DNA encoding the κ- casein, methods and applications get the protein

申请号 JP51286793 申请日 1993-01-25 公开(公告)号 JP3467272B2 公开(公告)日 2003-11-17
申请人 シンビコム アクティボラーク; 发明人 ストレームクヴィスト,マッツ; テレネル,ヤン; ハンソン,レナート; ベルストレーム,スヴェン; ヘルネル,オレ;
摘要
权利要求
  • (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】哺乳動物の乳汁タンパク質遺伝子からの5′−フランキング配列と、SEQ ID NO:2のアミノ酸配列21〜182からなるポリペプチド、又は該ポリペプチドと少なくとも95%の配列同一性を有し、ヒトκ−カゼインの生物活性を有するその類似体もしくは変異体をコードするDNA配列とからなり、該5′−フランキング配列が該DNA配列の発現を仲介することができる発現系。 【請求項2】DNA配列が、少なくとも1つのイントロン配列を含有する請求項1による発現系。 【請求項3】単一もしくは複数のイントロン配列が、SE
    Q ID NO:3及び/又はSEQ ID NO:4で表されるイントロン配列から選択される請求項2による発現系。 【請求項4】DNA配列が、少なくとも1つの許容RNAスプライスシグナルを含有する請求項3による発現系。 【請求項5】SEQ ID NO:2のアミノ酸配列21〜182からなるポリペプチド、又は該ポリペプチドと少なくとも95%
    の配列同一性を有し、ヒトκ−カゼインの生物活性を有するその類似体もしくは変異体をコードするDNA配列が、ハイブリッド遺伝子が発現されるときに該DNA配列によってコードされるポリペプチドが産生されるように、該ハイブリッド遺伝子を保有する非ヒト哺乳動物の成熟雌の乳腺で発現可能なハイブリッド遺伝子を形成するために、哺乳動物の乳汁タンパク質をコードする遺伝子の調節要素と結合される請求項1〜4のいずれかによる発現系。 【請求項6】乳汁タンパク質をコードする遺伝子が、カゼイン遺伝子又は乳漿の酸性タンパク質(WAP)の遺伝子から選択される請求項5による発現系。 【請求項7】SEQ ID NO:2のアミノ酸配列21〜182を有するポリペプチドをコードする請求項1〜6のいずれかによる発現系。 【請求項8】SEQ ID NO:2のアミノ酸配列21〜182からなるポリペプチド、又は該ポリペプチドと少なくとも95%
    の配列同一性を有し、ヒトκ−カゼインの生物活性を有するその類似体もしくは変異体をコードするDNA配列。 【請求項9】SEQ ID NO:1に示されるDNA配列からなる請求項8よるDNA配列。 【請求項10】SEQ ID NO:3に示されるDNA配列とSEQ ID
    NO:4に示されるDNA配列とからなり、さらに任意にSEQ
    ID NO:3とSEQ ID NO:4を連結するDNA配列を有する請求項8によるDNA配列。 【請求項11】少なくとも1つのヌクレオチドが欠失、
    置換又は修飾されるか、又は少なくとも1つの付加ヌクレオチドが挿入されて、SEQ ID NO:2のアミノ酸配列21
    〜182からなるポリペプチドと少なくとも95%の配列同一性を有し、ヒトκ−カゼインの生物活性を有するポリペプチドをコードするDNA配列になっている点で、請求項8〜10のいずれかに定義されたDNA配列と異なる修飾D
    NA配列。 【請求項12】請求項8〜11のいずれかに定義されたDN
    A配列を保持し、かつ該DNA配列の発現を仲介することができる複製可能な発現ベクター。 【請求項13】SEQ ID NO:2のアミノ酸配列21〜182からなるポリペプチド、又は該ポリペプチドと少なくとも95
    %の配列同一性を有し、ヒトκ−カゼインの生物活性を有するその類似体もしくは変異体をコードするDNA配列を保持し、かつ該DNA配列の発現を仲介することができる複製可能な発現ベクター。 【請求項14】DNA配列が、SEQ ID NO:2のアミノ酸配列
    21〜182からなるポリペプチドをコードする請求項13による複製可能な発現ベクター。 【請求項15】ドイチュ ザムルング フォン ミクロオルガニスメン ウンド セルクトゥーレン ゲーエムビーハー(Deutsche Sammlung von Mikroorganismen un
    d Zellkulturen GmbH)(DSM)のコレクションに、ブダペスト条約の規定にしたがって、1993年1月20日付けで寄託され、受託番号DSM 7410、DSM 7411、DSM 7412及び
    DSM 7413をうけているpS 330、pS 339、pS 415及びpS 4
    25と命名された発現ベクター、及び該寄託された発現ベクターのDNA配列とは異なるが、同じポリペプチド又は該ポリペプチドと少なくとも95%の配列同一性を有し、
    ヒトκ−カゼインの生物活性を有するその類似体もしくは変異体をコードするDNA配列を発現する発現ベクターからなる群から選択される複製可能な発現ベクター。 【請求項16】発現されるDNA配列が、少なくとも1つのヌクレオチドが欠失、置換又は修飾されているか、又は少なくとも1つの付加ヌクレオチドが挿入されて、SE
    Q ID NO:2のアミノ酸配列21〜182からなるポリペプチドと少なくとも95%の配列同一性を有し、ヒトκ−カゼインの生物活性を有するポリペプチドをコードするDNA配列になっている点で、寄託されたベクターのDNA配列と異なるDNA配列である請求項15による複製可能な発現ベクター。 【請求項17】ドイチュ ザムルング フォン ミクロオルガニスメン ウンド セルクトゥーレン ゲーエムビーハー(Deutsche Sammlung von Mikroorganismen un
    d Zellkulturen GmbH)(DSM)のコレクションに、ブダペスト条約の規定にしたがって、1992年1月20日付けで寄託され、受託番号DSM 6878をうけているpS 270と命名されたプラスミド、ドイチュ ザムルング フォン ミクロオルガニスメン ウンド セルクトゥーレン ゲーエムビーハー(Deutsche Sammlung von Mikroorganisme
    n und Zellkulturen GmbH)(DSM)のコレクションに、
    ブダペスト条約の規定にしたがって、1993年1月20日付けで寄託され、受託番号DSM 7414及びDSM 7415をうけているpS 459及びpS460と命名されたプラスミド、及びSEQ
    ID NO:1に示されるDNA配列とは異なるが、SEQ ID NO:2
    に示すポリペプチド、又は該ポリペプチドと少なくとも
    95%の配列同一性を有し、ヒトκ−カゼインの生物活性を有するその類似体もしくは変異体をコードするDNA配列を有するプラスミドからなる群から選択されるプラスミド。 【請求項18】請求項12〜17のいずれかで定義されたベクター又はプラスミドを保有する非ヒト細胞。 【請求項19】原核細胞、単細胞真核生物もしくは多細胞生物由来の細胞である請求項18による細胞。 【請求項20】多細胞生物由来である請求項19による細胞。 【請求項21】SEQ ID NO:2のアミノ酸配列21〜182からなるポリペプチドをコードするDNAが、非ヒト哺乳動物の分泌腺内で発現されるような様式で非ヒト哺乳動物のゲノム中に請求項1〜7のいずれかに記載の発現系を導入し、及び腺から分泌される分泌物を収集するインビトロの工程からなる、該ポリペプチド、又は該ポリペプチドと少なくとも95%の配列同一性を有し、ヒトκ−カゼインの生物活性を有するその類似体もしくは変異体を産生する方法。 【請求項22】分泌腺が乳腺であり、分泌物が乳汁である請求項21に記載の方法。 【請求項23】非ヒト哺乳動物のゲノム中にSEQ ID NO:
    2のアミノ酸配列21〜182からなるポリペプチドをコードするDNA配列を染色体的に導入するインビトロの工程からなる、該ポリペプチド又は該ポリペプチドと少なくとも95%の配列同一性を有し、ヒトκ−カゼインの生物活性を有するその類似体もしくは変異体を発現することができる遺伝子導入非ヒト哺乳動物を作成する方法。 【請求項24】さらに非ヒト哺乳動物のゲノム中にβ−
    カゼインをコードするDNA配列を染色体的に導入することからなる請求項23による方法。 【請求項25】非ヒト哺乳動物の受精卵又は胚の細胞に請求項1〜7のいずれかで定義された発現系、及び任意にさらにβ−カゼインをコードするDNAを注射して非ヒト哺乳動物の生殖細胞系に発現系を導入し、及びその注射された受精卵又は胚を成熟雌非ヒト哺乳動物中で発育させることからなる請求項23又は24による方法。 【請求項26】1) 実質的に非内在性のκ−カゼインが発現されるように非ヒト哺乳動物の内在性のκ−カゼイン発現能力を破壊し、及びSEQ ID NO:2のアミノ酸配列21〜182からなるポリペプチド又は該ポリペプチドと少なくとも95%の配列同一性を有し、ヒトκ−カゼインの生物活性を有するその類似体もしくは変異体が非ヒト哺乳動物内で発現されるような方法で非ヒト哺乳動物の生殖細胞系に請求項1〜7のいずれかで定義された発現系を挿入するか、又は2) 内在性のκ−カゼイン又はその一部をコードする遺伝子を請求項1〜7のいずれかで定義された発現系で置き換え、 それによって該非ヒト哺乳動物が、実質的に、相当する内在性のポリペプチドを発現することができないようにすることからなる請求項23又は24による方法。 【請求項27】非ヒト哺乳動物ゲノムあるいは該非ヒト哺乳動物の始祖のゲノムへの染色体的な導入の結果として、生殖細胞及び体細胞が、SEQ ID NO:2のアミノ酸配列21〜182からなるポリペプチド又は該ポリペプチドと少なくとも95%の配列同一性を有し、ヒトκ−カゼインの生物活性を有するその類似体もしくは変異体をコードするDNA配列を含有する遺伝子導入非ヒト哺乳動物。 【請求項28】DNA配列が、請求項8〜11のいずれかによるDNA配列である請求項27による遺伝子導入非ヒト哺乳動物。 【請求項29】DNA配列が、哺乳動物の乳汁タンパク質遺伝子中に存在する請求項28記載の遺伝子導入非ヒト哺乳動物。 【請求項30】請求項27、28又は29の遺伝子導入非ヒト哺乳動物の特徴的な性質を有する、請求項23〜26のいずれかによる方法によって作成された遺伝子導入非ヒト哺乳動物、及び前記哺乳動物の子孫。 【請求項31】マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、ラマ、ラクダ及びウシ種からなる群から選択される請求項27〜30のいずれかによる遺伝子導入非ヒト哺乳動物。 【請求項32】請求項27〜31のいずれかに記載の非ヒト哺乳動物から乳汁を収集し、及び任意に乳汁から組換えポリペプチドを回収することからなる、SEQ ID NO:2のアミノ酸配列21〜182からなるポリペプチド又は該ポリペプチドと少なくとも95%の配列同一性を有し、ヒトκ
    −カゼインの生物活性を有するその類似体もしくは変異体を得る方法。 【請求項33】ヒト乳汁構成物と異なる乳質構成物と共に、SEQ ID NO:2のアミノ酸配列21〜182からなるポリペプチド又は該ポリペプチドと少なくとも95%の配列同一性を有し、ヒトκ−カゼインの生物活性を有するその類似体もしくは変異体を含有する非ヒト哺乳動物の乳汁。 【請求項34】非ヒト哺乳動物に対して内在性である乳汁構成物と共に、SEQ ID NO:2のアミノ酸配列21〜182からなるポリペプチド又は該ポリペプチドと少なくとも95
    %の配列同一性を有し、ヒトκ−カゼインの生物活性を有するその類似体もしくは変異体を有する請求項33による乳汁。 【請求項35】請求項33又は34に記載の乳汁の特徴的な性質を有する、請求項27〜31のいずれかによる遺伝子導入非ヒト哺乳動物から得られる乳汁。 【請求項36】請求項33〜35のいずれかで定義された乳汁から製造された乳児用調合乳。 【請求項37】SEQ ID NO:2のアミノ酸配列21〜182からなるポリペプチド又は該ポリペプチドと少なくとも95%
    の配列同一性を有し、ヒトκ−カゼインの生物活性を有するその類似体もしくは変異体をコードするDNAが、非ヒト哺乳動物の乳腺で発現されうる様式で非ヒト哺乳動物のゲノム内に請求項1〜7のいずれかによる発現系を導入し、該遺伝子導入非ヒト哺乳動物によるポリペプチドの発現を得、該遺伝子導入非ヒト哺乳動物より発現されたポリペプチドを収穫し、及び任意に精製し、及び該ポリペプチドを有するヒト乳児用調合乳を調合することからなる、ヒト乳児の栄養的要求を満たすために必須の、他の乳汁タンパク質類、脂質類、炭水化物類、ビタミン類、無機物類及び他の栄養物から選択される少なくとも1つの他の乳児用調合乳と共に、SEQ ID NO:2のアミノ酸配列21〜182からなるポリペプチド又は該ポリペプチドと少なくとも95%の配列同一性を有し、ヒトκ−
    カゼインの生物活性を有するその類似体もしくは変異体からなるヒト乳児用調合乳を製造する方法。 【請求項38】SEQ ID NO:2のアミノ酸配列21〜182からなるポリペプチド又は該ポリペプチドと少なくとも95%
    の配列同一性を有し、ヒトκ−カゼインの生物活性を有するその類似体もしくは変異体。 【請求項39】SEQ ID NO:2のアミノ酸配列21〜182のサブ配列を有するポリペプチド、又は該ポリペプチドと少なくとも95%の配列同一性を有し、ヒトκ−カゼインの生物活性を有する該アミノ酸配列の類似体もしくは変異体。 【請求項40】請求項8〜11のいずれかに記載のDNA配列によってコードされるポリペプチド。 【請求項41】SEQ ID NO:2のアミノ酸配列21〜182とは異なるが、該アミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有し、ヒトκ−カゼインの生物活性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドが得られるように、少なくとも1つのアミノ酸残基が異なるアミノ酸残基で置換され、及び/又は少なくとも1つのアミノ酸残基が欠失又は付加された請求項38〜40のいずれかによるポリペプチド。 【請求項42】少なくとも1つのアミノ酸残基が翻訳後の修飾によって修飾された、SEQ ID NO:2のアミノ酸配列21〜182からなるポリペプチドと少なくとも95%の配列同一性を有し、ヒトκ−カゼインの生物活性を有する、請求項38〜41のいずれかによるポリペプチド。 【請求項43】グリコシル化された形態である請求項38
    〜41のいずれかによるポリペプチド。 【請求項44】請求項21、22又は32による方法によって製造された請求項38〜42のいずれかによるポリペプチド。 【請求項45】請求項38〜44のいずれかに定義されたポリペプチドからなる乳児用調合乳。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】 本発明は、人乳タンパク質κ−カゼインまたはこのタンパク質の類似体もしくは変異体をコードするDNA配列に関する。 特定の実施態様では、本発明のDNA配列は後記のSEQ ID No:2に示すアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードしている。 このDNA配列は、原核もしくは真核の産生系によるか、またはより有利に、形質転換(transgenic)非ヒト哺乳動物例えばウシの種の雌ウシに産生させることによって、組換えヒトκ−カゼインまたはその類似体もしくは変異体を製造する際に使用するのに有利である。 組換えヒトκ−カゼインの主な用途の一つは、人乳の代替品として乳児に授乳するに用いる乳児用調合乳の成分としての用途である。 組換えヒトκ−
    カゼインは、乳児用調合乳の成分として用いられると、
    人乳に一層近い類似体が得られるという点で、調合乳の生物学的栄養価が大きく改善されると考えられる。 また組換えタンパク質類は、ヒトκ−カゼインが有利な特性をもっているので多数の他の実施態様で用いることが可能で例えば医薬として用いることができると考えられる。 発明の背景 人乳の授乳は、乳児にとって、調合乳の授乳より優れているとみなされていることは公知である。 人乳は栄養の充分に釣合いのとれた供給を行うのみならず乳児は容易に消化する。 したがって、乳児の体内で生理学的に機能をすることが分かっているいくつもの生理学的活性成分が、人乳の成分であるかまたはその消化中に産生される。 そして、これらの成分には、感染に対する防御に関与する成分および人乳からの栄養素の摂取を容易にする成分が含まれている。 乳児用調合乳を製造するのに多くの努が払われているのにもかかわらず、人乳の有利なすべての特性をかなりな程度までもっている調合乳はまだ製造可能になっていない。 したがって乳児用調合乳は、乳に基づいて製造されることが多いが、一般に乳児による消化が不完全であり、かつ乳児の生理学的機能に作用することが知られている物質が欠除している。 人乳に類似の栄養価を有する乳児用調合乳を得るため、タンパク質類、タンパク質フラグメント類、ビタミン類、無機質類などを含む多数の添加物が調合乳に含有されているが(これらのものは通常、人乳を乳児が消化している間に生成するかまたは吸収される)、その結果、肝臓および腎臓のような重要な臓器に対して緊張を起こす危険がありかつこのような臓器を長期間にわたって損傷する可能性がある。 牛乳に基づいた調合乳の使用に付随する他の欠点は、ウシタンパク質に対するアレルギーを乳児に誘発する危険が増大することである。 牛乳に基づいた乳児用調合乳の代わりに、いわゆる母乳銀行から入手できる人乳が用いられている。 しかし、
    母乳銀行からの人乳を新生乳児に授乳することは近年避ける傾向が増大している。 というのは、その人乳中にHI
    VおよびCMVのような感染因子が存在している恐れがあるからである。 人乳中の感染因子を破壊するために、使用する前に人乳を低温殺菌することが必要になった。 しかし低温殺菌によって、人乳成分の栄養価と生物学的効果は低下するかまたは消失する。 したがって人乳の使用は依然として少ない。 母乳の代わりに用いられるヒト乳児用調合乳で現在市販されているものは、主として、牛乳のタンパク質成分に基づいている。 これらの乳児用調合乳組成物は、栄養バランス、栄養の生体内利用性およびヒト乳児の非ヒト/動物タンパク質に対する感受性の点で難点がある。 具体的に述べると、これらの乳児用調合乳に用いられる非ヒト動物タンパク質に対してアレルギー反応があるので、市販の調合乳はタンパク質成分が変えられて大豆タンパク質に基づいた調合乳になったが、牛乳に対してアレルギー性の多くの乳児は大豆による乳汁に対してもアレルギー性である(Am.Acad.of Pediatrics Comm.on Nu
    trition,Pediatrics,72巻、359〜363頁、1983年)。 その上に、牛乳タンパク質の使用による問題の多くは、ウシカゼインの含有量と構造が原因で消化が困難であることに関連がある(L.Hambraeus,LAHansonおよび
    H.McFarlane編集“Food and Immunology"、116〜124
    頁、1977年、Almquist and Wiksell社のL.Hambraeus,E.
    ForsumおよびB.Lonnerdalの論文)。 このことから、乳清(whey)タンパク質を大比率で含有し〔乳清タンパク質はヒト乳児が容易に消化するからである(MJNewportおよびMJHenschel,Pediatric Re
    s.,18巻、658〜662頁、1984年)〕ウシカゼインをほとんど含有しないかもしくは全く含有しない乳児用調合乳が生産されるようになっている。 しかし牛乳の乳清中の主要タンパク質はβ−ラクトグロブリンである。 このタンパク質は人乳中に本来存在せず、乳児の牛乳アレルギーの主要原因の一つであることが確認されている(I.Ax
    elsson,I.Jakobsson,T.LindbergおよびB.Benediktsson,
    Acta Pediatrica Scand.,75巻、702〜707頁、1986
    年)。 牛乳に基づいた調合乳に対するアレルギーによる問題の大きさは、大豆に基づいた調合乳が現在、米国におけるヒト乳児用調合乳の市場の大きな部分を占めていることから理解することができる。 大豆タンパク質の調合乳は、炭化物とタンパク質の起源は異なるが、the American Academy of Pediatric
    s,Committee on Nutritionの、乳児用調合乳の栄養レベルに対する勧告にしたがって牛乳タンパク質調合乳に組成が似ている。 異なっている点は、タンパク質のレベルが僅かに高くかつ炭水化物の含量がわずかに低いことである。 タンパク質源は一般に大豆タンパク質であり;脂肪は植物油の混合物であり;および炭水化物源は通常スクロース、コーンシロップ固形物(corn syrup solid)
    または両者の混合物である。 しかし大豆調合乳を使用すると、ウシベースのタンパク質の乳児用調合乳を使用する際に遭遇するアレルギーと消化性の問題を起こすのに加えて、乳児の血清アルカリホスファターゼと血液尿素のレベルを上昇させる傾向がある。 人乳は、全タンパク質含量が低く、カゼイン/乳清比が低くかつタンパク質組成が異なる点で、ウシを含む他の哺乳動物の種の乳汁とは著しく異なっている。 例えば、人乳のカゼインのサブクラスはβ−カゼインとκ−
    カゼインしかないが、ウシのカゼインのサブクラスはα
    −カゼイン、β−カゼインおよびκ−カゼインである(Millerらの1990年の文献)。 また人乳タンパク質のアミノ酸組成は他の哺乳動物の乳タンパク質のそれとは異なっている。 κ−カゼインはヒトを含むいくつかの種の乳汁中に存在するグリコシル化タンパク質である。 ヒトのκ−カゼインは、そのペプチド連鎖全体にわたって分布するいくつかの糖の接合団をウシとヒツジのκ−カゼインの場合の0〜5個ではなくて、10個まで含有していることが分かっている。 κ−カゼインとκ−カゼインのペプチドについては多くの異なる生物活性が提唱されている。 再検討するには例えばMillerらの1990年の文献とFiatとJollsの1989
    年の文献を参照するとよい。 κ−カゼインはカルシウム結合部位をもっていることが分かっている(Fitzgerald
    とSwaisgoodの1989年の文献)。 消化中に発揮されるκ
    −カゼインまたはそのフラグメントの他の機能の例は、
    ガストリン分泌の阻害したがって胃内の酸分泌の阻害(Stanらの1982年の文献);胃腸ホルモンに対する調節作用したがって外分泌膵臓からの酵素の放出に対する調節作用(Yvonらの1987年の文献);ラクトバシラス・ビフィダス・ペンシルバニクス(Lactobacillus bifidus
    pennsylvanicus)(Bezkorovainyらの1979年の文献)およびビフィダス・インファンティス(Bifidus infanti
    s)(Azumaらの1984年の文献)に対する成長促進作用;
    オピオイド−アンタゴニスト活性(Chibaらの1989年の文献);アンギオテンシン1変換酵素(ACE)の阻害(M
    arayamaらの1987年の文献);血小板凝集反応の阻害(J
    ollsらの1986年の文献);免疫刺激特性(Jolls
    らの1982年の文献)および各種の抗菌作用(Millerらの
    1990年の文献)である。 ヒトκ−カゼインの消化生成物(κ−カゼイノグリコペプチド)は、ある種の細菌、ストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneu
    moniae)およびヘモフィルス・インフルエンザェ(Haem
    ophilus influenzae)がヒト呼吸道の上皮細胞に粘着するのを阻害することが見出されている(Anianssonらの1
