラーゲンは、塩、アルコールまたはプロピレングリコールを加えることにより沈殿する。 MillerおよびRhodes,Methods in Enzymology 82,33-63(1982);SageおよびBernstein,同上,96-127を参照のこと(これらは、すべての目的のためにその全体が参考として援用される)。
    H. プロコラーゲンのさらなるプロセシング
    本発明のトランスジェニック哺乳動物は、通常、三量体プロコラーゲンを、コラーゲン形態へ完全にプロセシングすることなく乳汁に分泌する。 長期間のプロセシングが有利である。 なぜなら、コラーゲンへの実質的で自発的なプロセシングにより、乳腺分泌孔をふさぐ不溶性凝集体が形成され得るからである。 プロコラーゲンのコラーゲンへの変換は、プロコラーゲンに対するプロテアーゼの添加により完結され得る。 プロテアーゼは、通常、N-およびC-末端プロコラーゲンプロテアーゼであるが、非特異的プロテアーゼ(例えば、ペプシン、トリプシン、キモトリプシンおよびパパイン)もまた使用され得、この場合には、テロペプチド領域もまた切断される。 ヒトを治療するためのウシコラーゲンの慣用的な使用において、テロペプチド領域の切断により、コラーゲンが低抗原性となることがわかっている。 Yarborough,Am.J.Med.Sci.,290,28-31(1985)を参照のこと(これは、すべての目的のためにその全体が参考として援用される)。 切断反応は、乳汁からのプロコラーゲンの精製前または精製後に行われ得る。 プロペプチドおよび/またはテロペプチドの切断後、コラーゲンは再構成目的に適切なより高次の不溶性線維へと自発的に集合する。 残りの翻訳後修飾(すなわち、いくつかのリジンおよびヒドロキシリジン残基のアルデヒド誘導体(鎖間架橋を形成する)へのリジルオキシダーゼによる変換)は、外因性酵素を供給することにより誘導され得る。 あるいは、架橋は、種々の化学薬剤または紫外線照射により誘導され得る(例えば、SimmonsおよびKearney,Biotechnol.Appl.Biochem.,17,23-29(1993)を参照のこと(これは、すべての目的のためにその全体が参考として援用される))。 架橋はまた、インサイチュで形成され、その後、患者へ注射され得る。 注射前に導入される架橋の程度は、コラーゲンが用いられる治療用途に応じて変化する。 Chvapilら,Int.Rev.Connect.Tissue Res.,6,1-61(1973)を参照のこと(これは、すべての目的のためにその全体が参考として援用される)。
    I. コラーゲンの使用
    本発明により産生される組換えコラーゲンおよびプロコラーゲンは、広範な種々の治療手順において使用が見出される。 天然ウシコラーゲンを用いる外科手順は、すでに広く用いられている。 一般に、本発明の組換えコラーゲンは、これらの手順における天然ウシコラーゲンにとって代わる。 通常の外科手順は、コラーゲンを患者に注射して柔組織の欠陥(例えば、瘢痕、外傷性および外科的欠陥、ならびに初期のしわおよびひだ)を矯正する。 Yarborough(前述)を参照のこと。 他の用途は、組織(例えば、尿失禁の処置における膀胱括約筋)の引張力の復原のような再建外科用途である。 Apprellら,Urologic Clinics of North America 21,177-182(1994)を参照のこと(これは、すべての目的のためにその全体が参考として援用される)。 コラーゲンはまた、骨の欠陥を修復し骨の成長を促進するために、セラミックおよび他の材料と組み合わせて用いられる。 軟骨の損傷のII型コラーゲンは、修復に特に有用である。 II型コラーゲンはまた、リューマチ性関節炎に対する耐性を誘導する治療薬として経口投与され得る。 本発明のコラーゲンはまた、心血管手術、合成皮膚の製造、眼科学、胸部手術、科学、神経外科学において、および安定剤として薬剤送達システムにおいて用いられる。 コラーゲンは、通常、高分子量の線維状形態で用いられる。 しかし、個々の三量体ユニットとして存在するプロコラーゲンもまた使用され得る。 この場合、コラーゲンへのプロセシングおよび高次形態の組み立てが、患者の処置後、インサイチュで起こる。 これらの方法は、ヒトおよび獣医学的被検体に広範囲に適用され得る。
    以下の実施例は例示のために提供され、本発明を限定するものではない。
    実施例
    実施例1. コラーゲン発現用ベクター
    a. PROα1(1)コラーゲンcDNAベースの発現ベクター
    ヒトproα(I)コラーゲン遺伝子をコードするcDNA配列に作動可能に連結された近接プロモーターを含むウシαS1-カゼイン5'-隣接領域を含有するプラスミドベクターを構築した。 このcDNA配列は、次にヒトゲノムコラーゲン遺伝子由来の3'-隣接配列に作動可能に連結されている。 このコラーゲンcDNA(XbaISalIフラグメント)とカゼインプロモーターのClal部位との融合産物は、以下のヌクレオチド配列を与える:

    コラーゲンcDNAのXbaI-EcoRIフラグメント(4363bp)を、pGEM-7BのXbaI-EcoRI部位にサブクローニングして、pGCOLXEプラスミドを得た(図1)。 このコーラーゲンcDNAフラグメントは、タンパク質の最後の10アミノ酸をコードする領域を欠失する。 ヒトproα1(I)コラーゲンの完全長コード領域は、GC103ゲノムクローン(図1)(Barshら前出)由来の5.7kb EcoRIフラグメント(Schniekeら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84,764-768(1987))を、pGCOLXEベクターのEcoRI部位に融合して再構築した。 この5.7kbフラグメントは、エキソン52からコラーゲンタンパク質の最後の10アミノ酸をコードするヌクレオチド、停止コドン、コラーゲン3'-UTR、および3'-隣接領域を含み、この3'-隣接領域は、終止コドンの下流約300bpおよび1314bpで2つのポリアデニル化部位を含む。 サブクローニングされたフラグメントの配向は、HindIII切断および配列決定によって確認した。 得られたプラスミドpGCOLXEEを図1に示す。


    コラーゲン配列を、下記のように、ウシαS1-カゼインプロモーターの制御下においた。 6.2kb αS1-カゼインプロモーターを有し、ヒトIgGスプライスアクセプター部位フラグメント(約0.3kb)が融合されたプラスミド[p(83)、CS](図1)を、SalI-ClaIで切断した。 10kb SalI-ClaIコラーゲンフラグメントを、SalI消化、その後のClaI部分消化によって、プラスミドpGCOLXEE(図1)から切り出した。 2つのフラグメントを連結してp8cCOL(A1)3と呼ばれる構築物を得た。 構築物の構造は、NotI、EcoRI、NotI-SalI、ClaI/XbaI、HindIII、ClaI/SalI制限マッピングによって確認した。


    b.