    990年の文献)。 人乳に近い組成を有する乳児用調合乳、例えば人乳タンパク質を含有する調合乳を製造して、牛乳ベースの乳児用調合乳に付随する上記欠点を回避できることが望ましい。 しかしこれを達成するには、人乳タンパク質を大量に入手することが必要である。 人乳タンパク質は人乳から直接精製することができるが、この方法は、調合乳を大規模に生産するのに必要な大量を得るのに現実的でかつ充分に経済的な方法ではなく、人乳タンパク質を含有する乳児用調合乳が製造できるようになるには他の方法を開発しなければならない。 Chobertらは1976年に、いわゆるカゼイノマクロペプチドすなわちヒトκ−カゼインのグリコシル化C末端部を単離し、そのアミノ酸配列の一部を決定した。 ヒトκ
    −カゼインのC末端の完全配列はFiatらが決定した(Fi
    atらの1980年の文献)。 para−κ−カゼインの配列すなわちκ−カゼインのN末端部分はその後Brignonらが決定した(Brignonらの1985年の文献)。 未変性のヒトκ
    −カゼインの完全配列は158個のアミノ酸を含有していると報告された。 主としてげっ歯動物または酪農動物由来のいくつかの乳タンパク質の遺伝子はクローン化されて配列が決定されているが、人乳タンパク質をコードする遺伝子の知識は依然として少ない。 Hallらの1987年の文献にはヒトα
    −ラクトアルブミン遺伝子の配列が報告された。 Menon
    およびHamの1987年の文献には、ヒトβ−カゼインコードする部分cDNAクローンの単離と配列決定が開示されたが、その完全cDNA配列はその後Lnnerdalらが決定した(Lnnerdalらの1990年の文献)。 国際特許願公開第WO 91/08675号には、組換えヒトα−ラクトアルブミンおよびβ−カゼインを含有するヒト乳児用調合乳が記載されている。 ヒトラクトフェリンのcDNAの配列は、Po
    wellとOgdenの1990年の文献に報告されている。 人乳の胆汁酸塩で刺激されるリパーゼのcDNAクローン化は、Ni
    lssonらの1990年の文献に報告された。 Menonらの1991年の文献には、ヒトκ−カゼインのアミノ酸配列(3'末端)の一部を演繹できるmRNAが開示された。 発明の簡単な説明 本発明の目的は、組換えヒトκ−カゼインを高収率で製造する手段を提供することである。 したがって、一つの態様において本発明は、ヒトκ−
    カゼインの生物活性を有し、アミノ酸配列SEQ ID No:2
    またはその類似配列もしくは変異配列を有するポリペプチドをコードするDNA配列からなり、前記DNA配列の発現を仲介できる5'−フランキング配列を有する発現系に関する。 形質転換細胞または形質転換動物はそのゲノム内に一つ以上の導入遺伝子を含有している。 導入遺伝子はゲノムの遺伝子座に組込まれたDNA配列であり、その形質転換DNA配列はさもなければ通常そのゲノムのその遺伝子座には見られない。 導入遺伝子は、非相同DNA配列(他の種のゲノム内に見られる配列)または相同DNA配列(同じ種のゲノム由来の配列)で作ることができる。 形質転換動物はすでに報告されている。 例えば米国特許第
    4,736,866号には、c−myc癌遺伝子を含有する形質転換マウスが開示されている。 形質転換動物の他の報告としては、国際特許願公開第WO 82/04443号(マウス接合体の前核に注入されたウサギβ−グロビン遺伝子のDNAフラグメント);ヨーロッパ特許願公開第0264166号(乳房組織に特異的な発現のための乳清酸性タンパク質プロモーターの制御下にあるB型肝炎抗原と組織プラスミノーゲンアクチベーターの遺伝子);ヨーロッパ特許願公開第0247494号(種々の形態のインスリンをコードする非相同DNAを有する形質転換マウス);国際特許願公開第WO 88/00239号(乳清タンパク質のプロモーターの制御下にある、IX因子をコードするDNA組織特異的発現);国際特許願公開第WO 88/01648(乳房ラクトゲン誘発性調節領域および非相同タンパク質をコードする構造領域からなる組換え発現系を組込んだ乳房の分泌細胞を有する形質転換哺乳動物;ヨーロッパ特許願公開第02
    79582号(形質転換マウスのラットβ−カゼインプロモーターの制御下でのクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼの組織特異的発現);国際特許願公開第
    WO 91/03551号(形質転換動物の乳汁内での成長ホルモンの産生);および国際特許願公開第WO 91/08216号(ウシの種による組換えポリペプチドの産生と形質転換方法)がある。 本願で用いる場合、“組換えポリペプチド”(すなわち組換えDNA配列がこの組換えポリペプチドをコードする)は“非相同ポリペプチド”である。 非相同ポリペプチドは通常形質転換動物が産生しないポリペプチドである。 非相同ポリペプチドの例としてはヒトκ−カゼインのような人乳タンパク質がある。 非相同ポリペプチドまたは相同ポリペプチドは各々、
    特異的なアミノ酸配列と核酸配列が特徴である。 しかしこのような配列には、その天然産の対立遺伝子の変異および組換え法で産生される変異体が含まれると解すべきであり、この組換え法で、上記の核酸とポリペプチドの配列は、上記の核酸中の一つ以上のヌクレオチドの置換、挿入および/または欠失を行って組換えポリペプチドの一つ以上のアミノ酸残基の置換、挿入または欠失を起こさせることによって修飾される。 DNAという用語が以下に用いられる場合、DNAがRNAで置換できる場合はすべて、用語DNAは、当該技術分野の当業者にとって明らかなRNAの実施態様を含むと読むべきであると解すべきである。 一つの態様で、本発明は、SEQ ID No:2に示すアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするDNA配列、または1)SEQ ID No:1に示すDNA配列またはその特定部分と、
    緊縮ハイブリッド形成条件下でハイブリッドを形成し、
    もしくは2)そのアミノ酸配列がSEQ ID No:2に示すアミノ酸配列と少なくとも85%相同であるポリペプチドをコードし、もしくは3)前記DNA配列の有効サブ配列(subsequence)を構成する、前記DNA配列の類似配列であって; ヒトκ−カゼインの生物活性を有するポリペプチドをコードするDNA配列に関する。 本発明の一つのDNA配列は、ヒト乳腺cDNAライブラリーから単離されるcDNAクローンに基づいて決定される。
    ヒトκ−カゼインcDNA配列を単離するのに用いる方法は実施例3に概略を示してある。 先に引用した緊縮ハイブリッド形成条件はその通常の意味であると解すべきである。 すなわちそのハイブリッド形成反応は、後述の実施例の“定義”の部分に記載の方法を用い、2×SSC中67℃で実施し、最終洗浄は1×S
    SC中67℃で行う。 “相同の”という用語は本願で用いる場合、与えられたポリペプチドのアミノ酸配列とSEQ ID No:2に示すアミノ酸配列の同一性の程度を示す。 SEQ ID No:2に示すアミノ酸配列と比較されるアミノ酸配列はDNA配列から演繹することができ、例えば上記定義のハイブリッド形成によって得られるか、または通常のアミノ酸配列決定法によって得られる。 相同度は好ましくは成熟ポリペプチドのアミノ酸配列について、すなわちリーダー配列は考慮せずに測定する。 相同度は、SEQ ID No:2に示すアミノ酸配列に対して少なくとも85%、例えば少なくとも
    90%好ましくは少なくとも95%または98%が好ましい。 先に用いた“有効サブ配列”という用語は、以下に定義されるようなヒトκ−カゼインの活性について少なくとも部分的に機能するペプチドをコードするサブ配列を意味する。 このサブ配列は、DNA配列のどちらかの末端を切取るかまたはDNA配列内の一つ以上ヌクレオチドもしくはヌクレオチド配列を除去することによって得られる。 好ましくは、この有効配列は、ヒトκ−カゼインの生物活性を有するペプチドをコードする場合、少なくとも15個のヌクレオチド例えば少なくとも20個のヌクレオチドを含有している。 また、ヒトκ−カゼインの生物活性を有するサブ配列はさらに大きくてもよく、例えば少なくとも50個のヌクレオチドを含有し、例えば少なくとも75、100もしくは1
    25個のヌクレオチド例えば150個のヌクレオチドを含有していてもよい。 ヒトκ−カゼインの“生物活性”という用語には、限定されないが、ヒトκ−カゼインの報告されている活性、例えばヒトκ−カゼインおよび/またはヒトκ−カゼイン由来のペプチドの“抗菌活性”、“オピオイド活性”、“免疫刺激活性”、“カルシウム結合活性”および“ミセル形成活性”の一つまたは二つ以上の組合せが含まれると解すべきである。 “抗菌活性”という用語は、細胞、ウイルスまたは寄生生物のような病原体の付着、定着または成長を阻害するκ−カゼインの性能を意味する。 この“抗菌活性”
    は、Aniansonらの1990年の文献に開示されているようにして測定することができる。 “オピオイド活性”という用語は、κ−カゼイン由来のペプチドがアヘン剤の受容体に結合する性能(アヘン剤受容体アフィニティー)を意味する。 この“オピオイド活性”はChibaらの1989年の文献に開示されているようにして測定することができる。 “免疫刺激活性”という用語は、マクロファージによる食作用およびB細胞とT細胞の分化のような免疫反応を刺激するヒトκ−カゼインの性能を意味する。 “カルウシウム結合活性”という用語はカルシウムイオンを捕捉し輸送し送り込むヒトκ−カゼインの性能を意味し、一方“ミセル形成活性”という用語は、ヒトκ
    −カゼインがそれ自体でまたは他の乳タンパク質とともにミセルを形成する性能を意味する。 これらのミセルは、イオン、ビタミン、脂質、ペプチド、ポリペプチド、無機質、微量元素および成長因子を輸送し送り込む重要な機能を有する。 この点について、用語“オピオイド活性”、“抗菌活性”、“免疫刺激活性”、“カルシウム結合活性”およびミセル形成活性ならびに関連用語は、まず第一に生物活性の性質のような活性の性質および/またはヒトκ−
    カゼインについて測定されるポリペプチドの活性のレベルについて定性的および/または定量的であると解すべきであることに留意しなければならない。 ヒトκ−カゼインの消化フラグメントについては、その生物活性も、
    例えば抗菌活性もしくはオピオイド活性をそれぞれ有するヒトκ−カゼインの消化フラグメントに対し、文献に記載されているのと同じ定量的/定性的性質を有する活性である。 この点について、“消化フラグメント”という用語は、人乳を与えられた乳児がヒトκ−カゼインを消化中に、天然に生成するペプチドのフラグメントを意味する。 このようなフラグメントは、例えば組換えヒトκ−
    カゼインの分解、かようなフラグメントをコードするDN
    A配列からの発現、または通常のペプチド合成を用いることによって製造することができる。 他の態様で、本発明は、本発明のDNA配列によって産生されるポリペプチドであって、好ましくはSEQ ID No:
    2に示すアミノ酸配列または前記アミノ酸配列の変異配列もしくは類似配列のサブ配列からなり、上記のヒトκ
    −カゼインの生物活性を有する組換えポリペプチドに関する。 また特定の実施態様で、本発明は、アミノ酸配列
    SEQ ID No:2またはその類似配列もしくは変異配列を有する組換えポリペプチドに関する。 変異配列とサブ配列は先に定義されているがさらに後述する。 さらに別の態様で、本発明は前記定義の哺乳動物発現系を、哺乳動物の受精卵または胚の細胞中に注入して前記発現系を該哺乳動物の生殖細胞系に組込み、ついで得られた注入受精卵もしくは注入胚を成熟雌哺乳動物中で発育させることからなる、本発明の組換えペプチドを発現できる非ヒト形質転換哺乳動物の製造方法に関する。 別の実施態様で、本発明は、本願で定義するポリペプチドをコードするDNA配列、このようなDNA配列を保持し、かつ発現できる複製可能な発現ベクター、かようなベクターを保有する細胞、上記ポリペプチドの製造方法、上記ポリペプチドを発現することができる非ヒト形質転換動物の製造方法、このような形質転換動物自体、
    かような形質転換動物からの乳汁、本願で定義されるポリペプチドを含有する乳児用調合乳、本願で定義されるポリペプチドの単離方法、および上記定義の適正なポリペプチドに関する。 本発明の詳細な説明 本発明の発現系は、哺乳動物の乳タンパク質遺伝子由来の5'フランキング配列、およびアミノ酸配列SEQ ID N
    o:2またはその類似配列もしくは変異配列を有し、かつヒトκ−カゼインの生物活性を有するポリペプチドをコードするDNA配列からなり、そのフランキング配列が該ポリペプチドの発現が仲介できる発現系である。 以下に詳細に考察するように、本発明の発現系は、多くの目的に用いられ、好ましくはそのDNA配列が少なくとも一つのイントロン配列を含有し、かつ好ましくは少なくとも一つの許容RNAスプライスシグナルを有する発現系である。 特に本発明は、単一もしくは複数のイントロン配列がSEQ ID No:3および/またはSEQ ID No:4で表されるイントロン配列から選択される発現系、例えばSE
    Q ID No:2のアミノ酸配列を含有するかまたはSEQ ID N
    o:2のアミノ酸配列であるポリペプチドをコードする発現系に関する。 好ましい実施態様で、本発明の哺乳動物発現系は、そのDNA配列が哺乳動物の乳タンパク質をコードする遺伝子の調節要素と結合されてハイブリッド遺伝子が形成され、このハイブリッド遺伝子はこれを保有する非ヒト哺乳動物の成熟雌の乳腺で発現可能であり、その結果該ハイブリッド遺伝子が発現されるとき、該DNA配列がコードするポリペプチドが産生される発現系である。 乳タンパク質をコードする遺伝子の例としては、カゼインの遺伝子または乳清の酸性タンパク質(WAP)から選択される遺伝子がある。 また本発明にはこのようなハイブリッド遺伝子も含まれる。 上記のように本発明の発現系は、好ましくは、コードされるポリペプチドの類似体または変異体がアミノ酸配列SEQ ID No:2と少なくとも85%相同である発現系である。 DNA配列SEQ ID No:2に近い構造関係を発現する他の方法はハイブリッド形成による方法である。 すなわち、
    その発現系は好ましくは、該ポリペプチドをコードする
    DNA配列が、緊縮ハイブリッド形成条件下、DNA配列SEQ
    ID No:1もしくはその一部とハイブリッドを形成するDNA
    配列であるような発現系である。 SEQ ID No:1に示すヌクレオチド配列から演繹されるアミノ酸配列は、アミノ酸の配列を決定して報告された配列(Brignonらの1985年の文献)と比べると8個の位置で異なっている。 提案されているシグナルペプチダーゼ開裂部位に基づいて、そのペプチド連鎖は先に発表されたアミノ酸配列(Brignonらの1985年の文献)よりアミノ酸残基が4個多いことが示唆される。 もしそうであれば、そのN末端のアミノ酸配列はラットのそれと同一であり、かつ他の種について報告されたものと非常に似ており、次のアミノ酸配列Glu−Val−Gln−Asnをもっている。 Menonらの1991年の文献には、ヒトκ−カゼインのアミノ酸配列の一部分(3'末端)を演繹することができるmRNA配列が開示されている。 ヒトκ−カゼインポリペプチドに翻訳可能な興味深い
    DNA配列は、ヒトκ−カゼインを発現することができるヒトκ−カゼイン遺伝子またはその一部からなる配列である。 したがって、別の態様で、本発明は、SEQ ID No:
    3に示すDNA配列とSEQ ID No:4に示すDNA配列を実質的に含有し、さらに任意に、SEQ ID No:3とSEQ ID No:4を連結するDNA配列を有するDNA配列に関する。 このことは、
    例えば実施例7に記載されているようにして実施することができる。 興味深い実施態様として、少なくとも一つのヌクレオチドが欠失、置換または修飾されるか、または少なくとも一つの追加のヌクレオチドが挿入されて、ヒトκ−カゼインの生物活性を有するポリペプチドをコードするDN
    A配列が得られる点で上記定義のDNA配列と異なる修飾DN
    A配列がある。 他の態様で、本発明は、ヒトκ−カゼイン遺伝子を含有するDNA配列、またはヒトκ−カゼインの活性を有するポリペプチドもしくはその消化フラグメントを発現できる要素を含有する該DNA配列の有効サブ配列、または1)SEQ ID No:1に示すDNA配列またはその特定部分と、
    緊縮ハイブリッド形成条件下でハイブリッドを形成し、
    もしくは2)そのアミノ酸配列がSEQ ID No:2に示すアミノ酸配列と少なくとも85%相同であるポリペプチドをコードし、もしくは3)前記DNA配列の有効サブ配列を構成する、 前記DNA配列の類似配列であって; ヒトκ−カゼインの生物活性を有するポリペプチドをコードするDNA配列に関する。 本発明のこの態様は、とりわけ、アミノ酸配列SEQ ID
    No:2またはその類似配列もしくは変異配列を有しヒトκ−カゼインの生物活性を有するポリペプチドをコードするDNA配列に関する。 一つの実施態様において、そのD
    NA配列は少なくとも一つのイントロン配列を有し、他の実施態様ではそのDNA配列は少なくとも一つの許容RNAスプライスシグナルを含有している。 好ましい実施態様では、そのDNA配列はSEQ ID No:1に示すDNA配列を実質的に含有している。 あるいはそのDNA
    配列、少なくとも一つのヌクレオチドが欠失し、置換されもしくは修飾されているかまたは少なくとも一つの追加のヌクレオチドが挿入されて、ヒトκ−カゼインの生物κ−カゼインに比較して類似しているか、増大しているかまたは減少している生物活性を有するポリペプチドをコードするDNA配列になっているという点で上記定義のDNA配列とは異なる修飾配列である。 本願において用いる場合“遺伝子”という用語は、ポリペプチド連鎖の産生に関与し、かつコーティング領域(5'−上流および3'下流の配列)に先行する領域と続く領域、ならびに個々のコーティングセグメント(いわゆるエキソン)間またはその5'上流または3'下流の領域中に位置する介在配列いわゆるイントロンを有するDNA配列を意味する。 上記の5'上流領域は遺伝子の発現を制御する調節配列、一般にプロモータを含有している。 3'下流領域は、遺伝子の転写の終止に関与する配列、および任意に転写物のポリアデニル化反応に関与する配列と3'
    非翻訳領域を含有している。 上記の調節配列または発現調節配列は、転写を制御するのに加えて、少なくともRNAが転写される程度に、RNA
    の安定性とプロセシングにも寄与する。 このような発現調節配列は、組換えDNAが組織特異的発現または細胞型特異的発現を行うように選択される。
    組織または細胞型が発現を行なうために選択されると、
    5'発現調節配列および任意に3'発現調節配列が選択される。 一般にかような発現調節配列は、選択された組織または細胞型に本来発現される遺伝子から誘導される。 好ましくは、これらの発現調節配列が得られる遺伝子は、
    実質的に選択された組織または細胞型内でのみ発現されるが、他の組織および/または細胞型内での導入遺伝子内の組換えDNAの発現が形質転換動物に対して有害でない場合は、他の組織および/または細胞型内での二次発現も容認される。 特に好ましい発現調節配列は、扱われる動物の種に内在する配列である。 しかし、ヒト遺伝子由来のような他の種由来の発現調節配列も使用できる。
    場合によって、発現調節配列および構造DNA配列(ゲノムもしくはcDNAの配列)は同じ種由来のものであり、例えば各々、ウシの種由来かまたはヒト起源由来のものである。 このようは場合、発現調節配列とDNA配列は互いに相同である。 あるいは、発現調節配列とDNA配列(cDN
    Aもしくはゲノムの配列)は異なる種から得られる。 例えば発現調節配列はウシの種から得られおよびDNA配列はヒトの起源から得られる。 このような場合、発現調節配列とDNA配列は互いに非相同である。 下記の場合は発現調節配列を内在性遺伝子から形成する。 このような形成は非内在性の非相同遺伝子由来の発現調節配列にも適用できる。 一般に、5'発現調節配列は、翻訳開始配列から上流の内在性遺伝子の転写される部分(5'非翻訳領域もしくは
    5'UTR)および機能プロモーターを含有するそれから上流のそれらのフランキング配列を含有している。 本願で用いる場合、“機能プロモーター”という用語は、RNA
    ポリメラーゼが内在性遺伝子に結合するのを指示して転写を促進する必要な非転写DNA配列を含んでいる。 このような配列は一般に、転写開始部位から約25〜30ヌクレオチドの位置にあるTATA配列すなわちTATAボックスを有している。 またTATAボックスは特には近位シグナルと呼ばれる。 多くの場合、プロモーターはさらに、近位シグナル(TATAボックス)の上流に位置し、転写を開始するのに必要な一つ以上の遠位シグナルをもっている。 かようなプロモーター配列は一般に、転写開始部位から上流に位置する最初の100〜200個のヌクレオチド内に含有されているが、転写開始部位から500〜600個のヌクレオチド以上まで延びてもよい。 このような配列は、当該技術分野の当業者にとって容易にわかるかまたは標準の方法で容易に同定することができる。 このようなプロモーター配列は、単独もしくは5'非翻訳領域と組み合わせて、
    本願では“近位置5'発現調節配列”と呼ぶ。 このような近位5'発現調節配列に加えて、追加の5'フランキング配列(本願では“遠位5'発現調節配列”と呼ぶ)も導入遺伝子に含まれている。 かような遠位5'発現調節配列は、内在性遺伝子の発現を容易にする一つ以上のエンハンサーおよび/または他の配列を含有し、その結果遠位と近位の5'発現調節配列に作動可能に連結された構造DNA配列の発現が容易になると考えられる。 これらの5'発現調節配列は、遺伝子発現の空間的および時間的の分布を調節する。 遠位5'発現調節配列の量は、その発現調節配列が誘導される内在性遺伝子によって決まる。 しかし、一般にかような配列は、約1kbの5'フランキング領域を含有し、さらに好ましくは16kbの最も好ましくは約30kbのフランキング領域をもっている。 特定の内在性遺伝子から用いられる遠位5'発現調整配列の最適量の決定は、遠位5'発現調節配列の量を変えて最大の発現を得ることによって容易に行なうことができる。 一般に、この遠位5'発現調節配列は、隣接する遺伝子中に延びるほど大きくはなく、かつ導入遺伝子の発現のレベルに悪影響をあたえるDNA配列を含有していない。 さらに、3'発現調節配列も、組織もしくは細胞型に特異的な発現を補充するために含有させることが好ましい。 このような3'発現調節配列は、適正な内在性遺伝子由来の3'近位と3'遠位の発現調節配列を含有している。
    その3'近位発現調節配列は、組換えDNA配列中の翻訳終止シグナルから下流に位置する転写されるが翻訳されないDNA(3'非翻訳領域または3'UTRと呼ぶ)を含有している。 かような配列は一般にポリアデニル化配列(内在遺伝子またはSV40のような他の起源由来)およびRNAの安定性に影響を与える配列で終止する。 一般に3'UTRは、
    3'調節配列が誘導される遺伝子中の翻訳停止シグナルから下流に約100〜1000個またはそれ以上のヌクレオチドを構成されている。 遠位3'発現調節配列は、近位3'発現調節配列から下流のフランキングDNA配列を含有している。 これら遠位配列のいくらかは転写されるがmRNAの一部分を形成せず、一方この3'遠位発現調節配列の残りの配列は全く転写されない。 かような遠位3'発現調節配列は、発現を促進するエンハンサーおよび/または他の配列を含有していると考えられる。 かような配列は、効率的なポリアデニル化反応を行うのに必要であり、かつ転写終止配列を含有していると考えられる。 好ましくは、
    かような配列は、約2kbの3'フランキング配列を含有し、より好ましくは8kbおよび最も好ましくは約1.5kbの
    3'フランキング配列を含有している。 5'と3'の発現調節配列の両方を使用することが好ましいが、本発明のいくつかの実施態様では、内在性の3'調節配列は使用しない。 このような場合、組換えDNA配列によってコードされるゲノムDNAに通常に結合されている3'近位置発現調節配列を使用してポリアデニル化反応が行われる。 さらに組換えポリペプチドをコードするゲノムDNA由来の遠位3'調節配列も、内在性3'発現調節配列について規定されているのと同量で利用することが好ましい。 このような場合、導入遺伝子がコードする組換えポリペプチドはゲノムDNAまたはcDNA由来の二本鎖DNA
    からなると解すべきである。 5'発現調節配列の場合と同様に、3'発現調節配列の最適量は、組換えポリペプチドを最高に発現させるために、3'フランキング配列の量を変えることによって容易に決定することができる。 一般に、遠位3'調節配列は、内在性遺伝子または非相同の遺伝子由来であるば、それが誘導される隣接遺伝子中には延びず、かつ導入遺伝子の発現のレベルに有害な影響を与えるいずれの配列も排除する。 さらに、本発明の導入遺伝子は、5'と3'の発現調節配列と組換えDNA(ゲノムDNAまたはcDNA由来のDNA)に加えて、導入遺伝子の転写される領域を中断するイントロン配列を含有している。 しかし、組換え介在配列も“ハイブリッド介在配列”を含有している。 かようなハイブリッド介在配列は、非相同もしくは相同の起源からの介在配列由来の5'RNAスプライスシグナルおよび3'RNAシグナルを含有している。 許容RNAスプライスシグナルを含有するかようなハイブリッド介在配列は、組換えDNAがcDNA配列に対応するときに使用するのが好ましい。 上記のことに基づいて、好ましい導入遺伝子は、5'と
    3'の発現調節配列を大量に含有していることは明らかである。 さらに組換えDNAは、長さが数十〜数百kbのゲノムクローンから誘導されたものが好ましい。 DNAをクローン化し操作する現在の方法によれば、導入遺伝子の構築と顕微注射は事実上、長さが約50kb以下の直鎖状DNA
    に限定されている。 しかし本発明の導入遺伝子は、特に長さが約50kbより大きいものを、所望の導入遺伝子の二つ以上のオーバーラップフラグメントを標的の胚細胞に導入することによって容易に生成させることができる。
    オーバーラップフラグメントはこのように導入されると、相同的組換えを受けて、標的細胞のゲノム中に、充分に再構成された導入遺伝子が組込まれる。 一般に、このような導入遺伝子のオーバーラップフラグメントは、
    オーバーラップする領域で100%相同であることが好ましい。 しかし、効率的な相同的組換えが起こるのであれば、低い配列相同性も許容できる。 非相同性が相同配列の一部分の間に存在する場合は、その非相同性は、相同配列の部分全体にわたって広がらずに分離した領域に位置していることが好ましい。 100%相同性の塩基対が14
    個ほどの少数でも哺乳動物の細胞内で相同的組換えを行うのに充分であるが(Rubnitz,J.およびSubramani,S.,M
    ol.Cell.Biol.,4巻、2253〜2258頁、1984年)、相同配列部分は長い方が好ましく、各相同配列部分について、
    例えば500bp、より好ましくは1000bp、さらに一層好ましくは2000bpで、最も好ましくは2000bpより大きい。 本発明の導入遺伝子が、ゲノムDNA由来もしくはゲノムDNAに相当する組換えDNA(または前記ゲノムDNA配列で実質的に構成されている組換えDNA、例えば組換えポリペプチドをコードするコドンの約50%以上、より好ましくは約75%以上、最も好ましくは90%以上がゲノム配列由来の場合)によってコードされている組換えポリペプチドをコードしている場合、形質転換牛乳のモル濃度とタンパク質レベルはcDNAの場合と同じかそれより高い。 一般に、かような形質転換乳中の組みえポリペプチドのモル濃度は、好ましくは約50μMより高く、より好ましくは約150μMより大であり、最も好ましくは約500
    μMより大きい。 形質転換乳のタンパク質のレベルからみて、そのレベルは好ましくは、約1mg/mより大で、
    より好ましくは約2.5mg/mより大であり、最も好ましくは5mg/mより大きい。 形質転換牛乳の上記モル濃度とタンパク質レベルは、
    特定の組換えポリペプチドの分子量によって変化する。
    形質転換牛乳中に組換えポリペプチドを産生させる場合の特別の利点は、原核発現系のような他の系では大量に産生することが特に困難な比較的分子量が大きいポリペプチドを大量に産生することができるということである。 しかし、マウスは乳汁1m当たり55〜80mgのタンパク質を通常産生する。 一方ウシは1m当たり30〜34mgのタンパク質を通常産生する。 組換えポリペプチドの産生量が例外的に高いレベルであると、内在性乳タンパクの産生に有害な影響を与え、および/または哺乳動物の乳腺に悪影響を与えることがあるので、組換えポリペプチドの濃度は、通常の牛乳のタンパク質濃度の約1〜50%
    (すなわち形質転換乳1m当たり約0.3〜17mgの組換えポリペプチド)が好ましく、より好ましくは牛乳中に産生されるタンパク質の通常の量の10〜20%(すなわち3
    〜約7mg/m)であり、最も好ましくは牛乳中に産生されるタンパク質の通常の量の10〜15%(すなわち約3〜
    5mg/m)である。 またこのような好ましい範囲によって、形質転換牛乳に産生されるタンパク質の上記のレベルに好ましい最大限界が与えられる。 遺伝子の“有効サブ配列”という用語は、DNA配列について先に定義したのと同様に解すべきである。 ハイブリッド形成は、以下の実施例の“定義”の項に記載されているように、好ましくは下記のSEQ ID No:1
    に示すDNA配列のコーティング部分からなるプローブに基づいて実施する。 “相同サブ配列”および“有効サブ配列”という用語は上記定義と類似の方式で用いられる。 本発明のDNA配列の類似配列でコードされるポリペプチドは、SEQ ID No:2に示すアミノ酸配列と少なくとも9
    0%相同で例えば少なくとも95%もしくは98%相同である。 本発明のDNA配列の特定の類似配列の例は、イー. コリ(E.coli)のような細菌、酵母、哺乳動物の細胞系または形質転換動物内で発現するよう特に構成されたSEQ
    ID No:1に示すDNA配列の必須部分またはその完全DNA配列で構成されているDNA配列である。 このDNA配列は、適切な調節配列とともに本発明の発現系に挿入されると、
    SEQ ID No:2に示すアミノ酸配列またはその類似配列もしくサブ配列を有するポリペプチドが発現される。 上記のように、SEQ ID No:1に示すDNA配列は、ヒトκ
    −カゼインの単一/複数の機能ドメインならびにこのドメインと天然に結合しているシグナルペプチドを含有するポリペプチドをコードしている。 ほとんどの場合シグナルペプチドが存在することが、DNA配列から発現されるポリペプチドを、それが産生される細胞から移動させるのに前もって必要であるが、使用される特定のシグナルペプチドの性質と起源は変えることができ、ヒトκ−
    カゼインに天然に結合しているシグナルペプチドである必要はない。 したがって、本発明の特に興味深いDNA配列は、SEQ I
    D No:2のアミノ酸21〜182すなわち成熟ヒトκ−カゼインに相当するアミノ酸を含有するポリペプチドをコードするDNA配列である。 ヒトκ−カゼインは、C末端部のセリンとトレオニンの残基において高度にグリコシル化されており、κ−カゼインのこのグリコシル化部分はその分子に抗菌作用を付与すると考えられる。 組換えポリペプチドのグリコシル化は選択される発現系に存在している。 異なる種および/または組織が起源の真核細胞は、グリコシル化の機構が変化することは公知である。 したがって、重要なグリコシル化による修飾を達成するには、翻訳後に適切なグリコシル化の修飾を行う性能を有する、組換え分子産生用の宿主生物を選択することが大切である。 しかし、宿主生物のグリコシル化機構を改変できる方法も利用できる。 このことは、宿主生物、例えば宿主細胞もしくは形質転換動物のゲノムを、組換え遺伝子因子の導入で変化させることによって実施することができる。 これらの遺伝子因子は、追加のもしくは修飾されたグリコシルトランスフェラーゼもしくは他の関連酵素をコードしてそれらの発現を仲介するか、または内在性グリコシルトランスフェラーゼもしくは次の関連酵素の機能を阻害することができる。 この阻害は、内在性グリコシルトランスフェラーゼ遺伝子の機能を破壊するか、または内在性グリコシルトランスフェラーゼmRNA種に相補的であり、したがってアンチセンスRNAとして機能するR
    NA配列をコードするベクターを導入することによって達成することができる。 修飾されたDNA配列がコードするポリペプチドは通常、ヒトκ−カゼインのアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を有する。 本発明の修飾DNA配列は、ヒトκ−カゼインもしくはその消化フラグメントと比べて改変された活性または他の類似の重要な活性を有する新規なポリペプチドを製造する際に重要である。 “置換”が行われる場合、全ヌクレオチド配列中の一つ以上のヌクレオチドが一つ以上の異なるヌクレオチドで置換される。 “付加”が行われる場合、全ヌクレオチド配列のいずれかの末端に一つ以上のヌクレオチドが付加される。 “挿入”が行われる場合、全ヌクレオチド配列内に一つ以上のヌクレオチドが挿入される。 そして、
    “欠失”が行われる場合、配列のいずれかの末端または配列内のいずれかの適切な場所にかかわらず全ヌクレオチド配列から一つ以上のヌクレオチドが欠失する。 修飾DNA配列は、公知の方法例えば部位特異的な突然変異誘発を利用することによって得ることができる。 本発明の重要な修飾DNA配列の例は、グリコシル化および/またはリン酸化されるべき残基の数が増大しているポリペプチドをコードする修飾DNA配列が得られるようにセリンもしくはトレオニンの残基をコードする追加のコドンが挿入されたDNA配列である。 これらの追加の残基は、本発明のDNA配列のいずれかの末端もしくは該配列内に付加するか、または本発明のDNA配列に存在する一つ以上の非セリンもしくは非トレオニンのコドンを置換することによって挿入される。 このような修飾DNA
    配列がコードするポリペプチドはグリコシル化度およびリン酸化が高いと考えられる。 かような修飾DNA配列から産生されるポリペプチドは、例えば当該技術分野で公知の方法で医薬として許容できる担体もしくは賦形剤と混合して栄養補給剤および/または医薬として用いることができる。 興味深い修飾DNA配列の他の例は、SEQ ID No:2に示すのとは異なるアミノ酸配列を有する天然酸ヒトκ−カゼイン変異体のアミノ酸配列をコードするDNA配列である。 これを得るには、関連するアミノ酸残基の交換/除去を行う特定のオリゴヌクレオチドのプローブを用いて、部位特異的突然変異誘発が行われる。 上記定義の本発明のDNA配列の他の重要な用途は、一方ではSEQ ID No:2に示すアミノ酸配列または上記定義のようなその類似配列もしくはサブ配列からなるポリペプチド、ならびに他方では他の起源のポリペプチド例えば人乳タンパク質のごとき他の乳タンパク質のポリペプチドもしくはペプチド部分である例えばα−ラクトアルブミン、またはウシκ−カゼインのごときウシもしくはヒツジの乳タンパク質のような乳タンパク質を含有する融合タンパク質を製造する際の用途である。 この融合タンパク質は、本発明のDNA配列を、その融合タンパク質の残りの部分をコードするDNA配列および適正な調節配列と、その融合タンパク質の発現を起こさせる方式で融合することによって製造することができる。 本願で述べる本発明のDNA配列は、天然のDNA配列および合成のDNA配列を含有し、その天然の配列は一般に、
    例えば下記のような哺乳動物の起源のcDNAもしくはゲノムDNAから直接誘導される。 合成の配列は、合成によってDNA配列を製造する通常の方法で製造することができる。 勿論本発明のDNA配列は、cDNAとゲノム起源の混合、cDNAと合成起源の混合、およびゲノム起源と合成起源の混合でもよい。 またRNA配列は先に述べたのと同様にして利用することができる。 本発明による配列、サブ配列、類似配列およびポリペプチドに対して本願で用いられる“配列”、“サブ配列”、“類似配列”および“ポリペプチド”という用語は、勿論、その天然の環境内ではこれらの現象を含まず、例えば生体外で単離精製された形態かもしくは組換え形態でこれらの現象を含んでいると解すべきである。
    本発明のDNA配列が引用された場合は、上記の“類似配列”、“サブ配列”および“修飾配列”を含むと解すべきである。 同様に“本発明のポリペプチド”が引用された場合は以下に定義するいずれかのポリペプチドも含まれると解すべきである。 他の重要な態様で、本発明は上記定義の本発明のDNA
    配列によってコードされるポリペプチドに関する。 本発明の特に興味深いポリペプチドは、SEQ ID No:2に示すアミノ酸配列またはそのサブ配列からなり、ヒトκ−カゼインの生物活性を有する組換えヒトκ−カゼインポリペプチドである。 前記アミノ酸配列の重要なサブ配列からなる重要なポリペプチドの例は、シグナルペプチドなしの成熟組換えヒトκ−カゼインに相当する、SEQ ID N
    o:2に示すアミノ酸配列のアミノ酸残基21〜182からなるポリペプチドである。 上記の開示から明らかなように、本発明の他の興味深いポリペプチドは、SEQ ID No:2に示すアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を有しかつヒトκ−カゼインの活性と比べて生物活性が類似もしくは増人しているポリペプチドが得られるように、少なくとも一つのアミノ酸配列が異なるアミノ酸残基で置換されたことおよび/または少なくとも一つのアミノ酸残基が欠失しもしくは不可されたことが異なる、SEQ ID No:2に示すアミノ酸配列からなるポリペプチドとは異なるポリペプチドである。
    本発明の修飾ポリペプチドを設計して製造する方策の例は以下の開示から明らかになる。 本発明のさらに他の興味深いポリペプチドは、少なくとも一つのアミノ酸残基がグリコシル化、リン酸化、アシル化またはメチル化のような翻訳後の修飾反応によって修飾されたポリペプチドである。 明らかに本発明のポリペプチドは、2種以上の翻訳後の修飾に付することができる。 本発明のある種の好ましい実施態様では、本発明のポリペプチドは好ましくはグリコシル化された形態である。 通常グリコシル化は、ポリペプチドが、上記のように、酵母または好ましくは哺乳動物のような高等生物の細胞で発現されると達成される。 グリコシル化は通常、アミノ酸残基のAsn,Ser,Thrまたはヒドロキシリジンについて見られる。 別の態様で、本発明は、ヒトκ−カゼインをコードするDNA配列を保有しかつその配列の発現を仲介できる複製可能な発現ベクターに関する。 本願において、“複製可能の”という用語は、ベクターが、導入された所定のタイプの宿主細胞内で複製可能であることを意味する。 ヒトκ−カゼインDNA配列のすぐ上流にはシグナルペプチドをコードする配列があり、
    このペプチドが存在すると該ベクターを保有する宿主細胞によって発現されるヒトκ−カゼインの分泌が保証される。 このシグナル配列は、ヒトκ−カゼインDNA配列と天然に結合しているものまたは他の起源のものでもよい。 本発明のベクターは通常組換えDNA法に付すことができるベクターであり、ベクターの選択は、そのベクターが導入される宿主細胞によってきまることが多い。 したがって本発明のベクターは、自己複製ベクターすなわち染色体外構成要素として存在するベクターであり、その複製は染色体の複製とは無関係であり、このようなベクターの例は、プラスミド、ファージ、コスミド、ミニクロモソームまたはウイルスである。 あるいは本発明のベクターは、宿主細胞に導入されると、宿主細胞のゲノムに組み込まれて、その組み込まれた染色体とともに複製するベクターでもよい。 適切なベクターの例は、実施例5に例示されているような細菌発現ベクターおよび実施例6に例示れているような哺乳動物の細胞系内で発現するように設計された発現ベクターである。 本発明のベクターは、上記定義の本発明のDNA配列のいずれかを保有し、かつ上記定義の本発明のポリペプチドのいずれかを発現するのに用いられる。 したがって本発明は、pS330,339,415および425と命名されかつDSM 7410,DSM 7411,DSM 7412およびDSM 7413という受託番号で、ブダペスト条約の規定にしたがって、
    Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkult
    uren GmbH(DSM)のコレクションに、1993年1月20日付けて寄託された発現ベクター;ならびに前記の寄託された発現ベクターのDNA配列と異なるがヒトκ−カゼインの生物活性を有する同じポリペプチドまたはその類似体もしくは変位体をコードするDNA配列を発現し、かつ上記定義のように複製可能な発現を行う発現ベクターであって、発現されるDNA配列が、κ−カゼインの生物活性を有するポリペプチドをコードするDNA配列になるように、少なくとも一つのヌクレオチドが欠失し、置換されたもしくは修飾されたかまたは少なくとも一つの追加のヌクレオチドが挿入された点で前記の寄託されたベクターのDNA配列と異なっている発現ベクター;からなる群から選択される複製可能な発現ベクターに関する。 さらに、本発明は、pS270と命令され、ブダペスト条約の規定にしたがって、Deutsche Sammlung von Mikroo
    rganismen und Zellkulturen GmbH(DSM)のコレクションに1992年1月20日付けで受託番号DSM 6878で寄託されたプラスミド;pS459およびpS460と命名されブタペスト条約の規定にしたがってDeutsche Sammlung von Mikroo
    rganismen und Zellkulturen GmbH(DSM)のコレクションに1993年1月20日付けで受託番号DSM 7414およびDSM
    7415で寄託されたプラスミド;ならびにSEQ ID No:1に示すDNA配列とは異なるがヒトκ−カゼインの生物活性を有するSEQ ID No:2に示すポリペプチドまたはその類似体もしくは変異体をコードするDNA配列、または緊縮ハイブリッド形成条件下でDNA配列SEQ ID No:1もしくはその一部分とハイブリッドを形成するDNA配列を有するプラスミド;からなる群から選択されるプラスミドに関する。 さらに本発明は上記定義の複製可能な発現ベクターを保有する細胞に関する。 原則としてこの細胞はいずれのタイプの細胞でもよい。 すなわち、例えばイー. コリのような細菌のごとき原核細胞、単細胞の真核生物、真菌類もしくは酵母例えばサッカロミセスセレビシエ、または多細胞生物例えば哺乳動物由来の細胞である。 哺乳類動物の細胞は本発明の目的のために特に適しており以下に考察する。 他の重要な態様で、本発明は、ヒトκ−カゼインをコードするDNA配列を、特定の宿主細胞内で複製可能なベクター中に挿入し、得られた組換えベクターを宿主細胞の中に導入し、その宿主細胞を、ヒトκ−カゼインを発現させるのに適切な条件下でかつ適切な培地内もしくは培地上で増殖させ、次いでヒトκ−カゼインを回収することからなる組換えヒトκ−カゼインの製造方法に関する。 該細胞を増殖させるのに使用する培地は、本発明の目的を達成するのに適切な通常のいずれかの培地でもよい。 適切なベクターは上記ベクターのいずれかであり、
    適正な宿主細胞は上記細胞のタイプのどれでもよい。 ベクターを構築しそれを宿主細胞中に導入するのに用いる方法は、組換えDNAの技術分野内でかような目的のために知られている方法であり、その例は実施例5と6に示す。 宿主細胞によって発現される組換えヒトκ−カゼインは分泌され、すなわち細胞のタイプとベクターの構成によって、細胞膜を通過して放出される。 上記の方法は、上記定義の本発明のポリペプチドのいずれかをすなわち本発明のDNA配列に基づいて製造するのに同様に有用である。 ヒトκ−カゼインが組換え宿主によって細胞内で産生される場合、すなわち細胞が分泌しない場合は、該カゼインは、機械的手段、例えば音波処理もしくはホモジナイゼーションによるかまたは酵素もしくは化学的手段によって細胞を破壊し、次いで精製することからなる標準の方法で回収することができる。 分泌させるには、ヒトκ−カゼインをコードするDNA
    配列の前にシグナルペプチドをコードする配列を先行させねばならない。 このシグナルペプチドが存在することによってヒトκ−カゼインの細胞からの分泌が確実に行われ、その結果、発現されるヒトκ−カゼインの少なくともかなりの量が培養培地に分泌され、回収される。 したがって、別の態様で本発明は、特定の宿主細胞内で複製可能なベクター中に上記DNA配列を挿入し、得られた組換えベクターを宿主細胞中に導入し、得られた細胞を適切な培養培地中もしくは培養培地上で本発明のポリペプチドを発現する適正な条件下で増殖させ次いで該ポリペプチドを回収することからなる本発明のポリペプチドの製造方法に関する。 したがって、特定の実施態様で本発明は、アミノ酸配列SEQ ID No:2またはその類似配列もしくは変異配列を有しかつヒトκ−カゼインの生物活性を有する組換えポリペプチドを、このポリペプチドを実質的に細胞内で産生する哺乳動物、細菌もしくは酵母の細胞から単離する方法であって;組換えポリペプチドを保有する細胞を培養培地から分離し、分離された細胞を破壊してその組換えポリペプチドの含有物を放出させ、任意に、破壊された細胞の混合物から細胞の断片を除き、次いでポリペプチドを単離することからなる方法に関する。 他の実施態様で、本発明は、ヒトκ−カゼインが細菌、哺乳類動物または酵母の細胞の培養物から単離されかつヒトκ−カゼインは実質的に細胞外に産生される方法に関し、この方法は、特に上記のようにして実施することができ、上記の分離と破壊のステップは、細菌、哺乳動物もしくは酵母の細胞を培養培地から除くステップと取替えられる。 また本発明は、SEQ ID No:2中のアミノ酸配列21−182
    またはその類似配列もしくは変異配列を有しヒトκ−カゼインの生物活性を有する組換えポリペプチドならびにアミノ酸配列SEQ ID No:2または前記アミノ酸配列の類似配列もしくは変異配列のサブ配列を有する組換えポリペプチドであって、生成したポリペプチドがヒトκ−カゼインの生物活性を有する組換えポリペプチドに関する。 さらに本発明は、SEQ ID No:2に示すアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を有しかつヒトκ−カゼインの生物活性を有するポリペプチドが得られるように、少なくとも一つのアミノ酸残基が異なるアミノ酸残基で置換されおよび/または少なくとも一つのアミノ酸残基が欠失または付加された本発明のポリペプチドに関する。 特に本発明は、少なくとも一つのアミノ酸残基が、グリコシル化のような翻訳後の修飾によって修飾された本発明の組換えポリペプチドに関する。 細菌もしくは酵母のような低級生物または哺乳動物の細胞系を、いくつかの目的のための産生生物として用いて、前述のようにおよび実施例5もしくは6に記載されているようにしてヒトκ−カゼインを組換え生産することは、例えばヒトκ−カゼインの収率が中程度で充分な場合、短期間の産生が望ましい場合、またはタンパク質特に乳タンパク質のような他の哺乳類由来の物質を実質的に含有しない高純度のヒトκ−カゼインが所望の場合には満足すべきものであるが、本発明の組換えヒトκ−