    ヒトゲノムPROα1(I)コラーゲン遺伝子ベースのベクターの構築


    ヒトコラーゲン(1)遺伝子の最初のイントロンは、ポジティブおよびネガティブの両方の転写調節エレメントを含むことが報告されている(Rossiら、Proc.Natl.Acad.Sci.84,5590-5594(1987);Rossouwら、J.Biol.Chem.262,15151-15157(1987);Bornsteinら、Proc.Natl.Acad.Sci.84,8869-8873(1987);Bornsteinら、J.Biol.Chem.263,1603-1606(1988a);Bornsteinら、Mol.Cell Biol.8,4851-4857(1988b)(これらの全体が、全ての目的のために参考として援用される))。 本研究に使用されるカセイン5'-隣接配列を有するコラーゲンの第1イントロンのエンハンサー様エレメントの相互作用が予測できなかったので、発現ベクターは、コラーゲン遺伝子の第1イントロンを有するかあるいは有さずに構築した。 両方のベクターでは、ヘアピンループを形成することが推定され、そしておそらくコラーゲン遺伝子の転写効率を阻害するコラーゲン遺伝子の第1エキソンの5'-末端に由来する配列(Chuら、前出(1985))を、欠失させた。 両方のベクターでは、コラーゲン遺伝子の転写開始部位(+1)から開始コドン(下線部)までの予測されるヌクレオチド配列は、以下の通りである:


    (1)第1イントロンを含む構築物


    ストラテジーとしては、プロモーターを含む5'αS1カゼイン隣接配列に対する約20kbのコラーゲン3'-隣接配列を含むα1(I)プロコラーゲン(阻害性ヘアピンループを形成する5'114塩基以外)の全ゲノムクローンを連結することを必要とした。 構築物を4つのフラグメントから組み立てた。


    0.7kbのαS1-カゼインプロモーターを含有するプラスミドp(-680、CS)を、ClaI-XbaI-KpnI-SalIリンカーを、ClaI-SalI部位へ導入する手段により改変し(図2、パネルA)、そして配列決定および制限マッピングによって確認した。 このプラスミドをXbaI-KpnI(Asp718)で切断して1600bp XbaI-KpnIフラグメントに連結した(コラーゲンGC103ゲノムクローンの、第1エキソン114bpの位置から第2エキソン1715bpの位置;図2、パネルC)。 このクローニングストラテジーによりpCOL1600を得た。 0.7kbのαS1-カゼインプロモーターを、別の5'αs1隣接配列に融合するために、PCOL1600をNotI-NsiIで消化し、そして精製した。 αS1-カゼインプロモーターの6.0kbフラグメントを、NotI-NsiI消化によってp(8kb、CS)プラスミド(図2、パネルD)から切り出してpCOL1600フラグメントに連結した。 得られた構築物をp8COL1600と称した。 p8COL1600の構築物を、NsiI-NotI、NsiI、Asp718、NotI-Asp718、XbaI、およびHindIII消化によって確認した。 カゼインプロモーター−コラーゲン融合フラグメントを、NotI-部分KpnI(Asp718)消化によって、p8COL1600から切り出し、αs15'隣接配列およびα1コラーゲン遺伝子由来の5'フラグメントを含む、8.1kb DNAフラグメントを得た。


    残りのα1プロコラーゲン遺伝子と3'隣接配列とを、32kb Asp718-NotIフラグメントとしてクローニングした。 PWE15△C△SをNotIで消化し(図2、パネルE)、そしてリンカーNotI

    * -KpnI-SacII-SnaBI SunI-NotIを挿入した(

    *は、この部位が連結の際に破壊されることを示す)。 得られたベクター(pWESun)をAsp718-SunIで消化してコラーゲンGC103クローン由来の32kb Asp718-Asp718フラグメント(図2、パネルC)をこれらの部位に連結した。 SunI部位は、Asp718に適合性であるが、連結の際に再生されない。 32kb Asp718ゲノムコラーゲンフラグメントは、大部分のコラーゲン遺伝子(エキソン2の1716ヌクレオチドから)に、3'末端の約20kbを加えたものを含む(コスミドCG103)。 パッケージングおよび形質転換の後に、挿入されたフラグメントの配向を、NotI-XhoIマッピングによって確認した。


    Asp718-NotIコラーゲンフラグメントを切り出し、精製し、そしてNotI/KpnI 8.1kbフラグメントおよび、NotIで消化して脱リン酸化したpWE15△C△Sコスミドベクター(図2、パネルE)と3つのフラグメントの連結反応で連結した。 この連結で、ベクターc8gCOL(A1)を得、これはクローンGC103のゲノムコラーゲン配列(D'Alessioら、Gene 67,10-115(1988))(エキソン1の位置114で始まる、すなわち、翻訳開始コドンから4bp上流)を含む。 構築物の構造を、EcoRI、XhoI-Asp718、HindIII、およびBamHI-NotI制限分析によって確認した。


    (2)第1イントロンを欠失するゲノム構築物


    このベクターは、147bp XbaI-KpnIフラグメント(コラーゲンcDNAの位置144bp〜260bp;図2、パネルB)を、1600bp XbaI-KpnIフラグメントの代わりに使用した以外は、上記と同じストラテジーによって構築した。 以前の方法におけるp8COL1600の等価物を、p8COL150と称した。 αs1カゼインプロモーターおよび5'プロコラーゲン配列を含むDNAセグメントを、6.65kbフラグメントとしてこのベクターから切り出した。 このフラグメントを、32kb Asp718-NotIゲノムコラーゲンフラグメントに連結して、ベクターc8g△iCOL(A1)を得た。 このベクターは、前者の1454bp第1イントロンが欠失した以外は、c8giCOL(A1)と同一である。


    c.