    カゼインの本発明の好ましい製造方法は、ヒトκ−カゼインをその乳汁中に放出することができる非ヒト形質転換哺乳動物を使用する方法である。 非ヒトの形質転換哺乳動物を使うと、大収量の組換えヒトκ−カゼインを妥当なコストで得ることができ、そして特に非ヒト哺乳類がウシ、ヤギ、ヒツジ、ラマ、ラクダ、マウス、ラット、ウサギまたはブタの場合、例えば乳児用調合乳の通常の成分である乳汁中に組換えヒトκ−カゼインが産生され、そのためその組換えヒトκ−カゼインが乳汁ベースの製品の栄養補給剤として使用されるときは大がかりな精製は必要がないという利点がある。 さらに非ヒト哺乳類のような高等動物中で産生されると通常、例えば上記の翻訳後のプロセシングおよび適切な折り畳み(fold
    ing)について哺乳類タンパク質の適切なプロセシングがなされる。 また実質的に純品のヒトκ−カゼインを大量に得ることができる。 したがってさらに重要な態様で本発明は、非ヒト哺乳類の成熟雌の乳腺中で発現可能なハイブリット遺伝子を形成するように、哺乳類の乳タンパク質をコードする遺伝子中に挿入されたヒトκ−カゼインをコードするDNA
    配列を有する哺乳類の発現系に関する。 ヒトκ−カゼインをコードするDNA配列は、好ましくはSEQ ID No:2に示すアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする上記DNA配列、またはヒトκ−カゼイン遺伝子またはその類似遺伝子もしくは有効なサブ配列である。 発現組織としての乳腺および乳タンパク質をコードする遺伝子は一般に、乳タンパク質は乳腺中で高い発現レベルで天然に産生されるので、非ヒト形質転換動物内で異種のタンパク質を産生されるため用いるのに特に適切であると考えられる。 また乳汁は集めることが容易で大量に入手できる。 この点について、組換えヒトκ−カゼインを製造するのに乳タンパク質の遺伝子を使用することは、さらに、該カゼインが、発現の調節と産生場所(乳腺)によって天然の産生条件に類似の条件下で産生されるという利点がある。 本願で用いる“ハイブリット遺伝子”という用語は、一方では前記定義のようなヒトκ−カゼインをコードするDNA配列を有しそして他方ではハイブリット遺伝子の産生の発現を仲介できる乳タンパク質遺伝子のDNA配列を有するDNA配列を意味する。
    “乳タンパク質をコードする遺伝子”または“乳タンパク質遺伝子”という用語は、問題の組織すなわち乳腺にハイブリット遺伝子の発現を仲介しおよび目標にすることができる全遺伝子ならびにその有効サブ配列を意味する。 乳タンパク質遺伝子はβ−ラクトグロブリン、α−
    ラクトアルブミンまたカゼインの遺伝子でもよいが、乳清の酸性タンパク質遺伝子が特に好ましい。 通常、有効なサブ配列は、一つ以上のプロモータ領域、転写出発部位、3'と5'の非コーディング領域および構造配列を少なくとも含有するサブ配列である。 ヒトκ−カゼインをコードするDNA配列は例えばベクター配列のような原核配列を実質的に含有していない方ガ好ましく、これらの配列は、例えば、そのクローン後に、上記DNA配列と結合することがある。 ハイブリッド遺伝子は、当該技術分野で公知の方法を用いて、ヒトκ−カゼインをコードするDNA配列を乳タンパク質遺伝子に生体外で挿入することによって作ることが好ましい。 あるいはヒトκ−カゼインをコードする
    DNA配列は、相同的組換え法によって生体内で挿入することができる。 通常ヒトκ−カゼインをコードするDNA配列は、選択された乳タンパク質遺伝子の第一エキソンのうちの一つか、または第一エキソンおよび好ましくは調節を行うのに重要であると考えられる5'フランキング配列の実質的な部分を含有する該遺伝子の有効なサブ配列に挿入される。 ハイブリッド遺伝子は好ましくは、ハイブリッド遺伝子の産物が乳腺中に正しく分泌されるようにシグナルペプチドをコードする配列を有している。 このシグナルペプチドは一般に、問題とする乳タンパク質遺伝子中に通常見られるシグナルペプチドまたはヒトκ−カゼインをコードするDNA配列と結合しているシグナルペプチドである。 しかしハイブリッド遺伝子の産物の乳腺中への分泌を仲介できる他のシグナル配列も適切なものである。
    勿論、ハイブリッド遺伝子の各種要素は、その遺伝子産物を正しく発現しプロセシングを行えるような方式で融合しなければならない。 したがって、選択されたシグナルペプチドをコードするDNA配列は通常ヒトκ−カゼインをコードするDNA配列のN末端部分に正確に融合しなければならない。 ハイブリッド遺伝子中、ヒトκ−カゼインをコードするDNA配列は通常その終止コドンを含有しているがそれ自体のメッセージクリーバンス(messag
    e cleavance)とポリアデニル化部位をもっていない。
    ヒトκ−カゼインをコードするDNA配列の下流に、乳タンパク質遺伝子のmRNAプロセシング配列が通常保持されている。 多数の因子が特定のハイブリッド遺伝子の実際の発現レベルに関与していると考えられる。 プロモーターおよび上記の他の調節配列の性能、哺乳動物のゲノム中の発現系を組み込む部位、乳タンパク質をコードする遺伝子中のヒトκ−カゼインをコードするDNA配列を組込む部位、転写後の調節を行う要素、および他の類似の因子が、得られる発現レベルに対して極めて重要である。 ハイブリッド遺伝子の発現レベルに影響する各種の因子の知見に基づいて、当該技術分野の当業者は、本発明の目的を達成するのに有用な発現系をどのように設計するか分かっているであろう。 各種の異なる乳タンパク質が乳腺によって分泌される。 二つの主要グループの乳タンパク質が存在している。 すなわちカゼイン類と乳清タンパク質類である。 異なる種由来の乳汁の組成はそのタンパク質について定性的および定量的に変動する。 非ヒト哺乳動物は大部分が、3種の異なるタイプのカゼインすなわちα−カゼイン、β−カゼインおよびκ−カゼインを産生する。 もっとも普通のウシ乳清タンパク質は、α−ラクトアルブミンとβ−ラクトグロブリンである。 各種の起源の乳汁の組成はさらに詳細にClarkらの1987年の文献に開示されている。 使用される乳タンパク質遺伝子は、発現系が挿入されるのと同じ種由来のものか、または他の種由来のものでもよい。 この点について、乳腺に遺伝子を発現することを目的とする調節要素は、線の境界を越えて機能を有していることが報告されている(祖先が共通している可能性が原因かもしれない)(Hennighausenらの1990年の文献)。 本発明の発現系の構築に使用するのに適切な乳タンパク質をコードする遺伝子またはその有効なサブ配列は通常、各種の哺乳動物起源の乳清タンパク質遺伝子、例えば好ましくはねずみ起源の乳清酸性タンパク質(WAP)
    遺伝子、および好ましくはヒツジ起源のβ−ラクトグロブリン遺伝子中に見られる。 また各種の起源のカゼイン遺伝子例えばウシaS1−カゼインおよびウサギβ−カゼインの遺伝子が、ヒトκ−カゼインの形質転換産生を行うのに適している。 本発明に用いるのに好ましい遺伝子はマウスのWAP遺伝子である。 というのはこの遺伝子は、各種の形質転換動物の乳汁中に多数の異種のヒトタンパク質を高レベルで発現することができることが見出されているからである(Hennighausenらの1990年の文献)。 好ましくは本発明の発現系に連結される他の配列は、
    高レベル発現を仲介することができる所謂発現安定化配列である。 このような安定化配列は乳タンパク質遺伝子の近くの上流に見られるという強い徴候がある。 本発明の発現系中に挿入すべきヒトκ−カゼインをコードするDNA配列は、cDNAの配列でゲノムもしくは合成物起源またはそれを組合わせたものである。 所望のタンパク質をコードするcDNAを用いたとき、いくつかの発現系は最高に機能することが知られているが、他の配列は満足すべき発現を得るにはイントロンなどの調節領域の存在が必要であることが見出されている(Hennighausen
    らの1990年の文献)。 場合によっては、ベクター構造中に、cDNA要素に匹敵するゲノム構造を導入することが有利である(Brinsterらの1988年の文献)。 上記のイントロンとエキソンの構造体によって、cDNAベースのベクターを用いたときより一層高度に安定した状態のmRNAレベルが得られる。 本発明において、“イントロン”という用語には、天然のイントロンの全体またはその一部分が含まれる。 別の態様で、本発明は、哺乳動物の乳タンパク質をコードする遺伝子中に挿入したヒトκ−カゼインをコードするDN
    A配列を有するハイブリッド遺伝子に関し、そのDNA配列は、該ハイブリッド遺伝子を保有する非ヒト哺乳類の成熟雌の乳腺中で発現可能な方式で乳タンパク質遺伝子に挿入される。 このハイブリッド遺伝子とその成分は、さきに、詳細に考察されている。 このハイブリッド遺伝子は、前述の本発明の発現系を構築する際の重要な中間体を構成している。 他の態様で、本発明は上記定義の発現系を保有する非ヒト哺乳類の細胞に関する。 その哺乳類の細胞としては胚細胞または前核が好ましい。 発現系は以下に説明する方法を用いて哺乳類の細胞に適切に挿入される。 他の重要な態様で、本発明は、上記定義の本発明の発現系を哺乳類の受精卵もしくは胚の細胞に注入してその哺乳類の生殖細胞系中に該発現系を組込み、次いでその得られた注入された受精卵もしくは胚を成熟雌哺乳類中で発育させることからなる。 ヒトκ−カゼインを発現することができる非ヒト形質転換哺乳動物の製造方法に関する。 さらに重要な態様で、本発明はアミノ酸配列SEQ ID N
    o:2またはその類似配列もしくは変異配列を有しかるヒトκ−カゼインの生物活性を有するポリペプチドを発現できる非ヒト形質転換哺乳動物の製造方法であって、上記ポリペプチドをコードするDNA配列を非ヒト哺乳動物のゲノム中の染色体に組込む方法に関する。 別の実施態様で、本発明は、βカゼインをコードする別のDNA配列またはその類似配列、変異配列もしくはサブ配列を非ヒト哺乳動物のゲノム中の染色体に組込むことからなる、上記の方法の改変法に関する。 この改変は、β−カゼインをコードするDNA配列またはその類似配列、変異配列もしくはサブ配列に限定すべきではなく、特に、所望の組換えポリペプチドをコードするあらゆる適切なDNA配列が含まれる。 したがって本発明は、κ−カゼインをコードするDNA
    またはその類似配列、変異配列もしくはサブ配列を有する発現系、およびβ−カゼインをコードする別のDNA配列またはその類似配列、変異配列もしくはサブ配列を哺乳類の受精卵もしくは胚細胞に注入して該発現系を該哺乳類の生殖細胞系中に組込み、次いでその得られた注入された受精卵もしくは胚を成熟雌の哺乳動物中で成育させることからなる方法に関する。 他の重要な実施態様で、本発明は、1)哺乳動物の内在性ポリペプチド発現性性能を破壊して内在性ポリペプチドが実質的に発現されないようにし、次いでアミノ酸配列SEQ ID No:2またはその類似配列もしくは変異配列を有しかつヒドκ−カゼインの生物活性を有するポリペプチドが該哺乳動物中に発現されるような方式で、本発明の発現系を該哺乳動物の生殖細胞系に挿入し、および/または2)内在性ポリペプチドまたはその部分をコードする遺伝子を本発明の発現系で置換して、前記非ヒト哺乳動物を対応する内在性ポリペプチドを実質的に発現できないようにすることからなる方法に関する。 別の実施態様で、本発明は、2種以上の内在性ポリペプチドを発現する性能が破壊される上記定義の方法に関する。 これらの内在性ポリペプチドはα、βもしくはκ−カゼインのような一つ以上のカゼインであるがこれらのポリペプチドには限定されない。 内在性ポリペプチド発現性能を破壊する方法は、2種以上の組換えポリペプチドを発現する方法と組合わすことができることは明らかである。 本発明の“非ヒト哺乳動物”には、“所望の表現型”
    を有する“非ヒト形質転換哺乳動物”を産生できるすべての非ヒト哺乳動物が含まれる。 このような哺乳動物には、非ヒト霊長類、マウスの種、ウシの種、イヌの種などが含まれる。 好ましい非ヒト動物としてはウシ、ブタおよびヒツジの種が挙げられるが、最も好ましいのはウシの種である。 非ヒト形質転換哺乳動物に対する望ましい表現型は、
    限定されないが、雌の非ヒト形質転換哺乳動物の乳汁中に組換えポリペプチドを産生することである。 本発明の非ヒト形質転換哺乳動物は、選択された動物の標的胚細胞に“導入遺伝子”を導入することによって産生される。 本発明の一つの態様で、導入遺伝子は、非ヒト形質転換動物の細胞のゲノムに入れたときに所望の表現型を産生できるDNA配列である。 特定の実施態様では、導入遺伝子は、“組換えポリペプチド”をコードする“組換えDNA配列”で構成されている。 このような場合、導入遺伝子は発現されて組換えポリペプチドを産生することができる。 哺乳動物の生殖細胞系への発現系の組込みはあらゆる適切な方法を用いて実施することができる。 例えば、Ho
    gan B.Constantini,F.およびLacy,E.,“Manipulating t
    he Mouse Embryo",A Laboratory Manual,Cold Spring H
    arbor Laboratory Press,1986年または国際特許願公開第WO91/08216号に記載されている方法がある。 標的の胚細胞に、導入遺伝子を導入または導入遺伝子のフラグメントをオーバーラップさせる方法には、非ヒト動物の受精卵母細胞の前核もしくはES細胞の核に導入遺伝子を顕微注射する方法がある。 マウスの種に対するこのような方法は当該技術分野の当業者にとって公知の方法である。 あるいは導入遺伝子は、導入遺伝子を含有するレトロウイルスを有する接合体を感染させることによって動物に導入することができる(Jaenisch,R.,Pro
    c.Natl.Acad.Sci.USA,73巻、1260〜1264頁、1976年)。
    好ましい方法は受精卵母細胞へ顕微注入する方法である。 この好ましい実施態様では、まず受精卵母細胞が標準方法で顕微注入される。 次いでこれらの細胞は、“着床前の胚”が得られるまで生体外で培養される。 このような着床前の胚は約16〜150個の細胞を含有しているものが好ましい。 16〜32個の細胞段階の胚は通常、桑実胚と呼ばれている。 33個以上の細胞を含有するこれら着床前の胚は通常、胚盤胞と呼ばれている。 胚盤胞は、一般に64個の細胞の段階で胞胚腔の空洞が発生するのを示す特徴がある。 受精卵母細胞を着床前の段階まで培養する方法としては以下の文献に記載されたものがある。 マウスの胚に関するGordonら、Methods in Enzymology,101
    巻、414頁、1984年および“Manipulating the Mouse Em
    bryo",Cold Spring Harbor Laboratory Press,米国、ニューヨーク州、コールドスプリングハーバー1986年中の
    Hoganらの報告;ウサギとブタの胚に関するHammerら、N
    ature,315巻、680頁、1985年;ヒツジの胚に関するGand
    olfiら、J.Reprod.Fert.,81巻、23〜28頁、1987年およびRexroadら、J.Anim,Sci.,166巻、947〜953頁、1988
    年;ならびにウシの胚に関するEyestone,WHら、J.Rep
    rod.Fert.,85巻、715〜720頁、1989年、Camousら、J.Re
    prod.Fert.,72巻、779〜785頁、1984年、およびHeyman
    ら、Theriogenology,27巻、5968頁、1987年である。 かような着床前の胚は次いで標準方法によって適切な雌に転移させて、導入遺伝子が導入されるときの発育の段階によって、形質転換動物またはキメラ動物を出生させることができる。 よく知られているように、モザイク動物を交配させて真の生殖細胞系形質転換動物を得ることができる。 導入遺伝子が組込まれる頻度は低いことが多いので、
    着床前の胚に導入遺伝子が組込まれているのを検出することが非常に望ましい。 本発明の一つの態様で、遺伝子導入(transgenesis)が起こったので、形質転換胚の着床を行って形質転換動物を作ることができる胚を同定する方法が提供される。 この方法では、一個以上の細胞が着床前の胚から除かれる。 等分裂(equal division)を利用する場合、胚は桑実胚期(32個の細胞)を超えて培養しない方が好ましい。 着床前の胚が分裂すると(Will
    iamsら、Theriogenology,22巻、521〜531頁、1984年に概説されている)2個の“半胚(hemi−embryo)”が生成し(半桑実胚または半胚盤胞)、その中の一つは適切な雌に着床した後出産予定日まで子宮内で発育させることができる。 着床前の胚の等分裂が好ましいが、かような胚は、必ずしも細胞数が等しくない二つの半胚に意図的もしくは非意図的に不均等に分裂することがあると解すべきである。 特に必要なことは、上記胚のうちの一つで以下に述べるように分析されない胚が子宮内で臨月まで発育するのに充分な細胞数をもっているということである。 特定の実施態様では、本願で述べるように分析されない半胚を、遺伝子が導入されて形質転換されていることが分かったならば、非ヒト形質転換動物のクローン集団を生成させるのに使用される。 着床前の胚の分裂で生成した各半胚のうちの一つは、
    導入遺伝子がその生物のゲノムに組込まれたか否かを決定するために分析される。 残りの半胚は各々、次いでその種の受容者の雌に着床させるのに用いるために保持される。 組込まれた導入遺伝子を含有する着床前の胚の同定は、各半胚の一つからのDNAを分析することによって行われる。 そのDNAは一般に該半胚を溶解し、こうして放出されたDNAを実施例8に記載したようにして分析することによって得られる。 ポリメラーゼ連鎖反応を利用して導入遺伝子の全部または一部を増幅する。 全導入遺伝子を増幅するときは、導入遺伝子の反対側の末端における反対側のストランドに各相補的な2個の拡張プライマーを増幅に使用する。 一般に半胚から増幅したDNAは電気泳動に付し、次に、前記の2個の拡張プライマー間の導入遺伝子の領域に相補的な標識付きプローブとハイブリッドを形成させる。 このようにすると増幅されたDNA
    配列の大きさが測定し易くなり、そして半胚が得られた(ここでは“形質転換半胚”と呼ぶ)着床前の胚の中に導入遺伝子が組込まれたか否かが提示される。 分析された半胚が導入遺伝子をもっていたならば、残りの未処理の形質転換半胚を受容者の親に着床させる。 子宮内で発育させた後、組込まれた導入遺伝子で与えられる所望の表現型を有する非ヒト形質転換動物は、子宮内もしくは出産後に適切な方法で同定される。 着床前の胚への遺伝子導入を検出する上記の方法によって、非ヒト形質転換動物を経済的にかつ時間を節約して生成させる方法が提供される。 なぜならば上記の検出法によって、形質転換動物を産生するのに必要な妊娠の回数が減少し、かつ着床させた胚が非ヒト形質転換動物を産生する可能性がかなり増大するからである。 上記の方法は遺伝子導入の頻度が非常に低いかまたは全くゼロであった動物例えばウシの種にとっては特に重要である。 別の実施態様では、着床前の胚への遺伝子導入を検出する上記の方法に形質転換胚のクローン集団を生成させるクローン化ステップを組合わせる。 得られたクローン集団はその後、受容者の雌に着床させて同じ遺伝子型を有する非ヒト形質転換動物のクローン集団を産生させる。 この点については、形質転換胚および/または形質転換非ヒト動物が同じ“遺伝子型”をもっているということは、そのゲノムDNAが、胚および/または形質転換動物の集団の個体間で実質的に同一であるということを意味する。 しかし、有系分裂中に、各種の体細胞突然変異が起こり、一つ以上の細胞および/または動物の遺伝子型が変化することがあると解すべきである。 したがって同じ遺伝子型を有する集団が、個体または分集団(su
    bpopulation)の変化を示すことがある。 半胚は、形質転換半胚として同定された後、クローン化される。 このような胚のクローン化はいくつもの異なる方法で行うことができる。 一つのクローン化法では、
    形質転換半胚を、着床前の段階で個々の卵母細胞を培養するのに用いたのと同じかまたは類似の培地中で培養する。 このようにして形成された“形質転換胚”(好ましくは形質転換桑実胚)を次に“形質転換半胚”に分裂させる。 そしてこの形質転換半胚は次に受容者の雌に着床させて、二つの非ヒト形質転換動物のクローン化集団を形成させることができる。 あるいは、得られた二つの形質転換半胚を再び着床前の段階まで培養し、分裂させ次いで形質転換胚の段階まで再培養する。 同じ遺伝子型を有するクローン形質転換胚の所望数が得られるまで上記の方法を繰返す。 このような形質転換胚を次に受容者の雌に着床させて非ヒト形質転換動物のクローン集団を産生させることができる。 好ましいクローン化法では、Pratherら、Biol.Repro
    d.,37巻、859〜866頁、1987年;Robleら、J.Anim.Sci.,6
    4巻、642〜664頁、1987年の方法にしたがい核トランスファー(nucleartransfer)によって、形質転換胚をクローン化する。 この方法によれば、形質転換胚の核を脱核卵母細胞に移植し、その各細胞は次に胚盤胞の段階まで培養される。 この時点で、形質転換胚は、核移植法によってさらにラウンドクローン化を行うか、または受容者の親にトランスファーして同じ遺伝子型を有する形質転換された子孫を産生させることができる。 早期遺伝子導入を検出する前述の方法に加えて、他の方法を遺伝子導入の検出に使用できる。 このような方法に組織を子宮内および出産後に分析する方法がある。 子宮内での分析はいくつもの方法で行われる。 その中の一つの方法では羊膜腔の経腔穿刺がエコースコープの案内によって行われる(Bongsoら、Vet.Res.,96巻、124〜12
    6頁、1975年;Rumseyら、J.Anim.Sci.,39巻、386〜391
    頁、1974年)。 この方法では妊娠約35日〜100日の間に約15〜20mの羊水が回収される。 この容積の羊水は、
    発育中の胚の尿生殖路、皮膚およびおそらくからの細胞を約1,000〜12,000個/m含有している。 しかしこれらの細胞の大部分は死んでいる。 しかしかような細胞は、遺伝子導入成功の指標として導入遺伝子に関するPC
    R分析に付されるゲノムDNAを含有している。 あるいは胎児細胞を絨毛膜穿刺で回収してもよい。 この方法を経腔的にエコースコープの案内で実施できる。 この方法では、受容者の動物の胎盤、特に胎盤構造体(膣壁に固定されている)を穿刺するのに針が使用される。 このようなサンプリングはウシの種の場合、妊娠約60日目に行われる。 絨毛膜細胞は必要に応じて母体組織から分離し、
    遺伝子導入成功の指標として導入遺伝子に関するPCR分析に付される。 また遺伝子導入は出産後に検出することもできる。 かような場合、導入遺伝子の組込みは、形質転換されたと推定される動物の例えばもしくは尾から適切な生検試料を採取することによって検出できる。 約1〜2cmの尾もしくは約5〜10mm 2の耳を採取し、次いでHoganら、Ma
    nipulating the Mouse Embryo,Cold Spring Harbor Lab
    oratory,1986年の方法にしたがって、導入遺伝子に対してプローブを用いてサザンブロット法に付される。 通常、注入された卵子がすべてヒトκ−カゼインを発現できる形質転換哺乳動物まで発育するわけではない。
    形質転換創始動物は例えば実施例8に記載されているようにして同定することができる。 統計的な観点からこれらの哺乳動物の約1/2は雄である。 同定された形質転換個体に基づいて、雄と雌の子孫を樹立することができかつ形質転換動物の安定した系統が樹立される。 ヒトκ−カゼインをコードするDNA配列は、生殖細胞系に組込まれると、高レベルで発現されて、正しくプロセスされた機能性のヒトκ−カゼインを産生する。 次いで組換えポリペプチドを収穫できる形質転換された雌が、次の世代に生まれるようにすることができる。 遺伝子標的化(gene targeting)とは、選択された内在性配列に相同性の外在性DNA配列で相同的組換えを行うことによる、細胞の内在性染色体の選択された染色体遺伝子座の指向修飾(directed modification)を意味する。 遺伝子標的化は、内在性遺伝子の発現を促進、修飾および破壊するのに用いられている(Bollagら、Ann.
    Rev.Genet.,23巻、199〜225頁、1989年および国際特許願公開第WO92/03917号参照)(哺乳動物細胞内での相同的組換え)。 別の態様で、本発明は上記の方法で製造される非ヒト形質転換動物に関する。 形質転換細胞および形質転換動物を作るのに使用されるDNAは好ましくはcDNAではなくてゲノムDNAで構成されている。 その理由は、導入遺伝子の発現が好ましくは組織特異的発現ならびに時間特異的発現(temporal−spec
    ific expression)に限定されているからである。 導入遺伝子がゲノムDNAから誘導される場合、イントロン中または構造遺伝子から離れた領域中に配置されているエンハンサーなどの調節要素のような重要なシス作用を行う調節配列を含めることができる。 このような調節配列は転写中およびRNAプロセシング中に失われるので一般にcDNAで誘導される導入遺伝子では得られない。 別の態様で本発明は上記の方法で製造される非ヒト形質転換動物に関する。 その最も広い態様における本発明の非ヒト形質転換動物は、特定のタイプの哺乳動物に限定されないが、通常、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ヤギおよびウシからなる群から選択される。 ヒトκ−カゼインの大規模生産を行うには、ヒツジ、ヤギ、ブタ特にウシのような一層大型の動物の方が乳汁産生量が高いため通常好ましい。 しかし、マウス、ウサギおよびラットも、こられ動物の取扱いが一層簡単なので、形質転換動物の試験結果が、例えばウシが関与している場合より迅速に得られるので重要である。 ヒトκ−カゼインを産生することができる、上記定義の形質転換動物の子孫も本発明の適用範囲内に含まれる。 上記の説明から、本発明によって初めて、ヒトκ−カゼインを含有する乳汁を非ヒト哺乳動物から製造することができるようになることは明らかであろう。 そしてその重要性と有用性は本願の説明から明らかであろう。 したがって別の態様で本発明は組換えヒトκ−カゼインを含有する非ヒト哺乳動物由来の乳汁を含んでいる。 特に重要なのは、SEQ ID No:2に示すアミノ酸配列からなる上記本発明のポリペプチド、または上記のそのDNA配列もしくはその類似配列もしくはサブ配列がコードするポリペプチドを含有する、非ヒト哺乳動物由来の乳汁である。 一般に本発明の乳汁は上記の本発明の形質転換哺乳動物から得られる。 本発明のポリペプチドの重要な用途が栄養補給剤としての用途、特に乳児用調合乳の代替物としての用途であることは上記の説明から明らかであろう。 したがって本発明は特に本発明のポリペプチドを含有する乳児用調合乳に関する。 したがって重要な実施態様において、本発明は、アミノ酸配列SEQ ID No:2またはその類似配列もしくは変異配列を有しかつヒトκ−カゼインの生物活性を有するポリペプチド、ならびに他の乳タンパク質、脂質、炭水化物、ビタミン、無機質などのヒト乳児の栄養必要量を満たすのに必須の栄養分から選択される少なくとも一つの他の乳児用調合乳の成分を含有するヒト乳児用調合乳の製造法であって;アミノ酸配列SEQ ID No:2またはその類似配列もしくはその変異配列を有しかつヒトκ−カゼインの生物活性を有するポリペプチドをコードするDNA
    が非ヒト哺乳動物の乳腺内で発現できるような方式で非ヒト哺乳動物のゲノム中に本発明の発現系を導入し、前記の非ヒト形質転換哺乳動物によって上記ポリペプチドを発現させ、前記非ヒト形質転換哺乳動物によって発現されたポリペプチドを収穫し任意に精製し、次いで前記ポリペプチドによってヒト乳児用調合乳を調合することからなる製造方法に関する。 さらに別の態様で、本発明は、組換えヒトκ−カゼイン特に上記定義の本発明のポリペプチドを含有する乳児用調合乳に関する。 特定の実施態様で、本発明のヒト乳児用調合乳は組換えヒトκ−カゼインのみならず組換えヒトβ−カゼインも含有している。 本発明の乳児用調合乳は、乳児用調合乳の通常の成分に、精製もしくは部分的に精製した形態の組換えヒトκ−カゼインもしくは組換えポリペプチドを添加することによって製造することができる。 しかし、上記定義の本発明の乳汁が特にウシ起源の場合、本発明の乳児用調合乳は上記の本発明の乳汁で作ることが通常好ましい。 本発明乳児用調合乳は通常の手順で作ることができ、無機質、ビタミンなどのような必要な添加物を含有させてもよい。 別の態様で本発明は、上記定義の本発明の非ヒト形質転換哺乳動物から乳汁を集め次いでその乳汁からヒトκ
    −カゼインを回収することからなるヒトκ−カゼインを得る方法に関する。 その乳汁は、問題とする哺乳類から乳汁を集めるのに通常用いられる適切な方法で集めることができる。 乳児用調合乳の製造 ウシα−ラクトアルブミンとカゼインに基づいた乳児用調合乳の処方は定義されている(VSPackard,“Huma
    n Milk and Infant Formula"、147〜154頁、Academic P
    ress社、1982年)。 乳清タンパク質とカゼインが60:40
    の比率であるか、または乳汁100ml当たり合計1.5gのタンパク質に対して0.9重量%のα−ラクトアルブミン対
    0.6重量%のカゼインが提案されている。 カルシウムは、生物学的に適合性の例えばSIGMA Chem
    ical Co.社が市販している試薬形態のものが好ましく、
    好ましくは最小で50mg/100kcal存在していなければならない。 リンの最小レベルは25mg/100kcalである。 ナトリウム、カリウムおよび塩化物イオンの最小量と最大量も遵守しなければならない。 これらのレベルは、670kcal/
    Lを提供する調合乳中、それぞれ6〜17、14〜34および1
    1〜29ミリ当量(mEq)の範囲内にある。 1ミリ当量は、
    原子価で割り算した元素の原子量(mg)に等しい。 浸透圧モル濃度(1当り溶質のモル数)は400mOsmを超えてはならない。 乳児用調合乳のカロリー濃度(caloric density)670
    kcal/は正常の満期出産乳児に対してほぼ最適のようである。 調合品のカルシウム−リン比は好ましくは1.1:
    1.0以上で2:1未満でなければならない。 最も好ましくはこの比率は少なくとも一歳年の大部分を通じて約1.5:1
    である。 一歳年まで適切な比率はほぼ1:1である。 乳児用調合乳は組成を変えることができるがかなり範囲が狭くきわめて厳密な制限がある。 一般に入乳の完全な代替品としては、調合乳は好ましくは、カロリーの7
    〜16%がタンパク質、カロリーの30〜54%が脂肪、カロリーの2〜3%がリノール酸および残りのカロリーが炭水化物起源で構成されている。 調合乳の脂肪成分は各種の植物性脂肪で構成されている方が好ましい。 食品の多くの汚染物は脂肪に可溶性なので、特に精製された植物性脂肪および植物油によって調合乳の内容をより良好に制御することができる。 脂肪酸がシスからトランスに変換し、そのため必須脂肪酸が減少するのを防止するため、低温(もしくは超高温)処理を加工全体を通じて使用することが好ましい。 成分の代表的リストは以下のとおりである。 水 ラクトース(コーンシロップまたはスクロースを使用できる) ヒトα−ラクトアルブミン ヒトβ−カゼイン ヤシ油 大豆油 調整トウモロコシデンプン モノグリセリドおよびジグリセリド 大豆レシチン カラゲナンビタミン源 ビタミンAパルミチン酸エステル ビタミンD3 α−トコフェリル酢酸(ビタミンE) フィトナジオン(ビタミンK) アスコルビン酸(ビタミンC) 塩化チアミン・塩酸(ビタミンB1) リボフラビン シアノコバラミン(ビタミンB12) ナイアシンアミド パントテン酸カルシウム ピリドキシン・塩酸(ビタミンB6) ビオチン 葉酸 塩化コリン無機質源 三塩基性リン酸カルシウム 硫酸第二銅 硫酸第一鉄 塩化マグネシウム 塩化カリウム クエン酸カリウム ヨウ化カリウム 硫酸亜鉛 上記各成分の量は、FDA(VSPackard,“Human Milk
    and Infant Formula"、147〜154頁、Acadamic Press.19
    82年)およびthe American Academy of Pediatrics(A
    m.Acad.of Pediatrics Comm.on Nutrition,Pediatrics,
    72巻、359〜363頁、1983年)によって推奨され、以下に開示されている(調合乳に対して提案された標準、Pedi
    atrics,57巻、278頁、1976年を含めて、American Acade
    my of Pediatrics,Committee on Nutrition:Commentary
    on Breast−Feeding and Infant Formulasから修正)
    最大と最小のガイドライン内に各栄養成分を保持するように調節される。 炭水化物源はラクトース(またはラクトースを含有する乳汁および乳清産物)、スクロース、コーンシロップ固形物(グルコース源)およびデンプンである。 適切な濃稠化剤、乳化剤、酸化防止剤およびpHを調節する化合物が使用される。 米国では、乳児用調合乳に添加剤を使用する条件は、米国連邦規則法典(Code of Fe
    deral Regulations)(CFR)21条172.620項および180項によって規制されている。 乳児用調合乳に用いられるビタミン添加剤は食料農業機構(Food and Agricultural Organization)(FAO)
    によって認可される。 特定の食品系における加工必要条件、利用効率および/または安定性によって、どの形態が最高に役立つかが決まる。 FAOは乳児用調合乳の無機質源も認可する。 与えられる無機質添加物の適切性は食料製品の組成と湿分のレベルによって決まる。 さらに各食品は各味およびテクスチャの安定性に対してそれ自体の必要条件を課する。 酸化的酸敗性は、不飽和脂肪を含有する鉄および/または銅を強化した食品に依然として存在する問題である。 ゲル化は、濃縮液体乳児用調合乳に起こりうる問題である。
    還元鉄または電気鉄は、乾燥食品によく使用されるが、
    液体調合乳中では沈降物として沈降する。 またFAOはpH
    を調節するのに酸と塩基が必要であることを認識しているが、これらは所定の無機質の全含量を決定する際に考慮しなければならない。 ある種の無機質化合物、例えばカルシウムとリンの化合物は、乳児用調合乳にはかなり大量に必要である。 他の無機元素は痕跡量しか必要でない。 乳児用調合乳の成分中の痕跡無機質は、各種の乾燥成分を再構成するのに用いる給水中に添加できるものとともに考慮しなければならない。 給水はその全品質によって、本発明の目的のために処理してもしなくてもよい。 しかし水質は仕上げ調合乳の痕跡無機質の含量とともに監視しなければならない。 痕跡無機質を調合乳に加えるときは普通硫酸塩を使用する。 しかし硫酸イオンの許容レベルは特定されていない(Andersonらの1982年の文献)。 メトヘモグロブリン血症を起こす可能性があるため硝酸塩は通常、調合乳には添加しない。 痕跡量は、植物製品で製造した調合乳に生成する。 硝酸塩も生じるが、いくつかの給水中に時々高レベルで見られることがある。 銅は水のもう一つの潜在的毒性成分である。 しかし、生物学的に許容可能な塩の組成は本発明に使用されると考えられる。 調合乳に通常添加される無機質としては、カルシウム、リン、マグネシウム、鉄、銅、ヨウ素、亜鉛、カリウム、ナトリウム、マグネシウムおよび塩素(塩化物として)がある。 従来の乳児用調合乳組成物は、タンパク質成分とともに有意な量の無機質を保有しているウシまたは大豆のタンパク質源を添加する必要がある。 このような無機質が存在すると、製造された乳児用調合乳の無機質成分測定の精度が低下する。 電気透析法、イオン交換法および限外濾過法を含む従来の方法が、タンパク質を、これらに結合している無機質などの汚染物から分離するのに普通用いられる。 本発明による組換えDNAによって誘導されたヒトタンパク質をヒト乳児用調合乳に用いると、精製を要するタンパク質の量が減少するので、無機質含量をより正確に測定できるのでタンパク質処理に要する費用が減少する。 未熟児用の配合物 予定日前に出産したかまたは低体重の乳児(2500g以下)に対する調合乳は、タンパク質と無機質のレベルを評価することによって通常修正される。 コーンシロップ固形物のようなより容易に吸収できる炭水化物源で製造するという特徴によって、ラクトースレベルを通常量の
    1/3〜1/2まで低下させることが好ましい。 脂肪、カルシウムおよびリンは容易に利用可能な形態で利用できなければならない。 カロリー濃度は800〜1000kcal/Lまで上げ、タンパク質からのカロリーは約11%および脂肪からのカロリーは
    50%とすることが好ましい。 一般にトウモロコシ油と大豆油は、未熟児によってかなりよく吸収されるようである。 本発明のポリペプチドは、そのカゼインタンパク質が乳清タンパク質より一層容易に消化されるので未熟児用の乳児用調合乳に特によく適合しており、そのため未熟児用、ならびにヒトカゼインの前述の有利な特性が有用な他の目的のため非常に適切なタンパク質源を構成している。 乳児用調合乳に加えて、他の食品の配合物も形質転換牛乳由来の組換えポリペプチドで補充することができる。 例えば、かような組換えポリペプチドは通常の食事配合物を補充するのに使用できる。 したがって、形質転換ウシの種の乳汁中にヒトκ−カゼインを産生させることによってヒトκ−カゼイン源が提供される。 かようなヒトκ−カゼインは、配合に用いるため形質転換乳から精製してもよい。 あるいは全形質転換乳を、好ましくは低温殺菌を行った後、液体もしくは乾燥した形態で使用してもよい。 図面の説明 図1は実施例3に記載したようにして得られたヒトκ
    −カゼインをコードする全長のcDNAを含有するプラスミドps270を示す。 図2は、実施例4に記載されているようにして、Sal
    Iで消化させたpUC19中にクローン化された精製入ファージ分離株#42由来のヒトκ−カゼインゲノム配列を含有するプラスミドpS459の環状地図を示す。 EcoR I制限部位がκ−カゼイン遺伝子フラグメントの配向に対して示されている。 矢印はκ−カゼイン遺伝子の転写方向を示す。 エキソンが黒色の円弧部として示され、その番号はヒトκ−カゼイン遺伝子中のそれらエキソンの位置を示す。 図3は、実施例4に記載されているようにして、Xma
    IとHind IIIで消化させたpUC19中にクローン化したヒトκ−カゼイン遺伝子のPCR増幅領域由来のゲノム配列を有するプラスミドpS460の環状地図を示す。 制限部位はκ−カゼイン遺伝子フラグメントの配向に対して示す。
    矢印はκ−カゼイン遺伝子の転写方向を示す。 エキソンは黒色円弧部として示し、その番号はそのエキソンのヒトκ−カゼイン遺伝子中の位置を示す。 図4はヒトκ−カゼイン遺伝子座の物理学的地図を示す。 エキソンとイントロンの体制および制限酵素部位の位置を示してある。 エキソンは1〜5の番号を付けた黒色ボックス印で示す。 示されている制限酵素は次のとおりである。 E=EcoR I、A=Acc I、X=Xba I、S=Sa
    c I、P=Pst I、H=Hind III、K=Kpn Iである。 二つのゲノムフラグメンのプラスミド源も示してある。 図5はpS459の制限地図と18種のサブクローンpS461〜
    478の位置を示す。 これらのサブクローンは配列分析に使用した(実施例4)。 pS461〜467は異なるHind IIIフラグメントを表し、pS468〜470は異なるXba Iフラグメントを表し、pS471〜474は異なるEcoR Iフラグメントを表し、およびpS475とpS476は異なるPst Iフラグメントを表し、pS477はAcc I/EcoR Iフラグメントを表し、およびpS478はAcc Iフラグメントを表す。 これらフラグメントはすべてpUC19中にサブクローン化した。 酵素の記号は、H=Hind III、E=EcoR I、S=Sac I、X=Xba
    I、P=Pst I、A=Acc I、K=Kpn Iである。 図6はpS460の制限地図と6種のサブクローンpS479〜
    484の位置を示す。 これらのサブクローンは配列分析に使用した(実施例4)。 pS479とpS480は2種のEcoR Iフラグメントを表し、pS481はHind III/Acc Iフラグメントを表し、pS482はAcc I/Sac Iフラグメント表し、pS48
    3はHind III/Xba Iフラグメントを表し、およびpS484は
    Xba I/Sac Iフラグメントを表す。 これらのフラグメントはすべてpUC19中にサブクローン化した。 酵素の記号は次のとおりである。 E=EcoR I、A=Ac
    c I、X=Xba I、H=Hind III。 図7は実施例5に記載されているようにして構築された発現ベクターpS415の環状地図である。 この発現ベクターは組換えヒトκ−カゼインのイー. コリ(E.coli)
    による細胞内発現を仲介する。 図8は実施例5に記載されているようにして構築された発現ベクターpS425の環状地図である。 この発現ベクターは組換えヒトκ−カゼインのイー. コリによる細胞外発現を仲介する。 図9は、発現ベクターpS14、pS415およびpS425をそれぞれ保有するイー. コリBL21(DE3)pLysSによって発現された組換えヒトκ−カゼインのSDS−PAGEおよびウエスタンブロット分析の結果を示す。 細菌の細胞は試料緩衝液中で煮沸し次いでタンパク質を分離した。 pS14は、
    κ−カゼイン配列を欠いておりかつ陰性対照として機能することを除いてpS415と同じである。 組換えヒトκ−
    カゼインは、高度に精製したヒトκ−カゼインに対するアルカリ性標識ポリクローメルウサギ抗体を用いて視覚化した(実施例2)。 培養条件と誘導法は実施例5に記載されているようにして実施した。 レーン1 予め染色された(prestained)分子量マーカー106,80,49.5,32.5,27.5および18.5kDa(BioRad社) レーン2 未誘導pS14 レーン3 誘導pS14 レーン4 未誘導pS415 レーン5 誘導pS415 レーン6 未誘導pS425 レーン7 誘導pS425 レーン8 精製ヒトκ−カゼイン(5.00ng) 図10は実施例6に記載されているようにして構築された発現ベクターpS330の環状地図である。 この発現ベクターは組換えヒトκ−カゼインの哺乳動物細胞による発現を仲介する。 図11は組換えκ−カゼイン遺伝子の哺乳動物細胞による発現の分析結果を示す。 全RNAをC127細胞から製造し1%ホルムアルデヒド−アガロースゲル上で分離し、ニトロセルロースの膜に移行させ、次いでpS270由来の32p
    で標識を付けたκ−カゼインプローブとハイブリッドを形成させた。 実験手順はAusubelらの1991年の文献にしたがって実施した。 発現ベクターpS330を保有する3種の細胞系を単離して分析した(実施例6)。 対照として、ベクターpS306を保有するC217細胞系を使用した。 p
    S306は、κ−カゼインをコードする配列を欠いているとを除いてpS330に類似している。 レーン1 pS336/C127細胞由来のトータルRNA5μg レーン2 pS330/C127細胞系9由来のトータルRNA5μ
    g レーン3 pS330/C127細胞系14由来のトータルRNA5μ
    g レーン4 pS330/C127細胞系20由来のトータルRNA5μ
    g サイズマーカーは左側に示してある。 図12は実施例7に記載されているようにして構築した発現ベクターpS339の環状地図である。 この発現ベクターは、形質転換動物の乳腺による組換えヒトκ−カゼインの発現を仲介する。 図13は、pS339における、マウスWAP/κ−カゼイン組換え遺伝子の構造を示す。 WAPエキソンを黒色ボックス印で示し番号I〜IVを付けてある。 κ−カゼインcDNAは白色ボックス印で示し、cDNAを挿入するのに用いた制限部位Kpn IとSal Iを示してある。 要素の配向のための制限部位および組換え遺伝子の単離のための制限部位も示してある。 組換え遺伝子の転写方向は矢印で示してある。 図14は、実施例7に記載されているようにして、ヒトκ−カゼイン形質転換動物を同定するのに用いたPCRプライマーの局在性を示す概略図である。 その5'プライマーは、WAPとκ−カゼインcDNAの融合位置の148bp上流の位置に発するマウスWAP配列内の配列の相補的である。 図15は、実施例7に記載されている実験から得られる、形質転換された可能性のあるマウスのPCR分析結果を示すアガロースゲルである。 DNAは、マウスから分離した尾の試料から調製し、実施例7と図15に記載されているプライマーを用いるPCRスクリーニング実験に用いた。 得られるPCR増幅DNA試料は1%アガロースゲルで分離し、臭化エチジウムで染色した。 Mは分子量マーカーであり、大きさ(kb)は左側に示してある。 レーン1は陽性対照である、鋳型DNAとしてプラスミドpS339を用いて増幅して生成させたPCR産物;レーン2は陰性対照である、非形質転換マウスから調製したDNAのPCR分析;レーン3〜13、形質転換創始動物の可能性がある動物を表す異なる個々のマウスから調製したDNA試料のPCR分析。
    レーン7と13において、PCRで生成したバンドは明らかに目視可能であり、DNA調製に用いた生検試料はこれらの試料中の形質転換動物から採取されたことを示している。 PCRで増幅されたフラグメントの予想の大きさ486bp
    は右側に示してある。 図16は、非形質転換マウスおよびpS339の組換えWAP1
    κ−カゼイン遺伝子で形質転換されたマウス(11−11
    系)由来の乳汁試料のウェスタンブロットの分析結果を示す。 これらのタンパク質はSDS−PAGEで分離し、次いでImmobilin膜(Millipore社)に移し、次いで高度に精製したヒトκ−カゼインに対するアルカリホスファターゼの標識をつけたポリクローナルウサギ抗体で可視化されている(実施例2)。 レーン1 ps339形質転換マウス11−11系由来の乳汁2μ レーン2 非形質転換マウス由来の乳汁2μ 図17は、実施例7に記載されている。 κ−カゼインイントロン配列を含有するマウスWAP/κ−カゼイン組換えミニ遺伝子の構造を示す。 WAPエキソンは黒色ボックス印で示し、κ−カゼインエキソンは番号1〜5を付けた白色ボックス印で示す。 ヒトとマウス起源のDNAフラグメントが表示した制限部位で融合されている。 図18は、実施例7に記載されている、κ−カゼインイントロン配列を含有するマウスWAP/κ−カゼイン組換えミニ遺伝子変異体の構造を示す。 WAPエキソンは黒色ボックス印で示し、κ−カゼインエキソンは2〜5の番号をつけた白色ボックス印で示す。 ヒトとマウス起源のDN
    Aフラグメントが表示した制限部位で融合されている。 引用文献 ヨーロッパ特許公告第0247494号 ヨーロッパ特許公告第0264166号(Integrated Geneti
    cs,Inc.社) ヨーロッパ特許公告第0279582号(Baylor college of
    Medicine) 国際特許願公開第WO82/04443号(Ohio University) 国際特許願公開第WO88/00239号(Pharmaceutical Pro
    teins Ltd.社) 国際特許願公開第WO88/01648号(Immunex Corporatio
    n社) 国際特許願公開第WO91/03551号(Tsi−Mason Researc
    h Institute社) 国際特許願公開第WO91/08216号(Genpharm Internati
    onal社) 国際特許願公開第WO92/03917号(Gen−Pharm Interna
    tional社)