    ヒトα2(I)プロコラーゲンをコードするゲノム構築物


    ヒトα2(I)プロコラーゲン遺伝子の3つの候補クローンを、Genome Systems,Inc.(St.Louis,MO)から入手したP1ファージライブラリーから単離した。 クローンを、de Wetら、J.Biol.Chem.262,16032-16036(1987)(その全体が全ての目的のために参考として援用される)に記載されている、ヒトα2(I)プロコラーゲン配列のイントロン1および3'非翻訳領域由来のオリゴヌクレオチドでプローブした。 これらのクローンの1つは、完全長の遺伝子を含んだ。 ヒトα2(I)プロコラーゲン遺伝子配列のGenbank/EMBLデーターベースでの分析により、エキソン1内に翻訳開始部位に重なるCel2制限部位を明かにした(図7、パネルAを参照のこと)。 このCel2部位は、ヒトα2(I)プロコラーゲン遺伝子とウシαS

    1 -カゼイン5'非翻訳配列との融合に都合のよい部位を提供する。 5'XhoI/BamHIフラグメント内のこの部位のマッピングは、翻訳開始部位の約2kb下流の第2のCel2部位の存在を示した。 図7(パネルA)を参照のこと。


    ゲノムクローンを、2つのストラテジーのうちの1つによって、ベクターpWE15において再構築した。 第1のストラテジーでは、都合のよい制限部位を含む合成ポリリンカーを、コスミドベクターpWE15にEcoRI/NheI部位で挿入した。 ポリリンカー(オリゴAと称する)内の制限部位を図7(パネルB)に示す。 次に、ヒトα2(I)プロコラーゲン遺伝子の5'XhoI/BamHIフラグメントを、コスミドベクターのXhoI/BamHI部位に導入した。 XhoI部位は、翻訳開始部位の約500-1000bp上流である。 XhoI部位およびCel2部位間のα2(I)プロコラーゲン遺伝子の内因性5'非翻訳領域を、ウシカゼイン5'非翻訳領域(オリゴBと称する)で置換した。


    これらの操作後のCel2/Cel2フラグメントの配向をDNA配列決定によって決定した。 最後に、ヒトα2(I)プロコラーゲン遺伝子の残り(26kb BamHI/BamHIフラグメント)を、遺伝子の修飾5'末端に連結されたBamHI部位に挿入してDT2056を生成した。 BamHI/BamHIフラグメントの配向は、制限マッピングによって確認した。


    次に、再構築遺伝子(図7、パネルC)を、以下のように、ウシαs1-カゼインプロモーター-エンハンサーフラグメントに連結した。 DT2056を、NotI切断によって直鎖状にした(図12を参照のこと)。 2つのClaI部位は、DT2056内に存在する:第1は遺伝子内に位置し、第2のClaI部位は、カゼインプロモーターへの融合に適した位置の5'UTRに位置する。 5'UTR内のClaI部位をClaIでRecA媒介性切断によって消化した。 RecAタンパク質は、一本鎖DNAオリゴB(図7B)と相互作用して、オリゴ:RecAヌクレオプロテインフィラメントを形成し、ATP[γS]の存在下で、相補的な二本鎖DNAと安定な複合体を形成する。 これらの複合体は、DNAメチラーゼからDNAを保護し、それによって、単独のClaI制限部位を効率よく形成する。 次いで、α2(I)プロコラーゲン配列を含有するClaI-NotIフラグメントを、ウシαS1-カゼインプロモーターを含む6.2kbp NotI-ClaIフラグメントに融合し、そしてpWE15にサブクローニングした。 得られたクローンをc8gCOL(A2)ショートと称する。


    第2のストラテジーは、代わりに連結される2つのフラグメント、すなわち、α2(I)プロコラーゲンを含むXhoI-BamHIフラグメントおよびα2(I)プロコラーゲン3'末端を含むXhoI-XhoIフラグメントが連結される、29kb BamHI-BamHIα2(I)プロコラーゲンフラグメントの連結以外は、第1のストラテジーと同じ開始工程を使用した。 得られた構築物(DT2061Cと称する)は、第1のストラテジーによって生成された構築物より4kb長い3'隣接配列を有する(5.5kb対1.5kb)(図7、パネルC)。


    構築物をウシαS

    1 -カゼインプロモーター-エンハンサーフラグメントに、以下のように連結した。 5.5kbp 3'隣接配列を含むDT2061CをDT2056の代わりに使用した以外は、第1の方法c8gCOL(A2)ショートについてと同じ手順に従った。 代替方法を図13に示す。 ウシαS1-カゼインプロモーターおよびエキソン41までのヒトα2(I)プロコラーゲン遺伝子を含むNotI/XhoIフラグメント(フラグメントI)を、c8gCOL(A2)ショートから単離した。 残りのプロコラーゲン遺伝子および5.5kbp 3'隣接配列を含むXhoI/NotIフラグメント(フラグメント2)を、DT2052(ルート2)、または12kbp XhoIフラグメントを有するサブクローン(ルート3)のいずれかから単離した。 次いで、フラグメント1および2を、pWE15にサブクローニングした。 最終発現ベクターを、c8gCOL(A2)ロングと称した。


    代替アプローチでは、同じトランスジーンを、DNAフラグメントを同時注入した(co-injected)同時注入重複フラグメントのインビボ相同組換えによって構築した。 一方のフラグメントはc8gCOL(A2)ショート由来であり、他方はα2(I)プロコラーゲン遺伝子のゲノムクローン由来であった(図14を参照のこと)。 このアプローチはトランスジーンの構築に適しており、残りのトランスジーンと作動可能に各隣接配列をクローニンする必要なく、隣接配列の長さを変える工程を包含する。


    (d)α1(I)およびα2(I)プロコラーゲンをコードするトランスジーン


    ヒトα1(I)およびα2(I)プロコラーゲン発現ベクターを合わせた大きさは、約90kbpである。 両プロコーラーゲンを発現する単一のベクターの構築は、ヒトα1(I)およびα2(I)プロコラーゲン発現ベクターの両方の大きさを小さくすることによって容易にされる。 プロコーラーゲン(I)α1鎖をコードするゲノム構築物c8g△iCOL(A1)を、約15kbpに3'末端を短くして、c8g△COL(A1)ショートを得る(構築物の大きさは、約26kbpである)。 プロコラーゲン(I)α2鎖をコードするゲノム構築物を、エキソン9からエキソン41までのゲノム配列(約21kbp)がcDNA配列で置換されるように構築する。 このことにより、c8gCOL(A2)ハイブリッドを作製する(構築物の全長は、約30kbpである)。 c8g△COL(A1)ショートおよびc8gCOL(A2)ハイブリッドの両方を含む最終構築物は約56kbpである。


    c8g△iCOL(A1)は、第1イントロンを欠失する、カゼイン/ヒトα1(I)プロコラーゲン発現ベクターであり、約15kbp短い3'隣接配列を含むように接続する。 方法を図15に示す。 ウシαS1-カゼインプロモーターおよびヒトα1(I)プロコラーゲン遺伝子の部分を含むNotI/部分ClaIフラグメント(フラグメント1)を、c8g△iCOL(A1)から単離する。 残りの遺伝子および5.5kbp 3'隣接配列を含むClaI/SalIフラグメント(フラグメント2)を、p8cCOL(A1)3から単離する。 次いで、フラグメント1および2を、NotI/SalI切断pGP1にサブクローニングし、c8g△iCOL(A1)ショートを作製する。 遺伝子の全長は、約26kbpである。