    実施例 以下の実施例は本発明を例示するのを目的とするものであり本発明を限定するものではない。 本発明の発現系の構築および該発現系の分子生物学的特性決定には組換えDNAの技術分野で一般に公知の標準方法を使用する。 特にことわらない限り、使用する方法はSambrookらの1989年の文献とAusubelらの1991年の文献に記載されている方法である。 定義DNAのハイブリッド形成 例えばニトロセルロースフィルター上に存在するDNA


    を2×SSC〔1×SSC:0.15M NaCl,0.0015Mクエン酸ナトリウムpH7.0〕で濡らし、予め加温した(67℃)プレハイブリダイゼーション溶液の入った熱シールプラスチックバッグ内に入れた。 プレハイブリダイゼーションは67


    ℃で2時間行う。 その間バッグはゆるやかに振盪する。


    上記溶液を予め加温した(67℃)ハイブリッド形成溶液と交換し、放射能プローブを添加し、ハイブリッド形成を67℃で18時間行う。 バッグはゆるやかに振盪し、ニトロセルロースフィルター上の液体が常に移動するのを保証する。 ハイブリッド形成後、洗浄工程を実施する。 放射能プローブは、SEQ ID No:1に示すDNA配列またはその一部分特にアミノ酸1〜210に対応するヌクレオチドのようなコーティング部分、または上記定義のDNA配列の有効なサブ配列に基づいて、例えばSambrookらの文献に記載されている公知の方法を用いて製造される。 使用されるプレハイブリダイゼーション溶液とハイブリッド形成溶液は、10×デンハート溶液、4×SSC、0.1


    %SDS、10μg/mpolyA、50μg/mの被分析変性DNAおよび変性(熱による)放射能プローブで構成されている。 フィルターは、予め加温した(67℃)溶液:10×デンハート、2×SSC、0.1%SDS内で2×15分間洗浄し、


    次いで1×SSC、0.1%SDSで4×15分間洗浄する。 それらのフィルターを風乾し、Vita−Wrapをかぶせ次にX線フィルムを増感スクリーンを使用もしくは使用せずに、


    上記フィルターに3時間〜3週間露出させる。 実施例1 未変性κ−カゼインの人乳からの精製 人乳を15,000×gで45分間遠心分離し浮遊脂肪層を除いた。 生成した脱脂乳をHClでpH4.3まで酸性にし、室温で1時間撹拌しながらインキュベートし次いで18,000×


    gで90分間遠心分離に付した。 生成したペレット(カゼインの画分)を20mMエタノールアミン、6M尿素、pH9.5


    に溶解し次に同じ液に対して透析させ、次いで振盪しながらヘキサンで数回抽出した。 抽出後、水相を水に対して透析させて次に凍結乾燥させた。 上記の凍結乾燥されたカゼイン画分を、50mMイミダゾール−HCl pH7.0、0.5%SDS、0.5%2−メルカプトエタノールに溶解し、37℃で1時間インキュベートし、次いで2−メルカプトエタノールが0.01%であることを除いて同じ緩衝液で平衡化させた1.6×120cmのセファデックスG−200カラムに加えた。 クロマトグラフィーは室温のみならず4℃でも起こる複合体の生成を避けるため37


    ℃で行った。 κ−カゼインが溶出すると予想される溶出画分と炭水化物含量について分析し、炭水化物を含有する画分をさらに精製するためにプールした。 この画分の主な不純物はβ−カゼインでありプール中のタンパク質の約90%を構成していた。 そのプールは第一に40%メタノールに対して透析し次に20mMリン酸カリウム緩衝液pH


    6.8、0.1%Tween20、0.01%2−メルカプトエタノールに対して透析した。 上記の不純物からκ−カゼインを取出すために、上記プールが透析されたのと同じ緩衝液で平衡化させた1×


    6.5cmのヒドロキシアパタイトのカラムに注入し、0.02


    〜0.4Mのリン酸カリウム勾配液を用いて溶離した。 この場合も、複合体の生成を避けるためクロマトグラフィーは37℃で行わねばならなかった。 大部分のκ−カゼインは上記カラムに結合しなかったがβ−カゼインはほとんど完全に捕捉された。 その未結合の物質をプールし、水に対して透析し次いで凍結乾燥した。 κ−カゼインは、


    SDS−PAGEで分析して35〜49kDalの位置にぼやけた不鮮明なバンドとして見出されたが、クーマシー・ブリリアント・ブルー染料で弱く染色された。 上記タンパク質の所在はアミノ酸分析によって検出したが、イソロイシン/ロイシン比が高いことがこのタンパク質の最も特徴的な特性である。 またこのタンパク質は、かような高度にグリコシル化されたタンパク質に対して予想されるようにシック試薬によって染色された。 実施例2 κ−カゼインに対して反応性のポリクローナル抗体の製造と精製 実施例1に記載されているようにして精製されたκ−


    カゼインを用いてウサギを免疫化した。 κ−カゼインに対して反応性の抗血清が得られたときその抗血清は、乳清タンパク質とβ−カゼインの両者と交差反応し、ならびにタンパク質プロッティングに用いた場合はイー. コリタンパク質と交差反応した。 それ故に、多数の方法を用いて抗血清の特異性を増大させた。 第一に、抗血清をイー. コリの細胞溶解物とともにインキュベートして、イー. コリタンパク質に対して反応性の非特異的抗体を吸着させて沈殿させた。 この抗血清を1時間インキュベートした後遠心分離(5000×g、15


    分間)に付し、生成したペレットを廃棄した。 第二に、


    抗血清をさらに精製するため、高度に精製された組換えβ−カゼインをCNBrで活性化されたセファロース上に固定化し次に抗血清をこのカラムを数回通過させてβ−カゼインに対して反応性の抗体を吸着させた。 第三に、実施例1に記載されているようにして人乳から製造した未変性κ−カゼインをCNBr活性化セファロースに固定化し、上記抗血清をこのゲル上でアフィニティークロマトグラフィーによって精製した。 第四に、上記抗血清を人乳から製造した乳清タンパク質で沈殿させた。 これらのすべてのステップで精製された抗血清は、タンパク質ブロッティング法で分析すると、やはり他の乳タンパク質といくぶん交差反応を行ったが、乳タンパク質試料が電気泳動法で分離され、エレクトロブロットされ、次いでこの抗血清を用いて染色されると、κ−カゼインとはるかに強力に反応した。 上記の交差反応性は、人乳から純粋なβ−カゼインと純粋なκ−カゼインを製造することが非常に困難であることによって説明できる。 さらにこれらカゼイン類は、


    乳清タンパク質がカゼインの画分中に存在しているのと同じように、乳清画分中に常に少量存在している。 このため、免疫化用に完全に純粋なタンパク質を得ることが極めて困難でかつ他の乳タンパク質を完全に含有していないカゼインカラムを製造することも困難であるということになる。 それ故、得られた抗血清は最終的に、高度に精製するのではなくて特異的抗体で強化されるが多数の精製法が使用されている。 実施例3 ヒトκ−カゼインをコードするcDNAのクローン化と配列決定 本発明の発現系の構築およびその分子生物学的特性決定には、組換えDNAの技術分野で一般に公知の標準方法が用いられる。 特にことわらない限り、使用される方法はSambrookらの1989年の文献に記載されている方法である。 ヒト乳腺から単離した組織生検試料から調製したmRNA


    から得られるλ−gt11ヒト乳腺cDNAライブラリーを作製した。 上記生検試料のドナーは授乳婦であった。 このライブラリーは実施例2によって製造されたκ−カゼインポリクローナル抗体を用いる免疫学的方法でスクリーニングした。 使用した緩衝液は、TBS(50mMトリス−HCl、pH7.9,15


    0mM NaCl)、TTBS(0.05%Tween20含有TBS)であった。 利用した手順は次のとおりであった。 イー. コリY109


    0細菌を、50μg/mのカルベニシリンを含有するLAプレート上で増殖させた。 単コロニーを単離し、次いで0.2


    %マルトースと10mM MgSO

    4を含有するLB中で一夜増殖させた。 その培養物0.4mを希釈されたライブラリーファージと混合し、37℃で15分間吸着を行わせた。 この感染させた培養物を軟アガロース7m(LB中0.75%のアガロースおよび10mM MgSO

    4 )と混合した。 得られた軟アガロース混合物を150mmLAプレート上に注いだ。 これらプレートを、プラークが目視可能になるまで42℃にて約3.5


    時間インキュベートした。 次いで各プレートに、予め10


    mM IPTG(イソプロピル−β−D−チオガラクトシド)


    で飽和した膜(DuPont NEN,Colony Plaque Screen)をかぶせて一夜37℃でインキュベートした。 膜の位置は膜を取除く前に表示した。 次にこれらの膜をTTBSで洗浄し


    20%FCSおよび1:25に希釈されたポリクローナルκ−カゼイン抗血清を含有するTTBS中で室温にて2時間インキュベートした。 これらの膜を、TTBS中、室温にて5分間づつ2回洗浄した。 TBS中のビオチニル化ヤギ抗ウサギI


    gGを添加し、膜を室温にて1時間インキュベートした。


    次いでこれらの膜を室温にて5分間づつ2回TTBSで再び洗浄した。 TTBS中の、ストレプタビジンとビオチチニル化アルカリホスファターゼの接合体を添加し、次いで室温で1時間インキュベートした。 次のステップでこれらの膜を5分間づつ4回TTBS中で洗浄し、次いで50mMトリス−HCl pH9.8,3mM MgCl

    2 ,50μg/m×P〔5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルホスフェート(Na


    塩)〕、および100μg/mNBT(ニトロブルー テトラソリウム グレードIII)を含有する緩衝液中で3回膜をすすいだ。 実施例2に記載したようにして製造した抗体と反応させることによって約100個の陽性プラークを同定した。 単離されたプラークを希釈および繰返しスクリーニングを行うことによって精製した。 ファージDNAをSambroo


    kらの1989年の文献に記載されている方法にしたがって製造し、次いでそのDNA製剤をEcoR Iで消化した。 消化されたDNAをアガロース電気泳動法によって分離し、多数のEcoR Iフラグメントを、EcoR Iで消化しかつアルカリホスファターゼ処理したpUC18プラスミド中にクローン化し、次いでこのフラグメントを用いてイー. コリTG


    2を形質転換した。 形質転換体を、50μg/mのカルペニシリン、40μg/mのX−ga1(5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシド)および1mM


    IPTG(イソプロピル−B−D−チオガラクトシド)が入っているプレート上で選択した。 プラスミドのDNAを多数の形質転換体から分析した。 これらの形質転換体の一つが、ヒトκ−カゼインをコードする全長cDNAフラグメントを含有するプラスミドを保有することが見出された。 このプラスミドをpS270と命名し図1に示す。 プラスミドpS270DNAを制限エンドヌクレアーゼ分析に付した。 κ−カゼインをコードする領域の両ストランドを完全ヌクレオチド配列を、T7配列決定キット(Pharmacia


    社、アプサラ、スエーデン)を用い、メーカーが記載しているようにして二本鎖の鋳型上で測定した。 配列決定反応に用いるプライマーとして、pUC18またはκ−カゼイン配列に相補的な特定のオリゴヌクレオチドを使用した。 そのヌクレオチド配列(SEQ ID No:1)は、162個のアミノ酸および20個のアミノ酸のシグナルペプチド構成されたκ−カゼイン前駆物質タンパク質の全アミノ酸配列(SEQ ID No:2)をコードするのに充分な読取り枠を含有していた。 実施例4 ヒトκ−カゼインゲノムフラグメントのクローン化、配列決定および体制 ヒトκ−カゼイン遺伝子の構造体制と配列を決定するために、ヒトゲノムDNAライブラリーとヒトゲノムDNAをスクリーニングして分析した。 ヒトゲノムライブラリーはClontech社(米国、パロアルト)から入手した。 これらのライブラリーは胎盤DNA(カタログ#HL1067J)または女性白血球DNA(カタログ#HL1111J)から構築され、


    λEMBL−3ベクター中にクローン化された。 挿入断片の平均の大きさは、15kbまたは16kbであり、独立クローンの数はそれぞれ2.5×10

    6または1.7×10

    6である。 ヒトゲノムDNA製剤はヒト組織試料またはヒト細胞系から抽出した。 ヒトゲノムDNAもClontech社(カタログ#6550−


    2)から入手した。 ヒトκ−カゼイン遺伝子のエキソンとイントロンの配列を含有する組換えファージを単離するため、直径が150mmの195個の個々の細菌のプレートおよび約10

    4の個々のプラーク/プレートをスクリーニングした。 これらの方法および使用した溶液は、Library


    Protocol Handbook:General Procedures for the Hybri


    dization of Lambda Phage Libraries w/DNA Probes(C


    lontech社)に記載されているものを、下記のことから明らかないくらか改変したものである。 実験は特に下記のように実施した。 番号はプレートの底部ごとに付けた。 滅菌入希釈剤0.1mで希釈されたファージライブラリーの資料を、10,000pfu(プラーク形成単位)の推定力価を得るために調製した。 イー. コリ宿主菌株NM539(Clontech社から入手した)のLB培地培養物0.6mに10,000pfu組換えファージを感染させ、次いで0.3M SM緩衝液を添加した。 その感染培地物を37℃で20分間インキュベートした。 次にその培養物をトップアガロース(アガロース7.2g


    をLB1当りに添加したもの)と混合し、LBプレートに注入した。 これらのプレートを37℃で約7時間インキュベートした。 次にプレート4℃で冷却した。 プラークハイブリッド形成実験は以下のように行った。 膜フィルターのColony/Plaque Screen(DuPont社、


    米国)を上記プレートの上面に2〜3分間置いた。 DNA


    を変性するため、フィルターを取外し、プラークの側を上にして、0.5M NaOH中プラスチックラップ上に2分間浮かした。 このステップは有効な特性を確実に行うためもう一回繰返した。 上記膜フィルターを次に中和溶液1M


    トリスHCl pH7.5に2分間づつ2回入れて、有効な中和を確実に行った。 次にフィルター膜を乾燥させた。 膜フィルターのRNAハイブリッド形成スクリーニングを行うのに用いるプローブを得るため、pS270をEcoR I


    で消化し、857bpのフラグメントをアガロース電気泳動法で分離し、切り取って、ポリプロピレン製の微量遠心分離管中に入れた。 単離されたcDNAフラグメントは、マルチプライムDNAラベリングシステム(Amersham社)を用い、下記の手順で

    32 pで標識をつけた。 水をゲル1g当り3mの比率で添加し、沸水溶上に7分間おいて、ゲルを溶融させてDNAを変性させた。 上記微量遠心分離管を次に37℃の湯浴中に少なくとも10分間入れた。 メーカーの指示にしたがって、DNA0.25ngを含有するある容積のD


    NA/アガロース溶液を、メーカーの指示にしたがってラベリング反応液に添加した。 ハイブリッド形成方法は、下記の方法による65℃における緊縮条件下の方法であった。 フィルター膜は、ハイブリッド形成オーブン(Hybaid)を用い、65℃で少なくとも1時間、びん中で1%SDS、1M NaCl、10%硫酸デキストランの溶液で処理することによってプレハイブリダイゼーションを行った。 プレハイブリダイゼーションに続いて、最終濃度が100mg/mの変性ニシン精子DNAおよび濃度が<10ng/mの

    32 p標識DNAプローブを含有する溶液を(最適シグナル対バックグランド比を得るため)上記プレハイブリダイゼーション溶液に加え、膜フィルターを65℃で10〜20時間インキュベートした。 膜フィルターを洗浄するためにハイブリッド形成溶液を除いた。 第1ステップでは膜フィルターを2×SSC(0.3M NaCl,0.0


    3Mクエン酸ナトリウム)、1%SDS溶液中で2回室温で5分間づつ洗浄した。 次のステップで膜フィルターを同じ溶液中で2回、65℃で30分間づつインキュベートした。 第三のステップでは、フィルターを、0.1×SSC中室温で2回洗浄した。 最後に膜フィルターを、1枚の濾紙の上にDNA面を上にして置いて乾燥させた。 乾燥された膜フィルターを次にX線フィルムに露出させてオートラジオグラムを作製した。 上記のようにして分析した約2×10

    6個の個々のプラークの内3個のハイブリッドを形成しているプラークが検出され単離した。 これら3個の単離物はそれぞれ#


    2、41および42と命名された。 何回かの再スクリーニング実験の後、組換えファージDNAをSambrookらの1989年の文献の方法にしたがって精製した。 精製したDNAをSal


    Iで消化し、挿入断片を示すフラグメントをアガロース電気泳動法で単離した。 挿入断片の大きさは、単離物#2では約18kbであり、


    単離物#41では15kbであり、単離物#42では17kbであった。 これらのフラグメントはSal Iで消化され線状化したpUC19中にクローン化し、pS457(単離物#2)、pS45


    8(単離物#41)、pS459(単離物#42)(図2)を得た。 これらの3つのプラークからの挿入断片で、pS270


    由来のκ−カゼインcDNAプローブとハイブリッドを形成するものをPCR、制限地図の作成、次いでκ−カゼイン遺伝子の各種領域を示す

    32 p標識化オリゴヌクレオチドとのハイブリッド形成によって分析した。 またこれらのフラグメントは互いにハイブリッドを形成した。 単離物#42からの挿入断片はκ−カゼイン遺伝子の大きな部分を含有していることを示したが、転写される領域全部ではなかった。 単離物#2のクローン化フラグメントは単離物#42に対して部分相同性を示すことが見出された。


    しかし、この2つの単離物の間には多数の相違が観察された。 PCR分析法を用いてヒトゲノムDNAと比較すると、


    単離物#2は部分的に再配列された領域を含有することが証明された。 単離物#41中の挿入断片はcDNAの3'末端と相同性であることが分かりかつその挿入断片はκ−カゼイン遺伝子の転写される部分のさらに下流に延びていることが分かった。 したがって、κ−カゼインのエキソンとイントロンの配列と体制の分析と特性決定を行うために単離物#42からの挿入断片を選択した。 pS459中にクローン化れたフラグメント(図2)を、E


    coR I、Hind III、Xba I、Acc I、Pst I、Kpn IおよびS


    ac Iを用いて、制限酵素地図を作成して特性を決定した。 得られた制限地図を図5に示す。 エキソンの近似位置とイントロンの近似的な大きさをPCRと電気泳動法で分析した。 pS459クローンから得られた結果を、鋳型としてDNAを用いる同じPCRプライマーで得た結果と比較した。 これら二つの鋳型から得た結果は同一であった。 ヌクレオチドの配列の分析を容易にするために、pS45


    9由来の18個の制限断片を単離し次いでpUC19中にサブクローン化してpS461−478を得た(図5)。 サブクローン化されたフラグメントの配向をPCR分析法で測定した。


    以下の方法を用いた。 すなわちpUC19配列中、クローン化部位内のクローン化部の各側に別々に配置されたPCR


    プライマー、および所定の配向を有し、測定が可能なκ


    −カゼイン誘導サブクローン化フラグメントに特異的な他のPCRプライマーを組合せる方法である。 18個のプラスミドpS461〜478中の挿入断片をヌクレオチド配列分析に付した。 全サブクローンに対する完全ヌクレオチド配列を、メーカーが述べているように二本鎖鋳型上でT7配列決定キット(Pharmacia社、スエーデン すなわち米国のUnited States Biochemical社)を用いて決定した。 配列決定反応用のプライマーとして、pU


    C19に相補的な特定のオリゴヌクレオチド[E20 5'−GTT


    GGGTAACGCCAGGGTTTTC−3'(SEQ ID No:5);SYM 1121 5'


    −CAGGAAACAGCTATGAC−3'(SEQ ID No:6);SYM 2589 5'


    −TTCCGGCTCGTATGTTGTGTGG−3'(SEQ ID No:7)]またはκ−カゼインに相補的なプライマー(表1参照)を使用した。 pS459中にクローン化されたゲノムフラグメントは、


    ヒトκ−カゼイン遺伝子の転写される部分の大きな部分を含有している。 pS459にクローン化されたすべてのエキソンとイントロンの完全な配列はSEQ ID No:4に示してある。 これらのクローン化された配列は、第二のイントロンから最後のエキソンの下流の配列まで延びて、11


    748個のbpのイントロン配列を含有している。 ヒトκ−カゼイン遺伝子の第一イントロンの長さと配列に関する情報を得るためPCR実験を計画した。 ヒトcDN


    A配列を、公表されているウシκ−カゼインcDNAおよびゲノムDNA配列および体制と比較することによって、推定のエキソン/イントロンの境界をヒトκ−カゼイン遺伝子に対して仮定した。 エキソン1と2の間の仮定された境界の両側の配列に対して相補的な、PCRプライマーとして用いられる一組のオリゴヌクレオチド[SYM 3579


    5'−ATCCCGGGCAGGGTTAATGCCAGGGC−3'(SEQ ID No:


    8),SYM 3580 5'−CGAAGCTTCAGCTCAACCTACTGCCAAC−3'


    (SEQ ID No:9)]を設計し合成した。 これらのプライマーによるPCR実験で得た結果は第一イントロンの大きさかつ約2.1kbであることを示した。 イントロン1およびエキソン1と2の部分配列を表すSYM 3579とSYM 3580


    を用いて得たPCRフラグメントを、分析するために、Xma


    IとHind IIIで消化したpUC19中にクローン化した。 このクローン化されたフラグメントについて詳細な制限地図をEcoR I、Hind III、Xba I、Acc I、Pst I、Kpn IおよびSac Iを用いて作成した(図4)。 PCRによって起こる可能性がある突然変異の危険を排除するため個々の形質転換体を分析しかつ異なる鋳型のDNAを用いてPCRで生成させたフラグメントを分析した。 配列分析を容易に行えるように、イントロン1の配列を示す6個の制限フラグメントを単離しpUC19にサブクローン化した(pS479〜


    484)(図6)。 ヒトκ−カゼイン遺伝子のイントロン1の完全配列は上記の方法によって得た。 SEQ ID No:3


    に示す配列(エキソン1およびエキソン2の一部ならびにイントロン1を含有している)を有するこのPCRフラグメントを含有するpUC19プラスミドを固定してpS460と命名した(図3)。 ヒトκ−カゼイン遺伝子は5個のエキソンと4個のイントロンで構成されている(図4)。 翻訳開始点(tran


    slational start)はエキソン2に配置されおよび翻訳終始点はエキソン4に配置されている。 これらのエキソンは比較的小さくその大きさの範囲は33bp〜496bpである。 これらヒトエキソンの構造と体制はウシκ−カゼイン遺伝子のそれと非常に似ている(Alexanderらの1988


    年の文献)。 ヒトとウシのκ−カゼイン遺伝子の構造の主な差は、ヒトの遺伝子の第二イントロンがウシ遺伝子の第二イントロンよりはるかに長いということである。 表2から分かるように、エキソン/イントロンの境界は、AG/GTルールにしたがっており、Mountらの1982年の文献に示唆されている共通配列によく似ている。 cDNA配列(SEQ ID No:1)およびゲノムDNA配列(SEQ


    ID No:4)から誘導される演繹アミノ酸配列を比較すると、110位のアミノ酸に対するコドン(SEQ ID No:2)がアルギニンをコードするコドン(cDNA)からロイシンをコードするコドン(ゲノムDNA SEQ ID No:4ヌクレオチド10255〜10257)に変化したことを示している。 この観察結果はおそらく、遺伝子変異体が通常生成することを示している。 実施例5 組換えヒトκ−カゼインの細菌系内での発現 組換えヒトκ−カゼインをイー. コリ内で産生されるために、κ−カゼインをコードする配列を二つの異なるベクター中に導入した。 一方のベクターは、κ−カゼインのコーティング配列の前にシグナルペプチドを含有しているが、他方のベクターはこのようなシグナルペプチドを欠いている。 前述のようにして(実施例3)、ヒトκ−カゼインのプロ−ポリペプチドをコードするcDNAを単離しpUC19中にクローン化してpS270を得た。 得られたcDNAを次に発現ベクターpS339に導入した。 この発現ベクターは、後述のようにして(実施例7)組換えヒトκ−カゼインを形質転換動物中で期間(stage)特異的および組織特異的発現を行うように設計されている。 発現ベクターに導入し易くするため、翻訳終止コドンのすぐ下流にSal I制限部位を含有するκ−カゼインcDN


    AフラグメントをpS339プラスミドから単離した。 5'末端に使い易い(convenient)部位を得るために、シグナル配列の下流に配置されたユニークSph I部位を使用した。 pS339から誘導された約469bpのSph IとSal Iで消化された制限フラグメントをアガロース電気泳動法で単離した。 このフラグメントを、Sph IとSal Iで消化したpU


    C18中にクローン化してプラスミドpS428を得た。 成熟κ−カゼインをコードしシグナルペプチドのない発現ベクターを得るために、下記の3種のフラグメントを連結した。 第一に、κ−カゼインcDNAの主要部を、pS


    428から、これをSph IとBamH Iで消化することによって


    481bpのフラグメントとして単離した。 第二に、κ−カゼインをコードする配列の前に、翻訳出発コドンと組合わせてNde I制限部位を形成するため合成オリゴヌクレオチドを設計した。 さらにこの合成オリゴヌクレオチドは、pS339フラグメントには欠けている8個のκ−カゼインアミノ酸をコードする配列を含有している。 これらのアミノ酸は、ヒト成熟κ−カゼインのもとのアミノ末端である。 これら二つの合成オリゴヌクレオチドの配列は、SYM 3047 5'−CTGGTTGTTTCTGGTTT


    TGAACCTCCA−3'(SEQ ID No:10)およびSYM 3048 5'−T


    ATGGAGGTTCAAAACCAGAAACAACCAGCATG−3'(SEQ ID No:1


    1)である。 第三に、調節要素、複製シグナルおよび選択マーカーを与えるために、プラスミドpS26DをNde IとBamH Iで消化した。 ベクターpS26はバクテリオファージT7 F10とF


    ターミネーターを保有し(Studierらの1990年の文献)、組換えκ−カゼインの発現を調節する。 またpS26


    は、プラスミドpBR322の複製開始点とアンピシリン耐性をコードする配列も含有している。 これらの三つのフラグメントを連結し、その連結体を用いてイー. コリのコンピテント細胞を形質転換した。


    上記プラスミドを保有する形質転換体を単離した。 このプラスミドを制限地図を作成し、配列決定を行うことによって分析しpS415と命名した(図7)。 ヒト成熟κ−カゼインをコードする配列の前に細菌のシグナル配列を有する発現ベクターを構築するために、


    次の方法を採用した。 選択した細菌シグナル配列は、イー. コリの熱に安定なエンテロトキシンII、STII(Pick


    enらの1983年の文献)のシグナルペプチドをコードする配列であった。 第一にヒトκ−カゼインcDNAの主要部分を得るため、前述したのと同じpS428由来のSph IとBamH


    Iフラグメントを使用した。 第二に、ヒトκ−カゼインの天然のアミノ末端をコードする配列をあたえて、κ−


    カゼイン配列の前にSTIIシグナル配列を翻訳フレーム中に導入するため、下記の二つのオリゴヌクレオチド:SYM


    3240 5'−TATGCAGAGGTTCAAAACCAGAAACAACCAGCATG−3'


    (SEQ ID No:12)およびSYM 3241 5'−CTGGTTGTTTCTGGT


    TTTGAACCTCTGCA−3'(SEQ ID No:13)を合成した。 第三に、上記のように調節要素、複製シグナルおよび選択マーカーを与えるのに加えて、プラスミドpS28をNd


    e IとBamH Iで消化することによってシグナル配列を誘導した。 このプラスミドは、STIIシグナル配列がT7プロモーターの下流に導入されていることを除いてpS26に似ている。 これら三つのフラグメントの連結と形質転換によって発現ベクターpS425(図8)を得た。 このpS425ベクターは配列分析と制限地図作成によって確認した。 これらの発現ベクターpS415とpS425を用いて、イー.


    コリ菌株のBL21(DE3)、BL21(DE3)pLysSおよびBL21


    (DE3)pLysE(Studierらの1990年の文献)を形質転換した。 これらの実験はStudierらの1990年の文献に記載されているようにして実施した。 これら生成物を、SDS


    −PAGE、およびヒトκ−カゼインに対するポリクローナル抗血清(実施例2)を用いる免疫ブロット法で分析した。 得られた結果は、組換えヒトκ−カゼインが、2種の発現ベクターによって、約25kDaの非グリコシル化タンパク質として効率的に発現されたことを示している(図9)。 実施例6 哺乳動物の細胞内での組換えヒトκ−カゼインの発現 哺乳動物細胞の培養系で組換えヒトκ−カゼインを産生させるために、ヒトκ−カゼインcDNAを真核発現ベクター中に導入した。 要約すると、上記ベクターはマウスメタロチオネイン1(mMT−1)の上流調節要素の制御下でヒトκ−カゼインcDNAを含有している(PavlakisおよびHamerの1983


    年の文献)。 mRNAプロセシングシグナルは、エキソンII


    の一部、イントロンII、エキソンIII、およびκ−カゼインcDNAの下流に挿入されているウサギβ−グロビン遺伝子の下流要素を含有するゲノムフラグメントで与えられる。 この転写ユニットを、ウシ乳頭腫ウイルスタイプ1(BPV−1)の全ゲノムを含有するベクター中にクローン化した。 転写はBPV−1とκ−カゼイン転写ユニットに対して一方向性であった。 イー. コリ中でプラスミドを増殖させて選択するため、上記ベクターはpBR322の誘導体のpML2d(Sarverらの1982年の文献)を含有している。 この発現ベクターを構築するのに以下の方法を採用した。 κ−カゼインcDNAの末端を修飾してその後のクローン化を容易にするために、鋳型としてpS270を用いるPCR


    実験を実施した。 5'末端にBgl II部位を含有し3'末端に


    Sal I部位を含有するκ−カゼインcDNAを増幅するために以下の二つの合成オリゴヌクレオチドを設計した。 すなわちSYM 2699 5'−GGGGTCGACTGGTGTTTTTATGCCGTAGGT


    −3'(SEQ ID No:14)とSYM 2707 5'−GAGAGAAGATCTGAC


    TGGCACGAGGAAAGG−3'(SEQ ID No:15)である。 生成したPCR DNAをBgl IIとSal Iで消化し、アガロース電気泳動法で分離し、次いで592bpのフラグメントとして単離した。 このフラグメントを次の二つのフラグメントと連結した。 第一に、全BPV−1ゲノム、ウサギβ−グロビン要素、pML2dプラスミド配列およびmMT−1上流調節要素を含有するプラスミドpS42をSac IとSal Iで消化し、アガロース電気泳動によって約12.8kbのフラグメントを単離した。 ユニークSac I部位をmMT−1配列中に配置し、ユニークSal I部位をウサギβ−グロビン要素の上流に配置した。 第二に、全mMT−1遺伝子を含有するプラスミドのpS65をSac IとBgl IIで消化してmMT−1プロモーター要素の近似部分を約220bpのフラグメントとして単離した。 これら三つのフラグメントを連結し、その連結体でイー. コリのコンピテント細胞を形質転換した。 制限地図の作成と配列を決定するため、形質転換体から約13.6kbのプラスミドを単離調製した。 κ−カゼインcDNA配列中にPCRによって突然変異が起こるので、二つの異なるプラスミド単離物からの配列を結合することが必要であった。 これら二つの単離物はκ−カゼインcD


    NA中に配置されたSph I部位の両側に突然変異部分を含んでいるので以下の方法を用いた。 これら二つのプラスミドをSac I Sph IならびにSph IとSal Iで別々に消化して正しいκ−カゼインcDNAフラグメントを得た。 これらの二つのフラグメントを、上記のpS42のSal IとSac I


    で処理して得たフラグメントと再度連結した。 プラスミド単離物を多数の形質転換体から製造して、配列分析と制限地図作成を行った。 得られた発現ベクターをpS330


    (図10)と命名した。 この発現ベクターpS330は、ハーベー肉腫(Harvey Sa


    rcoma)ウイルスの5'長末端反復(LTR)およびシミアンウイルス40のポリアデニル化シグナルで駆動されるネオマイシン耐性遺伝子をコードするベクター(LuskyとBot


    chanの1984年の文献)とともに、マウス細胞系C127(AT


    CC CRL 1616)およびチャイニーズハムスター卵巣(CH


    O)細胞系に、カルシウム沈殿法(Grahamおよびvan der


    Ebの1973年の文献)にしたがって、同時にトランスフェクト(co−transfect)された。 その細胞を、10%ウシ胎児血清で補充したHam's F12−Dulbecco's Modified


    Eagles Medium(DMEM)(1:1)中で培養した。 ネオマイシン耐性の細胞のクローンを、G418(Gibco)の1.5mg


    /ml(C127)または0.5mg/ml(CHO)で選択し、2〜4週間後に、耐性細胞のクローンを、分析するためにマスタープレートから単離して継代培養を行った。 細胞調整培地と細胞を、SDS−PAGEおよびヒトκ−カゼインに対するポリクローナル抗血清(実施例2)を用いる免疫ブロッティング法によって、組換えヒトκ−カゼインの産生について分析した。 発現を分析するため、


    アガロース−ホルムアルデヒドゲルの電気泳動法によって分離した細胞からRNAを調製し(Ausubelらの1991年の文献)、膜にブロットして標識ヒトκ−カゼインプローブとハイブリッドを形成させた。 得られた結果は組換えヒトκ−カゼインの有効な発現を示している(図11)。 実施例7 形質転換動物内での組換えヒトκ−カゼインの発現 形質転換動物の授乳中の乳腺内に組換えヒトκ−カゼインを期間および組織に特異的な発現を行わせて、乳汁から組換えタンパク質を収穫できるようにするために以下の方法を使用した。 マウス乳清酸性タンパク質(WAP)のゲノムフラグメントを含有する二つのプラスミドをLothar Hennighause


    n博士から入手した(Campbellらの1984年の文献)。 そのゲノムフラグメントは約4.5kbの上流調節配列、4個のエキソンと3個のイントロンで構成されている全転写領域、および約1.6kbの3'フランキング配列を含有している。 WAPエキソン1内のユニークKpn I部位の位置にκ−カゼインcDNAを導入するため、この位置に合成オリゴヌクレオチドリンカーのSYM 2401 5'−CGTCGACGTAC−3'(SE


    Q ID No:16)およびSYM 2402 5'−GTCGACGGTAC−3'(SE


    Q ID No:17)を挿入することによって上記部位を修飾して、先のKpn I部位の3'に新しいSal I部位を付加した。


    このリンカーを挿入する前に、第3エキソン中の天然産生ユニークSal I部位をSal Iによる消化で破壊し、クレノウ酵素を用いる充填反応(fill−in reaction)と再連結によって平滑化(blunt)した。 ユニークKpn I部位とSal I部位を第1エキソン中に有するプラスミドはpS3


    14と命名する。 κ−カゼインcDNAの末端を修飾してこのベクターへの導入を容易にするため、鋳型としてpS270を用いるPCR実験を実施した。 5'末端にKpn I部位を有しかつ3'末端にS


    al I部位を有するκ−カゼインcDNAを増幅するため、二つの合成オリゴヌクレオチド:SYM 2699 5'−GGGGTCGACT


    GGTGTTTTTATGCCGTAGGT−3'(SEQ ID No:14)およびSYM


    2698 5'−GGTGGTACCATGAAGAGTTTTCTTCTAGTTG−3'(SEQ


    ID No:18)を設計した。 生成したPCR DNAをKpn IとSal


    Iで消化し、アガロース電気泳動によって分離して566b


    pのフラグメントとして単離した。 このKpn IとSal Iによって得たフラグメントを、Kpn IとSal Iで消化したpS


    314に連結した。 形質転換体を単離し、プラスミドを調製し、制限地図作成と配列決定によって分析した。 プラスミド配列を除くために、Not Iリンカーを、WAP


    /κ−カゼイン組換え遺伝子の5'と3'に挿入した。 得られた発現ベクターはpS339と命名する(図12と13)。 発現ベクターを胚に注入する前に、pS339をNot Iで消化し、WAP/κ−カゼインフラグメントをアガロース電気泳動で単離し、次いでDNAを電気溶出した。 溶出されたDNA


    をエタノールで沈殿させ、顕微注入を行うため、10mMトリス(pH7.5)および0.1mM EDTAに溶解した。 形質転換動物を得るため利用した実験手順はHoganらの1986年の文献に記載されている。 過排卵を行うために、5IUの妊娠雌ウマの血清ゴナドトロピンでプライム(prime)し次いで48時間後に5IUのヒト漿膜ゴナドトロピンでプライムしたドナーマウスから得たC57Bl/6J×CBA/2J−f

    2胚の前核に、上記の単離されたフラグメントを、3ng/mの濃度で注入した。 C57Bl


    /6J×CBA/2J−f

    2動物はBomholtgaard Breeding and Res


    earch Center Ltd.社(デンマーク、Ry)から入手した。 卵管から胚を集めた後、培地M2(Hoganらの1986年の文献)中ヒアルロニダーゼで処理することによって、


    胚と小丘細胞から分離した。 洗浄した後、これらの胚を培地M16(Hoganらの1986年の文献)に移し、5%CO

    2雰囲気のインキュベーター内に保持した。 注入は、Narish


    igi hydrolic micromanipulatorおよびNomarskiレンズを備えたNikon倒立顕微鏡を用い、パラフィン軽油のもとでM2のマイクロドロップ(microdrop)中で行った。


    注入を行った後、健康に見える胚を、2.5%のアバーティン0.37mを腹腔内投与された偽妊娠C57Bl/6J×CBA/2


    J−f

    2受容者に着床させた。 形質転換動物は、切取った尾の試料から調製したDNA


    を分析することによって同定した。 この組織の試料をプロティナーゼKとともにインキュベートし次いでフェノールクロロホルムで抽出した。 発現ベクターフラグメントを示す非相同的に導入されたDNAが存在している場合、上記の単離されたDNAを、特定のフラグメントを増幅する、プライマーによるポリメラーゼ連鎖反応に使用した。 またこれらの動物は、DNAハイブリッド形成実験で分析して、PCRデータを確認し、組込まれたベクター要素の起こる可能性がある再配列、構造について試験し、次いで組込まれたベクター要素のコピー数についての情報を得ることによって分析した。 1セットの実験で11頭のマウスを分析した。 このスクリーニングに用いたPCRプライマーは、マウスWAP配列に相補的なSYM 2228〔5'−CTGTGTGGCAAGAAGGAAGTGTTGT−


    3',(SEQ ID No:19)〕およびヒトκ−カゼインcDNAに相補的なSYM 2603〔5'−GGTTTGGGCGACGTACCACA−3',(S


    EQ ID No:20)〕であった。 これら二つのPCRプライマーの位置を図14に示す。 pS339ベクターを保有する動物由来のPCRで増幅させたDNAの予想される大きさは486bpである。 分析の結果、pS339の組換えWAP/κ−カゼイン遺伝子を有する二つの形質転換創始動物が同定され(図1


    5)一方が雄で一方が雌であった。 pS339ベクターDNA要素を有することが同定されたマウスの創始動物を交配させ、次いでそのF1−腹子を同じ方法によって遺伝子導入について分析した。 乳汁の試料を、2IUのオキシトシンを腹腔内に注入した雌の授乳動物から集め、10分後に2.5%アバーティン


    0.40mを腹腔内に注射して麻酔させた。 乳汁収集器をシリコン処理をされたチュービングを通じて乳頭に取付け、乳腺をゆるやかにマッサージすることによって乳汁を1.5mエッペンドルフ管中に収集した。 乳汁の量は授乳の日によって変動し、一頭のマウスの一回の収集当り


    0.1〜0.5mである。 収集した乳汁を組換えヒトκ−カゼインの存在について分析した。 この分析は、SDS−PAG


    E、ニトロセルロース膜への移行および未変性ヒトκ−


    カゼインに対するポリクローナル抗体とともにインキュベートすることによって行った。 得られた結果は、形質転換マウスからの乳汁中に組換えヒトκ−カゼインが発現されていることを示した(図16)。 形質転換動物の安定した系統が生成している。 ヒトκ−カゼイン遺伝子由来のイントロン配列を含有するゲノムフラグメントを用いて、組換えヒトκ−カゼインを、形質転換動物からの乳汁中に高レベルで発現させるために、下記の発現ベクターを構築した。 第一の発現ベクターは、マウスWAP上流調節配列の転写制御下にあるヒトκ−カゼイン遺伝子のイントロン1,


    3および4の全配列を含有している。 下流の調節配列とm


    RNAプロセシングシグナルは、エキソン5の下流に約4.5


    kb延びているヒトκ−カゼインゲノムフラグメントによって得られる。 この発現ベクターの構造を図17に図式的に示す。 要約するとこの発現ベクターは以下のようにして構築する。 エキソン2に配置されたBsaJ I開裂部位からエキソン3に配置されたMnl I部位まで延びる下記の二つの合成オリゴヌクレオチドを合成する。 EcoR I部位をBsaJ


    I部位の上流に付加して、次に行うこのフラグメントのクローン化を行い易くする;5'−AATTCCCCTGGCATTAACCCT


    GCCTTTTTTG−3'(SEQ ID No:21)および5'−AAAAAAGGCA


    GGGTTAATGCCAGGGG−3'(SEQ ID No:22)。 これらの二つの合成オリゴヌクレオチドをアニールした後、pS465由来の単離されたMnl I/Hind III 340bpフラグメントと連結し、次いでEcoR I/Hind IIIで消化したpUC19中にクローン化する。 クローン化されたフラグメントを配列分析に付し次いで挿入断片をBsaJ I/Hind IIIフラグメントとして単離する。 次にこのフラグメントを、pS460から単離した0.66kbのXba I/BsaJ Iフラグメントに連結する。 pS460から得たXba I/BsaJ Iフラグメント、およびB


    saJ I/Hind IIIフラグメントを、Xba I/Hind IIIで消化したpUC19中にクローン化する。 このプラスミドから約1


    kbのXba I/Hind IIIフラグメントを単離して下記のPCR


    フラグメントに連結する。 Kpn I部位を5'非翻訳リーダー配列に導入するため、


    エキソン1配列とイントロン1配列を含有しXba I部位まで延びるPCRフラグメントを製造する。 この実験を行うために、二つのPCRプライマー:5'CCGGTACCAAGACCTGAC


    TGGCACGAGGA−3'(SEQ ID No:23)および5'−ATTCTAGAC


    CAGGCCTTATCT−3'(SEQ ID No:24)を合成する。 得られた0.77kbのフラグメントを上記の1kbのXba I/Hind III


    に連結する。 これら二つのフラグメントをKpn I/Hind I


    IIで消化したpUC19にクローン化する。 得られたプラスミドから約1.8kbのKpn I/Hind IIIフラグメントを単離する。 このフラグメントはκ−カゼインのミニ遺伝子の


    5'部分を含有している。 次のステップにおいて、pS339をNot IとKpn Iで消化し、次いでWAPの上流調節配列を約4.5kbのフラグメントとして単離する。 次にこのWAPフラグメントを、κ−カゼインのミニ遺伝子の5'部分を含有するKpn I/Hind III


    1.8kbフラグメントに連結し、修飾されたpUC19であるp


    UC19−N中にクローン化する。 このpUC19−Nはその中のEcoR I部位がNot I部位に変えられている。 得られたプラスミド(pWAP/K1−5'と命名)は、κ−カゼインミニ遺伝子の5'部分の前に、WAP5'調節配列を約6.3kbのNo


    t I/Hind IIIフラグメントとして含有している。 最終目的の発現ベクターを完成するために、この6.3k


    bのNot I/Hind IIIフラグメントを、pS459から誘導された約7.8kbのSal Iおよび部分的にHind IIIで消化されたフラグメントに連結して、κ−カゼインミニ遺伝子の転写される部分の3'レスト(rest)および3'フランキング非転写配列を得る。 次にこれら二つのフラグメントをSa


    l I/Not Iで消化したpUC19−Nに連結する。 得られた組換えWAP/κ−カゼインミニ遺伝子を図18に示す。 第二発現ベクター中、ヒトκ−カゼイン遺伝子のエキソン2内に配置された翻訳開始部を、マウス遺伝子のエキソン1内に配置されたKpn I部位に直接連結する。 マウスWAPの天然の翻訳開始部はKpn I部位のすぐ下流に配置されている。 したがって、この位置のまわりの配列は進化して翻訳開始の最適条件が得られたと考えられる。


    この組換え遺伝子を図18に示す。 ベクターは以下のようにして構築する。 翻訳開始コドンATGのすぐ上流にKpn I部位を含有するPCRフラグメントを、下記の合成オリゴヌクレオチド;5'−CCGGTACCATG


    AAGAGTTTTCTTCTAGTT−3'(SEQ ID No:25)および5'−TT


    AAGCTTTACTTATGTTTTCATT−3'(SEQ ID No:26)をプライマーとして用いて調製した。 得られた0.4kbのKpn I/Hin


    d IIIフラグメントをKpn I/Hind IIIで消化したpWAP/K1


    −5'(上記のもの)中にクローン化する。 得られたプラスミド(WAP/K2−5'と命名)を使用して最終目的の発現ベクターを完成する。 先に述べたのと同じ方法を利用する。 要約すると、pWAP/K2−5'由来の4.9kbのNot I/Hind


    IIIフラグメントを、pS459由来の約7.8kbのSal I/Hind


    IIIフラグメントを、ps459由来の約7.8kbのSal Iと部分的にHind IIIで消化したフラグメントに連結して、κ


    −カゼインミニ遺伝子の転写される部分の3'レストと3'