    カゼイン/ヒトα2(I)プロコラーゲンハイブリッド発現ベクターを、エキソン9からエキソン41までのゲノム配列(約21kbp)がcDNA配列で置換されるように構築する(図16)。 最初にc8gCOL(A2)ショートを、NotI消化によって直鎖状にする。 数個のPstI部位が構築物に存在する。 エキソン9内のPstI部位を、RecA媒介性消化を使用してPstIで消化する。 ウシαS1-カゼインプロモーターおよびエキソン9までのヒトα2(I)プロコラーゲン遺伝子の部分を有するNotI/PstIフラグメント(フラグメント1)を、c8g△iCOL(A2)ショートから単離する。 エキソン9からエキソン41までのα2(I)プロコラーゲンコード配列を含むPstI/XhoIフラグメント(フラグメント2)を、α2(I)プロコラーゲンcDNAから単離する。 遺伝子のエキソン41からの配列および5.5kbp 3'隣接配列を含むXhoI/NotIフラグメント(フラグメント3)を、DT2052から単離する。 次いで、フラグメント1、2、および3をpWE15にクローニングして、c8g△iCOL(A2)ハイブリッドを作製する。 遺伝子の全長は、約30kbpである。


    c8g△iCOL(A1)ショート由来のフラグメント(カゼイン/第1イントロンを欠くヒトα1(I)プロコラーゲン遺伝子、および約15kbp短い3'隣接配列を含む)を、プラスミドc8gCOL(A2)ハイブリッド中の、カゼイン/ヒトα2(I)プロコラーゲン遺伝子単独の5'部位にサブクローニングする。 最終構築物は、c8g△iCOL(A1)ショートおよびc8gCOL(A2)ハイブリッドの両方を含み、約56kbpである。


    実施例2:乳房細胞培養における構築物の発現


    この実施例は、乳腺細胞(この細胞型は通常この遺伝子を発現しない)における、α1(I)プロコラーゲンの発現、組み立て、および分泌の実行可能性を示す。 上記のcDNAおよびゲノムベクターを、マウス乳房上皮細胞株HC11(Ballら、EMBO 7,2089-2095(1988))へ、それらの環状形態でトランスフェクトした。 細胞を、RPMI 1640(10% FCS、2mM L-グルタミン、50μg/mlゲンタマイシン、5μg/mlインスリン、10ng/ml EGF)中で単層として維持した。 各構築物の30〜40μgとともに、およびハイグロマイシン耐性コトンランスフェクトプラスミドを、50μgリポフェクチン(Gibco)と混合(complexed)し、2〜3×10

    6細胞と融合させた。 通常培地中で48時間増殖させた後に、選択培地を適用して、安定なトランスフェクタントを選択した。 2つの独立したトランスフェクション方法を行い、耐性コロニーを2週間後に計数した(表1)。


    独立したトランスフェクション実験に由来するコロニーをプールし、そして10

    6細胞を6ウエルプレートに播種し、集密状態に増殖した。 細胞に、通常培地または乳腺刺激ホルモンを含有する培地のいずれかを与えた。 いくつかの細胞はまた、50μg/mlアスコルビン酸ナトリウムを与えた。 RNAを培養物から採集し、ヒトコラーゲンの発現について分析した。


    a.

    ノーザンブロット法


    ヒトα1(I)コラーゲンmRNAを、ノーザンブロット法で検出した。 全RNAを、異なる条件下で増殖させた組織および細胞から、RNAゾル法(Tell検定)によって単離した。 全RNAの10〜20μgを、1.0%アガロースホルムアルデヒドゲル上で分離し(Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版)CSHP,CSH,NY(1989))(全体が全ての目的のために参考として援用される)、そしてHybondフィルター(Amersham)に移した。 hCOL cDNAクローンから単離した4.3kbp XbaI-EcoRIフラグメントを、プローブとして使用した。


    図3(パネルA)は、マウス線維芽細胞(3T3、レーン1)(I型コラーゲンを発現することが予測される)、マウス乳腺(乳汁分泌8日目、レーン2)(コラーゲンを発現することは予測されない)、ヒトケラチノサイト(レーン3)(コラーゲンを発現することが予測される)、および、ヒト線維芽細胞(レーン4)(コラーゲンを発現することが予測される)から得たRNAを示す。 最後の2つのレーンは、2つの予測された4.8kbおよび5.8kbコラーゲン転写物を示した。 マウス線維芽細胞(3T3)サンプルは、ヒトプローブと交差ハイブリダイズして4.8kbのバンドを得た。 乳汁分泌乳腺サンプル(おもに上皮細胞からなる)は、交差ハイブリダイズするバンドを示さなかった。


    図3(パネルB)は、コントロールHC11細胞、および完全培地で細胞培養した後に上記ベキターでトランスフェクトしたHC11細胞由来のRNAを示す。 レーン1および2のコントロール細胞は、ヒトコラーゲンプローブと交差ハイブリダイズしない。 c8g△iCOL(A1)、p8cCOL(A1)3、およびc8gCOL(A1)のそれぞれでトランスフェクトした細胞からのRNAを含む、レーン3、4、および5は、4.8kbの転写物を示す。 転写物の存在は、3つの全てのコラーゲン発現ベクターが転写されてヒトコラーゲンmRNAを産生することを示す。


    b.

    免疫蛍光染色


    トランスフェクト細胞を、8ウエルチャンバースライドに播種して、集密状態まで増殖させた。 通常培地または乳腺刺激ホルモンを含有する培地を細胞に添加した。 いくつかの細胞にはまた、50μg/mlのアスコルビン酸ナトリウムを与えた。 培養後に、細胞を固定し(冷却アセトン/メタノール(1/1)で10分間、-20℃)、I型ヒトプロα1(I)のC末端に特異的な、1:400希釈のウサギポリクローナル抗体(Collagen Corp.,Palo Alto,CA)とともにインキュベートした。 洗浄後に、抗ウサギIgG FITC-複合体(Sigma,1:200希釈)を加えた。 ヒトコラーゲンの検出を蛍光顕微鏡検査によって行い、スライドのそれぞれのセクションを写真に取った。


    図4のパネルAは、構築物c8gCOL(A1)でトランスフェクトした細胞を示し、およびパネルBは、構築物c8g△iCOL(A1)でトランスフェクトした細胞を示す。 トランスフェクトした細胞プールでは、典型的な細胞内不均一顆粒染色パターン(intracellular-patchy-granular staining pattern)を示す、強く染色された細胞が観察された。 結果は、プール内の細胞がトランスジーンを発現することを示す。 細胞は、おそらくランダムな組み込みが原因であるそれらの異なる染色体部位を反映して、変わりやすいレベルでヒトコラーゲンを発現するようである。 コントロールHC11細胞はバックグラウン染色を示したが、細胞表面を取り巻くシグナルの異なる分布を有した。


    c.