    フランキング非転写配列を得る。 次にこれらの二つのフラグメントをSal I/Not Iで消化したpUC19−Nに連結する。 得られた組換えWAP/κ−カゼインミニ遺伝子変異体を図18に示する。 またこれら二つのκ−カゼインミニ遺伝子のフラグメントは、例えばβ−ラクトグロブリンおよびβ−カゼインのような他の哺乳動物の乳タンパク質の遺伝子由来の他の上流調節配列の転写制御下でクローン化される。 実施例8 ヒトκ−カゼインの遺伝子変異体 ヒトκ−カゼインには限られた数の遺伝子変異体があると考えられる。 これらの変異体は、SEQ ID No:1に示すcDNA配列から演繹されるアミノ酸配列と比べて多数のアミノ酸が置換されている。 この予想は、今まで研究されてきた他の大部分の種に遺伝子変異体があるということだけでなく、得られたcDNA配列(SEQ ID No:1)と実施例4に記載されているゲノム配列とMenonらが測定した部分配列との間に見られる差異に基づいている。 遺伝子変異体すなわちSEQ ID No:1に示すDNA配列の類似体は、以下の方法で単離して特性を決定することができる。 DNAは各種の遺伝的背景(民族性)を有するドナーから提供された新鮮な人乳から単離した。 同様にmRNAは新鮮な乳汁から単離し、cDNAは逆転写酵素法を利用して合成する。 アミノ酸が明白に異なっている配列を両側に有する領域から選択した特定の合成オリゴヌクレオチドを用いて、PCR法を利用しDNAフラグメントを合成する。 合成されたDNAフラグメントはアガロースゲルから単離して、ジデオキシ連鎖終結法によって配列を決定する。 実施例9 ウシ卵母細胞の生体外成熟、受精および培養 未成熟の卵母細胞は、畜殺場で得られる卵巣卵胞を吸引することによって大量に得られる(400〜600個/


    日)。 未成熟卵母細胞は、受精を受容できるようになるまで生体外である期間培養される。 卵母細胞は、“成熟”すると、成熟しているかまたは生体外で“受精能を獲得させた(capacitated)”精子を受精させる。 次に受精卵母細胞の前核に、ヒトκ−カゼインの発現と分泌をコードする導入遺伝子を注入する。 この生体外での受精と顕微注入から得られる接合体を、調製された培地または卵管組織で“調整された”培地中で後期桑実胚期もしくは胞盤胚期(5〜6日間)まで培養する。 次に胞盤胚を、妊娠の平衡を得るため受容者のウシの種に外科手術なしで移行させるかまたは本願に記載されているように導入遺伝子の組込みについて分析する。 生体外での成熟(IVM) 卵巣を地域の畜殺場で屠殺直後に入手して卵母細胞を回収する。 あるいは、卵母細胞を、外科手術、エンドスコープもしくは経膣超音波による方法によって生きているウシの種から得られる。 いずれの場合でも、卵母細胞は卵巣細胞から吸引される(2〜10mm直径)。 洗浄後、


    卵母細胞を、10%のウシ胎児血清で補充したM199で構成された培地のような成熟培地内に置いて39℃で24時間インキュベートする(Sirardら、Biol.Reprod.,39巻、546


    〜552頁、1988年)。 生体外での受精(IVF) 成熟した卵母細胞に新鮮なまたは解凍した精子を受精させる。 精子は、まず運動性を高められた精子集団をスイム−アップ(swim−up)分離法によって得ることによって受精用に準備される(Parrishら、Theriogenology,


    25巻、591から600頁、1986年)。 次に自動性精子は精子受精能獲得を誘発するようヘパリンを補充した(Parris


    hら、Biol.Reprod.,38巻、1171〜1180頁、1988年)改変タイロード液(Parrishらの1986年の上記文献)で構成されている受精培地に添加する。 精子の受精能獲得は受精するのに必須の最終の精子成熟過程である。 精子と卵母細胞は18時間、共培養される(co−culture)。 このI


    VF法の有用な特徴は、(凍結精子の場合)特定の射精液に対する最適の受精条件が形成されたならば堅実で繰返し可能な結果が得られるということである(Parrishらの1986年の上記文献)。 生体外での培養(IVC) 従来の培養系は、マウス、ウサギまたはひとの卵子の発育を保持するが、ウシの胚は8〜16個の細胞分裂時期を過ぎると発育を保持されない。 この問題は、培養培地を卵管組織で前調整しておくことで克服されている。 卵管で調整された培地は、生体外で8〜16個の細胞分裂時期を過ぎて胞盤胚の時期までウシの胚を保持する(Eyes


    toneおよびFirst,J.Reprod.Fert.,85巻、715〜720頁、1


    989年)。 Camousらが(J.Reprod.Fert.,72巻、779〜785頁、198


    4年)をトロホブラストの組織ととも共培養したとき216


    個の細胞まで分裂することを示すまで、ウシ胚を生体外で8〜16個の細胞“ブロック”を過ぎて培養しようとする試みは成功しなかった。 この共培養法は、接合体から胞盤胚までの発育を保持するホモ卵管もしくはヘテロ卵管の性能に基づいて卵管の組織まで拡大した。 したがって、卵管組織ととも共培養されたかまたは卵管組織によって調整した培地で共培養されたウシ胚は、生体外で接合体から胞盤胚まで発育した(EyestoneおよびFirst,J.Reprod.Fert.,85巻、715


    〜720頁、1989年;Eyestone,WH(1989年)“Factors a


    ffecting the development of early bovine embryos i


    n vivo and in vitro",Ph.D.Thesis、ウイスコンシン大学)。胞盤胚は、この系で、過剰排卵および人工授精の後、または未成熟卵母細胞の生体外での熟成(IVM)および生体外での受精によって産生された。この方式で産生された胞盤胚は、受容者の動物に移された後、妊娠されて仔ウシが生まれた。得られた結果は以下のとおりである。 それ故、最初に1日当り収穫される500個の卵母細胞から約55の妊娠が達成されると考えられる。 卵管組織の調製共培養と調整培地1.屠殺後または卵管切除法によって卵管を得る。 2.無傷の卵管をスライドガラスでゆるやかにかきとることによって収穫する。 3.改変タイロード−ヘペス溶液10m中で5回組織を洗浄する(Parrishら、Biol.Reprod.,38巻、1171〜1180


    頁、1988年)。 4.組織1容積:培地50容積の比率で、最終の組織ペレットをM199+10%ウシ胎児血清中に再懸濁する。 5.組織懸濁液は胚の共培養に使用する。 6.あるいは、培地は48時間調整してもよく、懸濁液を遠心分離した後上澄み液は胚の培養培地として使用できる。 調整培地は所望により−70℃で貯蔵する。 調整培地は胚の培養に全強度で(希釈せずに)使用しなければならない(Eyestoneの前記1989年の文献)。 実施例10 ウシ前核に対するヒトκ−カゼイン導入遺伝子の顕微注入 ヒトκ−カゼイン発現系を含有しているDNAフラグメントを、適正な制限酵素で消化することによってベクターから切取り、次いでアガロースゲル上で分離する。 得られたフラグメントは電気溶出で精製し、分離した後上澄み液は胚の培養培地として使用できる。 調整培地は所望により−70℃で貯蔵する。 調整培地は胚の培養に全強度で(希釈せずに)使用しなければならない(Eyestone


    の前記1989年の文献)。 実施例10 ウシ前核に対するヒトκ−カゼイン導入遺伝子の顕微注入 ヒトκ−カゼイン発現系を含有しているDNAフラグメントを、適正な制限酵素で消化することによってベクターから切取り、次いでアガロースゲル上で分離する。 得られたフラグメントは電気溶出で精製し、フェノールとクロロホルムで抽出し次いでエタノールで沈殿させる(Maniatissら)。 得られたDNAフラグメントを1〜2μ


    g/mの濃度で10mMトリス、0.1mM EDTA pH7.2に溶解し、同じ液に対して透析した。 顕微注射用の針は透析されたDNA溶液で満たす。 生体外受精を行う前に、最大速度で2分間攪拌するかまたは卵子を標準ミクロピペット内で上下数回ピペッティングを行うことによって、卵子から小丘細胞を除去する。 ウシの前核は、前核を目視できるようにするため追加の遠心分離ステップを加えて、原則としてマウスの前核と同様にして注入を行う(Manipulating the mouse e


    mbryo,Cold Spring Harbour Laboratory社中のHogan B.


    らの1986年の文献)。 この注入は受精してから18〜24時間後に行う。 この時間は、精液源として使用される雄ウシによって変わる。 異なるバッチの精液によって前核が目視可能になる時間が変化する。 生体外で成熟させて受精されたウシ卵母細胞を、タイロード−ヘペス溶液1m中(Parrishの1987年の文献)


    エッペンドルフ管内で14500まで8分間遠心分離に付す(Wallら、Biol.Reprod.,32巻、645〜651頁、1985


    年)。 得られた胚をパラフィン油で覆った顕微鏡スライドガラス上の一滴のタイロード−ヘペス溶液中に移す。


    油圧システム(hydraulic system)を用いて、両方の前核が目視できるようなしかたで(干渉差レンズもしくは位相差レンズを用いる)、卵母細胞を卵子ホルダーに固定する。 必要に応じて、卵母細胞は、卵子ホルダー上で回転させてその位置を変え、前核を目視できるようにする。 注入針を、一方の前核と同じ鮮鋭な焦点に合わす。


    次に針を透明帯と細胞質を通って前核中に前進させる。


    13plの小容積(20〜100個のDNAコピーを含有している)


    を、一定流量もしくはパルス流量(スイッチ使用)のDN


    A溶液を用いることによって、針から前核に注入する。


    あるいは、二つの細胞期の胚を上記のように遠心分離し、両方の卵割球(blastomers)の核を上記のように注入する。 この注入された胚は、桑実胚期もしくは胞盤胚期まで発育させるために、実施例6に記載のようにして一滴の共培養培地に移行させる。 実施例11 ヒトκ−カゼイン導入遺伝子の遺伝子導入の早期検出 実施例7に記載されているように構造体の顕微注入を行ってその卵母細胞を培養する。 各胚の適正な部位を分割して、溶解し(King,D.ら、Molecular Reproduction


    and Development、1巻、57〜62頁、1988年)、タンパク質分解を行い(Higuchi,R.,“Amplifications"(A fo


    rum for PCR Users、2巻、1〜3頁、1989年)および消化を行う。 PCRは実施例4に先に述べたようにして行う。 すなわち、2つのプライマー〔一方がエキソン3中にあり(SYM 3120)(表1参照)および他方がエキソン4中にある(SYM 2887)〕のセットを用いて行う。 実施例12 ウシの種の乳汁中へのヒトκ−カゼインの産生 顕微注入された卵母細胞から発育したウシ桑実胚をDo


    nahueの方法(J.Warren Evansら編集“Genetic Enginee


    ring of Animals"、Plenum社中のDonahue,S.の1986年の報告)にしたがって分割する。桑実胚の1/2は胞盤胚まで発育させるため培養液中に保持する。残りの1/2は実施例8に記載されているようにしてDNA分析を行う。この分析の結果が分かってから、培養液中に保持された桑実胚を胞盤胚まで発育させるか、または脱核接合体中に核転移させるための起源として用いる。同期化された雌ウシへの胞盤胚の転移はBetteridgeの方法にしたがって実施する(“Embryo transter in farm animals:a revi


    ew of techniques and applications"中のBetteridge,


    KJの1977年の報告)。 ヒトκ−カゼインは、実施例8に記載の方法を用いて、授乳中の形質転換された子の乳汁中に検出される。 寄託 pS270と命名されたプラスミドDNAは、ドイツ、D−33


    00 Braunschweig,Mascheroder Weg 1bに所在のDeutsche


    Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen Gmb


    Hのコレクションに、ブダペスト条約の規定にしたがい1


    992年1月17日付けで寄託され、受託番号DSM 6878によって特定された。 pS459およびpS460と命名されたプラスミドDNAは、ドイツ、D−3300、Braunschweig,Mascheroder Weg 1bに所在のDeutsche Sammlung von Mikroorganismen und Ze


    llkulturen GmbHのコレクションに、ブダペスト条約の規定にしたがい、1993年1月20日付けで寄託され、それぞれ受託番号DSM 7414とDSM 7415で特定されている。 pS330,339,415および425と命名された発現ベクターは、ドイツ、D−3300 Braunschweig,Mascheroder Weg


    1bに所在のDeutsche Sammlung von Mikroorganismen Ze


    llkulturen GmbHのコレクションに、ブダペスト条約の規定にしたがい、1993年1月20日付けで寄託され、それぞれ受託番号DSM 7410、DSM 7411、DSM 7412およびDSM


    7413によって特定されている。 配列の一覧表(1)一般情報: (i)出願人 (A)名称:SYMBICOM AB (B)ストリート:Tvistevagen 48,Postbox 1451 (C)市:Umea (E)国:スエーデン (F)郵便番号:(ZIP):S−901 24 (G)電話:+46−90190120 (H)テレファックス:+46−90192332 (ii)発明の名称:ヒトタンパク質をコードするDN


    A、そのタンパク質を得る方法および用途 (iii)配列の数:27 (iv)コンピュータが読取り可能な形態: (A)媒体のタイプ:フロッピー ディスク (B)コンピュータ:IBM PC コンパチブル (C)オペレーティングシステム:PC−DOS/MS−DOS (D)ソフトウェア:Patent In Release #1.0,Ver


    sion#1.25(EP0) (vi)原出願のデータ: (A)出願番号:DK88/92 (B)出願日:1992年1月23日(2)SEQ ID No:1に関する情報: (i)配列の特性: (A)長さ:857個の塩基対 (B)タイプ:核酸 (C)ストランデッドネス:一本鎖 (D)トポロジー:線状 (ii)分子のタイプ:cDNA (iii)仮説(hypothetical):なし (vi)起源: (A)生物:ホモ・サピエンス (ix)特徴: (A)名称/キー:CDS (B)位置:45..593 (ix)特徴: (A)名称/キー:mat−ペプチド (B)位置:45..593 (ix)特徴: (A)名称/キー:sig−ペプチド (B)位置:45..104 (ix)特徴: (A)名称/キー:5'UTR (B)位置:13..44 (ix)特徴: (A)名称/キー:3'UTR (B)位置:594..848 (xi)配列の性状:SEQ ID No:1: (2)SEQ ID No:2に関する情報: (i)配列の特性: (A)長さ:182個のアミノ酸 (B)タイプ:アミノ酸 (D)トポロジー:線状 (ii)分子のタイプ:タンパク質 (xi)配列の性状:SEQ ID No:2 (2)SEQ ID No:3に関する情報: (i)配列の特性: (A)長さ:2241個の塩基対 (B)タイプ:核酸 (C)ストランデッドネス:一本鎖 (D)トポロジー:線状 (ii)分子のタイプ:DNA(ゲノムDNA) (vi)起源: (A)生物:ホモ・サピエンス (vii)直接起源(immediate source) (B)クローン:pS460 (ix)特徴: (A)名称/キー:イントロン (B)位置:46..2186 (ix)特徴: (A)名称/キー:エキソン (B)位置:1..45 (ix)特徴: (A)名称/キー:エキソン (B)位置:2187..2241 (xi)配列の性状:SEQ ID No:3: (2)SEQ ID No:4に関する情報: (i)配列の特性: (A)長さ:13104個の塩基対 (B)タイプ:核酸 (C)ストランデッドネス:一本鎖 (D)トポロジー:線状 (ii)分子のタイプ:DNA(ゲノムDNA) (vi)起源: (A)生物:ホモ・サピエンス (vii)直接の起源: (B)クローン:pS459 (ix)特徴: (A)名称/キー:イントロン (B)位置:1..8834 (ix)特徴: (A)名称/キー:イントロン (B)位置:8868..10014 (ix)特徴: (A)名称/キー:イントロン (B)位置:10511..12277 (ix)特徴: (A)名称/キー:エキソンン (B)位置:8835..8867 (ix)特徴: (A)名称/キー:エキソン (B)位置:10015..10510 (ix)特徴: (A)名称/キー:エキソン (B)位置:12278..12443 (xi)配列の性状:SEQ ID No:4: (2)SEQ ID No:5に関する情報: (i)配列の特性: (A)長さ:22個の塩基対 (B)タイプ:核酸 (C)ストランデッドネス:一本鎖 (D)トポロジー:線状 (ii)分子のタイプ:DNA (xi)配列の性状:SEQ ID No:5: (2)SEQ ID No:6に関する情報: (i)配列の特性: (A)長さ:17個の塩基対 (B)タイプ:核酸 (C)ストランデッドネス:一本鎖 (D)トポロジー:線状 (ii)分子のタイプ:DNA (xi)配列の性状:SEQ ID No:6: (2)SEQ ID No:7に関する情報: (i)配列の特性: (A)長さ:22個の塩基対 (B)タイプ:核酸 (C)ストランデッドネス:一本鎖 (D)トポロジー:線状 (ii)分子のタイプ:DNA (xi)配列の性状:SEQ ID No:7: (2)SEQ ID No:8に関する情報: (i)配列の特性: (A)長さ:26個の塩基対 (B)タイプ:核酸 (C)ストランデッドネス:一本鎖 (D)トポロジー:線状 (xi)配列の性状:SEQ ID No:8: (2)SEQ ID No:9に関する情報: (i)配列の特性: (A)長さ:28個の塩基対 (B)タイプ:核酸 (C)ストランデッドネス:一本鎖 (D)トポロジー:線状 (xi)配列の性状:SEQ ID No:9: (2)SEQ ID No:10に関する情報: (i)配列の特性: (A)長さ:27個の塩基対 (B)タイプ:核酸 (C)ストランデッドネス:一本鎖 (D)トポロジー:線状 (ii)分子のタイプ:DNA (xi)配列の性状:SEQ ID No:10: (2)SEQ ID No:11に関する情報: (i)配列の特性: (A)長さ:33個の塩基対 (B)タイプ:核酸 (C)ストランデッドネス:一本鎖 (D)トポロジー:線状 (ii)分子のタイプ:DNA (xi)配列の性状:SEQ ID No:11 (2)SEQ ID No:12に関する情報: (i)配列の特性: (A)長さ:35個の塩基対 (B)タイプ:核酸 (C)ストランデッドネス:一本鎖 (D)トポロジー:線状 (ii)分子のタイプ:DNA (xi)配列の性状:SEQ ID No:12: (2)SEQ ID No:13に関する情報: (i)配列の特性: (A)長さ:29個の塩基対 (B)タイプ:核酸 (C)ストランデッドネス:一本鎖 (D)トポロジー:線状 (ii)分子のタイプ:DNA (xi)配列の性状:SEQ ID No:13: (2)SEQ ID No:14に関する情報: (i)配列の特性: (A)長さ:30個の塩基対 (B)タイプ:核酸 (C)ストランデッドネス:一本鎖 (D)トポロジー:線状 (ii)分子のタイプ:DNA (xi)配列の性状:SEQ ID No:14: (2)SEQ ID No:15に関する情報: (i)配列の特性: (A)長さ:30個の塩基対 (B)タイプ:核酸 (C)ストランデッドネス:一本鎖 (D)トポロジー:線状 (ii)分子のタイプ:DNA (xi)配列の性状:SEQ ID No:15: (2)SEQ ID No:16に関する情報: (i)配列の特性: (A)長さ:11個の塩基対 (B)タイプ:核酸 (C)ストランデッドネス:一本鎖 (D)トポロジー:線状 (ii)分子のタイプ:DNA (xi)配列の性状:SEQ ID No:16: (2)SEQ ID No:17に関する情報: (i)配列の特性: (A)長さ:11個の塩基対 (B)タイプ:核酸 (C)ストランデッドネス:一本鎖 (D)トポロジー:線状 (iii)分子のタイプ:DNA (xi)配列の性状:SEQ ID No:17: (2)SEQ ID No:18に関する情報: (i)配列の特性: (A)長さ:31個の塩基対 (B)タイプ:核酸 (C)ストランデッドネス:一本鎖 (D)トポロジー:線状 (ii)分子のタイプ:DNA (xi)配列の性状:SEQ ID No:18: (2)SEQ ID No:19に関する情報: (i)配列の特性: (A)長さ:25個の塩基対 (B)タイプ:核酸 (C)ストランデッドネス:一本鎖 (D)トポロジー:線状 (ii)分子のタイプ:DNA (xi)配列の性状:SEQ ID No:19: (2)SEQ ID No:20に関する情報: (i)配列の特性: (A)長さ:25個の塩基対 (B)タイプ:核酸 (C)ストランデッドネス:一本鎖 (D)トポロジー:線状 (ii)分子のタイプ:DNA (xi)配列の性状:SEQ ID No:20: (2)SEQ ID No:21に関する情報: (i)配列の特性: (A)長さ:31個の塩基対 (B)タイプ:核酸 (C)ストランデッドネス:一本鎖 (D)トポロジー:線状 (ii)分子のタイプ:DNA (xi)配列の性状:SEQ ID No:21: (2)SEQ ID No:22に関する情報: (i)配列の特性: (A)長さ:26個の塩基対 (B)タイプ:核酸 (C)ストランデッドネス:一本鎖 (D)トポロジー:線状 (ii)分子のタイプ:DNA (xi)配列の性状:SEQ ID No:22: (2)SEQ ID No:23に関する情報: (i)配列の特性: (A)長さ:29個の塩基対 (B)タイプ:核酸 (C)ストランデッドネス:一本鎖 (D)トポロジー:線状 (ii)分子のタイプ:DNA (xi)配列の性状:SEQ ID No:23: (2)SEQ ID No:24に関する情報: (i)配列の特性: (A)長さ:21個の塩基対 (B)タイプ:核酸 (C)ストランデッドネス:一本鎖 (D)トポロジー:線状 (ii)分子のタイプ:DNA (xi)配列の性状:SEQ ID No:24: (2)SEQ ID No:25に関する情報: (i)配列の特性: (A)長さ:29個の塩基対 (B)タイプ:核酸 (C)ストランデッドネス:一本鎖 (D)トポロジー:線状 (ii)分子のタイプ:DNA (xi)配列の性状:SEQ ID No:25: (2)SEQ ID No:26に関する情報: (i)配列の特性: (A)長さ:24個の塩基対 (B)タイプ:核酸 (C)ストランデッドネス:一本鎖 (D)トポロジー:線状 (ii)分子のタイプ:DNA (xi)配列の性状:SEQ ID No:26:

    フロントページの続き (51)Int.Cl. 7識別記号 FI C12N 5/10 C12R 1:19 C12P 21/02 C12P 21/02 //(C12N 1/21 C12R 1:91 C12R 1:19) C12N 15/00 ZNAA (C12P 21/02 5/00 B C12R 1:19) (C12P 21/02 C12R 1:91) (72)発明者 ヘルネル,オレ スエーデン、エス―902 40 ウメア、 ジムボルスベーゲン 14 (72)発明者 テレネル,ヤン スエーデン、エス―421 50 ヴェスト ラ フレランダ、クラヴェスケルスガー タン 56 (56)参考文献 特開 昭63−291(JP,A) 特開 昭63−309192(JP,A) 国際公開91/003551(WO,A1) FEBS Lett. ,Vol. 188, No. 1,pp. 48−54(1985) (58)調査した分野(Int.Cl. 7 ,DB名) C12N 15/00 BIOSIS(DIALOG) MEDLINE(STN) WPI(DIALOG) SwissProt/PIR/GeneS eq

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