    タンパク質分析


    コントロールHC11細胞(マウス)およびMacT細胞(ウシ)(Huynhら、Exp.Cell Res.197,.191-199(1991))、ならびに上記ベクターでトランスフェクトしたHC11細胞からの培地および細胞質抽出物を、以下のように調製した。 約2×10

    7細胞を、50μg/mlのアスコルビン酸ナトリウムを含むかあるいは含まない培地(HC11細胞においては、RPMI1640;MacT細胞においては、10% FCS、2mM L-グルタミン、50μg/mlゲンタマイシン、5μg/mlインスリン、10ng/ml EGFを補充したDMEM)にプレートした。 細胞を24時間培養した。 次いで、培地を、プロテアーゼインヒビター(PMSF、EDTA、ロイペプシン、およびペプスタチン)の存在下で採集し、そして凍結乾燥した。 細胞を溶解緩衝液(プロテアーゼインヒビターを補充した、50mM Tris pH8、150mM NaCl、0.1% SDS、1% NP40)中で溶解した。 次に、細胞質画分を採集し、そして凍結乾燥した。 培地および細胞質サンプル(ならびにネガティブマウスの乳汁サンプル)を、ELISAおよびウエスタンブロット法によって、ヒトα1(I)タンパク質の存在について分析する。


    実施例3:α1(I)プロコラーゲンを発現するトランスジェニック動物の産生


    (1)トランスジェネシス(transgenesis)


    コラーゲントランスジーンフラグメントを、実施例1に記載の3つのベクターから、NotI消化によって切り出し、そして0.65%アガロースゲル電気泳動および電気溶出によって精製した(図2、パネルA)。 受精したマウス卵(CBA/BrAxC57B1/6)に、(100〜200コピーのフラグメントで)マイクロインジェクトし、そして記載(Hoganら、前出)のように偽妊娠の雌に移した。 全ゲノムDNAをマウスの尾の短い断片から調製して注入されたDNAの取り込みを確認した。 EcoRI消化した尾DNAをサザンブロット法によって分析した(Sambrookら、前出)。 トランスジーンの取り込みを確認するために使用したプローブは、300bp NcoI-NsiIフラグメントであり、ウシαS1-カゼイン遺伝子の-680から-250(主要転写開始部位に関して)の領域におよぶ。 プローブを、ランダムヘキサヌクレオチドプライマーを使用して

    32 Pで標識した(Sambrookら、前出)。 実施例1に記載の3つのベクターの1つを含む、トランスジェニックマウスの数は以下のようである:


    p8cCOL(A1)3:23匹の移入を行い、そしてそのうち15匹の妊娠の中から59匹の子供をテストした。 これらからのうち4匹は、トランスジェニックであることを示した(雄3匹および雌1匹)。 全ての系統は、数匹の雌の子供を産んだ。


    c8gCOL(A1):32匹の移入を行い、そしてそのうち27匹の妊娠の中から108匹の子供をテストした。 これらからの13匹は、トランスジェニックであることを示した(雄8匹および雌5匹)。 10系統は、今日まで雌の子供を産んでいる。


    c8g△iCOL(A1):34匹の移入を行い、そしてそのうち27匹の妊娠の中から53匹の子供をテストした。 これらからの10匹は、トランスジェニックであることを示した(雄7匹および雌3匹)。 8系統は、今日まで雌の子供を産んでいる。


    全てのトランスジェニックマウスを交配して、F1の子供(雄および雌の両方の場合)、および、F0乳汁(雌の場合)を得た。


    (2)タンパク質分析


    乳汁分泌マウスからの乳汁を、乳汁分泌を誘導するため、1ユニットのオキシトシン(oxytocin)(PitonS,Orgenon)の皮下注射10分後に、採取した。 乳汁サンプルを、プロテアーゼインヒビター(PMSF、EDTA、ロイペプチン、ペプスタチン)を補充して、そして分析まで-80℃で凍結した。 5μlマウス乳汁(コントロールおよびトランスジェニック)をPBSで10倍に希釈した。 次いで、5μlのサンプルを、還元条件(レーン1〜8)および非還元条件(レーン9〜15)下でのSDS PAGEによって、分析した。


    図5および6は、トランスジェニックマウス由来の乳汁が、コントロールマウスの乳汁中に存在しない、約160kDaのバンドを含むことを示す。 ゲル上に観察された160kDaは、PAGEにより測定されたように、α1(I)プロコラーゲンの単量体形態について予測される推定分子量に近似する。 プロコラーゲンの分泌は、事前の翻訳後修飾および三量体構造への組み立てに依存すると考えられるので、分泌が生じたという観察は、事前の修飾および組み立てもまた生じたことを示す。 同じサンプルの非還元条件下での分析は、トランスジェニックマウス由来の乳汁中に、コントロール中には存在しない、いくらか大きな分子量のバンドが存在することを示した。 これらのバンドは、三量体プロコラーゲン、三量体コラーゲン、またはコラーゲンのより高次形態であるようである。 図は、全てではないが、ほとんどのトランスジェニックマウスのプロコラーゲンは、より高次構造の形態で存在することを示す。 この結果は、プロコラーゲンポリペプチド鎖が、乳房上皮内で互いに効率よく会合し得ることを示す。 従って、乳房組織内で組換えプロコラーゲンを発現するための外因性シャペロン(chaperon)タンパク質の供給はおそらく必要ではない。


    (3)還元ゲルにおける約160kDaのバンドがプロコラーゲンであることを確認する


    トランスジェニック乳汁サンプルを、ウエスタンブロット法で分析した。 抗血清は、ヒトα(1)プロコラーゲンのアミノ末端に対して指向する。 創始(founder)2395由来の乳汁サンプルをSDS-PAGEについて記載したようにプロセスして非還元条件下で泳動し、その後ニトロセルロースフィルターに移した。 シグナルを、ECLシステム(Amersham)を用いて検出した。 ネガティブマウスの乳汁ではシグナルは観察されなかった(図8、トラック1)。 従って、抗体は、非トランスジェニックマウス乳汁とは交差反応しない。 トラック2は、創始2395由来の乳汁を含む。 創始2395の乳汁中に産生されたタンパク質は、抗体と交差反応する。 このことは、タンパク質が、プロコラーゲン、コラーゲン、またはそれらの高次形態であること、および抗原決定基が、天然プロコラーゲンタンパク質における決定基に類似することを示す。


    数匹のトランスジェニックマウスの乳汁に見出された新規ポリペプチド鎖が、これらのマウスに導入されたヒトα(1)プロコラーゲン遺伝子の発現産物であることのさらなる確認が、乳汁サンプルをコラゲナーゼで消化することによって得られた。 マウス2395由来の乳汁を、細菌コラゲナーゼで処理し、その後、5%ポリアクリルアミドゲルにより電気泳動した。 約160kDaのプロコラーゲンバンドが消失した(図9を参照のこと)。


    (4)プロコラーゲンの濃度


    乳汁サンプル中のI型プロコラーゲンの濃度を、Prolagen-Cキット(Metra Biosystems,Palo Alto,CA)によって測定した。 キットは、カルボキシプロペプチドのng/μlでの値を示す;従って、HSFサンプルの濃度を、ファクター4.5によって完全なプロコラーゲン分子と見なすように修正した。 0.5μlのマウス乳汁を変性してSDS PAGEゲル上で電気泳動を行い、既知濃度のコラーゲンスタンダードと比較した。 濃度を、バンドの強度の比較によって決定した。 cDNA構築物を有するマウス由来のプロコラーゲンの濃度が非常に低いためPAGEでは検出できなかったが、1/4ライン(1/4 lines)のウエスタンブロット法によって検出した。 ゲノム構築物を有するマウスからの濃度は、4〜10mg/mlの範囲であった。


    発現レベルのまとめを表2に挙げる。 発現が創始およびそのF1の子供の両方について試験された4つのマウス系統で、相対発現レベルを比較した。


    高レベル発現は、約4mg/mlを超えることを示し、中程度の発現は、約0.8〜4mg/ml、および低発現は約0.1〜0.8mg/mlを示す。 非発現体(nonexpressors)として示されている構築物は、ウエスタンブロット法により検出可能な程度の低レベルで発現し得る。 数字は、独立のトランスジェニック雌創始マウスおよび/またはトランスジェニックマウス系統を示す。 ゲノムトランスジーンの完全なコピーを1つ以上有する全てのF1マウスは、mg/mlの範囲で発現した。


    発現レベルもまた、表3に示すようにELISAによって測定した。 マウス乳汁を、サンプル中のI型プロコラーゲンホモ三量体の予測される濃度に依存して、PBS中で1:400〜1:4000に希釈した。 コントロールは、ヒトI型プロコラーゲンホモ三量体の異なる濃度を加えた正常マウス乳汁であった。 96-ウエルマイクロタイタープレート中で、100μlのマウス希釈乳汁を一晩インキュベーションした後に、プレートを洗浄し、次いで200μlのPBS+0.02% Tween 20で1時間ブロックした。 再度プレートを洗浄した後に、各ウエルに、PBS中で1:1000希釈した200μlのLF-39ポリクローナル抗体(Larry Fisher,NIHから供給される;これはヒトα1(I)プロコラーゲンのアミノ末端を認識する)を1時間与えた。 マイクロタイタープレートをさらに洗浄した後に、各ウエルに、西洋ワサビペルオキシダーゼと結合された、ヤギ抗ウサギポリクローナル抗体(PBS中で1:2500希釈した)(Pierce Chemical Co.)を200μl、45分間与えた。 プレートを再度洗浄し、そして西洋ワサビペルオキシダーゼの基質を加えた。 発色を、マイクロプレートリーダー(Molecular Devices Emax plate reader)で読み取った。 標準曲線を作製してヒトα1(I)プロコラーゲンの濃度を、この標準曲線との比較によて決定した。


    (5)タンパク質消化分析


    トランスジェニックマウスの乳汁由来のプロコラーゲンの構造完全性を、プロテアーゼでの消化によってテストし得る。 天然プロコラーゲン分子の末端は、プロテアーゼによる消化に感受性であり、一方三量体の中央領域は耐性である。 トランスジェニックマウス由来の乳汁サンプルを、Bruckner & Prockop,Annal.Biochem.110,360-368(1981)の方法によって消化のために調製した。 サンプルを、10mM Tris、0.1mM EDTA、150mM NaCl、pH7.4中で希釈し、トリプシン/キモトリプシンの混合物(それぞれに、4-および40-倍モル過剰)で、20℃で1時間消化した。 反応を、大豆トリプシンインヒビターの添加により停止させた。 サンプルを、20分間65℃に加熱し、そして7.5% SDS-ポリアクリルアミドゲル上で泳動し、クマシーR-250で染色した。


    図10(パネルAおよびB)は、2つのポジティブコントロール(すなわち、ヒトI型プロコラーゲンヘテロ三量体およびホモ三量体を産生する細胞系統由来の培地サンプル)の消化が、プロコラーゲンから三重ヘリックス構造のみを保持するコラーゲンへの酵素消化の際の大きさの予測される減少(すなわち、約160kDaから約100kDa)を生じることを示す。 コラーゲンより速く移動する第2バンドもまた現れ、これは中間分解産物に対応する。 中間分解産物はより顕著であるが、トランスジェニックマウス由来の2つの乳汁サンプル(それぞれ、ゲノム構築物c8gCOL(A1)およびc8g△iCOL(A1)由来)もまたこのパターンを示した(図10、パネルCおよびD)。 乳汁サンプルとプロコラーゲンコントロールとの間の特徴の類似性は、乳汁中のI型プロコラーゲンポリペプチドが、コントロールのように、三重ヘリックスに組み立てられることを示す。


    トランスジェニックマウスによって産生されたプロコラーゲンの三量体形態の安定性をテストするために、トリプシン/キモトリプシン消化の反応温度の上昇により、プロコラーゲン分子の温度プロフィールを得た。 結果を図10に示す。 融解温度、またはTmは、コラーゲンおよび別の分解中間産物に対応するバンドの半分が、トリプシン/キモトリプシンによって消化される温度として規定した。 図10は、トランスジェニックマウス由来の三量体コラーゲンの熱安定性が、約30℃であることを示す。 これらのデーターは、実質的な安定性を明らかにするが、その安定性は、天然のI型コラーゲン(40℃)または細胞培養で産生されたホモ三量体コラーゲン(38℃、Geddis & Prockop,Matrix 13,399-405(1993)によって報告されている)よりも幾分低い。 融解温度における相違は、トランスジェニックマウス由来のプロコラーゲン中のプロリン残基のヒドロキシル化の程度が低いためである。


    トランスジェニックマウスによって産生された三量体コラーゲンの安定性もまた、ペプシン消化によってテストした。 トリプシンおよびキモトリプシンのように、ペプシンは、変性プロコラーゲンのGly-XY領域を切断するが、プロコラーゲンポリペプチドが三重ヘリックスコンホメーションで存在する場合には、切断し得ない。 ペプシン消化を、I型プロコラーゲンのヘテロ三量体およびモノ三量体(コントロールとして)について、およびマウス2395および2399由来のマウス乳汁サンプルについて、変性プロコラーゲンの完全消化に対して最適化された条件を用いて行った。 ペプシンによる消化は、pH2.5で2時間であった。 サンプル1M Trisで中和し、次いで、5% SDS-PAGEゲルに載せた。 ヘテロ三量体およびホモ三量体のプロコラーゲンの両コントロールに対するTmは約40℃であり、これらの2つの細胞系から単離されたプロコラーゲン分子は、狭い温度範囲で融解した。 マウス2395系統および2399系統由来の乳汁中のプロコラーゲンは、それぞれ、約30℃および32.5℃のTmを有する。 従って、マウス2399由来の乳汁中のプロコラーゲンは、マウス2395由来の乳汁中のプロコラーゲンよりもわずかに、温度変性に対して耐性であるようである。


    (6)アミノ酸組成


    この実験は、トランスジェニックマウス乳汁中のヒトα1(I)プロコラーゲンのアミノ酸組成を決定する。 相対的に高発現体(mg/mlの範囲)であることが予め決定された系統由来の乳汁を、コントロールコラーゲンサンプル(HSYおよびSV)とともに、5% SDS PAGEゲルから単離した。 ゲルをプロコラーゲンバンドを単離するために切り出した。 それぞれのゲル切片を、4℃で一晩インキュベートし、ゲル切片からタンパク質を溶出した(Fleick & Shiozawa,Analyt.Biochem.187,205(1990))。 上清を遠心分離後に回収して、凍結乾燥した。 タンパク質サンプルを溶解し、再沈澱した(Wissel & Flugge,Analyt.Biochem.138,141-143(1984))。 2465について0.75μgを回収した以外は、各サンプルについて1.5〜4μg回収した。 HSFサンプルおよびSVサンプルを、2連で実験した。 サンプルのアミノ酸分析を、ヒドロキシプロリン残基を定量する条件下で行った。 これらの条件では、アスパラギン酸およびアスパラギンの両方が共に移動し、グルタミン酸およびグルタミンが共に移動する(プロセシングの間のAsnおよびGlnのアミノ基の欠失に起因する)。 セリンおよびトレオニンの約90%が回収された。 システインおよびメチオニンは、これらの条件下で部分的にまたは全体的に酸化され得るので、それらの値は、予測されるよりも低くあり得る。 トリプトファンは、これらの条件下では完全に破壊され、従って検出されなかった。 グリジン含有量は、アクリルアミドゲル内の緩衝液からのいくらかの持ち越しに起因して高かった。 ヒドロキシ-プロリン(HyP)およびヒドロキシ-リジン(HyL)の両方が定量された。


    表4は、HSFおよびSVコントロールサンプルについて、それぞれ、約当量のプロリンおよびヒドロキシプロリン(45%および47%)を示し、以前の測定に一致する(Steinmannら、J.Biol.Chem.259,11129-11138(1984))。 ヒドロキシプロリンの実質的なレベル(7%から27%)もまた、トランスジェニックマウスの乳汁から単離された全てのプロコラーゲンサンプル中で検出された。 従って、トランスジェニックマウス由来のプロコラーゲン中のプロリン残基は、コントロールの約15〜60%レベルでヒドロキシル化された。 ヒドロキシル化のより高いレベルが、所望であれば、動物の給餌を変えること、プロリルヒドロキシラーゼを発現するさらなるトランスジーンを導入すること、または発現レベルを最適化することによって、誘導され得る。 発現は、効率の低いエンハンサー-プロモーターフラグメントを使用すること、あるいはcDNAまたはcDNA-ゲノムハイブリッド構築物を使用することによって、最適レベルにまで低くされ得る。 ヒドロキシル化のより高いレベルもまた、α1(I)およびα2(I)プロコラーゲン鎖の同時発現の結果であり、ヘテロ三量体の組み立てが遅延され、およびその結果として酵素の機能を行うための修飾の機会が多くなることに起因する。


    リジンヒドロキシル化のレベルは、コントロールサンプル由来のプロコラーゲンに比較して、トランスジェニック動物の乳汁から単離されたプロコラーゲンではかなり低かった。 低いレベルのヒドロキシル化は、乳汁におけるより高次構造へのプロコラーゲン凝集を減少することに利点を与え、操作を容易にする。 高次構造の形成はインビトロで誘導され得るか、または患者へのプロコラーゲン注射後にインシチュで生じ得る。


    (7)乳腺の組織学


    数匹のトランスジェニックマウス由来の乳腺を、組織学的分析用の調製において、10%ホルマリイン中で固定した。 サンプルは、ネガティブマウス、非発現cDNA含有トランスジェニックマウス(2392系統)、およびトランスジェニックマウスの高発現系統(2395系統、2399系統、2410系統、2412系統)に対する3つの培地由来の乳腺を含んだ。 正常マウスとトランスジェニックマウスとの間の有意差はなかった。


    (8)発現の組織特異性


    RNAを、トランスジェニックマウスおよびコントロールの非トランスジェニックマウスの乳腺から抽出し、そして上記のようにノーザンブロット法によって分析した。 プローブは、トランスジーンの5'カゼインUTRに特異的にハイブリダイズする、23bpオリゴヌクレオチドであった。 ゲノムα1(I)構築物のいずれかを有するトランスジェニックマウス由来のサンプルは、トランスジーン特異的転写物に対して予測された長さ(4.8および5.8kb)の2つの標識バンドを示した。 非トランスジェニックマウス由来のサンプルは、トランスジーン由来の転写産物を生じなかった。


    RNAをまた、トランスジーン発現の組織特異性を調査するために、トランスジェニックマウスの種々の組織から分析した。 この分析用に選択されたマウスは、マウス2817(2395系統)であった。 このマウス系統は、プロコラーゲンの最も高いレベル(>10mg/ml)を示す。 乳腺、脳、肺、胸腺(thymus)、腎臓、肝臓、唾液腺、舌、筋脚(muscle leg)、筋腹(muscle belly)心臓、腸、卵巣、および胃由来のRNAのノーザンブロットを、図11のトラック2〜17に示す。 トラック1は、非トランスジェニックマウスの乳腺由来のRNAを含有する。 トラック2(トランスジェニックマウスの乳腺)のみが、トランスジーン由来の転写産物を示す予測された大きさのバンドを示す。 マウス2817(これまでの最も高い発現体)において、トランスジーンが、乳汁分泌乳腺においてのみ発現されることが結論される。


    実施例4:α1(I)およびα2(I)プロコラーゲンを同時発現するマウス


    (a)トランスジェネシス


    c8g△iCOL(A1)およびc8gCOL(A2)ショートを、1:1モル比で混合した。 受精マウス卵(CBA/BrAxC57B1/6)に、(100〜200コピーの両フラグメントを)同時マイクロインジェクトし、そして偽妊娠雌に移した。 74匹の移入から、48匹が妊娠し、158匹の子供をテストした。 これらのうち26匹がトランスジェニックであった。 全ゲノムDNAを、培養細胞またはマウスの尾から調製した。 HindIII消化したゲノムDNAを、ウシαS1-カゼイン遺伝子の-680から-250領域(主要転写開始部位に関して)にわたる400bp NcoI-NsiIフラグメントをプローブとして使用して、サザンブロットした。 構築物c8g△iCOL(A1)を、13kbpバンドによって同定し、そして構築物c8gCOL(A2)ショートを、5kbpバンドによって同定した。


    26匹のトランスジェニックマウス中22匹が、c8g△iCOL(A1)およびc8gCOL(A2)ショートの両方を含み、そして4匹が、c8g△iCOL(A1)のみを含んだ。


    (b)トランスジェニックヘテロ三量体ヒトプロコラーゲン(I)のSDS-PAGE分析


    5μlのマウス乳汁(コントロールおよびトランスジェニック)を、PBSで10倍に希釈した。 5μl希釈サンプルを、還元条件下でのSDS-PAGE(7.5%)により分析した(図17、パネルA、B、およびC)。 ゲルをクーマシーブリリアントブルー(CBB)で染色した。


    以下のサンプルを載せた:


    レーン1 マーカーレーン2 非トランスジェニックマウス由来の乳汁レーン3 2399系統マウス由来の乳汁(c8g△iCOL(A1))


    レーン4 3543系統マウス由来の乳汁レーン5 3586系統マウス由来の乳汁レーン6 3633系統マウス由来の乳汁レーン7 3635系統マウス由来の乳汁レーン8 3636系統マウス由来の乳汁レーン9 3637系統マウス由来の乳汁レーン10 Dave由来のコントロールプロ-(α1(I))

    3コラーゲンレーン4〜9は、二重トランスジェニック動物由来の乳汁を含む。 図17のパネルA(クーマシーブルー染色)は、トランスジェニックマウス(レーン4〜9)由来の乳汁が2つのバンドを含み、一方の約160kD(プロ-α1(I)コラーゲン)および小さい方のバンドは、コントロールマウス由来の乳汁には存在しないことを示す。 小さい方のバンドは、c8g△iCOL(A1)を含むトランスジェニックマウスには存在しない。 小さい方のバンドの分子量は、プロ-α2(I)コラーゲンタンパク質の予測される分子量に近似する。 図17のパネルBは、図17パネルAにおけるゲルの、抗体LF39でのウエスタンブロット(プロ-α1(I)コラーゲン乳汁について上記したような)を示す。 この抗体は、プロ-α1(I)コラーゲンのアミノ末端に対して指向される。 この抗体は、非トランスジェニックマウス乳汁とは交差反応しない。 二重トランスジェニックマウス由来のトランスジェニック乳汁中の160kDバンドは、抗体と結合した。 このことは、このバンドが、プロ-α1(I)コラーゲンであり、そして抗原決定基が、天然のプロ-α1(I)コラーゲンタンパク質における決定基に類似することを示している。


    図17のパネルCは、図17パネルAのゲルの、抗体LF116によるウエスタンブロット法を示す。 この抗体は、ヒトプロ-α2(I)コラーゲンに対して指向される。 抗体は、非トランスジェニックマウス乳汁とは交差反応しない。 二重トランスジェニックマウス由来のトランスジェニック乳汁中の(160kDプロ-α1(I)コラーゲンバンドに比べて)小さい方のバンドは交差反応した。 このことは、このバンドが、プロ-α2(I)コラーゲンであり、そして抗原決定基が、天然のプロ-α2(I)コラーゲンタンパク質における決定基に類似することを示している。


    上記から当業者に明白であるように、本発明は、以下のように表現し得る多数の一般的な概念を包含する。


    従って、本発明の一般的な局面は、外因性プロコラーゲンまたはコラーゲンの発現における、トランスジェニック非ヒト乳房の使用であり、この発現は、外因性プロコラーゲンポリペプチドをコードする組換えDNAセグメントを含むトランスジーンの乳腺特異的な発現である。


    別の局面では、本発明は、トランスジェニック非ヒト哺乳動物での、外因性プロコラーゲンまたはコラーゲンの乳腺特異的発現のための、トランスジーンの産生における、ヒトプロコラーゲンポリペプチドをコードするDNAセグメントの使用を包含する。


    本発明のさらなる局面は、安定な非ヒト乳腺細胞株の生成における、外因性プロコラーゲンポリペプチドをコードするDNAセグメントの使用であり、この細胞株とトランスジーンを取り込み、そして乳腺刺激ホルモンによって誘導される場合、外因性プロコラーゲンまたはコラーゲンを産生するためのトランスジーンを発現する能力を有する。


    上記の第1の使用において、プロリルヒドロキシラーゼ酵素をコードする組換えDNAセグメントを含む第2のトランスジーンが提供され得る。 このことにより、非ヒト哺乳動物の成体形態またはそれらの雌の子孫において、この第2のトランスジーンは、外因性プロコラーゲンポリペプチドをヒドロキシル化するのに十分な量で乳房分泌細胞の内質細網中で発現され得、プロリルヒドロキシラーゼ酵素を産生し、その結果、ポリペプチドは組み立てられ、そして三量体形態で分泌される。


    上記の第1使用の別の好ましい局面において、非ヒト哺乳動物の成体形態またはそれらの雌の子孫において、第2トランスジーンがまた用いられ得、この動物の乳房分泌細胞で、第1および第2トランスジーンは、それぞれ第1および第2組換えDNAセグメントを発現し得、α1(I)およびα2(I)プロコラーゲン形態を産生する。 これらはプロセスされて、α1(I)プロコラーゲンまたはコラーゲンの少なくとも1つの鎖およびα2(I)プロコラーゲンまたはコラーゲンの少なくとも1つの鎖を含む三量体として、乳汁中にこの乳房分泌細胞によって分泌される。


    上記の使用の全てにおいて、さらなる局面は、乳腺特異的エンハンサーおよび乳腺特異的プロモーターの包含であり得る。


    前述の本発明は、明瞭および理解の目的のためにいくつかの詳細に記載したが、本開示を読むことにより、本発明の範囲を逸脱することなく、形式および詳細な説明に種々の変化がなされ得ることは、当業者には明白である。 本出願に引用されている全ての刊行物および特許書類は、各個々の刊行物または特許書類があたかも別々に示されているようでも、それらの全体が全ての目的のために同じ範囲内で参考として援用される。

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